JPH0540350A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH0540350A
JPH0540350A JP19659891A JP19659891A JPH0540350A JP H0540350 A JPH0540350 A JP H0540350A JP 19659891 A JP19659891 A JP 19659891A JP 19659891 A JP19659891 A JP 19659891A JP H0540350 A JPH0540350 A JP H0540350A
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JP
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integer
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general formula
examples
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Application number
JP19659891A
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English (en)
Inventor
Yoshitaka Saito
佳孝 斉藤
Osamu Takenouchi
修 竹之内
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 感光層中に、一般式(I) 【化1】 (式中、R1、R2;アルキル基、アリール基、アラルキ
ル基、Ar1、Ar2、Ar3;2価の芳香族残基、l;
0以上の整数、m;1以上の整数、n;2以上の整数、
p;3〜6の整数)で表わされる化合物を含有すること
を特徴とする電子写真感光体。 【効果】 本発明の電子写真感光体は、一般式(I)で
表わされる化合物が多くの溶媒への溶解性に優れ、それ
自身が成形可能であり、かつ、他の結着樹脂への相溶性
にも秀でた電荷輸送剤であるので、高感度であり、しか
も高い機械的強度を発現することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は複写機、LDプリンタ、
LEDプリンタ等に使用される電子写真感光体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体に要求される基本的な特
性としては、(I)暗所で適当な電位に帯電できるこ
と、(2)暗所における電荷の保持能力が大きいこと、
(3)光照射によって速やかに電荷を散逸できること等
が挙げられる。また、実用面からは、(4)適当な面積
を持つ感光体が容易に作れること、(5)繰り返し安定
性が良いこと、(6)耐久性があること、(7)安価な
こと等が挙げられる。
【0003】従来、電子写真用感光体の光導電性材料と
しては、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等が広く用
いられてきた。しかしながら、これらの無機化合物は、
多くの長所を持つ反面、様々な欠点を有していることも
事実である。例えば、セレンは製造する条件が難しく、
製造コストが高い、温度、湿度、指紋等により容易に結
晶化が進み、感光体としての特性が劣化してしまう為に
取り扱いに注意を要する等の欠点を持っていた。また、
硫化カドミウムは、特に耐湿度性が悪く、感光体の吸湿
を防止する為にヒーターを設置する等の補助手段が必要
であった。また、酸化亜鉛は、硬度、耐摩耗性等機械的
な強度に問題があるほか、ローズベンガルに代表わされ
る染料で増感する必要があるため、コロナ帯電による染
料の光退色が感光体の寿命を縮めていた。これらの無機
化合物は、重金属を含有し、取り扱いを誤ると公害問題
に発展する危険性もあった。
【0004】近年、これらの無機化合物の光導電性材料
の欠点を克服する為に、種々の有機光導電性化合物(Or
ganic Photoconductor;OPCと略する)を用いた電子
写真用感光体の研究開発が盛んに行われている。OPC
を用いる電子写真感光体は、ある種の有機溶剤に溶解・
調整し塗布した後にキャストすることによって成膜でき
るという点で、無機系の感光体に比べ、生産性が高く、
安価な感光体を提供できるなど、多くの利点を有してい
る。
【0005】OPCに用いられる有機化合物は、その分
子量によって、低分子OPCと高分子OPCに分類する
ことができる。低分子OPCの例としては、トリフェニ
ルアミン誘導体、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン誘導
体、カルバゾール誘導体等を挙げることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな低分子OPCは単独で用いられることは無く、光導
電性を持たない高分子重合体を用いたマトリクスポリマ
ー中に分散させて感光体に使用しているため、その含有
濃度には制約があり、高濃度マトリクスでは感光体の機
械的強度が低下し、低濃度マトリクスでは電荷の拡散速
度が減少し電子写真特性上充分な光感度が得られない、
等の解決し難い欠点が存在していた。また、例えば、ポ
リ−N−ビニルカルバゾールや特開平2−282263
号公報、特開平2−282264号公報等に示される高
分子OPCでは、(I)有機溶剤への溶解度が低く、低
分子OPCと比べ加工性が不良であること、(2)単独
で成膜した場合の機械的強度が低く耐久性に欠けるこ
と、(3)別種の高分子化合物に対する相溶性が低く結
着樹脂を併用することが困難であること、(4)電子写
真特性上の光感度は未だ充分なものではない、等の問題
が存在しており、これら全ての問題を克服したものは未
だ供されてはいない。
【0007】従って、本発明が解決しようとする課題
は、従来の無機化合物系電子写真用感光体の欠点を克服
し、且つこれまで提案されてきた有機化合物系電子写真
用感光体の欠点を改良し、十分に実用に供しうる程度の
高感度、高耐久性を有する電子写真用感光体を提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは高感
度及び高耐久性の電子写真用感光体を提供する有機光導
電性化合物について鋭意研究したところ、一般式(I)
【0009】
【化2】
【0010】(式中、R1及びR2は、各々独立的に、置
換基を有していても良いアルキル基、アリール基又はア
ラルキル基を表わし、Ar1、Ar2及びAr3は、各々
独立的に、置換基を有していても良い2価の芳香族残基
を表わし、lは0以上、mは1以上、nは2以上の整数
を夫々表わし、pは3〜6の整数を表わす)で表わされ
る高分子光導電性材料が優れた加工性を有し、感光体の
機械的強度を向上させ、かつ、優れた光感度を発現させ
ることを見い出し、本発明に到達した。
【0011】即ち、本発明は上記課題を解決するため
に、感光層中に、上記一般式(I)で表わされる化合物
を含有することを特徴とする電子写真感光体を提供す
る。
【0012】前記一般式(I)におけるR1及びR2は互
いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又
は炭素原子数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素
残基を表わすものである。R1及びR2の好ましい具体例
としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロ
ピル基、nーブチル基、iーブチル基、tーブチル基、nーアミ
ル基、iーアミル基、tーアミル基の如き各種のアルキル
基;置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基
の如き各種のアリール基、アラルキル基が挙げられる。
【0013】また、前記一般式(I)におけるAr1
Ar2及びAr3は互いに同一でも異なっていてもよく、
それぞれ2価の芳香族残基を表わすものである。Ar2
の好ましい具体例としては、pーフェニレン基、mーフェニ
レン基、oーフェニレン基、4,4'ービフェニレン基、3,3'ー
ビフェニレン基、2,2'ービフェニレン基及びそれらの誘
導体が挙げられる。また、Ar1及びAr3の好ましい具
体例としては、pーフェニレン基、mーフェニレン基、oーフ
ェニレン基、4,4'ービフェニレン基、3,3'ービフェニレン
基、2,2'ービフェニレン基、1,5ーナフチレン基、2,7ーナ
フチレン基、1,4ーアントラキノニレン基、1,5ーアントラ
キノニレン基、2,6ーアントラキノニレン基、2,4-フルオ
レノニレン基、2,7-フルオレノニレン基の如き2価の単
環式又は縮合多環式芳香族炭化水素残基及びそれらの誘
導体;2,6ーピリジンジイル基、3,5ーピリジンジイル基、
カルバゾールジイル基、2-フェニルベンゾチアゾールジ
イル基、フェノチアジンジイル基の如き2価のヘテロ原
子含有単環式又は縮合多環式芳香族炭化水素残基及びそ
れらの誘導体等が挙げられる。
【0014】また、前記一般式(I)において、lは0
以上の整数であり、通常0〜50、好ましくは0〜1
0、更に好ましくは0〜5である。mは1以上の整数で
あり、通常1〜50、好ましくは1〜10である。nは
2以上の整数であり、通常2〜10000、好ましくは
2〜300である。pは3〜6の整数であり、好ましく
は4もしくは5である。
【0015】本発明で使用する一般式(I)で表わされ
る化合物は、例えば次の合成法によって製造することが
可能であるが、その製造方法についてはこれに限定され
るものではない。
【0016】即ち、前記一般式(I)によって示される
化合物は、一般式(II)
【0017】
【化3】
【0018】(式中、R1、R2、Ar1、Ar2、A
3、l及びmは一般式(I)における夫々と同一の意
義を有する。)で表わされるアリールアミン系化合物
と、一般式(III)
【0019】
【化4】
【0020】(式中、pは一般式(I)におけると同一
の意義を有する。)で表わされる環状ケトンとを、両者
が可溶な有機溶媒中で0℃〜200℃の温度で、酸又は
アルカリ触媒存在下で重縮合を行うことによりできる。
【0021】この反応に使用する有機溶媒としては、例
えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルセロソ
ルブの如きエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタン
の如きハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キ
シレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベ
ンゼンの如き芳香族炭化水素類;アセトニトリル、N,
N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N
−メチルピロリドン等が挙げられるが、これに限定され
るものではない。
【0022】また、酸触媒としては、例えば、塩酸、硫
酸の如き無機酸;p−トルエンスルホン酸、酢酸、ギ
酸、プロピオン酸の如き有機酸等を挙げることができる
が、これに限定されるものではない。
【0023】アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナ
トリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエ
トキシド等を挙げることができるが、これに限定される
ものではない。これらの酸及びアルカリ触媒は、単独で
用いても良いし、二種類以上を併用してもよい。
【0024】反応時間は、1分〜500時間、好ましく
は30分〜200時間の範囲で適時選ぶことができる。
【0025】本発明で使用できる一般式(I)で表わさ
れる化合物としては、例えば、以下のものが挙げられ
る。
【0026】
【化5】
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】(式中、Meはメチル基、Etはエチル基
を夫々表わす。)本発明の電子写真用感光体の感光層の
形態としては種々のものが存在するが、本発明の電子写
真感光体の感光層としては、そのいずれであってもよ
い。
【0033】第1図〜第3図に本発明の電子写真感光体
の感光層の具体例を示した。
【0034】第1図及び第2図の感光体は、導電性支持
体(1)の上に電荷担体発生層(2)と、前記一般式
(I)で表わされる化合物を少なくとも1種以上含有す
る電荷輸送層(3)とから成る感光層(4a)又は(4
b)をそれぞれ設けたものである。第3図の感光体は導
電性支持体(1)の上に電荷担体発生物質(5)を前記
一般式(I)で表わされる化合物を少なくとも1種以上
含有する電荷移動媒体(6)の中に分散せしめた感光層
(4c)を設けたものである。
【0035】第1図及び第2図の感光体の場合には、電
荷担体発生層(2)に含まれる電荷担体発生物質が電荷
担体を発生し、一方、前記一般式(I)で表わされる化
合物を少なくとも1種以上含有する電荷輸送層(3)は
電荷担体の注入を受け、その輸送を行う。即ち、光減衰
に必要な電荷担体の生成が電荷担体発生物質で行われ、
また、電荷担体の輸送が前記一般式(I)で表わされる
化合物を少なくとも1種以上含有する電荷輸送媒体で行
われる。
【0036】第3図の感光体では、電荷担体発生物質が
光に対して電荷担体を発生し、電荷移動媒体(主に本発
明の前記一般式(I)で表わされる化合物が働く)によ
り電荷担体の移動が行なわれる。
【0037】第1図の感光体は、導電性支持体上に電荷
担体発生物質を真空蒸着するか、あるいは電荷担体発生
物質の微粒子を必要に応じて結着樹脂を溶解した溶媒中
に分散して得た分散液を塗布、乾燥し、その上に少なく
とも1種以上の前記一般式(I)で表わされる化合物を
単独、あるいは必要に応じて結着樹脂を併用し溶解した
溶液を塗布、乾燥することによって製造することができ
る。
【0038】第2図の感光体は、前記一般式(I)で表
わされる化合物を単独、あるいは必要に応じて結着樹脂
を併用し溶解した溶液を導電性支持体上に塗布、乾燥
し、その上に電荷担体発生物質を真空蒸着するか、或は
電荷担体発生物質の微粒子を溶剤又は結着樹脂溶液中に
分散して得た分散液を塗布、乾燥することにより製造す
ることができる。
【0039】第3図の感光体は、前記一般式(I)で表
わされる化合物を単独、あるいは必要に応じて結着樹脂
を併用し溶解した溶液に電荷担体発生物質の微粒子を分
散せしめ、これを導電性支持体上に塗布、乾燥すること
によって製造することができる。
【0040】塗布の方法としては、例えば、浸漬コーテ
ィング法、スプレーコーティング法、スピンコーティン
グ法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティン
グ法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング
法、カーテンコーティング法等のコーティング法を用い
ることができる。
【0041】感光層の厚さは、第1図及び第2図の感光
体の場合には、電荷担体発生層の厚さは5μm以下、好
ましくは0.01〜2μmであり、電荷輸送層の厚さは
3〜50μm、好ましくは5〜20μmである。第3図
の感光体の場合には、3〜50μm、好ましくは5〜2
0μmである。
【0042】第1図及び第2図の感光体における電荷輸
送層中の前記一般式(I)で表わされる化合物の割合
は、5〜100重量%の範囲で適時選ぶことができる。
第3図の感光体において、感光層中の前記一般式(I)
で表わされる化合物の割合は、5〜99重量%の範囲で
適時選ぶことができ、また電荷担体発生物質の割合は、
1〜50重量%、好ましくは3〜20重量%である。
【0043】なお、第1図〜第3図のいずれの感光体の
作製においても、結合剤と共に可塑剤、増感剤を用いる
ことができる。
【0044】本発明の感光体に用いられる導電性支持体
としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレ
ス、クロム、チタン、ニッケル、モリブデン、バナジウ
ム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いた金
属板、金属ドラム、或は、導電性ポリマー、酸化インジ
ウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金
等の金属又は合金を塗布、蒸着、或はラミネートした
紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。
【0045】必要に応じて使用することのできる結着樹
脂としては、疎水性で、電気絶縁性のフィルム形成可能
な高分子重合体を用いるのが好ましい。このような高分
子重合体としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエ
ステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルア
セテート、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニル
−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹
脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムア
ルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−
ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルフォルマール、ポリスルホン等が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。
【0046】これらの結着剤は、単独で、或は、2種類
以上の混合物として用いることもできる。
【0047】また、これらの結着樹脂と共に表面改質剤
を使用することもできる。
【0048】表面改質剤としては、例えば、シリコンオ
イル、フッソ樹脂等が挙げられる。更に感光体の成膜
性、可撓性、機械的強度を向上するために周知の可塑剤
を含有してもよい。可塑剤としては、ビフェニル、塩化
ビフェニル、o−ターフェニル,p−ターフェニル、ジ
ブチルフタレート、ジエチルグリコールフタレート、ジ
オクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタ
レン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、各種のフルオロ炭化水素等フタル
酸エステル、リン酸エステル、ハロゲン化パラフィン、
メチルナフタレン等の芳香族化合物が挙げられる。
【0049】前記感光層に用いられる電荷担体発生物
質、増感染料としてはいずれも周知のものが使用でき
る。
【0050】電荷担体発生物質としては、例えば、セレ
ン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、硫化カド
ミウム等の無機系光導電性物質;銅フタロシアニン、ア
ゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、シアニン系顔
料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ピリリウ
ム塩類、チオインジゴ、キナクリドン等の有機光導電性
物質が挙げられる。
【0051】増感剤としては、例えば、メチルバイオレ
ット、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット
等のトリフェニルメタン染料、メチルブルー等のチアジ
ン染料、シアニン染料、ピリリウム染料、クロラニル、
テトラシアノエチレン、ローダミンB、メロシアニン染
料、チアピリリウム染料等が挙げられる。
【0052】更に、本発明においては、導電性支持体と
感光層との接着性を向上させたり、導電性支持体から感
光層への自由電荷の注入を阻止する為、導電性支持体と
感光層との間に、必要に応じて接着層或はバリアー層を
設けることもできる。
【0053】これらの層に用いられる材料としては、前
記結着樹脂に用いられる高分子化合物のほか、カゼイ
ン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロー
ス、ニトロセルロース、ポリビニルブチラール、フェノ
ール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロー
ス、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、スチレン−
ブタジエン系ポリマーラテックス、ポリウレタン、ゼラ
チン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化チタン等が挙
げられ、その膜厚は1μm以下が望ましい。
【0054】本発明の特徴とする一般式(I)で表わさ
れる化合物は、多くの溶媒に可溶であるうえ、それ自体
が加熱により溶融させることが可能な熱可塑性を有して
いるため加工性に優れ、また、成形体も高く、機械的強
度を示し、そのうえ、多くの高分子化合物に対する相溶
性に優れているため必要に応じて適当な結着樹脂を併用
でき、且つ、電子写真特性上著しく高い光感度を発現す
ること等、多くの利点を有していることから、幅広い感
光体設計を可能にする。従って、本発明の電子写真感光
体は、優れた加工性と機械的強度、同時に、電子写真特
性上、高い光感度を有するものである。
【0055】
【実施例】以下に実施例を示すが、これにより本発明が
実施例に限定されるものではない。尚、下記実施例にお
いて「部」はすべて「重量部」を表わす。
【0056】(実施例1)α型チタニルフタロシアニン
2部とブチラール樹脂(商品名「エスレック BH−
3」積水化学工業社製)1部を塩化メチレン52部と
1,1,2ートリクロロエタン78部の混合液に添加
し、サンドミル中で分散、混合して電荷担体発生物質分
散液を得た。これをアルミニウムを蒸着したポリエステ
ルフィルム上にワイヤーバーで塗布し、乾燥後の厚さ
0.3μmの電荷担体発生層を形成させた。
【0057】この電荷担体発生層の上に、前記した例示
化合物式16(平均重合度約50)20部を塩化メチレ
ン54部、クロロベンゼン36部よりなる混合液に溶解
させた塗布液を、乾燥後の膜厚が10μmとなるように
塗布して電荷輸送層を形成させ、第1図に示すような電
子写真感光体が得られた。
【0058】この感光体について静電複写紙試験装置
(商品名「SP428」川口電気製作所製)を用いて、
感光体を暗所で−6KVのコロナ放電により帯電し、こ
の時の感光体の表面電位をV0(V)とする。そのまま
暗所で10秒間放置したときの感光体の表面電位をV10
(V)とする。V0とV10より感光体の表面電位の電位
保持率(DDR)を計算する。更に、表面電位V10に対
して波長780nm、露光エネルギー1μJ/cm2の光
で露光を行い表面電位がV10の半分になるまでの時間よ
り半減露光量E1/2(μJ/cm2)を求める。この表面電
位の暗及び光減衰の測定結果を第1表に示した。また、
帯電・暗所放置1秒間・露光1秒間・白色光による除電
0.1秒間のプロセスを1000回繰り返した直後の測
定結果も同様に第1表に示した。また、この感光体につ
いて、ロータリーアブレージョンテスター(商品名「RO
TARY ABRASER」東洋精機製作所製)により、荷重250
g、サンドペーパー(#400)を用いた場合の1000回
転後の摩耗損失量を測定した結果を第2表に示した。
【0059】(実施例2)実施例1において、電荷担体
発生層の上に、前記した例示化合物式16(平均重合度
約50)10部、ポリカーボネート樹脂(商品名「パン
ライトL」帝人社製)10部を塩化メチレン54部、ク
ロロベンゼン36部よりなる混合液に溶解させた塗布液
を、乾燥後の膜厚が10μmとなるように塗布して電荷
発生層を形成した以外は、実施例1と同様にして積層型
電子写真感光体を作製した。
【0060】得られた積層型電子写真感光体について、
実施例1と同様な方法で光感度と摩耗損失量を測定した
結果を第1表及び第2表に示した。
【0061】(実施例3)実施例1において、例示化合
物式16に代えて例示化合物20(平均重合度約50)
を用いた以外は実施例1と同様にして積層型電子写真感
光体を作製した。
【0062】得られた積層型電子写真感光体について、
実施例1と同様な方法で光感度と摩耗損失量を測定した
結果を第1表及び第2表に示した。
【0063】(比較例1)実施例2において、例示化合
物式16に代えて、4−N,N−ジエチルアミノベンズ
アルデヒドジフェニルアミノヒドラゾンを用いた以外は
実施例2と同様にして積層型電子写真感光体を作製し
た。
【0064】得られた積層型電子写真感光体について、
実施例1と同様な方法で光感度と摩耗損失量を測定した
結果を第1表及び第2表に示した。
【0065】(比較例2)実施例1において、例示化合
物式16に代えて下記式(4)
【0066】
【化11】
【0067】で表わされる化合物(平均重合度約50)
を用いた以外は、実施例1と同様にして積層型電子写真
感光体を作製した。
【0068】得られた積層型電子写真感光体について、
摩耗損失量を測定した結果を第2表に示した。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】第1表及び第2表から比較例1の積層型電
子写真感光体の光感度及び膜強度が、実施例1、2及び
3の積層型電子写真感光体と比較して、劣ることが明ら
かである。
【0072】第2表から比較例2の積層型電子写真感光
体の膜強度が、実施例1、2及び3の積層型電子写真感
光体と比較して、劣ることが明らかである。
【0073】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、一般式
(I)で表わされる化合物が、多くの溶媒への溶解性に
優れ、それ自身が成形可能であり、かつ、他の結着樹脂
への相溶性にも秀でた電荷輸送剤であるので、高感度で
あり、しかも高い機械的強度を発現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1図は本発明に係わる電子写真感光体の拡大
断面図である。
【図2】第2図は本発明に係わる電子写真感光体の拡大
断面図である。
【図3】第3図は本発明に係わる電子写真感光体の拡大
断面図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 電荷担体発生層 3 電荷輸送層 4a 感光層 4b 感光層 4c 感光層 5 電荷担体発生物質 6 電荷移動媒体 7 感光体

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 感光層中に、一般式(I) 【化1】 (式中、R1及びR2は、各々独立的に、置換基を有して
    いても良いアルキル基、アリール基又はアラルキル基を
    表わし、Ar1、Ar2及びAr3は、各々独立的に、置
    換基を有していても良い2価の芳香族残基を表わし、l
    は0以上、mは1以上、nは2以上の整数を夫々表わ
    し、pは3〜6の整数を表わす。)で表わされる化合物
    を含有することを特徴とする電子写真感光体。
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