JP5297700B2 - 単層型電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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また、上記の感光体には、アモルファスセレン(a−Se)またはアモルファスセレン砒素(a−AsSe)などからなる層を感光層に用いたセレン系感光体;酸化亜鉛(ZnO)または硫化カドミウム(CdS)を感光層に用いた酸化亜鉛系感光体または硫化カドミウム系感光体;およびアモルファスシリコン(a−Si)を感光層に用いたアモルファスシリコン系感光体(a−Si感光体)などの無機系感光体と有機系光導電性材料、すなわち有機光導電体(Organic Photoconductor;略称:OPC)を用いた感光体(以下、「有機系感光体」ともいう)がある。
さらに、有機系感光体は、感光層を、例えば浸漬塗布法に代表される容易かつ安価な方法で形成できるという特徴を有しているので、現在では、感光体の主流を占めてきている。
主に露光用光源として用いられるレーザーは、低コストで消費エネルギーが少なく軽量小型である半導体レーザーが実用化されており、発振波長や出力の安定性、寿命の点において800nm付近の近赤外領域に発振波長を有するものが一般的なものであった。
記録密度の高い高解像度の画質を達成するひとつの手段として、光学的な方法としてはレーザービームのスポット径を絞り、書込み密度を上げることが挙げられる。
その原因はレーザー光の回折限界にあり、これは避けることの出来ない現象である。
D=1.22λ/NA
(式中、Dはレーザーのスポット径を表し、λはレーザービームの波長を表し、NAはレンズ開口数を表す)
すなわち、現在主流の近赤外半導体レーザーに替えて、青色半導体レーザーを用いることにより、さらなる高解像度が実現できることが判る。
積層型感光体は、一般に、表面側に電荷輸送層、支持体側に電荷発生層を設ける構成となっている。これは膜強度の弱い電荷発生層を樹脂成分は多く膜強度の強い電荷輸送層で保護するという目的からである。この構成の場合、像露光は、表面側の電荷輸送層を通過して電荷発生層に届き、電荷が生成する。一方の電荷は支持体側へ流れ、他方の電荷は、電界によって表面側へ移動し、表面の帯電電荷を消去する。この場合、電荷輸送層内では、一部の電荷は周辺へ散乱され、表面到達時には、静電潜像が不鮮明な状態になる。これは電荷輸送層の膜厚が厚いほど顕著になる。
一方、正帯電方式は上記の負帯電方式の問題を有さず、セレン系感光体およびa−Si感光体などの正帯電方式の無機系感光体におけるプロセス技術を適用できることから、高性能な正帯電方式の有機系感光体の出現が望まれてきており、特許第2718048号公報(特許文献1)には、電子輸送能を有する電荷輸送物質としてジフェノキノン化合物が開示されているものの電荷移動速度の低さから感度が十分ではない。
また、特開2004−151666号公報(特許文献4)の実施例には、正孔輸送物質としてエナミン系化合物と電子輸送物質としてジフェノキノンとを含有する単層型感光体が記載されている。
また、上述のように耐摩耗性に弱いという問題点と、電荷発生を担う顔料自体が電荷輸送においてはトラップとして働き、感度低下、繰返し使用時の残留電位上昇を引き起こすという欠点がある。
で示されるブタジエン系化合物を、電荷発生物質かつ電荷輸送物質として含有することを特徴とする単層型電子写真感光体が提供される。
また、本発明によれば、オゾン発生の少ない正帯電方式に適した感光体を提供することができる。
しかしながら、本発明による単層型電子写真感光体では、用いられているブタジエン系化合物が、電荷発生物質と電荷輸送物質を兼ねているため、上記のような電荷注入の問題が生じない。
図1および2は、本発明の単層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図1の単層型感光体1は、導電性支持体11上に、ブタジエン系化合物12を含有する単層型感光層140が積層されてなる。
なお、符号17はバインダ樹脂を示す。
導電性支持体の構成材料は、単層型感光層140の電極としての機能と支持部材としての機能を有し、当該分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
単層型感光層は、電荷発生物質かつ電荷輸送物質として一般式(1):
で示されるブタジエン系化合物と、バインダ樹脂とを含有する。
上記の一般式(1)におけるR1〜R4が意味する置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基か、またはメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、もしくはジフェニルアミノ基でp−位が置換されているフェニル基又はスチリル基などが挙げられる。
本発明の画像形成装置は露光波長として窒化ガリウム系材料による400〜450nmの青色半導体レーザー光を用いることにより、上記のブタジエン系化合物は、この光を吸収し電荷を発生させることができる。
アゾ系顔料(モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料など)、インジゴ系顔料(インジゴ、チオインジゴなど)、ペリレン系顔料(ペリレンイミド、ペリレン酸無水物など)、多環キノン系顔料(アントラキノン、ピレンキノンなど)、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などは、この波長域に吸収を有しないため電荷発生ができない。
で表されるジフェノキノン系化合物を添加してもよい。
また、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基が挙げられる。
また、アリール基としては、フェニル基およびナフチル基が挙げられる。
また、アラルキルとしては、ベンジル基およびフェネチル基が挙げられる。
これらのジフェノキノン誘導体は、一種または二種以上混合して用いることもできる。
またH/Eは、20/1以下であるのが好ましい。本発明の感光体ではブタジエン系化合物とジフェノキノン系化合物間で電子移動反応が起こるため、ジフェノキノン系化合物の割合が少なすぎると量子収率が低下することがある。
ブタジエン系化合物の含有量が70重量%を超える場合には、膜強度が低下することがあり、また、ブタジエン系化合物の含有量が5重量%未満の場合には、電荷を輸送することができず感度が低下することがあるので好ましくない。
バインダ樹脂の割合が80重量%を超える場合には、単層型感光層の機能が低下するおそれがあり、また、バインダ樹脂の含有量が30重量%未満の場合には、単層型感光層の膜強度が低下するおそれがあるので好ましくない。
より具体的には、例えば、バインダ樹脂を有機溶剤に溶解してなる樹脂溶液に構成物質を溶解させることにより、単層型感光層形成用塗布液を調製する。
このような電荷輸送物質としては、例えばエナミン誘導体、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体およびベンジジン誘導体、ならびにこれらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリマー、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレンおよびポリ−9−ビニルアントラセンなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物およびアミン系化合物などが挙げられ、これらの中でも、ヒンダードフェノール誘導体、ヒンダードアミン誘導体およびこれらの混合物が特に好ましい。
レベリング剤としては、例えばシリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
可塑剤、レベリング剤の配合により、成膜性、可撓性および表面平滑性を向上させることができる。
乾燥温度が140℃を超える場合には、単層型感光体の繰返し使用時の電気的特性が悪化して、得られる画像が劣化するおそれがある。一方、乾燥温度が50℃未満の場合には、乾燥時間が長くなることがある。
単層型感光層の膜厚は特に限定されないが、5〜40μmが好ましく、10〜30μmが特に好ましい。
本発明の単層型感光体は、導電性支持体11と単層型感光層140との間に中間層18を有するのが好ましい。
また、中間層形成用塗布液は、金属酸化物粒子を含んでいてもよい。
金属酸化物粒子は、中間層の体積抵抗値を容易に調節でき、単層型感光層への電荷の注入をさらに抑制できると共に、各種環境下において感光体の電気特性を維持できる。
中間層形成用塗布液におけるバインダ樹脂と金属酸化物粒子との合計重量Cと溶剤の重量Dとの比率(C/D)は、1/99〜40/60が好ましく、2/98〜30/70が特に好ましい。
中間層の膜厚は特に限定されないが、0.01〜20μmが好ましくは、0.05〜10μmが特に好ましい。
図3の電子写真装置(レーザープリンタ)100は、本発明の単層型感光体1(図1参照)と、露光手段(半導体レーザー)31と、帯電手段(コロナ帯電器)32と、現像手段(現像器)33と、転写手段(転写帯電器)34と、搬送ベルト(図示せず)と、定着手段(定着器)35、クリーニング手段(クリーナ)36とを含んで構成される。符号51は転写紙を示す。
本発明の電子写真装置における帯電手段は、有害なオゾンガス発生低減の観点から、正帯電であるのが好ましい。
この電子写真装置100による画像形成動作は、次のようにして行われる。まず、単層型感光体1が駆動手段によって矢符41方向に回転駆動されると、露光手段31による光の結像点よりも単層型感光体1の回転方向上流側に設けられる帯電器32によって、単層型感光体1の表面が正の所定電位に均一に帯電される。
酸化チタン(商品名:TTO-MI-1、石原産業株式会社製)9重量部と共重合ナイロン樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ株式会社製)9重量部とを、1,3−ジオキソラン41重量部とメタノール41重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカにて12時間分散処理し、中間層用塗布液(30mL)を調製した。
次に、例示化合物A-1を120重量部、バインダ樹脂としてポリカーボネート樹脂(商品名:PCZ−800、三菱ガス化学株式会社製)144重量部とを、テトラヒドロフラン1056重量部に加えて溶解させ、感光層塗布液(50mL)を調製した。
中間層上にアプリケータ塗布法により塗布し、得られた塗膜を110℃の熱風で60分間乾燥させ、膜厚15μmの単層型感光層を有する図2の電子写真感光体を作製した。
例示化合物A-1に代えて例示化合物A-3を用いたほかは実施例1と同様にして単層型感光体を作製した。
実施例1において例示化合物A-1を10重量部とし、下記構造を有する3,5−ジメチル−3′,5′−ジ−t−ブチルジフェノキノン化合物(DQ)2重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図2の単層型感光体を作製した。
例示化合物A-1に代えて下記構造を有するトリフェニルアミン系化合物(TPD)(商品名:N,N,N',N'-テトラキス(p-トリル)ベンジジン、東京化成工業株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、図2の単層型感光体を作製した。
実施例1と同様にして中間層を設けた。
ブチラール樹脂(S-LEC BL−2(商標):積水化学社製)1重量部、1,3−ジオキソラン97重量部、下記に示すチタニルフタロシアニン 2重量部をボールミルにより72時間分散し電荷発生層用塗工液(30mL)を作製した。この塗布液を用いて、前記の中間層を設けた導電性支持体上にアプリケータ塗工法により膜厚が0.2μmとなるように電荷発生層を成膜した。
電荷発生層上にアプリケータ塗布法により塗布し、得られた塗膜を110℃の熱風で60分間乾燥させ、膜厚15μmの積層型感光層を有する電子写真感光体を作製した。
実施例1と同様にして中間層を設けた後、先に電荷輸送層、後に電荷発生層を設け比較例2とは逆の積層型感光体を作製した。
1.実施例1〜4および比較例1〜3で得られた各電子写真感光体について、静電紙試験装置(商品名:EPA−8200、株式会社川口電機製作所製)を用いて、以下のようにして電気特性を評価した。
感光体を表面電位が600Vになるように正帯電させ、帯電された感光体表面に対して300Wのキセノンランプ光を干渉フィルターで分光し、波長400nm、NDフィルターで強度5μW/cm2に調整した光で露光し、感光体の表面電位を300Vまで半減させるのに要した露光量を半減露光量E1/2[μJ/cm2]として測定した。
自己印字モードで 1ライン画像、縦横の2ライン画像、黒ベタの1ライン抜け画像、1by1ドット(1ドット置きに1ドットを印字)画像の評価を行った。
感光層に用いたトリフェニルアミン系化合物の吸収スペクトルを図5に示す。この化合物は400〜450nmに吸収帯を有さず、全く電荷発生が行われないためと考えられる。
このように電気特性上は問題ないものの表面の電荷発生層は有機顔料の含有比率が高く膜強度が弱いため容易にキズが発生してしまい耐摩耗性に大きな問題がある。
また、本発明の単層型感光体は、オゾン発生の少ない正帯電方式に適した感光体を提供することができる。
11 導電性支持体
12 ブタジエン系化合物
140 単層型感光層
17 バインダ樹脂
18 中間層
31 露光手段(半導体レーザー)
32 帯電手段(コロナ帯電器)
33 現像手段(現像器)
33a 現像ローラ
33b ケーシング
34 転写手段(転写帯電器)
35 定着手段(定着器)
35a 加熱ローラ
35b 加圧ローラ
36 クリーニング手段(クリーナ)
36a クリーニングブレード
36b 回収用ケーシング
37 分離手段
38 ハウジング
41 矢符
44 回転軸線
51 転写紙
100 電子写真装置(レーザープリンタ)
Claims (11)
- 導電性支持体上に、単層型感光層が設けられており、前記単層型感光層が、電荷輸送のトラップとして働く電荷発生物質を含まずに、400〜450nmの波長域に吸収帯を有する一般式(1):
で示されるブタジエン系化合物を、電荷発生物質かつ電荷輸送物質として含有することを特徴とする単層型電子写真感光体。 - 前記感光層が、さらに、次の一般式(2):
で示されるジフェノキノン系化合物を含有する請求項1に記載の単層型電子写真感光体。 - 前記R5〜R8が、互いに独立して水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、p−トリル基、2,4−キシリル基、p−クロロフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基からなる群から選択される基である請求項2に記載の単層型電子写真感光体。
- 前記R5〜R8が、互いに独立してメチル基、イソプロピル基またはtert−ブチル基である請求項2または3に記載の単層型電子写真感光体。
- 前記感光層が、有機顔料を含有しない請求項1〜4のいずれか一つに記載の単層型電子写真感光体。
- 前記感光層が、前記導電性支持体と前記単層型感光層との間に中間層を有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の単層型電子写真感光体。
- 前記感光層が、青色半導体レーザーを露光手段とするための感光層である請求項1〜6のいずれか一つに記載の単層型電子写真感光体。
- 請求項1〜7のいずれか1つに記載の単層型電子写真感光体と、前記単層型電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記単層型電子写真感光体に対して露光波長が400〜450nmの光で露光する露光手段と、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
- 前記露光手段が、青色半導体レーザーであることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置
- 前記青色半導体レーザーが、窒化ガリウム系材料を用いたものである請求項9に記載の画像形成装置
- 前記帯電手段が、正帯電である請求項8〜10のいずれか一つに記載の画像形成装置。
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