JP5264371B2 - 高解像度感光体及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、電子写真方式の高解像度電子写真感光体及びそれを用いた高解像度画像形成装置に関する。
電子写真感光体において有機系の光導電性材料は、その開発の進歩によって、従来から用いられてきた無機系の光導電性材料より一般的に使用されるようになってきた。これは、有機系光導電性材料を用いた電子写真感光体は、感度、耐久性及び環境に対する安定性等に若干の問題はあるが、毒性、コスト、材料設計の自由度等の点において無機系光導電性材料に比べ多くの利点を有しているからである。
このような有機系の光導電性材料を用いた有機感光体には、電荷輸送物質(ホール輸送物質、電子輸送物質)を電荷発生物質とともに同一の感光層中に分散させた単層型感光体と、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層した積層型感光体とがあり、現在一般的に使用されている有機感光体は積層型感光体である。これは、積層型感光体は、各層に使用できる物質の選択範囲が広く、その中の最良の物質を組み合わせることによって、帯電特性、感度、残留電位、繰り返し特性、耐刷性等の電子写真特性において高性能な感光体を提供することができるからである。
一方で、近年、電子写真装置の出力画像の画質向上を図るために、画質の高解像度化が検討されている。記録密度の高い高解像度の画質を達成する為にはいくつかの手段があるが、最も簡単な手段は単層型感光体を使用することである。単層型感光体は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の感光層中に分散させているため、感光層表面で露光光の吸収と電荷分離が起こり、積層型感光体に見られる電荷輸送層中での露光光の散乱や、ホールの拡散が極めて少なく、高解像度を実現できる(特許文献1)。
特開平6−202349号公報
しかし、単層型感光体は、電荷分離が感光体の表層で起きるため、負帯電型感光体として用いると、露光光により生じたホールで表面電荷をパターニングできるが、同時に生じた電子は、電子の移動度がホールの伝導に比べて2オーダーほど遅いため、感光層内部に空間電位として蓄積してしまう。このため、単層型感光体は、電子の移動距離が短くてすむ正帯電型の感光体としてしか実用化できず、市場の多くを占める負帯電トナーも使用できなかった。
更に、正帯電型感光体として用いても、前述したように電子の移動度が極めて遅いため、内部にまで入射した露光光により、感光体の深部で電荷分離した電子は、所定のプロセス内で表層まで達することができず、内部に空間電位として蓄積する。この蓄積した空間電荷の影響により、次の帯電工程で正帯電されても感光体表面で電位低下が起こり、更に現像工程では感度差となって現れ、画像中では当該部分が黒くなる(メモリー画像の発生)という問題もあった。
上記問題を克服した高解像度感光体を実現するために、露光光による電荷分離が感光体の表層で起き、かつ感光層中の電荷の移動が十分高速なホールで行われる電子写真感光体及びそれを使用した画像形成装置を考案した。
すなわち、本発明は、導電性基体上に有機感光層を備える電子写真感光体において、有機感光層が電子輸送能を有する電荷発生物質及びホール輸送物質、又は電荷発生物質及び電子輸送物質及びホール輸送物質を含有し、感光体が、導電性基体と有機感光層との間に、電荷発生物質を含有する除電用電荷発生層を更に備え、前記有機感光層と前記除電用電荷発生層との間に、電荷輸送物質としてホール輸送物質のみを含有するホール輸送層を更に備え、導電性基体は、除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させ得る波長の光に対して透光性であることを特徴とする、導電性基体側から除電用電荷発生層へ光照射可能な電子写真感光体を提供する。
本発明はまた、導電性基体上に有機感光層を備える電子写真感光体において、前記有機感光層がバインダ樹脂と、電子輸送能を有する電荷発生物質及びホール輸送物質、又は電荷発生物質及び電子輸送物質及びホール輸送物質とを含有し、前記有機感光層中の電荷発生物質のバインダ樹脂に対する配合比率が導電性基体側より表層側において高く、前記感光体が、前記導電性基体と前記有機感光層との間に、電荷発生物質を含有する除電用電荷発生層を更に備え、前記導電性基体は、前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させ得る波長の光に対して透光性であることを特徴とする、導電性基体側から除電用電荷発生層へ光照射可能な電子写真感光体も提供する。
本発明はまた、前記電子写真感光体と、該電子写真感光体を負帯電に帯電させる帯電手段と、帯電された該電子写真感光体に対して露光を施す露光手段と、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段と、現像されたトナー像を転写する転写手段と、該電子写真感光体の除電用電荷発生層に導電性基体側から照射する除電光を用いて該電子写真感光体の残留電荷を除電する除電手段とを備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
本発明の電子写真感光体によれば、従来の単層型感光体と同等の高感度・高解像度を有する感光体を実現できる。
また、本発明の画像形成装置によれば、高感度で高解像度の感光体を備え、高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置を実現できる。
<電子写真感光体>
本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に有機感光層を備える電子写真感光体であって、前記有機感光層が電子輸送能を有する電荷発生物質及びホール輸送物質、又は電荷発生物質及び電子輸送物質及びホール輸送物質を含有し、感光体が、導電性基体と有機感光層との間に、電荷発生物質を含有する除電用電荷発生層を更に備え、導電性基体は、除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させ得る波長の光に対して透過性であることを特徴とする。
有機感光層が電子輸送能を有する電荷発生物質及びホール輸送物質、又は電荷発生物質及び電子輸送物質及びホール輸送物質を含有していることにより、露光光によって感光層中の電荷発生物質で生じる電荷(ホール)はホール輸送物質によって感光層中を高速で移動して感光体表面に静電潜像を形成し、感光層内部に蓄積しない。また、電荷分離が表層部で起こるので、感光体表面までの移動距離が短くて済み、拡散のおそれがない。これらのことにより、高速で高感度な露光プロセスが可能となり、加えて電荷の内部蓄積に起因するメモリー現象が発生しなくなる。
一方、露光工程において、ホールと同時に生じる電子は移動速度が遅いため感光層内部に保持されることになるが、感光体が、導電性基体と有機感光層との間に、電荷発生物質を含有する除電用電荷発生層を更に備えることにより、感光層内部のこの電子は除電工程において迅速かつ確実に消去され、空間電位として蓄積しない。すなわち、除電光(除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させることができる所定波長の光)によって除電用電荷発生層中の電荷発生物質で生じるホールは、従来の積層型感光体のように表面の残留電荷を消去するだけでなく、有機感光層中を高速で移動する際にそこで保持されている電子と再結合して消失させる。このため、繰り返し使用による感光体の電気特性の低下は抑制される。
よって、本感光体は、従来の単層型感光体と同等の高解像度を有する。本感光体はまた、高速プロセスにも対応できる。本感光体は、負帯電で帯電する画像システム(画像形成装置)に使用することができる。
加えて、導電性基体が前記所定の透光性を有することにより、導電性基体側から除電用電荷発生層への光照射が可能となる。その結果、有機感光層による除電光の吸収を回避でき、除電光をより低い照射エネルギーで除電用電荷発生層に照射できる。また、除電光照射に起因する有機感光層中の電荷発生物質(及び増感剤)や電荷輸送物質の劣化を低減させることができる。更に、除電用電荷発生層中の電荷発生物質として、有機感光層中の電荷発生物質と同じものやこれと類似する吸収ピークを有するものを使用することも可能となる。また、除電光の照射手段を導電性基体側に設置できるため、装置の小型化にも寄与できる。
(実施の形態)
以下、本発明の電子写真感光体の実施の形態を添付図面を参照して説明する。なお、本発明の電子写真感光体は、下記で説明する形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えた他の形態を含み得ることは勿論であり、そのような他の形態は本明細書及び図面の記載に基づいて当業者に容易に理解される。
(実施の形態1)
図1は、本発明の電子写真感光体の一形態の構成を模式的に示す部分断面図である。本形態の感光体は、前記所定の透光性を有する導電性基体(1)上に、電荷発生物質B(8)をバインダ樹脂中に分散させた除電用電荷発生層(3)、電荷発生物質A(7)とホール輸送物質(5)と電子輸送物質(6)とをバインダ樹脂中に分散させた有機感光層(4)をこの順序で備えている。すなわち、この電子写真感光体は、いわゆる単層型有機感光体の感光層(4)と透光性の導電性基体(1)との間に除電用電荷発生層(3)を設けた構造となっている。なお、電荷発生物質Aが電子輸送能を有する場合には、有機感光層は電子輸送物質を含有していなくてもよい。
[導電性基体]
導電性基体(1)は、感光体の電極としての役割と、他の各層の支持部材としての機能を有し、加えて、(後述する)除電用電荷発生層中の電荷発生物質(特に主たる電荷発生物質)が吸収して電荷を発生させることができる波長の光に対して透光性である
本発明で使用される導電性基体としては、前記所定の透光性を有するものである限り、当該分野において公知のものを使用できる。例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリオレフィン、ビニロン等の高分子材料やガラス、石英、サファイア等の無機材料からなる透光性基体上に、導線性高分子、酸化スズ、酸化インジウム、インジウム-スズ酸化物(ITO)、酸化鉛、ヨウ化銅等の透光性の導電性化合物やTi、Al、Ni、Au、Ag、Cu等の金属を含む透光性導電層を、蒸着、塗布、スパッタリング等により形成したものが挙げられる。
導電性基体の形状は、特に限定されず、ドラム、シート及びシームレスベルト等であり得る。
透光性の導電性基体は、除電用電荷発生層中の電荷発生物質(特に主たる電荷発生物質)が吸収して電荷を発生させることができる波長(例えば、700〜900nm)の光に対する透光率が、分光光度計(例えば、日立製作所(株)製U−3410)による測定値として、例えば50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であり得る。
[除電用電荷発生層]
除電用電荷発生層(3)は、少なくとも電荷発生物質B(8)を含有し、除電光(除電用電荷発生層中の電荷発生物質(特に主たる電荷発生物質)が吸収して電荷を発生させることができる所定波長の光)の照射に際して、該層中に含有される電荷発生物質での電荷分離によりホール(及び電子)を発生させる機能を有する。生じたホールは、有機感光層を通って感光体表面に至り表面電荷を消去するか、又は感光層中に保持されている電子を消去する。
除電用電荷発生層に含有され得る電荷発生物質としては、感光体において電荷発生物質として一般的に使用されるものである限り任意のものを使用できるが、例えば、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ系顔料等のアゾ系顔料、ペリレン系色素、クマリン系色素、多環キノン系色素に代表される多環縮合系顔料、金属及び無金属フタロシアニン、無金属及び金属ナフタロシアニン等のフタロシアニン系色素、インジゴ系顔料、スクアリリウム色素、ピリリウム化合物、チオピリリウム化合物、トリフェニルメタン系色素に代表される有機材料が挙げられる。無機材料も使用することができるが、好ましくは、有機材料が使用される。
これらの電荷発生物質は単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせてもよい。これら各化合物の具体例としては以下の化合物が挙げられる。
アゾ系顔料としては、特開平1−200267号、特開平1−202757号、特開平1−319754号、特開平2−72372号、特開平2−254467号、特開平3−278063号、特開平4−96068号、特開平4−96069号、特開平4−147265号、特開平5−142841号、特開平5−303226号、特開平6−324504号、特開平7−168379号公報に記載の化合物が挙げられる。また、これらのアゾ顔料に用いられるカップラー成分の構造は多岐に渡る。例えば、特開平2−110569号、特開平4−149448号、特開平6−27705号、特開平6−348047号公報に記載の化合物が挙げられる。
インジゴ系顔料の具体例としては、インジゴ、チオインジゴや、特開平1−109352号、特開平5−2277号、特開平5−23725号、特開平6−222591号、特開平9−15888号、特開平9−152728号、特開2002−123015号公報等に記載の化合物が挙げられる。
ペリレン系色素としては、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物が挙げられ、例えば特開平1−88461号、特開平1−118143号、特開平1−118144号、特開平1−118145号、特開平1−118146号、特開平1−118147号、特開平1−159662号、特開平2−228670号、特開平2−228671号、特開平2−251858号、特開平3−1150号、特開平4−186363号、特開平4−186364号、特開平4−264451号、特開平5−6015号、特開平5−232726号、特開平5−249718号、特開平5−249719号、特開平6−32789号、特開平7−89962号、特開平7−319189号、特開2005−23322号公報等に記載の化合物が挙げられる。
クマリン系色素としては、特開平3−1148号、特開平4−46348号、特開平4−225364号公報等に記載の化合物が挙げられる。
多環キノン系色素の具体例としては、アントラキノン、ピレンキノン、特開平1−219841号、特開平3−95562号、特開平5−23725号公報等に記載の化合物が挙げられる。
フタロシアニン系色素の具体例としては、無金属フタロシアニン類、チタニルオキシフタロシアニン類、銅フタロシアニン類、アルミニウムフタロシアニン類、ゲルマニウムフタロシアニン類、クロロガリウムフタロシアニン類、クロロインジウムフタロシアニン類、マグネシウムフタロシアニン類、クロロアルミニウムフタロシアニン類、スズフタロシアニン類、バナジルオキシフタロシアニン類、ガリウムフタロシアニン類、亜鉛フタロシアニン類、コバルトフタロシアニン類、ニッケルフタロシアニン類、ヒドロキシガリウムフタロシアニン類、ジクロロチタニルフタロシアニン類、ジフェノキシゲルマニウムフタロシアニン類、無金属ナフタロシアニン類、チタニルオキシナフタロシアニン類、銅ナフタロシアニン類、ヒドロキシガリウムナフタロシアニン類、バナジルオキシナフタロシアニン類等が挙げられ、これらの化合物は結晶構造によってさらに最適化されている。
ピリリウム化合物、チオピリリウム化合物の具体例としては、特開平1−259365号、特開平4−195056号公報等に記載の化合物が挙げられる。
スクアリリウム色素の具体例としては、特開平1−146845号、特開平1−146846号、特開平1−146847号、特開平1−146864号、特開平1−147552号、特開平1−147553号、特開平1−147554号、特開平1−159663号、特開平1−228960号、特開平1−230674号、特開平5−339233号、特開平6−184109号、特開平6−263732号、特開平8−245895号、特開2000−265077号公報等に記載の化合物が挙げられる。
無機材料の具体例としては、セレン、CdS、非晶質シリコン、ポリシリコン等が挙げられる。
好ましくは、除電用電荷発生層中の電荷発生物質は、比較的長波長(例えば、600〜1000nm、好ましくは600〜900nm、より好ましくは700〜900nm)に吸収ピークを有している。なかでも、フタロシアニン系色素(特にオキソチタニウムフタロシアニン)は、高効率で除電に必要な電荷を発生させることができるので特に好ましい。
除電用電荷発生層には、増感染料が添加されてもよい。増感剤を添加することによって、電荷発生物質での電荷分離効率が上昇する。チルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、ビクトリアブルー等で代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシン等に代表されるアクリジン染料、メチレンブルー、メチレングリーン等に代表されるチアジン染料、カプリブルー、メルドラブルー等に代表されるオキサジン染料、その他シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料、チオピリリウム塩染料等が挙げられる。
除電用電荷発生層は、結着性を向上させるために、バインダ樹脂を含有していてもよい。バインダ樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂等や2つ以上の繰り返し単位を含む共重合体樹脂等が挙げられる。
共重合体樹脂の具体例としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂等の絶縁性樹脂等を挙げることができる。
バインダ樹脂は上記のものに限定されず、この分野において一般に用いられる任意の樹脂を使用することもできる。バインダ樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、又は2種以上が併用されてもよい。
除電用電荷発生層における電荷発生物質とバインダ樹脂との重量比は、0.1:1〜4:1の範囲が好ましい。電荷発生物質の割合がこの範囲より少ない場合は除電が完了できず、帯電能の低下やメモリー現象が生じ、多ければ除電用電荷発生層の膜強度が低下するばかりでなく、分散性が低下する為に粗大粒子が増大することから均一な除電ができなくなる。
増感染料は、電荷発生物質に対して0.1重量%から20重量%の範囲が好ましい。この範囲より少ない場合は増感できず、多いと分散性に影響を及ぼす。
除電用電荷発生層の形成方法としては、前記の電荷発生物質(及び増感染料)を導電性基体又は(後述の)中間層の表面に真空蒸着する真空蒸着法、前記の電荷発生物質(及び増感染料)を含む除電用電荷発生層用塗布液を導電性基体又は中間層の表面に塗布する塗布法等が挙げられる。一般には、これらの中でも簡便な塗布法が好ましい。除電用電荷発生層用塗布液は、例えば、適当な溶剤中に前記の電荷発生物質(及び増感染料)と必要に応じて前述のバインダ樹脂を加え、従来公知の方法で分散させることによって調製することができる。
除電用電荷発生層用塗布液に使用される溶剤としては、例えば、塩化メチレン、二塩化エタン等のハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメトキシエタン等のセロソルブ類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、1種が単独で使用されてもよく、又は2種以上が混合されて混合溶剤として使用されてもよい。
電荷発生物質は、溶剤中に分散される前に、予め粉砕機によって粉砕処理されてもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル及び超音波分散機等が挙げられる。
電荷発生物質を溶剤中に分散させる際に用いられる分散機としては、例えば、ペイントシェーカ、ボールミル及びサンドミル等を挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器及び分散機を構成する部材の摩耗等による不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
除電用電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、例えば、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等が挙げられる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度又は逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、好適に用いられる。
浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。なお、塗布方法はこれらに限定されるものではなく、塗布液の物性及び生産性等を考慮に入れて最適な方法を適宜選択することができる。
除電用電荷発生層の膜厚は、好ましくは0.05μm以上5μm以下、より好ましくは0.1μm以上1μm以下の範囲である。
[有機感光層]
有機感光層(4)は、電荷発生物質A(7)及び電子輸送物質(6)及びホール輸送物質(5)、又は電子輸送能を有する電荷発生物質A及びホール輸送物質を含有し、露光光の照射に際して、該層中に含有される電荷発生物質での電荷分離によりホール(及び電子)を発生させる機能を有する。生じたホールは、ホール輸送物質により高速で帯電された感光体表面に運ばれて、そこで静電潜像を形成する。ホールと同時に生じた電子は、一旦感光層で保持されるが、上記のように、除電光により除電用電荷発生層で生じたホールによって消去されることになる。
有機感光層中の電荷発生物質としては、上述した除電用電荷発生層で使用される化合物と同種の化合物を使用できる。有機感光層中の電荷発生物質A(特に、主たる電荷発生物質A)は、除電用電荷発生層中の電荷発生物質B(特に、主たる電荷発生物質B)と同じであっても異なってもよいが、異なるものを使用することで、電荷発生物質A及びBとして、それぞれ露光光及び除電光の波長域に吸収ピークを有する最適な電荷発生物質を選択できる。
なお、本発明において、除電用電荷発生層又は有機感光層中の「主たる電荷発生物質」とは、除電用電荷発生層又は有機感光層に1種類の電荷発生物質のみが含有されている場合には当該電荷発生物質をいい、複数種類の電荷発生物質が含有されている場合には、その中で最も含有率が高い電荷発生物質をいう。
有機感光層中の電荷発生物質A(特に、主たる電荷発生物質A)が、除電用電荷発生層中の電荷発生物質B(特に、主たる電荷発生物質B)と異なる場合、両電荷発生物質は吸収波長特性が異なっていることが好ましく、有機感光層中の電荷発生物質は除電用電荷発生層中の電荷発生物質より短波長に吸収ピークを有している(すなわち、除電用電荷発生層中の電荷発生物質は有機感光層中の電荷発生物質より長波長に吸収ピークを有している)ことがより好ましい。より具体的には、有機感光層中の主たる電荷発生物質が、除電用電荷発生層中の最も短波長側にある吸収ピークの波長より50nm以上(より好ましくは100nm以上)離れている波長に吸収ピークを有していることが好ましい。
これは次の理由からである。
有機感光層中の電荷発生物質Aが除電光に対して感度を有する場合、除電光が有機感光層にまで到達すると、該感光層中の電荷発生物質Aで電荷分離が生じる。この際生じたホールは、除電用電荷発生層で生じたホールと一緒に感光層表面まで移動し除電を行う。一方、同時に発生した電子は、大部分は導電性基体側に流れるか又は除電用電荷発生層で生じたホールにより消去されるが、一部の電子は除電工程後も感光層中に残存する可能性がある。この残存電子は、本感光体では露光-潜像プロセスにホールを用いているため、次のプロセスにおける画像形成には影響しないが、次の除電まで有機感光層内部に残存するので該感光層を劣化させる可能性が高まる。
そこで、除電光として、エネルギーが低い長波長の光を採用すれば、有機感光層中の電荷発生物質Aによる電荷分離の可能性は低くなり、加えて、除電用電荷発生層中の電荷発生物質Bが除電光に合わせて長波長に吸収ピークを有していれば、除電光は除電用電荷発生層でほとんど吸収されることになり、電荷発生物質Aによる電荷分離の可能性は更に低くなる。
有機感光層中の主たる電荷発生物質としては、上述の化合物のなかでも、アゾ系色素や、多環キノン系(より好ましくはアントラキノン系)色素、クマリン系色素、ペリレン系色素に代表される多環縮合系色素は、比較的短波長側に吸収波長を有するので好ましい。特に、安定性が高く電子輸送能も有しているペリレン系色素が最適である。
また、デジタル感光体で実績のあるフタロシアニン系色素も好適である。
有機感光層中の電荷発生物質は、例えば、380〜650nmの範囲に吸収を有するものであり得る。この場合、除電用電荷発生層中の電荷発生物質は、例えば、700〜900nmの範囲に吸収を有するものであり得る。
有機感光層中の電荷発生物質(特に、主たる電荷発生物質)と除電用電荷発生層中の電荷発生物質(特に、主たる電荷発生物質)との好ましい組合せは、例えば、除電用電荷発生層中の電荷発生物質がフタロシアニン系色素、スクアリリウム色素、トリスアゾ系色素から選択され、有機感光層中の電荷発生物質がフタロシアニン系色素、多環キノン系(より好ましくはアントラキノン系)色素、クマリン系色素、ペリレン系色素、トリフェニルメタン系色素から選択される組合せである。
好適な組合せの具体例は、有機感光層-除電用電荷発生層の電荷発生物質の組み合わせとして、ペリレン系色素-フタロシアニン系色素、クマリン系色素-フタロシアニン系色素である。
ホール輸送物質(5)としては、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチルベン化合物、ヒドラゾン化合物、ブタジエン化合物、エナミン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、及びベンジジン誘導体等が挙げられる。
また、これらの化合物から生じる基を主鎖又は側鎖に有するポリマー、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン等も挙げられる。
上記のホール輸送物質は単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
これらのホール輸送物質の中で、アミノスチルベン誘導体、ヒドラゾン化合物、ブタジエン化合物、エナミン化合物及びベンジジン誘導体はホール移動度が高く、また安定なため好適である。
有機感光層は、増感染料を含有してもよい。増感染料を含有することによって、電荷発生物質での電荷分離効率が上昇する。増感染料の例としては、除電用電荷発生層について記載したものが挙げられる。
電子輸送物質(6)としては、ペリレン系色素類、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボキシジイミド誘導体、ジフェノキノンやナフトキノンの誘導体等のキノン類、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリル等のシアノ化合物、4-ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類、アントラキノン、1-ニトロアントラキノン等のアントラキノン類、2,4,7-トリニトロフルオレノン、2,4,5,7-テトラニトロフルオレノン等の多環若しくは複素環ニトロ化合物又はこれら電子吸引性材料を高分子化した物を用いることができる。
これらの電子輸送物質の中で、ペリレン系色素やキノン系化合物は電子輸送能力が高く、また毒性も持たないため好適である。
電荷発生物質が電子輸送能を有する場合、電子輸送物質としても働き得るので、そのような電荷発生物質が有機感光層に使用されていれば、電子輸送物質の添加を省略できるか又は添加量を少量に抑えることができる。
有機感光層のバインダ樹脂としては、該感光層に含有される電荷輸送物質と相溶性を有するものが選ばれ、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を混合して使用してもよく、また部分的に架橋した熱硬化性樹脂も使用してもよい。なかでも、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンオキサイド等の樹脂は、体積抵抗値が1013Ω以上であり、また、皮膜性、電位特性等にも優れているので好ましい。
バインダ樹脂に対する電荷発生物質の配合比率は、2から30重量%である。この範囲より少ない場合は十分な感度がでず、多ければ感光層の膜強度が低下するばかりでなく、分散性が低下する為に粗大粒子が増大することから画像欠陥の原因となる。
感光層が増感染料を含む場合、増感染料は電荷発生物質に対して0.1重量%から20重量%の範囲が好ましい。この範囲より少ない場合は増感できず、多いと分散性に影響を及ぼす。
バインダ樹脂に対する電荷発生物質の配合比率は、有機感光層を通じて(厚さ方向に)一定である必要はなく、導電性基体側より表層側において高くてもよい。この場合、例えば、導電性基体側では0から10重量%であり、表層側では5から60重量%である。
表層側で電荷発生物質の配合比率を高くすることにより、露光光による電荷分離を表層部で活発にさせて感度を高めることができる。
バインダ樹脂に対するホール輸送物質の配合比率は、40から100重量%である。この範囲より少ない場合は十分な感度が得られず、多ければ感光層の膜強度が低下し耐刷性が悪化する。
バインダ樹脂に対する電子輸送物質の配合比率は、0から100重量%である。この範囲より多い場合は感光層の膜強度が低下し耐刷性が悪化する。
本発明においては、ホール輸送物質は、露光・除電時のキャリアの移動、特に除電時にはホールが感光層を通過する必要がある一方で、電子輸送物質は、上述したように、電荷分離した電子をある程度感光層内部に運び、除電まで安定に保持する機能を有すればよいので、感光層中の電子輸送物質の含有量は、ホール輸送物質の含有量と同じか又はそれより少なくてもよい。電子輸送物質は、ホール輸送物質に対して、例えば100重量%以下、60重量%以下、50重量%以下であり得る。下限は特に限定されず、例えば1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上であり得るが、電荷発生物質が電子輸送能を有する場合には、0重量%でもあり得る。
有機感光層には、必要に応じて既知の可塑剤、例えば二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、塩素化パラフィンやエポキシ型可塑剤等の可塑剤やシリコーン系レベリング剤を添加して該感光層の加工性及び可撓性を付与したり表面平滑性を向上させることもできる。更に、無機及び有機化合物の微粒子を添加して機械的強度の増加や電気的特性の向上を図ることもできる。
有機感光層にはまた、必要に応じて酸化防止剤等の各種添加剤を含んでもよい。
酸化防止剤としてはα-トコフェロールや2,6-ジ-t-ブチル-4-メチル-フェノールに代表されるフェノール系酸化防止剤が好適である。α-トコフェロールは電荷輸送物質に対して0.1重量%以上、5重量%以下で含まれることが好ましく、フェノール系酸化防止剤は電荷輸送物質に対して0.1重量%以上、50重量%以下含まれることが好ましい。これによって電位特性の優れ、また塗液としての安定性も高まる。
有機感光層の膜厚は、例えば10〜60μm、好ましくは10〜40μmである。
有機感光層は、電荷発生物質及びホール輸送物質とバインダ樹脂と、必要に応じて電子輸送物質やその他の添加剤とを適当な有機溶媒に分散させて塗布することにより形成することができる。
有機感光層の塗布は、前述の除電用電荷発生層や後述する中間層と同様に、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法等のコーティング法を用いて行うことができる。
適当な有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシメチルエーテル、ジメチルホルムアミド等の溶剤の単独又は2種以上の混合溶剤、又は必要に応じてアルコール類、アセトニトリル、メチルエチルケトン等の溶剤を更に加え使用することができる。
導電性基体側でのバインダ樹脂に対する電荷発生物質の配合比率が表層側より高い有機感光層は、該配合比率が異なる2以上の塗液を準備して、これを順次塗り重ねることにより形成する。また、上記配合比率が異なる2以上の塗液を別々のスプレー塗布装置にセットし、各スプレーの塗出量を制御することによって形成することもでき、この場合、電荷発生物質の濃度を連続的に変化させることも可能である。
(実施の形態2)
図2は、本発明の電子写真感光体の別の一形態の構成を模式的に示す部分断面図である。この感光体は、前記所定の透光性を有する導電性基体(1)と除電用電荷発生層(3)との間に中間層(2)を備えた構造であり、その他の構成は図1に示した実施形態と同様である。
[中間層]
中間層は、導電性基体表面の欠陥を被覆し、導電性基体からの感光層へのキャリアの注入を防止することにより帯電性を改善して適度の電荷保持性能を確保し、除電用電荷発生層の接着性を向上させ、及び/又は除電用電荷発生層の塗布性を改善する等して、画像欠陥を防止することができる。
特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光により表面電荷が減少した部分にトナー像が形成されるので、露光以外の要因により表面電荷が減少すると(例えば、導電性基体や感光層の欠陥に起因して微小領域で帯電性が低下すると)、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のカブリが発生する等して、画質の著しい劣化(画像欠陥)を生じることがあるので、中間層を備えることによりこのような画像欠陥が防止される。
よって、本発明の電子写真感光体においては、導電性基体(1)と除電用電荷発生層(3)との間に中間層(2)を設けることが好ましい。
本発明においては、中間層も、導電性基体と同様に、除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させることができる波長の光に対して透光性である。
透光性の中間層は、除電用電荷発生層中の電荷発生物質(特に主たる電荷発生物質)が吸収して電荷を発生させることができる波長(例えば、700〜900nm)の光に対する透光率が、分光光度計(例えば、日立製作所(株)製U−3410)による測定値として、例えば50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であり得る。ただし、導電性基体と中間層とを併せた透光率(導電性基体の透光率×中間層の透光率)は、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
中間層の材料としては、各種樹脂材料や、金属粒子や金属酸化物粒子、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫酸バリウム等を含有するものが用いられる。
樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂材料や、これらの繰り返し単位のうち2つ以上を含む共重合体樹脂、更に、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース等が挙げられる。これらのうち、ポリアミド樹脂が好ましい。ポリアミド樹脂のうち、より好ましくは、アルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることができる。例えば、6-ナイロン、6,6-ナイロン、6,10-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロン等を共重合させた、いわゆる共重合ナイロンや、N-アルコキシメチル変性ナイロン、N-アルコキシエチル変性ナイロンのようにナイロンを化学的に変性させたものが好ましい。
中間層の体積抵抗値を調節し、導電性基体からの感光層へのキャリアの注入を防止するとともに各種環境下での感光体の電気特性を維持するために、酸化チタン等の金属酸化物を含有させることができる。
中間層における金属酸化物(P)と樹脂(R)との比P/Rは、重量比で0/10〜9/1の範囲であることが好ましい。P/R比が9/1を越えると、無機酸化物微粒子の分散性が低下して凝集体が生じる可能性が高くなるため塗膜の透明性が低下すると共に、導電性基体との接着性も低下し、黒ポチ等の画像欠陥が発生してしまう可能性が高くなる。
中間層は、前述の樹脂を水又は各種有機溶剤、特にメタノール、エタノール、ブタノールの単独溶剤、又は水/アルコール類、2種類以上のアルコール類の混合溶剤、又はアセトン、ジオキソラン等/アルコール類との混合溶剤、又は、ジクロロエタン、クロロホルム、トリクロロエタン等の塩素系溶剤/アルコール類との混合溶剤に溶解させた中間層用塗布液を、導電性基体上に塗布することにより形成することができる。
中間層に金属酸化物を含有させる場合には、前述の樹脂を上記のような各種溶剤に溶解させた溶液中に金属酸化物を分散させた中間層用塗布液を用いることができる。このとき、金属酸化物の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機等の一般的な方法が適用できる。
塗布する方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、カーテンコーティング法等の方法がある。これらの塗布方法のうち、塗液の物性や生産性等を考慮して最適な方法を選択することができる。特に、浸漬塗布方法は、塗布液を満たした塗布槽に、導電性基体を浸漬した後、一定速度又は逐次変化する速度で引き上げることにより中間層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性及びコストの点で優れているため、より好ましい。塗布液の分散性を安定させるため、塗布液分散装置(超音波発生装置に代表される)を設けてもよい。
中間層の膜厚としては、好ましくは、0.1μm以上10μm以下、より好ましくは0.5μm以上6μm以下の範囲である。中間層の膜厚が0.1μmより小さければ実質的に中間層として機能しなくなり、導電性基体の欠陥を被覆して均一な表面性が得られず、導電性基体からのキャリアの注入を防止することができなくなり、帯電性の低下が生じることがある。10μmよりも大きくすることは中間層の透光性が低下すると共に、中間層を浸漬塗布する場合、感光体を製造する上で難しくなり感光体の感度が低下するために好ましくない。
(実施の形態3)
本発明の電子写真感光体は、ホールをキャリアとして使用するため、図3に示す構成で提供され得る。この形態では、感光層(4)と除電用電荷発生層(3)との間に、電荷輸送物質としてホール輸送物質(5)のみを含有するホール輸送層(10)が配置されている。
このような構成を採用し得るのは、露光による電荷分離は表層領域で起これば十分であって、感光体深部にまで電荷発生物質が存在している必要がない一方で、(特に、除電過程中の)キャリア(電荷)の移動もホールが移動可能であればよいので除電用電荷発生層と有機感光層との間にはホール輸送物質が存在すれば十分だからである。
[ホール輸送層]
有機感光層と除電用電荷発生層との間には、電荷輸送物質としてホール輸送物質(5)のみを含有するホール輸送層(10)が設けられてもよい。感光層の下方に電荷輸送物質としてホール輸送物質のみを含有し電子輸送物質(電子輸送能を有する電荷発生物質を含む)を含有しない層を配置することにより、この層を横切る電子の移動を抑制でき、感光体の暗減衰が低減され、帯電性能を向上させることができる。また、有機感光層中のホール移動速度が向上してプロセス速度が高まり高速での画像形成が実現できる。
ホール輸送物質としては、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチルベン化合物、ヒドラゾン化合物、ブタジエン化合物、エナミン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体及びベンジジン誘導体等が挙げられる。
また、これらの化合物から生じる基を主鎖又は側鎖に有するポリマー、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン及びポリ−9−ビニルアントラセン等も挙げられる。
これらのホール輸送物質の中で、アミノスチルベン誘導体、ヒドラゾン化合物、ブタジエン化合物、エナミン化合物及びベンジジン誘導体はホール移動度が高く、また安定なため好適である。
ホール輸送層に使用されるホール輸送物質は、有機感光層中に含有されるホール輸送物質と同一(又は同一の組合せ)であっても異なってもよい。
電荷輸送層を形成するバインダ樹脂には、ホール輸送物質との相溶性に優れるものが選ばれる。そのようなバインダ樹脂の具体例としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のビニル重合体樹脂及び共重合体樹脂、並びにポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂及びフェノール樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、又は2種以上が混合されて使用されてもよい。
上記の樹脂の中でも、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂又はポリフェニレンオキサイドは、体積抵抗率が1013Ω・cm以上であり、電気絶縁性に優れており、また皮膜性及び電位特性等にも優れているので、好適に用いられる。
ホール輸送層中のバインダ樹脂に対するホール輸送物質の配合比率は、40から120重量%である。この範囲より少ない場合は十分な感度が得られず、多ければホール輸送物質が析晶化する可能性が高くなる。
ホール輸送層には、成膜性、可撓性及び表面平滑性を向上させるために、必要に応じて、可塑剤及び/又はレベリング剤等の添加剤を添加してもよい。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステルのような二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィン及びエポキシ型可塑剤等を挙げることができる。
レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーン、ジフェニルシリコーン及びフェニルメチルシリコーン等のシリコーン系レベリング剤等を挙げることができる。
ホール輸送層にはまた、機械的強度の増加や電気的特性の向上を図るために、無機化合物及び/又は有機化合物の微粒子を添加してもよい。そのような無機化合物の具体的な例としては、酸化チタン等の金属酸化物微粒子が挙げられる。また、有機化合物の微粒子の具体的な例としては、四フッ化エチレン重合体微粒子等のフッ素原子含有ポリマーの微粒子が挙げられる。
ホール輸送層には、必要に応じて、酸化防止剤及び/又は増感剤等の各種添加剤を含んでもよい。これによって、電位特性が向上するとともに、塗布液としての安定性が高まり、また、感光体を繰返し使用した際の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させることができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール誘導体又はヒンダードアミン誘導体が好適に用いられる。ヒンダードフェノール誘導体及びヒンダードアミン誘導体は、任意の割合で混合して使用されてもよい。
ホール輸送層の膜厚は、例えば1〜20μm、好ましくは5〜15μmである。
ホール輸送層は、例えば前述の有機感光層を形成する場合と同様に、適当な溶剤中にホール輸送物質及びバインダ樹脂並びに必要な場合には前述の添加剤を溶解又は分散させてホール輸送層用塗布液を調製し、この塗布液を浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法等のコーティング法等によって、除電用電荷発生層上に塗布することによって形成される。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、前述したように種々の点で優れているので、ホール輸送層を形成する場合にも利用できる。
[保護層]
図1〜3には示されていないが、本発明の電子写真感光体においては、最外層として保護層が設けられてもよい。
保護層を設けることによって、感光層の耐刷性を向上させることができるとともに、電子写真感光体表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾン又は窒素酸化物等の感光層への化学的悪影響を防止することができる。保護層には、例えばバインダ樹脂、無機フィラー含有樹脂又は無機酸化物等からなる層が用いられる。
保護層に使用されるバインダ樹脂としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
保護層には、耐摩耗性を向上させる目的でポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの樹脂に硬度の高い無機フィラー又は有機フィラーを添加することができる。これらフィラーの平均粒径は、0.02μm〜3μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜1μmである。平均粒径が、0.02μm未満であると、表面保護層の耐摩耗性が弱くなり、電子写真感光体の寿命が短くなる。平均粒径が、3μmを超えると、光が保護層によって散乱し易くなり、解像度の低下を引き起こす。
保護層中のフィラー含有量は、5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。5重量%未満であると、耐摩耗性が充分ではなく、50重量%を超えると、保護層の透光性が損なわれ、感度低下を招来する。
保護層に添加されるフィラーの具体例としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、酸化カルシウム、硫酸バリウム、ITO、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、カーボンブラック、フッ素系樹脂微粉末、ポリシロキサン系樹脂微粉末、高分子電荷輸送物質微粉末のうちから選択される1種又は2種以上の混合物を挙げることができる。これらのフィラーは、分散性向上、表面性改質等の理由から無機物、有機物で表面処理されてもよい。一般に撥水性処理として、シランカップリング剤で処理したもの、フッ素系シランカップリング剤処理したもの、高級脂肪酸処理又は高分子材料等と共重合処理させたもの等が挙げられ、無機物処理として、フィラー表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカ処理したもの等が挙げられる。
保護層には、ホール又は電子を効率よく輸送することを目的に、電荷輸送物質(例えば前述のホール輸送物質又は電子輸送物質)を添加してもよい。帯電性の向上等を目的に、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードアミンとヒンダードフェノールが、同一分子中に存在する化合物等を添加することもできる。
保護層にはまた、可塑剤及び/又はレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等一般の樹脂の可塑剤として使用されているものを用いることができ、その使用量は、バインダ樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、又はオリゴマーが使用され、その使用量はバインダ樹脂に対して0〜1重量%が適当である。
フィラーは、バインダ樹脂及び/又は電荷輸送物質その他の添加剤とともに粉砕された後、或いはそのまま分散溶媒中に分散され、保護層として塗布される。
分散溶媒としてはメチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族類、クロロベンゼン、ジクロルメタン等のハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類が使用される。
粉砕工程を加える場合はボールミル、サンドミル、振動ミル等を用いる。
保護層を少なくとも硬化型樹脂からなる層で構成する場合には、材料の分野で公知である種々の架橋反応、例えばラジカル重合、イオン重合、熱重合、光重合、放射線重合等を用いることができる。表面エネルギーの低い硬化した保護層を実現させるために、公知の方法でシリコーン構造、パーフルオロアルキル構造、長鎖アルキル構造等を有する材料を架橋反応させてもよい。
前述のように保護層に電荷輸送機能を併せて持たせるために、電荷輸送機能を有する物質又は高分子型電荷輸送物質を架橋反応させてもよい。例えば、架橋性オルガノポリシロキサン樹脂と、それに結合可能でかつ電荷輸送性を有する構造単位を含む化合物とを混ぜて硬化し、ポリシロキサン樹脂とすることによって、優れた耐久性と電気特性とが実現される。
保護層の膜厚は、0.5μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上3μm以下である。
保護層の膜厚が0.5μmより薄いと、ブレード又は帯電ローラの接触等による外力を受けたとき、保護層が下層の感光層との界面から剥離し易くなる。これは、保護層の膜厚が薄い場合、外力を受けた時に保護層自体では抗し切れずに感光層との界面に常時力が負荷され、それが、長期にわたると負荷されている力によって界面にずれが生じ易くなるためと考えられる。また、摩耗により保護層全てが電子写真感光体の寿命前に消失する可能性がある。
保護層の膜厚が5μmよりも厚いと、キャリアが保護層内を移動する過程において拡散するので、文字太り等が生じ易くなり、かつ感度低下及び繰返しによる残留電位上昇が起こる。
<電子写真感光体を用いる画像形成動作>
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成の一連の流れを簡潔に説明する。
まず、コロナ帯電、接触帯電等により有機感光体表面を負帯電に帯電させる。次いで、画像に即した露光光を該感光体に露光することにより、有機感光層中の電荷発生物質Aで電荷分離する。ホールは、電場に従い表層に到達し、感光体表面の負電荷と再結合して潜像を形成する。一方、電子は電場により導電性基体側へ誘引されるが、電子輸送物質の電子輸送能が一般的に低く、また本発明においては電子輸送物質を含有しない場合もある(この場合、電荷発生物質が電子輸送を担う)ため、(特に高速プロセスでは)導電性基体まで達せずに感光層中に残存する。感光体表面の潜像は、一般的な感光体と同様に反転現像プロセスによりトナー像として現像され、該トナーが紙に転写される。その後、感光体表面の残トナーがクリーナにて取り除かれる。
最後に、有機感光層の下方に設けた除電用電荷発生層に除電光(除電用電荷発生層中の電荷発生物質(特に主たる電荷発生物質)が吸収して電荷を発生させることができる所定波長の光)を照射することにより、感光層内部及び感光体表面の残余電荷の除電を行う。つまり、除電光により除電用電荷発生層の電荷発生物質Bでホールと電子が電荷分離し、電場により電子は基体側に、ホールは表層側に移動し、該ホールは有機感光層表層に達するまでに、露光によって残存していた感光層内部の電子を消去し、表層にまで達したホールは残余の表面電荷を消去する。
本発明の電子写真感光体では、除電用電荷発生層への除電光の照射は、導電性基体側から行う。一方、有機感光層への露光光の照射は、感光体の表層側から行う。
上述の画像形成は、帯電から転写までは一般的な単層型感光体を負帯電し、ホールをキャリアとした場合に相当すると考えられるので、単層型感光体と同様に非常に高い解像度が実現できる。一方、除電は一般的な積層型感光体と同様の方法で実行され、かつ感光層内部の残余電子も除去できるため、単層型感光体の欠点となっていた感光層内部の残余電子によるメモリー現象も回避できる。
<画像形成装置>
本発明の画像形成装置は、感光体として前述の本発明に係る電子写真感光体を用い、該電子写真感光体の除電用電荷発生層に導電性基体側から除電光を照射する除電手段を備える限り、他の構成について特定のものに限定されず、電子写真方式の画像形成装置の構成として公知のものをいずれも採用できる。
本発明の画像形成装置は、前述のように高感度で高解像度の感光体を備えるので、高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置として提供される。
例えば、本発明の画像形成装置は、上記の本発明に係る電子写真感光体と、該電子写真感光体を負帯電に帯電させる帯電手段(帯電装置)と、帯電された該電子写真感光体に対して露光を施す露光手段(露光装置)と、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段(現像装置)と、現像されたトナー像を転写する転写手段(転写装置)と、該電子写真感光体の除電用電荷発生層に導電性基体側から照射する除電光を用いて該電子写真感光体の残留電荷を除電する除電手段(除電装置)とを備える構成で提供され得る。
本発明の画像形成装置は、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機であり得る。
本発明の画像形成装置の1つの実施形態によれば、露光手段は露光光源として380〜650nmの範囲に発振波長を有する半導体レーザを備える。この実施形態では、レーザのスポット径を絞り込むことができ、より高解像度の画像を提供することができる。
また、従来の機能分離型感光体において短波長レーザを使用して解像度を向上させる際に問題であった次の点:
・電荷発生層まで短波長レーザ光を透過させる必要があるため電荷輸送層はレーザ波長に対して透明でなければならない;
・エネルギーの高い短波長レーザを使用するため劣化が早い
は、この実施形態では問題とならない。なぜならば、本発明に係る電子写真感光体では電荷分離が感光体表層で起きるため、レーザ光が下層にまで到達する必要がなく、更に劣化は表層のみで進み、感光体の摩耗と共に劣化部分が剥離するからである。
本発明の画像形成装置の別の1つの実施形態によれば、反転現像プロセスを利用した画像形成装置が提供される。
本発明の画像形成装置について図を参照しながら具体的に説明する。
なお、本発明の画像形成装置は、下記で具体的に説明する形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えた他の形態を含み得ることは勿論であり、そのような他の形態は本明細書及び図面の記載に基づいて当業者に容易に理解される。例えば、図4において感光体はドラム形状として示されているが、他の形状(例えばベルト状)であってもよく、その場合の画像形成装置の具体的形態は当業者に容易に理解される。
図4は、本発明の画像形成装置の一形態の構成を示す模式側面図である。
図4の画像形成装置20は、本発明に係る電子写真感光体21(例えば、図1〜3に示される形態の感光体)と、帯電手段(帯電器)24と、露光手段28と、現像手段(現像器)25と、転写手段(転写器)26と、クリーナ27と、定着手段(定着器)31と除電手段29とを含んで構成される。参照番号30は転写紙を示す。
感光体21は、図示しない画像形成装置本体に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転軸線回りに矢印方向に回転駆動される。駆動手段は、例えば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を感光体21の芯体を構成する導電性基体に伝えることによって、感光体21を所定の周速度で回転駆動させる。
感光体21の外周面に沿って、帯電器24、露光手段28、現像器25、転写器26、クリーナ27が、この順序で、感光体21の外周面に沿って回転方向上流側から下流側に向って設けられる。
除電手段29は、感光体21の導電性基体に面して(図4では感光体内部に)設けられており、クリーナ27と帯電器24との間で感光体に、その導電性基体側から除電光を照射する。除電光としては、感光体21の除電用電荷発生層中の電荷発生物質(特に主たる電荷発生物質)が吸収して電荷を発生させることができる波長の光を適宜選択する。
帯電器24は、感光体21の外周面を負の所定の電位に帯電させる帯電手段である。帯電器24は、コロトロンやスコロトロン等のコロナ放電方式の帯電器(例えば、チャージャーワイヤ)であり得る。コロナ放電方式の帯電器は帯電性が安定するので好ましい。帯電手段としては接触式の帯電ローラも使用できるが、感光体表面の高い耐摩耗性が要求されるため、接触式の帯電ローラの使用は、表面保護層が形成された感光体において好ましい。
露光手段28は、例えば半導体レーザ等を光源として備え、光源から画像情報に応じて出力される光を、感光体21の帯電器24と現像器25との間に(表層側から)照射することによって、帯電された感光体21の外周面に対して露光を施す。露光光は、主走査方向である感光体21の回転軸線の延びる方向に繰返し走査され、これに伴って感光体21の表面に画像情報に対応する静電潜像が順次形成される。
本発明の画像形成装置においては、上記で説明した本発明に係る電子写真感光体が使用され、露光による電荷分離は表層領域で起これば十分であるので、露光手段として、短波長の光を照射可能な光源を使用することができる。好ましくは、露光光源として、短波長に発振波長を有する半導体レーザが使用される。露光光は、除電光より短波長(例えば380〜650nmの範囲)であることがより好ましい。
現像器25は、露光によって感光体21の表面に形成される静電潜像を、現像剤によって可視像であるトナー像に現像する現像手段であり、感光体21を臨んで設けられる。現像器は、例えば、感光体21の外周面にトナーを供給する現像ローラと、現像ローラを感光体21の回転軸線と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持すると共にその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシングとを備える。
本発明の画像形成装置においては、負帯電型トナーを単層型感光体と組み合せて使用できる。このため、トナーの選択の幅が広がり、高機能なトナーを使用でき、更に高品質、高機能の画像形成装置として提供することができる。
転写器26は、現像によって感光体21の外周面に形成されるトナー像を、図示しない搬送手段によって矢印方向から感光体21と転写器26との間に供給される記録媒体である転写紙30上に転写させる転写手段である。転写器26は、例えば、帯電手段を備え、転写紙30にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を転写紙30上に転写させる非接触式の転写手段である。
クリーナ27は、転写器26による転写動作後に感光体21の外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、例えば、感光体21の外周面に残留するトナーを剥離させるクリーニングブレードにより、物理的に残留するトナーを掻き取る。
除電手段29は、半導体レーザやランプ等の光源を備え、光源から出力された除電光を感光体21の導電性基体側から照射することによって、除電用電荷発生層中の電荷発生物質で電荷分離を起こさせてホールを発生させ、これにより感光層内部の空間電子と表面電荷を除去する。
除電光としては、除電用電荷発生層に含有されている電荷発生物質(特に主たる電荷発生物質)に電荷分離を起こさせ得る波長又は波長域を含む光を使用できる。除電光は露光光より長波長(例えば700〜900nm)であることが好ましい。
画像形成装置20には、感光体21と転写器26との間を通過した転写紙30が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器31が設けられる。定着器31は、例えば、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ31aと、加熱ローラ31aに対向して設けられ、加熱ローラ31aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ31bとを備える。
この画像形成装置20による画像形成動作は、次のようにして行われる。
まず、感光体21が駆動手段によって矢印方向に回転駆動されると、露光手段28からの露光光の結像点よりも感光体21の回転方向上流側に設けられる帯電器24によって、感光体21の表面が負の所定電位に均一に帯電される。
次いで、露光手段28から、感光体21の表面に対して画像情報に応じた露光光28aが照射される。この露光によって、感光体21は、露光部分の表面電荷が除去され、露光部分と非露光部分との間で表面電位に差異が生じ、静電潜像が形成される。
露光手段28からの露光光の結像点よりも感光体21の回転方向下流側に設けられる現像器25から、静電潜像の形成された感光体21の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
感光体21の露光と同期して、感光体21と転写器26との間に、転写紙30が供給される。転写器26によって、供給された転写紙30にトナーと逆極性の電荷が与えられ、感光体21の表面に形成されたトナー像が、転写紙30上に転写される。
トナー像の転写された転写紙30は、搬送手段によって定着器31に搬送され、定着器31の加熱ローラ31aと加圧ローラ31bとの当接部を通過する際に加熱及び加圧され、トナー像が転写紙30に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙30は、図示しない搬送手段によって画像形成装置20の外部へ排紙される。
一方、転写器26によるトナー像の転写後も感光体21の表面上に残留するトナーは、クリーナ27によって感光体表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された感光体21の表面電荷や有機感光層内部の残余電子は、除電用電荷発生層に除電光が照射されることにより発生したホールにより消去され、感光体21の表面上の静電潜像が消失する。その後、感光体21は更に回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰返されて連続的に画像が形成される。
以下、本発明の電子写真感光体及びこれを用いた画像形成装置に係る実施例を比較例とともに示すことにより、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
厚さ1.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ300mmのガラス管上にITO膜を蒸着させて透光性の導電性基体を作製した。
次いで、電荷発生物質として無金属フタロシアニン2重量部を、テトラヒドロフラン(THF)97重量部にポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業(株)製:BX-1)1重量部を溶解させて得た樹脂溶液に加えた後、ペイントシェーカで2時間分散させ、除電用電荷発生層用の塗布液を調製した。この塗布液を、上記導電性基体上に、浸漬塗布した後、乾燥させ、膜厚0.3μmの除電用電荷発生層を形成した。
次いで、電荷発生物質として無金属フタロシアニン1重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製:Z-400)18重量部と、下記構造式(1)で示されるホール輸送物質10重量部と、電子輸送物質である3,5-ジメチル-3',5'-ジ-t-ブチルジフェノキノン5重量部と、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.5重量部と、THF130重量部とを、ボールミルで12時間分散し、感光層用塗布液を調製した。この塗布液を、先に形成した除電用電荷発生層上に、浸漬塗布によって塗布した後、温度110℃で1時間熱風乾燥させ、膜厚25μmの有機感光層を形成した。
このようにして図1の層構成を持つ実施例1の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005264371
(実施例2)
中間層用の材料として、酸化アルミニウム(Al23)と二酸化ジルコニウム(ZrO2)とで表面処理された樹枝状の酸化チタン(石原産業(株)製:TTO-D-1)9重量部と、共重合ナイロン樹脂(東レ(株)製:CM8000)9重量部とを、1,3-ジオキソラン41重量部とメタノール41重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて12時間分散させ、中間層用塗布液を調製した。調製した塗布液を、実施例1と同じ透明な導電性基体上に浸漬塗布装置を用いて塗布した後、乾燥させ、膜厚1μmの中間層を形成した。
以降は実施例1と同様にして、図2の層構成を持つ実施例2の電子写真感光体を作製した。
(実施例3)
除電用電荷発生層の電荷発生物質として、オキソチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、実施例2と同様にして、実施例3の電子写真感光体を作製した。
(実施例4)
有機感光層の電荷発生物質として下記構造式(2)で示されるクマリン系色素4重量部を用い、電子輸送物質として下記構造式(3)で示されるナフトキノン系化合物を用いた以外は、実施例3と同様にして、実施例4の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005264371
Figure 0005264371
(実施例5)
実施例3と同様にして除電用電荷発生層まで形成し、その上部に、電荷発生物質として下記構造式(4)で示されるペリレン系色素5重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製:Z-400)18重量部と、上記構造式(1)で示されるホール輸送物質10重量部と、電子輸送物質としてアリザリン5重量部と、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.5重量部と、THF120重量部とを、ボールミルで12時間分散した有機感光層用塗布液を浸漬塗布した後、温度110℃で1時間熱風乾燥させ、膜厚25μmの有機感光層を形成した。
このようにして実施例5の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005264371
(実施例6)
実施例5で用いた感光層用塗布液から電子輸送物質であるアリザリンを除いた塗布液を用いて有機感光層を形成した以外は、実施例5と同様にして、実施例6の電子写真感光体を作製した。
(実施例7)
実施例2と同様にして除電用電荷発生層まで形成し、その上に、無金属フタロシアニン0.2重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製:Z-400)18重量部と、上記構造式(1)で示されるホール輸送物質12重量部と、電子輸送物質である3,5-ジメチル-3',5'-ジ-t-ブチルジフェノキノン1重量部と、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.5重量部と、THF125重量部とを、ボールミルで12時間分散した塗布液を浸漬塗布した後、乾燥させ、膜厚15μmの有機感光層下層を形成した(電荷発生物質/バインダ樹脂=1/90)。
更に、その上部に、無金属フタロシアニン2重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製:Z-400)20重量部と、上記構造式(1)で示されるホール輸送物質10重量部と、電子輸送物質である3,5-ジメチル-3',5'-ジ-t-ブチルジフェノキノン5重量部と、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.5重量部と、THF140重量部とを、ボールミルで12時間分散した塗布液を、先に形成した感光層下層上に、リング塗工法により塗布した後、温度110℃で1時間熱風乾燥させ、膜厚10μmの有機感光層上層を形成した(電荷発生物質/バインダ樹脂=1/10)。
このようにして、有機感光層中の電荷発生物質のバインダ樹脂に対する配合比率が導電性基体側より表層側において高い実施例7の電子写真感光体を作製した。
(実施例8)
実施例3と同様にして除電用電荷発生層まで形成し、その上に、上記構造式(1)で示されるホール輸送物質12重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製:Z200)18重量部とを、THF120重量部に溶解させた塗布液を浸漬塗布した後、乾燥させ、膜厚15μmのホール輸送層を形成した。その上に、電荷発生物質かつ電子輸送物質として前記構造式(4)で示されるペリレン系色素6重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製:Z-400)18重量部と、上記構造式(1)で示されるホール輸送物質10重量部と、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.5重量部と、THF120重量部とを、ボールミルで12時間分散した塗布液を、リング塗工法により塗布した後、温度110℃で1時間熱風乾燥させ、膜厚10μmの有機感光層を形成した。
このようにして図3の層構成を持つ実施例8の電子写真感光体を作製した。
(実施例9)
実施例5の感光体上に、メチルトリメトキシシラン30重量部、ジメチルジメトキシシラン5重量部に2.5%酢酸水溶液20重量部、2-メトキシエタノール100重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)50重量部を混合し、室温にて16時間加水分解反応させた後、酸化防止剤(三共(株)製:サノールLS2626)1重量部、下記構造式(5)で示される電荷輸送性構造単位含有化合物5重量部、コロイダルシリカ(メタノール分散品、固形分30質量%)20重量部、硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトナート1重量部を加えて溶解した保護層形成用塗布液をリング塗工法により塗布した後、温度120℃で2時間硬化乾燥させ、膜厚1μmの保護層を持つ実施例9の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005264371
(比較例1)
実施例2の除電用電荷発生層を除いた電子写真感光体を厚さ0.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ300mmのアルミニウム製円筒管上に作製した。この感光体はいわゆる一般の単層型感光体である。
(比較例2)
実施例5の除電用電荷発生層を除いた電子写真感光体を厚さ0.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ300mmのアルミニウム製円筒管上に作製した。この感光体はいわゆる一般の単層型感光体である。
(比較例3)
厚さ0.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ300mmのアルミニウム製円筒管上に実施例3と同様にして除電用電荷発生層(ここでは、機能分離型の積層感光層の電荷発生層として使用)まで形成し、その上に、前記構造式(1)で示されるホール輸送物質10重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製:Z200)16重量部と、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.5重量部とを、THF90重量部に溶解させた塗液を浸漬塗布した後、乾燥させ、膜厚25μmのホール輸送層(ここでは、機能分離型の積層感光層の電荷輸送層として使用)を形成した。この感光体はいわゆる一般の積層型感光体である。
表1に、実施例1〜9及び比較例1〜3の感光体の構成のまとめを示す。
Figure 0005264371
[評価1]
以上のようにして作製した実施例1〜9及び比較例1〜3の各電子写真感光体について、温度/湿度:25℃/50%で、スコロトロン方式により−6.5kVでコロナ放電し、帯電直後の表面電位である帯電電位V0[V]、及びモノクロメータにて分光して得られた表2に示す波長の光での露光後80msecでの電子写真感光体の表面電位VL[V]を、感光体の導電性基体側から除電光を照射できるように改造した試験装置(ジェンテック(株)製:CYNTHIA56SN)を用いて測定した。
このとき同時に、感光体の帯電電位を半減させるに要した露光量に基づいて感度E1/2[mJ/cm2]も測定した。その後、モノクロメータにて分光して得られた表2に示す波長の光で除電し、その帯電−露光−除電工程(一工程150msec)を連続して100回繰り返した後の帯電直後の表面電位V0[V]と露光後の表面電位VL[V]も測定した。
なお、導電性基体の透過率(実施例1)及び導電性基体と中間層とを合わせた透過率(実施例2〜9)の測定には、分光光度計U−3410(日立株式会社製)を使用した。
結果を表2に示す。
なお、比較例1〜3の電子写真感光体では従来通り感光体の表面(感光層側)から除電光を照射した。
Figure 0005264371
表2のとおり、本発明の感光体(実施例1〜9)は負帯電で繰り返し使用しても電気特性は安定していた。電子輸送能を有するペリレン色素を用いた実施例6及び8の感光体は、電子輸送物質を別途添加しなくても十分な電気特性を有していた。
一方、比較例1、2の単層型感光体は、感光層内部に電子が滞留し、表面電位が−850〜−900Vまで上昇し、露光しても電位が下がらないことが確認できた。
比較例3の積層型感光体は、感度的には問題なかった。
実施例1と2の感光体を比較すると、中間層を採用することにより、帯電性が少し増大することがわかる。
実施例2と7の感光体の比較より、有機感光層において電荷発生物質が表層側で多く存在するようにすると極めて良好な感度を示すことが確認できる。
実施例6と8の感光体の比較より、除電用電荷発生層と有機感光層との間にホール輸送層を設けることにより、極めて良好な感度が得られることが確認できる。
[評価2]
実施例3〜5及び比較例1、2の各電子写真感光体をシャープ製複写機AR-F330改造機(露光光源として表3の発振波長の半導体レーザを搭載し、実施例の測定用には除電光を導電性基体側から照射可能なように改造し、比較例の測定用には、除電光は感光層側から照射するが、正帯電システムに改造した)にて文字と写真が混在した標準画像を100回繰り返し出力し、メモリー現象の有無を確認した。
結果を表3に示す。
Figure 0005264371
表3に示すとおり、本発明の実施例の感光体ではメモリー画像が現れなかった一方で、比較例の感光体ではメモリー画像が現れた。
[評価3]
スコロトロン帯電器、絞り径の制御により300〜6000dpiまでレーザビーム径を可変に制御できる露光部(レーザの発振波長は表4に示す)、0.2μmの粒径のトナーを有する液体トナーで現像できる現像部を有する実験機において、実施例3〜5及び比較例3の各電子写真感光体を用い、孤立した1ドットと1ドットライン−1ドット分空白を繰り返した周期1ドットラインの画像を出力させて、各感光体の解像度を確認した。
結果を表4に示す。
Figure 0005264371
表4に示すとおり、本発明の実施例の感光体は5000dpi以上の解像度を有することが確認できた。これは、表面近くで露光光による電荷分離が起こる単層感光体の特徴を良く表している。
一方、積層型感光体である比較例3の感光体では600dpiの画像は出力できるが2500dpi以上になると孤立1ドットは出力できずかつ周期1ドットラインも画像がぼけ、ラインとして認識できないような不鮮明な画像しか得られなかった。これは、感光体内部(深部)の電荷発生層での電荷分離により生じたホールが、電荷輸送層を表層まで移動する間に面方向に拡散するためである。
本発明の感光体の一形態における要部の構成を示す模式拡大断面図である。 本発明の感光体の別の一形態における要部の構成を示す模式拡大断面図である。 本発明の感光体の更に別の一形態における要部の構成を示す模式拡大断面図である。 本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
符号の説明
1 導電性基体
2 中間層
3 除電用電荷発生層
4 有機感光層
5 ホール輸送物質
6 電子輸送物質
7 電荷発生物質A(露光用)
8 電荷発生物質B(除電用)
20 本発明の画像形成装置
21 本発明の電子写真感光体
24 帯電器
25 現像器
26 転写器
27 クリーナ
28 露光手段
29 除電手段
30 転写紙
31 定着器
31a 加熱ローラ
31b 加圧ローラ

Claims (12)

  1. 導電性基体上に有機感光層を備える電子写真感光体において、前記有機感光層が電子輸送能を有する電荷発生物質及びホール輸送物質、又は電荷発生物質及び電子輸送物質及びホール輸送物質を含有し、前記感光体が、前記導電性基体と前記有機感光層との間に、電荷発生物質を含有する除電用電荷発生層を、前記有機感光層と前記除電用電荷発生層との間に、電荷輸送物質としてホール輸送物質のみを含有するホール輸送層を更に備え、前記導電性基体は、前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させ得る波長の光に対して透光性であることを特徴とする、導電性基体側から除電用電荷発生層へ光照射可能な電子写真感光体。
  2. 導電性基体上に有機感光層を備える電子写真感光体において、前記有機感光層がバインダ樹脂と、電子輸送能を有する電荷発生物質及びホール輸送物質、又は電荷発生物質及び電子輸送物質及びホール輸送物質を含有し、前記有機感光層中の電荷発生物質のバインダ樹脂に対する配合比率が導電性基体側より表層側において高く、前記感光体が、前記導電性基体と前記有機感光層との間に、電荷発生物質を含有する除電用電荷発生層を更に備え、前記導電性基体は、前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させ得る波長の光に対して透光性であることを特徴とする、導電性基体側から除電用電荷発生層へ光照射可能な電子写真感光体。
  3. 前記有機感光層と前記除電用電荷発生層との間に、電荷輸送物質としてホール輸送物質のみを含有するホール輸送層を更に備える請求項に記載の電子写真感光体。
  4. 前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質が前記有機感光層中の電荷発生物質と異なる請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質が、前記有機感光層中の電荷発生物質より長波長に吸収を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質がフタロシアニン系色素から選択される請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質がオキソチタニウムフタロシアニンである請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記有機感光層中の主たる電荷発生物質が、フタロシアニン系色素、アゾ系色素、多環キノン系色素、クマリン系色素及びペリレン系色素からなる群より選択される請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記導電性基体と前記除電用電荷発生層との間に、前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させ得る波長の光に対して透光性である中間層を更に備える請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を負帯電に帯電させる帯電手段と、帯電された該電子写真感光体に対して露光を施す露光手段と、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段と、現像されたトナー像を転写する転写手段と、該電子写真感光体の除電用電荷発生層に導電性基体側から照射する除電光を用いて該電子写真感光体の残留電荷を除電する除電手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
  11. 前記露光手段が露光光源として380〜650nmの範囲に発振波長を有する半導体レーザを備える請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 反転現像プロセスを利用する請求項10又は11に記載の画像形成装置。
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