JP5264371B2 - 高解像度感光体及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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本発明はまた、導電性基体上に有機感光層を備える電子写真感光体において、前記有機感光層がバインダ樹脂と、電子輸送能を有する電荷発生物質及びホール輸送物質、又は電荷発生物質及び電子輸送物質及びホール輸送物質とを含有し、前記有機感光層中の電荷発生物質のバインダ樹脂に対する配合比率が導電性基体側より表層側において高く、前記感光体が、前記導電性基体と前記有機感光層との間に、電荷発生物質を含有する除電用電荷発生層を更に備え、前記導電性基体は、前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させ得る波長の光に対して透光性であることを特徴とする、導電性基体側から除電用電荷発生層へ光照射可能な電子写真感光体も提供する。
また、本発明の画像形成装置によれば、高感度で高解像度の感光体を備え、高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置を実現できる。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に有機感光層を備える電子写真感光体であって、前記有機感光層が電子輸送能を有する電荷発生物質及びホール輸送物質、又は電荷発生物質及び電子輸送物質及びホール輸送物質を含有し、感光体が、導電性基体と有機感光層との間に、電荷発生物質を含有する除電用電荷発生層を更に備え、導電性基体は、除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させ得る波長の光に対して透過性であることを特徴とする。
以下、本発明の電子写真感光体の実施の形態を添付図面を参照して説明する。なお、本発明の電子写真感光体は、下記で説明する形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えた他の形態を含み得ることは勿論であり、そのような他の形態は本明細書及び図面の記載に基づいて当業者に容易に理解される。
図1は、本発明の電子写真感光体の一形態の構成を模式的に示す部分断面図である。本形態の感光体は、前記所定の透光性を有する導電性基体(1)上に、電荷発生物質B(8)をバインダ樹脂中に分散させた除電用電荷発生層(3)、電荷発生物質A(7)とホール輸送物質(5)と電子輸送物質(6)とをバインダ樹脂中に分散させた有機感光層(4)をこの順序で備えている。すなわち、この電子写真感光体は、いわゆる単層型有機感光体の感光層(4)と透光性の導電性基体(1)との間に除電用電荷発生層(3)を設けた構造となっている。なお、電荷発生物質Aが電子輸送能を有する場合には、有機感光層は電子輸送物質を含有していなくてもよい。
導電性基体(1)は、感光体の電極としての役割と、他の各層の支持部材としての機能を有し、加えて、(後述する)除電用電荷発生層中の電荷発生物質(特に主たる電荷発生物質)が吸収して電荷を発生させることができる波長の光に対して透光性である
本発明で使用される導電性基体としては、前記所定の透光性を有するものである限り、当該分野において公知のものを使用できる。例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリオレフィン、ビニロン等の高分子材料やガラス、石英、サファイア等の無機材料からなる透光性基体上に、導線性高分子、酸化スズ、酸化インジウム、インジウム-スズ酸化物(ITO)、酸化鉛、ヨウ化銅等の透光性の導電性化合物やTi、Al、Ni、Au、Ag、Cu等の金属を含む透光性導電層を、蒸着、塗布、スパッタリング等により形成したものが挙げられる。
導電性基体の形状は、特に限定されず、ドラム、シート及びシームレスベルト等であり得る。
除電用電荷発生層(3)は、少なくとも電荷発生物質B(8)を含有し、除電光(除電用電荷発生層中の電荷発生物質(特に主たる電荷発生物質)が吸収して電荷を発生させることができる所定波長の光)の照射に際して、該層中に含有される電荷発生物質での電荷分離によりホール(及び電子)を発生させる機能を有する。生じたホールは、有機感光層を通って感光体表面に至り表面電荷を消去するか、又は感光層中に保持されている電子を消去する。
これらの電荷発生物質は単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせてもよい。これら各化合物の具体例としては以下の化合物が挙げられる。
クマリン系色素としては、特開平3−1148号、特開平4−46348号、特開平4−225364号公報等に記載の化合物が挙げられる。
スクアリリウム色素の具体例としては、特開平1−146845号、特開平1−146846号、特開平1−146847号、特開平1−146864号、特開平1−147552号、特開平1−147553号、特開平1−147554号、特開平1−159663号、特開平1−228960号、特開平1−230674号、特開平5−339233号、特開平6−184109号、特開平6−263732号、特開平8−245895号、特開2000−265077号公報等に記載の化合物が挙げられる。
バインダ樹脂は上記のものに限定されず、この分野において一般に用いられる任意の樹脂を使用することもできる。バインダ樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、又は2種以上が併用されてもよい。
増感染料は、電荷発生物質に対して0.1重量%から20重量%の範囲が好ましい。この範囲より少ない場合は増感できず、多いと分散性に影響を及ぼす。
電荷発生物質を溶剤中に分散させる際に用いられる分散機としては、例えば、ペイントシェーカ、ボールミル及びサンドミル等を挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器及び分散機を構成する部材の摩耗等による不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
除電用電荷発生層の膜厚は、好ましくは0.05μm以上5μm以下、より好ましくは0.1μm以上1μm以下の範囲である。
有機感光層(4)は、電荷発生物質A(7)及び電子輸送物質(6)及びホール輸送物質(5)、又は電子輸送能を有する電荷発生物質A及びホール輸送物質を含有し、露光光の照射に際して、該層中に含有される電荷発生物質での電荷分離によりホール(及び電子)を発生させる機能を有する。生じたホールは、ホール輸送物質により高速で帯電された感光体表面に運ばれて、そこで静電潜像を形成する。ホールと同時に生じた電子は、一旦感光層で保持されるが、上記のように、除電光により除電用電荷発生層で生じたホールによって消去されることになる。
有機感光層中の電荷発生物質Aが除電光に対して感度を有する場合、除電光が有機感光層にまで到達すると、該感光層中の電荷発生物質Aで電荷分離が生じる。この際生じたホールは、除電用電荷発生層で生じたホールと一緒に感光層表面まで移動し除電を行う。一方、同時に発生した電子は、大部分は導電性基体側に流れるか又は除電用電荷発生層で生じたホールにより消去されるが、一部の電子は除電工程後も感光層中に残存する可能性がある。この残存電子は、本感光体では露光-潜像プロセスにホールを用いているため、次のプロセスにおける画像形成には影響しないが、次の除電まで有機感光層内部に残存するので該感光層を劣化させる可能性が高まる。
そこで、除電光として、エネルギーが低い長波長の光を採用すれば、有機感光層中の電荷発生物質Aによる電荷分離の可能性は低くなり、加えて、除電用電荷発生層中の電荷発生物質Bが除電光に合わせて長波長に吸収ピークを有していれば、除電光は除電用電荷発生層でほとんど吸収されることになり、電荷発生物質Aによる電荷分離の可能性は更に低くなる。
また、デジタル感光体で実績のあるフタロシアニン系色素も好適である。
有機感光層中の電荷発生物質は、例えば、380〜650nmの範囲に吸収を有するものであり得る。この場合、除電用電荷発生層中の電荷発生物質は、例えば、700〜900nmの範囲に吸収を有するものであり得る。
上記のホール輸送物質は単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
これらのホール輸送物質の中で、アミノスチルベン誘導体、ヒドラゾン化合物、ブタジエン化合物、エナミン化合物及びベンジジン誘導体はホール移動度が高く、また安定なため好適である。
これらの電子輸送物質の中で、ペリレン系色素やキノン系化合物は電子輸送能力が高く、また毒性も持たないため好適である。
感光層が増感染料を含む場合、増感染料は電荷発生物質に対して0.1重量%から20重量%の範囲が好ましい。この範囲より少ない場合は増感できず、多いと分散性に影響を及ぼす。
表層側で電荷発生物質の配合比率を高くすることにより、露光光による電荷分離を表層部で活発にさせて感度を高めることができる。
バインダ樹脂に対する電子輸送物質の配合比率は、0から100重量%である。この範囲より多い場合は感光層の膜強度が低下し耐刷性が悪化する。
酸化防止剤としてはα-トコフェロールや2,6-ジ-t-ブチル-4-メチル-フェノールに代表されるフェノール系酸化防止剤が好適である。α-トコフェロールは電荷輸送物質に対して0.1重量%以上、5重量%以下で含まれることが好ましく、フェノール系酸化防止剤は電荷輸送物質に対して0.1重量%以上、50重量%以下含まれることが好ましい。これによって電位特性の優れ、また塗液としての安定性も高まる。
有機感光層の塗布は、前述の除電用電荷発生層や後述する中間層と同様に、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法等のコーティング法を用いて行うことができる。
図2は、本発明の電子写真感光体の別の一形態の構成を模式的に示す部分断面図である。この感光体は、前記所定の透光性を有する導電性基体(1)と除電用電荷発生層(3)との間に中間層(2)を備えた構造であり、その他の構成は図1に示した実施形態と同様である。
中間層は、導電性基体表面の欠陥を被覆し、導電性基体からの感光層へのキャリアの注入を防止することにより帯電性を改善して適度の電荷保持性能を確保し、除電用電荷発生層の接着性を向上させ、及び/又は除電用電荷発生層の塗布性を改善する等して、画像欠陥を防止することができる。
本発明においては、中間層も、導電性基体と同様に、除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させることができる波長の光に対して透光性である。
透光性の中間層は、除電用電荷発生層中の電荷発生物質(特に主たる電荷発生物質)が吸収して電荷を発生させることができる波長(例えば、700〜900nm)の光に対する透光率が、分光光度計(例えば、日立製作所(株)製U−3410)による測定値として、例えば50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であり得る。ただし、導電性基体と中間層とを併せた透光率(導電性基体の透光率×中間層の透光率)は、50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。
中間層に金属酸化物を含有させる場合には、前述の樹脂を上記のような各種溶剤に溶解させた溶液中に金属酸化物を分散させた中間層用塗布液を用いることができる。このとき、金属酸化物の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機等の一般的な方法が適用できる。
本発明の電子写真感光体は、ホールをキャリアとして使用するため、図3に示す構成で提供され得る。この形態では、感光層(4)と除電用電荷発生層(3)との間に、電荷輸送物質としてホール輸送物質(5)のみを含有するホール輸送層(10)が配置されている。
有機感光層と除電用電荷発生層との間には、電荷輸送物質としてホール輸送物質(5)のみを含有するホール輸送層(10)が設けられてもよい。感光層の下方に電荷輸送物質としてホール輸送物質のみを含有し電子輸送物質(電子輸送能を有する電荷発生物質を含む)を含有しない層を配置することにより、この層を横切る電子の移動を抑制でき、感光体の暗減衰が低減され、帯電性能を向上させることができる。また、有機感光層中のホール移動速度が向上してプロセス速度が高まり高速での画像形成が実現できる。
これらのホール輸送物質の中で、アミノスチルベン誘導体、ヒドラゾン化合物、ブタジエン化合物、エナミン化合物及びベンジジン誘導体はホール移動度が高く、また安定なため好適である。
ホール輸送層に使用されるホール輸送物質は、有機感光層中に含有されるホール輸送物質と同一(又は同一の組合せ)であっても異なってもよい。
可塑剤としては、例えば、フタル酸エステルのような二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィン及びエポキシ型可塑剤等を挙げることができる。
レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーン、ジフェニルシリコーン及びフェニルメチルシリコーン等のシリコーン系レベリング剤等を挙げることができる。
図1〜3には示されていないが、本発明の電子写真感光体においては、最外層として保護層が設けられてもよい。
保護層を設けることによって、感光層の耐刷性を向上させることができるとともに、電子写真感光体表面を帯電させる際のコロナ放電によって発生するオゾン又は窒素酸化物等の感光層への化学的悪影響を防止することができる。保護層には、例えばバインダ樹脂、無機フィラー含有樹脂又は無機酸化物等からなる層が用いられる。
粉砕工程を加える場合はボールミル、サンドミル、振動ミル等を用いる。
保護層の膜厚が0.5μmより薄いと、ブレード又は帯電ローラの接触等による外力を受けたとき、保護層が下層の感光層との界面から剥離し易くなる。これは、保護層の膜厚が薄い場合、外力を受けた時に保護層自体では抗し切れずに感光層との界面に常時力が負荷され、それが、長期にわたると負荷されている力によって界面にずれが生じ易くなるためと考えられる。また、摩耗により保護層全てが電子写真感光体の寿命前に消失する可能性がある。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成の一連の流れを簡潔に説明する。
まず、コロナ帯電、接触帯電等により有機感光体表面を負帯電に帯電させる。次いで、画像に即した露光光を該感光体に露光することにより、有機感光層中の電荷発生物質Aで電荷分離する。ホールは、電場に従い表層に到達し、感光体表面の負電荷と再結合して潜像を形成する。一方、電子は電場により導電性基体側へ誘引されるが、電子輸送物質の電子輸送能が一般的に低く、また本発明においては電子輸送物質を含有しない場合もある(この場合、電荷発生物質が電子輸送を担う)ため、(特に高速プロセスでは)導電性基体まで達せずに感光層中に残存する。感光体表面の潜像は、一般的な感光体と同様に反転現像プロセスによりトナー像として現像され、該トナーが紙に転写される。その後、感光体表面の残トナーがクリーナにて取り除かれる。
本発明の電子写真感光体では、除電用電荷発生層への除電光の照射は、導電性基体側から行う。一方、有機感光層への露光光の照射は、感光体の表層側から行う。
本発明の画像形成装置は、感光体として前述の本発明に係る電子写真感光体を用い、該電子写真感光体の除電用電荷発生層に導電性基体側から除電光を照射する除電手段を備える限り、他の構成について特定のものに限定されず、電子写真方式の画像形成装置の構成として公知のものをいずれも採用できる。
本発明の画像形成装置は、前述のように高感度で高解像度の感光体を備えるので、高品質の画像を提供することのできる信頼性の高い画像形成装置として提供される。
本発明の画像形成装置は、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機であり得る。
・電荷発生層まで短波長レーザ光を透過させる必要があるため電荷輸送層はレーザ波長に対して透明でなければならない;
・エネルギーの高い短波長レーザを使用するため劣化が早い
は、この実施形態では問題とならない。なぜならば、本発明に係る電子写真感光体では電荷分離が感光体表層で起きるため、レーザ光が下層にまで到達する必要がなく、更に劣化は表層のみで進み、感光体の摩耗と共に劣化部分が剥離するからである。
なお、本発明の画像形成装置は、下記で具体的に説明する形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えた他の形態を含み得ることは勿論であり、そのような他の形態は本明細書及び図面の記載に基づいて当業者に容易に理解される。例えば、図4において感光体はドラム形状として示されているが、他の形状(例えばベルト状)であってもよく、その場合の画像形成装置の具体的形態は当業者に容易に理解される。
図4の画像形成装置20は、本発明に係る電子写真感光体21(例えば、図1〜3に示される形態の感光体)と、帯電手段(帯電器)24と、露光手段28と、現像手段(現像器)25と、転写手段(転写器)26と、クリーナ27と、定着手段(定着器)31と除電手段29とを含んで構成される。参照番号30は転写紙を示す。
除電手段29は、感光体21の導電性基体に面して(図4では感光体内部に)設けられており、クリーナ27と帯電器24との間で感光体に、その導電性基体側から除電光を照射する。除電光としては、感光体21の除電用電荷発生層中の電荷発生物質(特に主たる電荷発生物質)が吸収して電荷を発生させることができる波長の光を適宜選択する。
本発明の画像形成装置においては、負帯電型トナーを単層型感光体と組み合せて使用できる。このため、トナーの選択の幅が広がり、高機能なトナーを使用でき、更に高品質、高機能の画像形成装置として提供することができる。
除電光としては、除電用電荷発生層に含有されている電荷発生物質(特に主たる電荷発生物質)に電荷分離を起こさせ得る波長又は波長域を含む光を使用できる。除電光は露光光より長波長(例えば700〜900nm)であることが好ましい。
まず、感光体21が駆動手段によって矢印方向に回転駆動されると、露光手段28からの露光光の結像点よりも感光体21の回転方向上流側に設けられる帯電器24によって、感光体21の表面が負の所定電位に均一に帯電される。
厚さ1.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ300mmのガラス管上にITO膜を蒸着させて透光性の導電性基体を作製した。
このようにして図1の層構成を持つ実施例1の電子写真感光体を作製した。
中間層用の材料として、酸化アルミニウム(Al2O3)と二酸化ジルコニウム(ZrO2)とで表面処理された樹枝状の酸化チタン(石原産業(株)製:TTO-D-1)9重量部と、共重合ナイロン樹脂(東レ(株)製:CM8000)9重量部とを、1,3-ジオキソラン41重量部とメタノール41重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて12時間分散させ、中間層用塗布液を調製した。調製した塗布液を、実施例1と同じ透明な導電性基体上に浸漬塗布装置を用いて塗布した後、乾燥させ、膜厚1μmの中間層を形成した。
以降は実施例1と同様にして、図2の層構成を持つ実施例2の電子写真感光体を作製した。
除電用電荷発生層の電荷発生物質として、オキソチタニウムフタロシアニンを用いた以外は、実施例2と同様にして、実施例3の電子写真感光体を作製した。
有機感光層の電荷発生物質として下記構造式(2)で示されるクマリン系色素4重量部を用い、電子輸送物質として下記構造式(3)で示されるナフトキノン系化合物を用いた以外は、実施例3と同様にして、実施例4の電子写真感光体を作製した。
実施例3と同様にして除電用電荷発生層まで形成し、その上部に、電荷発生物質として下記構造式(4)で示されるペリレン系色素5重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製:Z-400)18重量部と、上記構造式(1)で示されるホール輸送物質10重量部と、電子輸送物質としてアリザリン5重量部と、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.5重量部と、THF120重量部とを、ボールミルで12時間分散した有機感光層用塗布液を浸漬塗布した後、温度110℃で1時間熱風乾燥させ、膜厚25μmの有機感光層を形成した。
このようにして実施例5の電子写真感光体を作製した。
実施例5で用いた感光層用塗布液から電子輸送物質であるアリザリンを除いた塗布液を用いて有機感光層を形成した以外は、実施例5と同様にして、実施例6の電子写真感光体を作製した。
実施例2と同様にして除電用電荷発生層まで形成し、その上に、無金属フタロシアニン0.2重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製:Z-400)18重量部と、上記構造式(1)で示されるホール輸送物質12重量部と、電子輸送物質である3,5-ジメチル-3',5'-ジ-t-ブチルジフェノキノン1重量部と、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.5重量部と、THF125重量部とを、ボールミルで12時間分散した塗布液を浸漬塗布した後、乾燥させ、膜厚15μmの有機感光層下層を形成した(電荷発生物質/バインダ樹脂=1/90)。
このようにして、有機感光層中の電荷発生物質のバインダ樹脂に対する配合比率が導電性基体側より表層側において高い実施例7の電子写真感光体を作製した。
実施例3と同様にして除電用電荷発生層まで形成し、その上に、上記構造式(1)で示されるホール輸送物質12重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製:Z200)18重量部とを、THF120重量部に溶解させた塗布液を浸漬塗布した後、乾燥させ、膜厚15μmのホール輸送層を形成した。その上に、電荷発生物質かつ電子輸送物質として前記構造式(4)で示されるペリレン系色素6重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製:Z-400)18重量部と、上記構造式(1)で示されるホール輸送物質10重量部と、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.5重量部と、THF120重量部とを、ボールミルで12時間分散した塗布液を、リング塗工法により塗布した後、温度110℃で1時間熱風乾燥させ、膜厚10μmの有機感光層を形成した。
このようにして図3の層構成を持つ実施例8の電子写真感光体を作製した。
実施例5の感光体上に、メチルトリメトキシシラン30重量部、ジメチルジメトキシシラン5重量部に2.5%酢酸水溶液20重量部、2-メトキシエタノール100重量部、メチルイソブチルケトン(MIBK)50重量部を混合し、室温にて16時間加水分解反応させた後、酸化防止剤(三共(株)製:サノールLS2626)1重量部、下記構造式(5)で示される電荷輸送性構造単位含有化合物5重量部、コロイダルシリカ(メタノール分散品、固形分30質量%)20重量部、硬化触媒としてアルミニウムアセチルアセトナート1重量部を加えて溶解した保護層形成用塗布液をリング塗工法により塗布した後、温度120℃で2時間硬化乾燥させ、膜厚1μmの保護層を持つ実施例9の電子写真感光体を作製した。
実施例2の除電用電荷発生層を除いた電子写真感光体を厚さ0.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ300mmのアルミニウム製円筒管上に作製した。この感光体はいわゆる一般の単層型感光体である。
実施例5の除電用電荷発生層を除いた電子写真感光体を厚さ0.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ300mmのアルミニウム製円筒管上に作製した。この感光体はいわゆる一般の単層型感光体である。
厚さ0.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ300mmのアルミニウム製円筒管上に実施例3と同様にして除電用電荷発生層(ここでは、機能分離型の積層感光層の電荷発生層として使用)まで形成し、その上に、前記構造式(1)で示されるホール輸送物質10重量部と、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学(株)製:Z200)16重量部と、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール0.5重量部とを、THF90重量部に溶解させた塗液を浸漬塗布した後、乾燥させ、膜厚25μmのホール輸送層(ここでは、機能分離型の積層感光層の電荷輸送層として使用)を形成した。この感光体はいわゆる一般の積層型感光体である。
以上のようにして作製した実施例1〜9及び比較例1〜3の各電子写真感光体について、温度/湿度:25℃/50%で、スコロトロン方式により−6.5kVでコロナ放電し、帯電直後の表面電位である帯電電位V0[V]、及びモノクロメータにて分光して得られた表2に示す波長の光での露光後80msecでの電子写真感光体の表面電位VL[V]を、感光体の導電性基体側から除電光を照射できるように改造した試験装置(ジェンテック(株)製:CYNTHIA56SN)を用いて測定した。
なお、導電性基体の透過率(実施例1)及び導電性基体と中間層とを合わせた透過率(実施例2〜9)の測定には、分光光度計U−3410(日立株式会社製)を使用した。
なお、比較例1〜3の電子写真感光体では従来通り感光体の表面(感光層側)から除電光を照射した。
一方、比較例1、2の単層型感光体は、感光層内部に電子が滞留し、表面電位が−850〜−900Vまで上昇し、露光しても電位が下がらないことが確認できた。
比較例3の積層型感光体は、感度的には問題なかった。
実施例2と7の感光体の比較より、有機感光層において電荷発生物質が表層側で多く存在するようにすると極めて良好な感度を示すことが確認できる。
実施例6と8の感光体の比較より、除電用電荷発生層と有機感光層との間にホール輸送層を設けることにより、極めて良好な感度が得られることが確認できる。
実施例3〜5及び比較例1、2の各電子写真感光体をシャープ製複写機AR-F330改造機(露光光源として表3の発振波長の半導体レーザを搭載し、実施例の測定用には除電光を導電性基体側から照射可能なように改造し、比較例の測定用には、除電光は感光層側から照射するが、正帯電システムに改造した)にて文字と写真が混在した標準画像を100回繰り返し出力し、メモリー現象の有無を確認した。
結果を表3に示す。
スコロトロン帯電器、絞り径の制御により300〜6000dpiまでレーザビーム径を可変に制御できる露光部(レーザの発振波長は表4に示す)、0.2μmの粒径のトナーを有する液体トナーで現像できる現像部を有する実験機において、実施例3〜5及び比較例3の各電子写真感光体を用い、孤立した1ドットと1ドットライン−1ドット分空白を繰り返した周期1ドットラインの画像を出力させて、各感光体の解像度を確認した。
結果を表4に示す。
2 中間層
3 除電用電荷発生層
4 有機感光層
5 ホール輸送物質
6 電子輸送物質
7 電荷発生物質A(露光用)
8 電荷発生物質B(除電用)
21 本発明の電子写真感光体
24 帯電器
25 現像器
26 転写器
27 クリーナ
28 露光手段
29 除電手段
30 転写紙
31 定着器
31a 加熱ローラ
31b 加圧ローラ
Claims (12)
- 導電性基体上に有機感光層を備える電子写真感光体において、前記有機感光層が電子輸送能を有する電荷発生物質及びホール輸送物質、又は電荷発生物質及び電子輸送物質及びホール輸送物質を含有し、前記感光体が、前記導電性基体と前記有機感光層との間に、電荷発生物質を含有する除電用電荷発生層を、前記有機感光層と前記除電用電荷発生層との間に、電荷輸送物質としてホール輸送物質のみを含有するホール輸送層を更に備え、前記導電性基体は、前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させ得る波長の光に対して透光性であることを特徴とする、導電性基体側から除電用電荷発生層へ光照射可能な電子写真感光体。
- 導電性基体上に有機感光層を備える電子写真感光体において、前記有機感光層がバインダ樹脂と、電子輸送能を有する電荷発生物質及びホール輸送物質、又は電荷発生物質及び電子輸送物質及びホール輸送物質とを含有し、前記有機感光層中の電荷発生物質のバインダ樹脂に対する配合比率が導電性基体側より表層側において高く、前記感光体が、前記導電性基体と前記有機感光層との間に、電荷発生物質を含有する除電用電荷発生層を更に備え、前記導電性基体は、前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させ得る波長の光に対して透光性であることを特徴とする、導電性基体側から除電用電荷発生層へ光照射可能な電子写真感光体。
- 前記有機感光層と前記除電用電荷発生層との間に、電荷輸送物質としてホール輸送物質のみを含有するホール輸送層を更に備える請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質が前記有機感光層中の電荷発生物質と異なる請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質が、前記有機感光層中の電荷発生物質より長波長に吸収を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質がフタロシアニン系色素から選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質がオキソチタニウムフタロシアニンである請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記有機感光層中の主たる電荷発生物質が、フタロシアニン系色素、アゾ系色素、多環キノン系色素、クマリン系色素及びペリレン系色素からなる群より選択される請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記導電性基体と前記除電用電荷発生層との間に、前記除電用電荷発生層中の電荷発生物質が吸収して電荷を発生させ得る波長の光に対して透光性である中間層を更に備える請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を負帯電に帯電させる帯電手段と、帯電された該電子写真感光体に対して露光を施す露光手段と、露光によって形成される静電潜像を現像する現像手段と、現像されたトナー像を転写する転写手段と、該電子写真感光体の除電用電荷発生層に導電性基体側から照射する除電光を用いて該電子写真感光体の残留電荷を除電する除電手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
- 前記露光手段が露光光源として380〜650nmの範囲に発振波長を有する半導体レーザを備える請求項10に記載の画像形成装置。
- 反転現像プロセスを利用する請求項10又は11に記載の画像形成装置。
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