JP3577001B2 - 電子写真感光体およびこれを用いた電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐オゾン性を有する電子写真感光体およびこれを用いる電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術は、C.F.Carlsonによって発明され、即時性、高品質かつ保存性の高い画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンタおよびファクシミリの分野でも広く使用され、大きな広がりをみせている。このような電子写真プロセスは、基本的に▲1▼感光体の均一な帯電、▲2▼像露光による静電潜像の形成、▲3▼潜像のトナーによる現像、▲4▼トナー像の紙への転写、▲5▼定着による画像形成、▲6▼残留トナーのクリーニングの6プロセスから構成される。なお、▲4▼トナー像の紙への転写は、中間に転写体を経由する場合もある。
【0003】
電子写真技術の中核となる電子写真感光体(以下、単に「感光体」とも称す)については、従来からSe、As−Se合金、CdSなどの無機系の光導電材料が用いられてきたが、最近では無公害、低コスト、製造容易性などの無機系材料では見られない多くの特徴を有するため、有機系の光導電材料を用いた有機系感光体が数多く提案され、開発されている。
【0004】
このような有機系感光体の構成としては、支持体上に順次、電荷発生物質をバインダ樹脂に分散させた電荷発生層と電荷移動物質をバインダ樹脂に分散させた電荷移動層とを積重ねた積層構造、電荷発生物質および電荷移動物質の双方をバインダ樹脂に分散させた単層構造、支持体上に順次、電荷移動層と電荷発生層とを積層した逆二層型積層構造など、様々な構成が提案されている。中でも感光層として電荷発生層上に電荷移動層を積層した機能分離型の感光体は、電子写真特性および耐久性に優れ、材料選択の自由度の高さから感光体特性を様々に設計できることから、広く実用化されている。
【0005】
前述のように提案または検討されている構成を有する感光体においては、高速化や長寿命化が進んだ最近のデジタル複写機およびレーザプリンタなどの反転現像方式の電子写真装置に対応して、感光体特性として高速化に対応する高感度化と、耐摩耗性および感度安定性の向上による長寿命化との両立が要求されている。特に、レーザプリンタなどに用いる感光体には、より高い画像信頼性や繰返し安定性が要求される。しかし、いずれの構成を有する感光体においても、高感度化および高耐摩耗性に優れた決定的な材料が得られていないため、充分な両立は達成されていない。
【0006】
電荷移動層における電荷移動物質の含有率を高くすることによって、ある程度の高速化は可能であるが、バインダ樹脂が少なくなるために耐摩耗性が劣り、感光体のライフが短くなる。逆に、バインダ樹脂の量を多くすると耐摩耗性が向上する反面、光応答性が低下する。光応答性が低下した状態で感光体を使用すると、感光体の表面電位が充分に減衰していない状態で繰返し使用されることになり、残留電位上昇に伴う電位変化が増大し、早期に画像品質の低下を招くなどの弊害が発生する。
【0007】
また、感度安定性についても、感光体の繰返し使用により、出力画像のコピー濃度に大幅な低下を引起してしまう場合が多く、感光体のライフが長くなるほど顕著になる。この劣化を引起しているすべての要因が判っているわけではないが、前述の感光層の摩耗に起因するものの他、いくつかの要因が判っている。コロナ放電帯電器から放出されるオゾンおよび窒素酸化物などの酸化性の活性ガスは劣化要因の一つであり、感光層に著しいダメージを与える。これらの酸化性の活性ガスは感光層中の材料を化学変化させ、種々の感光体特性変化をもたらす。たとえば帯電電位の低下、残留電位の上昇、表面抵抗の低下による解像力の低下などをもたらし、その結果、出力画像上に白抜けおよび黒帯などの画像ボケが発生して著しく画質を低下させ、感光体の寿命を短くしている。
【0008】
これらの弊害を防止するために、たとえば特開昭57−122444号公報で酸化防止剤添加による組成物劣化の防止や、使用材料の不純物の除去などが試みられているが、長期の繰返し使用において満足のできる電子写真特性を有する感光体は得られていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように従来の技術では、充分な耐オゾン性効果が得られなかったり、種々の化合物の添加によって感度および残留電位などの電子写真特性が悪化するなど、実用上、高速化および長寿命化を両立するには不充分である。
【0010】
本発明の目的は、電子写真特性に優れ、かつ著しく耐オゾン性を向上して、感度安定による長寿命化を達成した電子写真感光体を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性支持体上に設けられた感光層中に、電荷移動物質として下記一般式(1)で示されるベンゾフラン−アミン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
【0012】
【化2】
【0013】
(式中、Ar1は、置換基を含んでもよいアリレン基または置換基を含んでもよい2価の複素環基を示す。Ar2は、置換基を含んでもよいアリール基、置換基を含んでもよい複素環基、置換基を含んでもよいアラルキル基、置換基を含んでもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数1〜5のフルオロアルキル基または置換基を含んでもよい炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を示す。aは、置換基を含んでもよい炭素数1〜3のアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数1〜5のフルオロアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜4の整数を示す。ただしnが2以上のとき、複数のaは同一でも異なってもよく、互いに環を形成してもよい。)
【0014】
本発明に従えば、前記特定のベンゾフラン−アミン化合物を電荷移動物質として感光層に含有することによって、著しく耐オゾン性を向上し、かつ電子写真特性に優れ、良好な感度を長期にわたって安定して維持することができ、より高速なプロセスに長期間対応できる感光体を提供することができる。
【0015】
また本発明は、前記ベンゾフラン−アミン化合物が、感光層を構成する層であって電荷移動物質を含む電荷移動層中に含有されていることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、前記特定のベンゾフラン−アミン化合物を電荷移動層に含有させることによって、著しく耐オゾン性を向上し、かつ電子写真特性に優れ、良好な感度を長期にわたって安定して維持することができ、より高速なプロセスに長期間対応できる積層型の電子写真感光体を提供することができる。
【0017】
また本発明は、前記ベンゾフラン−アミン化合物が、前記感光層に含まれるバインダ樹脂に対して、重量比1/17〜30/17で含有されることを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、前記特定のベンゾフラン−アミン化合物を一定量含有させることによって、該ベンゾフラン−アミン化合物による効果が少なすぎたり、効果が飽和して製造原価を引上げたりすることなく、前記効果を効果的に奏することができる。
【0019】
また本発明は、前述の電子写真感光体を備えたことを特徴とする電子写真装置である。
【0020】
本発明に従えば、前記特定のベンゾフラン−アミン化合物を電荷移動物質として含有する電子写真感光体を搭載することにより、高感度で高解像力を有する画質が安定して得られる画像形成装置を提供することができる。特に反転現像プロセスにおいて、前記電子写真感光体を使用することにより、感光体の耐オゾン性を著しく向上して疲労劣化がなく、高耐久性かつ高感度で、ドットの再現性および文字再現性に非常に優れ、高解像度の出力画像が得られる画像形成装置を提供することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態による電子写真感光体は、導電性支持体上の感光層中に、電荷移動物質として下記一般式(1)で示されるベンゾフラン−アミン化合物を含有する。
【0022】
【化3】
【0023】
一般式(1)中、Ar1は、置換基を含んでもよいアリレン基または置換基を含んでもよい2価の複素環基を示す。Ar1の具体例としては、フェニレン基、ナフチレン基、ピリジレン基などが挙げられる。
【0024】
一般式(1)中、Ar2は、置換基を含んでもよいアリール基、置換基を含んでもよい複素環基、置換基を含んでもよいアラルキル基、置換基を含んでもよい炭素数1〜5のアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数1〜5のフルオロアルキル基または置換基を含んでもよい炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を示す。Ar2の具体例としては、フェニル、トリル、メトキシフェニル、ナフチル、ピレニルおよびビフェニルなどのアリール基、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルおよびN−エチルカルバゾリルなどの複素環基、メチルベンジル、メトキシベンジルおよび2−チエニルメチルなどのアラルキル基、メチル、エチルおよびn−プロピルなどのアルキル基、トリフルオロメチルなどのパーフルオロアルキル基、1、1、1−トリフルオロエチルなどのフルオロアルキル基が挙げられる。
【0025】
また、一般式(1)中、aは置換基を含んでもよい炭素数1〜3のアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数1〜5のフルオロアルキル基、置換基を含んでもよい炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、ハロゲン原子または水素原子を示し、nは1,2,3または4を示す。ただし、nが2以上のとき、対応するaは同一でも異なってもよく、互いに環を形成してもよい。aの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピルおよびイソプロピルなどのアルキル基、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシおよびイソプロポキシなどのアルコキシ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびジイソプロピルアミノなどのジアルキルアミノ基、ならびに、フッ素、塩素および臭素などのハロゲン原子などが挙げられる。一般的に電子供与性の置換基が好ましい。
【0026】
特に、一般式(1)で示されるベンゾフラン−アミン化合物のうち、電子写真特性および製造などの観点から優れたものとして、Ar1はフェニレン基またはナフチレン基であり、Ar2はフェニル基、p−メチルフェニル基またはナフチル基であり、aは水素原子であるものが挙げられる。
【0027】
次に、前記一般式(1)で示されるベンゾフラン−アミン化合物の具体例を表1および2に示すが、これらの構造によって本発明のベンゾフラン−アミン化合物が限定されるものではない。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
図1は、電荷発生層5上に電荷移動層6を有する機能分離型感光層を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図である。導電性支持体1上に、感光層4として、電荷発生物質2を主成分としてバインダ樹脂中に分散させた電荷発生層5と、電荷移動物質3を主成分としてバインダ樹脂中に分散させた電荷移動層6との積層から成る機能分離型感光体である。電荷発生層5の表面に電荷移動層6が形成され、この電荷移動層6の中に電荷移動物質3として、前述のベンゾフラン−アミン化合物が含有される。
【0031】
図2は、電荷移動層6上に電荷発生層5を有する機能分離型感光層を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図である。図1と同様の電荷発生層5と、電荷移動層6との積層から成る機能分離型感光体であるが、図1とは逆に電荷移動層6の表面に電荷発生層5が形成され、この電荷移動層6中に電荷移動物質3として、前述のベンゾフラン−アミン化合物が含有される。
【0032】
図3は、図1の電子写真感光体において中間層8を有する例を示す断面図である。導電性支持体1と図1と同様の感光層4との間に中間層8を設けた積層から成る機能分離型感光体の構成を示す。
【0033】
図4は、分散型感光層を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図である。導電性支持体1上に、感光層14として電荷発生物質2と、電荷移動物質3とをバインダ樹脂中に分散させた単層から成る単層型感光体において中間層8を有する例を示す断面図である。導電性支持体1と感光層14との間に中間層8を設けた単層から成る単層型感光体の構成を示す。
【0034】
本実施の形態による電子写真感光体は、図1〜4のいずれの構成を採ることもできる。
【0035】
導電性支持体1としては、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属および合金材料を用いることができる。その他、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金、酸化インジウムなどを蒸着または塗布したポリエステルフィルム、紙および金属フィルム、導電性粒子を含有したプラスチックおよび紙、ならびに、導電性ポリマーを含有するプラスチックなどを用いることができる。これらの材料は、円筒状、円柱状または薄膜シート状に加工して用いられる。
【0036】
また導電性支持体1の表面には、必要に応じて画質に影響のない範囲で陽極酸化皮膜処理、薬品および熱水などによる表面処理、着色処理、ならびに導電性支持体の表面を粗面化するなどの乱反射処理を施して、波長の整ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止するようにしてもよい。すなわち、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、入射したレーザ光と電子写真感光体内で反射する光が干渉を起こし、この干渉縞が画像上に現れ、画像欠陥を引起こすからである。
【0037】
中間層8は、反転現像プロセスにおける画像欠陥を防止し、導電性支持体表面の欠陥の被覆、帯電性の改善、感光層の接着性の向上、および感光層の塗布性改善などを目的として、導電性支持体1と感光層4または14との間に設けられる。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光部の表面電荷が減少した部分にトナー像が形成されるので、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着する黒ポチなどの画像のカブリが発生し、画質の著しい劣化を生じる。すなわち、導電性支持体1や感光層4または14の欠陥に起因して微小な領域での帯電性の低下を招くことになり、白地にトナーが付着する微小黒点(黒ポチ)と呼ばれる画像のカブリが発生するなど著しい画像欠陥となるので、中間層8により防止する。
【0038】
中間層8の材料としては、各種樹脂材料、金属粒子および金属酸化物粒子などを含有するものが用いられる。具体的には、金属酸化物粒子として、たとえば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化スズなどが挙げられる。樹脂単一層で中間層を形成する場合に用いられる材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリアミド樹脂などの樹脂材料や、これらの樹脂を構成するモノマーのうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ならびにエチルセルロースなどが知られている。これらのうち、特にポリアミド樹脂が好ましく、より好ましいポリアミド樹脂として、アルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることができる。たとえばナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11およびナイロン12などを共重合させた、いわゆる共重合ナイロンや、N−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させたタイプが好ましい。
【0039】
中間層8には、酸化チタンなどの金属酸化物を含有させ、中間層8中の体積抵抗値を調節し、導電性支持体1からの電荷の注入を防止するとともに各種環境下での感光体の電気特性を維持する場合がある。この場合、前述の樹脂を、水および各種有機溶剤、特に水、メタノール、エタノールもしくはブタノールの単独溶剤や、水とアルコール類、2種類以上のアルコール類、アセトンもしくはジオキソランなどとアルコール類、またはジクロロエタン、クロロホルムおよびトリクロロエタンなどの塩素系溶剤とアルコール類との混合溶剤に溶解させた溶液中で、酸化チタンなどの金属酸化物を分散し、中間層用塗布液を調製する。この分散液を用いて導電性支持体1上に塗布することにより中間層8を形成することできる。
【0040】
中間層用塗布液の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などの一般的な方法が適用できる。中間層用塗布液中の樹脂および金属酸化物の合計含有量Aは、中間層用塗布液に使用されている有機溶剤の含有量Bに対し、A/Bが3/97〜20/80の重量比率であることが好ましい。樹脂/金属酸化物は、重量比で90/10〜1/99であることが好ましく、70/30〜5/95がさらに好ましい。
【0041】
塗布する方法としては、スプレイ法、バーコード法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬法などが挙げられる。これらの塗布方法のうちから、塗液の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を選択することができる。特に浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗布槽に、導電性支持体1を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることにより中間層を形成する方法である。該浸漬塗布法は、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているために、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるため、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
【0042】
中間層8の膜厚は、好ましくは0.01μm以上20μm以下、より好ましくは0.05μm以上10μm以下の範囲である。中間層8の膜厚が0.01μmより薄ければ実質的に中間層8として機能しなくなり、導電性支持体1の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性支持体1からの電荷の注入を防止することができなくなり、帯電性の低下が生じる。20μmよりも厚くすることは、中間層を浸漬塗布する場合、感光体を製造する上で難しくなり感光体の感度が低下するために好ましくない。
【0043】
電荷発生物質2として有効なものは、モノアゾ、ビスアゾおよびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、金属フタロシアニンおよび非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系、スクアリリウム色素、ピリリウム塩やチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素、セレン、非晶質シリコンなどの無機材料が挙げられる。これらの電荷発生物質は単独で用いても、2種類以上組合わせて用いてもよい。
【0044】
前記電荷発生物質2は、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどで代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料、メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料、カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料、その他シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料、ならびにチオピリリウム塩染料などの増感染料と組合わせてもよい。
【0045】
電荷発生層5の形成方法としては、前記電荷発生物質2を、真空蒸着することによって形成する方法、および、バインダ樹脂を混合した有機溶剤に混合分散して成膜する方法がある。一般的にバインダ樹脂混合溶液中に電荷発生物質2を公知の方法にて分散した後、塗布する方法が好ましい。
【0046】
バインダ樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、これらの樹脂を構成するモノマーのうちの2つ以上を含む共重合体樹脂が用いられる。該共重合体樹脂としては、たとえば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂を挙げることができる。バインダ樹脂は、これらに限定されるものではなく、一般に用いられるすべての樹脂を単独または2種類以上混合して使用することができる。
【0047】
これらのバインダ樹脂を溶解する溶媒としては、塩化メチレンおよび二塩化エタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルおよび酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン(THF)およびジオキサンなどのエーテル類、ジメトキシエタンなどのセロソルブ類、ベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶媒、ならびに、これらの混合溶剤などを用いることができる。電荷発生物質2とバインダ樹脂との配合比は、電荷発生物質2の割合が10重量%〜99重量%の範囲が好ましい。この範囲より少ない場合は感度が低下し、多ければ電荷発生層の膜強度が低下するだけでなく、分散性が低下するために粗大粒子が増大することから画像欠陥、特に黒ポチが多くなる。
【0048】
混合分散処理する前に、予めバインダ樹脂を粉砕機によって粉砕処理してもよい。その粉砕に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などが挙げられる。分散条件としては、用いる容器および分散メディアの摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
【0049】
塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などが挙げられる。特に浸漬塗布法は、前述したように比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているために、電荷発生層5を形成する場合にも多く利用される。
【0050】
電荷発生層5の膜厚は、好ましくは0.05μm以上5μm以下、より好ましくは0.1μm以上1μm以下の範囲である。
【0051】
電荷移動物質3は、電荷発生物質2から発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する。電荷移動物質3としては、前述のように、一般式(I)で示されるベンゾフラン−アミン化合物を含有する。該ベンゾフラン−アミン化合物を電荷移動物質3として感光層4または14に含有することによって、著しく耐オゾン性を向上し、かつ電子写真特性に優れ、良好な感度を長期にわたって安定して維持することができ、より高速なプロセスに長期間対応できる感光体を提供することができる。
【0052】
前記ベンゾフラン−アミン化合物の添加量は、感光層4または14に含有されるバインダ樹脂に対して、重量比0.1/17〜45/17の範囲であり、好ましくは重量比1/17〜30/17である。感光層4に含有されるバインダ樹脂量とは、積層型の感光層4を構成する電荷発生層5と電荷輸送層6とに含有されるバインダ樹脂の合計量である。前記ベンゾフラン−アミン化合物の添加量が、前記バインダ樹脂量に対して重量比0.1/17未満では効果が低く、45/17を超えると効果が飽和して製造原価を考慮すると無意味となる。
【0053】
感光層4または14には、前記ベンゾフラン−アミン化合物以外の電荷移動物質3を混合して用いてもよい。他の電荷移動物質3としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物、これらの誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニル時アミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質が挙げられる。また、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、ブロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。
【0054】
この電荷移動物質3をバインダ樹脂に結着させて電荷移動層6を形成する。電荷移動層6に使用するバインダ樹脂としては、電荷移動物質3と相溶性を有するものであればよい。たとえばポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、およびこれらの共重合樹脂などが挙げられる。これらを単独または2種以上混合して用いてもよく、部分的に架橋した熱硬化性樹脂を使用してもよい。特に、ビスフェノールZ型ポリカーボネートは、耐摩耗性に優れるので、本実施形態において好適に用いることができる。また、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレートおよびポリフェニレンオキサイドなどの樹脂は、体積抵抗値が1013Ω以上で、皮膜性および電位特性などにも優れている。したがって、ビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合系は、耐摩耗性に加え、電気特性および成膜性を向上する効果を奏することがあるので好ましい。
【0055】
これらの電荷移動物質3およびバインダ樹脂を溶解させる溶剤は、メタノールおよびエタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどのエーテル類、ベンゼン、クロロベンゼンおよびトルエンなどの芳香族類などがある。
【0056】
電荷輸送層6には、必要に応じて従来公知の可塑剤、およびシリコーン系レベリング剤を添加し、感光層の加工性および可撓性を付与したり、表面平滑性を向上させることもできる。該可塑剤としては、たとえば二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、塩素化パラフィンおよびエポキシ型可塑剤などがある。また、電荷移動層6には、無機および有機化合物の微粒子を添加して機械的強度の増加や電気的特性の向上を図ることもできる。
【0057】
さらに電荷移動層6には、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤および増感剤などの各種添加剤を含んでもよい。特に酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール誘導体が好適である。ヒンダードフェノール誘導体は、電荷移動物質3に対して0.1重量%以上5重量%以下含まれることが好ましい。これによって電位特性に優れ、塗液としての安定性も高まる。
【0058】
電荷移動層6の形成は、前述の中間層8および電荷発生層5と同様に、たとえば適当な有機溶媒を用いて、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬法で行うことができ、特に浸漬塗布法は、前述したように種々の点で優れているため多く利用されている。塗布溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびモノクロルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタンおよびジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメトキシメチルエーテル、ジメチルホルムアミドなどの単独溶剤または2種類以上の混合溶剤が用いられ、必要に応じてアルコール類、アセトニトリルおよびメチルエチルケトンなどの溶剤をさらに加えて使用することができる。
【0059】
電荷移動層6の膜厚は、5〜50μmが好ましく、より好ましくは10〜40μmである。
【0060】
単層型の感光層14の場合には、前記電荷発生物質2および電荷移動物質3を前記バインダ樹脂中に分散させて塗布液を調整し、該塗布液を前記浸漬塗布法などによって単層の感光層14を形成する。なお感光層14にも感光層4と同様の添加剤を加えることができる。
【0061】
感光層4または14には、さらに1種類以上の電子受容物質や色素を含有し、感度の向上を図って繰返し使用時の残留電位の上昇および疲労などを抑えるようにしてもよい。該電子受容物質としては、たとえば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸および4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、テトラシアノエチレンおよびテレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アントラキノンおよび1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノンおよび2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環もしくは複素環ニトロ化合物、ならびにこれら電子吸引性材料を高分子化したものを用いることができる。前記色素としては、たとえばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料および銅フタロシアニンなどの有機光導電性化合物を光学増感剤として用いることができる。
【0062】
感光層4または14の表面には、保護層を設けることにより、感光層4または14の摩耗性の改善、ならびにオゾンおよび窒素酸化物などによる化学的悪影響を防止することができる。
【0063】
次に、以上のように構成された電子写真感光体を備える電子写真装置について説明する。なお、本発明の実施の形態による電子写真装置は、以下の記載内容に限定されるものではない。
【0064】
図5は、本発明の実施の形態による電子写真感光体を有する電子写真装置の概略を示す構成図である。電子写真感光体11の周囲に、帯電器32、半導体レーザ31、現像器33、転写帯電器34、定着装置35およびクリーナ36が順に配置されている。
【0065】
ドラム状の電子写真感光体11は、図示しない駆動手段によって矢符41の方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体11は、回転過程において、接触式または非接触式の帯電器32によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受ける。次いで、半導体レーザ31からのレーザビームが、感光体11の表面に対してその長手方向(主走査方向)に繰返し走査され、感光体11の周面に静電潜像が順次形成されていく。形成された静電潜像は、結像点よりも回転方向下流に設けられた現像器33により、トナー像として現像される。
【0066】
感光体11への露光と同期して、転写紙が現像器33のさらに回転方向下流側に設けられる転写帯電器34に与えられ、該転写紙にトナー像が転写される。転写紙は搬送ベルトによって定着器35に搬送されて、トナー像が転写紙に定着される。このようにして画像が形成された転写紙は排紙される。クリーナ36は、転写帯電器34のさらに回転方向下流側であって帯電器32の回転方向上流側に、図示しない除電ランプとともに設けられ、感光体11表面に残留するトナーを清掃する。さらに感光体11を回転させることによって以上の回転過程が繰返され、画像が形成される。
【0067】
なお、帯電器32により感光体11の周面を負帯電させる場合、露光により表面電荷が減少した露光領域にマイナス帯電されたトナーを付着させて現像する反転現像プロセスが採用される。
【0068】
感光層中に前述のベンゾフラン−アミン化合物を電荷移動物質として含有する電子写真感光体を搭載することにより、高感度で高解像力を有する画質が安定して得られる画像形成装置を提供することができる。特に反転現像プロセスにおいて、前記電子写真感光体を使用することにより、感光体の耐オゾン性を著しく向上して疲労劣化がなく、高耐久性かつ高感度で、ドットの再現性および文字再現性に非常に優れ、高解像度の出力画像が得られる画像形成装置を提供することができる。
【0069】
また、帯電器32が帯電ローラなどを用いた接触帯電手段である場合は、接触帯電器32に感光体11上の残留トナーをクリーニングする機能を持たせ、クリーニング手段36を省いてもよいし、さらに光除電プロセスも省くことができる。
【0070】
さらに、感光体11を、帯電器32、現像器33およびクリーナ36のうちの少なくともいずれか1つと一体的に構成して、プロセスカートリッジとしてもかまわない。たとえば、感光体11、帯電器32、現像器33およびクリーナ36のすべてを組込んだプロセスカートリッジ、感光体11、帯電器32および現像器33を組込んだプロセスカートリッジ、感光体11とクリーナ36とを組込んだプロセスカートリッジおよび感光体11と現像器33とを組込んだプロセスカートリッジが構成可能である。このようなプロセスカートリッジを用いると、プリンタなどにおける交換が容易となる。
【0071】
以下、本発明の電子写真感光体およびこれを用いた電子写真装置について、実施例によりさらに具体的に説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。
【0072】
(実施例1)
無機材料として酸化チタン(石原産業社製TTO−D−1)30重量部およびバインダ樹脂として共重合ナイロン樹脂(東レ社製CM8000)30重量部を、メチルアルコール564重量部と1,2−ジクロロエタン376重量部との混合溶媒に加えた後、ペイントシェーカを用いて8時間分散して下引き層用塗布液を調製した。調製した下引き層用塗布液を塗工槽に満たし、直径40mm×長さ340mmのアルミニウム製円筒状支持体を導電性支持体として、浸漬塗布法によって該導電性支持体上に膜厚1.0μmの中間層である下引き層を形成した。
【0073】
次いで、電荷発生物質としてCuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)が少なくとも27.3°に明確な回折ピークを有する結晶型のオキソチタニルフタロシアニン顔料2重量部と、ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製エスレックBM−S)1重量部とメチルエチルケトン97重量部とを混合し、ペイントシェーカにて分散して電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を先に形成した下引き層の上に、前記下引き層と同様の方法で膜厚0.4μm程度の電荷発生層を形成した。
【0074】
次いで、下記構造式(2)で示されるスチリル系化合物10重量部、ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製ユーピロン(Z−200))16重量部及び例示化合物No5のベンゾフラン−アミン化合物4重量部を混合し、さらにジメチルポリシロキサン(信越化学工業社製KF−96)をバインダ樹脂に対して0.02重量%の割合で加え、THFを溶剤として固形分23重量%の電荷移動層用塗布液を調整した。この電荷移動層用塗布液を塗工槽に満たし、浸漬塗布法により前記電荷発生層上に塗布後、110℃にて1時間乾燥して膜厚23μmの電荷輸送層を形成し、感光体サンプルを作製した。
【0075】
【化4】
【0076】
(実施例2〜5)
例示化合物No.5に代えて、表1および表2にそれぞれ示した例示化合物No.1,11,16,20のベンゾフラン−アミン化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、各層用塗布液を調製し、4種類の電子写真感光体を作製した。
【0077】
(実施例6)
例示化合物No.5に代えて、表1に示した例示化合物No1のベンゾフラン−アミン化合物を1重量部用いた以外は、実施例1と同様にして、各層用塗布液を調製し、電子写真感光体を作製した。
【0078】
(実施例7)
例示化合物No.5に代えて、表1に示した例示化合物No1のベンゾフラン−アミン化合物を30重量部用いた以外は、実施例1と同様にして、各層用塗布液を調製し、電子写真感光体を作製した。
【0079】
(比較例1)
例示化合物No.1を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、各層用塗布液を調製し、電子写真感光体を作製した。
【0080】
(比較例2)
例示化合物No.5のベンゾフラン−アミン化合物に代えて、下記構造式(3)で示されるアミン化合物4重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、各層用塗布液を調製し、電子写真感光体を作製した。
【0081】
【化5】
【0082】
(比較例3)
例示化合物No.5のベンゾフラン−アミン化合物に代えて、下記構造式(4)で示されるアミン化合物4重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、各層用塗布液を調製し、電子写真感光体を作製した。
【0083】
【化6】
【0084】
(実施例1〜7および比較例1〜3の評価)
このようにして作製した電子写真感光体を、市販のデジタル複写機(シャープ社製AR−C150)に搭載し、レーザ露光部における初期の表面電位VLおよび該VLから40,000枚の実写エージング(Aging)終了後の表面電位への変化量ΔVLを測定するとともに、実写エージング前後の画像特性を比較して評価した。これらの評価結果を表3に示す。
【0085】
【表3】
【0086】
表3に示されるように、ベンゾフラン−アミン化合物を含有していない比較例1および単なるアミン化合物を含有した比較例2,3では、実写エージング後の出力画像に、白抜け、黒帯などのオゾン劣化による画像ボケが発生していることが判る。
【0087】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、前記特定のベンゾフラン−アミン化合物を電荷移動物質として感光層に含有することによって、著しく耐オゾン性を向上し、かつ電子写真特性に優れ、良好な感度を長期にわたって安定して維持することができ、より高速なプロセスに長期間対応できる電子写真感光体を提供することができる。
【0088】
また本発明によれば、前記電子写真感光体を搭載することにより、感光体の耐オゾン性を著しく向上して疲労劣化がなく、高耐久性かつ高感度で、ドットの再現性および文字再現性に非常に優れ、高解像度の出力画像が得られる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電荷発生層5上に電荷移動層6を有する機能分離型感光層を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】電荷移動層6上に電荷発生層5を有する機能分離型感光層を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図である。
【図3】図1の電子写真感光体において中間層8を有する例を示す断面図である。
【図4】電荷発生物質2および電荷移動物質3を含有する単層の分散型感光層を有する電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態による電子写真感光体を有する電子写真装置の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 電荷発生物質
3 電荷移動物質
4,14 感光層
5 電荷発生層
6 電荷移動層
8 中間層
Claims (4)
- 導電性支持体上に設けられた感光層中に、電荷移動物質として下記一般式(1)で示されるベンゾフラン−アミン化合物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 前記ベンゾフラン−アミン化合物が、感光層を構成する層であって電荷移動物質を含む電荷移動層中に含有されていることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 前記ベンゾフラン−アミン化合物が、前記感光層に含まれるバインダ樹脂に対して、重量比1/17〜30/17で含有されることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜3のいずれか記載の電子写真感光体を備えたことを特徴とする電子写真装置。
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