JP2002268250A - 電子写真感光体及びこれを用いた電子写真装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電安定性や耐ガス性にすぐれ、長期にわた
り良質の画像が得られる電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 感光層中に下記（Ｉ）（II）又は（II
I）で表わされる化合物を含有させる。 【化１】 【化２】 【化３】

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はアナログ・デジタル
複写機、レーザープリンター、レーザーファクシミリ等
の電子写真装置に利用される電子写真感光体、及びこれ
を用いた電子写真装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、電子写真感光体用の光導電性素材
として、Ｓｅ、ＣｄＳ、ＺｎＯ等の無機材料に対し、感
度、熱安定性、毒性等に優位性を有する有機光導電性材
料を用いた電子写真感光体の開発が盛んに行なわれてお
り、多くの複写機およびプリンターにおいては、有機光
導電性材料を用いた電子写真感光体が搭載されるに到っ
ている。

【０００３】この有機光導電性材料を用いた電子写真感
光体において、感光層を形成する場合、電荷発生層上に
電荷輸送層を積層した機能分離型のものが感度、耐久性
に優れるため一般に用いられている。このタイプの感光
体において電荷輸送層は一般に電荷輸送物質と結着樹脂
及び必要に応じ数種の添加剤から構成されている。

【０００４】しかしながら、近年の複写機やプリンター
のデジタル化、高画質化にともない、黒斑点、白斑点、
地汚れ等の微小欠陥による異常画像が顕著に画像となっ
て現れやすくなる。さらに、繰り返し使用に伴い、感光
層膜厚が摩耗により次第に薄くなることや、高画質を達
成するためには電荷輸送層の薄膜化が要求されるなど、
帯電安定性、繰り返し安定性や耐ガス性が電子写真感光
体にますます要求されている。

【０００５】これらの問題に対し、高い帯電安定性の電
子写真感光体を得る方法として、従来、感光層と支持体
との間に中間層を設けることにより、帯電電位または暗
部電位低下の抑制を行うことが提案されている。このよ
うな中間層としては、ポリアミド（特開昭４６−４７３
４４号公報、特開昭５２−２５６３８号公報記載）、ポ
リエステル（特開昭５２−２０８３６号公報、特開昭５
４−２６７３８号公報記載）、ポリウレタン（特開昭４
９−１００４４号公報、特開昭５３−８９４３５号公報
記載）、カゼイン（特開昭５５−１０３５５５６号公報
記載）、ポリビニルアルコール（特開昭５２−１００２
４０号公報記載）、ポリビニルピロリドン（特開昭４８
−３０９３６号公報記載）、ポリビニルブチラール（特
開昭５７−９０６３９号公報、特開昭５８−１０６５４
９号公報記載）、酢酸ビニル−エチレン共重合体（特開
昭４８−２６１４１号公報記載）、エチルセルロース
（特開昭５５−１４３５６４号公報記載）、Ｎ−メトキ
シメチル化ナイロン（特開平２−１０８０６４号公報記
載）等の樹脂を用いることが知られている。 しかしな
がら、これら材料の中間層を用いた電子写真感光体は、
帯電電位の低下は低減するものの残留電位が上昇してし
まう、また反対に残留電位上昇は生じないものの帯電電
位は低下するといった問題や、環境による静電特性の変
動が大きくなるといった問題があり、中間層を設けるこ
とではなお十分なものは得られていない。

【０００６】繰り返し使用による残留電位の防止に関し
ては、感光層中にスルホン酸エステル化合物及び芳香族
カルボン酸の金属錯体又は金属塩（特許第２９５３１２
４号公報）や、脂肪族エステル化合物（特開平８−３２
０５８１号公報）を添加することが提案されている。し
かしながら、これらの化合物は残留電位の上昇に対する
効果が低かったり、感光層の膜厚が薄くなるに従って微
小黒点等の異常画像が発生してしまうといった問題があ
った。

【０００７】また、耐ガス性の向上に関しては特開昭５
７−１２２４４４号公報、特開昭６３−１８３５５号公
報等に示されるように酸化防止剤（ヒンダードフェノー
ル化合物、燐系化合物、硫黄系化合物、アミン系化合
物、ヒンダードアミン系化合物等）を感光層中に添加す
ることが提案されている。しかしながら、これら酸化防
止剤は耐ガス性に対する効果が低かったり、また効果的
には十分であっても、その他の特性（感度、残留電位
等）を著しく劣化させてしまうといった問題があり、十
分なものは得られていない。

【０００８】さらに、繰り返し使用による耐刷性に関し
ては特開平１１−２０２５３５号公報に示されるよう
に、エステル基を有するワックスを感光層中に添加する
ことが提案されている。しかしながら、これらのワック
スは耐ガス性に対する効果が低かったり、耐久性には効
果が十分あっても、その他の特性（感度、残留電位等）
を著しく劣化させてしまうといった問題があり、今なお
満足のいく電子写真感光体は得られていない。

【０００９】このように、帯電安定性、繰り返し安定性
や耐ガス性に優れ、高画質デジタル複写機やプリンター
で用いる際に微小欠陥、画像ボケ等の異常画像発生のな
い電子写真感光体は得られていないのが現状である。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は前記従
来の問題点を解決し、感光層及び電荷輸送層の膜厚に依
存せず、帯電安定性、繰り返し安定性や耐ガス性に優
れ、長期に渡り微小欠陥、画像ボケ等の異常画像発生の
ない電子写真感光体、及びこれを用いた電子写真装置を
提供することにある。

【００１１】

【発明が解決するための手段】本発明者は、下記一般式
（Ｉ）、（II）及び（III）に示す化合物が前記従来の
問題点である、帯電安定性、繰り返し安定性、及び耐ガ
ス性を改善するのに有効であることを見いだし、これを
電子写真感光体に利用すべく、鋭意検討の結果本発明を
完成した。

【００１２】

【化６】 （式中、Ｒ₁₁は炭素数が８〜２５の直鎖、分岐、飽和又
は不飽和いずれでもよい脂肪族炭化水素基を表し、Ｒ₁₂
は炭素数が４以下の直鎖、分岐いずれでもよい炭化水素
基を表す。）

【００１３】

【化７】 （式中、Ｒ₂₁、Ｒ₂₂、Ｒ₂₃、Ｒ₂₄及びＲ₂₅はそれぞれ独
立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素
数１〜８好ましく１〜６の直鎖、分岐、飽和又は不飽和
のいずれでもよいアルキル基またはアルコキシ基を表
し、Ｒ₂₆は炭素数が８〜２５の直鎖、分岐、飽和又は不
飽和のいずれでもよいアルキル基を表す。）

【００１４】

【化８】 （式中、Ｒ₃₁、Ｒ₃₂、Ｒ₃₃、Ｒ₃₄及びＲ₃₅はそれぞれ独
立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素
数１〜８好ましく１〜６の直鎖、分岐、飽和又は不飽和
のいずれでもよいアルキル基またはアルコキシ基を表
し、Ｒ₃₆は炭素数が８〜２５の直鎖、分岐、飽和又は不
飽和のいずれでもよいアルキル基を表す。）

【００１５】従って、本発明によれば、導電性基体上に
感光層を有する電子写真感光体において、感光層中に少
なくとも下記一般式（Ｉ）、（II）、（III）で表され
る化合物の少なくとも１種が含有されてなることを特徴
とする電子写真感光体が提供される。

【化９】 （式中、Ｒ₁₁は炭素数が８〜２５の直鎖、分岐、飽和又
は不飽和いずれでもよい脂肪族炭化水素基を表し、Ｒ₁₂
は炭素数が４以下の直鎖、分岐いずれでもよい炭化水素
基を表す。）

【化１０】 （式中、Ｒ₂₁、Ｒ₂₂、Ｒ₂₃、Ｒ₂₄及びＲ₂₅はそれぞれ独
立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素
数１〜８好ましくは１〜６の直鎖、分岐、飽和又は不飽
和のいずれでもよいアルキル基またはアルコキシ基を表
し、Ｒ₂₆は炭素数が８〜２５の直鎖、分岐、飽和又は不
飽和のいずれでもよいアルキル基を表す。）

【化１１】 （式中、Ｒ₃₁、Ｒ₃₂、Ｒ₃₃、Ｒ₃₄及びＲ₃₅はそれぞれ独
立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素
数１〜８好ましくは１〜６の直鎖、分岐、飽和又は不飽
和のいずれでもよいアルキル基またはアルコキシ基を表
し、Ｒ₃₆は炭素数が８〜２５の直鎖、分岐、飽和又は不
飽和のいずれでもよいアルキル基を表す。）

【００１６】また、本発明によれば、帯電手段によって
潜像形成準備を行い、その後の像露光によって潜像形成
を行う電子写真装置において、上記の電子写真感光体を
用いることを特徴とする電子写真装置が提供される。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。前記一般式（Ｉ）で表される化合物の具体例とし
ては、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン
酸イソプロピル、ラウリン酸ｎ−ブチル、ラウリン酸イ
ソブチル、パルミティン酸メチル、パルミティン酸エチ
ル、パルミティン酸イソプロピル、パルミティン酸ｎ−
ブチル、パルミティン酸イソブチル、ステアリン酸メチ
ル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ｎ−ブチル、ス
テアリン酸イソブチル、オレイン酸メチル、オレイン酸
エチル、オレイン酸ｎ−ブチル等が挙げられる。

【００１８】前記一般式（II）で表される化合物の具体
例としては、ラウリルベンゾエート、パルミティルベン
ゾエート、ステアリルベンゾエート、オレイルベンゾエ
ート、ラウリルサリチレート、パルミティルサリチレー
ト、ステアリルサリチレート、オレイルサリチレート、
ラウリルｏ−アニセート、パルミティルｍ−アニセー
ト、ステアリルｏ−アニセート、オレイルｐ−アニセー
ト、ラウリルｏ−トルエート、パルミティルｍ−トルエ
ート、ステアリルｏ−トルエート、オレイルｐ−トルエ
ート、２−クロロ安息香酸ラウリルエステル、３−クロ
ロ安息香酸パルミティルエステル、２−クロロ安息香酸
ステアリルエステル、４−クロロ安息香酸オレイルエス
テル等が挙げられる。

【００１９】前記一般式（III）で表されるこのような
化合物の具体例としては、ラウリン酸フェニル、パルミ
ティン酸フェニル、ステアリン酸フェニル、オレイン酸
フェニル、ラウリン酸−２−ヒドロキシ−フェニル、パ
ルミティン酸−３−ヒドロキシ−フェニル、ステアリン
酸−２−ヒドロキシ−フェニル、オレイン酸−４−ヒド
ロキシ−フェニル、ラウリン酸−２−メトキシ−フェニ
ル、パルミティン酸−３−メトキシ−フェニル、ステア
リン酸−２−メトキシ−フェニル、オレイン酸−４−メ
トキシ−フェニル、ラウリン酸−２−メチル−フェニ
ル、パルミティン酸−３−メチル−フェニル、ステアリ
ン酸−２−メチル−フェニル、オレイン酸−４−メチル
−フェニル、ラウリン酸−２−クロロ−フェニル、パル
ミティン酸−３−クロロ−フェニル、ステアリン酸−２
−クロロ−フェニル、オレイン酸−４−クロロ−フェニ
ル等が挙げられる。

【００２０】さらに本発明によれば、前記一般式（II）
及び一般式（III）に示される化合物のうち、後述の一
般式（IIa）及び一般式（IIIa）に示される化合物を用
いることが効果の点でより好ましい。

【化１２】 （式中、Ｒ₂₁は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ
基、炭素数１〜８好ましくは１〜６の直鎖、分岐、飽和
又は不飽和のいずれでもよいアルキル基またはアルコキ
シ基などを表し、Ｒ₂₆′は炭素数が１２〜２２の直鎖、
分岐、飽和又は不飽和のいずれでもよいアルキル基を表
す。）

【化１３】 （式中、Ｒ₃₁は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ
基、炭素数１〜８好ましくは１〜６の直鎖、分岐、飽和
又は不飽和のいずれでもよいアルキル基又はアルコキシ
基などを表し、Ｒ₃₆′は炭素数が１２〜２２の直鎖、分
岐、飽和又は不飽和のいずれでもよいアルキル基を表
す。）

【００２１】なお、本発明の前記一般式（II）、（II
a）、（III）、（IIIa）における式中Ｒ₂₁、Ｒ₂₂、
Ｒ₂₃、Ｒ₂₄、Ｒ₂₅、Ｒ₃₁、Ｒ₃₂、Ｒ₃₃、Ｒ₃₄、Ｒ₃₅のア
ルキル基としては炭素数１〜６の低級アルキル基が好ま
しく、特にメチル基、エチル基が好ましい。またアルコ
キシ基としてはメトキシ基、エトキシ基等が好ましい。
また式中、Ｒ₂₆′、Ｒ₃₆′のアルキル基は直鎖、分岐、
飽和、不飽和のいずれでもよいが、好ましくは直鎖であ
る。

【００２２】さらに本発明によれば、前記一般式（Ｉ）
（II）（IIa）（III）（IIIa）で示される化合物の少な
くとも１種の添加量は、感光層又は電荷輸送層に含有さ
れる結着樹脂１００重量部に対し０．１〜２０重量部で
あることが効果の点でより好ましい。添加量が前記の範
囲よりも少ないと、帯電安定性、耐ガス性に効果が小さ
く、前記の範囲よりも多い場合は、繰り返し使用時の残
留電位が上昇しやすくなる。

【００２３】本発明において、一般式（Ｉ）（II）（II
a）（III）（IIIa）のいずれかの化合物を感光層及び電
荷輸送層中に含むことにより耐ガス性および静電的な耐
久性が極めて良好となる理由は明らかでないが、化合物
の構造が長鎖と短鎖の両方を含むために、感光層や電荷
輸送層中での相溶性が高く、かつ化合物が空隙に入りこ
みやすくガス透過性を低下させることが可能になると考
えられる。さらに、鎖長の差に起因する化合物内の極性
が感光層や電荷輸送層中で熱励起キャリアの移動を防ぐ
役割を果たすと考えられる。

【００２４】また、高画質化を達成する手段として、電
荷輸送層を薄膜にして電荷移動時の拡散を少なくする方
法が挙げられるが、薄膜になるに従いガス透過量が増加
することや感光層の電界強度が高くなることから、上記
本発明の化合物を含有することで、帯電安定性、繰り返
し安定性や耐ガス性の効果がより顕著になる。さらに、
高画質デジタル複写機やプリンターによって、繰り返し
使用に伴い感光層が削れた際にも、上記と同様な理由か
ら、化合物を含有することで帯電安定性、繰り返し安定
性や耐ガス性の効果がより顕著になる。

【００２５】本発明に用いる電子写真感光体用導電性支
持体は体積抵抗が１０¹⁰Ω・ｃｍ以下の導電性を示すも
のが挙げられ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロ
ム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化ス
ズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはス
パッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラ
スチック、紙に被覆したものや、ＪＩＳ３００３系、Ｊ
ＩＳ５０００系、ＪＩＳ６０００系等のアルミニウム合
金を、ＥＩ法、ＥＤ法、ＤＩ法、ＩＩ法など一般的な方
法により管状に成形をおこなったもの、さらにはダイヤ
モンドバイト等による表面切削加工や研磨、陽極酸化処
理等を行ったものを用いることができる。また、特開昭
５２−３６０１６号公報に開示されたエンドレスニッケ
ルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体
として用いる事ができる。

【００２６】支持体上に形成する感光層は、電荷発生機
能と電荷輸送機能を合わせ持つ単層型の感光層や、電荷
発生物質を含有する電荷発生層および電荷輸送物質を含
有する電荷輸送層を積層した積層型の感光層のいずれで
もよい。また、支持体上から感光層への電荷注入の防止
や、干渉縞防止の目的のため、支持体と感光層との間に
中間層を設けてもよい。

【００２７】中間層の構成は、結着樹脂や結着樹脂中に
粒子を分散したものが用いられ、結着樹脂としてはポリ
ビニルアルコール、ニトロセルロース、ポリアミド、ポ
リ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン、アルキ
ッド−メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂などを利用する
ことができる。中間層に分散させる粒子としては酸化チ
タン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化ジル
コニウム、酸化マグネシウム、シリカ及びそれらの表面
処理品が用いられ、酸化チタンが分散性、電気的特性に
おいてより好ましく、ルチル型とアナターゼ型いずれの
ものも用いることが可能である。

【００２８】本発明における中間層を形成するには、例
えば上述の結着樹脂を有機溶剤中に溶解し、その溶液中
に上述の粒子をボールミル、サンドミル等の手段で分散
し、支持体上に塗布、乾燥すれば良い。中間層の厚みは
１０μｍ以下、好ましくは０．１〜６μｍである。

【００２９】電荷発生層は電荷発生物質を主成分とする
層であり、必要に応じてバインダー樹脂が用いられる。
電荷発生物質としては、無機系材料あるいは有機系材料
のいずれも用いることができる。無機系材料としては、
結晶セレン、アモルファスセレン、セレン−テルル、セ
レン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素等のセレン化合
物やアモルファスシリコンなどが挙げられる。アモルフ
ァスシリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原
子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原
子、リン原子等をドープしたものが良好に使用される。

【００３０】一方、有機系材料としては、公知の材料を
用いることが出来る。例えば、金属フタロシアニン、無
金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズ
レニウム塩顔料、スクエアリツク酸メチン顔料、カルバ
ゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格
を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ
顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フル
オレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格
を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔
料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔
料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペ
リレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔
料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフ
ェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系
顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系
顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられ
る。これらの電荷発生物質は、単独または２種以上の混
合物として用いることができる。

【００３１】必要に応じて用いられる結着樹脂として
は、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケ
トン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹
脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポ
リビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−Ｎ−ビニルカル
バゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これ
らの結着樹脂は、単独または２種以上の混合物として用
いることができる。また、電荷発生層には、必要に応じ
て電荷輸送物質を添加してもよい。

【００３２】電荷発生層を形成する方法としては、大別
すると、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティ
ング法とが挙げられる。真空薄膜作製法としては、真空
蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、
スパッタリング法、反応性スパッタリング法、ＣＶＤ法
などが挙げられ、上述した無機系材料あるいは有機系材
料を用いて電荷発生層が良好に形成できる。また、キャ
スティング法によって電荷発生層を形成するには、上述
した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要に応じて
バインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキ
サノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶
媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなど
により分散し、分散液を適度に希釈して塗布し乾燥させ
ればよい。塗布方法としては、浸漬塗工法、スプレーコ
ート法、ビードコート法などを用いることができる。

【００３３】このようにして形成される電荷発生層の膜
厚は、０．０１〜５μｍ程度が適当であり、特に０．０
５〜２μｍが好ましい。

【００３４】電荷輸送層は電荷輸送物質を主成分として
なる層であり、電荷輸送物質およびバインダー樹脂、さ
らに本発明に示される前記一般式（Ｉ）（II）（IIa）
（III）（IIIa）の化合物の少なくとも１種を適当な溶
剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエ
ン、モノクロルベンゼン、ジクロルエタン、塩化メチレ
ン、シクロヘキサノンなどに溶解あるいは分散し、その
溶液あるいは分散液を塗布し乾燥させることにより形成
することができる。また、電荷輸送層には、必要によ
り、可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤などを添加する
こともできる。

【００３５】電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸
送物質とがある。

【００３６】電子輸送物質としては、例えば、クロルア
ニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシ
アノキノジメタン、２，４，７−トリニトロ−９−フル
オレノン、２，４，５，７−テトラニトロキサントン、
２，４，８−トリニトロチオキサントン、２，６，８−
トリニトロ−４Ｈ−インデノ［１，２−ｂ］チオフェン
−４−オン、１，３，７−トリニトロジベンゾチオフェ
ン−５，５−ジオキサイド、３，５−ジメチル−３′，
５′−ジターシヤリーブチル−４，４′−ジフェノキノ
ンなどの公知の電子受容性物質が挙げられる。これらの
電子輸送物質は単独または２種以上の混合物として用い
ることができる。

【００３７】また、正孔輸送物質としては、オキサゾー
ル誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導
体、トリフェニルアミン誘導体、９−（ｐ−ジエチルア
ミノスチリルアントラセン）、１，１−ビス−（４−ジ
ベンジルアミノフェニル）プロパン、スチリルアントラ
セン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α
−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリ
アゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導
体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、
チオフェン誘導体などが挙げられ、これらの正孔輸送物
質は単独または２種以上の混合物として用いることがで
きる。

【００３８】電荷輸送層に用いられる結着樹脂として
は、ポリカーボネート（ビスフェノ−ルＡ型、ビスフェ
ノ−ルＺ型等）、ポリエステル、メタクリル樹脂、アク
リル樹脂、ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポ
リスチレン、フェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレ
タン、ポリ塩化ビニリデン、アルキッド樹脂、シリコン
樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルホルマール、ポリアクリレート、ポリア
クリルアミド、フェノキシ樹脂などが挙げられる。これ
らの結着樹脂は、単独または２種以上の混合物として用
いることが出来る。結着樹脂の使用量は、電荷輸送物質
１００重量部に対して０〜１５０重量部が適当である。

【００３９】また、結着樹脂としては、結着樹脂として
の機能および電荷輸送物質としての機能を有する高分子
電荷輸送物質を用いることもできる。このような高分子
電荷輸送物質としては、（ａ）主鎖および／または側鎖
にカルバゾール環を有する重合体、例えば、ポリ−Ｎ−
ビニルカルバゾール、特開昭５０−８２０５６号公報、
特開昭５４−９６３２号公報、特開昭５４−１１７３７
号公報、特開平４−１８３７１９号公報に記載の化合物
などが例示できる。（ｂ）主鎖および／または側鎖にヒ
ドラゾン構造を有する重合体、例えば、特開昭５７−７
８４０２号公報、特開平３−５０５５５号公報に記載の
化合物などが例示できる。（ｃ）ポリシリレン重合体、
例えば、特開昭６３−２８５５５２号公報、特開平５−
１９４９７号公報、特開平５−７０５９５号公報に記載
の化合物などが例示できる。（ｄ）主鎖および／または
側鎖に第３級アミン構造を有する重合体、例えば、Ｎ，
Ｎ−ビス（４−メチルフェニル）−４−アミノポリスチ
レン、特開平１−１３０６１号公報、特開平１−１９０
４９号公報、特開平１−１７２８号公報、特開平１−１
０５２６０号公報、特開平２−１６７３３５号公報、特
開平５−６６５９８号公報、特開平５−４０３５０号公
報に記載の化合物などが例示できる。このようにして形
成される電荷輸送層の膜厚は、５〜１００μｍ程度が適
当である。

【００４０】レベリング剤としては、ジメチルシリコー
ンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリ
コーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有
するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用
量は、バインダー樹脂に対して０〜１重量部程度が適当
である。

【００４１】酸化防止剤としては、ヒンダードフェノー
ル系化合物、硫黄系化合物、燐系化合物、ヒンダードア
ミン系化合物、ピリジン誘導体、ピペリジン誘導体、モ
ルホリン誘導体等の酸化防止剤を使用でき、その使用量
は結着樹脂１００重量部に対して０〜５重量部程度が適
当である。

【００４２】単層型感光体は、電荷発生物質と電荷輸送
物質、結着樹脂、さらに本発明に示される前記一般式
（Ｉ）（II）（IIa）（III）（IIIa）の化合物の少なく
とも１種等からなる。電荷発生物質および電荷輸送物質
としては、前記の材料を用いることができる。

【００４３】このような単層型の感光層を形成するに
は、電荷発生物質、電荷輸送物質および結着樹脂を適当
な溶剤、例えばテトラヒドロフラン、シクロヘキサノ
ン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶剤
にボールミル、アトライター、サンドミルなどにより溶
解ないし分散させ、これを適度に希釈して塗布し乾燥さ
せればよい。塗布は浸債塗工法、スプレーコート法、ビ
ードコート法などを用いて行なうことができる。結着樹
脂としては、電荷輸送層の結着樹脂として例示した結着
樹脂をそのまま用いることができ、また電荷発生層の結
着樹脂として例示した結着樹脂と混合して用いてもよ
い。単層型の感光層には、必要により可塑剤やレべリン
グ剤、酸化防止剤などを添加することもできる。また、
ピリリウム系染料およびビスフェノールＡ型ポリカーボ
ネートから形成される共晶錯体に、電荷輸送物質を添加
した単層型の感光層も、適当な溶媒を用い上記と同様な
塗工法により形成することができる。

【００４４】このようにして形成される単層型の感光層
の膜厚は、５〜１００μｍ程度が適当である。

【００４５】また、感光層の上に必要に応じて膜厚０．
５〜１０μｍの保護層を形成しても良い。保護層は上述
の分散粒子を結着樹脂中に含有させたものや、さらに電
荷輸送物質を加えたものを用いることができる。

【００４６】次に、本発明の電子写真装置について説明
する。本発明の電子写真プロセスには、帯電手段、露光
手段、現像手段、転写手段、分離手段、クリーニング手
段などの各手段として、公知のいずれの手段も使用する
ことができる。例えば、帯電手段においてはコロナ帯電
方式に代表される非接触帯電方式、帯電ローラー、帯電
ブラシなどに代表される接触若しくは近接配置帯電方式
のいずれもが使用できる。特に、オゾン発生量が少な
く、印加電圧の小さい接触帯電方式は良好に使用され
る。

【００４７】帯電ローラーには、シリコーンゴム、ポリ
ウレタンゴム、クロロプレンゴム、イソプレンゴム、Ｅ
ＰＤＭゴム、エポキシゴム、ブチルゴム等の帯電部材が
用いられる。また帯電ブラシにおいては、レーヨン繊
維、カーボン繊維等の導電性ブラシや、導電スリーブと
これに内包されるマグネットロールとこのマグネットロ
ールの磁界により磁気拘束された導電性磁性粒子（導電
性磁性キャリア）で構成された磁気ブラシ等が用いられ
る。

【００４８】露光手段においては、半導体レーザーを用
い、その波長は７８０ｎｍ以下、好ましくは７８０〜５
００ｎｍであり、解像度を向上するためにレーザービー
ム径を絞るなどのものも良好に使用できる。現像手段に
おいては、湿式現像法、乾式現像法のいずれもが良好に
使用できる。また、高解像度の画像を得るために、トナ
ー粒径を小さくする、カプセルトナーを用いるなども非
常に有用である。転写手段においては、直接紙に転写す
る手段はもちろんのこと、転写ベルト、転写ドラムなど
の中間転写体を用いることも有用である。クリーニング
手段として、ブレード法、ブラシ法などの公知の方法を
用いることができる。また、転写効率及びクリーニング
効率を向上するため、感光体の表面エネルギーを低減さ
せるべく外添剤を感光体表面に具備できる装置を併用す
ることは有用であり、良好に使用される。

【００４９】

【実施例】以下本発明を実施例によって説明するが、本
発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
画像形成時に発生する微小黒点と電子写真感光体の関係
を調べるため、電子写真感光体を次のような方法で作成
した。

【００５０】（実施例１）ＥＤ法により作成した外径３
０ｍｍ、長さ３４０ｍｍの無切削アルミニウム素管に、
白色顔料である平均粒子径０．２５μｍの酸化チタン７
０重量部、アルキッド樹脂（ベッコライトＭ６４０１−
５０−Ｓ（固形分５０％）：大日本インキ化学工業社
製）１５重量部、メラミン樹脂（スーパーベッカミンＬ
−１２１−６０（固形分６０％）：大日本インキ化学工
業社製）１０重量部、メチルエチルケトン１００重量部
からなる混合物をボールミルで７２時間分散して調製し
た中間層用塗工液を塗布し、１３０℃で２０分間乾燥し
て、膜厚３μｍの中間層を作成した。

【００５１】次に下記構造式（IV）に示すトリスアゾ顔
料１０重量部を、ポリビニルブチラール（ＢＭ−２：積
水化学工業社製）４重量部をシクロヘキサノン１５０重
量部に溶解した樹脂液に添加し、ボールミルにて７２時
間分散を行った。分散終了後、シクロヘキサノン２１０
重量部を加え３時間分散を行い、電荷発生層用塗工液を
作成した。これを前記中間層上に塗布し、１３０℃１０
分間乾燥して膜厚０．２μｍの電荷発生層を作成した。

【００５２】次に、下記構造式（Ｖ）に示す化合物７重
量部、ポリカーボネート樹脂（ユーピロンＺ２００：三
菱ガス化学社製）１０重量部、シリコーンオイル（ＫＦ
−５０：信越化学工業社製）０．００２重量部、前記一
般式（Ｉ）のＲ₁−がＣＨ₃（ＣＨ₂）₈−、−Ｒ₂が−
（ＣＨ₂）₃ＣＨ₃からなる下記構造式（Ｉ−１）の化合
物０．０８重量部をテトラヒドロフラン１００重量部に
溶解し、電荷輸送層用塗工液を作成した。これを前記電
荷発生層上に塗布し、１３０℃２０分間乾燥して平均膜
厚２０μｍとなるように電荷輸送層を形成し、電子写真
感光体を得た。

【化１４】

【化１５】

【化１６】

【００５３】（実施例２）電荷輸送層用塗工液を構造式
（Ｉ−１）の代わりに、前記一般式（Ｉ）のＲ₁−がＣ
Ｈ₃（ＣＨ₂）₁₂−、−Ｒ₂が−（ＣＨ₂）₃ＣＨ₃からなる
化合物を用いた以外は実施例１と同様に、電子写真感光
体を作成した。

【００５４】（実施例３）電荷輸送層用塗工液を構造式
（Ｉ−１）の代わりに、前記一般式（Ｉ）のＲ₁−がＣ
Ｈ₃（ＣＨ₂）₁₆−、−Ｒ₂が−（ＣＨ₂）₃ＣＨ₃からなる
化合物を用いた以外は実施例１と同様に、電子写真感光
体を作成した。

【００５５】（実施例４）電荷輸送層用塗工液を構造式
（Ｉ−１）の代わりに、前記一般式（Ｉ）のＲ₁−がＣ
Ｈ₃（ＣＨ₂）₇（ＣＨ₂）（ＣＨ₂）₇−、−Ｒ₂が−（Ｃ
Ｈ₂）₃ＣＨ₃からなる化合物を用いた以外は実施例１と
同様に、電子写真感光体を作成した。

【００５６】（実施例５）電荷輸送層用塗工液を構造式
（Ｉ−１）の代わりに、前記一般式（Ｉ）のＲ₁−がＣ
Ｈ₃（ＣＨ₂）₂₀−、−Ｒ₂が−（ＣＨ₂）₃ＣＨ₃からなる
化合物を用いた以外は実施例１と同様に、電子写真感光
体を作成した。

【００５７】（実施例６）電荷輸送層用塗工液を構造式
（Ｉ−１）の代わりに、前記一般式（Ｉ）のＲ₁−がＣ
Ｈ₃（ＣＨ₂）₁₆−、−Ｒ₂が−ＣＨ₂ＣＨ（ＣＨ₃）₂から
なる化合物を用いた以外は実施例１と同様に、電子写真
感光体を作成した。

【００５８】（実施例７）電荷輸送層用塗工液を構造式
（Ｉ−１）の代わりに、前記一般式（Ｉ）のＲ₁−がＣ
Ｈ₃（ＣＨ₂）₁₆−、−Ｒ₂が−ＣＨ₂ＣＨ₃からなる化合
物を用いた以外は実施例１と同様に、電子写真感光体を
作成した。

【００５９】（比較例１）電荷輸送層用塗工液に構造式
（Ｉ−１）の化合物を添加しない以外は実施例１と同様
に、電子写真感光体を作成した。

【００６０】（比較例２）電荷輸送層用塗工液を構造式
（Ｉ−１）の代わりに、前記一般式（Ｉ）のＲ₁−がＣ
Ｈ₃ＣＨ₂−、−Ｒ₂が−（ＣＨ₂）₃ＣＨ₃からなる化合物
を用いた以外は実施例１と同様に、電子写真感光体を作
成した。

【００６１】（比較例３）電荷輸送層用塗工液を構造式
（Ｉ−１）の代わりに、前記一般式（Ｉ）のＲ₁−がＣ
Ｈ₃（ＣＨ₂）₂₆−、−Ｒ₂が−（ＣＨ₂）₃ＣＨ₃からなる
化合物を用いた以外は実施例１と同様に、電子写真感光
体を作成した。

【００６２】（比較例４）電荷輸送層用塗工液を構造式
（Ｉ−１）の代わりに、前記一般式（Ｉ）のＲ₁−がＣ
Ｈ₃（ＣＨ₂）₈−、−Ｒ₂が−（ＣＨ₂）₉ＣＨ₃からなる
化合物を用いた以外は実施例１と同様に、電子写真感光
体を作成した。

【００６３】得られた電子写真感光体を、像露光手段に
７８０ｎｍの半導体レーザー及び帯電手段に接触ローラ
ー帯電器を備えた画像形成装置（リコー社製ＩＭＡＧＩ
ＯＭＦ−２００）を用い、高温高湿環境下（３０℃９０
％）における初期画像評価、及びＡ４用紙３万枚通紙後
のハーフトーン及び白紙出力時の画像評価を実施した。
その際、潜像作成条件は暗部電位Ｖｄが−９００Ｖとな
るように設定した。その結果を表１に示す。表１中、○
は良好を示す（以下同じ）。

【００６４】

【表１】

【００６５】次に、耐ガス性（耐画像ボケ性）の評価
を、前記と同様の画像形成装置を用い、複写機周囲のＮ
Ｏｘ濃度が８ｐｐｍ環境下において初期画像評価を実施
した。その結果を表２に示す。

【００６６】

【表２】

【００６７】（実施例８）実施例１と同様にして、アル
ミニウム素管（導電性支持体）上に中間層、電荷発生層
を形成した。続いて、下記構造式（II−１）に示す化合
物７重量部、ポリカーボネート樹脂（ユーピロンＺ２０
０：三菱ガス化学社製）１０重量部、シリコーンオイル
（ＫＦ−５０：信越化学工業社製）０．００２重量部、
実施例１で用いたのと同じトリスアゾ顔料０．０８重量
部をテトラヒドロフラン１００重量部に溶解し、電荷輸
送層用塗工液を調製した。これを前記電荷発生層上に塗
布し、１３０℃２０分間乾燥して電荷輸送層を形成し、
電子写真感光体を得た。電荷輸送層の膜厚は、平均膜厚
２８、２４、２０μｍとなるように３種類の感光体を作
成した。

【化１７】

【００６８】（実施例９）電荷輸送層用塗工液を構造式
（II−１）の代わりに、下記構造式（III−１）に示す
化合物を用いた以外は実施例８と同様に、電子写真感光
体を作成した。

【化１８】

【００６９】（実施例１０）電荷輸送層用塗工液を構造
式（II−１）の代わりに、下記構造式（II−２）に示す
化合物を用いた以外は実施例８と同様に、電子写真感光
体を作成した。

【化１９】

【００７０】（実施例１１）電荷輸送層用塗工液を構造
式（II−１）の代わりに、下記構造式（III−２）に示
す化合物を用いた以外は実施例８と同様に、電子写真感
光体を作成した。

【化２０】

【００７１】（実施例１２）電荷輸送層用塗工液を構造
式（II−１）の代わりに、下記構造式（II−３）に示す
化合物を用いた以外は実施例８と同様に、電子写真感光
体を作成した。

【化２１】

【００７２】（実施例１３）電荷輸送層用塗工液を構造
式（II−１）の代わりに、下記構造式（II−４）に示す
化合物を用いた以外は実施例８と同様に、電子写真感光
体を作成した。

【化２２】

【００７３】（実施例１４）電荷輸送層用塗工液を構造
式（II−１）の代わりに、下記構造式（III−３）に示
す化合物を用いた以外は実施例８と同様に、電子写真感
光体を作成した。

【化２３】

【００７４】（実施例１５）電荷輸送層用塗工液を構造
式（II−１）の代わりに、下記構造式（III−４）に示
す化合物を用いた以外は実施例８と同様に、電子写真感
光体を作成した。

【化２４】

【００７５】（比較例５）電荷輸送層用塗工液を構造式
（II−２）の代わりに、下記構造式（ａ）に示す化合物
を用いた以外は実施例８と同様に、電子写真感光体を作
成した。

【化２５】

【００７６】（比較例６）電荷輸送層用塗工液を構造式
（II−２）の代わりに、下記構造式（ｂ）に示す化合物
を用いた以外は実施例８と同様に、電子写真感光体を作
成した。

【化２６】

【００７７】（比較例７）電荷輸送層用塗工液を構造式
（II−１）の代わりに、下記構造式（ｃ）に示す化合物
を用いた以外は実施例１と同様に、電子写真感光体を作
成した。

【化２７】

【００７８】（比較例８）電荷輸送層用塗工液を構造式
（II−１）の代わりに、下記構造式（ｄ）に示す化合物
を用いた以外は実施例８と同様に、電子写真感光体を作
成した。

【化２８】 得られた電子写真感光体を、像露光手段に７８０ｎｍの
半導体レーザー及び帯電手段に接触ローラー帯電器を備
えた画像形成装置（リコー社製ＩＭＡＧＩＯＭＦ−２０
０）を用い、高温高湿環境下（３０℃９０％）における
初期画像評価、及びＡ４用紙３万枚通紙後のハーフトー
ン及び白紙出力時の画像評価を実施した。その際、潜像
作成条件は暗部電位Ｖｄが−９００Ｖとなるように設定
した。その結果を表３に示す。

【００７９】

【表３】

【００８０】次に、耐ガス性（耐画像ボケ性）の評価
を、前記と同様の画像形成装置を用い、複写機周囲のＮ
Ｏｘ濃度が８ｐｐｍ環境下において初期画像評価を実施
した。その結果を表４に示す。

【００８１】

【表４】

【００８２】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の電子写真
感光体及びこれを用いた電子写真装置は、感光層中に特
定の化合物を含有させたことにより、感光層及び電荷輸
送層の膜厚に依存せず、帯電安定性、繰り返し安定性や
耐ガス性が良好であり、長期に渡り微小欠陥等の異常画
像発生のない優れたものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｃ０７Ｃ 69/78 Ｃ０７Ｃ 69/78

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 導電性基体上に感光層を有する電子写真
   感光体において、感光層中に下記一般式（Ｉ）、（I
   I）、（III）で表される化合物の少なくとも１種が含有
   されてなることを特徴とする電子写真感光体。 【化１】 （式中、Ｒ₁₁は炭素数が８〜２５のアルキル基を表し、
   Ｒ₁₂は炭素数が４以下のアルキル基を表す。） 【化２】 （式中、Ｒ₂₁、Ｒ₂₂、Ｒ₂₃、Ｒ₂₄及びＲ₂₅はそれぞれ独
   立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素
   数１〜８のアルキル基またはアルコキシ基を表し、Ｒ₂₆
   は炭素数が８〜２５のアルキル基を表す。） 【化３】 （式中、Ｒ₃₁、Ｒ₃₂、Ｒ₃₃、Ｒ₃₄及びＲ₃₅はそれぞれ独
   立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素
   数１〜８のアルキル基またはアルコキシ基を表し、Ｒ₃₆
   は炭素数が８〜２５のアルキル基を表す。）
2. 【請求項２】 前記一般式（II）の化合物が、下記一般
   式（IIa）に示す化合物であることを特徴とする請求項
   １記載の電子写真感光体。 【化４】 （式中、Ｒ₂₁は前記と同じ、Ｒ₂₆′は炭素数が１２〜２
   ２のアルキル基を表す。）
3. 【請求項３】 前記一般式（III）の化合物が、下記一
   般式（IIIa）に示す化合物であることを特徴とする請求
   項１記載の電子写真感光体。 【化５】 （式中、Ｒ₃₁は前記と同じ、Ｒ₃₆′は炭素数が１２〜２
   ２のアルキル基を表す。）
4. 【請求項４】 前記一般式（II）（IIa）（III）（III
   a）に示される化合物の少なくとも１種の含有量が、感
   光層に含有される結着樹脂１００重量部に対し０．１〜
   ２０重量部であることを特徴とする請求項１〜３のいず
   れかに記載の電子写真感光体。
5. 【請求項５】 感光層が少なくとも電荷発生層、電荷輸
   送層からなり、該電荷輸送層中に前記一般式（Ｉ）（I
   I）（IIa）（III）（IIIa）に示される化合物の１種が
   含有されてなることを特徴とする請求項１〜３のいずれ
   かに記載の電子写真感光体。
6. 【請求項６】 前記一般式（Ｉ）（II）（IIa）（III）
   （IIIa）に示される化合物の少なくとも１種の含有量
   が、該電荷輸送層に含有される結着樹脂１００重量部に
   対し０．１〜２０重量部であることを特徴とする請求項
   ５記載の電子写真感光体。
7. 【請求項７】 帯電手段によって潜像形成準備を行い、
   その後の像露光によって潜像形成を行う電子写真装置に
   おいて、請求項１〜６のいずれかに記載の電子写真感光
   体を用いることを特徴とする電子写真装置。