JP5545462B2 - 電子写真感光体、並びにこれを用いた画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、並びにこれを用いた画像形成装置、及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、複写機、静電印刷、プリンタ、ファクシミリ、静電記録等の電子写真方式の画像形成に用いられる電子写真感光体、並びにこれを用いた画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真方式による情報処理システム機の発展には目覚ましいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行うレーザープリンタ及びデジタル複写機は、そのプリント品質、及び信頼性において向上が著しい。また、これらは高速化技術との融合によりフルカラー印刷が可能なレーザープリンタ及びデジタル複写機へと応用されてきている。このような背景から、要求される電子写真感光体(以下、「感光体」と称することもある)の機能としては、高画質化及び高耐久化を両立させることが特に重要な課題となっている。
このような電子写真方式のレーザープリンタ及びデジタル複写機等に使用される感光体としては、有機系の感光材料を用いた有機系感光体(OPC)が、コスト、生産性、及び無公害性等の理由から一般に広く用いられている。前記有機系感光体(OPC)としては、例えば(1)ポリビニルカルバゾ−ル(PVK)に代表される光導電性樹脂を用いたもの、(2)PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、(3)フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、(4)電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを組み合わせた機能分離型、などがある。
しかし、前記有機系感光体(OPC)は、繰り返し使用によって感光層の削れが発生しやすく、このような感光層の削れが進むと、該感光体の帯電電位の低下、光感度の劣化、感光体表面のキズなどによる地汚れ、画像濃度低下、又は画質劣化が促進される傾向が強くなり、従来から感光体の耐摩耗性が大きな課題であった。また、近年では画像形成装置の高速化及び装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の高耐久化がより一層重要な課題となっている。
このような感光体の高耐久化を実現する方法としては、例えば感光体の最表面に表面保護層を設け、該表面保護層に潤滑性を付与したり、硬化させたり、フィラーを含有させる方法などが行われている。これらの中でも、表面保護層にフィラーを含有させる方法は、感光体の高耐久化に対して有効な方法の一つである(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、及び特許文献6参照)。
しかし、高耐久化のために表面保護層にフィラーを含有させた場合、抵抗が高くなり、残留電位の上昇が顕著に見られる。この残留電位上昇は、フィラーが含有されていることによって引き起こされる抵抗の増加及び電荷トラップサイトの増加による影響が大きい。一方、導電性フィラーを用いた場合には、抵抗が低下し、残留電位の上昇の影響が比較的小さいが、画像の輪郭がぼやける、所謂画像ボケが発生し、画像品質への影響が強く現れる。
前記表面保護層にフィラーを含有させる方法により感光層の削れを抑えると、繰り返し使用や周辺環境により生じるオゾン、NOx、又はその他の酸化性物質が、表面保護層表面に吸着し、繰り返し使用や使用環境によっては、表面保護層の低抵抗化を招き、画像流れ(画像ボケ)等の問題を引き起こすことが知られている。
従来はこのボケ発生物質が表面保護層と共に削りとられることにより、問題はある程度回避されてきた。しかし、最近の更なる高解像、高耐久化要求に応えるには、新たな手法を付与しなければならなくなってきている。酸化防止剤等の添加剤も有効な手段ではあるが、単なる添加剤は光導電性を有しないものであるから、表面保護層へのフィラーの多量添加は、低感度化、残留電位上昇等の電子写真特性の問題を招いてしまう。
画像ボケの発生を抑制するには感光体の表面抵抗が高い方が適しているが、一方では感光体の初期残留電位の低減及び繰り返し使用時の残留電位上昇を抑制するには表面及び膜自体の抵抗が低い方が適していることから、双方でトレードオフの関係になっていることが問題の解決を困難にしている。
絶縁性の高いフィラーを用いた場合に多く見られる残留電位の増加は、電子写真方式の画像形成装置内では明部電位が高いことにつながり、画像濃度及び階調性の低下を招くことになる。それを補うためには暗部電位を高くする必要があるが、暗部電位を高くすると電界強度が高くなり、地肌汚れ等の画像欠陥を生じさせるだけでなく、感光体の寿命をも低下させることにつながる。
このため、絶縁性の高いフィラーは使用しにくく、比較的残留電位の影響が少ない絶縁性の低いフィラーを用い、それによって発生する画像ボケに対しては、感光体を加熱するドラムヒーターを搭載する手段が用いられている。感光体を加熱することによって画像ボケの発生は抑制できるものの、この方法は画像形成装置の小型化、消費電力の低減、装置の立ち上げ時間の短縮に対して大きな障害となっている。
近年、省電力でオゾン発生量が少なく、コンパクト化が可能なローラ帯電方式の帯電手段を用いたカラー画像形成装置が主流となっているが、更なる画像形成装置の高耐久化、高速化のため、従来から使われてきた非接触のコロナ放電方式の帯電手段が見直されている。しかし、前記コロナ放電方式の帯電手段では、放電による放電生成物(オゾン、NOx等)の発生量がローラ帯電方式よりも多く、高耐久化を図るため最表層にフィラーを含有する感光体を用いると、画像ボケがより発生しやすくなる。
また、高画質化を図るため、転写率を向上させて、文字中抜け及びベタ画像の転写ムラを低減する目的、更にクリーニングブレードによるクリーニング性を向上させる目的から、電子写真感光体に潤滑剤を塗布して摩擦係数を低くする潤滑剤付与手段を備えた画像形成装置が提案されている。このような潤滑剤付与手段を備えた画像形成装置は、別のメリットとして感光体の摩耗量及び感光体フィルミングが低減され、感光体の長寿命化が実現可能である。更に、高耐久化を図るために表面保護層にフィラーを含有する感光体と組み合わせた場合には、潤滑剤付与手段の潤滑剤塗布量のバラツキによる感光体摩耗及び感光体表面のキズに対する耐性が向上するため、表面保護層にフィラーを含有しない感光体に比べて更なる高耐久化が可能となる。画像ボケの原因となるボケ発生物質が表面保護層と共に削りとられることにより、問題はある程度回避されてきた。しかし、このような感光体が削れにくい画像形成プロセスでは、更なる高耐久化のため、画像ボケに対する耐性及び、感光体摩耗以外の静電特性安定性(残留電上昇の低減)が要求されている。
感光体の高耐久化に伴う画像品質の安定性向上に関する別の課題としては、地汚れの発生抑制が挙げられる。地汚れとは、白地領域に微小な斑点が無数に現像されてしまう画像欠陥の一種である。地汚れ発生のメカニズムとしては、感光体に帯電を施した際に、導電性支持体側に誘起されるそれとは逆極性の電荷が局所的にリークし、感光層さらには感光体の表面へ注入され、その部分が現像されやすくなることに起因すると考えられる。この場合、感光体の初期においては、地汚れは顕在化されていなくても、繰り返し使用による感光体の疲労(帯電低下)や感光層の摩耗による電界強度の増加によって、地汚れは顕在化しやすくなるため、感光体の寿命を決める大きな因子の一つとなっている。
感光体の高耐久化を実現するためには、上記地汚れを抑制させる必要があり、そのためには導電性支持体からの電荷の注入を抑制することが重要である。これらの従来技術としては、導電性支持体と感光層の間に下引き層や中間層を設ける技術が提案されてきた。
例えば、特許文献7には硝酸セルロース系樹脂中間層が、特許文献8にはナイロン系樹脂中間層が、特許文献9にはマレイン酸系樹脂中間層が、特許文献10にはポリビニルアルコール樹脂中間層がそれぞれ開示されている。
しかしながら、これらの樹脂単独(単層)の中間層は電気抵抗が高いため、残留電位が上昇し、ネガ・ポジ現像においては画像濃度低下や階調性の低下を引き起こす。また、これらの中間層は、不純物等に起因するイオン伝導性を示すことから、低温低湿下では中間層の電気抵抗が特に高くなり、残留電位の環境依存性が大きくなる。それを軽減するためには、中間層を薄膜化する必要があり、地汚れと残留電位との両立が非常に困難であった。
これらの問題点を解消するため、中間層の電気抵抗を制御する技術として、導電性添加物を中間層に分散させる方法が提案されている。
例えば、特許文献11にはカーボン又はカルコゲン系物質を硬化性樹脂に分散した中間層が、特許文献12には四級アンモニウム塩を添加してイソシアネート系硬化剤を用いた熱重合体中間層が、特許文献13には抵抗調節剤を添加した樹脂中間層が、特許文献14には有機金属化合物を添加した樹脂中間層が開示されている。しかしながら、これら樹脂中間層単体では、近年のレーザー光のようなコヒーレント光を使用した画像形成装置においては、光干渉縞が画像に現れる、所謂モアレ発生するという問題点を有している。
このモアレの発生を抑制し、中間層の電気抵抗を同時に制御する目的で、中間層にフィラーを含有した感光体が提案されている。
例えば、特許文献15にはアルミニウム又はスズの酸化物を分散した樹脂中間層が、特許文献16には導電性粒子を分散した樹脂中間層が、特許文献17にはマグネタイトを分散した中間層が、特許文献18には酸化チタンと酸化スズを分散した樹脂中間層が、特許文献19〜24には、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等のホウ化物、窒化物、フッ化物、酸化物の粉体を分散した樹脂の中間層が開示されている。
これらにおけるようなフィラーを分散させた中間層は、モアレの抑制に対しては有効であるものの、残留電位を低減させるにはフィラー含有量を高める必要があり、それにより地汚れ抑制効果は不十分となり、地汚れと残留電位との両立は達成されていなかった。さらに、導電性支持体との接着性が低下し、支持体と中間層の間において剥離を生じやすくなるという問題も発生し、感光体の高耐久化に対し多くの課題を有していた。
このような問題点を解決するために、中間層を積層化する考え方が提案されている。積層化の構成は2つのタイプに大別され、1つは導電性支持体上にフィラーを分散した樹脂層およびフィラーを含有しない樹脂層を順に積層したものであり、もう1つは導電性支持体上にフィラーを含有しない樹脂層およびフィラーを分散した樹脂層を順に設けたものである。
前者の構成を詳しく述べると、導電性支持体の欠陥を隠蔽するため、導電性支持体上に抵抗の低いフィラーを分散した導電性の層を設け、その上に前記樹脂層を積層したものである。これらは例えば特許文献25〜33等に記載されている。
一方、後者の構成としては、導電性支持体上に正孔ブロッキング性の樹脂単独層を設け、その上に抵抗の低いフィラーもしくは電子伝導性のフィラーを分散した樹脂層を設けたものである。これらは、例えば、特許文献34、35等に記載されている。
また、下引き層にN−アルコキシ(メトキシ)メチル化ナイロンを含有させた下引き層あるいは中間層を用いた方法が開示されている。例えば、特許文献36には下引き層にアルコキシメチル化度が5〜30%のアルコキシメチル化共重合ナイロンを含有させる方法が、特許文献37には、中間層に無機微粒子とバインダー樹脂として架橋したN−アルコキシメチル化ポリアミドを含有させる方法が、特許文献38には下引き層がN−アルコキシメチル化ナイロン樹脂よりなり、樹脂中に含有される不純物Na、Ca及びP原子の元素濃度が各々10ppm以下とする方法が、特許文献39には中間層にλ−アミノ−n−ラウリン酸を主成分とするN−アルコキシメチル化ポリアミド共重合体を含有させる方法が、特許文献40には中間層にある構造を有する単位成分を有するポリアミド樹脂を含有させる方法が開示されている。
このように、下引き層もしくは中間層を積層したり、N−アルコキシメチル化ナイロンを下引き層もしくは中間層に含有させる方法は公知であり、導電性支持体からの電荷の注入を抑制し地汚れ抑制効果を高める手段としては有効である。しかしながら、感光体の摩耗が進むに伴い電界強度が増加すると地汚れは顕著に増加し、高電界強度においても下引き層もしくは中間層の電荷ブロック機能を高めようとすると、著しい残留電位上昇が引き起こされ、下引き層もしくは中間層により導電性支持体からの電荷の注入を抑制するだけでは、感光体の繰り返し使用における地汚れの抑制効果は十分ではなく、感光体の高耐久化は実現されていなかった。
このような下引き層技術手段によって、地汚れを抑制することは知られているが、一方では初期残留電位が大きかったり、残留電位上昇が起こりやすくなったり、画像流れを引き起こしやすくなったり、地汚れは抑制できても解像度や階調性の低下、画像流れなどの画像欠陥の発生を誘発し、画質安定性が大幅に低下するため、実際のところ感光体の高耐久化は実現されていなかった。
以上のように、高耐久化を図るため最表面の表面保護層にフィラーを含有させた場合、初期残留電位の更なる低減、繰り返し使用による残留電位の上昇、地汚れ及び画像ボケを同時に解決できる有効な手段は見出されておらず、より高速な画像形成装置において、高耐久化及び高画質化に対する課題が今もなお残されているのが実状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、最表面層である表面保護層にフィラーを含有する電子写真感光体において初期残留電位をより低減してより高速な画像形成を実現でき、また、地汚れ、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を抑制し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できる電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成装置、及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが、高耐久化を図るため最表面の表面保護層にフィラーを含有する電子写真感光体について、初期残留電位をより低減し、地汚れ、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を解決するため鋭意検討を重ねた結果、
(1)感光層に酸化電位の低い電荷輸送物質を含有させ、表面保護層に感光層に含有される電荷輸送物質よりも酸化電位の高い電荷輸送材物質を含有させると、両層に含有される電荷輸送物質の酸化電位の差が電荷の注入障壁となり電荷輸送効率が落ち、残留電位の上昇が大きくなると一般的に考えられたが、このような感光層及び表面保護層を有する構成であっても、表面保護層が厚くなければ、残留電位の上昇は抑制でき、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像を安定に、かつ高速に形成できること
(2)また更には、下引き層を無機微粒子を含有している層と無機微粒子を含有していない層の少なくとも2層とすることにより、更なる初期感度の低減と繰り返し使用時おける残留電位上昇の低減が可能となり、地汚れ耐久性も飛躍的に向上できること
を見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。
(1)支持体と、該支持体上に少なくとも下引き層、感光層、及び表面保護層を有する電子写真感光体であって、
前記表面保護層が、フィラー、電荷輸送物質、並びに下記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有し、
前記感光層が少なくとも電荷輸送物質を含有し、該感光層における電荷輸送物質が、前記表面保護層における電荷輸送物質よりも小さい酸化電位を有し、かつ下記一般式(3)で表される酸化電位が0.75V以下の化合物であり、
該下引き層が無機微粒子を含有している層と無機微粒子を含有していない層の少なくとも2層からなることを特徴とする電子写真感光体。
Figure 0005545462
(ただし、前記一般式(1)中、R1及びR2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表し、該R1及びR2の少なくとも1つは置換基を有していてもよいアリール基である。なお、R1とR2とが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Arは、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)
Figure 0005545462
(ただし、前記一般式(2)中、R1及びR2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表し、該R1とR2とが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Ar1及びAr2は、それぞれ置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。l及びmは、それぞれ0〜3の整数を表し、該lとmが同時に0となることはない。nは1又は2の整数を表す。)
Figure 0005545462
(ただし、前記一般式(3)中、R3〜R6は、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいフェニル基のいずれかを表す。
Aは、置換基を有していてもよいアリーレン基、及び下記構造式(3−1)で表される置換基のいずれかを表す。
Figure 0005545462
ただし、前記構造式(3−1)中、R7、R8、及びR9は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及びフェニル基のいずれかを表し、該フェニル基は更に置換基により置換されていてもよい。
Bは、置換基を有していてもよいアリール基、及び下記構造式(3−2)で表される置換基のいずれかを表す。
Figure 0005545462
ただし、前記構造式(3−2)中、Ar3は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Ar4及びAr5は、それぞれ置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
(2)前記感光層における電荷輸送物質が、下記一般式(4)で表されるジスチリルベンゼン誘導体であることを特徴とする前記(1)に記載の電子写真感光体。
Figure 0005545462
(ただし、前記一般式(4)中、R10〜R35は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいフェニル基のいずれかを表す。)
(3)前記下引き層のうち、無機微粒子を含有していない層には、ポリアミド樹脂が含有されていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の電子写真感光体。
(4)前記ポリアミド樹脂が、N−メトキシメチル化ナイロンであり、加熱により架橋されていることを特徴とする前記(3)に記載の電子写真感光体。
(5)前記下引き層のうち、無機微粒子を含有していない層の膜厚が、2.0μm未満であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(6)前記下引き層のうち、無機微粒子を含有している層には、無機微粒子として酸化チタンが含有されていることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(7)前記無機微粒子が、平均一次粒径の異なる2種以上の無機微粒子の混合物であり、最も大きな平均一次粒径を有する無機微粒子の平均一次粒径をD1、最も小さな平均一次粒径を有する無機微粒子の平均一次粒径をD2としたとき、0.2<(D2/D1)≦0.5の関係を満たすことを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(8)前記D2が、0.2μm未満であることを特徴とする前記(7)に記載の電子写真感光体。
(9)前記平均一次粒径の異なる2種以上の無機微粒子の混合比が、最も大きな平均一次粒径を有する無機微粒子の含有量をT1、最も小さな平均一次粒径を有する無機微粒子の含有量をT2としたとき、質量比で0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8の関係を満たすことを特徴とする前記(7)又は(8)に記載の電子写真感光体。
(10)前記下引き層のうち、無機微粒子を含有している層には、バインダー樹脂として熱硬化型樹脂を含むことを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(11)前記熱硬化型樹脂が、アルキッド樹脂及びメラミン樹脂からなることを特徴とする前記(10)に記載の電子写真感光体。
(12)前記下引き層のうち、無機微粒子を含有している層の膜厚が、無機微粒子を含有していない層の膜厚よりも大きいことを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(13)前記下引き層のうち、無機微粒子を含有していない層が、導電性支持体上に直接形成され、その上に無機微粒子を含有する層が積層されていることを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(14)前記感光層が電荷発生物質を含有し、該電荷発生物質がチタニルフタロシアニン顔料を含有することを特徴とする前記(1)〜(13)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(15)前記チタニルフタロシアニン顔料が、CuKα特性X線(1.542Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラック角度(2θ±0.2°)のうちの少なくとも27.2°に最大強度の回折ピークを有し、9.4°、9.6°、24.0°に主要ピークを有し、7.3°に最小角度の回折ピークを有し、前記7.3°と9.4°との間に回折ピークを有さず、26.3°に回折ピークを有さないことを特徴とする前記(14)に記載の電子写真感光体。
(16)前記表面保護層における電荷輸送物質の酸化電位と、感光層における電荷輸送物質の酸化電位との差が0.13V〜0.20Vであることを特徴とする前記(1)〜(15)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(17)前記フィラーが、金属酸化物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする前記(1)〜(16)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(18)前記フィラーの平均一次粒径が、0.01μm〜1.0μmであることを特徴とする前記(1)〜(17)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(19)前記フィラーの表面保護層における含有量が、5質量%〜50質量%であることを特徴とする前記(1)〜(18)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(20)前記表面保護層が、酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物を含有することを特徴とする前記(1)〜(19)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(21)前記表面保護層の厚みが、0.1μm〜10μmであることを特徴とする前記(1)〜(20)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(22)前記感光層が電荷発生層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層が、一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記(1)〜(21)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(23)電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記電子写真感光体が、前記(1)〜(22)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
(24)露光手段が、半導体レーザ(LD)及び発光ダイオード(LED)のいずれかであり、該露光手段を用いてデジタル方式で電子写真感光体上に静電潜像の書き込みを行うことを特徴とする前記(23)に記載の画像形成装置。
(25)露光手段が、ビーム束を複数用いて複数の露光領域を同時に露光するマルチビーム露光方式を採用することを特徴とする前記(24)に記載の画像形成装置。
(26)マルチビーム露光方式に採用される光源が4個以上の面発光レーザアレイで構成されていることを特徴とする前記(25)に記載の画像形成装置。
(27)マルチビーム露光方式に採用される光源が4個以上の面発光レーザアレイで構成され、かつ面発光レーザが2次元的に配列されていることを特徴とする前記(25)又は(26)に記載の画像形成装置。
(28)電子写真感光体上に複数色の可視像を順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする前記(23)〜(27)のいずれかに記載の画像形成装置。
(29)複数の電子写真感光体を有し、それぞれの電子写真感光体上に現像された単色の可視像を順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする前記(23)〜(28)のいずれかに記載の画像形成装置。
(30)電子写真感光体上に現像された可視像を中間転写体上に一次転写した後、該中間転写体上の可視像を記録媒体上に二次転写する中間転写手段を有し、複数色の可視像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を前記記録媒体上に一括で二次転写することを特徴とする前記(23)〜(29)のいずれかに記載の画像形成装置。
(31)帯電手段が、非接触で放電を行うコロナ方式の帯電手段であることを特徴とする前記(23)〜(30)のいずれかに記載の画像形成装置。
(32)帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段と、電子写真感光体とを有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体が、前記(1)〜(22)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
本発明の電子写真感光体は、支持体と、該支持体上に少なくとも下引き層、感光層、及び表面保護層を有してなり、
前記表面保護層が、フィラー、電荷輸送物質、並びに前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有し、
前記感光層が少なくとも電荷輸送物質を含有し、該感光層における電荷輸送物質が、前記表面保護層における電荷輸送物質よりも小さい酸化電位を有し、かつ前記一般式(3)で表される化合物であり、好ましくは一般式(4)で表される化合物であり、前記下引き層は無機微粒子を含有している層と無機微粒子を含有していない層の少なくとも2層からなることを特徴とする。
従来、初期残留電位を低減させるため、特許第2552695号公報等に開示されている前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される、正孔移動度が高く、酸化電位の低い電荷輸送物質を感光層及び表面保護層に含有させると、初期残留電位の低減と繰り返し使用による残留電位上昇の抑制に効果はあるものの、繰り返し使用及び周辺環境により生じるオゾン、NOx、又はその他の酸化性物質による画像ボケが顕著に発生し、表面保護層に含有されている電荷輸送物質の酸化電位が低くなるにつれ、画像ボケが発生しやすくなるという問題があった。
そこで、前記感光層が、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有しても、表面保護層が、感光層に含有される電荷輸送物質よりも高い酸化電位の電荷輸送物質を含有し、表面保護層に前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有させることにより、画像ボケが抑制し、かつ繰り返し使用による残留電位上昇も同時に抑制できる。即ち、高耐久化のため表面保護層にフィラーを含有する感光体について、表面保護層に電荷輸送物質及び前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有させ、表面保護層に含有される電荷輸送物質よりも小さい酸化電位を有する電荷輸送物質であって、かつ前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を感光層に含有させることにより、初期残留電位をより低減し、地汚れ、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を解決できることを知見した。
また、電子写真感光体の高耐久化を実現するには、従来の感光体上に最表面層としてフィラーを含有させた表面保護層を設けることが有効である。しかし、上述したように残留電位の上昇及び画像ボケの発生等の画質劣化を引き起こすという問題がある。このような長寿命化のため表面保護層にフィラーを含有させた電子写真感光体と、非接触で放電を行うコロナ放電方式の帯電手段を組み合わせた画像形成装置の場合においても、感光体の最表層に特開2004−233955号公報及び特開2004−264788号公報に開示されているような一般式(1)及び(2)のいずれかの化合物を含有させて、周辺環境により生じる酸化性ガス及び物質のみならず、帯電手段から発生する酸化性ガス及び物質に対する耐性を持たせることによって高湿時の帯電手段近傍における濃度低下、画像ボケによる画像劣化を防止できることを知見した。
ここで、前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を表面保護層に含有させることにより酸化性ガス及び物質に対する耐性を向上できる理由については、現時点では明らかになっていないが、構造内に含まれる置換アミノ基が酸化性ガスに対して有効なラジカル物質生成抑制を行っているものと推測される。また、前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物は、電荷輸送能力も有しているため、それ自身で電荷胆体のトラップとして働かず、添加に伴う残留電位上昇等の電気的な特性劣化は殆どみられないものとなる。
また、感光層にジスチリルベンゼン誘導体、表面保護層にフィラー、ジスチリルベンゼン誘導体、及び前記一般式(1)又は(2)のいずれかで表される化合物を含有させると、初期残留電位が低減し、繰り返し使用時の残留電位上昇も抑制できる。ジスチリルベンゼン誘導体を用いると残留電位の低減できる理由として、電荷移動度が非常に高く、移動度の電界強度依存性が小さいことが挙げられる。つまり、低い電界強度でも十分に電荷を移動させることができ、低残留電位化できる。このジスチリルベンゼン誘導体が高い移動度を示すのは、分子サイズが大きく直鎖状の分子構造を有している上に、分子構造中にトリフェニルアミン構造及びスチリル構造を複数有し、π共役系が分子全体に広がった特徴を有しているため、電荷の移動において、分子間移動よりも分子内移動の割合が高くなるとためと考えられる。また、残留電位の上昇を抑制については、ジスチリルベンゼン誘導体の酸化電位は低いため、感光層中の電荷発生物質からの電荷注入に関して、注入障壁が小さくなり、光キャリアが残りにくいことも一因となっている。
しかし、上記のようにジスチリルベンゼン誘導体を感光体の表面保護層に用いた場合、前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有させても、繰り返し使用及び周辺環境により生じるオゾン、NOx、又はその他の酸化性物質による画像ボケが顕著となることが判明した。この原因としては、本発明の検討の中で得られた知見から、酸化電位が低いことに起因しているものと推測される。ジスチリルベンゼン誘導体は前述したように分子サイズが大きく直鎖状の分子構造であり、π共役系が分子全体に広がった特徴を有しているため、酸化電位が低くなっている。つまり、電荷輸送物質の酸化電位が低いため、繰り返し使用及び周辺環境により生じるオゾン、NOx、又はその他の酸化性物質による化学的攻撃を受けやすく、そのため、感光体表面の抵抗が低下し、静電潜像がぼけてしまうものと考えられる。
フィラーを含有する表面保護層を有する感光体ではもともと残留電位が出やすく、残留電位を低減するためには感光層と表面保護層に用いる電荷輸送物質の酸化電位は同じとするか、感光層の電荷輸送物質の酸化電位よりも表面保護層の酸化電位を小さくする必要があると考えられてきた(感光層と表面保護層の電荷注入障壁を作らないようにする必要がある)。
しかし、表面保護層の電荷輸送物質の酸化電位を感光層のジスチリルベンゼン誘導体よりも大きくしても、表面保護層の膜厚が厚くなければ、残留電位の上昇及び初期残留電位は、ほとんど変わらないことを知見した。画像ボケは表面保護層の電荷輸送物質の酸化電位依存性があり、表面保護層の電荷輸送物質の酸化電位を大きくすることによって、画像ボケは抑制できる知見と併せて、最表層にフィラーを含有する感光体の初期残留電位を低減してより高速な画像形成を実現でき、画像ボケによる画像劣化及び繰り返し使用時の残留電位上昇を抑制することが可能となった。
また、表面保護層中の電荷輸送物質と感光層中の電荷輸送物質との酸化電位の差が0.01V〜0.20Vの範囲であると、初期残留電位も低く、かつ、繰り返し使用時の残留電位上昇が抑制でき、表面保護層による画像ボケの抑制効果も得られる。
上述したような表面層及び感光層の構成に加えて、下引き層を無機微粒子を含有している層と無機微粒子を含有していない層の少なくとも2層とすることにより、更なる初期感度の低減と繰り返し使用時おける残留電位上昇の低減が可能となり、地汚れ耐久性も飛躍的に向上できる。
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、該電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有してなり、前記電子写真感光体として、本発明の前記電子写真感光体を用いる。
本発明の画像形成装置においては、前記静電潜像形成手段が、静電潜像を形成する。前記現像手段が、前記電子写真感光体上に形成された前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する。前記転写手段が、該可視像を記録媒体に転写する。前記定着手段が前記記録媒体に転写された転写像を定着する。このとき、前記電子写真感光体として本発明の残留電位を更に低減した電子写真感光体を用いているので、地汚れ、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を抑制し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できる。
本発明の画像形成装置を用いて行う画像形成方法は、電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含み、前記電子写真感光体として、本発明の前記電子写真感光体を用いる。
前記画像形成方法においては、前記静電潜像形成工程において、前記電子写真感光体上に静電潜像を形成する。前記現像工程において、前記電子写真感光体上に形成された前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する。前記転写工程において、該可視像を記録媒体に転写する。前記定着工程において、前記記録媒体に転写された転写像を定着する。このとき、前記電子写真感光体として本発明の残留電位を更に低減した電子写真感光体を用いているので、地汚れ、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を抑制し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できる。
本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、該電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能であり、利便性に優れ、また、前記本発明の残留電位を更に低減した電子写真感光体を用いているので、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を抑制し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できる。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、最表面層である表面保護層にフィラーを含有する電子写真感光体において初期残留電位をより低減してより高速な画像形成を実現でき、また、初期残留電位の更なる低減や、地汚れ、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を抑制し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できる電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成装置、及びプロセスカートリッジを提供することができる。
また、本発明の感光体を用いることによって、繰り返し画像形成を行っても地汚れの発生が少なく、画像流れ等の副作用も少なく、長期に渡って高画質画像を安定に出力可能な画像形成装置が提供される。また、このように感光体の高耐久化並びに高安定化が実現されたことにより、画像形成装置の小型化及び高速化が可能となり、特にタンデム方式の画像形成装置や高速の画像形成装置に対し有効に使用することができる。
図1は、本発明の単層型の電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。 図2は、本発明の積層型の電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。 図3は、本発明の積層型の電子写真感光体の他の一例を示す概略断面図である。 図4は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 図5は、従来の潤滑剤付与装置の一例を示す概略図である。 図6は、本発明に用いる潤滑剤付与装置の一例を示す概略図である。 図7は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略図である。 図8は、本発明の画像形成装置の更に他の一例を示す概略図である。 図9は、本発明のタンデム型画像形成装置の一例を示す概略図である。 図10は、本発明のプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の一例を示す概略図である。 図11は、実施例で用いた電荷発生物質のX線回折スペクトル図であり、縦軸は1秒間当りのカウント数(cps)を表し、横軸は角度(2θ)を表す。 図12は、本発明で用いるマルチビーム露光装置の一例を示す概略図である。
(電子写真感光体)
本発明の電子写真感光体は、支持体と、該支持体上に少なくとも下引き層、感光層、及び表面保護層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
本発明においては、前記表面保護層が、フィラー、電荷輸送物質、並びに下記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。また、前記感光層が少なくとも電荷輸送物質を含有し、該感光層における電荷輸送物質が、前記表面保護層における電荷輸送物質よりも小さい酸化電位を有し、かつ、下記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される化合物を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。これにより、初期残留電位をより低減し、地汚れ、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を解決することができる。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(1)中、R1及びR2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表し、該R1及びR2の少なくとも1つは置換基を有していてもよいアリール基である。なお、R1とR2とが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Arは、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(2)中、R1及びR2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表し、該R1とR2とが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Ar1及びAr2は、それぞれ置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。l及びmは、それぞれ0〜3の整数を表し、該lとmが同時に0となることはない。nは1又は2の整数を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(3)中、R3〜R6は、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいフェニル基のいずれかを表す。
Aは、置換基を有していてもよいアリーレン基、及び下記構造式(3−1)で表される置換基のいずれかを表す。
Figure 0005545462
ただし、前記構造式(3−1)中、R7、R8、及びR9は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及びフェニル基のいずれかを表し、該フェニル基は更に置換基により置換されていてもよい。
Bは、置換基を有していてもよいアリール基、及び下記構造式(3−2)で表される置換基のいずれかを表す。
Figure 0005545462
ただし、前記構造式(3−2)中、Ar3は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Ar4及びAr5は、それぞれ置換基を有していてもよいアリール基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(4)中、R10〜R35は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいフェニル基のいずれかを表す。
−層構成−
前記電子写真感光体は、その層構成について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、第一の形態では、支持体上に下引き層、単一の層構成である感光層(以下、「単層型感光層」と称することもある)と、表面保護層とを有し、必要に応じてその他の層を有してなる。また、第二の形態では、支持体と、該支持体上に下引き層、電荷発生層と電荷輸送層とを積層した構成の感光層(以下、「積層型感光層」と称することもある)と、表面保護層とを有してなり、その他の層を有してなる。なお、前記第二形態では、電荷発生層、及び電荷輸送層は逆に積層しても構わない。
ここで、前記電子写真感光体について、図面に基づいて説明する。図1〜図3は、本発明の電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。
図1は、支持体201上に無機微粒子を含有している層と無機微粒子を含有していない層の少なくとも2層から構成される下引き層211と、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有する感光層202を有し、該感光層上に表面保護層210を有する。フィラー、電荷輸送物質、並びに前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物は表面保護層210に含有される。
図2は、支持体201上に無機微粒子を含有している層と無機微粒子を含有していない層の少なくとも2層から構成される下引き層211と、電荷発生物質を含有する電荷発生層203と、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有する電荷輸送層204とが積層され、更に電荷輸送層表面に表面保護層210を有する。フィラー、電荷輸送物質、並びに前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物は表面保護層210に含有される。
図3は、支持体201上に無機微粒子を含有している層と無機微粒子を含有していない層の少なくとも2層から構成される下引き層211と、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有する電荷輸送層204と、電荷発生物質を含有する電荷発生層203とが積層され、更に電荷発生層203表面に表面保護層210を有する。フィラー、電荷輸送物質、並びに前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物は表面保護層210に含有される。
<表面保護層>
前記表面保護層は、感光体の最表面層として、前記感光層の保護及び耐久性の向上を目的として設けられ、フィラー、感光層に含有される一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質よりも酸化電位の大きい電荷輸送物質、並びに下記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有し、好ましくはバインダー樹脂、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(1)中、R1及びR2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表し、該R1及びR2の少なくとも1つは置換基を有していてもよいアリール基である。なお、R1とR2とが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Arは、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(2)中、R1及びR2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表し、該R1とR2とが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Ar1及びAr2は、それぞれ置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。l及びmは、それぞれ0〜3の整数を表し、該lとmが同時に0となることはない。nは1又は2の整数を表す。
−フィラー−
前記フィラーとしては、有機フィラー及び無機フィラーのいずれかが用いられる。前記有機フィラーとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂粉末;シリコ−ン樹脂粉末、a−カ−ボン粉末などが挙げられる。前記無機フィラーとしては、例えば銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末;シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物;フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物;チタン酸カリウム、窒化硼素などが挙げられる。これらの中でも、フィラーの硬度の点から無機フィラーを用いることが耐摩耗性の向上に対し有利である。
また、いわゆる画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラーが好ましい。このようなフィラーとしては、pHが5以上を示すフィラー又は誘電率が5以上を示すフィラーが特に有効であり、例えば酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物などが挙げられる。また、pHが5以上のフィラー又は誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することもでき、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合して用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの発生抑制及び耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
前記フィラーの分散性が低下すると残留電位の上昇だけでなく、最表層の透明性の低下及び塗膜欠陥の発生、更には耐摩耗性の低下も引き起こすため、前記フィラーは少なくとも1種の表面処理剤で表面処理されていることが好ましい。
前記表面処理剤としては、特に制限はなく、従来用いられている表面処理剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましく、例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸、又はこれらとシランカップリング剤との混合処理;Al23、TiO2、ZrO2、シリコン、ステアリン酸アルミニウム、又はこれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの発生防止の点からより好ましい。前記シランカップリング剤による表面処理により、画像ボケの影響は強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。前記表面処理剤量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。前記表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こすことがある。
前記フィラーの平均一次粒径は、0.01μm〜1.0μmが好ましく、0.05μm〜0.8μmがより好ましい。前記平均一次粒径が、0.01μm未満であると、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こすことがあり、1.0μmを超えると、フィラーの沈降性が促進されたり、トナーのフィルミングが発生したりする可能性がある。
前記フィラーの平均一次粒径は、例えば電子顕微鏡観察により直接粒径を測定して求めることができる。
前記フィラーの前記表面保護層における含有量は、5質量%〜50質量%が好ましく、10質量%〜40質量%がより好ましい。前記含有量が、5質量%未満であると、耐摩耗性はあるものの十分なものではなく、50質量%を超えると、表面保護層の透明性が損なわれてしまうことがある。この場合、感光層表面にフィラーを含有する場合には、感光層全体にフィラーを含有させることができるが、電荷輸送層の最表面側が最もフィラー濃度が高く、支持体側が低くなるようにフィラー濃度に傾斜を設けたり、電荷輸送層を複数層にして、支持体側から表面側に向かい、フィラー濃度を順次高くする構成にすることが好ましい。
−酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物−
前記感光体における表面保護層がフィラーを含有することによって、高耐久化の実現と共に、いわゆる画像ボケの発生を回避することが可能となるが、残留電位上昇の影響が増加することになる。この残留電位上昇を抑制するため、酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物を添加することが好ましい。
ここで、前記酸価とは、1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数で定義され、JIS K2501などで定められている方法により測定することができる。
前記酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物としては、特に制限はなく、酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機脂肪酸、樹脂などが挙げられる。しかし、非常に低分子のマレイン酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸等の有機酸、アクセプター等はフィラーの分散性を大幅に低下させてしまう可能性があるため、残留電位の低減効果が十分に発揮されないことがある。従って、感光体の残留電位を低減させ、かつフィラーの分散性を高めるためには、低分子量ポリマー、樹脂、共重合体等、更にはそれらを混合させて使用することが好ましい。また、前記有機化合物の構造としては、立体障害が少ないリニアの構造を有することがより好ましい。分散性を向上させるためにはフィラーとバインダー樹脂との双方に親和性を持たせることが必要であり、立体障害が大きな材料は、それらの親和性が低下することにより、分散性が低下し、前述のような多くの問題を発生させることにつながる。
この点から、酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物としては、ポリカルボン酸が好ましい。前記ポリカルボン酸としては、カルボン酸をポリマー又はコポリマー中に含む構造を有する化合物であって、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂;アクリル酸又はメタクリル酸を用いた共重合体、スチレンアクリル共重合体等、カルボン酸を含む有機化合物又はその誘導体はすべて使用することが可能である。これらは2種以上混合して用いることが可能である。場合によっては、これらの材料と有機脂肪酸とを混合させることによって、フィラーの分散性或いはそれに伴う残留電位の低減効果が高まることがある。
前記有機化合物の酸価としては、10mgKOH/g〜700mgKOH/gが好ましく、30mgKOH/g〜400mgKOH/gがより好ましい。前記酸価が高すぎると、抵抗が下がりすぎて画像ボケの影響が大きくなり、前記酸価が低すぎると添加量を多くする必要が生じる上、残留電位の低減効果が不十分となる。前記酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物の酸価は、その添加量とのバランスにより決めることが必要である。同じ添加量でも酸価が高ければ残留電位低減効果が高いというわけではなく、その効果は、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物のフィラーへの吸着性にも大きく関係している。
前記酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物の含有量は、その酸価とフィラーの含有量によって決められる。即ち、前記酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物の含有量をA、前記酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物の酸価をB、前記フィラーの含有量をCとしたときに、A、B及びCとの間に下記の関係式1を満たすことが好ましい。
<関係式1>
0.2≦酸価当量(A×B/C)≦20
前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物の含有量が多すぎると、逆に分散不良を引き起こしたり、画像ボケの影響が強く現れることがあり、一方、前記含有量が少なすぎると、分散不良及び残留電位低減効果が不十分となることがある。
前記フィラーは、少なくとも有機溶剤、及び酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物等とともにボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散することができる。これらの中でも、フィラーと酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物との接触効率を高くすることができ、外界からの不純物の混入が少ないボールミルによる分散が分散性の点からより好ましい。使用されるメディアの材質については、従来使用されているジルコニア、アルミナ、メノウ等のすべてのメディアを使用することができるが、フィラーの分散性及び残留電位低減効果の点からアルミナが特に好ましい。
前記ジルコニアは分散時のメディアの摩耗量が大きく、それらの混入によって残留電位が著しく増加する。また、その摩耗粉の混入によって分散性が大きく低下し、フィラーの沈降性が促進される。一方、メディアにアルミナを使用した場合には、分散時にメディアは摩耗されるものの、摩耗量は低く抑えられる上に、混入した摩耗粉が残留電位に与える影響が非常に小さい。また、摩耗粉が混入しても分散性に対して悪影響が少ないので、分散に使用するメディアとしてはアルミナを使用することが好ましい。
前記酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物は、フィラー及び有機溶剤とともに分散前より添加することによって、塗工液中のフィラーの凝集、更にはフィラーの沈降性を抑制し、フィラーの分散性が著しく向上することから、分散前より添加することが好ましい。一方、バインダー樹脂及び電荷輸送物質は、分散前に添加することも可能であるが、その場合、分散性が若干低下する場合が見られる。従って、バインダー樹脂及び電荷輸送物質は、有機溶剤に溶解された状態で分散後に添加することが好ましい。
前記酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物は、その化学構造に由来して、周辺環境及びコロナ放電方式の帯電手段により生じるオゾン、NOxなどの酸化性ガスが吸着しやすく、場合によっては、最表面の低抵抗化を招き、画像流れ等の問題を引き起こす可能性がある。
−一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物−
本発明においては、前記問題を解決するため、表面保護層が、感光層に含有される一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質よりも酸化電位の大きい電荷輸送物質を含有し、下記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有する。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(1)中、R1及びR2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表し、該R1及びR2の少なくとも1つは置換基を有していてもよいアリール基である。なお、R1とR2とが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Arは、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(2)中、R1及びR2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表し、該R1とR2とが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Ar1及びAr2は、それぞれ置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。l及びmは、それぞれ0〜3の整数を表し、該lとmが同時に0となることはない。nは1又は2の整数を表す。
前記一般式(1)又は(2)における置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ウンデカニル基、ドデシル基、ベンジル基、フェネチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
前記一般式(1)又は(2)における置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基などが挙げられる。
前記一般式(2)のR1及びR2におけるアルキル基は芳香族炭化水素基、芳香族複素環基で置換されていることが好ましい。該芳香族炭化水素基としては、例えばフェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、ピレニル基等が挙げられ、芳香族複素環基としては、例えばピリジル基、キノリル基、チエニル基、フルフリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
前記R1及びR2が互いに結合して窒素原子を含む複素環基を形成する場合には、該複素環基としてはピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基などに芳香族炭化水素基が縮合した縮合複素環基を挙げることができる。
また、これらの置換基としては、前記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;前記芳香族炭化水素基、芳香族複素環基;ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基等の複素環基などが挙げられる。
前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表されるジアミン化合物は、文献(E.Elce and A.S.Hay,Polymer,Vol.37 No.9,1745(1996))に記載の方法により容易に製造することができる。具体的には、下記一般式(i)で表されるジハロゲン化物と、下記一般式(ii)で表される第二級アミン化合物とを塩基性化合物の存在下、室温〜100℃の温度で反応させることにより得られる。
XH2C−Ar−CH2X ・・・ 一般式(i)
ただし、前記一般式(i)中、Arは、前記一般式(1)と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(ii)中、R1及びR2は、上記一般式(1)と同じ意味を表す。
前記塩基性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメチラート、カリウム−t−ブトキシドなどが挙げられる。前記反応溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリルなどが挙げられる。
以下、前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物の具体例を挙げる。ただし、これらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0005545462
Figure 0005545462
前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物の前記表面保護層における含有量は、1質量%〜60質量%が好ましく、2質量%〜50質量%がより好ましい。
前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物と併用する構成において、塗工液の保存を必要とする場合には、相互作用による塩の生成を抑制するため、特定の酸化防止剤を含有させることが好ましい。この塩の生成は、塗工液の変色を引き起こすだけではなく、製造された電子写真感光体において、残留電位の上昇等の不具合を引き起こすことがある。
本発明の電子写真感光体で使用できる酸化防止剤としては、後述する一般の酸化防止剤が使用できるが、これらの中でも、ハイドロキノン系、及びヒンダードアミン系の化合物が特に好ましい。ただし、ここで用いられる酸化防止剤は、後述の添加目的と異なり、前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物の塗工液中での保護のために添加される。このため、前記酸化防止剤は、前記一般式(1)、及び(2)のいずれかで表される化合物を含有させる前の工程で塗工液に含有させておくことが好ましい。該酸化防止剤の添加量は、充分な塗工液の経時保存安定性を図るため、前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物100質量部に対し、0.1質量部〜200質量部が好ましい。
また、前記表面保護層の電荷輸送物質としては、感光層に含有される一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質よりも酸化電位の大きなものであれば画像ボケを抑制することが可能となる。
前記表面保護層における電荷輸送物質の酸化電位と、感光層における電荷輸送物質の酸化電位との差(表面保護層−感光層)は、0.01V以上が好ましく、0.02V〜0.20Vがより好ましい。
ここで、前記電荷輸送物質の酸化電位、即ち第一酸化半波電位の測定方法を以下に示す。測定する物質を所定量の塩化メチレンと過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム等の無関係塩(支持電解質)を加え溶解し、被検液とする。この被検液を、ポーラログラフ、或いはサイクリックボルタムメトリー等の電気化学的分析手段により、目的とする物質の酸化電位を測定することができる。前記電気化学的分析については、A.J.Bard,L.R.Faulkner著「Electrochemical Methods」Wiley社1980年刊等の成書に詳しい。ここでは、作用電極に滴下水銀電極、対極に白金、金等の貴金属、参照電極に飽和甘コウ電極(SCE)を用い、ポテンショスタットを用いた電位走査法で測定することができる。
前記表面保護層における電荷輸送物質の酸化電位としては、0.76V〜0.90V(vs SCE)が好ましい。前記酸化電位が、0.76V未満であると、画像ボケが発生しやすくなり、0.90Vを超えると、感光層に用いる一般式(3)及び(4)のいずれかで表される化合物の酸化電位にもよるが、感光層と表面保護層の電荷注入障壁が大きくなり、残留電位が上昇しやすくなってしまうことがある。
前記表面保護層における電荷輸送物質としては、上述したように、感光層に含有される一般式(3)及び(4)のいずれかで表される化合物よりも酸化電位の大きなものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(a)〜下記一般式(r)で示される化合物などが挙げられる。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(a)中、R1はメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基又は2−クロルエチル基を表し、R2はメチル基、エチル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、R3は水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基又はニトロ基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(b)中、Arはナフタレン環、アントラセン環、ピレン環及びそれらの置換体或いはピリジン環、フラン環、チオフェン環を表し、Rはアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(c)中、R1はアルキル基、ベンジル基、フェニル基又はナフチル基を表し、R2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアラルキルアミノ基、又は置換もしくは無置換のジアリールアミノ基を表し、nは1〜4の整数を表し、nが2以上のときはR2は同じでも異なっていてもよい。R3は水素原子又はメトキシ基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(d)中、R1は炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基又は複素環基を表し、R2、R3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、クロルアルキル基又は置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、また、R2とR3は互いに結合し窒素を含む複素環を形成していてもよい。R4は同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(e)中、Rは水素原子又はハロゲン原子を表し、Arは置換もしくは無置換のフェニル基、ナフチル基、アントリル基又はカルバゾリル基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(f)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Arは下記構造式で表される置換基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記構造式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はジアルキルアミノ基を表し、nは1又は2であって、nが2のときはR3は同一であっても異なっていてもよい。
4及びR5は、それぞれ水素原子、炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基又は置換もしくは無置換のベンジル基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(g)中、Rはカルバゾリル基、ピリジル基、チエニル基、インドリル基、フリル基或いはそれぞれ置換もしくは非置換のフェニル基、スチリル基、ナフチル基、又はアントリル基であって、これらの置換基がジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基又はそのエステル、ハロゲン原子、シアノ基、アラルキルアミノ基、N−アルキル−N−アラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基及びアセチルアミノ基から選択される基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(h)中、R1は低級アルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、又はベンジル基を表す。
2及びR3は、それぞれ水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基或いは低級アルキル基又はベンジル基で置換されたアミノ基を表し、nは1又は2の整数を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(i)中、R1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R2及びR3は、それぞれ置換もしくは無置換のアリール基を表す。R4は、水素原子、低級アルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基を表す。Arは、置換もしくは無置換のフェニル基又はナフチル基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(j)中、nは0又は1の整数、R1は水素原子、アルキル基又は置換もしくは無置換のフェニル基を表す。Ar1は、置換もしくは未置換のアリール基を表す。R5は、置換アルキル基を含むアルキル基、或いは置換もしくは無置換のアリール基を表す。また、nが0の時にはAとR1は共同で環を形成してもよい。
Aは下記構造式で表される置換基、9−アントリル基又は置換もしくは無置換のカルバゾリル基を表す。
Figure 0005545462
ただし、R2は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、又は下記構造式で表される置換基を表す。mは0〜5の整数であり、mが2以上の時にはR2は同一でも異なってもよい。
Figure 0005545462
ただし、前記構造式中、R3及びR4は置換もしくは無置換のアリール基を示し、該R3及びR4は、同じでも異なっていてもよく、該R3とR4は環を形成してもよい。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(k)中、R1、R2及びR3は、それぞれ水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子又はジアルキルアミノ基を表す。nは0又は1を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(l)中、R1及びR2は、それぞれ置換アルキル基を含むアルキル基、又は置換もしくは未置換のアリール基を表す。Aは、置換アミノ基、置換もしくは未置換のアリール基又はアリル基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(m)中、Xは水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン原子を表す。Rは、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。Aは、置換アミノ基又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(n)中、R1は低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R2及びR3は、同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。l、m、及びnは、それぞれ0〜4の整数を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(o)中、R1、R3及びR4は、それぞれ水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。R2は、水素原子、アルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、又はハロゲン原子を表す。ただし、R1、R2、R3及びR4が、すべて水素原子である場合は除き、また、k、l、m及びnは1、2、3又は4の整数であり、それぞれが2、3又は4の整数の時には、前記R1、R2、R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(p)中、Arは、置換基を有してもよい炭素数18個以下の縮合多環式炭化水素基を表す。R1及びR2は、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、又は置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。nは1もしくは2の整数を表す。
A−CH=CH−Ar−CH=CH−A ・・・ 一般式(q)
ただし、前記一般式(q)中、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。
Aは、下記構造式で表される置換基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記構造式中、Ar’は、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表し、R1及びR2は、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(r)中、Arは、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。Rは、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。nは0又は1、mは1又は2であって、n=0、m=1の場合、ArとRは共同で環を形成してもよい。
前記一般式(a)で表される化合物としては、例えば、9−エチルカルバゾール−3−アルデヒド−1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−アルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−アルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、などが挙げられる。
前記一般式(b)で表される化合物としては、例えば、4−ジエチルアミノスチリル−β−アルデヒド−1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、4−メトキシナフタレン−1−アルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、などが挙げられる。
前記一般式(c)で表される化合物としては、例えば、4−メトキシベンズアルデヒド−1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−メトキシベンズアルデヒド−1−(4−メトキシ)フェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジベンジルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、などが挙げられる。
前記一般式(d)で表される化合物としては、例えば、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−トリフェニルメタン、などが挙げられる。
前記一般式(e)で表される化合物としては、例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、9−ブロム−10−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、などが挙げられる。
前記一般式(f)で表される化合物としては、例えば、9−(4−ジメチルアミノベンジリデン)フルオレン、3−(9−フルオレニリデン)−9−エチルカルバゾール、などが挙げられる。
前記一般式(g)で表される化合物としては、例えば、1,2−ビス(4−ジエチルアミノスチリル)ベンゼン、1,2−ビス(2、4−ジメトキシスチリル)ベンゼン、などが挙げられる。
前記一般式(h)で表される化合物としては、例えば、3−スチリル−9−エチルカルバゾール、3−(4−メトキシスチリル)−9−エチルカルバゾール、などが挙げられる。
前記一般式(i)で表される化合物としては、例えば、4−ジフェニルアミノスチルベン、4−ジベンジルアミノスチルベン、4−ジトリルアミノスチルベン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレン、などが挙げられる。
前記一般式(j)で表される化合物としては、例えば、4’−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−α−フェニルスチルベン、などが挙げられる。
前記一般式(k)で表される化合物としては、例えば、1−フェニル−3−(4−ジエチルアミノスチリル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、などが挙げられる。
前記一般式(l)で表される化合物としては、例えば、2、5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、などが挙げられる。
前記一般式(m)で表される化合物としては、例えば、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジエチルアミノフェニル)−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、などが挙げられる。
前記一般式(n)で表されるベンジジン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、などが挙げられる。
前記一般式(o)で表されるビフェニリルアミン化合物としては、例えば、4’−メトキシ−N,N−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メチル−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メトキシ−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、などが挙げられる。
前記一般式(p)で表されるトリアリールアミン化合物としては、例えば、N,N−ジフェニル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−1−ナフチルアミン、N,N−ジ(p−トリル)−1−フェナントリルアミン、9,9−ジメチル−2−(ジ−p−トリルアミノ)フルオレン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メチルフェニル)−m−フェニレンジアミン、などが挙げられる。
前記一般式(q)で表されるジオレフィン芳香族化合物としては、例えば、1,4−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ベンゼン、1,4−ビス[4−ジ(p−トリル)アミノスチリル]ベンゼン、などが挙げられる。
前記一般式(r)で表されるスチリルピレン化合物としては、例えば、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ピレン、1−(N,N−ジ−p−トリル−4−アミノスチリル)ピレン、などが挙げられる。
−バインダー樹脂−
前記表面保護層におけるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ。例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
なお、前記表面保護層に後述する電荷輸送層で挙げた低分子電荷輸送物質又は高分子電荷輸送物質を添加することは、残留電位の低減及び画質向上に対して有効かつ有用である。
前記表面保護層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば浸漬塗工法、スプレーコート法、ビートコート法、ノズルコート法、スピナーコート法、リングコート法などが挙げられる。これらの中でも、塗膜の均一性の面からスプレーコート法が特に好ましい。また、前記表面保護層の必要厚みを一度で塗工し、表面保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工し、表面保護層を多層にする方が層中におけるフィラーの均一性の面からより好ましい。これによって、残留電位の低減、解像度の向上、及び耐摩耗性の向上に対してより一層の効果が得られる。
前記表面保護層の厚みは、0.1μm〜10μmが好ましく、2.0μm〜8.0μmがより好ましい。前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物を添加することによって、残留電位が大幅に低減させることが可能となり、それによって表面保護層の厚みを自由に設定することが可能となる。しかし、前記表面保護層の厚みが著しく増加すると、画質が若干劣化する傾向が認められるため、必要最小限度の厚みに設定することが好ましい。
<支持体>
前記支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、或いはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板又はそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。また、厚み50μm〜150μmのニッケル箔でもよく、或いは厚み50μm〜150μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にアルミニウム蒸着等の導電加工を行ったものでもよい。
その他、前記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、或いは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
前記導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、導電性支持体として良好に用いることができる。
−下引き層−
前記支持体と前記感光層との間には、下引き層を設ける。前記下引き層は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。
下引き層は、無機微粒子を含有していない層と無機微粒子を含有している層の少なくとも2層の下引き層が積層された構成となっており、無機微粒子を含有している層は少なくとも樹脂及び無機微粒子を含み、更に必要に応じて他の成分を含有してなり、無機微粒子を含有していない層は少なくとも樹脂及び必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂;共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂;ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の三次元網目構造を形成する硬化型樹脂、などが挙げられる。
前記無機微粒子としては、例えば酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物、金属硫化物、又は金属窒化物などが挙げられる。
また、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤などを含むものを使用することもできる。更に、下引き層として、Al23を陽極酸化にて設けたもの、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物、SiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものなども使用できる。
前記下引き層の厚みについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜10μmが好ましく、1μm〜5μmがより好ましい。
前記感光体においては、必要に応じて前記支持体上に、接着性、電荷ブロッキング性を向上させるために中間層を設けてもよい。該中間層は樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが好ましい。前記樹脂としては、前記下引き層と同様のものを適宜選択して用いることができる。
本発明における下引き層は、無機微粒子を含有していない層と無機微粒子を含有している層の少なくとも2層の下引き層が積層された構成となっている。下引き層の役割は、感光体の帯電時に導電性支持体に誘起される逆極性の電荷の注入を抑制したり、モアレを防止したり、素管の欠陥を隠蔽したり、感光層の接着性を高めるなど多くの役割を有している。通常の下引き層が一層の場合には、導電性支持体からの電荷注入を抑制すると残留電位が上昇する傾向を示し、逆に残留電位を低減させようとすると地汚れは悪化する。このようなトレードオフの関係を複数の下引き層を形成することによって機能分離した結果、残留電位に大きな影響を与えずに地汚れ抑制効果が顕著に向上できる。
まず、本発明の下引き層のうち、導電性支持体からの電荷注入の抑制を主目的とする無機微粒子を含有しない下引き層について説明する。電荷の注入を抑制する層としては、酸化アルミ層に代表される陽極酸化被膜、SiOに代表される無機系の絶縁層、特開平3−191361号公報に記載されるような金属酸化物のガラス質ネットワークから形成される層、特開平3−141363号公報に記載されるようなポリフォスファゼンからなる層、特開平3−101737号公報に記載されるようなアミノシラン反応生成物からなる層、この他には絶縁性のバインダー樹脂からなる層、硬化性のバインダー樹脂からなる層等が挙げられる。中でも湿式塗工法で形成可能な絶縁性のバインダー樹脂あるいは硬化性のバインダー樹脂から構成される層が良好に使用できる。さらに、これらの下引き層は、その上に無機微粒子を含有する下引き層あるいは感光層等が積層されるため、これらを湿式塗工法で設ける場合には、塗工溶媒に対し不溶性を有し塗膜が侵されない材料あるいは構成からなることが肝要である。
本発明において、無機微粒子を含有しない下引き層に用いられる樹脂としては、従来公知のどのような樹脂を用いてもよいが、電荷の注入を抑制させる必要があるため、特に絶縁性を有するバインダー樹脂が用いられる。バインダー樹脂の一例としては、ポリアミド、ポリエステル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂例えば、活性水素(−OH基、−NH2基、−NH基等の水素)を複数個含有する化合物とイソシアネート基を複数個含有する化合物及び/又はエポキシ基を複数個含有する化合物とを熱重合させた熱硬化性樹脂等も使用できる。
この場合活性水素を複数個含有する化合物としては、例えばポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ヒドロキシエチルメタアクリレート基等の活性水素を含有するアクリル系樹脂等があげられる。イソシアネート基を複数個含有する化合物としては、たとえば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等とこれらのプレポリマー等が挙げられ、エポキシ基を複数有する化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等があげられる。また、オイルフリーアルキド樹脂とアミノ樹脂、例えば、ブチル化メラミン樹脂等を熱重合させた熱硬化性樹脂、さらにまた、不飽和結合を有するポリウレタン、不飽和ポリエステル等の不飽和結合を有する樹脂と、チオキサントン系化合物、メチルベンジルフォルメート等の光重合開始剤との組合せ等の光硬化性樹脂もバインダー樹脂として使用できる。
本発明においては、これらの樹脂の中でもポリアミドが好ましく、その中でも特にN−メトキシメチル化ナイロンが最も好ましい。ポリアミド樹脂は、電荷の注入を抑制する効果が高い上に残留電位に与える影響が比較的少ない。また、これらのポリアミド樹脂は、アルコール可溶性の樹脂であって、ケトン系溶媒には不溶性を示し、また浸積塗工においても均一な薄膜を形成することができ、塗工性に優れている。特に、この下引き層は薄膜にする必要がある上、膜厚の均一性が要求されるため、塗工性は画質安定性において重要な意味を持っている。
しかし、一般にアルコール可溶性のポリアミド系樹脂は湿度依存性が大きく、それにより低湿環境下では抵抗が高くなり残留電位上昇が、高湿環境下では抵抗が低くなり、帯電低下が引き起こされ、環境依存性が大きいことが大きな課題であった。ポリアミド樹脂の中でもN−メトキシメチル化ナイロンは、環境依存性が大幅に低減され、画像形成装置の使用環境が変化しても常に安定した画質を維持することが可能であるため、最も好適に用いられる。加えて、N−メトキシメチル化ナイロンを用いた場合には残留電位の膜厚依存性が小さく、そのため残留電位への影響を低減し、かつ高い地汚れ抑制効果を得ることが可能となる。
N−メトキシメチル化ナイロンにおけるアルコキシメチル基の置換率は、特に限定されるものではないが、15mol%以上であることが好ましい。アルコキシメチル基の置換率がこれより低い場合には、湿度依存性が増加したり、アルコール溶液とした場合に白濁したりする傾向が見られ、塗工液の経時安定性がやや低下する場合がある。
本発明においては、N−メトキシメチル化ナイロンを単独で使用することも可能であるが、場合によっては架橋剤や酸触媒を添加することも可能である。架橋剤としては従来公知のメラミン樹脂、イソシアネート樹脂等市販されている材料を、触媒としては酸性触媒が用いられ、酒石酸等の汎用触媒を用いることが可能である。但し、酸触媒の添加によって下引き層の絶縁性が低下し、地汚れ抑制効果が低減される恐れがあるため、添加量はごく微量にする必要がある。添加量としては樹脂に対して5wt%以下が好ましい。また、場合によっては他のバインダー樹脂を混合させることも可能である。混合可能なバインダー樹脂としては、アルコール可溶性を示すポリアミド樹脂が用いられ、液の経時安定性が高まる場合がある。
また、導電性高分子や、帯電極性に合わせてアクセプター性の樹脂あるいは低分子化合物、その他各種添加剤を加えることも可能であり、残留電位の低減に対し有効となる場合がある。但し、上層を浸積塗工によって積層させる場合には、それらの添加剤が溶け出す恐れがあるため、添加量は最小限に留める必要がある。
塗工溶媒としては、一般の有機溶剤を使用できるが、ポリアミド系樹脂の場合にはアルコール可溶性であることによりアルコール系溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等もしくはそれらの混合溶媒が用いられる。
上記下引き層は、従来公知の浸漬塗工法、スプレーコート、リングコート、ビードコート、ノズルコート法などにより塗布される。塗布後は、加熱乾燥することによって膜形成が完了されるが、硬化させる場合には必要に応じて加熱あるいは光照射等の硬化処理を行うこともできる。
上記下引き層の膜厚は、0.1μm以上2.0μm未満、好ましくは0.3μm以上1.0μm以下が適当である。この下引き層の膜厚がそれ以上に厚くなると、帯電と露光の繰返しによって、残留電位の上昇が発生しやすくなり、また、膜厚が薄すぎると地汚れ抑制効果が乏しくなる。
次に、本発明の下引き層のうち、無機微粒子を含有する下引き層について説明する。無機微粒子を含有する下引き層は、主にモアレ防止を目的とするが、導電性支持体からの電荷注入防止や疲労による残留電位上昇や暗減衰の低減、並びに感光層との接着性を高める機能をも有する。
前述のモアレとは、レーザー光のようなコヒーレント光による書き込みを行う際に感光層内部での光干渉によってモアレと呼ばれる干渉縞が画像に形成される画像欠陥の一種である。基本的に、入射されたレーザー光をこの下引き層によって光散乱させることによりモアレ発生を防止するため、屈折率の大きな材料を含有させる必要がある。モアレを防止する上では、バインダー樹脂に無機微粒子を分散させた構成が最も有効である。使用される無機微粒子としては、白色の顔料が有効に使用され、金属酸化物、例えば、酸化チタン、フッ化カルシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化錫などが良好に用いられる。
また、本下引き層には、感光体表面に帯電される電荷と同極性の電荷を、感光層から導電性支持体側へ移動できる機能を有することが残留電位低減の観点から好ましく、無機微粒子はその役割をも果たしている。例えば、負帯電型の感光体の場合、下引き層は電子伝導性を有することによって残留電位を大幅に低減できる。これらの無機微粒子としては、前述の金属酸化物が有効に用いられるが、抵抗の低い無機微粒子を用いたり、バインダー樹脂に対する無機微粒子の添加比率を増加させたりすることによって残留電位を低減させる効果が高くなる反面、地汚れ抑制効果が低下する恐れもある。従って、感光体における下引き層の層構成や膜厚によってそれらを使い分けたり、添加量を調整したりすることによって、地汚れ抑制と残留電位低減の両立を図ることが必要である。
上記無機微粒子の中でも、残留電位の発生を抑えるには酸化錫等の導電性顔料が有効であるが、地汚れの影響が増大する恐れがある。残留電位と地汚れに対する影響を最小限にし、かつモアレ防止効果に優れる顔料としては、酸化チタンが最も好適である。
本発明に用いられる無機微粒子は、残留電位上昇を軽減する上で、高純度の方が好ましい。純度としては99.0%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましい。本発明の無機微粒子の平均一次粒径としては、0.01μm〜0.8μmが好ましく、0.05μm〜0.5μmがより好ましい。但し、平均一次粒径が0.1μm以下の無機微粒子のみを用いた場合には、地肌汚れの低減に対し有効であるが、モアレ防止効果が低下する傾向があり、一方、平均一次粒径が0.4μmよりも大きな金属酸化物のみを用いた場合には、モアレ防止効果に優れるものの、地肌汚れの抑制効果がやや低減する傾向が見られる。この場合、異なる平均一次粒径を有する無機微粒子を混合して用いることによって、地肌汚れの低減とモアレの低減を両立できる場合があり、また残留電位の低減にも効果が見られる場合があり有効である。
本発明においては、平均一次粒径の異なる2種以上の無機微粒子を混合させる場合、最も大きな平均一次粒径を有する無機微粒子の平均一次粒径をD1、最も小さな平均一次粒径を有する無機微粒子の平均一次粒径をD2としたとき、0.2<(D2/D1)≦0.5の関係を満たすことが好ましい。これにより、モアレ防止効果と地汚れ抑制効果を両立することが可能となる。また、この場合、最も小さな平均一次粒径を有する無機微粒子の平均一次粒径D2は、0.2μm未満であることが好ましい。これにより、地汚れ抑制効果が十分に発揮される。
また、これらの平均一次粒径が異なる2種以上の無機微粒子の混合比は、最も大きな平均一次粒径を有する無機微粒子の含有量をT1、最も小さな平均一次粒径を有する無機微粒子の含有量をT2としたとき、質量比で0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8の関係を満たすことが好ましい。これよりも小さい場合には、地汚れ抑制効果が低下する恐れがあり、これよりも大きいとモアレ防止効果が低下する恐れがある。
これらの無機微粒子を含有する下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、ポリアミド、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂及びメラミン樹脂からなるアルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、硬化型樹脂は、硬化されていることによって下引き層の上に感光層が塗工される際に有機溶剤による溶出の影響が極めて少ないことから、最も好ましく用いられる。上記硬化型樹脂の中でも、残留電位や環境安定性の面から、アルキッド−メラミン樹脂が好適である。
但し、この場合、主剤と硬化剤の比率が適当でないと、熱硬化による体積収縮が大きくなり、塗膜欠陥が発生しやすくなったり、残留電位が上昇したりする恐れがある。特に、下引き層の塗膜欠陥は、電荷のリークを引き起こし、黒斑点や地汚れの発生を促すことから、注意が必要である。また、硬化剤の含有比率が増加するに伴い、残留電位上昇が大きくなる傾向が見られる。本発明において、下引き層の樹脂としてアルキッド−メラミン樹脂を用いた場合には、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の含有比率は質量比で1/1乃至4/1の範囲内であることが好ましい。これにより、塗膜欠陥の発生もなく、また残留電位上昇の影響を軽減することが可能となる。
無機微粒子とバインダー樹脂の含有比率は、用いる無機微粒子種や層構成、また無機微粒子を含有しない下引き層の膜厚によって調整する必要があるが、地汚れと残留電位の両立を図る上で、無機微粒子とバインダー樹脂の質量比として4/1乃至8/1の範囲が好ましい。両者の質量比が4/1未満である場合には、モアレ防止能が低下するだけでなく、繰り返し使用における残留電位の上昇が増大する恐れがある。一方、質量比が8/1を超える領域ではバインダー樹脂における結着能が低下するだけでなく、塗膜表面性が悪化し、上層の成膜性に悪影響を与える場合がある。この影響は感光層が積層タイプで構成され、上層に電荷発生層のような薄層を形成する場合には、電荷発生層の膜厚の均一性が低下することにより局所的な帯電低下が起こり、地汚れ抑制効果が低下する恐れがある。更に、両者の質量比が8/1を超える場合には、無機微粒子表面のバインダー樹脂による被覆率が低下し、電荷発生物質と直接接触することで、地汚れに対して悪影響を与える場合がある。
無機微粒子を含有する下引き層の膜厚は、用いる無機微粒子種や層構成、無機微粒子を含有しない下引き層の膜厚によって調整する必要があるが、無機微粒子に酸化チタンを用いた場合には地汚れと残留電位との両立を図る上で、1〜10μm、好ましくは2〜6μmが適当である。膜厚が1μm未満ではモアレ防止効果が低下したり、疲労による帯電低下が増加する場合があり、必要以上に厚くなると残留電位の上昇を引き起こす恐れがある。また、無機微粒子に導電性の金属酸化物を用いた場合には、膜厚を厚くしても残留電位の影響は少なく、3〜20μm、好ましくは5〜15μmが適当である。また、本発明においては、無機微粒子を含有する下引き層の膜厚は、無機微粒子を含有しない下引き層よりも厚いことが好ましい。これにより、疲労による帯電低下の抑制が可能となり地汚れ抑制に有効となる。
無機微粒子は、溶剤及びバインダー樹脂と共に従来公知の方法、例えばボールミル、サンドミル、アトライター等により分散することにより塗工液を得ることができる。バインダー樹脂は分散前に添加しても分散後に樹脂溶液として添加しても良い。また、必要に応じて硬化(架橋)に必要な薬剤、溶剤、添加剤、硬化促進剤等を加えることも可能であり有効である。これらの塗工液を用い、従来公知の方法、例えば浸漬塗工法、スプレーコート、リングコート、ビードコート、ノズルコート法などを用いて導電性基体上に形成される。塗布後は乾燥や加熱、必要に応じて光照射等の硬化処理により乾燥あるいは硬化させることにより作製できる。
本発明においては、地汚れ抑制、疲労による残留電位及び暗減衰の低減、モアレ防止、感光層の接着性等を両立するために、下引き層を機能分離し少なくとも二層を積層した構成を採用している。この場合、無機微粒子を含有する下引き層が、無機微粒子を含有しない下引き層の上層に形成されるか下層に形成されるかによって二つの層構成が考えられる。
前者の無機微粒子を含有する下引き層が、導電性支持体上に形成された無機微粒子を含有しない下引き層と感光層との間に形成される層構成では、高い地汚れ抑制効果を発揮しつつ、残留電位上昇や疲労による帯電劣化の影響が非常に少なく、静電安定性に優れている。また、感光層との接着性も向上し、感光体の高耐久化において有効性が高い。この場合、無機微粒子としては前述の金属酸化物の中でも酸化チタンが有効に使用できる。
一方、後者の無機微粒子を含有する下引き層が、導電性支持体と無機微粒子を含有しない下引き層との間に形成される場合には、地汚れの抑制効果はむしろ若干高まる傾向が見られるが、疲労による残留電位上昇や帯電劣化の影響が増加する。それを抑制するためには、無機微粒子のバインダー樹脂に対する添加比率を大幅に高めるか、導電性の無機微粒子を添加することによって可能となる。これに用いられる無機微粒子としては、残留電位の点から酸化錫等の導電性顔料が好ましい。本発明においては、地汚れ抑制に対し大きな効果を有し、かつ疲労による残留電位や帯電性の経時安定性を両立でき、さらに導電性支持体の欠陥の隠蔽性や感光層の接着性に優れていることから、前者の構成が適しており、これにより本発明の効果をより高めることが可能となる。
<感光層>
−積層型感光層−
前記積層型感光層は、電荷発生層、及び電荷輸送層を有し、上述したように、表面保護層に含有される電荷輸送物質よりも酸化電位が小さい、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質は電荷輸送層に含有される。
−−電荷発生層−−
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含んでなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能である。例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報)、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報)、ジスチリルオキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報)、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報)等のアゾ系顔料;アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾ−ル系顔料、又は下記一般式(A)で表される金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、などが挙げられる。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(A)中、M(中心金属)は、金属及び無金属(水素)の元素を表す。
前記M(中心金属)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばH、Li、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、TI、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Np、Am等の単体、もしく酸化物、塩化物、フッ化物、水酸化物、臭化物などの2種以上の元素からなる。
前記フタロシアニン骨格を有する電荷発生物質とは、少なくとも前記一般式(A)の基本骨格を有していればよく、2量体、3量体など多量体構造を持つもの、更に高次の高分子構造を持つものでもよく、基本骨格に様々な置換基を有するものでも構わない。これらの様々なフタロシアニンのうち、中心金属にTiOを有するチタニルフタロシアニン、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等は感光体特性上特に好ましい。また、これらのフタロシアニンは、様々な結晶系を持つことが知られており、例えばチタニルフタロシアニンの場合には、α、β、γ、m、Y型等の銅フタロシアニンの場合、α、β、γ等の結晶多系を有している。同じ中心金属を持つフタロシアニンにおいても、結晶系が変わることにより種々の特性も変化する。これらの種々の結晶系を有するフタロシアニン系顔料を用いた感光体の特性もそれに伴って変化することが報告されている(電子写真学会誌 第29巻 第4号(1990))。このことから、フタロシアニンの結晶系の選択は感光体特性上非常に重要である。
これらのフタロシアニン系顔料の中でも、CuKαの特性X線(1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は特に高感度化を有しており、本発明においては高速化が可能となるため特に有効に用いられる。その中でも、27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は、電荷発生効率が大きく、静電特性も良好で、地汚れが発生しにくい等、本発明の電荷発生物質として極めて有効に使用できる。これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
前記電荷発生物質においては、粒子サイズをより細かくすることにより、その効果がより高くなる場合があり有効である。特に、フタロシアニン系顔料においては、平均粒子サイズは0.25μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。以下にその作製方法を示す。感光層に含有される電荷発生物質の粒子サイズをコントロールするための方法は、電荷発生物質を分散した後、0.25μmより大きい粗大粒子を取り除く方法である。ここでいう平均粒子サイズとは、体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median径)として算出されたものである。しかしながら、この方法では微量の粗大粒子を検出できない場合があるため、より詳細に求めるには、電荷発生物質粉末、或いは分散液を直接、電子顕微鏡にて観察し、その大きさを求めることが重要である。
次に、電荷発生物質を分散した後に、粗大粒子を取り除く方法について述べる。即ち、出来る限り粒子を微細にした分散液を作製後、適当なフィルターで濾過する方法である。分散液の作製に関しては一般的な方法が用いられ、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波などを用いて分散することで得られるものである。この際、バインダー樹脂は感光体の静電特性などにより、また溶媒は顔料へのぬれ性、顔料の分散性などにより選択すればよい。
この方法では、目視では観察できない(或いは粒径測定では検出できない)、残存する微量な粗大粒子をも取り除くことができ、また粒度分布を揃えるという点からも非常に有効な手段である。具体的には、上述のように作製した分散液を有効孔径が5μm以下のフィルター、より好ましくは3μm以下のフィルターにて濾過する操作を行い、分散液を完成させるというものである。この方法によっても、粒子サイズの小さな(0.25μm以下、好ましくは0.2μm以下)電荷発生物質のみを含む分散液を作製することができ、これを用いることにより、感度及び帯電性等の静電特性が改善され、その効果が持続し、本発明の効果を高めることができる。
この際、濾過される分散液の粒子サイズが大きすぎたり、粒度分布が広すぎたりする場合には、濾過によるロスが大きくなったり、濾過の目詰まりを生じて濾過が不可能になったりする場合がある。このため、濾過前の分散液においては、平均粒子サイズが0.3μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下に到達するまで分散を行った方が好ましい。平均粒子サイズが0.3μm以上である場合には濾過によるロスが大きくなり、標準偏差が0.2μm以上である場合には濾過時間が非常に長くなったりする不具合点を生じる場合がある。
前記電荷発生物質は、高感度な特性を示す電荷発生物質の特徴である分子間水素結合力が極めて強い。このため、分散された顔料粒子の粒子間での相互作用も非常に強い。この結果、分散機などにより分散された電荷発生物質粒子が、希釈などにより再凝集する可能性が非常に大きく、上述のように分散終了後、特定サイズ以下のフィルターで濾過を行うことにより、このような凝集物を取り除くことができる。この際、分散液がチキソトロピーな状態にあるため、使用するフィルターの有効孔径よりも小さなサイズの粒子まで除去される。又は、構造粘性を示す液をフィルター処理によりニュートン性に近い状態に変えることもできる。このようにして、電荷発生物質の粗大粒子を取り除いてやることにより、本発明の効果を更に向上させることができる。
また、前記アゾ顔料の中では、下記一般式(B)で表されるアゾ顔料は有効に使用される。特に、アゾ顔料のCp1とCp2が互いに異なるものである非対称アゾ顔料は、キャリア発生効率が大きく、高速化に対して有効であり、本発明の電荷発生物質として好ましく用いられる。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(B)中、Cp1及びCp2はカップラー残基を表す。R201及びR202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていてもよい。またCp1及びCp2は下記構造式で表される。
Figure 0005545462
ただし、前記構造式中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基を表す。
204、R205、R206、R207、及びR208は、それぞれ水素原子、ニトロ基、シアノ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ジアルキルアミノ基、又は水酸基を表す。Zは、置換もしくは無置換の炭素環式芳香族基芳香族炭素環、又は置換もしくは無置換の複素環式芳香族基芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。
前記電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾ−ル、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラールが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記溶剤としては、例えばイソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等の一般に用いられる有機溶剤が挙げられるが、これらの中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒を使用することが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷発生層は、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル、超音波等の公知の分散方法を用いて溶剤中に分散して、塗工液を得ることができる。なお、バインダー樹脂の添加は、電荷発生物質の分散前及び分散後のどちらでも構わない。電荷発生層の塗工液は、電荷発生物質、溶媒及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等の添加剤が含まれていてもよい。場合によっては、電荷発生層に後述の電荷輸送物質を添加することも可能である。バインダー樹脂の添加量は、電荷発生物質100質量部に対し500質量部以下が好ましく、10質量部〜300質量部がより好ましい。
前記電荷発生層は、上記塗工液を用いて導電性支持体上或いは下引き層等の上に塗工し、乾燥することにより形成される。塗工方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。前記電荷発生層の厚みは、0.01μm〜5μmが好ましく、0.1μm〜2μmがより好ましい。また、塗工後の乾燥はオーブン等を用いて加熱乾燥される。電荷発生層の乾燥温度は、50℃〜160℃であることが好ましく、80℃〜140℃がより好ましい。
−−電荷輸送層−−
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ電荷移動性がよいことが要求される。
前記電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする。電荷輸送物質としては、正孔輸送物質、電子輸送物質等の低分子型の電荷輸送物質が用いられ、更に必要に応じて高分子電荷輸送物質を添加することもできる。
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体、などが挙げられる。
これらの正孔輸送物質の中でも、ジスチリル構造を含む化合物が残留電位上昇抑制に有効であり、感光層の電荷発生物質にもよるが酸化電位としては0.76V(vs SCE)以下のものが好ましい。中でも、下記一般式(3)に示される化合物が、初期残留電位を低減し、繰り返し使用時の残留電位上昇を抑制できることから、高画質化、高速化、装置の小型化、画像出力時間の短縮化において極めて有効となる。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(3)中、R3〜R6は、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいフェニル基のいずれかを表す。
Aは、置換基を有していてもよいアリーレン基、及び下記構造式(3−1)で表される置換基のいずれかを表す。
Figure 0005545462
ただし、前記構造式(3−1)中、R7、R8、及びR9は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及びフェニル基のいずれかを表し、該フェニル基は更に置換基により置換されていてもよい。
Bは、置換基を有していてもよいアリール基、及び下記構造式(3−2)で表される置換基のいずれかを表す。
Figure 0005545462
ただし、前記構造式(3−2)中、Ar3は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Ar4及びAr5は、それぞれ置換基を有していてもよいアリール基を表す。
これらの化合物の中でも、下記一般式(4)で示されるジスチリルベンゼン誘導体は、本発明において特に効果が高く、有効かつ有用である。
Figure 0005545462
ただし、前記一般式(4)中、R10〜R35は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいフェニル基のいずれかを表す。
これらの化合物は、高い移動度を有していることが有効である要因と考えられるが、上記一般式(3)で示される化合物、特に上記一般式(4)で示されるジスチリルベンゼン誘導体はそれに対し非常に有効な材料である。これらは、分子が比較的大きく直鎖状の分子構造を有している上に、π共役系が分子全体に広がった特徴を有しており、これにより電荷の分子間移動よりも分子内移動の割合が高まり、移動度の向上とともに移動度の電界強度依存性が低減されるものと考えられる。
初期残留電位を低減し、繰り返し使用時の残留電位上昇を抑制するために、感光層には一般式(3)及び(4)のいずれかで表される化合物と前記正孔輸送剤又は、後述する高分子電荷輸送物質を組み合わせて含有させてもよい。
前記感光層における、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質の具体例を以下に示す。ただし、これらは一例であって、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 0005545462
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前記高分子電荷輸送物質としては、以下のような構造を有するものが挙げられる。
(a)カルバゾール環を有する重合体としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物などが例示される。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体としては、例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体としては、例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体としては、例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体としては、例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
また、前記高分子電荷輸送物質としては、上記以外にも、例えば、トリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリウレタン樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエステル樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエーテル樹脂、などが挙げられる。前記高分子電荷輸送物質としては、例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報、などに記載の化合物が挙げられる。
また、電子供与性基を有する重合体としては、上記重合体だけでなく、公知の単量体との共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマー、更には、例えば、特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることもできる。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、フェノキシ樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
前記電荷輸送物質の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対し65質量部〜200質量部が好ましく、70質量部〜150質量部がより好ましい。
前記電荷輸送層は、これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解乃至分散し、これを塗布し、乾燥することにより形成できる。前記電荷輸送層には、更に必要に応じて、前記電荷輸送物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等などの添加剤を適量添加することもできる。
前記電荷輸送層の厚みは、解像度及び応答性の点から、40μm以下が好ましく、下限値については使用するシステム(特に帯電電位等)に応じて異なるが15μm以上が好ましい。
−単層型感光層−
前記単層型感光層は、前記電荷発生物質、表面保護層に含有される電荷輸送物質よりも酸化電位の小さい、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質、バインダー樹脂等を適当な溶剤に溶解乃至分散し、これを導電性支持体上或いは下引き層上に塗工し、乾燥することによって形成される。
前記電荷発生物質及び電荷輸送物質(電子輸送物質及び正孔輸送物質)の詳細については、前述の電荷発生層及び電荷輸送層で挙げた材料を使用することが可能である。また、前記バインダー樹脂としては、前述の電荷輸送層で挙げた樹脂の他に、電荷発生層で挙げた樹脂を混合して用いてもよい。その他の成分としては、例えば、可塑剤、微粒子、各種添加剤、などが挙げられる。なお、バインダー樹脂として前述の高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。
前記電荷発生物質の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対し5質量部〜40質量部が好ましく、10質量部〜30質量部がより好ましい。また、前記電荷輸送物質の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対し190質量部以下が好ましく、50質量部〜150質量部がより好ましい。
前記単層型感光層は、前記電荷発生物質、前記バインダー樹脂、及び前記電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解乃至分散し、これを浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することもできる。
前記単層型感光層の厚みは、5μm〜25μmが好ましい。前記単層型感光層は、積層構成に比べて像担持体表面までの電荷輸送距離が短くなるが、電荷発生物質が分散された構成であるが故に、電荷移動におけるバラツキは大きくなるため、効果としては必ずしも高くなるわけではない。単層構成でも有効ではあるが、本発明においては積層構成の方がより効果を発揮するに適している。
前記単層型感光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10μm〜40μmが好ましい。
−添加剤―
本発明の電子写真感光体においては、耐環境性の改善のため、特に、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、表面保護層、単層型感光層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質、レベリング剤などを添加することができる。
前記酸化防止剤として、例えば、フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類、などが挙げられる。
前記フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類などが挙げられる。
前記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
前記ハイドロキノン類としては、例えば、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
前記有機硫黄化合物類としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
前記有機燐化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどが挙げられる。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
前記酸化防止剤の添加量は、添加する層の総質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましい。
また、各層に添加できる可塑剤として、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばリン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、芳香族カルボン酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル誘導体、オキシ酸エステル系可塑剤、エポキシ可塑剤、二価アルコールエステル系可塑剤、含塩素可塑剤、ポリエステル系可塑剤、スルホン酸誘導体、クエン酸誘導体、その他の可塑剤などが挙げられる。
前記リン酸エステル系可塑剤としては、例えばリン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなどが挙げられる。
前記フタル酸エステル系可塑剤としては、例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなどが挙げられる。
前記芳香族カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなどが挙げられる。
前記脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤としては、例えばアジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなどが挙げられる。
前記脂肪酸エステル誘導体としては、例えばオレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなどが挙げられる。
前記オキシ酸エステル系可塑剤としては、例えばアセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなどが挙げられる。
前記エポキシ可塑剤としては、例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなどが挙げられる。
前記二価アルコールエステル系可塑剤としては、例えばジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなどが挙げられる。
前記含塩素可塑剤としては、例えば塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなどが挙げられる。
前記ポリエステル系可塑剤としては、例えばポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど挙げられる。
前記スルホン酸誘導体としては、例えばp−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなどが挙げられる。
前記クエン酸誘導体としては、例えばクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなどが挙げられる。
前記その他の可塑剤としては、例えば、ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル、などが挙げられる。
各層に添加できる滑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば炭化水素系化合物、脂肪酸系化合物、脂肪酸アミド系化合物、エステル系化合物、アルコール系化合物、金属石けん、天然ワックス、その他の滑剤などが挙げられる。
前記炭化水素系化合物としては、例えば流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなどが挙げられる。
前記脂肪酸系化合物としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられる。
前記脂肪酸アミド系化合物としては、例えばステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなどが挙げられる。
前記エステル系化合物としては、例えば脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなどが挙げられる。
前記アルコール系化合物としては、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなどが挙げられる。
前記金属石けんとしては、例えばステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
前記天然ワックスとしては、例えばカルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなどが挙げられる。
前記その他の滑剤としては、例えば、シリコーン化合物、フッ素化合物、などが挙げられる。
各層に添加できる紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サルシレート系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、クエンチャー(金属錯塩系)紫外線吸収剤、HALS(ヒンダードアミン)などが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
前記サルシレート系紫外線吸収剤としては、例えばフェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ3'−ターシャリブチル5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えばエチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなどが挙げられる。
前記クエンチャー(金属錯塩系)紫外線吸収剤としては、例えばニッケル(2,2'チオビス(4−t-オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなどが挙げられる。
前記HALS(ヒンダードアミン)としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、クレーニング手段、除電手段、潤滑剤付与手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記電子写真感光体が、本発明の前記電子写真感光体である。
本発明で用いられる画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、クレーニング工程、除電工程、潤滑剤付与工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
本発明で用いられる画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記帯電工程は前記帯電手段により行うことができ、前記露光工程は前記露光手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記クリーニング工程は前記クリーニング手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
−帯電工程及び帯電手段−
前記帯電工程は、電子写真感光体表面を帯電させる工程であり、前記帯電手段により行われる。
前記帯電手段としては、前記電子写真感光体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電子写真感光体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段が用いられる。
前記非接触の帯電手段としては、例えば、コロナ放電を利用した非接触帯電器及び針電極デバイス、固体放電素子;電子写真感光体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。これらの中でも、コロナ放電が特に好ましい。
前記コロナ放電は、空気中のコロナ放電によって発生した正又は負のイオンを電子写真感光体の表面に与える非接触な帯電方法であり、電子写真感光体に一定の電荷量を与える特性を持つコロトン帯電器と、一定の電位を与える特性を持つスコロトロン帯電器とがある。
前記コロトン帯電器は、放電ワイヤの周囲に半空間を占めるケーシング電極とそのほぼ中心に置かれた放電ワイヤとから構成される。
前記スコロトロン帯電器は、前記コロトロン帯電器にグリッド電極を追加したものであり、グリッド電極は電子写真感光体表面から1.0mm〜2.0mm離れた位置に設けられている。
−露光工程及び露光手段−
前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光における光学系は、アナログ光学系とデジタル光学系とに大別される。前記アナログ光学系は、原稿を光学系により直接電子写真感光体上に投影する光学系であり、前記デジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、これを光信号に変換して電子写真感光体を露光し作像する光学系である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、などの各種露光器が挙げられる。これらの中でも、半導体レーザ(LD)及び発光ダイオード(LED)のいずれかであり、該露光手段を用いてデジタル方式で電子写真感光体上に静電潜像の書き込みを行うものが特に好ましい。
また、前記半導体レーザ(LD)素子を感光体の主走査方向又は副走査方向に複数配列したマルチビーム書き込みヘッドを組み入れた光源を使用してもよい。
ここで、図12に本発明で用いるマルチビーム露光手段の一例を示す。
複数の発光点301aを1次元又は2次元に配置した光源301からでた複数のレーザビームはコリメートレンズ302によって平行拘束あるいは略平行拘束になり、シリンドリカルレンズ303、アパーチャー304を介して回転多面鏡(ポリゴンミラー)305によって主走査方向に偏向させられる。回転多面鏡によって偏向されたレーザビームは第1走査レンズ306a、第2走査レンズ306bによって収束光となり、第1反射鏡307a、第2反射鏡307b、第3反射鏡307cを介して感光体308表面に結像され、主走査方向に走査される。
マルチビーム露光手段の光源としては端面発光レーザ、及び面発光レーザが使用可能である。特に光源が4個以上の面発光レーザアレイで構成され、2次元的に配列された面発光レーザは、画像形成装置の高速化、小型化、画像の解像度向上に有効である。
なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記電子写真感光体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該電子写真感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該電子写真感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記電子写真感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
−定着工程及び定着手段
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有するものが用いられる。
前記定着部材としては、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せ、などが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、また、定着可能幅の拡大の点で、熱容量が小さい無端状ベルトとローラとの組合せであるのが好ましい。
前記除電工程は、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。なお、クリーニング手段を用いることなく、摺擦部材で残留トナーの電荷を揃え、現像ローラで回収する方法を採用することもできる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
−潤滑剤付与工程及び潤滑剤付与手段−
前記潤滑剤付与工程は、電子写真感光体表面に潤滑剤を付与する工程であり、潤滑剤付与手段により実施される。該潤滑剤付与手段は、電子写真感光体の回転方向におけるクリーニング手段の下流に設けられていることが好ましい。
前記潤滑剤付与手段は、潤滑剤を前記電子写真感光体上に供給する潤滑剤供給手段と、該供給された潤滑剤を前記電子写真感光体表面に塗布する潤滑剤塗布手段とを有する。
前記潤滑剤塗布手段としては、塗布ブレードが好ましい。
前記塗布ブレードの材料としては、特に制限はなく、クリーニングブレード用材料として公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えばウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらブレードは、電子写真感光体との接点部分を低摩擦係数材料で、コーティング及び含浸処理してもよい。また、弾性体の硬度を調整するために、有機フィラー、無機フィラー等の充填材を分散させてもよい。
前記塗布ブレードは、ブレード支持体に、先端部が感光体表面へ押圧当接できるように、接着又は融着等の任意の方法によって固定される。前記ブレードの厚みについては、押圧で加える力との兼ね合いで一義的に規定できるものではないが、0.5mm〜5mmが好ましく、1mm〜3mmがより好ましい。
また、支持体から突き出し、たわみを持たせることができるブレードの長さ、いわゆる自由長についても同様に押圧で加える力との兼ね合いで一義的に規定できるものではないが、1mm〜15mmが好ましく、2mm〜10mmがより好ましい。
前記ブレードの他の構成としては、バネ板等の弾性金属ブレード表面に、必要に応じてカップリング剤、プライマー成分等を介して、樹脂、ゴム、エラストマー等の被覆層をコーティング、ディッピング等の方法で形成し、必要により熱硬化等を行い、更に必要であれば表面研摩等を施して用いてもよい。
前記被覆層は、少なくともバインダー樹脂及び充填剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばPFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂;フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマーなどが挙げられる。
前記弾性金属ブレードの厚みは、0.05mm〜3mmが好ましく、0.1mm〜1mmがより好ましい。前記弾性金属ブレードでは、ブレードのねじれを抑止するために、取り付け後に支軸と略平行となる方向に、曲げ加工等の処理を施してもよい。
前記塗布ブレードで感光体を押圧する力は、潤滑剤が延展し層の状態になる力で十分であり、バネ圧として1.0N〜10Nが好ましく、2.0N〜8.0Nがより好ましい。
前記潤滑剤供給手段としては、電子写真感光体に接触して回転するブラシ状ローラであり、該ブラシ状ローラが潤滑剤を摺擦し掻き取って該電子写真感光体上に潤滑剤を供給することが好ましい。
この場合、感光体表面への機械的ストレスを抑制するためにはブラシ繊維は可撓性を有することが好ましい。前記可撓性のブラシ繊維の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニル系樹脂又はポリビニリデン系樹脂(例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂)などが挙げられる。
なお、撓みの程度を調整するため、例えばジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合してもよい。
前記潤滑剤供給手段の支持体としては、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状の供給部材としては、例えばブラシ繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたものなどが挙げられる。前記ブラシ繊維としては繊維径10μm〜500μm程度、ブラシの繊維の長さは1mm〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108本)が好適である。
前記潤滑剤供給手段は、供給の均一性、供給の安定性の面から、ブラシ密度の高いものを使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作製することが好ましい。例えば、333デシテックス=6.7デシテックス×50フィラメント(300デニール=6デニール×50フィラメント)のように6.7デシテックス(6デニール)の微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することが好適である。
また、ブラシ表面には必要に応じてブラシの表面形状及び環境安定性等を安定化することを目的として、被覆層を設けてもよい。該被覆層を構成する成分としては、ブラシ繊維の撓みに応じて変形することが可能な被覆層成分を用いることが好ましい。前記被覆層成分としては、可撓性を保持し得る材料であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル又はポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変性品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等による変性品);パーフルオロアルキルエーテル、ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂、又はこれらの複合樹脂などが挙げられる。
前記潤滑剤としては、金属石鹸が好適である。該金属石鹸としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸コバルト、オレイン酸鉛、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸銅、パルチミン酸、亜鉛パルチミン酸コバルト、パルチミン酸銅、パルチミン酸マグネシウム、パルチミン酸アルミニウム、パルチミン酸カルシウム、カプリル酸鉛、カプロン酸鉛、リノレン酸亜鉛、リノレン酸コバルト、リノレン酸カルシウム、リコリノレン酸カドミウム、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、オオバ油、みつろう、ラノリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムが特に好ましい。
前記潤滑剤を一定の形状、例えば角柱状又は円柱状に成型するための方法としては、固体物質の成型方法として公知の方法を用いることができ、例えば、溶融成型法、粉末成型法、熱プレス成型法、冷間等方圧プレス法(CIP)、熱間等方圧プレス法(HIP)などが挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、図4は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。この図4において、電子写真感光体1は、本発明の前記電子写真感光体である。なお、図4では感光体1はドラム形状であるが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。
帯電チャージャ3、転写前チャージャ7、転写チャージャ10、分離チャージャ11、及びクリーニング前チャージャ13としては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)等の非接触のコロナ放電式の帯電手段が用いられている。
転写手段としては、一般に上記の帯電器が使用できるが、図4に示すように転写チャージャ10と分離チャージャ11とを併用したものが効果的である。
また、露光部5、及び除電ランプ2等の光源としては、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、図4に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、或いは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
次に、現像手段6により感光体1上に現像されたトナー像は、記録媒体9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナーも生ずる。このような残存トナーは、ファーブラシ14及びブレード15からなるクリーニング手段16により、感光体から除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行われることもあり、クリーニングブラシとしては、ファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。前記現像手段としては、公知の手段が用いられる。
除電手段としての除電ランプ2の波長は、感光体が光感度を有する波長領域内であればよく、感光体の実用的な光感度波長領域における長波長側のものが好ましい。
前記クリーニングブレードの各種条件として、ブレード当接角10〜30度、当接圧力0.3〜4g/mm、ブレードとして用いるゴムのゴム硬度60〜70度、反発弾性、30〜70%、ヤング率30〜60kgf/cm2、厚み1.5〜3.0mm、自由長7〜12mm、ブレードエッジの感光体への食い込み量0.2〜2mmの範囲が好ましく、このような物性を満たす材質としてウレタンゴムブレードが特に好適である。
次に、従来の潤滑剤付与手段について説明する。転写効率の向上や、残留する未転写トナーのクリーニング性向上のため、図4のトナークリーニング手段16内に、図5に示すように、感光体1に潤滑剤を付与する潤滑剤付与装置30を設けている。この潤滑剤付与装置30においては、感光体1の近くに固形潤滑剤33を配設し、感光体1と固形潤滑剤33の双方に接触する状態でブラシ状ローラ34を配設している。そして、潤滑剤供給時に、ブラシ状ローラ34を回転させて、固形潤滑剤33をブラシ状ローラ34で削り取り、ブラシ状ローラ34に付着した固形潤滑剤33を感光体1の表面に塗布するように構成されている。
図5の潤滑剤付与装置30では除去されずにトナーが残留している状態の感光体表面に潤滑剤を塗布することになる。ここで、もともと感光体表面に担持していた画像のうち文字部にあたる部分は、記録媒体への転写後にも感光体表面に残留トナーが多く存在し、文字部以外の部分は、実質的には残留トナーは存在していない。そして、残留トナーの付着量が多いところから、そのトナーと共に多量の潤滑剤がブラシ状ローラ及びクリーニング位置におけるクリーニングブレードなどによって掻き取られるため、クリーニング位置を通過後の感光体表面における潤滑剤の塗布量に偏りが生じてしまいやすい。特に同一画像を連続して出力した場合には、感光体表面のうち残留トナーの多い部分が常に同じであるため、このような偏りが顕著となる場合がある。また、ブラシ状ローラ等の塗布部材に残留トナーが付着するため、ブラシ状ローラが汚れてしまい、長期に渡って潤滑剤を均一に塗布し続けることが困難になりやすい。そして、感光体表面に均一な潤滑剤層が形成できないと、表面の静止摩擦係数(μ)に偏りが生じたり、トナーを転写するために十分低い値にならなかったりして転写ムラが生じ、文字中抜け、虫喰い、画像ボケ、ボソツキ等の異常画像が発生する。そのため、ブラシ状ローラに強めに固形潤滑剤を押し当て、感光体への潤滑剤供給量を増やす必要がある。
また、図5に示すクリーニングブレード15をブラシ状ローラ34の感光体回転方向上流に設けて、クリーニング後に潤滑剤塗布を行えば、塗布後の潤滑剤がブラシ状ローラ及びクリーニングブレードで掻き取られることがないので、塗布後クリーニングの構成での不具合は防止できる。しかし、潤滑剤が塗布された感光体表面がそのまま転写位置に進入して転写が行われると、表面の静止摩擦係数(μ)が適正範囲にあるにも関わらず異常画像が発生してしまう。これは、潤滑剤の粒子は塗布しただけで均一な層となるほど細かくないため、感光体表面で層厚にムラが生じ、これがトナーの転写性に影響を及ぼしてしまうからである。感光体表面に均一な潤滑剤層が形成できないと、表面の静止摩擦係数(μ)が不均一になったり、トナーを転写するために十分低い値にならなかったりして転写ムラが生じ、文字中抜け、虫喰い、画像ボケ、ボソツキ等の異常画像が発生する。
次に、図6に示す本発明に用いるクリーニング装置48の構成を説明する。このクリーニング装置48は、クリーニングブレード48a、支持部材48cを備える。クリーニングブレード48aは、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴムを板状に形成してなり、そのエッジが感光体1表面に当接するようにして設けられ、転写後に残留する感光体1上のトナーを除去する。
クリーニングブレード48aは、金属、プラスチック、セラミック等からなる支持部材48cに貼着されて支持され、感光体1表面に対し図6に示す角度で設置される。
潤滑剤付与装置43は、クリーニング装置48の下流側外部に配置され、感光体1移動方向上流側にクリーニングブレード48a、同下流側に潤滑剤塗布ブレード43eがそれぞれ配設される。クリーニングブレード48aにより残留トナーが除去されてクリーンな状態の感光体1の表面に、潤滑剤付与装置43によって塗布された潤滑剤を、その後に潤滑剤塗布ブレード43eが感光体1表面を摺擦することで引き延ばし、感光体1表面に潤滑剤の薄層を形成することができる。
潤滑剤塗布ブレード43eは、金属、プラスチック、セラミック等からなる支持部材43cに貼着されて支持され、感光体1表面に対し図6に示す角度で設置される。
なお、図6では潤滑剤塗布ブレード43eがトレールで感光体に当接しているが、カウンター方向で塗布ブレードを当接させてもよい。
図6の潤滑剤付与装置43についてより詳細に説明する。潤滑剤付与装置43は、感光体用クリーニング装置48の下流側外部に設けられ、固形潤滑剤43bと、この固形潤滑剤43bを感光体1に塗布するためのブラシ状部材としてのブラシ状ローラ43aとを備えている。固形潤滑剤43bは、ステアリン酸亜鉛を主成分とする潤滑油添加剤を溶解した後冷却固化させたものであり、バー状に成型されている。固形潤滑剤43bは、潤滑剤保持部材43dに保持され、塗布装置のハウジング43fに取り付けた加圧バネによって潤滑剤保持部材43dを介して固形潤滑剤43bをブラシ状ローラ43a側に押し当てている。ブラシ状ローラ43aは感光体1に当接して設けられており、ブラシ状ローラ43aの回転によって、固形潤滑剤43bをブラシ状ローラ43a側に掻き取り、ブラシ状ローラ43aに付着した潤滑剤が感光体1との当接部から感光体1表面に付着する。その後、潤滑剤は塗布ブレード43eによって均一にされる。また、潤滑剤の感光体への供給量は、固形潤滑剤のブラシ状ローラへ押し当てる加圧バネの加圧力によりコントロール可能である。
図6に示すような潤滑剤付与装置によって、少ない潤滑剤の供給量で潤滑剤を均一に薄層塗布可能となる。
前記固形潤滑剤43bとしては、乾燥した固体疎水性潤滑剤を用いることが可能であり、該固体疎水性潤滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムなどが好適である。
次に、図7は、本発明による電子写真プロセスの一例を示す概略図である。感光体21は支持体上に少なくとも特定の下引き層、感光層、及び表面保護層を有する本発明の感光体である。感光体21は駆動ローラ22a,22bにより駆動され、帯電器23による帯電、光源24による像露光、現像(不図示)、転写チャージャ25を用いる転写、ブラシ27によるクリーニング、光源28による除電が繰返し行われる。
図7に示す電子写真プロセスは、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、及びその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
図8は、本発明における別の実施形態の一例を示す図である。この図8において、感光体ドラム56は、図中反時計回りに回転駆動されながら、その表面がコロトロン、スコロトロンなどを用いる帯電チャージャ53によって一様に帯電した後、図示を省略しているレーザ光学装置から発せられるレーザ光Lの走査を受けて静電潜像を担持する。この走査はフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報に基づいてなされるため、感光体ドラム56上にはイエロー、マゼンタ、シアン、又はブラックという単色用の静電潜像が形成される。感光体ドラム56の図中左側には、リボルバ現像ユニット50が配設されている。これは、回転するドラム状の筺体の中にイエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、及びブラック現像器を有しており、回転によって各現像器を感光体ドラム56に対向する現像位置に順次移動させる。なお、イエロー現像器、マゼンタ現像器、シアン現像器、及びブラック現像器は、それぞれイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、及びブラックトナーを付着させて静電潜像を現像するものである。
感光体ドラム56上には、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック用の静電潜像が順次形成される。これらはリボルバ現像ユニット50の各現像器によって順次現像されてイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像となる。
上記現像位置よりも感光体ドラム56の回転下流側には中間転写ユニットが配設されている。これは、張架ローラ59a、転写手段たる中間転写バイアスローラ57、二次転写バックアップローラ59b、ベルト駆動ローラ59cによって張架している中間転写ベルト58を、ベルト駆動ローラ59cの回転駆動によって図中時計回りに無端移動させる。感光体ドラム56上で現像されたイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、及びブラックトナー像は、感光体ドラム56と中間転写ベルト58とが接触する中間転写ニップに進入する。そして、中間転写バイアスローラ57からのバイアスの影響を受けながら、中間転写ベルト58上に重ね合わせて中間転写されて、4色重ね合わせトナー像となる。
回転に伴って中間転写ニップを通過した感光体ドラム56表面は、ドラムクリーニングユニット55によって転写残トナーがクリーニングされる。このクリーニングユニット55は、クリーニングバイアスが印加されるクリーニングローラによって転写残トナーをクリーニングするものであるがファーブラシ、マグファーブラシ等からなるクリーニングブラシ、クリーニングブレードなどを用いるものであってもよい。
転写残トナーがクリーニングされた感光体ドラム56表面は、除電ランプ54によって除電される。除電ランプ54には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などが用いられている。また、上記レーザ光学装置の光源には半導体レーザが用いられている。これら発せられる光については、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターにより、所望の波長域だけを用いるようにしてもよい。
一方、図示しない給紙カセットから送られてきた記録媒体60を2つのローラ間に挟み込んでいるレジストローラ対61は、記録媒体60を中間転写ベルト58上の4色重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングで上記二次転写ニップに向けて送り込む。中間転写ベルト58上の4色重ね合わせトナー像は、二次転写ニップ内で紙転写バイアスローラ63からの二次転写バイアスの影響を受けて記録媒体60上に一括して二次転写される。この二次転写により、記録媒体60上にはフルカラー画像が形成される。
フルカラー画像が形成された記録媒体60は、転写ベルト62によって紙搬送ベルト64に送られる。搬送ベルト64は、転写ユニットから受け取った記録媒体60を定着装置65内に送り込む。定着装置65は、送り込まれた記録媒体60を加熱ローラとバックアップローラとの当接によって形成された定着ニップに挟み込みながら搬送する。記録媒体60上のフルカラー画像は、加熱ローラからの加熱や、定着ニップ内での加圧力の影響を受けて転写紙60上に定着される。
なお、図示を省略しているが、転写ベルト62及び搬送ベルト64には、記録媒体60を吸着させるためのバイアスが印加されている。また、記録媒体60を除電する紙除電チャージャ、各ベルト(中間転写ベルト58、転写ベルト62、搬送ベルト64)を除電する3つのベルト除電チャージャが配設されている。また、中間転写ユニットは、ドラムクリーニングユニット55と同様の構成のベルトクリーニングユニットも備えており、これによって中間転写ベルト58上の転写残トナーをクリーニングする。
次に、図9は、本発明における別の実施形態を示す概略図である。この画像形成装置は、いわゆるタンデム方式のプリンタであり、図8のように感光体ドラム80を各色で共有させるのではなく、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の4色それぞれ用の感光体ドラム80Y、80M、80C、80Bkを備えている。また、ドラムクリーニングユニット85、除電ランプ83、及び帯電チャージャ84についても、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、及びブラック(K)の4色のものを備えている。
前記タンデム型では、各色の静電潜像形成及び現像を並行して行うことができるため、前記リボルバ型よりも画像形成速度を遙かに高速化させることができる。
以上説明した画像形成装置における画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、以下に説明するプロセスカートリッジの形で画像形成装置内に組み込まれてもよい。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段と、電子写真感光体とを有し、画像形成装置本体に着脱可能なものである。
前記電子写真感光体が、本発明の前記電子写真感光体である。
ここで、図10は、本発明のプロセスカートリッジを備えた画像形成装置の構成を示す概略図である。
感光体101は、支持体上に、少なくとも特定の下引き層、感光層、及び表面保護層を有する本発明の感光体である。103は帯電手段、102は現像手段、107は転写手段、105はクリーニング手段を示す。
本発明においては、上述の感光体101、帯電手段303、現像手段304、及びクリーニング手段305等の構成要素のうち、少なくとも感光体302及び現像手段304をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機、プリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成することができる。
以上説明したような本発明の構成とすることにより、表面保護層にフィラーを含有する電子写真感光体の初期残留電位をより低減してより高速な画像形成装置を実現できる。また、地汚れ、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を抑制し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できる本発明の電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジを提供することが可能となる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(合成例1)
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
チタニルフタロシアニン結晶の合成は、特開2004−83859号公報に記載の方法に準じて行った。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン292gと、スルホラン1800gを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下した。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄した。次に、メタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。
得られた粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過した。次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
得られたウェットケーキ(水ペースト)40gをテトラヒドロフラン200gに投入し、室温下でホモミキサー(ケニス社製、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの色が濃紺色から淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5質量部を得た。これを顔料1とする。前記ウェットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウェットケーキに対する質量比で33倍の量を用いた。
なお、合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、更に9.4±0.2°、9.6±0.2°、24.0±0.2°に主要なピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末を得られた。結果を図11に示す。
<X線回折スペクトル測定条件>
・X線管球:Cu
・電圧:50kV
・電流:30mA
・走査速度:2°/分
・走査範囲:3°〜40°
・時定数:2秒
次に、市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液及び上記顔料を投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、顔料分散液を作製した。
以下の実施例及び比較例において、感光層及び表面保護層における電荷輸送物質の酸化電位は、以下のようにして測定したものである。
<電荷輸送物質の酸化電位>
測定対象の電荷輸送物質を所定量の塩化メチレンと過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム等の無関係塩(支持電解質)を加えて溶解し、被検液とした。この被検液を、ポーラログラフ、或いはサイクリックボルタムメトリー等の電気化学的分析手段により、目的とする物質の酸化電位を測定した。前記電気化学的分析については、A.J.Bard,L.R.Faulkner著「Electrochemical Methods」Wiley社1980年刊等の成書に詳しい。本実施例では、作用電極に滴下水銀電極、対極に白金、参照電極に飽和甘コウ電極(SCE)を用い、ポテンショスタットを用いた電位走査法で測定した。
(実施例1)
−電子写真感光体の作製−
直径30mmアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層1塗工液、下引き層2塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を浸漬塗工によって順次塗布し、乾燥させて、厚み0.7μmの下引き層1、厚み3.5μmの下引き層2、厚み0.2μmの電荷発生層、及び厚み22μmの電荷輸送層をそれぞれ形成した。なお、各層の乾燥条件は、下引き層1は130℃で10分間乾燥、下引き層2は130℃、電荷発生層は90℃、電荷輸送層は135℃とし、各20分間乾燥を行った。
<下引き層1塗工液の組成>
・N−メトキシメチル化ナイロン(FR101:鉛市製) 4.5質量部
・クエン酸 0.09質量部
・メタノール 70質量部
・n−ブタノール 30質量部
<下引き層2塗工液の組成>
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)
40質量部
・アルキッド樹脂
(ベッコライトM−6401−50(固形分50%)、大日本インキ化学工業製)
12質量部
・メラミン樹脂
(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 6.7質量部
・2−ブタノン 40質量部
<電荷発生層塗工液の組成>
・図11のX線回折スペクトルを示すチタニルフタロシアニン
(イオン化ポテンシャル 5.27eV) ・・・8質量部
・ポリビニルブチラール ・・・5質量部
・2−ブタノン ・・・400質量部
<電荷輸送層塗工液の組成>
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製) ・・・10質量部
・下記構造式で示される電荷輸送物質
(酸化電位:0.75V vs SCE、融点:193℃) ・・・8質量部
・シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液
(KF−50(100cs)):信越化学工業製) ・・・0.2質量部
・テトラヒドロフラン ・・・100質量部
Figure 0005545462
次に、電荷輸送層上に、下記組成の表面保護層塗工液をスプレー塗工によって、厚み5.0μmの表面保護層を形成した。表面保護層の乾燥条件は、150℃、20分間とした。以上により、実施例1の電子写真感光体を作製した。
<表面保護層塗工液の組成>
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、
住友化学工業株式会社製) ・・・1質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、
固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)
・・・0.02質量部
・下記構造式で表される化合物No.9 ・・・0.6質量部
Figure 0005545462
・下記構造式で表される電荷輸送物質
(酸化電位:0.89V vs SCE、融点:93.5℃)
・・・3質量部
Figure 0005545462
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製) ・・・5質量部
・テトラヒドロフラン ・・・250質量部
・シクロヘキサノン ・・・70質量部
(実施例2)
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、表面保護層塗工液を下記の組成の表面保護層塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の電子写真感光体を作製した。
<表面保護層塗工液の組成>
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、
住友化学工業株式会社製) ・・・1質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、
固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)
・・・0.02質量部
・下記構造式で表される化合物No.2 ・・・1.8質量部
Figure 0005545462
・下記構造式で表される電荷輸送物質
(酸化電位:0.89V vs SCE、融点:93.5℃)
・・・1.8質量部
Figure 0005545462
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製) ・・・5質量部
・テトラヒドロフラン ・・・250質量部
・シクロヘキサノン ・・・70質量部
(実施例3)
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、電荷輸送層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.74V vs SCE、融点:183℃)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例4)
−電子写真感光体の作製−
実施例2において、電荷輸送層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.74V vs SCE、融点:183℃)とした以外は、実施例2と同様にして、実施例4の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例5)
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、電荷輸送層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.73V vs SCE、融点:211℃)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例6)
−電子写真感光体の作製−
実施例2において、電荷輸送層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.73V vs SCE、融点:211℃)とした以外は、実施例2と同様にして、実施例6の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例7)
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例7の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例8)
−電子写真感光体の作製−
実施例2において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、実施例2と同様にして、実施例8の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例9)
−電子写真感光体の作製−
実施例3において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、実施例3と同様にして、実施例9の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例10)
−電子写真感光体の作製−
実施例4において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、実施例4と同様にして、実施例10の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例11)
−電子写真感光体の作製−
実施例5において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、実施例5と同様にして、実施例11の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例12)
−電子写真感光体の作製−
実施例6において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、実施例6と同様にして、実施例12の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例13)
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例13の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例14)
−電子写真感光体の作製−
実施例2において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、実施例2と同様にして、実施例14の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例15)
−電子写真感光体の作製−
実施例3において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、実施例3と同様にして、実施例15の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例16)
−電子写真感光体の作製−
実施例4において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、実施例4と同様にして、実施例16の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例17)
−電子写真感光体の作製−
実施例5において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、実施例5と同様にして、実施例17の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例18)
−電子写真感光体の作製−
実施例6において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、実施例6と同様にして、実施例18の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例19)
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、電荷輸送層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.71V vs SCE、融点:214℃)とした以外は、実施例7と同様にして、実施例19の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例20)
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、電荷輸送層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.67V vs SCE、融点:178℃)とした以外は、実施例7と同様にして、実施例20の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(実施例21)
−電子写真感光体の作製−
実施例5において、表面保護層の膜厚を3μmとした以外は、実施例5と同様にして、実施例21の電子写真感光体を作製した。
(実施例22)
−電子写真感光体の作製−
実施例5において、表面保護層の膜厚を8μmとした以外は、実施例5と同様にして、実施例22の電子写真感光体を作製した。
(実施例23)
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、表面保護層の膜厚を3μmとした以外は、実施例7と同様にして、実施例23の電子写真感光体を作製した。
(実施例24)
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、表面保護層の膜厚を8μmとした以外は、実施例7と同様にして、実施例24の電子写真感光体を作製した。
(実施例25)
−電子写真感光体の作製−
実施例5において、下引き層1の膜厚を1.2μmとした以外は、実施例5と同様にして、実施例25の電子写真感光体を作製した。
(実施例26)
−電子写真感光体の作製−
実施例5において、下引き層1の膜厚を1.9μmとした以外は、実施例5と同様にして、実施例26の電子写真感光体を作製した。
(実施例27)
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、下引き層1の膜厚を1.2μmとした以外は、実施例7と同様にして、実施例27の電子写真感光体を作製した。
(実施例28)
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、下引き層1の膜厚を1.9μmとした以外は、実施例7と同様にして、実施例28の電子写真感光体を作製した。
(実施例29)
−電子写真感光体の作製−
実施例5において、下引き層2塗工液の組成を以下のようにした以外は、実施例5と同様にして、実施例29の電子写真感光体を作製した。
<下引き層2塗工液の組成>
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)
50質量部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 12質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 6.7質量部
・2−ブタノン 45質量部
(実施例30)
−電子写真感光体の作製−
実施例5において、下引き層2塗工液の組成を以下のようにした以外は、実施例5と同様にして、実施例30の電子写真感光体を作製した。
<下引き層2塗工液の組成>
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)
60質量部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 12質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 6.7質量部
・2−ブタノン 50質量部
(実施例31)
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、下引き層2塗工液の組成を以下のようにした以外は、実施例7と同様にして、実施例31の電子写真感光体を作製した。
<下引き層2塗工液の組成>
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)
50質量部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 12質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 6.7質量部
・2−ブタノン 45質量部
(実施例32)
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、下引き層2塗工液の組成を以下のようにした以外は、実施例7と同様にして、実施例32の電子写真感光体を作製した。
<下引き層2塗工液の組成>
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)
60質量部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 12質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 6.7質量部
・2−ブタノン 50質量部
(実施例33)
−電子写真感光体の作製−
実施例5において、下引き層2塗工液の組成を以下のようにした以外は、実施例5と同様にして、実施例33の電子写真感光体を作製した。
<下引き層2塗工液の組成>
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)
37.5質量部
・酸化チタン(PT−401M:石原産業社製、平均一次粒径:約0.07μm)
12.5質量部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 12質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 6.7質量部
・2−ブタノン 45質量部
(実施例34)
−電子写真感光体の作製−
実施例5において、下引き層2塗工液の組成を以下のようにした以外は、実施例5と同様にして、実施例34の電子写真感光体を作製した。
<下引き層2塗工液の組成>
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)
30質量部
・酸化チタン(PT−401M:石原産業社製、平均一次粒径:約0.07μm)
20質量部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 12質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 6.7質量部
・2−ブタノン 45質量部
(実施例35)
−電子写真感光体の作製−
実施例5において、下引き層2塗工液の組成を以下のようにした以外は、実施例5と同様にして、実施例35の電子写真感光体を作製した。
<下引き層2塗工液の組成>
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)
10質量部
・酸化チタン(PT−401M:石原産業社製、平均一次粒径:約0.07μm)
40質量部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 12質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 6.7質量部
・2−ブタノン 45質量部
(実施例36)
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、下引き層2塗工液の組成を以下のようにした以外は、実施例7と同様にして、実施例36の電子写真感光体を作製した。
<下引き層2塗工液の組成>
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)
37.5質量部
・酸化チタン(PT−401M:石原産業社製、平均一次粒径:約0.07μm)
12.5質量部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 12質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 6.7質量部
・2−ブタノン 45質量部
(実施例37)
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、下引き層2塗工液の組成を以下のようにした以外は、実施例7と同様にして、実施例37の電子写真感光体を作製した。
<下引き層2塗工液の組成>
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)
30質量部
・酸化チタン(PT−401M:石原産業社製、平均一次粒径:約0.07μm)
20質量部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 12質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 6.7質量部
・2−ブタノン 45質量部
(実施例38)
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、下引き層2塗工液の組成を以下のようにした以外は、実施例7と同様にして、実施例38の電子写真感光体を作製した。
<下引き層2塗工液の組成>
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)
10質量部
・酸化チタン(PT−401M:石原産業社製、平均一次粒径:約0.07μm)
40質量部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 12質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 6.7質量部
・2−ブタノン 45質量部
(実施例39)
−電子写真感光体の作製−
実施例34において、下引き層2の膜厚を5μmとした以外は、実施例34と同様にして、実施例39の電子写真感光体を作製した。
(実施例40)
−電子写真感光体の作製−
実施例37において、下引き層2の膜厚を5μmとした以外は、実施例37と同様にして、実施例40の電子写真感光体を作製した。
(比較例1)
−電子写真感光体の作製−
直径30mmアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層2塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を浸漬塗工によって順次塗布し、乾燥させて、厚み3.5μmの下引き層2、厚み0.2μmの電荷発生層、及び厚み22μmの電荷輸送層をそれぞれ形成した。なお、各層の乾燥条件は、下引き層2は130℃、電荷発生層は90℃、電荷輸送層は135℃とし、各20分間乾燥を行った。
<下引き層2塗工液の組成>
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)
40質量部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製) 12質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製) 6.7質量部
・2−ブタノン 40質量部
<電荷発生層塗工液の組成>
・図11のX線回折スペクトルを示すチタニルフタロシアニン
(イオン化ポテンシャル 5.27eV) ・・・8質量部
・ポリビニルブチラール ・・・5質量部
・2−ブタノン ・・・400質量部
<電荷輸送層塗工液の組成>
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製) ・・・10質量部
・下記構造式で示される電荷輸送物質
(酸化電位:0.89V vs SCE、融点:93.5℃) ・・・8質量部
・シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF−50(100cs)):
信越化学工業製) ・・・0.2質量部
・テトラヒドロフラン ・・・100質量部
Figure 0005545462
次に、電荷輸送層上に、下記組成の表面保護層塗工液をスプレー塗工によって、厚み5.0μmの表面保護層を形成した。表面保護層の乾燥条件は、150℃、20分間とした。以上により、比較例1の電子写真感光体を作製した。
<表面保護層塗工液の組成>
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、
住友化学工業株式会社製) ・・・1質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、
固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)
・・・0.02質量部
・下記構造式で表される化合物No.9 ・・・0.6質量部
Figure 0005545462
・下記構造式で表される電荷輸送物質
(酸化電位:0.89V vs SCE、融点:93.5℃) ・・・3質量部
Figure 0005545462
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製) ・・・5質量部
・テトラヒドロフラン ・・・250質量部
・シクロヘキサノン ・・・70質量部
(比較例2)
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、表面保護層塗工液を下記の組成の表面保護層塗工液に変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例2の電子写真感光体を作製した。
<表面保護層塗工液の組成>
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、
住友化学工業株式会社製) ・・・1質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、
固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)
・・・0.02質量部
・下記構造式で表される化合物No.2 ・・・1.8質量部
Figure 0005545462
・下記構造式で表される電荷輸送物質
(酸化電位:0.89V vs SCE、融点:93.5℃)・・・1.8質量部
Figure 0005545462
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製) ・・・5質量部
・テトラヒドロフラン ・・・250質量部
・シクロヘキサノン ・・・70質量部
(比較例3)
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、比較例1と同様にして、比較例3の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(比較例4)
−電子写真感光体の作製−
比較例2において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、比較例2と同様にして、比較例4の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(比較例5)
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、比較例1と同様にして、比較例5の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(比較例6)
−電子写真感光体の作製−
比較例2において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、比較例2と同様にして、比較例6の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(比較例7)
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.75V vs SCE、融点:193℃)とした以外は、比較例1と同様にして、比較例7の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(比較例8)
−電子写真感光体の作製−
比較例2において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.75V vs SCE、融点:193℃)とした以外は、比較例2と同様にして、比較例8の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(比較例9)
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.74V vs SCE、融点:183℃)とした以外は、比較例1と同様にして、比較例9の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(比較例10)
−電子写真感光体の作製−
比較例2において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.74V vs SCE、融点:183℃)とした以外は、比較例2と同様にして、比較例10の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(比較例11)
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.73V vs SCE、融点:211℃)とした以外は、比較例1と同様にして、比較例11の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(比較例12)
−電子写真感光体の作製−
比較例2において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.73V vs SCE、融点:211℃)とした以外は、比較例2と同様にして、比較例12の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(比較例13)
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.74V vs SCE、融点:183℃)とした以外は、比較例1と同様にして、比較例9の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
(比較例14)
−電子写真感光体の作製−
比較例2において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.74V vs SCE、融点:183℃)とした以外は、比較例2と同様にして、比較例10の電子写真感光体を作製した。
Figure 0005545462
<画像形成装置による評価>
以上のように作製した比較例1〜12及び実施例1〜40の各電子写真感光体を、プロセスカートリッジに装着し、帯電方式をコロナ帯電方式(スコロトロン型)、画像露光光源を780nmの半導体レーザとしたデジタル書き込み方式のフルカラープリンター(IPSiO CX8100、株式会社リコー製)改造機を用いて、暗部電位800(−V)に設定した後、レーザ像面エネルギー0.40(μJ/cm2)に調整した後、600dpi相当、A4横サイズ、画像面積率5%となるテスト画像を出力するランニング試験を10万枚行い、印刷中の画像についての画像品質(文字ボケ)の評価を目視で行った。また、初期及び10万枚印刷後の明部電位VLを測定した。更に、渦電流式膜厚計(フィッシャー社製、フィッシャースコープMMS)を用いて初期及び10万枚印刷後での膜厚差より摩耗量の評価を行った。結果を表1に示す。
<画像ボケ評価>
得られた各電子写真感光体の一部にテフロン(登録商標)テープを貼り、50ppmの窒素酸化物ガス濃度に調整されたデシケータ中に4日間放置した後に中間調濃度の画像を前記フルカラープリンター(IPSiO CX8100改造機、株式会社リコー製)にて出力した。このテープ貼部とテープ非貼部の画像濃度差を画像ボケの指標として評価した。画像濃度は、測色計(エックスライト社製、X−Rite939)で測定した。結果を表1に示す。
<地汚れ評価>
10万枚印刷後に、地汚れの発生しやすい条件(部電位:1000(−V)、現像バイアス:900(−V))で白紙画像を出力し、地汚れを目視によりランク評価した。ランク5を地汚れ未発生とし、5段階で評価とした。
ランク5:地汚れ発生無し
ランク4:地汚れらしきのものがうっすらと見える
ランク3:地汚れらしきものが確認できるが数が少ない
ランク2:地汚れがはっきり確認できるが数が少ない
ランク1:地汚れがはっきり確認でき、数が多く全面に発生
Figure 0005545462
*表中、酸化電位差は、(表面保護層における電荷輸送物質の酸化電位)−(電荷輸送層における電荷輸送物質の酸化電位)を表す。
表1の結果から、比較例1〜12では、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される、正孔移動度が高く、酸化電位の低い電荷輸送物質を感光層及び表面保護層に含有させると、初期VLの低減と繰り返し使用によるVL上昇の抑制に効果はあるものの、繰り返し使用及び周辺環境により生じるオゾン、NOx、又はその他の酸化性物質による画像ボケが顕著に発生した。また、表面保護層に含有される電荷輸送物質の酸化電位が低くなるにつれ、画像ボケが発生しやすくなることが分かった。また、下引き層は1層構成であるため、地汚れランクが悪く、初期VLが高めであること、経時VL安定性が良くない。
これに対し、実施例1〜40では、感光層に酸化電位の低い電荷輸送物質を含有させ、表面保護層に感光層に含有される電荷輸送物質よりも酸化電位の高い電荷輸送材物質を含有させると、両層に含有される電荷輸送物質の酸化電位の差が電荷の注入障壁となり電荷輸送効率が落ち、初期VL及び繰り返し使用時のVL上昇が大きくなると一般的に考えられたが、このような感光層、表面保護層の構成であっても、8μm程度までの厚さの表面保護層であれば、初期VL及び繰り返し使用時のVL上昇は抑制できることが分かった。また、下引き層は無機微粒子を含有している層と無機微粒子を含有していない層の少なくとも2層の構成であるため、地汚れランクが良く、初期VLが低めで、経時VL安定性も良好であることが分かった。
以上のように、感光層が前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有しても、表面保護層が、感光層に含有される電荷輸送物質よりも高い酸化電位の電荷輸送物質を含有し、更に表面保護層に前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有させることにより、画像ボケが抑制し、かつ繰り返し使用による残留電位上昇も同時に抑制でき、高耐久化を図るために表面保護層にフィラーを含有する電子写真感光体において、本発明の構成を採用することにより、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を解決でき、高画質画像が安定に得られることが確認できた。また、下引き層を、無機微粒子を含有している層と無機微粒子を含有していない層の2層構成とすることにより、初期VL低減、繰り返し使用時の地汚れ耐久やVL安定性も得られることが確認できた。
(実施例41〜80、比較例15〜28)
<画像形成装置による評価2>
作製した比較例1〜14及び実施例1〜40の各電子写真感光体を、プロセスカートリッジに装着し、帯電方式をコロナ帯電方式(スコロトロン型)、画像露光光源を、面発光レーザを4個×4個に2次元配列したレーザアレイとしたデジタル書き込み方式のフルカラープリンター(IPSiO CX8100、株式会社リコー製)改造機IIを用いて、暗部電位800(−V)に設定した後、レーザ像面エネルギー0.43(μJ/cm2)に調整した後、1200dpi相当、A4横サイズ、画像面積率5%となるテスト画像を出力するランニング試験を10万枚行い、印刷中の画像についての画像品質(文字ボケ)の評価を目視で行った。また、初期及び10万枚印刷後の明部電位VLを測定した。更に、渦電流式膜厚計(フィッシャー社製、フィッシャースコープMMS)を用いて初期及び10万枚印刷後での膜厚差より摩耗量の評価を行った。結果を表2に示す。
<画像ボケ評価2>
得られた各電子写真感光体の一部にテフロン(登録商標)テープを貼り、50ppmの窒素酸化物ガス濃度に調整されたデシケータ中に4日間放置した後に中間調濃度の画像を前記フルカラープリンター(IPSiO CX8100改造機II、株式会社リコー製)にて出力した。このテープ貼部とテープ非貼部の画像濃度差を画像ボケの指標として評価した。画像濃度は、測色計(エックスライト社製、X−Rite939)で測定した。結果を表2に示す。
<地汚れ評価>
10万枚印刷後に、地汚れの発生しやすい条件(部電位:1000(−V)、現像バイアス:900(−V))で白紙画像を出力し、地汚れを目視によりランク評価した。ランク5を地汚れ未発生とし、5段階で評価とした。
ランク5:地汚れ発生無し
ランク4:地汚れらしきのものがうっすらと見える
ランク3:地汚れらしきものが確認できるが数が少ない
ランク2:地汚れがはっきり確認できるが数が少ない
ランク1:地汚れがはっきり確認でき、数が多く全面に発生
結果を表2に示す。
Figure 0005545462
露光光源として1200dpiの面発光レーザを用いた画像形成装置においても、表2の結果から、感光層が前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有しても、表面保護層が、感光層に含有される電荷輸送物質よりも高い酸化電位の電荷輸送物質を含有し、更に表面保護層に前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有させることにより、画像ボケが抑制し、かつ繰り返し使用による残留電位上昇も同時に抑制でき、高耐久化を図るために表面保護層にフィラーを含有する電子写真感光体において、本発明の構成を採用することにより、画像ボケによる画像劣化、及び残留電位上昇を解決でき、高画質画像が安定に得られることが確認できた。また、下引き層を、無機微粒子を含有している層と無機微粒子を含有していない層の2層構成とすることにより、初期VL低減、繰り返し使用時の地汚れ耐久やVL安定性も得られることが確認できた。
本発明の電子写真感光体は、初期残留電位をより低減してより高速な画像形成装置を実現し、また、地汚れ、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を抑制し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できるので、電子写真方式のレーザープリンタ、デジタル複写機、フルカラー複写機、フルカラーレーザープリンタなどに好適である。
1 電子写真感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
5 露光部
6 現像手段
7 転写前チャージャ
9 記録媒体
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 ブレード
16 クリーニング手段
21 感光体
22a、22b 駆動ローラ
23 帯電器
24 光源
25 転写チャージャ
27 ブラシ
28 光源
30 潤滑剤付与装置
33 固形潤滑剤
34 ブラシ状ローラ
43 潤滑剤付与装置
48 クリーニング装置
53 帯電チャージャ
54 除電ランプ
56 感光体ドラム
58 中間転写ベルト
60 記録媒体
62 転写ベルト
64 搬送ベルト
65 定着装置
80 感光体ドラム
83 除電ランプ
84 帯電チャージャ
85 クリーニングユニット
101 感光体
102 露光手段
103 帯電手段
105 クリーニング手段
106 現像手段
107 転写手段
201 支持体
202 感光層
203 電荷発生層
204 電荷輸送層
210 表面保護層
211 下引き層
301 光源
301a 発光点
302 コリメートレンズ
303 シリンドリカルレンズ
304 アパーチャー
305 回転多面鏡(ポリゴン・ミラー)
306a 第1走査レンズ
306b 第2走査レンズ
307a 第1反射鏡
307b 第2反射鏡
307c 第3反射鏡
308 感光体
309 走査線
特開昭53−133444号公報 特開昭55−157748号公報 特開昭57−30846号公報 特開平2−4275号公報 特開平4−281461号公報 特開2000−66434号公報 特開昭47−6341号公報 特開昭60−66258号公報 特開昭52−10138号公報 特開昭58−105155号公報 特開昭51−65942号公報 特開昭52―82238号公報 特開昭55―1130451号公報 特開昭58―93062号公報 特開昭58―58556号公報 特開昭60−111255号公報 特開昭59―17557号公報 特開昭60―32054号公報 特開昭64―68762号公報 特開昭64―68763号公報 特開昭64―73352号公報 特開昭64―73353号公報 特開平1−118848号公報 特開平1−118849号公報 特開昭58−95351号公報 特開昭59―93453号公報 特開平4―170552号公報 特開平6―208238号公報 特開平6―222600号公報 特開平8―184979号公報 特開平9―43886号公報 特開平9−190005号公報 特開平9−288367号公報 特開平5−80572号公報 特開平6−19174号公報 特開平9−265202号公報 特開2002−107984号公報 特許第2718044号公報 特許第3086965号公報 特許第3226110号公報

Claims (32)

  1. 支持体と、該支持体上に少なくとも下引き層、感光層、及び表面保護層を有する電子写真感光体であって、
    前記表面保護層が、フィラー、電荷輸送物質、並びに下記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有し、
    前記感光層が少なくとも電荷輸送物質を含有し、該感光層における電荷輸送物質が、前記表面保護層における電荷輸送物質よりも小さい酸化電位を有し、かつ下記一般式(3)で表される酸化電位が0.75V以下の化合物であり、
    該下引き層が無機微粒子を含有している層と無機微粒子を含有していない層の少なくとも2層からなることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0005545462
    (ただし、前記一般式(1)中、R1及びR2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表し、該R1及びR2の少なくとも1つは置換基を有していてもよいアリール基である。なお、R1とR2とが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Arは、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。)
    Figure 0005545462
    (ただし、前記一般式(2)中、R1及びR2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換基を有していてもよいアルキル基、及び置換基を有していてもよいアリール基のいずれかを表し、該R1とR2とが互いに結合して、窒素原子を含む複素環を形成してもよく、該複素環は更に置換基により置換されていてもよい。Ar1及びAr2は、それぞれ置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。l及びmは、それぞれ0〜3の整数を表し、該lとmが同時に0となることはない。nは1又は2の整数を表す。)
    Figure 0005545462
    (ただし、前記一般式(3)中、R3〜R6は、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいフェニル基のいずれかを表す。
    Aは、置換基を有していてもよいアリーレン基、及び下記構造式(3−1)で表される置換基のいずれかを表す。
    Figure 0005545462
    ただし、前記構造式(3−1)中、R7、R8、及びR9は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及びフェニル基のいずれかを表し、該フェニル基は更に置換基により置換されていてもよい。
    Bは、置換基を有していてもよいアリール基、及び下記構造式(3−2)で表される置換基のいずれかを表す。
    Figure 0005545462
    ただし、前記構造式(3−2)中、Ar3は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表す。Ar4及びAr5は、それぞれ置換基を有していてもよいアリール基を表す。)
  2. 前記感光層における電荷輸送物質が、下記一般式(4)で表されるジスチリルベンゼン誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
    Figure 0005545462
    (ただし、前記一般式(4)中、R10〜R35は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、及び置換基を有していてもよいフェニル基のいずれかを表す。)
  3. 前記下引き層のうち、無機微粒子を含有していない層には、ポリアミド樹脂が含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記ポリアミド樹脂が、N−メトキシメチル化ナイロンであり、加熱により架橋されていることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記下引き層のうち、無機微粒子を含有していない層の膜厚が、2.0μm未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記下引き層のうち、無機微粒子を含有している層には、無機微粒子として酸化チタンが含有されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記無機微粒子が、平均一次粒径の異なる2種以上の無機微粒子の混合物であり、最も大きな平均一次粒径を有する無機微粒子の平均一次粒径をD1、最も小さな平均一次粒径を有する無機微粒子の平均一次粒径をD2としたとき、0.2<(D2/D1)≦0.5の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記D2が、0.2μm未満であることを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 前記平均一次粒径の異なる2種以上の無機微粒子の混合比が、最も大きな平均一次粒径を有する無機微粒子の含有量をT1、最も小さな平均一次粒径を有する無機微粒子の含有量をT2としたとき、質量比で0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8の関係を満たすことを特徴とする請求項7又は8に記載の電子写真感光体。
  10. 前記下引き層のうち、無機微粒子を含有している層には、バインダー樹脂として熱硬化型樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。
  11. 前記熱硬化型樹脂が、アルキッド樹脂及びメラミン樹脂からなることを特徴とする請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 前記下引き層のうち、無機微粒子を含有している層の膜厚が、無機微粒子を含有していない層の膜厚よりも大きいことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真感光体。
  13. 前記下引き層のうち、無機微粒子を含有していない層が、導電性支持体上に直接形成され、その上に無機微粒子を含有する層が積層されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真感光体。
  14. 前記感光層が電荷発生物質を含有し、該電荷発生物質がチタニルフタロシアニン顔料を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の電子写真感光体。
  15. 前記チタニルフタロシアニン顔料が、CuKα特性X線(1.542Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラック角度(2θ±0.2°)のうちの少なくとも27.2°に最大強度の回折ピークを有し、9.4°、9.6°、24.0°に主要ピークを有し、7.3°に最小角度の回折ピークを有し、前記7.3°と9.4°との間に回折ピークを有さず、26.3°に回折ピークを有さないことを特徴とする請求項14に記載の電子写真感光体。
  16. 前記表面保護層における電荷輸送物質の酸化電位と、感光層における電荷輸送物質の酸化電位との差が0.13V〜0.20Vであることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の電子写真感光体。
  17. 前記フィラーが、金属酸化物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の電子写真感光体。
  18. 前記フィラーの平均一次粒径が、0.01μm〜1.0μmであることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の電子写真感光体。
  19. 前記フィラーの表面保護層における含有量が、5質量%〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の電子写真感光体。
  20. 前記表面保護層が、酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物を含有することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の電子写真感光体。
  21. 前記表面保護層の厚みが、0.1μm〜10μmであることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の電子写真感光体。
  22. 前記感光層が電荷発生層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層が、一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の電子写真感光体。
  23. 電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
    前記電子写真感光体が、請求項1〜22のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  24. 露光手段が、半導体レーザ(LD)及び発光ダイオード(LED)のいずれかであり、該露光手段を用いてデジタル方式で電子写真感光体上に静電潜像の書き込みを行うことを特徴とする請求項23に記載の画像形成装置。
  25. 露光手段が、ビーム束を複数用いて複数の露光領域を同時に露光するマルチビーム露光方式を採用することを特徴とする請求項24に記載の画像形成装置。
  26. マルチビーム露光方式に採用される光源が4個以上の面発光レーザアレイで構成されていることを特徴とする請求項25に記載の画像形成装置。
  27. マルチビーム露光方式に採用される光源が4個以上の面発光レーザアレイで構成され、かつ面発光レーザが2次元的に配列されていることを特徴とする請求項25又は26に記載の画像形成装置。
  28. 電子写真感光体上に複数色の可視像を順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする請求項23〜27のいずれかに記載の画像形成装置。
  29. 複数の電子写真感光体を有し、それぞれの電子写真感光体上に現像された単色の可視像を順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする請求項23〜28のいずれかに記載の画像形成装置。
  30. 電子写真感光体上に現像された可視像を中間転写体上に一次転写した後、該中間転写体上の可視像を記録媒体上に二次転写する中間転写手段を有し、複数色の可視像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を前記記録媒体上に一括で二次転写することを特徴とする請求項23〜29のいずれかに記載の画像形成装置。
  31. 帯電手段が、非接触で放電を行うコロナ方式の帯電手段であることを特徴とする請求項23〜30のいずれかに記載の画像形成装置。
  32. 帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段と、電子写真感光体とを有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体が、請求項1〜22のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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