JP5391875B2 - 電子写真感光体及びその製造方法、並びに画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
このような感光体の高耐久化を実現する方法としては、例えば感光体の最表面に表面保護層を設け、該表面保護層に潤滑性を付与したり、硬化させたり、フィラーを含有させる方法などが行われている。これらの中でも、表面保護層にフィラーを含有させる方法は、感光体の高耐久化に対して有効な方法の一つである(例えば、特許文献1〜6参照)。
前記表面保護層にフィラーを含有させる方法により感光層の削れを抑えると、繰り返し使用や周辺環境により生じるオゾン、NOx、又はその他の酸化性物質が、表面保護層表面に吸着し、繰り返し使用や使用環境によっては、表面保護層の低抵抗化を招き、画像流れ(画像ボケ)等の問題を引き起こすことが知られている。
従来は、このボケ発生物質が表面保護層と共に削りとられることにより、問題はある程度回避されてきた。しかし、最近の更なる高解像、高耐久化要求に応えるには、新たな手法を付与しなければならなくなってきている。酸化防止剤等の添加剤も有効な手段ではあるが、単なる添加剤は光導電性を有しないものであるから、表面保護層へのフィラーの多量添加は、低感度化、残留電位上昇等の電子写真特性の問題を招いてしまう。
絶縁性の高いフィラーを用いた場合に多く見られる残留電位の増加は、電子写真方式の画像形成装置内では明部電位が高いことにつながり、画像濃度及び階調性の低下を招くことになる。それを補うためには暗部電位を高くする必要があるが、暗部電位を高くすると電界強度が高くなり、地肌汚れ等の画像欠陥を生じさせるだけでなく、感光体の寿命をも低下させることにつながる。
このため、絶縁性の高いフィラーは使用しにくく、比較的残留電位の影響が少ない絶縁性の低いフィラーを用い、それによって発生する画像ボケに対しては、感光体を加熱するドラムヒーターを搭載する手段が用いられている。感光体を加熱することによって画像ボケの発生は抑制できるものの、この方法は画像形成装置の小型化、消費電力の低減、装置の立ち上げ時間の短縮に対して大きな障害となっている。
(1)感光層に酸化電位の低い電荷輸送物質を含有させ、表面保護層に感光層に含有される電荷輸送物質よりも酸化電位の高い電荷輸送材物質を含有させると、両層に含有される電荷輸送物質の酸化電位の差が電荷の注入障壁となり電荷輸送効率が落ち、残留電位の上昇が大きくなると一般的に考えられたが、このような感光層及び表面保護層を有する構成であっても、表面保護層が厚くなければ、残留電位の上昇は抑制でき、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像を安定に、かつ高速に形成できること
(2)上記(1)のような感光層に、酸化電位の低い電荷輸送物質を含有させ、表面保護層に感光層に含有される電荷輸送物質よりも酸化電位の高い電荷輸送材物質を含有させた感光体構成において、感光層中の酸化電位の低い電荷輸送物質が表面保護層へ染み出すと、表面保護層中の酸化電位の大きな電荷輸送物質における主たる電荷輸送において電荷トラップとなり、初期感度の低下や静電気的繰り返し特性が悪くなること
(3)酸化電位の低い電荷輸送物質は画像ボケを誘発しやすいため、表面保護層へ染み出すと画像ボケ余裕度が低下すること
(4)上記(2)のような感光層から表面保護層への低酸化電位の電荷輸送物質の染み出しを低減するためには、沸点が低いシクロペンタノンとテトラヒドロフラン含有する表面保護層塗工液を用いて表面保護層を形成することが有効であること
<1> 支持体と、該支持体上に少なくとも感光層、及び表面保護層を有する電子写真感光体であって、前記表面保護層が、フィラー、電荷輸送物質、並びに下記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有し、前記感光層が少なくとも電荷輸送物質を含有し、該感光層における電荷輸送物質が、前記表面保護層における電荷輸送物質よりも小さい酸化電位を有し、かつ下記一般式(3)で表される化合物であり、
前記表面保護層がシクロペンタノンとテトラヒドロフランとを含有する表面保護層塗工液から形成されることを特徴とする電子写真感光体である。
Aは、置換基を有していてもよいアリーレン基、及び下記構造式(3−1)で表される置換基のいずれかを表す。
Bは、置換基を有していてもよいアリール基、及び下記構造式(3−2)で表される置換基のいずれかを表す。
<2> 感光層における電荷輸送物質が、下記一般式(4)で表されるジスチリルベンゼン誘導体である前記<1>に記載の電子写真感光体である。
<3> 表面保護層の形成後の乾燥温度が、140℃未満である前記<1>から<2>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<4> 感光層が電荷発生物質を含有し、該電荷発生物質がチタニルフタロシアニン顔料を含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<5> チタニルフタロシアニン顔料が、CuKα特性X線(1.542Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラック角度(2θ±0.2°)のうちの少なくとも27.2°に最大強度の回折ピークを有し、9.4°、9.6°、24.0°に主要ピークを有し、7.3°に最小角度の回折ピークを有し、前記7.3°と9.4°との間に回折ピークを有さず、26.3°に回折ピークを有さない前記<4>に記載の電子写真感光体である。
<6> 表面保護層における電荷輸送物質の酸化電位と、感光層における電荷輸送物質の酸化電位との差が0.01V〜0.20Vである前記<1>から<5>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<7> フィラーが、金属酸化物から選択される少なくとも1種を含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<8> フィラーの平均一次粒径が、0.01μm〜1.0μmである前記<1>から<7>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<9> フィラーの表面保護層における含有量が、5質量%〜50質量%である前記<1>から<8>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<10> 表面保護層が、酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物を含有する前記<1>から<9>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<11> 表面保護層の厚みが、0.1μm〜10μmである前記<1>から<10>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<12> 感光層が電荷発生層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層が、一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有する前記<2>から<11>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<13> 支持体と、該支持体上に少なくとも感光層、及び表面保護層を有する電子写真感光体の製造方法であって、前記表面保護層が、フィラー、電荷輸送物質、並びに下記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有し、前記感光層が少なくとも電荷輸送物質を含有し、該感光層における電荷輸送物質が、前記表面保護層における電荷輸送物質よりも小さい酸化電位を有し、かつ下記一般式(3)で表される化合物であり、
前記表面保護層がシクロペンタノンとテトラヒドロフランとを含有する表面保護層塗工液から形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
Aは、置換基を有していてもよいアリーレン基、及び下記構造式(3−1)で表される置換基のいずれかを表す。
Bは、置換基を有していてもよいアリール基、及び下記構造式(3−2)で表される置換基のいずれかを表す。
<14> 電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記電子写真感光体が、前記<1>から<12>のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置である。
<15> 複数の電子写真感光体を有し、それぞれの電子写真感光体上に現像された単色の可視像を順次重ね合わせてカラー画像を形成する前記<14>に記載の画像形成装置である。
<16> 電子写真感光体上に現像された可視像を中間転写体上に一次転写した後、該中間転写体上の可視像を記録媒体上に二次転写する中間転写手段を有し、複数色の可視像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を前記記録媒体上に一括で二次転写する前記<14>から<15>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<17> 帯電手段が、非接触で放電を行うコロナ方式の帯電手段である前記<14>から<16>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<18> 帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段と、電子写真感光体とを有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体が、前記<1>から<12>のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
そこで、前記感光層が、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有しても、表面保護層が、感光層に含有される電荷輸送物質よりも高い酸化電位の電荷輸送物質を含有し、表面保護層に前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有させることにより、画像ボケが抑制し、かつ繰り返し使用による残留電位上昇も同時に抑制できる。即ち、高耐久化のため表面保護層にフィラーを含有する感光体について、表面保護層に電荷輸送物質及び前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有させ、表面保護層に含有される電荷輸送物質よりも小さい酸化電位を有する電荷輸送物質であって、かつ前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を感光層に含有させることにより、初期残留電位を低減し、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を解決できることを知見した。
しかし、表面保護層の電荷輸送物質の酸化電位を感光層のジスチリルベンゼン誘導体よりも大きくしても、表面保護層の膜厚が厚くなければ、残留電位の上昇及び初期残留電位は、ほとんど変わらないことを知見した。画像ボケは表面保護層の電荷輸送物質の酸化電位依存性があり、表面保護層の電荷輸送物質の酸化電位を大きくすることによって、画像ボケは抑制できる知見と併せて、最表層にフィラーを含有する感光体の初期残留電位を低減してより高速な画像形成を実現でき、画像ボケによる画像劣化及び繰り返し使用時の残留電位上昇を抑制することが可能となった。
上述のしたような感光層に酸化電位の低い電荷輸送物質を含有させ、表面保護層に感光層に含有される電荷輸送物質よりも酸化電位の高い電荷輸送材物質、及び一般式(1)又は(2)を含有させた感光体構成においても、表面保護層の作製方法により、初期残留電位や静電気的繰り返し特性及び画像ボケが影響を受けることが判明した。
これは、感光層からの低酸化電位の電荷輸送物質の表面保護層への染み出しが原因であると推測される。つまり、高酸化電位の電荷輸送物質を含有する表面保護層へ低酸化電位の電荷輸送物質が染み出すと、正孔移動の電荷トラップとなってしまい、初期残留電位の上昇や、静電気的繰り返し特性の悪化を招きやすくなる。また、先述したように低酸化電位の電荷輸送物質は、繰り返し使用及び周辺環境により生じるオゾン、NOx、又はその他の酸化性物質による画像ボケが顕著に発生しやすいため、表面保護層へ染み出すと、画像ボケの余裕度が低下してしまう。
この感光層から表面保護層への低酸化電位の電荷輸送物質の染み出しは、表面保護層の塗膜形成時や、塗膜形成後の乾燥時に起こると考えられる。そのため、表面保護層塗工液の溶媒を種々検討した結果、沸点が低いシクロペンタノンとテトラヒドロフランの混合溶媒が優れることを見出した。これらの溶媒を表面保護層塗工液に用いると塗膜形成時は、沸点が低いため比較的早く塗膜が固化しやくなり、表面保護層塗膜のウエット状態での低酸化電位電荷輸送物質の染み出しが減少し、また、表面保護層乾燥時においては、乾燥温度を下げることが可能となるため、高温乾燥中における染み出しが減少する。この2つの効果より、感光層中の低酸化電位の電荷輸送物質の表面保護層への染み出しを低減することができ、初期残留電位の低減、静電気的繰り返し特性及び画像ボケが飛躍的に改善される。
本発明の画像形成装置においては、前記静電潜像形成手段が、静電潜像を形成する。前記現像手段が、前記電子写真感光体上に形成された前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する。前記転写手段が、該可視像を記録媒体に転写する。前記定着手段が前記記録媒体に転写された転写像を定着する。このとき、前記電子写真感光体として本発明の電子写真感光体を用いているので、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を抑制し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できる。
本発明の画像形成方法においては、前記静電潜像形成工程において、前記電子写真感光体上に静電潜像を形成する。前記現像工程において、前記電子写真感光体上に形成された前記静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する。前記転写工程において、該可視像を記録媒体に転写する。前記定着工程において、前記記録媒体に転写された転写像を定着する。このとき、前記電子写真感光体として本発明の電子写真感光体を用いているので、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を抑制し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に形成できる。
本発明の電子写真感光体は、支持体と、該支持体上に少なくとも感光層、及び表面保護層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
なお、前記表面保護層が、シクロペンタノンとテトラヒドロフランとを含有する表面保護層塗工液から形成されたか否かは、表面保護層に残存したシクロペンタノンとテトラヒドロフランとを検出できたか否かで判断することができる。
Aは、置換基を有していてもよいアリーレン基、及び下記構造式(3−1)で表される置換基のいずれかを表す。
Bは、置換基を有していてもよいアリール基、及び下記構造式(3−2)で表される置換基のいずれかを表す。
より具体的には、表面保護層のシクロペンタノン及びテトラヒドロフランの残留量は、熱抽出−GCMS法で測定でき、表面保護層の乾燥条件にもよるが、テトラヒドロフランは、20ppm〜1,000ppm、シクロペンタノンは、20ppm〜500ppmとなる。
前記電子写真感光体は、その層構成について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、第一の形態では、支持体上に単一の層構成である感光層(以下、「単層型感光層」と称することもある)と、シクロペンタノンとテトラヒドロフランを含有する表面保護層塗工液から形成される表面保護層とを有し、必要に応じて下引き層等のその他の層を有してなる。また、第二の形態では、支持体と、該支持体上に電荷発生層と、電荷輸送層とを積層した構成の感光層(以下、「積層型感光層」と称することもある)と、シクロペンタノンとテトラヒドロフランを含有する表面保護層塗工液から形成される表面保護層とを有してなり、更に必要に応じて、下引き層等のその他の層を有してなる。なお、前記第二形態では、電荷発生層、及び電荷輸送層は逆に積層しても構わない。
図1は、支持体201上に前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有する感光層202を有し、該感光層上にシクロペンタノンとテトラヒドロフランを含有する表面保護層塗工液から形成される表面保護層210を有する。フィラー、電荷輸送物質、並びに前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物は表面保護層210に含有される。
図2は、支持体201上に電荷発生物質を含有する電荷発生層203と、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有する電荷輸送層204とが積層され、更に電荷輸送層表面にシクロペンタノンとテトラヒドロフランを含有する表面保護層塗工液から形成される表面保護層210を有する。フィラー、電荷輸送物質、並びに前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物は表面保護層210に含有される。
図3は、支持体201上に、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有する電荷輸送層204と、電荷発生物質を含有する電荷発生層203とが積層され、更に電荷発生層203表面にシクロペンタノンとテトラヒドロフランを含有する表面保護層塗工液から形成される表面保護層210を有する。フィラー、電荷輸送物質、並びに前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物は表面保護層210に含有される。
前記表面保護層は、感光体の最表面層として、前記感光層の保護及び耐久性の向上を目的として設けられ、フィラー、感光層に含有される一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質よりも酸化電位の大きい電荷輸送物質、並びに前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有し、好ましくはバインダー樹脂、酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。前記表面保護層は、シクロペンタノンとテトラヒドロフランを含有する表面保護層塗工液から形成される。
前記フィラーとしては、有機フィラー及び無機フィラーのいずれかが用いられる。前記有機性フィラーとしては、例えばポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂粉末;シリコ−ン樹脂粉末、a−カ−ボン粉末などが挙げられる。前記無機フィラーとしては、例えば銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末;シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物;フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物;チタン酸カリウム、窒化硼素などが挙げられる。これらの中でも、フィラーの硬度の点から無機フィラーを用いることが耐摩耗性の向上に対し有利である。
前記表面処理剤としては、特に制限はなく、従来用いられている表面処理剤の中から目的に応じて適宜選択することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましく、例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸、又はこれらとシランカップリング剤との混合処理;Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコン、ステアリン酸アルミニウム、又はこれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの発生防止の点からより好ましい。前記シランカップリング剤による表面処理により、画像ボケの影響は強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。前記表面処理剤量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。前記表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こすことがある。
前記フィラーの平均一次粒径は、例えば電子顕微鏡観察により直接粒径を測定して求めることができる。
前記感光体における表面保護層がフィラーを含有することによって、高耐久化の実現と共に、いわゆる画像ボケの発生を回避することが可能となるが、残留電位上昇の影響が増加することになる。この残留電位上昇を抑制するため、酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物を添加することが好ましい。
前記酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物としては、特に制限はなく、酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機脂肪酸、樹脂などが挙げられる。しかし、非常に低分子のマレイン酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸等の有機酸、アクセプター等はフィラーの分散性を大幅に低下させてしまう可能性があるため、残留電位の低減効果が十分に発揮されないことがある。従って、感光体の残留電位を低減させ、かつフィラーの分散性を高めるためには、低分子量ポリマー、樹脂、共重合体等、更にはそれらを混合させて使用することが好ましい。また、前記有機化合物の構造としては、立体障害が少ないリニアの構造を有することがより好ましい。分散性を向上させるためにはフィラーとバインダー樹脂との双方に親和性を持たせることが必要であり、立体障害が大きな材料は、それらの親和性が低下することにより、分散性が低下し、前述のような多くの問題を発生させることにつながる。
この点から、酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物としては、ポリカルボン酸が好ましい。前記ポリカルボン酸としては、カルボン酸をポリマー又はコポリマー中に含む構造を有する化合物であって、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂;アクリル酸又はメタクリル酸を用いた共重合体、スチレンアクリル共重合体等、カルボン酸を含む有機化合物又はその誘導体はすべて使用することが可能である。これらは2種以上混合して用いることが可能である。場合によっては、これらの材料と有機脂肪酸とを混合させることによって、フィラーの分散性或いはそれに伴う残留電位の低減効果が高まることがある。
<関係式1>
0.2≦酸価当量(A×B/C)≦20
前記酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物の含有量が多すぎると、逆に分散不良を引き起こしたり、画像ボケの影響が強く現れることがあり、一方、前記含有量が少なすぎると、分散不良及び残留電位低減効果が不十分となることがある。
前記ジルコニアは分散時のメディアの摩耗量が大きく、それらの混入によって残留電位が著しく増加する。また、その摩耗粉の混入によって分散性が大きく低下し、フィラーの沈降性が促進される。一方、メディアにアルミナを使用した場合には、分散時にメディアは摩耗されるものの、摩耗量は低く抑えられる上に、混入した摩耗粉が残留電位に与える影響が非常に小さい。また、摩耗粉が混入しても分散性に対して悪影響が少ないので、分散に使用するメディアとしてはアルミナを使用することが好ましい。
本発明においては、前記問題を解決するため、表面保護層が、感光層に含有される一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質よりも酸化電位の大きい電荷輸送物質を含有し、下記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有する。
前記一般式(1)又は(2)におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、スチリル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基などが挙げられる。
前記一般式(2)のR1及びR2におけるアルキル基は芳香族炭化水素基、芳香族複素環基で置換されていることが好ましい。該芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フルオレニル基、ピレニル基などが挙げられ、芳香族複素環基としては、例えば、ピリジル基、キノリル基、チエニル基、フルフリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、カルバゾリル基などが挙げられる。
前記R1及びR2が互いに結合して窒素原子を含む複素環基を形成する場合には、該複素環基としてはピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基などに芳香族炭化水素基が縮合した縮合複素環基を挙げることができる。
また、これらの置換基としては、前記アルキル基の具体例で挙げたもの、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;前記芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基等の複素環基;などが挙げられる。
XH2C−Ar−CH2X ・・・ 一般式(a)
ただし、前記一般式(a)中、Arは、前記一般式(1)と同じ意味を表し、Xはハロゲン原子を表す。
前記表面保護層における電荷輸送物質の酸化電位と、感光層における電荷輸送物質の酸化電位との差(表面保護層−感光層)は、0.01V以上が好ましく、0.02V〜0.20Vがより好ましい。
ここで、前記電荷輸送物質の酸化電位、即ち第一酸化半波電位の測定方法を以下に示す。測定する物質を所定量の塩化メチレンと過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム等の無関係塩(支持電解質)を加え溶解し、被検液とする。この被検液を、ポーラログラフ、或いはサイクリックボルタムメトリー等の電気化学的分析手段により、目的とする物質の酸化電位を測定することができる。前記電気化学的分析については、A.J.Bard,L.R.Faulkner著「Electrochemical Methods」Wiley社1980年刊等の成書に詳しい。ここでは、作用電極に滴下水銀電極、対極に白金、金等の貴金属、参照電極に飽和甘コウ電極(SCE)を用い、ポテンショスタットを用いた電位走査法で測定することができる。
R4及びR5は、それぞれ水素原子、炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基又は置換もしくは無置換のベンジル基を表す。
R2及びR3は、それぞれ水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基或いは低級アルキル基又はベンジル基で置換されたアミノ基を表し、nは1又は2の整数を表す。
Aは下記構造式で表される置換基、9−アントリル基又は置換もしくは無置換のカルバゾリル基を表す。
ただし、前記一般式(q)中、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表す。
Aは、下記構造式で表される置換基を表す。
前記一般式(b)で表される化合物としては、例えば、4−ジエチルアミノスチリル−β−アルデヒド−1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、4−メトキシナフタレン−1−アルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、などが挙げられる。
前記一般式(c)で表される化合物としては、例えば、4−メトキシベンズアルデヒド−1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−メトキシベンズアルデヒド−1−(4−メトキシ)フェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジベンジルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、などが挙げられる。
前記一般式(e)で表される化合物としては、例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、9−ブロム−10−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、などが挙げられる。
前記一般式(f)で表される化合物としては、例えば、9−(4−ジメチルアミノベンジリデン)フルオレン、3−(9−フルオレニリデン)−9−エチルカルバゾール、などが挙げられる。
前記一般式(g)で表される化合物としては、例えば、1,2−ビス(4−ジエチルアミノスチリル)ベンゼン、1,2−ビス(2、4−ジメトキシスチリル)ベンゼン、などが挙げられる。
前記一般式(h)で表される化合物としては、例えば、3−スチリル−9−エチルカルバゾール、3−(4−メトキシスチリル)−9−エチルカルバゾール、などが挙げられる。
前記一般式(j)で表される化合物としては、例えば、4’−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−α−フェニルスチルベン、などが挙げられる。
前記一般式(k)で表される化合物としては、例えば、1−フェニル−3−(4−ジエチルアミノスチリル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、などが挙げられる。
前記一般式(l)で表される化合物としては、例えば、2、5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、などが挙げられる。
前記一般式(m)で表される化合物としては、例えば、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジエチルアミノフェニル)−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、などが挙げられる。
前記一般式(n)で表されるベンジジン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、などが挙げられる。
前記一般式(p)で表されるトリアリールアミン化合物としては、例えば、N,N−ジフェニル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−1−ナフチルアミン、N,N−ジ(p−トリル)−1−フェナントリルアミン、9,9−ジメチル−2−(ジ−p−トリルアミノ)フルオレン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メチルフェニル)−m−フェニレンジアミン、などが挙げられる。
前記一般式(r)で表されるスチリルピレン化合物としては、例えば、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ピレン、1−(N,N−ジ−p−トリル−4−アミノスチリル)ピレン、などが挙げられる。
前記表面保護層におけるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
なお、前記表面保護層に後述する電荷輸送層で挙げた低分子電荷輸送物質又は高分子電荷輸送物質を添加することは、残留電位の低減及び画質向上に対して有効かつ有用である。
表面保護層用塗工液に含まれるシクロペンタノンとテトラヒドロフランの割合は、シクロペンタノン/テトラヒドロフラン=1/9〜5/5が好ましく、2/8〜3/7がより好ましい。シクロペンタノンの割合が多くなると、感光層から表面保護層への低酸化電位の電荷輸送物質の染み出しが多くなり、初期残留電位、静電気的繰り返し特性、画像ボケが悪くなり、シクロペンタノンの割合が少なくなると、フィラー分散性の低下や、表面保護層の成膜性が悪くなりやすい。
表面保護層用塗工液の固形分濃度は、2〜10重量%の範囲で用いることが好ましく、2.5〜6重量%がより好ましい。塗工液の固形分が低すぎる場合、感光層から表面保護層への低酸化電位の電荷輸送物質の染み出しが多くなり、初期残留電位、静電気的繰り返し特性、画像ボケが悪くなり、塗工液の固形分が高すぎると、表面保護層の成膜性が悪くなりやすい。
表面保護層の成膜後の乾燥温度は、表面保護層塗工液に用いるシクロペンタノンの沸点(約130℃)以上であって、140℃未満が好ましい。乾燥温度が高すぎると、表面保護層の乾燥中に感光層の低酸化電位電荷輸送物質が表面保護層へ染み出し、初期残留電位、静電気的繰り返し特性、画像ボケが悪くなる場合がある。また、乾燥温度が低すぎると、残留溶媒の影響により、静電気的繰り返し特性が悪くなりやすい。
前記表面保護層の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビートコート法、ノズルコート法、スピナーコート法、リングコート法などの従来公知の方法が挙げられるが、感光層の低酸化電位電荷輸送物質が表面保護層へ染み出し量を低減させるには、塗工膜形成時の溶媒含有量や溶媒との接触時間を少なくする方が好ましく、その点でスプレーコートあるいは塗工液量を規制したリングコートがより好ましい。
また、前記表面保護層の必要厚みを一度で塗工し、表面保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工し、表面保護層を多層にする方が層中におけるフィラーの均一性の面からより好ましい。これによって、残留電位の低減、解像度の向上、及び耐摩耗性の向上に対してより一層の効果が得られる。
前記支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、或いはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板又はそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。また、厚み50μm〜150μmのニッケル箔でもよく、或いは厚み50μm〜150μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にアルミニウム蒸着等の導電加工を行ったものでもよい。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、或いは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
前記導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
−積層型感光層−
前記積層型感光層は、電荷発生層、及び電荷輸送層を有し、上述したように、表面保護層に含有される電荷輸送物質よりも酸化電位が小さい、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質は電荷輸送層に含有される。
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含んでなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能である。例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報)、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報)、ジスチリルオキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報)、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報)等のアゾ系顔料;アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾ−ル系顔料、又は下記一般式(A)で表される金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、などが挙げられる。
前記M(中心金属)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばH、Li、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、TI、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Np、Am等の単体、もしく酸化物、塩化物、フッ化物、水酸化物、臭化物などの2種以上の元素からなる。
R204、R205、R206、R207、及びR208は、それぞれ水素原子、ニトロ基、シアノ基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;ジアルキルアミノ基、又は水酸基を表す。Zは、置換もしくは無置換の炭素環式芳香族基、芳香族炭素環、又は置換もしくは無置換の複素環式芳香族基、芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ電荷移動性がよいことが要求される。
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの正孔輸送物質の中でも、ジスチリル構造を含む化合物が残留電位上昇抑制に有効であり、感光層の電荷発生物質にもよるが酸化電位としては0.76V(vs SCE)以下のものが好ましい。中でも、下記一般式(3)に示される化合物が、初期残留電位を低減し、繰り返し使用時の残留電位上昇を抑制できることから、高画質化、高速化、装置の小型化、画像出力時間の短縮化において極めて有効となる。
Aは、置換基を有していてもよいアリーレン基、及び下記構造式(3−1)で表される置換基のいずれかを表す。
Bは、置換基を有していてもよいアリール基、及び下記構造式(3−2)で表される置換基のいずれかを表す。
(a)カルバゾール環を有する重合体としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物などが例示される。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体としては、例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
(c)ポリシリレン重合体としては、例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体としては、例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
(e)その他の重合体としては、例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
なお、前記電荷輸送層は、架橋性のバインダー樹脂と架橋性の電荷輸送物質との共重合体を含むこともできる。
前記電荷輸送物質の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対し65質量部〜200質量部が好ましく、70質量部〜150質量部がより好ましい。
前記電荷輸送層の厚みは、解像度及び応答性の点から、40μm以下が好ましく、下限値については使用するシステム(特に帯電電位等)に応じて異なるが15μm以上が好ましい。
前記単層型感光層は、前記電荷発生物質、表面保護層に含有される電荷輸送物質よりも酸化電位の小さい、前記一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質、バインダー樹脂等を適当な溶剤に溶解乃至分散し、これを導電性支持体上或いは下引き層上に塗工し、乾燥することによって形成される。
前記電荷発生物質の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対し5質量部〜40質量部が好ましく、10質量部〜30質量部がより好ましい。また、前記電荷輸送物質の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対し190質量部以下が好ましく、50質量部〜150質量部がより好ましい。
前記単層型感光層の厚みは、5μm〜25μmが好ましい。前記単層型感光層は、積層構成に比べて像担持体表面までの電荷輸送距離が短くなるが、電荷発生物質が分散された構成であるが故に、電荷移動におけるバラツキは大きくなるため、効果としては必ずしも高くなるわけではない。単層構成でも有効ではあるが、本発明においては積層構成の方がより効果を発揮するに適している。
前記単層型感光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、10μm〜40μmが好ましい。
前記支持体と前記感光層との間には、必要に応じて、下引き層を設けてもよい。前記下引き層は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。
前記樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂;共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂;ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の三次元網目構造を形成する硬化型樹脂、などが挙げられる。
前記微粉末としては、例えば酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物、金属硫化物、又は金属窒化物などが挙げられる。
また、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤などを含むものを使用することもできる。更に、下引き層として、Al2O3を陽極酸化にて設けたもの、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物、SiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものなども使用できる。
前記下引き層の厚みについては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜10μmが好ましく、1μm〜5μmがより好ましい。
下引き層の微粉末は、溶剤及びバインダー樹脂と共に従来公知の方法、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター等により分散することにより塗工液を得ることができる。バインダー樹脂は、分散前に添加してもよく、分散後に樹脂溶液として添加してもよい。また、必要に応じて、硬化(架橋)に必要な薬剤、溶剤、添加剤、硬化促進剤等を加えることも可能であり有効である。これらの塗工液を用い、従来公知の方法、例えば浸漬塗工法、スプレーコート、リングコート、ビードコート、ノズルコート法などを用いて導電性基体上に形成される。塗布後は乾燥や加熱、必要に応じて光照射等の硬化処理により乾燥あるいは硬化させることにより作製できる。
本発明の電子写真感光体においては、耐環境性の改善のため、特に、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、表面保護層、単層型感光層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質、レベリング剤などを添加することができる。
前記フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3
−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類などが挙げられる。
前記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
前記ハイドロキノン類としては、例えば、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
前記有機硫黄化合物類としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げられる。
前記有機燐化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどが挙げられる。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
前記酸化防止剤の添加量は、添加する層の総質量に対して0.01質量%〜10質量%が好ましい。
前記フタル酸エステル系可塑剤としては、例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなどが挙げられる。
前記芳香族カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなどが挙げられる。
前記脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなどが挙げられる。
前記脂肪酸エステル誘導体としては、例えばオレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなどが挙げられる。
前記オキシ酸エステル系可塑剤としては、例えばアセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなどが挙げられる。
前記エポキシ可塑剤としては、例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなどが挙げられる。
前記二価アルコールエステル系可塑剤としては、例えばジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなどが挙げられる。
前記含塩素可塑剤としては、例えば塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなどが挙げられる。
前記ポリエステル系可塑剤としては、例えばポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど挙げられる。
前記スルホン酸誘導体としては、例えばp−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなどが挙げられる。
前記クエン酸誘導体としては、例えばクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなどが挙げられる。
前記その他の可塑剤としては、例えば、ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル、などが挙げられる。
前記脂肪酸系化合物としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられる。
前記脂肪酸アミド系化合物としては、例えばステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなどが挙げられる。
前記エステル系化合物としては、例えば脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなどが挙げられる。
前記アルコール系化合物としては、例えばセチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなどが挙げられる。
前記金属石けんとしては、例えばステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
前記天然ワックスとしては、例えばカルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなどが挙げられる。
前記その他の滑剤としては、例えば、シリコーン化合物、フッ素化合物、などが挙げられる。
前記サルシレート系紫外線吸収剤としては、例えばフェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ3'−ターシャリブチル5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えばエチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなどが挙げられる。
前記クエンチャー(金属錯塩系)紫外線吸収剤としては、例えばニッケル(2,2'チオビス(4−t-オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなどが挙げられる。
前記HALS(ヒンダードアミン)としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、クレーニング手段、除電手段、潤滑剤付与手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記電子写真感光体が、本発明の前記電子写真感光体である。
本発明で用いられる画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、クレーニング工程、除電工程、潤滑剤付与工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
前記帯電工程は、電子写真感光体表面を帯電させる工程であり、前記帯電手段により行われる。
前記帯電手段としては、前記電子写真感光体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電子写真感光体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段が用いられる。
前記非接触の帯電手段としては、例えば、コロナ放電を利用した非接触帯電器及び針電極デバイス、固体放電素子;電子写真感光体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。これらの中でも、コロナ放電が特に好ましい。
前記コロトン帯電器は、放電ワイヤの周囲に半空間を占めるケーシング電極とそのほぼ中心に置かれた放電ワイヤとから構成される。
前記スコロトロン帯電器は、前記コロトロン帯電器にグリッド電極を追加したものであり、グリッド電極は電子写真感光体表面から1.0mm〜2.0mm離れた位置に設けられている。
前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光における光学系は、アナログ光学系とデジタル光学系とに大別される。前記アナログ光学系は、原稿を光学系により直接電子写真感光体上に投影する光学系であり、前記デジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、これを光信号に変換して電子写真感光体を露光し作像する光学系である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、などの各種露光器が挙げられる。これらの中でも、半導体レーザ(LD)及び発光ダイオード(LED)のいずれかであり、該露光手段を用いてデジタル方式で電子写真感光体上に静電潜像の書き込みを行うものが特に好ましい。
また、前記半導体レーザ(LD)素子を感光体の主走査方向又は副走査方向に複数配列したマルチビーム書き込みヘッドを組み入れた光源を使用してもよい。
ここで、図12に本発明で用いるマルチビーム露光手段の一例を示す。
複数の発光点301aを1次元又は2次元に配置した光源301からでた複数のレーザビームはコリメートレンズ302によって平行拘束あるいは略平行拘束になり、シリンドリカルレンズ303、アパーチャー304を介して回転多面鏡(ポリゴンミラー)305によって主走査方向に偏向させられる。回転多面鏡によって偏向されたレーザビームは第1走査レンズ306a、第2走査レンズ306bによって収束光となり、第1反射鏡307a、第2反射鏡307b、第3反射鏡307cを介して感光体308表面に結像され、主走査方向に走査される。
マルチビーム露光手段の光源としては端面発光レーザ、及び面発光レーザが使用可能である。特に面発光レーザは発光点を2次元に配列したレーザアレイを形成することができ、画像形成装置の高速化、小型化、画像の解像度向上に有効である。
なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着部材としては、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せ、などが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、また、定着可能幅の拡大の点で、熱容量が小さい無端状ベルトとローラとの組合せであるのが好ましい。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記潤滑剤付与工程は、電子写真感光体表面に潤滑剤を付与する工程であり、潤滑剤付与手段により実施される。該潤滑剤付与手段は、電子写真感光体の回転方向におけるクリーニング手段の下流に設けられていることが好ましい。
前記潤滑剤付与手段は、潤滑剤を前記電子写真感光体上に供給する潤滑剤供給手段と、該供給された潤滑剤を前記電子写真感光体表面に塗布する潤滑剤塗布手段とを有する。
前記塗布ブレードの材料としては、特に制限はなく、クリーニングブレード用材料として公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えばウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらブレードは、電子写真感光体との接点部分を低摩擦係数材料で、コーティング及び含浸処理してもよい。また、弾性体の硬度を調整するために、有機フィラー、無機フィラー等の充填材を分散させてもよい。
また、支持体から突き出し、たわみを持たせることができるブレードの長さ、いわゆる自由長についても同様に押圧で加える力との兼ね合いで一義的に規定できるものではないが、1mm〜15mmが好ましく、2mm〜10mmがより好ましい。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばPFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂;フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマー等のシリコーン系エラストマーなどが挙げられる。
この場合、感光体表面への機械的ストレスを抑制するためにはブラシ繊維は可撓性を有することが好ましい。前記可撓性のブラシ繊維の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニル系樹脂又はポリビニリデン系樹脂(例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂)などが挙げられる。
なお、撓みの程度を調整するため、例えばジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合してもよい。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
帯電チャージャ3、転写前チャージャ7、転写チャージャ10、分離チャージャ11、及びクリーニング前チャージャ13としては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)等の非接触のコロナ放電式の帯電手段が用いられている。
また、露光部5、及び除電ランプ2等の光源としては、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、図4に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、或いは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
クリーニングブレード48aは、金属、プラスチック、セラミック等からなる支持部材48cに貼着されて支持され、感光体1表面に対し図6に示す角度で設置される。
潤滑剤塗布ブレード43eは、金属、プラスチック、セラミック等からなる支持部材43cに貼着されて支持され、感光体1表面に対し図6に示す角度で設置される。
なお、図6では潤滑剤塗布ブレード43eがトレールで感光体に当接しているが、カウンター方向で塗布ブレードを当接させてもよい。
図7に示す電子写真プロセスは、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、及びその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
上記現像位置よりも感光体ドラム56の回転下流側には中間転写ユニットが配設されている。これは、張架ローラ59a、転写手段たる中間転写バイアスローラ57、二次転写バックアップローラ59b、ベルト駆動ローラ59cによって張架している中間転写ベルト58を、ベルト駆動ローラ59cの回転駆動によって図中時計回りに無端移動させる。感光体ドラム56上で現像されたイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、及びブラックトナー像は、感光体ドラム56と中間転写ベルト58とが接触する中間転写ニップに進入する。そして、中間転写バイアスローラ57からのバイアスの影響を受けながら、中間転写ベルト58上に重ね合わせて中間転写されて、4色重ね合わせトナー像となる。
転写残トナーがクリーニングされた感光体ドラム56表面は、除電ランプ54によって除電される。除電ランプ54には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などが用いられている。また、上記レーザ光学装置の光源には半導体レーザが用いられている。これら発せられる光については、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターにより、所望の波長域だけを用いるようにしてもよい。
一方、図示しない給紙カセットから送られてきた記録媒体60を2つのローラ間に挟み込んでいるレジストローラ対61は、記録媒体60を中間転写ベルト58上の4色重ね合わせトナー像に重ね合わせ得るタイミングで上記二次転写ニップに向けて送り込む。中間転写ベルト58上の4色重ね合わせトナー像は、二次転写ニップ内で紙転写バイアスローラ63からの二次転写バイアスの影響を受けて記録媒体60上に一括して二次転写される。この二次転写により、記録媒体60上にはフルカラー画像が形成される。
なお、図示を省略しているが、転写ベルト62及び搬送ベルト64には、記録媒体60を吸着させるためのバイアスが印加されている。また、記録媒体60を除電する紙除電チャージャ、各ベルト(中間転写ベルト58、転写ベルト62、搬送ベルト64)を除電する3つのベルト除電チャージャが配設されている。また、中間転写ユニットは、ドラムクリーニングユニット55と同様の構成のベルトクリーニングユニットも備えており、これによって中間転写ベルト58上の転写残トナーをクリーニングする。
前記タンデム型では、各色の静電潜像形成及び現像を並行して行うことができるため、前記リボルバ型よりも画像形成速度を遙かに高速化させることができる。
本発明のプロセスカートリッジは、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段と、電子写真感光体とを有し、画像形成装置本体に着脱可能なものである。
前記電子写真感光体が、本発明の前記電子写真感光体である。
感光体101は、支持体上に、少なくとも感光層、及び表面保護層を有する本発明の感光体である。103は帯電手段、102は現像手段、107は転写手段、105はクリーニング手段を示す。
本発明においては、上述の感光体101、帯電手段303、現像手段304、及びクリーニング手段305等の構成要素のうち、少なくとも感光体302及び現像手段304をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機、プリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成することができる。
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
チタニルフタロシアニン結晶の合成は、特開2004−83859号公報に記載の方法に準じて行った。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン292gと、スルホラン1800gを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下した。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄した。次に、メタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。
得られた粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過した。次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
なお、合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、更に9.4±0.2°、9.6±0.2°、24.0±0.2°に主要なピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末を得られた。結果を図11に示す。
<X線回折スペクトル測定条件>
・X線管球:Cu
・電圧:50kV
・電流:30mA
・走査速度:2°/分
・走査範囲:3°〜40°
・時定数:2秒
<電荷輸送物質の酸化電位>
測定対象の電荷輸送物質を所定量の塩化メチレンと過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム等の無関係塩(支持電解質)を加えて溶解し、被検液とした。この被検液を、ポーラログラフ、或いはサイクリックボルタムメトリー等の電気化学的分析手段により、目的とする物質の酸化電位を測定した。前記電気化学的分析については、A.J.Bard,L.R.Faulkner著「Electrochemical Methods」Wiley社1980年刊等の成書に詳しい。本実施例では、作用電極に滴下水銀電極、対極に白金、参照電極に飽和甘コウ電極(SCE)を用い、ポテンショスタットを用いた電位走査法で測定した。
−電子写真感光体の作製−
直径30mmアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を浸漬塗工によって順次塗布し、乾燥させて、厚み3.5μmの下引き層、厚み0.2μmの電荷発生層、及び厚み25μmの電荷輸送層をそれぞれ形成した。なお、各層の乾燥条件は、下引き層は130℃、電荷発生層は90℃、電荷輸送層は135℃とし、各20分間乾燥を行った。
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)・・・40部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分 50%)、大日本インキ化学工業製)・・・12部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分 60%)、大日本インキ化学工業製)・・・6.7部
・2−ブタノン・・・40部
・図11のX線回折スペクトルを示すチタニルフタロシアニン(イオン化ポテンシャル 5.27eV)・・・8質量部
・ポリビニルブチラール・・・5質量部
・2−ブタノン・・・400質量部
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製)・・・10質量部
・下記構造式で示される電荷輸送物質(酸化電位:0.75V vs SCE、融点:193℃)・・・8質量部
・シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF−50(100cs)):信越化学工業製)・・・0.2部
・ テトラヒドロフラン・・・100質量部
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、住友化学工業株式会社製)・・・1質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)・・・0.02質量部
・下記構造式で表される化合物No.2・・・1.8質量部
・テトラヒドロフラン・・・250質量部
・シクロペンタノン・・・70質量部
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、電荷輸送層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.74V vs SCE、融点:183℃)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、電荷輸送層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.73V vs SCE、融点:211℃)とし、表面保護層塗工液を下記の組成の表面保護層塗工液に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の電子写真感光体を作製した。
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、住友化学工業株式会社製)・・・1質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)・・・0.02質量部
・下記構造式で表される化合物No.9・・・0.6質量部
・テトラヒドロフラン・・・250質量部
・シクロペンタノン・・・70質量部
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、電荷輸送層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.73V vs SCE、融点:211℃)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例2において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、実施例2と同様にして、実施例6の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例3において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、実施例3と同様にして、実施例7の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例4において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、実施例4と同様にして、実施例8の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例2において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、実施例2と同様にして、実施例9の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例3において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、実施例3と同様にして、実施例10の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例4において、表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、実施例4と同様にして、実施例11の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、電荷輸送層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.71V vs SCE、融点:214℃)とした以外は、実施例7と同様にして、実施例12の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例7において、電荷輸送層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.67V vs SCE、融点:178℃)とした以外は、実施例7と同様にして、実施例13の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例3において、表面保護層の膜厚を3umとした以外は、実施例3と同様にして、実施例14の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例3において、表面保護層の膜厚を8umとした以外は、実施例3と同様にして、実施例15の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例6において、表面保護層の乾燥条件を145℃、20分間とした以外は、実施例6と同様にして、実施例16の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
直径30mmアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を浸漬塗工によって順次塗布し、乾燥させて、厚み3.5μmの下引き層、厚み0.2μmの電荷発生層、及び厚み25μmの電荷輸送層をそれぞれ形成した。なお、各層の乾燥条件は、下引き層は130℃、電荷発生層は90℃、電荷輸送層は135℃とし、各20分間乾燥を行った。
・酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)・・・40部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM−6401−50(固形分 50%)、大日本インキ化学工業製)・・・12部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60(固形分 60%)、大日本インキ化学工業製)・・・6.7部
・2−ブタノン・・・40部
・図11のX線回折スペクトルを示すチタニルフタロシアニン(イオン化ポテンシャル 5.27eV)・・・8質量部
・ポリビニルブチラール・・・5質量部
・2−ブタノン・・・400質量部
・ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成株式会社製)・・・10質量部
・下記構造式で示される電荷輸送物質(酸化電位:0.89V vs SCE、融点:93.5℃)・・・8質量部
・シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF−50(100cs)):信越化学工業製)・・・0.2部
・ テトラヒドロフラン・・・100質量部
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、住友化学工業株式会社製)・・・1質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)・・・0.02質量部
・下記構造式で表される化合物No.9・・・0.6質量部
・テトラヒドロフラン・・・250質量部
・シクロヘキサノン・・・70質量部
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、表面保護層塗工液を下記の組成の表面保護層塗工液に変更した以外は、比較例1と同様にして、比較例2の電子写真感光体を作製した。
<表面保護層塗工液の組成>
・アルミナフィラー(平均一次粒径=0.3μm、スミコランダムAA−03、住友化学工業株式会社製)・・・1質量部
・不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価=180mgKOH/g、固形分50質量%、BYK−P104、BYKケミー社製)・・・0.02質量部
・下記構造式で表される化合物No.2・・・1.8質量部
・テトラヒドロフラン・・・250質量部
・シクロヘキサノン・・・70質量部
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、比較例1と同様にして、比較例3の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
比較例2において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.80V vs SCE、融点:139.5℃)とした以外は、比較例2と同様にして、比較例4の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、比較例1と同様にして、比較例5の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
比較例2において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.76V vs SCE、融点:165.5℃)とした以外は、比較例2と同様にして、比較例6の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.75V vs SCE、融点:193℃)とした以外は、比較例1と同様にして、比較例7の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
比較例2において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.75V vs SCE、融点:193℃)とした以外は、比較例2と同様にして、比較例8の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.74V vs SCE、融点:183℃)とした以外は、比較例1と同様にして、比較例9の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
比較例2において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.74V vs SCE、融点:183℃)とした以外は、比較例2と同様にして、比較例10の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
比較例1において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.73V vs SCE、融点:211℃)とした以外は、比較例1と同様にして、比較例11の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
比較例2において、電荷輸送層及び表面保護層の電荷輸送物質を下記構造式で表される電荷輸送物質(酸化電位:0.73V vs SCE、融点:211℃)とした以外は、比較例2と同様にして、比較例12の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、表面保護層塗工液のシクロペンタノンをシクロヘキサノンとし、表面保護層の乾燥条件を150℃、20分間としたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例13の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例2において、表面保護層塗工液のシクロペンタノンをシクロヘキサノンとし、表面保護層の乾燥条件を150℃、20分間としたこと以外は、実施例2と同様にして、比較例14の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例3において、表面保護層塗工液のシクロペンタノンをシクロヘキサノンとし、表面保護層の乾燥条件を150℃、20分間としたこと以外は、実施例3と同様にして、比較例15の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例4において、表面保護層塗工液のシクロペンタノンをシクロヘキサノンとし、表面保護層の乾燥条件を150℃、20分間としたこと以外は、実施例4と同様にして、比較例16の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例6において、表面保護層塗工液のシクロペンタノンをシクロヘキサノンとし、表面保護層の乾燥条件を150℃、20分間としたこと以外は、実施例6と同様にして、比較例17の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例9において、表面保護層塗工液のシクロペンタノンをシクロヘキサノンとし、表面保護層の乾燥条件を150℃、20分間としたこと以外は、実施例9と同様にして、比較例18の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
比較例14において、表面保護層の乾燥条件を160℃、20分間としたこと以外は、比較例14と同様にして、比較例19の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
比較例17において、表面保護層の乾燥条件を160℃、20分間としたこと以外は、比較例17と同様にして、比較例20の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
比較例18において、表面保護層の乾燥条件を160℃、20分間としたこと以外は、比較例18と同様にして、比較例21の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例6において、表面保護層塗工液に化合物No.2を添加しないこと以外は、実施例6と同様にして、比較例22の電子写真感光体を作製した。
−電子写真感光体の作製−
実施例6において、表面保護層塗工液にアルミナフィラー及び不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液を添加しないこと以外は、実施例6と同様にして、比較例23の電子写真感光体を作製した。
以上のように作製した比較例1〜21及び実施例1〜15の各電子写真感光体を、プロセスカートリッジに装着し、帯電方式をコロナ帯電方式(スコロトロン型)、画像露光光源を780nmの半導体レーザとしたデジタル書き込み方式のフルカラープリンター(IPSiO CX8100、株式会社リコー製)改造機を用いて、暗部電位800(−V)に設定した後、レーザ像面エネルギー0.35(μJ/cm2)に調整した後、600dpi相当、A4横サイズ、画像面積率5%となるテスト画像を出力するランニング試験を10万枚行い、印刷中の画像についての画像品質(文字ボケ)の評価を目視で行った。また、初期及び10万枚印刷後の明部電位VLを測定した。更に、渦電流式膜厚計(フィッシャー社製、フィッシャースコープMMS)を用いて初期及び10万枚印刷後での膜厚差より摩耗量の評価を行った。結果を表3に示す。
得られた各電子写真感光体の一部にテフロン(登録商標)テープを貼り、50ppmの窒素酸化物ガス濃度に調整されたデシケータ中に7日間放置した後に中間調濃度の画像を前記フルカラープリンター(IPSiO CX8100改造機、株式会社リコー製)にて出力した。このテープ貼部とテープ非貼部の画像濃度差を画像ボケの指標として評価した。画像濃度は、測色計(エックスライト社製、X−Rite939)で測定した。結果を表3に示す。
これに対し、感光層に酸化電位の低い電荷輸送物質を含有させ、表面保護層に感光層に含有される電荷輸送物質よりも酸化電位の高い電荷輸送材物質を含有させると(実施例1〜16)、両層に含有される電荷輸送物質の酸化電位の差が電荷の注入障壁となり電荷輸送効率が落ち、初期VL及び繰り返し使用時のVL上昇が大きくなると一般的に考えられたが、このような感光層、表面保護層の構成であっても、8μm程度までの厚さの表面保護層であれば、初期VL及び繰り返し使用時のVL上昇は抑制できることが分かった。
更に比較例13〜18の結果と実施例1〜4、及び6、9を比較すると、表面保護層塗工液に用いられる塗工溶媒としては、シクロヘキサノン/テトラヒドロフランよりも、シクロペンタノン/テトラヒドロフランのほうが、初期VL、繰り返し使用によるVL変動、画像ボケに優れることが分かった。これは主に沸点の低いシクロペンタノンを用いることにより、表面保護層形成時のウエット状態における電荷輸送層からの低酸化電位電荷輸送物質が表面保護層へ染み出しにくくなっているものと推定される。
また、比較例14、17、18、と比較例19、20、21のそれぞれの結果では、表面保護層の乾燥温度が高いと、初期VL、繰り返し使用によるVL変動及び画像ボケが悪くなっている傾向を示すことから、表面保護層の成膜後の乾燥時おいても、電荷輸送層から表面保護層への電荷輸送物質の染み出しが起こることが推定される。
表面保護層塗工液の溶媒としてシクロペンタノン/テトラヒドロフランを用いることによって、電荷輸送層から表面保護層への電荷輸送物質の染み出しを、表面保護層の成膜工程及び乾燥工程で低減可能となるといえる。
以上のように、感光層が前記一般式(3)で表される電荷輸送物質を含有し、表面保護層が、感光層に含有される電荷輸送物質よりも高い酸化電位の電荷輸送物質を含有し、更に表面保護層に前記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有させ、表面保護層をシクロペンタノンとテトラヒドロフランを含有する表面保護層塗工液から形成することにより、画像ボケが抑制し、かつ繰り返し使用による残留電位上昇も同時に抑制でき、高耐久化を図るために表面保護層にフィラーを含有する電子写真感光体において、画像ボケによる画像劣化及び残留電位上昇を解決でき、高画質画像が安定に得られることが確認できた。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
5 露光部
6 現像手段
7 転写前チャージャ
9 記録媒体
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 ブレード
16 クリーニング手段
21 感光体
22a、22b 駆動ローラ
23 帯電器
24 光源
25 転写チャージャ
27 ブラシ
28 光源
30 潤滑剤付与装置
33 固形潤滑剤
34 ブラシ状ローラ
43 潤滑剤付与装置
48 クリーニング装置
53 帯電チャージャ
54 除電ランプ
56 感光体ドラム
58 中間転写ベルト
60 記録媒体
62 転写ベルト
64 搬送ベルト
65 定着装置
80 感光体ドラム
83 除電ランプ
84 帯電チャージャ
85 クリーニングユニット
101 感光体
102 露光手段
103 帯電手段
105 クリーニング手段
106 現像手段
107 転写手段
201 支持体
202 感光層
203 電荷発生層
204 電荷輸送層
210 表面保護層
301 光源
301a 発光点
302 コリメートレンズ
303 シリンドリカルレンズ
304 アパーチャー
305 回転多面鏡(ポリゴン・ミラー)
306a 第1走査レンズ
306b 第2走査レンズ
307a 第1反射鏡
307b 第2反射鏡
307c 第3反射鏡
308 感光体
309 走査線
Claims (18)
- 支持体と、該支持体上に少なくとも感光層、及び表面保護層を有する電子写真感光体であって、
前記表面保護層が、フィラー、電荷輸送物質、並びに下記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有し、
前記感光層が少なくとも電荷輸送物質を含有し、該感光層における電荷輸送物質が、前記表面保護層における電荷輸送物質よりも小さい酸化電位を有し、かつ下記一般式(3)で表される化合物であり、
前記表面保護層がシクロペンタノンとテトラヒドロフランとを含有する表面保護層塗工液から形成されることを特徴とする電子写真感光体。
Aは、置換基を有していてもよいアリーレン基、及び下記構造式(3−1)で表される置換基のいずれかを表す。
Bは、置換基を有していてもよいアリール基、及び下記構造式(3−2)で表される置換基のいずれかを表す。
- 感光層における電荷輸送物質が、下記一般式(4)で表されるジスチリルベンゼン誘導体である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 表面保護層の形成後の乾燥温度が、140℃未満である請求項1から2のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 感光層が電荷発生物質を含有し、該電荷発生物質がチタニルフタロシアニン顔料を含有する請求項1から3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- チタニルフタロシアニン顔料が、CuKα特性X線(1.542Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラック角度(2θ±0.2°)のうちの少なくとも27.2°に最大強度の回折ピークを有し、9.4°、9.6°、24.0°に主要ピークを有し、7.3°に最小角度の回折ピークを有し、前記7.3°と9.4°との間に回折ピークを有さず、26.3°に回折ピークを有さない請求項4に記載の電子写真感光体。
- 表面保護層における電荷輸送物質の酸化電位と、感光層における電荷輸送物質の酸化電位との差が0.01V〜0.20Vである請求項1から5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- フィラーが、金属酸化物から選択される少なくとも1種を含有する請求項1から6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- フィラーの平均一次粒径が、0.01μm〜1.0μmである請求項1から7のいずれかに記載の電子写真感光体。
- フィラーの表面保護層における含有量が、5質量%〜50質量%である請求項1から8のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 表面保護層が、酸価が10mgKOH/g〜700mgKOH/gの有機化合物を含有する請求項1から9のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 表面保護層の厚みが、0.1μm〜10μmである請求項1から10のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 感光層が電荷発生層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層が、一般式(3)及び(4)のいずれかで表される電荷輸送物質を含有する請求項2から11のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 支持体と、該支持体上に少なくとも感光層、及び表面保護層を有する電子写真感光体の製造方法であって、
前記表面保護層が、フィラー、電荷輸送物質、並びに下記一般式(1)及び(2)のいずれかで表される化合物を含有し、
前記感光層が少なくとも電荷輸送物質を含有し、該感光層における電荷輸送物質が、前記表面保護層における電荷輸送物質よりも小さい酸化電位を有し、かつ下記一般式(3)で表される化合物であり、
前記表面保護層がシクロペンタノンとテトラヒドロフランとを含有する表面保護層塗工液から形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
Aは、置換基を有していてもよいアリーレン基、及び下記構造式(3−1)で表される置換基のいずれかを表す。
Bは、置換基を有していてもよいアリール基、及び下記構造式(3−2)で表される置換基のいずれかを表す。
- 電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記電子写真感光体が、請求項1から12のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。 - 複数の電子写真感光体を有し、それぞれの電子写真感光体上に現像された単色の可視像を順次重ね合わせてカラー画像を形成する請求項14に記載の画像形成装置。
- 電子写真感光体上に現像された可視像を中間転写体上に一次転写した後、該中間転写体上の可視像を記録媒体上に二次転写する中間転写手段を有し、複数色の可視像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を前記記録媒体上に一括で二次転写する請求項14から15のいずれかに記載の画像形成装置。
- 帯電手段が、非接触で放電を行うコロナ方式の帯電手段である請求項14から16のいずれかに記載の画像形成装置。
- 帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段と、電子写真感光体とを有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、
前記電子写真感光体が、請求項1から12のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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