JP2008040466A - 感光体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、耐摩耗性が良好で、繰り返し使用経時における残留電位の上昇、解像度の低下、一周目帯電低下を抑制し、高画質画像を安定に出力することが可能な感光体及び該感光体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該感光体を有する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【解決手段】感光体は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び保護層が順次積層されており、電荷輸送層及び保護層は、電荷輸送物質を含有し、電荷輸送層の電荷発生層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比は、0.68以上1.00以下であり、保護層の電荷輸送層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比は、0.70以上1.05以下である。
【選択図】図2

Description

本発明は、感光体、感光体の製造方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真方式によるレーザープリンターやデジタル複写機等の画像形成装置は、画像品質やその安定性が向上し、広く普及されている。最近では、これらの高速化、小型化、フルカラー化が急速に進行しており、それらに用いられる電子写真感光体の高耐久化の重要性が急速に高まっている。
これらの画像形成装置に使用される電子写真感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び環境安定性等の理由から一般に広く応用されている。これらの電子写真感光体の層構成としては、電荷発生機能と電荷輸送機能を一つの層に備えた単層型、電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とに機能分離した積層型の感光体に大別され、静電特性の安定性や耐久性の面から後者が広く用いられている。
積層型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、以下の通りである。まず、感光体を帯電した後、光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され、電荷を生成する。次に、発生した電荷は、電荷発生層と電荷輸送層の界面で電荷輸送層に注入され、さらに電界によって電荷輸送層中を移動し、感光体の表面に到達し、帯電により与えられた表面電荷を中和することにより静電潜像を形成する。
また、積層型感光体には、有機系のものと無機系のものがある。有機系のものは、材料の選択肢が多く、設計の自由度が高いという利点があるが、一方で、無機系の感光体に比べて、繰り返し使用により摩耗しやすいことが課題として認識されている。表面の感光層の摩耗が進むと、感光体の帯電電位の低下、光感度の低下等が生じ、これによって、地汚れの増加、画像濃度の低下等の画質劣化が促進されることになるため、有機系感光体の高耐久化が強く望まれている。さらに、近年の画像形成装置の小型化、フルカラー化の進行に伴って、感光体の小径化の必要性が高まっている。特に、最近では、フルカラー画像形成装置の高速化を実現するために、4色の現像部にそれぞれ感光体を内包した、タンデム方式の画像形成装置の需要が飛躍的に高まっている。感光体の小径化が進んでいることからも、感光体の高耐久化に対する要求度は、一層高くなっており、重要かつ早期に解決すべき課題として認識されている。
感光体の高耐久化を実現する方法としては、感光体の最表面に保護層を設け、その保護層にフィラーや微粒子を分散させたり、保護層を硬化させたり、表面の潤滑性を高めたりする方法が広く知られている。これらの方法により、感光体の表面の耐摩耗性が向上し、繰り返し使用時における地汚れの発生を抑制することが可能となり、感光体の耐久性が向上することが確認されている。しかしながら、保護層を設けたことによって、繰り返し使用における残留電位の上昇、解像度の低下、一周目帯電低下及びそれに伴う画質の低下等が生じるため、感光体の耐久性は満足されていないのが実情である。
これらの残留電位の上昇や解像度の低下を引き起こす理由としては、保護層又は保護層と感光層の界面において、電荷がトラップされやすくなったり、保護層内で光が散乱されたり、電荷が横方向に移動しやすくなったり、耐摩耗性の向上により、感光体の表面の汚染の影響が増大したりすること等が挙げられる。これらを抑制する従来技術としては、フィラーとして含有される金属又は金属酸化物の平均粒径を0.3μm以下にすることによって、保護層が実質的に透明となり、残留電位の蓄積を抑制する方法が開示されている(特許文献1参照)。また、保護層にフィラーと共に、電荷輸送物質を含有させる方法により、機械的強度を備えつつ、残留電位の増加を抑制する方法が開示されている(特許文献2参照)。さらに、保護層中にルイス酸等を添加する方法(特許文献3参照)、保護層に有機プロトン酸を添加する方法(特許文献4参照)、電子受容性物質を含有させる方法(特許文献5参照)等が開示されている。しかしながら、これらの方法は、残留電位の上昇や解像度の低下の抑制に対しては、効果が認められるものの、十分な耐久性を得るには至っておらず、さらなる改善が必要な状況にある。
また、一周目帯電低下も近年大きな課題として認識されている。一周目帯電低下とは、感光体を繰り返し使用した場合に、感光体の一周目の帯電による暗部電位(VD1)と二周目以降の帯電による暗部電位(VD2)との間に電位差が生じ、一周目の帯電電位が低下する現象を意味する。この現象は、感光体の表面に保護層を設けた場合に更に顕著に発現する傾向にある。感光体の一周目の帯電電位が低下すると、1枚目の出力時に、非現像領域に地汚れが発生し、画像品質を低下させる不具合が生じる。また、中間転写体がトナーによって汚染され、これが紙の汚染を助長させることになる。このため、画像出力時に感光体をその都度空回しする、あるいは帯電能を増加させるために予備帯電手段を別途設ける必要が生じることになる。したがって、一周目帯電低下は、画質安定性を低下させるだけでなく、画像形成装置の高速化、小型化、フルカラー化、さらに操作後に画像が出力されるまでの時間の短縮化を妨げる重要かつ深刻な問題である。
従来、一周目帯電低下の問題に対する対策として、特許文献15には、電荷発生層と電荷輸送層のイオン化ポテンシャル差を小さくし、ホール移動度を高める一方、下引き層を高抵抗化する技術が開示されている。また、特許文献16には、プロセススピードが100mm/秒以上であり、電荷発生層よりも電荷輸送層のイオン化ポテンシャルの方が大きく、電荷輸送材料/バインダー樹脂比及び所定の電界強度における電荷輸送層の移動度を規定した技術が開示されている。さらに、特許文献17には、電荷発生層の脱分極に要する活性化エネルギーが0.32eV以下とした技術が開示されている。また、特許文献18には、残留電位上昇や感度低下の抑制方法として、下引き層の電子移動度を制御するために、下引き層が電子輸送物質を含有する技術が開示されている。しかしながら、これらの従来技術においては、特に、感光層の表面に保護層を有する感光体において、顕著に発現する一周目帯電低下に対する有効な手段とはなっていないのが実情である。
一方、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質の濃度勾配については、これまでにも多くの技術が開示されている。これらは、電荷輸送層に電荷輸送物質の濃度勾配を積極的に付与しようとする技術と、逆にその濃度を均一化しようとする技術に分類される。
前者の電荷輸送層に電荷輸送物質の濃度勾配を積極的に付与しようとする技術としては、電荷輸送物質が、表面側に少なく、基板側に多くなるように、層の深さ方向に濃度勾配を付与することによって、耐刷性、電荷保持力に優れ、繰り返し特性を向上させようとするものが開示されている(特許文献6参照)。電荷輸送物質の濃度を変化させるための方法としては、噴霧塗工法が用いられている。
また、電荷移動層中の電荷移動物質が、顕微鏡的不均質に分散している感光体が開示されている(特許文献7参照)。これは、電荷移動物質が結合剤に対する相溶性が低く、微細な粒子として分散することで高感度化を図ったものである。
また、電荷輸送層の表面において、電荷輸送物質の濃度が電荷輸送層の内部における濃度よりも小さい感光体が開示されている(特許文献8参照)。これは、電荷輸送層形成用塗工液に含有されている溶媒の沸点よりも低い温度で乾燥することによって達成したものであり、その効果は光感度の向上にある。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の濃度が表面よりも内部で高くなる濃度勾配を付与しようとするこれらの技術は、電荷発生層と電荷輸送層の界面における電荷注入性の向上を目的としたものである。また、電荷輸送層の表面におけるバインダー樹脂に対する電荷輸送物質の含有量が少ないため、最表面に保護層を形成しない場合においては、耐摩耗性に関しては幾分向上される。また、長期使用によって、電荷輸送物質の濃度が低い表面が削れていくため、繰り返し使用における電荷輸送層中での電荷輸送性の低下という問題に対しては、メリットとして挙げられる。しかし、耐摩耗性をさらに向上させるためには、保護層を設けることが必要不可欠となり、その場合、これらの技術のように表面の電荷輸送物質の濃度を減少させるような濃度勾配を付与すると、電荷輸送層から保護層への電荷注入性が悪化することによって、残留電位の上昇や解像度の低下を引き起こす。したがって、これらの技術は、保護層を設ける場合には、悪影響が大きく、効果が期待できない。
また、感光層と保護層を積層し、電荷輸送物質を保護層と感光層との界面に近い程、多く含有させた感光体が開示されている(特許文献9参照)。これは、帯電時に発生するオゾンによって感光体の表面が劣化し、その影響が保護層を通して電荷輸送層にまで及ぶため、電荷輸送層の保護層近傍における電荷輸送物質の濃度を高め、オゾン劣化によって発生する感度の低下や残留電位の上昇を抑制しようとするものである。電荷輸送層の保護層側でオゾン劣化が防止され、電荷発生層側では、その影響が及ぶことなく、必要以上に電荷輸送物質を含有しなくてもよいと説明されているが、オゾン劣化した領域が感光層内に存在すれば、残留電位の上昇や感度の低下への影響は否定できず、多少の効果があったとしても根本的な解決には至っていない。また、電荷輸送層の保護層側に電荷輸送物質の濃度を高めたとしても、電荷発生層側の濃度が低くなるため、電荷発生層からの電荷注入性が低下し、それによる残留電位の上昇や感度の低下の影響が増加する。したがって、この技術も保護層を設けることにより、機械的な強度が向上したとしても、静電的な耐久性が不十分である。
これらの従来技術においては、電荷輸送層内の電荷輸送物質の濃度勾配を、スプレー塗工機を用いたり、重ね塗りしたりすることによって付与しようとしたものであるが、実際には、そのような手段を用いなくても、通常の塗工方法である浸漬塗工法等によって形成された電荷輸送層において、電荷輸送層の電荷発生層側よりも表面側に濃度が低くなる濃度勾配が既に形成されることが確認されている。
このような濃度勾配は、保護層を形成しない場合は、前述の通り、耐摩耗性も幾分向上され、また、長期使用によって、電荷輸送物質の濃度が低い表面が削れるため、電荷輸送層中での電荷輸送性の低下という問題も生じにくく、これらは効果として挙げられる。しかしながら、保護層を形成する場合は、電荷輸送物質の濃度が低い表面部分に保護層が積層されることになるため、電荷輸送層から保護層への電荷注入性が悪化する要因になる。これは、静電特性の低下に対して致命的な要因であり、また、その部分は、保護層の下にあるため、削れることなく、長期使用によって大きくなる問題である。このため、電荷輸送物質の濃度勾配を低減しなければ、保護層を設けることにより耐摩耗性の向上が達成できても、静電的な高耐久化が実現できない。
一方、後者、即ち、電荷輸送物質の濃度を均一に含有させようとするための技術も開示されている。例えば、イオン化ポテンシャル値が0.5eV以上離れている電荷発生物質と電荷輸送物質を用いてなる感光体において、電荷輸送層中の電荷輸送物質について、電荷発生層側の濃度とその反対側の濃度との比が0.8〜1.0の範囲であり、そのために電荷輸送層を塗工後125℃以上で加熱する方法が開示されている(特許文献10参照)。これは、電荷発生物質と電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル値が0.5eV以上離れていると、電荷発生層から電荷輸送層への電荷注入性が低下し、その結果、繰り返し使用によって感度低下を引き起こすが、これは電荷輸送層中の電荷輸送材料濃度が不均一であることに起因するものとしている。さらに、電荷輸送層の乾燥温度が低い場合に、電荷輸送層の内部で対流が生じて電荷輸送層材料が移動してしまうために起こるものと記載されている。
さらに、イオン化ポテンシャル値が0.5eV以上離れている電荷発生材料と電荷輸送材料を用いてなる感光体において、電荷輸送層の塗布液中の溶剤として、ハロゲン化炭化水素系溶媒を使用する方法が開示されている(特許文献11参照)。これについても、電荷発生層と電荷輸送層の界面における電荷注入が異種分子間のホッピング移動であるとすると、電荷注入は、分子間距離に依存するため、電荷輸送層中の電荷輸送材料の濃度分布を適正化して、電荷発生層から電荷輸送層への電荷注入及び電荷輸送層内の電荷の移行を円滑に行うためのものである。
これらの従来技術は、電荷輸送層内の電荷輸送物質の濃度勾配を低減して、電荷輸送物質の濃度をより均一化させる技術として記載されているが、この目的として、電荷発生層と電荷輸送層の界面における電荷注入性に言及しており、保護層に関して、詳細な記述がなされていない。
また、電荷輸送層の塗工溶媒について、高沸点芳香族炭化水素と低沸点溶媒を混合する技術を開示しているものもいくつかある。例えば、塗布後の白化(ブラッシング)防止や、ハロゲン系溶媒と同等以上の電子写真特性を達成するために、電荷輸送層の塗工溶媒にテトラヒドロフランとキシレンを混合する方法が開示されている(特許文献12参照)。これによると、電荷輸送層の塗工液にキシレンを混合することで電荷輸送層の塗工液が電荷発生層を濡らすことができ、その結果として、電荷発生層と電荷輸送層の界面を大きい面積で形成することができるため、電子写真特性が向上すると記述しており、電荷発生層から電荷輸送層への電荷注入性に注目した技術である。また、残留テトラヒドロフラン量を低減するために、テトラヒドロフランにキシレンを混合することで、感光体の最表面の成膜を遅らせ、内部からのテトラヒドロフランの蒸発を促す方法が開示されている(特許文献13参照)。さらに、電荷輸送層の脱ハロゲン化塗工溶媒で良好な電子写真特性を示すものとして、トルエンと、トルエンより低沸点溶媒を混合する方法が開示されている(特許文献14参照)。しかしながら、このような従来技術には、電荷輸送物質の濃度勾配についての記述が一切認められない。
したがって、従来技術では、電荷輸送層と保護層の界面における電荷輸送物質の濃度低下の課題については、ほとんど認識されておらず、耐摩耗性を高めるために保護層を設けることで生じる残留電位の上昇、解像度の低下、一周目帯電低下等の副作用については、改善が不十分であり、耐摩耗性と高画質化の両立が実現されていない。
特開昭57−30846号公報 特開平4−281461号公報 特開昭53−133444号公報 特開昭55−157748号公報 特開平2−4275号公報 特開昭63−63046号公報 特開昭58−62654号公報 特開平4−101152号公報 特許第2844686号公報 特開平9−218522号公報 特開平9−218523号公報 特開2001−343766号公報 特開2003−140371号公報 特開2001−265026号公報 特開平10−63015号公報 特開2002−162763号公報 特開2000−194145号公報 特開2000−321805号公報
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、耐摩耗性が良好で、繰り返し使用経時における残留電位の上昇、解像度の低下、一周目帯電低下を抑制し、高画質画像を安定に出力することが可能な感光体及び該感光体の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該感光体を有する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び保護層が順次積層されている感光体において、該電荷輸送層及び該保護層は、電荷輸送物質を含有し、該電荷輸送層の電荷発生層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、該電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比は、0.68以上1.00以下であり、該保護層の電荷輸送層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、該電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比は、0.70以上1.05以下であることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の感光体において、前記電荷輸送層に含有される電荷輸送物質の酸化電位をEox(CTL)、前記保護層に含有される電荷輸送物質の酸化電位をEox(OL)とすると、式
−0.1<Eox(CTL)−Eox(OL)<0.3
を満たすことを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の感光体において、前記電荷輸送層及び保護層は、同一の電荷輸送物質を含有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の感光体において、前記電荷輸送物質は、一般式
Figure 2008040466
[式中、nは、0又は1であり、Rは、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のフェニル基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Rは、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Aは、一般式
Figure 2008040466
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基又はハロゲン基であり、l及びmは、それぞれ独立に、1以上3以下の整数である。)
で表される官能基、一般式
−NR
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、置換又は無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
で表される官能基、9−アントリル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基であり、Bは、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基、一般式
−NR
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
で表される官能基又は一般式
Figure 2008040466
{式中、pは0又は1であり、Arは、置換若しくは無置換のアリーレン基又は一般式
Figure 2008040466
(式中、R12は、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基又は炭素数が1以上4以下のアルコキシ基である。)
で表される官能基であり、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基又は一般式
−NR1314
(式中、R13及びR14は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
で表される官能基であり、R11は、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。}
で表される官能基である。]
で表される化合物であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の感光体において、前記電荷輸送物質は、一般式
Figure 2008040466
(式中、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35及びR36は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
で表される化合物及び/又は一般式
Figure 2008040466
(式中、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61及びR62は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
で表される化合物であることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の感光体において、前記保護層は、少なくとも一種の無機顔料を含有することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の感光体において、前記無機顔料は、金属酸化物であることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の感光体において、前記金属酸化物は、α型アルミナであることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項6乃至8のいずれか一項に記載の感光体において、前記無機顔料の平均一次粒径は、0.01μm以上0.9μm以下であることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の感光体において、前記保護層は、酸価が10mgKOH/g以上700mgKOH/g以下である湿潤分散剤をさらに含有することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の感光体において、前記湿潤分散剤は、ポリカルボン酸誘導体であることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項10又は11に記載の感光体において、前記湿潤分散剤の含有量及び酸価をそれぞれA[g]及びB[mgKOH/g]とし、前記無機顔料の含有量をC[g]とすると、式
0.1≦A×B/C≦20
を満たすことを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の感光体において、前記電荷輸送層及び/又は保護層は、ポリカーボネート及びポリアリレートの少なくとも一方を含有することを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体を製造する感光体の製造方法であって、導電性支持体上に電荷発生層を形成する工程、該電荷発生層上に電荷輸送層を形成する工程、該電荷輸送層の表面を研磨する工程及び該研磨された電荷輸送層の上に保護層を形成する工程を有することを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の感光体の製造方法において、前記電荷輸送層の表面に研磨物を当接させた状態で、前記電荷輸送層が形成された導電性支持体を回転させ、摺擦させることにより、前記電荷輸送層の表面を研磨することを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項14又は15に記載の感光体の製造方法において、前記電荷輸送層の膜厚に対する前記電荷輸送層の表面で研磨される膜厚の比は、0.04以上0.4以下であることを特徴とする。
請求項17に記載の発明は、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体を製造する感光体の製造方法であって、スプレー噴霧を複数回繰り返して、塗り重ねることによって前記電荷輸送層を形成する工程を有することを特徴とする。
請求項18に記載の発明は、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体を製造する感光体の製造方法であって、スプレー噴霧を複数回繰り返して、塗り重ねることによって前記保護層を形成する工程を有することを特徴とする。
請求項19に記載の発明は、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体を製造する感光体の製造方法であって、沸点が110℃以上である溶媒を含有する塗布液を用いて電荷輸送層を形成する工程を有することを特徴とする。
請求項20に記載の発明は、請求項19に記載の感光体の製造方法において、前記塗布液は、沸点が100℃以下である溶媒をさらに含有することを特徴とする。
請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の感光体の製造方法において、前記沸点が100℃以下である溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン及びジエチルエーテルの少なくとも一つであることを特徴とする。
請求項22に記載の発明は、請求項20又は21に記載の感光体の製造方法において、前記沸点が110℃以上である溶媒に対する沸点が100℃以下である溶媒の体積比は、1/9以上9/1以下であることを特徴とする。
請求項23に記載の発明は、請求項19乃至22のいずれか一項に記載の感光体の製造方法において、前記沸点が110℃以上である溶媒は、一般式
Figure 2008040466
(式中、R63は、水素原子又は炭素数が1以上4以下のアルキル基であり、qは、1以上6以下の整数である。)
で表される化合物であることを特徴とする。
請求項24に記載の発明は、請求項19乃至23のいずれか一項に記載の感光体の製造方法において、前記沸点が110℃以上である溶媒は、トルエン、o−キシレン、m−キシレン及びp−キシレンの少なくとも一つであることを特徴とする。
請求項25に記載の発明は、画像形成装置において、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有することを特徴とする。
請求項26に記載の発明は、タンデム方式の画像形成装置において、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有し、該現像手段は、異なる色のトナーを有する複数の現像部を有し、該複数の現像部に対応した複数の該感光体を有することを特徴とする。
請求項27に記載の発明は、プロセスカートリッジにおいて、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体と、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段の少なくとも一つの手段とが一体となり、画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とする。
請求項28に記載の発明は、請求項25又は26に記載の画像形成装置において、請求項27に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする。
本発明によれば、耐摩耗性が良好で、繰り返し使用経時における残留電位の上昇、解像度の低下、一周目帯電低下を抑制し、高画質画像を安定に出力することが可能な感光体及び該感光体の製造方法を提供することができる。また、本発明は、該感光体を有する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に説明する。
本発明においては、保護層を形成することによる、残留電位の上昇、感度の低下、解像度の低下及び一周目帯電低下といった副作用は、保護層だけではなく、保護層の下層の感光層にも起因することを見出した。すなわち、電荷輸送層中の電荷輸送物質は、電荷発生層側に比べて、保護層側の濃度が低くなる濃度勾配が自然に形成されているため、電荷輸送層から保護層への電荷注入性の悪化、また、電荷輸送層中の電荷輸送性の悪化が起こる。このことから、電荷輸送層と保護層の界面における電荷注入性を高めると共に、電荷発生層と電荷輸送層の界面における電荷注入性や電荷輸送層内の電荷輸送性を両立させる最も効率的かつ有効な方法は、電荷輸送層内の電荷輸送物質の濃度が層内で偏りが少なく、より均一に分散された状態を形成することである。本発明によれば、電荷輸送物質の濃度勾配を低減し、その上に保護層を設けることにより、残留電位の上昇、解像度の低下、一周目帯電低下等の副作用を低減することができる。従って、高画質化と高耐久化との両立を可能とし、繰り返し使用においても高画質画像が安定して得られる感光体及びその製造方法、また、繰り返し使用においても高画質画像が安定して得られる画像形成装置及びプロセスカートリッジが得られる。
本発明の感光体は、導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び保護層が順次積層されており、電荷輸送層及び保護層は、電荷輸送物質を含有し、電荷輸送層の電荷発生層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比は、0.68〜1.00であり、保護層の電荷輸送層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比は、0.70〜1.05である。
前述したように、電荷輸送層に、電荷発生層側よりも保護層側の電荷輸送物質の濃度が低くなる濃度勾配が形成されていると、その上に保護層を形成した場合に、残留電位の上昇、感度の低下、解像度の低下、一周目帯電低下等に大きく影響する。すなわち、本発明の感光体は、電荷輸送層の電荷発生層側と保護層側における電荷輸送物質の濃度差を減少させ、さらに、保護層の電荷輸送側と電荷輸送層の保護層側における電荷輸送物質の濃度差を減少させることにより、電荷輸送層中の電荷輸送性を向上させると共に、電荷輸送層から保護層への電荷注入性を向上させることが可能となり、その結果、感光体の耐摩耗性と静電特性の安定化を両立させることができる。
電荷輸送層において、電荷輸送物質の濃度分布を計測する方法としては、電荷輸送物質を染色して、電子顕微鏡を用いて観察する方法、ESCAを用いて表面分析する方法、感光体の表面を少量ずつ削り、削り粉から定量分析する方法、FT−IRのATR法を用いて、電荷輸送物質とバインダー樹脂のピーク強度比から定量する方法等が挙げられる。
以下、ATR法を用いる方法について説明する。まず、感光体の保護層及び電荷輸送層を斜めに切断し、その切断面をμ−ATR法により等間隔で分析を行うことができる。得られたIRスペクトルの電荷輸送物質のピーク強度とバインダー樹脂のピーク強度の比から、電荷輸送物質の濃度を定量することができ、電荷輸送物質の濃度分布が得られる。また、支持体上に電荷輸送層又は保護層を単独膜として塗工し、乾燥した後に膜を剥がし、それらの表面又は裏面をATR法により分析することができる。これにより、界面における電荷輸送物質の濃度を定量することができる。なお、分析時の赤外線の潜り込み深さは、Si結晶を用いた場合、1μm程度である。分析には他の結晶も用いることができるが、本発明においては、界面における電荷輸送物質の濃度比は、赤外線の潜り込み深さが1μm程度である場合に測定された値として用いる。
図1に、上記の方法を用いて測定された、従来の電荷輸送層における電荷輸送物質の濃度分布を示す。縦軸には、バインダー樹脂に対する電荷輸送物質の濃度比を、横軸には、電荷輸送層の表面からの距離(電荷輸送層の深さ)を示す。なお、仕込み時のバインダー樹脂に対する電荷輸送物質の濃度比は、0.7である。図1より、電荷輸送層と電荷発生層の界面から電荷輸送層の表面に向かって、電荷輸送物質の濃度が減少することが確認できる。特に、電荷輸送層の表面から10μm以下の深さで、電荷輸送物質の濃度が大きく低下しており、さらに5μm以下の深さで、その傾向が顕著になっている。したがって、このような電荷輸送層の上に保護層を設けた場合、電荷輸送層と保護層の界面において、電荷輸送物質の濃度が低下した領域が形成される。
電荷輸送層における電荷輸送機能は、電荷輸送物質間のホッピング移動によるものであるため、電荷輸送層の表面に向かうに従い、電荷輸送物質の濃度が低下すると、電荷輸送物質の分子間距離が増加することになり、電荷輸送性は低下する。さらに、電荷輸送層の表面において、電荷輸送物質の濃度が著しく低下した領域が存在すると、電荷輸送層と、その上に形成した保護層の界面において、電荷注入性が大幅に低下し、残留電位の上昇、感度の低下、解像度の低下、一周目帯電低下等が起こる。
本発明の感光体は、電荷輸送層の電荷発生層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比を0.68〜1.00、保護層の電荷輸送層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比を0.70〜1.05にすることによって、電荷発生層側から注入された電荷が電荷輸送層中を速やかに輸送され、また保護層側への注入性も良好であるため、耐摩耗性を向上させると共に、残留電位の上昇、感度の低下、解像度の低下、一周目帯電低下を低減させることができる。
電荷輸送層において、電荷発生層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比が0.68未満になると、電荷輸送層の表面に向かうに伴い、電荷輸送物質間の距離が増大することになり、電荷がトラップされやすくなったり、移動度が低下したりすることによって、残留電位の上昇、感度の低下、一周目帯電低下、解像度の低下等の影響が大きくなると考えられる。一方、1.00を超えると、電荷発生層と電荷輸送層の界面において、電荷注入性が低下し、残留電位の上昇、感度の低下等が起こると考えられる。また、保護層における電荷輸送層側の界面の電荷輸送物質の濃度に対する電荷輸送層における保護層側の界面の電荷輸送物質の濃度の比が0.70未満になると、保護層に十分な電荷輸送物質が含有されていても、電荷輸送層の保護層近傍において、電荷輸送物質の濃度が顕著に低下した領域が形成される。このため、残留電位の上昇、感度の低下、一周目帯電低下、解像度の低下等が起こると考えられる。また、保護層の電荷輸送物質の濃度が必要以上に高くなると、耐摩耗性が低下することがある。一方、1.05を超えると、電荷輸送層と保護層の界面において、電荷輸送層側に含有される電荷輸送物質の濃度よりも保護層側に含有される電荷輸送物質の濃度が低くなる。このため、電荷輸送層から保護層への電荷注入性が低下し、電荷が界面にトラップされやすくなり、残留電位の上昇、感度の低下、一周目帯電低下、解像度や階調性の低下が起こると考えられる。
一周目帯電低下は、感光体の一周目において帯電低下が見られる現象であるが、電荷輸送層と保護層の界面領域において、電荷輸送物質の濃度が特定の範囲を超えて低下すると、その影響が顕著に増加する。現在、これらの原因は、明らかになっていないが、以下のように推測される。一周目帯電低下は、静電疲労によって感光層内に蓄積された電荷のうち、比較的トラップが浅く、リリースしやすい電荷が、帯電時にその電界強度によって表面に移動することにより起こると考えられる。このため、電荷輸送層と保護層の界面領域において、電荷輸送物質の濃度が低下すると、電荷はトラップされやすく、あるいは電荷移動度の低下を招き、感光層内の蓄積電荷が増大することによって、一周目帯電低下が増加すると考えられる。
本発明の感光体の製造方法としては、電荷輸送層の表面に形成される電荷輸送物質の濃度が著しく低下した領域を研磨することによって除去し、その上に保護層を形成する方法が挙げられる。従来の電荷輸送層における電荷輸送物質の濃度分布によると、電荷輸送物質の濃度は、電荷輸送層の表面に向かって急激に減少していることから、表面の電荷輸送物質の濃度が低い部分を研磨によって除去し、その上に保護層を形成する。これにより、電荷輸送層と保護層の界面において、電荷の注入性が向上し、残留電位の上昇や解像度の低下を抑制することができる。また、電荷輸送層の表面を研磨し、その上に保護層を設けることにより、電荷輸送層と保護層の界面の接着性を高めることができるため、繰り返し使用経時で発生する膜剥がれの予防に対しても有効であり、感光体を高耐久化させることもできる。
また、本発明の感光体の別の製造方法としては、スプレー塗工法等を用いて、薄膜を塗り重ねることにより、電荷輸送層を形成し、その上に保護層を形成する方法が挙げられる。これにより、濃度勾配の小さい電荷輸送層を形成することができる。電荷輸送物質の濃度勾配が形成されるのは、電荷輸送層を形成した直後から溶媒が蒸発するが、溶媒に溶解する電荷輸送物質は、溶媒が多く残存している内部に移動するためであると推測される。このとき、スプレー塗工法によって薄膜を塗り重ねることにより、溶媒が蒸発しても電荷輸送物質の移動距離を短縮することができる。これにより、電荷輸送層と保護層の界面領域における電荷輸送物質の濃度の低下を抑制し、電荷注入性を高めることができる。
さらに、本発明の感光体の別の製造方法としては、電荷輸送層の塗工溶媒として、沸点が110℃以上である溶媒を用いる方法が挙げられる。一般に、塗工直後に電荷輸送層の電荷発生層側と保護層側の電荷輸送物質の濃度を測定すると、濃度勾配は、塗工直後の指触乾燥時に既に形成されている。しかしながら、電荷輸送層の電荷発生層側と保護層側の電荷輸送物質の濃度差は、加熱乾燥工程において縮小され、加熱温度が高い方がその傾向が強いことが確認されている。これは、溶媒の蒸発によって電荷輸送物質は、一度内部に移動するが、その後、加熱乾燥させると、熱エネルギーにより電荷輸送物質が拡散され、均一化する方向に移動するためと考えられる。電荷輸送層の電荷発生層側と保護層側の電荷輸送物質の濃度差は、揮発性の高い低沸点溶媒の場合では、指触乾燥過程において小さいものの、加熱乾燥過程では残留溶媒が少なく、熱拡散性に乏しいため、最終的に濃度差が大きくなる。一方、高沸点溶媒の場合は、溶媒が残存しやすく、加熱乾燥過程において電荷輸送物質の拡散性が高まる。したがって、電荷輸送層の塗工溶媒が、沸点が110℃以上の溶媒を含有することにより、電荷輸送物質の濃度勾配を縮小させることが可能となり有効である。一方、乾燥温度を高くすれば、濃度勾配が縮小される傾向にあるが、あまりにも高温で加熱すると、残留電位の上昇等が起こることがある。本発明においては、乾燥温度を必要以上に高めることなく、塗工液の溶媒に沸点が110℃以上の溶媒を用いることが好ましい。但し、沸点が110℃以上の溶媒のみでは、浸漬塗工を行った場合に、膜厚の均一性が低下し、画像濃度のムラが発生することがある。このような場合は、沸点が110℃以上である溶媒を、沸点が100℃以下の溶媒と混合して用いることが好ましく、沸点が70℃以下の溶媒と混合して用いることがさらに好ましい。
これらの方法により、電荷輸送層と保護層の界面における電荷輸送物質の濃度低下を抑制することが可能となり、電荷輸送層から保護層への電荷注入性が向上し、残留電位の上昇、感度の低下、解像度の低下、一周目帯電低下等の影響を低減することができ、その結果、耐摩耗性の向上と高画質化が両立された高耐久性を有する感光体を得ることができる。
次に、本発明の感光体について、図面を用いて説明する。
図2に、本発明の感光体の層構成の一例を示す。図2に示す感光体は、導電性支持体11上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層12と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層13及び保護層14が積層された構成となっている。また、図3に示すように、導電性支持体11と電荷発生層12の間に、下引き層15が形成されていてもよい。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状又は円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの;アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜き等の工法で素管化した後に、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他に、上記の導電性支持体上に導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて導電性層を塗工したものも、導電性支持体として用いることができる。導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。導電性層は、導電性粉体とバインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に分散させて塗布することにより設けることができる。
さらに、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフルオロエチレン系フッ素樹脂等の素材に導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて、円筒基体上に導電性層を設けたものも、導電性支持体として用いることができる。
次に、感光層について説明する。感光層は、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層が順次積層されることによって構成されている。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料;チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料等が挙げられる。電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
必要に応じて、電荷発生層に用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。バインダー樹脂の添加量は、電荷発生物質100重量部に対して、通常、0〜500重量部であり、10〜300重量部が好ましい。
電荷発生層は、電荷発生物質を、必要に応じて、バインダー樹脂と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル、超音波等の公知の分散方法を用いて、溶剤中に分散した塗工液を、導電性支持体上又は下引き層上に塗布、乾燥することにより形成される。なお、バインダー樹脂の添加は、電荷発生物質の分散前及び分散後のどちらでも構わない。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等の一般に用いられる有機溶剤が挙げられるが、中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒を使用することが好ましい。これらは、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層の塗工液は、電荷発生物質、溶媒及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等の添加剤が含まれていてもよい。
上記塗工液を用いて電荷発生層を塗工する方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法、ノズルコート法、スピナーコート法、リングコート法等の公知の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、通常、0.01〜5μmであり、0.1〜2μmが好ましい。塗工後には、オーブン等で加熱乾燥される。電荷発生層の乾燥温度は、50〜160℃であることが好ましく、80〜140℃がさらに好ましい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を溶剤に溶解又は分散した塗工液を、塗布、乾燥することにより形成される。また、電荷輸送層の塗工液には、必要に応じて、単独又は2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を添加してもよい。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)及びその誘導体、ポリ(γ−カルバゾリルエチルグルタメート)及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、アミノビフェニル誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、エナミン誘導体等の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独又は2種以上混合して用いられる。これらの中でも、電荷移動度が高く、光応答性に優れていることから、一般式(1)で表される化合物が好ましく、一般式(2)及び/又は一般式(3)で表される化合物がさらに好ましい。
Figure 2008040466
[式中、nは、0又は1であり、Rは、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のフェニル基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Rは、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Aは、一般式
Figure 2008040466
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基又はハロゲン基であり、l及びmは、それぞれ独立に、1以上3以下の整数である。)
で表される官能基、一般式
−NR
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、置換又は無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
で表される官能基、9−アントリル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基であり、Bは、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基、一般式
−NR
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
で表される官能基又は一般式
Figure 2008040466
{式中、pは0又は1であり、Arは、置換若しくは無置換のアリーレン基又は一般式
Figure 2008040466
(式中、R12は、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基又は炭素数が1以上4以下のアルコキシ基である。)
で表される官能基であり、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基又は一般式
−NR1314
(式中、R13及びR14は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
で表される官能基であり、R11は、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。}
で表される官能基である。]
Figure 2008040466
(式中、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35及びR36は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
Figure 2008040466
(式中、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61及びR62は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
以下にこれらの化合物の具体例を示す。但し、本発明は、これらの化合物に限定されない。
Figure 2008040466
Figure 2008040466
Figure 2008040466
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、これらの中でも、膜質や静電特性に優れ、電荷輸送物質の濃度勾配が比較的小さくなることから、ポリカーボネート及びポリアリレートが好ましい。
塗工溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、キシレン、アセトン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種以上併用してもよい。電荷輸送物質の濃度分布は、塗工溶媒によって異なる傾向が見られるが、塗工溶媒としては、これらの中でも、沸点が110℃以上の溶媒を用いることが好ましい。また、塗工性と両立させるためには、沸点が110℃以上の溶媒を、沸点が100℃以下の溶媒と混合して用いることがさらに好ましく、沸点が70℃以下の溶媒と混合して用いることが特に好ましい。
沸点が110℃以上である溶媒は、一般式
Figure 2008040466
(式中、R63は、水素原子又は炭素数が1以上4以下のアルキル基であり、qは、1以上6以下の整数である。)
で表される化合物であることが好ましい。沸点が110℃以上である溶媒は、乾燥温度にもよるが、電荷輸送層中に残留しやすくなるため、残留しても電荷輸送性に悪影響を及ぼさないことが好ましい。このような溶媒としては、極性が低い芳香族炭化水素系溶媒が挙げられるが、電荷輸送物質の濃度勾配が形成されにくく、残留溶媒が静電特性に及ぼす影響が少ないことから、トルエン及びキシレンが好ましい。なお、沸点が150℃を超える溶媒を用いると、感光層に残留する溶媒量が顕著に多くなり、静電特性が低下したり、特性の経時安定性が低下したりすることがある。このため、沸点が150℃以下の溶媒を用いることが好ましい。なお、少なくとも沸点が塗工後の乾燥温度よりも低い溶媒を用いることが好ましい。
また、沸点が100℃以下である溶媒としては、ヘプタン、ジメトキシエタン、シクロヘキサン、ベンゼン、メチルエチルケトン、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジエチルエーテル等が挙げられるが、中でも、テトラヒドロフラン、アセトン、ジエチルエーテルが好ましい。これらの溶媒の沸点は低い方が塗工時の液タレや膜厚の均一性に対しては有効であるが、塗工時の温湿度によっては塗膜が白化することがある。このため、このような溶媒の沸点は、30℃以上であることが好ましい。
また、沸点が110℃以上である溶媒と沸点が100℃以下である溶媒の混合比は、膜質との関係から適宜選択することができるが、1/9〜9/1であることが好ましく、電荷輸送物質の濃度勾配、膜質等から、3/7〜7/3がさらに好ましい。
電荷輸送層を形成した後は、オーブン等で加熱乾燥される。乾燥温度は、塗工液に含有される溶媒によっても異なるが、80〜160℃あることが好ましく、110〜140℃がさらに好ましい。また、乾燥時間は、10分以上であることが好ましく、20分以上がさらに好ましい。
電荷輸送物質の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して、通常、20〜300重量部であり、40〜150重量部が好ましい。電荷輸送物質の含有量が多い方が、電荷輸送層表面の電荷輸送物質の濃度が高くなるが、その場合でも電荷輸送物質の濃度勾配は形成されており、電荷発生層側よりも表面側の方が電荷輸送物質の濃度が低くなる。
電荷輸送層の膜厚は、解像度や応答性の点から、15〜50μmであることが好ましく、20〜35μmがさらに好ましい。ただし、電荷輸送物質の濃度勾配は、電荷輸送層の膜厚が増加するに伴い増大する傾向を示す。さらに、電荷輸送層の膜厚の増加に伴い、電荷輸送層表面における電荷輸送物質の濃度低下が顕著に見られる領域も増大するため、電荷輸送層表面を研磨する方法を用いる場合は、その研磨量を多くする必要がある。
電荷輸送層の表面における電荷輸送物質の濃度が著しく低下した領域は、電荷輸送層の膜厚依存性があるため、電荷輸送層の表面における研磨量X[μm]は、電荷輸送層の膜厚Y[μm]によって制御する必要がある。このとき、X/Yは、0.04〜0.4であることが好ましい。これにより、電荷輸送物質の濃度低下が顕著に見られる表面領域を削り取ることができ、その結果、残留電位の上昇、感度の低下、解像度の低下等の影響を抑制することができる。
電荷輸送層の表面を研磨する方法は、電荷輸送層表面の電荷輸送層物質の濃度が低下した領域を削り取ることが可能な方法であれば、特に限定されない。研磨方法としては、液体を介在させる湿式研磨方法、研磨物を電荷輸送層表面に摺擦させる機械的研磨方法等が挙げられるが、研磨精度や混入物の影響から、後者の機械的研磨方法を用いることが好ましい。具体的には、化学繊維(ナイロン、レーヨン、テフロン(登録商標)、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン等)、ガラス繊維、ステンレススチール繊維、フェルト、ゴム、布等を用いたブラシ研磨やバフ研磨、圧力によって粉体である研磨剤を吹き付けるサンドブラストの他に、ラッピングフィルム、ラッピングシート、サンドペーパー等を用いる方法が挙げられる。但し、電荷輸送層が均一に研磨される必要があるため、装置を用いた精密研磨が好ましい。具体的には、電荷輸送層が表面に形成された導電性支持体を定速回転させ、電荷輸送層表面にラッピングフィルムを当接させることによって研磨を行うことができる。研磨後は、粒度が小さいラッピングフィルムに変更することによって、リフェイス処理を行うことも可能である。
また、スプレー塗工法等で、薄い膜厚で電荷輸送層を塗り重ねる方法によっても、電荷輸送物質の濃度傾斜が低減され、本発明において有効な方法である。前述したとおり、電荷輸送物質の濃度傾斜は、電荷輸送層の膜厚依存性が見られており、膜厚が薄い方が濃度傾斜は小さくなる。したがって、一度に形成する電荷輸送層の膜厚を薄くし、それを塗り重ねることによって電荷輸送物質の濃度傾斜を低減し、電荷輸送物質がより均一分散された電荷輸送層を形成することが可能となる。但し、塗工液の固形分が低すぎると、電荷輸送層をスプレー塗工法等で塗り重ねたとしても濃度傾斜は増加する傾向が見られるため、液固形分は可能な限り高い方が好ましい。
次に、保護層について説明する。本発明において、保護層は、電荷輸送層の上に形成されるが、電荷輸送物質を含有していれば、特に限定されない。電荷発生層で生成した電荷は、電荷輸送層に注入され、さらに表面に向かって輸送されるが、電荷輸送層と保護層の界面付近において、電荷輸送物質の濃度が低下していると、電荷輸送性又は保護層への電荷注入性が低下する。本発明は、これを抑制し、耐摩耗性と静電特性の安定性を両立することができるが、静電特性の安定性は、主に電荷輸送層で改善することができるため、保護層は、電荷輸送物質を含有していれば、特に限定されない。保護層としては、例えば、耐摩耗性の高いバインダー樹脂を用いた保護層、熱硬化、紫外線あるいは電子線硬化させた保護層、顔料等の耐摩耗性を高める材料を含有する保護層等の従来公知の保護層を用いることができる。本発明では、これらの保護層の中でも、耐摩耗性が高く、電荷輸送層と同一構造の電荷輸送物質を含有することが可能な保護層が好ましく、例えば、顔料等の耐摩耗性を高める材料を含有する保護層が挙げられる。
以下、顔料分散型の保護層について説明する。顔料分散型の保護層は、耐摩耗性を高めることができ、主に顔料、電荷輸送物質及びバインダー樹脂から構成されている。
感光体の耐摩耗性を向上させる目的で添加される顔料としては、有機顔料、無機顔料及びこれらの複合材料を用いることができる。有機顔料としては、シリコーン樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子、ウレタン系、アクリル系等の架橋型微粒子等の微粒子や粉末が挙げられる。耐摩耗性の観点から、硬度が高い微粒子が好ましいが、シリコーン樹脂微粒子、フッ素樹脂微粒子等のように、必ずしも硬度が高くなくても、潤滑性を付与する機能を有することによって耐摩耗性を高めることも可能である。一方、無機顔料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属粉末、シリカ、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化スズ、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの中でも、硬度や光散乱性の点から、金属酸化物が特に好ましく、耐摩耗性又は高画質化に対して、有利である。さらに、金属酸化物の使用は、塗膜品質に対しても有利である。塗膜品質は、画像品質や耐摩耗性に大きく影響するため、良好な塗膜を得ることは、高耐久化及び高画質化に対して、有効となる。
さらに、画像ボケが発生しにくいため、電気絶縁性が高い無機顔料を用いることが好ましい。感光体の最表面に導電性の無機顔料を含有する場合には、表面の抵抗が低下することによって電荷の横移動が起こり、画像ボケが発生しやすくなる。解像度の点から、無機顔料の比抵抗は、1010Ω・cm以上であることが好ましい。このような無機顔料としては、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、シリカ等が挙げられる。一方、比抵抗が1010Ω・cm未満の無機顔料としては、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アンチモン、アンチモンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム等が挙げられ、本発明においては、画像ボケが発生しやすくなることから、好ましくない傾向にある。但し、無機顔料が同じ材質であっても、比抵抗が異なる場合があるため、無機顔料の種類によって完全に分類されるものではなく、比抵抗によって決めることが重要である。また、これらの無機顔料を2種以上混合して用いることも可能であり、これによって比抵抗を制御することも可能である。
なお、無機顔料の比抵抗の測定は、粉体用抵抗測定装置を用いて行うことができる。セルの中に無機顔料や金属酸化物粉体を入れて、電極で挟み、荷重をかけて厚さ約2mmになるように無機顔料の量を調整した後、電極間に電圧を印加し、その時に流れる電流を測定する。具体的には、電極の接触面積を約2.6cm、荷重を約1kgとし、電圧を印加した60秒後の電流値を読み取り、比抵抗を求める。
また、無機顔料のpHも解像度や無機顔料の分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、無機顔料、特に金属酸化物は、製造時に用いられた塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は、避けられず、また、その残存量によっては、無機顔料の分散性にも影響を及ぼす場合がある。
もう一つの理由としては、無機顔料、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子は、プラス又はマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって、粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるに従い、その電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から十分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。従って、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなって、安定性が高くなり、ゼータ電位がゼロに近づくに従い、凝集しやすくなって、不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は、大きく変動し、あるpH値において、ぜータ電位は、0となり、等電点を持つことになる。従って、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
本発明においては、画像ボケ抑制の点から、無機顔料の等電点におけるpHは、5以上であることが好ましく、塩基性が強い程、その効果が高くなる傾向がある。等電点におけるpHが高い無機顔料は、系が酸性である場合にゼータ電位が高くなり、分散性及びその安定性は向上する。従って、本発明においては、等電点におけるpHが5以上を示す無機顔料と、酸価が10〜700mgKOH/gの湿潤分散剤を組み合わせることにより、無機顔料への吸着力がより一層高まり、分散性及びその安定性を著しく高めることができる。
等電点におけるpHが5以上を示す金属酸化物としては、前述の無機顔料の中でも酸化チタン、ジルコニア、アルミナ等が挙げられるが、塩基性の高さは、
酸化チタン<ジルコニア<アルミナ
の順であるため、アルミナを用いることが好ましい。さらに、光透過性が高く、熱安定性が高い上に、耐摩耗性に優れた六方最密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上、塗膜品質、光透過性等の点から特に有効に使用することができる。また、本発明においては、等電点におけるpHが5以上の無機顔料を単独で使用してもよいし、pHが5未満の無機顔料と、pHが5以上の無機顔料を2種類以上混合して用いることも可能である。なお、pHが5未満の無機顔料としてはシリカ等が挙げられる。
さらに、無機顔料は、少なくとも一種の表面処理剤で表面処理を施すことが可能である。無機顔料の分散性が低下すると、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには、耐摩耗性の低下や偏摩耗の増加を引き起こすため、高耐久化又は高画質化を妨げる可能性がある。
本発明において、光透過性や耐摩耗性の点から、無機顔料の平均一次粒径は、0.01〜0.9μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmがさらに好ましい。無機顔料の平均一次粒径が0.01μmよりも小さい場合には、無機顔料が凝集したり耐摩耗性が低下したりすることがあり、0.9μmよりも大きい場合には、無機顔料の沈降が促進されたり、画質劣化又は異常画像が発生したりすることがある。
また、保護層中の無機顔料の含有量は、0.1〜50重量%であることが好ましく、5〜30重量%がさらに好ましい。無機顔料の含有量が0.1重量%よりも少ないと、耐摩耗性が低下することがある。また、無機顔料の含有量が50重量%よりも多い場合には、残留電位の増加、画像ボケの発生、解像度の低下等の画質劣化の影響が増大することがある。さらに、顔料間の相互作用が増大し、分散性が低下したり、顔料が脱離しやすくなって耐摩耗性が低下したりすることがある。
保護層が無機顔料を含有すると、耐摩耗性は向上するが、残留電位が上昇することがある。残留電位の上昇を抑制するためには、湿潤分散剤の添加が有効であり、これらの中でも、酸価が10〜700mgKOH/gである湿潤分散剤を添加することが特に有効である。酸価とは、樹脂1g中に含まれるカルボキシル基を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数で定義される。なお、酸価が10〜700mgKOH/gの湿潤分散剤は、不揮発分100%のものであっても、予め有機溶剤等に溶解されたものであってもよい。
酸価が10〜700mgKOH/gの湿潤分散剤は、顔料の分散性を向上させるものであれば、特に限定されない。顔料の分散性を向上させるためには、界面活性物質、即ち、炭化水素鎖を主体とした疎水基と、水に馴染みやすい親水基を併せ持つ化合物であることが好ましく、疎水基である炭化水素鎖と、親水基を一つ以上有する湿潤分散剤が特に好ましい。残留電位を低減させる効果は、この湿潤分散剤が酸価を有することと、無機顔料に対する吸着性にあると考えられる。無機顔料の添加による残留電位の上昇は、無機顔料の表面の極性基が電荷トラップサイトになることによって起こると考えられ、この極性基に湿潤分散剤の親水基(カルボキシル基等)が吸着することにより、残留電位を低減させることができると考えられる。一方、無機顔料の分散性を向上させるためには、無機顔料とバインダー樹脂の双方に対して、親和性を持たせて濡れ性を高めると共に、無機顔料間の相互作用を減少させる必要がある。湿潤分散剤は、一つの分子中に親水基と疎水基を併せ持つため、親水基が無機顔料の表面の電荷トラップサイトでもある極性基に吸着し、疎水基がバインダー樹脂等と親和性を保持することにより、無機顔料の濡れ性を向上させることができる。さらに、無機顔料に吸着した湿潤分散剤は、電気的反発又は立体障害を生じさせるため、無機顔料の分散を安定化させることができる。このように、無機顔料への濡れ性を向上させる湿潤剤の効果と、無機顔料の分散性を向上させる分散剤の効果のどちらかが欠けると、分散性が不十分であったり、分散効率が低下したり、分散しても直ぐに凝集したりすることがある。このため、双方の効果を併せ持つ湿潤分散剤を用いることが、無機顔料の分散性を向上させるためには、特に有効となる。なお、湿潤分散剤は、上記構造を有することによって、無機顔料への濡れ性と無機顔料の分散安定性の双方の効果を得ることができる。湿潤分散剤は、無機顔料への吸着性が優れている上に、立体障害が得られやすい構造であることから、無機顔料の分散安定性を向上させるために、特に有効に用いることができる。
一般に、親水基としては、−SO Na、−COO、−COONa、−COO−、−COOH、−OH、−O−、−CHCHO−、4級アンモニウム塩等が挙げられるが、湿潤分散剤の親水基としては、高い分散性を有する上に感光体の静電特性や画質に対する影響が小さいことから、カルボキシル基が好ましい。カルボキシル基等の親水基は、炭化水素等の疎水性を有する分子構造中に一つ有することによって効果が得られるが、中でも、多数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸は、アニオン性が高くなることによって、無機顔料の分散安定性を向上させると共に、分散効率を著しく向上させることができる。また、ポリカルボン酸の場合には、カルボキシル基同士で親和性が生ずることによって、無機顔料の沈降を抑制する効果が得られる場合がある。さらに、カルボキシル基等の親水基は、無機顔料と吸着しやすくなることから、少なくとも分子の末端に有することが好ましい。これにより、無機顔料の沈降を抑制することができる。このようなポリカルボン酸タイプの湿潤分散剤としては、BYK−P104、BYK−P105(以上、BYKケミー社製)又はこれらと類似の構造を有するポリカルボン酸タイプの材料が挙げられる。さらに、湿潤分散剤の無機顔料への吸着性を高めることは、無機顔料の分散性や残留電位だけでなく、耐摩耗性に対しても有効である。一般に、無機顔料とバインダー樹脂は、前述の通り、親和性が低いので接着力が小さく、顔料が脱離しやすい傾向があるが、湿潤分散剤の添加によって、無機顔料とバインダー樹脂との親和性を高めることができる。これにより、無機顔料の脱離を抑制することができ、耐摩耗性を向上させることができる。
酸価が10〜700mgKOH/gの湿潤分散剤の数平均分子量は、300〜30000であることが好ましく、400〜10000がさらに好ましい。数平均分子量が300より小さいと、無機顔料に吸着した場合の立体障害が小さくなり、分散性や分散安定性が若干低下することがある。一方、数平均分子量が30000より大きいと、湿潤性や吸着性がやや低下することがある。さらに、分子量が非常に大きくなると、一つのポリマーに複数の無機顔料が吸着して、逆に凝集を引き起こすことがある。
湿潤分散剤の酸価は、10〜700mgKOH/gであることが好ましいが、30〜400mgKOH/gがさらに好ましい。酸価が700mgKOH/gより大きいと、抵抗が下がりすぎて画像ボケの影響が大きくなることがあり、酸価が10mgKOH/gより小さいと、湿潤分散剤の添加量を多くする必要が生じる上、残留電位を低減させる効果が不十分となることがある。湿潤分散剤の酸価は、その添加量とのバランスにより決めることが必要である。同じ添加量でも酸価が高ければ残留電位を低減させる効果が高いという訳ではなく、その効果は、湿潤分散剤の無機顔料に対する吸着性にも大きく関係している。
酸価がB[mgKOH/g]の湿潤分散剤の添加量をA[g]、無機顔料の添加量をC[g]とすると、A×B/Cは、0.1〜20であることが好ましく、0.8〜15がさらに好ましく、1.5〜8が特に好ましい。A×B/Cが20を超えると、逆に分散不良を引き起こしたり、画像ボケの影響が強く現れたりすることがあり、0.1未満であると、分散性や残留電位を低減させる効果が不十分となることがある。
顔料分散型の保護層に含有されるバインダー樹脂としては、電荷輸送層と同様のバインダー樹脂を使用することが可能であるが、バインダー樹脂によっても無機顔料の分散性が影響されるため、分散性に悪影響を与えないことが重要である。等電点で塩基性を示す無機顔料に対しては、酸性のバインダー樹脂を用いた方が、また、等電点が酸性を示す無機顔料に対しては、塩基性のバインダー樹脂を用いた方が無機顔料の分散性が向上する傾向が見られる。さらに、同じ無機顔料が含有されていてもバインダー樹脂によって耐摩耗性が大きく影響される場合がある。このように、バインダー樹脂は、顔料分散性、残留電位、耐摩耗性、解像度等に大きな影響を及ぼす。
使用可能なバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリル酸やメタクリル酸を用いた各種共重合体、スチレンアクリル共重合体、ポリアリレート、ポリアクリル酸、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられ、中でも、ポリカーボネート及びポリアリレートを用いることが好ましい。ポリカーボネートやポリアリレートは、残留電位の上昇や帯電の低下に及ぼす影響が少なく、顔料を捕捉する機能に優れているため、耐摩耗性を高める上で有効かつ有用である。
本発明において、顔料分散型の保護層は、さらに電荷輸送物質を含有する。顔料分散型の保護層に電荷輸送物質が添加されることによって、電荷輸送層から顔料分散型の保護層への電荷注入性及び電荷輸送性が向上し、残留電位の上昇や感度の低下を抑制することが可能となる。用いられる電荷輸送物質としては、前述の電荷輸送層で挙げた材料を使用することが可能である。
その際、顔料分散型の保護層中に含有される電荷輸送物質の酸価電位Eox(OL)と、電荷輸送層中に含有される電荷輸送物質の酸価電位Eox(CTL)との間に、式
−0.1<Eox(CTL)−Eox(OL)<0.3
の関係が成り立つような構成にすることによって、顔料分散型の保護層への電荷注入性を向上させることができ、残留電位の上昇や感度の低下をさらに低減することができる。
次に、電荷輸送物質の酸化電位Eox(CTL)やEox(OL)、すなわち、第一酸化半波電位の測定方法について述べる。測定物質に、所定量のアセトニトリルと、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム等の無関係塩(支持電解質)を加えて溶解させたものを、被検液とする。この被検液を、ポーラログラフ、サイクリックボルタンメトリー等の電気化学的分析手段を用いて測定することにより、測定物質の酸化電位が得られる。電気化学的分析については、A.J.Bard,L.R.Faulkner著「Electrochemical Methods」(Wiley社、1980年刊)等に記載されている。具体的には、作用電極に、滴下水銀電極、対極に、白金、金等の貴金属、参照電極に、飽和カロメル電極(SCE)を用い、ポテンショスタットを用いた電位走査法で測定することができる。
但し、この場合も、電荷輸送層の表面において、電荷輸送物質の濃度が著しく低減した領域が存在すると、残留電位の上昇、感度の低下、解像度の低下等に及ぼす影響は回避できない。本発明においては、保護層の電荷輸送層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比を0.70〜1.05にすることにより、残留電位の上昇、感度の低下、解像度の低下等を抑制することができる。
顔料分散型の保護層の膜厚は、通常、0.1〜10μmであり、2〜6μmが好ましい。膜厚が極0.1μmより小さい場合には、十分な耐久性が得られないことがあり、膜厚が10μmより大きい場合には、残留電位が上昇したり、解像度が低下したりすることがある。
本発明において、顔料分散型の保護層には、必要に応じて、可塑剤、レベリング剤、滑剤、酸化防止剤等の添加剤を添加することができる。酸化防止剤としては、フェノール系化合物類、ヒンダードフェノール系化合物類、ヒンダードアミン系化合物類、p−フェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機リン化合物類、ベンゾフェノン類、サルシレート類、ベンゾトリアゾール類、クエンチャー(金属錯塩系)等の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を用いることができる。中でも、長期間の繰り返し使用によるオゾン、NOx等の活性ガスから感光体の劣化を抑制し、画像安定性を高める上で効果が大きいため、ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物が好ましい。
ヒンダードフェノール構造とは、フェノール性水酸基の両オルト位に嵩高い原子団が存在する構造を意味する。一方、ヒンダードアミン構造とは、アミノ窒素原子近傍に嵩高い原子団が存在する構造を意味し、芳香族アミン系物質や脂肪族アミン系物質も該当するが、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン構造を有する化合物が好ましい。これらの両構造を有する化合物の作用機構の詳細は明らかではないが、嵩高い原子団が存在することにより、アミノ窒素原子やフェノール性水酸基の熱振動が抑制されて、ラジカル状態の安定性が高められると推定される。その結果、外部からの活性ガスの影響を抑制することができる。
ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物は、オゾンやNOxガスによる解像度の低下に対して有効かつ有用であり、具体的には、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン等が挙げられる。特に、感光体の最表面に顔料が添加されている場合、オゾン又はNOxガスの雰囲気下においては、これらの活性ガス成分が顔料に吸着しやすくなるため、画像ボケの影響が顔料のない場合に比べて、やや増加する傾向があるが、ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物を添加することによって、画像ボケの影響を抑制することができる。従って、本発明においては、これらの酸化防止剤を組み合わせて用いることによって、さらに高画質化することが可能となる。
また、ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物の添加量は、無機顔料に対して、0.1〜20重量%であることが好ましく、1〜15重量%がさらに好ましい。ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物の添加量が、0.1重量%よりも少なくなると、繰り返し使用により付着するコロナ生成物、オゾン等の活性ガスによる劣化を抑制する効果が低下することがあり、20重量%より多くなると、耐摩耗性が低下したり、残留電位の上昇による影響が増加したりすることがある。
本発明において、無機顔料は、少なくとも有機溶剤及び酸価が10〜700mgKOH/gの湿潤分散剤と共に、ボールミル、アトライター、サンドミル、シェイカー、超音波等を用いて分散させることができる。中でも、無機顔料と、酸価が10〜700mgKOH/gの湿潤分散剤の接触効率を高くすることにより、分散性を向上させることができ、外界からの不純物の混入が少ないことから、ボールミルが好ましい。分散液の作製に用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等の電荷輸送層の塗工液と同様の溶剤を使用することができる。但し、無機顔料の分散時には、粘度が高い溶剤を使用することが好ましいが、塗工時には、揮発性が高い溶剤の使用が好ましい。これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、無機顔料の分散性、分散安定性、塗膜品質等に対して非常に有効となる。
使用されるメディアの材質は、従来使用されているジルコニア、アルミナ、メノウ、ガラス等であることが好ましいが、無機顔料の分散性及び残留電位を低減させる効果から、アルミナがさらに好ましい。ジルコニア等のメディアを用いると、分散時のメディアの摩耗量が大きく、それらの混入によって残留電位が増加することがある。さらに、その摩耗粉の混入によって、分散性が低下し、無機顔料の沈降が促進されることがある。一方、アルミナのメディアを用いると、分散時のメディアの摩耗量を大幅に低減することができる上に、摩耗粉が混入しても残留電位に与える影響が非常に小さく、分散性に対する悪影響が少ない。従って、アルミナのメディアを用いることが好ましく、無機顔料にアルミナを用いる場合には、その効果が非常に大きい。
酸価が10〜700mgKOH/gの湿潤分散剤は、バインダー樹脂と混合する以前に無機顔料と共に分散を行うことが好ましい。これによって、塗工液中の無機顔料の凝集、さらには、無機顔料の沈降を抑制し、無機顔料の分散性が向上することができる。一方、バインダー樹脂、電荷輸送物質、酸化防止剤等は、分散前に添加することも可能ではあるが、分散性が低下することがあるため、後添加の方が好ましい。
以上のようにして得られた塗工液の塗工法としては、スプレー塗工法を用いることが好ましい。これによって、膜厚を制御しやすく、無機顔料の凝集が少なく、分散性を良好に維持することが可能となる。さらに、偏摩耗を抑制することができ、さらに、塗膜品質についても優位性がある。また、顔料分散型の保護層の必要膜厚を一度で塗工して顔料分散型の保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工して保護層を形成する方法が膜中における無機顔料の均一性の面から、好ましい。これにより、残留電位の低減、解像度の向上及び耐摩耗性の向上に対して、有効である。さらに、塗膜品質の向上や塗膜欠陥の発生を抑制する効果も有する。スプレー塗工法を用いて、塗り重ねることによって、保護層に含有される電荷輸送物質の保護層における濃度勾配を少なくすることが可能であり、保護層における電荷輸送性を高める上で有効である。
以上、保護層については、顔料分散型保護層を中心に説明したが、上記の内容は、顔料分散型保護層以外の保護層にも適用することが可能である。
本発明の感光体においては、導電性支持体と電荷発生層の間に、下引き層を設けることができる。下引き層は、一般に、樹脂を主成分とするが、このような樹脂は、その上に溶剤を用いて感光層を塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対する耐溶剤性が高い樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、イソシアネート、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層には、モアレ防止、残留電位の低減等のために、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層と同様に、溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。さらに、下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他に、下引き層としては、Alを陽極酸化により設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物、SiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法で設けたものも用いることができる。下引き層の膜厚は、通常、0〜5μmである。
本発明の感光体において、導電性支持体と下引き層の間又は下引き層と電荷発生層の間に、中間層を設けることができる。中間層は、一般に、樹脂を主成分とする。このような樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中間層の形成方法としては、前述したような一般に用いられる塗布法が採用される。なお、中間層の膜厚は、通常、0.05〜2μmである。
本発明においては、耐環境性の改善、とりわけ、感度の低下、残留電位の上昇を抑制する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の少なくとも一層に、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質及びレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加することができる酸化防止剤としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3'−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類等。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネート等。
(e)有機リン化合物類
トリフェニルホスフィン、トリス(ノニルフェニル)ホスフィン、トリス(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリス(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等。
各層に添加できる可塑剤としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)、リン酸トリフェニル等。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチル等。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ビス(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ビス(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ビス(2−エトキシエチル)、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル等。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレエート、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリン等。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル等。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールビス(2−エチルブチラート)等。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステル等。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミド等。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリス(2−エチルヘキシル)、アセチルクエン酸n−オクチルデシル等。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタレン、アビエチン酸メチル等。
各層に添加できる滑剤としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン等。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアロアミド等。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル等。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等。
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウ等。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物等。
各層に添加できる紫外線吸収剤としては、下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
(b)サリシレート系
サリチル酸フェニル、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸2,4−ジ−t−ブチルフェニル等。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等。
(d)シアノアクリレート系
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−カルボメトキシ−3−p−メトキシアクリル酸メチル等。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2'−チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート等。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
次に、本発明の画像形成装置及び画像形成方法について、図面を用いて説明する。
図4に、本発明の画像形成装置の一例を示し、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。図4において、感光体21は、本発明の感光体である。感光体21は、ドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電チャージャー23、転写前チャージャー26、転写チャージャー29、分離チャージャー30、クリーニング前チャージャー32には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)のほか、ローラー状の帯電部材あるいはブラシ状の帯電部材等が用いられ、公知の手段が使用可能である。
帯電部材としては、コロナ帯電等の非接触帯電方式や、ローラーあるいはブラシを用いた帯電部材による接触帯電方式が一般的であり、本発明においては、いずれも有効に使用することが可能である。特に、帯電ローラーは、コロトロンやスコロトロン等に比べて、オゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、感光体の繰り返し使用時における安定性や画質劣化の防止に有効である。しかしながら、感光体と帯電ローラーが接触していることにより、繰り返し使用によって帯電ローラーが汚染され、それが感光体に影響を及ぼし、異常画像の発生、耐摩耗性の低下等を助長する原因となっている。特に、本発明の耐摩耗性の高い感光体を用いる場合、表面の摩耗によるリフェイスがしにくいことから、帯電ローラーの汚染を軽減させる必要がある。
そこで、図5に示すように、帯電チャージャー23を感光体21に対してギャップを介して、近接配置させることによって、汚染物質が帯電チャージャー23に付着しにくく、あるいは除去しやすくなり、それらの影響を軽減することが可能であり、本発明においても有効に用いることが可能である。この場合、感光体21と帯電チャージャー23のギャップは、100μm以下であることが好ましく、50μm以下がさらに好ましい。しかしながら、帯電チャージャー23を非接触とすることによって、放電が不均一になり、感光体21の帯電が不安定になることがある。本発明においては、直流成分に交流成分を重畳させることにより、帯電安定性を維持することができる。これにより、オゾンの影響、帯電チャージャー23の汚染の影響及び帯電性の影響を同時に軽減することが可能となり、耐摩耗性の高い感光体21と組み合わせて使用することにより、さらに高耐久化及び高画質化することができる。
画像露光部24、除電ランプ22等の光源としては、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般を用いることができるが、中でも、半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が好ましい。所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
本発明において、図4に示される工程の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは、前露光等の工程を設けることにより、光源等を用いて、感光体に光を照射することができる。但し、除電工程における感光体への露光は、感光体に与える疲労の影響が大きく、帯電低下や残留電位の上昇を引き起こすことがある。このため、帯電工程やクリーニング工程において、逆バイアスを印加することによって除電することができ、感光体の高耐久化に対して、有効な場合がある。
感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体の表面には、正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られ、また、正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。現像手段には、公知の方法を用いることができるし、また、除電手段にも公知の方法を用いることができる。
転写手段には、一般に、前述の帯電器を使用することができるが、図4に示すように、転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。また、このような転写手段を用いて、感光体からトナー像を紙に直接転写するが、本発明においては、感光体上のトナー像を一度中間転写体に転写し、その後、中間転写体から紙に転写する中間転写方式が感光体の高耐久化あるいは高画質化の面から、好ましい。本発明の感光体は、前述したように、耐摩耗性が高いためにリフェイスしにくく、感光体の表面に付着した汚染物質を除去しにくい傾向がある。感光体の表面に付着する汚染物質の中でも、帯電によって生成する放電物質、トナー中に含まれる外添剤等は、湿度の影響を拾いやすく異常画像の原因となっているが、紙粉も異常画像の原因物質の一つである。このような異常画像の原因物質が感光体に付着することによって、異常画像が発生しやすくなるだけではなく、耐摩耗性を低下させたり、偏摩耗を引き起こしたりする傾向が見られる。従って、上記の理由により、感光体と紙が直接接触しない構成は、高画質化の面から、好ましい。
また、中間転写方式は、フルカラー印刷が可能な画像形成装置に特に有効であり、複数のトナー像を一度中間転写体上に形成した後に、紙に一度に転写することによって、色ズレを防止する制御もしやすく、高画質化に対しても有効である。しかしながら、中間転写方式は、一枚のフルカラー画像を得るのに4回のスキャンが必要となるため、感光体の耐久性が大きな問題となっている。本発明の感光体は、高耐久性を有するだけでなく、ドラムヒーターが無くても画像ボケが発生しにくいことから、中間転写方式の画像形成装置に組み合わせて用いることが容易であり、特に、有効かつ有用である。中間転写体には、ドラム状、ベルト状等の種々の材質あるいは形状のものがあるが、本発明においては、従来公知の中間転写体を使用することができ、感光体の高耐久化あるいは高画質化に対して、有効かつ有用である。
現像ユニット25により感光体21上に現像されたトナーは、転写紙28に転写されるが、全てが転写されるわけではなく、感光体21上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、クリーニングブラシ33あるいはクリーニングブレード34により、感光体21から除去される。このクリーニング工程は、クリーニングブラシ33だけで行われたり、クリーニングブレードと併用して行われたりすることもあり、クリーニングブラシとしては、ファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
クリーニングは、前述の通り、転写後に感光体上に残ったトナー等を除く工程であるが、上記のブレード、ブラシ等によって、感光体が繰り返し擦られることにより、感光体の摩耗が促進されたり、傷が入ったりすることがあり、その結果、異常画像が発生することがある。また、クリーニング不良によって、感光体の表面が汚染されると、異常画像の発生の原因となるだけでなく、感光体の寿命を大幅に低減させることになる。特に、耐摩耗性を向上させるために、顔料を含有する保護層が最表面に形成された感光体の場合には、感光体の表面に付着した汚染物質が除去されにくいことから、フィルミングや異常画像の発生を助長することになる。したがって、感光体のクリーニング性を高めることは、感光体の高耐久化及び高画質化に対して、非常に有効である。
感光体のクリーニング性を高める手段としては、感光体の表面の摩擦係数を低減させる方法が知られている。感光体の表面の摩擦係数を低減させる方法としては、各種の潤滑性物質を感光体の表面に含有させる方法と、外部より感光体の表面に潤滑性物質を供給する方法に分類される。前者は、エンジン廻りのレイアウトの自由度が高いため、小径感光体には有利であるが、繰り返し使用によって摩擦係数は顕著に増加するため、その持続性に課題が残されている。一方、後者は、潤滑性物質を供給する部品を備える必要があるが、摩擦係数の安定性が高いことから、感光体の高耐久化に対しては有効である。その中で、潤滑性物質を現像剤に含有させることによって現像時に感光体に付着させる方法は、エンジン廻りのレイアウトにも制約を受けずに、感光体の表面の摩擦係数を低減させる効果の持続性も高いため、感光体の高耐久化及び高画質化に対しては、非常に有効な手段である。
これらの潤滑性物質としては、シリコーンオイル、フッ素オイル等の潤滑性液体、PTFE、PFA、PVDF等の各種フッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコングリース、フッ素グリース、パラフィンワックス、脂肪酸エステル類、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩、黒鉛、二硫化モリブデン等の潤滑性液体、固体、粉末等が挙げられるが、現像剤に混合させる場合には、粉末状である必要があり、ステアリン酸亜鉛は、悪影響が少なく、極めて有効に使用することができる。ステアリン酸亜鉛の粉末をトナーに含有させる場合には、それらのバランスやトナーに与える影響を考慮する必要があり、トナーに対して、0.01〜0.5重量%が好ましく、0.1〜0.3重量%がさらに好ましい。
本発明の感光体は、高い耐摩耗性を有するため、小径感光体に適用でき、また、繰り返し使用による摩耗変動量を少なくすることが可能となる。従って、上記の感光体が有効に用いられる画像形成装置あるいはその方式としては、複数色のトナーに対応した各々の現像部に対して、対応した複数の感光体を具備し、それによって並列処理を行う、いわゆるタンデム方式の画像形成装置が挙げられる。タンデム方式の画像形成装置は、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(C)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の少なくとも4色のトナー及びそれらを保持する現像部を配置し、さらにそれらに対応した少なくとも4本の感光体を具備することによって、従来のフルカラー印刷が可能な画像形成装置に比べ極めて高速なフルカラー印刷を可能としている。
図6に、本発明の画像形成装置の他の例として、タンデム方式のフルカラー画像形成装置を示し、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。図6において、ドラム状の感光体41C、41M、41Y及び41Kは、本発明の感光体である。感光体41C、41M、41Y及び41Kは、図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材42C、42M、42Y及び42K、現像部材44C、44M、44Y及び44K、クリーニング部材45C、45M、45Y及び45Kが配置されている。帯電部材42C、42M、42Y及び42Kは、感光体41C、41M、41Y及び41Kの表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。
帯電部材42C、42M、42Y及び42Kと、現像部材44C、44M、44Y及び44Kの間の感光体41C、41M、41Y及び41Kの裏面側より、図示しない露光部材からのレーザー光43C、43M、43Y及び43Kが照射され、感光体41C、41M、41Y及び41Kに静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体41C、41M、41Y及び41Kを中心とした画像形成要素46C、46M、46Y及び46Kが、転写材搬送手段である転写搬送ベルト50に沿って並置されている。転写搬送ベルト50は、画像形成要素46C、46M、46Y及び46Kの現像部材44C、44M、44Y及び44Kと、クリーニング部材45C、45M、45Y及び45Kの間で感光体41C、41M、41Y及び41Kに当接しており、転写搬送ベルト50の感光体41C、41M、41Y及び41K側の裏側に当たる面(裏面)には、転写バイアスを印加するための転写ブラシ51C、51M、51Y及び51Kが配置されている。画像形成要素46C、46M、46Y及び46Kは、現像装置内部のトナーの色が異なること以外は、全て同様の構成となっている。
図6に示す画像形成装置において、画像形成動作は、次のようにして行われる。まず、画像形成要素46C、46M、46Y及び46Kにおいて、感光体41C、41M、41Y及び41Kが矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材42C、42M、42Y及び42Kにより帯電され、次に、感光体の外側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光43C、43M、43Y及び43Kにより、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
次に、現像部材44C、44M、44Y及び44Kにより、潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材44C、44M、44Y及び44Kは、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)のトナーで現像を行い、感光体41C、41M、41Y及び41K上で作られた各色のトナー像は、転写紙47上で重ねられる。転写紙47は、給紙コロ48によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ49で一旦停止し、感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト50に送られる。転写搬送ベルト50上に保持された転写紙47は、搬送されて、感光体41C、41M、41Y及び41Kとの当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行われる。
感光体上のトナー像は、転写ブラシ51C、51M、51Y及び51Kに印加された転写バイアスと、感光体41C、41M、41Y及び41Kとの電位差から形成される電界により、転写紙47上に転写される。そして、4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙47は、定着装置52に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに感光体41C、41M、41Y及び41K上に残った残留トナーは、クリーニング部材45C、45M、45Y及び45Kで回収される。
なお、図6では、画像形成要素は、転写紙の搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は、任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際に、黒色以外の画像形成要素46C、46M及び46Yが停止するような機構を設けることは、本発明に特に有効である。さらに、図5において、帯電部材は、感光体と当接しているが、図5に示すように、両者の間に10〜200μm程度の適当なギャップを設けることにより、両者の摩耗量を低減することができると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み、良好に使用できる。
一般に、タンデム方式による画像形成装置は、複数のトナー像を一度に転写できるため、高速フルカラー印刷が実現される。しかしながら、感光体が少なくとも4本を必要とすることから、装置の大型化が避けられず、また、使用されるトナー量によっては、各々の感光体の摩耗量に差が生じて、色の再現性が低下したり、異常画像が発生したりする等の多くの課題を有する。これに対して、本発明の感光体は、保護層を形成することによって高い耐摩耗性を有することから、小径感光体でも適用可能であり、残留電位の上昇、感度の低下等の影響が低減されることから、4本の感光体の使用量が異なっていても、残留電位や感度の繰り返し使用時における差が小さく、長期繰り返し使用しても色再現性に優れるフルカラー画像を得ることが可能となる。
以上の図示した画像形成プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、他の実施形態でも可能である。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置内に固定して組み込まれていてもよいが、画像形成手段は、プロセスカートリッジの形で画像形成装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、図7に、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す。図7に示すプロセスカートリッジは、感光体61、接触帯電装置62、画像露光装置63、現像装置64、接触転写装置65及びクリーニングユニット66を有するが、感光体61は、本発明の感光体である。
以下、本発明について、実施例を挙げて説明するが、本発明は、これら実施例により制約を受けるものではない。なお、部は、全て重量部である。
(実施例1)
直径30mmのアルミニウムシリンダー(導電性支持体)上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液及び電荷輸送層用塗工液を、浸漬塗工法により順次塗布し、オーブンで乾燥を行い、膜厚が3.5μmの下引き層、膜厚が0.2μmの電荷発生層及び膜厚が27μmの電荷輸送層を形成した。なお、乾燥条件は、下引き層が130℃で20分間、電荷発生層が90℃で20分間、電荷輸送層が135℃で20分間である。
(下引き層用塗工液)
酸化チタン CR−EL(純度99.7%、平均一次粒径約0.25μm、比抵抗3.5×10Ω・cm)(石原産業社製)50部
アルキッド樹脂ベッコライトM6401−50(固形分50重量%)(大日本インキ化学工業社製)14部
メラミン樹脂L−145−60(固形分60重量%)(大日本インキ化学工業社製)8部
2−ブタノン120部
(電荷発生層用塗工液)
図7に示すX線回折スペクトルを有するチタニルフタロシアニン8部
ポリビニルブチラールBX−1(積水化学工業社製)5部
2−ブタノン400部
(電荷輸送層用塗工液)
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
電荷輸送物質(具体例No.3;酸化電位0.76V vs.SCE)7部
テトラヒドロフラン100部
シリコーンオイル100cs(信越化学工業社製)0.02部
電荷輸送層を形成した後、図10に示す研磨装置により研磨処理を行った。なお、導電性支持体11の回転速度は、200rpmとし、研磨物としては、粒度5μmのラッピングフィルム71(3M社製)を使用した。次に、粒度0.3μmのラッピングフィルム(3M社製)に変更し、表面のリフェイス処理を行った。このとき、研磨厚(研磨深さ)は、4μmとした。
研磨した電荷輸送層上に、下記組成の保護層用塗工液をスプレー塗布し、オーブンで乾燥を行い、膜厚が5μmの保護層を形成し、感光体を作製した。膜厚5μmの保護層を形成させるのに、スプレー噴霧を3回繰り返して、塗り重ねた。なお、保護層の乾燥条件は、150℃で20分間とした。
(保護層用塗工液)
α−アルミナのスミコランダムAA−03(平均一次粒径0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、住友化学工業社製)3部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー(湿潤分散剤)溶液BYK−P104(酸価約180mgKOH/g、固形分約50重量%)(BYKケミー社製)0.03部
電荷輸送物質(具体例No.3;酸化電位0.76(V vs.SCE))7部
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
テトラヒドロフラン370部
シクロヘキサノン100部
(実施例2)
電荷輸送層の研磨厚を2μmにした以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(実施例3)
電荷輸送層の研磨厚を6μmにした以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(実施例4)
保護層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
α−アルミナのスミコランダムAA−03(住友化学工業社製)3部
湿潤分散剤BYK−P104(BYKケミー社製)0.03部
電荷輸送物質(具体例No.5;酸化電位0.62(V vs.SCE))7部
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
テトラヒドロフラン370部
シクロヘキサノン100部
(実施例5)
保護層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
α−アルミナのスミコランダムAA−03(住友化学工業社製)3部
湿潤分散剤BYK−P104(BYKケミー社製)0.03部
電荷輸送物質(具体例No.1;酸化電位0.86(V vs.SCE))7部
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
テトラヒドロフラン370部
シクロヘキサノン100部
(実施例6)
保護層用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
α−アルミナのスミコランダムAA−03(住友化学工業社製)3部
湿潤分散剤BYK−P104(BYKケミー社製)0.03部
電荷輸送物質(具体例No.24;酸化電位0.69(V vs.SCE))7部
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
テトラヒドロフラン370部
シクロヘキサノン100部
(実施例7)
電荷輸送層の膜厚を30μmになるように塗工し、研磨厚を7μmにした以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(実施例8)
研磨厚を3μmにした以外は、実施例7と同様にして、感光体を作製した。
(実施例9)
電荷輸送層の膜厚を33μmになるように塗工し、研磨厚を10μmにした以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(実施例10)
研磨厚を6μmにした以外は、実施例9と同様にして、感光体を作製した。
(実施例11)
電荷輸送層の膜厚を22μmになるように塗工し、研磨厚を1μmにした以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(実施例12)
研磨厚を5μmにした以外は、実施例11と同様にして、感光体を作製した。
(実施例13)
電荷輸送層の膜厚を20μmになるように塗工し、研磨厚を1μmにした以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(実施例14)
保護層用塗工液に含有されるα−アルミナ3部及び湿潤分散剤0.03部を、PTFE微粒子ルブロンL−2(ダイキン製)3部及び分散助剤モディパーF210(日本油脂社製)0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(実施例15)
電荷輸送層用塗工液を下記組成のものに変更し、スプレー塗工法を用いて15回塗り重ねて電荷輸送層を形成し、140℃で40分間乾燥を行い、その後、研磨処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(電荷輸送層用塗工液)
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
電荷輸送物質(具体例No.3;酸化電位0.76(V vs.SCE))7部
テトラヒドロフラン210部
シクロヘキサノン50部
シリコーンオイル100cs(信越化学工業社製)0.02部
(実施例16)
電荷輸送層用塗工液を下記組成のものに変更し、スプレー塗工法を用いて10回塗り重ねて電荷輸送層を形成し、140℃で40分間乾燥を行い、その後、研磨処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(電荷輸送層用塗工液)
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
電荷輸送物質(具体例No.3;酸化電位0.76(V vs.SCE))7部
テトラヒドロフラン180部
シクロヘキサノン80部
シリコーンオイル100cs(信越化学工業社製)0.02部
(実施例17)
電荷輸送層用塗工液を下記組成のものに変更し、スプレー塗工法を用いて5回塗り重ねて電荷輸送層を形成し、140℃で40分間乾燥を行い、その後、研磨処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(電荷輸送層用塗工液)
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
電荷輸送物質(具体例No.3;酸化電位0.76(V vs.SCE))7部
テトラヒドロフラン180部
シクロヘキサノン80部
シリコーンオイル100cs(信越化学工業社製)0.02部
(実施例18)
電荷輸送層用塗工液を下記組成のものに変更し、スプレー塗工法を用いて1回塗り重ねて電荷輸送層を形成し、140℃で40分間乾燥を行い、その後、研磨処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(電荷輸送層用塗工液)
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
電荷輸送物質(具体例No.3;酸化電位0.76(V vs.SCE))7部
テトラヒドロフラン100部
シクロヘキサノン90部
シリコーンオイル100cs(信越化学工業社製)0.02部
(実施例19)
実施例1と同様にして研磨厚4μmの研磨処理を実施した以外は、実施例18と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例20)
実施例1と同様にして研磨厚6μmの研磨処理を実施した以外は、実施例18と同様にして、感光体を作製した。
(比較例1)
電荷輸送層を形成した後、研磨処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(比較例2)
電荷輸送層を形成した後、研磨処理を行わなかった以外は、実施例4と同様にして、感光体を作製した。
(比較例3)
電荷輸送層を形成した後、研磨処理を行わなかった以外は、実施例5と同様にして、感光体を作製した。
(比較例4)
電荷輸送層を形成した後、研磨処理を行わなかった以外は、実施例7と同様にして、感光体を作製した。
(比較例5)
電荷輸送層を形成した後、研磨処理を行わなかった以外は、実施例9と同様にして、感光体を作製した。
(比較例6)
研磨厚を1μmにした以外は、実施例9と同様にして、感光体を作製した。
(比較例7)
電荷輸送層を形成した後、研磨処理を行わなかった以外は、実施例11と同様にして、感光体を作製した。
(比較例8)
電荷輸送層を形成した後、研磨処理を行わず、さらに保護層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(比較例9)
保護層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。
(評価方法及び評価結果)
以上のようにして作製された感光体、帯電ローラー及び現像部を有し、クリーニングブレードを外したプロセスカートリッジ及び画像露光光の波長が780nmの半導体レーザーを装着し、転写ローラーを外したデジタル複写機改造機(リコー社製)を用いて、初期における露光後の電位(VL)の測定及び画像品質の評価を行った。なお、現像部には、表面電位計に接続されたプローブを取り付けた現像ユニットをセットした。次に、10万枚の印刷を行った後、露光後の電位(VL)、一周目帯電低下(ΔVD)の測定及び画像品質の評価を行った。なお、VLは、全面黒ベタ画像(全面露光)を5枚出力し、5枚目の現像部での電位である。また、ΔVDは、試験終了後10分間暗所で放置した後、全面白ベタ画像(全面未露光)を5枚出力する際の、感光体の一周目と二周目における現像部での電位の差である。画像品質については、以下のように評価した。まず、感光体を、通常の現像剤を充填した現像ユニット、転写ローラー、クリーニングブレードを取り付けたデジタル複写機(リコー社製)にセットし、全面黒ベタ、全面白ベタ、ハーフトーン、テストチャートを出力した。次に、出力した画像サンプルを拡大観察し、定着したトナーの付着量やドット再現性から、画像濃度、階調性、解像度について評価を行った。また、初期及び10万枚印刷後における感光体の膜厚差より摩耗量の評価を行った。これらの結果を表1に示す。
Figure 2008040466
なお、画像品質の判定基準は、初期の画像品質と比べて、ほとんど変化が見られず、良好な画像と判断できるレベルを◎、初期の画像品質と比べて、画質劣化が若干認められるが、特に問題ないレベルを○、初期の画像品質と比べて、明らかに画質劣化が認められるレベルを△、初期の画像品質と比べて、顕著な画質劣化が認められ、明らかに問題視されるレベルを×とした。
また、以上のようにして作製された感光体を、図8に示すように、感光体の表面の保護層14から電荷発生層12まで斜め方向に切断し、その切断面に対して、FT−IR、μ−ATR法を用いて、電荷輸送物質の濃度分布の分析を行った。切断面の長さは、約700μmであり、切断面に対して、10μmピッチで70ポイントの測定を行った。そして、保護層と電荷輸送層の界面に最も近い保護層側の測定点と、電荷輸送層側の測定点と、電荷輸送層と電荷発生層の界面に最も近い電荷輸送層側の測定点から、電荷輸送物質のバインダー樹脂に対する濃度を算出した。電荷輸送層あるいは保護層中の電荷輸送物質の濃度は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂のそれぞれのIRスペクトルから、電荷輸送物質の単独ピーク(1600cm−1付近)と、バインダー樹脂の単独ピーク(1773cm−1付近)を求め、これらのピーク強度比から算出した。まず、電荷輸送層の電荷発生層側の界面におけるバインダー樹脂に対する電荷輸送物質のピーク強度比と、電荷輸送層の保護層側界面におけるバインダー樹脂に対する電荷輸送物質のピーク強度比を求め、これらの比を求めることによって電荷輸送層の電荷発生層側に対する保護層側の電荷輸送物質の濃度比(濃度比A)を算出した。同様に、保護層の電荷輸送層側の界面におけるバインダー樹脂に対する電荷輸送物質のピーク強度比と、電荷輸送層の保護層側の界面におけるバインダー樹脂に対する電荷輸送物質のピーク強度比を求め、これらの比を求めることによって保護層の電荷輸送層側に対する電荷輸送層の保護層側の電荷輸送物質の濃度比(濃度比B)を算出した。なお、測定深さは、用いた結晶によって決まるが、ここでは、Si結晶を用いており、約1μmである。また、保護層と電荷輸送層の界面は、保護層に含まれる顔料が含まれる領域を保護層、含まれない領域を電荷輸送物質として区分した。これらの結果も表1に示す。
(実施例21〜39)
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液及び電荷輸送層用塗工液を、浸漬塗工法により順次塗布し、オーブンで乾燥を行い、膜厚が3.5μmの下引き層、膜厚が0.2μmの電荷発生層及び膜厚が27μmの電荷輸送層を形成した。なお、乾燥条件は、下引き層が130℃で20分間、電荷発生層が90℃で20分間、電荷輸送層が135℃で20分間である。
(下引き層用塗工液)
酸化チタンCR−EL(純度99.7%、平均一次粒径約0.25μm、比抵抗3.5×10Ω・cm)(石原産業社製)50部
アルキッド樹脂ベッコライトM6401−50(固形分50重量%)(大日本インキ化学工業社製)14部
メラミン樹脂L−145−60(固形分60重量%)(大日本インキ化学工業社製)8部
2−ブタノン120部
(電荷発生層用塗工液)
図9に示すX線回折スペクトルを有するチタニルフタロシアニン8部
ポリビニルブチラールBX−1(積水化学工業社製)5部
2−ブタノン400部
(電荷輸送層用塗工液)
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
電荷輸送物質(具体例No.3;酸化電位0.76(V vs.SCE))7部
シリコーンオイルKF−50(信越化学工業社製)0.02部
なお、電荷輸送層の塗工溶媒は、表2に示す。
Figure 2008040466
電荷輸送層上に下記組成の保護層用塗工液をスプレー塗布し、オーブンで乾燥を行い、膜厚が5μmの保護層を形成し、感光体を作製した。なお、保護層の乾燥条件は、150℃で20分間とした。
(保護層用塗工液)
α−アルミナのスミコランダムAA−03(平均一次粒径0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上)(住友化学工業社製)3部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー(湿潤分散剤)溶液BYK−P104(酸価約180mgKOH/g、固形分約50重量%)(BYKケミー社製)0.03部
電荷輸送物質(具体例No.3;酸化電位0.76(V vs.SCE))7部
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
テトラヒドロフラン230部
シクロヘキサノン70部
(比較例10)
電荷輸送層の塗工溶媒及びその添加量をテトラヒドロフラン100部に変更した以外は、実施例21と同様にして、感光体を作製した。
(比較例11)
電荷輸送層の乾燥温度を80℃に変更した以外は、実施例23と同様にして、感光体を作製した。
(比較例12)
電荷輸送層の乾燥時間を5分に変更した以外は、実施例23と同様にして、感光体を作製した。
(評価方法及び評価結果)
印刷枚数を10万枚から5万枚に変更した以外は、前述の評価方法と同様にして評価を行った。これらの結果を表3に示す。
Figure 2008040466
なお、画像品質の判定基準は、初期の画像品質と比べて、ほとんど変化が見られず、良好な画像と判断できるレベルを◎、初期の画像品質と比べて、画質劣化が若干認められるが、特に問題ないレベルを○、初期の画像品質と比べて、明らかに画質劣化が認められるレベルを△、初期の画像品質と比べて、顕著な画質劣化が認められ、明らかに問題視されるレベルを×とした。また、膜質については、乾燥後の電荷輸送層を光学顕微鏡で観察し、微小泡が多数観察された場合を白化と判断した。また、「上端やや膜厚薄い」及び「上端膜厚薄い」は、それぞれ感光体の膜厚測定結果から、塗工時の液タレによって上端部と中央部の膜厚差が3μm以上及び5μm以上であることを意味する。
(比較例13)
保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
α−アルミナのスミコランダムAA−03(平均一次粒径0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、住友化学工業社製)3部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー(湿潤分散剤)溶液BYK−P104(酸価約180mgKOH/g、固形分約50重量%)(BYKケミー社製)0.03部
電荷輸送物質(具体例No.3;酸化電位0.76(V vs.SCE))12部
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
テトラヒドロフラン370部
シクロヘキサノン100部
(比較例14)
保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
α−アルミナのスミコランダムAA−03(平均一次粒径0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、住友化学工業社製)3部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー(湿潤分散剤)溶液BYK−P104(酸価約180mgKOH/g、固形分約50重量%)(BYKケミー社製)0.03部
電荷輸送物質(具体例No.3;酸化電位0.76(V vs.SCE))3部
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
テトラヒドロフラン370部
シクロヘキサノン100部
(比較例15)
保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、比較例1と同様にして感光体を作製した。
(保護層用塗工液)
α−アルミナのスミコランダムAA−03(平均一次粒径0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、住友化学工業社製)3部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー(湿潤分散剤)溶液BYK−P104(酸価約180mgKOH/g、固形分約50重量%)(BYKケミー社製)0.03部
電荷輸送物質(具体例No.3;酸化電位0.76(V vs.SCE))4部
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製)10部
テトラヒドロフラン370部
シクロヘキサノン100部
(評価方法及び評価結果)
印刷枚数を10万枚から5万枚に変更した以外は、前述の評価方法と同様にして評価を行った。これらの結果を表4に示す。
Figure 2008040466
以上から明らかなように、本発明の感光体は、電荷輸送層の電荷発生層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比が、0.68〜1.00であり、保護層の電荷輸送層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比が、0.70〜1.05であることにより、電荷輸送層から保護層への電荷注入性が格段に向上し、残留電位の上昇、感度の低下、一周目帯電低下等の劣化が抑制され、解像度や階調性についても向上させることができる。これは、電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質は、電荷発生層側よりも保護層側の方が、濃度が低くなる濃度勾配を有しており、特に、保護層付近において、電荷輸送物質の濃度が著しく低下し、電荷輸送物質の分子間距離が増加したことによるものと考えられる。
本発明の感光体を製造する際に、電荷輸送層を形成した後に電荷輸送層の表面を研磨し、その上に保護層を形成する方法及び薄い電荷輸送層を塗り重ねる方法、スプレー塗工法によって複数回塗り重ねる方法又は沸点が110℃以上の溶媒を含有する電荷輸送層用塗工溶媒を用いることにより、上記の電荷輸送層及び保護層を形成することが可能となる。これにより、保護層を設けた場合の残留電位の上昇や感度の低下、一周目帯電低下の抑制と耐摩耗性の向上を両立することができた。さらに、電荷発生層から注入された電荷を保護層、さらにその表面へと少ないロスで輸送することができると共に、電荷の横方向への拡散を抑制することが可能となった。その結果、原稿に対して、より忠実な静電潜像の形成が実現され、トナーの散りが少なく、大幅な高画質化が実現された。これにより、保護層を形成したときの課題とされていた高耐久化と高画質化を両立することが可能となり、感光体、さらにはそれを用いた画像形成装置の長寿命化を実現することが可能となった。
従来の電荷輸送層における電荷輸送物質の濃度分布を示す図である。 本発明の感光体の層構成の一例を示す図である。 本発明の感光体の層構成の他の例を示す図である。 本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 感光体と帯電ローラの配置の一例を示す図である。 本発明の画像形成装置の他の例を示す概略図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を示す図である。 電荷輸送物質の濃度分布の分析方法を説明する図である。 実施例で用いたチタニルフタロシアニンのX線回折スペクトルを示す図である。 実施例で用いた研磨装置を示す模式図である。
符号の説明
11 導電性支持体
12 電荷発生層
13 電荷輸送層
14 保護層
15 下引き層
21 感光体
22 除電ランプ
23 帯電チャージャー
24 画像露光部
25 現像ユニット
26 転写前チャージャー
27 レジストローラ
28 転写紙
29 転写チャージャー
30 分離チャージャー
31 分離爪
32 クリーニング前チャージャー
33 クリーニングブラシ
34 ブレード
41C、41M、41Y、41K 感光体
42C、42M、42Y、42K 帯電部材
43C、43M、43Y、43K レーザー光
44C、44M、44Y、44K 現像部材
45C、45M、45Y、45K クリーニング部材
46C、46M、46Y、46K 画像形成要素
51C、51M、51Y、51K 転写ブラシ
61 感光体
62 接触帯電装置
63 画像露光装置
64 現像装置
65 接触転写装置
66 クリーニングユニット
71 ラッピングフィルム

Claims (28)

  1. 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び保護層が順次積層されている感光体において、
    該電荷輸送層及び該保護層は、電荷輸送物質を含有し、
    該電荷輸送層の電荷発生層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、該電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比は、0.68以上1.00以下であり、
    該保護層の電荷輸送層側の界面における電荷輸送物質の濃度に対する、該電荷輸送層の保護層側の界面における電荷輸送物質の濃度の比は、0.70以上1.05以下であることを特徴とする感光体。
  2. 前記電荷輸送層に含有される電荷輸送物質の酸化電位をEox(CTL)、前記保護層に含有される電荷輸送物質の酸化電位をEox(OL)とすると、式
    −0.1<Eox(CTL)−Eox(OL)<0.3
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の感光体。
  3. 前記電荷輸送層及び保護層は、同一の電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項1に記載の感光体。
  4. 前記電荷輸送物質は、一般式
    Figure 2008040466
    [式中、nは、0又は1であり、Rは、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のフェニル基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Rは、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基であり、Aは、一般式
    Figure 2008040466
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基又はハロゲン基であり、l及びmは、それぞれ独立に、1以上3以下の整数である。)
    で表される官能基、一般式
    −NR
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、置換又は無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
    で表される官能基、9−アントリル基又は置換若しくは無置換のカルバゾリル基であり、Bは、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基、一般式
    −NR
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
    で表される官能基又は一般式
    Figure 2008040466
    {式中、pは0又は1であり、Arは、置換若しくは無置換のアリーレン基又は一般式
    Figure 2008040466
    (式中、R12は、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基又は炭素数が1以上4以下のアルコキシ基である。)
    で表される官能基であり、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基又は一般式
    −NR1314
    (式中、R13及びR14は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
    で表される官能基であり、R11は、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。}
    で表される官能基である。]
    で表される化合物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の感光体。
  5. 前記電荷輸送物質は、一般式
    Figure 2008040466
    (式中、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35及びR36は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
    で表される化合物及び/又は一般式
    Figure 2008040466
    (式中、R37、R38、R39、R40、R41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61及びR62は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数が1以上4以下のアルキル基、炭素数が1以上4以下のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリール基又は置換若しくは無置換の複素環基である。)
    で表される化合物であることを特徴とする請求項4に記載の感光体。
  6. 前記保護層は、少なくとも一種の無機顔料を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の感光体。
  7. 前記無機顔料は、金属酸化物であることを特徴とする請求項6に記載の感光体。
  8. 前記金属酸化物は、α型アルミナであることを特徴とする請求項7に記載の感光体。
  9. 前記無機顔料の平均一次粒径は、0.01μm以上0.9μm以下であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の感光体。
  10. 前記保護層は、酸価が10mgKOH/g以上700mgKOH/g以下である湿潤分散剤をさらに含有することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の感光体。
  11. 前記湿潤分散剤は、ポリカルボン酸誘導体であることを特徴とする請求項10に記載の感光体。
  12. 前記湿潤分散剤の含有量及び酸価をそれぞれA[g]及びB[mgKOH/g]とし、前記無機顔料の含有量をC[g]とすると、式
    0.1≦A×B/C≦20
    を満たすことを特徴とする請求項10又は11に記載の感光体。
  13. 前記電荷輸送層及び/又は保護層は、ポリカーボネート及びポリアリレートの少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の感光体。
  14. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体を製造する感光体の製造方法であって、
    導電性支持体上に電荷発生層を形成する工程、該電荷発生層上に電荷輸送層を形成する工程、該電荷輸送層の表面を研磨する工程及び該研磨された電荷輸送層の上に保護層を形成する工程を有することを特徴とする感光体の製造方法。
  15. 前記電荷輸送層の表面に研磨物を当接させた状態で、前記電荷輸送層が形成された導電性支持体を回転させ、摺擦させることにより、前記電荷輸送層の表面を研磨することを特徴とする請求項14に記載の感光体の製造方法。
  16. 前記電荷輸送層の膜厚に対する前記電荷輸送層の表面で研磨される膜厚の比は、0.04以上0.4以下であることを特徴とする請求項14又は15に記載の感光体の製造方法。
  17. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体を製造する感光体の製造方法であって、
    スプレー噴霧を複数回繰り返して、塗り重ねることによって前記電荷輸送層を形成する工程を有することを特徴とする感光体の製造方法。
  18. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体を製造する感光体の製造方法であって、
    スプレー噴霧を複数回繰り返して、塗り重ねることによって前記保護層を形成する工程を有することを特徴とする感光体の製造方法。
  19. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体を製造する感光体の製造方法であって、
    沸点が110℃以上である溶媒を含有する塗布液を用いて電荷輸送層を形成する工程を有することを特徴とする感光体の製造方法。
  20. 前記塗布液は、沸点が100℃以下である溶媒をさらに含有することを特徴とする請求項19に記載の感光体の製造方法。
  21. 前記沸点が100℃以下である溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン及びジエチルエーテルの少なくとも一つであることを特徴とする請求項20に記載の感光体の製造方法。
  22. 前記沸点が110℃以上である溶媒に対する沸点が100℃以下である溶媒の体積比は、1/9以上9/1以下であることを特徴とする請求項20又は21に記載の感光体の製造方法。
  23. 前記沸点が110℃以上である溶媒は、一般式
    Figure 2008040466
    (式中、R63は、水素原子又は炭素数が1以上4以下のアルキル基であり、qは、1以上6以下の整数である。)
    で表される化合物であることを特徴とする請求項19乃至22のいずれか一項に記載の感光体の製造方法。
  24. 前記沸点が110℃以上である溶媒は、トルエン、o−キシレン、m−キシレン及びp−キシレンの少なくとも一つであることを特徴とする請求項19乃至23のいずれか一項に記載の感光体の製造方法。
  25. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。
  26. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有し、
    該現像手段は、異なる色のトナーを有する複数の現像部を有し、
    該複数の現像部に対応した複数の該感光体を有することを特徴とするタンデム方式の画像形成装置。
  27. 請求項1乃至13のいずれか一項に記載の感光体と、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段の少なくとも一つの手段とが一体となり、画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  28. 請求項27に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする請求項25又は26に記載の画像形成装置。
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