JP4887135B2 - 電子写真感光体の製造方法、並びにそれらの方法によって得られた電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法、並びにそれらの方法によって得られた電子写真感光体及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法、電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
画像形成装置に使用される電子写真感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び環境安定性等の理由から一般に広く応用されている。これらの電子写真感光体の層構成としては、電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とに機能分離した積層型、電荷発生機能と電荷輸送機能を一つの層に備えた単層型の感光体に大別される。
電子写真感光体における静電潜像形成メカニズムについて積層型感光体を例にとって説明する。電子写真感光体を帯電した後、光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生物質に吸収され電荷を発生する。それによって発生した電荷が電荷輸送物質により輸送され、感光体表面に達し、帯電により与えられた表面電荷を中和することにより静電潜像を形成する。したがって、光によって発生した電荷が移動の途中でトラップされることなく、感光体表面までスムーズに到達させることが、電子写真特性上好ましい。
しかし、従来の塗工方法である浸漬塗工やスプレー塗工によって形成された感光層または電荷輸送層は、基板側より表面側のほうが電荷輸送物質濃度が低くなっていることが確認されている。このように表面側で電荷輸送物質濃度が低くなっていることで電荷輸送性が低下し、感度低下や残留電位上昇を引き起こし画像品質を低下させていた。
このような電荷輸送物質の濃度傾斜を低減する従来技術として、イオン化ポテンシャル値が0.5eV以上離れている電荷発生物質と電荷輸送物質を用いてなる感光体において、電荷輸送層中の電荷輸送物質について、電荷発生層側の濃度とその反対側の濃度との比が0.8〜1.0の範囲であり、そのために電荷輸送層を塗工後125℃以上で加熱する方法が開示されている(特許文献1:特開平9−218522号公報)。これは、電荷発生物質と電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル値が0.5eV以上離れていると、電荷発生層から電荷輸送層への電荷注入性が低下し、その結果、繰り返し使用によって感度低下を引き起こすが、これは電荷輸送層中の電荷輸送物質濃度が不均一であることに起因するものとしている。さらに、電荷輸送層の乾燥温度が低い場合に、電荷輸送層の内部で対流が生じて電荷輸送層材料が移動してしまうために起こるものと記載されている。
さらに、イオン化ポテンシャル値が0.5eV以上離れている電荷発生材料と電荷輸送物質を用いてなる感光体において、電荷輸送層の塗布液中の溶剤として、ハロゲン化炭化水素系溶媒を使用する方法が開示されている(特許文献2:特開平9−218523号公報)。これについても、電荷発生層と電荷輸送層の界面における電荷注入が異種分子間のホッピング移動であるとすると、電荷注入は、分子間距離に依存するため、電荷輸送層中の電荷輸送物質の濃度分布を適正化して、電荷発生層と電荷輸送層への電荷注入及び電荷輸送層内の電荷の移行を円滑に行なうためのものである。これらの従来技術は、電荷輸送層内の電荷輸送物質の濃度傾斜を低減して、電荷輸送物質の濃度をより均一化させる技術として記載されているが、いずれも十分に均一化できていないものであった。
また、従来の塗工方法のように、感光体構成物質を溶媒に含有させ、浸漬塗工やスプレー塗工によって感光体を作製した場合、残留溶媒によって感度低下や残留電位上昇といったように電気特性に悪影響を及ぼすことが課題となっていた。残留溶媒量を低減するためには、低沸点溶媒を用いた方がよいが、低沸点溶媒のみで塗工した場合、ブラッシングが生じ、膜質が悪化することが懸念される。そこである程度揮発性の低い溶媒も混合して塗工することが事実上必要であるが、その場合乾燥によって溶媒を完全に除去することは困難である。また、乾燥温度を高くすることで、残留溶媒量の低減も図れるが、乾燥を高温にすることで、感光層の構成材料にダメージを与え、特性が劣化してしまうという副作用が生じる可能性もあり、残留溶媒量の低減は解決困難な課題であった。
一方、本発明で用いている超臨界流体とは、物質を臨界点以上の温度、圧力にしたときに得られる高密度な液体相をいう。また亜臨界流体とは、臨界点近傍の温度、圧力領域における流体のことであり、超臨界流体とほぼ同様の性質を示す。これらの流体は、液体の高い溶解力と気体の高い拡散性を併せ持つため、様々な分野で応用され始めている。
電子写真感光体の分野においても、超臨界流体を用いた以下のような技術が開示されている。例えば、電荷発生物質の洗浄、精製、抽出、晶析方法が開示されている(特許文献3:特開平7−134435号公報、特許文献4:特開2001−92165、特許文献5:特開2002−138216号公報、特許文献6:特開2002−356627号公報)。また、導電性支持体の洗浄方法としても開示されている(特許文献7:特開2001−121094号公報)。また、表面層に含有した樹脂微粒子の精製方法としても開示されている(特許文献8:特開平7−134435号公報、特許文献9:特許第3186010号公報)。このように、これまでは感光体材料の洗浄や精製といった目的で超臨界流体が用いられている例はあったが、上記の課題を解決するには至っていない。
また超臨界流体を用いた技術として、繊維などの染色などが挙げられる(特許文献10:特開2002−371480号公報、特許文献11:特開2000−160486号公報)。これは超臨界流体中に染料を溶解もしくは含有させ、その超臨界流体下に繊維をさらすことで、繊維を膨潤させて繊維の内部に染料を注入するという技術である。これは超臨界流体が高圧力下にあるため、流体の運動エネルギーが大きいこと、また、粘性が小さいことから媒質への拡散が速いという、物質の注入に適した特性を利用した技術である。しかしこのような超臨界流体の特性を生かした技術は、電子写真感光体の分野には応用されておらず、本発明のように上記の課題を大幅に改善できる手段として見出されていなかった。
特開平9−218522号公報 特開平9−218523号公報 特開平07−134435号公報 特開2001−092165号公報 特開2002−138216号公報 特開2002−356627号公報 特開2001−121094号公報 特開平07−134435号公報 特許第3186010号公報 特開2002−371480号公報 特開2000−160486号公報
従来、感光体の製造方法は、感光体構成物質を有機溶剤に溶解させ、それを塗工液として浸漬塗工やスプレー塗工を行なうのが一般的であった。しかしこの方法によって製造された電子写真感光体は、電荷輸送物質が基板側よりも表面側の方が電荷輸送物質濃度が低くなる濃度傾斜を有しており、そのことが残留電位の上昇や感度劣化などを引き起こしていた。また残留溶媒によって感度低下や残留電位上昇といったように電気特性に悪影響を及ぼすことが課題となっており、残留溶媒量の低減は解決困難な課題であった。
本発明においては上記の課題を解決すべく、電荷輸送機能を持つ層を、少なくとも電荷輸送物質を含む超臨界流体に接触させる手法を見出した。
すなわち、超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させた層の樹脂を膨潤させ、層内部まで電荷輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を浸透させることにより、従来の塗工方法では生じていた、基板側より表面側の方が電荷輸送物質濃度が低くなるといった濃度傾斜を低減し、より均一に電荷輸送物質を配置することができた。また、常温常圧において気体である物質の超臨界流体及び/又は亜臨界流体を用いれば、浸透した超臨界流体及び/又は亜臨界流体は残留溶媒と置換され、常温常圧に戻すと残留溶媒と置換した超臨界流体及び/又は亜臨界流体は気化するため、残留溶媒を除去することもできた。
すなわち、上記課題は、以下の本発明によって解決される。
(1)「導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層を、少なくとも電荷輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させる工程を含んで形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法」、
(2)「前記感光層が、導電性支持体から電荷発生物質を含む電荷発生層と電荷輸送物質を含む電荷輸送層をこの順で積層した積層型電子写真感光体であることを特徴とする前記第(1)項に記載の製造方法」、
(3)「前記感光層が、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含む単層の感光層であることを特徴とする前記第(1)項に記載の製造方法」、
(4)「導電性支持体上に感光層と保護層を積層した電子写真感光体の製造方法において、該感光層及び/又は保護層は、少なくとも電荷輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させる工程を含んで形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法」、
(5)「前記超臨界流体及び/又は亜臨界流体が、二酸化炭素であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法」、
(6)「前記超臨界流体及び/又は亜臨界流体が、二酸化炭素と他流体との混合物であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法」、
(7)「前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の方法によって製造されたことを特徴とする電子写真感光体」、
(8)「前記第(7)項に記載の電子写真感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段及び転写手段を少なくとも有することを特徴とする画像形成装置」、
(9)「前記第(7)項に記載の電子写真感光体を有し、画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ」。
従来の製造方法である浸漬塗工やスプレー塗工によって製造した電子写真感光体は、電荷輸送物質が基板側よりも表面側の方が電荷輸送物質濃度が低くなる濃度傾斜を有しており、そのことが残留電位の上昇や感度劣化などを引き起こしていた。本発明のように超臨界流体で樹脂を膨潤させて、電荷輸送物質を含む超臨界流体を浸透させることで、電荷輸送物質を注入する方法を用いれば、表面近傍の電荷輸送物質濃度が低い部分に電荷輸送物質を補う、もしくは超臨界流体によって層中の電荷輸送物質を拡散することで、電荷輸送物質を均一化し電荷輸送機能を向上させ、残留電位上昇や感度劣化は低減され、これまでより特性の良い感光体を製造することができた。
また、従来の感光体の製造方法においては、残留溶媒が特性低下、安定性低下の要因となっていた。従来法では加熱乾燥によって溶媒を揮発させていた。乾燥温度を高くしたり、乾燥時間を長くすることで、残留溶媒量の低減も図れるが、乾燥を高温にすることで、感光層の構成材料にダメージを与え、特性が劣化してしまうという副作用が生じる可能性もあり、残留溶媒量の低減は解決困難な課題であった。本発明においては、常温常圧で気体である超臨界流体を用いれば、超臨界流体を膜中に浸透させ、残留溶媒と置換することで、残留溶媒を除去することもできる。よって、これまでより加熱乾燥の際の温度を低くしたり、もしくは加熱乾燥を省略したりすることができ、加熱による感光体構成物質の劣化を防ぐと同時に残留溶媒量の低減も実現できた。
次に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
《超臨界流体について》
はじめに、超臨界流体及び亜臨界流体について説明する。
前記超臨界流体としては、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上、かつ、臨界圧力以上の状態にある流体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臨界温度が低いものが好ましい。
また、本発明における亜臨界流体とは、温度及び圧力のどちらか一方が臨界点を超えた状態を意味する。本発明では、必ずしも超臨界状態でなくても、その効果が得られればよいのは勿論である。超臨界流体は気体と液体の両方の特性を併せ持ち、処理の際には特に高密度な液体に近い状態であることが有効に作用していると考えられ、その点から、処理する流体に、常温常圧で気体である流体を用いる場合、これが液体状態になった時点で超臨界状態ではなくても効果があると言える。例えば、二酸化炭素を用いた場合、二酸化炭素の臨界圧力は7.53MPaであり、圧力がそれ以上であれば、臨界温度31℃に満たなくても密度の急激な上昇を示すことが実験で確認できている。この結果から見ると、圧力が7.53MPa以上であり、密度が少なくとも0.7(g/cm)以上であれば臨界温度に達していなくても、亜臨界状態と判断でき、本発明において十分な効果が得られる。ただ、これは二酸化炭素の場合であって、常温常圧で液体である流体の場合には適用できない。前記亜臨界流体としては、前記臨界点近傍の温度・圧力領域において高圧液体として存在する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明における超臨界流体又は亜臨界流体の一例としては、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、エタン、プロパン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、クロロトリフロロメタン、ジメチルエーテルなどが好適に挙げられる。これらの中でも、臨界温度が常温に近く、取扱い性に優れる点で、二酸化炭素が特に好ましい。また本発明においては、便宜上超臨界流体及び/又は亜臨界流体のことを、超臨界流体と総称することとする。
臨界温度が30〜40℃と常温に近い超臨界流体、例えば超臨界二酸化炭素や超臨界一酸化炭素は、20〜150℃の温度、及び5〜70MPaの圧力で使用するのが望ましく、30〜100℃、7〜60MPaがより好ましい。20℃未満の温度や5MPa未満の圧力では、二酸化炭素や一酸化炭素は超臨界状態になりにくいことから好ましくない。一方、150℃を超える温度では、感光体の構成材料を分解する恐れが生じ、また70MPaを超える圧力では、上記理由の他、流体ポンプ等を具備する装置の運転に支障を生ずる恐れがあるため好ましくない。ちなみに、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.53MPaで、一酸化炭素の臨界温度は37℃、臨界圧力は7.26MPaである。
本発明において超臨界流体を用いるのは、超臨界流体に電荷輸送物質を含有させ、予め設けられた層にその超臨界流体を接触させることで、表面近傍もしくは内部まで電荷輸送物質を注入する、もしくは予め層中に存在する電荷輸送物質を拡散することが目的の一つである。超臨界流体によって、接触させた層中の樹脂を膨潤させたり、電荷輸送物質を超臨界流体に溶解させるなどすると、樹脂分子鎖間における物質の移動が起こりやすい状態となりより好ましい。
電荷輸送物質を含有した超臨界流体を接触させる層は、電荷輸送物質を含んでいても含んでいなくても良い。
電荷輸送物質を含んでいない層に、超臨界流体によって電荷輸送物質を注入する場合には、超臨界流体が層内部の樹脂まで膨潤させれば、層内部まで電荷輸送物質を注入することができる。この場合、層の深さ方向によって電荷輸送物質の濃度傾斜はほとんど生じず、浸漬法などの従来法で作製した感光体よりも電荷輸送物質が均一に配置することができる。
また電荷輸送物質をあらかじめ含んでいる層に、電荷輸送物質を含有した超臨界流体を接触させる場合、接触させた層の内部まで樹脂が膨潤する条件で接触させた場合は、超臨界流体によって、層中の電荷輸送物質を拡散し、電荷輸送物質の濃度傾斜を低減することができる。また、接触させた層の表面近傍の樹脂が膨潤する条件で接触させた場合は、表面部分の電荷輸送物質濃度が低い部分に、電荷輸送物質を注入することで、濃度傾斜を低減することができる。
このように目的によって、内部まで電荷輸送物質を注入したい場合や、予め層中に存在する電荷輸送物質を拡散して均一化したい場合は、より内部まで超臨界流体を浸透させる必要があり、一方、表面近傍のみに電荷輸送物質を注入したい場合は、表面近傍の樹脂のみ膨潤していればよい。バインダー樹脂の膨潤の程度は、超臨界流体の種類や圧力や温度や接触時間などにより所望の程度にすることができる。またバインダー樹脂の膨潤は樹脂のガラス転移温度以上の温度に設定することでも可能となるが、樹脂のガラス転移温度は圧力によっても変化し、温度が構成物質に与える影響や、用いる樹脂の物性を考慮して温度・圧力条件を設定すればよい。このように所望の効果を得るために任意に条件を設定可能であることが、本発明の実用性に非常に優れている点である。
注入する電荷輸送物質量は、超臨界流体に含有された電荷輸送物質濃度、すなわち超臨界流体の種類、温度、圧力、電荷輸送物質の仕込み量や、超臨界流体と対象とする層との接触時間などによって制御できる。また、電荷輸送物質は、超臨界流体に溶解しているほうが、注入の効果は得られやすいと考えられる。
超臨界流体に含有させる物質は電荷輸送物質以外にも、添加剤などその他の感光体構成材料を含有させても良い。超臨界流体の特性として、抽出作用があるため、層に超臨界流体を接触させた際に、感光体構成材料が抽出される可能性が考えられる。そのため、抽出されると問題のある物質は、あらかじめ超臨界流体に含有させておくことが好ましい。
前記超臨界流体及び前記亜臨界流体は、1種単独で単体として使用してもよいし、2種以上を併用して混合物として使用してもよい。前記超臨界流体及び前記亜臨界流体に加え、他の流体を併用する場合には、具体的には一酸化窒素、窒素、水、アンモニア、エタン、プロパン、エチレンなど、前記の超臨界流体もしくは亜臨界流体を併用することができる。これにより、超臨界流体に対する物質の溶解度を高くすることができ、注入効率を向上させることができる場合もある。
超臨界流体を使用する装置は、導電性支持体上に感光層もしくは電荷輸送層となる層が形成された感光体が、超臨界流体及び/又は亜臨界流体と接触できる構成であれば、いかなる装置をも使用することができる。超臨界流体及び/又は亜臨界流体を閉鎖系で使用するバッチ方式、超臨界流体及び/又は亜臨界流体を循環させて使用する流通方式、バッチ方式と流通方式とを組み合わせた複合方式などの方式があり、いずれも使用可能である。
《感光体について》
本発明の感光体について、図面に沿って説明する。
図1は、導電性支持体上に、電荷発生物質と電荷輸送物質とバインダー樹脂を主成分とする感光層が形成された感光体であり、電荷輸送物質を含有した超臨界流体に接触させたものである。
図2は、導電性支持体上に、電荷発生物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷発生層、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層を順次積層した感光体であり、電荷輸送層は塗布し乾燥した後、電荷輸送物質を含有した超臨界流体に接触させたものである。
図3は、図1の感光体において、導電性支持体上に保護層を形成した場合であり、感光層及び/又は保護層は電荷輸送物質を含有した超臨界流体に接触させたものである。
図4は、図2の感光体において、導電性支持体上に保護層を形成した場合であり、電荷輸送層及び/又は保護層は電荷輸送物質を含有した超臨界流体に接触させたものである。
《導電性支持体》
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状又は円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの;アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この他に、上記の導電性支持体上に導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて導電性層を塗工したものも、導電性支持体として用いることができる。導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられる。導電性層は、導電性粉体とバインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に分散させて塗布することにより設けることができる。
さらに、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフルオロエチレン系フッ素樹脂等の素材に導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて、円筒基体上に導電性層を設けたものも、導電性支持体として用いることができる。
《感光層》
次に、感光層について説明する。まず、積層構成の感光層について説明する。積層構成の感光層は、電荷発生層と電荷輸送層に大別される。
《電荷発生層》
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、例えば、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料;チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料等が挙げられる。電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
必要に応じて、電荷発生層に用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
バインダー樹脂の添加量は、電荷発生物質100重量部に対して、通常、0〜500重量部であり、10〜300重量部が好ましい。
電荷発生層は、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂と共に、ボールミル、アトライター、ビーズミル、サンドミル、超音波等の公知の分散方法を用いて溶剤中に分散した塗工液を、導電性支持体上又は下引き層上に塗布、乾燥することにより形成される。なお、バインダー樹脂の添加は、電荷発生物質の分散前及び分散後のどちらでも構わない。
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等の一般に用いられる有機溶剤が挙げられるが、中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒を使用することが好ましい。これらは、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層の塗工液は、電荷発生物質、溶媒及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等の添加剤が含まれていてもよい。
上記塗工液を用いて電荷発生層を塗工する方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、通常、0.01〜5μmであり、0.1〜2μmが好ましい。塗工後には、オーブン等で加熱乾燥される。電荷発生層の乾燥温度は、50〜160℃であることが好ましく、80〜140℃がさらに好ましい。
《電荷輸送層》
電荷輸送層は、少なくともバインダー樹脂と場合によっては電荷輸送物質を溶剤に溶解または分散した塗工液を、塗布し、乾燥することで得られる。場合によってはその後に、少なくとも電荷輸送物質を含有した超臨界流体に接触させることで形成される。この場合、乾燥工程は省略しても良い。また電荷輸送物質以外にも、添加剤などの電荷輸送層構成材料を含有させておくと、より効果的である。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)及びその誘導体、ポリ(γ−カルバゾリルエチルグルタメート)及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、アミノビフェニル誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独又は2種以上混合して用いられる。電荷輸送物質の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して、通常、20〜300重量部であり、40〜150重量部が好ましい。
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、中でも、ポリカーボネート及びポリアリレートが好ましい。ポリカーボネートやポリアリレートは、透明性が高い上に、残留電位上昇や帯電低下に及ぼす影響が少なく、本発明においては、有効に用いられる。
用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、キシレン、アセトン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン等が用いられる。これらは、単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
電荷輸送層の塗工液には、必要に応じて単独又は2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の添加剤を添加してもよい。
上記塗工液を用いて電荷輸送層を塗工する方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。電荷輸送層の膜厚は、解像度や応答性の点から、15〜50μmであることが好ましく、20〜35μmがさらに好ましい。電荷輸送層を塗工した後は、オーブン等で加熱乾燥される。電荷輸送層の乾燥温度は、電荷輸送層の塗工液に含有される溶剤の種類によって異なるが、80〜150℃であることが好ましく、100〜140℃がさらに好ましい。
《単層感光層》
次に、感光層が単層構成の場合について述べる。
上述した電荷発生物質、電荷輸送物質をバインダー樹脂中に分散及び/又は溶解させ、電荷発生機能及び電荷輸送機能を一つの層で実現した感光体である。感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質およびバインダー樹脂をテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどの従来公知の方法を用いて塗工して形成できる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質の双方が含有されることが好ましい。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。単層の感光層に用いられる電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂、有機溶剤及び各種添加剤等に関しては、前述の電荷発生層及び電荷輸送層に含有されるいずれの材料をも使用することが可能である。バインダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。また、感光層の膜厚は5〜40μmが適当であり、10〜30μmがより好ましい。
《下引き層》
本発明の感光体においては、導電性支持体と感光層もしくは電荷発生層との間に下引き層を設けることができ、有効である。下引き層はバインダー樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、イソシアネート、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐溶剤性の観点から熱硬化樹脂が最も適している。
また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物のフィラーを加えることも可能であり、有効である。これらの中でも残留電位の低減、モアレ防止、地汚れの低減に有効な酸化チタンが好適に用いられる。また、これらのフィラーは、表面処理を行なうこともでき、例えばシランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を用いて表面処理したものを使用することもできる。
これらの下引き層の塗工液は、バインダー樹脂や溶媒を主成分とするが、必要に応じて金属酸化物等のフィラーや分散剤、触媒等を添加しても良い。
上記塗工液を用いて下引き層を塗工する方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。下引き層の膜厚は、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜7μmがより好ましい。下引き層を塗工した後は、オーブン等で加熱乾燥される。下引き層の乾燥温度は、下引き層の塗工液に含有される溶剤や熱硬化樹脂の種類によって異なるが、80〜160℃が好ましく、100〜140℃がより好ましい。
この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものなど、公知の下引き層はいずれも良好に使用できる。
《中間層》
さらに、本発明の感光体においては、導電性支持体と下引き層の間もしくは下引き層と電荷発生層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、中間層の上に積層される塗工液に含有される溶媒に不要な樹脂が好ましく、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等のアルコール可溶性樹脂や熱硬化樹脂等が挙げられる。中間層の形成法としては、前述の下引き層や感光層で記載した一般に用いられる塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは、0.05〜2μmが適当である。
《保護層》
さらに、本発明においては、感光体の最表面に保護層を設けることも可能である。保護層は、感光体の耐摩耗性を高めたり、異物付着を防止したりすることを主目的として形成されるものであり、これにより感光体の高寿命化並びに高安定化が実現できる。感光体の最表面に形成される保護層は、バインダー樹脂に高分子電荷輸送物質を用いたり、微粒子を分散させたりする方法が知られており、有用である。またこれらの保護層のうち電荷輸送機能を有しているものは、電荷輸送層としてもよい。
前述の高分子電荷輸送物質とは、バインダー樹脂の機能と電荷輸送物質としての機能を併せ持つ材料であり、耐摩耗性の向上に有効である。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料を使用することができるが、とりわけ以下に示される、トリフェニルアミン構造を含むポリカーボネートが良好に用いられる。これらの高分子電荷輸送物質の一例を示す。
Figure 0004887135
式中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2価基を表わす。なお、(I)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004887135
101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)または、
Figure 0004887135
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表わす)を表わす。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。)
Figure 0004887135
式中、R,Rは置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(II)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004887135
式中、R,R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(III)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004887135

式中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(IV)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004887135
式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一又は異なるアリレン基、X,Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(VI)式の場合と同じである。なお、(V)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004887135
式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y,Y,Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびnは、(VI)式の場合と同じである。なお、(VI)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004887135
式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表わし,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004887135
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VIII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004887135
式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(IX)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004887135
式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(X)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
これらの保護層は、耐磨耗性の向上が目的であるので、層中における電荷輸送機能を有する部位の割合には制限がある。よって、低分子電荷輸送物質も混合することで、耐摩耗性と、電荷輸送性の両方を両立することができる。しかし、膜塗工時に予め低分子電荷輸送物質を混入すると、前述した感光層、もしくは電荷輸送層と同様に、電荷輸送物質の濃度傾斜が生じ、思ったほどの電荷輸送性の向上は望めない。そこで本発明の様に、膜形成後に、電荷輸送物質を含有した超臨界流体を接触させることで、電荷輸送物質を注入すれば、電荷輸送物質は均一に注入され、電荷輸送性を向上させることができる。
次に、微粒子分散型保護層について説明する。微粒子を分散させることによって、膜強度を高めたり、表面の潤滑性を高めたりすることにより、感光体の高寿命化を実現することが可能となる。保護層に含有される微粒子としては、有機性フィラー及び無機性フィラーがある。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂微粒子、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。これらの微粒子は単独で用いても、あるいは異なるものを混合して用いても良い。微粒子の平均一次粒径としては、0.01〜0.9μmが光透過性や耐摩耗性の点から好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。微粒子の添加量としては、耐摩耗性や保護層表面の平滑性の点から、保護層に含まれる全固形分に対して、0.1重量%〜50重量%が好ましく、5重量%〜35重量%がより好ましい。
バインダー樹脂としては、電荷輸送層に用いられるいずれのバインダー樹脂をも使用可能であるが、ポリカーボネートやポリアリレートが静電特性や耐摩耗性の点からより好ましい。また、前述の高分子電荷輸送物質をバインダー樹脂として用いることも可能であり、耐摩耗性と静電特性を両立する上で良好である。
また保護層を形成する際に用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられ、混合して用いることも可能である。また、保護層には可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加してもよい。保護層の塗工方法としては、浸漬塗工法、スプレー塗工法、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができるが、とりわけスプレー塗工法が最も適している。保護層の膜厚は、1〜10μmが適当であり、2〜6μmがより好ましい。
これらの保護層には電荷輸送物質を含有させることが好ましい。電荷輸送物質は、前述の電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質をいずれも使用することが可能である。この電荷輸送物質は膜形成時に予め含有させていてもよいし、後から、電荷輸送物質を含有した超臨界流体に接触させることで注入しても良い。また予め電荷輸送物質を含有した保護層に、電荷輸送物質を含有した超臨界流体を接触させても良い。電荷輸送物質を含有した超臨界流体を接触させた場合、電荷輸送層の場合と同様に、電荷輸送物質の均一分散され、電荷輸送機能が向上することで、電気特性の向上を実現できる。
《添加剤》
本発明においては、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、中間層等の少なくとも1層に、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質及びレベリング剤を添加することができる。また本発明において、超臨界流体にこれらの物質を含有させても良い。超臨界流体を接触させる層に予め含有されている物質を、超臨界流体に含有させておくと、超臨界流体の接触によりそれらの物質が脱離するのを防ぐことができる。
以下に、これらの添加剤の一例を示すが、本発明はこれらの限定されるものではない。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類等。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−s−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート等。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等。
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリフェニル等。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチル等。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジ(2−エトキシエチル)、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル等。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリン等。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル等。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ(2−エチルブチラート)等。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステル等。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミド等。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ(2−エチルヘキシル)、アセチルクエン酸n−オクチルデシル等。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル等。
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン等。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル等。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等。
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウ等。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物等。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等。
(d)シアノアクリレート系
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチル、2−カルボメトキシ−3−p−メトキシアクリル酸メチル等。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’−チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート等。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
《画像形成装置》
次に図面を用いて、本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
図5は、本発明の電子写真プロセス及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。図5において、感光体(21)は、図1乃至図4に記載された感光体であり、電荷輸送層もしくは感光層もしくは保護層に、電荷輸送物質を含有した超臨界流体を接触させている。
感光体(21)は、ドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電チャージャー(23)、転写前チャージャー(26)、転写チャージャー(29)、分離チャージャー(30)、クリーニング前チャージャー(32)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)のほか、ローラー状の帯電部材あるいはブラシ状の帯電部材等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
帯電部材は、コロナ帯電等の非接触帯電方式やローラーあるいはブラシを用いた帯電部材による接触帯電方式が一般的であり、本発明においてはいずれも有効に使用することが可能である。特に、帯電ローラーは、コロトロンやスコロトロン等に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、感光体の繰り返し使用時における安定性や画質劣化防止に有効である。しかし、感光体と帯電ローラーとが接触していることにより、繰り返し使用によって帯電ローラーが汚染され、それが感光体に影響を及ぼし異常画像の発生や耐摩耗性の低下等を助長する原因となっていた。特に、本発明による耐摩耗性の高い感光体を用いる場合、表面の摩耗によるリフェイスがしにくいことから、帯電ローラーの汚染を軽減させる必要があった。
そこで、図6のごとく帯電チャージャー(23)を感光体(21)に対してギャップを介して、近接配置させることによって、汚染物質が帯電チャージャー(23)に付着しにくく、あるいは除去しやすくなり、それらの影響を軽減することが可能であり、本発明においても有効に用いることが可能である。この場合、感光体(21)と帯電チャージャー(23)とのギャップは小さい方が好ましく、100μm以下、より好ましくは50μm以下である。しかし、帯電チャージャー(23)を非接触とすることによって、放電が不均一になり、感光体(21)の帯電が不安定になる場合がある。本発明においては、直流成分に交流成分を重畳させることによって帯電の安定性を維持し、これによりオゾンの影響、帯電チャージャー(23)の汚染の影響及び帯電性の影響を同時に軽減することが可能となり、耐摩耗性の高い感光体(21)と組み合わせて使用することにより、さらなる高耐久化及び高画質化が実現される。
画像露光部(24)、除電ランプ(22)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。これらの中でも半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が主に用いられる。所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
光源等は、図5に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。但し、除電工程における感光体への露光は、感光体に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。従って、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印可することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
転写手段には、一般に前述の帯電器を使用することができるが、図5に示されるように転写チャージャー(29)と分離チャージャー(30)を併用したものが効果的である。また、このような転写手段を用いて、感光体からトナー像を紙に直接転写されるが、本発明においては感光体上のトナー像を一度中間転写体に転写し、その後中間転写体から紙に転写する中間転写方式であることが感光体の高耐久化あるいは高画質化においてより好ましい。
また、中間転写方式は、フルカラー印刷が可能な画像形成装置に特に有効であり、複数のトナー像を一度中間転写体上に形成した後に紙に一度に転写することによって、色ズレの防止の制御もしやすく高画質化に対しても有効である。中間転写体には、ドラム状やベルト状など種々の材質あるいは形状のものがあるが、本発明においては従来公知である中間転写体のいずれも使用することが可能であり、有効かつ有用である。
現像ユニット(25)により感光体(21)上に現像されたトナーは、転写紙(28)に転写されるが、すべてが転写されるわけではなく、感光体(21)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(33)あるいはブレード(34)により、感光体より除去される。このクリーニング工程は、クリーニングブラシだけで行なわれたり、ブレードと併用して行なわれたりすることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
クリーニングは、前述のとおり転写後に感光体上に残ったトナー等を除く工程であるが、上記のブレードあるいはブラシ等によって感光体が繰り返し擦られることにより、感光体の摩耗が促進されたり、傷が入ったりすることによって異常画像が発生することがある。また、クリーニング不良によって感光体の表面が汚染されたりすると異常画像の発生の原因となるだけでなく、感光体の寿命を大幅に低減させることにつながる。特に、耐摩耗性の向上のために顔料を含有させた層を最表面に形成された感光体の場合には、感光体表面に付着した汚染物質が除去されにくいことから、フィルミングや異常画像の発生を助長することになる。従って、感光体のクリーニング性を高めることは感光体の高耐久化及び高画質化に対し非常に有効である。
感光体のクリーニング性を高める手段としては、感光体表面の摩擦係数を低減させる方法が知られている。感光体表面の摩擦係数を低減させる方法としては、各種の潤滑性物質を感光体表面に含有させる方法と、外部より感光体表面に潤滑性物質を供給させる方法とに分類される。前者はエンジン廻りのレイアウトの自由度が高いため、小径感光体には有利であるが、繰り返し使用によって摩擦係数は顕著に増加するため、その持続性に課題が残されている。一方、後者は潤滑性物質を供給する部品を備える必要があるが、摩擦係数の安定性は高いことから感光体の高耐久化に対しては有効である。その中で、潤滑性物質を現像剤に含有させることによって現像時に感光体に付着させる方法は、エンジン廻りのレイアウトにも制約を受けずに、感光体表面の摩擦係数低減効果の持続性も高いため、感光体の高耐久化及び高画質化に対しては有効な手段である。
これらの潤滑性物質としては、シリコーンオイル、フッ素オイル等の潤滑性液体、PTFE、PFA、PVDF等の各種フッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコングリース、フッ素グリース、パラフィンワックス、脂肪酸エステル類、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩、黒鉛、二硫化モリブデン等の潤滑性液体や固体、粉末等が挙げられるが、特に現像剤に混合させる場合には粉末状である必要があり、特にステアリン酸亜鉛は悪影響が少なく、極めて有効に使用することができる。ステアリン酸亜鉛粉末をトナーに含有させる場合には、それらのバランスやトナーに与える影響を考慮する必要があり、トナーに対して0.01〜0.5重量%が好ましく、0.1〜0.3重量%がより好ましい。
また、本発明の感光体は、複数色のトナーに対応した各々の現像部に対して、対応した複数の感光体を具備し、それによって並列処理を行なう、いわゆるタンデム方式の画像形成装置に対しても有効に使用される。上記タンデム方式の画像形成装置は、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(C)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の少なくとも4色のトナー及びそれらを保持する現像部を配置し、さらにそれらに対応した少なくとも4本の感光体を具備することによって、従来のフルカラー印刷が可能な画像形成装置に比べ極めて高速なフルカラー印刷を可能としている。
図7は、本発明のタンデム方式のフルカラー電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。図7において、符号(1C,1M,1Y,1K)はドラム状の感光体であり、感光体は本発明の感光体である。この感光体(1C,1M,1Y,1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(2C,2M,2Y,2K)、現像部材(4C,4M,4Y,4K)、クリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)が配置されている。帯電部材(2C,2M,2Y,2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。
この帯電部材(2C,2M,2Y,2K)と現像部材(4C,4M,4Y,4K)の間の感光体表面側より、図示しない露光部材からのレーザー光(3C,3M,3Y,3K)が照射され、感光体(1C,1M,1Y,1K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(1C,1M,1Y,1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C,6M,6Y,6K)の現像部材(4C,4M,4Y,4K)とクリーニング部材(5C,5M,5Y,5K)の間で感光体(1C,1M,1Y,1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)が配置されている。各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図7に示す構成のカラー画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)において、感光体(1C,1M,1Y,1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C,2M,2Y,2K)により帯電され、次に感光体の外側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(3C,3M,3Y,3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
次に現像部材(4C,4M,4Y,4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C,4M,4Y,4K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体(1C,1M,1Y,1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C,1M,1Y,1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。
感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C,1M,1Y,1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C,1M,1Y,1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C,5M,5Y,5K)で回収される。
なお、図7の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C,6M,6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図7において帯電部材は感光体と当接しているが、図6に示したような帯電機構にすることにより、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
上記のタンデム方式による画像形成装置は、複数のトナー像を一度に転写できるため高速フルカラー印刷が実現される。しかし、感光体が少なくとも4本を必要とすることから、装置の大型化が避けられず、また使用されるトナー量によっては、各々の感光体の摩耗量に差が生じ、それによって色の再現性が低下したり、異常画像が発生したりするなど多くの課題を有していた。それに対し、本発明による感光体は、保護層を形成することによって高い耐摩耗性を有することから小径感光体でも適用可能であり、かつ残留電位上昇や感度劣化等の影響が低減されたことから、4本の感光体の使用量が異なっていても、残留電位や感度の繰り返し使用経時における差が小さく、長期繰り返し使用しても色再現性に優れたフルカラー画像を得ることが可能となる。
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態でも可能である。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図8に示すものが挙げられる。感光体(101)は、図1乃至4に示される感光体であり、本発明の再生方法によって再生された感光体である。
以下、本発明について、実施例を挙げて説明するが、本発明は、これら実施例により制約を受けるものではない。なお、部は、全て重量部である。
(実施例1)
φ30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液を用いて塗布後、130℃20分間乾燥を行ない、約3.5μmの下引き層を形成した。続いて下記組成の電荷発生層用塗工液を用いて塗布後、130℃20分間乾燥を行ない、約0.2μmの電荷発生層を形成した。さらに、下記組成の電荷輸送層用塗工液を用いて塗布後、130℃20分間乾燥を行ない、約27μmの電荷輸送層を形成して感光体を作製した。塗布はいずれも浸漬塗工法を用いた。
(下引き層用塗工液)
酸化チタンCR−EL(石原産業社製) 50部
アルキッド樹脂ベッコライトM6401−50
(固形分50重量%、大日本インキ化学工業社製) 15部
メラミン樹脂L−145−60 8部
(固形分60重量%、大日本インキ化学工業社製)
2−ブタノン: 120部
(電荷発生層用塗工液)
下記構造式の非対称ビスアゾ顔料 2.5部
Figure 0004887135
ポリビニルブチラール(「XYHL」UCC製) 0.5部
メチルエチルケトン 110部
シクロヘキサノン 260部
(電荷輸送層用塗工液)
ポリカーボネートZポリカ(帝人化成社製) 10部
下記構造式で示される電荷輸送物 7部
Figure 0004887135
テトラヒドロフラン 80部
下記構造式で示される硫黄系酸化防止剤 0.5部
Figure 0004887135
シリコーンオイル(100cs、信越化学工業社製) 0.002部
電荷輸送層形成後に、構造式(2)で表わされる電荷輸送物質を含有した超臨界流体を接触させた。本実施例では超臨界流体として二酸化炭素を用いた。まず、内容積が700mLの耐圧セルに構造式(2)で示される電荷輸送物質を5.0g計り入れ、前記導電性支持体上に積層したサンプルも同じく耐圧セルに入れた後、耐圧セルを封止した。
次いで二酸化炭素を供給ボンベより前記耐圧セルに供給し、加圧ポンプと温度調節機で30MPa、80℃に調節し、温度および圧力が安定した後に1時間静置した。静置後、温度は80℃に保ったまま圧力を10MPaまで低下させ、この圧力を維持したまま加圧ポンプと排圧弁を使用して、流量8L/minで30分間二酸化炭素を流すことによって、電子写真感光体に注入されなかった電荷輸送物質を耐圧セルから除去した。除去後、温度・圧力を徐々に大気圧雰囲気まで低下させることによって、感光体を得た。
(実施例2)
実施例1において、電荷輸送層形成後に超臨界流体を接触させる際に、前記耐圧セル中に構造式(2)で示される電荷輸送物質5.0gに加え、構造式(3)で示される硫黄系酸化防止剤0.02gを入れた以外は、実施例1と同様にして行なった。
(実施例3)
実施例2において、電荷輸送層形成後に電荷輸送物質を含有した超臨界流体を接触させた後、電荷輸送層の上に下記組成の保護層用塗工液を用いて、約3μmの保護層を形成して140℃20分間乾燥を行なった。保護層の塗布はスプレー塗工法を用いた。それ以外は実施例2と同様にして行なった。
(保護層用塗工液)
フッ素樹脂微粒子(ルブロンL−2、ダイキン工業(株)製) 1部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 0004887135
ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製) 10部
テトラヒドロフラン 220部
シクロヘキサノン 80部
(実施例4)
実施例3において、保護層形成後に、構造式(4)で表わされる電荷輸送物質を含有した超臨界流体を接触させた。本実施例では超臨界流体として二酸化炭素を用いた。まず、内容積が700mLの耐圧セルに構造式(4)で示される電荷輸送物質を5.0g計り入れ、前記導電性支持体上に積層したサンプルも同じく耐圧セルに入れた後、耐圧セルを封止した。
次いで二酸化炭素を供給ボンベより前記耐圧セルに供給し、加圧ポンプと温度調節機で30MPa、80℃に調節し、温度および圧力が安定した後に1時間静置した。静置後、温度は80℃に保ったまま圧力を10MPaまで低下させ、この圧力を維持したまま加圧ポンプと排圧弁を使用して、流量8L/minで30分間二酸化炭素を流すことによって、電子写真感光体に注入されなかった電荷輸送物質を耐圧セルから除去した。除去後、温度・圧力を徐々に大気圧雰囲気まで低下させた。それ以外は実施例3と同様にして行なった。
(実施例5)
実施例4において、電荷輸送層を形成後に、電荷輸送物質を含有した超臨界流体を接触させなかったこと以外は、実施例4と同様にして行なった。
(比較例1)
実施例1において、電荷輸送層を形成後に、電荷輸送物質を含有した超臨界流体を接触させなかったこと以外は、実施例1と同様にして行なった。
(比較例2)
実施例3において、電荷輸送層を形成後に、電荷輸送物質を含有した超臨界流体を接触させなかったこと以外は、実施例3と同様にして行なった。
(評価方法及び評価結果)
電荷輸送層及び/又は保護層の、基板側と表面側の電荷輸送物質の濃度比の評価を行なった。
評価は、実施例及び比較例において、導電性支持体上に電荷輸送層又は保護層のみを形成し、それ以外は実施例及び比較例と同様にして作製したサンプルを用いた。そのサンプルを剥がして表面(表面側)及び裏面(基板側)についてFT−IR(Thermo Nicolet社製 NEXUS470)、ATR法を用いて分析を行なった。電荷輸送物質及びバインダー樹脂のそれぞれのIRスペクトルから、電荷輸送物質の単独ピーク(1600cm−1付近)と、バインダー樹脂の単独ピーク(1773cm−1付近)を決め、それらのピーク強度比から電荷輸送物質の濃度を算出した。まず、電荷輸送層の電荷発生層側の界面における電荷輸送物質のバインダー樹脂に対するピーク強度比と、電荷輸送層の保護層側界面における電荷輸送物質のバインダー樹脂に対するピーク強度比を求め、それらの比を求めることによって電荷輸送層の電荷発生層側に対する表面側の電荷輸送物質の濃度比を算出した。なお、測定深さは、用いた結晶によって決まり、結果に記載の値は、Si結晶(Thermo Nicolet社製)を用いた場合で表面から約1μmの範囲である。これらの結果を表1に示す。
また上記の様に作製した電子写真感光体を、電子写真プロセス用カートリッジ(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、帯電ローラー及び画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたデジタル複写機改造機(imagio Neo C450リコー社製)で、初期の暗部電位(VD)が800(−V)になるように帯電ローラーの印加電圧を調整し、初期における露光部電位(VL)の測定を行なった。その後、トータル5万枚の印刷を行ない、印刷後における暗部電位(VD)と露光部電位(VL)の測定を行なった。初期、印刷後の評価はともに常温常湿環境(25℃55%RH)で実施した。その結果を表2に示す。
Figure 0004887135
Figure 0004887135
表1の結果から、電荷輸送層もしくは保護層に電荷輸送物質を含有させた超臨界流体を接触させた場合、どちらの場合も、電荷輸送物質の表面側から基板側への濃度傾斜が低減されていることが分かった。また表2の結果からも超臨界流体で処理を行なった方が残留電位(露光部電位)が低減されていた。電荷輸送物質を含む超臨界流体で処理を行なうことにより、処理を行なった層中の電荷輸送物質が均一に配置され、電荷輸送性が向上することで、残留電位が低減されたと考えられる。また超臨界流体に電荷輸送物質以外の構成材料である硫黄系酸化防止剤を混合した場合の方が、暗部電位(VD)の低減が抑制されていた。電荷輸送物質のみを超臨界流体に含有させた場合には、処理の際に、電荷輸送物質以外の構成材料が、超臨界流体によって抽出される可能性が考えられる。超臨界流体に電荷輸送物質に加え、硫黄系酸化防止剤を含有させたことで、超臨界を接触させた際に、接触させた層の硫黄系酸化防止剤の脱離が回避されたためであると考えられる。よって電荷輸送物質以外の構成材料(添加剤など)も適宜超臨界流体に含有させておくことが好ましいと考えられる。
以上の結果から、電荷輸送物質を含有した超臨界流体で、電荷輸送層及び/又は保護層を電荷輸送物質を含有した超臨界流体に接触させることによって、残留電位上昇を大幅に抑制することができた。
本発明の感光体の一例を示す図である。 本発明の感光体の他の例を示す図である。 本発明の感光体の他の例を示す図である。 本発明の感光体の他の例を示す図である。 本発明の画像形成装置の一例を示す図である。 感光体と帯電ローラの配置の一例を示す図である。 本発明の画像形成装置の他の例を示す図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を示す図である。
符号の説明
(図5について)
21 感光体
22 除電ランプ
23 帯電チャージャー
24 画像露光部
25 現像ユニット
26 転写前チャージャー
27 レジストローラ
28 転写紙
29 転写チャージャー
30 分離チャージャー
31 分離爪
32 クリーニング前チャージャー
33 ファーブラシ
34 ブレード
(図7について)
1C、1M、1Y、1K 感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像部材
5C、5M、5Y、5K クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
7 転写紙
8 給紙コロ
9 レジストローラ
10 転写搬送ベルト
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
12 定着装置
(図8について)
101 ドラム
102 接触帯電装置
103 像露光
104 現像装置
105 転写体
106 接触転写装置
107 クリーニングユニット

Claims (6)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、該感光層を、少なくとも電荷輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させる工程を含んで形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 前記感光層が、導電性支持体から電荷発生物質を含む電荷発生層と電荷輸送物質を含む電荷輸送層をこの順で積層した積層型電子写真感光体であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記感光層が、電荷発生物質及び電荷輸送物質を含む単層の感光層であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 導電性支持体上に感光層と保護層を積層した電子写真感光体の製造方法において、該感光層及び/又は保護層は、少なくとも電荷輸送物質を含有した超臨界流体及び/又は亜臨界流体を接触させる工程を含んで形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  5. 前記超臨界流体及び/又は亜臨界流体が、二酸化炭素であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
  6. 前記超臨界流体及び/又は亜臨界流体が、二酸化炭素と他流体との混合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
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