JP2004093866A - 電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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齊藤 宏
Hiroyuki Omori
大森 弘之
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Abstract

【課題】いかなる環境下でも繰り返し使用において安定した特性を有し、機械的及び電気的強度に優れ、表面層上の傷の発生や削れも少ない高品質な電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】電子写真感光体と、トナー像形成手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段あるいは該中間転写体を介して転写材に2次転写する転写手段を有し、該トナーが0.920〜0.995の平均円形度を有する球形トナーであり、かつその粒径を10%圧縮させるのに必要な最小荷重の平均値Pave[mN]が0.1≦Pave≦1である電子写真装置に用いられる電子写真感光体において、該電子写真感光体の最表面層貯蔵弾性率E’[Pa]が、3.5×10≦E’≦6.0×10であることを特徴とする電子写真感光体、該感光体を有する電子写真装置及びプロセスカートリッジ。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体を有する電子写真装置及び該電子写真感光体を有し該電子写真装置に着脱自在なプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
中間転写体を用いた電子写真装置は、転写ドラム上に張り付けられた、または吸着された第2の画像担持体に第1の画像担持体から画像を転写する電子写真装置(特開昭63−301960号公報等)よりは以下の点で優れている。
【0003】
即ち、各色のトナー画像の重ね合わせ時の色ズレが少ない点、及び第2の画像担持体に対し、加工や制御(例えばグリッパーに把持する、吸着する及び曲率を持たせる等)を必要としないため、第2の画像担持体を多種多様に選択することができる点である。
【0004】
例えば、薄い紙(40g/m紙)から厚い紙(200g/m紙)まで選択でき、また、幅の広狭や、長さの長短も選ばない。従って、封筒、ハガキ及びラベル紙等の使用も可能である。このように中間転写方式のフルカラー複写機やプリンターは多くの利点を有しており、すでに中間転写体を搭載した複写機やプリンターが普及しつつある。
【0005】
一方、電子写真感光体においては、当該画像形成プロセスにおいて現像剤の受け渡しが行われるニップ部の作用、即ち、現像剤を介した感光体表面層と中間転写体表面層との電気的及び機械的等相互作用が、形成される画像の品質及び電子写真装置本体の性能に多大な影響を与えることを鑑みて、電子写真感光体の特性においても当該電子写真装置の特性レベルに応答し得るものであることが要求される。
【0006】
電子写真感光体においては、近年では無公害性、高生産性、材料設計の容易性及び将来性等の点から有機系材料の開発が盛んに行われている。
【0007】
有機系感光体においては、有機電荷輸送物質をバインダー樹脂に溶解または分散し、これを塗布し、乾燥することにより塗膜を形成して用いるのが通常である。
【0008】
バインダー樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン及びポリ塩化ビニル等のビニル重合体及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスルフォン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂及びシリコーン樹脂などの材料が用いられている。
【0009】
特に、ビスフェノールAを骨格としたポリカーボネートは広く用いられているが、上述した電子写真プロセスにおける摩耗等に対する耐久性が十分ではない。
それらの特性を改良するために種々の構造をしたビスフェノールが示されており、その一つとして特開平4−179961号公報に示されるようにビフェノール構造を共重合したものがある。
【0010】
しかしながら、これらのバインダー樹脂においては、感光体作製時において溶媒への溶解性が十分ではない、または溶解のための溶媒が制限されることがある。また、溶解性を補うためにポリマーの分子量を低めに抑える必要があることなどがあった。そのため、有機電荷輸送物質との親和性が十分に得られないことや、溶解/成膜時のポリマー鎖の絡み合いが十分に発現されないことから、感光体の塗膜としての機械的強度が十分に得られないことがあった。
【0011】
一方、このような技術の流れの中でトナーの特性としても、現像、転写及び定着といったプロセスのもとで、潜像に対しトナーの飛び散りが少なく、トナー自身が高い帯電能を維持しつつ、更に現像後のトナーが100%に近い形で転写材上へ転写されるようなものが望まれてくる。
【0012】
従来より、画質を向上させる目的で種々の現像剤が提案されている。例えば、特開昭51−3244号公報では、粒度分布を規制して画質向上を意図した非磁性トナーが提案されている。該トナーにおいて、8〜12μmの粒径を有するトナーが主体であり、比較的粗く、この粒径では本発明者らの検討によると潜像への緊密なトナー飛翔は困難であり、かつ、5μm以下の粒径のトナー粒子が30個数%以下含有され、20μm以上の粒径のトナー粒子が5個数%以下含有されるという特性から、粒度分布はブロードであるという点も均一性を低下させる傾向がある。このような粗めのトナー粒子であり、かつブロードな粒度分布を有するトナーを用いて鮮明なる画像を形成するためには、上記のような多層構成下で各層のトナー粒子を厚く重ねることでトナー粒子間の間隙を埋め見かけの画像濃度を上げる必要があり、所定の画像濃度を上げるために、必要なトナー消費量が増加するといった問題点も有している。
【0013】
特開昭58−129437号公報では平均粒径が6〜10μmであり、最多粒子が5〜8μmである非磁性トナーが提案されているが、5μm以下の粒径の粒子の含有量が15個数%以下と少なく、鮮鋭さの欠けた画像が形成される傾向がある。
【0014】
従来の検討によれば、5μm以下の粒径のトナー粒子が、潜像の微小ドットを明確に再現し、かつ潜像全体へトナーが緻密に載るための主要な機能であることが確認された。特に、感光体上の静電荷潜像においては電気力線の集中のため、エッジ部は内部より電界強度が高く、この部分に集まるトナー粒子の質によって画質の鮮鋭さが左右される。本発明者らの検討によれば5μm以下の粒子の量がハイライト階調性を高めるのに有効であることが判明した。
【0015】
しかしながら、5μm以下の粒径のトナー粒子は、潜像担持体表面への付着力が特に強く、転写残トナーをクリーニングしにくくなる。更に、連続してプリントアウトを続けることにより、紙粉あるいはオゾン付加物のような低電気抵抗物やトナーが感光体上に固着してしまったりすることがある。
【0016】
以上に加え、近年のパーソナルコンピューター、デジタルカメラ及びイメージスキャナー等の画像入力装置の急速な普及により、フルカラープリンターや複写機の需要も大幅に拡大し、幅広いユーザー及び使用環境に対して十分に対応できることが必要となってきている。そこで、従来にも増して、維持費の低減やメンテナンスの容易性の向上、装置本体の小型化、低コスト化、更には温度や湿度に影響されない安定した画質の達成等が必要である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、いかなる環境下でも繰り返し使用において安定した特性を有し、機械的及び電気的強度に優れ、表面層上の傷や削れも少ない高品質な電子写真感光体、該電子写真感光体を有する電子写真装置及び該電子写真感光体を有し該電子写真装置に着脱自在なプロセスカートリッジを提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明における電子写真方式の電子写真装置、特に中間転写体を有する高速フルカラー電子写真装置においては、従来のモノクロ電子写真装置や低速の電子写真装置に比べて、感光体表面層、中間転写体表面層及びトナーとの間の電気的及び機械的等のストレスがより過酷となるため、各部材の物理的及び化学的消耗が激しく、結果として画像品質を低下させているという事実に鑑み、本発明者らは、感光体表面層、中間転写体表面層及びトナーに関して種々の物理的、化学的分析を行い、各々の物性値やその相関によって画像品質の優劣を示唆するものがあるかどうかの検討を行った。
【0019】
具体的には、感光体最表面層に関し、該最表面層の組成と同一の単体膜を形成し、その動的粘弾性の測定による貯蔵弾性率に特に注目して検討を行い、一方トナーに関しては、微小圧縮試験機を用いたトナー粒径変化と荷重との関係に特に注目して検討を行った結果、感光体及びトナーが上記の各物性値の範囲である場合に限り本発明の課題を解決し得ることを見出した。更には、貯蔵弾性率に加え損失弾性率も測定し、両者の比(tanδ)に特に注目して検討を行った結果、感光体及びトナーが後述の各物性値の範囲において用いられた場合に、本発明の課題をより高いレベルで解決し得ることを見出した。
【0020】
即ち、本発明の電子写真装置における技術課題である画像品質の維持向上に関しては、電子写真感光体の最表面層が耐傷性及び耐削れ性に優れ、しかもトナー融着により汚染されない状態を耐久前後を通して常に保ち続けることが必要となる。ここで、トナーの最小荷重Pave[mN]が0.1未満のものを用いた場合においては、現像工程または転写工程等で加えられるストレスに比べてトナーの表面応力が小さいためトナー本来の形状を保つことができない。このようなトナーの脆性破壊は凝集物やキャリアとの固着物または変形してつぶれたトナー等の不良トナーを発生し、プリント動作中において感光体上や中間転写体上に連れまわることとなる。しかしながら、本来このような不良トナーは感光体上に設置されたクリーニング手段で除去できるものであるが、ここで感光体の貯蔵弾性率E’[Pa]が、3.5×10未満のものを用いた場合においては、感光体最表面層の応力の低下によりクリーニングブレードとの密着性が損なわれ、除去されるべき不良トナーが感光体上に残留、堆積した状態となる。結果として、現像工程、転写工程及びクリーニング工程において不良トナーが感光体表面に押し付けられトナー融着となり、最終的に画像評価において白ポチや画像ムラ等の不良画像を発生させているものと考えられる。
【0021】
一方、トナーの最小荷重Pave[mN]が1より大きいものを用いた場合は、前記ストレスに対してはトナーの表面応力が十分大きいため不良トナーの発生には至らないものの、必要以上に表面硬度が高いトナーがプリント動作中に感光体上や中間転写体上を移動し、各部材間で加えられるストレスにより一種の研磨剤として作用することとなる。本来このようなストレスは感光体表層上の応力緩和により除去できるものであるが、ここで感光体の貯蔵弾性率E’[Pa]が、6.0×10より大きいものを用いた場合においては、感光体表層の応力が大きく各部材間で作用するストレスを緩和することができない。結果として傷の発生や削れ量の増加を誘発し、最終的に画像評価においてスジや濃度薄等の不良画像を発生させているものと考えられる。
【0022】
即ち、本発明は、電子写真感光体と、該電子写真感光体にトナーにより画像を形成するトナー像形成手段と、該電子写真感光体に形成したトナー像を転写材に転写する転写手段あるいは中間転写体に1次転写し該中間転写体を介して転写材に2次転写する転写手段を有し、該トナーが0.920〜0.995の平均円形度を有する球形トナーであり、かつその粒径を10%圧縮させるのに必要な最小荷重の平均値Pave[mN]が0.1≦Pave≦1である電子写真装置に用いられる電子写真感光体において、該電子写真感光体の最表面層を周波数1[Hz]温度25[℃]の条件下で動的粘弾性測定を行った際の貯蔵弾性率E’[Pa]が、3.5×10≦E’≦6.0×10であることを特徴とする電子写真感光体である。
【0023】
また、本発明は、電子写真感光体と、該電子写真感光体にトナーにより画像を形成するトナー像形成手段と、該電子写真感光体に形成したトナー像を転写材に転写する転写手段あるいは中間転写体に1次転写し該中間転写体を介して転写材に2次転写する転写手段を有し、該トナーが0.920〜0.995の平均円形度を有する球形トナーであり、かつその粒径を10%圧縮させるのに必要な最小荷重の平均値Pave[mN]が0.1≦Pave≦1である電子写真装置において、該電子写真感光体の最表面層を周波数1[Hz]温度25[℃]の条件下で動的粘弾性測定を行った際の貯蔵弾性率E’[Pa]が、3.5×10≦E’≦6.0×10であることを特徴とする電子写真装置である。
【0024】
また、本発明は、上記電子写真感光体と、これに加えて帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明においては、上記電子写真感光体の最表面層を周波数1[Hz]温度25[℃]の条件下で動的粘弾性測定を行った際の貯蔵弾性率E’[Pa]が、4.0×10≦E’≦6.0×10であることが好ましい。
【0026】
損失弾性率は、高分子樹脂の粘性的性質を示す値である。本発明者らの検討によると、感光体の損失弾性率E’’[Pa]が一定値以下のものを用いた場合は、感光体表面層の粘性的性質の低下により摺擦に対する耐久性が低下し削れ易くなることで、耐久後半における感光体の表面粗さも増大し、これが紙や転写ドラム等被転写部材の表面性と相まって、ガサツキといった画像欠陥を引き起こすこととなる。一方、損失弾性率E’’[Pa]が一定値以上のものを用いた場合、感光体表面層の粘性的性質が過度に向上し削れにくくなることによって、劣化した表面層が削れ落ちることなく感光体上に残留し、これが紙や転写ドラム等被転写体の表面性と相まってバンディング等の画像欠陥を引き起こしているものと考えられる。近年環境に対する配慮の観点から、転写工程後に感光体表面上に残留した転写残トナーを現像工程等で回収し、再利用する所謂トナーリサイクルプロセスの研究・実用化が進められているが、当該プロセスはクリーニングブレードによる感光体表面層への摺擦が無く、上述の画像欠陥が特に顕著となるため、当該プロセスにおける重要な技術課題の一つとなっている。そこで本発明者らは以上の検討結果を勘案し、本発明の電子写真装置に用いられる感光体に対し、表面層の貯蔵弾性率と損失弾性率との比(tanδ)についても同様に数値範囲を規定することで、本発明における解決課題、即ち、いかなる環境下においても高品位な画像を保持することがより高いレベルでできるということを見出した。
【0027】
即ち、本発明においては、上記電子写真感光体の最表面層を周波数1[Hz]温度25[℃]の条件下で動的粘弾性測定を行った際の損失弾性率E’’[Pa]と貯蔵弾性率E’[Pa]の比tanδ(E’’/E’)が、9.2×10−3≦tanδ≦2.6×10−2であることが好ましく、特には、1.1×10−2≦tanδ≦2.3×10−2であることが好ましい。
【0028】
また、本発明においては、感光体の表面層が上述の粘弾性的特性を示し、更に画像耐久中においてゴースト、カブリ等の画像欠陥を発生させないようにするために、当該感光体表面層に含有される電荷輸送物質とバインダー樹脂との質量比(以下D/B)が、6/10〜12/10であることが好ましい。
【0029】
最初に本発明の電子写真感光体について説明する。
【0030】
本発明の電子写真感光体における支持体としては、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル及びインジウム等の金属をドラム状またはシート状に成形したもの、アルミニウムや銅等の金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム及び酸化スズ等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独またはバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
【0031】
支持体の形状としてはドラム状、シート状及びベルト状等が挙げられるが、適用される電子写真装置に最も適した形状にすることが望ましい。
【0032】
次に、本発明の電子写真感光体の感光層について説明する。感光層の構成は電荷発生物質と電荷輸送物質の双方を同一の層に含有する単層型と、電荷発生層と電荷輸送層を有する積層型に大別される。
【0033】
感光層が積層型の場合、電荷発生物質としては、セレン、セレン−テルル及びアモルファスシリコン等の無機系電荷発生物質;ピリリウム系染料、チアピリリウム系染料、アズレニウム系染料、チアシアニン系染料及びキノシアニン系染料等のカチオン染料;スクエアリウム塩系顔料;フタロシアニン系顔料;アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン系顔料及びピラントロン系顔料等の多環キノン顔料;インジゴ系顔料;キナクリドン系顔料;及びアゾ系顔料等が挙げられる。電荷発生層は、これらの電荷発生物質を真空蒸着装置によって蒸着層として形成したり、あるいはバインダー樹脂に分散または溶解した塗布液を塗布し、乾燥することによって塗布層として形成することができる。
【0034】
バインダー樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択でき、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマーから選択できる。望ましくは、ポリビニルブチラール、ポリアリレート(ビスフェノールAとフタル酸の縮重合体等)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミド、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリビニルアルコール等の樹脂が挙げられる。
【0035】
電荷発生層中に含有するバインダー樹脂は、電荷発生層全質量に対して80質量%以下であることが望ましく、特には50質量%以下であることが望ましい。
【0036】
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが望ましく、特には0.01〜1μmであることが望ましい。
【0037】
電荷輸送層は主として電荷輸送物質とバインダー樹脂として下記一般式(1)で示されるポリアリレート樹脂を、これらを溶解させる適当な溶媒に溶解させた塗布液を塗布し、乾燥することによって形成する。
【0038】
【化3】
(式中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアリール基を示す。ただし、RとRの両方が水素原子となることはなく、かつRとRの両方が水素原子となることはない。)
【0039】
ここで、アルキル基として好ましくはメチル基、エチル基及びプロピル基が挙げられし、アリール基として好ましくはフェニル基及びナフチル基等が挙げられる。
【0040】
一般式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート樹脂は、一般式(2)に示すように他の構造のビスフェノールと共重合させることにより、より強い強度や他の特性を付与させることも可能であり、また他の特性を向上させる等の機能を持たせることも可能である。
【0041】
【化4】
(式中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアリール基を示す。ただし、RとRの両方が水素原子となることはなく、かつRとRの両方が水素原子となることはない。R〜R12は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アリール基、炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子を示す。また、Xは単結合または−CR1314−を示す。R13及びR14は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基またはR13及びR14が結合することによって形成されるアルキリデン基を示す。n及びmは共重合比を示す。)
特に、一般式(3)に示すようにテトラメチル置換したビフェノールを、ビスフェノールC型とを共重合した系は、耐摩耗強度を高度に発現できる。
【0042】
【化5】
(式中、s及びtは共重合比を示す。)
【0043】
更に、有機系感光体の特徴の一つである生産性の高い浸漬塗布法による製造があるが、その際のバインダー樹脂の溶解性や溶液の保存性等の使用する系の適合性によっては、一般式(2)に示すような共重合や、他の構造のポリアリレート樹脂やポリカーボネート樹脂とのブレンドも可能であり、生産性向上等の特徴を持たせることもできる。
【0044】
一般式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート樹脂は、分子量としてMw=20000〜200000が好ましく、強度及び生産性等の面から、50000〜150000が特に好ましい。
【0045】
一般式(3)の共重合体の分子量は、Mw=20000〜200000が好ましく、特には50000〜150000が好ましい。
【0046】
本発明の用いるポリアリレート化合物は、常法により合成されるが、一例として一般式(3)の共重合体の合成例を以下に示す。
【0047】
10%水酸化ナトリウム水溶液に、一般式(3)において共重合比(s/t)=(5/5)のビスフェノールモノマーを加えて溶解した。更に、重合触媒としてトリメチルベンジルアンモニウムクロライドを添加し攪拌した。別に、テレフタル酸クロライド/イソフタル酸クロライドの等量混合物をジクロロメタンに溶解させた。このジクロロメタン溶液を、先に調製した水酸化ナトリウム水溶液に攪拌しながら添加し、重合を開始した。
【0048】
重合は反応温度を25℃以下に保ちながら、3時間攪拌を行った。その後、酢酸の添加により反応を終了させ、水相が中性になるまで水で洗浄を繰り返した。
洗浄後、攪拌下のメタノールに滴下しポリマーを沈殿させた。更に、ポリマーを真空乾燥させて目的とする化合物を得た。
【0049】
本発明に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、トリアリールメタン化合物及びチアゾール化合物などの低分子化合物が挙げられる。電荷輸送層のバインダー樹脂としては本発明に用いられるポリアリレート樹脂の他に、ポリカーボネート樹脂をブレンドしたり、その他の樹脂、例えば、シリコン変性ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂及びスチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂などを更に混合してもよい。電荷輸送物質は質量基準で0.5〜2倍量のバインダー樹脂と組み合わされ塗布し、乾燥して電荷輸送層を形成する。電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には15〜40μmであることが好ましい。
【0050】
本発明の電子写真感光体の最表面層に用いることができるシリコーン系粉末潤滑材としては感光体の表面のすべり性を向上させ、電子写真特性を悪化させないものであればどのようなものを使ってもさしつかえないが、特には東亞合成化学工業(株)製の商品名「アロンGS−101CP」が好ましい。
【0051】
更に、電荷輸送層中には酸化防止剤、紫外線吸収剤及び可塑剤などの添加剤を必要に応じ添加することもできる。
【0052】
感光層が単層型の場合、感光層は、上述の電荷発生物質及び電荷輸送物質を上述のバインダー樹脂中に分散及び溶解した溶液を支持体上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。
【0053】
本発明においては、支持体と感光層の間にバリアー機能と接着機能をもつ下引層を設けることもできる。
【0054】
下引層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、アルコール可溶アミド、ポリアミド、ポリウレタン、カゼイン、ニカワ及びゼラチン等が挙げられる。下引層は、これらの材料を適当な溶剤に溶解した溶液を支持体上に塗布し、乾燥することによって形成する。その膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.2〜3μmであることが好ましい。
【0055】
露光がレーザー光の場合は、干渉縞の防止のために下引層と支持体の間に導電層を設けることが好ましい。導電層はカーボンブラック及び金属粒子等の導電性粉体をバインダー樹脂中に分散した溶液を支持体上に塗布し、乾燥することによって形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には5〜30μmであることが好ましい。
【0056】
上述した各種層は、適当な有機溶剤を用い、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、ビームコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法及びブレードコーティング法等のコーティング法によって形成することができる。
【0057】
<感光体最表面層の動的粘弾性及びその測定方法>
動的粘弾性とは物体に周期的に変化する歪みまたは応力を加えたときに観測される粘弾性である。弾性率の定義に従い、応力と歪の比σ*/γ*は複素弾性率E*で表され、ここで、E* = E’+ iE’’とかくとき、実数部E’を貯蔵弾性率(storage  modulus)、虚数部E’’を損失弾性率(loss modulus)という。一周期の間に粘弾性体に貯えられる弾性エネルギーがE’に比例し、粘弾性体が熱として失うエネルギーがE’’に比例するために、それぞれ貯蔵弾性率及び損失弾性率と呼ばれる。E’:貯蔵弾性率は物質の弾性要素、即ち高分子膜における応力に比例するものと考えることができ、E’’:損失弾性率は物質の粘性要素、即ち高分子膜における粘りの強さを表すものと考えられる。またtanδ:損失正接は弾性要素と粘性要素のバランスを表しており、大きいほど液体に近く(ゾルの性質が強い)、小さいほど固体に近い性質(ゲルの性質が強い)であることが示される。
【0058】
なお、上記の動的粘弾性の測定は、粘弾性アナライザーRSAII(レオメトリック・サイエンティフィック社製)を用いて行った。また、測定サンプルについては、アルミニウムシート上にバーコーター等を用いて感光体最表面層と同一の組成の単体膜を成膜した後、アルミシート上から膜を単離し、適当な形状にカッターナイフ等で切り出して作製した。具体的には、RSAIIの測定時における周波数を1Hzとし、サンプル形状は膜厚25μmの単体膜を3.5mm×70mmになるように加工した。
【0059】
次に本発明において用いられるトナーについて説明する。
【0060】
本発明に用いられるトナーを製造する方法としては、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報や特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合法を用いて直接トナーを生成する方法;単量体には可溶で水溶性重合開始剤の存在下で直接重合させてトナー粒子を生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合法によるトナー粒子の製造などが挙げられる。また、マイクロカプセル製法のような界面重合法、インサイト(in site)重合法、コアセルベーション法などの製造も挙げられる。更に、特開昭62−106473号公報や特開昭63−186253号公報に開示されているような、少なくとも1種以上の微粒子を凝集させ所望のトナーを得る界面会合法なども挙げられる。あるいは、粉砕法によって得られたトナーを、機械的衝撃力で球形化する方法などが挙げられる。
【0061】
中でも、小粒径のトナー粒子が容易に得られる懸濁重合方法が特に好ましい。
トナー粒子の製造方法として懸濁重合を利用する場合には、以下の様な製造方法によって直接的にトナー粒子を製造することが可能である。
【0062】
単量体中に着色剤,重合開始剤,架橋剤及びその他の添加剤を加え、ホモジナイザーや超音波分散機等によって均一に溶解または分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に通常の攪拌機またはホモミキサー,ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように攪拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、かつ粒子の沈降が防止される程度の攪拌を行えばよい。重合温度は好ましくは40℃以上、より好ましくは50〜90℃、特に好ましくは55〜85℃に設定して重合を行う。重合反応後半に昇温してもよく、必要に応じpHを変更してもよい。本発明では、更に、トナーの定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、または、反応終了後に一部水系媒体を留去してもよい。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により収集し、乾燥する。
【0063】
以下に重合法トナーの材料に関して記載する。
【0064】
本発明に用いられるのトナーを重合方法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、主に単官能性重合性単量体を使用する。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ο−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン及びp−フェニルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート及び2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート及びジブチルフォスフェートエチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル及びギ酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル及びビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン及びビニルイソプロピルケトンのようなビニルケトンが挙げられる。
【0065】
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独あるいは2種以上組み合わせて使用する。
【0066】
本発明においては、単量体組成物中に架橋剤を添加する場合、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキシレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2′−ビス(4−メタクリロキシジエトキシフェニル)プロパ
ン、2,2′−ビス(4−アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、トリ
メチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジブロムネオペンチルグリコールジメタクリレート及びフタル酸ジアリルなどの一般の架橋剤を適宜(必要に応じて2種以上組み合わせて)用いることができる。好ましくは、ジビニルベンゼン及びポリエチレングリコールジメタクリレートが用いられる。これら架橋剤の使用量は、重合性単量体を基準として0.001〜15質量部で使用するのがよい。
【0067】
上記した重合性単量体の重合の際に用いられる重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/または水溶性開始剤が用いられる。例えば、油溶性開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)及び2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルのようなアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド及びクメンヒドロパーオキサイドのようなパーオキサイド系開始剤が挙げられる。
【0068】
水溶性開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2′−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2′−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄及び過酸化水素が挙げられる。
【0069】
重合性単量体の重合度を制御するために、連鎖移動剤や重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0070】
分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ及びヒドロキシアパタイト等が挙げられる。通常単量体組成物100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒体として使用するのが好ましい。
【0071】
有機系化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩及びデンプン等が使用される。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜2.0質量部を使用することが好ましい。
【0072】
その他好ましく用いられる分散安定剤としては、硫酸、炭酸、燐酸、ピロ燐酸及びポリ燐酸の難水溶性金属塩があり、これらは分散媒中で高速攪拌下において酸アルカリ金属塩とハロゲン化金属塩との反応によって調製されることが好ましい。
【0073】
これら分散剤の微細化のため0.001〜0.1質量%の界面活性剤を併用してもよい。具体的には市販のノニオン、アニオン及びカチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム及びオレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
【0074】
本発明において縮合系化合物を用いる場合、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド及びセルロースなどが挙げられる。より好ましくは、材料の多様性からポリエステルが望まれる。
【0075】
該縮合系化合物の製造方法としては、例えば、酸化反応による合成法、カルボン酸及びその誘導体からの合成、マイケル付加反応に代表されるエステル基導入反応、カルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、酸ハロゲン化物とアルコール化合物からの反応、またエステル交換反応で製造される。触媒としては、エステル化反応に使う一般の酸性、アルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛やチタン化合物などでよい。その後、再結晶法や蒸留法などにより高純度化させてもよい。
【0076】
該縮合系化合物の特に好ましい製造方法は、原料の多用性、反応のし易さからカルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応である。この場合、全成分中45〜55mol%がアルコール成分であり、55〜45mol%が酸成分であることが好ましい。アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA及び下記一般式(4)
【0077】
【化6】
(式中、Rはエチレン基またはプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ1以上の整数を示し、かつx+yの平均値は2〜10を示す。)
で示されるビスフェノール誘導体、または下記一般式(5)
【0078】
【化7】
【0079】
【化8】
で示されるジオールのようなジオール類が挙げられる。
【0080】
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ジフェニル−P・P′−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−P・P′−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4′−ジカルボン酸及び1,2−ジフェノキシエタン−P・P′−ジカルボン酸のようなベンゼンジカルボン酸類またはその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グリタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリエチレンジカルボン酸及びマロン酸のようなアルキルジカルボン酸類またはその無水物、また更に炭素数6〜18のアルキル基またはアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸及びイタコン酸のような不飽和ジカルボン酸またはその無水物等が挙げられる。
【0081】
特に好ましい該縮合系化合物のアルコール成分としては前記一般式(4)で示されるビスフェノール誘導体であり、酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸及びイソフタル酸またはその無水物、こはく酸及びn−ドデセニルコハク酸またはその無水物、フマル酸、マレイン酸及び無水マレイン酸のようなジカルボン酸が挙げられる。
【0082】
該縮合系化合物は、2価のジカルボン酸及び2価のジオールから合成することにより得ることが可能である。場合により、3価以上のポリカルボン酸またはポリオールを本発明に悪影響を与えない範囲で少量使用してもよい。
【0083】
3価以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸類、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシルプロパン、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−メチレンカルボキシルプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸及びそれらの無水物が挙げられる。
【0084】
3価以上のトリオールとしては、スルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4−メタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン及び1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。水系媒体中で直接的にトナー粒子を生成する場合には、重合性単量体100質量部に対して1〜30質量部(より好ましくは、2〜25質量部)配合し、トナー粒子に含有させるのがよい。
【0085】
本発明において用いられる低軟化点物質としては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びフィッシャートロピッシュワックスのようなポリメチレンワックス、アミドワックス、ケトンワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物のような誘導体が挙げられ、これらは低分子量成分が除去されたDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。また、これら2種類以上のブレンドでもさしつかえない。
【0086】
好ましく用いられるワックスとしては、炭素数15〜100個の直鎖状のアルキルアルコール、直鎖状脂肪酸、直鎖状酸アミド、直鎖状エステル及びモンタン系誘導体が挙げられる。これらワックスから液状脂肪酸のような不純物を予め除去してあるものも好ましい。
【0087】
更に、好ましく用いられるワックスは、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒またはその他の触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;アルキレンを重合する際に副生する低分子量アルキレンポリマーを分離精製したもの、;一酸化炭素及び水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素ポリマーの蒸留残分から、あるいは、蒸留残分を水素添加して得られる合成炭化水素から、特定の成分を抽出分別したポリメチレンワックスが挙げられる。これらワックスには酸化防止剤が添加されていてもよい。定着画像の透光性を向上させるためには、固体エステルワックスが好ましい。水系媒体中で直接的にトナー粒子を生成する場合には、重合性単量体100質量部に対して1〜40質量部(より好ましくは、3〜30質量部)配合し、トナー粒子に含有されるのがよい。
【0088】
本発明に用いられる着色剤は、カーボンブラックあるいは以下に示したような公知のイエロー、マゼンタ及びシアン着色剤が利用される。
【0089】
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物及びアリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、168及び180等が好適に用いられる。
【0090】
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物及びペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;2、48;3、48;4、57;1、81;1、122、146、166、150、169、177、184、185、202、206、220、221及び254が特に好ましい。
【0091】
本発明に用いられるシアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物及び塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62及び66等が特に好適に利用される。これらの着色剤は、単独または混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角、彩度、明度、耐侯性、OHP透明性及びトナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対し1〜20質量部添加して用いられる。
【0092】
本発明に用いられるトナーは、荷電制御剤を含有してもよい。  例えば、有機金属化合物やキレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸及び芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類及びビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0093】
更に、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩及びカリックスアレーン等が挙げられる。
【0094】
あるいは、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩及びテトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物及びフェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド及びジシクロヘキシルスズオキサイドのようなジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート及びジシクロヘキシルスズボレートのようなジオルガノスズボレート類が挙げられる。これらを単独で或いは2種類以上組合せて用いることができる。
【0095】
<トナーの円形度の測定方法>
本発明におけるトナーの円相当径、円形度及びそれらの頻度分布とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置FPIA−1000型(東亜医用電子(株)製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。
【0096】
【数1】
【0097】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0098】
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合には1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0099】
本発明において、トナーの個数基準の粒径頻度分布の平均値を意味する円相当個数平均径D1(μm)と粒径標準偏差SDdは、粒度分布の分割点iでの粒径(中心値)をdi、頻度をfiとすると次式から算出される。
【0100】
【数2】
【0101】
また、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cと円形度標準偏差SDcは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、頻度をfciとすると、次式から算出される。
【0102】
【数3】
【0103】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー(株)製)に振動子として5φのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上にならないように適宜冷却する。
【0104】
トナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなるように該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いてトナー粒子の円相当径や円形度頻度分布等を求める。
【0105】
本発明における微小圧縮試験の測定は、トナー粒子に対して微小圧縮試験機を用いて次の条件で荷重を負荷した場合、トナー粒子の粒径を10%圧縮させるのに必要な最小荷重の平均値を求めることにより行った。
【0106】
<トナーの微小圧縮試験方法>
微小圧縮試験機:(株)島津製作所製、微小圧縮試験機MCTW−200
上部加圧圧子は、材質ダイヤモンドの50μm径のフラット圧子、下部加圧圧子はSKS(合金工具鋼)平板
温度/湿度:25℃/50%RH
荷重の負荷速度:8.9×10−2mN/sec
測定回数:各トナー粒子について行い、10回以上の測定における平均値(Pave[mN])を用いることにより再現性の高い値が得られる。
粒子径:光学モニタにて横方向、縦方向の平均値をとることにより求める。
【0107】
次に本発明の電子写真装置に用いられる中間転写体について説明する。
【0108】
中間転写体として中間転写ベルトを製造する場合、1層あるいは2層以上の樹脂からなる中間転写ベルトとすることができる。また、ゴム層の上に樹脂層を設けた構造とすることもできる。
【0109】
コストの観点からは、中間転写ベルトを樹脂で作製することが好ましい。具体的には、熱可塑性樹脂と任意の添加剤(導電剤、酸化防止剤、光安定剤、加水分解防止剤及び難燃剤など)とを溶融混練したものを環状ダイスから押出すことによって、継ぎ目のない樹脂チューブを連続的に生産し、これを任意の長さに切断して中間転写ベルトを製造するとよい。もちろん、遠心成形やディッピングによって熱硬化性樹脂でベルトを製造してもよい。
【0110】
中間転写ベルトをゴムで製造する場合、ゴム層は、耐久性を向上させるために繊維で補強することが好ましく、縦横の糸からなる織布でゴム層を補強したり、螺旋状に糸を設けることでゴム層を補強することができる。より製造が容易であるのは螺旋状に糸を設けてゴム層を補強した中間転写ベルトである。繊維の材質は、強度、コストの観点から、綿及びポリエステル繊維が好ましい。ただし、もちろんこれに限定されるものではない。糸は1本のフィラメントであっても、複数のフィラメントを撚ったものであってもよく、混紡してもよい。同じく織布は、例えばメリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能である。
【0111】
ゴムの厚さは好ましくは0.5〜2mm、より好ましくは0.5〜1mmである。ゴムベルトを0.5mm未満に薄く作製することは困難であり、2mmより厚くすると、転写搬送ベルトの円滑な駆動が困難になる。更に、ゴム層の硬度を85°以下とすると、中抜け画像が発生しにくくなって、より好ましい。ただし、硬度はJIS−K6301に記載のA型硬度に従うものとする。
【0112】
本発明の中間転写ベルトは、その材質に関係なく、中間転写ベルトの周方向の引っ張り弾性率が好ましくは50MPa以上、より好ましくは200MPa以上、特に好ましくは1GPa以上であると、中間転写ベルトの回転中に生ずる伸び(引っ張り側で伸びる)が減少するので、色ずれがより低減されて好ましい。
【0113】
本発明の中間転写ベルトを製造するにあたって、ゴムやエラストマー、樹脂などを用いることができる。
【0114】
例えばゴムやエラストマーとしては、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、シンジオクタチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、水素化ニトリルゴム及び熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系及びポリエステル系)等が使用できる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
【0115】
また、樹脂としては、酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド、芳香族ポリアミド、変性ポリフェニレンオキサイド及びポリスチレン等を用いることができる。ただし、上記材料に限定されるものではない。
【0116】
ただし、本発明に用いられる中間転写ベルトにおいては、少なくとも最表面層の主成分が樹脂であることが好ましい。なぜならば、最表面層の主成分がゴムやエラストマーであると、転写搬送ベルト表面の粘着性が大きくなって、ベルト上に一旦トナーが付着すると、これを除去することが容易でないからである。ベルト上に付着したトナーは記録用紙の裏側に付着して裏汚れを起こしたり、極端な場合には転写搬送ベルトの厚み方向の抵抗値が大きくなり過ぎて、転写電流が流れにくくなり、転写効率の低下、すなわち画像品位の低下を招き易い。
【0117】
中間転写ベルトには、導電剤を添加することができる。導電剤はいかなるものを用いてもよいが、例えば、カーボン及びアルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化チタンなどの金属酸化物、4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチレンイミン、含硼素高分子化合物及びポリピロール等の導電性高分子化合物等が挙げられる。ただし、上記導電剤に限定されるものではない。
【0118】
本発明の中間転写ベルトは、単一の層であっても複数の層からなっていてもよい。また、中間転写ベルトの抵抗値に限定はないが、例えば体積抵抗率で10〜1014Ω・cm、表面抵抗率で10〜1016Ω程度である。
【0119】
なお、体積抵抗率及び表面抵抗率は以下のようにして測定するものとする。
【0120】
<測定機>
抵抗計;超高抵抗計R8340A(アドバンテスト社製)
試料箱;超高抵抗測定用思料箱TR42(アドバンテスト社製)ただし、主電極は直径22mm、ガード・リング電極は内径41mm、外径49mmとする。
【0121】
<サンプル>
中間転写ベルトを直径56mmの円形に切断する。切断後、片面はその全面をPt−Pd蒸着膜により電極を設け、もう一方の面はPt−Pd蒸着膜により直径25mmの主電極と内径38mm、外径50mmのガード・リング電極を設ける。Pt−Pd蒸着膜は、マイルドスパッタE1030(日立製作所製)で蒸着操作を2分間行うことにより得られる。蒸着操作を終了したものを測定サンプルとする。
【0122】
<測定条件>
測定雰囲気;23℃/50〜60%RH。なお、測定サンプルは予め23℃/50〜60%RHの雰囲気に12時間以上放置しておく。
【0123】
測定モード;プログラムモード5(ディスチャージ10秒、チャージ及びメジャー30秒。)
印加電圧;100(V)
【0124】
本発明における中間転写体の最表面層の水との接触角は、50〜120°、好ましくは60〜110°である。接触角が50°より小さいと2次転写効率の低下を招く。特に、高温高湿環境下では、中間転写体表面の水分吸着量が増加して2次転写効率の低下やクリーニング性能の悪化を生じ、クリーニング不良による画像欠陥またはスループットの低下を招く。
【0125】
また、接触角が120°より大きいと転写補助粒子が十分に付着できず、粒子量が不足し、やはり2次転写性能の低下やクリーニング不良を生じ、また、製造するのも困難になる。
【0126】
なお、接触角は、ゴニオメーター式接触角測定器(協和界面科学(株)製)を用いて、水滴滴下10秒後の値を測定することによって得られる。ここで使用する水は、蒸留水である。
【0127】
本発明において、感光ドラム及び中間転写ベルトの表面粗さRaは以下のようにして測定する。
【0128】
<Raの測定>
・装置:Surfcorder−SE3400(小坂研究所製)
・送り速さ:0.1mm/sec
・カットオフ(λc):0.8mm
・評価長さ:8mm
・予備長さ:λc×0.5
・レベリング:二乗法 全域
・サンプリング間隔:8000/L
・測定方向:軸方向(感光ドラム、中間転写ベルト共に)
【0129】
次に、電子写真装置の例としてインライン方式のカラー電子写真装置の例を説明する。
【0130】
図1に示すように、各色のトナーを内包する現像器等の現像手段41〜44にそれぞれ対向配設された感光ドラム1が中間転写ベルト20の移動方向に並設されている。各現像手段により各感光ドラム上に形成された各色トナー画像は転写ローラ62により中間転写体に静電的に順次重ねて転写され、イエロー、マゼンタ、シアンにブラックを加えた4色のトナーによるフルカラートナー画像が形成される。
【0131】
また、各感光ドラム上に各色トナー像を形成するための、帯電手段2、露光手段3、現像手段41〜44が、各感光ドラム1の周りに配設されている。
【0132】
更に、中間転写ベルトにトナー像を転写した後、各感光ドラム上に残留するトナーを摺擦して回収するクリーニングブレードを有するクリーニング装置16が配設されている。
【0133】
次に、画像形成動作について説明する。各帯電手段2である帯電ローラにより均一に帯電された感光ドラム1表面に、パーソナルコンピュータ等のホストからの画像データに応じて変調されたレーザビームが露光手段3より照射され、各色に対して所望の静電潜像が得られる。この潜像はこれと対向して配設されている各色のトナーを内包した現像器である現像手段41〜44により、現像位置で反転現像されトナー像として可視化される。このトナー像は、各転写位置で中間転写ベルト20に順次転写され、11の給紙手段により所定のタイミングで給紙され、搬送手段により搬送されてくる転写材に一括して転写される。この転写材上のカラートナー画像は15の定着装置によって加熱溶融され、転写媒体上に永久定着され所望のカラープリント画像が得られる。67は除電帯電器である。
【0134】
【実施例】
以下、具体的実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。実施例中「部」は質量部を示す。
【0135】
(実施例1)
<感光体例1>
10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粉体50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部及びシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3,000)0.002部を1mmφガラスビーズを用いたサンドミルで2時間分散して導電層用塗料を調製した。長さ357.5mmのアルミニウムシリンダー(φ30mm)上に、上記導電層用塗料を浸漬コーティング法で塗布し、140℃で30分間乾燥して、膜厚が20μmの導電層を形成した。
【0136】
導電層上に6−66−610−12四元系ポリアミド共重合体5部をメタノール70部ブタノール25部を混合溶媒に溶解した溶液を浸漬コーティング法で塗布し、90℃で10分間乾燥して、膜厚が1μmの下引層(電荷注入阻止層)を形成した。
【0137】
次に、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°及び28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶3.5部とポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBH−S、積水化学工業(株)製)1部をシクロヘキサノン120部に添加し、1mmφガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散し、これにメチルエチルケトン120部を加えて希釈して電荷発生層用塗料を調製した。下引き層上に、この電荷発生層用塗料を浸漬コーティング法で塗布し、100℃で10分間乾燥して、膜厚が0.15μmの電荷発生層を形成した。
【0138】
次に、電荷輸送物質として下記の式(6)の化合物9部
【0139】
【化9】
及び一般式(3)における共重合比がs/t=5/5であるポリアリレート樹脂10部をジメトキシメタン33部及びモノクロロベンゼン60部の混合溶媒に溶解した。この塗料を前述の電荷発生層の上に浸漬コーティング法で塗布し、120℃で1時間乾燥して、膜厚が23μmの電荷輸送層を形成した。電荷輸送物質とバインダー樹脂との質量比(D/B)は9/10である。
【0140】
<トナー例1>
下記のようにして、水系分散媒及び重合性単量体組成物をそれぞれ調製した。
【0141】
水系分散媒の調製
内容積200リットルの容器中で、下記の成分を混合し、60℃に加温した後、高速回転剪断撹拌機を用いて回転数55s−1で撹拌した。
【0142】
・水                      950部
・0.1モル/リットル−NaPO水溶液    450部
次に、容器内を窒素置換すると共に、これに1.0モル/リットルのCaCl水溶液68部を添加して反応させ、リン酸カルシウム塩の微粒子を含む水系分散媒を得た。
【0143】
重合性単量体組成物の調製
・スチレン                   100部
・n−ブチルアクリレート             20部
・着色剤(C.I.ピグメントイエロー180)    6部
・ジ‐t−ブチルサリチル酸金属化合物        2部
・ポリエステル樹脂(数平均分子量3500)    15部
・エステル系ワックス(融点60℃)        20部
【0144】
上記した成分のうち、ポリエステル樹脂及びエステルワックスを除いた各成分を混合し、アトライター(三井三池工業(株)製)を用い3時間分散させた後、ポリエステル樹脂及びエステルワックスを加えて60℃に加温して1時間混合し、重合性単量体組成物とした。
【0145】
上記で調製した水系分散媒が入っている高速回転剪断撹拌機の回転数を55s−1とし、この中に、上記で調製した重合性単量体組成物を投入して造粒を開始した。造粒開始3分後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7部を、スチレン30部に溶解したものを添加し、更に12分間造粒を続けた。
15分間の造粒後、プロペラ撹拌羽根を備えた撹拌機の容器内に移し、回転数を0.83s−1回転にし、内温62℃で反応を継続させた。6時間後、反応温度を80℃に昇温し、加熱撹拌を5時間継続して重合を完了した。重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去し、冷却後、希塩酸を添加して分散剤を溶解し、固液分離、水洗、ろ過及び乾燥を行うことによりイエロートナー粒子を得た。
【0146】
トナー粒子100部に対してBET比表面積が100m/gの酸化チタン微粒子を1部添加し、ヘンシェルミキサー10B(三井三池化工機(株)製)において、回転数3000rpm、攪拌時間4分間の条件下で混合し、負摩擦帯電性のカラートナーを得た。本トナーの平均円形度の実測値は0.980であった。
【0147】
<中間転写ベルト例>
下記配合の樹脂コンパウンドを2軸押し出し機で混練して、ペレットを得た。
【0148】
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)樹脂    73質量%
ポリエーテルエステルアミド(導電剤)     7質量%
カオリン(一次粒子径2μm)         5質量%
酸化亜鉛(一次粒子径0.2μm)      15質量%
【0149】
得られたペレットを100℃で2時間乾燥させ、図2に示す押し出し機100のホッパー110に投入した。押し出し機100の温度は180〜210℃に設定した。ホッパー110から投入されたコンパウンドを、ダイリップ径;D1=100mm、ダイギャップ300μmの環状ダイスに導き、環状ダイス140からチューブ状に押し出した。そして、気体導入路150より供給される空気により、チューブ160を膨張させた。膨張後のチューブ160の直径D2は140mmであった。
【0150】
チューブ160は、安定板170によって徐々に押し潰しながら上方に引き取った。引き取りの駆動源は、ピンチロール180である。該ロールの幅は600mmである。このロールによってチューブ160は押し潰される。従って、チューブ160の内部に導入された空気がチューブの外に漏れ出すことはない。よって、一度空気を入れてしまえば、その後は気体導入路150から空気を導入しなくても、チューブ160の直径は一定となった。
【0151】
ピンチロール180を通過後のチューブ160は、折り径220mmの折り畳んだチューブ状となる。その後、カッター190によって、チューブのマシーンディレクション(MD)方向±10°の角度で断続的に切断することで、肉厚150μm、幅(長さ)300mmのチューブを得た。
【0152】
次に、得られたチューブを外径142.00mm、長さ330mmのアルミニウムシリンダーの中央部に被せた。更に、内径142.31mm、長さ330mmのステンレスシリンダーをチューブの外側に嵌合し、170℃に加熱した。加熱後、嵌合した状態でシリンダーを30℃まで冷却し、ステンレスシリンダー及びアルミニウムシリンダーを取り外して、直径140mm、幅400mmのベルトを得た。なお、上記の2次加工により、チューブの折り目(ピンチロールに起因する)は目視では判別できないレベルに仕上がった。なお、中間転写ベルトの表面粗さRa=0.123μmであった。
【0153】
得られたベルトを幅350mmにカットして、片側端部の内周面に蛇行防止ガイド(リブ)を取り付けて、厚さ100μmの本発明の中間転写ベルトを得た。
【0154】
上記の感光体例1及びトナー例1を、中間転写ベルト例を搭載した図1で示される電子写真装置に装着し、温度23.5℃/湿度50%RHの環境下で連続10,000枚の通紙耐久試験を行い、目視による画像評価を行った。なお、この装置の電子写真感光体と中間転写体の周速差は101%である。画像評価結果を表1に示す。表1中、◎は優で×は悪である。
【0155】
(実施例2)
実施例1において、感光体例1を下記の感光体例2に変更した以外は、実施例1と全く同様にして行った。
【0156】
<感光体例2>
感光体例1において、一般式(6)の化合物を6部に変更した以外は、感光体例1と全く同様に作成し、感光体例2とした。
【0157】
(実施例3)
実施例1において、感光体例1を下記の感光体例3に変更した以外は、実施例1と全く同様にして行った。
【0158】
<感光体例3>
感光体例1において、一般式(6)の化合物を12部に変更した以外は、感光体例1と全く同様に作成し、感光体例3とした。
【0159】
(実施例4)
実施例1において、感光体例1を下記の感光体例4に変更した以外は、実施例1と全く同様にして行った。
【0160】
<感光体例4>
感光体例1において、一般式(3)の化合物における共重合比をs/t=0/10に変更した以外は、感光体例1と全く同様に作成し、感光体例4とした。
【0161】
(実施例5)
実施例3において、感光体例3を下記の感光体例5に変更した以外は、実施例3と全く同様にして行った。
【0162】
<感光体例5>
感光体例3において、一般式(3)の化合物における共重合比をs/t=0/10に変更した以外は、感光体例3と全く同様に作成し、感光体例5とした。
【0163】
(実施例6)
実施例1において、感光体例1を下記の感光体例6に変更した以外は、実施例1と全く同様にして行った。
【0164】
<感光体例6>
感光体例1において、一般式(3)の化合物を下記の式(7)で示されるポリアリレート樹脂(PAR−F)に変更した以外は、感光体例1と全く同様にして作成し、感光体例7とした。
【0165】
【化10】
【0166】
(実施例7)
実施例3において、感光体例3を下記の感光体例7に変更した以外は、実施例3と全く同様にして行った。
【0167】
<感光体例7>
感光体例3において、一般式(3)の化合物を上記化合物(7)で示されるポリアリレート樹脂に変更した以外は、感光体例3と全く同様に作成し、感光体例7とした。
【0168】
(実施例8〜14)
実施例1〜7において、トナー例1を下記のトナー例2に変更した以外は、実施例1〜7と全く同様にして行った。
【0169】
<トナー例2>
トナー例1において、重合性単量体組成物に追加してジビニルベンゼン0.2部を添加した以外は、トナー例1と全く同様にして作成し、トナー例2とした。本トナーの平均円形度の実測値は0.985であった。
【0170】
(実施例15〜21)
実施例8〜14において、トナー例2を下記のトナー例3に変更した以外は、実施例8〜14と全く同様にして行った。
【0171】
<トナー例3>
トナー例2において、ジビニルベンゼンを1部に変更した以外は、トナー例2と全く同様にして作成し、トナー例3とした。本トナーの平均円形度の実測値は0.975であった。
【0172】
(比較例1)
実施例11において、感光体例4を以下の感光体例8に変更した以外は、実施例11と全く同様にして行った。
【0173】
<感光体例8>
感光体例4において、一般式(6)の化合物を15部に変更した以外は、感光体例4と全く同様に作成し、感光体例8とした。
【0174】
(比較例2)
実施例8において、感光体例1を下記の感光体例9に変更した以外は、実施例8と全く同様にして行った。
【0175】
<感光体例9>
感光体例1において、一般式(3)の化合物を下記の式(8)で示されるポリカーボネート樹脂(PC−A)に変更した以外は、感光体例1と全く同様にして作成し、感光体例9とした。
【0176】
【化11】
【0177】
(比較例3)
実施例8において、感光体例1を下記の感光体例10に変更した以外は、実施例8と全く同様にして行った。
【0178】
<感光体例10>
感光体例1において、電荷輸送層上に下記の表面保護層を形成し、感光体例10とした。
一般式(6)の化合物9部、下記の一般式(9)で示される紫外線硬化性アクリル樹脂10部、THF100部、重合開始剤として2−メチルチオキサンソン1部を添加し、これを調合液とした。
【0179】
【化12】
【0180】
上記調合液を電荷輸送層上にスプレー塗布により膜を形成し、高圧水銀灯により320W/cm2の光強度で30秒間硬化を行い、その後120℃、2時間熱風乾燥して膜厚3μmの保護層を形成し、電子写真感光体を作成した。
【0181】
(比較例4〜10)
実施例8〜14において、トナー例2を下記のトナー例4に変更した以外は、実施例8〜14と全く同様にして行った。
【0182】
<トナー例4>
トナー例2において、ジビニルベンゼンを10部に変更した以外は、トナー例2と全く同様にして作成し、トナー例4とした。本トナーの平均円形度の実測値は0.970であった。
【0183】
(比較例11〜17)
実施例1〜7において、トナー例1を下記のトナー例5に変更した以外は、実施例1〜7と全く同様にして行った。
【0184】
<トナー例5>
トナー例1において、前記単量体の重合反応における内温を80℃に変更した以外は、トナー例1と全く同様にして作成し、トナー例5とした。本トナーの平均円形度の実測値は0.950であった。
【0185】
【表1】
【0186】
表1に示すとおり、実施例1〜21については、耐久初期及び10,000枚耐久後においても、感光体最表面層上には何らの傷、トナー融着等の発生も観測されず、画像安定性においてもまた良好であった。
【0187】
これに対し比較例1では、耐久前後を通してトナー融着、傷は実用に耐え得るレベルだったものの、耐久後半にポジゴーストが顕著に発生した。比較例1において使用した感光体8では、電荷輸送層中における電荷輸送物質の構成比が高いため、耐久前後を通して劣化した電荷輸送物質が、電荷発生層から露光により発生した正孔をトラップし、バルク中に多く留めることにより、これが次回画像形成時に感光体表面電位を解消してポジゴースト画像を形成したと考えられる。
【0188】
また、比較例2においては、耐久初期では実用に耐え得るレベルのトナー融着が観測されたが、その後耐久後半で顕著なものとなった。比較例2において使用した感光体例9は貯蔵弾性率が本発明で規定した数値範囲の下限より低い値であったため、耐久後半における、感光体、中間転写体等の部材間で生じた不良トナーを完全に除去することができず、トナー融着となって現れたと考えられる。
【0189】
一方、比較例3において使用した感光体例10は貯蔵弾性率が本発明で規定した数値範囲の上限より高い値であったため、耐久後半における、感光体、中間転写体等の部材間で生じたストレスを完全に解消することができず、傷となって現れたと考えられる。
【0190】
その他、比較例4〜10においては、使用したトナー例4は微小圧縮における最小荷重が本発明で規定した数値範囲の上限よりも高い値であり、一方、比較例11〜17においては、使用したトナー例5は最小荷重が本発明で規定した数値範囲の下限よりも低い値であったため、各々耐久後半において傷あるいはトナー融着が発生したものと考えられる。
【0191】
(実施例22〜42及び比較例18〜34)
実施例1〜21及び比較例1〜17において、耐久環境を温度15℃/湿度10%とした以外は、実施例1〜21及び比較例1〜17と全く同様に行った。結果を表2に示す。表2中、◎は優で、○は良で、×は悪である。
【0192】
【表2】
【0193】
表2に示すとおり、実施例22〜37、39、41については、耐久初期及び10,000枚耐久後においても、感光体最表面層上には何らの傷、トナー融着等の発生も観測されず、画像安定性においてもまた良好であった。
【0194】
また、実施例38、40、42については、耐久後半において軽微な傷が観測されたが実用に耐え得るレベルであった。
【0195】
これに対し比較例18では、耐久前後を通してトナー融着、傷は実用に耐え得るレベルだったものの、比較例1と同様に耐久後半でのポジゴーストが顕著に発生した。
【0196】
比較例19については、トナー融着について耐久初期では実用に耐え得るレベルであったものの、その後耐久後半で顕著なものとなった。比較例2と同様に、感光体、中間転写体等の部材間で生じた不良トナーを完全に除去することができず、トナー融着となって現れたと考えられる。
【0197】
比較例20については、耐久初期において傷が顕著に発生したため耐久を中止した。比較例20で用いた感光体例10は、貯蔵弾性率が本発明で規定した数値範囲よりも高い値であり、感光体、中間転写体等の部材間で生じたストレスが低温低湿環境下において過剰となった状況と相まって、耐久初期からの顕著な傷の発生を引き起こしたものと考えられる。
【0198】
その他、比較例21〜28においては、使用したトナー例4は微小圧縮における最小荷重が本発明で規定した数値範囲の上限よりも高い値であったため、低温低湿環境下において耐久初期から傷の発生が顕著になり、一方、比較例29〜34においては、使用したトナー例5は最小荷重が本発明で規定した数値範囲の下限よりも低い値であったため、耐久後半においてトナー融着が顕著に発生したものと考えられる。
【0199】
(実施例43〜63及び比較例35〜51)
実施例1〜21及び比較例1〜17において、耐久環境を温度30℃/湿度80%とした以外は、実施例1〜21及び比較例1〜17と全く同様に行った。結果を表3に示す。表3中、◎は優で、○は良で、×は悪である。
【0200】
【表3】
【0201】
表3に示すとおり、実施例43、45、50〜63については、耐久初期及び10,000枚耐久後においても、感光体最表面層上には何らの傷、トナー融着等の発生も観測されず、画像安定性においてもまた良好であった。
【0202】
また、実施例44、46〜49については、耐久後半において軽微なトナー融着が観測されたが実用に耐え得るレベルであった。
【0203】
これに対し比較例35では、耐久前後を通してトナー融着、傷は実用に耐え得るレベルだったものの、比較例1と同様に耐久後半でのポジゴーストが顕著に発生した。
【0204】
比較例36については、耐久前半よりトナー融着が顕著に発生したため耐久を中止した。比較例36で用いた感光体例9は貯蔵弾性率が本発明で規定した数値範囲の下限より低い値であり、高温高湿環境下で不良トナーが通常より発生し易い状況と相まって、耐久初期からトナー融着が顕著に発生したものと考えられる。
【0205】
比較例37については、傷については耐久初期では実用に耐え得るレベルであったものの、その後耐久後半で顕著なものとなった。比較例3と同様に、感光体、中間転写体等の部材間で生じたストレスを完全に解消することができず、傷となって現れたと考えられる。
【0206】
その他、比較例38〜44においては、使用したトナー例4は微小圧縮における最小荷重が本発明で規定した数値範囲の上限よりも高い値であったため、耐久後半において傷の発生が顕著になり、一方、比較例45〜51においては、使用したトナー例5は最小荷重が本発明で規定した数値範囲の下限よりも低い値であったため、高温高湿下において耐久初期からトナー融着が顕著に発生したものと考えられる。
【0207】
【発明の効果】
本発明の電子写真感光体、電子写真装置及びプロセスカートリッジは、感光体上の最表面層上の傷、削れも少なく、いかなる環境下でも繰り返し使用において安定した特性を持ち、画像欠陥の無い高品位な画像を安定して供給するという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】複数の感光体を有する電子写真装置の概略構成を示す図である。
【図2】チューブ成形押し出し機の概略図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム
2 1次帯電器
3 露光光
10 転写材ガイド
11 給紙ローラ
13 感光ドラムのクリーニング装置
15 定着器
16 中間転写体のクリーニング装置
20 中間転写ベルト
28 バイアス電源
41 イエロー色現像装置
42 マゼンタ色現像装置
43 シアン色現像装置
44 ブラック色現像装置
52 転写残トナー帯電部材
62 1次転写ローラ
63 2次転写ローラ
64 2次転写対向ローラ
65,66 中間転写ベルト支持ローラ
67 除電帯電器
100 1軸押し出し機
110 ホッパー
140 環状ダイス
150 気体導入路
160 チューブ
170 安定板
180 ピンチロール
190 カッター
P 転写材

Claims (13)

  1. 電子写真感光体と、該電子写真感光体にトナーにより画像を形成するトナー像形成手段と、該電子写真感光体に形成したトナー像を転写材に転写する転写手段あるいは中間転写体に1次転写し該中間転写体を介して転写材に2次転写する転写手段を有し、該トナーが0.920〜0.995の平均円形度を有する球形トナーであり、かつその粒径を10%圧縮させるのに必要な最小荷重の平均値Pave[mN]が0.1≦Pave≦1である電子写真装置に用いられる電子写真感光体において、
    該電子写真感光体の最表面層を周波数1[Hz]温度25[℃]の条件下で動的粘弾性測定を行った際の貯蔵弾性率E’[Pa]が、3.5×10≦E’≦6.0×10であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 該電子写真感光体の最表面層を周波数1[Hz]温度25[℃]の条件下で動的粘弾性測定を行った際の貯蔵弾性率E’[Pa]が、4.0×10≦E’≦6.0×10である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 該電子写真感光体の最表面層を周波数1[Hz]温度25[℃]の条件下で動的粘弾性測定を行った際の損失弾性率E’’[Pa]と貯蔵弾性率E’[Pa]の比tanδ(E’’/ E’)が、9.2×10−3≦tanδ≦2.6×10−2である請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. tanδ(E’’/E’)が、1.1×10−2≦tanδ≦2.3×10−2である請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 該電子写真感光体の最表面層がバインダー樹脂を含有し、該バインダー樹脂が少なくとも下記一般式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート樹脂を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
    (式中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアリール基を示す。ただし、RとRの両方が水素原子となることはなく、かつRとRの両方が水素原子となることはない。)
  6. 該電子写真感光体の最表面層が電荷輸送物質を含有し、該最表面層に含有される電荷輸送物質とバインダー樹脂との質量比が、6/10〜12/10である請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 電子写真感光体と、該電子写真感光体にトナーにより画像を形成するトナー像形成手段と、該電子写真感光体に形成したトナー像を転写材に転写する転写手段あるいは中間転写体に1次転写し該中間転写体を介して転写材に2次転写する転写手段を有し、該トナーが0.920〜0.995の平均円形度を有する球形トナーであり、かつその粒径を10%圧縮させるのに必要な最小荷重の平均値Pave[mN]が0.1≦Pave≦1である電子写真装置において、該電子写真感光体の最表面層を周波数1[Hz]温度25[℃]の条件下で動的粘弾性測定を行った際の貯蔵弾性率E’[Pa]が、3.5×10≦E’≦6.0×10であることを特徴とする電子写真装置。
  8. 該電子写真感光体の最表面層を周波数1[Hz]温度25[℃]の条件下で動的粘弾性測定を行った際の貯蔵弾性率E’[Pa]が、4.0×10≦E’≦6.0×10である請求項7に記載の電子写真装置。
  9. 該電子写真感光体の最表面層を周波数1[Hz]温度25[℃]の条件下で動的粘弾性測定を行った際の損失弾性率E’’[Pa]と貯蔵弾性率E’[Pa]の比tanδ(E’’/ E’)が、9.2×10−3≦tanδ≦2.6×10−2である請求項8に記載の電子写真装置。
  10. tanδ(E’’/ E’)が、1.1×10−2≦tanδ≦2.3×10−2である請求項9に記載の電子写真装置。
  11. 該電子写真感光体の最表面層がバインダー樹脂を含有し、該バインダー樹脂が少なくとも下記一般式(1)で示される構成単位を有するポリアリレート樹脂を含有する請求項7〜10のいずれかに記載の電子写真装置。
    (式中、R〜Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアリール基を示す。ただし、RとRの両方が水素原子となることはなく、かつRとRの両方が水素原子となることはない。)
  12. 該電子写真感光体の最表面層が電荷輸送物質を含有し、該最表面層に含有される電荷輸送物質とバインダー樹脂との質量比が、6/10〜12/10である請求項11に記載の電子写真装置。
  13. 請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体と、これに加えて帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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