本発明者らは鋭意検討をした結果、上記の電磁誘導加熱方式の定着システムにおいて、トナー構成を少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤及びオキシカルボン酸とし、かつ該トナー1g中から強アルカリ性水溶液にて抽出されるオキシカルボン酸の質量を規定することによって、従来技術に無い、クィックスタートが可能で、ハーフトーン部における定着性の良好な画像を形成させる技術、さらに、定着画像の先後端部分の光沢度差の少ないフルカラー画像を形成しつつ透明性を向上させる技術を見出した。
また、上記の電磁誘導加熱定着システムにすることで、消費電力低下をしながら、従来カラートナーにおいてトナー乗り量の多い場合においても良好な定着画像を入手できた。
該電磁誘導加熱手段において、効率の良い発熱を得つつ励磁コイルの磁束分布をニップ部及びその近傍に集中させることができる構成にしたことにより、ニップ部を急速昇温させることができ、かつ放熱損失が少なく入力電力(投入エネルギー)を有効に利用して効率良く被加熱材の加熱のための熱エネルギーを高密度で迅速に得ることを可能にしたことや、加圧部材との相互圧接で十分なニップ部がかかった時でも高い加重に十分耐えられる構成にしたことと等により、低消費電力とウエイトタイムの短縮化(クイックスタート性)が可能でかつ、再生紙のような表面凹凸の大きな転写材であっても、フルカラー画像のようなトナー量の多い画像に対しても、トナー画像を十分溶融することができて良好な定着性にすることができたものと考えている。
表面凹凸の大きな転写材であってもハーフトーン部における定着性が良好な理由としては、本発明の如きオキシカルボン酸量にすることで、トナー表面において該オキシカルボン酸が介在することによって、トナー層と電磁誘導加熱の加熱部との間で、スペーサー的な役割をしつつかつ、離型剤との組み合わせによって該離型剤自身の離型効果に、該オキシカルボン酸による静電的反発力という補助的な効果が加わり、高温側の定着性が著しく向上したものと考えている。
ハーフトーン部におけるOHPのフルカラー投影画像の透明性が優れた理由としては、本発明の如きオキシカルボン酸量にすることで、未外添品における帯電量が従来品よりも保てることにより、帯電を付与させる外添剤量が少なくてすむことから、外添剤量因子に伴う光の散乱光が抑制でき、その結果、ハーフトーン部のOHP投影画像の透明性が向上したと考えている。
また、ベタ部におけるOHPのフルカラー投影画像の透明性が優れた理由としては、本発明の如きオキシカルボン酸と離型剤との組み合わせにおいて該オキシカルボン酸が結晶成長阻害作用を発現するからではないかと考えている。
本来、結晶成長阻害剤は、その構造中に結晶成長を阻害させようとする化合物と同じような構造を持ちながら、かつその化合物とは構造の異なる極性基や芳香族基を持っていれば阻害の効果が発現されるものと考えられる。例えば、パラフィンワックスの場合には、アルキル基を有しつつ極性基または芳香族基を併せ持つ化合物などが挙げられる。
具体的に本発明に置き換えて考えてみると、後述の例示化合物オキシカルボン酸1−Aと例示化合物離型剤No.6との組み合わせの場合、上記オキシカルボン酸のターシャリーブチル基と該エステルワックスの長鎖アルキル基が同じような構造であるためなじみやすく、該オキシカルボン酸のカルボキシル基が極性を持つため、結果的に離型剤の結晶核剤の働きをするものと考えている。
以下、本発明のトナーの構成及び画像形成方法の構成について順次説明する。
(1)トナーの構成:
オキシカルボン酸としては、公知のものを用いることが可能であるが、帯電付与能力の観点から下記式(1)や(2)で示される化合物が好ましく、本発明では式(1)で示される化合物が用いられる。
[上記式(1)中、(A)は下記の群より選ばれ、X
1は、水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、アンモニウム又は脂肪族アンモニウムを示す。]
上記式(1)で示されるオキシカルボン酸の中でも、本発明に好ましく用いられるものとしては、芳香族環を有するオキシカルボン酸であり、モノアルキル芳香族オキシカルボン酸、又はジアルキル芳香族オキシカルボン酸が挙げられる。特に、サリチル酸、ジtert−ブチルサリチル酸や5−tert−オクチルサリチル酸に代表されるアルキルサリチル酸、ヒドロキシナフトエ酸等はトナー表面への固定化が容易であるため、本発明に好ましく用いられる。
以下に代表的な具体化合物例を列挙する。
本発明において、トナー1g中から0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によって抽出されるオキシカルボン酸の質量X(mg)は、0.10〜20.0が好ましく、より好ましくは0.10〜15.0が良い。10mg未満の場合には、トナー自体の帯電量の絶対値が低いため、耐久試験において地カブリが多く、良好な定着画像が得られず、良好なフルカラーのOHP画像も得られない。20.0mgを超える場合には、連続通紙において、定着ローラーの汚染し、高温の定着性が悪化してしまう。また、高温高湿放置後の初期画像出力の際に、二次色のライン部の飛散が悪く、良好なフルカラーのテキストチャートが出せない。
また、トナー1g中から0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によって抽出されるオキシカルボン酸の質量Xと、メタノールによって抽出されるオキシカルボン酸の質量Y(mg)とが、Y/X=1.05〜4.00が好ましく、より好ましくは1.05〜3.00が良い。Y/Xが1.05未満の場合にはトナー帯電特性の改善するには至らず、4.00を超える場合にはトナー表層よりも内部に多くのオキシカルボン酸が存在する場合が考えられ、帯電の観点から、オキシカルボン酸を有効利用することができない。
トナー1g中からメタノールによって抽出されるオキシカルボン酸の質量Yは、トナー粒子の表面及びメタノールの浸透可能な表面層部分(表面近傍)に存在するオキシカルボン酸の存在量であり、また、トナー1g中から0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によって抽出されるオキシカルボン酸の質量Xは、トナー粒子の表面に存在するオキシカルボン酸の存在量を意味する。
本発明において、トナー中からメタノールによって抽出されるオキシカルボン酸量Yと、0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液によって抽出されるオキシカルボン酸量Xは、従来より公知の分析方法を用いることが出来る。具体例を以下に記す。
メタノールと、分散剤としてコンタミノンN(和光純薬工業社製)0.04gを加えた0.1mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を別々の容器に50mlずつ用意し、それぞれの中にトナー1gを秤量して加え、スターラーを用いて50rpmで撹拌し、均一に分散させる。3時間分散処理を行った後、メンブランフィルター(ポアサイズ:0.45μm)を用いて濾過し、得られた濾液の吸収スペクトルを分光光度計により測定し、オキシカルボン酸の呈する最大吸収ピークの最大値とベースラインとの差を求める。得られた結果から、所定の検量線を用いてトナー中のオキシカルボン酸量Xとトナー表面のオキシカルボン酸量Yを算出した。オキシカルボン酸の吸収スペクトルは、例えば280〜350nmの範囲にあらわれる。
本発明に係るトナーは、特に円形度分布が良好なトナーを製造することで、トナー中に存在するオキシカルボン酸の添加効果を効率の良いものとすることが可能である。
本発明に係るトナーでは、フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該トナーの円相当個数平均径D1(μm)が2〜10μmであり、且つ、該トナーの平均円形度が0.920〜0.995で、円形度標準偏差が0.040未満となるようにトナーの粒子形状を精密に制御することにより、オキシカルボン酸によるトナーの帯電特性がバランス良く改善され、これと共に加熱加圧手段に対するオキシカルボン酸の酸化能力と界面活性剤的挙動が適切なものとなるので、画像形成装置とのマッチングが著しく向上する。
即ち、トナーの円相当個数平均径D1(μm)を2〜10μmと小粒径化することにより、画像の輪郭部分、特に文字画像やラインパターンの現像での再現性が良好なものとなる。また、トナーの円形度頻度分布の平均円形度を0.920〜0.995、好ましくは0.950〜0.995、より好ましくは0.970〜0.995とすることにより、従来では制御が困難であった小粒径を呈するトナーの帯電特性が大幅に改善されると共に、低電位潜像に対する現像能力も格段に向上する。特に上記の如き傾向は、デジタル方式の微小スポット潜像を現像する場合や中間転写体を用い多数回の転写を行うフルカラーの画像形成の際に非常に有効で、画像形成装置とのマッチングも良好なものとなる。
更に、本発明のトナーは、トナーの円形度頻度分布の円形度標準偏差を0.040未満、好ましくは0.035未満、より好ましくは0.015以上0.035未満とすることにより、現像性に関する問題を大幅に改善することができる。
また、円形度頻度分布の平均円形度が0.950未満のトナー粒子を15%以下にすることで、画像形成における現像効率が十分なレベルとなり画像形成も良好なものとなる。
上記の如きトナーの平均円形度、円形度標準偏差及び円形度0.950未満のトナー個数についての制御は、重合法によるトナーの製造方法において、重合反応時の水系分散媒体のpHによって可能である。
本発明における円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明では東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000を用いて粒子形状の測定を行い、円形度を下式により求める。更に下式で示すように、測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.400〜1.000を0.010間隔で、0.400以上0.410未満、0.410以上0.420未満…0.990以上1.000未満及び1.000の如くに61分割した分割範囲に分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。
この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値との誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であるため、本発明においては、算出時間の短絡化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこの様な算出法を用いている。
本発明における円形度は、粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
また、円相当径とは、
円相当径=(粒子投影面積/π)1/2×2
と定義される値であり、円相当個数平均径(D1)とは、個数基準によるトナーの円相当径の平均値を表し、粒度分布の分割点iでの粒径(中心値)をdi、頻度をfiとすると下式の如く表される。
同様にして、標準偏差は、以下の如く表される。
本発明における粒度分布の分割点は、下表に示されるとおりである。
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02gを加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「UH−50型」(エスエムテー社製)に振動子として5φのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を用い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
トナーの形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、トナーの円相当径や円形度頻度分布等を求める。
本発明のトナーを粉砕方法で製造する際に用いられるトナーの結着樹脂としては、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は混合して使用される。
結着樹脂の主成分としては、スチレンと他のビニルモノマーとの共重合体であるスチレン共重合体が現像性や定着性の点で好ましい。
スチレン共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸もしくはその置換体;マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル;エチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテルが挙げられる。これらビニル単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
スチレン共重合体は、ジビニルベンゼンの如き架橋剤で架橋されていることが、トナーの定着温度領域を広げ、耐オフセット性を向上させる上で好ましい。
本発明のトナーを重合方法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2’−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独或いは、2種以上組み合わせて、又は、上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用する。多官能性重合性単量体は架橋剤として使用することも可能である。
上記した重合性単量体の重合の際に用いられる重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。例えば、油溶性開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルの如きアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの如きパーオキサイド系開始剤が挙げられる。
水溶性開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素が挙げられる。
本発明においては、重合性単量体の重合度を制御するために、連鎖移動剤,重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
本発明のトナーに用いられる架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらは単独もしくは混合物として用いられる。
本発明のトナーに用いられる離型剤としては、重量平均分子量(Mw)が350乃至4000、数平均分子量(Mn)が200乃至4000であることが好ましく、より好ましくはMwが400乃至3500、Mnが250乃至3500であるものが良い。Mwが350未満であり、Mnが200未満の場合には、トナーの耐ブロッキング性が低下する。Mwが4000を超え、Mnが4000を超える場合には、離型剤自体の結晶性が発現し、定着画像の透明性が低下する。
該離型剤は、融点(温度20乃至200℃の範囲におけるDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークに対する温度)が30乃至120℃、より好ましくは50乃至90℃であるものが良い。離型剤としては、室温で固体状態のワックスが好ましく、特に融点40乃至100℃の固体ワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性、耐オフセット性の点で良い。
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体が挙げられ、これらは低分子量成分が除去されたDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。
好ましく用いられるワックスとしては、炭素数10乃至100個の直鎖状のアルキルアルコール、直鎖状脂肪酸、直鎖状酸アミド、直鎖状エステルあるいは、モンタン系誘導体が挙げられる。これらワックスから液状脂肪酸の如き不純物を予め除去してあるものも好ましい。
さらに、好ましく用いられるワックスは、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又は、その他の触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;アルキレンを重合する際に副生する低分子量アルキレンポリマーを分離精製したもの;一酸化炭素及び水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素ポリマーの蒸留残分から、あるいは、蒸留残分を水素添加して得られる合成炭化水素から、特定の成分を抽出分別したポリメチレンワックスが挙げられる。これらワックスには酸化防止剤が添加されていてもよい。
定着画像の透光性を向上させるためには、固体エステルワックスや固体ケトンワックスが好ましい。より好ましくは固体エステルワックスであり、融点50乃至90℃を有するものが特に良い。
エステル系ワックスとしては、下記一般式(I)乃至(V)で示される化合物から形成されているものが一例として挙げられるが、これら以外のものでも構わない。
(式中、a及びbは0〜4迄の整数であり、a+bは4である。R
1及びR
2は炭素数が1〜40の有機基であり、R
1とR
2との炭素数差が3以上である。m及びnは0〜25の整数であり、mとnは同時に0になることはない。)
(式中、a及びbは0〜3の整数であり、a+bは1〜3である。R
1及びR
2は炭素数が1〜40の有機基であり、R
1とR
2との炭素数差が3以上である。R
3は水素原子、炭素数が1以上の有機基である。但し、a+b=2のとき、R
3のどちらか一方は、炭素数が1以上の有機基である。kは1〜3の整数である。m及びnは0〜25の整数であり、mとnが同時に0になることはない。)
(式中、R
1及びR
3は炭素数6〜32を有する有機基であり、R
1とR
3は同じものであってもなくても良い。R
2は炭素数1〜20を有する有機基を示す。)
(式中、R
1及びR
2は炭素数6〜32を有する有機基であり、R
1とR
3は同じものであってもなくてもよい。
R
2は−CH
2CH
2OC
6H
4OCH
2CH
2−、
(式中、aは0〜4の整数であり、bは1〜4の整数であり、a+bは4である。R
1は炭素数が1〜40の有機基である。m及びnは0〜25の整数であり、mとnが同時に0になることはない。)
エステル化合物からなる離型剤としてのエステルワックスとして以下のものが例示される。
特に好ましくは、炭素数10以上の長鎖エステル部を1個以上有するエステルワックスが望まれる。該離型剤が、上記構造式を有するエステル化合物を有するエステルワックスの場合、良好な透明性を発現するとともに、トナー粒子中に含有せしめた場合には良好な定着性を示すものである。この離型剤と上記極性樹脂を、重合性単量体に溶解させた後、水素媒体中で重合性単量体の重合反応を進めることによって、得られたトナー粒子の帯電量が大きく、適正帯電値に到達するまでの速度が速く、さらに多数枚耐久において、摩擦帯電量の変動の少ない優れたトナーが得られる。
離型剤は、溶融混練粉砕法によりトナー粒子を生成する場合は、結着樹脂100質量部に対して1乃至10質量部使用するのが良い。
重合性単量体組成物を使用して、直接的にトナー粒子を生成する場合には、重合性単量体100質量部に対して5乃至40質量部(より好ましくは5乃至30質量部)配合し、結果として、重合性単量体から生成された結着樹脂100質量部当り5乃至40質量部(より好ましくは5乃至30質量部)トナー粒子に含有されるのが良い。
溶融混練粉砕法による乾式トナー製法に比べ重合法によるトナー製法においては、トナー粒子内部に極性樹脂により多量の離型剤を内包化させ易いので、乾式トナー製法と比較し、一般に多量の離型剤を用いることが可能となり、定着時のオフセット防止効果には特に有効となる。
該離型剤の添加量が下限より少ないとオフセット防止効果が低下しやすく、上限を超える場合では耐ブロッキング効果が低下し耐オフセット効果にも悪影響を与えやすく、トナーのドラム融着やトナーの現像スリーブ融着を起こしやすく、重合法によりトナー粒子を生成する場合には粒度分布の広いトナー粒子が生成する傾向にある。
本発明に使用される該離型剤は、(SP)値が7.6乃至10.5の範囲であることが好ましい。SP値が、7.6未満の値を示す離型剤は、用いる重合性単量体又はバインダー樹脂との相溶性が乏しく結果的にバインダー樹脂中への良好な分散が得られにくく、多数枚複写時又はプリント時において該離型剤の現像スリーブヘの付着が生じやすく、トナーの帯電量が変化しやすくなる。更に地カブリ,トナー補給時のトナーの濃度変動も起こしやすい。SP値が10.5を超える離型剤を用いる場合には、トナーを長期保存した際にトナー粒子同士のブロッキングが発生しやすい。更にバインダー樹脂との相溶性が良すぎるため定着時において定着部材とトナーバインダー樹脂層間に十分な離型性層が形成しにくく、オフセット現象を起こしやすい。
溶解度パラメーター(SP)値は、原子団の加成性を利用したFedorsの方法(Polym.Eng.Sci.,14(2)147(1974))を用いて算出する方法が挙げられる。
本発明に使用される離型剤は、135℃における溶融粘度は1乃至300mPa・Sであることが好ましく、更に好ましくは3乃至50mPa・Sを有する離型剤が特に好ましい。1mPa・Sより低い溶融粘度を有する場合は、非磁性一成分現像方式で塗布ブレード等により現像スリーブにトナー層を薄層コーティングする際、機械的なズリ力によりスリーブ汚染を招きやすい。二成分現像方法においてはキャリア粒子とトナーとを用いて静電荷像を現像する際に、トナーとキャリア粒子間のズリ力によりトナーがダメージを生じやすく、外添剤の埋没やトナー粒子の破砕も生じやすい。300mPa・Sを超える溶融粘度を有する場合には、重合方法を用いてトナー粒子を製造する際、重合性単量体組成物の粘度が高くなり、粒度分布のシャープな微小粒径のトナー粒子を得ることが容易でない。
離型剤の溶融粘度は、HAAKE社製VP−500にてコーンプレート型ローター(PK−1)を用い135℃にて測定する方法が挙げられる。
本発明に使用される離型剤の硬度は0.3乃至10.0の範囲が好ましく、より好ましいビッカース硬度は0.5乃至5.0が有効である。更に好ましいビッカース硬度は0.5乃至3.0が特に有効である。
ビッカース硬度0.3より低い離型剤を含有したトナーは、多数枚複写又はプリントにおいてクリーニング工程で破砕されやすく、感光ドラム表面上にトナー融着を起こしやすく結果的に画像上に黒筋が発生しやすい。定着画像サンプルを多数枚重ねて保存した際、裏面にトナーが転写し、裏写りが発生しやすい。
ビッカース硬度が10.0を超える離型剤を含有したトナーは、本件の如き熱伝導率の高い定着手段であったとしても加熱加圧定着時に必要以上の加圧力を必要とし、定着器寿命の点で好ましくない。
該離型剤の硬度測定は、例えば島津ダイナミック超微小硬度計(DUH−201)を用いる測定法が挙げられる。測定条件は、ビッカース圧子を用い0.5g荷重下で1秒間に9.67mgの負荷速度にて10μm変位させた後、12秒保持させサンプル上に付いた打痕を解析することによりビッカース硬度を求める。サンプルは、溶融したサンプルを徐冷却し5mm厚の円柱状に成型して用いる。
本発明のトナーに用いられる着色剤は、黒色着色剤としてカーボンブラック、グラフト化カーボン、磁性体等が利用される。
イエロー着色剤としては、顔料系として、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.Pigment Yellow3、7、10、12、13、14、15、17、23、24、60、62、74、75、83、93、94、95、99、100、101、104、108、109、110、111、117、123、128、129、138、139、147、148、150、166、168、169、177、179、180、181、183、185、191:1、191、192、193、199等が好適に用いられる。染料系としては、例えば、C.I.Solvent Yellow33、56、79、82、93、112、162、163、C.I.Disperse Yellow42、64、201、211などが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレット19が特に好ましい。
シアン着色剤としては、銅、アルミ及び亜鉛などのフタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等が特に好適に利用される。
これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。本発明の着色剤は、色相角,彩度,明度,耐侯性,トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、樹脂100質量部に対し1乃至20質量部添加して用いられる。
本発明のトナーは、荷電制御剤を併用しても構わない。
トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御するものとして下記物質がある。ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類、樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。これらを単独で或いは2種類以上組合せて用いることができる。
荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当り、0.01乃至20質量部、より好ましくは0.5乃至10質量部使用するのが良い。
本発明のトナーが重合法トナーの場合に縮合系樹脂を添加しても良い。
該縮合系樹脂は、重量平均分子量(Mw)が6000乃至100000、好ましくは6500乃至85000が良く、さらに6500乃至45000が良い。
重量平均分子量が6000未満の場合、最適範囲内のものと比較すると、連続通紙においてトナー粒子表面の外添剤が耐久によって埋没しやすく、転写性の低下を招きやすくなる。重量平均分子量が100000を超える場合には、重合性単量体に縮合系樹脂を溶解するのに時間を多く費やしてしまう。さらに、重合性単量体組成物の粘度が上昇し、粒径が小さくかつ、粒度分布の揃ったトナー粒子が得にくくなる。
該縮合系樹脂は、数平均分子量(Mn)が3000乃至80000、好ましくは3500乃至60000が良く、さらに3500乃至12000が良い。該縮合系樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)における分子量分布のメインピーク値(Mp)は、分子量4500乃至40000、好ましくは6000乃至30000が良く、さらに6000乃至20000が良い。上記範囲外であると重量平均分子量の場合と同様の傾向を示す。
該縮合系樹脂は、Mw/Mnが1.2乃至3.0、より好ましくは1.5乃至2.5が良い。Mw/Mnが1.2未満の場合には、トナーの多数枚耐久性及び耐オフセット性が低下し、3.0を超える場合には、低温定着性の面で、範囲内のものよりも、若干劣ってしまう。
該縮合系樹脂は、ガラス転移点(Tg)が50乃至125℃、好ましくは50乃至95℃が良く、さらに55乃至90℃が良い。ガラス転移点が50℃未満の場合には、トナーの耐ブロッキング性が低下する。ガラス転移点が125℃を超える場合には、トナーの耐低温オフセット性が低下する。
該縮合系樹脂の酸価(mgKOH/g)は、0.1乃至35、好ましくは3乃至35、より好ましくは4乃至35、さらに好ましくは5乃至30が良い。酸価が0.1未満の場合には、トナーの帯電量の立ち上がりが遅く、カブリが生じやすくなる。酸価が35を超える場合には、高温高湿下に放置した後のトナーの摩擦帯電特性が変動しやすく、連続通紙において画像濃度が変動しやすい。さらに、極性樹脂の酸価が35を超える場合には、極性樹脂のポリマー相互間の親和力が強くなるために極性樹脂が重合性単量体に溶解しにくくなり、均一な重合性単量体組成物を調製するのに時間がかかるようになる。
該縮合系樹脂の水酸基価(mgKOH/g)は、0.2乃至50、好ましくは5乃至50、より好ましくは7乃至45であるのが良い。水酸基価が0.2未満の場合には、最適範囲内のものと比較すると、水系媒体中の重合性単量体組成物の粒子の表面に極性樹脂の局在化が起こりにくくなる。水酸基価が50を超える場合、最適範囲内のものと比較すると、高温高湿下において放置した後のトナーの帯電量特性が若干低くなる傾向が見られ、連続通紙において画像濃度が変動しやすい。
本発明の該縮合系樹脂は例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、セルロースなどが挙げられる。より好ましくは材料の多様性からポリエステルが望まれる。
該縮合系樹脂及び該離型剤の製造方法としては、例えば、酸化反応による合成法、カルボン酸及びその誘導体からの合成、マイケル不可反応に代表されるエステル基導入反応、カルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、酸ハロゲン化物とアルコール化合物からの反応、エステル交換反応で製造される。触媒としては、エステル化反応に使う一般の酸性、アルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物などでよい。その後、再結晶法、蒸留法などにより高純度化させてもよい。
該縮合系樹脂及び該離型剤の特に好ましい製造方法は、原料の多用性や反応のしやすさからカルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応である。
本発明に用いられる縮合系樹脂の組成について以下に説明する。
縮合系樹脂は、全成分中45乃至55mol%がアルコール成分であり、55乃至45mol%が酸成分であることが好ましい。
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記式(イ)
(式中、Rはエチレン又はプロピレン基を示し、x,yはそれぞれ1以上の整数を示し、かつx+yの平均値は2乃至10を示す。)
で示されるビスフェノール誘導体、又は下記式(ロ)
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ジフェニル−P・P’−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−P・P’−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−P・P’−ジカルボン酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グリタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリエチレンジカルボン酸、マロン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6乃至18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。
本発明の実施上特に好ましい該縮合系樹脂のアルコール成分としては、前記(イ)式で示されるビスフェノール誘導体であり、酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はその無水物、こはく酸、n−ドデセニルコハク酸、又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸の如きジカルボン酸が挙げられる。
該縮合系樹脂は、2価のジカルボン酸及び2価のジオールから合成することにより得ることが可能である。場合により、3価以上のポリカルボン酸又はポリオールを本発明に悪影響を与えない範囲で少量使用しても良い。
3価以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸類、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシルプロパン、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−メチレンカルボキシルプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸及びそれらの無水物が挙げられる。
3価以上のポリオールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4−メタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
トナーにおける各種の特性向上を目的とした添加剤としては、耐久性の点から、トナー粒子の体積平均径の1/5以下の粒径であることが好ましい。添加剤の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。これら特性付与を目的とした添加剤としては、たとえば、以下のようなものが用いられる。
流動性付与剤としては、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなど)カーボンブラック、フッ化カーボンなどが挙げられる。それぞれ、疎水化処理を行ったものが、より好ましい。
研磨剤としては、金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムなど)・窒化物(窒化ケイ素など)・炭化物(炭化ケイ素など)・金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)が挙げられる。
滑剤としては、フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなど)・脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど)などが挙げられる。
荷電制御性粒子としては、金属酸化物(酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなど)・カーボンブラックなどが挙げられる。
これら添加剤は、トナー粒子100質量部に対し、0.1乃至10質量部が用いられ、好ましくは、0.1乃至5質量部が用いられる。これら添加剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。
本発明のトナーは、一成分系現像剤用のトナーとして使用することも可能であり、キャリア粒子を有する二成分系現像剤用のトナーとしても使用可能である。磁性体をトナー粒子中に含有せしめた磁性トナーの場合には、現像スリーブ中に内蔵せしめたマグネットを利用し、磁性トナーを搬送及び帯電せしめる方法がある。磁性体を含有しない非磁性トナーを用いる場合には、ブレード又はローラを用い、現像スリーブにて強制的に摩擦帯電しスリーブ上にトナーを付着せしめることで搬送せしめる方法がある。
二成分系現像剤として用いる場合には、本発明のトナーと共に、キャリアを用い現像剤として使用する。磁性キャリアとしては、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム元素からなる元素単独又は複合フェライト状態で構成される。磁性キャリアの形状として、球状、扁平又は不定形がある。更に磁性キャリア粒子表面状態の微細構造(たとえば表面凹凸性)をもコントロールすることが好ましい。一般的には、上記無機酸化物を焼成・造粒することにより、あらかじめ、磁性キャリアコア粒子を生成した後、樹脂にコーティングする方法が用いられている。磁性キャリアのトナーへの負荷を軽減する意味合いから、無機酸化物と樹脂を混練後、粉砕・分級して低密度分散キャリアを得る方法や、さらには、直接無機酸化物とモノマーとの混練物を水系媒体中にて懸濁重合せしめ真球状の磁性キャリアを得る方法も利用することが可能である。
上記キャリア粒子の表面を樹脂で被覆する被覆キャリアは、特に好ましい。その方法としては、樹脂を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法、単に樹脂粉体とキャリア粒子とを混合して付着させる方法が適用できる。
キャリア粒子表面への固着物質としてはトナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂などが挙げられる。これらは単独或は複数で用いられる。
キャリアの磁性特性は以下のものが良い。磁気的に飽和させた後の、磁界の強さ79.6kA/m(1000エルステッド)における磁化の強さ(σ79.6)は3.77乃至37.7μWb/cm3であることが必要である。さらに高画質化を達成するために、好ましくは12.6乃至31.4Wb/cm3であることがよい。37.7μWb/cm3より大きい場合には、高画質なトナー画像が得られにくくなる。3.77μWb/cm3未満であると、磁気的な拘束力も減少するためにキャリア付着を生じやすい。
キャリア形状は、丸さの度合いを示すSF−1が180以下、凹凸の度合いを示すSF−2が250以下であることが好ましい。SF−1,SF−2は以下の式にて定義され、ニレコ社製のLUZEX IIIにて測定される。
以下に本発明のトナー製造方法を示す。
本発明のトナーが粉砕法トナーである場合には、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤と本発明のオキシカルボン酸を、加圧ニーダーやエクストルーダー、或いはメディア分散機等を用いて混練、均一に分散せしめた後、機械的又はジェット気流下でターゲットに衝突させて所望のトナー粒径に微粉砕化せしめ、更に分級工程を経て粒度分布をシャープにせしめてトナー粒子を製造する粉砕法によるトナーの製造方法がある。
本発明のトナーが重合法である場合には、特に制約を受けるものではないが、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合法を用いて直接トナーを生成する方法;単量体には可溶で水溶性重合開始剤の存在下で直接重合させてトナー粒子を生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合法によるトナー粒子の製造が挙げられる。また、マイクロカプセル製法のような界面重合法、in Situ重合法、コアセルベーション法などの製造も挙げられる。さらに、特開昭62−106473号公報や特開昭63−186253号公報に開示されている様な、少なくとも1種以上の微粒子を凝集させ所望の粒径のものを得る界面会合法なども挙げられる。
小粒径のトナー粒子が容易に得られる懸濁重合方法が特に好ましい。さらに一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめるシード重合方法も本発明に好適に利用することができる。このとき、吸着せしめる単量体中に、極性を有する化合物を分散あるいは溶解させて使用することも可能である。トナー粒子の製造方法としては懸濁重合を利用する場合には、以下の如き製造方法によって直接的にトナー粒子を製造することが可能である。単量体中にワックスの如き低軟化点物質,着色剤,重合開始剤,架橋剤,その他の添加剤を加え、ホモジナイサー,超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に通常の撹拌機またはホモミキサー,ホモジナイサー等により分散せしめる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、通常50〜95℃(好ましくは55〜85℃)の温度に設定して重合を行う。重合反応後半に昇温しても良く、必要に応じpH変更しても良い。更に、トナーの定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により収集し、乾燥する。造粒中の水系媒体中のpHは特に制限を受けない。
なお、個数分布の標準偏差を個数平均径で割った個数変動係数は35%以下、好ましくは30%以下が良い。
重合法においては、通常単量体組成物100質量部に対して水300乃至3000質量部を分散媒体として使用するのが好ましい。用いる分散剤として例えば無機系酸化物として、リン酸三カルシウム,リン酸マグネシウム,リン酸アルミニウム,リン酸亜鉛,炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム,水酸化アルミニウム,メタケイ酸カルシウム,硫酸カルシウム,硫酸バリウム,ベントナイト,シリカ,アルミナ,ドデシル硫酸ナトリウム等が挙げられる。有機系化合物としては例えばポリビニルアルコール,ゼラチン,メチルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,エチルセルロース,カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩,デンプン等が使用されている。これら分散剤あるいは分散助剤は、重合性単量体100質量部に対して0.1乃至5.0質量部を使用することが好ましい。
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒体中にて高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることも出来る。例えば、リン酸三カルシウムの場合、高速撹拌下において、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を混合することで懸濁重合方法に好ましい分散剤を得ることが出来る。これら分散剤の微細化のため0.001乃至0.1質量%の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン,アニオン,カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム,テトラデシル硫酸ナトリウム,ペンタデシル硫酸ナトリウム,オクチル硫酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,ラウリル酸ナトリウム,ステアリン酸カリウム,オレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
以下に上記以外の本発明のトナー物性を示す。
本発明のトナーのMELT INDEX値(MI値;g/10min)は、0.1乃至100が好ましい。より好ましくは1乃至80が良い。
MI値が0.1未満の場合では定着温度においてもトナーが十分に溶融せず、カラー単色画像の発色性が乏しい。MI値が100を超える場合には、現像機内の現像剤パッキング部でトナー凝集物が発生し易く、且つ外添剤のトナー表面への埋め込みも大きいことから耐久での転写性が悪化する。良好な定着画像も得られない。
本発明のトナーは、凝集度が0.1乃至30%、より好ましくは4乃至20%であることが主に現像性の点で好ましい。トナーの凝集度が0.1より小さい場合にはトナーの流動性が高いものの、耐久による剤漏れを起こしやすく、30より大きい場合にはトナーの流動性が低く、現像機内の現像剤パッキング部でトナー凝集物が発生を誘発しやすく、結果として転写性を悪化させ良好な定着画像も得られない。
本発明のトナーとしては、SF−1の値が100乃至160、より好ましくは100乃至150、さらに好ましくは100乃至125のトナーが好ましい。SF−1が160を超える場合には、球形から徐々に不定形に近づき、それにつれて転写効率の低下が認められる。
トナー原材料及びトナー物性の測定方法を以下に示す。
「離型剤の分子量及び分子量分布」はGPCにより次の条件で測定される。
(GPC測定条件)
装置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−MT30cm2連(東ソー社製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0ml/min
試料:0.15%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
「トナー及び縮合系樹脂のGPCによる分子量及び分子量分布」は以下の方法で測定される。
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テトラハイドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、たとえば、東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102乃至107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、たとえば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせが挙げられる。
試料は以下のようにして作製する。
試料をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45乃至0.5μm、たとえば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンスジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5乃至5mg/mlとなるように調整する。
「離型剤の融点及び縮合系樹脂のガラス転移点」はDSC測定により以下のように求められる。
DSC測定では、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7が利用できる。測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。測定は、1回昇温・降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。
「縮合系樹脂の酸価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次によって試験を行う。
(1)試薬
(a)溶剤エチルエーテル−エチルアルコール混液(1+1または2+1)またはベンゼン−エチルアルコール混液(1+1または2+1)で、これらの溶液は使用直前にフェノールフタレインを指示薬としてN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
(b)フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/10水酸化カリウム−エチルアルコール溶液 水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS−K8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
(2)操作 試料1〜20gを正しくはかりとり、これに溶剤100mlおよび指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これをN/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
(3)計算式 つぎの式によって酸価を算出する。
ここにA:酸価
B:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:N/10水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
「縮合系樹脂の水酸基価」は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
試料1gを規定の方法によってアセチル化するとき水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を水酸基価といい、つぎの試薬、操作および計算式によって試験を行う。
(1)試薬
(a)アセチル化試薬 無水酢酸25gをメスフラスコ100mlに入れ、ピリジンを加えて全量を100mlにし、十分に振りまぜる(場合によっては、ピリジンを追加しても良い)。アセチル化試薬は、湿気、炭酸ガスおよび酸の蒸気に触れないようにし、褐色びんに保存する。
(b)フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
(c)N/2水酸化カリウム−エチルアルコール溶液 水酸化カリウム35gをできるだけ少量の水に溶かし、エチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日間放置後ろ過する。標定はJIS−K8006によって行う。
(2)操作 試料0.5〜2.0gを丸底フラスコに正しくはかりとり、これにアセチル化試薬5mlを正しく加える。フラスコの口に小さな漏斗をかけ、95〜100℃のグリセリン浴中に底部約1cmを浸して加熱する。このときフラスコの首が浴の熱をうけて温度の上がるのを防ぐために、中に丸い穴をあけた厚紙の円盤をフラスコの首の付根にかぶせる。1時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後漏斗から水1mlを加えて振り動かして無水酢酸を分解する。さらに分解を完全にするため、再びフラスコをグリセリン浴中で10分間加熱し、放冷後エチルアルコール5mlで漏斗およびフラスコの壁を洗い、フェノールフタレイン溶液を指示薬としてN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定する。なお、本試験と並行して空試験を行う。場合によっては、指示薬としてKOH−THF溶液にしても構わない。
(3)計算式 つぎの式によって水酸基価を算出する。
ここにA:水酸基価
B:空試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
C:本試験のN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:N/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
D:酸価
本発明の「トナーのTHF不溶分」の測定について説明する。
THF不溶分とは、トナー中のTHF溶媒に対して不溶性の物質の質量割合を示す。THF不溶分とは、以下のように測定された値をもって定義する。
トナーサンプル約1.0gを秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100〜200mlを用いて6時間抽出し、THF溶媒によって抽出された可溶成分をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。トナー中のTHF不溶分は、下記式から求められる。
本発明の「トナーのMI値」の測定方法は、メルトインデクサーL203型(宝工業社製)を用いて、サンプル4.0〜5.0gとし125度で5分ホールド後、98N(10kgf)の荷重をかけ、2分溶出量を測定し、その測定値を10分値に換算することによって求める。
本発明の「トナーの凝集度」の測定法は、パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)の振動篩機を用い、振動台に400mesh(目開き38μm)、200mesh(目開き74μm)、100mesh(目開き147μm)の篩を目開の狭い順に重なる様に、即ち、100meshが最上位となる様に、400mesh(目開き38μm)、200mesh(目開き74μm)、100mesh(目開き147μm)の篩の順に重ねてセットする。このセットした100mesh(目開き147μm)の篩上に試料を加え、振動台への入力電圧が15Vになる様にし、その際の振動台の振幅が60乃至90μmの範囲に入る様に調整し、約25秒間振動を加え、その後、各篩上に残った試料の質量を測定し、下式に基づき凝集度を得る。凝集度の値が小さい程、トナーの流動性は高い。
本発明において、形状係数を示すSF−1とは、例えば日立製作所製FE−SEM(S−800)を用い倍率500倍に拡大したトナー像を100個無作為にサンプリングし、その画像情報はインターフェースを介して例えばニレコ社製画像解析装置(LuzexIII)に導入し解析を行い、下式より算出し得られた値を形状係数SF−1と定義する。
(式中、MXLNGはトナー粒子の絶対最大長を示し、AREAはトナー粒子の投影面積を示す)
形状係数SF−1は、トナー粒子の丸さの度合を示す。
(2)画像形成方法・装置
本発明の特徴の一つは記録材に定着画像を形成する画像形成方法にある。
図1を参照しながら本発明の画像形成方法の一例をより具体的に説明する。
図1は画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は電子写真プリンタである。
101は有機感光体やアモルファスシリコン感光体でできた感光体ドラム(像担持体)であり、矢示の方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
感光体ドラム101は、その回転過程で帯電ローラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な帯電処理を受ける。
次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103による、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レーザ光学箱110は、不図示の画像読み取り装置等の画像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光103を出力して、回転感光体ドラム101面に走査露光した目的画像情報に対応した静電潜像が形成される。
次いでその静電潜像に対して、適切な現像電位差を与えられた現像装置104によって、静電潜像を感光体ドラム101上にトナー画像として顕像化する。
そのトナー画像は、感光体ドラム101と転写ローラ106との接触ニップ部である転写部において、不図示の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた記録材Pの面に転写されていく。転写ローラ106は、記録材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで感光体ドラム101面側から記録材P側へトナー画像を転写する。
転写部を通過した記録材Pは、感光体ドラム101の面から分離されて像加熱装置(定着装置)100へ導入され、未定着トナー画像の加熱定着処理を受けて画像形成物として機外の不図示の排紙トレーに排出される。定着装置100については次の『(3)定着装置(加熱手段)』で詳述する。
記録材Pに対するトナー画像転写後の感光体ドラム101は、クリーナ107により転写残りトナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃される。このクリーナ107は常時は中間転写体ドラム105に接触状態に保持される。
本例装置は、カートリッジに充填するトナーにモノカラートナーを用いることで、黒以外のモノカラー画像のプリントモードも実行できる。また両面画像プリントモード、或いは多重画像プリントモードも実行できる。両面画像プリントモードの場合は、定着装置100を出た1面目画像プリント済みの記録材Pは、不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されて再び転写部へ送り込まれて2面に対するトナー画像転写を受け、再度、定着装置100に導入されて2面に対するトナー画像の定着処理を受けることで両面画像プリントが出力される。
多重画像プリントモードの場合は、定着装置100を出た1回目画像プリント済みの記録材Pは不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されずに再び転写部へ送り込まれて1回目画像プリント済みの面に2回目のトナー画像転写を受け、再度、定着装置100に導入されて2回目のトナー画像の定着処理を受けることで多重画像プリントが出力される。
一方、図2は画像形成装置の他の例の概略構成図である。本例の画像形成装置は電子写真フルカラープリンタである。
感光体ドラム101は、図1と同様にその回転過程で帯電ローラ等の帯電装置102で所定の極性・電位の一様な帯電処理を受ける。
次いでその帯電処理面にレーザ光学箱(レーザスキャナー)110から出力されるレーザ光103による、目的の画像情報の走査露光処理を受ける。レーザ光学箱110は、不図示の画像読み取り装置等の画像信号発生装置からの目的画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調(オン/オフ)したレーザ光103を出力して、回転感光体ドラム101面に走査露光した目的画像情報に対応した静電潜像が形成される。109は、レーザ光学箱110からの出力レーザ光を感光体ドラム101の露光位置に偏向させるミラーである。
フルカラー画像形成の場合は、目的のフルカラー画像の第1の色分解成分画像、例えばイエロー成分画像についての走査露光・潜像形成がなされ、その潜像が4色カラー現像装置104のうちのイエロー現像器104Yの作動でトナー画像として現像される。そのトナー画像は、感光体ドラム101と中間転写体ドラム105との接触部(或いは近接部)である一次転写部T1において中間転写体ドラム105の面に転写される。中間転写体ドラム105面に対するトナー画像転写後の回転感光体ドラム101面は、クリーナ107により転写残りトナー等の付着残留物の除去を受けて清掃される。
上記のような帯電・走査露光・現像・一次転写・清掃のプロセスサイクルが、目的のフルカラー画像の第2の色分解成分画像(例えばマゼンタ成分画像、マゼンタ現像器104Mが作動)、第3の色分解成分画像(例えばシアン成分画像、シアン現像器104Cが作動)、第4の色分解成分画像(例えば黒成分画像、黒現像器104BKが作動)の各色分解成分画像について順次実行され、中間転写体ドラム105面にイエロートナー画像・マゼンタトナー画像・シアントナー画像・黒トナー画像の都合4色のトナー画像が順次重ねて転写されて、目的のフルカラー画像に対応したカラートナー画像が合成・形成される。
中間転写体ドラム105は、金属ドラム上に中抵抗の弾性層と高抵抗の表層を有するもので、感光体ドラム101に接触して或いは近接して感光体ドラム101と同じ周速度で矢示の方向に回転駆動され、中間転写体ドラム105の金属ドラムにバイアス電位を与えて感光体ドラム101との電位差で、感光体ドラム101側のトナー画像を前記中間転写体ドラム105面側に転写させる。
上記の回転中間転写体ドラム105面に合成・形成されたカラートナー画像は、前記回転中間転写体ドラム105と転写ローラ106との接触ニップ部である二次転写部T2において、前記二次転写部T2に不図示の給紙部から所定のタイミングで送り込まれた記録材Pの面に転写されていく。転写ローラ106は、記録材Pの背面からトナーと逆極性の電荷を供給することで、中間転写体ドラム105面側から記録材P側へ合成カラートナー画像を順次に一括転写する。
二次転写部T2を通過した記録材Pは、中間転写体ドラム105の面から分離されて像加熱装置(定着装置)100へ導入され、未定着トナー画像の加熱定着処理を受けてカラー画像形成物として機外の不図示の排紙トレーに排出される。定着装置100については次の『(2)定着装置(加熱手段)』で詳述する。
記録材Pに対するカラートナー画像転写後の回転中間転写体ドラム105は、クリーナ108により転写残りトナー・紙粉等の付着残留物の除去を受けて清掃される。このクリーナ108は、常時は中間転写体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写体ドラム105から記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105に接触状態に保持される。
また転写ローラ106も、常時は中間転写体ドラム105に非接触状態に保持されており、中間転写体ドラム105から記録材Pに対するカラートナー画像の二次転写実行過程において中間転写体ドラム105に記録材Pを介して接触状態に保持される。
本例装置は、白黒画像などモノカラー画像のプリントモードも実行できる。また両面画像プリントモード、或いは多重画像プリントモードも実行できる。両面画像プリントモードの場合は、定着装置100を出た1面目画像プリント済みの記録材Pは、不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されて再び二次転写部T2へ送り込まれて2面に対するトナー画像転写を受け、再度、定着装置100に導入されて2面に対するトナー画像の定着処理を受けることで両面画像プリントが出力される。
多重画像プリントモードの場合は、定着装置100を出た1回目画像プリント済みの記録材Pは、不図示の再循環搬送機構を介して表裏反転されずに再び二次転写部T2へ送り込まれて1回目画像プリント済みの面に2回目のトナー画像転写を受け、再度、定着装置100に導入されて2回目のトナー画像の定着処理を受けることで多重画像プリントが出力される。
本発明の画像形成方法において、記録材上のトナー乗り量は、マゼンタ,シアン,イエローのようなモノカラーの場合0.05乃至0.80dg/m2が好ましく、0.1乃至0.7dg/m2がより好ましい。
0.05dg/m2未満の場合には、トナーの着色力を大きくしたとしても、画像濃度の貧弱なものしか得られない。0.80dg/m2を超える場合には、本発明で謳っている効果が明確に発現されにくい。
(3)定着装置(加熱手段)100
本発明の特徴の一つである定着装置について具体的に説明するが、本発明の加熱定着装置は例示したものに限定するものではなく、例えば励磁コイル部分をベルトの外部に設置した構成の加熱定着装置であっても良い。
図3は、本発明における電磁誘導加熱方式の定着装置100の要部の横断側面模式図、図4は要部の正面模式図、図5は要部の縦断正面模式図を具体的に示したものである。
本例装置100は図10の定着器と同様に、円筒状の電磁誘導発熱性ベルトを用いた、加圧ローラ駆動方式、電磁誘導加熱方式の装置である。図10の装置と共通の構成部材・部分には同一の符号を付して再度の説明を省略する。
磁場発生手段は、磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18からなる。
磁性コア17a・17b・17cは高透磁率の部材であり、フェライトやパーマロイ等といったトランスのコアに用いられる材料がよく、より好ましくは100kHz以上でも損失の少ないフェライトを用いるのがよい。
励磁コイル18には、図6に示すように給電部18a・18bに励磁回路27を接続してある。この励磁回路27は、10kHzから500kHzの高周波をスイッチング電源で発生できるようになっている。
励磁コイル18は、励磁回路27から供給される交番電流(高周波電流)によって交番磁束を発生する。
16a・16bは横断面略半円弧状樋型のベルトガイド部材であり、開口側を互いに向かい合わせて略円柱体を構成し、外側に円筒状の電磁誘導性発熱ベルトである定着ベルト10をルーズに外嵌させてある。
前記ベルトガイド部材16aは、磁場発生手段としての磁性コア17a・17b・17cと励磁コイル18を内側に保持している。
また、ベルトガイド部材16aには、図5に示すように紙面垂直方向長手の良熱伝導部材40がニップ部Nの加圧ローラ30との対向面側で、定着ベルト10の内側に配設してある。
本例においては、良熱伝導性部材40にアルミニウムを用いている。前記良熱伝導部材40は熱伝導率kがk=240[W・m-1・K-1]であり、厚さ1[mm]である。
また、良熱伝導部材40は、磁場発生手段である励磁コイル18と磁性コア17a・17b・17cから発生する磁場の影響を受けないように、この磁場の外に配設してある。
具体的には、良熱伝導部材40を励磁コイル18に対して磁性コア17cを隔てた位置に配設し、励磁コイル18による磁路の外側に位置させて良熱伝導体40に影響を与えないようにしている。
22は、ベルトガイド部材16bの内面平面部に当接させて配設した横長の加圧用剛性ステイである。
19は、磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18と加圧用剛性ステイ22の間を絶縁するための絶縁部材である。
フランジ部材23a・23bは、ベルトガイド部材16a・16bのアセンブリの左右両端部に外嵌し、前記左右位置を固定しつつ回転自在に取り付け、定着ベルト10の回転時に前記定着ベルト10の端部を受けて定着ベルトのベルトガイド部材長手に沿う寄り移動を規制する役目をする。
加圧部材としての加圧ローラ30は、芯金30aと、前記芯金周りに同心一体にローラ状に成形被覆させた、シリコーンゴム・フッ素ゴム・フッ素樹脂などの耐熱性・弾性材層30bとで構成されており、芯金30aの両端部を装置の不図示のシャーシ側板金間に回転自由に軸受け保持させて配設してある。
加圧用剛性ステイ22の両端部と装置シャーシ側のバネ受け部材29a・29bとの間にそれぞれ加圧バネ25a・25bを縮設することで、加圧用構成ステイ22に押し下げ力を作用させている。これにより、ベルトガイド部材16aの下面と加圧ローラ30の上面とが定着ベルト10を挟んで圧接して所定幅の定着ニップ部Nが形成される。
加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動による前記加圧ローラ30と定着ベルト10の外面との摩擦力で定着ベルト10に回転力が作用し、前記定着ベルト10が、その内面が定着ニップNにおいて良熱伝導部材40の下面に密着して摺動しながら、矢示の方向に加圧ローラ30の回転周速度にほぼ対応した周速度をもってベルトガイド部材16a・16bの外回りを回転状態になる。
この場合、定着ニップ部Nにおける良熱伝導部材40の下面と定着ベルト10の内面との相互摺動摩擦力を低減化させるために、定着ニップ部Nの良熱伝導部材40の下面と定着ベルト10の内面との間に耐熱性グリスなどの潤滑剤を介在させる、あるいは良熱伝導性部材40の下面を潤滑部材で被覆することもできる。これは、良熱伝導部材40としてアルミニウムを用いた場合のように表面滑り性が材質的によくない或いは仕上げ加工を簡素化した場合に、摺動する定着ベルト10に傷をつけて定着ベルト10の耐久性が悪化してしまうことを防ぐものである。
良熱伝導部材40は長手方向の温度分布を均一にする効果があり、例えば、小サイズ紙を通紙した場合、定着ベルト10での非通紙部の熱量が、良熱伝導部材40へ伝熱し、良熱伝導部材40における長手方向の熱伝導により、非通紙部の熱量が小サイズ紙通紙部へ伝熱される。これにより、小サイズ紙通紙時の消費電力を低減させる効果も得られる。
また、図6に示すように、ベルトガイド部材16aの曲面に、その長手に沿い所定の間隔を置いて凸リブ部16eを形成具備させ、ベルトガイド部材16aの曲面と定着ベルト10の内面との接触摺動抵抗を低減させて定着ベルト10の回転負荷を少なくしている。このような凸リブ部はベルトガイド部材16bにも同様に形成具備することができる。
図7は交番磁束の発生の様子を模式的に表したものである。磁束Cは発生した交番磁束の一部を表す。磁性コア17a・17b・17cに導かれた交番磁束Cは、磁性コア17aと磁性コア17bとの間、そして磁性コア17aと磁性コア17cとの間において定着ベルト10の電磁誘導発熱層1に渦電流を発生させる。この渦電流は電磁誘導発熱層1の固有抵抗によって電磁誘導発熱層1にジュール熱(渦電流損)を発生させる。ここでの発熱量Qは電磁誘導発熱層1を通る磁束の密度によって決まり、図7のグラフような分布を示す。図7のグラフは、縦軸が磁性コア17aの中心を0とした角度θで表した定着ベルト10における円周方向の位置を示し、横軸が定着ベルト10の電磁誘導発熱層1での発熱量Qを示す。ここで、発熱域Hは最大発熱量をQとした場合、発熱量がQ/e以上の領域と定義する。これは、定着に必要な発熱量が得られる領域である。
この定着ニップ部Nの温度は、不図示の温度検知手段を含む温調系により励磁コイル18に対する電流供給が制御されることで所定の温度が維持されるように温調される。26は定着ベルト10の温度を検知するサーミスタなどの温度センサであり、本例においては温度センサ26で測定した定着ベルト10の温度情報をもとに定着ニップ部Nの温度を制御するようにしている。
而して、定着ベルト10が回転し、励磁回路27から励磁コイル18への給電により上記のように定着ベルト10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調された状態において、画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像tが形成された記録材Pが定着ニップ部Nの定着ベルト10と加圧ローラ30との間に画像面が上向き、即ち定着ベルト面に対向して導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着ベルト10の外面に密着して定着ベルト10と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この定着ニップ部Nを定着ベルト10と一緒に記録材Pが挟持搬送されていく過程において定着ベルト10の電磁誘導発熱で加熱されて、記録材P上の未定着トナー画像t1が加熱定着される。記録材Pは定着ニップ部Nを通過すると回転定着ベルト10の外面から分離して排出搬送されていく。記録材上の加熱定着トナー画像t2は定着ニップ部通過後、冷却して永久固着像となる。
本例においては、図3に示すように、定着フィルム10のこの発熱域H(図6)の対向位置に暴走時の励磁コイル18への給電を遮断するため、温度検知素子であるサーモスイッチ50を配設している。
図8は本例で使用した安全回路の回路図である。温度検知素子であるサーモスイッチ50は、+24V DC電源とリレースイッチ51と直列に接続されており、サーモスイッチ50が切れると、リレースイッチ51への給電が遮断され、リレースイッチ51が動作し、励磁回路27への給電が遮断されることにより励磁コイル18への給電を遮断する構成をとっている。サーモスイッチ50はOFF動作温度を220℃に設定した。
また、サーモスイッチ50は定着フィルム10の発熱域Hに対向して定着フィルム10の外面に非接触に配設した。サーモスイッチ50と定着フィルム10との間の距離は約2mmとした。これにより、定着フィルム10にサーモスイッチ50の接触による傷が付くことがなく、耐久による定着画像の劣化を防止することができる。
本例によれば、装置故障による定着装置暴走時、図10のような定着ニップNで発熱する構成とは違い、定着ニップNに紙が挟まった状態で定着器が停止し、励磁コイル18に給電が続けられ定着フィルム10が発熱し続けた場合でも、紙が挟まっている定着ニップ部Nでは発熱していないために紙が直接加熱されることがない。また、発熱量が多い発熱域Hには、サーモスイッチ50が配設してあるため、サーモスイッチ50が220℃を感知して、サーモスイッチが切れた時点で、リレースイッチ51により励磁コイル18への給電が遮断される。
本例によれば、紙の発火温度は約400℃近辺であるため紙が発火することはなく、定着フィルムの発熱を停止することができる。
温度検知素子としてサーモスイッチのほかに温度ヒューズを用いることもできる。
本例では、定着装置にオフセット防止のためのオイル塗布や冷却分離を行ってもよい。
また、加圧・駆動の方向においても同様にして例えばバネなどを用いた機構により定着ローラの回転軸方向に加圧ローラを加圧し、定着ローラを駆動する方法も可能である。
A)励磁コイル18
励磁コイル18はコイル(線輪)を構成させる導線(電線)として、一本ずつがそれぞれ絶縁被覆された銅製の細線を複数本束ねたもの(束線)を用い、これを複数回巻いて励磁コイルを形成している。本例では10ターン巻いて励磁コイル18を形成している。
絶縁被覆は、定着ベルト10の発熱による熱伝導を考慮して耐熱性を有する被覆を用いるのがよい。たとえば、アミドイミドやポリイミドなどの被覆を用いるとよい。
励磁コイル18は外部から圧力を加えて密集度を向上させてもよい。
励磁コイル18の形状は、図3のように発熱層の曲面に沿うようにしている。本例では定着ベルトの発熱層と励磁コイル18との間の距離は約2mmになるように設定した。
励磁コイル保持部材19の材質としては絶縁性に優れ、耐熱性がよいものがよい。例えば、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂、LCP樹脂などを選択するとよい。
磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18と、定着ベルトの発熱層の間の距離はできる限り近づけた方が磁束の吸収効率が高く、この距離が5mmを超えるとこの効率が著しく低下するため5mm以内にするのがよい。また、5mm以内であれば定着ベルト10の発熱層と励磁コイル18の距離が一定である必要はない。
励磁コイル18の励磁コイル保持部材19からの引出線すなわち18a・18b(図6)については、励磁コイル保持部材19から外の部分について束線の外側に絶縁被覆を施している。
B)定着ベルト10
図9は定着ベルト10の層構成模式図である。図9(a)の定着ベルト10は、電磁誘導発熱性の定着ベルト10の基層となる金属ベルト等でできた発熱層1と、その外面に積層した離型層3の複合構造のものである。図9(b)の定着ベルト10は、発熱層1と離型層3の間に弾性層2を設けたものである。また、発熱層1と弾性層2との間の接着、弾性層2と離型層3との間の接着のため、各層間にプライマー層(不図示)を設けてもよい。略円筒形状である定着ベルト10において発熱層1が内面側であり、離型層3が外面側である。前述したように、発熱層1に交番磁束が作用することで前記発熱層1に渦電流が発生して前記発熱層1が発熱する。その熱が弾性層2・離型層3を介して定着ベルト10を加熱し、前記定着ニップNに通紙される被加熱材としての記録材Pを加熱してトナー画像の加熱定着がなされる。
a.発熱層1
発熱層1は、非磁性の金属でも良いが、より好ましくは磁束の吸収の良いニッケル、鉄、磁性ステンレス、コバルト−ニッケル合金等の強磁性体の金属が良い。
その厚みは次の式で表される表皮深さより厚くかつ200μm以下にすることが好ましい。表皮深さσ[m]は、励磁回路の周波数f[Hz]と透磁率μと固有抵抗ρ[Ωm]で
σ=503×(ρ/fμ)1/2
と表される。
これは電磁誘導で使われる電磁波の吸収の深さを示しており、これより深いところでは電磁波の強度は1/e以下になっており、逆にいうと殆どのエネルギーはこの深さまでで吸収されている。
発熱層1の厚さは好ましくは1〜200μmがよい。発熱層1の厚みが1μmよりも小さいとほとんどの電磁エネルギーが吸収しきれないため効率が悪くなる。また、発熱層が200μmを超えると剛性が高くなりすぎ、また屈曲性が悪くなり回転体として使用するには現実的ではない。
b.弾性層2
弾性層2は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等で耐熱性がよく、熱伝導率がよい材質である。
弾性層2の厚さは、画像を印刷する場合に記録材の凹凸あるいはトナー層の凹凸に加熱面(離型層3)が追従できないとによる光沢ムラを予防するために、10〜500μmが好ましい。
弾性層2の硬度は、硬度が高すぎると記録材あるいはトナー層の凹凸に追従しきれず、画像光沢ムラが発生してしまう。そこで、弾性層2の硬度としては、60°(J1S−A)以下、より好ましくは45°(JlS−A)以下がよい。
弾性層2の熱伝導率λに関しては、
2.5×10-3〜8.4×10-3[J/cm・sec・deg.]
がよい。
熱伝導率λが2.5×10-3[J/cm・sec・deg.]よりも小さい場合には、熱抵抗が大きく、定着ベルトの表層(離型層3)における温度上昇が遅くなる。熱伝導率λが8.4×10-3[J/cm・sec・deg.]よりも大きい場合には、硬度が高くなりすぎたり、圧縮永久歪みが悪化する。
よって熱伝導率λは2.5×10-3〜8.4×10-3[J/cm・sec・deg.]がよい。より好ましくは3.3×10-3〜6.3×10-3[J/cm・sec・deg.]がよい。
c.離型層3
離型層3はフッ素樹脂、シリコーン樹脂、フルオロシリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、PFA、PTFE、FEP等の離型性かつ耐熱性のよい材料を選択することができる。
離型層3の厚さは1〜100μmが好ましい。離型層3の厚さが1μmよりも小さいと塗膜の塗ムラで離型性の悪い部分ができたり、耐久性が不足するといった問題が発生する。また、離型層が100μmを超えると熱伝導が悪化するという問題が発生し、特に樹脂系の離型層の場合は硬度が高くなりすぎ、弾性層2の効果がなくなってしまう。
d.断熱層
また、定着ベルト10構成において、発熱層1のベルトガイド面側(発熱層1の弾性層2とは反対面側)に断熱層(不図示)を設けてもよい。
断熱層としては、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂、PFA樹脂、PTFE樹脂、FEP樹脂などの耐熱樹脂がよい。
また、断熱層の厚さとしては10〜1000μmが好ましい。断熱層の厚さが10μmよりも小さい場合には断熱効果が得られず、また、耐久性も不足する。一方、1000μmを超えると磁性コア17a・17b・17c及び励磁コイル18から発熱層1までの距離が大きくなり、磁束が十分に発熱層1に吸収されなくなる。
断熱層は、発熱層1に発生した熱が定着ベルトの内側に向かわないように断熱できるので、断熱層がない場合と比較して記録材P側への熱供給効率が良くなる。よって、消費電力を抑えることができる。
C)ニップ
本発明の加熱定着装置における回転加熱部材と加圧部材からなる定着ニップ部Nは、良好な定着性を確保するために、幅5.0〜15.0mmのニップを形成しているとが好ましい。定着ニップN部の幅が5.0mm未満では、フルカラー画像形成時、トナーを定着するための熱量を十分に未定着トナーに与えることができなくなり、トナーを溶融混色できず、不自然なカラー画像となるため好ましくない。
また、定着ニップN部の幅が15.0mmを超えると、トナーを定着するための熱量は十分に与えることができるものの、定着時のホットオフセットが発生し易くなり、また、定着ニップ部Nの両端部(定着フィルム10の上流側端部及び下流側端部)において曲率変化が大きくなりすぎ、定着フィルム10の耐久性が著しく悪化するため好ましくない。
D)単位面積当たりの圧力
本発明の加熱定着装置におけるニップ部の圧力(面圧)は、記録材を介した状態で、面圧9000〜500000N/m2の範囲が好ましく、面圧30000〜350000N/m2の範囲がより好ましい。
転写材に加えられる圧力の調節は、図4におけるバネ25a・25bのバネ圧により行うことができる。すなわち、25a・25bに使用するバネのバネ定数を任意に変更することによって、面圧を制御する。また、バネ止め位置29a・29bと加圧ローラ30の距離を制御することによって、面圧を制御することも可能である。
E)定着フィルム10の周長、及び、定着スピード
本例においては、電磁誘導により発熱する定着フィルム10の周長及び定着フィルム10が一回転するのに要する時間を以下のように設定することによって、安定した定着性を確保したまま、クイックスタートを実現し、かつ消費電力を小さくしている。
定着フィルム10の発熱層1は薄いために熱容量が小さく、また、金属のために熱伝導率が良いため放熱性がよい。そのため、定着フィルム10の周長Lが200mmを超える場合、定着フィルム10が一回転する間の温度低下が大きすぎて、クイックスタートができなくなる。また、局長の増加に伴う加熱面積の増加により、消費電力が大きくなってしまう。このため、定着フィルム10の周長Lは200mm以下が望ましい。
一方、定着フィルム10の周長Lが70mm未満の場合、定着ニップ部Nの両端部(定着フィルム10の上流側端部及び下流側端部)において曲率変化が大きくなりすぎ、定着フィルム10の耐久性が著しく悪化する。このため、定着フィルム10の周長Lは70mm以上が望ましい。
また、定着フィルム10の回転速度(定着スピード)が300mm/secを超えると、定着フィルム10を安定して回転させることができず、定着フィルム10を破損してしまう。このため、定着フィルム10の回転速度Vとしてのプロセススピードは300mm/sec以下が望ましい。
また、図10は、励磁コイルの交番磁束分布を定着ニップに集中させて効率を向上させた電磁誘導加熱方式の定着装置の一例の概略構成である。
10は電磁誘導発熱層(導電体層、磁性体層、抵抗体層)を有する、電磁誘導発熱性の回転体としての円筒状の定着フィルムである。
16は横断面略半円弧状樋型のフィルムガイド部材であり、円筒状定着フィルム10はこのフィルムガイド部材16の外側にルーズに外嵌させてある。
15はフィルムガイド部材16の内側に配設した磁場発生手段であり、励磁コイル18とE型の磁性コア(芯材)17とからなる。30は弾性加圧ローラであり、定着フィルム10を挟ませてフィルムガイド部材16の下面と所定の圧接力をもって所定幅の定着ニップ部Nを形成させて相互圧接させてある。上記磁場発生手段15の磁性コア17は定着ニップ部Nに対応位置させて配設してある。
加圧ローラ30は駆動手段Mにより矢示の方向に回転駆動される。この加圧ローラ30の回転駆動による該加圧ローラ30と定着フィルム10の外面との摩擦力で定着フィルム10に回転力が作用して、該定着フィルム10が、その内面が定着ニップ部Nにおいてフィルムガイド部材16の下面に密着して摺動しながら、矢示の方向に加圧ローラ30の回転周速度にほぼ対応した周速度をもってフィルムガイド部材16の外回りを回転状態になる(加圧ローラ駆動方式)。
フィルムガイド部材16は、定着ニップ部への加圧・磁場発生手段15としての励磁コイル18と磁性コア17の支持、定着フィルム10の支持、該フィルム10の回転時の搬送安定性を図る役目をする。このフィルムガイド部材16は磁束の通過を妨げない絶縁性の部材であり、高い荷重に耐えられる材料が用いられる。
励磁コイル18は、不図示の励磁回路から供給される交番電流によって交番磁束を発生する。交番磁束は、定着ニップ部Nの位置に対応しているE型の磁性コア17により定着ニップ部Nに集中的に分布し、その交番磁束は定着ニップ部Nにおいて定着フィルム10の電磁誘導発熱層に渦電流を発生させる。この渦電流は、電磁誘導発熱層の固有抵抗によって電磁誘導発熱層にジュール熱を発生させる。
この定着フィルム10の電磁誘導発熱は、交番磁束を集中的に分布させた定着ニップ部Nにおいて集中的に生じて定着ニップ部Nが高効率に加熱される。
定着ニップ部Nの温度は、不図示の温度検知手段を含む温調系により励磁コイル18に対する電流供給が制御されることで、所定の温度が維持されるように温調される。
而して、加圧ローラ30が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着フィルム10がフィルムガイド部材16の外回りを回転し、励磁回路から励磁コイル18への給電により上記のように定着フィルム10の電磁誘導発熱がなされて定着ニップ部Nが所定の温度に立ち上がって温調された状態において、不図示の画像形成手段部から搬送された未定着トナー画像t1が形成された記録材Pが定着ニップ部Nの定着フィルム10と加圧ローラ30との間に画像面が上向き、即ち定着フィルム面に対向して導入され、定着ニップ部Nにおいて画像面が定着フィルム10の外面に密着して定着フィルム10と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この定着ニップ部Nを定着フィルム10と一緒に記録材Pが挟持搬送されていく過程において定着フィルム10の電磁誘導発熱で加熱されて記録材P上の未定着トナー画像t1が加熱定着される。記録材Pは、定着ニップ部Nを通過すると回転定着フィルム10の外面から分離して排出搬送されていく。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これは、本発明になんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は、特に説明のない場合は質量部である。
<参考例1>
反応容器中のイオン交換水10000部に、ポリビニルアルコール(東京化成社製、重合度約1400、ケン化度約99%)100部を投入し、N2パージしながら60℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、170S-1にて撹拌しながら、水溶性高分子が溶解した水系媒体を調製した。水系媒体のpHは5.5〜6.5であった。
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・グラフト化カーボン 7部
・荷電制御剤(カリックスアレーン) 0.7部
・前記オキシカルボン酸(1−A) 1.0部
・エステルワックス(離型剤No.6) 16部
・架橋剤(ジビニルベンゼン) 0.4部
別容器中で上記材料を60℃に保温し、TK方式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、170S-1にて均一に溶解・分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2−4ジメチルバレロニトリル)3.5部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて300S-1で5分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で60℃にて17S-1で撹拌し、3時間経った時点で1.7S-1にし、さらに3時間撹拌させ、その後85℃に昇温し6時間反応させた後、85℃で蒸留を6時間行った。
重合反応終了後、反応容器を冷却し、ろ過,水洗,乾燥をして、ブラックトナーNo.1を得た。このブラックトナー粒子の断面をTEMにより観測したところ、図11に示すように離型剤が外殻樹脂で良好に内包化されていることが認識できた。
得られたブラックトナー粒子100部と、BET法による比表面積が95m2/gである疎水性酸化チタン微粉体1.2部とを混合し、負摩擦帯電性のブラックトナーを得た。得られたブラックトナーの円相当個数平均径D1は4.7μmであった。
このブラックトナー7部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア93部を混合して現像剤を調製し、図1に示すような複写機を用いて、ブラックトナーのA3版サイズの未定着画像を出した。
その後、電磁誘導方式の加熱加圧手段において、図9(a)の如き発熱層と離型層からなる定着ベルトを用い、発熱層の厚さを50μm、離型層の厚さを45μmとし、回転加熱部材と加圧ローラーとの単位面積当たりの圧力を65000N/m2にて、定着画像を得た。
上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<参考例2>
エステルワックス(離型剤No.6)を34部に変更し、ブラックトナーNo.2を製造する以外は、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<参考例3>
重合開始剤2,2’−アゾビス(2−4ジメチルバレロニトリル)量を5部に変更し、ブラックトナーNo.3を製造する以外は、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<参考例4>
造粒後、パドル撹拌翼で60℃にて60S-1で撹拌し、3時間経った時点で、12S-1にし、ブラックトナーNo.4を製造する以外は、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<参考例5>
前記オキシカルボン酸(1−A)の量を0.18部にし、ブラックトナーNo.5を製造する以外は、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<参考例6>
前記オキシカルボン酸を(2−A)へ変更しブラックトナーNo.6を製造する以外は、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<参考例7>
前記オキシカルボン酸を(1−F)へ変更し、ブラックトナーNo.7を製造する以外は、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<参考例8>
前記オキシカルボン酸を(1−J)へ変更し、ブラックトナーNo.8を製造する以外は、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<参考例9>
参考例1と同様にしてブラックトナーNo.1を製造した後、前記オキシカルボン酸(1−A)をトナー全量に対し1.6質量%外添して、ブラックトナーNo.9を製造する。それ以外は、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<参考例10>
参考例1と同様にしてブラックトナーNo.1を製造した後、電磁誘導方式の加熱加圧手段における発熱層の厚さを100μmに変更する以外は、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<参考例11>
参考例1と同様にしてブラックトナーNo.1を製造した後、電磁誘導方式の加熱加圧手段における離型層の厚さを80μmに変更する以外は、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<参考例12>
参考例1と同様にしてブラックトナーNo.1を製造した後、電磁誘導方式の加熱加圧手段における回転加熱部材と加圧ローラーとの単位面積当たりの圧力を370000N/m2に変更する以外は、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<比較例1>
離型層の厚さを110μmにすること以外は、ブラックトナーNo.1を用いて、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<比較例2>
電磁誘導方式の加熱加圧手段における回転加熱部材と加圧ローラーとの単位面積当たりの圧力を520000N/m2に変更する以外は、ブラックトナーNo.1を用いて参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<比較例3>
定着速度を365mm/secに変更する以外は、ブラックトナーNo.1を用いて参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
<比較例4>
参考例1と同様にしてブラックトナーNo.1を製造した後、前記オキシカルボン酸(1−A)をトナー全量に対し21.8質量%外添して、ブラックトナーNo.10を製造する以外は、参考例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表2、評価結果を表3にそれぞれ示す。
表3に示す評価に関し、環境は常温常湿(22℃,65%RH)とし、定着を行うモードはクイックスタートモードとして以下に示す方法で評価を実施した。
・耐低温オフセット性の評価について:
中間転写体を搭載したフルカラー複写機(クリエイティブプロセッサー660,キヤノン製)の改造機を用いて、ブラックトナーの全面印字された未定着画像を出した。この時のトナー乗り量は、0.5乃至0.6dg/m2とし、転写材はA3サイズで75g/m2の再生転写紙を使用した。
次に参考例及び比較例に記載の定着条件かつ、定着温度を175℃の条件にした定着条件にて、上記未定着画像を定着する。
得られた画像を4.9×102Pa(5×102kg/m2)の荷重をかけシルボン紙[Lenz Cleaning Paper “dasper(R)”(Ozu Paper Co.Ltd)]で5回擦り、擦り前後の濃度低下率が10%未満になる温度を定着開始点とする。
なお、画像濃度の測定は、Macbeth RD918(マクベス社製)を用いて行った。
A;濃度低下率が5%未満
B;濃度低下率が5%以上10%未満
C;濃度低下率が10%以上15%未満
D;濃度低下率が15%以上
・耐高温オフセット性の評価について:
中間転写体を搭載したフルカラー複写機(クリエイティブプロセッサー660,キヤノン製)の改造機を用いて、ブラックトナーの全面印字された未定着画像を出した。この時のトナー乗り量は、0.5乃至0.6dg/m2とし、転写材はA3サイズで75g/m2の再生転写紙を使用した。
次に参考例及び比較例に記載の定着条件かつ、定着温度を190℃の条件にした定着条件にて上記未定着画像を500枚連続定着する。
定着1枚目の画像と定着500枚目の画像との5ヶ所平均光沢度の差を測定した。
なお、光沢度の測定はPG−3D(NIPPON DENSYOKU社製;入射角75度)を用いて行った。
A;光沢度差が4未満
B;光沢度差が4以上7未満
C;光沢度差が7以上10未満
D;光沢度差が10以上
<実施例1>
反応容器中のイオン交換水10000部に、ポリビニルアルコール(東京化成社製、重合度約2000、ケン化度約80%)100部ならびドデシル硫酸ナトリウム250部を投入し、N2パージしながら60℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、170S-1にて撹拌しながら、水溶性高分子が溶解した水系媒体を調製した。
・スチレン 80部
・n−ブチルアクリレート 20部
・キナクリドン顔料 8部
・荷電制御剤(カリックスアレーン) 0.5部
・前記オキシカルボン酸(1−A) 1.0部
・エステルワックス(離型剤No.6) 16部
・架橋剤(ジビニルベンゼン) 0.3部
別容器中で上記材料を60℃に保温し、TK方式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、170S-1にて均一に溶解・分散した。これに、重合開始剤2,2’−アゾビス(2−4ジメチルバレロニトリル)3.5部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
反応容器中の前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて300S-1で5分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル撹拌翼で60℃にて17S-1で撹拌し、3時間経った時点で、1.7S-1にし、さらに3時間撹拌させ、その後85℃に昇温し6時間反応させた後、85℃で蒸留を6時間行った。
重合反応終了後、反応容器を冷却し、ろ過,水洗,乾燥をして、マゼンタトナーNo.1を得た。このマゼンタトナー粒子の断面をTEMにより観測したところ、図11に示すように離型剤が外殻樹脂で良好に内包化されていることが認識できた。
得られたマゼンタトナー粒子100部と、BET法による比表面積が95m2/gである疎水性酸化チタン微粉体1.2部とを混合し、負摩擦帯電性のマゼンタトナーを得た。得られたマゼンタトナーの円相当個数平均径D1は4.6μmであった。
このマゼンタトナー7部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア93部を混合して現像剤を調製し、図2に示すような中間転写体を搭載したフルカラー複写機(クリエイティブプロセッサー660,キヤノン製)の改造機を用いて、マゼンタトナーのA3版サイズの未定着画像を出した。
その後、電磁誘導方式の加熱加圧手段において、図9(b)の如き発熱層,弾性層及び離型層からなる定着ベルトを用い、発熱層の厚さを50μm、弾性層の厚さを250μm、離型層の厚さを40μm、回転加熱部材と加圧ローラーとの単位面積当たりの圧力を70000N/m2にて、紙の場合には定着スピードを120mm/sec、定着温度を180℃の条件にし、また、OHTの場合には定着スピードを30mm/sec、定着温度を180℃の条件にした定着器において、定着画像を得た。
上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<実施例2>
エステルワックス(離型剤No.6)を33部に変更し、マゼンタトナーNo.2を製造する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<実施例3>
重合開始剤2,2’−アゾビス(2−4ジメチルバレロニトリル)量を5部に変更し、マゼンタトナーNo.3を製造する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<実施例4>
造粒後、パドル撹拌翼で60℃にて60S-1で撹拌し、3時間経った時点で、13S-1にし、マゼンタトナーNo.4を製造する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<実施例5>
前記オキシカルボン酸(1−A)の量を0.20部にし、マゼンタトナーNo.5を製造する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<参考例13>
前記オキシカルボン酸を(2−A)へ変更し、かつ離型剤をパラフィンワックスに変更して、マゼンタトナーNo.6を製造する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<実施例6>
前記オキシカルボン酸を(1−F)へ変更し、マゼンタトナーNo.7を製造する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<実施例7>
前記オキシカルボン酸を(1−J)へ変更し、マゼンタトナーNo.8を製造する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<参考例14>
実施例1と同様にしてマゼンタトナーNo.1を製造した後、前記オキシカルボン酸(1−A)をトナー全量に対し1.5質量%外添して、マゼンタトナーNo.9を製造する。それ以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<実施例8>
実施例1と同様にしてマゼンタトナーNo.1を製造した後、電磁誘導方式の加熱加圧手段においる発熱層の厚さを110μmに変更する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<実施例9>
実施例1と同様にしてマゼンタトナーNo.1を製造した後、電磁誘導方式の加熱加圧手段においる弾性層の厚さを450μmに変更する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<実施例10>
実施例1と同様にしてマゼンタトナーNo.1を製造した後、電磁誘導方式の加熱加圧手段においる離型層の厚さを85μmに変更する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<実施例11>
実施例1と同様にしてマゼンタトナーNo.1を製造した後、電磁誘導方式の加熱加圧手段においる回転加熱部材と加圧ローラーとの単位面積当たりの圧力を360000N/m2に変更する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<実施例12>
実施例1のマゼンタトナーNo.1と、モノアゾイエロー顔料7部にすること以外は実施例1と同様な製法のイエロートナーNo.1と、銅フタロシアニン顔料7部にすること以外は実施例1と同様な製法のシアントナーNo.1の3色を用いて、実施例1同様にして2次色の未定着画像を出し評価をした。
上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表6にそれぞれ示す。
<比較例5>
弾性層を5μmにすること以外は実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<比較例6>
電磁誘導方式の加熱加圧手段においる回転加熱部材と加圧ローラーとの単位面積当たりの圧力を510000N/m2に変更する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<比較例7>
定着速度を360mm/secに変更する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<比較例8>
実施例1と同様にしてマゼンタトナーNo.1を製造した後、前記オキシカルボン酸(1−A)をトナー全量に対し22.0質量%外添して、マゼンタトナーNo.10を製造する以外は、実施例1と同様にした。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表5にそれぞれ示す。
<比較例9>
離型剤をパラフィンワックスに変更する以外は実施例1と同様にしてマゼンタトナーを製造し、その後トナー全量に対し22.0質量%外添して、マゼンタトナーNo.11を製造した。また、離型剤をパラフィンワックスに変更する以外は実施例12と同様にしてイエロートナーを製造し、その後トナー全量に対し22.0質量%外添して、イエロートナーNo.2を製造した。さらに、離型剤をパラフィンワックスに変更する以外は実施例12と同様にしてシアントナーを製造し、その後トナー全量に対し22.0質量%外添して、シアントナーNo.2を製造した。これら3色を用いて、実施例12同様にして2次色の未定着画像を出し評価した。
上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表6にそれぞれ示す。
<比較例10>
実施例12のマゼンタ、イエロー、シアントナーを用いて、弾性層を5μmにしたこと以外は実施例1と同様な電磁誘導加熱定着器を用い、これら3色トナーの評価を実施例12と同様に行った。上記トナーの処方と物性を表4、評価結果を表6にそれぞれ示す。
表5及び6に示す評価に関し、環境は常温常湿(22℃,65%RH)とし、定着を行うモードはクイックスタートモードとして以下に示す方法で評価を実施した。
・定着画像の先後端部の光沢度差評価について:
中間転写体を搭載したフルカラー複写機(クリエイティブプロセッサー660,キヤノン製)の改造機を用いて、単色もしくは2次色(レッド、グリーン、ブルー)の全面印字された未定着画像を各々出した。この時のトナー乗り量は、単色の場合には0.5乃至0.6dg/m2,2次色の場合には1.0乃至1.2dg/m2とし、転写材はA3サイズで75g/m2の転写紙を使用した。
次に実施例及び比較例に記載の定着器及び定着条件にて、上記未定着画像を定着する。その後通紙先端部から7センチの部分の光沢度と通紙後端部から7センチの部分の光沢度の差を測定した。光沢度の測定はPG−3D(N1PPON DENSYOKU社製;入射角75度)を用いて行った。
A;光沢度差が4未満
B;光沢度差が4以上7未満
C;光沢度差が7以上10未満
D;光沢度差が10以上
・定着性について:
上記の改造機を用いてレッド、グリーン、ブルーの2次色の全面印字された未定着画像を各々出した。この時のトナー乗り量は、単色の場合には0.5乃至0.6dg/m2,2次色の場合には1.0乃至1.2dg/m2とし、転写材はA3サイズで75g/m2の転写紙を使用した。
次に実施例及び比較例に記載の定着器及び定着条件にて、上記未定着画像を1000枚連続定着し、定着1枚目の画像と定着1000枚目の画像との5ヶ所平均光沢度の差を測定した。なお、光沢度の測定はPG−3D(NIPPON DENSYOKU社製;入射角75度)を用いて行った。
A;光沢度差が4未満
B;光沢度差が4以上7未満
C;光沢度差が7以上10未満
D;光沢度差が10以上
・フルカラー投影画像の透明性について:
上記の改造機を用いて、2次色(レッド、グリーン、ブルー)のトナー乗り量の異なる全面印字された未定着画像を出した。この時トナー乗り量が0.3乃至0.5dg/m2のものをハーフトーン部、トナー乗り量が0.8乃至1.0dg/m2のものをベタ部と定義した。
次に実施例及び比較例に記載の定着器及び定着条件において、上記未定着画像を定着する。なお、転写材はA4サイズのCG3700(3M社製)のものを横に2枚並べ、2枚目のOHPシート定着画像をオーバーヘッドプロジェクター(OHP;3M社製9550)を用いて評価した。
A;2次色の投影画像の透明性が非常に良い。
B;2次色の投影画像の透明性が良い。
C;2次色の投影画像の透明性は悪くないが、くすみがある。
D;2次色の投影画像の透明性が悪く、くすみもある。