JP4101109B2 - トナー及びフルカラー画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法に用いられるイエロートナー及びフルカラー画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、デジタルフルカラー複写機やプリンターが実用化され、解像力・階調性はもとより色ムラのない色再現性に優れた高画質画像が得られるようになってきた。
【0003】
デジタルフルカラー複写機においては、色画像原稿をB(ブルー)・G(グリーン)・R(レッド)の各色フィルターで色分解した後、オリジナル画像に対応した20μm〜70μmのドット径からなる潜像をY(イエロー)・M(マゼンタ)・C(シアン)・BK(ブラック)の各色現像剤を用い減色混合作用を利用して現像するが、白黒複写機と較べ多量の現像剤を感光体から転写材に転写させる必要があることや、将来の更なる高画質化に対応すべく、より微小ドットに対応した現像剤の微小粒径化の要求が予想される。
【0004】
しかし高画質化の要求に伴いトナー粒径を小さくすると、フルカラー画像の解像力や鮮映度は確かに満足のいく方向となるが、微粒子化に伴って様々な影響があることが分かってきた。
【0005】
それは、トナー粒径を小さくするとそれだけ着色剤の偏在により、帯電特性が影響を受けやすくなるという問題が生じてくるということである。
【0006】
また、近年複写装置は、単なる一般にオリジナル原稿を複写するための事務処理用複写機というだけでなく、コンピュータの出力としてのプリンターあるいは個人向けのパーソナルコピーという分野で使われ始めた。
【0007】
このようなレーザービームプリンターに代表される分野以外にも、基本エンジンを応用した普通紙ファックスへの展開も急激に発展をとげつつある。
【0008】
特に、今後急速な市場の伸びが考えられるパーソナルコンピュータ用のカラープリンター、パーソナルカラーコピーにおいてはより小型、より軽量、より高速、より高画質、そしてより高信頼性への要求が強い。さらに本分野では、普通紙以外の様々なメディアへの出力が求められている。そのような状況であるので、トナーに要求される性能としては、環境安定性、耐久性のみならず、メディアによる画像品質の変化がないことも挙げられるようになってきた。
【0009】
したがって、カラー画像形成用トナーは、良好な帯電特性、過酷環境での耐久性などの従来通り求められてきた基本性能が満たされると同時に、自身の色再現範囲をさらに向上させることが必要不可欠であろう。
【0010】
今日、当該技術分野においては、イエロートナー用着色剤として数多くのものが知られている。(例えばソルベントイエロー112として特許文献1参照、ソルベントイエロー160として特許文献2参照、ソルベントイエロー162として特許文献3参照、ベンジジン系イエロー顔料として特許文献4参照、モノアゾ系イエロートナーとして特許文献5参照、ピグメントイエロー120,151,154,156等の顔料として特許文献6参照)。
【0011】
又、トナーに電荷を保有せしめる為には、トナーの成分である樹脂の摩擦帯電性を利用することもできるが、この方法ではトナーの帯電が安定しないので、濃度の立ち上がりが遅く、カブリ易い。そこで、所望の摩擦帯電性をトナーに付与する為に帯電制御剤を添加することが行われている。
【0012】
今日、当該時術分野で知られている帯電制御剤としては、負摩擦帯電性帯電制御剤として、モノアゾ染料の金属錯塩、ヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、芳香族ジオール等の金属錯塩、酸成分を含む樹脂等が知られており、ベンジル酸化合物を用いることも提案されている。(例えば、特許文献7〜10参照)。
【0013】
更に、ベンジル酸化合物を含有するイエロートナーに関しても提案されている。(例えば特許文献11〜13参照)
【0014】
【特許文献1】
特開平2−207273号公報
【特許文献2】
特開平2−207274号公報
【特許文献3】
特開平8−36275号公報
【特許文献4】
特開昭50−62442号公報
【特許文献5】
特開平2−87160号公報
【特許文献6】
特開平2−208662号公報
【特許文献7】
特開昭62−63941号公報
【特許文献8】
特開平2−221967号公報
【特許文献9】
特開平3−39973号公報
【特許文献10】
特開平5−72812号公報
【特許文献11】
特開2001−109193号公報
【特許文献12】
特開2001−109194号公報
【特許文献13】
特開2001−109196号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前述の如き問題点を解決し得るトナー及びフルカラー画像形成方法を提供することにある。
【0016】
本発明の目的は、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)のイエロー投影画像の透明性の優れたトナーおよび画像形成方法を提供することにある。
【0017】
本発明の更なる目的は、高温高湿において、中抜けの少ない転写性の良好なトナーおよび画像形成方法を提供することにある。
【0018】
本発明の更なる目的は、高温環境に長期間曝されても劣化の少ないトナーを提供することにある。
【0019】
本発明の更なる目的は、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)のフルカラー投影画像において、透明性の優れたトナーおよび画像形成方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤、及び下記式(I)で示されるヒドロキシカルボン酸と2価又は3価の金属との化合物を含有するトナーおよびフルカラー画像形成方法であって、該着色剤がC.I.disperse Yellow 42,64,201,および211からなるグループから選択されるイエロー着色剤であり、該トナーのテトラヒドロフラン(THF)の可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量が10000乃至600000であり、該イエロートナーの平均円形度が0.920乃至0.995で、円形度標準偏差が0.040未満であることに関する。
【0021】
【発明の実施の形態】
従来、長期にわたる安定した帯電量やOHPシートの透明性の改善を目的として、ヒドロキシカルボン酸誘導体を含有するトナーが出願されている(特開平07−084409、特開平08−262800など)。しかしながらC.I.Pigment Yellow 12,14、C.I.solvent Yellow 21,77,114、C.I.disperse Yellow 164などを用いたイエロー着色剤を用いた場合には、先に挙げた項目に関して必ずしも満足のいくものではなかった。さらにフルカラー画像形成においては、投影画像の鮮やかさの点でもまた十分な物ではなかった。
【0022】
これに対して、本発明者らは鋭意検討をした結果、下記式(I)で示されるヒドロキシカルボン酸と2価又は3価の金属との化合物と、上記のイエロー着色剤を使用することで、従来公知例よりも透明性を向上させることを見出した。
【0023】
更に、上記組み合わせのイエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤を含有したトナーの、平均円形度及び円形度標準偏差をある範囲内にすることで、上記問題点を改善できることを見出した。
【外3】
【0024】
式中、R1とR2は、同一であっても異なっていても良く、各々、水素原子、直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなるグループから選ばれる置換基を示し、m及びnは0乃至5の整数を示す。
【0025】
上記請求項の組み合わせにすることで、芳香族オキシカルボン酸と金属との化合物を用いた場合と同等の帯電能力を保持できることに加えて、円形度標準偏差が小さいため、現像転写される各トナー間の帯電量分布差が小さいイエロートナーを製造可能とした。これにより高温高湿での連続通紙における現像性が安定し、加えて、帯電不良のトナーが現像されることによって起こる中抜けについても改善されることがわかった。
【0026】
さらに、上記のヒドロキシカルボン酸誘導体と着色剤とを組み合わせをすることで、従来のカラートナー用帯電制御剤よりも、結着樹脂に弱架橋性が持たせられた。このため、連続通紙によるトナー劣化に起因する現像性悪化の防止と、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)における投影画像の透明性を改善することの両立が可能となった。
【0027】
さらに、上記請求項の組み合わせの効果であるイエロートナー中における良好なヒドロキシカルボン酸誘導体の分散に加え、上記平均分子量が加味されることで、高温下に長期間トナーが曝されても、外添剤がトナー表面へ埋め込まれることや、帯電制御剤の変性に起因するトナー劣化を防止できることを見出した。
【0028】
本発明のヒドロキシカルボン酸と2価又は3価の金属との化合物は、以下の構造が好ましい。
【外4】
【0029】
式中、R1とR2は、同一であっても異なっていても良く、各々、水素原子、直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなるグループから選ばれる置換基を示し、m及びnは0乃至5の整数を示す。
【0030】
2価又は3価の金属は特に制限を受けるものではないが、好ましくは、B,Zn,Ni,Co,Mn,Alが良い。さらに好ましくはZn,Alなどが帯電能力が高く良い。
【0031】
カウンターイオンは特に制約を受けるものではなく、任意のものが使用できる。
【0032】
例えば、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウムなどがある。
【0033】
該金属化合物は、結着樹脂100質量部当り、0.01乃至10質量部、より好ましくは0.05乃至5質量部使用するのが良い。
【0034】
なお、ここで言う結着樹脂とは、一般の樹脂でも良いが、好ましくはビニル系樹脂が臨まれる。
【0035】
添加量が0.01質量部未満の場合には、帯電能が十分に出ず、初期画像から中抜けが悪い。10質量部を越える場合には、該金属化合物自身の分散が悪く、それに伴い、高温で劣化のないトナーを製造するという目的が達成できなくなる。
【0036】
本発明のトナーが仮に重合法の場合には、水相、油相のどちらかに該金属化合物を含有しても良い。
【0037】
本発明のイエロー着色剤は、C.I.Disperse Yellow 42,64,201、および211から選択される。好ましくは、より投影画像の透明性に優れたC.I.Disperse Yellow 201が望まれる。
【0038】
本発明のマゼンタ着色剤は、キナクリドン系及び/またはアゾ系であることが好ましく、より好ましくはキナクリドン系の固溶体顔料であることが望まれる。固溶体顔料は一般に顔料の製造過程の脱水工程、顔料化工程の前の工程で2種以上のマゼンタ顔料を混合した後、脱水し顔料化するという工程によって得られる。固溶体の組み合わせとしては、その構造の安定性や製造のし易さによりなるべく構造の近いものが組み合わせて使用される。特に耐光性に優れ、着色力にも優れるという面より、下記に示す構造の置換キナクリドン顔料と無置換キナクリドン顔料を組み合わせて使用する。例えば
マゼンタ固溶体顔料(1):C.I.Pigment Red 122とC.I.Pigment Violet 19との固溶体
マゼンタの固溶体顔料(2):C.I.Pigment Red 202とC.I.Pigment Violet 19との固溶体
C.I.Pigment Violet 19はその結晶構造によって耐光性、着色力が変化しやすいが、固溶体を形成することにより安定化する。さらに、固溶体の色相はC.I.Pigment Violet 19の配合比や結晶化時の条件設定を変えることにより顔料の彩度、明度を損なうことなく固溶体の色相空間を広げることが可能となる。固溶体顔料の彩度及び着色力をより好ましい値にするためには該固溶体顔料中の置換キナクリドン顔料と無置換キナクリドン顔料の配合比が85:15〜30:70であることが好ましく、より好ましくは80:20〜50:50がよい。
【0039】
本発明のシアン着色剤は、フタロシアニン系であることが好ましく、より好ましくは銅フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 15が望まれる。
【0040】
該金属化合物と該マゼンタ着色剤及び該シアン着色剤とを組み合わせると、高温高湿におけるトナー乗り量が多い場合の定着性が著しく良化する。理由は現在のところ明確にはなっていないが、該金属化合物の定着熱による昇華性が少ないことに起因していると考えている。
【0041】
該着色剤は、該結着樹脂100質量部当たり1乃至15質量部含有されていることが好ましく、より好ましくは2乃至10質量部が良い。1質量部未満の場合には、画像濃度が十分出ず、貧弱な画像となる。15質量部を越える場合には、製造上問題をきたすことがあり、重合トナーの場合には、造粒性に悪影響を与え、均一な粒度分布が得られない。
【0042】
以下に本発明の好ましいトナー物性を記載する。
【0043】
フロー式粒子像測定装置で計測される該トナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該トナーの円相当個数平均径D1(μm)が2乃至10μmであり、且つ、該トナーの平均円形度が0.920乃至0.995で、円形度標準偏差が0.040未満が好ましい。より好ましくは平均円形度が0.965乃至0.990で、円形度標準偏差が0.035未満であることが良い。
【0044】
前記フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該トナーが円形度0.950未満のトナー粒子が15個数%以下であることが好ましい。
【0045】
トナーの円相当個数平均径D1(μm)を2〜10μmと小粒径化することにより、画像の輪郭部分、特に文字画像やラインパターンの現像での再現性が良好なものとなる。しかし、一般にトナー粒子を小粒径化すると必然的に微小粒子のトナーの存在率が高くなる為、トナーを均一に帯電させることが困難となり画像カブリを生じるばかりか、静電潜像担持体表面やトナー担持体への付着力が高くなり、結果として現像特性を悪化させた。
【0046】
しかし、本発明のトナーは、円形度標準偏差が0.040未満、好ましくは0.035未満とすることにより、現像性に関する問題を大幅に改善することが出来る。
【0047】
その理由としては、本発明に係るヒドロキシカルボン酸と2価又は3価の金属との化合物を含有するトナーであって、該着色剤との組み合わせをすることによって、トナー粒子に好ましい帯電特性を各々のトナーに均一に与え、トナー層規制部材やトナー担持体から良好な摩擦帯電付与とトナーの搬送力を受けることが出来る為、トナー担持体上のトナー帯電量やトナーコート量を適切なものとすることが可能となるからだと考えている。
【0048】
又、トナー粒子の円形度頻度分布の平均円形度を0.920〜0.995、好ましくは0.950〜0.995、より好ましくは0.965〜0.990とすることにより、従来では困難であった小粒径を呈するトナーの転写性が大幅に改善されると共に低電位潜像に対する現像能力も格段に向上する。特に上記の如き傾向は、デジタル方式の微小スポット潜像を現像する場合や中間転写体を用い多数回の転写を行うフルカラーの画像形成の際に非常に有効で、画像形成装置とのマッチングも良好なものとなる。
【0049】
本発明におけるトナーの円相当径、円形度、及びそれらの頻度分布とは、トナー粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではフロー式粒子像測定装置FPIA−1000型(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式を用いて算出した。
【外5】
【0050】
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。
【0051】
本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合には1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0052】
本発明において、トナーの個数基準の粒径頻度分布の平均値を意味する円相当個数平均径D1(μm)と粒径標準偏差SDdは、粒度分布の分割点iでの粒径(中心値)をdi、頻度をfiとすると次式から算出される。
【外6】
【0053】
又、円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cと円形度標準偏差SDcは、粒度分布の分割点iでの円形度(中心値)をci、頻度をfciとすると、次式から算出される。
【外7】
【0054】
具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を加えた後、更に測定試料を0.02g加え、均一に分散させる。分散手段としては、超音波分散機UH−50型(エスエムテー社製)に振動子として5φのチタン合金チップを装着したものを用い、5分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上にならないように適宜冷却する。
【0055】
トナー粒子の形状測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなるように該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いてトナー粒子の円相当径や円形度頻度分布等を求める。
【0056】
該トナーのテトラヒドロフラン(THF)の可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量が10000乃至600000であり、より好ましくは重量平均分子量が50000乃至400000、さらに好ましくは重量平均分子量が70000乃至400000であることが良い。
【0057】
重量平均分子量が10000未満の場合には、耐久性が乏しくなり、高温放置によるトナー劣化が発生し易くなる。重量平均分子量が600000を越える場合とTHFの不溶成分が60%を越える場合には、定着温度でのトナーの溶融が十分に行えず、イエローの投影画像がくすんでしまう。
【0058】
トナーのTHF可溶分の分子量の測定方法について説明する。
【0059】
GPC測定用の試料は以下のようにして作製する。トナーをテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、たとえば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。トナー濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0060】
トナーのTHF可溶成分のGPCによる分子量及び分子量分布は以下の方法で測定される。40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、たとえば、東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102 〜107 程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、たとえば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKge1G1000H(H XL),G2000H(H XL),G3000H(H XL),G4000H(H XL),G5000H(H XL),G6000H(H XL),G7000H(H XL)TSKguardcolumnの組み合わせが挙げられる。特に、カラム構成は、昭和電工社製A−801,802,803,804,805,806及び807を連結したものが好ましい。
【0061】
該トナーのTHFの不溶成分が0乃至50%であることが好ましい、より好ましくは、THFの不溶成分が3%乃至30%が良い。
【0062】
THF不溶分の測定について説明する。
【0063】
THF不溶分とは、トナー中のTHF溶媒に対して不溶性の物質の質量割合を示す。THF不溶分とは、以下のように測定された値をもって定義する。
【0064】
トナーサンプル約1.0gを秤量し(W1g)、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R)に入れてソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100〜200mlを用いて6時間抽出し、THF溶媒によって抽出された可溶成分をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量を秤量する(W2g)。トナー中のTHF不溶分は、下記式から求められる。
【0065】
THF不溶分(質量%)=(W1−W2)/W1*100
該トナーの離型剤量が、該結着樹脂100質量部当たり1乃至40質量部が好ましい、より好ましくは3乃至30質量部が良い。離型剤量が1質量部未満の場合には、高温側の定着性が悪化し、OHPシートの定着の際にシートが定着ローラーに巻き付いてしまう。離型剤量が40質量部を越える場合には、トナーの流動性が悪化し、現像性及び転写性が急激に悪化する。
【0066】
該トナーのMELT INDEX値(MI値:g/10min)は、0.1乃至100が好ましい。より好ましくは1乃至80が良い。
【0067】
MI値が0.1未満の場合では定着温度においてもトナーが十分に溶融せず、イエローの投影画像の透明性が悪く、かつくすむ。
【0068】
MI値が100を超える場合には、現像機内の現像剤パッキング部でトナー凝集物が発生し易く、且つ外添物のトナー表面への埋め込みも大きいことから耐久での転写性が悪化する。
【0069】
トナーのMIの測定値は、メルトインデクサーL203型(宝工業社製)を用いて、サンプル4.0〜5.0g程度を秤量し、125℃で5分ホールド後、98Nの荷重をかけ、2分溶出量を測定し、その測定値を10分値に換算することによって求める。
【0070】
本発明のトナーは、凝集度が1〜30%、より好ましくは4〜20%であることが現像性の点で好ましい。トナーの凝集度は、値が小さい場合にはトナーの流動性が高く、値が大きい場合にはトナーの流動性が低いと判断され得る。
【0071】
トナーの凝集度は、以下の方法で測定される。
【0072】
パウダーテスター(ホソカワミクロン社製)の振動篩機を用い、100mesh(目開き147μm)、200mesh(同74μm)、400mesh(同38μm)の篩を目開の狭い順に重なる様に、即ち、100meshが最上位となる様に、400mesh、200mesh、100meshの篩の順に重ねてセットする。このセットした100meshの篩上に試料を加え、振動台への入力電圧が15Vになる様にし、その際の振動台の振幅が60〜90μmの範囲に入る様に調整し、約25秒間振動を加え、その後、各篩上に残った試料の重量を測定し、下式に基づき凝集度を得る。凝集度の値が小さい程、トナーの流動性は高い。
【外8】
【0073】
本発明のトナーを製造する方法は、特に制約を受けるものではないが、特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合法を用いて直接トナーを生成する方法;単量体には可溶で水溶性重合開始剤の存在下で直接重合させてトナー粒子を生成するソープフリー重合法に代表される乳化重合法によるトナー粒子の製造が挙げられる。また、マイクロカプセル製法のような界面重合法、in site重合法、コアセルベーション法などの製造も挙げられる。さらに、特開昭62−106473号公報や特開昭63−186253号公報に開示されている様な、少なくとも1種以上の微粒子を凝集させ所望の粒径のものを得る界面会合法なども挙げられる。
【0074】
中でも、小粒径のトナー粒子が容易に得られる懸濁重合方法が特に好ましい。さらに一旦得られた重合粒子に更に単量体を吸着せしめた後、重合開始剤を用い重合せしめるシード重合方法も本発明に好適に利用することができる。このとき、吸着せしめる単量体中に、極性を有する化合物を分散あるいは溶解させて使用することも可能である。トナー粒子の製造方法としては懸濁重合を利用する場合には、以下の如き製造方法によって直接的にトナー粒子を製造することが可能である。単量体中にワックスの如き低軟化点物質、着色剤、重合開始剤、架橋剤、その他の添加物を加え、ホモジナイザー、超音波分散機等によって均一に溶解又は分散せしめた単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系媒体中に通常の攪拌機またはホモミキサー、ホモジナイザー等により分散せしめる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように攪拌速度・時間を調整し、造粒する。その後は、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の攪拌を行えば良い。重合温度は40℃以上、通常50〜90℃(好ましくは55〜85℃)の温度に設定して重合を行う。重合反応後半に昇温しても良く、必要に応じpH変更しても良い。更に、トナーの定着時の臭いの原因となる未反応の重合性単量体、副生成物等を除去するために反応後半、又は、反応終了後に一部水系媒体を留去しても良い。反応終了後、生成したトナー粒子を洗浄・ろ過により収集し、乾燥する。
【0075】
造粒中の水系媒体中のpHは特に制限を受けない。
【0076】
以下に重合法トナーの材料に関して記載する。
【0077】
本発明のトナーを重合方法で製造する際に用いられる重合性単量体としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が用いられる。該ビニル系重合性単量体としては、単官能性重合性単量体或いは多官能性重合性単量体を使用することが出来る。単官能性重合性単量体としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレンの如きスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフォートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、2−ベンゾイルオキシエチルアクリレートの如きアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−ノニルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、ジブチルフォスフェートエチルメタクリレートの如きメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニルの如きビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロピルケトンの如きビニルケトンが挙げられる。
【0078】
多官能性重合性単量体としては、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2′−ビス(4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2,2′−ビス(4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン、ジビニルエーテル等が挙げられる。
【0079】
本発明においては、上記した単官能性重合性単量体を単独或いは、2種以上組み合わせて、又は、上記した単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を組み合わせて使用する。多官能性重合性単量体は架橋剤として使用することも可能である。
【0080】
上記した重合性単量体の重合の際に用いられる重合開始剤としては、油溶性開始剤及び/又は水溶性開始剤が用いられる。例えば、油溶性開始剤としては、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルの如きアゾ化合物;アセチルシクロヘキシルスルホニルイパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、デカノニルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの如きパーオキサイド系開始剤が挙げられる。
【0081】
水溶性開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチロアミジン)塩酸塩、2,2′−アゾビス(2−アミノジノプロパン)塩酸塩、アゾビス(イソブチルアミジン)塩酸塩、2,2′−アゾビスイソブチロニトリルスルホン酸ナトリウム、硫酸第一鉄又は過酸化水素が挙げられる。
【0082】
本発明においては、重合性単量体の重合度を制御する為に、連鎖移動剤、重合禁止剤等を更に添加し用いることも可能である。
【0083】
架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらは単独もしくは混合物として用いられる。
【0084】
本発明に用いられる分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、ヒドロキシアパタイト等が挙げられる。通常単量体組成物100質量部に対して水300〜3000質量部を分散媒体として使用するのが好ましい。
【0085】
有機系化合物としては例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が使用されている。これら分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜2.0質量部を使用することが好ましい。
【0086】
本発明により好ましく用いられる分散安定剤としては、硫酸、炭酸、燐酸、ピロ燐酸、ポリ燐酸の難水溶性金属塩があり、これらは分散媒中で高速攪拌下において酸アルカリ金属塩とハロゲン化金属塩との反応によって調製されることが好ましい。
【0087】
これら分散剤の微細化のため0.001〜0.1重量%の界面活性剤を併用しても良い。具体的には市販のノニオン、アニオン、カチオン型の界面活性剤が利用できる。例えばドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等が好ましく用いられる。
【0088】
本発明は縮合系樹脂を添加しても良い。
【0089】
該縮合系化合物は重量平均分子量(Mw)が、6,000乃至100,000、好ましくは6,500乃至85,000が良い。さらに6,500乃至45,000がより良い。重量平均分子が6,000未満の場合、最適範囲内のものと比較すると、連続通紙においてトナー粒子表面の外添剤が耐久によって埋没しやすく、転写性の低下を招きやすくなる。重量平均分子量が100,000を超える場合には、重合性単量体に縮合系化合物を溶解するのに時間を多く費やしてしまう。さらに、重合性単量体組成物の粘度が上昇し、粒径が小さくかつ、粒度分布の揃ったトナー粒子が得にくくなる。
【0090】
該縮合系化合物は数平均分子量(Mn)が、3,000乃至80,000、好ましくは3,500乃至60,000が良い。より好ましくは3,500乃至12,000が良い。該縮合系化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)における分子量分布のメインピーク値(Mp)は、分子量4,500乃至40,000、好ましくは6,000乃至30,000が良い。より好ましくは6,000乃至20,000が良い。上記範囲外であると重量平均分子量の場合と同様に傾向を示す。
【0091】
該縮合系化合物はMw/Mnが1.2乃至3.0、より好ましくは1.5乃至2.5が良い。Mw/Mnが1.2未満の場合には、トナーの多数枚耐久性及び耐オフセット性が低下し、3.0を超える場合には、低温定着性の面で、範囲内のものよりも、若干劣ってしまう。
【0092】
該縮合系化合物はガラス転移点(Tg)が、50乃至125℃、好ましくは50乃至95℃が良い。より好ましくは55乃至90℃が良い。ガラス転移点が50℃未満の場合には、トナーの耐ブロッキング性が低下する。ガラス転移点が125℃を超える場合には、トナーの耐低温オフセット性が低下する。
【0093】
該縮合系化合物の酸価(mgKOH/g)は、0.1乃至35、好ましくは3乃至35、より好ましくは4乃至35、さらに好ましくは5乃至30が好ましい。酸価が0.1未満の場合には、トナーの帯電量の立ち上がりが遅く、カブリが生じやすくなる。酸価が35を超える場合には、高温高湿下に放置した後のトナーの摩擦帯電特性が変動しやすく、連続通紙において画像濃度が変動しやすい。さらに、極性樹脂の酸価が35を超える場合には、極性樹脂のポリマー相互間の親和力が強くなるために極性樹脂が重合性単量体に溶解しにくくなり、均一な重合性単量体組成物を調製するのに時間がかかるようになる。
【0094】
該縮合系化合物の水酸基価(mgKOH/g)は、0.2乃至50、好ましくは5乃至50、より好ましくは7乃至45であるのが良い。水酸基価が0.2未満の場合には、最適範囲内のものと比較すると、水系媒体中の重合性単量体組成物の粒子の表面に極性樹脂の局在化が起こりにくくなる。水酸基価が50を超える場合、最適範囲内のものと比較すると、高温高湿下において放置した後のトナーの帯電量特性が若干低くなる傾向が見られ、連続通紙において画像濃度が変動しやすい。
【0095】
該縮合系化合物のGPCによる分子量及び分子量分布は以下の方法で測定される。
【0096】
40℃のヒートチャンバ中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テトラハイドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、たとえば、東ソー社製あるいは、昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、たとえば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(H XL),G2000H(H XL),G3000H(H XL),G4000H(H XL),G5000H(H XL),G6000H(H XL),G7000H(H XL),TSKguardcolumnの組み合わせが挙げられる。
【0097】
試料は以下のようにして作製する。
【0098】
試料をテトラヒドロフラン(THF)中に入れ、数時間放置した後、十分振とうしTHFと良く混ぜ(試料の合一体がなくなるまで)、更に12時間以上静置する。このときTHF中への放置時間が24時間以上となるようにする。その後、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45〜0.5μm、たとえば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製などが利用できる)を通過させたものを、GPCの試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0099】
該縮合系化合物のガラス移転点はDSC測定により求められる。
【0100】
DSC測定では、測定原理から、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。例えば、パーキンエルマー社製のDSC−7が利用できる。
【0101】
測定方法は、ASTM D3418−82に準じて行う。測定は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるDSC曲線を用いる。
【0102】
該縮合系化合物の酸価は以下のように求められる。基本操作は、JIS−K0070に準ずる。
【0103】
試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸などを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数を酸価といい、次によって試験を行う。
【0104】
(1)試薬
(a)溶剤エチルエーテル−エチルアルコール混液(1+1または2+1)またはベンゼン−エチルアルコール混液(1+1または2+1)で、これらの溶液は使用直前にフェノールフタレインを指示薬として0.1kmol/m3水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
【0105】
(b)フェノールフタレイン溶液 フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95v/v%)100mlに溶かす。
【0106】
(c)0.1kmol/m3水酸化カリウム−エチルアルコール溶液 水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95v/v%)を加えて1リットルとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
【0107】
(2)操作 試料1〜20gを正しくはかりとり、これに溶剤100mlおよび指示薬としてフェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これを0.1kmol/m3水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
【0108】
(3)計算式 つぎの式によって酸価を算出する。
【外9】
【0109】
ここにA:酸価
B:0.1kmol/m3水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(ml)
f:0.1kmol/m3水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
2回の測定値の平均値を採用する。
【0110】
該縮合系化合物の水酸基価は以下のように求められる。
【0111】
200ml三角フラスコに試料0.5〜2.0gを1mg単位で精秤し、無水酢酸/ピリジン=1/4の混合溶液を5mlホールピッペットで加え、更にピリジン25mlをメスシリンダーで加える。三角フラスコ口に冷却器を取り付け、100℃のオイルバス中で90分反応させる。蒸留水3mlを冷却器上部から加えてよh振とうし10分間放置する。冷却器をつけたまま三角フラスコをオイルバスから引き上げて放冷し、約30℃になれば冷却器上部口から少量のアセトン(10ml程度)で冷却器およびフラスコ口を洗浄する。THF50mlをメスシリンダーで加えフェノールフタレインのアルコール溶液を指示薬として0.5kmol/m3KOH−THF溶液で50ml(目量0.1ml)のビュレットを用いて中和滴定する。中和終点直前に中性アルコール25ml(メタノール/アセトン=1/1容量比)を加え溶液が微紅色を呈するまで滴定を行う。同時に空試験も行う。
【0112】
次いで、下式に従って水酸基価を求める。
【外10】
【0113】
ここにA:本試験に要した0.5kmol/m3KOH−THF溶液のml数
B:空試験に要した0.5kmol/m3KOH−THF溶液のml数
f:0.5kmol/m3KOH−THF溶液の力価
S:試料採取量(g)
C:酸価
2回の測定値の平均値を採用する。
【0114】
本発明の該縮合系化合物は例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、セルロースなどが挙げられる。より好ましくは材料の多様性からポリエステルが望まれる。
【0115】
該縮合系化合物の製造方法としては、例えば、酸化反応による合成法、カルボン酸及びその誘導体からの合成、マイケル付加反応に代表されるエステル基導入反応、カルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応を利用する方法、酸ハロゲン化物とアルコール化合物からの反応、エステル交換反応で製造される。触媒としては、エステル化反応に使う一般の酸性、アルカリ性触媒、例えば酢酸亜鉛、チタン化合物などでよい。その後、再結晶法、蒸留法などにより高純度化させてもよい。
【0116】
該縮合系化合物の特に好ましい製造方法は、原料の多用性、反応のしやすさからカルボン酸化合物とアルコール化合物からの脱水縮合反応である。
【0117】
本発明に用いられる縮合系樹脂の組成について以下に説明する。
【0118】
縮合系化合物は、全成分中45〜55mol%がアルコール成分であり、55〜45mol%が酸成分であることが好ましい。
【0119】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記式(I)
【外11】
【0120】
で示されるジオールの如きジオール類が挙げられる。
【0121】
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、ジフェニル−P・P′−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−P・P′−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4′−ジカルボン酸、1,2−ジフェノキシエタン−P・P′−ジカルボン酸の如きベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グリタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリエチレンジカルボン酸、マロン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられる。
【0122】
本発明の実施上特に好ましい該縮合系化合物のアルコール成分としては前記(I)式で示されるビスフェノール誘導体であり、酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はその無水物、こはく酸、n−ドデセニルコハク酸、又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸の如きジカルボン酸が挙げられる。
【0123】
該縮合系化合物は、2価のジカルボン酸及び2価のジオールから合成することにより得ることが可能である。場合により、3価以上のポリカルボン酸又はポリオールを本発明に悪影響を与えない範囲で少量使用しても良い。
【0124】
3価以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸類、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシルプロパン、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−メチレンカルボキシルプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸及びそれらの無水物が挙げられる。
【0125】
3価以上のポリオールとしては、スルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4−メタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
【0126】
本発明は、上記以外のネガ性帯電制御剤がブレンドされていても構わない。化合物は特に制約を受けるものではないが、例えばサリチル酸系の化合物、ナフトエ酸系の化合物、ダイカルボン酸系の化合物、スルホン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン等が利用できる。
【0127】
離型剤としては、重量平均分子量(Mw)が350乃至4000、数平均分子量(Mn)が200乃至4000であることが好ましく、より好ましくはMwが400乃至3500、Mnが250乃至3500であるものが良い。Mwが350未満であり、Mnが200未満の場合には、トナーの耐ブロッキング性が低下する。Mwが4000を超え、Mnが4000を超える場合には、離型剤自体の結晶性が発現し、定着画像の透明性が低下する。
【0128】
離型剤の分子量及び分子量分布はGPCにより次の条件で測定される。
【0129】
(GPC測定条件)装置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−MT30cm2連(東ソー社製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0ml/min
試料:0.15%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
【0130】
離型剤は、融点(温度20乃至200℃の範囲におけるDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークに対応する温度)が30乃至120℃、より好ましくは50乃至90℃であるものが良い。離型剤としては、室温で固体の固体ワックスが好ましく、特に融点50乃至90℃の固体ワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性、耐オフセット性の点で良い。
【0131】
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロピッシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、ケトンワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体が挙げられ、これらは低分子量成分が除去されたDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。また、これら2種類以上のブレンドでも構わない。
【0132】
好ましく用いられるワックスとしては、炭素数15乃至100個の直鎖状のアルキルアルコール、直鎖状脂肪酸、直鎖状酸アミド、直鎖状エステルあるいは、モンタン系誘導体が挙げられる。これらワックスから液状脂肪酸の如き不純物を予め除去してあるものも好ましい。
【0133】
さらに、好ましく用いられるワックスは、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又は、その他の触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;アルキレンを重合する際に副生する低分子量アルキレンポリマーを分離精製したもの、;一酸化炭素及び水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素ポリマーの蒸留残分から、あるいは、蒸留残分を水素添加して得られる合成炭化水素から、特定の成分を抽出分別したポリメチレンワックスが挙げられる。これらワックスには酸化防止剤が添加されていてもよい。
【0134】
定着画像の透光性を向上させるためには、固体エステルワックスが好ましく、該固体エステルワックスとしては、融点50乃至90℃を有するものが特に良い。
【0135】
離型剤の分子量及び分子量分布はGPCにより次の条件で測定される。
【0136】
(GPC測定条件)装置:GPC−150C(ウォーターズ社)
カラム:GMH−MT30cm2連(東ソー社製)
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0ml/min
試料:0.15%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量較正曲線を使用する。さらに、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式でポリエチレン換算することによって算出される。
【0137】
離型剤は、融点(温度20乃至200℃の範囲におけるDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークに対応する温度)が30乃至120℃、より好ましくは50乃至90℃であるものが良い。離型剤としては、室温で固体の固体ワックスが好ましく、特に融点50乃至90℃の固体ワックスがトナーの耐ブロッキング性、多数枚耐久性、低温定着性、耐オフセット性の点で良い。
【0138】
ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロピッシュワックスの如きポリメチレンワックス、アミドワックス、ケトンワックス、高級脂肪酸、長鎖アルコール、エステルワックス及びこれらのグラフト化合物、ブロック化合物の如き誘導体が挙げられ、これらは低分子量成分が除去されたDSC吸熱曲線の最大吸熱ピークがシャープなものが好ましい。ワックスはブレンドしてもしなくてもかまわない。
【0139】
好ましく用いられるワックスとしては、炭素数15乃至100個の直鎖状のアルキルアルコール、直鎖状脂肪酸、直鎖状酸アミド、直鎖状エステルあるいは、モンタン系誘導体が挙げられる。これらワックスから液状脂肪酸の如き不純物を予め除去してあるものも好ましい。
【0140】
さらに、好ましく用いられるワックスは、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又は、その他の触媒を用いて重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;アルキレンを重合する際に副生する低分子量アルキレンポリマーを分離精製したもの、;一酸化炭素及び水素からなる合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素ポリマーの蒸留残分から、あるいは、蒸留残分を水素添加して得られる合成炭化水素から、特定の成分を抽出分別したポリメチレンワックスが挙げられる。これらワックスには酸化防止剤が添加されていてもよい。
【0141】
定着画像の透光性を向上させるためには、固体エステルワックスが好ましく、該固体エステルワックスとしては、融点50乃至90℃を有するものが特に良い。
【0142】
エステルワックスとしては、下記式(I)乃至(VI)で示される化合物から形成されているものが挙げられる。
【外12】
【0143】
(式中、a及びbは0〜4迄の整数であり、a+bは4である。R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基であり、R1とR2との炭素数差が3以上である。m及びnは0〜25の整数であり、mとnは同時に0になることはない)。
【外13】
【0144】
(式中、a及びbは0〜3の整数であり、a+bは1乃至3である。R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基であり、R1とR2との炭素数差が3以上である。R3は水素原子、炭素数が1以上の有機基である。但し、a+b=2のとき、R3のどちらか一方は、炭素数が1以上の有機基である。kは1〜3の整数である。m及びnは0〜25の整数であり、mとnは同時に0になることはない)。
【外14】
【0145】
(式中、R1及びR2は炭素数6〜32を有する有機基であり、R1とR3は同じものであってもなくても良い。R2は炭素数1〜20を有する有機基を示す)。
【外15】
【0146】
(式中、R1及びR2は炭素数6〜32を有する有機基であり、R1とR3は同じものであってもなくてもよい。
【外16】
【0147】
又は−(CH2)n−である。mは1〜10の整数、nは1〜20の整数を示す。)
【外17】
【0148】
(式中、aは0〜4の整数であり、bは1〜4の整数であり、a+bは4である。R1は炭素数が1〜40の有機基である。m及びnは0〜25の整数であり、mとnが同時に0になることはない)。
【0149】
R1−COO−R2 (VI)
(式中、R1及びR2は同一又は異なる炭素数15乃至45個の炭化水素基を示す)。
【0150】
エステル化合物からなる離型剤としてのエステルワックスとして以下のものが例示される。
【0151】
離型剤No.1
【外18】
【0152】
離型剤No.2
【外19】
【0153】
離型剤No.3
【外20】
【0154】
離型剤No.4
【外21】
【0155】
離型剤No.5
CH3(CH2)20COO(CH2)21CH3
離型剤No.6
CH3(CH2)16COO(CH2)21CH3
離型剤No.7
CH3(CH2)39COO(CH2)17CH3
離型剤No.8
CH3(CH2)20COO(CH2)17CH3
離型剤No.9
【外22】
【0156】
離型剤No.10
【外23】
【0157】
離型剤No.11
【外24】
【0158】
離型剤No.12
【外25】
【0159】
該離型剤が、上記構造式を有するエステル化合物を有するエステルワックスの場合、良好な透明性を発現するとともに、トナー粒子中に含有せしめた場合には良好な定着性を示すものである。この離型剤と例えば上記縮合系化合物とを、重合性単量体に溶解させた後、水系媒体中で重合性単量体の重合反応を進めることによって、得られたトナー粒子の帯電量が大きく、適正帯電値に到達するまでの速度が速く、さらに多数枚耐久において、摩擦帯電量の変動の少ない優れたトナーが得られる。
【0160】
重合性単量体組成物を使用して、水系媒体中で直接的にトナー粒子を生成する場合には、重合性単量体100質量部に対して1乃至40質量部(より好ましくは、3〜30質量部)配合し、トナー粒子に含有されるのが良い。
【0161】
溶融混練粉砕法による乾式トナー製法に比べ重合法によるトナー製法においては、トナー粒子内部に極性樹脂により多量の離型剤を内包化させ易いので乾式トナー製法と比較し、一般に多量の離型剤を用いることが可能となり、定着時のオフセット防止効果には特に有効となる。
【0162】
該離型剤の添加量が下限より少ないとオフセット防止効果が低下しやすく、上限を越える場合では耐ブロッキング効果が低下し耐オフセット効果にも悪影響を与えやすく、トナーのドラム融着、トナーの現像スリーブ融着を起こしやすく、重合法によりトナー粒子を生成する場合には粒度分布の広いトナー粒子が生成する傾向にある。
【0163】
本発明に使用される該離型剤は(SP)値が、7.6〜10.5の範囲であることが好ましい。SP値が、7.6未満の値を示す離型剤は、用いる重合性単量体又はバインダー樹脂との相溶性が乏しく結果的にバインダー樹脂中への良好な分散が得られにくく、多数枚複写時又はプリント時において該離型剤の現像スリーブへの付着が生じやすく、トナーの耐電量が変化とやすくなる。更に地カブリ、トナー補給時のトナーの濃度変動も起こしやすい。SP値が10.5を越える離型剤を用いる場合には、トナーを長期保存した際にトナー粒子同士のブロッキングが発生しやすい。更にバインダー樹脂との相溶性が良すぎるため定着時において定着部材とトナーバインダー樹脂層間に十分な離型性層が形成しにくく、オフセット現象を起こしやすい。
【0164】
溶解度パラメーター(SP)値は、原子団の加成性を利用したFedorsの方法(Polym.Eng.Sci.,14(2)147(1974))を用いて算出する方法が挙げられる。
【0165】
本発明に使用される離型剤は、135℃における溶融粘度は1〜300cPsであることが好ましく、更に好ましくは3〜50cPsを有する離型剤が特に好ましい。1cPsより低い溶融粘度を有する場合は、非磁性一成分現像方式で塗布ブレード等により現像スリーブにトナー層を薄層コーティングする際、機械的なズリカによりスリーブ汚染を招きやすい。二成分現像方法においてはキャリヤー粒子とトナーとを用いて静電荷像を現像する際に、トナーとキャリヤー粒子間のズリカによりトナーがダメージを生じやすく、外添剤の埋没、トナー粒子の破砕も生じやすい。300cPsを超える溶融粘度を有する場合には、重合方法を用いてトナー粒子を製造する際、重合性単量体組成物の粘度が高くなり、粒度分布のシャープな微小粒径のトナー粒子を得ることが容易でない。
【0166】
離型剤の溶融粘度は、HAAKE社製VP−500にてコーンプレート型ローター(PK−1)を用い135℃にて測定する方法が挙げられる。
【0167】
本発明に使用される離型剤の硬度は0.3〜5.0の範囲が好ましく、更に好ましいビッカース硬度は0.5〜3.0が特に有効である。
【0168】
ビッカース硬度0.3より低い離型剤を含有したトナーは、多数枚複写又はプリントにおいてクリーニング工程で破砕されやすく、感光ドラム表面上にトナー融着を起こしやすく結果的に画像上に黒筋が発生しやすい。定着画像サンプルを多数枚重ねて保存した際、裏面にトナーが転写し、裏写りが発生しやすい。
【0169】
ビッカース硬度が5.0を超える離型剤を含有したトナーは、加熱定着時に用いる定着器に必要以上の加圧力を必要とし、定着器に必要以上の強度設計が必要となり好ましくない。通常加圧力の定着器を用いたなら耐オフセット性が低下しやすく好ましくない。
【0170】
外離型剤の硬度測定は、例えば島津ダイナミック超微小硬度計(DUH−200)を用いる測定法が挙げられる。測定条件は、ビッカース圧子を用い0.5g荷重下で9.67mg/秒の負荷速度にて10μm変位させた後、12秒保持させサンプル上に付いた打痕を解析することによりビッカース硬度を求める。サンプルは直径20mmφの金型を用い予め溶融したサンプルを5mm厚の円柱状に成型して用いる。
【0171】
トナーにおける各種の特性向上を目的とした添加剤としては、耐久性の点から、トナー粒子の体積平均径の1/5以下の粒径であることが好ましい。添加剤の粒径とは、電子顕微鏡におけるトナー粒子の表面観察により求めたその平均粒径を意味する。これら特性付与を目的とした添加剤としては、たとえば、以下のようなものが用いられる。
【0172】
流動性付与剤としては、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタンなど)カーボンブラック、フッ化カーボンなどが挙げられる。それぞれ、疎水化処理を行ったものが、より好ましい。
【0173】
研磨剤としては、金属酸化物(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムなど)、窒化物(窒化ケイ素など)、炭化物(炭化ケイ素など)、金属塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど)あるいはハイドロタルサイト類が挙げられる。
【0174】
滑剤としては、フッ素系樹脂粉末(フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなど)・脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなど)などが挙げられる。
【0175】
荷電制御性粒子としては、金属酸化物(酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなど)などが挙げられる。
【0176】
これら添加剤は、トナー粒子100質量部に対し、0.1〜10質量部が用いられ、好ましくは、0.1〜5質量部が用いられる。これら添加剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。
【0177】
本発明のトナーは、非磁性一成分系現像剤用のトナーとして使用することも可能であり、キャリア粒子を有する二成分系現像剤用のトナーとしても使用可能である。非磁性トナーを用いる場合には、ブレード又はローラを用い、現像スリーブにて強制的に摩擦帯電しスリーブ上にトナーを付着せしめることで搬送せしめる方法がある。
【0178】
二成分系現像剤として用いる場合には、本発明のトナーと共に、キャリアを用い現像剤として使用する。磁性キャリアとしては、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム元素からなる元素単独又は複合フェライト状態で構成される。磁性キャリアの形状として、球状、扁平又は不定形がある。更に磁性キャリア粒子表面状態の微細構造(たとえば表面凹凸性)をもコントロールすることが好ましい。一般的には、上記無機酸化物を焼成、造粒することにより、あらかじめ、磁性キャリアコア粒子を生成した後、樹脂にコーティングする方法が用いられている。磁性キャリアのトナーへの負荷を軽減する意味合いから、無機酸化物と樹脂を混練後、粉砕、分級して低密度分散キャリアを得る方法や、さらには、直接無機酸化物とモノマーとの混練物を水系媒体中にて懸濁重合せしめ真球状の磁性キャリアを得る方法も利用することが可能である。
【0179】
上記キャリア粒子の表面を樹脂で被覆する被覆キャリアは、特に好ましい。その方法としては、樹脂を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて塗布しキャリアに付着せしめる方法、単に樹脂粉体とキャリア粒子とを混合して付着させる方法が適用できる。
【0180】
キャリア粒子表面への固着物質としてはトナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂などが挙げられる。これらは単独或は複数で用いられる。
【0181】
キャリアの磁性特性は以下のものが良い。磁気的に飽和させた後の、磁界の強さ79.6kA/mにおける磁化の強さ(σ1000)は3.77乃至37.7μWb/cm3であることが必要である。さらに高画質化を達成するために、好ましくは12.6乃至31.4Wb/cm3であることがよい。37.7μWb/cm3より大きい場合には、高画質なトナー画像が得られにくくなる。3.77Wb/cm3未満であると、磁気的な拘束力も減少するためにキャリア付着を生じやすい。
【0182】
キャリア形状は丸さの度合いを示すSF1が180以下、凹凸の度合いを示すSF2が250以下であることが好ましい。SF−1,SF−2は以下の式にて定義され、ニレコ社製のLVZEX IIIにて測定される。
【外26】
【0183】
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2質量%〜15質量%、好ましくは4質量%〜13質量%にすると通常良好な結果が得られる。
【0184】
本発明に用いられる黒色着色剤としてはカーボンブラック、磁性体などが利用され、特に制約を受けるものではない。黒色着色剤として磁性体を用いた場合には、他の着色剤と異なり、樹脂100質量部当り40〜150の質量部が一般に用いられる。
【0185】
トナーの摩擦帯電特性を安定化するために使用する荷電制御剤としては、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。重合阻害性が無く水系媒体中への可溶化物の無い荷電制御剤が特に好ましい。
【0186】
具体的化合物としては、サリチル酸系の化合物、ナフトエ酸系の化合物、ダイカルボン酸系の化合物、スルホン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリークスアレーン等が利用できる。
【0187】
しかしながら、本発明において荷電制御剤の添加は必須ではなく、二成分現像方法を用いた場合においては、キャリアと摩擦帯電を利用し、非磁性一成分ブレードコーティング現像方法を用いた場合においてもブレード部材やスリーブ部材との摩擦帯電を積極的に利用することでトナー粒子中に必ずしも荷電制御剤を含む必要はない。
【0188】
本発明のトナーが適用可能な画像形成方法を添付図面を参照しながら以下に説明する。
【0189】
本発明のトナーは、磁性キャリアと混合し、例えば図3に示すような現像手段37を用いて画像形成方法に適用することができる。具体的には交番電界を印加しつつ、磁気ブラシが静電荷像保持体(例えば、感光体ドラム)33に接触している状態で現像を行うことが好ましい。現像剤担持体(現像スリーブ)31と感光体ドラム33の距離(S−D間距離)Bは100〜1000μmであることがキャリア付着防止及びドット再現性の向上において良好である。100μmより狭いと現像剤の供給が不十分になりやすく、画像濃度が低くなり、1000μmを超えると磁石SIからの磁力線が広がり磁気ブラシの密度が低くなり、ドット再現性に劣ったり、キャリアを拘束する力が弱まりキャリア付着が生じやすくなる。トナー41は、逐次現像器へ供給され、撹拌手段35及び36でキャリアと混合され、固定磁石34を内包している現像スリーブ31まで搬送される。
【0190】
交番電界のピーク間の電圧は500〜5000Vが好ましく、周波数は500〜10000Hz、好ましくは500〜3000Hzであり、それぞれプロセスに適宜選択して用いることができる。この場合、波形としては三角波、短形波、正弦波、あるいはDuty比を変えた波形等種々選択して用いることができる。印加電圧が、500Vより低いと十分な画像濃度が得られにくく、また非画像部のカブリトナーを良好に回収することができない場合がある。50000Vを超える場合には磁気ブラシを介して、静電像を乱してしまい、画質低下を招く場合がある。
【0191】
良好に帯電したトナーを有する二成分系現像剤を使用することで、カブリ取り電圧(Vback)を低くすることができ、感光体の一次帯電を低めることができるために感光体寿命を長寿命化できる。Vbackは、現像システムにもよるが150V以下、より好ましくは100V以下が良い。
【0192】
コントラスト電位としては、十分画像濃度がでるように200V〜500Vが好ましく用いられる。
【0193】
周波数が500Hzより低いとプロセススピードにも関係するが、キャリアへの電荷注入が起こるためにキャリア付着、あるいは潜像を乱すことで画質を低下させる場合がある。10000Hzを越えると電界に対してトナーが追随できず画質低下を招きやすい。
【0194】
十分な画像濃度を出し、ドット再現性に優れ、かつキャリア付着のない現像を行うために現像スリーブ31上の磁気ブラシの感光体ドラム33との接触幅(現像ニップC)を好ましくは3〜8mmにすることである。現像ニップCが3mmより狭いと十分な画像濃度とドット再現性を良好に満足することが困難であり、8mmより広いと、現像剤のパッキングが起き機械の動作を止めてしまったり、またキャリア付着を十分に抑さえることが困難になる。現像ニップの調整方法としては、現像剤規制部材32と現像スリーブ31との距離Aを調整したり、現像スリーブ31と感光体ドラム33との距離Bを調整することでニップ幅を適宜調整する。
【0195】
特にハーフトーンを重視するようなフルカラー画像の出力において、マゼンタ用、シアン用、及びイエロー用の3個以上の現像器が使用され、本発明のトナーを用い、特にデジタル潜像を形成した現像システムと組み合わせることで、磁気ブラシの影響がなく、潜像を乱さないためにドット潜像に対して忠実に現像することが可能となる。転写工程においても本発明トナーを用いることで高転写率が達成でき、したがって、ハーフトーン部、ベタ部共に高画質を達成できる。
【0196】
さらに初期の高画質化と併せて、本発明のトナーを用いることで多数枚の複写においても画質低下のない本発明の効果が十分に発揮できる。
【0197】
静電像保持体33上のトナー画像は、コロナ帯電器の如き転写手段43により転写材へ転写され、転写材上のトナー画像は、加熱ローラ46及び加圧ローラ45を有する加熱加圧定着手段によって定着され、転写材に定着画像が形成される。静電像保持体33上の転写残トナーは、クリーニングブレードの如きクリーニング手段44で静電像保持体33から除去される。本発明のトナーは、転写工程での転写効率が高く、転写残トナーが少ない上に、クリーニング性に優れているので、静電像保持体上にフィルミングを生じにくい。さらに、多数枚耐久試験を行っても従来のトナーよりも、本発明のトナーは外添剤のトナー粒子表面への埋没が少ないため、良好な画質を長期にわたって維持し得る。
【0198】
良好なフルカラー画像を得るためには好ましくは、マゼンタ用、シアン用、イエロー用、ブラック用の現像器を有し、ブラックの現像が最後に行われることで引き締まった画像を呈することができる。
【0199】
マルチカラー又はフルカラー画像形成方法を良好に実施し得る画像形成装置の一例を図4を参照しながら説明する。
【0200】
図4に示されるカラー電子写真装置は、装置本体の右側から装置本体の略中央部にわたって設けられている転写材搬送系Iと、装置本体の略中央に、上記転写材搬送系Iを構成している転写ドラム415に近接してもうけられている潜像形成部IIと、上記潜像形成部IIと近接して配設されている現像手段(すなわち回転式現像装置)IIIとに大別される。
【0201】
上記転写材搬送系Iは、以下の様な構成となっている。装置開口部に着脱自在な転写材供給用トレイ402及び403が一部機外に突出して配設されている。該トレイ402及び403の略直上部には給紙ローラ404及び405が配設され、これら給紙用ローラ404及び405と左方に配された矢印とA方向に回転自在な転写ドラム405とを連係するように、給紙用ローラ406及び給紙ガイド407及び408が設けられている。上記転写ドラム415の外周面近傍には回転方向上流側から上流側に向かって当接用ローラ409、グリッパ410、転写材分離用帯電器411、分離爪412が順次配設されている。
【0202】
上記転写ドラム415の内周側には転写帯電器413、転写材分離用帯電器414が配設されている。転写ドラム415の転写材が巻き付く部分にはポリ弗化ビニリデンの如き、ポリマーで形成されている転写シート(図示せず)が貼り付けられており、転写材は該転写シート上に静電的に密着貼り付けされている。上記転写ドラム415の右側上部には上記分離爪412と近接して搬送ベルト手段416が配設され、該搬送ベルト手段416の転写材搬送方向終端(右側)には定着装置418が配設されている。該定着装置418よりもさらに搬送方向後流には装置本体401の外へと延在し、装置本体401に対して着脱自在な排出用トレイ417が配設されている。
【0203】
次に、上記潜像形成部IIの構成を説明する。図4矢印方向に回転自在な潜像担持体である感光ドラム(例えば、OPC感光ドラム)419が、外周面を上記転写ドラム415の外周面と当接して配設されている。上記感光ドラム419の上方でその外周面近傍には、該感光ドラム419の回転方向上流側から下流側に向かって除電用帯電器420、クリーニング手段421及び一次帯電器423が順次配設され、さらに上記感光ドラム419の外周面上に静電潜像を形成するためのレーザービームスキャナのごとき像露光手段424、及びミラーのごとき像露光反射手段425が配設されている。
【0204】
上記回転式現像装置IIIの構成は以下のごとくである。上記感光ドラム419の外周面と対向する位置に、回転自在な筺体(以下「回転体」という)426が配設され、該回転体426中には四種類の現像装置が周方向の四位置に搭載され、上記感光体ドラム419の外周面上に形成された静電潜像を可視化(すなわち現像)するようになっている。上記四種類の現像装置は、それぞれイエロー現像装置427Y、マゼンタ現像装置427M、シアン現像装置427C及びブラック現像装置427BKを有する。
【0205】
上記したごとき構成の画像形成装置全体のシーケンスについて、フルカラーモードの場合を例として説明する。上述した感光ドラム419が図4矢印方向に回転すると、該感光ドラム419は一次帯電器423によって帯電される。図4の装置においては、感光ドラム419の周速(以下、プロセススピードとする)は100mm/sec以上(例えば、130〜250mm/sec)である。一次帯電器423による感光体ドラム419に対する帯電が行われると、原稿428のイエロー画像信号にて変調されたレーザー光Eによる画像露光が行われ、感光ドラム419上に静電潜像が形成され、回転体426の回転によりあらかじめ現像位置に定置されたイエロー現像装置427Yによって上記静電潜像の現像が行われ、イエロートナー画像が形成される。
【0206】
給紙ガイド407、給紙ローラ406、給紙ガイド408を経由して搬送されてきた転写材は、所定のタイミングにてグリッパ410により保持され、当接用ローラ409と該当接用ローラ409と対向している電極とによって静電的に転写ドラム415に巻き付けられる。転写ドラム415は、感光ドラム419と同期して図4矢印方向に回転しており、イエロー現像装置427Yにより形成されたイエロートナー画像は、上記感光ドラム419の外周面と上記転写ドラム415の外周面とが当接している部位にて転写帯電器413によって転写材上に転写される。転写ドラム415はそのまま回転を継続し、次の色(図4においてはマゼンタ)の転写に備える。
【0207】
感光ドラム419は、上記除電用帯電器420により除電され、クリーニングブレードによるクリーニング手段421によってクリーニングされた後、再び一次帯電器423によって帯電され、次のマゼンタ画像信号により画像露光が行われ、静電潜像が形成される。上記回転式現像装置は、感光ドラム419上にマゼンタ画像信号による像露光により静電潜像が形成される間に回転して、マゼンタ現像装置427Mを上述した所定の現像位置に配置せしめ、所定のマゼンタトナーにより現像を行う。引き続いて、上述したごときプロセスをそれぞれシアン色及びブラック色に対しても実施し、四色のトナー像の転写が終了すると、転写材上に形成された三色顕画像は各帯電器422及び414により除電され、上記グリッパ410による転写材の把持が解除されると共に、該転写材は、分離爪412によって転写ドラム415より分離され、搬送ベルト416で定着装置418に送られ、熱と圧力により定着され一連のフルカラープリントシーケンスが終了し、所要のフルカラープリント画像が転写材の一方の面に形成される。
【0208】
次に、図5を参照しながら、他の画像形成方法を説明する。
【0209】
図5に示す装置システムにおいて、現像器54−1,54−2,54−3,54−4に、それぞれシアントナーを有する現像剤、マゼンタトナーを有する現像剤、イエロートナーを有する現像剤及びブラックトナーを有する現像剤が導入され、磁気ブラシ現像方式又は非磁性一成分現像方式によって感光体51に形成された静電荷像を現像し、各色トナー像が感光体51上に形成される。感光体51はa−Se,Cds,ZnO2,OPC,a−Siの様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトである。感光体51は図示しない駆動装置によって矢印方向に回転される。
【0210】
感光体51としては、アモルファスシリコン感光層、又は有機系感光層を有する感光体が好ましく用いられる。
【0211】
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する、単一層型でもよく、又は、電荷輸送層を電荷発生層を成分とする機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0212】
有機感光層の結着樹脂はポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂が特に、転写性、クリーニング性が良く、クリーニング不良、感光体へのトナーの融着、外添剤のフィルミングが起こりにくい。
【0213】
帯電工程では、コロナ帯電器を用いる感光体41とは非接触である方式と、ローラ等を用いる接触型の方式がありいずれのものも用いられる。効率的な均一帯電、シンプル化、低オゾン発生化のために図5に示す如く接触方式のものが好ましく用いられる。
【0214】
帯電ローラ42は、中心の芯金42bとその外周を形成した導電性弾性層42aとを基本構成とするものである。帯電ローラ42は、感光体41面に押圧力をもって圧接され、感光体41の回転に伴い従動回転する。
【0215】
帯電ローラを用いた時の好ましいプロセス条件としては、ローラの当接圧が4.9〜490N/mで、直流電圧に交流電圧を重畳したものを用いた時には、交流電圧=0.5〜5kVpp、交流周波数=50Hz〜5kHz、直流電圧=±0.2〜±15kVであり、直流電圧を用いた時には、直流電圧=±0.2〜±5kVである。
【0216】
この他の帯電手段としては、帯電ブレードを用いる方法や、導電性ブラシを用いる方法がある。これらの接触帯電手段は、高電圧が不必要になったり、オゾンの発生が低減するといった効果がある。
【0217】
接触帯電手段としての帯電ローラ及び帯電ブレードの材質としては、導電性ゴムが好ましく、その表面に離型性被膜をもうけても良い。離型性被膜としては、ナイロン系樹脂、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)などが適用可能である。
【0218】
感光体上のトナー像は、電圧(例えば、±0.1〜±5kV)が印加されている中間転写体55に転写される。転写後の感光体表面は、クリーニングブレード58を有するクリーニング手段59でクリーニングされる。
【0219】
中間転写体55は、パイプ状の導電性芯金55bと、その外周面に形成した中抵抗の弾性体層55aからなる。芯金55bは、プラスチックのパイプに導電性メッキをほどこしたものでも良い。
【0220】
中抵抗の弾性体層55aは、シリコンゴム、テフロン(登録商標)ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンの3元共重合体)などの弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化すず、炭化ケイ素の如き導電性付与材を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を105〜1011Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層である。
【0221】
中間転写体55は感光体51に対して並行に軸受けさせて感光体51の下面部に接触させて配設してあり、感光体51と同じ周速度で矢印の反時計方向に回転する。
【0222】
感光体51の面に形成担持された第1色のトナー像が、感光体51と中間転写体55とが接する転写ニップ部を通過する過程で中間転写体55に対する印加転写バイアスで転写ニップ域に形成された電界によって、中間転写体55の外面に対して順次に中間転写されていく。
【0223】
必要により、着脱自在なクリーニング手段500により、転写材へのトナー像の転写後に、中間転写体55の表面がクリーニングされる。中間転写体上にトナー像がある場合、トナー像を乱さないようにクリーニング手段500は、中間転写体表面から離される。
【0224】
中間転写体55に対して並行に軸受けさせて中間転写体55の下面部に接触させて転写手段が配設され、転写手段57は例えば転写ローラ又は転写ベルトであり、中間転写体55と同じ周速度で矢印の時計方向に回転する。転写手段57は直接中間転写体55と接触するように配設されていても良く、またベルト等が中間転写体55と転写手段57との間に接触するように配置されても良い。
【0225】
転写ローラの場合、中心の芯金57bとその外周を形成した導電性弾性層57aとを基本構成とするものである。
【0226】
中間転写体及び転写ローラとしては、一般的な材料を用いることが可能である。中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値よりも転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値をより小さく設定することで転写ローラへの印加電圧が軽減でき、転写材上に良好なトナー像を形成できると共に転写材の中間転写体への巻き付きを防止することができる。特に中間転写体の弾性層の体積固有抵抗値が転写ローラの弾性層の体積固有抵抗値より10倍以上であることが好ましい。
【0227】
中間転写体及び転写ローラの硬度は、JIS K−6301に準拠し測定される。本発明に用いられる中間転写体は、10〜40度の範囲に属する弾性層から構成されることが好ましく、一方、転写ローラの弾性層の硬度は、中間転写体の弾性層の硬度より硬く41〜80度の値を有するものが中間転写体への転写材の巻き付けを防止する上で好ましい。中間転写体と転写ローラの硬度が逆になると、転写ローラ側に凹部が形成され、中間転写体への転写材の巻き付きが発生しやすい。
【0228】
転写手段57は中間転写体55と等速度或は周速度に差をつけて回転させる。転写材56は中間転写体55と転写手段57との間に搬送されると同時に転写手段57にトナーが有する摩擦電荷と逆極性のバイアスを転写バイアス手段から印加することによって中間転写体55上のトナー像が転写材56の表面側に転写される。
【0229】
転写用回転体の材質としては、帯電ローラと同様のものも用いることができ、好ましい転写のプロセス条件としては、ローラの当接圧が4.9〜490N/mで、直流電圧が±0.2〜±10kVである。
【0230】
例えば、転写ローラの導電性弾性層57bはカーボン等の導電材を分散させたポリウレタン、エチレン−プロピレン−ジエン系三元共重合体(EPDM)等の体積抵抗106〜1010Ωcm程度の弾性体でつくられている。芯金57aには定電圧電源によりバイアスが印加されている。バイアス条件としては、±0.2〜±10kVが好ましい。
【0231】
次いで転写材56は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵させた加熱ローラとこれと押圧力をもって圧接された弾性体の加圧ローラとを基本構成とする定着器51へ搬送され、加熱ローラと加圧ローラ間を通過することによつてトナー像が転写材に加熱加圧定着される。フィルムを介してヒータにより定着する方法を用いても良い。
【0232】
次に、一成分系現像方法について説明する。本発明のトナーは非磁性一成分現像方法の如き一成分現像方法に適用し得る。
【0233】
次に非磁性一成分現像を行なう場合の現像方法の一例を図6を参照しながら説明する。65は潜像保持体であり、潜像形成は図示しない電子写真プロセス手段又は静電記録手段により成される。64は現像スリーブであり、アルミニウムあるいはステンレスの如き非磁性スリーブからなる。現像スリーブ64はアルミニウム、ステンレスの粗管をそのまま用いてもよいが、好ましくはその表面をガラスビーズの如き球形粒子を吹きつけて均一に粗したものや、鏡面処理したもの、あるいは樹脂でコートしたものがよい。トナーTはホッパー61に貯蔵されており、トナー塗布ローラ62によって現像スリーブ(トナー担持体)94上へ供給される。トナー塗布ローラ62として、多孔質弾性体(例えば軟質ポリウレタンフォーム等)の発泡材より成るローラーが好ましく用いられる。該ローラーを現像スリーブ64に対して、順または逆方向に0でない相対速度をもって回転させ、現像スリーブ64上へのトナー供給と共に、現像スリーブ64上の現像後のトナー(未現像トナー)のはぎ取りをも行う。この際、トナー塗布ローラー62の現像スリーブ64への当接幅(nip幅)は、トナーの供給及びはぎ取りのバランスを考慮すると、2.0〜10.0mmが好ましく、4.0〜6.0mmがより好ましい。トナーに対しストレスが付与され、トナーの劣化による凝集の増大、あるいは現像スリーブ64、トナー塗布ローラ62へトナーの融着、固着が生じやすくなるが、本発明トナーは、流動性、離型性に優れ、耐久安定性を有しているので、図6に示す現像器においても好ましく用いられる。また、トナー塗布ローラ62のかわりに、ナイロン、レーヨンの如き樹脂繊維より成るブラシローラを用いてもよい。図6に示す現像方法は、非磁性一成分トナーを使用する一成分現像方法において極めて有効である。現像スリーブ64上に供給されたトナーは規制部材63によって薄層かつ均一に塗布される。トナー規制部材63は、弾性ブレード又は弾性ローラーで現像スリーブ64表面にトナーを圧接塗布する方法は特に好ましい。弾性ブレード又は弾性ローラは、所望の極性にトナーを帯電するのに適した摩擦帯電系列の材質のものを用いることが好ましい。規制部材63は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどが好適である。さらに、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、メラミン、メラミン架橋ナイロン、フェノール樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂の如き有機樹脂層を規制部材93に設けても良い。
【0234】
該弾性ブレード又は弾性ローラと現像スリーブとの当接圧力は、スリーブ母線方向の線圧として0.98〜245N/m、好ましくは4.9〜118N/mが有効であり、当接圧力を0.98〜245N/mに調整することで、トナーの凝集を効果的にほぐすことが可能になり、トナーの凝集を効果的にほぐすことが可能になり、またトナーの摩擦帯電量を瞬時に立ち上げることが可能になる。ブレードにより現像スリーブ64上にトナーを薄層コートする系においては、特に非磁性一成分現像方法においては、十分な画像濃度を得るために、現像スリーブ64は潜像保持体65に対し、100〜300%の周速で回転される。好ましくは120〜250%の周速で回転される。
【0235】
現像スリーブ64上のトナー層の厚さを現像スリーブ64と潜像保持体65との対向空隙長よりも小さくし、この空隙に交番電界を形成することが好ましい。バイアス電源66により現像スリーブ64に交番電場または交番電場を直流電場を重畳した現像バイアスを印加することにより、現像スリーブ64上から潜像保持体65上へのトナーの移動を容易にし、更に良質の画像を得ることができる。
【0236】
次に、磁性一成分現像方法について、図7を参照しながら説明する。
【0237】
図7において、現像スリーブ73の略右半周面はトナー容器74内のトナー溜りに常時接触していて、その現像スリーブ73面近傍のトナーTが現像スリーブ面にスリーブ内の磁気発生手段75の磁力で及び/又は静電気力により付着保持される。現像スリーブ73が回転駆動されるとそのスリーブ面の磁性トナー層が規制部材76の位置を通過する過程で各部略均一厚さの薄層磁性トナーT1として形成される。磁性トナーの帯電は主として現像スリーブ73の回転に伴なうスリーブ面との摩擦接触によりなされ、現像スリーブ73上の上記磁性トナー薄層面は現像スリーブ73の回転に伴ない潜像保持体77側へ回転し、潜像保持体77と現像スリーブ73の最接近部である現像領域部Aを通過する。この通過過程で現像スリーブ73面側の磁性トナー薄層の磁性トナーがバイアス印加手段72により潜像保持体77と現像スリーブ73間に印加した直流と交流電圧による直流と交流電界により飛翔し、現像領域部Aの潜像保持体77面と、現像スリーブ73面との間(間隙α)を往復運動する。最終的には現像スリーブ73側の磁性トナーが潜像保持体77面の表面に潜像の電位パターンに応じて選択的に移行付着してトナー像T2が順次に形成される。現像領域部Aを通過して、磁性トナーが選択的に消費された現像スリーブ面はトナー容器74のトナー溜りへ再回転することにより磁性トナーの再供給を受け、現像領域部Aへ現像スリーブ73の磁性トナー薄層T1面が移送され、繰り返し現像工程が行われる。
【0238】
図7において用いられるトナー薄層化手段としての規制部材76は、スリーブと一定の間隙をおいて配置される金属ブレード、磁性ブレードの如きドクターブレードである。あるいは、ドクターブレードの代りに、金属、樹脂、セラミック製のローラーを用いても良い。さらにトナー薄層化規制部材として現像スリーブ(トナー担持体)表面に弾性力で当接する弾性ブレード、弾性ローラーを用いても良い。弾性ブレード又は、弾性ローラを形成する材料としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、NBRの如きゴム弾性体;ポリエチレンテレフタレートの如き合成樹脂弾性体;ステンレス、鋼、リン青銅の如き金属弾性体が使用できる。それらの複合体であっても良い。好ましくは、スリーブ当接部分はゴム弾性体あるいは樹脂弾性体がよい。
【0239】
弾性ブレードを使用する場合の例を図8に示す。
【0240】
弾性ブレード80上辺部側である基部は現像剤容器側に固定保持され、下辺部側を弾性ブレード80の弾性に抗して現像スリーブ89の順方向或いは逆方向にたわめ状態にして弾性ブレード80の内面側(逆方向の場合には外面側)を現像スリーブ89の表面に適度の弾性押圧をもって当接させる。この様な装置によると、環境の変動に対してもより安定に薄く、緻密なトナー層が得られる。
【0241】
弾性ブレードを使用する場合、スリーブ、ブレード表面にトナーが融着し易すいが、本発明トナーは離型性に優れ摩擦帯電性が安定しているので好ましく用いられる。
【0242】
磁性一成分現像方法の場合、ブレード80とスリーブ89との当接圧力は、スリーブ母線方向の線圧として、9.8N/m以上、好ましくは2.9〜245N/m、更に好ましくは4.9〜118N/mが好ましい。潜像保持体88と現像スリーブ89との間隙αは、例えば50〜500μmに設定される。現像スリーブ89上の磁性トナー層の層厚は、潜像保持体88と現像スリーブ89との間隙αよりも薄いことが最も好ましいが、場合により磁性トナー層を構成する磁性トナーの多数の穂のうち、一部は潜像保持体88に接する程度に磁性トナー層の層厚を規制してもよい。
【0243】
また現像スリーブ89は、潜像保持体88に対し、100〜200%の周速で回転される。バイアス印加手段86による交番バイアス電圧は、ピークトゥーピークで0.1kV以上、好ましくは0.2〜3.0kV、更に好ましくは0.3〜2.0kVで用いるのが良い。交番バイアス周波数は、0.5〜5.0kHz、好ましくは1.0〜3.0kHz、更に好ましくは1.5〜3.0kHzで用いられる。交番バイアス波形は、矩形波、サイン波、のこぎり波、三角波等の波形が適用できる。また、正、逆の電圧、時間の異なる非対称交流バイアスも利用できる。また直流バイアスを重畳するのも好ましい。
【0244】
トナーの各種物性及び画質の評価方法について以下に説明する。
【0245】
中抜けの測定
高温高湿環境下にトナーの充填された現像機を所定時間放置した後、実施例あるいは比較例記載のマシンを用いて、画像比率4%画像を4000枚連続通紙した後、「驚」文字パターンを厚紙(128g/m2)のA4用紙に出力させた際の文字部分の中抜けを目視により評価した。
【0246】
○ ;ほとんど発生せず
○△;軽微な中抜けが見られる
△ ;若干の中抜けが見られる
× ;顕著な中抜けが見られる
透明性の測定
トランスペアレンシーシート画像の透過率は以下の如く評価する。
【0247】
実施例あるいは比較例記載のマシンを用いて、常温常湿環境下でトランスペアレンシーシート上(CG3700:3M製)に、階調を有するイエロートナーの未定着画像を得た。得られたものを定着ローラーの表面がフッ素系樹脂である外部定着器(オイル塗布機能なし;ローラー径40ファイ)にて、定着温度180度、プロセススピード35mm/secで、定着画像を得た。得られた定着画像の画像濃度0.5−0.6mg/cm2の箇所の透過率を測定した。透過率の測定は、島津自己分光光度計UV2200(島津製作所社製)を使用し測定した。そして、トランスペアレンシーシート単独の透過率を100%とし、600nmでの最大吸収波長における透過率を測定した。
【0248】
なお、下記の基準で評価した。
【0249】
○ ;透過率が、80%以上
○△;透過率が、65%以上80%未満
△ ;透過率が、50%以上65%未満
× ;透過率が、50%未満
また、フルカラー画像におけるトランスペアレンシート透過性の評価は、上記イエロートナーと同様の方法で、レッド、ブルーの定着画像を得、それを白色壁面に投影させたときの透過画像を以下の基準で目視により行った。
【0250】
○ ;非常に透明感のある画像
○△;透明感はあるが若干くすんだ暗い画像
△ ;若干透明感に欠けかつくすんだ画像
× ;暗く透明感がなく、くすんだ画像
トナー高温放置劣化の測定
トナーを40℃の環境下に3日間放置する前後における摩擦帯電量の変化により、高温放置による劣化の程度を評価した。摩擦帯電量および評価基準は以下の如くである。
【0251】
トナーの2成分摩擦帯電量はブローオフ法に基づいて測定する。図1はトナーの2成分摩擦帯電量を測定する装置の説明図である。先ず、底に635メッシュのスクリーン3のある金属製の測定容器2に摩擦帯電量を測定しようとするトナーとキャリアの振とうされた混合物を約0.2gを入れ金属製のフタ4をする。このときの測定容器2全体の重量を秤りW1(g)とする。次に、吸引機1(測定容器2と接する部分は少なくとも絶縁体)において、吸引口7から吸引し風量調節弁6を調整して真空計5の圧力を2.5×103Paとする。この状態で充分、好ましくは2分間吸引を行いトナーを吸引除去する。このときの電位計9の電位をV(ボルト)とする。ここで8はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。吸引後の測定容器全体の重量を秤りW2(g)とする。このトナーの摩擦帯電量(mC/kg)は下式の如く計算される。
【外27】
【0252】
なお、トナーとキャリアの混合比は2:98とし、キャリアはアクリルコートされたフェライトキャリアを用いた。なお、測定環境は、高温高湿環境(30℃/80%RH)とし、放置時間は12から18時間とする。
【0253】
測定手順
同処方のサンプルを2つ用意し、
(1)所定時間サンプルを放置した後、150回振とうして帯電量を測定する。
【0254】
(2)サンプルを45℃環境下に5日間放置した後、(1)と同様の操作により帯電量を測定する。
【0255】
○ :測定値(1)−測定値(2)の絶対値が0以上7mC/kg未満。
【0256】
○△:測定値(1)−測定値(2)の絶対値が7以上14mC/kg未満。
【0257】
△ :測定値(1)−測定値(2)の絶対値が14以上20mC/kg未満。
【0258】
× :測定値(1)−測定値(2)の絶対値が20mC/kg以上
なお、実施例及び比較例記載のトナーの帯電量測定値(1)は、全て−25から−35mC/kgに入り、初期画像を出すには支障が無いものであった。
【0259】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これは、本発明になんら限定するものではない。なお、以下の配合における部数は、特に説明のない場合は質量部である。
【0260】
(実施例1)
反応容器中のイオン交換水10000質量部に、0.1M−Na3PO4水溶液100質量部ならびに1M−HCl水溶液を85質量部投入し、N2パージしながら63℃で60分保温した。TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10000rpmにて攪拌しながら、1.0M−CaCl2水溶液60質量部を一括投入し、pH=6.5のリン酸カルシウム塩を含む水系媒体を調製した。
【0261】
・スチレン 80質量部
・n−ブチルアクリレート 20質量部
・イエロー着色剤 7質量部
・式(I)で現されるヒドロキシカルボン酸とAlとの化合物
(カウンターイオン K+) 1.0質量部
・縮合系樹脂 10質量部
([飽和ポリエステル(テレフタル酸−プロピレンオキサイド
変性ビスフェノールA、酸価9、ピーク分子量6000)])
・エステルワックス(離型剤No.5) 15質量部
・架橋剤(ジビニルベンゼン) 0.25質量部
別容器中で上記材料を63℃に保温し、TK方式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10000rpmにて均一に溶解、分解した。これに、重合開始剤2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4質量部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
【0262】
反応容器中の前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、63℃,N2パージ下において、TK式ホモミキサーにて10000rpmで10分間攪拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、パドル攪拌翼で攪拌しつつ63℃で6時間、さらに85℃に昇温し、9時間反応させた後、85℃で蒸留を行った。
【0263】
重合反応終了後、反応容器を冷却し、塩酸を加えリン酸カルシウム塩を溶解させた後、ろ過,水洗,乾燥をして、イエロートナー粒子を得た。このイエロートナー粒子の断面をTEMにより観測したところ、図2に示すように離型剤が外殻樹脂で良好に内包化されていることが認識できた。
【0264】
得られたイエロートナー粒子100質量部と、BET法による比表面積が100m2/gである疎水性酸化チタン微粉体1.5質量部とを混合し、負摩擦帯電性のイエロートナーを得た。得られたイエロートナーの円相当個数平均径D1は4.6μmであった。
【0265】
このイエロートナー5質量部に対し、アクリルコートされたフェライトキャリア95質量部を混合して現像剤を調整し、図5に示すような中間転写体を搭載したフルカラー複写機(クリエイティブプロセッサー660,キヤノン製)の改造機を用いて、補給によるイエロートナーの画出し試験を行った。
【0266】
上記トナーの処方を表1に、トナーの物性を表3に、測定結果を表5にそれぞれ示す。
【0267】
(実施例2乃至5)
表1に示すトナー処方以外は実施例1と同様な実験を行いイエロートナーを製造し、表3にトナー物性を、表5に記載のトナー測定結果を示す。
【0268】
(実施例6)
造粒時温度を75度、および造粒後75℃で反応を6時間行うこと以外は実施例1と同様にし、表1に示すトナー処方にてイエロートナーを製造する。表3にトナー物性を、表5に記載のトナー測定結果を示す。
【0269】
(実施例7)
造粒時温度を85度、および造粒後85℃で反応を15時間行い、その後の昇温を行わないこと以外は実施例1と同様にし、表1に示すトナー処方にてイエロートナーを製造する。表3にトナー物性を、表5に記載のトナー測定結果を示す。
【0270】
(実施例8)
1M−HCl水溶液を添加せず、pH=10.2の水系媒体とする以外は実施例1と同様にし、表1に示すトナー処方にてイエロートナーを製造する。表3にトナー物性を、表5に記載のトナー測定結果を示す。
【0271】
(実施例9)
表1に示すトナー処方以外は実施例1と同様な実験を行いイエロートナーを製造し、表3にトナー物性を、表5に記載のトナー測定結果を示す。
【0272】
(実施例10)
表2に示すトナー処方以外は実施例1と同様な実験を行いイエロートナーあるいはマゼンタトナーあるいはシアントナーあるいはブラックトナーを製造し、表4に記載のトナー物性を得た。得られた4色のトナーは、実施例1と同様にして現像剤を調整し図3に示す二成分現像方法を用いて、図5に示す中間転写体を搭載したフルカラー複写機(クリエイティブプロセッサー660,キヤノン製)の改造機により、フルカラー画像の画出し試験を行った。
【0273】
測定結果を表6にそれぞれ示す。
【0274】
(実施例11)
表2に示すトナー処方以外は実施例1と同様な実験を行いイエロートナーあるいはマゼンタトナーあるいはシアントナーあるいはブラックトナーを製造し、表2に記載のトナー物性を得た。得られた4色のトナーは、図6に示す非磁性一成分現像方法を用いて、図5に示す中間転写体を搭載したフルカラー複写機(クリエイティブプロセッサー660,キヤノン製)の改造機により、フルカラー画像の画出し試験を行った。
【0275】
測定結果は表6に示す。
【0276】
(比較例1乃至2)
表1に示すトナー処方以外は実施例1と同様な実験を行いイエロートナーを製造した。表3にトナー物性を、表5にトナー測定結果を示す。
【0277】
(比較例3)
造粒時温度を55度、造粒後55℃で反応を6時間行うこと、および重合開始材を2質量部にする以外は実施例1と同様にし、表1に示すトナー処方にてイエロートナーを製造する。表3にトナー物性を、表5に記載のトナー測定結果を示す。
【0278】
(比較例4)
・プロポキシ化ビスフェノールとフマル酸を
縮合して得られたポリエステル樹脂 100質量部
・イエロー着色剤 6質量部
・ヒドロキシカルボン酸とAlとの化合物
(カウンターイオン K+) 4質量部
・エステルワックス(離型剤No.5) 2質量部
これ以外は表1に示すトナー処方を用い、ヘンシェルミキサーにより十分予備混合を行い、2軸式押出し機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕した。さらに分級してイエロートナー粒子を得た。得られたイエロートナーの円相当個数平均径D14.4μmであった。表3にトナー物性を、表5に記載のトナー測定結果を示す。
【0279】
(比較例5乃至6)
表1に示すトナー処方以外は実施例1と同様な実験を行いイエロートナーを製造した。表3にトナー物性を、表5にトナー測定結果を示す。
【0280】
(比較例7)
表2に示すトナー処方以外は実施例1と同様な実験を行いイエロートナーあるいはマゼンタトナーあるいはシアントナーあるいはブラックトナーを製造し、表4に記載のトナー物性を得た。得られた4色のトナーは、実施例1と同様にして現像剤を調整し図3に示す二成分現像方法を用いて、図5に示す中間転写体を搭載したフルカラー複写機(クリエイティブプロセッサー660,キヤノン製)の改造機により、フルカラー画像の画出し試験を行った。測定結果を表6にそれぞれ示す。
【0281】
(比較例8)
表2に示すトナー処方以外は実施例1と同様な実験を行いイエロートナーあるいはマゼンタトナーあるいはシアントナーあるいはブラックトナーを製造し、表4に記載のトナー物性を得た。得られた4色のトナーは、図6に示す非磁性一成分現像方法を用いて、図5に示す中間転写体を搭載したフルカラー複写機(クリエイティブプロセッサー660,キヤノン製)の改造機により、フルカラー画像の画出し試験を行った。測定結果は表6に示す。
【0282】
(比較例9)
表2に示すトナー処方以外は実施例1と同様な実験を行いイエロートナーあるいはマゼンタトナーあるいはシアントナーあるいはブラックトナーを製造し、表4に記載のトナー物性を得た。得られた4色のトナーは、実施例1と同様にして現像剤を調整し図3に示す二成分現像方法を用いて、図5に示す中間転写体を搭載したフルカラー複写機(クリエイティブプロセッサー660,キヤノン製)の改造機により、フルカラー画像の画出し試験を行った。測定結果を表6にそれぞれ示す。
【0283】
【表1】
【0284】
【表2】
【0285】
【表3】
【0286】
【表4】
【0287】
【表5】
【0288】
【表6】
【0289】
【発明の効果】
本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤、及び下記式(I)で示されるヒドロキシカルボン酸と2価又は3価の金属との化合物を含有するトナーおよびフルカラー画像形成方法であって、該着色剤がC.I.disperse Yellow 42,64,201,および211からなるグループから選択されるイエロー着色剤であり、該トナーのテトラヒドロフラン(THF)の可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量が10000乃至600000であり、且つ、フロー式粒子像測定装置で計測される該トナーの平均円形度が0.920乃至0.995で、円形度標準偏差が0.040未満であることにより、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)のイエロー投影画像の透明性が優れ、高温高湿における転写性が良好で、高温環境下に曝されても劣化が少なく、さらに2次色以上の重ねあわせにおいても、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)のフルカラー投影画像の透明性の優れたトナーおよび画像形成方法画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トナーのトリボ電荷量を測定する装置の概略的説明図である。
【図2】離型剤が外殻樹脂に内包化されているトナー粒子の断面の模式図である。
【図3】本発明のトナーが適用され得る現像装置の概略図である。
【図4】フルカラー又はマルチカラーの画像形成方法を説明するための概略図である。
【図5】中間転写体使用の画像形成方法の概略図である。
【図6】非磁性一成分現像装置を示す概略図である。
【図7】磁性一成分現像装置を示す概略図である。
【図8】磁性一成分現像装置を示す概略図である。
Claims (23)
- 少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤、及び下記式(I)で示されるヒドロキシカルボン酸と2価又は3価の金属との化合物を含有するトナーであって、該着色剤がC.I.disperse Yellow 42,64,201,および211からなるグループから選択されるイエロー着色剤であり、該トナーのテトラヒドロフラン(THF)の可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量が10000乃至600000であり、フロー式粒子像測定装置で計測される該トナーの平均円形度が0.920乃至0.995で、円形度標準偏差が0.040未満であるを有することを特徴とするイエロートナー。
【外1】
式中、R1とR2は、同一であっても異なっていても良く、各々、水素原子、直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなるグループから選ばれる置換基を示し、m及びnは0乃至5の整数を示す。 - 該着色剤がC.I.disperse Yellow 201であることを特徴とする請求項1に記載のイエロートナー。
- 該着色剤が、該結着樹脂100質量部当たり1乃至15質量部含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載のイエロートナー。
- 該着色剤が、該結着樹脂100質量部当たり2乃至10質量部含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載のイエロートナー。
- 該トナーのフロー式粒子像測定装置で計測される個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおける円相当個数平均径D1(μm)が2乃至10μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のイエロートナー。
- 該トナーのテトラヒドロフラン(THF)の可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量が50000乃至400000であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のイエロートナー。
- 該離型剤が、該結着樹脂100質量部当たり1乃至40質量部含有されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のイエロートナー。
- 該離型剤が、該結着樹脂100質量部当たり3乃至30質量部含有されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のイエロートナー。
- 該トナーの円形度が0.965乃至0.990で、円形度標準偏差が0.035未満であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のイエロートナー。
- 前記フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該トナーが円形度0.950未満のトナー粒子が15個数%以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のイエロートナー。
- 少なくとも結着樹脂、着色剤、離型剤、及び下記式(I)で示されるヒドロキシカルボン酸と2価又は3価の金属との化合物を含有するトナーからなるフルカラー画像形成方法において、該トナーのうち、イエロートナー中のイエロー着色剤がC.I.disperse Yellow 42,64,201,および211からなるグループから選択されるイエロー着色剤であり、該トナーのテトラヒドロフラン(THF)の可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量が10000乃至600000であり、フロー式粒子像測定装置で計測される該トナーの平均円形度が0.920乃至0.995で、円形度標準偏差が0.040未満であるを有することを特徴とするフルカラー画像形成方法。
【外2】
式中、R1とR2は、同一であっても異なっていても良く、各々、水素原子、直鎖又は分岐したアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基及び水酸基からなるグループから選ばれる置換基を示し、m及びnは0乃至5の整数を示す。 - 該着色剤がC.I.disperse Yellow 201であることを特徴とする請求項11に記載のフルカラー画像形成方法。
- 該トナーのうち、マゼンタトナー中のマゼンタ着色剤がキナクリドン系及び/またはアゾ系であり、シアントナー中のシアン着色剤がフタロシアニン系であり、且つ、該トナーのテトラヒドロフラン(THF)の可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量が10000乃至600000であり、フロー式粒子像測定装置で計測される該トナーの平均円形度が0.920乃至0.995で、円形度標準偏差が0.040未満であることを特徴とする請求項11又は12に記載のフルカラー画像形成方法。
- 該着色剤においてマゼンタ着色剤がキナクリドン系の固溶体顔料であり、シアン着色剤が銅フタロシアニンであることを特徴とする請求項13に記載のフルカラー画像形成方法。
- 該着色剤においてマゼンタ着色剤がC.I.Pigment RED 122及びC.I.Pigment Violet 19またはC.I.Pigment RED 202及びC.I.Pigment Violet 19の固溶体顔料であり、シアン着色剤がC.I.Pigment Blue 15であることを特徴とする請求項13または14に記載のフルカラー画像形成方法。
- 該着色剤が、該結着樹脂100質量部当たり1乃至15質量部含有されていることを特徴とする請求項11乃至15のいずれかに記載のフルカラー画像形成方法。
- 該着色剤が、該結着樹脂100質量部当たり2乃至10質量部含有されていることを特徴とする請求項11乃至15のいずれかに記載のフルカラー画像形成方法。
- 該トナーのフロー式粒子像測定装置で計測される個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおける円相当個数平均径D1(μm)が2乃至10μmであることを特徴とする請求項11乃至17のいずれかに記載のフルカラー画像形成方法。
- 該トナーのテトラヒドロフラン(THF)の可溶成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における重量平均分子量が50000乃至400000であることを特徴とする請求項11乃至18のいずれかに記載のフルカラー画像形成方法。
- 該離型剤が、該結着樹脂100質量部当たり1乃至40質量部含有されていることを特徴とする請求項11乃至19のいずれかに記載のフルカラー画像形成方法。
- 該離型剤が、該結着樹脂100質量部当たり3乃至30質量部含有されていることを特徴とする請求項11乃至19記載のいずれかのフルカラー画像形成方法。
- 該トナーの平均円形度が0.965乃至0.990で、円形度標準偏差が0.035未満であることを特徴とする請求項10乃至19のいずれかに記載のフルカラー画像形成方法。
- 前記フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の円相当径−円形度スキャッタグラムにおいて、該トナーが円形度0.950未満のトナー粒子が15個数%以下であることを特徴とする請求項11乃至22に記載のフルカラー画像形成方法。
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