JP2004046221A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 画質劣化などの弊害を起こすことなく、潤滑性に優れ、耐摩耗性が改善され、優れた電子写真特性を有する高寿命の電子写真感光体を提供し、また、このような電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】 支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面層が、ポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットを有し数平均分子量が2000〜20000の範囲であるアクリル重合体を含有する。
【選択図】 なし

Description

 本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
 電子写真感光体には、適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性および光学的特性などを備えていることが要求され、特に、繰り返し使用される電子写真感光体の表面には、帯電、トナーによる現像、紙などへの転写およびクリーニングなどの電気的あるいは機械的外力が直接的に加えられるため、それらに対する耐久性が要求される。
 具体的には、帯電部材、クリーニング部材、転写部材、その他の補助部材との摺擦による電子写真感光体表面の摩滅や傷または異音の発生、高湿下における電子写真感光体の帯電(一次帯電)時に発生したオゾンや窒素酸化物の付着による電子写真感光体表面の劣化などに対する耐久性が要求される。
 近年では、直流電圧または直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加した接触帯電部材と電子写真感光体表面とのギャップにおいて放電させることにより、電子写真感光体の帯電を行う電子写真装置が製品化されている。ところが、このような接触帯電方式は、従来のコロナ帯電方式に比べて、オゾンや窒素酸化物のような酸化性気体の発生は少なくなるものの、高い放電エネルギーにより電子写真感光体表面を構成する分子の分子鎖の結合が切断されるために、より劣化がひどくなるという弊害が生じる。
 さらには、現像やクリーニングなどの繰り返しに起因する電子写真感光体表面へのトナー付着という問題もあり、この問題に対しては、電子写真感光体表面のクリーニング性を向上することが求められている。
 このような課題を解決手段として、特開平05−053358号公報には、硬化性(架橋性)樹脂を結着樹脂とした表面層を設けることが開示されている。しかしながら、このような構成では、電子写真感光体表面の機械的強度は向上するものの、帯電時に発生するオゾンや窒素酸化物によって生成する、いわゆる帯電生成物の付着に伴う弊害に関して悪化する傾向にあり、高湿下における画像ボケ、トナーの転写効率の低下、電子写真感光体表面と接触する部材との摩擦係数の上昇といった現象が現れる傾向にある。
 また、特開平06−083094号公報には、熱可塑性樹脂を結着樹脂とした表面層に樹脂粒子を含有させることが開示されている。しかしながら、このような構成では、転写効率の低下などの帯電生成物の付着に伴う弊害に関しては改善するものの、電子写真感光体表面の機械的強度を著しく改良することは困難である。さらに、このような樹脂粒子は、粒径や分散状態によっては、感光層内で光の散乱を起こして画像品位を低下させたり、樹脂粒子の凝集物が感光層の傷の起点になったりするという弊害も起こりうる。
 また、表面層にシリコーンオイル、ステアリン酸塩などを添加して電子写真感光体表面の摩擦係数を低減させることも提案されているが、このような化合物を添加することにより、感光層内の電荷の移動に影響が及び、残留電位の上昇による画像濃度の変化、電気抵抗の低下による画像ボケ、感光層内に停留する電荷によるゴースト画像の発生などの弊害が生じる。また、このようなシリコーンオイルは表面移行性が高く、感光層内のごく表面近傍部にのみ局在するため、この化合物を添加した効果は、耐久により表面部分が摩滅すると、その効果は減退する。特に、表面層にシリコーンオイルのような化合物を添加した場合は、表面層とその下の層との密着性を低下させてしまい、表面層の剥がれを引き起こす場合もある。
 また、シリコーンオイルなどの潤滑剤の表面移行性を抑えるためには、摩擦係数の小さい化合物のうち、溶解性の乏しい粒子を表面層中に分散させる方法が挙げられるが、このような粒子は、均一に感光層内に分散させなければ、光散乱による静電潜像の拡散や、凝集物が起点となる傷の発生という弊害生じる。これら潤滑剤粒子の分散性に関わる問題は、分散剤を添加することで、ある程度分散性の向上は計れるものの、逆に分散剤自身が感光層内の電荷の移動を妨げたり、高湿下でイオン導電剤的な振る舞いをしたりするため、電子写真特性を阻害し、表面層の抵抗低下、残留電位の上昇、ゴースト画像の発生といった別の問題が生じる。
 このように、これまでのところ、光散乱による画質劣化、凝集物による傷発生、表面層の抵抗低下、残留電位の上昇、ゴースト画像の発生、表面層の密着性の低下といった弊害を引き起こすことなく、電子写真感光体表面の機械的強度、電気的強度、各種接触部材との摩擦低減、転写効率を向上させることは困難であった。
特開平05−053358号公報 特開平06−083094号公報
 したがって、本発明の目的は、上記問題を解決し、特に、画質劣化などの弊害を起こすことなく、潤滑性に優れ、耐摩耗性が改善され、優れた電子写真特性を有する高寿命の電子写真感光体を提供することにある。
 また、本発明の目的は、このような電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
 上記課題は、電子写真感光体の表面層に、ポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットを含有するアクリル重合体を含有させる事によって解決でき、機械的強度、電気的強度、各種接触部材との摩擦低減、転写効率を改善させることができる。
 すなわち、本発明は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、
 該電子写真感光体の表面層が、ポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットを有し数平均分子量が2000〜20000の範囲であるアクリル重合体を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体である。
 また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
 本発明により、画質劣化などの弊害を起こすことなく、潤滑性に優れ、耐摩耗性が改善され、優れた電子写真特性を有する高寿命の電子写真感光体を提供することができ、また、このような電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
 本発明の電子写真感光体の感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質を単一の層に含有させた単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とを積層した積層型感光層であってもよいが、電子写真特性的には積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層の中でも、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層がより好ましい。
 図1に、本発明の電子写真感光体の層構成の例を示す。
 図1(a)に示される層構成の電子写真感光体は、支持体4の上に電荷発生層3、電荷輸送層2が順に設けられており、さらにその上に表面層として、ポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットを有し数平均分子量が2000〜20000であるアクリル重合体(以下、本発明のアクリル重合体ともいう)を含有する層1が設けられている。また、図1(b)や(c)に示すように、支持体4と電荷発生層3の間に、バリア機能や接着機能を有する中間層(バリア層、接着層)5や、干渉縞防止などを目的とする導電層6などを設けてもよい。
 また、図1(d)に示される層構成の電子写真感光体は、支持体4の上に電荷発生層3が設けられており、その上に表面層として本発明のアクリル重合体を含有する層1が直接設けられている。
 その他、どのような層構成であっても、電子写真感光体の表面層に本発明のアクリル重合体が含有されていればよいが、本発明のアクリル重合体を含有する表面層は電荷発生層と接していない層であることが好ましい。また、本発明のアクリル重合体を含有する表面層には電荷発生物質が実質的に含有されていない(具体的には、表面層の電荷発生物質の含有量が、表面層全質量に対して0〜5000ppm(質量比))ことが好ましい。表面層が電荷発生層に接していなければ、また、表面層に電荷発生物質が実質的に含有されていなければ、本発明のアクリル重合体が電荷発生物質に(実質的に)接触することがなく、電荷発生層から電荷輸送層への(電荷発生物質から電荷輸送物質への)電荷の注入に影響を及ぼすことないからである。
 本発明の電子写真感光体の支持体としては、導電性を有していればよく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属製の支持体を用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチックなどを用いることもできる。
 上述のとおり、支持体上には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。導電層は、カーボンブラック、金属粒子などの導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることがより好ましい。
 また、上述のとおり、支持体または導電層と感光層(電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。中間層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウムなどの材料を用いて形成することができる。中間層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜3μmであることがより好ましい。
 本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アンスラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、シアニン染料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの中でも、電荷の発生効率や電荷の注入性の点で、アゾ顔料およびフタロシアニン顔料が好ましく、特には金属フタロシアニン顔料が好ましい。また、これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
 感光層が積層型感光層の場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられる。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
 電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などが挙げられる。
 電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:0.3〜1:4の範囲が好ましい。
 電荷発生層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
 また、電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.01〜1μmであることがより好ましい。
 また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
 本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物などが挙げられる。
 例えば、図1(a)、(b)および(c)中の電荷輸送層2のように、電子写真感光体の表面層ではない電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和樹脂などが挙げられる。特には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂が好ましい。
 この電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
 電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン原子で置換された炭化水素などが用いられる。
 電荷輸送層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。塗布後に乾燥させる際、乾燥温度は10℃〜200℃の範囲が好ましく、特には20℃〜150℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は5分〜5時間の範囲が好ましく、特には10分〜2時間の範囲が好ましい。乾燥は、送風乾燥であっても静止乾燥であってもよい。
 電子写真感光体の表面層ではない電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には7〜30μmであることがより好ましい。
 また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
 上述のとおり、感光層上(例えば電荷輸送層上)に設けられる電子写真感光体の表面層、または、電荷発生層上に直接設けられる電子写真感光体の表面層は、本発明のアクリル重合体、すなわち、ポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットを有し数平均分子量が2000〜20000であるアクリル重合体を含有する。
 電子写真感光体の表面層における本発明のアクリル重合体の含有量は、表面層全質量に対して0.1〜20質量%が好ましく、特には0.5〜5質量%がより好ましい。
 また、本発明のアクリル重合体中、ポリフルオロオレフィンユニット(R)とアルキレンオキサイドユニット(R)とのモル比(R:R)は、0.1:1〜2:1であることが好ましく、0.2:1〜1:1であることがより好ましい。
 本発明のアクリル重合体は、前記アクリル酸エステルモノマーと、さらに炭素原子を2〜12個有するアクリル酸アルキルエステルから得られた重合体であってもよい。この場合、本発明のアクリル重合体中、ポリフルオロオレフィンユニットとアルキレンオキサイドユニットの和(RFO)と、炭素原子を2〜12個有するユニット(RAL)のモル比(RFO/RAL)は、1:0〜0.3:0.7であることが好ましく、0.8:0.2〜0.5:0.5であることがより好ましい。
 電子写真感光体の表面層に本発明のアクリル重合体を含有させる方法としては、本発明のアクリル重合体および有機溶剤を含有する表面層用塗布液を用いて表面層を形成する方法が挙げられる。
 上記有機溶剤としては、プロトン受容体パラメーター(δa)が2以上であって沸点50〜120℃の有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤を用いることにより、表面層の下の層と表面層中の本発明のアクリル重合体との相互作用が少なくなり、ゴーストなどの画像品位の劣化を起こすことなく、また、表面層に樹脂粒子を含有させる場合には、その凝集物形成を抑えることができるため、凝集物起因の傷の発生を抑制することができる。
 一般的に、溶剤の特性を表す指標としては、溶解度パラメーター(δ)が用いられる。この指標は、種々の分子間相互作用により、分散溶解度パラメーター、双極子配向パラメーター、プロトン受容体パラメーター、プロトン供与体パラメーターに分けられる。これら各種パラメーターの中でも、電子写真感光体の表面層に本発明のアクリル重合体を上記方法で含有させるためには、プロトン受容体パラメーター(δa)が特に重要なパラメーターである。
 有機物質の溶解性がある有機媒体であっても、プロトン受容体パラメーター(δa)が小さいものは、表面層以外への影響が大きく、本発明のアクリル重合体を表面層に均一に存在させることが難しくなる傾向にある。
 以下に、プロトン受容体パラメーター(δa)が2以上であって沸点50〜120℃の有機溶剤の好適例を示す。
Figure 2004046221
 表面層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。浸漬コーティング法によって電子写真感光体の表面層を形成する場合は、表面層の下の層への影響を考慮すると、プロトン受容体パラメーター(δa)が2以上であって沸点50〜120℃であって、かつ、酸素以外のヘテロ原子を有さない構造の非芳香族有機溶剤が好適である。
 本発明のアクリル重合体は、ポリフルオロオレフィンユニットを有するアクリル酸エステルモノマーと、アルキレンオキサイドユニットを有するアクリル酸エステルモノマーから得られた共重合体であってもよいし、ポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットの両方を有するアクリル酸エステルモノマーから得られた重合体であってもよい。
 このようにして本発明のアクリル重合体を得る場合、表面層用塗布液中に樹脂粒子を含有させても、その樹脂粒子の分散安定性が向上し、長期にわたり塗布液を使用することが可能となるという利点がある。
 上記ポリフルオロオレフィンユニットは、ポリフルオロアルキレンユニットであることが好ましい。
 また、上記アルキレンオキサイドユニットは、エチレンオキサイドユニット、プロピレンオキサイドユニットであることが好ましく、エチレンオキサイドユニットであることがより好ましい。アルキレンオキサイドユニットがエチレンオキサイドユニットまたはプロピレンオキサイドユニットであることにより、表面層とその下の層との密着性がより向上する。
 また、上記ポリフルオロオレフィンユニットは、1ユニットあたりフッ素原子を7〜29個有するユニットであることが好ましく、特には、1ユニットあたりフッ素原子を9〜21個有するユニットであることがより好ましい。1ユニットあたりのフッ素原子の数が7個よりも少ないと、電子写真感光体表面の摩擦を低減させる効果が発揮されにくい場合がある。一方、1ユニットあたりのフッ素原子の数が30個よりも多いと、表面層中において、このアクリル重合体を均一に含有させることが困難となる場合がある。また、ポリフルオロオレフィンユニットの1ユニットあたりのフッ素原子の数が30個よりも多い場合には、上述のプロトン受容体パラメーターが2以上であって沸点50〜120℃の有機溶剤による溶解性が低下し、本発明のアクリル重合体が表面層中に偏在したり、樹脂粒子を安定に分散する能力が低下したりする場合がある。
 また、上記アルキレンオキサイドユニットは、1ユニットあたり炭素原子を2〜4個有するユニットであることが好ましく、特には、1ユニットあたり炭素原子を2個有するユニットであることがより好ましい。つまり、アルキレンオキサイドユニットを−O−R11−とすると(−R11−はアルキレン基)、R111個あたりの炭素原子の数は2〜4個であることが好ましく、特には2個であることがより好ましい。具体的には、エチレンオキサイドユニット、プロピレンオキサイドユニット、イソプロピレンオキサイドユニット、ブチレンオキサイドユニットが挙げられる。1ユニットあたりの炭素原子の数が4個よりも多いと、表面層中において、このアクリル重合体を均一に含有させることが困難となる場合がある。また、1ユニットあたりの炭素原子の数が4個よりも多い場合には、上述のプロトン受容体パラメーターが2以上であって沸点50〜120℃の有機溶剤による溶解性が低下し、本発明のアクリル重合体が表面層中に偏在したり、表面層と表面層の下の層との密着性が低下したりする場合がある。
 また、上記アルキレンオキサイドユニットを有するアクリル酸エステルモノマー中、または、ポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットの両方を有するアクリル酸エステルモノマー中、アルキレンオキサイドユニットは3〜20個であることが好ましく、特には5〜10個であることがより好ましい。アルキレンオキサイドユニットの数が3個よりも少ないと、アルキレンオキサイドユニットを有することによる効果の発現が弱くなり、また、上述のプロトン受容体パラメーターが2以上であって沸点50〜120℃の有機溶剤による溶解性が低下し、本発明のアクリル重合体が表面層中に偏在したり、表面層と表面層の下の層との密着性が低下したりする場合がある。一方、アルキレンオキサイドユニットの数が20個よりも多いと、表面層中での電荷の移動度が低下して残留電位の上昇を招いたり、帯電生成物の付着による電子写真感光体の表面抵抗の増加が大きくなったりして、画像ボケが発生する場合があり、また、表面層が導電性粒子を含有する場合には、高湿下における表面層の抵抗の低下が起きやすく、画像流れが発生する場合がある。
 以下に、ポリフルオロオレフィンユニットを有するアクリル酸エステルモノマーの好適例を示す。
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
 以下に、アルキレンオキサイドユニットを有するアクリル酸エステルモノマーの好適例を示す。
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
(上記式(AA−1)〜(AA−24)中、nは正の整数を示し、好ましくは3〜20であり、より好ましくは5〜10である。)
 また、ポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットの両方を有するアクリル酸エステルモノマーの好適な構造は、下記式(PAA−A)、(PAA−B)または(PAA−C)で示される。
Figure 2004046221
(上記式(PAA−A)、(PAA−B)、(PAA−C)中、Rはアルキレンオキサイドユニットを示し、Rはポリフルオロオレフィンユニットを示し、R21およびR22はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示す。nは正の整数を示し、好ましくは3〜20であり、より好ましくは5〜10である。R中の炭素原子の数は、好ましくは2〜4個であり、より好ましくは2個である。R中のフッ素原子の数は、好ましくは7〜29個であり、より好ましくは9〜21個である。)
 以下に、ポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットの両方を有するアクリル酸エステルモノマーの好適例を示す。
Figure 2004046221
 また、本発明のアクリル重合体を得る際、上記ポリフルオロオレフィンユニットを有するアクリル酸エステルモノマーおよび上記アルキレンオキサイドユニットを有するアクリル酸エステルモノマー、もしくは、上記ポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットの両方を有するアクリル酸エステルモノマー以外に、例えば、本発明のアクリル重合体と表面層の結着樹脂との相溶性の向上を図るために、第3のアクリル酸モノマーを用いてもよい。第3のアクリル酸モノマーとしては、アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸アルキルエステルの中でも、炭素原子を2〜12個有するアクリル酸アルキルエステルがより好ましい。また、アクリル酸アルキルエステルのアルキル基はヒドロキシ基を置換基として有していてもよい。炭素原子を2〜12個有するアクリル酸アルキルエステルを用いて得られる本発明のアクリル重合体は、高湿下における抵抗低下をより顕著に抑制することができ、帯電生成物の付着が多い電子写真システムであっても、電子写真感光体の表面層に導電性粒子を含有させた場合であっても、画像ボケを引き起こすことがない。
 以下に、第3のアクリル酸モノマーの好適例を示す。
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
 また、本発明の電子写真感光体の表面層には、結着樹脂として、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂などの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂などの硬化性樹脂などを用いることができる。これらの中でも、帯電生成物の付着による画像ボケや電子写真感光体と接触部材との間の摺擦による異音の発生を防止し、電子写真感光体の機械的強度および電気的強度を著しく向上させることができるという点で、硬化性樹脂が好ましい。
 電子写真感光体の表面層に本発明のアクリル重合体と硬化性樹脂とを含有させることにより、さらには樹脂粒子も含有させることにより、光散乱による画質劣化、凝集物による傷発生、表面層の抵抗低下、残留電位の上昇、ゴースト画像の発生、表面層の密着性の低下といった弊害を引き起こすことなく、また、樹脂粒子を含有させることによる弊害も引き起こすことなく、電子写真感光体表面の機械的強度、電気的強度、各種接触部材との摩擦低減、転写効率を向上させることが、より高い次元で達成できる。
 また、硬化性樹脂の中でも、硬化前にヒドロキシ基を有するモノマーから得られる硬化性樹脂がより好ましい。
 また、本発明において、表面層には導電性粒子や電荷輸送物質を含有させてもよい。
 導電性粒子としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、グラファイト、カーボンブラック、インジウムをドープした酸化スズ、アンチモンをドープした酸化スズ、酸化ジルコニウムなどの粒子が挙げられる。これら導電性粒子は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合は、固溶体の状態であってもよく、融着した状態であってもよい。
 電子写真感光体の表面層における導電性粒子の含有量は、表面層全質量に対して20〜80質量%が好ましく、特には30〜60質量%がより好ましい。また、表面層に含有される本発明のアクリル重合体に対して、10〜500質量%が好ましく、特には20〜50質量%がより好ましい。
 電荷輸送物質としては、上述したように、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物などが挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
 また、表面層の結着樹脂として硬化性樹脂を用いる場合、さらには表面層に樹脂粒子を含有させる場合、表面層に含有させる電荷輸送物質は、上記電荷輸送物質の中でも、硬化前にヒドロキシ基を有する電荷輸送物質が好ましい。
 電子写真感光体の表面層における電荷輸送物質の含有量は、表面層全質量に対して10〜80質量%が好ましく、特には30〜60質量%がより好ましい。また、表面層に含有される本発明のアクリル重合体に対して、5〜500質量%が好ましく、特には15〜200質量%がより好ましい。また、表面層に含有される硬化性樹脂に対して、4〜600質量%が好ましく、特には10〜250質量%がより好ましい。
 以下に、ヒドロキシ基を有する電荷輸送物質の好適例を示す。
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
Figure 2004046221
 化合物例C62〜C65に示した電荷輸送物質は、フェノール性水酸基のオルト位にヒドロキシメチル基を有するため、この化合物のみで熱硬化反応を進行させることも可能である。このような化合物を電荷輸送物質として用いる場合には、結着樹脂として硬化性樹脂を用いなくてもある程度の表面硬度を保つことが可能であり、更に硬化性樹脂を結着樹脂として用いることで、より強度な表面層を得ることが可能となる。更には結着樹脂成分を用いずともこの硬化性電荷輸送物質により電荷搬送性と所望の表面硬度を有した硬化性表面層を形成することができる。
 また、上述のとおり、本発明の電子写真感光体の表面層には、樹脂粒子を含有させてもよい。電子写真感光体の表面層に樹脂粒子を含有させることによって、電子写真感光体表面の摩擦係数を低減することができる。上述のとおり、電子写真感光体の表面層に、樹脂粒子と本発明のアクリル重合体および硬化性樹脂とを併用することにより、光散乱による画質劣化という弊害が引き起こされることもない。
 樹脂粒子としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチレンオキサイド、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体などの粒子が挙げられる。これら樹脂粒子は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。また、これら樹脂粒子の中でも、トナーの転写効率をさらに向上させることができるという点で、フッ素原子含有樹脂粒子、ケイ素原子含有樹脂粒子が好ましく、特に、フッ素原子含有樹脂粒子がより好ましい。
 樹脂粒子の粒径は、光散乱や凝集物形成を抑制することができるという点で、0.01〜10μmであることが好ましく、特には0.05〜2.0μmであることがより好ましく、さらには0.1〜0.8μmであることがより一層好ましい。
 また、上記ポリフルオロオレフィンユニットが、1ユニットあたりフッ素原子を7〜29個有するユニットであれば、電子写真感光体表面の摩擦係数を低減させる効果を高い次元で維持しつつ、樹脂粒子の粒径を上記好適範囲内に設定することが容易となる。
 電子写真感光体の表面層における樹脂粒子の含有量は、表面層全質量に対して0.5〜50質量%が好ましく、特には2〜25質量%がより好ましい。また、表面層に含有される本発明のアクリル重合体に対して、1000〜5000質量%が好ましく、特には2000〜3000質量%がより好ましい。また、表面層に含有される硬化性樹脂に対して、1〜100質量%が好ましく、特には3〜50質量%がより好ましい。
 また、本発明の電子写真感光体の表面層には、帯電生成物(オゾンや窒素酸化物など)などの活性物質の付着による表面層の劣化などを防止する目的で、酸化防止剤を含有させてもよい。
 図2に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
 図2において、11はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸12を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体11は、回転過程において、帯電手段(一次帯電手段)13により、その周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)14を受ける。こうして電子写真感光体11の周面に、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
 形成された静電潜像は、次いで現像手段15によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体11と転写手段16との間に電子写真感光体11の回転と同期して取り出されて給送された紙などの転写材17に、電子写真感光体11の周面に形成担持されているトナー画像が転写手段16により順次転写されていく。
 トナー画像の転写を受けた転写材17は、電子写真感光体の周面から分離されて定着手段18へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
 像転写後の電子写真感光体11の周面は、クリーニング手段19によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光20により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段13が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
 本発明においては、上述の電子写真感光体11、帯電手段13、現像手段15およびクリーニング手段19などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、帯電手段13、現像手段15およびクリーニング手段19の少なくとも1つを電子写真感光体11と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレールなどの案内手段22を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ21とすることができる。
 また、露光光14は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
 本発明の電子写真感光体は、複写機やレーザービームプリンターに利用するのみならず、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター、レーザー製版などの電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。
 (実施例)
 以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
 (アクリル重合体例1〜11)
 下表に示すアクリル酸エステルモノマーから下表に示す重量平均分子量(Mn)のアクリル重合体を得た。
Figure 2004046221
 表2中、PPAはポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットを有するアクリル酸エステルモノマーを意味し、PAはポリフルオロオレフィンユニットを有するアクリル酸エステルモノマーを意味し、AAはアルキレンオキサイドユニットを有するアクリル酸エステルモノマーを意味し、3Aは第3のアクリル酸モノマーを意味する。
 重量平均分子量(Mn)は、ゲルパーミッションカラムクロマトグラフィー(GPC)による測定で得られた値であり、ポリスチレン換算の数平均分子量である。
 (実施例1)
 長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体として、この上にポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)の5質量%メタノール溶液を浸漬コーティング法で塗布し、膜厚0.5μmの中間層を設けた。
 次に、電荷発生物質としてCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2の28.1°に最も強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶3部と、結着樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学(株)製)とを、シクロヘキサノン100部に添加し、直径1mmのガラスビーズ入りサンドミルで1時間分散した。この分散液にメチルエチルケトン100部を加えて希釈して、電荷発生層用塗布液を調製し、上記中間層上に浸漬コーティングし、90℃で10分間乾燥して、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
 次に、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質8.5部、
Figure 2004046221
下記式で示される繰り返し構造単位を有するビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:20000、商品名:Z−200、三菱ガス化学(株)製)10部、
Figure 2004046221
および、アクリル重合体例(1)1.0部を、モノクロロベンゼン50部とテトラヒドロフラン30部に溶解した。この溶液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティングし、110℃で1時間熱風乾燥して、膜厚17μmの電荷輸送層を形成した。
 このようにして電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
 (実施例2)
 実施例1において、電荷輸送層中のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂を下記式で示される繰り返し構造単位を有するポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:38000)
Figure 2004046221
に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (実施例3)
 実施例1において、電荷発生層および表面層である電荷輸送層を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、電荷発生物質としてCuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2の9.0゜、14.2゜、23.9゜、27.1゜に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン4部と、結着樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学(株)製)2部とを、シクロヘキサノン80部に添加し、直径1mmのガラスビーズ入りサンドミルで4時間分散して、電荷発生層用塗布液を調製し、上記中間層上に浸漬コーティングし、105℃で10分間乾燥して、膜厚0.22μmの電荷発生層を形成した。
 次に、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質8.5部、
Figure 2004046221
下記式で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(粘度平均分子量:89000)10部、
Figure 2004046221
および、アクリル重合体例(1)1.0部を、モノクロロベンゼン50部とテトラヒドロフラン30部に溶解した。この溶液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティングし、110℃で1時間熱風乾燥して、膜厚17μmの電荷輸送層を形成した。
 (実施例4)
 実施例1において、電荷発生層中のヒドロキシガリウムフタロシアニンを下記式で示される構造を有するビスアゾ顔料
Figure 2004046221
に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (実施例5〜7)
 実施例1において、電荷輸送層中のアクリル重合体例(1)をそれぞれアクリル重合体例(2)、(3)、(4)に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (比較例1)
 実施例1において、電荷輸送層中にアクリル重合体を加えなかった以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (比較例2、3)
 実施例1において、電荷輸送層中のアクリル重合体例(1)をそれぞれアクリル重合体例(9)、(10)に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (評価1)
 実施例1〜7、比較例1〜3で作製した電子写真感光体に関して、キヤノン(株)製レーザープリンターLBP−NX(帯電ローラーを採用した接触帯電手段(印加電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)およびウレタンゴム製クリーニングブレードを採用したクリーニング手段を備える)を用い、温度5℃/湿度15RH%(LL環境)および温度32.5℃/湿度80RH%(HH環境)の2環境で7000枚の耐久試験を行った。
 評価項目は、
(1−1)LL環境における耐久後の画像品位、
(1−2)LL環境における電位変動(初期と連続50枚出力後の明部電位の差)、
(1−3)HH環境における耐久後の画像品位、
(1−4)HH環境における耐久後の電子写真感光体表面の水に対する接触角
である。
 評価結果を表3に示す。
Figure 2004046221
 表3に示した評価結果より、本発明のアクリル重合体を含有する電荷輸送層を表面層とする電子写真感光体は、耐久試験後の画像品位も安定して良好であり、電位変動も大きくなく、表面の水に対する接触角も高水準を維持していることが認められる。
 これらのうち、電位変動は電荷発生物質がアゾ顔料である場合よりも、フタロシアニン顔料である場合のほうが小さかったが、これは電荷の発生形態が界面型といわれるアゾ顔料のほうが、バルク型といわれるフタロシアニン顔料よりも、電荷輸送層に含有された本発明のアクリル重合体の影響を受けやすいのではないかと思われる。
 アクリル重合体の中でも、ポリフルオロオレフィンユニットを有さずアルキレンオキサイドユニットのみを有するアクリル重合体を含有した電荷輸送層を有する電子写真感光体の場合は、電位変動が大きいばかりではなく、HH環境においては耐久後の表面の水に対する接触角の低下が激しく、画像ボケを生じた。
 逆に、アルキレンオキサイドユニットを有さずポリフルオロオレフィンユニットのみを有するアクリル重合体を含有した電荷輸送層を有する電子写真感光体の場合は、画像出力前には高かった表面の水に対する接触角が耐久試験のごく初期の段階でアクリル重合体無添加の電子写真感光体(比較例1)と同等となった。これはアルキレンオキサイドユニットやアルキレンユニットによるアンカー効果がないため、アクリル重合体が表面層(電荷輸送層)の表面側に偏在してしまったからであると考えられる。
 (実施例8)
 実施例1において、表面層である電荷輸送層を以下のように形成した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質8.5部、
Figure 2004046221
下記式で示される繰り返し構造単位を有するビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40000、商品名:Z−400、三菱ガス化学(株)製)10部、
Figure 2004046221
および、アクリル重合体例(1)1.0部を、モノクロロベンゼン40部とテトラヒドロフラン40部に溶解した。この溶液に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子(商品名:L−2、ダイキン化学工業(株)製)を3.6部添加し、ホモジナイザーで溶液が均一になるまで攪拌し、さらにマイクロフルイタイザー((株)月島機械製)を用いて圧力58.9MPa(600kgf/cm)にて、PTFE粒子を分散した。分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.21μmであった。
 この分散液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティングし、110℃で1時間熱風乾燥して、膜厚17μmの電荷輸送層を形成した。
 (実施例9〜11)
 実施例8において、電荷輸送層中のアクリル重合体例(1)をそれぞれアクリル重合体例(5)、(6)、(7)に変更した以外は、実施例8と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径はそれぞれ0.25μm、0.20μm、0.32μmであった。
 (実施例12)
 実施例8において、電荷輸送層中のPTFE粒子をシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール103、東芝シリコーン(株)製)に変更した以外は、実施例8と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のシリコーン樹脂粒子の体積平均粒径は0.37μmであった。
 (比較例4)
 実施例12において、電荷輸送層中にアクリル重合体を加えなかった以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のシリコーン樹脂粒子の体積平均粒径の測定はできなかった。
 (比較例5)
 実施例12において、電荷輸送層中のアクリル重合体例(1)をイソオクチルフェニルポリエトキシエタノール表面活性剤(商品名:TRITON X−102、ローム・アンド・ハース社製(フィラデルフィア、ペンシルバニア))に変更した以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のシリコーン樹脂粒子の体積平均粒径は1.55μmであった。
 (比較例6)
 実施例12において、電荷輸送層中のアクリル重合体例(1)をアクリル重合体例(8)に変更した以外は、実施例12と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のシリコーン樹脂粒子の体積平均粒径は2.32μmであった。
 (比較例7)
 実施例8において、電荷輸送層中のアクリル重合体例(1)を数平均分子量が2000未満であるアクリル重合体(数平均分子量:930)、商品名:DS−406、ダイキン化学工業(株)製)に変更した以外は、実施例8と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.89μmであった。
 本発明において、粒子の体積平均粒径の測定は、(株)堀場製作所製の粒度分布測定装置を用いて行った。
 (評価2)
 実施例8〜12、比較例4〜7で作製した電子写真感光体に関して、評価1と同様に、キヤノン(株)製レーザープリンターLBP−NX(帯電ローラーを採用した接触帯電手段(印加電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)およびウレタンゴム製クリーニングブレードを採用したクリーニング手段を備える)を用い、評価1と同様に、温度5℃/湿度15RH%(LL環境)および温度32.5℃/湿度80RH%(HH環境)の2環境で7000枚の耐久試験を行った。
 評価項目は、
(2−1)LL環境における耐久後の画像品位、
(2−2)LL環境における耐久後の画像の細線の再現性、
(2−3)LL環境における電位変動(初期と連続50枚出力後の明部電位の差)、
(2−4)HH環境における耐久後の電子写真感光体表面の水に対する接触角、
(2−5)HH環境における連続1000枚出力後の電子写真感光体の摩耗量
である。
 比較例1で作製した電子写真感光体に関しても同様の項目で評価した。
 評価結果を表4に示す。
Figure 2004046221
 表4に示した評価結果より、表面層である電荷輸送層に樹脂粒子および本発明のアクリル重合体の両方を含有する電子写真感光体は、耐久試験における摩耗量が少なく、電位変動も大きくなく、細線の再現性も良好であり、表面の水に対する接触角も高水準を維持していることが認められる。
 これに対し、表面層である電荷輸送層に本発明のアクリル重合体を含有させずに樹脂粒子を含有させた電子写真感光体(比較例4〜7)は、細線の再現性が劣る結果になったが、これは電荷輸送層塗布液中の樹脂粒子の分散粒径から次のように推測される。すなわち、比較例4〜7の電子写真感光体は、電荷輸送層中において樹脂粒子がかなり凝集しており、それによって露光光が散乱されて静電潜像が乱れ、そのため細線の再現性が劣る結果になったと考えられる。
 また、比較例4〜6における耐久後画像上の周傷は、比較例4〜6の電子写真感光体表面の周傷によるものであり、この周傷の起点の多くは、電子写真感光体表面に存在する微小な突起であった。これらの微小な突起を分析した結果、すべて樹脂粒子の凝集物であった。
 (実施例13)
 比較例1と同様にして、支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を形成した。
 次に、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質5.0部、
Figure 2004046221
下記式で示される繰り返し構造単位を有するビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:80000、商品名:Z−800、三菱ガス化学(株)製)10部、
Figure 2004046221
および、アクリル重合体例(1)3.0部を、モノクロロベンゼン100部とテトラヒドロフラン300部に溶解した。この溶液を、上記電荷輸送層上にスプレーコーティングし、120℃で1時間熱風乾燥して、膜厚3μmの第二電荷輸送層を形成した。
 このようにして第二電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
 (実施例14)
 実施例13において、第二電荷輸送層中のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂を下記式で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(粘度平均分子量:12000)
Figure 2004046221
に変更した以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (実施例15)
 実施例13において、第二電荷輸送層中のアクリル重合体例(1)をアクリル重合体例(7)に変更した以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (実施例16)
 実施例14において、第二電荷輸送層中のアクリル重合体例(1)をアクリル重合体例(5)に変更した以外は、実施例14と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (実施例17)
 実施例13において、表面層である第二電荷輸送層を以下のように形成した以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質5.0部、
Figure 2004046221
下記式で示される繰り返し構造単位を有するビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:80000、商品名:Z−800、三菱ガス化学(株)製)10部、
Figure 2004046221
および、アクリル重合体例(1)3.0部を、モノクロロベンゼン100部とテトラヒドロフラン100部に溶解した。この溶液に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子(商品名:L−2、ダイキン化学工業(株)製)を3.6部添加し、ホモジナイザーで溶液が均一になるまで攪拌し、さらにマイクロフルイタイザー((株)月島機械製)を用いて圧力58.9MPa(600kgf/cm)にて、PTFE粒子を分散した。分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.22μmであった。
 この分散液を、上記電荷輸送層上にスプレーコーティングし、120℃で1時間熱風乾燥して、膜厚3μmの第二電荷輸送層を形成した。
 (実施例18)
 実施例17において、第二電荷輸送層中のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂を下記式で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(粘度平均分子量:12000)
Figure 2004046221
に変更した以外は、実施例17と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.21μmであった。
 (実施例19)
 実施例17において、第二電荷輸送層中のPTFE粒子をシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール103、東芝シリコーン(株)製)に変更した以外は、実施例17と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のシリコーン樹脂粒子の体積平均粒径は0.35μmであった。
 (実施例20)
 実施例18において、第二電荷輸送層中のPTFE粒子をシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール103、東芝シリコーン(株)製)に変更した以外は、実施例18と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のシリコーン樹脂粒子の体積平均粒径は0.36μmであった。
 (比較例8)
 実施例13において、表面層である第二電荷輸送層を以下のように形成した以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質5.0部、
Figure 2004046221
および、下記式で示される繰り返し構造単位を有するビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:20000)10部を、
Figure 2004046221
モノクロロベンゼン100部とテトラヒドロフラン300部に溶解した。この溶液を、上記電荷輸送層上にスプレーコーティングし、100℃で1時間熱風乾燥して、膜厚2μmの第二電荷輸送層を形成した。
 (比較例9)
 実施例13において、表面層である第二電荷輸送層を以下のように形成した以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質5.0部、
Figure 2004046221
下記式で示される繰り返し構造単位を有するビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:20000)10部、
Figure 2004046221
および、アクリル重合体例(10)2.0部を、モノクロロベンゼン100部とテトラヒドロフラン300部に溶解した。この溶液を、上記電荷輸送層上に浸漬コーティングし、120℃で1時間熱風乾燥して、膜厚2μmの第二電荷輸送層を形成した。
 (比較例10)
 実施例13において、表面層である第二電荷輸送層を以下のように形成した以外は、実施例13と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質5.0部、
Figure 2004046221
および、下記式で示される繰り返し構造単位を有するビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:2000、商品名:Z−200、三菱ガス化学(株)製)10部を、
Figure 2004046221
モノクロロベンゼン100部とテトラヒドロフラン100部に溶解した。この溶液に、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール103、東芝シリコーン(株)製)を3.6部添加し、ホモジナイザーで溶液が均一になるまで攪拌し、さらにマイクロフルイタイザー((株)月島機械製)を用いて圧力58.9MPa(600kgf/cm)にて、シリコーン樹脂粒子を分散した。分散後のシリコーン樹脂粒子の体積平均粒径の測定はできなかった。
 この分散液を、上記電荷輸送層上にスプレーコーティングし、120℃で1時間熱風乾燥して、膜厚4μmの第二電荷輸送層を形成した。
 (評価3)
 実施例13〜20、比較例8〜10で作製した電子写真感光体に関して、評価1と同様に、キヤノン(株)製レーザープリンターLBP−NX(帯電ローラーを採用した接触帯電手段(印加電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)およびウレタンゴム製クリーニングブレードを採用したクリーニング手段を備える)を用い、評価1と同様に、温度5℃/湿度15RH%(LL環境)および温度32.5℃/湿度80RH%(HH環境)の2環境で耐久試験を行った。ただし、耐久枚数は7000枚から8000枚に変更した。
 評価項目は、
(3−1)LL環境における耐久後の画像品位、
(3−2)LL環境における耐久後の画像の細線の再現性、
(3−3)LL環境における電位変動(初期と連続50枚出力後の明部電位の差)、
(3−4)HH環境における耐久後の電子写真感光体表面の水に対する接触角、
(3−5)HH環境における連続1000枚出力後の電子写真感光体の摩耗量
である。
 評価結果を表5に示す。
Figure 2004046221
 表5に示した評価結果より、本発明のアクリル重合体を含有する第二電荷輸送層を表面層とする電子写真感光体は、耐久試験後の画像品位も安定して良好であり、電位変動もかなり小さく、表面の水に対する接触角も高水準を維持していることが認められる。
 アルキレンオキサイドユニットを有さずポリフルオロオレフィンユニットのみを有するアクリル重合体を含有した第二電荷輸送層を有する電子写真感光体の場合は、画像出力前には高かった表面の水に対する接触角が耐久試験のごく初期の段階でアクリル重合体無添加の電子写真感光体(比較例8)と同等となった。これはアルキレンオキサイドユニットやアルキレンユニットによるアンカー効果がないため、アクリル重合体が表面層(第二電荷輸送層)の表面側に偏在してしまったからであると考えられる。
 また、表面層である第二電荷輸送層に樹脂粒子および本発明のアクリル重合体の両方を含有する電子写真感光体は、耐久試験における摩耗量が少なく、電位変動も大きくなく、細線の再現性も良好であり、表面の水に対する接触角も高水準を維持していることが認められる。
 電位変動に着目すると、実施例1〜12の電子写真感光体に比べて実施例13〜20の電子写真感光体の方が小さいことがわかるが、これは本発明のアクリル重合体を含有する電子写真感光体の表面層(第二電荷輸送層)が、電荷発生層と接していないため、電荷発生層から電荷輸送層への(電荷発生物質から電荷輸送物質への)電荷の注入が妨げられなかったためと考えられる。
 表面層である第二電荷輸送層に本発明のアクリル重合体を含有させずに樹脂粒子を含有させた電子写真感光体(比較例10)は、細線の再現性が劣る結果になったが、これは第二電荷輸送層塗布液中の樹脂粒子の分散粒径から次のように推測される。すなわち、比較例10の電子写真感光体は、第二電荷輸送層中において樹脂粒子がかなり凝集しており、それによって露光光が散乱されて静電潜像が乱れ、そのため細線の再現性が劣る結果になったと考えられる。
 また、比較例10における耐久後画像上の周傷は、比較例10の電子写真感光体表面の周傷によるものであり、この周傷の起点の多くは、電子写真感光体表面に存在する微小な突起であった。これらの微小な突起を分析した結果、すべて樹脂粒子の凝集物であった。
 (実施例21)
 比較例1と同様にして、支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を形成した。
 次に、下記式で示される繰り返し構造単位を有するシロキサン化合物
Figure 2004046221
で表面処理(処理量6.5%)したアンチモンドープ導電性酸化スズ粒子(商品名:T−1、三菱マテリアル(株)製、平均粒径:0.03μm)50部をアセトン150部に添加し、サンドミルで72時間分散した。この分散液で、アクリル重合体例(1)1.5部、および、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4852、群栄化学工業(株)製)15部を溶解した。この溶液を、上記電荷輸送層上にスプレーコーティングし、155℃で1時間加熱して硬化させ、膜厚3μmの保護層(硬化樹脂層)を形成した。
 このようにして保護層(硬化樹脂層)が表面層である電子写真感光体を作製した。
 (実施例22)
 実施例21において、保護層(硬化樹脂層)中のフェノール樹脂をアミノ樹脂(商品名:サイメルC−370、三井サイテック(株)製)に変更し、アクリル重合体例(1)をアクリル重合体例(2)に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (実施例23)
 実施例23において、表面層である保護層(硬化樹脂層)中を以下のように形成した以外は、実施例23と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、上記式(C−9)で示される構造を有する電荷輸送物質7部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4852、群栄化学工業(株)製)12部、および、アクリル重合体例(1)1.3部を、エタノール73部に溶解した。この溶液を、上記電荷輸送層上に浸漬コーティングし、155℃で1時間加熱して硬化させ、膜厚3μmの保護層(硬化樹脂層)を形成した。この保護層(硬化樹脂層)は第二の電荷輸送層でもある。
 (実施例24)
 実施例23において、表面層である保護層(硬化樹脂層)中を以下のように形成した以外は、実施例23と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、上記式(C−14)で示される構造を有する電荷輸送物質9部、テトラメトキシシランの部分重縮合物(商品名:メチルシリケート−51、コルコート(株)製)8部、および、アクリル重合体例(4)1.3部を、テトラヒドロフラン73部に溶解した。この溶液を、上記電荷輸送層上にスプレーコーティングし、155℃で1時間加熱して硬化させ、膜厚3μmの保護層(硬化樹脂層)を形成した。この保護層(硬化樹脂層)は第二の電荷輸送層でもある。
 (実施例25)
 実施例23において、表面層である保護層(硬化樹脂層)中を以下のように形成した以外は、実施例23と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、上記式(C−31)で示される構造を有する電荷輸送物質9部、イソシアネート樹脂(商品名:スミジュールN−3500、住友バイエルウレタン(株)製)8部、および、アクリル重合体例(5)1.3部を、アセトン63部に溶解した。この溶液を、上記電荷輸送層上にスプレーコーティングし、155℃で1時間加熱して硬化させ、膜厚3μmの保護層(硬化樹脂層)を形成した。この保護層(硬化樹脂層)は第二の電荷輸送層でもある。
 (実施例26)
 実施例23において、表面層である保護層(硬化樹脂層)中を以下のように形成した以外は、実施例23と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、上記式(C−9)で示される構造を有する電荷輸送物質9部、アミノ樹脂(商品名:サイメルS−720、三井サイテック(株)製)8部、および、アクリル重合体例(3)1.3部を、酢酸エチル73部に溶解した。この溶液を、上記電荷輸送層上にスプレーコーティングし、155℃で1時間加熱して硬化させ、膜厚3μmの保護層(硬化樹脂層)を形成した。この保護層(硬化樹脂層)は第二の電荷輸送層でもある。
 (実施例27〜32)
 実施例23において、保護層(硬化樹脂層)中の電荷輸送物質をそれぞれ上記式(C−34)、(C−51)、(C−38)、(C−56)、(C−61)、(C−62)で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例23と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (比較例11)
 実施例22において、保護層(硬化樹脂層)中にアクリル重合体を加えず、また、溶剤であるアセトンをエタノールに変更した以外は、実施例22と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (比較例12)
 実施例23において、表面層である保護層(硬化樹脂層)中を以下のように形成した以外は、実施例23と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、上記式(C−51)で示される構造を有する電荷輸送物質9部、および、アミノ樹脂(商品名:サイメルS−370、三井サイテック(株)製)8部を、アセトン73部に溶解した。この溶液を、上記電荷輸送層上にスプレーコーティングし、155℃で1時間加熱して硬化させ、膜厚3μmの保護層(硬化樹脂層)を形成した。この保護層(硬化樹脂層)は第二の電荷輸送層でもある。
 (比較例13)
 比較例12において、保護層(硬化樹脂層)用塗布液にアクリル重合体例(9)9部加えた以外は、比較例12と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (比較例14)
 比較例13において、保護層(硬化樹脂層)中のアクリル重合体例(9)をアクリル重合体例(10)に変更した以外は、比較例13と同様にして電子写真感光体を作製した。
 (評価4)
 実施例21〜32、比較例11〜14で作製した電子写真感光体に関して、まず表面状態の観察を行い、次に、評価1と同様に、キヤノン(株)製レーザープリンターLBP−NX(帯電ローラーを採用した接触帯電手段(印加電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)およびウレタンゴム製クリーニングブレードを採用したクリーニング手段を備える)を用い、評価1と同様に、温度5℃/湿度15RH%(LL環境)および温度32.5℃/湿度80RH%(HH環境)の2環境で7000枚の耐久試験を行った。
 評価項目は、
(4−1)表面状態の観察結果
(4−2)LL環境における耐久後の画像品位、
(4−3)LL環境における電位変動(初期と連続50枚出力後の明部電位の差)、
(4−4)HH環境における耐久後の画像品位、
(4−5)HH環境における耐久後の電子写真感光体表面の水に対する接触角
である。
 評価結果を表6に示す。
Figure 2004046221
 表6に示した評価結果より、本発明のアクリル重合体を含有する保護層(硬化樹脂層)を表面層とする電子写真感光体は、耐久試験後の画像品位も安定して良好であり、電位変動もかなり小さく、表面の水に対する接触角も高水準を維持していることが認められる。
 アルキレンオキサイドユニットを有さずポリフルオロオレフィンユニットのみを有するアクリル重合体を含有した保護層(硬化樹脂層)を有する電子写真感光体(比較例14)の場合は、画像出力前には高かった表面の水に対する接触角が耐久試験のごく初期の段階でアクリル重合体無添加の電子写真感光体(比較例12)と同等となった。これはアルキレンオキサイドユニットやアルキレンユニットによるアンカー効果がないため、アクリル重合体が表面層(保護層(硬化樹脂層))の表面側に偏在してしまったからであると考えられる。
 アクリル重合体の中でも、ポリフルオロオレフィンユニットを有さずアルキレンオキサイドユニットのみを有するアクリル重合体を含有した表面層(保護層(硬化樹脂層))を有する電子写真感光体(比較例13)の場合、電位変動が大きいばかりではなく、HH環境において電子写真感光体表面の水に対する接触角の低下が大きく、画像流れを生じた。
 実施例26、28の電子写真感光体の表面は、実用上大きな問題のないレベルではあるが若干白濁していた。これは、表面層である保護層(硬化樹脂層)を形成する際に使用した溶剤のδaが2.5より小さい(酢酸エチル、ジエチルエーテルともδa=2.0)ため、本発明のアクリル重合体の溶解性がそれほど高くなかったことに起因すると考えられる。
 比較例12、13の電子写真感光体の表面には、保護層(硬化樹脂層)用塗布液のハジキが若干見られたが、本発明のアクリル重合体を含有する塗布液を用いて保護層(硬化樹脂層)を形成した電子写真感光体の表面には、ハジキは見られなかった。本発明のアクリル重合体を添加することで、電荷輸送層のような比較的極性の低い樹脂表面に、極性の高い層を設ける際のレベリング作用も得られることがわかった。
 耐久後の実施例1〜7や比較例11〜14の電子写真感光体の表面に生じている傷に比べて、耐久後の実施例21〜32の電子写真感光体の表面に生じている傷は大変浅く、保護層(硬化樹脂層)に本発明のアクリル重合体を含有させることで、電子写真感光体の耐久性がより一層向上することがわかった。
 (実施例33)
 比較例1と同様にして、支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を形成した。
 次に、下記式で示される繰り返し構造単位を有するシロキサン化合物
Figure 2004046221
で表面処理(処理量6.5%)したアンチモンドープ導電性酸化スズ粒子(商品名:T−1、三菱マテリアル(株)製、平均粒径:0.03μm)50部をエタノール150部に添加し、サンドミルで72時間分散した。この分散液に、アクリル重合体例(4)0.85部、および、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子(商品名:L−2、ダイキン化学工業(株)製)を15部添加し、ホモジナイザーで溶液が均一になるまで攪拌し、さらにマイクロフルイタイザー((株)月島機械製)を用いて圧力58.9MPa(600kgf/cm)にて、PTFE粒子を分散した。分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.19μmであった。
 この分散液にレゾール型フェノール樹脂(商品名:XPL−8264E、群栄化学工業(株)製)を30部溶解し、この溶液を、上記電荷輸送層上にスプレーコーティングし、155℃で1時間加熱して硬化させ、膜厚3μmの保護層(硬化樹脂層)を形成した。
 このようにして保護層(硬化樹脂層)が表面層である電子写真感光体を作製した。
 (実施例34)
 実施例33において、保護層(硬化樹脂層)中のフェノール樹脂をアミノ樹脂(商品名:サイメルC−701、三井サイテック(株)製)に変更した以外は、実施例33と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.21μmであった。
 (実施例35)
 実施例33において、表面層である保護層(硬化樹脂層)中を以下のように形成した以外は、実施例33と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、エタノール100部に、アクリル重合体例(2)0.75部、および、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子(商品名:L−2、ダイキン化学工業(株)製)を10部添加し、ホモジナイザーで溶液が均一になるまで攪拌し、さらにマイクロフルイタイザー((株)月島機械製)を用いて圧力58.9MPa(600kgf/cm)にて、PTFE粒子を分散した。分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.22μmであった。
 この分散液に上記式(C−9)で示される構造を有する電荷輸送物質22部およびフェノール樹脂(商品名:PL−4852、群栄化学工業(株)製)28部を溶解し、この溶液を、上記電荷輸送層上にスプレーコーティングし、155℃で1時間加熱して硬化させ、膜厚3μmの保護層(硬化樹脂層)を形成した。この保護層(硬化樹脂層)は第二の電荷輸送層でもある。
 (実施例36)
 実施例35において、保護層(硬化樹脂層)中のアクリル重合体例(2)をアクリル重合体例(3)に変更し、上記式(C−9)で示される構造を有する電荷輸送物質を上記式(C−4)で示される構造を有する電荷輸送物質に変更し、フェノール樹脂をアミノ樹脂(商品名:サイメルC−701、三井サイテック(株)製)に変更し、PTFE粒子をシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール103、東芝シリコーン(株)製)に変更した以外は、実施例35と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のシリコーン樹脂粒子の体積平均粒径は0.35μmであった。
 (実施例37)
 実施例35において、保護層(硬化樹脂層)中のアクリル重合体例(2)をアクリル重合体例(5)に変更し、上記式(C−9)で示される構造を有する電荷輸送物質を上記式(C−31)で示される構造を有する電荷輸送物質に変更し、フェノール樹脂をイソシアネート樹脂(商品名:スミジュールN−3500、住友バイエルウレタン(株)製)に変更した以外は、実施例35と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.24μmであった。
 (実施例38)
 実施例35において、保護層(硬化樹脂層)中のアクリル重合体例(2)をアクリル重合体例(6)に変更し、上記式(C−9)で示される構造を有する電荷輸送物質を上記式(C−14)で示される構造を有する電荷輸送物質に変更し、フェノール樹脂をテトラメトキシシランの縮合体(商品名:メチルシリケート51、コルコート(株)製)に変更した以外は、実施例35と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.25μmであった。
 (実施例39)
 実施例35において、保護層(硬化樹脂層)中のアクリル重合体例(2)をアクリル重合体例(1)に変更し、上記式(C−9)で示される構造を有する電荷輸送物質を上記式(C−36)で示される構造を有する電荷輸送物質に変更し、PTFE粒子をシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール103、東芝シリコーン(株)製)に変更した以外は、実施例35と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のシリコーン樹脂粒子の体積平均粒径は0.37μmであった。
 (実施例40)
 実施例35において、保護層(硬化樹脂層)中の上記式(C−9)で示される構造を有する電荷輸送物質を上記式(C−38)で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例35と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.23μmであった。
 (実施例41)
 実施例35において、保護層(硬化樹脂層)中のアクリル重合体例(2)をアクリル重合体例(3)に変更し、上記式(C−9)で示される構造を有する電荷輸送物質を上記式(C−56)で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例35と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.27μmであった。
 (実施例42)
 実施例35において、保護層(硬化樹脂層)中のアクリル重合体例(2)をアクリル重合体例(1)に変更し、上記式(C−9)で示される構造を有する電荷輸送物質を上記式(C−61)で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例35と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.24μmであった。
 (実施例43)
 実施例35において、保護層(硬化樹脂層)中のアクリル重合体例(2)をアクリル重合体例(1)に変更し、上記式(C−9)で示される構造を有する電荷輸送物質を上記式(C−62)で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例35と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.21μmであった。
 (実施例44)
 実施例35において、保護層(硬化樹脂層)中のアクリル重合体例(2)をアクリル重合体例(1)に変更し、上記式(C−9)で示される構造を有する電荷輸送物質を上記式(C−63)で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例35と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.22μmであった。
 (実施例45)
 実施例33において、表面層である保護層(硬化樹脂層)中を以下のように形成した以外は、実施例33と同様にして電子写真感光体を作製した。
 すなわち、メタノール100部に、アクリル重合体例(1)0.75部、および、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の粒子(商品名:L−2、ダイキン化学工業(株)製)を10部添加し、ホモジナイザーで溶液が均一になるまで攪拌し、さらにマイクロフルイタイザー((株)月島機械製)を用いて圧力58.9MPa(600kgf/cm)にて、PTFE粒子を分散した。分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.23μmであった。
 この分散液に上記式(C−61)で示される構造を有する電荷輸送物質40部を溶解し、この溶液を、上記電荷輸送層上にスプレーコーティングし、155℃で1時間加熱して硬化させ、膜厚2μmの保護層(硬化樹脂層)を形成した。この保護層(硬化樹脂層)は第二の電荷輸送層でもある。
 (実施例46)
 実施例45において、保護層(硬化樹脂層)中の上記式(C−61)で示される構造を有する電荷輸送物質を上記式(C−62)で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例45と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.26μmであった。
 (実施例47)
 実施例45において、保護層(硬化樹脂層)中の上記式(C−61)で示される構造を有する電荷輸送物質を上記式(C−63)で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例45と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は0.27μmであった。
 (比較例15)
 実施例34において、保護層(硬化樹脂層)中にアクリル重合体を加えなかった以外は、実施例34と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のPTFE粒子の体積平均粒径は2.11μmであった。
 (比較例16)
 実施例36において、保護層(硬化樹脂層)中にアクリル重合体を加えなかった以外は、実施例36と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のシリコーン樹脂粒子の体積平均粒径は1.87μmであった。
 (比較例17)
 実施例36において、保護層(硬化樹脂層)中のアクリル重合体例(3)をアクリル重合体例(9)に変更した以外は、実施例36と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のシリコーン樹脂粒子の体積平均粒径は1.02μmであった。
 (比較例18)
 実施例36において、保護層(硬化樹脂層)中のアクリル重合体例(3)をアクリル重合体例(11)に変更した以外は、実施例36と同様にして電子写真感光体を作製した。
 なお、分散後のシリコーン樹脂粒子の体積平均粒径は0.96μmであった。
 (評価5)
 実施例33〜47、比較例15〜18で作製した電子写真感光体に関して、評価1と同様に、キヤノン(株)製レーザープリンターLBP−NX(帯電ローラーを採用した接触帯電手段(印加電圧は直流電圧に交流電圧を重畳した電圧)およびウレタンゴム製クリーニングブレードを採用したクリーニング手段を備える)を用い、評価1と同様に、温度5℃/湿度15RH%(LL環境)および温度32.5℃/湿度80RH%(HH環境)の2環境で耐久試験を行った。ただし、耐久枚数は7000枚から10000枚に変更した。
 評価項目は、
(5−1)LL環境における耐久後の画像品位、
(5−2)LL環境における耐久後の画像の細線の再現性、
(5−3)LL環境における電位変動(初期と連続50枚出力後の明部電位の差)、
(5−4)HH環境における耐久後の電子写真感光体表面の水に対する接触角、
(5−5)HH環境における連続1000枚出力後の電子写真感光体の摩耗量
である。
 評価結果を表7に示す。
Figure 2004046221
 表7に示した評価結果より、表面層である保護層中に硬化性樹脂および本発明のアクリル重合体の両方を含有する電子写真感光体は、耐久試験における摩耗量が極めて少なく、細線の再現性も良好であり、また、HH環境下での耐久試験においても、摩耗量が極めて少ないにも関わらず、表面の水に対する接触角も高水準を維持していることが認められる。電位変動に関しては、表面層に電荷輸送物質を含有する電子写真感光体は変動が少なく、特に、その電荷輸送物質が表面層において3次元架橋している場合(実施例45〜47)には、極めて安定した特性を発揮する。
 これに対し、表面層である電荷輸送層に本発明のアクリル重合体を含有させずに樹脂粒子を含有させた電子写真感光体(比較例15、16)は、細線の再現性が劣る結果になったが、これは電荷輸送層塗布液中の樹脂粒子の分散粒径から次のように推測される。すなわち、比較例15、16の電子写真感光体は、電荷輸送層中において樹脂粒子がかなり凝集しており、それによって露光光が散乱されて静電潜像が乱れ、そのため細線の再現性が劣る結果になったと考えられる。
 また、比較例15〜17における耐久後画像上の周傷は、比較例15〜17の電子写真感光体表面の周傷によるものであり、この周傷の起点の多くは、電子写真感光体表面に存在する微小な突起であった。これらの微小な突起を分析した結果、すべて樹脂粒子の凝集物であった。また、比較例18における耐久後画像上にも若干の周傷が見られたが、これは次のように推測される。すなわち、比較例18において用いたアクリル重合体の分子量は大きすぎて、溶剤に対する溶解性が十分ではないため、樹脂粒子(シリコーン樹脂粒子)を均一に分散する作用が低減したものと考えられる。
本発明の電子写真感光体の層構造の例を示す図である。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
符号の説明
 1 本発明のアクリル重合体を含有する層
 2 電荷輸送層
 3 電荷発生層
 4 支持体
 5 中間層
 6 導電層
 11 電子写真感光体
 12 軸
 13 帯電手段
 14 露光光
 15 現像手段
 16 転写手段
 17 転写材
 18 定着手段
 19 クリーニング手段
 20 前露光光
 21 プロセスカートリッジ
 22 案内手段

Claims (18)

  1.  支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、
    該電子写真感光体の表面層が、ポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットを有し数平均分子量が2000〜20000の範囲であるアクリル重合体を含有する
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2.  前記アクリル重合体が、ポリフルオロオレフィンユニットを有するアクリル酸エステルモノマーと、アルキレンオキサイドユニットを有するアクリル酸エステルモノマーから得られた共重合体である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3.  前記アクリル重合体が、ポリフルオロオレフィンユニットおよびアルキレンオキサイドユニットを有するアクリル酸エステルモノマーから得られた重合体である請求項1に記載の電子写真感光体。
  4.  前記アクリル重合体が、前記アクリル酸エステルモノマーと、さらに炭素原子を2〜12個有するアクリル酸アルキルエステルから得られた重合体である請求項2または3に記載の電子写真感光体。
  5.  前記ポリフルオロオレフィンユニットが、ポリフルオロアルキレンユニットである請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6.  前記アルキレンオキサイドユニットが、エチレンオキサイドユニットである請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7.  前記ポリフルオロオレフィンユニットが、1ユニットあたりフッ素原子を7〜29個有するユニットである1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8.  前記電子写真感光体の表面層が、フッ素原子含有樹脂粒子およびケイ素原子含有樹脂粒子の少なくとも一方を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
  9.  前記電子写真感光体の表面層が、結着樹脂として硬化性樹脂を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10.  前記電子写真感光体の表面層が、電荷輸送物質を含有する請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真感光体。
  11.  前記電子写真感光体の表面層が、ヒドロキシ基を有する電荷輸送物質を含有する表面層用塗布液を用いて形成された層である請求項10に記載の電子写真感光体。
  12.  前記電子写真感光体の表面層中の電荷輸送物質が、3次元架橋している請求項10または11に記載の電子写真感光体。
  13.  前記電子写真感光体の表面層が、プロトン受容体パラメーターが2以上であって沸点50〜120℃の有機溶剤を含有する表面層用塗布液を用いて形成された層である請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真感光体。
  14.  前記感光層が、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した積層型感光層である請求項1〜13のいずれかに記載の電子写真感光体。
  15.  前記電子写真感光体の表面層が、前記電荷発生層と接していない層である請求項14に記載の電子写真感光体。
  16.  前記電子写真感光体の表面層の電荷発生物質の含有量が、表面層全質量に対して0〜5000ppm(質量比)である請求項1〜15のいずれかに記載の電子写真感光体。
  17.  請求項1〜16のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  18.  請求項1〜16のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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