JP3802787B2 - 電子写真感光体、電子写真方法及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真方法及び電子写真装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐久性を有し、かつ高画質化を実現した電子写真感光体、及び、この電子写真感光体の製造に有用な保護層形成用塗工液に関する。また、本発明は、それらの感光体を使用した電子写真方法、電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展には目覚ましいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行なうレーザープリンターやデジタル複写機は、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。さらに、それらは高速化技術との融合によりフルカラー印刷が可能なレーザープリンターあるいはデジタル複写機へと応用されてきている。そのような背景から、要求される感光体の機能としては、高画質化と高耐久化を両立させることが特に重要な課題となっている。
【0003】
これらの電子写真方式のレーザープリンターやデジタル複写機等に使用される電子写真感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び無公害性等の理由から一般に広く応用されている。有機系の電子写真感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダー樹脂に代表される顔料分散型、そして電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体などが知られている。
【0004】
機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され電荷を生成する。それによって発生した電荷が電荷発生層及び電荷輸送層の界面で電荷輸送層に注入され、さらに電界によって電荷輸送層中を移動し、感光体の表面電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。
【0005】
しかし、有機系の感光体は、繰り返し使用によって膜削れが発生しやすく、この感光層の膜削れが進むと、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、地肌汚れの増加、画像濃度低下等の画質劣化が促進される傾向が強く、従来から感光体の耐摩耗性が大きな課題として挙げられていた。さらに、近年では電子写真装置の高速化あるいは装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の高耐久化がより一層重要な課題となっている。
【0006】
感光体の高耐久化を実現する方法としては、感光体の最表面に保護層を設け、その保護層に潤滑性を付与したり、硬化させたり、フィラーを含有させる方法が広く知られている。特に、保護層にフィラーを含有させる方法は、感光体の耐摩耗性に対して有効な方法の一つである。しかし、電気絶縁性の高いフィラーを含有させた場合には、抵抗が高くなり、残留電位の上昇が顕著に見られる。これらの残留電位上昇は、フィラーが含有されていることによって引き起こされる抵抗の増加や電荷トラップサイトの増加による影響が大きい。一方、導電性フィラーを用いた場合には、抵抗が低下し、残留電位上昇の影響は比較的小さいが、画像の輪郭がぼやける、所謂画像ボケが発生し、画像品質への影響が強く現れる。
【0007】
従来技術では、比較的残留電位の影響が少ない導電性フィラーを用い、それによって発生する画像ボケに対しては、感光体を加熱することによって除湿を行なうためのドラムヒーターを搭載する手段が用いられている。感光体を加熱することによって画像ボケの発生は抑制できるものの、ドラムヒーターを搭載するには感光体の径が大きくなければならないため、電子写真装置の小型化に伴って、現在主流となりつつある小径感光体には適用できず、本来特に高耐久化が要求されている小径感光体については高耐久化が実現されていなかった。さらに、ドラムヒーターの搭載によって装置の大型化が避けられない上に、装置の使用の有無に関係なく絶えずヒーターを稼働させておく必要があるため消費電力が著しく増加し、さらに装置の立ち上げ時には多くの時間を要する等、多くの課題を残しているのが実情であった。
【0008】
一方、絶縁性の高いフィラーを用いた場合に多く見られる残留電位の増加は、電子写真装置内では明部電位が高いことにつながり、画像濃度や階調性の低下を招くことになる。それを補うためには暗部電位を高くする必要があるが、暗部電位を高くすると電界強度が高くなり、地肌汚れ等の画像欠陥を生じさせるだけでなく、感光体の寿命をも低下させることにつながる。
【0009】
従来技術において、残留電位上昇を抑制させる方法としては、保護層を光導電層とする方法が知られている(特公昭44−834号公報、特公昭43−16198号公報、特公昭49−10258号公報等記載)。しかし、保護層での光の吸収によって感光層へ到達する光量が減少するため、感光体の感度が低下する問題が生じ、その効果はわずかであった。
【0010】
それに対し、フィラーとして含有される金属あるいは金属酸化物の平均粒径を0.3μm以下にすることによって、保護層が実質的に透明となり、残留電位蓄積を抑制する方法も知られている(特開昭57−30846号公報等記載)。しかし、この方法は残留電位の増加を抑制する効果は認められる場合はあるものの、その効果は不十分であり、課題を解決するには至っていないのが実情である。それは、フィラーを含有させた場合に引き起こされる残留電位の増加は、電荷発生効率よりもフィラーの含有によって増加した電荷トラップの影響の方が大きいことによる。さらに、フィラーの平均粒径が0.3μm以上であってもフィラー種やその分散性を高めることによって膜の透明性を維持することは可能であるし、平均粒径が0.3μm以下であってもフィラー種あるいはフィラーの凝集状態によっては膜の透明性は低下することになる。
【0011】
また、保護層にフィラーとともに電荷輸送物質を含有させる方法により、機械的強度を備えつつ、残留電位の増加を抑制させる方法も知られている(特開平4−281461号公報記載)。この保護層への電荷輸送物質の添加は、電荷の移動度を向上させるのに効果を発揮し、残留電位を減少させるのに有効な方法である。しかし、フィラーが含有されたことによって引き起こされた残留電位の著しい増加は、フィラーの存在に起因する抵抗の増加あるいは電荷トラップサイトの増加によるとすると、電荷の移動度を向上させて残留電位上昇を抑制させるには限界がある。従って、この方法だけでは要求される耐久性を満足させるに至っていないのが実情であった。
【0012】
残留電位上昇を抑制する別の手段としては、保護層中にルイス酸等を添加する方法(特開昭53−133444号公報記載)、保護層に有機プロトン酸を添加する方法(特開昭55−157748号公報記載)、電子受容性物質を含有させる方法(特開平2−4275号公報記載)等が開示されている。これらの方法は、保護層/電荷輸送層界面での電荷の注入性を向上させ、また保護層に低抵抗部分が形成されることにより、電荷が表面にまで到達しやすくなることに起因していると考えられている。しかし、これらの方法は、残留電位の低減効果が認められる場合はあるものの、本発明におけるフィラーを含有させた高耐久感光体においては、残留電位の発生原因が異なるため課題の解決には至っていない。さらに、本発明の構成においては、これらの有機酸を添加した場合には、フィラーの分散性の向上は実現されず、また画像ボケの影響も増加する等、多くの副作用が確認されている。
【0013】
また、酸価が5(mgKOH/g)以下のワックスを含有させる方法(特開2000−66434号公報記載)は、フィラーを含有したときの添加効果について一切言及されていない上に、酸価が5(mgKOH/g)以下のワックスの添加は、フィラーを含有した表面層を有する本発明の構成においてはまったく効果が得られていない。
【0014】
感光層の上部に、酸価が30〜260mgKOH/g樹脂のグラフト共重合体からなる被膜を形成する方法(特許第2884812号公報記載)は、残留電荷の蓄積が起こりにくいという効果を有しているが、本来の目的は感光体表面の潤滑性及び離型性の向上にあり、フィラーを含有させた場合の高画質化及び高耐久化を目的とした本発明とは目的が異なっている。さらに、表面層がグラフト共重合体からなる被膜であって、主としてフィラー及びバインダー樹脂からなる膜に酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物を少量添加した本発明とは、その構成及び効果が大きく異なるものである。
【0015】
また、感光層がチタニルフタロシアニン及びポリカーボネート樹脂と酸価が1〜50mgKOH/gの樹脂を混合させて含有する方法(特開平9−281718号記載)は、単層感光体における高γ特性化を目的としており、フィラーを含有させた表面層を有する感光体の課題を解決した本発明とは、目的、構成及び効果が大きく異なるものである。
【0016】
一方、画質に大きく影響するオゾンやNOxによる画像ボケに対しては、酸化防止剤の添加が有効であることが知られており、特にヒンダードフェノール誘導体とヒンダードアミン誘導体から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤を含有させることによって画像ボケを抑制する方法(特開平8−292585号公報等)が開示されている。この方法は、オゾンやNOx等の活性ガスによる画像ボケに対しては有効であることが知られているが、残留電位上昇が認められ、特に最表面を形成する層にフィラーを添加した場合にはその影響が顕著に増大し、画像ボケを抑制する以前に、初期状態より画質劣化が見られていた。従って、フィラーを含有させた保護層を有する感光体においては残留電位の影響が大きく、高画質化に対し十分な効果が得られていないのが実情であった。
【0017】
このように、フィラーを含有させた保護層を有する電子写真感光体は公知であり、また残留電位を低減させるために酸を添加する方法も知られているが、フィラーを含有させたことによる著しい残留電位上昇を抑制することを目的とした有効な改良方法はいまだ見出されていないのが実情であって、高耐久化及び高画質化を両立させる上で最も重要な課題として残されていた。
【0018】
さらに、高耐久化のためにフィラーを含有させた電子写真感光体において、高画質化を実現するためには、前述の画像ボケの発生や残留電位上昇を抑制させるだけでなく、電荷が膜中のフィラーによって進行を妨げられることなく、感光体の表面まで電荷が直線的に到達させることも重要である。それには膜中のフィラーの分散性が大きく影響する。フィラーが凝集した状態では、感光層よりフィラーが含有されている最表面層へと注入された電荷が表面へ移動する際、フィラーによって進行が妨げられやすくなり、結果的にトナーにより形成されたドットが散った状態となって解像度が大きく低下する。
【0019】
また、フィラーを含有した層を最表面に設けた場合に、フィラーによって書き込み光が散乱され光透過性が低下する場合も、同様に解像度に大きな悪影響を与えることになるが、この光透過性に与える影響もまたフィラーの分散性と密接に関係している。さらに、フィラーの分散性は耐摩耗性に対しても大きく影響し、フィラーが強い凝集を起こし、分散性に乏しい状態ではフィラーの脱離によって耐摩耗性が低下しやすくなるだけでなく、偏摩耗が起こりやすくなり、要求される耐久性が得られないことになる。
【0020】
従って、高耐久化のためにフィラーを含有させた層を最表面に形成した電子写真感光体において、同時に高画質化を実現するためには、残留電位上昇や画像ボケの発生を抑制させるだけでなく、電荷発生層よりも表面側に形成される層に含有されるフィラーの分散性を高めることが重要であり、そのためにはフィラーの脱凝集を実現し、分散性を高めた塗工液を調製することが重要である。
【0021】
しかし、それらをすべて同時に解決できる有効な手段は見出されておらず、高耐久化のために感光体の最表面に形成される層にフィラーを含有させた場合、画像ボケや残留電位上昇の影響が強く現れ、高画質化に対する課題が今もなお残されているのが実情であった。さらに、それらの影響を軽減させるために、ドラムヒーターを搭載する必要があることから、最も耐久性が必要とされる小径感光体の高耐久化が実現されておらず、それに伴い装置の小型化や消費電力の低減に対しても大きな障害となっているのが実情であった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、高耐久性を有し、かつ残留電位上昇、あるいは画像ボケの発生による画質劣化を抑制し、長期間の繰り返し使用に対しても高画質画像が安定に得られる電子写真感光体を提供することにある。また、それらの感光体を用いることにより、感光体の交換が不要で、かつ高速印刷あるいは感光体の小径化に伴う装置の小型化を実現し、さらに繰り返し使用においても高画質画像が安定に得られる電子写真方法、電子写真装置、並びに電子写真装置用プロセスカートリッジを提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
前述のとおり、電子写真感光体の高耐久化を実現するために、感光体の最表面に形成される層にフィラーを含有させることが有効であることは知られており、それによって耐摩耗性の向上は実現されるが、残留電位の上昇や画像ボケの発生等、画質劣化を引き起こす副作用を有する。本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、最表面に形成される層に絶縁性の高いフィラーを含有させることによって画像ボケの発生を抑制し、それによって引き起こされる残留電位上昇に対しては、酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物を含有させることにより抑制できることを見出した。また、同時にフィラーの分散性を高めたことによって高画質化が実現された。本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
【0024】
本発明の構成において、残留電位の低減が可能となった要因としては、酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物を添加したことにある。残留電位上昇の原因は、主に添加したフィラーによるものであり、特に極性基を多く含む親水性の金属酸化物はその傾向が強く、また絶縁性の高いフィラーほどその傾向はより強くなる。酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物を添加することによって、著しい残留電位上昇を抑制できたのは、それによって抵抗が低減されたことが一つの要因として挙げられるが、この化合物が親水基を有する湿潤分散剤であることにより、電荷トラップサイトとなるフィラー表面の極性基にこれらが吸着されることによって、著しい残留電位上昇を回避することが可能となったと考えられる。
【0025】
本発明における酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物の添加効果は、前記の残留電位の低減だけに留まらず、同時にフィラーの分散性を向上させる効果をも併せ持っている。特に、フィラーが親水性の金属酸化物の場合にはその効果は特に大きく、これによってフィラー含有層での光散乱による書き込み光の透過率低下やそれに伴う画像濃度ムラの発生を防止することによって、さらなる高画質化が実現できる。また、トナーによって形成されるドット再現性が向上することも高画質化に対して非常に有効である。さらに、耐摩耗性の向上や偏摩耗の抑制、塗膜欠陥の発生防止、塗工分散液の長寿命化及びそれに伴う感光体の品質安定性の向上等、多方面に渡る多くの効果を併せ持っている。
【0026】
従って、本発明によれば、高画質化又はこれと高耐久性の両立を可能とし、繰り返し使用においても高画質画像が安定して得られる電子写真感光体、この電子写真感光体の製造に用いられる最表面層形成用塗工液、また、繰り返し使用においても高画質画像が安定して得られる電子写真方法、電子写真装置、並びに電子写真装置用プロセスカートリッジが提供される。
【0027】
即ち、上記課題は、本発明の(1)「導電性支持体上に少なくとも一層もしくは複数層の感光層を設けてなる電子写真感光体において、該電子写真感光体の最表面に形成される層に少なくとも親水性のフィラー、及び、バインダー樹脂を含有し、さらに、前記親水性のフィラーを前記バインダー樹脂中に分散する又は分散補助するための有機化合物として酸価が30〜400(mg/KOH)のオリゴマーまたはポリマーを含有することを特徴とする電子写真感光体」、(2)「前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーが、分子構造中に少なくとも一つの親水基を有することを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体」、(3)「前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーの親水基が、カルボキシル基であることを特徴とする前記第(2)に記載の電子写真感光体」、(4)「前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーの親水基が、少なくとも分子構造の末端部に結合されてなることを特徴とする前記第(2)項または第(3)項に記載の電子写真感光体」、(5)「前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーが、不飽和ポリカルボン酸タイプの湿潤分散剤であることを特徴とする前記第(3)項または第(4)項に記載の電子写真感光体」、(6)「前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーの分子量が、300〜30000の範囲内であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(5)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(7)「前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーの含有量をA、前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーの酸価をB、前記フィラーの含有量をCとしたときに、A、B及びCとの間に下記の関係式を満たすことを特徴とする前記第(1)項乃至前記(6)項の何れか1に記載の電子写真感光体;
【0028】
【数2】
0.1≦(A×B/C)≦20」、()「前記親水性フィラーが、親水性表面処理剤で表面処理されたものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、()「前記親水性フィラーが、少なくとも一種の無機顔料であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(8)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(10)「前記無機顔料が、少なくとも一種の金属酸化物であることを特徴とする前記第(9)項に記載の電子写真感光体」、(11)「前記金属酸化物が、1010Ω・cm以上の比抵抗を有することを特徴とする前記第(10)項に記載の電子写真感光体」、(12)「前記金属酸化物の等電点におけるpHが、5以上を示すことを特徴とする前記第(10)項または第(11)項に記載の電子写真感光体」、(13)「前記親水性表面処理剤が、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤の何れかから選択される少なくとも一種であることを特徴とする前記第(8)項に記載の電子写真感光体」、(14)「前記親水性表面処理剤の処理量が、フィラーに対して2重量%〜30重量%であることを特徴とする前記第(8)項または第(13)項に記載の電子写真感光体」、(15)「前記親水性フィラーの平均一次粒径が、0.01μm〜0.9μmの範囲内であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(14)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(16)「前記親水性フィラーの含有量が、該感光体の最表面に形成される層に含有される全固形分量に対し、0.1重量%〜50重量%の範囲内であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(15)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(17)「前記バインダー樹脂が、ポリカーボネート、ポリアリレートより選択される少なくとも一種を含有していることを特徴とする前記第(1)項乃至第(15)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(18)「前記バインダー樹脂が、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(15)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(19)「前記電子写真感光体の感光層上に、さらに最表面層として保護層を形成した感光体において、該保護層に少なくとも一種の電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記第(1)乃至第(18)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(20)「前記保護層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルが、それよりも導電性支持体側に形成される感光層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルを超えないことを特徴とする前記第(19)項に記載の電子写真感光体」、(21)「前記感光体の最表面を形成する層に、酸化防止剤を含有することを特徴とする前記第((1)項乃至第(20)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(22)「前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物であることを特徴とする前記第(21)項に記載の電子写真感光体」、(23)「前記ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物が、下記構造式で表わされる化合物であることを特徴とする前記第(22)項に記載の電子写真感光体;
【0029】
【化2】
Figure 0003802787
」、(24)「前記酸価防止剤の含有量が、前記フィラーに対して0.1重量%〜20重量%の範囲内であり、かつ前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーのフィラーに対する含有量よりも多いことを特徴とする前記第(21)乃至第(23)項の何れか1に記載の電子写真感光体」により達成される。
【0030】
また、上記課題は、本発明の(25)「前記第(1)項乃至第(24)項の何れか1に記載された電子写真感光体の最表面層を形成するための塗工液において、使用される有機溶剤が少なくとも2種の混合溶剤であることを特徴とする電子写真感光体の最表面層形成用塗工液」、(26)「前記塗工液の分散過程において、分散手段としてボールミルを使用することを特徴とする前記第(25)項に記載の電子写真感光体の最表面層形成用塗工液」、(27)「前記分散過程において使用されるメディアの材質が、アルミナであることを特徴とする前記第(26)項に記載の電子写真感光体の最表面層形成用塗工液」により達成される。
【0031】
また、上記課題は、本発明の(28)「前記感光体の最表面に形成される層が、前記第(25)項乃至第(27)項の何れか1に記載の最表面層形成用塗工液を用いてスプレー塗工によって形成されたものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(24)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(29)「前記感光体の最表面に形成される層が、前記最表面層形成用塗工液のスプレー噴霧を少なくとも2回以上重ねて行なうことによって形成されたものであることを特徴とする前記第(28)項に記載の電子写真感光体」により達成される。
【0032】
また、上記課題は、本発明の(30)「電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写が繰り返し行なわれる電子写真方法において、該電子写真感光体として前記第(1)項乃至第(24)項、第(28)項、第(29)項の何れか1に記載の電子写真感光体が用いられることを特徴とする電子写真方法」、(31)「電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行ない、かつ画像露光の際にはLDあるいはLED等によって感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、所謂デジタル方式の電子写真方法において、該電子写真感光体として前記第(1)項乃至第(24)項、第(28)項、第(29)項の何れか1に記載の電子写真感光体が用いられることを特徴とする電子写真方法」により達成される。
【0033】
また、上記課題は、本発明の(32)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が前記第(1)項乃至第(24)項、第(28)項、第(29)項の何れか1に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置」、(33)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備し、該画像露光手段にLDあるいはLED等を使用することによって該電子写真感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、所謂デジタル方式の電子写真装置であって、該電子写真感光体が前記第(1)項乃至第(24)項、第(28)項、第(29)項の何れか1に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置」、(34)「前記感光体を具備してなる前記第(32)項または第(33)項に記載の電子写真装置において、該電子写真装置の帯電手段としてローラー状の帯電部材を用いることを特徴とする前記第(32)項または第(33)項に記載の電子写真装置」、(35)「前記ローラー状の帯電部材を帯電手段として用いた電子写真装置において、該帯電部材と感光体とが画像形成領域において非接触であることを特徴とする前記第(34)項に記載の電子写真装置」、(36)「前記ローラー状の帯電部材を帯電手段として用いた電子写真装置において、直流成分に交流成分を重畳し感光体に帯電を与えることを特徴とする前記第(34)項または第(35)項に記載の電子写真装置」、(37)「前記電子写真装置において、該感光体表面に潤滑性物質を付着させる手段を有することを特徴とする前記第(32)項乃至第(36)項の何れか1に記載の電子写真装置」、(38)「前記電子写真装置において、感光体上に形成された静電潜像を現像する際に用いられるトナーに、少なくとも一種の潤滑性物質が含有されたトナーを用いて現像することにより、感光体表面に該潤滑性物質を付着させることを特徴とする前記第(37)項に記載の電子写真装置」、(39)「前記電子写真装置において、潤滑性物質を外部より感光体表面に接触させることによって、感光体表面に該潤滑性物質を付着させることを特徴とする前記第(37)項に記載の電子写真装置」、(40)「前記電子写真装置において、少なくとも一種の潤滑性物質がステアリン酸亜鉛もしくはフッ素含有化合物であることを特徴とする前記第(37)項乃至第(39)項の何れか1に記載の電子写真装置」、(41)「前記電子写真装置が、感光体上に形成された静電潜像にトナーを現像した後、それらを直接紙に転写する前に、中間転写体もしくは中間転写ベルト上にトナー像を形成した後に紙に転写することによって、該電子写真感光体と紙とが直接接触しないことを特徴とする前記第(32)項乃至第(40)項の何れか1に記載の電子写真装置」、(42)「前記電子写真装置が、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーを保持する現像部に対応した複数の電子写真感光体を具備し、並列処理によるフルカラー印刷が可能な、いわゆるタンデム方式による電子写真装置であることを特徴とする前記第(32)項乃至第(41)項の何れか1に記載の電子写真装置」により達成される。
【0034】
さらにまた、上記課題は、本発明の(43)「少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が前記第(1)項乃至第(24)項、第(28)項、第(29)項の何れか1に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ」、(44)「前記プロセスカートリッジを備えた電子写真装置であって、かつ前記第(34)項乃至第(42)項の何れか1に記載の少なくとも一つの手段を備えていることを特徴とする前記第(43)項に記載の電子写真装置用プロセスカートリッジ」により達成される。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
先に指摘したように、電子写真感光体の最表面を形成する層にフィラーが含有された高耐久性を有する電子写真感光体は、副作用として残留電位上昇、画像ボケの発生、解像度の低下等、画質への影響が避けられず、高耐久化と高画質化を両立させることは困難とされてきた。これは、画像ボケの発生を抑制するには最表面層の抵抗が高い方が、残留電位上昇を抑制するには抵抗が低い方が適していることから、双方でトレードオフの関係になっていることが問題の解決を困難にしている。
【0036】
しかし、本発明によって、耐摩耗性の向上と同時に、残留電位上昇の抑制を実現し、さらにフィラー分散性の向上を実現できたことにより、高耐久化及び高画質化を両立することが可能となった。前述のとおり、耐摩耗性の向上を目的として感光体の最表面層にフィラーを含有させた場合に顕著に見られる残留電位上昇は、主にフィラー表面に有する極性基やフィラーの抵抗が影響している。本発明における、酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物の添加によって抵抗が低減されたことがその一因として挙げられるが、上記酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物が、特に親水基(カルボキシル基等)を有する湿潤分散剤であることによって、その効果を飛躍的に高めることが可能となる。
【0037】
すなわち、本発明における酸価を有する有機化合物の添加は、フィラーの添加によって著しく上昇した残留電位の低減に効果を示すものであり、フィラーが含有されない系においては何ら効果は見られない。
特に、ポリカルボン酸の使用により非常に高い効果が認められる。この発現機構は、ポリカルボン酸がフィラーの表面に吸着することによって高い効果が得られていると考えられ、それは分散性の向上に対しても相乗効果が得られるものである。ポリカルボン酸化合物は、一般的な有機酸に比べてこれらの効果が極めて高く、特に有効かつ有用である。
低抵抗(導電性)フィラーあるいはより酸性を示すフィラーを用いた場合には、画像ボケの影響が顕著に増加するが、残留電位上昇の影響が少ないことから、従来はこのようなフィラーが主に用いられており、それによって画像ボケに対し大きな課題を残していた。これに対して本発明においては、比較的比抵抗が高く、またより塩基性を示すフィラーを用いることによって画像ボケの影響を抑制し、それによって生じた残留電位の上昇をこれらのポリカルボン酸化合物の添加によって低減できたことにより、残留電位が低く画像ボケも発生しにくい感光体が得られたことも重要な効果の一つとなっている。
これらのことから、本発明においては、フィラーとポリカルボン酸との組合せにおいて初めて効果が発揮され、フィラーの添加によって引き起こされる残留電位上昇及び画像ボケの発生を抑制し、かつフィラーの添加による画質低下を分散性向上によって抑制できるものであり、これらの効果は非常に高く、また多岐に渡っており、高耐久性と高画質化が両立できる。
【0038】
フィラーを含有する最表面層を形成する上で、耐摩耗性を向上させ、画像ボケを抑制させ、かつ良好な塗膜品質を得るためには、フィラーの中でも金属酸化物、特に絶縁性の高い金属酸化物を用いることが好ましいが、これらの金属酸化物は表面に極性基を有することから残留電位上昇の影響が大きかった。従って、従来は導電性の金属酸化物を用いて、それによって引き起こされる画像ボケに対してはドラムヒーター等に頼らざるを得なかった。しかし、本発明における酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物、特にその中でも分子構造中に親水基(カルボキシル基等)を含有する湿潤分散剤は、親水性の金属酸化物に対して親和性を高めることが可能であり、特に電荷トラップサイトであるフィラー表面の極性基にこれらが吸着されることによって、効率的に、また飛躍的に残留電位の低減を実現することが可能となる。
【0039】
これらの方法によって低減された残留電位は、長期の繰り返し使用後においてもその上昇が著しく抑制されており、高耐久化に対して非常に有効である。また、残留電位の低減化、すなわち明部電位の低減化によって暗部電位を低く設定することが可能となることにより、電界強度の影響が軽減され異常画像の発生が抑制されることにより、高耐久化に対してはより有効となる。さらに、オゾンやNOxによる画像ボケの抑制等を目的として添加される酸化防止剤等の添加剤は、残留電位上昇の影響が避けられなかったが、本構成によって残留電位の影響が大幅に抑制されたことにより、画像ボケ等の対策に対しても余裕度が向上し、さらなる高耐久化に対する設計が可能となる。
【0040】
前記酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物の添加は、フィラーへの吸着性を有するが故にフィラーの分散性を向上させる効果をも併せ持っている。フィラーの凝集は、有機溶媒やバインダー樹脂等との親和性が低い親水性の無機フィラー、特に金属酸化物の方が起こり易いが、耐摩耗性や光散乱性あるいは塗膜品質の点から金属酸化物の方が有利である場合が多い。そこで、本発明において見出された酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物、特に親水基(カルボキシル基等)を分子構造中に有する湿潤分散剤を添加することによって、これらの無機フィラーと有機溶剤やバインダー樹脂等との親和性を高めることが可能となり、結果的にフィラーの分散性を大幅に高める効果を有する。
【0041】
フィラーの分散性を向上させるためには、フィラーへの濡れ性を向上させ、さらにその安定性を向上させることが重要である。本発明における酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物、その中でも親水基(カルボキシル基等)を有する湿潤分散剤を添加することによって、この親水基がフィラー表面に有する極性基に吸着し、かつ前記湿潤分散剤の疎水基の部分がバインダー樹脂と親和性を保持することにより、フィラーへの濡れ性が向上し分散性の著しい向上が実現される。また、それによってフィラーの凝集だけでなく沈降を抑制する効果も得られ、塗工分散液の長寿命化が実現される。
【0042】
さらに、フィラーの中でも酸性よりも塩基性を示すフィラーを用いた場合には、酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物との吸着性がさらに高まり、分散安定化が著しく向上する傾向が見られる。特に、本発明の構成では、等電点(ゼータ電位がゼロを示す)におけるpHが5以上を示す金属酸化物において、分散性に対し著しい効果が見られ、また残留電位の低減効果に対してもより高くなる傾向があることから、これらの金属酸化物と組み合わせて使用することがより好ましい。加えて、酸性フィラーよりも塩基性フィラーの方が、画像ボケに対して有利であることから、本発明による酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物とより塩基性を示すフィラーとの組合せによって、フィラー分散性及び残留電位に対して効果が高まるだけでなく、画像ボケに対しても抑制効果が高まり、高画質化に対して相乗効果が得られることになる。
【0043】
フィラーの分散性が向上したことによって、フィラーを含有する最表面層に注入された電荷が表面まで到達しやすくなるため、トナーにより形成されるドット再現性がより忠実となり高解像度の画像を得ることが可能となる。一方、フィラーが極度な凝集状態にある場合には、電荷はフィラーによって進行が妨げられ、電荷移動の直進性が低下することによって解像度が低下することにつながる。
【0044】
さらに、フィラーの分散性の向上によって、書き込み光の散乱を防止することが可能であり、最表面層の光透過性の向上やそれに伴う画像濃度ムラの抑制等、高画質化に与える効果が多い上に、耐摩耗性の向上や偏摩耗の抑制、塗膜欠陥の抑制等の多くの利点を有する。また、光透過性が高いことにより、書き込み光が短波長の場合により有利であり、さらに可視光レーザー等の使用によってより一層の高画質化が実現できる可能性を持っている。加えて、フィラーが経時で凝集することなく、高安定かつ長寿命な最表面層形成用塗工液を得ることができ、それを用いることにより、高耐久化と高画質化を両立する電子写真感光体を長期に渡って安定に製造することが可能となる。
【0045】
これより、本発明に用いられる電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生物質および電荷輸送物質を主成分とする感光層(33)が設けられている。最表面を形成する感光層には電荷発生物質及び電荷輸送物質の他に少なくともフィラー、バインダー樹脂及び酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物が含有されてなる。フィラーは感光層全体に均一に含有されていても、最表面近傍にその濃度を高めた濃度勾配を持たせてもよい。
【0046】
図2は、導電性支持体(31)上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)とが積層された構成をとっている。最表面を形成する電荷輸送層には、電荷輸送物質の他に少なくともフィラー、バインダー樹脂及び酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物が含有されてなる。フィラーは電荷輸送層全体に均一に含有されていても、最表面近傍にその濃度を高めた濃度勾配を持たせてもよい。
【0047】
図3は、導電性支持体(31)上に、電荷発生物質および電荷輸送物質を主成分とする感光層(33)が設けられ、更に感光層(33)上に保護層(39)が設けられてなる。この場合、保護層(39)には少なくともフィラー、バインダー樹脂及び酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物が含有されてなる。
【0048】
図4は、導電性支持体(31)上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)とが積層された構成をとっており、更に電荷輸送層(37)上に保護層(39)が設けられてなる。この場合、保護層(39)には少なくともフィラー、バインダー樹脂及び酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物が含有されてなる。
【0049】
図5は、導電性支持体(31)上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(37)と、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(35)とが積層された構成をとっており、更に電荷発生層(35)上に保護層(39)が設けられてなる。この場合、保護層(39)には少なくともフィラー、バインダー樹脂及び酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物が含有されてなる。
【0050】
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。
【0051】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当なバインダー樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体(31)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体とバインダー樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0052】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(31)として良好に用いることができる。
【0053】
次に感光層について説明する。感光層は単層であっても複数の感光層が積層されていてもよいが、先ず電荷発生層(35)と電荷輸送層(37)で構成される積層の場合から説明する。
【0054】
電荷発生層(35)は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層(35)には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ顔料、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、バナジルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、インジゴ顔料、ピロロピロール顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクエアリウム顔料、等が挙げられ有効に用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合してもよい。
【0055】
必要に応じて電荷発生層(35)に用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。バインダー樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
【0056】
電荷発生層(35)は、電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。バインダー樹脂の添加は、分散前あるいは分散後どちらでも構わない。
【0057】
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。これらは単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
【0058】
電荷発生層(35)の形成用塗工液は、電荷発生物質、溶媒及びバインダー樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていても良い。
【0059】
塗工液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層(35)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0060】
電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により単独あるいは2種以上の可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤、滑剤等を添加することも可能であり有用である。
【0061】
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0062】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
【0063】
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも特にポリカーボネート、ポリアリレートが有効に用いられる。
【0064】
電荷輸送物質の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は解像度や応答性の点から、25μm以下とすることが好ましい。下限値に関しては、使用するシステム(特に帯電電位等)により異なるが、少なくとも5μm以上が好ましい。
【0065】
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。これらは単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
【0066】
次に感光層が単層構成(33)の場合について述べる。
感光層は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体上に塗工及び乾燥することによって形成される。電荷発生物質及び電荷輸送物質は、前述の電荷発生層(35)及び電荷輸送層(37)で挙げた材料を使用することが可能である。また、バインダー樹脂としては、前述の電荷輸送層(37)で挙げた樹脂の他に、電荷発生層(35)で挙げた樹脂を混合して用いてもよい。また、バインダー樹脂として高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は、5〜40重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、バインダー樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することもできる。感光層(33)の膜厚は5〜25μm程度が適当である。
【0067】
前述の電荷輸送層もしくは感光層が感光体の最表面を形成する場合には、電荷輸送層もしくは感光層にさらにフィラー及び酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物が含有されてなる。また、前述の電荷輸送層もしくは感光層の上に最表面層として新たに保護層を設ける場合には、保護層に少なくともフィラー、バインダー樹脂及び酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物が含有されてなる。
【0068】
感光体の耐摩耗性を向上させる目的で添加されるフィラー材料には、有機性フィラー及び無機性フィラーがある。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。これらのフィラーの中で、フィラー硬度や光散乱性の点から無機材料、特に金属酸化物を用いることが耐摩耗性あるいは高画質化に対し有利である。さらに、金属酸化物の使用は塗膜品質に対しても有利である。塗膜品質は画像品質や耐摩耗性に大きく影響するため、良好な塗膜を得ることは高耐久化及び高画質化に対し有効となる。
【0069】
さらに、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラーの方が好ましい。導電性フィラーを感光体の最表面に含有させた場合には、表面の抵抗が低下することによって電荷の横移動が起こり、画像ボケが発生しやすくなる。特に、フィラーの比抵抗が1010Ω・cm以上であることが解像度の点から好ましく、このようなフィラーとしては、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、シリカ等が挙げられる。一方、フィラーの比抵抗が1010Ω・cm以下の導電性フィラーもしくは比抵抗が比較的低いフィラーとしては、酸化錫、酸化亜鉛、酸価インジウム、酸価アンチモン、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等が挙げられ、本発明においては画像ボケが発生しやすくなることから、好ましくない傾向にある。但し、フィラーが同じ材質であっても、フィラーの比抵抗は異なる場合があるため、フィラーの種類によって完全に分類されるものではなく、フィラーの比抵抗によって決めることが重要である。また、これらのフィラーを2種以上混合して用いることも可能であり、それによって表面の抵抗を制御することも可能である。
【0070】
また、本発明の構成要件の一つであるフィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
【0071】
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるに従いその電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から十分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。従って、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。従って、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
【0072】
本発明の構成においては、フィラーとしては前述の等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であった方がゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。従って、本発明においては、等電点におけるpHが5以上を示すフィラーと酸価が30〜400(mgKOH/g)の湿潤分散剤とを組み合わせることにより、フィラーへの吸着力がより一層高まり、分散性及びその安定性を著しく高める効果があったと考えられる。
【0073】
つまり、本発明によって見いだされた酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物、特にその中でも親水基(カルボキシル基等)を有する湿潤分散剤は、前述のとおりフィラーに吸着してフィラーへの濡れ性を向上させる効果を有するが、特に等電点におけるpHが5以上を示す塩基性の金属酸化物をフィラーとして使用することによって、その安定性をより一層高めることが可能となった。さらに、塩基性フィラーの使用は画像ボケに対して優位性を持っていることから、同時に高画質化に対してもより一層高い効果を有することになる。
【0074】
等電点におけるpHが5以上を示す金属酸化物としては、前述のフィラーの中でも酸化チタン、ジルコニア、アルミナ等が挙げられ、特に酸化チタン<ジルコニア<アルミナの順に塩基性が高くなることから、アルミナを用いることがより好ましい。さらに、光透過性が高く、熱安定性が高い上に、耐摩耗性に優れた六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上、塗膜品質、光透過性等の点から特に有効に使用することができる。また、本発明においては、フィラーを2種以上混合して使用することが可能である。その場合、等電点におけるpHが5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合して用いることも可能である。なお、pHが5以下の酸性を示すフィラーとしてはシリカ等が挙げられる。
【0075】
さらに、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理を施すことが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下及び偏摩耗の増加をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
【0076】
表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、前述のフィラーの比抵抗や等電点におけるpHを維持できる表面処理剤が好ましい。前述のフィラーの等電点におけるpHは、これらの表面処理によって変化させることができる。すなわち、酸性処理剤で処理したフィラーは酸性側に、塩基性処理剤で処理したフィラーは塩基性側に等電点が移動するため、本発明の構成においては、表面処理剤についてもより塩基性を示す処理剤を用いることが、フィラーの分散性や画像ボケ抑制の点から好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤等は特に有効に使用することができる。また、Al23、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理もフィラーの分散性及び画像ボケの点から好ましく用いられる。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を軽減できる場合がある。また、フィラーの等電点におけるpHが5以下の酸性を示しても、表面処理剤に上記の塩基性処理剤を使用することによって、本発明における効果を得ることも可能である。
【0077】
表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、2重量%〜30重量%が適しており、3重量%〜20重量%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位上昇の影響が増加する場合がある。
【0078】
フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.9μmであることが光透過性や耐摩耗性の点から好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。フィラーの平均一次粒径がこれよりも小さい場合には、フィラーの凝集や耐摩耗性の低下等が起こりやすくなり、これよりも大きい場合にはフィラーの沈降性が促進されたり、画質劣化あるいは異常画像が発生したりする場合もある。
【0079】
また、フィラーの添加量としては、フィラーが含有される層に含まれる全固形分に対して、0.1重量%〜50重量%が好ましく、より好ましくは5重量%〜30重量%である。フィラーの添加量がこれよりも少ないと、要求される耐摩耗性が得られず、またフィラーの添加量がこれよりも多い場合には、残留電位の増加、画像ボケの発生、解像度の低下等、画質劣化の影響が増大する傾向がある。さらに、フィラーの含有量が多すぎる場合には、フィラー間の相互作用が増大し分散性を悪化させる傾向が見られたり、フィラーが脱離しやすくなって耐摩耗性が逆に低下したりする場合がある。
【0080】
これらのフィラーが含有されることによって、高耐久化が実現されるが、残留電位上昇の影響が増加することになる。この残留電位上昇を抑制するためには、酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物を添加させることによって実現される。酸価とは、樹脂1g中に含まれるカルボキシル基を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数で定義される。なお、本発明における酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物は、不揮発分100%のものであっても、予め有機溶剤等に溶解されたものであってもよい。
【0081】
これらの酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物としては、一般に知られている有機脂肪酸や高酸価樹脂あるいは共重合体等、酸価が10〜700(mgKOH/g)の有機化合物であればすべて使用することができる。例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、アジピン酸、オレイン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸等の如何なるカルボン酸をも使用することが可能である。しかし、この場合、残留電位低減効果は認められるものの、場合によって分散安定性が不十分であったり、画像ボケが発生しやすくなったりする場合が見られることがある。一方、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、末端カルボン酸不飽和ポリエステル、またはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸等、飽和もしくは不飽和の炭化水素を基本骨格とし少なくとも一つ以上のカルボキシル基が結合されたポリマーやオリゴマーあるいはコポリマーはすべて含まれ、残留電位上昇を抑制する効果だけでなく、フィラーの分散性を向上させる効果が高いことから、有効に用いられる。
【0082】
つまり、残留電位を低減させ、同時にフィラーの分散性及びその安定性をより高めるためには、疎水基である炭化水素に親水基を一つ以上含む酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物、特にこれらの湿潤分散剤の添加が特に有効である。残留電位の低減は、これらの化合物が酸価を有することと、フィラーへの吸着性にあると考えられる。フィラーの添加による残留電位の上昇は、フィラー表面の極性基が電荷トラップサイトになることによって起こると考えられ、このフィラーの極性基にこれらの湿潤分散剤の親水基(カルボキシル基等)が吸着しやすく、それによって残留電位の低減効果が高まるものと考えられる。一方、フィラーの分散性を向上させるためには、フィラーとバインダー樹脂との双方に親和性を持たせて濡れ性を高め、かつフィラー間の相互作用を減少させ安定性を高めることが必要である。上記の構造を有する湿潤分散剤は、一つの分子中に親水基と疎水基を併せ持つ界面活性剤的な構造、つまり、親水基がフィラー表面の電荷トラップサイトでもある極性基に吸着し、疎水基がバインダー樹脂等と親和性を保持されることにより、フィラーへの濡れ性が向上する。さらに、フィラーに吸着した上記の分子は、電気的反発あるいは立体障害を生じさせ、フィラー同士の接触を防止することにより、分散の安定化が向上することになる。このように、フィラーへの濡れ性を向上させる湿潤剤の効果と、フィラーの安定性を向上させる分散剤の効果のどちらかが欠けると、分散性が不十分であったり、分散効率が低下したり、分散してもすぐに凝集を引き起こしたりすることになるため、双方の効果を併せ持つことが分散性向上に対し特に有効となる。上記構造を有することによって、フィラーへの濡れ性と分散安定性の双方の効果を得ることが可能なこれらの添加剤を、湿潤分散剤として定義する。これらの湿潤分散剤は、フィラーへの吸着性が優れている上、立体障害が得られやすい構造であることから分散安定性にも優れており、特に有効に用いることができる。
【0083】
一般に親水基としては、−SONa、−COOK、−COONa、−COO−、−COOH、−OH、−O−、−CHCHO−、第4級アンモニウム塩基等が挙げられるが、本発明においては湿潤分散剤の親水基が特にカルボキシル基−COOHであることによって、高い分散性を有する上に感光体の静電特性や画質に悪影響を与えないことから特に有効に用いられる。カルボキシル基等の親水基は、炭化水素等の疎水性を有する有機分子構造中に一つ有することによって十分に効果が得られるが、その中でも多数のカルボキシル基を有するポリカルボン酸はアニオン性が高くなることによってフィラーの分散安定性が増すとともに、分散効率が著しく向上する傾向が見られる。また、ポリカルボン酸の場合にはカルボキシル基同士で親和性が生ずることによって、フィラーの沈降を抑制する効果が得られる場合がある。さらに、カルボキシル基等の親水基は、少なくとも分子の末端に有することによって、フィラーと吸着しやすくなることから、本構成においてはより好ましい。それらが分子の末端に結合されていることにより、フィラーの沈降抑制効果が高まる場合も見られる。このようなポリカルボン酸タイプの湿潤分散剤としては、BYKケミー社の「BYK−P104」、あるいはそれと類似の構造を有する化合物が挙げられ、特に好適に用いることができる。加えて、このように上記湿潤分散剤のフィラーへの吸着性を高めることは、フィラーの分散性や残留電位に与える効果だけでなく、耐摩耗性に対しても有効である。それは、フィラーとバインダー樹脂とは前述のとおり親和性が低いので接着力が小さく、フィラーが脱離し易い傾向があった。上記湿潤分散剤の添加によって、フィラーとバインダー樹脂との親和性を高めることによって、フィラーの脱離を抑制することにつながり、さらなる耐摩耗性の向上が実現されることになる。
【0084】
前述の酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物、特にそれらの湿潤分散剤の分子量としては、数平均分子量で300〜30000のオリゴマーあるいはポリマーが好ましく、より好ましくは400〜10000である。これよりも分子量が小さいとフィラーに吸着した場合の立体障害が小さくなり、フィラー間の相互作用が増大することにより分散性やその安定性が低下する傾向がある。一方、これよりも分子量が大きくなった場合には、湿潤性や吸着性が劣ってくる傾向があり、分子量が非常に大きい場合には一つのポリマーに複数のフィラーが吸着することになり、それによって逆に凝集を引き起こす傾向が見られる。
【0085】
有機化合物の酸価としては、30〜400mgKOH/gが好ましい。酸価が必要以上に高いと抵抗が下がりすぎて画像ボケの影響が大きくなり、酸価が低すぎると添加量を多くする必要が生じる上、残留電位の低減効果が不十分となる。酸価が30〜400mgKOH/gの有機化合物の酸価は、その添加量とのバランスにより決めることが必要である。同じ添加量でも酸価が高ければ残留電位低減効果が高いというわけではなく、その効果はこれら酸価が10〜700mgKOH/gの有機化合物のフィラーへの吸着性にも大きく関係している。
【0086】
これらの酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物の含有量は、その酸価とフィラーの含有量によって決められる。すなわち、前記酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物の含有量をA(g)、前記酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物の酸価をB(mgKOH/g)、前記フィラーの含有量をC(g)としたときに、A、B及びCとの間に下記の関係式を満たすことが好ましいが、必要最小量に設定することがより好ましい。
【0087】
【数3】
0.1≦ (A×B/C) ≦ 20
の好ましい範囲としては、0.8≦(A×B/C)≦15、より好ましい範囲としては、1.5≦(A×B/C)≦8である。
添加量を必要以上に多くすると逆に分散不良を引き起こしたり、画像ボケの影響が強く現れる場合があり、添加量が少なすぎると分散不良や残留電位低減効果が不十分となる場合がある。
【0088】
保護層に含有されるバインダー樹脂には、電荷輸送層37で用いられるバインダー樹脂をすべて使用することが可能であるが、バインダー樹脂によってもフィラー分散性が影響されるため、分散性に悪影響を与えないことが重要である。前述の等電点が塩基性を示すフィラーに対しては、酸性のバインダー樹脂を用いた方が、また等電点が酸性を示すフィラーに対しては、塩基性のバインダー樹脂を用いたほうがフィラーの分散性が向上する傾向が見られる。さらに、同じフィラーが含有されていてもバインダー樹脂によって耐摩耗性が大きく影響される場合がある。このように、バインダー樹脂はフィラー分散性、残留電位、耐摩耗性、解像度等に大きな影響を及ぼす。
【0089】
使用可能なバインダー樹脂の一例としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、アクリル酸やメタクリル酸を用いた各種共重合体、スチレンアクリル共重合体、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂あるいは共重合体等が挙げられ、熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂も好適に用いられる。これらのバインダー樹脂の中でもポリカーボネート、ポリアリレートが特に有効に使用することができる。また、バインダー樹脂として高分子電荷輸送物質を用いることも可能であり、高耐久化及び高画質化に対し有効である。高分子電荷輸送物質に関しては後に説明を加える。
【0090】
保護層(39)には、さらに電荷輸送物質を含有させることが可能であり有用である。保護層への電荷輸送物質の添加によって保護層への電荷注入性及び電荷輸送性が向上し、残留電位の上昇や感度劣化を抑制することが可能となる。ここで用いられる電荷輸送物質については、前述の電荷輸送層(37)で挙げた材料をすべて使用することが可能であり有用である。その際、保護層中に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル(Ip)が、それよりも導電性支持体側に形成される感光層中に含有される電荷輸送物質の(Ip)と同じか、より小さくなるような構成にすることによって、保護層への電荷注入性がさらに向上することにより、残留電位上昇や感度劣化をさらに低減できる効果を有する。なお、イオン化ポテンシャル(Ip)は、分光学的に求める方法、電気化学的に求める方法等、種々の方法を用いて測定することができる。
【0091】
保護層には、前述のとおりバインダー樹脂としての機能と電荷輸送物質としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される保護層は、耐摩耗性に優れ高画質化に対しても有効である。本発明においては、高分子電荷輸送物質は主としてバインダー樹脂として使用されるが、前述の各種バインダー樹脂や低分子電荷輸送物質を混合して用いることも可能である。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、下記式(I)〜(X)で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。
【0092】
【化3】
Figure 0003802787
[式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5、R6は置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成(モル分率)を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9の数を表し、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2価基を表す。
【0093】
【化4】
Figure 0003802787
(式中、R101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(Zは脂肪族の2価基を表す)または、
【0094】
【化5】
Figure 0003802787
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。]
【0095】
【化6】
Figure 0003802787
(式中、R7、R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1、Ar2、Ar3は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0096】
【化7】
Figure 0003802787
(式中、R9、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4、Ar5、Ar6は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0097】
【化8】
Figure 0003802787
(式中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7、Ar8、Ar9は同一又は異なるアリレン基を表し、pは1〜5の整数を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0098】
【化9】
Figure 0003802787
(式中、R13、R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X1、X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0099】
【化10】
Figure 0003802787
(式中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1、Y2、Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0100】
【化11】
Figure 0003802787
(式中、R19、R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0101】
【化12】
Figure 0003802787
(式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0102】
【化13】
Figure 0003802787
(式中、R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0103】
【化14】
Figure 0003802787
(式中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0104】
以下、これらトリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートの具体例の幾つかを以下に示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
【0105】
【化15】
Figure 0003802787
【0106】
【化16】
Figure 0003802787
【0107】
【化17】
Figure 0003802787
【0108】
【化18】
Figure 0003802787
【0109】
【化19】
Figure 0003802787
【0110】
【化20】
Figure 0003802787
【0111】
【化21】
Figure 0003802787
【0112】
【化22】
Figure 0003802787
【0113】
【化23】
Figure 0003802787
【0114】
【化24】
Figure 0003802787
【0115】
【化25】
Figure 0003802787
【0116】
【化26】
Figure 0003802787
【0117】
【化27】
Figure 0003802787
【0118】
【化28】
Figure 0003802787
【0119】
【化29】
Figure 0003802787
【0120】
【化30】
Figure 0003802787
【0121】
【化31】
Figure 0003802787
【0122】
【化32】
Figure 0003802787
【0123】
【化33】
Figure 0003802787
【0124】
【化34】
Figure 0003802787
【0125】
【化35】
Figure 0003802787
【0126】
【化36】
Figure 0003802787
【0127】
【化37】
Figure 0003802787
【0128】
【化38】
Figure 0003802787
【0129】
【化39】
Figure 0003802787
【0130】
【化40】
Figure 0003802787
【0131】
【化41】
Figure 0003802787
【0132】
【化42】
Figure 0003802787
【0133】
【化43】
Figure 0003802787
【0134】
【化44】
Figure 0003802787
【0135】
【化45】
Figure 0003802787
【0136】
【化46】
Figure 0003802787
【0137】
【化47】
Figure 0003802787
【0138】
【化48】
Figure 0003802787
【0139】
これら主鎖及び/又は側鎖にトリアリールアミン構造を有している高分子電荷輸送物質は単重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体の形態で重合される。そして、これら高分子電荷輸送物質はバインダー樹脂としての役割を持つことから被膜形成能を有していることが必要である。そのため、分子量は、GPCによる測定において、ポリスチレン換算分子量Mwとして1万〜50万が適当で、好ましくは5万〜40万である。
【0140】
これら高分子電荷輸送物質は、特開平8−269183号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号公報、特開平9−272735号公報、特開平11−29634号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開2000−26590号公報に開示されている。
【0141】
本発明における保護層の膜厚は、0.1〜10μm程度が適当であり、好ましくは2〜6μmである。膜厚が極度に薄い場合には十分な耐久性が得られない場合があり、膜厚が極度に厚い場合には残留電位上昇の影響が増大したり、解像度が幾分低下したりする場合がある。保護層(39)中には各種可塑剤やレベリング剤、滑剤等を添加してもよく、それらを混合して添加してもよい。
【0142】
さらに、本発明においては、感光体の最表面に形成される層に酸化防止剤を含有することも可能であり有用である。本発明において含有される酸化防止剤には、フェノール系化合物類、ヒンダードフェノール系化合物類、ヒンダードアミン系化合物類、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機リン化合物類、ベンゾフェノン類、サルシレート類、ベンゾトリアゾール類、クエンチャー(金属錯塩系)等、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤がすべて含まれる。これらの酸化防止剤の中でも、長期間の繰り返し使用によるオゾンやNOx等の活性ガスから感光体の劣化を抑制し、画像安定性を高める上で効果が大きなものとしては、特にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物が有用であることが知られている。
【0143】
ヒンダードフェノール構造とは、フェノール性水酸基の両オルト位に嵩高い原子団が存在する構造を示す。一方、ヒンダードアミン構造とは、アミノ窒素原子近傍に嵩高い原子団が存在する構造を示し、芳香族アミンや脂肪族アミン系物質もこれに該当するが、より好ましくは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン構造を含んでいる化合物である。これらの両構造を有する化合物の作用機構の詳細は明らかではないが、嵩高い原子団が存在することにより立体障害が高められたことによって、アミノ窒素原子やフェノール性水酸基の熱振動を抑制し、ラジカル状態の安定性が高められたことによって外部からの活性ガスの影響を食い止めることができたものと推定される。
【0144】
ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物としては、種々のものが挙げられるが、中でも下記構造式で表わされる1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジンは特にオゾンやNOxガスによる解像度低下に対し有効かつ有用である。特に、本発明においては、感光体の最表面にフィラーが添加されているが、オゾンあるいはNOxガス雰囲気下においては、これらの活性ガス成分がフィラーに吸着しやすくなるため、画像ボケの影響がフィラーのない場合に比べて、やや増加する傾向が見られていた。しかし、ヒンダードフェノール構造及びヒンダードアミン構造の両構造を有する上記の酸化防止剤をフィラーとともに添加することによって、それによる画像ボケの影響を抑制することが可能となった。従って、本発明においては、これらの酸化防止剤を組み合わせて用いることによって、さらなる高画質化が実現されることになる。
【0145】
【化49】
Figure 0003802787
【0146】
また、ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物の含有量は、含有されるフィラーに対して、0.1重量%〜20重量%の範囲内であることが好ましく、1重量%〜15重量%がより好ましい。ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物の含有量が、この範囲よりも少なくなると長期繰り返し使用により付着するコロナ生成物やオゾン等の活性ガスによる劣化を抑制する効果が低下し、この範囲を上回ると耐摩耗性が低下したり、残留電位上昇の影響が増加したりする場合がある。また、ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物の含有量は、酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物の含有量よりも多い方が好ましい。酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物の含有量よりもヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物の含有量を多くすることにより、コロナ生成物やオゾンなどの活性ガスによる劣化を抑制する効果をより高めることが可能となる。
【0147】
前述のフィラー材料は、少なくとも有機溶剤及び酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物とともに、ボールミル、アトライター、サンドミル、シェイカー、超音波などの従来方法を用いて分散することができる。この中でも、フィラーと酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物との接触効率を高くすることができ、外界からの不純物の混入が少ないボールミルによる分散が分散性の点からより好ましい。分散液の作製に用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなど、電荷輸送層(37)で使用されるすべての溶剤を使用することができる。但し、フィラーの分散時には粘度が高い溶剤の使用が好ましいが、塗工時には揮発性が高い溶剤の使用が好ましい。これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、フィラーの分散性やその安定性、塗膜品質等に対して非常に有効となる。
【0148】
使用されるメディアの材質については、従来使用されているジルコニア、アルミナ、メノウ、ガラス等すべてのメディアを使用することができるが、フィラーの分散性及び残留電位低減効果の点から特にアルミナを使用することがより好ましい。ジルコニアなどのメディアは分散時のメディアの摩耗量が大きく、それらの混入によって残留電位が著しく増加する。さらに、その摩耗粉の混入によって分散性が大きく低下し、フィラーの沈降性が促進される。一方、メディアにアルミナを使用した場合には、分散時にメディアは摩耗されるものの、摩耗量は大幅に低減できる上に、混入した摩耗粉が残留電位に与える影響が非常に小さい。また、摩耗粉が混入しても分散性に対して悪影響が少ない。従って、分散に使用するメディアにはアルミナを使用することがより好ましく、フィラーにアルミナを用いた場合にはその効果は非常に大きい。
【0149】
酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物は、バインダー樹脂と混合する以前にフィラー及び有機溶剤とともに分散を行なうことによって、塗工液中のフィラーの凝集、さらにはフィラーの沈降性を抑制し、フィラーの分散性が著しく向上することからより好ましい。一方、バインダー樹脂や電荷輸送物質あるいは酸化防止剤等は、分散前に添加することも可能ではあるが、その場合分散性が若干低下する場合が見られる。従って、それらが有機溶剤に溶解された状態で、フィラー、有機溶剤及び酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物で既に分散したミルベースに混合させることが好ましい。
【0150】
以上のようにして得られた塗工液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等、従来の塗工方法を用いることができる。その中でも図1や図2に示されたフィラーが含有される感光層や電荷輸送層を塗工する場合には、浸漬塗工法やリング塗工法、スプレー塗工法が適している。この場合、感光層あるいは電荷輸送層全体にフィラーを含有させることができるが、感光層や電荷輸送層の最表面側が最もフィラー濃度が高く、導電性支持体側が低くなるようにフィラーの濃度傾斜を設けたり、電荷輸送層を複数層にして、導電性支持体側から最表面側に向かって、フィラー濃度を順次高くしてフィラーの濃度傾斜を設けたりする構成にすることもできる。
【0151】
一方、図3〜図5に示される保護層にフィラーが含有される場合には、上記塗工法の中でもスプレー塗工法が最も好ましい。それによって膜厚制御もしやすく、フィラーの分散性を良好に維持することが可能となり、さらに塗膜品質についても優位性がある。また、保護層の必要膜厚を一度で塗工して保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工して保護層を形成する方法が膜中におけるフィラーの均一性の面からより好ましい。そうすることによって、残留電位の低減、解像度の向上、及び耐摩耗性の向上に対しより一層の効果が得られる場合がある。加えて、塗膜品質の向上や塗膜欠陥の発生を抑制する効果も有する。
【0152】
本発明の感光体においては、導電性支持体(31)と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0153】
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0154】
本発明の感光体において、下引き層と感光層との間あるいは感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0155】
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の少なくとも1層ないし各層に、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
【0156】
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0157】
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類など。
【0158】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0159】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0160】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
【0161】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0162】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0163】
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
【0164】
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
【0165】
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
【0166】
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
【0167】
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
【0168】
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
【0169】
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
【0170】
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
【0171】
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
【0172】
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
【0173】
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
【0174】
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
【0175】
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
【0176】
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0177】
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
【0178】
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
【0179】
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
【0180】
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
【0181】
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
【0182】
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
【0183】
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
【0184】
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
【0185】
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0186】
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
【0187】
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
【0188】
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3'−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなど。
【0189】
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
【0190】
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
【0191】
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
【0192】
次に図面を用いて本発明の電子写真方法ならびに電子写真装置を詳しく説明する。
【0193】
図6は、本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。図6において、感光体(1)は図1〜図5に示したように、少なくとも感光層が設けられ、最表面を形成する層に少なくともフィラー、バインダー樹脂及び酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物を含有してなる。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電チャージャー(3)、転写前チャージャー(7)、転写チャージャー(10)、分離チャージャー(11)、クリーニング前チャージャー(13)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)のほか、ローラー状の帯電部材あるいはブラシ状の帯電部材等が用いられ、公知の手段がすべて使用可能である。
【0194】
帯電部材は、コロナ帯電等の非接触帯電方式やローラーあるいはブラシを用いた帯電部材による接触帯電方式が一般的であり、本発明においてはいずれも有効に使用することが可能である。特に、帯電ローラーは、コロトロンやスコロトロン等に比べてオゾンの発生量を大幅に低減することが可能であり、感光体の繰り返し使用時における安定性や画質劣化防止に有効である。しかし、感光体と帯電ローラーとが接触していることにより、繰り返し使用によって帯電ローラーが汚染され、それが感光体に影響を及ぼし異常画像の発生や耐摩耗性の低下等を助長する原因となっていた。特に、本発明による耐摩耗性の高い感光体を用いる場合、表面の摩耗によるリフェイスがしにくいことから、帯電ローラーの汚染を軽減させる必要があった。そこで、本発明においては、帯電ローラーを感光体に対して画像形成領域において非接触とすることによって、汚染物質が帯電ローラーに付着しにくく、あるいは除去しやすくなり、それらの影響を軽減することが可能となった。この場合、感光体と帯電ローラーとのギャップは小さい方が好ましく、80μm以下、より好ましくは50μm以下である。しかし、帯電ローラーを非接触とすることによって、放電が不均一になり、感光体の帯電が不安定になる場合がある。本発明においては、直流成分に交流成分を重畳させることによって帯電の安定性を維持し、これによりオゾンの影響、帯電ローラーの汚染の影響及び帯電性の影響を同時に軽減することが可能となり、耐摩耗性の高い感光体と組み合わせて使用することにより、さらなる高耐久化及び高画質化が実現される。
【0195】
転写手段には、一般に前述の帯電器を使用することができるが、図6に示されるように転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。また、このような転写手段を用いて、感光体からトナー像を紙に直接転写されるが、本発明においては感光体上のトナー像を一度中間転写体に転写し、その後中間転写体から紙に転写する中間転写方式であることが感光体の高耐久化あるいは高画質化においてより好ましい。本発明における高耐久性を有する感光体は、前述のとおり耐摩耗性が高い故にリフェイスしにくく、感光体表面に付着した汚染物質を除去しにくい傾向がある。感光体表面に付着する汚染物質の中でも帯電によって生成する放電物質やトナー中に含まれる外添剤等は、湿度の影響を拾いやすく異常画像の原因となっているが、このような異常画像の原因物質には、紙粉もその一つであり、それらが感光体に付着することによって、異常画像が発生しやすくなるだけでなく、耐摩耗性を低下させたり、偏摩耗を引き起こしたりする傾向が見られる。従って、上記の理由により感光体と紙とが直接接触しない構成であることが高画質化の点からより好ましい。また、中間転写方式は、フルカラー印刷が可能な電子写真装置に特に有効であり、複数のトナー像を一度中間転写体上に形成した後に紙に一度に転写することによって、色ズレの防止の制御もしやすく高画質化に対しても有効である。しかし、中間転写方式は、一枚のフルカラー画像を得るのに4回のスキャンが必要となるため、感光体の耐久性が大きな問題となっていた。本発明における感光体は、高耐久性を有するだけでなく、ドラムヒーターなしでも画像ボケが発生しにくいことから中間転写方式の電子写真装置に組み合わせて用いることが容易であり、特に有効かつ有用である。中間転写体には、ドラム状やベルト状など種々の材質あるいは形状のものがあるが、本発明においては従来公知である中間転写体のいずれも使用することが可能であり、感光体の高耐久化あるいは高画質化に対し有効かつ有用である。
【0196】
画像露光部(5)、除電ランプ(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0197】
光源等は、図6に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。但し、除電工程における感光体への露光は、感光体に与える疲労の影響が大きく、特に帯電低下や残留電位の上昇を引き起こす場合がある。従って、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印可することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面からより好ましい。
【0198】
現像ユニット(6)により感光体(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写されるが、すべてが転写されるわけではなく、感光体(1)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(14)あるいはブレード(15)により、感光体より除去される。このクリーニング工程は、クリーニングブラシだけで行なわれたり、ブレードと併用して行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
【0199】
クリーニングは、前述のとおり転写後に感光体上に残ったトナー等を除く工程であるが、上記のブレードあるいはブラシ等によって感光体が繰り返し擦られることにより、感光体の摩耗が促進されたり、傷が入ったりすることによって異常画像が発生することがある。また、クリーニング不良によって感光体の表面が汚染されたりすると異常画像の発生の原因となるだけでなく、感光体の寿命を大幅に低減させることにつながる。特に、耐摩耗性の向上のためにフィラーを含有させた層を最表面に形成された感光体の場合には、感光体表面に付着した汚染物質が除去されにくいことから、フィルミングや異常画像の発生を助長することになる。従って、感光体のクリーニング性を高めることは感光体の高耐久化及び高画質化に対し非常に有効である。
【0200】
感光体のクリーニング性を高める手段としては、感光体表面の摩擦係数を低減させる方法が知られている。感光体表面の摩擦係数を低減させる方法としては、各種の潤滑性物質を感光体表面に含有させる方法と、外部より感光体表面に潤滑性物質を供給させる方法とに分類される。前者はエンジン廻りのレイアウトの自由度が高いため、小径感光体には有利であるが、繰り返し使用によって摩擦係数は顕著に増加するため、その持続性に課題が残されている。一方、後者は潤滑性物質を供給する部品を備える必要があるが、摩擦係数の安定性は高いことから感光体の高耐久化に対しては有効である。その中で、潤滑性物質を現像剤に含有させることによって現像時に感光体に付着させる方法は、エンジン廻りのレイアウトにも制約を受けずに、感光体表面の摩擦係数低減効果の持続性も高いため、感光体の高耐久化及び高画質化に対しては非常に有効な手段である。これらの潤滑性物質としては、シリコーンオイル、フッ素オイル等の潤滑性液体、PTFE、PFA、PVDF等の各種フッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコングリース、フッ素グリース、パラフィンワックス、脂肪酸エステル類、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩、黒鉛、二硫化モリブデン等の潤滑性液体や固体、粉末等が挙げられるが、特に現像剤に混合させる場合には粉末状である必要があり、特にステアリン酸亜鉛は悪影響が少なく、極めて有効に使用することができる。ステアリン酸亜鉛粉末をトナーに含有させる場合には、それらのバランスやトナーに与える影響を考慮する必要があり、トナーに対して0.01〜0.5重量%が好ましく、0.1〜0.3重量%がより好ましい。
【0201】
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0202】
本発明による感光体は、高い耐摩耗性を有するが故に小径感光体に適用でき、また繰り返し使用による摩耗変動量を少なくすることが可能となる。従って、上記の感光体がより有効に用いられる電子写真装置あるいはその方式としては、複数色のトナーに対応した各々の現像部に対して、対応した複数の感光体を具備し、それによって並列処理を行なう、いわゆるタンデム方式の電子写真装置に極めて有効に使用される。上記タンデム方式の電子写真装置は、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(C)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の少なくとも4色のトナー及びそれらを保持する現像部を配置し、さらにそれらに対応した少なくとも4本の感光体を具備することによって、従来のフルカラー印刷が可能な電子写真装置に比べ極めて高速なフルカラー印刷を可能としている。
【0203】
図7にタンデム方式の一例として概略図を示すが、これに限定されるものではない。図7において、符号(71C),(71M),(71Y),(71K)はドラム状の感光体であり、この感光体(71C),(71M),(71Y),(71K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(72C),(72M),(72Y),(72K)、現像部材(74C),(74M),(74Y),(74K)、クリーニング部材(75C),(75M),(75Y),(75K)が配置されている。帯電部材(72C),(72M),(72Y),(72K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材(72C),(72M),(72Y),(72K)と現像部材(74C),(74M),(74Y),(74K)の間の感光体表面に露光部材(図示せず)からのレーザー光(73C),(73M),(73Y),(73K)が照射され、感光体(71C),(71M),(71Y),(71K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(71C),(71M),(71Y),(71K)を中心とした4つの画像形成要素(76C),(76M),(76Y),(76K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(80)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(80)は各画像形成ユニット(76C),(76M),(76Y),(76K)の現像部材(74C),(74M),(74Y),(74K)とクリーニング部材(75C),(75M),(75Y),(75K)の間で感光体(71C),(71M),(71Y),(71K)に当接しており、転写搬送ベルト(80)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(81C),(81M),(81Y),(81K)が配置されている。
【0204】
上記のタンデム方式による電子写真装置は、複数のトナー像を一度に転写できるため高速フルカラー印刷が実現される。しかし、感光体が少なくとも4本を必要とすることから、装置の大型化が避けられず、また使用されるトナー量によっては、各々の感光体の摩耗量に差が生じ、それによって色の再現性が低下したり、異常画像が発生したりするなど多くの課題を有していた。それに対し、本発明による感光体は、高い耐摩耗性を有し、かつ画像ボケ抑制のためにドラムヒーターを必要としないことから、小径感光体でも適用が可能となり、さらに複数の感光体における摩耗量の差を非常に小さくできたことにより、膜厚変動による感度劣化や異常画像の発生が抑制でき、結果として色再現性が向上し、複数の感光体によって得られるフルカラー画像の高画質化が実現されることになる。また、本発明における感光体は、ドラムヒーターがなくても画像ボケの発生を抑制できたことから、特に小径感光体に適用できたことにより、装置の小型化が実現され、タンデム方式の電子写真装置であるにも関わらず、従来の高速モノクロプリンターと大差ない大きさでありながら、高速フルカラー印刷を可能とする電子写真装置を得ることが可能となった。さらに、本発明においては、上記タンデム方式と前述の中間転写方式とを組み合わせることによって、感光体の更なる高耐久化及び高画質化が実現され、それによって原稿に忠実な色再現が長期に渡って可能な電子写真装置が得られることから、タンデム方式と中間転写方式とを組み合わせた電子写真装置に本発明による感光体を適用させることが可能であり有効である。
【0205】
図8には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。感光体(21)は少なくとも感光層を有し、さらに最表面を形成する層には、少なくともフィラー、バインダー樹脂及び酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物を含有してなる。上記感光体(21)は、駆動ローラー(22a),(22b)により駆動され、帯電器(23)による帯電、光源(24)による像露光、現像ユニット(29)による現像、帯電器(25)を用いる転写、光源(26)によるクリーニング前露光、ブラシ(27)によるクリーニング、光源(28)による除電が繰返し行なわれる。図8においては、感光体(21)(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0206】
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態でも可能である。例えば、図8において支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行なってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0207】
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図9に示すものが挙げられる。感光体(16)は図1〜図5に示される、導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、かつ最表面を形成する層に少なくともフィラー、バインダー樹脂及び酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物を含有してなる。
【0208】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明がこれら実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
【0209】
(保護層形成用塗工液調製例1)
下記フィラー、酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物、有機溶媒を、アルミナボールを用いたボールミルによって12時間分散した後、これに下記バインダー樹脂及び電荷輸送物質を有機溶媒に溶解した溶液として加え混合分散することにより、下記組成の保護層形成用塗工液1を作製した。
【0210】
(保護層形成用塗工液1)
α−アルミナ(平均一次粒径約0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、pH8〜9、「スミコランダムAA-03」住友化学工業製) 3部
ポリエステル樹脂(酸価約35mgKOH/g) 0.6部
シクロヘキサノン 80部
テトラヒドロフラン 220部
ポリカーボネート樹脂(Zポリカ、帝人化成製) 6部
下記構造式で表わされる電荷輸送物質(Ip約5.4eV *2) 4部
【0211】
【化50】
Figure 0003802787
【0212】
(保護層形成用塗工液2)
上記調製例1において、ポリエステル樹脂を下記のアクリル樹脂に変更し、さらに添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例1と同様にして保護層形成用塗工液2を作製した。
アクリル樹脂(酸価約65mgKOH/g、「ダイヤナールBR-605」
三菱レイヨン製) 0.3部
【0213】
(保護層形成用塗工液調製例3)
上記調製例2において、アクリル樹脂を下記のスチレンアクリル樹脂に変更し、さらに添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例2と同様にして保護層形成用塗工液3を作製した。
スチレンアクリル樹脂(酸価約200mgKOH/g、「FB-1522」
三菱レイヨン製) 0.2部
【0214】
(保護層形成用塗工液調製例4)
上記調製例3において、スチレンアクリル樹脂を下記のアクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体に変更した以外は、すべて上記調製例3と同様にして保護層形成用塗工液4を作製した。
アクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体
(酸価約130mgKOH/g) 0.2部
【0215】
(保護層形成用塗工液調製例5)
上記調製例3において、スチレンアクリル樹脂を下記のメタクリル酸/ブチルメタクリレート共重合体に変更した以外は、すべて上記調製例3と同様にして保護層形成用塗工液5を作製した。
メタクリル酸/ブチルメタクリレート共重合体(酸価約95mgKOH/g) 0.2部
【0216】
(保護層形成用塗工液調製例6)
上記調製例3において、スチレンアクリル樹脂を下記のモノカルボン酸化合物に変更し、さらにその添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例3と同様にして保護層形成用塗工液6を作製した。
末端カルボン酸エステル化合物(酸価約160mgKOH/g、
固形分約25%) 0.12部
【0217】
(保護層形成用塗工液調製例7)
上記調製例6において、モノカルボン酸誘導体を下記の湿潤分散剤に変更し、さらにその添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例6と同様にして保護層形成用塗工液7を作製した。
湿潤分散剤(酸基を含む共重合体、酸価約129mgKOH/g、
固形分90%以上、「Disperbyk-111」BYKケミー製) 0.03部
【0218】
(保護層形成用塗工液調製例8)
上記調製例7において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例7と同様にして保護層形成用塗工液8を作製した。
酸化チタン(平均一次粒径約0.3μm、「CR-97」石原産業製) 3部
【0219】
(保護層形成用塗工液調製例9)
上記調製例7において、湿潤分散剤を下記の湿潤分散剤に変更し、さらにその添加量を下記のとおり変更した以外は、すべて上記調製例7と同様にして保護層形成用塗工液9を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマーとポリシロキサン共重合体
溶液、酸価約150mgKOH/g、固形分約50%、「BYK-P104S」
BYKケミー製) 0.06部
【0220】
(保護層形成用塗工液調製例10)
上記調製例9において、湿潤分散剤を下記の湿潤分散剤に変更した以外は、すべて上記調製例9と同様にして保護層形成用塗工液10を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、「BYK-P104」
BYKケミー製) 0.06部
【0221】
(保護層形成用塗工液調製例11)
上記調製例10において、湿潤分散剤を下記の湿潤分散剤に変更し、その添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液11を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー、酸価約365mg
KOH/g、固形分約98%、「BYK-P105」BYKケミー製)0.03部
【0222】
(保護層形成用塗工液調製例12)
上記調製例10において、湿潤分散剤の添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液12を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、酸価約180mg
KOH/g、固形分約50%、「BYK-P104」BYKケミー製)0.01部
【0223】
(保護層形成用塗工液調製例13)
上記調製例10において、湿潤分散剤の添加量を下記のとおり変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液13を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、酸価約180mg
KOH/g、固形分約50%、「BYK-P104」BYKケミー製)0.2部
【0224】
(保護層形成用塗工液調製例14)
上記調製例10において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液14を作製した。
α−アルミナ(平均一次粒径約0.2μm、「AKP-50」住友化学工業製)3部
【0225】
(保護層形成用塗工液調製例15)
上記調製例10において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液15を作製した。
α−アルミナ(平均一次粒径約0.9μm、「スミコランダムAA-07」住友化学工業製) 3部
【0226】
(保護層形成用塗工液調製例16)
上記調製例10において、フィラー及びその添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液16を作製した。
δ−アルミナ(平均一次粒径約0.013μm、pH8〜9、
「Aluminium Oxide C」日本アエロジル製) 2部
【0227】
(保護層形成用塗工液調製例17)
上記調製例10において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液17を作製した。
酸化チタン(平均一次粒径約0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、pH6〜7、「CR-97」石原産業製) 3部
【0228】
(保護層形成用塗工液調製例18)
上記調製例10において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液18を作製した。
チタネートカップリング処理を施したα−アルミナ
(平均一次粒径約0.3μm、「AA-03」住友化学工業製) 3部
【0229】
(保護層形成用塗工液調製例19)
上記調製例10において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液19を作製した。
ステアリン酸アルミ処理を施した酸化チタン
(平均一次粒径約0.03μm、「MT150HD」テイカ製) 3部
【0230】
(保護層形成用塗工液調製例20)
上記調製例10において、フィラー及びその添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液20を作製した。
シランカップリング処理を施した酸化チタン
(平均一次粒径約0.015μm、「MT100SA」テイカ製) 2部
【0231】
(保護層形成用塗工液調製例21)
上記調製例10において、フィラーの添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液21を作製した。
α−アルミナ(平均一次粒径約0.3μm、「スミコランダムAA-03」住友化学工業製) 10部
【0232】
(保護層形成用塗工液調製例22)
上記調製例10において、電荷輸送物質を下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液22を作製した。
下記構造式の電荷輸送物質(Ip5.5eV *2) 4部
【0233】
【化51】
Figure 0003802787
【0234】
(保護層形成用塗工液調製例23)
上記調製例10において、バインダー樹脂及びその添加量を下記のとおりに変更し、電荷輸送物質を無添加とした以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液23を作製した。
下記構造式の高分子電荷輸送物質
(重量平均分子量15万、Ip5.4eV *2) 9部
【0235】
【化52】
Figure 0003802787
【0236】
(保護層形成用塗工液調製例24)
上記調製例10において、溶媒にテトラヒドロフランのみを使用した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液24を作製した。
テトラヒドロフラン 300部
【0237】
(保護層形成用塗工液調製例25)
上記調製例10において、ボールミルによる分散に用いたアルミナボールをジルコニアボールに変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液25を作製した。
【0238】
(保護層形成用塗工液調製例26)
上記調製例10において、ボールミルによる分散をシェイカーによる分散に変更した以外は、すべて上記調製例10と同様にして保護層形成用塗工液26を作製した。
【0239】
(比較例のための保護層形成用塗工液例1)
上記調製例10において、湿潤分散剤を無添加とした以外は、すべて上記調製例10と同様にして比較の保護層形成用塗工液1を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、
「BYK-P104」BYKケミー製) 0部
【0240】
(比較例のための保護層形成用塗工液例2)
比較例のための保護層形成用塗工液1において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例のための保護層形成用塗工液1と同様にして比較の保護層形成用塗工液2を作製した。
酸化チタン(平均一次粒径約0.3μm、「CR-97」石原産業製) 3部
【0241】
(比較例のための保護層形成用塗工液例3)
比較例のための保護層形成用塗工液1において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例のための保護層形成用塗工液1と同様にして比較の保護層形成用塗工液3を作製した。
チタネートカップリング処理を施したα−アルミナ
(平均一次粒径約0.3μm、「AA-03」住友化学工業製) 3部
【0242】
(比較例のための保護層形成用塗工液例4)
比較例のための保護層形成用塗工液1において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例のための保護層形成用塗工液1と同様にして比較の保護層形成用塗工液4を作製した。
シランカップリング処理を施した酸化チタン
(平均一次粒径約0.015μm、「MT100SA」テイカ製) 2部
【0243】
(比較例のための保護層形成用塗工液例5)
比較例のための保護層形成用塗工液1において、フィラーの添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例のための保護層形成用塗工液1と同様にして比較の保護層形成用塗工液5を作製した。
α−アルミナ(平均一次粒径約0.3μm、
「スミコランダムAA-03」住友化学工業製) 1部
【0244】
(比較例のための保護層形成用塗工液例6)
上記調製例2において、ポリエステル樹脂を下記のとおりに変更した以外は、すべて上記調製例2と同様にして比較の保護層形成用塗工液2を作製した。
ポリエステル樹脂(酸価7mgKOH/g) 0.6部
【0245】
(比較例のための保護層形成用塗工液例7)
比較例のための保護層形成用塗工液6において、ポリエステル樹脂の添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例のための保護層形成用塗工液6と同様にして比較の保護層形成用塗工液7を作製した。
ポリエステル樹脂(酸価7mgKOH/g) 1.2部
【0246】
(比較例のための保護層形成用塗工液例8)
比較例のための保護層形成用塗工液6において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例のための保護層形成用塗工液6と同様にして比較の保護層形成用塗工液8を作製した。
δ−アルミナ(平均一次粒径約0.013μm、
「Aluminium Oxide C」日本アエロジル製) 2部
【0247】
(比較例のための保護層形成用塗工液例9)
比較例のための保護層形成用塗工液6において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例のための保護層形成用塗工液6と同様にして比較の保護層形成用塗工液9を作製した。
チタネートカップリング処理を施したα−アルミナ
(平均一次粒径約0.3μm、「AA-03」住友化学工業製) 3部
【0248】
(比較例のための保護層形成用塗工液例10)
比較例のための保護層形成用塗工液6において、ポリエステル樹脂を下記の湿潤分散剤に変更し、その添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例のための保護層形成用塗工液6と同様にして比較の保護層形成用塗工液10を作製した。
湿潤分散剤(顔料に親和性を持つ共重合体溶液、酸価0(mgKOH/g)、
固形分約40%、「Disperbyk-103」BYKケミー製) 0.06部
【0249】
以上の保護層形成用塗工液を観察した結果は表1のとおりであり、添加剤とあるのは酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物である。
【0250】
【表1】
Figure 0003802787
*1 塗工液の平均粒径は、堀場製作所社製CAPA500にて計測した。
*2 電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルIpは、膜にした状態で理研計器社製AC−1にて測定した。
*3 フィラー沈降性の評価基準は、分散後一日静置させた場合の沈降性として下記のとおりとした。
◎:フィラーの沈降なし
○:沈降したフィラーが多少認められる。
△:沈降したフィラーが認められ、液の上澄み部分が透明。
×:フィラーのほとんどが沈降し、液全体が透明。
*4 フィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。ゼータ電位の測定は、大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計にて測定した。
【0251】
表1の評価結果より、酸価が30〜400(mgKOH/g)を示す添加剤を加えることによって、塗工液の平均粒径が小さくなると同時に、フィラーの沈降抑制効果が得られ、保護層形成用塗工液のフィラー分散性が向上していることがわかった。さらに、それらの湿潤分散剤を用いることによって、更なる分散性の向上が実現されると同時に、その安定性をも高めることが可能となることがわかった。一方、これらの添加剤を無添加とした場合や添加しても酸価が10(mgKOH/g)以下の添加剤を添加した場合には、平均粒径の著しい増加とフィラー沈降性が悪化していることが確認され、フィラーが凝集し分散性が顕著に低下していることが明らかである。
【0252】
(実施例1)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工により順次塗布、乾燥して、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層を形成した。
【0253】
(下引き層塗工液)
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0254】
(電荷発生層塗工液)
ポリビニルブチラール 5部
下記構造式のビスアゾ顔料 12部
【0255】
【化53】
Figure 0003802787
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
【0256】
(電荷輸送層塗工液)
ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質(Ip:5.4eV) 10部
【0257】
【化54】
Figure 0003802787
テトラヒドロフラン 100部
【0258】
続いて、電荷輸送層上に下記組成の保護層をスプレー塗工によって約4μmの保護層を形成し、電子写真感光体1を作製した。
【0259】
(保護層塗工液)
α−アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、pH8〜9、「スミコランダムAA-03」住友化学工業製) 3部
ポリエステル樹脂(酸価約35mgKOH/g) 0.8部
下記構造式の電荷輸送物質 4部
【0260】
【化55】
Figure 0003802787
ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成社製) 6部
テトラヒドロフラン 220部
シクロヘキサノン 80部
【0261】
(実施例2)
実施例1において、保護層に含有されるポリエステル樹脂及びその添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体2を作製した。
ポリエステル樹脂(酸価約50mgKOH/g) 0.6部
【0262】
(実施例3)
実施例1において、保護層に含有されるポリエステル樹脂及びその添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体3を作製した。
アクリル樹脂(酸価約65mgKOH/g、「ダイヤナールBR-605」三菱レイヨン製) 0.5部
【0263】
(実施例4)
実施例1において、保護層に含有されるポリエステル樹脂及びその添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体4を作製した。
アクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体
(酸価約100mgKOH/g) 0.3部
【0264】
(実施例5)
実施例1において、保護層に含有されるポリエステル樹脂及びその添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体5を作製した。
末端カルボン酸エステル化合物(酸価約160mgKOH/g、固形分約25%) 0.12部
【0265】
(実施例6)
実施例1において、保護層に含有されるポリエステル樹脂及びその添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体6を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、「BYK-P104」
BYKケミー製) 0.03部
【0266】
(実施例7)
実施例6において、保護層に含有される湿潤分散剤及びその添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例6と同様にして、電子写真感光体7を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、
「BYK-P104」BYKケミー製) 0.06部
【0267】
(実施例8)
実施例6において、保護層に含有される湿潤分散剤の添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例6と同様にして、電子写真感光体8を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、
「BYK-P104」BYKケミー製) 0.09部
【0268】
(実施例9)
実施例6において、保護層に含有される湿潤分散剤及びその添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例6と同様にして、電子写真感光体9を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー、
酸価約365mgKOH/g、固形分約98%、
「BYK-P105」BYKケミー製) 0.01部
【0269】
(実施例10)
実施例9において、保護層に含有される湿潤分散剤の添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例9と同様にして、電子写真感光体10を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー、
酸価約365mgKOH/g、固形分約98%、
「BYK-P105」BYKケミー製) 0.03部
【0270】
(実施例11)
実施例9において、保護層に含有される湿潤分散剤の添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例9と同様にして、電子写真感光体11を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー、
酸価約365mgKOH/g、固形分約98%、
「BYK-P105」BYKケミー製) 0.2部
【0271】
(実施例12)
実施例7において、保護層に含有されるフィラーを、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体12を作製した。
酸化チタン(平均一次粒径約0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、pH6〜7、「CR-97」石原産業製) 3部
【0272】
(実施例13)
実施例7において、保護層に含有されるフィラーを、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体13を作製した。
α−アルミナ
(平均一次粒径約0.2μm、「AKP-50」住友化学工業製) 3部
【0273】
(実施例14)
実施例7において、保護層に含有されるフィラーを、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体14を作製した。
α−アルミナ(平均一次粒径約0.9μm、
「スミコランダムAA-07」住友化学工業製) 3部
【0274】
(実施例15)
実施例7において、保護層に含有されるフィラー及びその添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体15を作製した。
チタネートカップリング処理を施したα−アルミナ
(平均一次粒径約0.3μm、処理量5重量%、
「AA-03」住友化学工業製) 2.5部
【0275】
(実施例16)
実施例7において、保護層に含有されるフィラー及びその添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体16を作製した。
シランカップリング処理を施した酸化チタン
(平均一次粒径約0.015μm、処理量20重量%、
「MT100SA」テイカ製) 2部
【0276】
(実施例17)
実施例7において、保護層に含有されるフィラー及びその添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体17を作製した。
シリカ(平均一次粒径0.1μm、比抵抗1010Ω・cm以上、
pH2〜3、「KMPX100」信越シリコーン製) 2部
【0277】
(実施例18)
実施例7において、保護層に含有されるフィラーを、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体18を作製した。
酸化錫(平均一次粒径0.15μm、比抵抗1010Ω・cm以下、
pH4〜5、「S−1」三菱金属製) 3部
【0278】
(実施例19)
実施例7において、保護層に含有されるフィラーの添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体19を作製した。
アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、「スミコランダムAA-03」住友化学工業製) 10部
【0279】
(実施例20)
実施例7において、保護層に含有される電荷輸送物質を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体20を作製した。
下記構造式の電荷輸送物質(Ip:5.3eV) 4部
【0280】
【化56】
Figure 0003802787
【0281】
(実施例21)
実施例7において、保護層に含有される電荷輸送物質を下記の材料に変更した以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体21を作製した。
下記構造式の電荷輸送物質(Ip:5.5eV) 4部
【0282】
【化57】
Figure 0003802787
【0283】
(実施例22)
実施例8において、保護層に含有される電荷輸送物質を無添加とした以外は、すべて実施例8と同様にして、電子写真感光体22を作製した。
下記構造式の電荷輸送物質 0部
【0284】
【化58】
Figure 0003802787
【0285】
(実施例23)
実施例22において、保護層に含有される湿潤分散剤の添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例22と同様にして、電子写真感光体23を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、
「BYK-P104」BYKケミー製) 0.2部
【0286】
(実施例24)
実施例7において、保護層に含有されるバインダー樹脂を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体24を作製した。
ポリアリレート樹脂(UポリマーU6000、ユニチカ製) 10部
【0287】
(実施例25)
実施例7において、保護層に含有されるバインダー樹脂及びその添加量を下記のとおりに変更し、かつ電荷輸送物質を無添加とした以外は、すべて実施例7と同様にして、電子写真感光体25を作製した。
下記構造式の高分子電荷輸送物質
(重量平均分子量15万、Ip:5.4eV) 20部
【0288】
【化59】
Figure 0003802787
【0289】
(実施例26)
実施例8において、保護層にさらに下記構造式の酸化防止剤を添加した以外は、すべて実施例8と同様にして、電子写真感光体26を作製した。
下記構造式の酸化防止剤 0.24部
【0290】
【化60】
Figure 0003802787
【0291】
(実施例27)
実施例26において、保護層に含有される酸化防止剤を下記構造式の酸化防止剤に変更し、さらにその添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例26と同様にして、電子写真感光体27を作製した。
下記構造式の酸化防止剤 0.22部
【0292】
【化61】
Figure 0003802787
【0293】
(実施例28)
実施例26において、保護層に含有される酸化防止剤の添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例25と同様にして、電子写真感光体28を作製した。
下記構造式の酸化防止剤 0.08部
【0294】
【化62】
Figure 0003802787
【0295】
(実施例29)
実施例1において、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液及び保護層塗工液を下記のものに変更し、約0.2μmの電荷発生層、約20μmの電荷輸送層、約5μmの保護層を形成した以外は、すべて実施例1と同様にして、電子写真感光体29を作製した。
【0296】
(電荷発生層塗工液)
図10に示すXDスペクトルを有するチタニルフタロシアニン 8部
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 400部
【0297】
(電荷輸送層塗工液)
ポリカーボネート(Cポリカ、帝人化成製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0298】
【化63】
Figure 0003802787
トルエン 70部
【0299】
(保護層塗工液)
α−アルミナ(平均一次粒径約0.2μm、「AKP-50」住友化学工業製)3部
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、
「BYK-P104」BYKケミー製) 0.06部
ポリカーボネート(Cポリカ、帝人化成社製) 6部
下記構造式の電荷輸送物質 4部
【0300】
【化64】
Figure 0003802787
テトラヒドロフラン 250部
シクロヘキサノン 50部
【0301】
(実施例30)
実施例29において、保護層に含有される湿潤分散剤及びその添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例29と同様にして、電子写真感光体30を作製した。
末端カルボン酸エステル化合物
(酸価約160mgKOH/g、固形分約25%) 0.12部
【0302】
(実施例31)
実施例29において、保護層に含有される湿潤分散剤の添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例29と同様にして、電子写真感光体31を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、
「BYK-P104」BYKケミー製) 0.1部
【0303】
(実施例32)
実施例29において、保護層に含有されるフィラー及びその添加量を、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例29と同様にして、電子写真感光体32を作製した。
α−アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、比抵抗1010Ω・cm
以上、pH8〜9、「スミコランダムAA-03」住友化学工業製)1部
【0304】
(実施例33)
実施例29において、保護層に含有されるフィラーを、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例29と同様にして、電子写真感光体33を作製した。
酸化チタン(平均一次粒径約0.3μm、比抵抗1010Ω・cm以上、pH6〜7、「CR-97」石原産業製) 3部
【0305】
(実施例34)
実施例29において、保護層に含有されるフィラーを、下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例29と同様にして、電子写真感光体34を作製した。
球形シリコーン微粒子(平均一次粒径約0.5μm、
「トスパール105」東芝シリコーン製) 3部
【0306】
(実施例35)
実施例29において、保護層に含有されるバインダー樹脂及びその添加量を下記のとおりに変更し、かつ電荷輸送物質を無添加とした以外は、すべて実施例29と同様にして、電子写真感光体35を作製した。
下記構造式の高分子電荷輸送物質(重量平均分子量15万、
Ip:5.4eV) 20部
【0307】
【化65】
Figure 0003802787
【0308】
(実施例36)
実施例29において、保護層にさらに下記構造式の酸化防止剤を添加した以外は、すべて実施例29と同様にして、電子写真感光体36を作製した。
下記構造式の酸化防止剤 0.24部
【0309】
【化66】
Figure 0003802787
【0310】
(実施例37)
実施例29と同様にして、下引き層及び電荷発生層を形成した後、下記組成の電荷輸送層を形成し、保護層は形成せずに電子写真感光体37を作製した。電荷輸送層の膜厚は約25μmとした。
【0311】
(電荷輸送層塗工液)
ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0312】
【化67】
Figure 0003802787
α−アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、「スミコランダムAA-03」住友化学工業製) 1.5部
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、
「BYK-P104」BYKケミー製) 0.04部
テトラヒドロフラン 80部
シクロヘキサノン 15部
【0313】
(比較例1)
実施例1において、ポリエステル樹脂を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして比較の電子写真感光体1を作製した。
ポリエステル樹脂(酸価7mgKOH/g) 0.6部
【0314】
(比較例2)
比較例1において、ポリエステル樹脂の添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例1と同様にして比較の比較の電子写真感光体2を作製した。
ポリエステル樹脂(酸価7mgKOH/g) 1.2部
【0315】
(比較例3)
比較例1において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例1と同様にして比較の電子写真感光体3を作製した。
δ−アルミナ(平均一次粒径約0.013μm、
「Aluminium Oxide C」日本アエロジル製) 2部
【0316】
(比較例4)
比較例1において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例1と同様にして比較の電子写真感光体4を作製した。
チタネートカップリング処理を施したα−アルミナ
(平均一次粒径約0.3μm、「AA-03」住友化学工業製) 3部
【0317】
(比較例5)
実施例7において、湿潤分散剤を無添加とした以外は、すべて実施例7と同様にして比較の電子写真感光体5を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、
「BYK-P104」BYKケミー製) 0部
【0318】
(比較例6)
比較例5において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例5と同様にして比較の電子写真感光体6を作製した。
酸化チタン(平均一次粒径約0.3μm、「CR-97」石原産業製) 3部
【0319】
(比較例7)
比較例5において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例5と同様にして比較の電子写真感光体7を作製した。
チタネートカップリング処理を施したα−アルミナ
(平均一次粒径約0.3μm、「AA-03」住友化学工業製) 3部
【0320】
(比較例8)
比較例5において、フィラーを下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例5と同様にして比較の電子写真感光体8を作製した。
シランカップリング処理を施した酸化チタン
(平均一次粒径約0.015μm、「MT100SA」テイカ製) 2部
【0321】
(比較例9)
比較例5において、フィラーの添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例5と同様にして比較の電子写真感光体9を作製した。
α−アルミナ(平均一次粒径約0.3μm、「スミコランダムAA-03」住友化学工業製) 1部
【0322】
(比較例10)
比較例5において、保護層に含有される電荷輸送物質を無添加とした以外は、すべて比較例5と同様にして比較の電子写真感光体10を作製した。
下記構造式の電荷輸送物質 0部
【0323】
【化68】
Figure 0003802787
【0324】
(比較例11)
実施例7において、湿潤分散剤を下記の湿潤分散剤に変更し、その添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例7と同様にして比較の電子写真感光体11を作製した。
湿潤分散剤(顔料に親和性を持つ共重合体溶液、酸価0(mgKOH/g)、
固形分約40%、「Disperbyk-103」BYKケミー製) 0.06部
【0325】
(比較例12)
比較例11において、湿潤分散剤の添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて比較例11と同様にして比較の電子写真感光体12を作製した。
湿潤分散剤(顔料に親和性を持つ共重合体溶液、酸価0(mgKOH/g)、
固形分約40%、「Disperbyk-103」BYKケミー製) 0.12部
【0326】
(比較例13)
実施例37において、湿潤分散剤を無添加とした以外は、すべて実施例37と同様にして、比較の電子写真感光体13を作製した。
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、
「BYK-P104」BYKケミー製) 0部
【0327】
(比較例14)
実施例37において、湿潤分散剤を下記のポリエステル樹脂に変更し、さらにその添加量を下記のとおりに変更した以外は、すべて実施例37と同様にして、比較の電子写真感光体14を作製した。
ポリエステル樹脂(酸価7mgKOH/g) 0.6部
【0328】
(比較例15)
実施例37において、フィラーを無添加とした以外は、すべて実施例37と同様にして比較の電子写真感光体15を作製した。
α−アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、
「スミコランダムAA-03」住友化学工業製) 0部
【0329】
以上のようにして作製された実施例1〜37の電子写真感光体1〜37及び比較例1〜15の電子写真感光体1〜15を、電子写真プロセス用カートリッジ(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、帯電ローラー及び画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたリコー製imagioMF2200改造機にて、連続してトータル1万枚の印刷を行ない、その際初期及び1万枚印刷後における明部電位の測定並びに画像評価を行なった。また、初期及び1万枚印刷後における膜厚差より摩耗量の評価を行なった。また、1万枚印刷後においても良好な画像が得られた感光体については、さらに連続して4万枚の印刷を行ない、トータル5万枚の印刷後における画像評価を行なった。これらの結果を表2に示す。
【0330】
【表2】
Figure 0003802787
*5 画像品質の評価基準は、下記のとおりとした。
◎:画質劣化がほとんど認められず、良好な画像と判断できるレベル。
○:画質劣化が若干認められるが、特に問題ないレベル。
△:明らかに画質劣化が認められるレベル。
×:顕著な画質劣化が認められ、画像の判別が困難なレベル。
【0331】
表2の評価結果より、最表面を形成する層にフィラーが含有された感光体において、酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物を添加することによって、明部電位を大幅に低減することが可能となった。また、それによって初期だけでなく1万枚印刷後においても明部電位の上昇が少なく、高画質画像が安定に得られることが確認された。また、それと同時に摩耗量についても抑制することが可能となり、耐摩耗性が大幅に向上していることが確認された。但し、フィラーとして酸性フィラーを用いたり、酸性処理剤で処理したフィラーを用いたりした場合には、解像度が低下する傾向が確認され、少なくともpHが5以上のフィラーと組み合わせることによって、それらの影響を回避できることが確認された。また、導電性フィラーを用いた場合には、初期から画質への影響が現れており、画像ボケの影響が非常に大きいことが確認された。さらに、フィラーの含有量を著しく増加させた場合においても、解像度が低下する傾向があることが確認された。また、保護層に電荷輸送物質を含有させないと、残留電位上昇の影響が増加することが確認された。しかし、電荷輸送物質が無添加でも酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物の添加量を増加することによって、その傾向を軽減させることが可能であることが確認された。
【0332】
一方、これらのフィラーを含有した感光体において、酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物が無添加の場合や酸価が10(mgKOH/g)以下の有機化合物を添加した場合には、明部電位が初期から非常に高く、著しい画像濃度の低下を引き起こしており、初期画像から画像の判別が困難な状態にあった。さらに、これらの感光体は、摩耗量が著しく増加しており、耐摩耗性に対しても乏しいことが確認された。1万枚の印刷後において良好な画質を維持していた感光体は、少なくとも5万枚の印刷後においても良好な画質を維持できることが確認され、これらの感光体は高耐久性を有していることが明らかにされた。最表面層にフィラーが含有されていない感光体は、初期においては明部電位が低く、良好な画像が得られており、さらに少なくとも1万枚の印刷に対しては耐えうるものの、5万枚印刷後では摩耗変動量が非常に大きく、耐久性に乏しいことが確認された。
【0333】
(実施例38〜実施例68)
5万枚印刷後において、良好な画像が得られた感光体については、続けてNOxガス曝露による加速劣化試験を実施した。感光体は、約20ppmのNOxガス雰囲気下に24時間放置した後に画像評価を行なった。画像評価には、前記のリコー製imagioMF2200改造機を使用した。これらの結果を表3に示す。
【0334】
【表3】
Figure 0003802787
*6 画像品質の評価基準は、下記のとおりとした。
◎:画質劣化がほとんど認められず、良好な画像と判断できるレベル。
○:画質劣化が若干認められるが、特に問題ないレベル。
△:明らかに画質劣化が認められるレベル。
×:顕著な画質劣化が認められ、画像の判別が困難なレベル。
【0335】
表3の結果より、NOxガス雰囲気下に曝露する加速劣化試験を行なうことにより、解像度が低下する傾向が認められた。しかし、ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する酸化防止剤を添加することによって、それらの影響を回避できることが確認された。また、添加する酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物の種類やバインダー樹脂の種類によっても、その影響を抑制できる傾向が認められた。加えて、電荷輸送物質を無添加にすることによっても、解像度低下の影響が抑制されることが確認された。
【0336】
(実施例70)
実施例26において得られた電子写真感光体26を、電子写真プロセス用カートリッジ(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、帯電ローラー及び画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたリコー製imagioMF2200改造機にて連続してトータル10万枚の印刷を行ない、その際初期及び10万枚印刷後の画像及び明部電位、摩耗量について評価を行なった。結果を表4に示す。
【0337】
(実施例71)
実施例26において得られた電子写真感光体26を、電子写真プロセス用カートリッジ(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、帯電ローラー及び画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたリコー製imagioMF2200改造機にて連続してトータル10万枚の印刷を行ない、その際初期及び10万枚印刷後の画像及び明部電位、摩耗量について評価を行なった。用いた帯電ローラーには非画像領域に厚さ50μmのポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂テープを巻き付け、感光体の画像領域には帯電ローラーと直接接触しない形状とした。結果を表4に示す。
【0338】
(実施例72)
実施例26において得られた電子写真感光体26を、電子写真プロセス用カートリッジ(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、帯電ローラー及び画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたリコー製imagioMF2200改造機にて連続してトータル10万枚の印刷を行ない、その際初期及び10万枚印刷後の画像及び明部電位、摩耗量について評価を行なった。用いた帯電ローラーには非画像領域に、厚さ50μmのポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂テープを巻き付け、感光体の画像領域には帯電ローラーと直接接触しない形状とし、さらに帯電ローラーにAC(2kHz,1.8kVpp)+DC(−750V)を印加した。結果を表4に示す。
【0339】
(実施例73)
実施例26において得られた電子写真感光体26を、電子写真プロセス用カートリッジ(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、帯電ローラー及び画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたリコー製imagioMF2200改造機にて連続してトータル10万枚の印刷を行ない、その際初期及び10万枚印刷後の画像及び明部電位、摩耗量について評価を行なった。用いた帯電ローラーには非画像形成領域に、厚さ50μmのポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂テープを巻き付け、感光体の画像領域に直接接触しない形状とし、帯電ローラーにAC(2kHz,1.8kVpp)+DC(−750V)を印加した。また、現像剤にはステアリン酸亜鉛をトナー100重量部に対して0.1重量部添加して使用した。結果を表4に示す。
【0340】
【表4】
Figure 0003802787
【0341】
表4の結果より、10万枚の印刷を行なうと、帯電ローラーの汚染により地肌汚れやスジ状の画像欠陥が発生しやすくなる傾向が見られたが、帯電ローラーを感光体と接触させないことによって、それらの影響を軽減することが可能になった。しかし、ハーフトーン画像において若干画像濃度ムラが発生した。そこで、帯電ローラーにACを重畳させることによって、それらの影響を抑制することが可能となった。一方、ACを重畳することによって感光体の摩耗量が増加する傾向が認められたが、現像剤にステアリン酸亜鉛粉末を添加することによって、良好な画質を維持しつつ耐摩耗性を向上させることが可能となった。
【0342】
(実施例74)
実施例26において得られた電子写真感光体26を、帯電ローラー及び画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたタンデム方式によるリコー製フルカラーレーザープリンター試作改造機に搭載し、連続してトータル10万枚のフルカラー印刷を行ない、その際初期及び10万枚印刷後の画像について評価を行なった。用いた帯電ローラーには非画像形成領域に、厚さ50μmのポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂テープを巻き付け、感光体の画像領域に直接接触しない形状とし、帯電ローラーにAC(2kHz,1.8kVpp)+DC(−750V)を印加した。また、現像剤にはステアリン酸亜鉛をトナー100重量部に対して0.1重量部添加して使用した。これらの結果を表5に示す。
【0343】
(比較例16)
比較例15において得られた比較の電子写真感光体15を、帯電ローラー及び画像露光光源を655nmの半導体レーザーを用いたタンデム方式によるリコー製フルカラーレーザープリンター試作改造機に搭載し、連続してトータル10万枚のフルカラー印刷を行ない、その際初期及び10万枚印刷後の画像について評価を行なった。用いた帯電ローラーには非画像形成領域に、厚さ50μmのポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂テープを巻き付け、感光体の画像領域に直接接触しない形状とし、帯電ローラーにAC(2kHz,1.8kVpp)+DC(−750V)を印加した。また、現像剤にはステアリン酸亜鉛をトナー100重量部に対して0.1重量部添加して使用した。これらの結果を表5に示す。
【0344】
(実施例75)
ニッケルシームレスベルト上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工により順次塗布、乾燥して、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、22μmの電荷輸送層を形成した。
【0345】
(下引き層塗工液)
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0346】
(電荷発生層塗工液)
ポリビニルブチラール 2部
下記構造式のトリスアゾ顔料 6部
【0347】
【化69】
Figure 0003802787
2−ブタノン 120部
シクロヘキサノン 240部
【0348】
(電荷輸送層塗工液)
ポリカーボネート(Aポリカ、帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質(Ip:5.4eV) 7部
【0349】
【化70】
Figure 0003802787
テトラヒドロフラン 100部
【0350】
続いて、電荷輸送層上に下記組成の保護層をスプレー塗工によって約5μmの保護層を形成し、電子写真感光体38を作製した。
【0351】
(保護層塗工液)
α−アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、
「スミコランダムAA-03」住友化学工業製) 2部
湿潤分散剤(不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液、
酸価約180mgKOH/g、固形分約50%、
「BYK-P104」BYKケミー製) 0.06部
下記構造式の電荷輸送物質 4部
【0352】
【化71】
Figure 0003802787
ポリカーボネート(Aポリカ、帝人化成社製) 6部
テトラヒドロフラン 220部
シクロヘキサノン 80部
【0353】
(比較例17)
実施例75において、電荷輸送層の膜厚を27μmとし、保護層を形成しなかった以外は、すべて実施例75と同様にして、比較の電子写真感光体16を作製した。
【0354】
得られた電子写真感光体38及び比較の電子写真感光体16を、画像露光光源が780nmの半導体レーザーを用いた中間転写方式であるリコー製IPSiOcolor5000改造機に搭載し、連続してトータル2.5万枚のフルカラー印刷を行ない、その際初期及び2.5万枚印刷後の画像について評価を行なった。それらの結果を表5に示す。
【0355】
【表5】
Figure 0003802787
【0356】
表5の結果より、タンデム方式のフルカラープリンターにおいて、本発明の電子写真感光体を用いた場合には、10万枚のフルカラー印刷に対しても色再現性に優れ、良好な画像を得ることが可能であったが、最表面にフィラーを含有していない電子写真感光体を用いた場合には、地肌汚れが発生し、また感度劣化による色再現性の低下も見られ、著しい画質劣化が認められた。また、中間転写方式のフルカラープリンターにおいて、本発明の電子写真感光体を用いた場合には、2.5万枚のフルカラー印刷に対しても良好な画像を維持することが可能であったが、最表面を形成する層にフィラーが含有されていない電子写真感光体を用いた場合には、地肌汚れが目立ち、また解像度の低下が認められ、画質劣化を引き起こすことが確認された。
【0357】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、高耐久化のために感光体の最表面層にフィラーを含有させ、それによって顕著に起こる残留電位上昇に対しては、酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物、特にそれらの湿潤分散剤を含有させることによって回避できることを見いだした。また、酸価が30〜400(mgKOH/g)の有機化合物、中でもそれらの湿潤分散剤の添加効果は、残留電位上昇の回避だけに留まらず、フィラーの分散性を向上させ、同時にフィラーの沈降抑制効果が得られたことにより、最表面層における光散乱性の抑制、耐摩耗性の向上、偏摩耗の抑制等、高画質化及び高耐久化に対して一度に向上させることが可能となり、これによって高耐久化と高画質化を両立する電子写真感光体が実現された。さらに、塗膜欠陥発生の防止効果が得られる上に、塗工液の長寿命化が実現されたことにより、高耐久性を有し、かつ高解像度の画像が得られる感光体を長期に渡って安定に製造することが可能となった。また、これまで残留電位の影響が大きくて使用できなかった塩基性フィラーを使いこなすことが可能となったことにより、画像ボケの発生をも抑制する効果が得られ、これによってドラムヒーターを必要としなくとも、高画質画像が長期に渡って安定に得られ、また感光体の交換も不要な高耐久性を有する電子写真方法並びに電子写真装置が提供されるという極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる電子写真感光体の層構成を表わした図である。
【図2】本発明に用いられる別の電子写真感光体の層構成を表わした図である。
【図3】本発明に用いられる別の電子写真感光体の層構成を表わした図である。
【図4】本発明に用いられる別の電子写真感光体の層構成を表わした図である。
【図5】本発明に用いられる別の電子写真感光体の層構成を表わした図である。
【図6】本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための図である。
【図7】本発明の別の電子写真をプロセス及び電子写真装置を説明するための図である。
【図8】本発明の別の電子写真をプロセス及び電子写真装置を説明するための図である。
【図9】本発明の電子写真装置用プロセスカートリッジを説明するための図である。
【図10】実施例18で用いたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャー
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャー
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャー
11 分離チャージャー
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャー
14 ファーブラシ
15 ブレード
16 感光体
17 帯電チャージャ
18 クリーニングブラシ
19 画像露光部
20 現像ローラ
21 感光体
22a 駆動ローラー
22b 駆動ローラー
23 帯電チャージャ
24 像露光源
25 転写チャージャ
26 クリーニング前露光
27 クリーニングブラシ
28 除電光源
29 現像ユニット
31 導電性支持体
33 単層感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層
71C 感光体
71M 感光体
71Y 感光体
71K 感光体
72C 帯電部材
72M 帯電部材
72Y 帯電部材
72K 帯電部材
73C レーザー光
73M レーザー光
73Y レーザー光
73K レーザー光
74C 現像部材
74M 現像部材
74Y 現像部材
74K 現像部材
75C クリーニング部材
75M クリーニング部材
75Y クリーニング部材
75K クリーニング部材
76C 画像形成要素(画像形成ユニット)
76M 画像形成要素(画像形成ユニット)
76Y 画像形成要素(画像形成ユニット)
76K 画像形成要素(画像形成ユニット)
77 転写(記録)紙
78 給紙コロ
79 レジストローラ
80 転写搬送ベルト
81C 転写ブラシ
81M 転写ブラシ
81Y 転写ブラシ
81K 転写ブラシ
82 定着装置

Claims (44)

  1. 導電性支持体上に少なくとも一層もしくは複数層の感光層を設けてなる電子写真感光体において、該電子写真感光体の最表面に形成される層に少なくとも親水性のフィラー、及び、バインダー樹脂を含有し、さらに、前記親水性のフィラーを前記バインダー樹脂中に分散する又は分散補助するための有機化合物として酸価が30〜400(mg/KOH)のオリゴマーまたはポリマーを含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーが、分子構造中に少なくとも一つの親水基を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーの親水基が、カルボキシル基であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーの親水基が、少なくとも分子構造の末端部に結合されてなることを特徴とする請求項2または3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーが、不飽和ポリカルボン酸タイプの湿潤分散剤であることを特徴とする請求項3または4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーの分子量が、300〜30000の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1に記載の電子写真感光体。
  7. 前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーの含有量をA、前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーの酸価をB、前記フィラーの含有量をCとしたときに、A、B及びCとの間に下記の関係式を満たすことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1に記載の電子写真感光体。
    Figure 0003802787
  8. 前記親水性フィラーが、親水性表面処理剤で表面処理されたものであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1に記載の電子写真感光体。
  9. 前記親水性フィラーが、少なくとも一種の無機顔料であることを特徴とする請求項1乃至の何れか1に記載の電子写真感光体。
  10. 前記無機顔料が、少なくとも一種の金属酸化物であることを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。
  11. 前記金属酸化物が、1010Ω・cm以上の比抵抗を有することを特徴とする請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 前記金属酸化物の等電点におけるpHが、5以上を示すことを特徴とする請求項10または11に記載の電子写真感光体。
  13. 前記親水性表面処理剤が、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤の何れかから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。
  14. 前記親水性表面処理剤の処理量が、フィラーに対して2重量%〜30重量%であることを特徴とする請求項8または13に記載の電子写真感光体。
  15. 前記親水性フィラーの平均一次粒径が、0.01μm〜0.9μmの範囲内であることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1に記載の電子写真感光体。
  16. 前記親水性フィラーの含有量が、該感光体の最表面に形成される層に含有される全固形分量に対し、0.1重量%〜50重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1乃至15の何れか1に記載の電子写真感光体。
  17. 前記バインダー樹脂が、ポリカーボネート、ポリアリレートより選択される少なくとも一種を含有していることを特徴とする請求項1乃至15の何れか1に記載の電子写真感光体。
  18. 前記バインダー樹脂が、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする請求項1乃至15の何れか1に記載の電子写真感光体。
  19. 前記電子写真感光体の感光層上に、さらに最表面層として保護層を形成した感光体において、該保護層に少なくとも一種の電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項1乃至18の何れか1に記載の電子写真感光体。
  20. 前記保護層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルが、それよりも導電性支持体側に形成される感光層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルを超えないことを特徴とする請求項19に記載の電子写真感光体。
  21. 前記感光体の最表面を形成する層に、酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1乃至20の何れか1に記載の電子写真感光体。
  22. 前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物であることを特徴とする請求項21に記載の電子写真感光体。
  23. 前記ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物が、下記構造式で表わされる化合物であることを特徴とする請求項22に記載の電子写真感光体。
    Figure 0003802787
  24. 前記酸価防止剤の含有量が、前記フィラーに対して0.1重量%〜20重量%の範囲内であり、かつ前記酸価が30〜400(mgKOH/g)のオリゴマーまたはポリマーのフィラーに対する含有量よりも多いことを特徴とする請求項21乃至23の何れか1に記載の電子写真感光体。
  25. 請求項1乃至24の何れか1に記載された電子写真感光体の最表面層を形成するための塗工液であって、使用される有機溶剤が少なくとも2種の混合溶剤であることを特徴とする電子写真感光体の最表面層形成用塗工液。
  26. 前記塗工液の分散過程において、分散手段としてボールミルを使用することを特徴とする請求項25に記載の電子写真感光体の最表面層形成用塗工液。
  27. 前記分散過程において使用されるメディアの材質が、アルミナであることを特徴とする請求項26に記載の電子写真感光体の最表面層形成用塗工液。
  28. 前記感光体の最表面に形成される層が、請求項25乃至27の何れか1に記載の最表面層形成用塗工液を用いてスプレー塗工によって形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至24の何れか1に記載の電子写真感光体。
  29. 前記感光体の最表面に形成される層が、前記最表面層形成用塗工液のスプレー噴霧を少なくとも2回以上重ねて行なうことによって形成されたものであることを特徴とする請求項28に記載の電子写真感光体。
  30. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写が繰り返し行なわれる電子写真方法において、該電子写真感光体として請求項1乃至24、28、29の何れか1に記載の電子写真感光体が用いられることを特徴とする電子写真方法。
  31. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行ない、かつ画像露光の際にはLDあるいはLEDによって感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、デジタル方式の電子写真方法において、該電子写真感光体として請求項1乃至24、28、29の何れか1に記載の電子写真感光体が用いられることを特徴とする電子写真方法。
  32. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が請求項1乃至24、28、29の何れか1に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  33. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備し、該画像露光手段にLDあるいはLEDを使用することによって該電子写真感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、デジタル方式の電子写真装置であって、該電子写真感光体が請求項1乃至24、28、29の何れか1に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  34. 前記感光体を具備してなる請求項32または33に記載の電子写真装置であって、該電子写真装置の帯電手段としてローラー状の帯電部材を用いることを特徴とする電子写真装置。
  35. 前記ローラー状の帯電部材を帯電手段として用いた電子写真装置において、該帯電部材と感光体とが画像形成領域において非接触であることを特徴とする請求項34に記載の電子写真装置。
  36. 前記ローラー状の帯電部材を帯電手段として用いた電子写真装置において、直流成分に交流成分を重畳し感光体に帯電を与えることを特徴とする請求項34または35に記載の電子写真装置。
  37. 前記電子写真装置において、該感光体表面に潤滑性物質を付着させる手段を有することを特徴とする請求項32乃至36の何れか1に記載の電子写真装置。
  38. 前記電子写真装置において、感光体上に形成された静電潜像を現像する際に用いられるトナーに、少なくとも一種の潤滑性物質が含有されたトナーを用いて現像することにより、感光体表面に該潤滑性物質を付着させることを特徴とする請求項37に記載の電子写真装置。
  39. 前記電子写真装置において、潤滑性物質を外部より感光体表面に接触させることによって、感光体表面に該潤滑性物質を付着させることを特徴とする請求項37に記載の電子写真装置。
  40. 前記電子写真装置において、少なくとも一種の潤滑性物質がステアリン酸亜鉛もしくはフッ素含有化合物であることを特徴とする請求項37乃至39の何れか1に記載の電子写真装置。
  41. 前記電子写真装置が、感光体上に形成された静電潜像にトナーを現像した後、それらを直接紙に転写する前に、中間転写体もしくは中間転写ベルト上にトナー像を形成した後に紙に転写することによって、該電子写真感光体と紙とが直接接触しないことを特徴とする請求項32乃至40の何れか1に記載の電子写真装置。
  42. 前記電子写真装置が、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーを保持する現像部に対応した複数の電子写真感光体を具備し、並列処理によるフルカラー印刷が可能な、タンデム方式による電子写真装置であることを特徴とする請求項32乃至41の何れか1に記載の電子写真装置。
  43. 少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、該電子写真感光体が請求項1乃至24、28、29の何れか1に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
  44. 前記プロセスカートリッジを備えた電子写真装置であって、かつ請求項34乃至42の何れか1に記載の少なくとも一つの手段を備えていることを特徴とする請求項43に記載の電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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