JP2004279967A - 電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】電子写真感光体及び画像形成装置において、感光体の耐摩耗性を維持しつつ、放電生成物の付着による画像流れの発生を抑制できる方法によって高耐久化と高画質化、さらには画質安定化を実現する電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供すること。
【解決手段】少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置に使用される電子写真感光体において、前記電子写真感光体の表面にフィラーを含有した保護層が積層され、かつ該保護層の表面に互いに交差する無数の線状傷が連続的に形成されていることを特徴とする電子写真感光体を主たる構成にする。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジに関し、さらに詳しくは、感光体表面を改良し、電子写真感光体表面への異物付着等による画像流れの発生を軽減し、高耐久性と高画質化、さらに画質安定化を実現した電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行うレーザープリンターやデジタル複写機は、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。さらに、それらは高速化技術との融合によりフルカラー印刷が可能なレーザープリンターあるいはデジタル複写機へと応用されてきている。
【0003】
これらの電子写真方式のレーザープリンターやデジタル複写機等に使用される電子写真感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び無公害性等の理由から一般に広く応用されている。有機系の感光体には、ポリビニルカルバゾ−ル(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型等が知られており、現在では電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体が広く応用されている。
【0004】
機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され電荷を生成する。それによって発生した電荷が電荷発生層及び電荷輸送層の界面で電荷輸送層に注入され、さらに電界によって電荷輸送層中を表面に向かって移動し、感光体の表面電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。
【0005】
しかし、有機系の感光体は、繰り返し使用によって摩耗しやすく、感光層の摩耗が進行すると、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、濃度低下や地汚れ等の画質劣化が促進される傾向が強く、従来から有機系感光体において耐摩耗性が大きな課題として挙げられていた。さらに、近年では電子写真装置の高速化あるいは電子写真装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の耐摩耗性がより一層重要な課題となっている。
【0006】
感光体における感光層の膜厚が摩耗によって薄くなるに従って電界強度が高くなり、地肌汚れ等の画像欠陥が顕著に発生しやすくなる。一方、摩耗を考慮して感光層の膜厚を必要以上に増加させた場合には、解像度が大幅に低下し画質劣化が生じる傾向が見られる。また、繰り返し使用時に膜厚減少量が大きいと、画像品質が変動しやすく短いサイクルでの感光体の交換を余儀なくされる。従って、感光体の耐摩耗性を向上させて膜厚変動を少なくすることは、高画質化及びその経時安定化において非常に重要である。
【0007】
感光体の耐摩耗性を向上させる手段としては、感光体の最表面層を硬化させたり、フィラーを含有させる方法が知られており、有効かつ有用である。これらの方法によって耐摩耗性を向上させることは実現できたが、それに伴い高画質化に対して新たな課題が発生することとなった。それは、異物が感光体表面に付着及び堆積することによって異常画像の発生を促すものであり、電子写真装置の高画質化及び高耐久化を阻害する最も大きな原因の一つとなっている。
【0008】
これらの異常画像の一つに画像流れが挙げられる。これは、帯電によって生成される放電生成物が感光体表面に付着することによって感光体表面の抵抗が低下し、電荷が横方向に拡散することによって生ずると考えられており、特に高温高湿環境下においてその影響が顕著に発生する。従来の耐摩耗性に乏しい感光体は、これらの放電生成物が感光体に付着しても感光体表面が摩耗されることによって容易に除去されたため、画像流れは発生しにくかった。
【0009】
しかし、感光体の耐摩耗性の向上に伴って、感光体表面に付着した放電生成物の除去が困難となり、それによる画像流れの発生が感光体の高耐久化を妨げる最大の要因となっていた。
【0010】
従来のこれらの放電生成物の付着による画像流れを抑制する従来技術としては、感光体を加熱する方法が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
また感光層に酸化防止剤を含有させる方法も開示されている(例えば、特許文献4〜7参照)。
特に、感光体を加熱して除湿させる方法は画像流れに対して非常に有効である。しかし、感光体を加熱するためには、加熱ヒーターを電子写真装置内に内包させる必要があることから装置の大型化が避けられない。また、絶えず感光体を加熱する必要があることから消費電力の著しい増加を引き起こす不具合も有していた。
【0011】
さらに、近年主流となっている小径感光体の場合には、より高い耐久性が要求されるにも関わらず、ヒーターを内包させることが難しく、効果が得られていないのが実情であった。一方、感光体の表面に酸化防止剤を含有させる方法は、帯電により発生するオゾンやNOxガスによる感光体の静電特性劣化を抑制させる上で有効であるが、感光体の表面に付着する放電生成物に対しては効果が得られていないのが実情であった。
【0012】
また、異常画像を引き起こす他の原因としては、トナーの外添剤や紙粉の付着が挙げられる。これは、感光体表面に付着したそれらの異物が繰り返し使用する度に蓄積されることにより、やがて無数の斑点が画像に現れたり、それらが水分を取り込むことによって画像流れを引き起こしたりする場合がある。
【0013】
従来技術では、感光体表面の摩擦係数や表面エネルギーを低減させることによって、感光体表面の離型性を高める試みがなされている。例えば、フッ素変成シリコーンオイル(例えば、特許文献8〜10参照)やシリコーン樹脂微粒子(例えば、特許文献11、12参照)、フッ素含有樹脂微粒子(例えば、特許文献13参照)等が開示されている。
【0014】
しかし、これらの方法は、初期時の摩擦係数や表面エネルギーを大幅に低減させることは可能となっても、印刷を繰り返すに従いそれらが急激に上昇し、効果の持続性が極めて乏しかった。
【0015】
感光体表面を荒らすことによって離型性を高める方法についても試みられている。例えば、感光体表面に感光体の軸方向と角度を有する方向に山と谷が規則的に連続した形状を持たせる方法が開示されている(例えば、特許文献14参照)。
【0016】
しかし、この方法は離型性を高める効果は認められるものの、放電生成物による画像流れに対しては言及されていない。本発明においては、山と谷が規則的に連続した形状が少なくとも2方向より交差されていないと効果が得られず、本発明とは構成並びに効果が異なるものである。
【0017】
また、感光層を粗面化する方法についてはほかにも数多く試みられている。例えば、表面が無数の互いに交差する線状傷により粗面化されている光導電性感光層の上に真空薄膜が形成された感光体が開示されている(例えば、特許文献15参照)。
【0018】
粗面化の方法が本発明と一致しているが、本発明は交差する線状傷を感光体の最表面に形成させるものであり、発明の目的、構成並びに効果が全く異なるものである。
【0019】
感光体の高耐久化において、耐摩耗性の向上が実現されると同時に顕在化されてきた放電生成物や異物の付着による画像流れ等の異常画像の発生は、感光体の耐摩耗性を高めようとすると感光体表面に異物が残存しやすくなり、感光体表面のそれらの異物を除去しようとすると感光体の耐摩耗性が犠牲となり、耐摩耗性の向上と異常画像の抑制を両立することは非常に難しかった。感光体の耐摩耗性が高くても異常画像が早期に発生するのでは、電子写真装置の高耐久化が実現されたことにはならない。感光体の耐摩耗性を維持しつつ感光体表面への放電生成物の付着による画像流れを抑制し、感光体の耐摩耗性と高画質化、さらには画質安定化を実現することが、電子写真装置の高耐久化を実現する上での最大の課題であった。
【0020】
【特許文献1】
特開平1−191883号公報
【特許文献2】
特開平1−206386号公報
【特許文献3】
特開平1−233474号公報
【特許文献4】
特開昭59−136744号公報
【特許文献5】
特開平2−64549号公報
【特許文献6】
特開平2−64550号公報
【特許文献7】
特開平8−292585号公報
【特許文献8】
特開平7−295248号公報
【特許文献9】
特開平7−301936号公報
【特許文献10】
特開平8−82940号公報
【特許文献11】
特開平07−128872号公報
【特許文献12】
特開平10−254160号公報
【特許文献13】
特開昭63−65449号
【特許文献14】
特開2001−66814号公報
【特許文献15】
特許第2987922号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、上記のように、感光体の耐摩耗性の向上によって顕在化されてきた画像流れ等の異常画像の発生は、電子写真装置の高耐久化を妨げる最大の課題となっており、感光体の耐摩耗性と感光体表面の異物付着による異常画像の発生はトレードオフの関係にあり、感光体の耐摩耗性に大きな影響を与えずに、感光体表面に付着した放電生成物による画像流れを抑制できる手段が強く求められていた。
【0022】
電子写真感光体の高耐久化を実現するためには、前述のとおり耐摩耗性の向上と同時に、感光体表面に付着する放電生成物による画像流れの影響を抑制し、それによって電子写真装置の繰り返し使用における画質安定性を向上させることが必要である。従来は、感光体の耐摩耗性を向上させるに従い、感光体表面に放電生成物が残存しやすくなり、それらの放電生成物を除去しようとすると感光体の耐摩耗性が犠牲となり、感光体の耐摩耗性の向上と放電生成物の除去による画質安定化の両立が実現されていなかったという問題がある。
【0023】
そこで本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、本発明者は鋭意検討を行った結果、感光体表面に付着した放電生成物による画像流れは、感光体表面の形状によって影響されており、後述の構成要件を満足することにより、感光体の耐摩耗性を維持しつつ、放電生成物の付着による画像流れを抑制できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0024】
そこで本発明は、感光体の耐摩耗性を維持しつつ、放電生成物の付着による画像流れの発生を抑制できる方法によって高耐久化と高画質化、さらには画質安定化を実現する電子写真感光体、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明では、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置に使用される電子写真感光体において、前記電子写真感光体の表面にフィラーを含有した保護層が積層され、かつ該保護層の表面に互いに交差する無数の線状傷が連続的に形成されている電子写真感光体を最も主要な特徴とする。
【0026】
請求項2記載の発明では、前記線状傷の幅が、トナー粒子の粒径よりも小さい請求項1に記載の電子写真感光体を主要な特徴とする。
【0027】
請求項3記載の発明では、前記線状傷の交差角度が、45〜135度の範囲内にある請求項1又は2に記載の電子写真感光体を主要な特徴とする。
【0028】
請求項4記載の発明では、前記線状傷間の間隔が、50μm以下である請求項1〜3に記載の電子写真感光体を主要な特徴とする。
【0029】
請求項5記載の発明では、前記フィラーが、金属酸化物である請求項1に記載の電子写真感光体を主要な特徴とする。
【0030】
請求項6記載の発明では、前記フィラーの金属酸化物がアルミナである請求項1又は5に記載の電子写真感光体を主要な特徴とする。
【0031】
請求項7記載の発明では、前記フィラーの平均一次粒径が、0.01〜3.0μmである請求項1、5、6のいずれか1項に記載の電子写真感光体を主要な特徴とする。
【0032】
請求項8記載の発明では、前記保護層に含有されるバインダー樹脂が、ポリカーボネート樹脂あるいはポリアリレート樹脂、アクリル系もしくはメタクリル系樹脂のいずれかである請求項1に記載の電子写真感光体を主要な特徴とする。
【0033】
請求項9記載の発明では、前記保護層に含有されるバインダー樹脂が、高分子電荷輸送物質である請求項1に記載の電子写真感光体を主要な特徴とする。
【0034】
請求項10記載の発明では、前記バインダー樹脂が、熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂である請求項1、8、9のいずれか1項に記載の電子写真感光体を主要な特徴とする。
【0035】
請求項11記載の発明では、前記保護層に、さらにシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物の少なくとも1種が含有されている請求項1又は8から10のいずれか1項に記載の電子写真感光体を主要な特徴とする。
【0036】
請求項12記載の発明では、前記シリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物が、微粒子の形状を有しており、且つ前記保護層に分散されてなる請求項11に記載の電子写真感光体を主要な特徴とする。
【0037】
請求項13記載の発明では、電子写真感光体に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1から12のいずれか1項に記載の電子写真感光体である画像形成装置を最も主要な特徴とする。
【0038】
請求項14記載の発明では、前記帯電手段に帯電ローラーを用いる請求項13に記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
【0039】
請求項15記載の発明では、前記現像時に用いられるトナーが球形もしくは略球形である請求項13又は14に記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
【0040】
請求項16記載の発明では、該電子写真感光体にトナー像を現像した後、中間転写体もしくは中間転写ベルトを介して紙に転写する転写手段を有する請求項13から15のいずれか1項に記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
【0041】
請求項17記載の発明では、前記クリーニング手段に少なくともクリーニングブレードを用いている請求項13から16のいずれか1項に記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
【0042】
請求項18記載の発明では、前記電子写真感光体表面にシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物を付着させる手段を有する請求項13から17のいずれか1項に記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
【0043】
請求項19記載の発明では、前記電子写真感光体の最表面に互いに交差する無数の線状傷を形成する手段を含んでいる請求項13から18のいずれか1項に記載の画像形成装置を主要な特徴とする。
【0044】
請求項20記載の発明では、請求項1から12のいずれか1項に記載の電子写真感光体を具備し、画像形成装置本体に対し着脱自在の構造を有することを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジを主要な特徴とする。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。前記放電生成物は、帯電によって発生するイオン種と大気中の水分とによって生成されるものと考えられており、これらが感光体表面に付着することによって、感光体表面の抵抗が低下し、画像流れが発生すると考えられている。従って、クリーニングによって感光体表面に付着した放電生成物をどれだけ除去できるかによって画像流れの抑制が実現できることになる。しかし、感光体表面の耐摩耗性が高くなるに従い放電生成物を除去することは非常に難しい。本発明は、放電生成物が感光体に付着しても画像流れを発生しにくくするものである。
【0046】
放電生成物が感光体表面に付着することにより高温高湿下において画像流れが発生するのは、放電生成物が付着した部分の抵抗が急激に低下することにより、電荷発生層から移動してきた電荷が表面に到達したとき電荷が横方向に拡散してしまい、静電潜像がぼやけることによって生ずると考えられている。従って、画像流れを抑制するためには、放電生成物の付着量を低減させることが好ましいが、感光体の耐摩耗性を高めた場合は非常に難しい。本発明は、放電生成物が感光体表面に付着してもその付着領域を細かく区切り、電荷の拡散をその領域内に留めることによって画像流れを抑制するものである。
【0047】
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
(1)本発明は、帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置に使用される電子写真感光体において、該電子写真感光体の表面にフィラーを含有した保護層が積層され、かつ該保護層の表面に互いに交差する無数の線状傷が連続的に形成されていることを特徴とするものである。
【0048】
保護層にフィラーを含有させることによって耐摩耗性の飛躍的な向上が実現されるが、帯電生成物の除去が困難となり画像流れが顕著に発生する。本発明において、保護層に感光体表面に交差する無数の線状傷を形成することより、離型性の向上やクリーニングブレードとの接触面積の減少によってまずクリーニング性を高めることが可能となる。
【0049】
さらに、感光体表面に付着した放電生成物は、クリーニング後線状傷内に閉じ込められることになり、故に電荷の拡散領域は線状傷の中だけに限定されることになる。それにより画像流れの影響を軽減させることが可能となる。
【0050】
しかし、線状傷の方向が一方向だけの場合には、線状傷の方向に対して平行な書き込みラインは電荷の拡散が抑制されているため文字太りすることなく、画像流れを抑制することが可能となるが、線状傷の方向に対して垂直な書き込みラインに対しては、電荷の拡散を助長し文字が太り解像度の大幅な低下が認められるようになる。
【0051】
このように線状傷が一方向の場合では、画像流れに線状傷の方向依存性が生じるため画像流れを抑制させるに十分ではない。少なくとも2方向以上から線状傷を交差させることにより、あらゆる方向の書き込みラインに対しても電荷の拡散を抑制することが可能となり、画像流れを抑制させることが可能となる。
【0052】
また、本発明においては繰り返し使用によって現像剤やクリーニングブレード等から感光体表面に形成される傷も線状であって、本発明の線状傷として扱うこともできる。この場合、保護層にフィラーを含有させることは線状傷を形成させる上でも適しており、本発明においては有効である。
【0053】
(2)本発明に係る電子写真感光体では、前記線状傷の幅が、トナー粒子の粒径よりも小さいことを特徴とする。形成した線状傷の幅が大きいほど、電荷の拡散領域が広くなり、画像流れの影響が増加する傾向にある。また、線状傷の幅がトナーの粒径よりも大きいと線状傷にトナー粒子が入り込み、異常画像の発生を引き起こしたり、本発明の効果が低下する恐れがある。形成する線状傷の幅を少なくともトナー粒径よりも小さくすることにより、それらの影響を抑制することが可能となり、十分な画像流れ抑制効果を得ることが可能となる。
【0054】
(3)本発明に係る電子写真感光体は、前記線状傷の交差角度が、45〜135度の範囲内にあることを特徴とする。少なくとも2方向から交差させた線状傷の交差角度が小さくなるに従い、画像流れの線状傷方向依存性が増加することになり、画像流れ抑制効果は低減する。線状傷の交差角度を少なくとも45〜135度の範囲内で形成することによって、あらゆる方向のラインやドットに対しても画像流れを抑制させることが可能となる。
【0055】
(4)本発明に係る電子写真感光体は、前記線状傷間の間隔が、50μm以下であることを特徴とする。感光体表面に形成される線状傷間の間隔が大きすぎたり、間隔が不均一であったり、感光体表面上に線状傷の領域が少なくなると放電生成物の閉じ込め効果が減少し、画像流れの影響が増加する。前記感光体表面において、前記線状傷間の間隔を少なくとも50μm以下にすることにより、画像流れの抑制効果にムラがなく、十分な効果を得ることが可能となる。
【0056】
(5)本発明に係る電子写真感光体は、前記フィラーが、金属酸化物であることを特徴とする。フィラーが金属酸化物であることによって、感光体の耐摩耗性の向上に特に有効となる。
【0057】
また、本発明においては繰り返し使用によって現像剤やクリーニングブレード等から感光体表面に形成される傷も本発明の線状傷として扱うこともできるが、この場合金属酸化物は硬度が高く、研磨性を有するため、感光体の耐摩耗性を高める効果だけでなく、保護層に適度な線状傷を形成させる上でも有効である。特に、これらの金属酸化物を保護層に含有させたことにより形成される線状傷の形状は、傷の幅が狭いなど、画像流れの抑制効果を高める上で非常に適している。
【0058】
(6)本発明に係る電子写真感光体は、前記金属酸化物がアルミナであることを特徴とする。フィラーにアルミナを用いることにより、さらなる耐摩耗性の向上が実現できるだけでなく、高温高湿下やオゾン雰囲気においても画像流れが発生しにくい利点を有している。本発明において、保護層の表面に交差する線状傷を形成することにより、それらに加え帯電生成物による画像流れを同時に抑制することが可能となり、いかなる画像欠陥をも抑制することが可能となる。
【0059】
(7)本発明に係る電子写真感光体は、前記フィラーの平均一次粒径が、0.01〜3.0μmであることを特徴とする。フィラーの平均一次粒径が非常に大きいと、画質劣化を引き起こし、本発明の効果が半減する恐れがある。また、感光体表面に形成される線状傷の幅が非常に大きくなり、それによって電荷の拡散領域が広がって画像流れの抑制効果が低下する。
【0060】
フィラーの平均一次粒径を0.01〜3.0μmの範囲にすることにより、画質劣化が抑制され、感光体表面に形成される線状傷の幅も狭くすることが可能となり、それによって画像流れの抑制効果を高めることが可能となる。
【0061】
(8)本発明に係る電子写真感光体は、前記保護層に含有されるバインダー樹脂が、ポリカーボネート樹脂あるいはポリアリレート樹脂、アクリル系もしくはメタクリル系樹脂のいずれかであることを特徴とする。感光体の最表面層に含有されるバインダー樹脂によって、感光体の耐摩耗性が変わるだけでなく、感光体表面に形成される線状傷の幅も変化し、それは画像流れ抑制効果に大きく影響する。バインダー樹脂に少なくともポリカーボネート樹脂あるいはポリアリレート樹脂、アクリル系もしくはメタクリル系樹脂を用いることによって、画像流れ抑制効果を十分に発揮させるに適している。
【0062】
(9)本発明に係る電子写真感光体は、前記保護層に含有されるバインダー樹脂が、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする。バインダー樹脂とともに電荷の移動のために電荷輸送物質を含有することによって露光部電位の安定化が図られ、画像品質の安定化が実現されるが、バインダー樹脂として電荷輸送機能とバインダー機能とを併せ持つ高分子電荷輸送物質を用いることによって、感光体の耐摩耗性のさらなる向上が実現できると同時に、感光体表面に形成される線状傷の幅を狭くすることが可能となる。それにより、画像流れ抑制効果を向上させることが可能となる。
【0063】
(10)本発明に係る電子写真感光体は、前記バインダー樹脂が、熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂であることを特徴とする。バインダー樹脂を硬化して用いることにより、感光体の耐摩耗性をさらに高めることが可能となり、本発明の効果をより一層発揮させるに適している。
【0064】
また、硬化性樹脂をバインダー樹脂として用いることにより、保護層の塗工後に交差する無数の線状傷を形成し、その後硬化させるなど、線状傷を形成しその効果の安定化を実現する上で非常に有効な手段である。
【0065】
(11)本発明に係る電子写真感光体は、前記保護層に、さらにシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物の少なくとも1種が含有されていることを特徴とする。保護層にシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物の少なくとも1種を含有させると、感光体表面の摩擦係数が低減し、放電生成物のクリーニング性が向上することにより除去しやすくなる効果が得られる。表面が粗面化され離型性が向上したことによる効果と相まって、画像流れ抑制効果がさらに高めることが可能となる。
【0066】
また、これらの化合物を感光体表面に含有させても、従来は摩擦係数低減効果の持続性に非常に乏しいものであったが、本発明においては感光体の最表面に交差する線状傷が形成されていることにより、摩擦係数低減効果の持続性を高めることが可能となる。放電生成物は摩擦係数を上昇させる原因でもあるため、それらを線状傷内に閉じ込めることによって、摩擦係数低減効果の持続性が大幅に高まり、高画質化並びにその安定化が実現され、多くの相乗効果を得ることが可能となる。
【0067】
(12)本発明に係る電子写真感光体は、前記シリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物が、微粒子の形状を有しており、且つ保護層に分散されてなることを特徴とする。従来の画像形成装置は、これらの化合物を含有させるとそれ自身が持つ摩擦係数低減効果だけでなく、感光体表面に細く長い線状傷が形成されやすくなり、本発明においては有効である。
【0068】
また、画像形成装置内に感光体表面に線状傷を形成する手段を含む場合、感光体表面に線状傷を形成する工程において、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物が微粒子の形状を有し、且つ感光体の最表面層に分散されていることにより、感光体表面にこれらの化合物の供給性が向上し、摩擦係数の持続性を著しく高めることが可能となる。それによって、画像流れ抑制効果をより一層高めると同時に、フィルミングや異物付着を防止したり、転写効率が向上したり、さらなるクリーニング性が向上するなど、画質安定性に対し多くの効果を同時に得ることが可能となる。
【0069】
(13)本発明に係る画像形成装置は、電子写真感光体に、帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において、該電子写真感光体が(1)〜(12)のいずれかに記載された電子写真感光体であることを特徴とする。(1)〜(12)に記載された電子写真感光体を本画像形成装置に用いることによって、画像流れの影響が抑制され、高画質化並びに画質安定化が実現される。
【0070】
(14)本発明に係る画像形成装置は、前記画像形成装置において、該帯電手段に帯電ローラーを用いることを特徴とする。帯電手段として帯電ローラーを用いた場合、コロナ帯電の手段に比べてオゾン発生量が極めて少なく、オゾンやNOxガスによる画像ボケの影響を軽減させることが可能となるが、放電生成物の付着量は帯電ローラーの方が非常に多くなる。本発明は、放電生成物が付着しても画像流れの発生を抑制させる方法であり、帯電ローラー及び本発明の感光体を用いることにより、オゾンやNOxガスによる画像ボケと放電生成物付着による画像流れの両方の抑制が一度に実現できる。
【0071】
(15)本発明に係る画像形成は、前記電子写真装置において、該現像時に用いられるトナーが球形もしくは略球形であることを特徴とする。球形トナーを用いることによって、転写効率が向上し高画質化に対し非常に有効であるが、球形であることによりクリーニング性が大幅に低下するため使用する上で不具合が生じている。
【0072】
しかし、本発明において、感光体表面に交差する線状傷が形成されたことによって、球形トナーの転がりを抑えクリーニング性を向上させる効果が得られる。感光体表面の線状傷が一方向の場合では転がりを抑制できず十分なクリーニング性は得られないが、少なくとも2方向から交差する線状傷を形成することにより、トナーの動きを完全に抑え、さらに離型性をより高めることが可能となり、それによってクリーニング性が顕著に高まり、球形トナーを使いこなすことが可能となり、それによって高画質化及び画質安定化に対し顕著な効果を得ることが可能となる。
【0073】
(16)本発明に係る画像形成装置は、前記画像形成装置において、該電子写真感光体にトナー像を現像した後、中間転写体もしくは中間転写ベルトを介して紙に転写する転写手段を有することを特徴とする。感光体から中間転写体もしくは中間転写ベルトへトナーを転写させる工程において、感光体からトナーが転写されずに残ってしまい、中抜け等の画像欠陥が発生しやすくなる不具合がある。
【0074】
本発明においては、感光体表面に交差する線状傷が形成されているために、感光体とトナーの過剰な付着力を低減することが可能となり、それによって中間転写体もしくは中間転写ベルトへの転写性を高めることが可能となる。それによって、中抜け等の画像欠陥を抑制することが可能となり、高画質化が実現される。また、転写効率が向上できたことにより、クリーニングに与える負荷を低減させ、クリーニング効率の向上にも寄与できる。
【0075】
(17)本発明に係る画像形成装置は、前記画像形成装置において、該クリーニング手段に少なくともクリーニングブレードを用いていることを特徴とする。本発明におけるクリーニング工程は、トナー粒子だけをクリーニングするのではなく、感光体に付着した放電生成物をも除去する効果が要求される。この場合、クリーニングブラシよりも感光体の表面に常に接触しているクリーニングブレードが有効である。クリーニングブレードを用いることによって、感光体表面に付着した放電生成物のクリーニングにも効果が得られる上に、形成した線状傷に放電生成物を閉じ込める上でも好適かつ有効なクリーニング方法である。
【0076】
(18)本発明に係る画像形成装置は、前記画像形成装置において、該電子写真感光体表面にシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物を付着させる手段を有することを特徴とする。感光体表面にこれらの滑性成分を含む化合物を付着させることによって感光体表面に滑り性を付与し、それによって離型性を高めたり、異物付着を軽減したり、摩耗量を低減させたり、多くの効果を得ることができるが、本発明においては感光体表面に少なくとも2方向から交差する線状傷を形成したことによって、それらの滑性成分を含む化合物が線状傷に入り込み、感光体表面全体を汚染することなく、滑り性を付与する効果の持続性が高まる。さらに、滑性成分を含む化合物の使用量は少なくすることも可能であり、これらの化合物の過剰な付着によって引き起こされていた異常画像の発生を抑制することも可能である。
【0077】
(19)本発明に係る画像形成装置は、前記画像形成装置において、該電子写真感光体の最表面に互いに交差する無数の線状傷を形成する手段を含んでいることを特徴とする。感光体は経時で摩耗するため、形成させた線状傷は摩耗によって消えることになり、それによって画像流れ抑制効果の持続性が低下することになる。そこで、画像形成装置の使用経時で感光体表面に線状傷を形成させることにより、画像流れ抑制効果を半永久的に持続させることが可能となり、感光体の画質安定化が実現される。また、使用経時で線状傷を形成させる工程が加わることにより、感光体表面にリフェイス効果、すなわち感光体表面に付着したフィルミング物を除去する効果が得られ、高画質化に対しさらなる効果が得られる。
【0078】
(20)本発明に係る画像形成装置用プロセスカートリッジは、少なくとも前記電子写真感光体が、画像形成装置本体に対し着脱自在の構造を有する画像形成装置用プロセスカートリッジであって、かつ該電子写真感光体が(1)〜(12)に記載されたいずれかの電子写真感光体を用いることを特徴とする。画像形成装置本体に対し着脱自在の構造を有するプロセスカートリッジに感光体を具備することにより、感光体周りのメンテナンスが容易となる。特に、本発明においては感光体表面に線状傷を形成させる上で適している。
【0079】
以上のように、感光体の耐摩耗性を高めた感光体は、感光体表面に付着する放電生成物によって高温高湿環境下激しい画像流れが発生し、感光体の耐摩耗性の向上と画質安定化の両立が実現されていなかった。
【0080】
これに対し、本発明により感光体表面に放電生成物が付着しても画像流れとして顕在化させないこととしたため、感光体の耐摩耗性の向上と画質安定化の両立を実現させることができた。さらに、本発明は転写効率やクリーニング性を同時に高める効果も得られ、高画質化に対して非常に有効である。本発明により、感光体の耐摩耗性を維持しつつ、画像流れやフィルミング等の異常画像の発生を抑制することが可能となり、さらに転写効率やクリーニング性を同時に高めることが可能となったことにより、高耐久化と高画質化、さらに画質安定化をすべて実現することが可能となった。
【0081】
次に、本発明に用いられる電子写真感光体を図面に沿って詳細に説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体を表す断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層33及び保護層39が順次設けられている。最表面層である保護層にはフィラーが含有され、その表面には交差する無数の線状傷が形成されてなる。
【0082】
図2は、本発明の電子写真感光体を表す断面図であり、導電性支持体31上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37と、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35及び保護層39が順次設けられている。最表面層である保護層にはフィラーが含有され、その表面には交差する無数の線状傷が形成されてなる。
【0083】
図3は、本発明の電子写真感光体を表す断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37及び保護層39が順次設けられている。最表面層である保護層39にはフィラーが含有され、その表面には交差する無数の線状傷が形成されてなる。
【0084】
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
【0085】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0086】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロンなどの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体31として良好に用いることができる。
【0087】
次に感光層について説明する。感光層は単層であっても複数の層を積層した構成であってもよい。まず、電荷発生層35と電荷輸送層37で構成される積層構成の場合について説明する。電荷発生層及び電荷輸送層は各々一層であっても複数層を有していてもよい。また、電荷発生層の上に電荷輸送層を形成しても、あるいはその逆の構成であってもよい。
【0088】
始めに、電荷発生層35について説明する。電荷発生層35は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じて結着樹脂を併用することができる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、硫化カドミウム、硫化カドミウム−セレン、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0089】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることが出来る。例えば、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)等のアゾ系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、また下記式で表される金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料等が挙げられる。フタロシアニンは下記の(一般式N)で示される。
【0090】
【化1】
Figure 2004279967
【0091】
式中、M(中心金属)は、金属及び無金属(水素)の元素を表す。ここであげられるM(中心金属)は、H、Li、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、TI、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Np、Am等の単体、もしく酸化物、塩化物、フッ化物、水酸化物、臭化物などの2種以上の元素からなる。中心金属は、これらの元素に限定されるものではない。本発明におけるフタロシアニン骨格を有する電荷発生物質とは、少なくとも一般式(N)の基本骨格を有していればよく、2量体、3量体など多量体構造を持つもの、さらに高次の高分子構造を持つものでもかまわない。また基本骨格に様々な置換基があるものでもかまわない。
【0092】
これらの様々なフタロシアニンのうち、中心金属にTiOを有するオキソチタニウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン等は感光体特性上特に好ましい。またこれらのフタロシアニンは、様々な結晶系を持つことが知られており、例えばオキソチタニウムフタロシアニンの場合、α、β、γ、m、Y型等、銅フタロシアニンの場合、α、β、γ等の結晶多系を有している。同じ中心金属を持つフタロシアニンにおいても、結晶系が変わることにより種々の特性も変化する。これらの種々の結晶系を有するフタロシアニン系顔料を用いた感光体の特性もそれに伴って変化することが報告されている(電子写真学会誌第29巻第4号(1990))。このことから、フタロシアニンの結晶系の選択は感光体特性上非常に重要であり、その中でもY型オキソチタニウムフタロシアニンは特に高感度化に対し有効かつ有用である。なお、これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0093】
電荷発生層35に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらの結着樹脂は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層の結着樹脂として前述の結着樹脂の他に、後述の高分子電荷輸送物質(例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平6−234838号公報、特開平6−234839号公報、特開平6−295077号公報、特開平7−56374号公報、特開平7−325409号公報、特開平9−80772号公報、特開平9−80783号公報、特開平9−80784号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−265201号公報、特開平9−297419号公報、特開平9−304956号公報記載)を用いることができる。電荷発生層35で用いられる結着樹脂の量は電荷発生物質100重量部に対し、0〜500重量部、好ましくは0〜200重量部が適当である。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤や増感剤、分散剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0094】
電荷発生層35を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、前述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、前述の無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法など従来公知の方法を用いて行うことができる。以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0095】
電荷輸送層37は、少なくとも電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層35等の上に塗布、乾燥することにより形成できる。
【0096】
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0097】
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0098】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂等が挙げられ、単独でも2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
【0099】
また、電荷輸送層37には、結着樹脂としての機能と電荷輸送物質としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は、耐摩耗性に優れ有効である。本発明においては、これらの高分子電荷輸送物質に前述の結着樹脂や低分子電荷輸送物質を混合して用いることも可能である。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料がすべて使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、下記の(I)〜(X)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。
【0100】
【化2】
Figure 2004279967
【0101】
[式中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換及び/又は無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換及び/又は無置換のアルキル基、R、Rは置換及び/又は無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成(モル分率)を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9の数を表し、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、又は下記一般式で表される2価基を表す。
【0102】
【化3】
Figure 2004279967
【0103】
式中、R101、R102は各々独立して置換及び/又は無置換のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状及び/又は環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(Zは脂肪族の2価基を表す)又は、
【0104】
【化4】
Figure 2004279967
【0105】
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換又は無置換のアルキル基又はアリール基を表す)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。]
【0106】
【化5】
Figure 2004279967
【0107】
(式中、R、Rは置換及び/又は無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0108】
【化6】
Figure 2004279967
【0109】
(式中、R、R10は置換及び/又は無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0110】
【化7】
Figure 2004279967
【0111】
(式中、R11、R12は置換及び/又は無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表し、pは1〜5の整数を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0112】
【化8】
Figure 2004279967
【0113】
(式中、R13、R14は置換及び/又は無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X、Xは置換及び/又は無置換のエチレン基、又は置換及び/又は無置換のビニレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0114】
【化9】
Figure 2004279967
【0115】
(式中、R15、R16、R17、R18は置換及び/又は無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y、Y、Yは単結合、置換及び/又は無置換のアルキレン基、置換及び/又は無置換のシクロアルキレン基、置換及び/又は無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0116】
【化10】
Figure 2004279967
【0117】
(式中、R19、R20は水素原子、置換及び/又は無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0118】
【化11】
Figure 2004279967
【0119】
(式中、R21は置換及び/又は無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0120】
【化12】
Figure 2004279967
【0121】
(式中、R22、R23、R24、R25は置換及び/又は無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0122】
【化13】
Figure 2004279967
【0123】
(式中、R26、R27は置換及び/又は無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0124】
以下、これらトリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートの具体例の幾つかを以下に示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
【0125】
【化14】
Figure 2004279967
【0126】
【化15】
Figure 2004279967
【0127】
【化16】
Figure 2004279967
【0128】
【化17】
Figure 2004279967
【0129】
【化18】
Figure 2004279967
【0130】
【化19】
Figure 2004279967
【0131】
【化20】
Figure 2004279967
【0132】
【化21】
Figure 2004279967
【0133】
【化22】
Figure 2004279967
【0134】
【化23】
Figure 2004279967
【0135】
【化24】
Figure 2004279967
【0136】
【化25】
Figure 2004279967
【0137】
【化26】
Figure 2004279967
【0138】
【化27】
Figure 2004279967
【0139】
【化28】
Figure 2004279967
【0140】
【化29】
Figure 2004279967
【0141】
【化30】
Figure 2004279967
【0142】
【化31】
Figure 2004279967
【0143】
【化32】
Figure 2004279967
【0144】
【化33】
Figure 2004279967
【0145】
【化34】
Figure 2004279967
【0146】
【化35】
Figure 2004279967
【0147】
【化36】
Figure 2004279967
【0148】
【化37】
Figure 2004279967
【0149】
【化38】
Figure 2004279967
【0150】
【化39】
Figure 2004279967
【0151】
【化40】
Figure 2004279967
【0152】
【化41】
Figure 2004279967
【0153】
【化42】
Figure 2004279967
【0154】
【化43】
Figure 2004279967
【0155】
【化44】
Figure 2004279967
【0156】
【化45】
Figure 2004279967
【0157】
【化46】
Figure 2004279967
【0158】
【化47】
Figure 2004279967
【0159】
これら主鎖もしくは側鎖にトリアリールアミン構造を有している高分子電荷輸送物質は、単重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体の形態で重合される。そして、これら高分子電荷輸送物質は結着樹脂としての役割をもつことから被膜形成能を有していることが必要である。そのため、分子量は、GPCによる測定において、ポリスチレン換算分子量Mwとして1万〜50万が適当で、好ましくは5万〜40万である。
これら高分子電荷輸送物質は、特開平8−269183号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号公報、特開平9−272735号公報、特開平11−29634号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開2000−26590号公報に開示されている。
【0160】
電荷輸送物質の含有量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は単独でも、他の結着樹脂との併用も可能である。
電荷輸送層37の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層35と同様なものが使用できる。一例として、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を挙げることができるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
【0161】
電荷輸送層37には必要に応じて、レベリング剤や酸化防止剤、可塑剤等を添加することが可能である。併用できるレベリング剤としてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
併用できる酸化防止剤としては、フェノール系化合物類、ヒンダードフェノール系化合物類、ヒンダードアミン系化合物類、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機リン化合物類、ベンゾフェノン類、サルシレート類、ベンゾトリアゾール類、クエンチャー(金属錯塩系)等、従来公知の酸化防止剤をすべて使用することが可能である。また、2種以上の酸化防止剤を混合して添加することにより効果が顕著に高まることがあり、有効である。使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜5重量%程度が適当である。また、併用できる可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
【0162】
塗工は電荷発生層35と同様に浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法など公知の方法を用いて行うことができるが、浸漬塗工法が最も好ましく用いられる。電荷輸送層37の膜厚は、5〜50μm程度が適当であり、解像度、地肌汚れ等の画像特性及び帯電電位、感度等の電気特性上、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
【0163】
次に感光層が単層構成33の場合について述べる。感光層33は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体上に塗工及び乾燥することによって形成される。電荷発生物質及び電荷輸送物質は、前述の電荷発生層35及び電荷輸送層37で挙げた材料を使用することが可能である。また、結着樹脂としては、前述の電荷輸送層37で挙げた樹脂の他に、電荷発生層35で挙げた樹脂を混合して用いてもよい。また、結着樹脂として前述の高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は、5〜40重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。また、必要により前記の可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することもできる。感光層33の膜厚は5〜25μm程度が適当である。
【0164】
本発明においては、前記の電荷輸送層、電荷発生層もしくは感光層の上に最表面層として保護層が形成される。
感光体の保護層にはフィラーが含有され、特に耐摩耗性の向上に対して有効である。これらのフィラーとしては、各種有機フィラーや無機フィラーが含まれるが、それらの中でもシリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物が耐摩耗性や画質の面から有効に用いられる。これらの金属酸化物の中でも、画像ボケが発生しにくい金属酸化物としては、電気絶縁性が高い金属酸化物の方が好ましい。これらの金属酸化物としては、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン等が挙げられる。その中でもアルミナは有効に用いられ、特に光透過性が高く、熱安定性が高い上に、耐摩耗性に優れた六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上、塗膜品質、光透過性等の点から最も有効に使用することができる。一方、導電性金属酸化物を感光体の最表面に含有させた場合には、表面の抵抗が低下することによって電荷の横移動が起こり、画像ボケが発生しやすくなるため、添加量を制限し抵抗を制御することが必要である。これらの金属酸化物としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸価インジウム、酸価アンチモン、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の導電性材料が挙げられる。
【0165】
本発明において用いられる金属酸化物は、少なくとも一種の表面処理剤で表面処理を施すことが可能であり有効である。保護層に金属酸化物が含有された感光体は、オゾンやNOxガスにより画像ボケの影響が増加する傾向が見られるが、表面処理剤によって金属酸化物の比抵抗や等電点におけるpHを制御することが可能となり、表面処理剤によって画像ボケの抑制効果が大幅に高まる場合がある。金属酸化物の表面処理は、画像ボケの抑制効果だけでなく、金属酸化物の分散性を向上させる効果もあり、塗膜の光透過性の向上、塗膜欠陥の抑制、さらには耐摩耗性の向上や偏摩耗の抑制に対しても有効である。
表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、前述の金属酸化物の比抵抗や等電点におけるpHを維持できる表面処理剤が好ましい。前述の金属酸化物の等電点におけるpHは、表面処理によって変化させることができる。すなわち、酸性処理剤で処理した金属酸化物は酸性側に、塩基性処理剤で処理した金属酸化物は塩基性側に等電点が移動するため、本発明の構成においては、表面処理剤についてもより塩基性を示す処理剤を用いることが、金属酸化物の分散性や画像ボケ抑制の点から好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤等は特に有効に使用することができる。また、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理も金属酸化物の分散性及び画像ボケの点から好ましく用いられる。
【0166】
金属酸化物の平均一次粒径は、0.01〜3.0μmであることが光透過性や耐摩耗性の点から好ましく、0.1〜1.5μmがより好ましい。フィラーの平均一次粒径が非常に大きいと、画質劣化を引き起こし、本発明の効果が半減する恐れがある。また、感光体表面に形成される線状傷の幅が非常に大きくなり、それによって電荷の拡散領域が広がって画像流れの抑制効果が低下する。また、フィラーの沈降性が高くなり、液寿命が低減する恐れもある。フィラーの平均一次粒径がこれよりも小さいと、凝集性が高くなり、耐摩耗性の低下を引き起こす場合がある。フィラーの平均一次粒径を0.01〜3.0μmの範囲にすることにより、画質劣化が抑制され、感光体表面に形成される線状傷の幅も狭くすることが可能となり、それによって画像流れの抑制効果を高めることが可能となる。上記フィラーの分散性を高めるために、各種添加剤を添加することが可能であり有用である。特に、カルボン酸化合物は、金属酸化物の分散性やその安定性を高めるだけでなく、金属酸化物を添加したことによる残留電位上昇を抑制することが可能となる。その中でもポリカルボン酸系の湿潤分散剤は、それらの効果が高く非常に有効である。カルボン酸化合物としては、一般に知られている有機脂肪酸や高酸価樹脂あるいは共重合体等、分子構造中にカルボキシル基を含む化合物であればすべて使用することができる。例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、アジピン酸、オレイン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸等の如何なるカルボン酸をも使用することが可能である。また、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、末端カルボン酸不飽和ポリエステル、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸等、飽和もしくは不飽和の炭化水素を基本骨格とし、少なくとも一つ以上のカルボキシル基が結合されたポリマーやオリゴマーあるいはコポリマーはすべて含まれ、残留電位上昇を抑制する効果だけでなく、金属酸化物の分散性を向上させる効果が高いことから、より有効に用いられる。これらのカルボン保護層の結着樹脂には、高分子電荷輸送物質も有効に使用することが可能であり、電荷輸送層で記載された高分子電荷輸送物質はもちろん、如何なる高分子電荷輸送物質も有効に用いることができる。高分子電荷輸送物質を用いることによって、静電特性上残留電位や感度を維持しつつ、感光体の耐摩耗性や耐傷性を向上させることが可能となる。
【0167】
感光体の保護層にはさらに電荷輸送物質を含有させることも可能である。保護層に電荷輸送物質を含有させることによって残留電位の低減や感度劣化の抑制が可能となる。保護層に用いられる電荷輸送物質は、前述の電荷輸送層に記述されたすべての電荷輸送物質を使用することが可能である。
【0168】
感光体の保護層には、さらに各種酸化防止剤を添加することが可能であり有用である。本発明において含有される酸化防止剤には、フェノール系化合物類、ヒンダードフェノール系化合物類、ヒンダードアミン系化合物類、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機リン化合物類、ベンゾフェノン類、サルシレート類、ベンゾトリアゾール類、クエンチャー(金属錯塩系)等、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤がすべて含まれる。これらの酸化防止剤の中でも、長期間の繰り返し使用によるオゾンやNOx等の活性ガスから感光体の劣化を抑制し、画質安定性を高める上で効果が大きなものとしては、特にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物が有用であることが知られている。ヒンダードフェノール構造とは、フェノール性水酸基の両オルト位に嵩高い原子団が存在する構造を示す。一方、ヒンダードアミン構造とは、アミノ窒素原子近傍に嵩高い原子団が存在する構造を示し、芳香族アミンや脂肪族アミン系物質もこれに該当するが、より好ましくは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン構造を含んでいる化合物である。これらの両構造を有する化合物の作用機構の詳細は明らかではないが、嵩高い原子団が存在することにより立体障害が高められたことによって、アミノ窒素原子やフェノール性水酸基の熱振動を抑制し、ラジカル状態の安定性が高められたことによって外部からの活性ガスの影響を食い止めることができたものと推定される。ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物としては、種々のものが挙げられるが、中でも下記構造式で表される1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジンは特にオゾンやNOxガスによる解像度低下に対し有効かつ有用である。
【0169】
【化48】
Figure 2004279967
(H)
【0170】
感光体の保護層には、感光体に滑り性を付与する添加剤を添加することも可能であり、感光体の離型性を高めたり、耐摩耗性を高めたり、異物付着を抑制したりする上で非常に有効である。保護層に含有される滑り性を付与する化合物としては、添加することによって滑り性が付与されれば、いかなる材料を用いてもよいが、特にシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物が有効に用いられる。シリコーン系化合物とは、分子構造にSiを含有するものであればいかなるものでも含まれ、例えばシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シリコーン樹脂並びに樹脂微粒子などが挙げられる。フッ素系化合物とは、分子構造にFを含んでいるものであればいかなるものでも含まれ、フッ素変性シリコーンオイル、PTFE・PFA・PVDF等の各種フッ素樹脂並びに樹脂微粒子等が挙げられる。また、長鎖アルキル基含有化合物としては、長鎖アルキル基を含有する材料であればいかなるものでも含まれる。炭素数としてはC10、好ましくはC12以上が特に有効である。特に、金属石鹸類も好適に用いられ、その中でもステアリン酸亜鉛は有効かつ有用である。
保護層形成用塗工液に用いられる有機溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、これらの混合溶媒も有効に用いられる。一方、フィラーの分散手段としてはボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波等、従来公知の分散手段をすべて用いることが可能である。あるいは、バンバリーミキサー、ロールミル、2軸押出し機などの公知の装置を用い機械的に混合しペレット状に賦形する方法を挙げることもできる。押し出し賦形されたペレットは、幅広い温度範囲で成型可能であり、成型には通常の射出成型機が用いられる。
保護層の形成には、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等、従来の塗工方法を用いることができる。この中でも膜厚制御がしやすく、フィラーの分散性を良好に維持することが可能となり、さらに塗膜品質についても優位性があることからスプレーコートがより好ましい。
塗工された感光体は、加熱による乾燥工程を経て製造される。保護層の膜厚としては、0.5μm〜10μmが好ましく、2μm〜6μmがより好ましい。
【0171】
本発明においては、感光体の最表面に形成されるフィラーを含む保護層の表面に交差する微少な無数の線状傷が連続的に形成される。図4、図5、図6には本発明の感光体表面を表す一例を、図7、図8には形成した線状傷の断面図の一例を示した。本発明においては、フィラーを含む保護層に交差する無数の線状傷が形成されていればいかなる感光体も含まれる。このように、少なくとも2方向の無数の線状傷が交差することによって、いかなる方向に対する画像流れをも抑制することが可能となる。保護層に形成される線状傷はどのような形状でもよく、形成される線状傷の方向については特に限定されるものではない。また、線状傷は必ずしも直線である必要はなく、ある方向性を有していれば線状傷が曲線を描いていたり、波線を描いていたりしてもよい。線状傷は少なくとも2方向から交差することが画像流れを抑制する上で必要であるが、3方向あるいは4方向とより多く交差させることにより、電荷の拡散領域が限定されやすくなるため、画像流れの抑制に対し有効となる。また、形成される線状傷の幅が細いほど電荷の拡散幅が縮小され、高画質化に対し有利である。トナー幅よりも線状傷の幅の方が大きい場合には、トナー粒子が線状傷に入り込み、感光体を汚染させる恐れがあるため、少なくともトナー粒径よりも小さい方が好ましい。
【0172】
感光体表面に交差する線状傷を形成させる手段としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を応用することができる。作製された感光体の保護層に線状傷を形成したり、保護層を積層している段階で線状傷を形成することも可能であり、例えば作製された感光体の保護層表面に直接研磨物を当接して擦る方法、感光体の保護層表面に凹凸を有する金型を押し当てる方法、感光体の保護層を塗工している段階で線状傷を形成する方法等、いかなる方法を応用することが可能である。感光体の保護層表面に当接させる研磨物としては、天然繊維、化学繊維、ガラス繊維、フェルト、布等の繊維類、サンドペーパー等のペーパー類、フィルム等のプラスチック類など、感光体の保護層表面に線状傷を形成させるものであればいかなる形状及び材質のものであっても使用できる。
【0173】
本発明の感光体においては、導電性支持体31と感光層33との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0174】
本発明の感光体においては、下引き層と感光層との間あるいは感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0175】
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の少なくとも1層ないし各層に、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質及びレベリング剤を添加することが出来る。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
【0176】
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロ−ル類などがある。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなどがある。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどがある。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなどがある。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなどがある。
【0177】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなどがある。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなどがある。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなどがある。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなどがある。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなどがある。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなどがある。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなどがある。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなどがある。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなどがある。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなどがある。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなどがある。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなどがある。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなどがある。
【0178】
各層に添加できる潤滑性物質としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなどがある。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などがある。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなどがある。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなどがある。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなどがある。
(f)金属石鹸
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどがある。
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなどがある。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物などがある。
【0179】
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなどがある。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなどがある。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなどがある。
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなどがある。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなどがある。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどがある。
【0180】
次に、図面を用いて本発明の画像形成装置全体を詳しく説明する。なお、以下に示す図や説明は本発明を説明するための一例であり、これに限定されるものではない。
【0181】
図9は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図である。感光体1は本発明の感光体が用いられている。感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
帯電部材3は、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)等による非接触帯電や帯電ローラーあるいは帯電ブラシによる接触帯電のいずれも使用することが可能である。さらに、帯電ローラー16を用いる場合、図10に示されるように感光体あるいは帯電ローラー16にギャップを設けて、感光体と帯電ローラーとが画像形成領域18において非接触となるように近接配置させることも可能であり有効である。特に、感光体表面に潤滑性物質を付着させた場合に、それらが帯電ローラーに付着することによって、帯電ローラーの汚染を促進させる場合がある。帯電ローラー16の汚染は帯電ムラを引き起こしたり、感光体の汚染を促進させたりする恐れがある。従って、帯電ローラー16と感光体1とが近接配置されていることによって、それらを抑制させる効果が得られる場合があるため有効である。感光体1に対し帯電部材16が近接配置させる方法としては、感光体1の非画像形成領域にギャップを設ける必要があるが、それは例えば、ギャップ材17を帯電部材に設けたり、感光体側に設けたり、あるいは感光体の両端にセットされるフランジ部に設けることによって形成することが可能であり、本発明においては感光体と帯電部材とが近接配置されていれば如何なる方法でも可能である。このようにギャップ材を使用する場合、ギャップ材17は絶縁性である必要があり、耐摩耗性の高い材料が有効に用いられる。ギャップ材はテープ状、シール状もしくはチューブ状等、如何なる形態のものでも使用できる。ギャップの厚さは、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、さらに好ましくは40〜80μmである。ギャップがこれよりも小さい場合には、帯電部材と感光体の接触が多くなり、近接配置させたメリットが得られず画質劣化の影響が増加し、ギャップがこれよりも大きい場合には帯電の安定性が低下し帯電ムラが発生する場合がある。また、帯電部材には直流成分に交流成分を重畳して感光体に帯電を付与することが可能である。交流成分を重畳することによって、帯電ムラを低減することが可能となり、それによって画像濃度ムラやコントラストの低下を抑制することが可能となり有用である。
コロトロンやスコロトロンによるコロナ帯電方式は、感光体表面への放電生成物の付着量は比較的少ない傾向にあるものの、オゾン発生量は非常に多くなる傾向にある。一方、帯電ローラーを用いた場合にはオゾン発生量は軽減できるものの、放電生成物の付着量が増加する傾向にある。オゾンも放電生成物も画像流れ等に大きな影響を及ぼす因子であるが、本発明は放電生成物の付着による画像流れに対する抑制手段であるため、帯電手段に帯電ローラーを用いた場合にその効果がより発揮されることになる。
【0182】
次に、均一に帯電された感光体上に静電潜像を形成するために画像露光部5が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0183】
次に、感光体上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット6が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法等がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
【0184】
フルカラー用電子写真装置における現像ユニット6は、少なくともイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応したユニットを有しており、1つの感光体に4色の現像ユニットが近接された方式や、1つの現像ユニットに4色のトナーが分別されて充填され、ユニット自体が4段階に回転することによって4色の現像を順次行う、リボルバー方式や、4色のトナーが充填された各々4つのユニットに対し4つの感光体が配置された図12に示すタンデム方式等が挙げられる。
【0185】
トナーの作製は、粉砕あるいは重合による方法が一般的となっているが、近年重合による方法が用いられるようになってきている。重合によって球形の形状のトナーが得られやすいことが知られているが、トナーが球形あるいは略球形の形状を有することによって離型性が向上するため、転写時に感光体に残存するトナーが少なく、転写効率の向上及び中抜け等の異常画像の抑制が実現できる。しかし、球形あるいは略球形トナーはクリーニング性を著しく低下させるため、従来は球形あるいは略球形の形状を避けて作らざるを得ず、それによって十分な転写効率が得られていないのが実情であった。本発明は感光体に交差する線状傷を形成したことにより、転写効率に対しては離型性向上によってさらなる効果を与えると共に、クリーニング性を大幅に向上させることが可能である。感光体表面に形成される線状傷が一方向の場合で、特にそれが感光体の周方向に形成されていた場合には、球形あるいは略球形トナーは転がりやすくクリーニング性を大幅に低下させることになるが、本発明では線状傷が交差して形成されていることから、トナーの動きを抑えることが可能となり、またクリーニングブレードと感光体との接触面積が減少したことにより、クリーニングブレードの過剰な摩擦を低減できたことによりクリーニング性の向上が可能となった。
【0186】
次に、感光体上で可視化されたトナー像は紙上、もしくは中間転写体に転写される。図11は、本発明における感光体1に中間転写ベルト20が接触し、感光体と紙とが直接接触しない構成を有する画像形成装置を説明するための概略図である。なお、中間転写体はドラム状であっても、シート状あるいはエンドレスベルト状であってもよい。中間転写体もしくは中間転写ベルト20上に形成されたトナー像は、直ちに紙9に転写される。これらの転写手段としても、転写チャージャー、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式等、従来の方式が利用可能である。
【0187】
感光体からトナーが転写されるとき、感光体の離型性が低いと、トナーが感光体に残存してしまい、中抜けの原因となったり、転写効率の低下による画質劣化の原因となる。本発明においては、感光体表面の離型性を向上させる効果も得られたことから、転写効率の向上並びに中抜けの抑制をも同時に改善することが可能となった。また、感光体に中間転写ベルトが接触し、感光体と紙とが直接接触しない構成を有することによって、感光体表面の紙粉付着を抑制する効果が得られるため、本発明においてはより好ましい。感光体表面への放電生成物やトナー外添剤の付着は、紙粉を引き寄せるため、フィルミングが促進される場合があるが、中間転写ベルトを用いて感光体と紙とが直接接触していないことによって、その影響を大幅に抑制することが可能となる。
【0188】
また、図12にはタンデム方式でかつ中間転写ベルト20が具備された画像形成装置の概略図を示す。上記タンデム方式の画像形成装置において、各感光体上に形成されたトナー像を中間転写体もしくは中間転写ベルト20等に一次転写を行い、その後転写体(紙)9に二次転写を行うことによって、各感光体と紙9とが直接接触しない構成とすることは前記のとおり高耐久化、高画質化に対し非常に有効である。特に、タンデム方式の画像形成装置のおいては、感光体間における経時劣化変動を可能な限り少なくする必要があり、感光体表面の摩耗量はもちろん、感光体表面への汚染の影響に感光体間で大きな差が生じてくると、4本の感光体により一つの画像を形成する機構上、色再現性や解像度低下等、画像劣化を引き起こすことになる。特に、中抜けが起こると色再現性が低下することにもなり、カラー画像の場合その画質劣化の影響は非常に大きくなる。また、タンデム方式の場合には、感光体表面の汚染物質である放電生成物、トナー外添剤、紙粉の中でも紙粉による影響の度合いが大きい傾向にある。それは、少なくとも4色の転写が終わるまで各感光体は紙と接触している必要があることや、印刷する色の種類によって各色のトナー使用量に差が生じてくるのに対し、トナー使用量に関わらず感光体は絶えず紙と接触している必要があることによる。例えば、ブラックのみの印刷を行う場合には、ブラック以外の3つの感光体は紙に接触しないようにする機構などが考えられてはいるものの、実際には単色のみによる印刷需要は少なく、紙粉による影響が大きくなるのが一般的となっている。これらのことから、タンデム方式の画像形成装置において、感光体上のトナー像を中間転写体もしくは中間転写ベルトに一次転写させることによって、感光体と紙とが直接接触しない構成とした場合、本発明の感光体を用いることにより、感光体の高耐久化だけでなく、画像ボケやフィルミングの抑制、色再現性や解像度の向上等に特に有効となる。
【0189】
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするために、ファーブラシやクリーニングブレードあるいはそれらを併用して用いられるが、本発明においては、感光体表面に残存したトナーだけをクリーニングするのではなく、感光体に付着した放電生成物をも除去する必要があるため、特にクリーニング手段にはクリーニングブレードが好適に用いられる。感光体表面に交差する線状傷を形成したことによって、感光体とクリーニングブレードとの接触面積を減少させ、それによって過剰な摩擦を抑え、クリーニング性を向上させることが可能となる。また、線状傷に放電生成物が入り込み、放電生成物の残存する箇所を区別できたことにより、画像流れの影響を抑制できたと同時に、感光体表面に付着した放電生成物のクリーニング性が向上し、これにより画質の向上並びにその安定性を高めることが可能となる。
【0190】
滑り性を付与するために、感光体表面に滑性成分を含む化合物を付着させることも可能である。それによって、感光体の離型性を高めたり、耐摩耗性を高めたり、異物付着を抑制したりする上で非常に有効である。特に、放電生成物のクリーニングに対しても有効であり、本発明の感光体と組み合わせることにより相乗効果を得ることが可能となる。保護層に含有される滑り性を付与する化合物としては、添加することによって滑り性が付与されれば、いかなる材料を用いてもよいが、特にシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物が有効に用いられる。シリコーン系化合物とは、分子構造にSiを含有するものであればいかなるものでも含まれ、例えばシリコーン樹脂並びに樹脂微粒子などが挙げられる。フッ素系化合物とは、分子構造にFを含んでいるものであればいかなるものでも含まれ、PTFE・PFA・PVDF等の各種フッ素樹脂微粒子等が挙げられる。また、長鎖アルキル基含有化合物としては、長鎖アルキル基を含有する材料であればいかなるものでも含まれ、特にステアリン酸亜鉛は有効に用いられる。その他、ポリオレフィン系樹脂、シリコングリース、フッ素グリース、パラフィンワックス、脂肪酸エステル類、黒鉛、二硫化モリブデン等が挙げられる。感光体表面にこれらの滑り性を付与する化合物を付着させることによって、感光体に離型性を与える効果の持続性が著しく向上されたものの、その付着量を制御することが難しく、過剰に付着するとフィルミングを助長したり、異常画像や偏摩耗を引き起こす原因となっていた。本発明においては、感光体表面に交差する線状傷を形成したことにより、これらの滑性成分を含む化合物がその傷に入り込むことによって、感光体表面に付与される滑り性の効果の持続性が高まり、それによって少ない付着量でも十分な効果が得られたことにより感光体表面の汚染を抑制することが可能となり、異常画像の発生や偏摩耗を抑制することが可能となる。
【0191】
これらの滑性成分を含む化合物を感光体表面に付着させる手段としては、いかなる方法でも使用することができるが、具体的には感光体表面にこれら化合物の固形物を直接接触させる方法や感光体にブラシを接触させ、ブラシを介して付着させる方法あるいは現像剤にこれらの化合物を混合して付着させる方法などが挙げられる。
【0192】
本発明における感光体表面に形成される線状傷は、感光体未使用時に形成されていることが好ましいが、感光体の使用経時で摩耗の影響が生じるため、使用経時でも線状傷を形成させることがより効果的であり、それによって耐摩耗性と画質安定化の両立が可能となり、感光体の寿命を大きく向上させることが実現できる。そのため、画像形成装置内に感光体表面に線状傷を形成する手段を含むことが好ましい。
【0193】
本発明の感光体表面に交差する線状傷を形成させる手段を含む画像形成装置については、いかなる手段を用いることも可能であるが、画像形成装置の使用経時で感光体に研磨物を押し当て擦る手段が特に有効である。研磨物を感光体に接触させて、感光体の軸方向に往復運動させたり、感光体を回転させたり、あるいはそれらを同時に動かすことによって、いかなる方向に対しても線状傷を形成することができる。また、感光体の使用経時で主に現像剤とクリーニングブレードとによって形成される感光体の傷についても、本発明の線状傷に含まれる。但し、感光体に形成される傷はそのほとんどが感光体の周方向への一方向の傷であるため、上記手段はその傷とは交差する方向にさらに線状傷を形成させる必要があり、好ましくはその傷に対し45〜135度の範囲で交差させることが有効である。それによって、あらゆる方向のラインに対しても画像流れを抑制することが可能となる。また、上記研磨物を感光体に押し当て擦ることによって線状傷が形成されるが、それと同時に感光体表面に付着したフィルミング物を除去できる効果も発揮され、画質安定化に対しさらなる効果を得ることができる。研磨物を押し当て擦ることにより、感光体の耐摩耗性が低下するが、この動作は常時行う必要はないため感光体の耐摩耗性に与える影響は大きくはない。
【0194】
次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ、除電チャージャーが用いられ、それぞれ上記露光光源、帯電手段を利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは従来公知のものが全て使用できる。
【0195】
以上の図示した画像形成プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、及びその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
【0196】
これらの画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれらの装置内に組み込まれ、着脱自在の構成としたものであってもよい。図13は、電子写真装置用プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。本発明における画像形成装置用プロセスカートリッジとは、感光体及びクリーニング手段を内蔵し、他に帯電手段、現像手段、転写手段、除電手段の少なくとも一つを一体化し、画像形成装置本体に対して着脱可能とした部品である。本発明には、前記感光体が画像形成装置本体に対して着脱自在の構成を有するプロセスカートリッジに内蔵され、かつ前記プロセスカートリッジがタンデム方式の画像形成装置に内蔵された画像形成装置や、プロセスカートリッジに内蔵された前記感光体が転写工程において直接紙と接触しない構成を有する画像形成装置、及びそれらを組み合わせた画像形成装置、並びにそれらのプロセスカートリッジがすべて含まれる。
【0197】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
【0198】
感光体製造例1
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、約3.0μmの下引き層、約0.2μmの電荷発生層、約20μmの電荷輸送層を形成した。さらに、その上に下記組成の保護層塗工液を用いて約5μmの保護層を積層し、電子写真感光体1を作製した。
下引き層塗工液
下引き層塗工液の構成成分比を下記に示す。
Figure 2004279967
電荷発生層塗工液
電荷発生層塗工液の構成成分比を下記に示す。
Figure 2004279967
【化49】
Figure 2004279967
Figure 2004279967
電荷輸送層塗工液
電荷輸送層塗工液の構成成分比を下記に示す。
Figure 2004279967
【化50】
Figure 2004279967
Figure 2004279967
保護層塗工液
保護層塗工液の構成成分比を下記に示す。
Figure 2004279967
【0199】
感光体製造例2
感光体製造例1において、保護層塗工液を下記組成の保護層塗工液に変更した以外は、すべて感光体製造例1と同様にして電子写真感光体2を作製した。
[保護層塗工液]
Figure 2004279967
【0200】
感光体製造例3
感光体製造例1において、保護層塗工液を下記の組成に変更した以外は、すべて感光体製造例1と同様にして電子写真感光体3を作製した。
保護層塗工液
Figure 2004279967
【0201】
感光体製造例4
感光体製造例1において、保護層塗工液を下記の組成に変更した以外は、すべて感光体製造例1と同様にして電子写真感光体4を作製した。
保護層塗工液
Figure 2004279967
【0202】
感光体製造例5
感光体製造例1において、保護層塗工液を下記の組成に変更した以外は、すべて感光体製造例1と同様にして電子写真感光体5を作製した。
保護層塗工液
Figure 2004279967
【0203】
【化51】
Figure 2004279967
Figure 2004279967
【0204】
感光体製造例6
感光体製造例1において、保護層塗工液を下記の組成に変更した以外は、すべて感光体製造例1と同様にして電子写真感光体6を作製した。
保護層塗工液
Figure 2004279967
【0205】
感光体製造例7
感光体製造例1において、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液及び保護層塗工液を下記のものに変更した以外は、感光体製造例1と同様にして、電子写真感光体7を作製した。
電荷発生層塗工液
Figure 2004279967
電荷輸送層塗工液
Figure 2004279967
保護層塗工液
Figure 2004279967
【0206】
感光体製造例8
感光体製造例1において、電荷輸送層の膜厚を約25μmとし、その上に保護層を形成しなかった以外はすべて感光体製造例1と同様にして、電子写真感光体8を作製した。
【0207】
実施例1
電子写真感光体1をプラスチック製のラッピングフィルムシート(粒度15μm、3M製)を用いて、図7に示すような交差する線状傷を形成した。線状傷の幅は平均3.5μm、線状傷間の間隔は最大20μm、線状傷の交差角度は60〜120度であることを感光体のレーザー顕微鏡観察によって確認した。
【0208】
実施例2
電子写真感光体2をプラスチック製のラッピングフィルムシート(粒度15μm、3M製)を用いて、図8に示すような交差する線状傷を形成した。線状傷の幅は平均3.5μm、線状傷間の間隔は最大10μm、線状傷の交差角度は30〜60度であることを感光体のレーザー顕微鏡観察によって確認した。
【0209】
実施例3
電子写真感光体3をサンドペーパー(#1000)を用いて、図6に示すような交差する線状傷を形成した。線状傷の幅は平均3μm、線状傷間の間隔は最大15μm、線状傷の交差角度は90度であることを感光体のレーザー顕微鏡観察によって確認した。
【0210】
実施例4
電子写真感光体4において、保護層を形成した後、直ちに微細な凹凸形状を有する金型に接触させ、感光体表面に図7に示される形状を有する線状傷を交差させて形成した。線状傷の幅は平均5μm、線状傷間の間隔は最大30μm、線状傷の交差角度は90度であることを感光体のレーザー顕微鏡観察によって確認した。
【0211】
実施例5
電子写真感光体6を回転ブラシに接触させて、図6に示すような交差する線状傷を形成した。線状傷の幅は平均4μm、線状傷間の間隔は最大40μm、線状傷の交差角度は約90度であることを感光体のレーザー顕微鏡観察によって確認した。
【0212】
実施例6
電子写真感光体7を研磨用砥石に接触させ、図6に示すような交差する線状傷を形成した。線状傷の幅は平均5μm、線状傷間の間隔は最大30μm、線状傷の交差角度は約90度であることを感光体のレーザー顕微鏡観察によって確認した。
【0213】
以上のように作製した実施例1〜6の電子写真感光体を、電子写真装置用プロセスカートリッジに装着し、画像露光光源の波長が655nm(但し、電子写真感光体7のみ780nm)の半導体レーザーを用い、帯電ローラー及びクリーニングブレードを装着した(株)リコー製デジタル複写機改造機にて、画像出力を行った。なお、トナーは非球形状で粒径が約8μmのものを使用した。
次に現像及びクリーニングブレードを除去したプロセスカートリッジに感光体を移し、転写もはずして帯電のみでのフリーランを30℃90%RHの環境下で30分実施した。その後通常のプロセスカートリッジに戻し画像出力を行った。さらに、上記実施例1〜6の電子写真感光体について常温常湿(25℃60%RH)環境下においてそれぞれ5万枚の通紙ランを行い、ラン前後の膜厚差から摩耗量を求めた。なお、図15あるいは図16に示す方法を用いて1万枚毎に感光体の軸方向に線状傷を形成した。5万枚印刷後、感光体を30℃90%RHの環境下に移し画像出力を行った。画像ランクは以下の記号によって区別した。
◎:画像流れが認められず良好な画像
○:画像流れは認められるが、品質上問題ないレベル
△:画像流れが明らかにわかり文字が読みにくく、ドットの散りも目立つレベル
×:画像流れによってドットが完全に散っており、文字も判読できないレベル
【0214】
【表1】
Figure 2004279967
【0215】
比較例1
電子写真感光体1に線状傷をまったく形成しなかった。
【0216】
比較例2
電子写真感光体2をプラスチック製のラッピングフィルムシート(粒度15μm、3M製)を用いて、感光体の周方向のみに線状傷を形成し傷を交差させなかった。線状傷の幅は平均3.5μm、線状傷間の間隔は最大20μmであることを感光体のレーザー顕微鏡観察によって確認した。
【0217】
比較例3
電子写真感光体3をプラスチック製のラッピングフィルム(粒度15μm、3M製)を用いて、感光体の周方向のみに線状傷を形成し傷を交差させなかった。線状傷の幅は平均3.5μm、線状傷間の間隔は最大20μmであることを感光体のレーザー顕微鏡観察によって確認した。
【0218】
比較例4
電子写真感光体4をサンドペーパー(#2000)を用いて、感光体の軸方向のみに線状傷を形成し傷を交差させなかった。線状傷の幅は平均2.5μm、線状傷間の間隔は最大10μmであることを感光体のレーザー顕微鏡観察によって確認した。
【0219】
比較例5
電子写真感光体5を回転ブラシに接触させて、感光体の周方向のみに線状傷を形成し傷を交差させなかった。線状傷の幅は平均4μm、線状傷間の間隔は最大40μmであることを感光体のレーザー顕微鏡観察によって確認した。
【0220】
比較例6
電子写真感光体7に線状傷をまったく形成しなかった。
【0221】
以上のように作製した比較例1〜6の電子写真感光体を、電子写真装置用プロセスカートリッジに装着し、画像露光光源の波長が655nm(但し、電子写真感光体8のみ780nm)の半導体レーザーを用い、帯電ローラー及びクリーニングブレードを装着した(株)リコー製デジタル複写機改造機にて、画像出力を行った。なお、トナーは非球形状で粒径が約8μmのものを使用した。
次に現像及びクリーニングを除去したプロセスカートリッジに感光体を移し、転写もはずして帯電のみでのフリーランを30℃90%RHの環境下で30分実施した。その後通常のプロセスカートリッジに戻し画像出力を行った。さらに、上記比較例1〜6の電子写真感光体について常温常湿(25℃60%RH)環境下においてそれぞれ5万枚の通紙ランを行い、ラン前後の膜厚差から摩耗量を求めた。なお、通紙ラン経時で線状傷の形成は行わなかった。5万枚印刷後、感光体を30℃90%RHの環境下に移し、画像出力を行った。
画像ランクは以下の記号によって区別した。
◎:画像流れが認められず良好な画像
○:画像流れは認められるが、品質上問題ないレベル
△:画像流れが明らかにわかり文字が読みにくく、ドットの散りも目立つレベル
×:画像流れによってドットが完全に散っており、文字も判読できないレベル
【0222】
【表2】
Figure 2004279967
【0223】
表1及び表2の結果より、感光体の保護層表面に交差する線状傷を形成した後、高温高湿下帯電のみのフリーランを実施し強制的に一定量の放電生成物を付着させても、画像流れは抑制されることが確認できた。帯電のみのフリーランによって一部画質が低下していても、出力枚数の増加によって即時に回復性が認められ、傷に放電生成物が閉じ込められ画像流れの影響が軽減されていることがわかる。
また、全体的に耐摩耗性が高くなるに従い、画像流れの影響が増加する傾向に見られるが、耐摩耗性が高くても高分子電荷輸送物質を用いたり、感光体の最表面層に潤滑性を有する材料を添加することによって、効果が高くなる傾向が見られている。一方、感光体表面に交差する線状傷を形成しなかったり、線状傷を形成しても交差させなかったりした場合には、画像流れ抑制効果が得られておらず、たとえ潤滑性物質を添加してもその効果は十分ではなかった。これらの傾向は、長期に渡る通紙ランの結果にも反映されており、これによって耐摩耗性と画像流れ抑制が両立された。
【0224】
次に、作製した実施例1〜6及び比較例1〜6の電子写真感光体を、電子写真装置用プロセスカートリッジに装着し、画像露光光源の波長が655nmの半導体レーザーを用い、図12に示す帯電方式及びクリーニングブレードを装着し、さらに略球形トナーを用いた(株)リコー製フルカラープリンタ改造機にて、画像出力を行い、経時における画像評価を行った。略球形トナーの粒径は約6μmであった。
画像ランクは以下の記号によって区別した。
◎:画像欠陥が一切なく良好な画像
○:画像品質上問題ないレベル
△:画像欠陥が確認されるが、判読可能なレベル
×:画像欠陥が多発し、判読不可能なレベル
【0225】
【表3】
Figure 2004279967
【0226】
表3の結果より、球形もしくは略球形トナーを用いた場合には、クリーニング不良によりスジ状の画像欠陥が発生する傾向が認められた。感光体の軸方向に線状傷を形成したり、感光体の表面に潤滑性物質を添加することにより若干抑制できるものの、効果としては不十分であった。しかし、本発明の交差する線状傷を感光体の表面に形成することによって、クリーニング不良に伴うスジ状の画像欠陥を抑制することが可能となり、球形もしくは略球形トナーを使いこなすことが可能となった。
【0227】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によれば、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置に使用される電子写真感光体において、前記電子写真感光体の表面にフィラーを含有した保護層が積層され、かつ該保護層の表面に互いに交差する無数の線状傷が連続的に形成されていることを特徴とする電子写真感光体により、電子写真感光体の保護層にフィラーを含有し、かつその表面に交差する線状傷を形成することによって、感光体の耐摩耗性の向上と同時に、放電生成物が感光体の表面に付着しても画像流れを抑制することが可能となった。感光体の表面に形成される線状傷が少なくとも2方向より交差させることによって、あらゆる角度を有する書き込みラインに対しても像流れ抑制効果を得ることが可能となった。これにより感光体の耐摩耗性の向上と画像流れの抑制を両立することが可能となった。
【0228】
請求項2によれば、前記線状傷の幅が、トナー粒子の粒径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体により、電荷の拡散領域を十分に小さくすることができ、それによって画像流れの抑制効果が高くなった。また、傷にトナーが入り込まないことによって画像欠陥を防止する効果も有し、それによって高画質化を実現することが可能となる。
【0229】
請求項3によれば、前記線状傷の交差角度が、45〜135度の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体により、交差する線状傷の交差角度が小さい場合には、線状傷を交差させたことによる効果が低減し、書き込んだラインの角度によって画像流れ抑制効果が減少し、十分な抑制効果が得られないが、少なくとも交差角度を45〜145度の範囲内になるように形成することによって、あらゆる方向のラインやドットに対しても画像流れを抑制することが可能となり、画像流れ抑制効果を十分に得ることが可能となる。
【0230】
請求項4によれば、前記線状傷間の間隔が、50μm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真感光体によれば、感光体表面に形成される線状傷間の間隔が大きすぎたり、間隔が不均一であったり、感光体表面上に線状傷の領域が少なくなると放電生成物の閉じ込め効果が減少したりムラが発生し、画像流れの影響が増加するのに対し、線状傷間の間隔を少なくとも50μm以下にすることにより、画像流れの抑制効果にムラがなく、十分な効果を得ることが可能となる。
【0231】
請求項5によれば、前記フィラーが、金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体によれば、フィラーが金属酸化物であることによって、感光体の耐摩耗性の向上に特に有効となる。また、本発明においてはくり返し使用によって現像剤やクリーニングブレード等から感光体表面に形成される傷も線状であって、本発明の線状傷として扱うこともできる。この場合、金属酸化物は硬度が高く、研磨性を有するものが多いため、感光体の耐摩耗性を高める効果だけでなく、感光体の最表面に線状傷を形成させる上でも有効である。特に、これらの金属酸化物を感光体表面に含有させたことにより形成される線状傷の形状は、傷の幅が狭いなど、画像流れの抑制効果を高めることが可能となる。
【0232】
請求項6によれば、前記フィラーの金属酸化物がアルミナであることを特徴とする請求項1又は5に記載の電子写真感光体によれば、金属酸化物にアルミナを用いることによって、オゾンやNOxによる画像流れや高温高湿環境下における画像ボケを抑制することが可能となる。アルミナを保護層に含有し、かつその表面に交差する線状傷を形成することにより、さらに帯電生成物の付着による画像流れを抑制することが可能となり、これにより感光体の耐摩耗性の向上と同時に、多くの画像欠陥を抑制することが可能となる。
【0233】
請求項7によれば、前記フィラーの平均一次粒径が、0.01〜3.0μmであることを特徴とする請求項1、5、6のいずれか1項に記載の電子写真感光体によれば、フィラーの平均一次粒径が非常に大きいと、画質劣化を引き起こし、本発明の効果が半減する恐れがある。また、感光体表面に形成される線状傷の幅が非常に大きくなり、それによって電荷の拡散領域が広がって画像流れの抑制効果が低下する。フィラーの平均一次粒径を0.01〜3.0μmの範囲にすることにより、画質劣化が抑制され、感光体表面に形成される線状傷の幅も狭くすることが可能となり、それによって画像流れの抑制効果を高めることが可能となる。
【0234】
請求項8によれば、前記保護層に含有されるバインダー樹脂が、ポリカーボネート樹脂あるいはポリアリレート樹脂、アクリル系もしくはメタクリル系樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体によれば、保護層に含有されるバインダー樹脂によって、感光体の耐摩耗性が変わるだけでなく、感光体表面に形成される線状傷の幅も変化し、それは画像流れ抑制効果に大きく影響する。バインダー樹脂に少なくともポリカーボネート樹脂あるいはポリアリレート樹脂、アクリル系もしくはメタクリル系樹脂を用いることによって、画像流れ抑制効果を十分に発揮させることが可能となる。
【0235】
請求項9によれば、前記保護層に含有されるバインダー樹脂が、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体によれば、バインダー樹脂とともに電荷の移動のために電荷輸送物質を含有することによって露光部電位の安定化が図られ、画像品質の安定化が実現されるが、バインダー樹脂として電荷輸送機能とバインダー機能とを併せ持つ高分子電荷輸送物質を用いることによって、感光体の耐摩耗性のさらなる向上が実現できると同時に、感光体表面に形成される線状傷の幅を狭くすることが可能となる。それにより、画像流れ抑制効果を向上させることが可能となる。
【0236】
請求項10によれば、前記バインダー樹脂が、熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1、8、9のいずれか1項に記載の電子写真感光体により、バインダー樹脂を硬化して用いることにより、感光体の耐摩耗性をさらに高めることが可能となり、本発明の効果をより一層発揮させるに適している。また、硬化性樹脂をバインダー樹脂として用いることにより、感光体の最表面層の塗工後に交差する無数の線状傷を形成し、その後硬化させるなど、線状傷を形成しその効果の安定化を実現する上で非常に有効な手段となることが可能となる。
【0237】
請求項11によれば、前記保護層に、さらにシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物の少なくとも1種が含有されていることを特徴とする請求項1又は8から10のいずれか1項に記載の電子写真感光体により、保護層にシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物の少なくとも1種を含有させると、感光体表面の摩擦係数が低減し、放電生成物のクリーニング性が向上することにより除去しやすくなる効果が得られる。表面が粗面化され離型性が向上したことによる効果と相まって、画像流れ抑制効果がさらに高めることが可能となる。また、これらの化合物を感光体表面に含有させても、従来は摩擦係数低減効果の持続性に非常に乏しいものであったが、本発明においては保護層に交差する線状傷が形成されていることにより、摩擦係数低減効果の持続性を高めることが可能となる。また、放電生成物は摩擦係数を上昇させる原因でもあるため、それらを線状傷内に閉じ込めることによって、摩擦係数低減効果の持続性が大幅に高まり、多くの相乗効果を得られることにより、高画質化並びにその安定化に対し大きな効果を得ることが可能となる。
【0238】
請求項12によれば、前記シリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物が、微粒子の形状を有しており、且つ前記保護層に分散されてなることを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体によれば、従来の電子写真感光体の表面に、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物等のような潤滑性物質を微粒子として含有させ、画像形成装置内に感光体表面に線状傷を形成する手段を含む場合、感光体表面に線状傷を形成する工程において、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物が微粒子の形状を有し、且つ感光体の最表面層に分散されていることにより、感光体表面にこれらの化合物の供給性が向上し、摩擦係数の持続性を著しく高めることが可能となる。それによって、画像流れ抑制効果をより一層高めると同時に、フィルミングや異物付着を防止したり、転写効率が向上したり、さらなるクリーニング性が向上するなど、画質安定性に対し多くの効果を同時に得ることが可能となる。
【0239】
請求項13によれば、電子写真感光体に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1から12のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置によれば、これらの電子写真感光体を画像形成装置に用いることによって、画像流れの影響が抑制され、高画質化並びに画質安定化が実現される。これによって、画像形成装置の寿命を延ばすことが可能となる。
【0240】
請求項14によれば、前記帯電手段に帯電ローラーを用いることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置により、画像形成装置において、帯電手段として帯電ローラーを用いた場合、コロナ帯電の手段に比べてオゾン発生量が極めて少なく、オゾンやNOxガスによる画像ボケの影響を軽減させることが可能とり、放電生成物の付着量は帯電ローラーの方が非常に多くなるが、本発明は、放電生成物が付着しても画像流れの発生を抑制させる方法であり、帯電ローラー及び本発明の感光体を用いることにより、オゾンやNOxガスによる画像ボケと放電生成物付着による画像流れの両方の抑制が一度に実現が可能となる。
【0241】
請求項15によれば、前記現像時に用いられるトナーが球形もしくは略球形であることを特徴とする請求項13又は14に記載の画像形成装置により、球形トナーを用いることによって、転写効率が向上し高画質化に対し非常に有効であるが、球形であることによりクリーニング性が大幅に低下するため使用する上で不具合が生じるのに対し、本発明では、保護層表面に交差する線状傷が形成されたことによって、球形トナーの転がりを抑えると同時に感光体の離型性を高めることが可能となりクリーニング性を向上させる効果が可能となる。感光体表面の線状傷が一方向の場合では転がりを抑制できず十分なクリーニング性は得られないが、少なくとも2方向から交差する線状傷を形成することにより、トナーの転がりを抑え、さらに離型性をより高めることが可能となり、それによってクリーニング性が顕著に高まり、球形トナーを使いこなすことが可能となり、それによって高画質化及び画質安定化に対し顕著な効果を得ることが可能となる。
【0242】
請求項16によれば、該電子写真感光体にトナー像を現像した後、中間転写体もしくは中間転写ベルトを介して紙に転写する転写手段を有することを特徴とする請求項13から15のいずれか1項に記載の画像形成装置により、感光体から中間転写体もしくは中間転写ベルトへトナーを転写させる工程において、感光体からトナーが転写されずに残ってしまい、中抜け等の画像欠陥が発生しやすくなる不具合があるのに対し、本発明においては、感光体表面に交差する線状傷が形成されているために、感光体とトナーの過剰な付着力を低減することが可能となり、それによって中間転写体もしくは中間転写ベルトへの転写性を高めることが可能となる。それによって、中抜け等の画像欠陥を抑制することが可能となり、高画質化が実現される。また、転写効率が向上できたことにより、クリーニングに与える負荷を低減させ、クリーニング効率の向上にも寄与できる。
【0243】
請求項17によれば、前記画像形成装置において、前記クリーニング手段に少なくともクリーニングブレードを用いていることを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載の画像形成装置により、本発明におけるクリーニング工程は、トナー粒子だけをクリーニングするのではなく、感光体に付着した放電生成物をも除去する効果が要求されるが、この場合、クリーニングブラシよりも感光体の表面に常に接触しているクリーニングブレードが有効である。クリーニングブレードを用いることによって、感光体表面に付着した放電生成物のクリーニングにも効果が得られる上に、形成した線状傷に放電生成物を閉じ込める上でも好適かつ有効なクリーニング方法である。
【0244】
請求項18によれば、前記電子写真感光体表面にシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物を付着させる手段を有することを特徴とする請求項13から17のいずれか1項に記載の画像形成装置により、保護層表面にシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物等の滑性成分を含む化合物を付着させることによって感光体表面に滑り性を付与し、それによって離型性を高めたり、異物付着を軽減したり、摩耗量を低減させたり、多くの効果を得ることができるが、本発明においては感光体表面に少なくとも2方向から交差する線状傷を形成したことによって、それらの滑性成分を含む化合物が線状傷に入り込み、感光体表面全体を汚染することなく、滑り性を付与する効果の持続性が高まる。さらに、それによって滑性成分を含む化合物の使用量は少なくすることも可能であり、これらの滑性成分を含む化合物の過剰な付着によって引き起こされていた異常画像の発生を抑制することも可能となる。
【0245】
請求項19によれば、前記電子写真感光体の最表面に互いに交差する無数の線状傷を形成する手段を含んでいることを特徴とする請求項13から18のいずれか1項に記載の画像形成装置により、感光体は経時で摩耗するため、形成させた線状傷は摩耗によって消えることになり、それによって画像流れ抑制効果の持続性が低下することになるのに対し、画像形成装置の使用経時で感光体表面に線状傷を形成させることにより、画像流れ抑制効果を半永久的に持続させることが可能となり、感光体の画質安定化が実現される。また、使用経時で線状傷を形成させる工程が加わることにより、感光体表面にリフェイス効果、すなわち感光体表面に付着したフィルミング物を除去する効果が得られ、高画質化に対しさらなる効果が得られることが可能となる。
【0246】
請求項20によれば、請求項1から12のいずれか1項に記載の電子写真感光体を具備し、画像形成装置本体に対し着脱自在の構造を有することを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジにより、感光体周りのメンテナンスが容易となる。特に、本発明においては感光体表面に線状傷を形成させる上で適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における感光体の層構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明における感光体の層構成の他の一例を示す概略図である。
【図3】本発明における感光体の層構成のさらに他の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の感光体表面の一例を示す概略図である。
【図5】本発明の感光体表面の他の一例を示す概略図である。
【図6】本発明の感光体表面の一例を示す概略図である。
【図7】本発明の感光体表面に形成した線状傷の断面の一例を示す概略図である。
【図8】本発明の感光体表面に形成した線状傷の断面の他の一例を示す概略図である。
【図9】本発明の画像形成プロセス及び画像形成装置を説明するための概略図である。
【図10】本発明の帯電方法の一例を示す概略図である。
【図11】本発明による画像形成プロセスの別の例を示した図である。
【図12】本発明による画像形成プロセスの別の他の例を示した図である。
【図13】本発明におけるプロセスカートリッジを示した一般的な図である。
【図14】本発明の感光体製造例8におけるXDスペクトルを示した図である。
【図15】感光体表面に線状傷を形成する方法を示した一例である。
【図16】感光体表面に線状傷を形成する別な方法を示した一例である。
【符号の説明】
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャー
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャー
11 分離チャージャー
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャー
14 ファーブラシ
15 ブレード
16 帯電ローラ
17 ギャップ材
18 像形成領域
19 クリーニング
20 中間転写ベルト
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層
101 感光ドラム
102 帯電装置
103 露光
104 現像装置
105 転写体
106 転写装置
107 クリーニングブレード
108 クリーニングブラシベルト

Claims (20)

  1. 少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置に使用される電子写真感光体において、前記電子写真感光体の表面にフィラーを含有した保護層が積層され、かつ該保護層の表面に互いに交差する無数の線状傷が連続的に形成されていることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記線状傷の幅が、トナー粒子の粒径よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記線状傷の交差角度が、45〜135度の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記線状傷間の間隔が、50μm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記フィラーが、金属酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  6. 前記フィラーの金属酸化物がアルミナであることを特徴とする請求項1又は5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記フィラーの平均一次粒径が、0.01〜3.0μmであることを特徴とする請求項1、5、6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記保護層に含有されるバインダー樹脂が、ポリカーボネート樹脂あるいはポリアリレート樹脂、アクリル系もしくはメタクリル系樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  9. 前記保護層に含有されるバインダー樹脂が、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  10. 前記バインダー樹脂が、熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1、8、9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  11. 前記保護層に、さらにシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物の少なくとも1種が含有されていることを特徴とする請求項1又は8から10のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  12. 前記シリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物が、微粒子の形状を有しており、且つ前記保護層に分散されてなることを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体。
  13. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1から12のいずれか1項に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  14. 前記帯電手段に帯電ローラーを用いることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
  15. 前記現像時に用いられるトナーが球形もしくは略球形であることを特徴とする請求項13又は14に記載の画像形成装置。
  16. 該電子写真感光体にトナー像を現像した後、中間転写体もしくは中間転写ベルトを介して紙に転写する転写手段を有することを特徴とする請求項13から15のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  17. 前記クリーニング手段に少なくともクリーニングブレードを用いていることを特徴とする請求項13から16のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  18. 前記電子写真感光体表面にシリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル基含有化合物を付着させる手段を有することを特徴とする請求項13から17のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  19. 前記電子写真感光体の最表面に互いに交差する無数の線状傷を形成する手段を含んでいることを特徴とする請求項13から18のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  20. 請求項1から12のいずれか1項に記載の電子写真感光体を具備し、画像形成装置本体に対し着脱自在の構造を有することを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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