JP2004045983A - クリーニング方法、クリーニング装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】像担持体である感光体の耐摩耗性を維持しつつ、より効率的に異物を除去できる新規なクリーニング方法及び装置を提案し、それによって高耐久化と高画質化、さらには画質安定化を実現することができる電子写真方式の画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明は、回転する感光体1に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において前記感光体1のクリーニングを行うクリーニング方法及び装置であって、複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルト14Bが、感光体1の回転軸1Rに対して平行方向(図中の矢印C方向)に駆動することによって該感光体表面のクリーニングを行うことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、回転する感光体1に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において前記感光体1のクリーニングを行うクリーニング方法及び装置であって、複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルト14Bが、感光体1の回転軸1Rに対して平行方向(図中の矢印C方向)に駆動することによって該感光体表面のクリーニングを行うことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置において像担持体のクリーニングを行うクリーニング方法及びクリーニング装置と、そのクリーニング方法及び装置を用い、像担持体表面への異物付着による異常画像の発生を抑制し、高耐久性と高画質化、さらに画質安定化を実現した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行うレーザープリンターやデジタル複写機等の画像形成装置は、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。さらに、それらは高速化技術との融合によりフルカラー印刷が可能なレーザープリンターあるいはデジタル複写機へと応用されてきている。
これらの電子写真方式のレーザープリンターやデジタル複写機等の画像形成装置に使用される像担持体としては光導電性の感光体が用いられているが、この電子写真用感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び無公害性等の理由から一般に広く応用されている。有機系の感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型等が知られており、現在では電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体が広く応用されている。
【0003】
機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後、光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され電荷を生成する。それによって発生した電荷が電荷発生層及び電荷輸送層の界面で電荷輸送層に注入され、さらに電界によって電荷輸送層中を表面に向かって移動し、感光体の表面電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。
【0004】
しかし、有機系の感光体は、繰り返し使用によって摩耗しやすく、感光層の摩耗が進行すると、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、濃度低下や地汚れ等の画質劣化が促進される傾向が強く、従来から有機系感光体において耐摩耗性が大きな課題として挙げられていた。さらに、近年では電子写真方式の画像形成装置の高速化あるいは画像形成装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の耐摩耗性がより一層重要な課題となっている。
【0005】
感光体における感光層の膜厚が摩耗によって薄くなるに従って、電界強度が高くなり、地肌汚れ等の画像欠陥が顕著に発生しやすくなる。一方、摩耗を考慮して感光層の膜厚を必要以上に増加させた場合には、解像度が大幅に低下し画質劣化が生じる傾向が見られる。また、繰り返し使用時に膜厚減少量が大きいと、画像品質が変動しやすく短いサイクルでの感光体の交換を余儀なくされる。従って、感光体の耐摩耗性を向上させて膜厚変動を少なくすることは、高画質化及びその経時安定化において非常に重要である。
【0006】
感光体の耐摩耗性を向上させる手段としては、感光体の最表面層を硬化させたり、フィラーを含有させたりする方法が知られており、有効かつ有用である。これらの方法によって耐摩耗性を向上させることは実現できたが、それに伴い高画質化に対して新たな課題が発生することとなった。それは、異物が感光体表面に付着及び堆積することによって異常画像の発生を促すものであり、画像形成装置の高画質化及び高耐久化を阻害する最も大きな原因の一つとなっている。
【0007】
これらの異常画像の一つに画像流れが挙げられる。これは、帯電によって生成される放電生成物が感光体表面に付着することによって感光体表面の抵抗が低下し、電荷が横方向に拡散することによって生ずると考えられており、特に高温、高湿環境下においてその影響が顕著に発生する。また、異常画像には感光体の表面に異物が付着することによって引き起こされる画像欠陥の影響も大きい。これは、トナーの外添剤や紙粉等が感光体表面に付着及び堆積することによって発生するものと考えられている。従来の耐摩耗性に乏しい感光体は、これらの異物が付着しても感光体が摩耗されることによって除去されたため、これらの異常画像は発生しにくかった。しかし、感光体の耐摩耗性の向上に伴って、感光体表面に付着した異物の除去が困難となり、それによる異常画像の発生が顕著に増加し、感光体の高耐久化を妨げる最大の要因となっていた。
【0008】
前記放電生成物は、帯電によって発生するイオン種と大気中の水分とによって生成されるものと考えられており、これらが感光体表面に付着することによって、感光体表面の抵抗が低下し、画像流れが発生する。これらの放電生成物の付着による画像流れを抑制する従来技術としては、感光体を加熱する方法(特開平1−191883号公報、特開平1−206386号公報、特開平1−233474号公報等)や感光層に酸化防止剤を含有させる方法(特開昭59−136744号公報、特開平2−64549号公報、特開平2−64550号公報、特開平8−292585号公報等)が開示されている。特に、感光体を加熱して除湿させる方法は画像流れに対して非常に有効である。しかし、感光体を加熱するためには、ヒーターを画像形成装置内に内包させる必要があることから装置の大型化が避けられない。また、絶えず感光体を加熱する必要があることから消費電力の著しい増加を引き起こす不具合も有していた。さらに、近年主流となっている小径感光体の場合には、より高い耐久性が要求されるにも関わらず、ヒーターを内包させることが難しく、効果が得られていないのが実情であった。一方、感光体の表面に酸化防止剤を含有させる方法は、帯電により発生するオゾンや窒素酸化物(NOx)ガスによる感光体の静電特性劣化を抑制させる上で有効であるが、感光体の表面に付着する放電生成物に対しては十分な効果が得られていないのが実情であった。
【0009】
また、トナーの外添剤や紙粉の付着による異常画像は、感光体表面に付着したそれらの異物が繰り返し使用する度に蓄積されることにより、やがて無数の斑点が画像に現れたり、それらが水分を取り込むことによって画像流れを引き起こしたりする場合がある。従来技術では、感光体表面の摩擦係数や表面エネルギーを低減させることによって、感光体表面の離型性を高める試みがなされている。しかし、これらの方法は、高耐久化に対してはほとんど効果が得られていないのが実情であった。それは、離型性を高めるために各種潤滑性物質を感光体の最表面層に含有させることによって、初期時の摩擦係数や表面エネルギーを大幅に低減させることは可能となっても、印刷を繰り返すに従いそれらが急激に上昇し、効果の持続性が極めて乏しかった。従って、十分な効果が得られておらず、画質の安定化が実現されるに至っていなかった。
【0010】
一方、潤滑性物質を感光体表面に付着させることによって、感光体表面の離型性を高める方法も開示されている。この方法は、効果の持続性に対しては有効であるものの、感光体表面への潤滑性物質の付着量を制御するのが難しく、付着量が過剰になると画像欠陥を引き起こす傾向が見られていた。特に、感光体表面上の傷などによって潤滑性物質の付着量が変化し、画像濃度の均一性が低下したり、部分的に画像流れが発生したりする恐れがあった。
【0011】
従来のクリーニング手段としては、特開平6−75510号公報に、像担持体表面に近接して配置された導電性材料で構成された第1のロール部材と、像担持体の移動方向に対し下流部に設けられた弾性材料で構成された第2のロール部材と、それらのロール部材に張架された無端状クリーニング(ブラシ)ベルトと、第1のロール部材にトナーとは逆極性のバイアスを印加する手段を有するクリーニング装置が開示されている。この方法は、異物除去効果は向上する傾向は認められるものの、クリーニングベルトの移動方向が像担持体表面の移動方向とは逆方向に限定されているため、感光体表面への傷の影響については改善されていない。従って、本発明の構成及びその効果とは大きく異なるものであり、耐摩耗性や異物除去効果の安定性は十分ではなかった。
【0012】
特開平6−301319号公報には、像担持体と同方向あるいは逆方向に移動するブラシを、像担持体との対向面に有する無端ベルト状としたクリーニング装置が開示されている。この方法は、クリーニング不良やフィルミングに対して有効な方法であるが、ブラシがベルト状であっても像担持体と同方向あるいは逆方向に移動する構成となっており、感光体表面への傷の影響については考慮されていない。従って、本発明の構成及びその効果とは大きく異なるものであり、耐摩耗性や耐傷性、それに伴う異物除去効果の安定性は十分とは言えない状況にあった。
【0013】
また、特開平9−138623号公報には、感光体表面の付着物を除去するために、クリーニングブレードでクリーニングを行う前に感光体に対して線速差を持った回転ブラシを設けた手段も開示されている。しかし、この場合、感光体の摩耗の影響が大きくなることが記載されており、クリーニング性が高まっても感光体の耐摩耗性が犠牲となる方法であり、さらに繰り返し使用後に形成される傷の抑制については一切言及されていないため、長期繰り返し使用によってクリーニング不良の影響が増大する恐れがあり、高耐久化に対する効果としては十分であるとは言えない。
【0014】
さらに、特開2000−10444号公報には、クリーニングブレードの感光体周面の回転方向上流側に、感光体の回転軸と平行な回転軸に螺旋状に植設された当接部材を有するクリーニング部材を備えた手段が開示されている。この方法は、感光体表面に残存したトナーの結着力を弱め、クリーニングブレードによるトナーの剥離を容易にする効果は認められるものの、感光体表面に付着した異物の除去に対しては十分な効果は得られにくい傾向にあり、また、螺旋状であることから、かなりの高速回転が必要であるため、感光体の耐摩耗性を大幅に低下させる。さらに、感光体に与える傷も感光体の円周方向であることに変わりはなく、感光体の傷によるクリーニング不良に対する効果は期待できない。
【0015】
また、特開平1−116677号公報には、先端をループ形状に形成したブラシを用いる方法が開示されている。この方法は異物除去効率を向上させる上で有効であるが、この場合は従来のクリーニングブラシローラーを用いた方法であり、その効果は十分ではなく、異物付着による画像欠陥を抑制することはできなかった。また感光体表面に与える傷の影響も抑制されず、繰り返し使用後にはクリーニング不良を招き、異常画像を引き起こす恐れがあった。
一方、特開2001−175142には、導電性繊維を有するベルトブラシの公知例が記載されているが、これは感光体ベルトの非像形成表面に当接されるものであり、本発明の像形成表面に当接してクリーニングを行う構成とは、目的や効果がまったく異なるものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
感光体の高耐久化において、耐摩耗性の向上が実現されると同時に顕在化されてきた異物付着による異常画像の発生は、感光体の耐摩耗性を高めようとすると感光体表面に異物が残存しやすくなり、感光体表面の異物を除去しようとすると感光体の耐摩耗性が犠牲となり、耐摩耗性と異常画像の抑制を両立することは非常に難しかった。感光体の耐摩耗性が高くても異常画像が早期に発生するのでは、画像形成装置の高耐久化が実現されたことにはならない。感光体の耐摩耗性を維持しつつ、感光体表面の異物付着を抑制し、感光体の耐摩耗性と高画質化、さらには画質安定化を同時に実現することが、画像形成装置の高耐久化を実現する上での最大の課題であった。このように、感光体の耐摩耗性と感光体表面の異物付着による異常画像の発生は、トレードオフの関係にあることから、感光体の耐摩耗性に大きな影響を与えずに、より効率的に感光体表面上の異物を除去できるクリーニング方法や装置が強く求められていた。
【0017】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、像担持体である感光体の耐摩耗性を維持しつつ、より効率的に異物を除去できる新規なクリーニング方法及びクリーニング装置を提案し、それによって高耐久化と高画質化、さらには画質安定化を実現することができる電子写真方式の画像形成装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
像担持体である電子写真用感光体の高耐久化を実現するためには、前述のとおり耐摩耗性の向上と同時に、感光体表面の異物付着を抑制し、それによって画像形成装置の繰り返し使用における画質安定化を向上させることが必要である。従来は、感光体の耐摩耗性を向上させるに従い、感光体表面に異物が残存しやすくなり、それらの異物を除去しようとすると感光体の耐摩耗性が犠牲となり、感光体の耐摩耗性と異物除去による画質安定化の両立が実現されていなかった。
【0019】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、従来のクリーニング方法ではトナーをクリーニングする一方で、感光体表面に異物が残存しやすくなる状況を形成しており、それによって耐久性を低下させていることを明らかにした。そこで、本発明においては、以下の構成要件を満足することにより、感光体の耐摩耗性を維持しつつ、より効率的に異物を除去できるクリーニング方法及び装置を提案し、異常画像の抑制によって画質安定性を高めた結果、画像形成装置の高耐久化が実現され、本発明を完成させるに至った。
【0020】
すなわち、請求項1に係る発明は、回転する像担持体に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において前記像担持体のクリーニングを行うクリーニング方法であって、複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルトを用い、該クリーニングブラシベルトが、像担持体の回転軸に対して平行方向に駆動することによって該像担持体表面のクリーニングを行うことを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のクリーニング方法において、前記クリーニングブラシベルトに植設されたブラシ毛が、ループ形状を形成していることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項1または2記載のクリーニング方法において、少なくとも前記クリーニングブラシベルトの駆動時においてフリッカーバーがブラシ毛に当接されることによって、該ブラシ毛の付着物を除去する手段を有することを特徴としている。
【0021】
請求項4に係る発明は、回転する像担持体に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において前記像担持体のクリーニングを行うクリーニング装置であって、複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルトを有し、該クリーニングブラシベルトが、像担持体の回転軸に対して平行方向に駆動するように配置されてなることを特徴としている。
請求項5に係る発明は、請求項4記載のクリーニング装置において、前記クリーニングブラシベルトに植設されたブラシ毛が、ループ形状を形成していることを特徴としている。
請求項6に係る発明は、請求項4または5記載のクリーニング装置において、少なくとも前記クリーニングブラシベルトの駆動時においてフリッカーバーがブラシ毛に当接されることによって、該ブラシ毛の付着物を除去する手段を有することを特徴としている。
【0022】
請求項7に係る発明は、回転する像担持体に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において、前記クリーニング工程に少なくとも複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルトを用い、該クリーニングブラシベルトが、像担持体の回転軸に対して平行方向に駆動するように配置されてなることを特徴としている。
請求項8に係る発明は、請求項7記載の画像形成装置において、前記クリーニングブラシベルトに植設されたブラシ毛が、ループ形状を形成していることを特徴としている。
請求項9に係る発明は、請求項7または8記載の画像形成装置において、少なくとも前記クリーニングブラシベルトの駆動時においてフリッカーバーがブラシ毛に当接されることによって、該ブラシ毛の付着物を除去する手段を有することを特徴としている。
請求項10に係る発明は、請求項7〜9の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記クリーニングブラシベルトの回転速度V1(mm/sec)と前記像担持体の回転速度V2(mm/sec)とが、下記の関係式:
V1≠V2
を満足することを特徴としている。
請求項11に係る発明は、請求項10記載の画像形成装置において、前記クリーニングブラシベルトの回転速度V1(mm/sec)と前記像担持体の回転速度V2(mm/sec)とが、下記の関係式:
1.0<V1/V2<20
を満足することを特徴としている。
請求項12に係る発明は、請求項7〜11の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記クリーニング工程が、さらにクリーニングブレードによるクリーニング手段を含むことを特徴としている。
請求項13に係る発明は、請求項12記載の画像形成装置において、前記クリーニング工程では、前記像担持体の回転方向に対し、前記クリーニングブレードよりも、前記クリーニングブラシベルトの方が上流側に配置されてなることを特徴としている。
請求項14に係る発明は、請求項7〜13の何れか一つに記載の画像形成装置において、少なくとも前記クリーニングブラシベルトのブラシ毛が導電性材料によって形成されており、かつトナーと逆極性のバイアスを印加することを特徴としている。
請求項15に係る発明は、請求項7〜14の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記クリーニングブラシベルトのブラシ毛に潤滑性物質を付着させる手段を有することを特徴としている。
請求項16に係る発明は、請求項15記載の画像形成装置において、前記潤滑性物質が、固体もしくは微粒子状であることを特徴としている。
請求項17に係る発明は、請求項15または16記載の画像形成装置において、前記潤滑性物質が、金属石鹸類、フッ素含有化合物、シリコン含有化合物の少なくとも一種であることを特徴としている。
請求項18に係る発明は、請求項7〜17の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は光導電性の感光体からなり、その感光体の最表面層に、フィラーが含有されていることを特徴としている。
請求項19に係る発明は、請求項18記載の画像形成装置において、前記フィラーが、金属酸化物であることを特徴としている。
請求項20に係る発明は、請求項19記載の画像形成装置において、前記金属酸化物が、少なくとも一種の表面処理剤によって表面処理を施していることを特徴としている。
請求項21に係る発明は、請求項18〜20の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記フィラーの平均一次粒径が、0.01〜0.9μmであることを特徴としている。
請求項22に係る発明は、請求項7〜21の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は光導電性の感光体からなり、その感光体の最表面層に熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂を含み、それらが架橋することによって硬化されていることを特徴としている。
請求項23に係る発明は、請求項7〜21の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は光導電性の感光体からなり、その感光体の最表面層に、高分子電荷輸送物質が含有されていることを特徴としている。
請求項24に係る発明は、請求項7〜23の何れか一つに記載の画像形成装置において、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーを保持する現像部と、該現像部に対応した複数の像担持体を具備し、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの各工程が並列に処理されるタンデム方式の画像形成部を備えたことを特徴としている。
請求項25に係る発明は、請求項7〜24の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体に、帯電、露光、現像の工程を経てトナー像を形成した後、中間転写体もしくは中間転写ベルトを介して紙に転写を行うことにより、前記像担持体と紙とが直接接触しない構造を有することを特徴としている。
請求項26に係る発明は、請求項7〜25の何れか一つに記載の画像形成装置において、少なくとも前記クリーニング手段及び前記像担持体が、画像形成装置本体に対し着脱自在の構造を有する電子写真用プロセスカートリッジに具備されてなることを特徴としている。
【0023】
以下、本発明についてより詳しく説明する。
電子写真方式の画像形成装置において、像担持体である感光体の耐摩耗性が向上されてきたことによって、クリーニング工程ではトナーだけでなく、感光体に付着する異物を除去する効果も要求されている。異物を除去するためには、クリーニングブラシとクリーニングブレードとを併用して用いることが公知となっているが、効果としては十分ではなく、異物を掻き取るためにクリーニング条件を強くした結果、感光体の摩耗や傷の成長を促進させてしまい、それがクリーニング不良を引き起こすこととなり、課題の解決には至っていない。
【0024】
従来用いられているクリーニングブラシは、ローラー状のブラシを用いるのが一般的となっている。そのため、クリーニング時に感光体とクリーニングブラシとの接触時間が非常に少ない上に、ブラシ毛が感光体表面に衝突する頻度が多くなり、感光体表面に与える傷の影響が増大するにも関わらず、十分な異物除去効果が得られていなかった。クリーニングベルトを用いた方法は、トナーに対するクリーニング性は向上するものの、感光体表面に付着した異物を除去することは困難であった。一方、クリーニングブラシベルトを用いることによって、異物除去効果は向上される傾向にあり、ブラシローラーに比べると感光体表面にブラシが衝突する頻度が軽減するため、傷の影響も軽減される傾向が見られている。しかし、ブラシの摺動方向と感光体の回転方向が同じであることから、その有効性はわずかであり、感光体表面に与える傷の影響が増大することによって異物除去効果やクリーニング性は大幅に低下し、高耐久化は実現されていなかった。
【0025】
本発明においては、複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルトを用い、該クリーニングブラシベルトが、感光体の回転軸に対して平行方向に駆動するように配置させることによって、感光体表面とブラシ毛とが接触し摺擦する時間が著しく増加し、異物除去効率が向上することを見出した。さらに、この方法により、感光体にブラシ毛が衝突する頻度を大幅に低減できるとともに、ブラシ毛の衝突位置が感光体の非画像形成領域である端部に集約させることが可能となり、感光体表面の画像形成領域に与える傷の影響を顕著に軽減させることが可能となった。感光体表面に形成される傷が深いほど、大きいほど、また多いほど、異物が入り込みやすく、感光体表面から異物を除去しにくくなる。さらに、繰り返し使用後には傷部に付着した異物が核となり、そこに蓄積することによってさらに成長を繰り返すことになる。それによって異物の除去がさらに困難になるだけでなく、画像にも顕在化しやすくなる。従って、感光体表面に与える傷の影響を可能な限り低減させることは、異常画像の発生を抑制する上で非常に有効である。
【0026】
一方、従来用いられているクリーニングブラシローラーは、その回転軸が感光体の回転軸と平行になるように配置されていた。クリーニングブレードを併用した場合、クリーニングブラシによって形成される傷の方向とクリーニングブレードによって形成される傷の方向が感光体の円周方向で一致することになるため、感光体表面に形成される傷の成長が著しく促進され、それによって異物が除去しにくくなり、クリーニング不良が発生しやすくなっていた。
【0027】
それに対して、本発明においては、クリーニングブラシベルトの駆動方向が感光体の回転軸に対し平行方向に配置されていることにより、クリーニングブラシベルトによって形成される傷の方向とクリーニングブレードによって形成される傷の方向が異なるため、傷の成長を抑制することが可能となった。その結果、異物除去効率をさらに向上させることが可能となり、感光体の耐摩耗性に大きな影響を与えずに異物付着による異常画像の発生を抑制することが実現された。
また、本発明においては、前記クリーニングブラシベルトを用い、その駆動方向を感光体の軸方向に対して平行に配置させることによって、上記以外にさらに下記の効果を得ることが可能である。
【0028】
(1)放電生成物がスジ状に形成された傷に入り込むと、その部分の抵抗が低下することによって、傷に対し平行方向に書き込んだラインよりも垂直方向に書き込んだラインの方が、電荷が横に拡がりやすくなり、画像流れの傷方向依存性が顕著に発生する。従来は、感光体の傷がすべて同一方向(感光体の円周方向)に深く、しかも感光体の円周すべてに至る長いスジ状の傷であったため、感光体の傷に対し平行でない方向に書き込んだラインはすべて電荷が横に広く拡散しやすくなり、そのため画像流れが顕在化されやすかった。本発明では、クリーニングブレードとクリーニングブラシベルトによって感光体表面に同一方向ではない複数方向の傷が入ることによって、画像全体で見た場合に画像流れの傷方向依存性を大幅に低減させることが可能となった。このように、感光体の傷の方向が複数であることにより、そこに放電生成物が入り込んでも、電荷が拡がりにくく、電荷の拡散領域がある範囲に限定されるため、あらゆる方向の書き込みラインに対して画像流れが顕在化しにくくなった。
【0029】
(2)蓄積することによって感光体の円周方向に成長する異物は、主にクリーニングブレードによる影響が大きい。成長した異物は、感光体の円周方向に伸びた細長い形状を有しており、それをクリーニングブラシで同じく円周方向にブラシクリーニングしてもそれらを除去するのは難しい。この場合、感光体の円周方向に成長した異物をそれとは異なる角度からクリーニングブラシベルトでクリーニングすることによって、異物の除去効率が顕著に高まり、クリーニング性が大幅に向上した。それによって、異常画像の発生を大幅に抑制することが可能となった。
【0030】
(3)感光体の回転方向に対しクリーニングブラシローラーあるいはクリーニングブラシベルトの回転方向が同方向かもしくは逆方向に限定されていた従来方法では、ブラシによって除去されたトナーや異物が感光体表面に再付着する恐れがあった。それに対し、クリーニングブラシベルトの駆動方向を感光体の回転軸と平行に配置させることによって、クリーニングブラシによって除去されたトナーや異物が感光体の端部まで確実に運び出され回収することが可能となるために、感光体表面へのトナーや異物の再付着を大幅に抑制することが可能となり、異物付着による異常画像の発生を抑制させる上で有効である。
【0031】
(4)クリーニングブラシベルトに潤滑性物質を付着させ、それを感光体表面に当接させることによって、感光体表面に潤滑性物質を付着させ、感光体表面の離型性を高める場合、感光体表面に与える傷の影響が少なくなったことによって、傷部に潤滑性物質が過剰に残存することは少なく、離型効果を高めることが可能となった。さらに、潤滑性物質の過剰供給による異常画像の促進を低減させる効果も発揮された。
【0032】
(5)クリーニングブレードとクリーニングブラシベルトによってクリーニングする際に、感光体表面を摺擦する方向が同一方向ではないため、感光体表面の傷の成長だけでなく、感光体に与える機械的摩耗の影響を軽減させることが可能となる。それによって、感光体の耐摩耗性に影響を与えずにクリーニング性や異物除去効率を向上させることが可能となった。
【0033】
(6)本発明による異常画像の抑制効果は、感光体の耐摩耗性を高めた場合にさらなる効果を発揮する。特に、感光体表面にフィラーを含有させた場合は、脱離フィラーがクリーニングブレードに蓄積されることにより摩耗が促進し、傷の影響も顕著に増加する傾向にあったが、本発明により脱離フィラーがクリーニングブラシベルトによって効率的に感光体の端より外側に運び出され除去されるため、フィラーを含有させた感光体においても傷の影響を大幅に軽減させることができ、耐摩耗性を維持しつつ異常画像の発生を軽減させることが可能となった。また、感光体の表面に硬化型樹脂を含有させた感光体や高分子電荷輸送物質を含有させた感光体もまた、耐摩耗性が高い故に異物が残存しやすい傾向にあったが、本発明によって感光体表面に与える傷の影響を軽減したことにより効率的に異物の除去が可能となり、耐摩耗性を維持しつつ異常画像の発生を抑制することが実現された。
【0034】
以上のように、感光体の耐摩耗性を高めた感光体は、感光体表面に付着する異物によって異常画像が発生しやすくなり、画像形成装置の高耐久化が不十分であったが、本発明において感光体表面に付着した異物の除去効率を大幅に高めたと同時に、感光体表面に形成される傷の影響を低減させたことによって、感光体の耐傷性さらには耐摩耗性を向上させることが可能となった。それによって、感光体の耐摩耗性を維持しつつ、画像流れや異物付着による異常画像の発生を抑制することが可能となり、感光体の耐摩耗性と高画質化、さらには画質安定化の両立により画像形成装置の高耐久化が実現された。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成、動作及び作用を図面を参照して詳細に説明する。
始めに、図面を参照して本発明のクリーニング方法並びにクリーニング装置を詳しく説明する。図2は従来公知の方法によるクリーニングブラシベルトを用いたクリーニング装置の典型的な実施形態の一例を示す概略要部構成図である。この場合、クリーニングブラシベルト14Aの駆動方向や感光体1の回転方向は、矢印方向に限定されるものではない。従来のクリーニングブラシベルト14Aの駆動方向は、感光体1の回転方向(例えば図中の矢印A方向)に対して同方向かもしくは逆方向(例えば図中の矢印B方向)に限定されていた。
【0036】
図1は本発明におけるクリーニング装置の典型的な実施形態の一例を示す概略要部斜視図である。この場合、クリーニングブラシベルト14Bの駆動方向や感光体1の回転方向は、矢印方向に限定されるものではない。図1において、本発明のクリーニングブラシベルト14Bの駆動方向(図中の矢印C方向)は、感光体1の回転軸1Rに対して平行方向に配置されている。図3は、本発明のクリーニングブラシベルト14Bの駆動方向(図中の矢印C方向)を感光体1の回転軸に対して平行方向に配置させた場合の別の例を示す図である。この場合も、クリーニングブラシベルト14Bの駆動方向や感光体1の回転方向は、矢印方向に限定されるものではない。尚、図3に示したように、クリーニングブラシベルト14Bのブラシ毛にフリッカーバー17aを当接させることによって、ブラシ毛に付着したトナーや異物を効率的に除去し、クリーニング容器17に回収することができるため、クリーニング性や異物除去効率を高める上で好ましい。特に、この場合、クリーニングブラシベルト14Bによって感光体表面の残存トナーや異物が確実に感光体1の端部まで確実に運搬される上、フリッカーバー17aは感光体表面から離れたところに設置することが可能であることから、残存トナーや異物を感光体表面に再付着させる恐れがなく、フリッカーバー17aで確実に除去し、クリーニング容器17に回収することが可能であり、これによってクリーニング性や異物除去効率は顕著に高くなる。
【0037】
これらの図によって示されたとおり、本発明はクリーニングブラシベルト14Bの駆動方向を感光体1の回転軸1Rに対して平行方向に配置させることによって、異物除去効率の向上や感光体表面に与える傷の影響の軽減、さらには除去したトナーや異物を効率的に回収し、感光体表面への再付着を抑制する効果等を有することから有効である。従って、本発明におけるクリーニングブラシベルト14Bとは、複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面にブラシ毛が配列植設された無端ベルトであれば如何なる材質あるいは形状を有していてもよい。
【0038】
本発明のクリーニングブラシベルト14Bのブラシ形状は、従来公知のいずれの形状でも使用可能であるが、特にループ形状を形成することが好ましい。図4はループ形状のブラシを有するクリーニングブラシベルトの一例を示す概略要部斜視図である。直毛状のブラシをカットしたカットパイルブラシでは、カット部のエッジによって感光体表面に傷が入りやすくなるが、ループ形状を有するループパイルブラシは感光体に与える傷の影響を大幅に軽減できるため、感光体の耐摩耗性や耐傷性に対して有効である。また、カットパイルブラシでは感光体に対して点接触であるのに対し、ループブラシでは線接触であるため接触面積を増大させることが可能となり、それによって異物の除去効率をさらに高めることが可能となる。
【0039】
クリーニングブラシベルト14Bの駆動時に、図3に示すようにブラシ毛にフリッカーバー17aを当接させることによって、ブラシ毛に付着したトナーや異物を除去することが可能であることから、それらの感光体表面への再付着を防止したり、クリーニング性や異物除去効果を高める上で有効である。特に、本発明の構成によって、フリッカーバー17aを感光体表面より大きく離れた端部付近に設置することが可能であることから、感光体表面へのトナーや異物の再付着を抑制する上でより有効である。
【0040】
本発明においては、クリーニングブラシベルトの回転速度V1(mm/sec)と感光体の回転速度V2(mm/sec)が異なる(V1≠V2)ように線速差を与えることが好ましく、クリーニングブラシの回転速度V1(mm/sec)と感光体の回転速度V2(mm/sec)とが下記の関係式:
1.0<V1/V2<20
を満足することがより好ましい。
このように、感光体とクリーニングブラシベルトとの回転速度に線速差を与えることによって、異物除去効率が著しく高まると同時に、感光体表面に形成される傷が一定方向に偏ることがないため、傷の成長を遅らせることができるとともに、傷に入り込んだ放電生成物によって引き起こされる抵抗低下による電荷の拡散が最小限に抑制される。これにより、画像流れの抑制効果を著しく高めることが可能となる。
【0041】
本発明においては、クリーニング手段として前記クリーニングブラシベルトのみを使用することができるが、クリーニングブレードを併用することがより好ましい。クリーニングブレードを併用することによって、クリーニング性が大幅に高まるだけでなく、異物の除去効率が大幅に向上できる。また、クリーニングブレードと併用することによって、感光体表面に少なくとも二方向の傷が形成されることになり、かつ傷の成長を抑制することができるため、傷部に入り込んだ放電生成物による電荷の拡散を抑制することができ、これにより画像流れを顕著に抑制することが可能となる。
【0042】
感光体の回転方向に対し、前記クリーニングブラシベルトをクリーニングブレードよりも上流側に配置させることによって、トナーのクリーニング性が高まるだけでなく、異物の除去効率がさらに向上する傾向が見られ、画像形成装置の高耐久化に対して有効となる場合がある。但し、異物の除去を主目的とする場合には、クリーニングブラシベルトが感光体の回転方向に対して下流側に配置されていてもよい。
【0043】
また、クリーニングブラシに潤滑性物質を付着させ、それを感光体に当接させることによって、感光体表面に潤滑性物質を付着させる手段は公知であるが、本発明においては、感光体の傷の成長を抑制させることが可能となる上に、感光体上をブラシが摺擦する距離が長いため、潤滑性物質が傷部に入り込むことによって誘発される異物付着が少なく、また潤滑性物質の感光体表面への付着量のバラツキを減少させることが可能となる。その結果、クリーニング性のさらなる向上が実現され、異常画像の抑制効果が高まる。この場合は、クリーニングブラシベルトは、クリーニングブレードよりも感光体の回転方向に対して下流側に配置されていた方が好ましい。
【0044】
次に、図面を参照して本発明に係る電子写真方式の画像形成装置装置の全体の構成を詳しく説明する。尚、以下に示す図や説明は本発明を説明するための一例であり、これに限定されるものではない。
【0045】
図5は本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。図5において、符号1は像担持体、2は除電ランプ、3は帯電部材、4はイレーサ、5は画像露光部、6は現像ユニット、7は転写前チャージャ、8は一対のレジストローラー、9は転写紙、10は転写チャージャ、11は分離チャージャ、12は分離爪、16はクリーニングチャージャ13とクリーニングブラシベルト14(図1または図3に示すクリーニングブラシベルト14B)及びクリーニングブレード15で構成されるクリーニング装置である。また、図示していないが、転写紙9の搬送方向で転写チャージャ10より上流側には給紙手段(転写紙を収納した給紙カセットや給紙ローラー、搬送ローラー等)が設けられ、分離チャージャ11より下流側には定着ユニットや排紙装置(排紙ローラー、排紙トレイ等)が設けられている。
【0046】
図5において、像担持体1としては本発明に係る光導電性の電子写真用感光体が用いられている。この感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。尚、シート状もしくはエンドレスベルト状の感光体の場合、その回転軸とはそれらのシートもしくはベルトを支持している複数のローラーの回転軸と同一であると定義する。
【0047】
帯電部材3は、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)等による非接触帯電や帯電ローラーあるいは帯電ブラシによる接触帯電のいずれも使用することが可能である。さらに、帯電部材3として帯電ローラーを用いる場合、図6に示されるように感光体1あるいは帯電ローラー3にギャップを設けて、感光体1と帯電ローラー3とが画像形成領域において非接触となるように近接配置させることも可能であり有効である。特に、感光体表面に潤滑性物質を付着させた場合に、それらが帯電ローラー3に付着することによって、帯電ローラー3の汚染を促進させる場合がある。帯電ローラー3の汚染は帯電ムラを引き起こしたり、感光体1の汚染を促進させたりする場合があり、画像濃度ムラや異常画像の発生を促す恐れがある。従って、帯電ローラー3と感光体1とがギャップを介して近接配置されていることによって、それらを抑制させる効果が得られる場合があるため有効である。感光体1に対し帯電ローラー等の帯電部材3を近接配置させる方法としては、感光体1の非画像形成領域にギャップを設ける必要があるが、それは例えば、ギャップ材3Aを帯電部材3に設けたり、感光体側に設けたり、あるいは感光体1の両端にセットされるフランジ部に設けることによって形成することが可能であり、本発明においては感光体1と帯電部材3とが近接配置されていれば如何なる方法でも可能である。このようにギャップ材3Aを使用する場合、ギャップ材3Aは絶縁性である必要があり、耐摩耗性の高い材料が有効に用いられる。ギャップ材3Aはテープ状、シール状もしくはチューブ状等、如何なる形態のものでも使用できる。ギャップの厚さは、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、さらに好ましくは40〜80μmである。ギャップがこれよりも小さい場合には、帯電部材3と感光体1の接触が多くなり、近接配置させたメリットが得られず画質劣化の影響が増加し、ギャップがこれよりも大きい場合には帯電の安定性が低下し帯電ムラが発生する場合がある。また、帯電部材3には直流成分に交流成分を重畳して感光体1に帯電を付与することが可能である。交流成分を重畳することによって、帯電ムラを低減することが可能となり、それによって画像濃度ムラやコントラストの低下を抑制することが可能となり有用である。
【0048】
次に、均一に帯電された感光体上に静電潜像を形成するために画像露光部5が用いられる。この画像露光部5の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0049】
次に、感光体上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット6が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法等がある。感光体に正(又は負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(又は負)の静電潜像が形成される。これを負(又は正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(又は負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
【0050】
このようにして感光体上で可視化されたトナー像は転写チャージャ10により転写紙9に転写され、転写後の転写紙9は分離チャージャ11により感光体1から分離され、図示しない定着ユニットに搬送され、定着ユニットで加熱や加圧によりトナー像が転写紙9に定着される。定着後の転写紙9は図示しない排紙トレイ等に排紙される。
【0051】
次に、フルカラー用画像形成装置における現像ユニットは、少なくともシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色に対応したユニットを有しており、例えば図7に示すように、4色のトナーが各々充填された4つの現像ユニット24C,24M,24Y,24Kに対し4つの感光体21C,21M,21Y,21Kが配置されたタンデム方式や、あるいは図8に示すように、1つの感光体41に対して4色の現像ユニット44C,44M,44Y,44Kが近接された方式や、1つの現像ユニットに4色のトナーが分別されて充填され、ユニット自体が4段階に回転することによって4色の現像を順次行うリボルバー方式等が挙げられる。
【0052】
ここで、図7は、本発明におけるタンデム方式の画像形成装置を説明するための概略図である。図7において、符号21C,21M,21Y,21Kはドラム状の感光体であり、この感光体21C,21M,21Y,21Kは図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材22C,22M,22Y,22K、現像部材24C,24M,24Y,24K、クリーニング部材(クリーニングブラシベルト25C,25M,25Y,25K,クリーニングブレード26C,26M,26Y,26K)が配置されている。クリーニング部材には少なくとも本発明のクリーニングブラシベルト25C,25M,25Y,25K(図1または図3に示すクリーニングブラシベルト14B)が配置されてなり、このクリーニングブラシベルト25C,25M,25Y,25Kは、感光体21C,21M,21Y,21Kの回転軸に対して平行方向に駆動することによって感光体表面のクリーニングを行う構成となっている。また、帯電部材22C,22M,22Y,22Kと現像部材24C,24M,24Y,24Kの間の感光体表面に図示しない露光部材からのレーザー光23C,23M,23Y,23Kが照射され、感光体21C,21M,21Y,21Kに静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体21C,21M,21Y,21Kを中心とした4つの画像形成要素(画像形成ユニット)20C,20M,20Y,20Kが、転写材搬送手段である転写搬送ベルト30に沿って並置されている。転写搬送ベルト30は各画像形成ユニット20C,20M,20Y,20Kの現像部材24C,24M,24Y,24Kとクリーニング部材(クリーニングブラシベルト25C,25M,25Y,25K)の間で感光体21C,21M,21Y,21Kに当接しており、転写搬送ベルト30の内側には感光体との接触部において転写バイアスを印加するための転写ブラシ31C,31M,31Y,31Kが配置されている。
【0053】
図7に示すフルカラー用画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行われる。まず、各画像形成ユニット20C,20M,20Y,20Kにおいて、感光体21C,21M,21Y,21Kが矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材22C,22M,22Y,22Kにより帯電され、次に露光部でレーザー光23C,23M,23Y,23Kにより、形成される各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像部材24C,24M,24Y,24Kにより潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材24C,24M,24Y,24Kは、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行う現像部材で、4つの感光体21C,21M,21Y,21K上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙27は給紙コロ28により給紙トレイから送り出され、一対のレジストローラー29で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト30に送られる。転写搬送ベルト30上に保持された転写紙27は搬送されて、各感光体21C,21M,21Y,21Kとの当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行われる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ31C,31M,31Y,31Kに印加された転写バイアスと感光体21C,21M,21Y,21Kとの電位差から形成される電界により、転写紙27上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた転写紙27は定着装置32に搬送され、トナーが定着されて、排紙部(図示せず)に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体21C,21M,21Y,21K上に残った残留トナーは、クリーニング装置のクリーニング部材(クリーニングブラシベルト25C,25M,25Y,25K及びクリーニングブレード26C,26M,26Y,26K)で回収される。尚、図7の例では画像形成ユニット20C,20M,20Y,20Kは転写紙搬送方向上流側から下流側に向けてC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限られるものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、ブラック色のみの原稿を作成する際には、ブラック色以外の画像形成ユニット20C,20M,20Yが停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。
【0054】
次に、図8は1つの感光体41に対して4色の現像ユニット44C,44M,44Y,44Kが近接された方式であり、感光体41上で可視化された各色のトナー像を順次中間転写体45に重ね合わせて転写する画像形成装置の例である。
すなわち図8は、本発明における感光体41に中間転写体45が接触し、感光体41と紙とが直接接触しない構成を有する画像形成装置を説明するための概略構成図である。図8において、感光体41の周囲には、帯電チャージャー42、画像露光部(図示せず)からの光43の照射部、4色の現像ユニット44C,44M,44Y,44K、中間転写体45、クリーニングブラシベルト46(図1または図3に示すクリーニングブラシベルト14B)とクリーニングブレード47からなるクリーニング装置48、除電ランプ49等が配設されている。尚、中間転写体45はドラム状であっても、シート状あるいはエンドレスベルト状であってもよい。図8は、駆動ローラーや従動ローラーからなる複数のローラーに架設されたエンドレスベルト状の中間転写ベルトを用いた例である。帯電、露光、現像の工程を経て感光体41上に形成される各色のトナー像は、順次中間転写ベルト45に重ね合わせて転写される。また、各色のトナー像を転写後の感光体41は、クリーニング装置48のクリーニングブラシベルト46とクリーニングブレード47によって残留トナーを除去される。中間転写ベルト45上に形成されたトナー像は、転写手段50で直ちに転写紙51に転写される。そして、トナー像が転写された転写紙51は図示しない定着装置に搬送され、トナー像が定着されて排紙される。尚、上記の転写手段50としては、転写チャージャー、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式等、従来の方式が利用可能である。図8に示す画像形成装置では、感光体41に中間転写ベルト45が接触し、感光体41と転写紙51とが直接接触しない構成を有することによって、感光体表面の紙粉付着を抑制する効果が得られるため、本発明においてはより好ましい。感光体表面への放電生成物やトナー外添剤の付着は、紙粉を引き寄せるため、フィルミングが促進される場合があるが、中間転写ベルト45を用いて感光体41と転写紙51とが直接接触していないことによって、その影響を大幅に抑制することが可能となる。特に、本発明においては、感光体表面の異物除去効果がさらに高まることから有効かつ有用である。
【0055】
次に図9にはタンデム方式でかつ中間転写ベルトが具備された画像形成装置の概略構成図を示す。図9において、符号61C,61M,61Y,61Kはドラム状の感光体であり、この感光体61C,61M,61Y,61Kの周りには少なくとも回転順に帯電部材(例えば帯電ローラー)62C,62M,62Y,62K、現像ユニット64C,64M,64Y,64K、クリーニング装置(クリーニングブラシベルト65C,65M,65Y,65K,クリーニングブレード66C,66M,66Y,66K)、除電ランプ67C,67M,67Y,67Kが配置されている。クリーニング装置には少なくとも本発明のクリーニングブラシベルト65C,65M,65Y,65K(図1または図3に示すクリーニングブラシベルト14B)が配置されてなり、このクリーニングブラシベルト65C,65M,65Y,65Kは、感光体61C,61M,61Y,61Kの回転軸に対して平行方向に駆動することによって感光体表面のクリーニングを行う構成となっている。また、帯電部材62C,62M,62Y,62Kと現像ユニット64C,64M,64Y,64Kの間の感光体表面には図示しない露光部材からのレーザー光63C,63M,63Y,63Kが照射され、感光体61C,61M,61Y,61Kに静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体61C,61M,61Y,61Kを中心とした4つの画像形成ユニットが、中間転写ベルト68に沿って並置されている。中間転写ベルト68は二つのローラー69,70に架設され、各画像形成ユニットの現像ユニット64C,64M,64Y,64Kとクリーニングブラシベルト65C,65M,65Y,65Kの間で感光体61C,61M,61Y,61Kに当接しており、中間転写ベルト68の内側には感光体との接触部において転写バイアスを印加するための転写部材(例えば転写ローラー)71C,71M,71Y,71Kが配置されている。図8に示す画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行われる。まず、各画像形成ユニットにおいて、感光体61C,61M,61Y,61Kが反時計回りに回転し、帯電部材62C,62M,62Y,62Kにより帯電され、次に露光部でレーザー光63C,63M,63Y,63Kにより、形成される各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像ユニット64C,64M,64Y,64Kにより潜像を現像してトナー像が形成される。現像ユニット64C,64M,64Y,64Kは、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行う現像ユニットで、4つの感光体61C,61M,61Y,61K上で作られた各色のトナー像は中間転写ベルト68上に重ね合わせて転写される(図8の例ではK,Y,M,Cの順に重ねて転写される)。中間転写ベルト68上に形成されたトナー像は、転写手段72で直ちに転写紙73に転写される。そしてトナー像が転写された転写紙73は図示しない定着装置に搬送され、トナー像が定着されて排紙される。
【0056】
上記のタンデム方式の画像形成装置において、各感光体61C,61M,61Y,61K上に形成されたトナー像を中間転写体(中間転写ベルトもしくは中間転写ドラム等)68に一次転写を行い、その後、転写紙73に二次転写を行うことによって、各感光体と転写紙とが直接接触しない構成とすることは前記のとおり高耐久化、高画質化に対し非常に有効である。特に、タンデム方式の画像形成装置においては、感光体間における経時劣化変動を可能な限り少なくする必要があり、感光体表面の摩耗量はもちろん、感光体表面への汚染の影響に感光体間で大きな差が生じてくると、4本の感光体により一つの画像を形成する機構上、色再現性や解像度低下等、画像劣化を引き起こすことになる。また、タンデム方式の場合には、感光体表面に付着する異物である放電生成物、トナー外添剤、紙粉の中でも紙粉による影響の度合いが大きくなる傾向にある。それは、少なくとも4色の転写が終わるまで各感光体は紙と接触している必要があることや、印刷する色の種類によって各色のトナー使用量に差が生じてくるのに対し、トナー使用量に関わらず感光体は絶えず紙と接触している必要があることによる。例えば、ブラックのみの印刷を行う場合には、ブラック以外の3つの感光体は紙に接触しないようにする機構などが考えられてはいるものの、実際には単色のみによる印刷需要は少なく、紙粉による影響が大きくなるのが一般的となっている。これらのことから、タンデム方式の画像形成装置において、感光体上のトナー像を中間転写体(中間転写ベルトもしくは中間転写ドラム等)に一次転写させることによって、感光体と紙とが直接接触しない構成とすることにより、感光体の高耐久化だけでなく、画像ボケやフィルミングの抑制、色再現性や解像度の向上等に特に有効となる。特に、本発明においては感光体表面の異物除去効果がさらに高まることから有効かつ有用である。
【0057】
次に、以上に示した各画像形成装置においては、転写後の感光体上に残されたトナーをクリーニングするために、クリーニングブラシベルト、あるいはクリーニングブラシベルトとクリーニングブレードとが併用して用いられる。クリーニングブラシベルトのブラシ毛に用いられる材質は、従来公知の材料をすべて使用することが可能である。また、ブラシ毛の形状については、例えばパイル布のパイル先端部分をカットしたカットパイルブラシやブラシの先端がブラシの毛をループ状に巻いた形状を有するループパイルブラシなど、従来の手段をすべて使用することが可能であるが、ループパイルブラシはカットパイルブラシ等に比べ毛先のエッジ部分がなく、感光体との接触面積が大きくなるため、感光体表面への傷の影響が小さいことと異物除去効率が高まることからより好ましい。上記ループパイルブラシを用いる場合、ループパイルブラシのループを形成する面が正面になるように配置され回転することによって、感光体との接触面積が増加することから異物除去効率が高まることになる。また、クリーニングブレードについても、ゴムなどの弾性材など従来公知のものをすべて使用することができる。また、クリーニングブラシベルトに対し、トナーと異なる極性のバイアスを印加させることも可能であり、感光体表面のトナーの除去に効果がある。
【0058】
また、クリーニングブラシベルトに潤滑性物質を付着させ、それによって感光体表面に潤滑性物質を供給する方法は、感光体の表面エネルギー低減効果を安定化させる上で有効な方法である。それによって、感光体上のトナーや異物の除去効率が高まるだけでなく、転写効率の向上や、感光体とトナー間の付着力が軽減されることによって中抜け等の画像欠陥の抑制が可能になるなど高画質化に対する効果は非常に大きい。これらの潤滑性物質としては、シリコーンオイル、フッ素オイル等の潤滑性液体、PTFE,PFA,PVDF等の各種フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコングリース、フッ素グリース、パラフィンワックス、脂肪酸エステル類、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類、黒鉛、二硫化モリブデン等の潤滑性液体や固体、粉体等が挙げられるが、この中でも固体、粉体状の潤滑性物質が好ましく用いられ、特に金属石鹸類やフッ素系もしくはシリコーン系の化合物は悪影響が少なく極めて有効に使用することができる。中でも、ステアリン酸亜鉛やポリテトラフルオロエチレン等の微粒子状潤滑生成物質は特に有効に使用することができる。
【0059】
次に、以上に示した各画像形成装置においては、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ、除電チャージャーが用いられ、それぞれ上記露光光源、帯電手段を利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは従来公知のものが全て使用できる。
また、以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
【0060】
以上の図示した画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれらの装置内に組み込まれ、着脱自在の構成としたものであってもよい。図10は、電子写真用プロセスカートリッジの一例を示す概略図であり、図中の符号101はドラム状の感光体、102は帯電装置、103は露光、104は現像装置、105は転写材(転写紙等)、106は転写装置、107はクリーニングブレード、108はクリーニングブラシベルトである。
本発明における電子写真用プロセスカートリッジとは、感光体及びクリーニング手段を内蔵し、他に帯電手段、現像手段、転写手段、除電手段の少なくとも一つを一体化し、画像形成装置本体に対して着脱可能とした部品である。クリーニング手段には少なくとも本発明による駆動するクリーニングブラシベルト108が具備されてなる。本発明では、前記感光体が画像形成装置本体に対して着脱自在の構成を有するプロセスカートリッジに内蔵され、かつ前記プロセスカートリッジが各色の画像形成ユニットとしてタンデム方式の画像形成装置に内蔵されたカラー画像形成装置や、プロセスカートリッジに内蔵された前記感光体が転写工程において直接紙と接触しない構成を有する画像形成装置、及びそれらを組み合わせた画像形成装置、並びにそれらのプロセスカートリッジがすべて含まれる。
【0061】
次に、本発明に用いられる電子写真感光体(光導電性の感光体)を図面に沿って詳細に説明する。
図11は、本発明の電子写真感光体の一例を表わす断面図であり、導電性支持体81上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層82及び保護層85が順次設けられている。最表面層である保護層85には少なくともフィラーや硬化性樹脂、高分子電荷輸送物質を含有させることにより、画像形成装置のさらなる高耐久化が実現される。
【0062】
図12は、本発明の電子写真感光体の別の例を表わす断面図であり、導電性支持体81上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層83と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層84及び保護層85が積層された構成をとっている。最表面層である保護層85には少なくともフィラーや硬化性樹脂、高分子電荷輸送物質を含有させることにより、画像形成装置のさらなる高耐久化が実現される。
【0063】
図13は、本発明の電子写真感光体のさらに別の例を表わす断面図であり、導電性支持体81上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層84と、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層83及び保護層85が積層された構成をとっている。最表面層である保護層には少なくともフィラーや硬化性樹脂、高分子電荷輸送物質を含有させることにより、画像形成装置のさらなる高耐久化が実現される。
【0064】
本発明においては、図11〜図13の感光体構成において、保護層85を形成せずに用いることも可能であるが、感光体の耐摩耗性が低下するため、画像形成装置の高耐久化に対しては上記のように感光体の最表面に保護層を形成することがより好ましい。
【0065】
導電性支持体81としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体81として用いることができる。
【0066】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体81として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0067】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体81として良好に用いることができる。
【0068】
次に感光層について説明する。感光層は単層であっても複数の層を積層した構成であってもよい。
まず、電荷発生層83と電荷輸送層84で構成される積層構成の場合について説明する。電荷発生層83及び電荷輸送層84は各々一層であっても複数層を有していてもよい。また、電荷発生層の上に電荷輸送層を形成しても、あるいはその逆の構成であってもよい。
【0069】
始めに、電荷発生層83について説明する。電荷発生層83は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じて結着樹脂を併用することができる。
電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、硫化カドミウム、硫化カドミウム−セレン、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0070】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることが出来る。例えば、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報に記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)等のアゾ系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、また、下記の化学式[化1]で表される金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料等が挙げられる。
【0071】
【化1】
【0072】
式中M(中心金属)は、金属及び無金属(水素)の元素を表す。ここであげられるM(中心金属)は、H、Li、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、TI、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Np、Am等の単体、もしく酸化物、塩化物、フッ化物、水酸化物、臭化物などの2種以上の元素からなる。中心金属は、これらの元素に限定されるものではない。本発明におけるフタロシアニン骨格を有する電荷発生物質とは、少なくとも一般式(N)の基本骨格を有していればよく、2量体、3量体など多量体構造を持つもの、さらに高次の高分子構造を持つものでもかまわない。また基本骨格に様々な置換基があるものでもかまわない。
【0073】
これらの様々なフタロシアニンのうち、中心金属にTiOを有するオキソチタニウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン等は感光体特性上特に好ましい。またこれらのフタロシアニンは、様々な結晶系を持つことが知られており、例えばオキソチタニウムフタロシアニンの場合、α、β、γ、m、Y型等、銅フタロシアニンの場合、α、β、γ等の結晶多系を有している。同じ中心金属を持つフタロシアニンにおいても、結晶系が変わることにより種々の特性も変化する。これらの種々の結晶系を有するフタロシアニン系顔料を用いた感光体の特性もそれに伴って変化することが報告されている(電子写真学会誌 第29巻 第4号(1990))。このことから、フタロシアニンの結晶系の選択は感光体特性上非常に重要であり、その中でもY型オキソチタニウムフタロシアニンは特に高感度化に対し有効かつ有用である。尚、これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0074】
電荷発生層83に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらの結着樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層の結着樹脂として前述の結着樹脂の他に、後述の高分子電荷輸送物質(例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平6−234838号公報、特開平6−234839号公報、特開平6−295077号公報、特開平7−56374号公報、特開平7−325409号公報、特開平9−80772号公報、特開平9−80783号公報、特開平9−80784号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−265201号公報、特開平9−297419号公報、特開平9−304956号公報に記載)を用いることができる。電荷発生層83で用いられる結着樹脂の量は電荷発生物質100重量部に対し、0〜500重量部、好ましくは0〜200重量部が適当である。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤や増感剤、分散剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0075】
電荷発生層83を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、前述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、前述の無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法など従来公知の方法を用いて行うことができる。以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0076】
電荷輸送層84は、少なくとも電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層83等の上に塗布、乾燥することにより形成できる。
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0077】
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他、公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0078】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂等が挙げられ、単独でも2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
【0079】
また、電荷輸送層84には、結着樹脂としての機能と電荷輸送物質としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は、耐摩耗性に優れ有効である。本発明においては、これらの高分子電荷輸送物質に前述の結着樹脂や低分子電荷輸送物質を混合して用いることも可能である。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、下記の化学式[化2]〜[化13]の(I)〜(X)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。
【0080】
【化2】
【0081】
[式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換及び/または無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換及び/または無置換のアルキル基、R5、R6は置換及び/または無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成(モル分率)を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9の数を表し、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表される2価基を表す。
【0082】
【化3】
【0083】
(式中、R101、R102は各々独立して置換及び/または無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状及び/または環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(Zは脂肪族の2価基を表す)または、下記の式[化4]を表す。
【0084】
【化4】
【0085】
式中のaは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。]
【0086】
【化5】
【0087】
式中のR7、R8は置換及び/または無置換のアリール基、Ar1、Ar2、Ar3は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0088】
【化6】
【0089】
式中、R9、R10は置換及び/または無置換のアリール基、Ar4、Ar5、Ar6は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0090】
【化7】
【0091】
式中、R11、R12は置換及び/または無置換のアリール基、Ar7、Ar8、Ar9は同一又は異なるアリレン基を表し、pは1〜5の整数を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0092】
【化8】
【0093】
式中、R13、R14は置換及び/または無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X1、X2は置換及び/または無置換のエチレン基、又は置換及び/または無置換のビニレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0094】
【化9】
【0095】
式中、R15、R16、R17、R18は置換及び/または無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1、Y2、Y3は単結合、置換及び/または無置換のアルキレン基、置換及び/または無置換のシクロアルキレン基、置換及び/または無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0096】
【化10】
【0097】
式中、R19、R20は水素原子、置換及び/または無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0098】
【化11】
【0099】
式中、R21は置換及び/または無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0100】
【化12】
【0101】
式中、R22、R23、R24、R25は置換及び/または無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式( I)の場合と同じである。
【0102】
【化13】
【0103】
式中、R26、R27は置換及び/または無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式( I)の場合と同じである。
【0104】
以下、これらトリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートの具体例の幾つかを以下に示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
【0105】
【化14】
【0106】
【化15】
【0107】
【化16】
【0108】
【化17】
【0109】
【化18】
【0110】
【化19】
【0111】
【化20】
【0112】
【化21】
【0113】
【化22】
【0114】
【化23】
【0115】
【化24】
【0116】
【化25】
【0117】
【化26】
【0118】
【化27】
【0119】
【化28】
【0120】
【化29】
【0121】
【化30】
【0122】
【化31】
【0123】
【化32】
【0124】
【化33】
【0125】
【化34】
【0126】
【化35】
【0127】
【化36】
【0128】
【化37】
【0129】
【化38】
【0130】
【化39】
【0131】
【化40】
【0132】
【化41】
【0133】
【化42】
【0134】
【化43】
【0135】
【化44】
【0136】
【化45】
【0137】
【化46】
【0138】
【化47】
【0139】
これら主鎖もしくは側鎖にトリアリールアミン構造を有している高分子電荷輸送物質は、単重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体の形態で重合される。そして、これら高分子電荷輸送物質は結着樹脂としての役割をもつことから被膜形成能を有していることが必要である。そのため、分子量は、GPCによる測定において、ポリスチレン換算分子量Mwとして1万〜50万が適当で、好ましくは5万〜40万である。
これら高分子電荷輸送物質は、特開平8−269183号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号公報、特開平9−272735号公報、特開平11−29634号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開2000−26590号公報に開示されている。
電荷輸送物質の含有量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は単独でも、他の結着樹脂との併用も可能である。
【0140】
電荷輸送層84の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層83と同様なものが使用できる。一例として、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を挙げることができるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
【0141】
電荷輸送層84には必要に応じて、レベリング剤や酸化防止剤、可塑剤等を添加することが可能である。併用できるレベリング剤としてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
併用できる酸化防止剤としては、フェノール系化合物類、ヒンダードフェノール系化合物類、ヒンダードアミン系化合物類、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機リン化合物類、ベンゾフェノン類、サルシレート類、ベンゾトリアゾール類、クエンチャー(金属錯塩系)等、従来公知の酸化防止剤をすべて使用することが可能である。使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜5重量%程度が適当である。また、併用できる可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
【0142】
塗布は電荷発生層35と同様に浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法など公知の方法を用いて行うことができるが、浸漬塗工法が最も好ましく用いられる。電荷輸送層84の膜厚は、5〜50μm程度が適当であり、解像度、地肌汚れ等の画像特性及び帯電電位、感度等の電気特性上、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
【0143】
次に図11に示す感光層82が単層構成の場合について述べる。感光層82は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体81上に塗工及び乾燥することによって形成される。電荷発生物質及び電荷輸送物質は、前述の電荷発生層83及び電荷輸送層84で挙げた材料を使用することが可能である。また、結着樹脂としては、前述の電荷輸送層84で挙げた樹脂の他に、電荷発生層83で挙げた樹脂を混合して用いてもよい。また、結着樹脂として前述の高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は、5〜40重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。また、必要により前記の可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することもできる。感光層33の膜厚は5〜25μm程度が適当である。
【0144】
本発明においては、前記の電荷輸送層84、電荷発生層83もしくは感光層82の上に最表面層として保護層85を形成することも可能であり、それによって、感光体の耐摩耗性が向上し、さらに本発明によるクリーニング方法と組み合わせて用いることにより、感光体の耐摩耗性と異物付着による異常画像の抑制が実現され、画像形成装置装置の高耐久化に対し有効となる。
【0145】
感光体の保護層に含有される結着樹脂としては、従来公知の結着樹脂、例えばポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂等の樹脂用いることが可能である。
これらの中でも、モノマーを光あるいは熱により架橋させた硬化樹脂は、感光体の耐摩耗性を高める上で有効であり、本発明によるクリーニング方法と組み合わせることによって、感光体の耐摩耗性と異物除去による異常画像の抑制が両立でき、画像形成装置の高耐久化に対して非常に有効となる。これらの硬化型樹脂の中でも、アクリル系もしくはメタクリル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等は耐摩耗性が高く、有効に使用することができる。
【0146】
また、保護層の結着樹脂には、高分子電荷輸送物質も有効に使用することが可能であり、電荷輸送層で記載された高分子電荷輸送物質はもちろん、如何なる高分子電荷輸送物質も有効に用いることができる。高分子電荷輸送物質を用いることによって、静電特性に感度を維持しつつ、感光体の耐摩耗性や耐傷性を向上させることが可能となる。本発明のクリーニング方法と組み合わせて用いることにより、異物除去効果がさらに高まり、電子写真装置の高耐久化に対して有効となる。
【0147】
感光体の保護層には、耐摩耗性の向上を目的としてフィラーを含有することが可能であり、高耐久化に対して有効である。これらのフィラーとしては、各種有機フィラーや無機フィラーが含まれるが、それらの中でもシリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物が耐摩耗性や解像度の面から有効に用いられる。これらの金属酸化物の中でも、画像ボケが発生しにくい金属酸化物としては、電気絶縁性が高い金属酸化物の方が好ましい。これらの金属酸化物としては、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン等が挙げられる。その中でもアルミナは有効に用いられ、特に光透過性が高く、熱安定性が高い上に、耐摩耗性に優れた六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上、塗膜品質、光透過性等の点から最も有効に使用することができる。一方、導電性金属酸化物を感光体の最表面に含有させた場合には、表面の抵抗が低下することによって電荷の横移動が起こり、画像ボケが発生しやすくなるため、添加量を制限し抵抗を制御することが必要である。これらの金属酸化物としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸価インジウム、酸価アンチモン、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の導電性材料が挙げられる。
【0148】
本発明において用いられる金属酸化物は、少なくとも一種の表面処理剤で表面処理を施すことが可能であり有効である。保護層に金属酸化物が含有された感光体は、オゾンやNOxガスにより画像ボケの影響が増加する傾向が見られるが、表面処理剤によって金属酸化物の比抵抗やpHを制御することが可能となり、表面処理剤によって画像ボケの抑制効果が大幅に高まる場合がある。金属酸化物の表面処理は、画像ボケの抑制効果だけでなく、金属酸化物の分散性を向上させる効果もあり、塗膜の光透過性の向上、塗膜欠陥の抑制、さらには耐摩耗性の向上や偏摩耗の抑制に対しても有効である。
【0149】
表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、前述の金属酸化物の比抵抗やpHを維持できる表面処理剤が好ましい。前述の金属酸化物のpHは、表面処理によって変化させることができる。すなわち、酸性処理剤で処理した金属酸化物は酸性側に、塩基性処理剤で処理した金属酸化物は塩基性側に等電点が移動するため、本発明の構成においては、表面処理剤についてもより塩基性を示す処理剤を用いることが、金属酸化物の分散性や画像ボケ抑制の点から好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤等は特に有効に使用することができる。また、Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理も金属酸化物の分散性及び画像ボケの点から好ましく用いられる。
【0150】
フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.9μmであることが光透過性や耐摩耗性の点から好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。金属酸化物の平均一次粒径がこれよりも小さい場合には、金属酸化物の凝集や耐摩耗性の低下等が起こりやすくなるだけでなく、金属酸化物の比表面積の増加により画像ボケの影響が増加する場合がある。また、金属酸化物の平均一次粒径がこれよりも大きい場合には、金属酸化物の沈降性が促進されたり、塗膜品質の低下あるいはそれを用いた画像形成装置において画質劣化が発生したりする場合がある。
【0151】
上記フィラーの分散性を高めるために、各種添加剤を添加することが可能であり有用である。特に、カルボン酸化合物は、金属酸化物の分散性やその安定性を高めるだけでなく、金属酸化物を添加したことによる残留電位上昇を抑制することが可能となる。その中でもポリカルボン酸系の湿潤分散剤は、それらの効果が高く非常に有効である。カルボン酸化合物としては、一般に知られている有機脂肪酸や高酸価樹脂あるいは共重合体等、分子構造中にカルボキシル基を含む化合物であればすべて使用することができる。例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、アジピン酸、オレイン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸等の如何なるカルボン酸をも使用することが可能である。また、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、末端カルボン酸不飽和ポリエステル、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸等、飽和もしくは不飽和の炭化水素を基本骨格とし、少なくとも一つ以上のカルボキシル基が結合されたポリマーやオリゴマーあるいはコポリマーはすべて含まれ、残留電位上昇を抑制する効果だけでなく、金属酸化物の分散性を向上させる効果が高いことから、より有効に用いられる。これらのカルボン酸化合物の中でも複数のカルボン酸残基を有し有機溶媒と相溶可能なポリカルボン酸化合物は酸価が高く、また金属酸化物への吸着性が向上する傾向にあり、残留電位の低減及び金属酸化物の分散性向上に対し、特に有効かつ有用である。これらのポリカルボン酸化合物の中でもポリカルボン酸タイプの湿潤分散剤であるBYKケミー社製の「BYK−P104」が最も有効に用いられる。
【0152】
残留電位の低減は、これらの化合物が酸価を有することと、金属酸化物への吸着性にあると考えられる。金属酸化物の添加による残留電位の上昇は、金属酸化物表面の極性基が電荷トラップサイトになることによって起こると考えられ、この極性基にこれらのカルボキシル基が吸着しやすく、それによって残留電位の低減効果が高まるものと考えられる。また、これらのカルボン酸化合物は、金属酸化物と結着樹脂との双方に親和性を持たせて濡れ性を高め、かつ立体障害あるいは電気的反発を与えることにより金属酸化物間の相互作用を減少させ安定性を高めることにより金属酸化物の分散性が向上する効果を有する。
【0153】
感光体の保護層にはさらに電荷輸送物質を含有させることも可能である。保護層に電荷輸送物質を含有させることによって残留電位の低減や感度劣化の抑制が可能となる。保護層に用いられる電荷輸送物質は、前述の電荷輸送層に記述されたすべての電荷輸送物質を使用することが可能である。また、保護層の結着樹脂に硬化型樹脂を用いた場合には、電荷輸送物質をも架橋させることが可能であり、感光体の耐摩耗性を向上させる上で有効である。
【0154】
感光体の保護層には、さらに各種酸化防止剤を添加することが可能であり有用である。本発明において含有される酸化防止剤には、フェノール系化合物類、ヒンダードフェノール系化合物類、ヒンダードアミン系化合物類、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機リン化合物類、ベンゾフェノン類、サルシレート類、ベンゾトリアゾール類、クエンチャー(金属錯塩系)等、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤がすべて含まれる。これらの酸化防止剤の中でも、長期間の繰り返し使用によるオゾンやNOx等の活性ガスから感光体の劣化を抑制し、画質安定性を高める上で効果が大きなものとしては、特にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物が有用であることが知られている。ヒンダードフェノール構造とは、フェノール性水酸基の両オルト位に嵩高い原子団が存在する構造を示す。一方、ヒンダードアミン構造とは、アミノ窒素原子近傍に嵩高い原子団が存在する構造を示し、芳香族アミンや脂肪族アミン系物質もこれに該当するが、より好ましくは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン構造を含んでいる化合物である。これらの両構造を有する化合物の作用機構の詳細は明らかではないが、嵩高い原子団が存在することにより立体障害が高められたことによって、アミノ窒素原子やフェノール性水酸基の熱振動を抑制し、ラジカル状態の安定性が高められたことによって外部からの活性ガスの影響を食い止めることができたものと推定される。ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物としては、種々のものが挙げられるが、中でも下記の構造式[化48]で表される1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジンは特にオゾンやNOxガスによる解像度低下に対し有効かつ有用である。
【0155】
【化48】
【0156】
保護層形成用塗工液に用いられる有機溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、これらの混合溶媒も有効に用いられる。一方、フィラーの分散手段としてはボ−ルミル、アトライタ−、サンドミル、ビーズミル、超音波等、従来公知の分散手段をすべて用いることが可能である。あるいは、バンバリーミキサー、ロールミル、2軸押出し機などの公知の装置を用い機械的に混合しペレット状に賦形する方法を挙げることもできる。押し出し賦形されたペレットは、幅広い温度範囲で成型可能であり、成型には通常の射出成型機が用いられる。
【0157】
保護層の形成には、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等、従来の塗工方法を用いることができる。この中でも膜厚制御がしやすく、フィラーの分散性を良好に維持することが可能となり、さらに塗膜品質についても優位性があることからスプレーコートがより好ましい。
塗工された感光体は、加熱による乾燥工程を経て製造される。保護層の膜厚としては、0.5μm〜10μmが好ましく、2μm〜6μmがより好ましい。
【0158】
本発明の感光体においては、導電性支持体81と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0159】
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工方法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。この他にも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は、残留電位や画質を考慮して0〜5μmが適当である。
【0160】
本発明の感光体においては、下引き層と感光層との間あるいは感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。尚、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0161】
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の少なくとも1層ないし各層に、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することが出来る。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
【0162】
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロ−ル類など。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0163】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
【0164】
各層に添加できる潤滑性物質としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
(f)金属石鹸
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
【0165】
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなど。
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
【0166】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。尚、以下の実施例において、部はすべて重量部である。
【0167】
(感光体製造例1)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、約3.0μmの下引き層、約0.2μmの電荷発生層、約20μmの電荷輸送層を形成した。[下引き層塗工液]
アルキッド樹脂(「ベッコゾール1307−60」大日本インキ化学工業製):6部
メラミン樹脂(「スーパーベッカミンG−821−60」大日本インキ化学工業製):4部
酸化チタン粉末(「タイペールCR−EL」石原産業社製):40部
メチルエチルケトン:50部
[電荷発生層塗工液]
ポリビニルブチラール(「エスレックBX−1」積水化学工業製):5部
メチルエチルケトン:400部
図14に示すXDスペクトルを有するチタニルフタロシアニン:8部
[電荷輸送層塗工液]
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製):10部
下記の構造式[化49]の電荷輸送物質:10部
シリコーンオイル(「KF50」信越化学製):0.002部
テトラヒドロフラン:100部
【0168】
【化49】
【0169】
上記電荷輸送層上にさらに下記組成の保護層塗工液を用いて、スプレー塗工によって膜厚が約5μmの保護層を形成した後、オーブンにて150℃、30分間の乾燥工程を経て電子写真感光体1を作製した。
[保護層塗工液]
アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、「AA−03」住友化学工業製):2部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価180mgKOH/g、不揮発分50%、「BYK−P104」BYKケミー製):0.1部
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製):10部
上記構造式[化49]の電荷輸送物質:9部
テトラヒドロフラン:380部
シクロヘキサノン:120部
【0170】
(感光体製造例2)
感光体製造例1において、保護層塗工液を下記の組成に変更した以外は、全て感光体製造例1と同様にして電子写真感光体2を作製した。
[保護層塗工液]
シランカップリング処理を施したアルミナ(平均一次粒径:0.3μm、「AA−03」住友化学工業製):1.0部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価180mgKOH/g、不揮発分50%、「BYK−P104」BYKケミー製):0.03部
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製):10部
上記構造式[化49]の電荷輸送物質:9部
テトラヒドロフラン:350部
シクロヘキサノン:100部
【0171】
(感光体製造例3)
感光体製造例1において、保護層塗工液を下記の組成に変更し、加熱によって架橋硬化させた以外は、全て感光体製造例1と同様にして電子写真感光体3を作製した。
[保護層塗工液]
アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、「AA−03」住友化学工業製):2部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー(酸価180mgKOH/g、不揮発分50%、「BYK−P104」BYKケミー製):0.09部
上記構造式[化49]の電荷輸送物質:8部
アクリル樹脂(水酸基価25(mgKOH/g)、不揮発分50%、「ヒタロイド3020」日立化成製):14部
グアナミン樹脂(不揮発分77%、「マイコート106」三井サイテック製):4.0部
芳香族スルホン酸(不揮発分40%、「キャタリスト4040」三井サイテック製):0.02部
テトラヒドロフラン:380部
シクロヘキサノン:120部
【0172】
(感光体製造例4)
感光体製造例1において、保護層塗工液を下記の組成に変更した以外は、全て感光体製造例1と同様にして電子写真感光体4を作製した。
[保護層塗工液]
アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、「AA−03」住友化学工業製):2.0部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー(酸価180mgKOH/g、不揮発分50%、「BYK−P104」BYKケミー製):0.06部
下記の構造式[化50]の高分子電荷輸送物質:18部
テトラヒドロフラン:450部
シクロヘキサノン:100部
【0173】
【化50】
【0174】
(感光体製造例5)
感光体製造例1において、保護層を形成せず、電荷輸送層の膜厚を約27μmとした以外は、全て感光体製造例1と同様にして電子写真感光体5を作製した。
【0175】
(実施例1〜15)
クリーニング手段として、図1に示される本発明のクリーニングブラシベルト14B(クリーニングブラシベルト14Bの駆動方向を感光体1の回転軸1Rに対して平行に配置)を備え、さらに感光体1の回転方向に対しその下流側にクリーニングブレードを配置させたクリーニング装置を、中間転写ベルトを具備した画像形成装置((株)リコー製imagioMF6550改造機)に搭載した。そして、前記のとおり作製された電子写真感光体1〜5を装着して、まず2万枚印刷後に10℃、15%RHの温・湿度条件下で画像評価を行い、さらにトータル20万枚まで印刷した後、30℃、90%RHの温・湿度条件下で画像評価を行った。上記画像評価において、クリーニングブラシにループ形状のものと直毛のものを準備し、画像に与える影響について観察した。また、上記画像評価において、クリーニングブラシの回転速度V1(mm/sec)と感光体の回転速度V2(mm/sec)の比を変化させ、線速比の影響について観察した。最後に、初期及び20万枚印刷後における膜厚差より摩耗量(μm)の評価を行った。
これらの結果を下記の表1に示す。尚、画像ランクは下記の水準で区分した。
[画像ランク]
◎:高画質と判断できるレベル。
○:若干画質が低下したが、問題ないレベル。
△:明らかに画質低下が認められるレベル。
×:画像の判別が困難なレベル。
【0176】
【表1】
【0177】
(比較例1〜5)
実施例1〜5において、クリーニングブラシベルトを、図2に示されるようなクリーニングブラシベルト14A(クリーニングブラシベルトの駆動方向を感光体の回転方向に対して逆方向に配置)に変更し、線速比を1.2とした以外は全て実施例1〜5と同様にして評価を行った。これらの結果を下記の表2に示す。
【0178】
【表2】
【0179】
(比較例6〜10)
クリーニング手段として、クリーニングブラシローラー(クリーニングブラシローラーの回転方向を感光体の回転方向に対して逆方向に配置)を備え、さらに感光体の回転方向に対しその下流側にクリーニングブレードを配置させたクリーニング装置を、中間転写ベルトを具備した画像形成装置((株)リコー製imagioMF6550改造機)に搭載した。そして、前記のとおり作製された電子写真感光体1〜5を装着して、まず2万枚印刷後に10℃、15%RHの温・湿度条件下で画像評価を行い、さらにトータル20万枚まで印刷した後、30℃、90%RHの温・湿度条件下で画像評価を行った。最後に、初期及び20万枚印刷後における膜厚差より摩耗量(μm)の評価を行った。これらの結果を下記の表3に示す。尚、画像ランクは下記の水準で区分した。
[画像ランク]
◎:高画質と判断できるレベル。
○:若干画質が低下したが、問題ないレベル。
△:明らかに画質低下が認められるレベル。
×:画像の判別が困難なレベル。
【0180】
【表3】
【0181】
(実施例16〜20)
クリーニング手段として、図1に示される本発明のクリーニングブラシベルト14B(クリーニングブラシベルト14Bの駆動方向を感光体1の回転軸1Rに対して平行に配置)を備え、感光体1の回転方向に対しその下流側にクリーニングブレードを配置させ、さらに前記クリーニングブラシベルトのブラシ毛にステアリン酸亜鉛の固形物を接触させたクリーニング装置を、中間転写ベルトを具備した画像形成装置((株)リコー製imagioMF6550改造機)に搭載した。そして、前記のとおり作製された電子写真感光体1〜5を装着して、まず2万枚印刷後に10℃、15%RHの温・湿度条件下で画像評価を行い、さらにトータル20万枚まで印刷した後、30℃、90%RHの温・湿度条件下で画像評価を行った。最後に、初期及び20万枚印刷後における膜厚差より摩耗量(μm)の評価を行った。これらの結果を下記の表4に示す。尚、画像ランクは下記の水準で区分した。
[画像ランク]
◎:高画質と判断できるレベル。
○:若干画質が低下したが、問題ないレベル。
△:明らかに画質低下が認められるレベル。
×:画像の判別が困難なレベル。
【0182】
【表4】
【0183】
表1、表2、表3及び表4の評価結果より、クリーニングブラシベルトを用いクリーニングブラシベルトの駆動方向を感光体の回転軸に対して平行方向に配置させることによって、低温・低湿下でもクリーニング不良が発生せず、また20万枚印刷後における高温・高湿下においても画像流れは発生しにくくなることが確認された。また、クリーニングブラシベルトのブラシ形状をループ形状とすることにより、また、クリーニングブラシベルトの回転速度と感光体の回転速度の線速比を1.0より高く設定することによって、異常画像の発生は抑制され長期間の繰り返し使用後においても高画質が維持される傾向にあることが確認された。また、これらの感光体表面をレーザー顕微鏡にて観察した結果、傷は認められるもののいずれも浅く、また傷の方向が複数観察された。また、感光体表面には付着した異物を観察することはできなかった。さらに、潤滑性物質をクリーニングブラシベルトのブラシに付着させることによって、高画質を維持しつつ、耐摩耗性が向上し、また、感光体表面への傷の影響も軽減されていることが確認された。
【0184】
一方、従来のクリーニングブラシローラーを用い、ブラシローラーの回転軸と感光体の回転軸が平行になるように配置させた場合、2万枚印刷後に低温・低湿下において出力した画像には、異物付着に伴う細長い斑点状欠陥が無数に発生していることが確認された。また、感光体表面にはそれに対応する細長い無数の斑点状の異物が付着している様子が目視によっても観察された。さらに、20万枚印刷後に高温・高湿下において出力した画像は、感光体の円周方向に対応した白抜けスジが無数に認められ、画像は円周方向に流れていることが確認された。また、クリーニングブラシローラーの代わりにクリーニングブラシベルトを用いても、ベルトの駆動方向が感光体の回転方向と逆方向であると、クリーニングローラーよりはわずかにクリーニング性が高まる傾向が見られるが、異物の除去効率は低下し、異常画像が発生する様子が確認された。
【0185】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像形成装置のクリーニング工程に、少なくとも本発明のクリーニングブラシベルトを具備することによって、以下の効果を得ることが可能となった。
【0186】
(1)クリーニングブラシベルトの駆動方向を、感光体の軸方向と平行方向に配置させることによって、ブラシ毛と感光体の摺擦時間を顕著に増加させることが可能となり、またブラシ毛の衝突頻度の大幅な低減と衝突位置を非画像形成領域である感光体の端部に集約させることが可能となる。それによって、異物除去効率のさらなる向上が実現されるとともに、感光体表面に与える傷の影響を大幅に軽減させることが可能となり、繰り返し使用によるクリーニング不良を低減させることが実現された。
【0187】
(2)クリーニングブラシベルトによって形成される傷の方向とクリーニングブレードによって形成される傷の方向が異なることとなり、傷の成長を抑制することが可能となった。その結果、異物除去効率をさらに向上させることが可能となり、感光体の耐摩耗性に影響を与えずに異物付着による異常画像の発生を抑制することが実現された。
【0188】
(3)放電生成物がスジ状に形成された傷に入り込むと、その部分の抵抗が低下することによって、傷に対し平行方向に書き込んだラインよりも垂直方向に書き込んだラインの方が、電荷が横に拡がりやすくなり、画像流れの傷方向依存性が顕著に発生する。従来は、感光体の傷がすべて同一方向(感光体の円周方向)に深く、しかも感光体の円周すべてに至る長いスジ状の傷であったため、感光体の傷に対し平行でない方向に書き込んだラインはすべて電荷が横に広く拡散しやすくなり、そのため画像流れが顕在化されやすかった。本発明では、クリーニングブレードとクリーニングブラシベルトによって感光体表面に同一方向ではない複数方向の傷が入ることによって、画像全体で見た場合に画像流れの傷方向依存性を大幅に低減させることが可能となった。このように、感光体の傷の方向が複数であることにより、そこに放電生成物が入り込んでも、電荷が拡がりにくく、電荷の拡散領域がある範囲に限定されるため、あらゆる方向の書き込みラインに対して画像流れが顕在化しにくくなった。
【0189】
(4)蓄積することによって感光体の円周方向に成長する異物は、主にクリーニングブレードによる影響が大きい。成長した異物は、感光体の円周方向に伸びた細長い形状を有しており、それをクリーニングブラシで同じく円周方向にクリーニングしてもそれらを除去するのは難しい。この場合、感光体の円周方向に成長した異物をそれとは異なる角度からクリーニングブラシベルトでクリーニングすることによって、異物の除去効率が顕著に高まり、クリーニング性が大幅に向上した。それによって、異常画像の発生を大幅に抑制することが可能となった。
【0190】
(5)感光体の回転軸とクリーニングブラシローラーの回転軸が平行に配置された従来方法では、ブラシによって除去されたトナーや異物が感光体表面に再付着する恐れがあった。それに対し、クリーニングブラシベルトの駆動方向を感光体の回転軸と平行に配置させることによって、クリーニングブラシベルトによって除去されたトナーや異物が感光体の端より外側に確実に運び出され回収することが可能となるために、感光体表面へのトナーや異物の再付着を大幅に抑制することが可能となり、異物付着による異常画像の発生を抑制させる上で有効となる。
【0191】
(6)クリーニングブラシベルトに潤滑性物質を付着させ、それを感光体表面に当接させることによって、感光体表面に潤滑性物質を付着させ、感光体表面の離型性を高める場合、感光体表面に与える傷の影響が少なくなったことによって、傷部に潤滑性物質が過剰に残存することが少なく、離型効果を高めることが可能となった。さらに、潤滑性物質の過剰供給による異常画像の促進を低減させる効果も発揮された。
【0192】
(7)クリーニングブラシベルトは、感光体表面の傷の成長だけでなく、感光体に与える機械的摩耗の影響を軽減させることが可能となる。それによって、感光体の耐摩耗性に影響を与えずにクリーニング性や異物除去効率を向上させることが可能となった。
【0193】
(8)本発明による異常画像の抑制効果は、感光体の耐摩耗性を高めた場合にさらなる効果を発揮する。特に、感光体表面にフィラーを含有させた場合は、脱離フィラーがクリーニングブレードに蓄積されることにより摩耗が促進し、傷の影響も顕著に増加する傾向にあったが、本発明により脱離フィラーがクリーニングブラシベルトによって効率的に感光体の端より外側に運び出され除去されるため、フィラーを含有させた感光体においても傷の影響を大幅に軽減させることができ、耐摩耗性を維持しつつ異常画像の発生を軽減させることが可能となった。また、感光体の表面に硬化型樹脂を含有させた感光体や高分子電荷輸送物質を含有させた感光体もまた、耐摩耗性が高い故に異物が残存しやすい傾向にあったが、本発明によって感光体表面に与える傷の影響を軽減したことにより効率的に異物の除去が可能となり、耐摩耗性を維持しつつ異常画像の発生を抑制することが実現された。
【0194】
本発明によって、上記の効果を得ることが可能となり、画像流れや異物付着による異常画像の発生を抑制することが可能となった。この効果は、感光体に対する摩耗力あるいは研磨力を高めたことによるのではなく、異物の除去効率を高めたこと、感光体に与える傷の影響を軽減させたこと、異物の再付着を抑制したことなどによるため、感光体の耐摩耗性に対して悪影響を与えずに、異物を除去しやすくすることが可能となったことによる。これにより、耐摩耗性を大幅に高めた感光体であっても、画像流れや異常画像を誘発する異物を効率的に除去できたことから、長期繰り返し使用後においても画質の安定化が維持された。この結果、感光体の耐摩耗性と異常画像の抑制、さらには画質安定化を両立することが可能となり、画像形成装置の高耐久化が実現された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクリーニング方法及び装置の一例を示す概略要部斜視図である。
【図2】従来のクリーニング方法及び装置の一例を示す概略要部斜視図である。
【図3】本発明のクリーニング方法及び装置の別の例を示す概略平面図である。
【図4】本発明のクリーニングブラシベルトのブラシ形状の一例を示す概略要部斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図6】本発明の帯電方法の一例を示す概略平面図である。
【図7】本発明の別の実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図8】本発明の別の実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図9】本発明の別の実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図10】本発明の別の実施形態を示す電子写真用プロセスカートリッジの概略構成図である。
【図11】本発明の電子写真感光体を表わす断面図である。
【図12】本発明の電子写真感光体の別な構成例を示す断面図である。
【図13】本発明の電子写真感光体のさらに別な構成例を示す断面図である。
【図14】電子写真感光体の製造例で用いられた電荷発生物質のXDスペクトルを示した図である。
【符号の説明】
1:感光体(像担持体)
2:除電ランプ
3:帯電部材
4:イレーサ
5:画像露光部
6:現像ユニット
7:転写前チャージャ
8:一対のレジストローラー
9:転写紙
10:転写チャージャ
11:分離チャージャ
12:分離爪
13:クリーニングチャージャ
14,14B:クリーニングブラシベルト
15:クリーニングブレード
16:クリーニング装置
17:クリーニング容器
17a:フリッカーバー
18:ギャップ材
21C,21M,21Y,21K:感光体(像担持体)
22C,22M,22Y,22K:帯電部材
23C,23M,23Y,23K:レーザー光
24C,24M,24Y,24K:現像部材
25C,25M,25Y,25K:クリーニングブラシベルト
26C,26M,26Y,26K:クリーニングブレード
27:転写紙
28:給紙コロ
29:レジストローラー
30:転写搬送ベルト
31C,31M,31Y,31K:転写ブラシ
32:定着装置
41:感光体
42:帯電チャージャー
44C,44M,44Y,44K:現像ユニット
45:中間転写体
46:クリーニングブラシベルト
47:クリーニングブレード
48:クリーニング装置
49:除電ランプ
50:転写手段
51:転写紙
61C,61M,61Y,61K:感光体(像担持体)
62C,62M,62Y,62K:帯電部材
64C,64M,64Y,64K:現像ユニット
65C,65M,65Y,65K:クリーニングブラシベルト
66C,66M,66Y,66K:クリーニングブレード
67C,67M,67Y,67K:除電ランプ
68:中間転写ベルト
71C,71M,71Y,71K:転写部材(転写ローラー)
72:転写手段
73:転写紙
81:導電性支持体
82:感光層
83:電荷発生層
84:電荷輸送層
85:保護層
101:感光体(像担持体)
102:帯電装置
103:露光
104:現像装置
105:転写材(転写紙等)
106:転写装置
107:クリーニングブレード
108:クリーニングブラシベルト
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置において像担持体のクリーニングを行うクリーニング方法及びクリーニング装置と、そのクリーニング方法及び装置を用い、像担持体表面への異物付着による異常画像の発生を抑制し、高耐久性と高画質化、さらに画質安定化を実現した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行うレーザープリンターやデジタル複写機等の画像形成装置は、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。さらに、それらは高速化技術との融合によりフルカラー印刷が可能なレーザープリンターあるいはデジタル複写機へと応用されてきている。
これらの電子写真方式のレーザープリンターやデジタル複写機等の画像形成装置に使用される像担持体としては光導電性の感光体が用いられているが、この電子写真用感光体としては、有機系の感光材料を用いたものが、コスト、生産性及び無公害性等の理由から一般に広く応用されている。有機系の感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型等が知られており、現在では電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせて用いる機能分離型の感光体が広く応用されている。
【0003】
機能分離型の感光体における静電潜像形成のメカニズムは、感光体を帯電した後、光照射すると、光は電荷輸送層を通過し、電荷発生層中の電荷発生物質により吸収され電荷を生成する。それによって発生した電荷が電荷発生層及び電荷輸送層の界面で電荷輸送層に注入され、さらに電界によって電荷輸送層中を表面に向かって移動し、感光体の表面電荷を中和することにより静電潜像を形成するものである。
【0004】
しかし、有機系の感光体は、繰り返し使用によって摩耗しやすく、感光層の摩耗が進行すると、感光体の帯電電位の低下や光感度の劣化、濃度低下や地汚れ等の画質劣化が促進される傾向が強く、従来から有機系感光体において耐摩耗性が大きな課題として挙げられていた。さらに、近年では電子写真方式の画像形成装置の高速化あるいは画像形成装置の小型化に伴う感光体の小径化によって、感光体の耐摩耗性がより一層重要な課題となっている。
【0005】
感光体における感光層の膜厚が摩耗によって薄くなるに従って、電界強度が高くなり、地肌汚れ等の画像欠陥が顕著に発生しやすくなる。一方、摩耗を考慮して感光層の膜厚を必要以上に増加させた場合には、解像度が大幅に低下し画質劣化が生じる傾向が見られる。また、繰り返し使用時に膜厚減少量が大きいと、画像品質が変動しやすく短いサイクルでの感光体の交換を余儀なくされる。従って、感光体の耐摩耗性を向上させて膜厚変動を少なくすることは、高画質化及びその経時安定化において非常に重要である。
【0006】
感光体の耐摩耗性を向上させる手段としては、感光体の最表面層を硬化させたり、フィラーを含有させたりする方法が知られており、有効かつ有用である。これらの方法によって耐摩耗性を向上させることは実現できたが、それに伴い高画質化に対して新たな課題が発生することとなった。それは、異物が感光体表面に付着及び堆積することによって異常画像の発生を促すものであり、画像形成装置の高画質化及び高耐久化を阻害する最も大きな原因の一つとなっている。
【0007】
これらの異常画像の一つに画像流れが挙げられる。これは、帯電によって生成される放電生成物が感光体表面に付着することによって感光体表面の抵抗が低下し、電荷が横方向に拡散することによって生ずると考えられており、特に高温、高湿環境下においてその影響が顕著に発生する。また、異常画像には感光体の表面に異物が付着することによって引き起こされる画像欠陥の影響も大きい。これは、トナーの外添剤や紙粉等が感光体表面に付着及び堆積することによって発生するものと考えられている。従来の耐摩耗性に乏しい感光体は、これらの異物が付着しても感光体が摩耗されることによって除去されたため、これらの異常画像は発生しにくかった。しかし、感光体の耐摩耗性の向上に伴って、感光体表面に付着した異物の除去が困難となり、それによる異常画像の発生が顕著に増加し、感光体の高耐久化を妨げる最大の要因となっていた。
【0008】
前記放電生成物は、帯電によって発生するイオン種と大気中の水分とによって生成されるものと考えられており、これらが感光体表面に付着することによって、感光体表面の抵抗が低下し、画像流れが発生する。これらの放電生成物の付着による画像流れを抑制する従来技術としては、感光体を加熱する方法(特開平1−191883号公報、特開平1−206386号公報、特開平1−233474号公報等)や感光層に酸化防止剤を含有させる方法(特開昭59−136744号公報、特開平2−64549号公報、特開平2−64550号公報、特開平8−292585号公報等)が開示されている。特に、感光体を加熱して除湿させる方法は画像流れに対して非常に有効である。しかし、感光体を加熱するためには、ヒーターを画像形成装置内に内包させる必要があることから装置の大型化が避けられない。また、絶えず感光体を加熱する必要があることから消費電力の著しい増加を引き起こす不具合も有していた。さらに、近年主流となっている小径感光体の場合には、より高い耐久性が要求されるにも関わらず、ヒーターを内包させることが難しく、効果が得られていないのが実情であった。一方、感光体の表面に酸化防止剤を含有させる方法は、帯電により発生するオゾンや窒素酸化物(NOx)ガスによる感光体の静電特性劣化を抑制させる上で有効であるが、感光体の表面に付着する放電生成物に対しては十分な効果が得られていないのが実情であった。
【0009】
また、トナーの外添剤や紙粉の付着による異常画像は、感光体表面に付着したそれらの異物が繰り返し使用する度に蓄積されることにより、やがて無数の斑点が画像に現れたり、それらが水分を取り込むことによって画像流れを引き起こしたりする場合がある。従来技術では、感光体表面の摩擦係数や表面エネルギーを低減させることによって、感光体表面の離型性を高める試みがなされている。しかし、これらの方法は、高耐久化に対してはほとんど効果が得られていないのが実情であった。それは、離型性を高めるために各種潤滑性物質を感光体の最表面層に含有させることによって、初期時の摩擦係数や表面エネルギーを大幅に低減させることは可能となっても、印刷を繰り返すに従いそれらが急激に上昇し、効果の持続性が極めて乏しかった。従って、十分な効果が得られておらず、画質の安定化が実現されるに至っていなかった。
【0010】
一方、潤滑性物質を感光体表面に付着させることによって、感光体表面の離型性を高める方法も開示されている。この方法は、効果の持続性に対しては有効であるものの、感光体表面への潤滑性物質の付着量を制御するのが難しく、付着量が過剰になると画像欠陥を引き起こす傾向が見られていた。特に、感光体表面上の傷などによって潤滑性物質の付着量が変化し、画像濃度の均一性が低下したり、部分的に画像流れが発生したりする恐れがあった。
【0011】
従来のクリーニング手段としては、特開平6−75510号公報に、像担持体表面に近接して配置された導電性材料で構成された第1のロール部材と、像担持体の移動方向に対し下流部に設けられた弾性材料で構成された第2のロール部材と、それらのロール部材に張架された無端状クリーニング(ブラシ)ベルトと、第1のロール部材にトナーとは逆極性のバイアスを印加する手段を有するクリーニング装置が開示されている。この方法は、異物除去効果は向上する傾向は認められるものの、クリーニングベルトの移動方向が像担持体表面の移動方向とは逆方向に限定されているため、感光体表面への傷の影響については改善されていない。従って、本発明の構成及びその効果とは大きく異なるものであり、耐摩耗性や異物除去効果の安定性は十分ではなかった。
【0012】
特開平6−301319号公報には、像担持体と同方向あるいは逆方向に移動するブラシを、像担持体との対向面に有する無端ベルト状としたクリーニング装置が開示されている。この方法は、クリーニング不良やフィルミングに対して有効な方法であるが、ブラシがベルト状であっても像担持体と同方向あるいは逆方向に移動する構成となっており、感光体表面への傷の影響については考慮されていない。従って、本発明の構成及びその効果とは大きく異なるものであり、耐摩耗性や耐傷性、それに伴う異物除去効果の安定性は十分とは言えない状況にあった。
【0013】
また、特開平9−138623号公報には、感光体表面の付着物を除去するために、クリーニングブレードでクリーニングを行う前に感光体に対して線速差を持った回転ブラシを設けた手段も開示されている。しかし、この場合、感光体の摩耗の影響が大きくなることが記載されており、クリーニング性が高まっても感光体の耐摩耗性が犠牲となる方法であり、さらに繰り返し使用後に形成される傷の抑制については一切言及されていないため、長期繰り返し使用によってクリーニング不良の影響が増大する恐れがあり、高耐久化に対する効果としては十分であるとは言えない。
【0014】
さらに、特開2000−10444号公報には、クリーニングブレードの感光体周面の回転方向上流側に、感光体の回転軸と平行な回転軸に螺旋状に植設された当接部材を有するクリーニング部材を備えた手段が開示されている。この方法は、感光体表面に残存したトナーの結着力を弱め、クリーニングブレードによるトナーの剥離を容易にする効果は認められるものの、感光体表面に付着した異物の除去に対しては十分な効果は得られにくい傾向にあり、また、螺旋状であることから、かなりの高速回転が必要であるため、感光体の耐摩耗性を大幅に低下させる。さらに、感光体に与える傷も感光体の円周方向であることに変わりはなく、感光体の傷によるクリーニング不良に対する効果は期待できない。
【0015】
また、特開平1−116677号公報には、先端をループ形状に形成したブラシを用いる方法が開示されている。この方法は異物除去効率を向上させる上で有効であるが、この場合は従来のクリーニングブラシローラーを用いた方法であり、その効果は十分ではなく、異物付着による画像欠陥を抑制することはできなかった。また感光体表面に与える傷の影響も抑制されず、繰り返し使用後にはクリーニング不良を招き、異常画像を引き起こす恐れがあった。
一方、特開2001−175142には、導電性繊維を有するベルトブラシの公知例が記載されているが、これは感光体ベルトの非像形成表面に当接されるものであり、本発明の像形成表面に当接してクリーニングを行う構成とは、目的や効果がまったく異なるものである。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
感光体の高耐久化において、耐摩耗性の向上が実現されると同時に顕在化されてきた異物付着による異常画像の発生は、感光体の耐摩耗性を高めようとすると感光体表面に異物が残存しやすくなり、感光体表面の異物を除去しようとすると感光体の耐摩耗性が犠牲となり、耐摩耗性と異常画像の抑制を両立することは非常に難しかった。感光体の耐摩耗性が高くても異常画像が早期に発生するのでは、画像形成装置の高耐久化が実現されたことにはならない。感光体の耐摩耗性を維持しつつ、感光体表面の異物付着を抑制し、感光体の耐摩耗性と高画質化、さらには画質安定化を同時に実現することが、画像形成装置の高耐久化を実現する上での最大の課題であった。このように、感光体の耐摩耗性と感光体表面の異物付着による異常画像の発生は、トレードオフの関係にあることから、感光体の耐摩耗性に大きな影響を与えずに、より効率的に感光体表面上の異物を除去できるクリーニング方法や装置が強く求められていた。
【0017】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、像担持体である感光体の耐摩耗性を維持しつつ、より効率的に異物を除去できる新規なクリーニング方法及びクリーニング装置を提案し、それによって高耐久化と高画質化、さらには画質安定化を実現することができる電子写真方式の画像形成装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
像担持体である電子写真用感光体の高耐久化を実現するためには、前述のとおり耐摩耗性の向上と同時に、感光体表面の異物付着を抑制し、それによって画像形成装置の繰り返し使用における画質安定化を向上させることが必要である。従来は、感光体の耐摩耗性を向上させるに従い、感光体表面に異物が残存しやすくなり、それらの異物を除去しようとすると感光体の耐摩耗性が犠牲となり、感光体の耐摩耗性と異物除去による画質安定化の両立が実現されていなかった。
【0019】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、従来のクリーニング方法ではトナーをクリーニングする一方で、感光体表面に異物が残存しやすくなる状況を形成しており、それによって耐久性を低下させていることを明らかにした。そこで、本発明においては、以下の構成要件を満足することにより、感光体の耐摩耗性を維持しつつ、より効率的に異物を除去できるクリーニング方法及び装置を提案し、異常画像の抑制によって画質安定性を高めた結果、画像形成装置の高耐久化が実現され、本発明を完成させるに至った。
【0020】
すなわち、請求項1に係る発明は、回転する像担持体に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において前記像担持体のクリーニングを行うクリーニング方法であって、複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルトを用い、該クリーニングブラシベルトが、像担持体の回転軸に対して平行方向に駆動することによって該像担持体表面のクリーニングを行うことを特徴としている。
請求項2に係る発明は、請求項1記載のクリーニング方法において、前記クリーニングブラシベルトに植設されたブラシ毛が、ループ形状を形成していることを特徴としている。
請求項3に係る発明は、請求項1または2記載のクリーニング方法において、少なくとも前記クリーニングブラシベルトの駆動時においてフリッカーバーがブラシ毛に当接されることによって、該ブラシ毛の付着物を除去する手段を有することを特徴としている。
【0021】
請求項4に係る発明は、回転する像担持体に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において前記像担持体のクリーニングを行うクリーニング装置であって、複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルトを有し、該クリーニングブラシベルトが、像担持体の回転軸に対して平行方向に駆動するように配置されてなることを特徴としている。
請求項5に係る発明は、請求項4記載のクリーニング装置において、前記クリーニングブラシベルトに植設されたブラシ毛が、ループ形状を形成していることを特徴としている。
請求項6に係る発明は、請求項4または5記載のクリーニング装置において、少なくとも前記クリーニングブラシベルトの駆動時においてフリッカーバーがブラシ毛に当接されることによって、該ブラシ毛の付着物を除去する手段を有することを特徴としている。
【0022】
請求項7に係る発明は、回転する像担持体に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において、前記クリーニング工程に少なくとも複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルトを用い、該クリーニングブラシベルトが、像担持体の回転軸に対して平行方向に駆動するように配置されてなることを特徴としている。
請求項8に係る発明は、請求項7記載の画像形成装置において、前記クリーニングブラシベルトに植設されたブラシ毛が、ループ形状を形成していることを特徴としている。
請求項9に係る発明は、請求項7または8記載の画像形成装置において、少なくとも前記クリーニングブラシベルトの駆動時においてフリッカーバーがブラシ毛に当接されることによって、該ブラシ毛の付着物を除去する手段を有することを特徴としている。
請求項10に係る発明は、請求項7〜9の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記クリーニングブラシベルトの回転速度V1(mm/sec)と前記像担持体の回転速度V2(mm/sec)とが、下記の関係式:
V1≠V2
を満足することを特徴としている。
請求項11に係る発明は、請求項10記載の画像形成装置において、前記クリーニングブラシベルトの回転速度V1(mm/sec)と前記像担持体の回転速度V2(mm/sec)とが、下記の関係式:
1.0<V1/V2<20
を満足することを特徴としている。
請求項12に係る発明は、請求項7〜11の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記クリーニング工程が、さらにクリーニングブレードによるクリーニング手段を含むことを特徴としている。
請求項13に係る発明は、請求項12記載の画像形成装置において、前記クリーニング工程では、前記像担持体の回転方向に対し、前記クリーニングブレードよりも、前記クリーニングブラシベルトの方が上流側に配置されてなることを特徴としている。
請求項14に係る発明は、請求項7〜13の何れか一つに記載の画像形成装置において、少なくとも前記クリーニングブラシベルトのブラシ毛が導電性材料によって形成されており、かつトナーと逆極性のバイアスを印加することを特徴としている。
請求項15に係る発明は、請求項7〜14の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記クリーニングブラシベルトのブラシ毛に潤滑性物質を付着させる手段を有することを特徴としている。
請求項16に係る発明は、請求項15記載の画像形成装置において、前記潤滑性物質が、固体もしくは微粒子状であることを特徴としている。
請求項17に係る発明は、請求項15または16記載の画像形成装置において、前記潤滑性物質が、金属石鹸類、フッ素含有化合物、シリコン含有化合物の少なくとも一種であることを特徴としている。
請求項18に係る発明は、請求項7〜17の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は光導電性の感光体からなり、その感光体の最表面層に、フィラーが含有されていることを特徴としている。
請求項19に係る発明は、請求項18記載の画像形成装置において、前記フィラーが、金属酸化物であることを特徴としている。
請求項20に係る発明は、請求項19記載の画像形成装置において、前記金属酸化物が、少なくとも一種の表面処理剤によって表面処理を施していることを特徴としている。
請求項21に係る発明は、請求項18〜20の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記フィラーの平均一次粒径が、0.01〜0.9μmであることを特徴としている。
請求項22に係る発明は、請求項7〜21の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は光導電性の感光体からなり、その感光体の最表面層に熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂を含み、それらが架橋することによって硬化されていることを特徴としている。
請求項23に係る発明は、請求項7〜21の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体は光導電性の感光体からなり、その感光体の最表面層に、高分子電荷輸送物質が含有されていることを特徴としている。
請求項24に係る発明は、請求項7〜23の何れか一つに記載の画像形成装置において、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーを保持する現像部と、該現像部に対応した複数の像担持体を具備し、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの各工程が並列に処理されるタンデム方式の画像形成部を備えたことを特徴としている。
請求項25に係る発明は、請求項7〜24の何れか一つに記載の画像形成装置において、前記像担持体に、帯電、露光、現像の工程を経てトナー像を形成した後、中間転写体もしくは中間転写ベルトを介して紙に転写を行うことにより、前記像担持体と紙とが直接接触しない構造を有することを特徴としている。
請求項26に係る発明は、請求項7〜25の何れか一つに記載の画像形成装置において、少なくとも前記クリーニング手段及び前記像担持体が、画像形成装置本体に対し着脱自在の構造を有する電子写真用プロセスカートリッジに具備されてなることを特徴としている。
【0023】
以下、本発明についてより詳しく説明する。
電子写真方式の画像形成装置において、像担持体である感光体の耐摩耗性が向上されてきたことによって、クリーニング工程ではトナーだけでなく、感光体に付着する異物を除去する効果も要求されている。異物を除去するためには、クリーニングブラシとクリーニングブレードとを併用して用いることが公知となっているが、効果としては十分ではなく、異物を掻き取るためにクリーニング条件を強くした結果、感光体の摩耗や傷の成長を促進させてしまい、それがクリーニング不良を引き起こすこととなり、課題の解決には至っていない。
【0024】
従来用いられているクリーニングブラシは、ローラー状のブラシを用いるのが一般的となっている。そのため、クリーニング時に感光体とクリーニングブラシとの接触時間が非常に少ない上に、ブラシ毛が感光体表面に衝突する頻度が多くなり、感光体表面に与える傷の影響が増大するにも関わらず、十分な異物除去効果が得られていなかった。クリーニングベルトを用いた方法は、トナーに対するクリーニング性は向上するものの、感光体表面に付着した異物を除去することは困難であった。一方、クリーニングブラシベルトを用いることによって、異物除去効果は向上される傾向にあり、ブラシローラーに比べると感光体表面にブラシが衝突する頻度が軽減するため、傷の影響も軽減される傾向が見られている。しかし、ブラシの摺動方向と感光体の回転方向が同じであることから、その有効性はわずかであり、感光体表面に与える傷の影響が増大することによって異物除去効果やクリーニング性は大幅に低下し、高耐久化は実現されていなかった。
【0025】
本発明においては、複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルトを用い、該クリーニングブラシベルトが、感光体の回転軸に対して平行方向に駆動するように配置させることによって、感光体表面とブラシ毛とが接触し摺擦する時間が著しく増加し、異物除去効率が向上することを見出した。さらに、この方法により、感光体にブラシ毛が衝突する頻度を大幅に低減できるとともに、ブラシ毛の衝突位置が感光体の非画像形成領域である端部に集約させることが可能となり、感光体表面の画像形成領域に与える傷の影響を顕著に軽減させることが可能となった。感光体表面に形成される傷が深いほど、大きいほど、また多いほど、異物が入り込みやすく、感光体表面から異物を除去しにくくなる。さらに、繰り返し使用後には傷部に付着した異物が核となり、そこに蓄積することによってさらに成長を繰り返すことになる。それによって異物の除去がさらに困難になるだけでなく、画像にも顕在化しやすくなる。従って、感光体表面に与える傷の影響を可能な限り低減させることは、異常画像の発生を抑制する上で非常に有効である。
【0026】
一方、従来用いられているクリーニングブラシローラーは、その回転軸が感光体の回転軸と平行になるように配置されていた。クリーニングブレードを併用した場合、クリーニングブラシによって形成される傷の方向とクリーニングブレードによって形成される傷の方向が感光体の円周方向で一致することになるため、感光体表面に形成される傷の成長が著しく促進され、それによって異物が除去しにくくなり、クリーニング不良が発生しやすくなっていた。
【0027】
それに対して、本発明においては、クリーニングブラシベルトの駆動方向が感光体の回転軸に対し平行方向に配置されていることにより、クリーニングブラシベルトによって形成される傷の方向とクリーニングブレードによって形成される傷の方向が異なるため、傷の成長を抑制することが可能となった。その結果、異物除去効率をさらに向上させることが可能となり、感光体の耐摩耗性に大きな影響を与えずに異物付着による異常画像の発生を抑制することが実現された。
また、本発明においては、前記クリーニングブラシベルトを用い、その駆動方向を感光体の軸方向に対して平行に配置させることによって、上記以外にさらに下記の効果を得ることが可能である。
【0028】
(1)放電生成物がスジ状に形成された傷に入り込むと、その部分の抵抗が低下することによって、傷に対し平行方向に書き込んだラインよりも垂直方向に書き込んだラインの方が、電荷が横に拡がりやすくなり、画像流れの傷方向依存性が顕著に発生する。従来は、感光体の傷がすべて同一方向(感光体の円周方向)に深く、しかも感光体の円周すべてに至る長いスジ状の傷であったため、感光体の傷に対し平行でない方向に書き込んだラインはすべて電荷が横に広く拡散しやすくなり、そのため画像流れが顕在化されやすかった。本発明では、クリーニングブレードとクリーニングブラシベルトによって感光体表面に同一方向ではない複数方向の傷が入ることによって、画像全体で見た場合に画像流れの傷方向依存性を大幅に低減させることが可能となった。このように、感光体の傷の方向が複数であることにより、そこに放電生成物が入り込んでも、電荷が拡がりにくく、電荷の拡散領域がある範囲に限定されるため、あらゆる方向の書き込みラインに対して画像流れが顕在化しにくくなった。
【0029】
(2)蓄積することによって感光体の円周方向に成長する異物は、主にクリーニングブレードによる影響が大きい。成長した異物は、感光体の円周方向に伸びた細長い形状を有しており、それをクリーニングブラシで同じく円周方向にブラシクリーニングしてもそれらを除去するのは難しい。この場合、感光体の円周方向に成長した異物をそれとは異なる角度からクリーニングブラシベルトでクリーニングすることによって、異物の除去効率が顕著に高まり、クリーニング性が大幅に向上した。それによって、異常画像の発生を大幅に抑制することが可能となった。
【0030】
(3)感光体の回転方向に対しクリーニングブラシローラーあるいはクリーニングブラシベルトの回転方向が同方向かもしくは逆方向に限定されていた従来方法では、ブラシによって除去されたトナーや異物が感光体表面に再付着する恐れがあった。それに対し、クリーニングブラシベルトの駆動方向を感光体の回転軸と平行に配置させることによって、クリーニングブラシによって除去されたトナーや異物が感光体の端部まで確実に運び出され回収することが可能となるために、感光体表面へのトナーや異物の再付着を大幅に抑制することが可能となり、異物付着による異常画像の発生を抑制させる上で有効である。
【0031】
(4)クリーニングブラシベルトに潤滑性物質を付着させ、それを感光体表面に当接させることによって、感光体表面に潤滑性物質を付着させ、感光体表面の離型性を高める場合、感光体表面に与える傷の影響が少なくなったことによって、傷部に潤滑性物質が過剰に残存することは少なく、離型効果を高めることが可能となった。さらに、潤滑性物質の過剰供給による異常画像の促進を低減させる効果も発揮された。
【0032】
(5)クリーニングブレードとクリーニングブラシベルトによってクリーニングする際に、感光体表面を摺擦する方向が同一方向ではないため、感光体表面の傷の成長だけでなく、感光体に与える機械的摩耗の影響を軽減させることが可能となる。それによって、感光体の耐摩耗性に影響を与えずにクリーニング性や異物除去効率を向上させることが可能となった。
【0033】
(6)本発明による異常画像の抑制効果は、感光体の耐摩耗性を高めた場合にさらなる効果を発揮する。特に、感光体表面にフィラーを含有させた場合は、脱離フィラーがクリーニングブレードに蓄積されることにより摩耗が促進し、傷の影響も顕著に増加する傾向にあったが、本発明により脱離フィラーがクリーニングブラシベルトによって効率的に感光体の端より外側に運び出され除去されるため、フィラーを含有させた感光体においても傷の影響を大幅に軽減させることができ、耐摩耗性を維持しつつ異常画像の発生を軽減させることが可能となった。また、感光体の表面に硬化型樹脂を含有させた感光体や高分子電荷輸送物質を含有させた感光体もまた、耐摩耗性が高い故に異物が残存しやすい傾向にあったが、本発明によって感光体表面に与える傷の影響を軽減したことにより効率的に異物の除去が可能となり、耐摩耗性を維持しつつ異常画像の発生を抑制することが実現された。
【0034】
以上のように、感光体の耐摩耗性を高めた感光体は、感光体表面に付着する異物によって異常画像が発生しやすくなり、画像形成装置の高耐久化が不十分であったが、本発明において感光体表面に付着した異物の除去効率を大幅に高めたと同時に、感光体表面に形成される傷の影響を低減させたことによって、感光体の耐傷性さらには耐摩耗性を向上させることが可能となった。それによって、感光体の耐摩耗性を維持しつつ、画像流れや異物付着による異常画像の発生を抑制することが可能となり、感光体の耐摩耗性と高画質化、さらには画質安定化の両立により画像形成装置の高耐久化が実現された。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成、動作及び作用を図面を参照して詳細に説明する。
始めに、図面を参照して本発明のクリーニング方法並びにクリーニング装置を詳しく説明する。図2は従来公知の方法によるクリーニングブラシベルトを用いたクリーニング装置の典型的な実施形態の一例を示す概略要部構成図である。この場合、クリーニングブラシベルト14Aの駆動方向や感光体1の回転方向は、矢印方向に限定されるものではない。従来のクリーニングブラシベルト14Aの駆動方向は、感光体1の回転方向(例えば図中の矢印A方向)に対して同方向かもしくは逆方向(例えば図中の矢印B方向)に限定されていた。
【0036】
図1は本発明におけるクリーニング装置の典型的な実施形態の一例を示す概略要部斜視図である。この場合、クリーニングブラシベルト14Bの駆動方向や感光体1の回転方向は、矢印方向に限定されるものではない。図1において、本発明のクリーニングブラシベルト14Bの駆動方向(図中の矢印C方向)は、感光体1の回転軸1Rに対して平行方向に配置されている。図3は、本発明のクリーニングブラシベルト14Bの駆動方向(図中の矢印C方向)を感光体1の回転軸に対して平行方向に配置させた場合の別の例を示す図である。この場合も、クリーニングブラシベルト14Bの駆動方向や感光体1の回転方向は、矢印方向に限定されるものではない。尚、図3に示したように、クリーニングブラシベルト14Bのブラシ毛にフリッカーバー17aを当接させることによって、ブラシ毛に付着したトナーや異物を効率的に除去し、クリーニング容器17に回収することができるため、クリーニング性や異物除去効率を高める上で好ましい。特に、この場合、クリーニングブラシベルト14Bによって感光体表面の残存トナーや異物が確実に感光体1の端部まで確実に運搬される上、フリッカーバー17aは感光体表面から離れたところに設置することが可能であることから、残存トナーや異物を感光体表面に再付着させる恐れがなく、フリッカーバー17aで確実に除去し、クリーニング容器17に回収することが可能であり、これによってクリーニング性や異物除去効率は顕著に高くなる。
【0037】
これらの図によって示されたとおり、本発明はクリーニングブラシベルト14Bの駆動方向を感光体1の回転軸1Rに対して平行方向に配置させることによって、異物除去効率の向上や感光体表面に与える傷の影響の軽減、さらには除去したトナーや異物を効率的に回収し、感光体表面への再付着を抑制する効果等を有することから有効である。従って、本発明におけるクリーニングブラシベルト14Bとは、複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面にブラシ毛が配列植設された無端ベルトであれば如何なる材質あるいは形状を有していてもよい。
【0038】
本発明のクリーニングブラシベルト14Bのブラシ形状は、従来公知のいずれの形状でも使用可能であるが、特にループ形状を形成することが好ましい。図4はループ形状のブラシを有するクリーニングブラシベルトの一例を示す概略要部斜視図である。直毛状のブラシをカットしたカットパイルブラシでは、カット部のエッジによって感光体表面に傷が入りやすくなるが、ループ形状を有するループパイルブラシは感光体に与える傷の影響を大幅に軽減できるため、感光体の耐摩耗性や耐傷性に対して有効である。また、カットパイルブラシでは感光体に対して点接触であるのに対し、ループブラシでは線接触であるため接触面積を増大させることが可能となり、それによって異物の除去効率をさらに高めることが可能となる。
【0039】
クリーニングブラシベルト14Bの駆動時に、図3に示すようにブラシ毛にフリッカーバー17aを当接させることによって、ブラシ毛に付着したトナーや異物を除去することが可能であることから、それらの感光体表面への再付着を防止したり、クリーニング性や異物除去効果を高める上で有効である。特に、本発明の構成によって、フリッカーバー17aを感光体表面より大きく離れた端部付近に設置することが可能であることから、感光体表面へのトナーや異物の再付着を抑制する上でより有効である。
【0040】
本発明においては、クリーニングブラシベルトの回転速度V1(mm/sec)と感光体の回転速度V2(mm/sec)が異なる(V1≠V2)ように線速差を与えることが好ましく、クリーニングブラシの回転速度V1(mm/sec)と感光体の回転速度V2(mm/sec)とが下記の関係式:
1.0<V1/V2<20
を満足することがより好ましい。
このように、感光体とクリーニングブラシベルトとの回転速度に線速差を与えることによって、異物除去効率が著しく高まると同時に、感光体表面に形成される傷が一定方向に偏ることがないため、傷の成長を遅らせることができるとともに、傷に入り込んだ放電生成物によって引き起こされる抵抗低下による電荷の拡散が最小限に抑制される。これにより、画像流れの抑制効果を著しく高めることが可能となる。
【0041】
本発明においては、クリーニング手段として前記クリーニングブラシベルトのみを使用することができるが、クリーニングブレードを併用することがより好ましい。クリーニングブレードを併用することによって、クリーニング性が大幅に高まるだけでなく、異物の除去効率が大幅に向上できる。また、クリーニングブレードと併用することによって、感光体表面に少なくとも二方向の傷が形成されることになり、かつ傷の成長を抑制することができるため、傷部に入り込んだ放電生成物による電荷の拡散を抑制することができ、これにより画像流れを顕著に抑制することが可能となる。
【0042】
感光体の回転方向に対し、前記クリーニングブラシベルトをクリーニングブレードよりも上流側に配置させることによって、トナーのクリーニング性が高まるだけでなく、異物の除去効率がさらに向上する傾向が見られ、画像形成装置の高耐久化に対して有効となる場合がある。但し、異物の除去を主目的とする場合には、クリーニングブラシベルトが感光体の回転方向に対して下流側に配置されていてもよい。
【0043】
また、クリーニングブラシに潤滑性物質を付着させ、それを感光体に当接させることによって、感光体表面に潤滑性物質を付着させる手段は公知であるが、本発明においては、感光体の傷の成長を抑制させることが可能となる上に、感光体上をブラシが摺擦する距離が長いため、潤滑性物質が傷部に入り込むことによって誘発される異物付着が少なく、また潤滑性物質の感光体表面への付着量のバラツキを減少させることが可能となる。その結果、クリーニング性のさらなる向上が実現され、異常画像の抑制効果が高まる。この場合は、クリーニングブラシベルトは、クリーニングブレードよりも感光体の回転方向に対して下流側に配置されていた方が好ましい。
【0044】
次に、図面を参照して本発明に係る電子写真方式の画像形成装置装置の全体の構成を詳しく説明する。尚、以下に示す図や説明は本発明を説明するための一例であり、これに限定されるものではない。
【0045】
図5は本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。図5において、符号1は像担持体、2は除電ランプ、3は帯電部材、4はイレーサ、5は画像露光部、6は現像ユニット、7は転写前チャージャ、8は一対のレジストローラー、9は転写紙、10は転写チャージャ、11は分離チャージャ、12は分離爪、16はクリーニングチャージャ13とクリーニングブラシベルト14(図1または図3に示すクリーニングブラシベルト14B)及びクリーニングブレード15で構成されるクリーニング装置である。また、図示していないが、転写紙9の搬送方向で転写チャージャ10より上流側には給紙手段(転写紙を収納した給紙カセットや給紙ローラー、搬送ローラー等)が設けられ、分離チャージャ11より下流側には定着ユニットや排紙装置(排紙ローラー、排紙トレイ等)が設けられている。
【0046】
図5において、像担持体1としては本発明に係る光導電性の電子写真用感光体が用いられている。この感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。尚、シート状もしくはエンドレスベルト状の感光体の場合、その回転軸とはそれらのシートもしくはベルトを支持している複数のローラーの回転軸と同一であると定義する。
【0047】
帯電部材3は、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)等による非接触帯電や帯電ローラーあるいは帯電ブラシによる接触帯電のいずれも使用することが可能である。さらに、帯電部材3として帯電ローラーを用いる場合、図6に示されるように感光体1あるいは帯電ローラー3にギャップを設けて、感光体1と帯電ローラー3とが画像形成領域において非接触となるように近接配置させることも可能であり有効である。特に、感光体表面に潤滑性物質を付着させた場合に、それらが帯電ローラー3に付着することによって、帯電ローラー3の汚染を促進させる場合がある。帯電ローラー3の汚染は帯電ムラを引き起こしたり、感光体1の汚染を促進させたりする場合があり、画像濃度ムラや異常画像の発生を促す恐れがある。従って、帯電ローラー3と感光体1とがギャップを介して近接配置されていることによって、それらを抑制させる効果が得られる場合があるため有効である。感光体1に対し帯電ローラー等の帯電部材3を近接配置させる方法としては、感光体1の非画像形成領域にギャップを設ける必要があるが、それは例えば、ギャップ材3Aを帯電部材3に設けたり、感光体側に設けたり、あるいは感光体1の両端にセットされるフランジ部に設けることによって形成することが可能であり、本発明においては感光体1と帯電部材3とが近接配置されていれば如何なる方法でも可能である。このようにギャップ材3Aを使用する場合、ギャップ材3Aは絶縁性である必要があり、耐摩耗性の高い材料が有効に用いられる。ギャップ材3Aはテープ状、シール状もしくはチューブ状等、如何なる形態のものでも使用できる。ギャップの厚さは、10〜200μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、さらに好ましくは40〜80μmである。ギャップがこれよりも小さい場合には、帯電部材3と感光体1の接触が多くなり、近接配置させたメリットが得られず画質劣化の影響が増加し、ギャップがこれよりも大きい場合には帯電の安定性が低下し帯電ムラが発生する場合がある。また、帯電部材3には直流成分に交流成分を重畳して感光体1に帯電を付与することが可能である。交流成分を重畳することによって、帯電ムラを低減することが可能となり、それによって画像濃度ムラやコントラストの低下を抑制することが可能となり有用である。
【0048】
次に、均一に帯電された感光体上に静電潜像を形成するために画像露光部5が用いられる。この画像露光部5の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0049】
次に、感光体上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット6が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法等がある。感光体に正(又は負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(又は負)の静電潜像が形成される。これを負(又は正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(又は負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
【0050】
このようにして感光体上で可視化されたトナー像は転写チャージャ10により転写紙9に転写され、転写後の転写紙9は分離チャージャ11により感光体1から分離され、図示しない定着ユニットに搬送され、定着ユニットで加熱や加圧によりトナー像が転写紙9に定着される。定着後の転写紙9は図示しない排紙トレイ等に排紙される。
【0051】
次に、フルカラー用画像形成装置における現像ユニットは、少なくともシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色に対応したユニットを有しており、例えば図7に示すように、4色のトナーが各々充填された4つの現像ユニット24C,24M,24Y,24Kに対し4つの感光体21C,21M,21Y,21Kが配置されたタンデム方式や、あるいは図8に示すように、1つの感光体41に対して4色の現像ユニット44C,44M,44Y,44Kが近接された方式や、1つの現像ユニットに4色のトナーが分別されて充填され、ユニット自体が4段階に回転することによって4色の現像を順次行うリボルバー方式等が挙げられる。
【0052】
ここで、図7は、本発明におけるタンデム方式の画像形成装置を説明するための概略図である。図7において、符号21C,21M,21Y,21Kはドラム状の感光体であり、この感光体21C,21M,21Y,21Kは図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材22C,22M,22Y,22K、現像部材24C,24M,24Y,24K、クリーニング部材(クリーニングブラシベルト25C,25M,25Y,25K,クリーニングブレード26C,26M,26Y,26K)が配置されている。クリーニング部材には少なくとも本発明のクリーニングブラシベルト25C,25M,25Y,25K(図1または図3に示すクリーニングブラシベルト14B)が配置されてなり、このクリーニングブラシベルト25C,25M,25Y,25Kは、感光体21C,21M,21Y,21Kの回転軸に対して平行方向に駆動することによって感光体表面のクリーニングを行う構成となっている。また、帯電部材22C,22M,22Y,22Kと現像部材24C,24M,24Y,24Kの間の感光体表面に図示しない露光部材からのレーザー光23C,23M,23Y,23Kが照射され、感光体21C,21M,21Y,21Kに静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体21C,21M,21Y,21Kを中心とした4つの画像形成要素(画像形成ユニット)20C,20M,20Y,20Kが、転写材搬送手段である転写搬送ベルト30に沿って並置されている。転写搬送ベルト30は各画像形成ユニット20C,20M,20Y,20Kの現像部材24C,24M,24Y,24Kとクリーニング部材(クリーニングブラシベルト25C,25M,25Y,25K)の間で感光体21C,21M,21Y,21Kに当接しており、転写搬送ベルト30の内側には感光体との接触部において転写バイアスを印加するための転写ブラシ31C,31M,31Y,31Kが配置されている。
【0053】
図7に示すフルカラー用画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行われる。まず、各画像形成ユニット20C,20M,20Y,20Kにおいて、感光体21C,21M,21Y,21Kが矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材22C,22M,22Y,22Kにより帯電され、次に露光部でレーザー光23C,23M,23Y,23Kにより、形成される各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像部材24C,24M,24Y,24Kにより潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材24C,24M,24Y,24Kは、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行う現像部材で、4つの感光体21C,21M,21Y,21K上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙27は給紙コロ28により給紙トレイから送り出され、一対のレジストローラー29で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト30に送られる。転写搬送ベルト30上に保持された転写紙27は搬送されて、各感光体21C,21M,21Y,21Kとの当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行われる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ31C,31M,31Y,31Kに印加された転写バイアスと感光体21C,21M,21Y,21Kとの電位差から形成される電界により、転写紙27上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた転写紙27は定着装置32に搬送され、トナーが定着されて、排紙部(図示せず)に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体21C,21M,21Y,21K上に残った残留トナーは、クリーニング装置のクリーニング部材(クリーニングブラシベルト25C,25M,25Y,25K及びクリーニングブレード26C,26M,26Y,26K)で回収される。尚、図7の例では画像形成ユニット20C,20M,20Y,20Kは転写紙搬送方向上流側から下流側に向けてC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限られるものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、ブラック色のみの原稿を作成する際には、ブラック色以外の画像形成ユニット20C,20M,20Yが停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。
【0054】
次に、図8は1つの感光体41に対して4色の現像ユニット44C,44M,44Y,44Kが近接された方式であり、感光体41上で可視化された各色のトナー像を順次中間転写体45に重ね合わせて転写する画像形成装置の例である。
すなわち図8は、本発明における感光体41に中間転写体45が接触し、感光体41と紙とが直接接触しない構成を有する画像形成装置を説明するための概略構成図である。図8において、感光体41の周囲には、帯電チャージャー42、画像露光部(図示せず)からの光43の照射部、4色の現像ユニット44C,44M,44Y,44K、中間転写体45、クリーニングブラシベルト46(図1または図3に示すクリーニングブラシベルト14B)とクリーニングブレード47からなるクリーニング装置48、除電ランプ49等が配設されている。尚、中間転写体45はドラム状であっても、シート状あるいはエンドレスベルト状であってもよい。図8は、駆動ローラーや従動ローラーからなる複数のローラーに架設されたエンドレスベルト状の中間転写ベルトを用いた例である。帯電、露光、現像の工程を経て感光体41上に形成される各色のトナー像は、順次中間転写ベルト45に重ね合わせて転写される。また、各色のトナー像を転写後の感光体41は、クリーニング装置48のクリーニングブラシベルト46とクリーニングブレード47によって残留トナーを除去される。中間転写ベルト45上に形成されたトナー像は、転写手段50で直ちに転写紙51に転写される。そして、トナー像が転写された転写紙51は図示しない定着装置に搬送され、トナー像が定着されて排紙される。尚、上記の転写手段50としては、転写チャージャー、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式等、従来の方式が利用可能である。図8に示す画像形成装置では、感光体41に中間転写ベルト45が接触し、感光体41と転写紙51とが直接接触しない構成を有することによって、感光体表面の紙粉付着を抑制する効果が得られるため、本発明においてはより好ましい。感光体表面への放電生成物やトナー外添剤の付着は、紙粉を引き寄せるため、フィルミングが促進される場合があるが、中間転写ベルト45を用いて感光体41と転写紙51とが直接接触していないことによって、その影響を大幅に抑制することが可能となる。特に、本発明においては、感光体表面の異物除去効果がさらに高まることから有効かつ有用である。
【0055】
次に図9にはタンデム方式でかつ中間転写ベルトが具備された画像形成装置の概略構成図を示す。図9において、符号61C,61M,61Y,61Kはドラム状の感光体であり、この感光体61C,61M,61Y,61Kの周りには少なくとも回転順に帯電部材(例えば帯電ローラー)62C,62M,62Y,62K、現像ユニット64C,64M,64Y,64K、クリーニング装置(クリーニングブラシベルト65C,65M,65Y,65K,クリーニングブレード66C,66M,66Y,66K)、除電ランプ67C,67M,67Y,67Kが配置されている。クリーニング装置には少なくとも本発明のクリーニングブラシベルト65C,65M,65Y,65K(図1または図3に示すクリーニングブラシベルト14B)が配置されてなり、このクリーニングブラシベルト65C,65M,65Y,65Kは、感光体61C,61M,61Y,61Kの回転軸に対して平行方向に駆動することによって感光体表面のクリーニングを行う構成となっている。また、帯電部材62C,62M,62Y,62Kと現像ユニット64C,64M,64Y,64Kの間の感光体表面には図示しない露光部材からのレーザー光63C,63M,63Y,63Kが照射され、感光体61C,61M,61Y,61Kに静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体61C,61M,61Y,61Kを中心とした4つの画像形成ユニットが、中間転写ベルト68に沿って並置されている。中間転写ベルト68は二つのローラー69,70に架設され、各画像形成ユニットの現像ユニット64C,64M,64Y,64Kとクリーニングブラシベルト65C,65M,65Y,65Kの間で感光体61C,61M,61Y,61Kに当接しており、中間転写ベルト68の内側には感光体との接触部において転写バイアスを印加するための転写部材(例えば転写ローラー)71C,71M,71Y,71Kが配置されている。図8に示す画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行われる。まず、各画像形成ユニットにおいて、感光体61C,61M,61Y,61Kが反時計回りに回転し、帯電部材62C,62M,62Y,62Kにより帯電され、次に露光部でレーザー光63C,63M,63Y,63Kにより、形成される各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像ユニット64C,64M,64Y,64Kにより潜像を現像してトナー像が形成される。現像ユニット64C,64M,64Y,64Kは、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行う現像ユニットで、4つの感光体61C,61M,61Y,61K上で作られた各色のトナー像は中間転写ベルト68上に重ね合わせて転写される(図8の例ではK,Y,M,Cの順に重ねて転写される)。中間転写ベルト68上に形成されたトナー像は、転写手段72で直ちに転写紙73に転写される。そしてトナー像が転写された転写紙73は図示しない定着装置に搬送され、トナー像が定着されて排紙される。
【0056】
上記のタンデム方式の画像形成装置において、各感光体61C,61M,61Y,61K上に形成されたトナー像を中間転写体(中間転写ベルトもしくは中間転写ドラム等)68に一次転写を行い、その後、転写紙73に二次転写を行うことによって、各感光体と転写紙とが直接接触しない構成とすることは前記のとおり高耐久化、高画質化に対し非常に有効である。特に、タンデム方式の画像形成装置においては、感光体間における経時劣化変動を可能な限り少なくする必要があり、感光体表面の摩耗量はもちろん、感光体表面への汚染の影響に感光体間で大きな差が生じてくると、4本の感光体により一つの画像を形成する機構上、色再現性や解像度低下等、画像劣化を引き起こすことになる。また、タンデム方式の場合には、感光体表面に付着する異物である放電生成物、トナー外添剤、紙粉の中でも紙粉による影響の度合いが大きくなる傾向にある。それは、少なくとも4色の転写が終わるまで各感光体は紙と接触している必要があることや、印刷する色の種類によって各色のトナー使用量に差が生じてくるのに対し、トナー使用量に関わらず感光体は絶えず紙と接触している必要があることによる。例えば、ブラックのみの印刷を行う場合には、ブラック以外の3つの感光体は紙に接触しないようにする機構などが考えられてはいるものの、実際には単色のみによる印刷需要は少なく、紙粉による影響が大きくなるのが一般的となっている。これらのことから、タンデム方式の画像形成装置において、感光体上のトナー像を中間転写体(中間転写ベルトもしくは中間転写ドラム等)に一次転写させることによって、感光体と紙とが直接接触しない構成とすることにより、感光体の高耐久化だけでなく、画像ボケやフィルミングの抑制、色再現性や解像度の向上等に特に有効となる。特に、本発明においては感光体表面の異物除去効果がさらに高まることから有効かつ有用である。
【0057】
次に、以上に示した各画像形成装置においては、転写後の感光体上に残されたトナーをクリーニングするために、クリーニングブラシベルト、あるいはクリーニングブラシベルトとクリーニングブレードとが併用して用いられる。クリーニングブラシベルトのブラシ毛に用いられる材質は、従来公知の材料をすべて使用することが可能である。また、ブラシ毛の形状については、例えばパイル布のパイル先端部分をカットしたカットパイルブラシやブラシの先端がブラシの毛をループ状に巻いた形状を有するループパイルブラシなど、従来の手段をすべて使用することが可能であるが、ループパイルブラシはカットパイルブラシ等に比べ毛先のエッジ部分がなく、感光体との接触面積が大きくなるため、感光体表面への傷の影響が小さいことと異物除去効率が高まることからより好ましい。上記ループパイルブラシを用いる場合、ループパイルブラシのループを形成する面が正面になるように配置され回転することによって、感光体との接触面積が増加することから異物除去効率が高まることになる。また、クリーニングブレードについても、ゴムなどの弾性材など従来公知のものをすべて使用することができる。また、クリーニングブラシベルトに対し、トナーと異なる極性のバイアスを印加させることも可能であり、感光体表面のトナーの除去に効果がある。
【0058】
また、クリーニングブラシベルトに潤滑性物質を付着させ、それによって感光体表面に潤滑性物質を供給する方法は、感光体の表面エネルギー低減効果を安定化させる上で有効な方法である。それによって、感光体上のトナーや異物の除去効率が高まるだけでなく、転写効率の向上や、感光体とトナー間の付着力が軽減されることによって中抜け等の画像欠陥の抑制が可能になるなど高画質化に対する効果は非常に大きい。これらの潤滑性物質としては、シリコーンオイル、フッ素オイル等の潤滑性液体、PTFE,PFA,PVDF等の各種フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、シリコングリース、フッ素グリース、パラフィンワックス、脂肪酸エステル類、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸類、黒鉛、二硫化モリブデン等の潤滑性液体や固体、粉体等が挙げられるが、この中でも固体、粉体状の潤滑性物質が好ましく用いられ、特に金属石鹸類やフッ素系もしくはシリコーン系の化合物は悪影響が少なく極めて有効に使用することができる。中でも、ステアリン酸亜鉛やポリテトラフルオロエチレン等の微粒子状潤滑生成物質は特に有効に使用することができる。
【0059】
次に、以上に示した各画像形成装置においては、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ、除電チャージャーが用いられ、それぞれ上記露光光源、帯電手段を利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは従来公知のものが全て使用できる。
また、以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
【0060】
以上の図示した画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれらの装置内に組み込まれ、着脱自在の構成としたものであってもよい。図10は、電子写真用プロセスカートリッジの一例を示す概略図であり、図中の符号101はドラム状の感光体、102は帯電装置、103は露光、104は現像装置、105は転写材(転写紙等)、106は転写装置、107はクリーニングブレード、108はクリーニングブラシベルトである。
本発明における電子写真用プロセスカートリッジとは、感光体及びクリーニング手段を内蔵し、他に帯電手段、現像手段、転写手段、除電手段の少なくとも一つを一体化し、画像形成装置本体に対して着脱可能とした部品である。クリーニング手段には少なくとも本発明による駆動するクリーニングブラシベルト108が具備されてなる。本発明では、前記感光体が画像形成装置本体に対して着脱自在の構成を有するプロセスカートリッジに内蔵され、かつ前記プロセスカートリッジが各色の画像形成ユニットとしてタンデム方式の画像形成装置に内蔵されたカラー画像形成装置や、プロセスカートリッジに内蔵された前記感光体が転写工程において直接紙と接触しない構成を有する画像形成装置、及びそれらを組み合わせた画像形成装置、並びにそれらのプロセスカートリッジがすべて含まれる。
【0061】
次に、本発明に用いられる電子写真感光体(光導電性の感光体)を図面に沿って詳細に説明する。
図11は、本発明の電子写真感光体の一例を表わす断面図であり、導電性支持体81上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層82及び保護層85が順次設けられている。最表面層である保護層85には少なくともフィラーや硬化性樹脂、高分子電荷輸送物質を含有させることにより、画像形成装置のさらなる高耐久化が実現される。
【0062】
図12は、本発明の電子写真感光体の別の例を表わす断面図であり、導電性支持体81上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層83と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層84及び保護層85が積層された構成をとっている。最表面層である保護層85には少なくともフィラーや硬化性樹脂、高分子電荷輸送物質を含有させることにより、画像形成装置のさらなる高耐久化が実現される。
【0063】
図13は、本発明の電子写真感光体のさらに別の例を表わす断面図であり、導電性支持体81上に、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層84と、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層83及び保護層85が積層された構成をとっている。最表面層である保護層には少なくともフィラーや硬化性樹脂、高分子電荷輸送物質を含有させることにより、画像形成装置のさらなる高耐久化が実現される。
【0064】
本発明においては、図11〜図13の感光体構成において、保護層85を形成せずに用いることも可能であるが、感光体の耐摩耗性が低下するため、画像形成装置の高耐久化に対しては上記のように感光体の最表面に保護層を形成することがより好ましい。
【0065】
導電性支持体81としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体81として用いることができる。
【0066】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、本発明の導電性支持体81として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0067】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体81として良好に用いることができる。
【0068】
次に感光層について説明する。感光層は単層であっても複数の層を積層した構成であってもよい。
まず、電荷発生層83と電荷輸送層84で構成される積層構成の場合について説明する。電荷発生層83及び電荷輸送層84は各々一層であっても複数層を有していてもよい。また、電荷発生層の上に電荷輸送層を形成しても、あるいはその逆の構成であってもよい。
【0069】
始めに、電荷発生層83について説明する。電荷発生層83は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じて結着樹脂を併用することができる。
電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、硫化カドミウム、硫化カドミウム−セレン、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0070】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることが出来る。例えば、ジスアゾ顔料、非対称ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報に記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)等のアゾ系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、また、下記の化学式[化1]で表される金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料等が挙げられる。
【0071】
【化1】
【0072】
式中M(中心金属)は、金属及び無金属(水素)の元素を表す。ここであげられるM(中心金属)は、H、Li、Be、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、TI、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Th、Pa、U、Np、Am等の単体、もしく酸化物、塩化物、フッ化物、水酸化物、臭化物などの2種以上の元素からなる。中心金属は、これらの元素に限定されるものではない。本発明におけるフタロシアニン骨格を有する電荷発生物質とは、少なくとも一般式(N)の基本骨格を有していればよく、2量体、3量体など多量体構造を持つもの、さらに高次の高分子構造を持つものでもかまわない。また基本骨格に様々な置換基があるものでもかまわない。
【0073】
これらの様々なフタロシアニンのうち、中心金属にTiOを有するオキソチタニウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン等は感光体特性上特に好ましい。またこれらのフタロシアニンは、様々な結晶系を持つことが知られており、例えばオキソチタニウムフタロシアニンの場合、α、β、γ、m、Y型等、銅フタロシアニンの場合、α、β、γ等の結晶多系を有している。同じ中心金属を持つフタロシアニンにおいても、結晶系が変わることにより種々の特性も変化する。これらの種々の結晶系を有するフタロシアニン系顔料を用いた感光体の特性もそれに伴って変化することが報告されている(電子写真学会誌 第29巻 第4号(1990))。このことから、フタロシアニンの結晶系の選択は感光体特性上非常に重要であり、その中でもY型オキソチタニウムフタロシアニンは特に高感度化に対し有効かつ有用である。尚、これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0074】
電荷発生層83に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが挙げられる。これらの結着樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、電荷発生層の結着樹脂として前述の結着樹脂の他に、後述の高分子電荷輸送物質(例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平6−234838号公報、特開平6−234839号公報、特開平6−295077号公報、特開平7−56374号公報、特開平7−325409号公報、特開平9−80772号公報、特開平9−80783号公報、特開平9−80784号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−265201号公報、特開平9−297419号公報、特開平9−304956号公報に記載)を用いることができる。電荷発生層83で用いられる結着樹脂の量は電荷発生物質100重量部に対し、0〜500重量部、好ましくは0〜200重量部が適当である。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤や増感剤、分散剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0075】
電荷発生層83を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、前述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、前述の無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要に応じて結着樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法など従来公知の方法を用いて行うことができる。以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0076】
電荷輸送層84は、少なくとも電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層83等の上に塗布、乾燥することにより形成できる。
電荷輸送物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0077】
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。正孔輸送物質としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他、公知の材料が挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
【0078】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂等が挙げられ、単独でも2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
【0079】
また、電荷輸送層84には、結着樹脂としての機能と電荷輸送物質としての機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これらの高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は、耐摩耗性に優れ有効である。本発明においては、これらの高分子電荷輸送物質に前述の結着樹脂や低分子電荷輸送物質を混合して用いることも可能である。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、下記の化学式[化2]〜[化13]の(I)〜(X)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられる。
【0080】
【化2】
【0081】
[式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換及び/または無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換及び/または無置換のアルキル基、R5、R6は置換及び/または無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成(モル分率)を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9の数を表し、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表される2価基を表す。
【0082】
【化3】
【0083】
(式中、R101、R102は各々独立して置換及び/または無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状及び/または環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(Zは脂肪族の2価基を表す)または、下記の式[化4]を表す。
【0084】
【化4】
【0085】
式中のaは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。]
【0086】
【化5】
【0087】
式中のR7、R8は置換及び/または無置換のアリール基、Ar1、Ar2、Ar3は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0088】
【化6】
【0089】
式中、R9、R10は置換及び/または無置換のアリール基、Ar4、Ar5、Ar6は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0090】
【化7】
【0091】
式中、R11、R12は置換及び/または無置換のアリール基、Ar7、Ar8、Ar9は同一又は異なるアリレン基を表し、pは1〜5の整数を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0092】
【化8】
【0093】
式中、R13、R14は置換及び/または無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X1、X2は置換及び/または無置換のエチレン基、又は置換及び/または無置換のビニレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0094】
【化9】
【0095】
式中、R15、R16、R17、R18は置換及び/または無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1、Y2、Y3は単結合、置換及び/または無置換のアルキレン基、置換及び/または無置換のシクロアルキレン基、置換及び/または無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0096】
【化10】
【0097】
式中、R19、R20は水素原子、置換及び/または無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0098】
【化11】
【0099】
式中、R21は置換及び/または無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0100】
【化12】
【0101】
式中、R22、R23、R24、R25は置換及び/または無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式( I)の場合と同じである。
【0102】
【化13】
【0103】
式中、R26、R27は置換及び/または無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式( I)の場合と同じである。
【0104】
以下、これらトリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートの具体例の幾つかを以下に示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
【0105】
【化14】
【0106】
【化15】
【0107】
【化16】
【0108】
【化17】
【0109】
【化18】
【0110】
【化19】
【0111】
【化20】
【0112】
【化21】
【0113】
【化22】
【0114】
【化23】
【0115】
【化24】
【0116】
【化25】
【0117】
【化26】
【0118】
【化27】
【0119】
【化28】
【0120】
【化29】
【0121】
【化30】
【0122】
【化31】
【0123】
【化32】
【0124】
【化33】
【0125】
【化34】
【0126】
【化35】
【0127】
【化36】
【0128】
【化37】
【0129】
【化38】
【0130】
【化39】
【0131】
【化40】
【0132】
【化41】
【0133】
【化42】
【0134】
【化43】
【0135】
【化44】
【0136】
【化45】
【0137】
【化46】
【0138】
【化47】
【0139】
これら主鎖もしくは側鎖にトリアリールアミン構造を有している高分子電荷輸送物質は、単重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体の形態で重合される。そして、これら高分子電荷輸送物質は結着樹脂としての役割をもつことから被膜形成能を有していることが必要である。そのため、分子量は、GPCによる測定において、ポリスチレン換算分子量Mwとして1万〜50万が適当で、好ましくは5万〜40万である。
これら高分子電荷輸送物質は、特開平8−269183号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号公報、特開平9−272735号公報、特開平11−29634号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開2000−26590号公報に開示されている。
電荷輸送物質の含有量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。但し、高分子電荷輸送物質を用いる場合は単独でも、他の結着樹脂との併用も可能である。
【0140】
電荷輸送層84の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層83と同様なものが使用できる。一例として、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を挙げることができるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。
【0141】
電荷輸送層84には必要に応じて、レベリング剤や酸化防止剤、可塑剤等を添加することが可能である。併用できるレベリング剤としてはジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
併用できる酸化防止剤としては、フェノール系化合物類、ヒンダードフェノール系化合物類、ヒンダードアミン系化合物類、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機リン化合物類、ベンゾフェノン類、サルシレート類、ベンゾトリアゾール類、クエンチャー(金属錯塩系)等、従来公知の酸化防止剤をすべて使用することが可能である。使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜5重量%程度が適当である。また、併用できる可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
【0142】
塗布は電荷発生層35と同様に浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法など公知の方法を用いて行うことができるが、浸漬塗工法が最も好ましく用いられる。電荷輸送層84の膜厚は、5〜50μm程度が適当であり、解像度、地肌汚れ等の画像特性及び帯電電位、感度等の電気特性上、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
【0143】
次に図11に示す感光層82が単層構成の場合について述べる。感光層82は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、結着樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体81上に塗工及び乾燥することによって形成される。電荷発生物質及び電荷輸送物質は、前述の電荷発生層83及び電荷輸送層84で挙げた材料を使用することが可能である。また、結着樹脂としては、前述の電荷輸送層84で挙げた樹脂の他に、電荷発生層83で挙げた樹脂を混合して用いてもよい。また、結着樹脂として前述の高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は、5〜40重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。また、必要により前記の可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することもできる。感光層33の膜厚は5〜25μm程度が適当である。
【0144】
本発明においては、前記の電荷輸送層84、電荷発生層83もしくは感光層82の上に最表面層として保護層85を形成することも可能であり、それによって、感光体の耐摩耗性が向上し、さらに本発明によるクリーニング方法と組み合わせて用いることにより、感光体の耐摩耗性と異物付着による異常画像の抑制が実現され、画像形成装置装置の高耐久化に対し有効となる。
【0145】
感光体の保護層に含有される結着樹脂としては、従来公知の結着樹脂、例えばポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂等の樹脂用いることが可能である。
これらの中でも、モノマーを光あるいは熱により架橋させた硬化樹脂は、感光体の耐摩耗性を高める上で有効であり、本発明によるクリーニング方法と組み合わせることによって、感光体の耐摩耗性と異物除去による異常画像の抑制が両立でき、画像形成装置の高耐久化に対して非常に有効となる。これらの硬化型樹脂の中でも、アクリル系もしくはメタクリル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等は耐摩耗性が高く、有効に使用することができる。
【0146】
また、保護層の結着樹脂には、高分子電荷輸送物質も有効に使用することが可能であり、電荷輸送層で記載された高分子電荷輸送物質はもちろん、如何なる高分子電荷輸送物質も有効に用いることができる。高分子電荷輸送物質を用いることによって、静電特性に感度を維持しつつ、感光体の耐摩耗性や耐傷性を向上させることが可能となる。本発明のクリーニング方法と組み合わせて用いることにより、異物除去効果がさらに高まり、電子写真装置の高耐久化に対して有効となる。
【0147】
感光体の保護層には、耐摩耗性の向上を目的としてフィラーを含有することが可能であり、高耐久化に対して有効である。これらのフィラーとしては、各種有機フィラーや無機フィラーが含まれるが、それらの中でもシリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、ジルコニア、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物が耐摩耗性や解像度の面から有効に用いられる。これらの金属酸化物の中でも、画像ボケが発生しにくい金属酸化物としては、電気絶縁性が高い金属酸化物の方が好ましい。これらの金属酸化物としては、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン等が挙げられる。その中でもアルミナは有効に用いられ、特に光透過性が高く、熱安定性が高い上に、耐摩耗性に優れた六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上、塗膜品質、光透過性等の点から最も有効に使用することができる。一方、導電性金属酸化物を感光体の最表面に含有させた場合には、表面の抵抗が低下することによって電荷の横移動が起こり、画像ボケが発生しやすくなるため、添加量を制限し抵抗を制御することが必要である。これらの金属酸化物としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸価インジウム、酸価アンチモン、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の導電性材料が挙げられる。
【0148】
本発明において用いられる金属酸化物は、少なくとも一種の表面処理剤で表面処理を施すことが可能であり有効である。保護層に金属酸化物が含有された感光体は、オゾンやNOxガスにより画像ボケの影響が増加する傾向が見られるが、表面処理剤によって金属酸化物の比抵抗やpHを制御することが可能となり、表面処理剤によって画像ボケの抑制効果が大幅に高まる場合がある。金属酸化物の表面処理は、画像ボケの抑制効果だけでなく、金属酸化物の分散性を向上させる効果もあり、塗膜の光透過性の向上、塗膜欠陥の抑制、さらには耐摩耗性の向上や偏摩耗の抑制に対しても有効である。
【0149】
表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、前述の金属酸化物の比抵抗やpHを維持できる表面処理剤が好ましい。前述の金属酸化物のpHは、表面処理によって変化させることができる。すなわち、酸性処理剤で処理した金属酸化物は酸性側に、塩基性処理剤で処理した金属酸化物は塩基性側に等電点が移動するため、本発明の構成においては、表面処理剤についてもより塩基性を示す処理剤を用いることが、金属酸化物の分散性や画像ボケ抑制の点から好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤等は特に有効に使用することができる。また、Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理も金属酸化物の分散性及び画像ボケの点から好ましく用いられる。
【0150】
フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.9μmであることが光透過性や耐摩耗性の点から好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。金属酸化物の平均一次粒径がこれよりも小さい場合には、金属酸化物の凝集や耐摩耗性の低下等が起こりやすくなるだけでなく、金属酸化物の比表面積の増加により画像ボケの影響が増加する場合がある。また、金属酸化物の平均一次粒径がこれよりも大きい場合には、金属酸化物の沈降性が促進されたり、塗膜品質の低下あるいはそれを用いた画像形成装置において画質劣化が発生したりする場合がある。
【0151】
上記フィラーの分散性を高めるために、各種添加剤を添加することが可能であり有用である。特に、カルボン酸化合物は、金属酸化物の分散性やその安定性を高めるだけでなく、金属酸化物を添加したことによる残留電位上昇を抑制することが可能となる。その中でもポリカルボン酸系の湿潤分散剤は、それらの効果が高く非常に有効である。カルボン酸化合物としては、一般に知られている有機脂肪酸や高酸価樹脂あるいは共重合体等、分子構造中にカルボキシル基を含む化合物であればすべて使用することができる。例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、アジピン酸、オレイン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等の飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸、芳香族カルボン酸等の如何なるカルボン酸をも使用することが可能である。また、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、末端カルボン酸不飽和ポリエステル、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸等、飽和もしくは不飽和の炭化水素を基本骨格とし、少なくとも一つ以上のカルボキシル基が結合されたポリマーやオリゴマーあるいはコポリマーはすべて含まれ、残留電位上昇を抑制する効果だけでなく、金属酸化物の分散性を向上させる効果が高いことから、より有効に用いられる。これらのカルボン酸化合物の中でも複数のカルボン酸残基を有し有機溶媒と相溶可能なポリカルボン酸化合物は酸価が高く、また金属酸化物への吸着性が向上する傾向にあり、残留電位の低減及び金属酸化物の分散性向上に対し、特に有効かつ有用である。これらのポリカルボン酸化合物の中でもポリカルボン酸タイプの湿潤分散剤であるBYKケミー社製の「BYK−P104」が最も有効に用いられる。
【0152】
残留電位の低減は、これらの化合物が酸価を有することと、金属酸化物への吸着性にあると考えられる。金属酸化物の添加による残留電位の上昇は、金属酸化物表面の極性基が電荷トラップサイトになることによって起こると考えられ、この極性基にこれらのカルボキシル基が吸着しやすく、それによって残留電位の低減効果が高まるものと考えられる。また、これらのカルボン酸化合物は、金属酸化物と結着樹脂との双方に親和性を持たせて濡れ性を高め、かつ立体障害あるいは電気的反発を与えることにより金属酸化物間の相互作用を減少させ安定性を高めることにより金属酸化物の分散性が向上する効果を有する。
【0153】
感光体の保護層にはさらに電荷輸送物質を含有させることも可能である。保護層に電荷輸送物質を含有させることによって残留電位の低減や感度劣化の抑制が可能となる。保護層に用いられる電荷輸送物質は、前述の電荷輸送層に記述されたすべての電荷輸送物質を使用することが可能である。また、保護層の結着樹脂に硬化型樹脂を用いた場合には、電荷輸送物質をも架橋させることが可能であり、感光体の耐摩耗性を向上させる上で有効である。
【0154】
感光体の保護層には、さらに各種酸化防止剤を添加することが可能であり有用である。本発明において含有される酸化防止剤には、フェノール系化合物類、ヒンダードフェノール系化合物類、ヒンダードアミン系化合物類、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機リン化合物類、ベンゾフェノン類、サルシレート類、ベンゾトリアゾール類、クエンチャー(金属錯塩系)等、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤がすべて含まれる。これらの酸化防止剤の中でも、長期間の繰り返し使用によるオゾンやNOx等の活性ガスから感光体の劣化を抑制し、画質安定性を高める上で効果が大きなものとしては、特にヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物が有用であることが知られている。ヒンダードフェノール構造とは、フェノール性水酸基の両オルト位に嵩高い原子団が存在する構造を示す。一方、ヒンダードアミン構造とは、アミノ窒素原子近傍に嵩高い原子団が存在する構造を示し、芳香族アミンや脂肪族アミン系物質もこれに該当するが、より好ましくは2,2,6,6−テトラメチルピペリジン構造を含んでいる化合物である。これらの両構造を有する化合物の作用機構の詳細は明らかではないが、嵩高い原子団が存在することにより立体障害が高められたことによって、アミノ窒素原子やフェノール性水酸基の熱振動を抑制し、ラジカル状態の安定性が高められたことによって外部からの活性ガスの影響を食い止めることができたものと推定される。ヒンダードフェノール構造とヒンダードアミン構造の両構造を有する化合物としては、種々のものが挙げられるが、中でも下記の構造式[化48]で表される1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジンは特にオゾンやNOxガスによる解像度低下に対し有効かつ有用である。
【0155】
【化48】
【0156】
保護層形成用塗工液に用いられる有機溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、これらの混合溶媒も有効に用いられる。一方、フィラーの分散手段としてはボ−ルミル、アトライタ−、サンドミル、ビーズミル、超音波等、従来公知の分散手段をすべて用いることが可能である。あるいは、バンバリーミキサー、ロールミル、2軸押出し機などの公知の装置を用い機械的に混合しペレット状に賦形する方法を挙げることもできる。押し出し賦形されたペレットは、幅広い温度範囲で成型可能であり、成型には通常の射出成型機が用いられる。
【0157】
保護層の形成には、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等、従来の塗工方法を用いることができる。この中でも膜厚制御がしやすく、フィラーの分散性を良好に維持することが可能となり、さらに塗膜品質についても優位性があることからスプレーコートがより好ましい。
塗工された感光体は、加熱による乾燥工程を経て製造される。保護層の膜厚としては、0.5μm〜10μmが好ましく、2μm〜6μmがより好ましい。
【0158】
本発明の感光体においては、導電性支持体81と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0159】
これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工方法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。この他にも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は、残留電位や画質を考慮して0〜5μmが適当である。
【0160】
本発明の感光体においては、下引き層と感光層との間あるいは感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく一般に用いられる塗布法が採用される。尚、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0161】
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の少なくとも1層ないし各層に、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することが出来る。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
【0162】
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロ−ル類など。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0163】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
【0164】
各層に添加できる潤滑性物質としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
(f)金属石鹸
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
【0165】
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなど。
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
【0166】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。尚、以下の実施例において、部はすべて重量部である。
【0167】
(感光体製造例1)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、浸漬塗工によって順次塗布、乾燥し、約3.0μmの下引き層、約0.2μmの電荷発生層、約20μmの電荷輸送層を形成した。[下引き層塗工液]
アルキッド樹脂(「ベッコゾール1307−60」大日本インキ化学工業製):6部
メラミン樹脂(「スーパーベッカミンG−821−60」大日本インキ化学工業製):4部
酸化チタン粉末(「タイペールCR−EL」石原産業社製):40部
メチルエチルケトン:50部
[電荷発生層塗工液]
ポリビニルブチラール(「エスレックBX−1」積水化学工業製):5部
メチルエチルケトン:400部
図14に示すXDスペクトルを有するチタニルフタロシアニン:8部
[電荷輸送層塗工液]
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製):10部
下記の構造式[化49]の電荷輸送物質:10部
シリコーンオイル(「KF50」信越化学製):0.002部
テトラヒドロフラン:100部
【0168】
【化49】
【0169】
上記電荷輸送層上にさらに下記組成の保護層塗工液を用いて、スプレー塗工によって膜厚が約5μmの保護層を形成した後、オーブンにて150℃、30分間の乾燥工程を経て電子写真感光体1を作製した。
[保護層塗工液]
アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、「AA−03」住友化学工業製):2部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価180mgKOH/g、不揮発分50%、「BYK−P104」BYKケミー製):0.1部
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製):10部
上記構造式[化49]の電荷輸送物質:9部
テトラヒドロフラン:380部
シクロヘキサノン:120部
【0170】
(感光体製造例2)
感光体製造例1において、保護層塗工液を下記の組成に変更した以外は、全て感光体製造例1と同様にして電子写真感光体2を作製した。
[保護層塗工液]
シランカップリング処理を施したアルミナ(平均一次粒径:0.3μm、「AA−03」住友化学工業製):1.0部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー溶液(酸価180mgKOH/g、不揮発分50%、「BYK−P104」BYKケミー製):0.03部
ビスフェノールZポリカーボネート(パンライトTS−2050、帝人化成製):10部
上記構造式[化49]の電荷輸送物質:9部
テトラヒドロフラン:350部
シクロヘキサノン:100部
【0171】
(感光体製造例3)
感光体製造例1において、保護層塗工液を下記の組成に変更し、加熱によって架橋硬化させた以外は、全て感光体製造例1と同様にして電子写真感光体3を作製した。
[保護層塗工液]
アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、「AA−03」住友化学工業製):2部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー(酸価180mgKOH/g、不揮発分50%、「BYK−P104」BYKケミー製):0.09部
上記構造式[化49]の電荷輸送物質:8部
アクリル樹脂(水酸基価25(mgKOH/g)、不揮発分50%、「ヒタロイド3020」日立化成製):14部
グアナミン樹脂(不揮発分77%、「マイコート106」三井サイテック製):4.0部
芳香族スルホン酸(不揮発分40%、「キャタリスト4040」三井サイテック製):0.02部
テトラヒドロフラン:380部
シクロヘキサノン:120部
【0172】
(感光体製造例4)
感光体製造例1において、保護層塗工液を下記の組成に変更した以外は、全て感光体製造例1と同様にして電子写真感光体4を作製した。
[保護層塗工液]
アルミナ(平均一次粒径:0.3μm、「AA−03」住友化学工業製):2.0部
不飽和ポリカルボン酸ポリマー(酸価180mgKOH/g、不揮発分50%、「BYK−P104」BYKケミー製):0.06部
下記の構造式[化50]の高分子電荷輸送物質:18部
テトラヒドロフラン:450部
シクロヘキサノン:100部
【0173】
【化50】
【0174】
(感光体製造例5)
感光体製造例1において、保護層を形成せず、電荷輸送層の膜厚を約27μmとした以外は、全て感光体製造例1と同様にして電子写真感光体5を作製した。
【0175】
(実施例1〜15)
クリーニング手段として、図1に示される本発明のクリーニングブラシベルト14B(クリーニングブラシベルト14Bの駆動方向を感光体1の回転軸1Rに対して平行に配置)を備え、さらに感光体1の回転方向に対しその下流側にクリーニングブレードを配置させたクリーニング装置を、中間転写ベルトを具備した画像形成装置((株)リコー製imagioMF6550改造機)に搭載した。そして、前記のとおり作製された電子写真感光体1〜5を装着して、まず2万枚印刷後に10℃、15%RHの温・湿度条件下で画像評価を行い、さらにトータル20万枚まで印刷した後、30℃、90%RHの温・湿度条件下で画像評価を行った。上記画像評価において、クリーニングブラシにループ形状のものと直毛のものを準備し、画像に与える影響について観察した。また、上記画像評価において、クリーニングブラシの回転速度V1(mm/sec)と感光体の回転速度V2(mm/sec)の比を変化させ、線速比の影響について観察した。最後に、初期及び20万枚印刷後における膜厚差より摩耗量(μm)の評価を行った。
これらの結果を下記の表1に示す。尚、画像ランクは下記の水準で区分した。
[画像ランク]
◎:高画質と判断できるレベル。
○:若干画質が低下したが、問題ないレベル。
△:明らかに画質低下が認められるレベル。
×:画像の判別が困難なレベル。
【0176】
【表1】
【0177】
(比較例1〜5)
実施例1〜5において、クリーニングブラシベルトを、図2に示されるようなクリーニングブラシベルト14A(クリーニングブラシベルトの駆動方向を感光体の回転方向に対して逆方向に配置)に変更し、線速比を1.2とした以外は全て実施例1〜5と同様にして評価を行った。これらの結果を下記の表2に示す。
【0178】
【表2】
【0179】
(比較例6〜10)
クリーニング手段として、クリーニングブラシローラー(クリーニングブラシローラーの回転方向を感光体の回転方向に対して逆方向に配置)を備え、さらに感光体の回転方向に対しその下流側にクリーニングブレードを配置させたクリーニング装置を、中間転写ベルトを具備した画像形成装置((株)リコー製imagioMF6550改造機)に搭載した。そして、前記のとおり作製された電子写真感光体1〜5を装着して、まず2万枚印刷後に10℃、15%RHの温・湿度条件下で画像評価を行い、さらにトータル20万枚まで印刷した後、30℃、90%RHの温・湿度条件下で画像評価を行った。最後に、初期及び20万枚印刷後における膜厚差より摩耗量(μm)の評価を行った。これらの結果を下記の表3に示す。尚、画像ランクは下記の水準で区分した。
[画像ランク]
◎:高画質と判断できるレベル。
○:若干画質が低下したが、問題ないレベル。
△:明らかに画質低下が認められるレベル。
×:画像の判別が困難なレベル。
【0180】
【表3】
【0181】
(実施例16〜20)
クリーニング手段として、図1に示される本発明のクリーニングブラシベルト14B(クリーニングブラシベルト14Bの駆動方向を感光体1の回転軸1Rに対して平行に配置)を備え、感光体1の回転方向に対しその下流側にクリーニングブレードを配置させ、さらに前記クリーニングブラシベルトのブラシ毛にステアリン酸亜鉛の固形物を接触させたクリーニング装置を、中間転写ベルトを具備した画像形成装置((株)リコー製imagioMF6550改造機)に搭載した。そして、前記のとおり作製された電子写真感光体1〜5を装着して、まず2万枚印刷後に10℃、15%RHの温・湿度条件下で画像評価を行い、さらにトータル20万枚まで印刷した後、30℃、90%RHの温・湿度条件下で画像評価を行った。最後に、初期及び20万枚印刷後における膜厚差より摩耗量(μm)の評価を行った。これらの結果を下記の表4に示す。尚、画像ランクは下記の水準で区分した。
[画像ランク]
◎:高画質と判断できるレベル。
○:若干画質が低下したが、問題ないレベル。
△:明らかに画質低下が認められるレベル。
×:画像の判別が困難なレベル。
【0182】
【表4】
【0183】
表1、表2、表3及び表4の評価結果より、クリーニングブラシベルトを用いクリーニングブラシベルトの駆動方向を感光体の回転軸に対して平行方向に配置させることによって、低温・低湿下でもクリーニング不良が発生せず、また20万枚印刷後における高温・高湿下においても画像流れは発生しにくくなることが確認された。また、クリーニングブラシベルトのブラシ形状をループ形状とすることにより、また、クリーニングブラシベルトの回転速度と感光体の回転速度の線速比を1.0より高く設定することによって、異常画像の発生は抑制され長期間の繰り返し使用後においても高画質が維持される傾向にあることが確認された。また、これらの感光体表面をレーザー顕微鏡にて観察した結果、傷は認められるもののいずれも浅く、また傷の方向が複数観察された。また、感光体表面には付着した異物を観察することはできなかった。さらに、潤滑性物質をクリーニングブラシベルトのブラシに付着させることによって、高画質を維持しつつ、耐摩耗性が向上し、また、感光体表面への傷の影響も軽減されていることが確認された。
【0184】
一方、従来のクリーニングブラシローラーを用い、ブラシローラーの回転軸と感光体の回転軸が平行になるように配置させた場合、2万枚印刷後に低温・低湿下において出力した画像には、異物付着に伴う細長い斑点状欠陥が無数に発生していることが確認された。また、感光体表面にはそれに対応する細長い無数の斑点状の異物が付着している様子が目視によっても観察された。さらに、20万枚印刷後に高温・高湿下において出力した画像は、感光体の円周方向に対応した白抜けスジが無数に認められ、画像は円周方向に流れていることが確認された。また、クリーニングブラシローラーの代わりにクリーニングブラシベルトを用いても、ベルトの駆動方向が感光体の回転方向と逆方向であると、クリーニングローラーよりはわずかにクリーニング性が高まる傾向が見られるが、異物の除去効率は低下し、異常画像が発生する様子が確認された。
【0185】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、画像形成装置のクリーニング工程に、少なくとも本発明のクリーニングブラシベルトを具備することによって、以下の効果を得ることが可能となった。
【0186】
(1)クリーニングブラシベルトの駆動方向を、感光体の軸方向と平行方向に配置させることによって、ブラシ毛と感光体の摺擦時間を顕著に増加させることが可能となり、またブラシ毛の衝突頻度の大幅な低減と衝突位置を非画像形成領域である感光体の端部に集約させることが可能となる。それによって、異物除去効率のさらなる向上が実現されるとともに、感光体表面に与える傷の影響を大幅に軽減させることが可能となり、繰り返し使用によるクリーニング不良を低減させることが実現された。
【0187】
(2)クリーニングブラシベルトによって形成される傷の方向とクリーニングブレードによって形成される傷の方向が異なることとなり、傷の成長を抑制することが可能となった。その結果、異物除去効率をさらに向上させることが可能となり、感光体の耐摩耗性に影響を与えずに異物付着による異常画像の発生を抑制することが実現された。
【0188】
(3)放電生成物がスジ状に形成された傷に入り込むと、その部分の抵抗が低下することによって、傷に対し平行方向に書き込んだラインよりも垂直方向に書き込んだラインの方が、電荷が横に拡がりやすくなり、画像流れの傷方向依存性が顕著に発生する。従来は、感光体の傷がすべて同一方向(感光体の円周方向)に深く、しかも感光体の円周すべてに至る長いスジ状の傷であったため、感光体の傷に対し平行でない方向に書き込んだラインはすべて電荷が横に広く拡散しやすくなり、そのため画像流れが顕在化されやすかった。本発明では、クリーニングブレードとクリーニングブラシベルトによって感光体表面に同一方向ではない複数方向の傷が入ることによって、画像全体で見た場合に画像流れの傷方向依存性を大幅に低減させることが可能となった。このように、感光体の傷の方向が複数であることにより、そこに放電生成物が入り込んでも、電荷が拡がりにくく、電荷の拡散領域がある範囲に限定されるため、あらゆる方向の書き込みラインに対して画像流れが顕在化しにくくなった。
【0189】
(4)蓄積することによって感光体の円周方向に成長する異物は、主にクリーニングブレードによる影響が大きい。成長した異物は、感光体の円周方向に伸びた細長い形状を有しており、それをクリーニングブラシで同じく円周方向にクリーニングしてもそれらを除去するのは難しい。この場合、感光体の円周方向に成長した異物をそれとは異なる角度からクリーニングブラシベルトでクリーニングすることによって、異物の除去効率が顕著に高まり、クリーニング性が大幅に向上した。それによって、異常画像の発生を大幅に抑制することが可能となった。
【0190】
(5)感光体の回転軸とクリーニングブラシローラーの回転軸が平行に配置された従来方法では、ブラシによって除去されたトナーや異物が感光体表面に再付着する恐れがあった。それに対し、クリーニングブラシベルトの駆動方向を感光体の回転軸と平行に配置させることによって、クリーニングブラシベルトによって除去されたトナーや異物が感光体の端より外側に確実に運び出され回収することが可能となるために、感光体表面へのトナーや異物の再付着を大幅に抑制することが可能となり、異物付着による異常画像の発生を抑制させる上で有効となる。
【0191】
(6)クリーニングブラシベルトに潤滑性物質を付着させ、それを感光体表面に当接させることによって、感光体表面に潤滑性物質を付着させ、感光体表面の離型性を高める場合、感光体表面に与える傷の影響が少なくなったことによって、傷部に潤滑性物質が過剰に残存することが少なく、離型効果を高めることが可能となった。さらに、潤滑性物質の過剰供給による異常画像の促進を低減させる効果も発揮された。
【0192】
(7)クリーニングブラシベルトは、感光体表面の傷の成長だけでなく、感光体に与える機械的摩耗の影響を軽減させることが可能となる。それによって、感光体の耐摩耗性に影響を与えずにクリーニング性や異物除去効率を向上させることが可能となった。
【0193】
(8)本発明による異常画像の抑制効果は、感光体の耐摩耗性を高めた場合にさらなる効果を発揮する。特に、感光体表面にフィラーを含有させた場合は、脱離フィラーがクリーニングブレードに蓄積されることにより摩耗が促進し、傷の影響も顕著に増加する傾向にあったが、本発明により脱離フィラーがクリーニングブラシベルトによって効率的に感光体の端より外側に運び出され除去されるため、フィラーを含有させた感光体においても傷の影響を大幅に軽減させることができ、耐摩耗性を維持しつつ異常画像の発生を軽減させることが可能となった。また、感光体の表面に硬化型樹脂を含有させた感光体や高分子電荷輸送物質を含有させた感光体もまた、耐摩耗性が高い故に異物が残存しやすい傾向にあったが、本発明によって感光体表面に与える傷の影響を軽減したことにより効率的に異物の除去が可能となり、耐摩耗性を維持しつつ異常画像の発生を抑制することが実現された。
【0194】
本発明によって、上記の効果を得ることが可能となり、画像流れや異物付着による異常画像の発生を抑制することが可能となった。この効果は、感光体に対する摩耗力あるいは研磨力を高めたことによるのではなく、異物の除去効率を高めたこと、感光体に与える傷の影響を軽減させたこと、異物の再付着を抑制したことなどによるため、感光体の耐摩耗性に対して悪影響を与えずに、異物を除去しやすくすることが可能となったことによる。これにより、耐摩耗性を大幅に高めた感光体であっても、画像流れや異常画像を誘発する異物を効率的に除去できたことから、長期繰り返し使用後においても画質の安定化が維持された。この結果、感光体の耐摩耗性と異常画像の抑制、さらには画質安定化を両立することが可能となり、画像形成装置の高耐久化が実現された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクリーニング方法及び装置の一例を示す概略要部斜視図である。
【図2】従来のクリーニング方法及び装置の一例を示す概略要部斜視図である。
【図3】本発明のクリーニング方法及び装置の別の例を示す概略平面図である。
【図4】本発明のクリーニングブラシベルトのブラシ形状の一例を示す概略要部斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図6】本発明の帯電方法の一例を示す概略平面図である。
【図7】本発明の別の実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図8】本発明の別の実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図9】本発明の別の実施形態を示す画像形成装置の概略構成図である。
【図10】本発明の別の実施形態を示す電子写真用プロセスカートリッジの概略構成図である。
【図11】本発明の電子写真感光体を表わす断面図である。
【図12】本発明の電子写真感光体の別な構成例を示す断面図である。
【図13】本発明の電子写真感光体のさらに別な構成例を示す断面図である。
【図14】電子写真感光体の製造例で用いられた電荷発生物質のXDスペクトルを示した図である。
【符号の説明】
1:感光体(像担持体)
2:除電ランプ
3:帯電部材
4:イレーサ
5:画像露光部
6:現像ユニット
7:転写前チャージャ
8:一対のレジストローラー
9:転写紙
10:転写チャージャ
11:分離チャージャ
12:分離爪
13:クリーニングチャージャ
14,14B:クリーニングブラシベルト
15:クリーニングブレード
16:クリーニング装置
17:クリーニング容器
17a:フリッカーバー
18:ギャップ材
21C,21M,21Y,21K:感光体(像担持体)
22C,22M,22Y,22K:帯電部材
23C,23M,23Y,23K:レーザー光
24C,24M,24Y,24K:現像部材
25C,25M,25Y,25K:クリーニングブラシベルト
26C,26M,26Y,26K:クリーニングブレード
27:転写紙
28:給紙コロ
29:レジストローラー
30:転写搬送ベルト
31C,31M,31Y,31K:転写ブラシ
32:定着装置
41:感光体
42:帯電チャージャー
44C,44M,44Y,44K:現像ユニット
45:中間転写体
46:クリーニングブラシベルト
47:クリーニングブレード
48:クリーニング装置
49:除電ランプ
50:転写手段
51:転写紙
61C,61M,61Y,61K:感光体(像担持体)
62C,62M,62Y,62K:帯電部材
64C,64M,64Y,64K:現像ユニット
65C,65M,65Y,65K:クリーニングブラシベルト
66C,66M,66Y,66K:クリーニングブレード
67C,67M,67Y,67K:除電ランプ
68:中間転写ベルト
71C,71M,71Y,71K:転写部材(転写ローラー)
72:転写手段
73:転写紙
81:導電性支持体
82:感光層
83:電荷発生層
84:電荷輸送層
85:保護層
101:感光体(像担持体)
102:帯電装置
103:露光
104:現像装置
105:転写材(転写紙等)
106:転写装置
107:クリーニングブレード
108:クリーニングブラシベルト
Claims (26)
- 回転する像担持体に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において前記像担持体のクリーニングを行うクリーニング方法であって、
複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルトを用い、該クリーニングブラシベルトが、像担持体の回転軸に対して平行方向に駆動することによって該像担持体表面のクリーニングを行うことを特徴とするクリーニング方法。 - 請求項1記載のクリーニング方法において、
前記クリーニングブラシベルトに植設されたブラシ毛が、ループ形状を形成していることを特徴とするクリーニング方法。 - 請求項1または2記載のクリーニング方法において、
少なくとも前記クリーニングブラシベルトの駆動時においてフリッカーバーがブラシ毛に当接されることによって、該ブラシ毛の付着物を除去する手段を有することを特徴とするクリーニング方法。 - 回転する像担持体に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において前記像担持体のクリーニングを行うクリーニング装置であって、
複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルトを有し、該クリーニングブラシベルトが、像担持体の回転軸に対して平行方向に駆動するように配置されてなることを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項4記載のクリーニング装置において、
前記クリーニングブラシベルトに植設されたブラシ毛が、ループ形状を形成していることを特徴とするクリーニング装置。 - 請求項4または5記載のクリーニング装置において、
少なくとも前記クリーニングブラシベルトの駆動時においてフリッカーバーがブラシ毛に当接されることによって、該ブラシ毛の付着物を除去する手段を有することを特徴とするクリーニング装置。 - 回転する像担持体に、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの工程が順次繰り返されることによって画像形成を行う画像形成装置において、
前記クリーニング工程に、少なくとも複数の支持ローラーに掛け渡され、外周面に所望のピッチでブラシ毛が配列植設された無端ベルトからなるクリーニングブラシベルトを用い、該クリーニングブラシベルトが、像担持体の回転軸に対して平行方向に駆動するように配置されてなることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7記載の画像形成装置において、
前記クリーニングブラシベルトに植設されたブラシ毛が、ループ形状を形成していることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7または8記載の画像形成装置において、
少なくとも前記クリーニングブラシベルトの駆動時においてフリッカーバーがブラシ毛に当接されることによって、該ブラシ毛の付着物を除去する手段を有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7〜9の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記クリーニングブラシベルトの回転速度V1(mm/sec)と前記像担持体の回転速度V2(mm/sec)とが、下記の関係式:
V1≠V2
を満足することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項10記載の画像形成装置において、
前記クリーニングブラシベルトの回転速度V1(mm/sec)と前記像担持体の回転速度V2(mm/sec)とが、下記の関係式:
1.0<V1/V2<20
を満足することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7〜11の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記クリーニング工程が、さらにクリーニングブレードによるクリーニング手段を含むことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項12記載の画像形成装置において、
前記クリーニング工程では、前記像担持体の回転方向に対し、前記クリーニングブレードよりも、前記クリーニングブラシベルトの方が上流側に配置されてなることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7〜13の何れか一つに記載の画像形成装置において、
少なくとも前記クリーニングブラシベルトのブラシ毛が導電性材料によって形成されており、かつトナーと逆極性のバイアスを印加することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7〜14の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記クリーニングブラシベルトのブラシ毛に潤滑性物質を付着させる手段を有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項15記載の画像形成装置において、
前記潤滑性物質が、固体もしくは微粒子状であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項15または16記載の画像形成装置において、
前記潤滑性物質が、金属石鹸類、フッ素含有化合物、シリコン含有化合物の少なくとも一種であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7〜17の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体は光導電性の感光体からなり、その感光体の最表面層に、フィラーが含有されていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項18記載の画像形成装置において、
前記フィラーが、金属酸化物であることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項19記載の画像形成装置において、
前記金属酸化物が、少なくとも一種の表面処理剤によって表面処理を施していることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項18〜20の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記フィラーの平均一次粒径が、0.01〜0.9μmであることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7〜21の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体は光導電性の感光体からなり、その感光体の最表面層に熱硬化性樹脂あるいは光硬化性樹脂を含み、それらが架橋することによって硬化されていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7〜21の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体は光導電性の感光体からなり、その感光体の最表面層に、高分子電荷輸送物質が含有されていることを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7〜23の何れか一つに記載の画像形成装置において、
少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色のトナーを保持する現像部と、該現像部に対応した複数の像担持体を具備し、少なくとも帯電、露光、現像、転写及びクリーニングの各工程が並列に処理されるタンデム方式の画像形成部を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7〜24の何れか一つに記載の画像形成装置において、
前記像担持体に、帯電、露光、現像の工程を経てトナー像を形成した後、中間転写体もしくは中間転写ベルトを介して紙に転写を行うことにより、前記像担持体と紙とが直接接触しない構造を有することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項7〜25の何れか一つに記載の画像形成装置において、
少なくとも前記クリーニング手段及び前記像担持体が、画像形成装置本体に対し着脱自在の構造を有する電子写真用プロセスカートリッジに具備されてなることを特徴とする画像形成装置。
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