JP3963440B2 - 電子写真感光体及びその製造方法、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体及びその製造方法、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置、及び画像形成用プロセスカートリッジ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、静電印刷、プリンタ、静電記録などに用いられる電子写真感光体及びその製造方法、詳しくは、繰り返し使用に対しても高画質な画像を高速に、かつ長期間にわたって安定して形成できる電子写真感光体及びその製造方法、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真における帯電方法としては、コロナ帯電方法や接触帯電方法が使用されてきた。コロナ帯電方法には、コロトロン方式とグリッドを有するスコロトロン方式があり、金属板で遮蔽されたハウジングの中央に帳架されたタングステンやニッケルのチャージワイヤーに、直流もしくは交流を重畳した直流電圧を印加することによりコロナ放電を起こし、感光体を帯電する方法である。
しかし、この方法では、チャージワイヤーに高電圧を印加するために、オゾンや窒素酸化物などが生成される。この生成物は、環境的側面ばかりでなく、感光体に対しても、耐久性や画像特性に対しても、悪影響を及ぼすことが知られている。
【0003】
近年、この方法に代わり、低オゾン、低電力を目的として、接触帯電方法が、実用化されてきている。接触帯電方法は、感光体に102〜1010Ω・cm程度の抵抗を持つ帯電部材に、直流もしくは交流を重畳した直流電圧を印加し、感光体に加圧当接させ、電荷を付与する方法である。この帯電方法は、パッシェンの法則に従い、帯電部材から被帯電体への放電によって行なわれるため、あるしきい値電圧以上の電圧を印加することによって帯電が開始される。この接触帯電方法は、コロナ帯電方法と比較すると、帯電部材への印加電圧は、低くなるが、放電が伴うために、少量のオゾン及び窒素酸化物が発生する。
しかしながら、この接触帯電方法は、帯電部材が感光体の表面に接触しているため、コロナ放電方式に比べて、感光体の表面の摩耗が大きくなるという問題がある。
【0004】
近年、電子写真装置においては、市場からの高画質化、高耐久化、低コスト化、フルカラー化等の要求が高まっている。特に、最近は、カラープリンター、カラー複写機の普及によりオフィスのフルカラー化が進み、フルカラーをモノクロ並のスピードで出力する装置の要求が高まっている。この要求を満足するために、いわゆるタンデム型のフルカラー画像形成装置が注目されている。タンデム型画像形成装置とは、複数の感光体が並べて備えられており、それぞれ個別に現像装置を備え、各感光体上にそれぞれ単色トナー画像を形成し、それらの単色トナー画像を順次重ね合わせて転写して記録材上に合成カラー画像を記録するものである。このタンデム型画像形成装置では、1つの感光体を用いて複数回(通常4回)画像形成を繰り返してフルカラー画像を形成する、いわゆる1ドラム型の画像形成装置に比べて、プリントスピードの大幅な時間短縮が可能である。しかし、このようなタンデム型画像形成装置は、複数の画像形成部を有するため、装置が大型化し、コスト高になり易い。
【0005】
また、最近カラープリンター、カラー複写機における高画質化の要求から、感光体上により細かなドットの書き込みが可能となるように、より小さいビーム径が形成できる高出力のLDあるはLEDに移行する傾向が高くなっている。ところが、電荷輸送層の膜厚が大きいと電荷輸送層に注入された電荷が表面に到達し表面電荷を中和するまでの電荷移動の直進性が低下し、画像のにじみ等を引き起こすため、電荷輸送層の膜厚はより小さくする必要がある。
【0006】
一般にカールソンプロセスにおいては、繰り返し使用によって電荷輸送層は摩耗して膜厚が減少し、感光体の帯電電位の低下や光感度の低下などによる地汚れ、画像濃度低下等の不良画像の発生を回避するためには、電荷輸送層の膜厚を小さくすることが考えられるが、これは感光体の高耐久化の面で不利であった。
【0007】
そして、電子写真装置の高速化に伴って感光体の感度および応答性が、装置の小型化に伴って感光体の小径化、それに伴う感光体の高耐久化が要求される傾向にある。このような要求に対し、特許第2838891号公報では、感光体における量子効率の電界依存性に着目し、量子効率の電界依存性が小さい電荷発生層と25〜60μmの比較的大きな膜厚を有する電荷輸送層との組み合わせにより、耐久性の向上と高感度化を両立させた感光体が開示されている。しかし、この感光体は繰り返し使用による膜削れによって電荷輸送層の膜厚が減少するに従い、感度低下を引き起こすという欠点があった。
【0008】
そこで、感光層上に保護層を設けて耐摩耗性を向上させた電子写真感光体が考案され、実用化されてきている。
例えば、特開昭63−91666号公報には感光層上にケイ素質保護層を設けることが記載され、特開平3−155558号公報には硬化性シリコン樹脂の保護層を設けることが記載され、特開昭60−3639号公報には硬化性樹脂とアクリル樹脂の配合物を保護層とすることが記載され、特開昭57−176057号公報には感光層上に絶縁性保護膜として硬質微粉末を分散したフッ素樹脂の被覆層を設けることが記載され、特開昭63−18354号公報には酸化防止剤を含む保護層を設けることが記載され、特開平1−205171号公報には、有機感光体の最上層を構成する塗工層に無機フィラーを含有させてその耐久性向上を計ることが記載されている。
しかしながら、このように耐摩耗性を向上させた電子写真感光体は、帯電行程において発生する放電生成物が感光体表面に付着し、感光体表面が低抵抗化するが、その耐摩耗性のために、低抵抗化した感光体表面が摩耗除去されず、やがて静電荷が保持されなくなり、画像流れ、画像ボケといった現象を起こしてしまうことが知られている。
【0009】
そのため、従来のフィラーを含有した保護層によって耐摩耗性を付与させた電子写真感光体においては、フィラーの含有量を調整し、微小に摩耗させて画像ボケを抑制するということが行なわれていた。このような構成のものは、わずかとはいえ、保護層を摩耗させるため、ある程度の膜厚をもって保護層を形成させなければならないが、保護層の膜厚を大きくすると、露光部電位の上昇などの副作用が発生していた。
【0010】
また、実際に販売されている複写機において、感光層上に保護層を設け1000kという長寿命化を達成した感光体が搭載されたものがある。この複写機では、画像ボケ防止のため感光体内部にドラムヒータが入っており、かなり高価な感光体となっている。また、このような感光体は、装置が複雑かつ大型化し、コストも高くなってしまう。さらに、ヒータを搭載しているため、その分エネルギーを多く消費してしまう。このような理由から、表面に保護層を有し内部にヒータを設けた感光体をタンデム型画像形成装置に用いることは難しく、実用化には至っていない。
【0011】
表面保護層を有する電子写真感光体を長期間使用すると、電荷の蓄積による露光部電位の上昇などの副作用が起こるため、表面保護層は比較的小さい膜厚が望ましい。当然のことながら、長時間使用しても表面保護層が摩耗しにくいように耐摩耗性が必要となる。一方で、このように耐摩耗性を向上させた電子写真感光体は、帯電行程において発生する放電生成物が感光体表面に付着し、感光体表面が低抵抗化するが、その耐摩耗性のために、摩耗除去されず、やがて静電荷が保持されなくなり、画像流れ、画像ボケといった現象を起こしてしまう。このため、保護層がほとんど摩耗せず、かつ、ドラムヒータ等の付属装置がなくとも画像ボケが生じないような感光体は実用化が難しかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、長期的に安定した画像形成を行なうことができる高耐久な電子写真感光体を提供することをその課題とする。
また、本発明は、かかる電子写真感光体の保護層形成用塗工液と、かかる電子写真感光体を製造する製造方法を提供することを別の課題とする。
また、本発明は、かかる電子写真感光体を用いた画像形成方法を提供することをさらに別の課題とする。
また、本発明は、かかる電子写真感光体を用いた画像形成装置を提供することをさらに別の課題とする。
さらに、本発明は、かかる電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジを提供することをさらに別の課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は上記課題を達成するために、耐摩耗性が高く、繰り返し使用しても画像ボケが発生しない保護層について鋭意検討した結果、導電性支持体上に感光層及び保護層を有する電子写真感光体において、前記保護層が少なくとも電荷輸送性物質と金属酸化物微粒子と有機酸と結着樹脂とからなり、該結着樹脂が熱硬化性アクリル樹脂と、メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂とを加熱硬化させたものであり、かつ該有機酸の含有量が硬化性樹脂に対して0.05〜5重量%の範囲となる構成の電子写真感光体は、耐摩耗性を著しく向上させることができ、かつ長期間繰り返し使用しても、画像ボケがほとんど発生することなく良好な画像が出力できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
例えば、熱可塑性樹脂のうちでも比較的硬度が高いポリカーボネートを保護層の結着樹脂として用いた場合、耐摩耗性を高くしてほとんど摩耗しないようにすると、画像ボケが発生することが知られている。これは、ポリカーボネート樹脂はカーボネート結合部位が数多く存在しているため、ここに放電生成物が吸着し、それが蓄積されることで表面抵抗が低下して電荷が保持されなくなるのではないかと考えられる。
これに対して、本発明におけるような構成の保護層を有する電子写真感光体は、感光体表面の摩耗が非常に小さいにもかかわらず繰り返し使用しても画像ボケをほとんど発生しない。その理由については、明確にはわかっていないが、以下のようなことが考えられる。
【0015】
紙などの記録材やカウンターブレードなどのクリーニング部材等の感光体との接触部剤によって感光体表面が摺擦される場合に、本発明に用いられる電子写真感光体は、表面に金属酸化物微粒子を含有しているため、前記接触部材は、保護層の樹脂とともに、金属酸化物微粒子に接触する。ここで、金属酸化物微粒子は、分子間相互の結合を主に支配しているフアンデルワールス結合に因る分子凝集力でなる前記接触部材とくらべて充分硬く、摩耗することがないので、保護層の樹脂部分が摩耗することを抑制することができ、耐摩耗性が向上すると考えられる。
また、本発明の保護層の結着樹脂は、硬化性樹脂を加熱硬化させるため、樹脂どうしが架橋反応によって結合することになる。
ところが、本発明の電子写真感光体は表面に官能基が少ないため、前記放電生成物の付着が起こりにくく、その結果、放電生成物の付着が抑えられ、また、付着してもその吸着力が小さいため、容易に除去され、感光体表面の低抵抗化が起こりにくいのではないかと考えられる。
一般的に、硬化性樹脂の架橋反応は、反応性官能基どうしの不可逆反応であり、結合によって官能基の数が減少する。帯電工程において発生する放電生成物が電子写真感光体表面に付着する場合、官能基が存在すると、前記放電生成物が該官能基と静電的作用により表面に吸着しやすく、また除去されにくくなると考えられる。
また、残存している未架橋の反応性官能基は経時に伴って変性し禁制帯エネルギーレベル内での電荷のトラップに変化することがあり、繰返し使用時に残留電位が蓄積し、露光部電位の上昇を引き起こす原因となることが懸念されたためであって、したがってこれは通常、常識的措置と云える。
【0016】
また、本発明においては、保護層中に有機酸を含有させている。これは、樹脂が硬化反応を行なう際に触媒として働く効果があり、これによって有機酸が存在しない系に比べて、比較的低温、短時間で樹脂の硬化が充分に進行し、反応性官能基の残存を抑えることができる。
電子写真感光体に用いる硬化性樹脂材料の硬化剤として有機酸を用いること自体は従来から知られている。例えば、特開平6−266142号公報にはエポキシ樹脂の保護層を硬化させる際の硬化剤としてプレニト酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメリット酸無水物のような有機酸を用いることが記載され、特公平6−90539号公報には硬化性シリコン樹脂とアクリル系樹脂との混合被覆物に10〜20nm粒径の酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン等の微粉末を含む保護層塗工膜を硬化させるための硬化用触媒として無機酸、有機酸、アミンを用いることが記載されている。
しかしながら、従来、保護層中に用いる硬化用触媒として無機酸、有機酸、アミンの添加量は、触媒量にすぎない。過剰に用いた結果、硬化用触媒が残存している場合も、やはりそこが前記放電生成物の吸着部位となる可能性があり、感光体表面の低抵抗化が起こりやすくなり、画像ボケなどの異常画像を引き起こすことが懸念され、したがって、このような過剰の硬化触媒添加を避けることが通常、常識的措置と云える。
また、残存している硬化触媒も経時に伴って変性し禁制帯エネルギーレベル内での電荷のトラップに変化することがあり、繰返し使用時に残留電位が蓄積し、露光部電位の上昇を引き起こす原因となることが懸念されたためであって、通常、常識的措置と云える。
露光部電位の上昇は画像濃度低下などの異常画像の原因となるため、反応性官能基が残存するような硬化条件は好ましくないと考えられてきた。しかしながら、有機酸が存在しない状態で反応性官能基の残存を抑え、硬化反応を促進するためには、より長時間、高温にすることが必要となるが、感光体にあまり大きな熱を加えると、たとえば、電荷発生物質や電荷輸送物質の変性により必要な光感度を示さなくなるなどの不具合が発生する場合があり好ましくない。また、変性が起きない場合でも、樹脂を硬化させるのにより多くのエネルギーが必要となることから、環境負荷が大きくなることが懸念される。
【0017】
ところで、電荷輸送層の上に金属酸化物微粒子を含有した保護層を積層すると、繰返し使用時に残留電位が蓄積し、露光部電位の上昇を引き起こす場合がある。これは、金属酸化物微粒子や該微粒子と樹脂、電荷輸送物質との界面などが電荷のトラップなって電荷のスムーズな移動を妨げていることが原因ではないかと考えられる。
ここで、電荷輸送物質の含有量を増加することで、残留電位の蓄積を抑えることも考えられるが、電荷輸送物質の比率が大きくなると、耐摩耗性が低下してしまうことが懸念される。また、一般的に電荷輸送物質は高価な材料であることが多く、コストアップにつながる。
【0018】
これに対して、本発明においては、有機酸の含有量が樹脂に対して0.05〜5重量%としているが、これは、本発明において有機酸は、単なる触媒としてだけ用いられるのではなく、硬化形成された保護層中でルイス酸として作用する結果、芳香族性多環に起因して塩基性を示す電荷移動担体と協働する効果、及び保護層を構成するバインダ高分子材料のコンホメションの弛緩性をなくし又は分子凝集化を促進してオゾン、窒素酸化物や水蒸気等のハザードガスの透過性を低減させる効果をも発揮するものと思われる。したがって、架橋のための触媒作用と電荷移動特性等の前記その余の効果とのバランスを考慮すると、より好ましくは0.1〜3重量%である。
【0019】
すなわち、該有機酸は、硬化時には触媒として作用するが、硬化後も保護層中に残存し、保護層の体積抵抗を低下し伝導性を妨げる潜熱を放出する作用も併せ持つ。このとき、有機酸は結着樹脂との相溶性がよいため、保護層中に局在することなく、全体的に適度に抵抗を小さくする効果がある。そのため、電荷移動がよりスムーズに行なわれ、残留電位の上昇が抑えられると考えられる。このとき、酸として無機酸を用いると、保護層に残存した際に、樹脂との相溶性が悪く酸が局在化してしまう恐れがある。酸が局在化すると、その部分だけ極端に抵抗が小さくなり、暗部電位の低下を引き起こし、黒ポチ画像などの異常画像の原因となってしまう。また、保護層形成用塗工液は樹脂、電荷輸送物質の溶解性を考慮して有機溶剤が用いられることがほとんどであるが、無機酸は有機溶剤への溶解度もあまり高くないため、塗工液安定性という観点からもあまり好ましくない。
【0020】
また、本発明によれば、有機酸として芳香族スルホン酸またはその誘導体を用いることを特徴とする電子写真感光体が提供される。芳香族スルホン酸又はその誘導体は、強酸性を有し触媒としての効果が高いことから樹脂の硬化反応におけるエネルギーが小さくて済むので、省エネルギー、環境負荷低減効果が大きい。また、有機溶剤への溶解性が良く、塗工液の安定性、保護層形成時の作業性などが良好であり、さらに、樹脂との相溶性がよく、前述した黒ポチ画像などの異常画像が発生しにくいことが分かった。
【0021】
また、本発明に用いられる電子写真感光体は、ドラムヒータ等で加熱することなく、画像流れを抑えることができるので、画像形成装置内の感光体内部又は感光体近傍にドラムヒータを設置する必要がなく、画像形成装置の小型化、省エネルギー化に非常に有効である。さらに、ヒータに関する配線、機構等を省略できるため画像形成装置の簡素化にも有効であり、その結果、装置の低コスト化、省エネルギー化が実現できる。
【0022】
以上のように、本発明によれば、導電性支持体上に感光層及び保護層を有する電子写真感光体において、前記保護層が少なくとも金属酸化物微粒子と有機酸と結着樹脂とからなり、該結着樹脂が熱硬化性樹脂であり、かつ該有機酸の含有量が硬化性樹脂に対して0.05〜5重量%の範囲であることを特徴とする電子写真感光体が提供される。ここで有機酸の含有量が樹脂に対して0.05重量%未満では、触媒としての作用は達成できたとしても、上記残留電位抑制の効果が小さくなるため、繰返し使用時の露光部電位の上昇を抑制する効果が不充分となる場合がある。さらに5重量%よりも多い場合、保護層の体積抵抗が小さくなりすぎて、感光体表面に帯電された静電荷が保持されず、画像流れ、地肌汚れなどの異常画像の原因となる場合があり好ましくない。特に高温高湿下ではその傾向が顕著になる。
【0023】
また、本発明によれば、保護層が電荷輸送性物質を含有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。このように保護層が電荷輸送性物質を含有することによって、残留電位、帯電立上り遅れの小さい電子写真感光体が実現される。上記保護層の上記結着樹脂と上記電荷輸送性物質との重量比は、3/1〜1/3であることが好ましい。結着樹脂と電荷輸送性物質との重量比が3/1より小さい場合、保護層中を電荷がスムーズに移動しにくく、残留電位抑制の効果が不充分になるおそれがある。一方、結着樹脂と電荷輸送性物質との重量比が1/3より大きい場合、保護層の結着樹脂の硬化を妨げたり、電荷輸送性物質が結晶化して析出したりすることがあり、これらが耐摩耗性の低下や、不良画像の原因になるおそれがある。保護層の結着樹脂と電荷輸送性物質との重量比が3/1〜1/3である場合、保護層中を電荷がスムーズに移動することができ、残留電位抑制の効果が充分に得られる。また、保護層の結着樹脂の硬化を妨げたり、電荷輸送性物質が結晶化して析出したりすることがなく、耐摩耗性の低下や、不良画像の発生を防止することができる。
【0024】
また、本発明によれば、保護層の硬化性結着樹脂を熱硬化性アクリル樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂とすることで、充分な耐摩耗性並びに静電特性を有し、かつ、低コストである電子写真感光体が実現される。
【0025】
即ち、本発明の好ましい態様の1つは、前記保護層の結着樹脂を、前記熱硬化性を有するアクリル樹脂と、前記メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂を加熱硬化させて形成したものである。
本発明における電子写真感光体の保護層は、架橋によって三次元網目構造を形成するように熱硬化性を有するアクリル樹脂と、メラミン樹脂並びに/又はグアナミン樹脂を加熱硬化させた保護層は、成膜性が高く平滑な表面を形成でき、充分な耐摩耗性及び静電特性を有し、かつ、低コストに形成できる。また、熱硬化性を有するアクリル樹脂と、メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂の硬化樹脂は上記電荷輸送性物質との相溶性が非常によく、透明性の高い保護層を形成することができる。
【0026】
うち、少なくとも1つは熱硬化性アクリル樹脂であることが好ましい。
また、前記硬化性樹脂のうちアクリル樹脂以外のものは、少なくとも1つはメラミン樹脂またはグアナミン樹脂であることが好ましい。すなわち、アクリル樹脂とメラミン、グアナミン樹脂を用いることで、三次元網目構造を形成することによるものと思われる高い耐摩耗性と、透明性の高い平滑な塗膜の保護層が達成される。
【0027】
さらに、本発明においては、前記熱硬化性を有するアクリル樹脂と、メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂との重量比が9/1〜4/6であることをそのより好ましい態様の1つとして包含するものである。
実験によれば、アクリル樹脂と、メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂との重量比が9/1〜4/6の範囲にあれば、耐摩耗性、金属酸化物の分散安定性、及び樹脂の硬化度等が良好であった。
【0028】
また、本発明の電子写真感光体は、前記のように、オゾン、窒素酸化物や水蒸気等のハザードガスの透過性が低減されたものであるが、その保護層は、水蒸気の透過率が50mg−2days−1−1以下であることが好ましい。
【0029】
また、本発明に用いられる電子写真感光体は、ドラムヒータ等で加熱することなく、画像流れを抑えることができるので、画像形成装置内の感光体内部又は感光体近傍にドラムヒータを設置する必要がなく、画像形成装置の小型化、省エネルギー化に非常に有効である。さらに、ヒーターに関する配線、機構等を省略できるため画像形成装置の簡素化にも有効であり、その結果、装置の低コスト化、省エネルギー化が実現できる。
【0030】
このような本発明の電子写真感光体は、感光層が、荷発生層と電荷輸送層とを順次積層して構成した積層型の有機感光層であることが、必要不可欠ではないが好ましい。電荷発生層と電荷輸送層とを順次積層して構成することにより、電荷発生機能と電荷輸送機能とを分離した機能分離型の感光層とすることができる。
【0031】
また、このような本発明の電子写真感光体においては、前記導電性基体と前記感光層との間に下引き層を設けたものとすることができる。導電性基体と感光層との間に下引き層を設けることによって、接着性の向上、モアレなどの防止、上層の塗工性改良及び残留電位の低減等を図ることができる。
【0032】
また、本発明によれば、保護層形成用塗工液(硬化性樹脂からなる結着樹脂と、金属酸化物微粒子と、酸触媒と、必要に応じて添加される電荷輸送性物質もしくは添加剤とから構成される電子写真感光体の保護層形成用塗工液)の固形分重量%が0.5〜30であることを特徴とする電子写真感光体の保護層形成用塗工液が提供される。
【0033】
また、本発明によれば、かかる保護層形成用塗工液を感光層上にスプレー塗工法により塗工し、加熱硬化して保護層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供される。
【0034】
また、本発明によれば、このような電子写真感光体に、少なくとも静電潜像を形成する段階、該静電潜像を現像してトナー像化するための現像段階、該電子写真感光体上のトナー像を被転写体上に転写するための転写段階を繰り返し行なう、長期的に使用しても感光体表面の摩耗が小さく、ドラムヒータ等が無くとも画像流れ、画像ボケといった不良画像が発生しにくい画像形成方法が提供される。
【0035】
また、本発明によれば、前記静電潜像を形成する段階が、該電子写真感光体を帯電する段階および像様の露光又は像様の光ビーム照射する段階からなる前記画像形成方法が提供される。特殊の電極を用いて該電子写真感光体上に直接静電潜像を与えることも可能であるが該電子写真感光体の優れた感光特性を発揮させるには像様の露光又は像様の光ビーム照射する段階を含む静電潜像形成が有利である。
【0036】
また、本発明によれば、導電性支持体上に感光層及び保護層を有し静電潜像を担持するための電子写真感光体と、該電子写真感光体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、該静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段を有する画像形成手段を備えた画像形成装置において、前記電子写真感光体の前記保護層が、少なくとも金属酸化物微粒子と有機酸と結着樹脂とからなり、該結着樹脂が熱硬化性樹脂であり、かつ該有機酸の含有量が硬化性樹脂に対して0.05〜5重量%の範囲であることを特徴とし、長期的に使用しても感光体表面の摩耗が小さく、ドラムヒーター等が無くとも画像流れ、画像ボケといった不良画像が発生しにくい画像形成装置が提供される。
【0037】
また、本発明によれば、このような電子写真感光体を搭載し、この電子写真感光体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、該静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段と、該電子写真感光体上のトナー像を被転写体上に転写するための転写手段とを有する画像形成手段を複数個備え、且つ、該複数個の画像形成手段の各電子写真感光体の表面に順次対向するように該被転写体表面を移動させる被転写体表面移動手段を備え、長期的に使用しても感光体表面の摩耗が小さく、ドラムヒーター等が無くとも画像流れ、画像ボケといった不良画像が発生しにくい画像形成装置が提供される。
【0038】
また、本発明によれば、前記潜像形成手段が、前記電子写真感光体の表面を帯電させるための帯電部材を備え、該帯電部材を該電子写真感光体に接触もしくは近接配置した前記画像形成装置が提供される。
この画像形成装置では、帯電部材を電子写真感光体に接触もしくは近接配置することによって、チャージワイヤーを用いたコロナ帯電方式に比べ、オゾンや窒素酸化物などの生成を低減することができる。また、この画像形成装置に用いられる電子写真感光体は耐摩耗性が大きいので、上記帯電部材を該電子写真感光体に接触させて使用しても該電子写真感光体表面の摩耗を小さく抑えることができる。
【0039】
また、本発明によれば、前記被転写体が中間転写体であり、前記複数の電子写真感光体上に現像されたトナー像を該中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写したのち、該中間転写体上に一次転写された重ね合わせトナー像を記録材上に一括して二次転写する中間転写手段を有する前記画像形成装置が提供される。
この間接転写方式では、例えば、感光体から記録材に画像を直接転写する直接転写方式に比べ、2次転写位置を比較的自由に設定することができるので装置の小型化が図れるといった利点がある。
【0040】
また、本発明によれば、前記被転写体が中間転写体であり、該中間転写体が、シームレスベルト状で、かつ、該ベルトの全層もしくは少なくとも1層を弾性部材で構成した弾性ベルトである前記画像形成装置が提供される。
カラー画像は通常4色の着色トナーで形成される。1枚のカラー画像には、1層から4層までのトナー層が形成されている。トナー層は1次転写(感光体から中間転写ベルトへの転写)や、2次転写(中間転写ベルトからシートへの転写)を通過することで圧力を受け、トナー同士の凝集力が高くなる。トナー同士の凝集力が高くなると文字の中抜けやベタ部画像のエッジ抜けの現象が発生しやすくなる。特に、従来から用いられている樹脂ベルトでは硬度が高くトナー層に応じて変形しないため、トナー層を圧縮させやすく文字の中抜け現象が発生しやすくなる。また、最近はフルカラー画像を様々な用紙、例えば和紙や意図的に凹凸を付けた用紙に形成したいという要求が高くなってきている。しかし、平滑性の悪い用紙は転写時にトナーと空隙が発生しやすく、転写抜けが発生しやすくなる。密着性を高めるために2次転写部の転写圧を高めると、トナー層の凝縮力を高めることになり、上述したような文字の中抜けを発生させることになる。この画像形成装置では、中間転写体が弾性ベルトであり、該弾性ベルトは樹脂ベルトに比べ硬度が低いため、転写部でトナー層や平滑性の悪い用紙に対応して変形する。つまり、上記弾性ベルトは局部的な凹凸に追従して変形するため、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られる。これにより、文字の中抜けが無く、しかも平面性の悪い用紙に対しても均一性の優れた転写画像を得ることができる。
【0041】
また、本発明によれば、該中間転写体の硬度HS(JIS−A)が、10°以上、65°以下である前記画像形成装置が提供される。
中間転写体の硬度HSが10°(JIS−A)より小さいと、寸法精度良く成形することが非常に困難となる。これは成形時に収縮・膨張を受け易いことに起因する。また柔らかくする場合には基材へオイル成分を含有させるのが一般的な方法であるが、加圧状態で連続作動させるとオイル成分が滲みだしてくるという欠点を有している。本発明者らの検討により、中間転写体表面に直接接触する感光体に上記オイル成分が付着すると、横帯状ムラを発生させることが分かった。一般的に離型性向上のために表層を設けているが、完全に滲み出し防止効果を与えるためには表層は耐久品質等要求品質の高いものになり、材料の選定、特性等の確保が困難になってくる。一方、中間転写体の硬度HSが65°(JIS−A)よりも大きいと、硬度が上がった分精度良く成形でき、しかもオイル含有量を含まず若しくは少なく抑えることが可能となる。よって、感光体に対するオイル付着は低減可能となるが、文字の中抜け等の転写性改善の効果が得られなくなってしまう。また、硬度が大き過ぎると張架ローラへの張架が困難となってしまう。この画像形成装置では、中間転写体の硬度HS(JIS−A)が、10°以上、65°以下であるので、該中間転写体を加圧状態で連続作動させてもオイル成分が滲み出すことがなく、該オイル成分が感光体に付着して横帯状ムラを発生させることはない。また、文字の中抜け等の転写性改善の効果を充分に得ることができ、しかも中間転写体を張架ローラで良好に張架することができる。
【0042】
また、本発明によれば、該中間転写体は芯体層を有するものである前記画像形成装置が提供される。
中間転写体を弾性ベルトで構成すると、張架ローラで張架したときにテンションで該弾性ベルトが弾性変形し、特に周方向に伸び易い。中間転写体が周方向に伸びると一次転写で各色の重ね合わせ位置のずれが生じたり、画像が伸びて画像歪みが生じたりしてしまう。この画像形成装置では、芯体層が中間転写体の伸びを防ぐので、一次転写で該中間転写体上への各色トナー像の重ね合わせ位置を正確に一致させることができる。また、画像の歪みを防ぐことができる。
【0043】
さらに、本発明によれば、かかる電子写真感光体を備えていることを特徴とする画像形成用プロセスカートリッジが提供される。
この画像形成装置用のプロセスカートリッジでは、電子写真感光体を長期的に使用しても該電子写真感光体表面の摩耗が小さく、しかも画像流れや画像ボケといった不良画像の発生を低減することができる。
【0044】
【発明の実施の態様】
以下、図面に沿って本発明をさらに詳細に説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体の模式断面図であり、導電性基体上に感光層、保護層を設けた構成の電子写真感光体を示している。図2及び図3は各々本発明のおける他の電子写真感光体の構成例を示すものである。図2は、感光層が電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)より構成される機能分離型タイプの電子写真感光体を示し、図3は、導電性基体と機能分離型タイプの感光層のCGL、CTLとの間に下引き層を入れた電子写真感光体を示している。なお、本発明に係る電子写真感光体としては、導電性支持体上に感光層と保護層を少なくとも有していれば、上記以外のその他の層が形成されていてもよく、また、感光層のタイプは任意に組み合わされていても構わない。
【0045】
本発明において電子写真感光体に使用される導電性支持体としては、導電体もしくは導電処理をした絶縁体、例えばAl、Ni、Fe、Cu、Auなどの金属、もしくはそれらの合金の他、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性基体上にAl、Ag、Au等の金属あるいはIn23、SnO2等の導電材料の薄膜を形成したもの、導電処理をした紙等が使用できる。導電性支持体の形状は特に制約はなく、板状、ドラム状あるいはベルト状のいずれのものも使用できるが、このような構造の装置の場合にはベルト状の支持体を用いると、内部に駆動ローラー、従動ローラーを設ける必要があるなど装置が複雑化したり、大型化の面でもあまり好ましくない。また、保護層の可撓性が不足して、表面にクラックとよばれる亀裂が入る可能性があり、それが原因で色ぽちが発生することが考えられる。このようなことから、支持体としては剛性の高いドラム状のものがこのましく用いられる。
【0046】
導電性支持体と感光層との間には、必要に応じて、下引き層を設けてもよい。かかる下引き層は、接着性を向上する、モアレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。下引き層は、一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂は、その上に感光層を溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、適当な溶媒を用いて、慣用される塗工法によって形成することができる。
【0047】
更に、かかる下引き層としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。
【0048】
この他に、かかる下引き層として、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けてもよい。
下引き層の膜厚は約0.1〜5μmが適当である。
【0049】
この導電性支持体に下引き層を介して設けられる感光層の種類は、Se系、OPC系等のいずれも適用できる。無機系材料としては、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物等が挙げられる。特に、環境に対して優しくかつ安価なOPCが良好である。これらのうち、OPC系について以下に簡単に説明する。
【0050】
本発明における感光層は、単層型でも積層型でもよいが、ここでは積層型について述べる。はじめに、電荷発生層について説明することにする。電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層であって、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
【0051】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0052】
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0053】
また、必要に応じて、電荷輸送性物質を添加してもよい。また、電荷発生層のバインダー樹脂として、上述のバインダー樹脂の他に、高分子電荷輸送性物質が良好に用いられる。
【0054】
電荷発生層を形成する方法としては、真空薄膜作製法と、溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前者の方法としては、グロー放電重合法、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、加速イオンインジェクション法等が挙げられる。この真空薄膜作製法は、上述した無機系材料又は有機系材料を良好に形成することができる。
【0055】
また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共に、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などの慣用されている方法を用いて行なうことができる。
【0056】
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
【0057】
電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ、電荷移動性が良いことが要求される。
【0058】
これらの要件を満足させるための電荷輸送層は、電荷輸送性物質及び必要に応じて用いられるバインダー樹脂により構成される。かかる電荷輸送層は、これらの電荷輸送性物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。かかる電荷輸送層には、必要により、電荷輸送性物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等などの添加剤を適量添加することもできる。
【0059】
電荷輸送性物質としては、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0060】
正孔輸送物質としては、以下に表わされる電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。たとえば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0061】
また、高分子電荷輸送性物質は、以下のような構造を有していてもよい。
(a)カルバゾール環を有する重合体
例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物等が例示される。
【0062】
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体
例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物等が例示される。
【0063】
(c)ポリシリレン重合体
例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物等が例示される。
【0064】
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体
例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物等が例示される。
【0065】
(e)その他の重合体
例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物等が例示される。
【0066】
本発明に使用される電子供与性基を有する重合体は、上記重合体だけでなく、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体等を用いることも可能である。
【0067】
また、本発明に用いられる高分子電荷輸送性物質として更に有用なトリアリールアミン構造を有するポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテルとしては、例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報等に記載の化合物が例示される。
【0068】
更に、電荷輸送層に併用できるバインダー樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリスチレン、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、フェノキシ樹脂などが用いられる。これらのバインダー樹脂は、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。
電荷輸送層の膜厚は、約5〜100μm程度が適当である。
【0069】
本発明における電荷輸送層中には、ゴム、プラスチック、油脂類などに用いられる他の酸化防止剤や可塑剤などの添加剤を添加してもかまわない。
更に、電荷輸送層中にレベリング剤を添加してもかまわない。かかるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーなどが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0〜1重量部が適当である。
【0070】
塗工方法としては、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート法などの慣用されている方法を用いて行なうことができる。
【0071】
次に、感光層が単層構成の場合について説明する。
キャスティング法で単層感光層を設ける場合、多くの場合、かかる単層感光層は、電荷発生物質と低分子並びに高分子電荷輸送性物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。電荷発生物質並びに電荷輸送性物質としては、前述した材料を用いることができる。
【0072】
また、かかる単層感光層には、必要により、可塑剤を添加することもできる。更に、必要に応じて用いることのできるバインダー樹脂としては、先に電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂をそのまま用いることができる。その他に、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
単層感光体の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0073】
本発明に係る電子写真感光体の保護層は、少なくとも金属酸化物微粒子と硬化性結着樹脂、有機酸を含有し、硬化性樹脂を酸存在下、加熱硬化させて形成される。
【0074】
保護層に含有される金属酸化物微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等を単独、又は混合して使用することができる。これらの金属酸化物微粒子は、分散性の向上などの目的で表面処理がなされていてもよい。また、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウムで表面処理された酸化チタンは、分散性もよく、保護層を形成したときの耐摩耗性も著しく向上するので、特に好適に使用される。
【0075】
このように、本発明によれば、金属酸化物微粒子がシリカ、アルミナ又は酸化チタンのいずれかを主成分とする微粒子1種類以上を含有することを特徴とする電子写真感光体も提供される。電子写真感光体をこのように構成することによって、電荷輸送物質との間の反応等による黒ポチ発生因子となり難く、低コストで、耐摩耗性が大きい電子写真感光体を実現することができる。
【0076】
樹脂組成物中に粉体或いは微細繊維を添加することにより、樹脂組成物の機械的強度を増大させること自体は、従来から広く一般的に知られた事項に属する。しかしながら、本発明においては有機酸の特定量を含有することに加えて、本発明で保護層に用いる金属酸化物微粉末の一次粒径の平均は、0.01〜1.0μm、好ましくは保護層の透光性や耐摩耗性の点から0.05〜0.5μmである。平均粒径が最大可視光波長λの約1/2即ち0、4〜0.5μmを超えると、本発明の電子写真感光体においては像露光に用いる光の下層への光透過性が阻害され感光体の感度を損なうことがある。また、平均粒径が1.0μmを超えると、保護層の膜厚との関係で保護層の耐久性に問題を生じることがある。金属酸化物微粉末の一次粒径の平均が0.01μm以下の金属酸化物微粉末の場合には、高価である上に保護層製造時の取り扱いが難しく、また比表面積が大きすぎて活性になるためか黒ポチ発生因子となることがある。
【0077】
微粒子集合体を含む層構造の変形に関し、一般に、固体材料例えば薄膜を構成する多数の微粒子からなる固体材料例えば薄膜や、微粒子を多層状態で充填含有する固体材料例えば薄膜において、これを変形するための応力を考えると、いま図15に示されるように、微粒子含有多層構造内部にズレを生じる面に関して上下の微粒子群の2層に分け、上の微粒子群の層を下の微粒子群の層に対してxだけずらすための応力τは、簡単化して各層を構成する微粒子間の間隔bの周期的関数としておくことができ、次式、即ち、τ=ksin(2πx/b)の式で表わす(kは定数)ことができる。
この「微粒子間隔b」は、或る特定粒子とこの粒子に隣接する他の粒子との間の距離であり、該「或る粒子」の中心と該「隣接粒子」の中心との間の距離であるが、両粒子が同じ粒径ものであれば、即ち「粒径」と換言することができることは勿論である(後程の垂直方向についての「微粒子面間距離a」についても同様である)。
ここで、xが小さい場合にはフックの法則が成り立つので、剛性率をμ、微粒子面間距離をaとおけば、τ=μ(x/a)の関係が成り立つ。また、前記のτ=ksin(2πx/b)の式において、ズレxが微粒子間隔bより充分小さい場合(ズレxが極小の場合)には、該式は、τ〜k(2πx/b)となる(昭和58年1月20日(株)培風館発行、井形直弘著「材料強度学」、第38頁参考)。
つまり、一般に、ズレに要する応力は、含有される微粒子の微粒子面間距離a、微粒子間隔bに反比例する。換言すれば、微粒子を多く充填含有する固体材料例えば薄膜においては、少なくとも機械的ズレに要する応力は、含有される微粒子の粒径に反比例して、大きくなるということになる。
【0078】
また、微粒子の多数充填物の該微粒子を内部転移するために要する応力については、別に、Hall‐Petchの関係式(前記「材料強度学」、第108頁参考)もある。
該Hall‐Petchの関係式は、内部転移に要する応力σと微粒子間の初期摩擦力σと微粒子の粒径dとの関係について、次式即ちσ=σ+k−1/2で表わされるとして、内部転移に要する応力σは、微粒子の粒径dの平方根に依存することを示している。ここで、kは温度により異なる定数である。
この関係式によれば、内部転移に要する応力σは、粒子相互間の初期摩擦力σの大きさにもより、定数kにもよるが、いずれにしても、微粒子の粒径dが或程度小さい場合には、内部転移に要する応力σがより必要になることを示している点は否めない。
そして、本発明の保護層は、微粒かつ粒径分布範囲が限られた金属酸化物を含有するときに、高い耐久性を示すという事実は、微粒子集合体の変形に関するこれら従来説によく符合している。
【0079】
これら金属酸化物微粒子の含有量は、結着樹脂に対して、10%〜200%の範囲が好ましく、10%未満だと、充分な耐摩耗性が得られないことがあり、また200%を超えると、保護層の体積抵抗が低下して、保護層表面の静電荷が保持できなくなり、画像流れや画像ボケといった不良画像が発生することがある。
【0080】
硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等を用いる。これらは単独で用いられ、好ましくは2種以上が併用される。特に、架橋によって三次元網目構造を形成するように熱硬化性アクリル樹脂と、メラミン樹脂又は/及びグアナミン樹脂とを加熱硬化させることによって、得られる保護層の耐摩耗性を著しく向上させることができる。熱硬化性アクリル樹脂と、メラミン樹脂又は/及びグアナミン樹脂との混合比は、耐摩耗性、金属酸化物の分散安定性、樹脂の硬化度等を考慮して最適化を図る必要があるが、およそ重量比で9/1〜4/6の範囲が好適である。
【0081】
また、保護層に電荷輸送性物質を含有させることで、繰り返し使用時の残留電位の上昇、それに伴う画像不良を抑えることができる。かかる電荷輸送性物質としては、先に挙げた電荷輸送層で用いられる電荷輸送性物質を用いることができる。しかし、結着樹脂である硬化性樹脂との相溶性などを考慮して選択することが好ましい。本発明においては、熱硬化性アクリル樹脂と、メラミン樹脂又は/及びグアナミン樹脂からなる硬化樹脂は、電荷輸送性物質との相溶性が非常によく、透明性の高い保護層を形成することができるので好ましい。
【0082】
耐摩耗性、電気特性の観点から見て画像保護層に使用される電荷輸送性物質の量は、結着樹脂に対して、重量比で3/1〜1/3の範囲が好適である。
【0083】
また、本発明の保護層に含有される有機酸は、硬化性樹脂の反応を促進させる触媒としての作用と、硬化後には保護層膜中に残存して保護層の体積抵抗を適度に低下させる作用を持つものが好ましい。そのような有機酸の例としては、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、スルホン酸等の有機酸及びその誘導体が挙げられる。前述の通り、無機酸は樹脂硬化の触媒としての作用は期待できるが、塗工液への溶解性や結着樹脂との相溶性の低さから保護層中に含有させることはあまり好ましくない。特に芳香族スルホン酸又はその誘導体は、バラエティーに富んだ市販品が数多く存在しており、コストも安く、取り扱いも容易であるため、好ましく用いられる。かかる芳香族スルホン酸の例としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、アントラキノン1,5−ジスルホン酸、アントラキノン2,6−ジスルホン酸、アントラキノン2スルホン酸などが挙げられる。また、かかるスルホン酸エステル、スルホン酸アミド、スルホン酸ハロゲン化物などの誘導体を用いてもよい。
その中でも特に酸価60〜150の範囲のものは触媒作用が高く速やかに樹脂の硬化反応を促進し、かつ保護層の体積抵抗を適度に下げるため好ましい。これを満足する試薬としては三井サイテック社のキャタリスト4040、4050、600等が挙げられるが、これらの試薬は取り扱いも容易で安全なため、好ましい。
【0084】
本発明の電子写真感光体は保護層の結着樹脂である硬化性樹脂を有機酸存在下、加熱硬化することによって、有機酸が触媒として作用し、低温、短時間で硬化が進行するので、硬化時の消費エネルギーを低く抑えることができるため、省エネルギー、環境保護の面からも有利である。特に芳香族スルホン酸は触媒としての効果が高く、より好適に用いられる。
【0085】
更に、本発明に係る電子写真感光体の保護層には、接着性、平滑性、化学的安定性を向上させる目的で、種々の添加剤を加えてもかまわない。
【0086】
本発明に係る電子写真感光体は、保護層形成用塗工液を、導電性支持体上の感光層上に塗工して保護層を形成した後、加熱乾燥、硬化させることによって形成することができる。
【0087】
かかる保護層形成用塗工液は、前記結着樹脂と、金属酸化物微粒子と、酸触媒と、必要に応じて添加される電荷輸送性物質と、各種添加剤とを含有して構成される。この保護層形成用塗工液を構成する各成分に適当な有機溶媒に加えて混合し、この混合液をボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライターなどの常法を用いて分散することによって得ることができる。
【0088】
このようにして得られた保護層形成用塗工液は、浸漬塗工、スプレー塗工、ブレード塗工、ナイフ塗工等の常法の塗工方法を用いて感光層上に塗工された後、加熱乾燥されて硬化させることによって保護層が形成される。量産性、塗膜品質などの面から浸漬塗工、スプレー塗工が有利であるが、なかでもスプレー塗工は、保護層形成用塗工液の溶媒が下層である感光層表面を侵すことが少なく、また、比較的容易に薄膜な保護層を形成することができるという利点がある。
【0089】
また、スプレー塗工を行なうためには、保護層形成用塗工液の固形分は0.5〜30%の範囲にあるのが好ましい。固形分が0.5%より小さい場合には、所望の膜厚を得るために必要な溶媒量が増加し、コスト、環境保護の面から好ましくない。また、固形分が30%より大きい場合には、スプレー塗工時に塗膜に気泡が含まれたり、塗膜のレベリングが不充分になることがあり、塗膜品質が劣化し、良品率が低下するなどの原因となる場合がある。
保護層の膜厚は0.1〜10μmの範囲が適当である。
【0090】
上記のようにして得ることができる本発明に係る電子写真感光体は、種々の層構成を有することができる。
例えば、図1に示すように、本発明に係る電子写真感光体は、3層構成になっていてもよい。つまり、この3層構成からなる電子写真感光体は、導電性支持体(150)上に感光層(160)が形成され、感光層(160)上に保護層(170)が形成されている。
【0091】
また、別の層構成を有する電子写真感光体としては、例えば、図2に示すような4層構成を有する電子写真感光体を挙げることができる。つまり、この4層構成からなる電子写真感光体は、導電性支持体(150)上に電荷発生層(180)が形成され、該電荷発生層(180)上に電荷輸送層(185)、更にその上に保護層(170)が形成されている。
【0092】
更に、別の層構成を有する電子写真感光体としては、例えば、図3に示すような5層構成を有する電子写真感光体を挙げることができる。つまり、この5層構成からなる電子写真感光体は、図2で示した層構成において、導電性支持体(150)と電荷発生層(180)との間に、下引き層(190)が形成されていて、電荷発生層(180)上に電荷輸送層(185)、更にその上に保護層(170)が形成されている。
【0093】
本発明の画像形成装置について、図4を参照して、下記に説明をする。図4は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図である。なお、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
【0094】
[画像形成装置]
図4は本発明の画像形成装置の1例を示す横断面図である、図4に示すように、本発明に係る電子写真感光体を用いた画像形成装置は、本発明に係るドラム状の感光体(40)と、その周囲に配置された接触方式の帯電部材からなる帯電装置(60)と、イレーサ(60f)と、画像露光装置(21)と、現像装置(61)と、転写前チャージャ(60a)と、転写チャージャ(60b)と、分離チャージャ(60c)と、分離爪(60e)と、クリーニング前チャージャ(60d)と、クリーニングブラシ(76)及びクリーニングブレード(75)を有するクリーニング装置(63)と、除電光源(64)などから構成されている。なお、感光体(40)の形状は、ドラム状の形状に限定されるものではなく、例えば、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。また、クリーニング前チャージャ(60d)としては、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラを始めとする公知の手段を用いることができる。接触方式の帯電部材からなる帯電装置(60)に代えて近接配置した帯電部材を用いることができる。
転写手段としては、一般には上記の帯電器が使用できるが、図示するような転写チャージャと分離チャージャとを併用したものが効果的である。
【0095】
また、画像露光装置(21)、除電光源(64)としてのランプ等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルタ、バンドパスフィルタ、近赤外カットフィルタ、ダイクロイックフィルタ、干渉フィルタ、色温度変換フィルターなどの各種フィルタを用いることもできる。
【0096】
かかる光源等は、図4に示される工程の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光を照射することができる。
【0097】
さて、現像装置(61)により感光体(40)上に現像されたトナーは、転写紙(51a)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(40)上にトナーが残存する。このようなトナーは、クリーニング装置(63)中のファーブラシであるクリーニングブラシ(76)及びクリーニングブレード(75)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
【0098】
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段としては、公知の方法が適用され、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0099】
図5には、本発明による他の1例の画像形成装置が示され、また、この装置を用いた別のプロセスの例を示す。図5の画像形成装置において、感光体(40)としては、本発明にて製造された電子写真感光体を有しており、駆動ローラ(13a)、(13b)により駆動され、接触方式の帯電部材からなる帯電装置(60)による帯電、画像露光装置(21)による像露光、現像(図示せず)、転写チャージャ(60b)を用いる転写、クリーニング前光源(63a)によるクリーニング前露光、ブラシ(76)によるクリーニング、除電光源(64)による除電が繰返し行なわれる。図5に示すように、感光体(40)(この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0100】
図示したこれら画像形成装置は、本発明における実施形態を例示するものであって、本発明はもちろん上記実施形態に一切限定されるものではなく、他の実施形態も包含するものである。例えば、図5においては、支持体側よりクリーニング前露光を行なっているが、クリーニング前露光は感光層側から行なってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。この図に示される装置の場合にも、接触方式の帯電部材からなる帯電装置(60)に代えて近接配置した帯電部材を用いることができる。
【0101】
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、その他に転写前露光、像露光のプレ露光、及びその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0102】
以上に示すような画像形成装置は、複写機、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。ここでいうプロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、その他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などを含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられる。
一般的な例として、図6に示すような、ケース(40a)内の感光体(40)の周囲に帯電装置(60)、画像露光装置(21)、ローラ形状の現像装置(61)、クリーニングブラシ(76)を有するクリーニング装置を配置したプロセスカートリッジを挙げることができる。図6において、感光体(40)は、導電性支持体上に本発明にて製造された電子写真感光体を有してなるものである。
【0103】
ここでいう接触方式の帯電部材とは、感光体表面に帯電部材の表面が接触するタイプのものであり、帯電ローラー、帯電ブレード、帯電ブラシの形状がある。中でも帯電ローラーや帯電ブラシが良好に使用される。
また、近接配置した帯電部材とは、感光体表面と帯電部材表面の間に200μm以下の空隙(ギャップ)を有するように非接触状態で近接配置したタイプのものである。空隙の距離から、コロトロン、スコロトロンに代表される公知の帯電器とは区別されるものである。本発明において使用される近接配置された帯電部材は、感光体表面との空隙を適切に制御できる機構のものであればいかなる形状のものでも良い。例えば、感光体の回転軸と帯電部材の回転軸を機械的に固定して、適正ギャップを有するような配置にすればよい。中でも、帯電ローラーの形状の帯電部材を用い、帯電部材の非画像形成部両端にギャップ形成部材を配置して、この部分のみを感光体表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる、あるいは感光体非画像形成部両端ギャップ形成部材を配置して、この部分のみを帯電部材表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる様な方法が、簡便な方法でギャップを安定して維持できる方法である。帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を図7に示す。
【0104】
図7に示される近接帯電機構例は、帯電ローラ(60g)からなリ、この帯電ローラ(60g)には両側面開口にフランジ(60h)が設けられ、かつ両端円周部に帯状のギャップ形成部材(60j)が設けられ、両フランジ(60h)にはそれらを貫通している金属シャフト(60k)が設けられている。感光体(40)は両端の非画像形成領域(40c)がギャップ形成部材(60j)とのみ接触し、したがってこれら接触部を除く帯電ローラ(60g)の画像形成領域(40b)表面はギャップ形成部材(60j)の厚さに相当するギャップを隔てて感光体(40)と対面している。このような近接帯電機構例によれば、感光体表面との接触がないので接触ムラに起因する帯電ムラ発生を防ぐと共に感光体表面の接触摩耗を防ぐことができ、かつ、感光体と帯電部材との距離が近接しているので、帯電部材に供給する電力を減少させオゾンや窒素酸化物等有害物質の発生量を著しく軽減することができる。
【0105】
図8には、この発明の画像形成装置の更に別の一例としての、タンデム型間接転写方式のカラー電子写真複写機の概略構成図が示される。この電子写真複写機は、複写装置本体(100)、この複写機本体を載せる給紙テーブル(200)、複写装置本体上に取り付けるスキャナ(300)、さらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)(400)から主に構成されている。
複写装置本体(100)には、中央に、無端ベルト状の中間転写体(10)を設ける。中間転写体(10)は、ベース層を、例えば伸びの少ないフッ素樹脂や伸びの大きなゴム材料に帆布など伸びにくい材料で構成された基層をつくり、その上に弾性層を設ける。この弾性層は、例えばフッ素系ゴムやアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムなどでつくる。その弾性層の表面は、例えばフッ素系樹脂をコーティングして平滑性のよいコート層で被ってなる。
【0106】
そして、図8の例の装置では、中間転写体(10)を、3つの支持ローラ(14)(15)、及び(16)に掛け回して図中時計回り方向に回転搬送可能とする。
図示の例では、3つの支持ローラ(14)、(15)、(16)のうち第2の支持ローラ(15)の左側に、画像転写後に中間転写体(10)上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置(17)を設ける。また、第1の支持ローラ(14)と第2の支持ローラ(15)との間に張り渡した中間転写体(10)上には、その搬送方向に沿って、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4つの画像形成手段(18)を横に並べて配置してタンデム画像形成装置(20)を構成する。そのタンデム画像形成装置(20)の上方には、図8に示すように、露光装置(21)を設ける。
【0107】
一方、中間転写体(10)を挟んでタンデム画像形成装置(20)と反対の側には、2次転写装置(22)を備える。2次転写装置(22)は、図示の例では、2つのローラ(23)間に、無端ベルトである2次転写ベルト(24)を掛け渡して構成し、中間転写体(10)を介して第3の支持ローラ(16)に押し当てて配置し、中間転写体(10)上の画像をシートに転写する。
また、2次転写装置(22)の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置(25)を設ける。定着装置(25)は、無端ベルトである定着ベルト(26)に加圧ローラ(27)を押し当てて構成する。
【0108】
上述した2次転写装置(22)には、画像転写後のシートをこの定着装置(25)へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置(22)として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
なお、図示の例では、このような2次転写装置(22)および定着装置(25)の下側に、上述したタンデム画像形成装置(20)と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置(28)を備える。
【0109】
さて、いまこのカラー電子写真複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置(400)の原稿台(30)上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置(400)を開いてスキャナ(300)のコンタクトガラス(32)上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置(400)を閉じてそれで押さえる。
【0110】
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置(400)に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス(32)上へと移動して後、他方コンタクトガラス(32)上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ(300)を駆動し、第1走行体(33)および第2走行体(34)を走行する。そして、第1走行体(33)で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体(34)に向け、第2走行体(34)のミラーで反射して結像レンズ(35)を通して読取りセンサ(36)に入れ、原稿内容を読み取る。
【0111】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ(14)(15)、及び(16)の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体(10)を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段(18)でその感光体(40)を回転して各感光体(40)上にそれぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体(10)の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体(10)上に合成カラー画像を形成する。
【0112】
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル(200)の給紙ローラ(42)の1つを選択回転し、ペーパーバンク(43)に多段に備える給紙カセット(44)の1つからシートを繰り出し、分離ローラ(45)で1枚ずつ分離して給紙路(46)に入れ、搬送ローラ(47)で搬送して複写装置本体(100)内の給紙路(48)に導き、レジストローラ(49)に突き当てて止める。
または、給紙ローラ(50)を回転して手差しトレイ(51)上のシートを繰り出し、分離ローラ(52)で1枚ずつ分離して手差し給紙路(53)に入れ、同じくレジストローラ(49)に突き当てて止める。
【0113】
そして、中間転写体(10)上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ(49)を回転し、中間転写体(10)と2次転写装置(22)との間にシートを送り込み、2次転写装置(22)で転写してシート上にカラー画像を記録する。
画像転写後のシートは、2次転写装置(22)で搬送して定着装置(25)へと送り込み、定着装置(25)で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪(55)で切り換えて排出ローラ(56)で排出し、排紙トレイ(57)上にスタックする。または、切換爪(55)で切り換えてシート反転装置(28)に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ(56)で排紙トレイ(57)上に排出する。
一方、画像転写後の中間転写体(10)は、中間転写体クリーニング装置(17)で、画像転写後に中間転写体(10)上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置(20)による再度の画像形成に備える。
【0114】
ここで、レジストローラ(49)は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。例えば、導電性ゴムローラを用いバイアスを印加する。径φ18で、表面を1mm厚みの導電性NBRゴムとする。電気抵抗はゴム材の体積抵抗で109Ωcm程度であり、印加電圧はトナーを転写する側(表側)には−800V程度の電圧を印加し、また紙裏面側は+200V程度の電圧を印加する。なお、一般的に中間転写方式は紙粉が感光体にまで移動しづらいため、紙粉転写を考慮する必要が少なくアースになっていても良い。また、印加電圧として、DCバイアスが印加されているが、これはシートをより均一帯電させるためDCオフセット成分を持ったAC電圧でも良い。
このようにバイアスを印加したレジストローラ(49)を通過した後の紙表面は、若干マイナス側に帯電している。よって、中間転写体(10)からシートへの転写では、レジストローラ(49)に電圧を印加しなかった場合に比べて転写条件が変わり転写条件を変更する場合がある。
【0115】
さて、上述したタンデム画像形成装置(20)において、個々の画像形成手段(18)は、詳しくは、例えば図9に示すように、ドラム状の感光体(40)のまわりに、帯電装置(60)、現像装置(61)、1次転写装置(62)、感光体クリーニング装置(63)、除電光源(64)などを備えてなる。
【0116】
また、タンデム型の電子写真装置には、図10に示すように、各感光体(1)上の画像を転写装置(2)により、シート搬送ベルト(3)で搬送するシート(s)に順次転写する直接転写方式のものと、図11に示すように、各感光体(1)上の画像を1次転写装置(2)によりいったん中間転写体(4)に順次転写して後、その中間転写体(4)上の画像を2次転写装置(5)によりシート(s)に一括転写する間接転写方式のものとがある。この転写装置(5)は転写搬送ベルト方式であるが、転写ローラ方式を用いることもできる。
【0117】
直接転写方式のものと、間接転写方式のものとを比較すると、前者は、感光体(1)を並べたタンデム型画像形成部(T)の上流側に給紙装置(6)を、下流側に定着装置(7)を配置しなければならず、シート搬送方向に大型化する欠点がある。これに対し、後者は、2次転写位置を比較的自由に設置することができ、給紙装置(6)、および定着装置(7)をタンデム型画像形成部(T)と重ねて配置することができ、小型化が可能となる利点がある。
【0118】
また、前者は、シート搬送方向に大型化しないためには、定着装置(7)をタンデム型画像形成部(T)に接近して配置することとなる。そのためシート(s)がたわむことができる充分な余裕をもって定着装置(7)を配置することができず、シート(s)の先端が定着装置(7)に進入するときの衝撃(特に厚いシートで顕著となる)や、定着装置(7)を通過するときのシート搬送速度と、転写搬送ベルトによるシート搬送速度との速度差により、定着装置(7)が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい欠点がある。
【0119】
これに対し、後者は、シート(s)がたわむことができる充分な余裕をもって定着装置(7)を配置することができるから、定着装置(7)がほとんど画像形成に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0120】
以上のようなことから、最近は、タンデム型電子写真装置の中の、特に中間転写ベルトを用いた間接転写方式のものが注目されてきている。
中間転写ベルトは、従来から弗素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等が使用されてきていたが、近年ベルトの全層やベルトの一部の層を弾性部材にした弾性ベルトが使用されてきている。
【0121】
なお、従来の樹脂ベルトを用いたカラー画像の転写は以下の課題がある。
カラー画像は通常4色の着色トナーで形成される。1枚のカラー画像には、1層から4層までのトナー層が形成されている。トナー層は1次転写(感光体から中間転写ベルトへの転写)や、2次転写(中間転写ベルトからシートへの転写)を通過することで圧力を受け、トナー同士の凝集力が高くなる。トナー同士の凝集力が高くなると文字の中抜けやベタ部画像のエッジ抜けの現象が発生しやすくなる。樹脂ベルトは硬度が高くトナー層に応じて変形しないため、トナー層を圧縮させやすく文字の中抜け現象が発生しやすくなる。
【0122】
また、最近はフルカラー画像を様々な用紙、例えば和紙や意図的に凹凸を付けや用紙に画像を形成したいという要求が高くなってきている。しかし、平滑性の悪い用紙は転写時にトナーと空隙が発生しやすく、転写抜けが発生しやすくなる。密着性を高めるために2次転写部の転写圧を高めると、トナー層の凝縮力を高めることになり、上述したような文字の中抜けを発生させることになる。
【0123】
弾性ベルトは樹脂ベルトの欠点を次の理由により解決することができる。
弾性ベルトは樹脂ベルトより硬度が低いため、転写部でトナー層や、平滑性の悪い用紙に対応して変形する。つまり局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するため、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ文字の中抜けの無い、平面性の悪い用紙に対しても均一性の優れた転写画像を得ることができる。
【0124】
上記弾性ベルトを構成する樹脂としては、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0125】
また、上記弾性ベルトを構成する弾性材ゴムもしくはエラストマーとしては、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0126】
弾性ベルトに添加する抵抗値調節用導電剤に特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではないことは当然である。
【0127】
表層材料に制限はないが、転写ベルト表面へのトナーの付着力を小さくして2次転写性を高めるものが要求される。
例えば、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、たとえばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、2酸化チタン、シリコンカーバイド等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上または粒径を異ならしたものを分散させ使用することができる。また、フッ素系ゴム材料のように熱処理を行なうことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
【0128】
弾性ベルトの製造方法は限定されるものではない。
例えば、回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法、表層の薄い膜を形成させるスプレイ塗工法、円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法、内型・外型の中に注入する注型法、円筒形の型にコンパウンドを巻き付け加硫研磨を行なう方法等があるがこれに限定されるものではなく複数の製法を組み合わせてベルトを製造することができるのはもちろんである。
【0129】
弾性ベルトの伸びを防止する方法としては、例えば、伸びの少ない芯体樹脂層にゴム層を形成する方法、芯体層に伸びを防止する材料を入れる方法等があるが、特に製法に関わるものではない。
【0130】
伸びを防止する芯体層を構成する材料は、例えば、綿、絹、などの天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維などの合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維などの無機繊維、鉄繊維、銅繊維などの金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用い織布状あるいは糸状のものができる。もちろん上記材料に限定されるものではない。
【0131】
糸は1本または複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。一方織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり当然導電処理を施すこともできる。
【0132】
芯体層を設ける製造方法は特に限定されるものではない。例えば、筒状に織った織布を金型等に被せその上に被覆層を設ける方法、筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面あるいは両面に被覆層を設ける方法、糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付けその上に被覆層を設ける方法等を挙げることができる。
【0133】
弾性層の厚さは、弾性層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり表層に亀裂の発生しやすくなる。また、伸縮量が大きくなることから画像に伸びちじみが大きくなること等から厚すぎることは好ましくない(およそ1mm以上)。
【0134】
弾性層の硬度の適正範囲は10≦HS≦65゜(JIS−A)である。ベルトの層厚によって最適硬度の調整は必要となる。硬度10゜(JIS−A)より下のものは寸法精度良く成形することが非常に困難である。これは成型時に収縮・膨張を受け易いことに起因する。また柔らかくする場合には基材へオイル成分を含有させるのが一般的な方法であるが、加圧状態で連続作動させるとオイル成分が滲みだしてくるという欠点を有している。これにより中間転写体表面に接触する感光体に滲みだしたオイルが付着し横帯状ムラを発生させることが分かった。一般的に離型性向上のために表層を設けているが、完全に滲みだし防止効果を与えるためには表層は耐久品質等要求品質の高いものになり、材料の選定、特性等の確保が困難になってくる。これに対して、硬度65゜(JIS−A)よりも大きいものは硬度が上がった分精度良く成形できるのと、オイル含有量を含まずもしくは少なく抑えることが可能となるので、感光体に対するオイル付着性は低減可能であるが、文字の中抜け等転写性改善の効果が得られなくなる。また、張架ローラへの張架が困難となる。
【0135】
画像形成手段(18)を構成する部分のうち、帯電装置(60)は、図9の例ではローラ状につくり、感光体(40)に接触して電圧を印加することによりその感光体(40)の帯電を行なう。勿論、非接触のスコロトロンチャージャで帯電を行なうこともできる。
現像装置(61)は、一成分現像剤を使用してもよいが、図9の例では、磁性キャリアFと非磁性トナーとよりなる二成分現像剤を使用する。そして、その二成分現像剤を攪拌しながら搬送して現像スリーブ(65)に二成分現像剤を供給付着させる攪拌部(66)と、その現像スリーブ(65)に付着した二成分現像剤のうちのトナーを感光体(40)に転移する現像部(67)とで構成し、その現像部(67)より攪拌部(66)を低い位置とする。
攪拌部(66)には、平行な2本のスクリュ(68)を設ける。2本のスクリュ(68)の間は、両端部を除いて仕切り板(69)で仕切る(図12参照)。また、現像ケース(70)にトナー濃度センサ(71)を取り付ける。
【0136】
一方、現像部(67)には、現像ケース(70)の開口を通して感光体(40)と対向して現像スリーブ(65)を設けるとともに、その現像スリーブ(65)内にマグネット(72)を固定して設ける。また、その現像スリーブ(65)に先端を接近してドクタブレード(73)を設ける。図示例では、ドクタブレード(73)と現像スリーブ(65)間の最接近部における間隔は、500μmに設定してある。
【0137】
そして、2成分現像剤を2本のスクリュ(68)で攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ(65)に供給する。現像スリーブ(65)に供給された現像剤は、マグネット(72)により汲み上げて保持され、現像スリーブ(65)上に磁気ブラシを形成する。磁気ブラシは、現像スリーブ(65)の回転とともに、ドクタブレード(73)によって適正な量に穂切りされる。切り落とされた現像剤は、攪拌部(66)に戻される。
他方、現像スリーブ(65)上の現像剤のうちトナーは、現像スリーブ(65)に印加する現像バイアス電圧により感光体(40)に転移してその感光体(40)上の静電潜像を可視像化する。可視像化後、現像スリーブ(65)上に残った現像剤は、マグネット(72)の磁力がないところで現像スリーブ(65)から離れて攪拌部(66)に戻る。この繰り返しにより、攪拌部(66)内のトナー濃度が薄くなると、それをトナー濃度センサ(71)で検知して攪拌部(66)にトナーが補給される。
【0138】
ちなみに、図示例では、感光体(40)の線速を200mm/s、現像スリーブ(65)の線速を240mm/sとしている。感光体(40)の直径を50mm、現像スリーブ(65)の直径を18mmとして、現像行程が行なわれる。現像スリーブ(65)上のトナーの帯電量は、−10〜−30μC/gの範囲が好適である。感光体(40)と現像スリーブ(65)の間隙である現像ギャップ(GP)は、従来と同様に0.8mmから0.4mmの範囲で設定でき、値を小さくすることで現像効率の向上を図ることが可能である。
感光体(40)の厚みを30μmとし、光学系のビームスポット径を50×60μm、光量を0.47mWとしている。また、感光体(40)の帯電(露光前)電位V0を−600V、露光後電位VLを−100Vとして現像バイアス電圧を−350Vすなわち現像ポテンシャル250Vとして現像工程が行なわれるものである。
【0139】
次に、1次転写装置(62)は、ローラ状とし、中間転写体(10)を挟んで感光体(40)に押し当てて設ける。別に、ローラ状に限らず、導電性のブラシ形状、非接触のコロナチャージャなどであってもよい。
感光体クリーニング装置(63)は、先端を感光体(40)に押し当てて、例えばポリウレタンゴム製のクリーニングブレード(75)を備える。クリーニング性を高めるために外周を感光体(40)に接触ブラシを併用する。本説明図では外周を感光体(40)に接触導電性のファーブラシ(76)を矢印方向に回転自在に備える。また、ファーブラシ(76)にバイアスを印加する金属製電界ローラ(77)を矢示方向に回転自在に備え、その電界ローラ(77)にスクレーパ(78)の先端を押し当てる。さらに、除去したトナーを回収する回収スクリュ(79)を設ける。
【0140】
そして、感光体(40)に対してカウンタ方向に回転するファーブラシ(76)で、感光体(40)上の残留トナーを除去する。ファーブラシ(76)に付着したトナーは、ファーブラシ(76)に対してカウンタ方向に接触して回転するバイアスを印加された電界ローラ(77)に取り除かれる。電界ローラ(77)に付着されたトナーは、スクレーパ(78)でクリーニングされる。感光体クリーニング装置(63)で回収したトナーは、回収スクリュ(79)で感光体クリーニング装置(63)の片側に寄せ、詳しくは後述するトナーリサイクル装置(80)で現像装置(61)へと戻して再利用する。
除電光源(64)は、例えばランプであり、光を照射して感光体(40)の表面電位を初期化する。
【0141】
そして、感光体(40)の回転とともに、まず帯電装置(60)で感光体(40)の表面を一様に帯電し、次いでスキャナ(300)の読取り内容に応じて上述した露光装置(21)からレーザやLED等による書込み光Lを照射して感光体(40)上に静電潜像を形成する。
【0142】
その後、現像装置(61)によりトナーが付着され静電潜像を可視像化し、その可視像を1次転写装置(62)で中間転写体(10)上に転写する。画像転写後の感光体(40)の表面は、感光体クリーニング装置(63)で残留トナーを除去して清掃し、除電装置(64)で除電して再度の画像形成に備える。
【0143】
図13は、図8に示すカラー複写機の要部拡大図である。同図においては、タンデム画像形成装置(20)の各画像形成手段(18)、その画像形成手段(18)の各感光体(40)、各現像装置(61)、各感光体クリーニング装置(63)、および各画像形成手段(18)の感光体(40)にそれぞれ対向して設ける各1次転写装置(62)の各符号の後に、それぞれブラックの場合はBKを、イエローの場合はYを、マゼンタの場合はMを、シアンの場合はCを付して示す。
なお、図13中符号(74)は、図8および図9では図示省略するが、各1次転写装置(62)間において、中間転写体(10)のベース層側(内周面側)に接触して設ける導電性ローラである。この導電性ローラ(74)は、転写時に各1次転写装置(62)により印加するバイアスが、中抵抗のベース層を介して隣接する各画像形成手段(18)に流れ込むことを阻止するものである。
【0144】
次に、図14および図12には、トナーリサイクル装置(80)を示す。図14に示すとおり、感光体クリーニング装置(63)の回収スクリュ(79)には、一端に、ピン(81)を有するローラ部(82)を設ける。そして、そのローラ部(82)に、トナーリサイクル装置(80)のベルト状回収トナー搬送部材(83)の一側を掛け、その回収トナー搬送部材(83)の長孔(84)にピン(81)を入れる。回収トナー搬送部材(83)の外周には一定間隔置きに羽根(85)を設けてなり、その他側は、回転軸(86)のローラ部(87)に掛ける。
【0145】
回収トナー搬送部材(83)は、回転軸(86)とともに、図12に示す搬送路ケース(88)内に入れる。搬送路ケース(88)は、カートリッジケース(89)と一体につくり、その現像装置(61)側の端部に、現像装置(61)の前述した2本のスクリュ(68)の1本を入れてなる。
【0146】
そして、外部から駆動力を伝達して回収スクリュ(79)を回転するとともに、回収トナー搬送部材(83)を回転搬送し、感光体クリーニング装置(63)で回収したトナーを搬送路ケース(88)内を通して現像装置(61)へと搬送し、スクリュ(68)の回転で現像装置(61)内に入れる。その後、上述したとおり、2本のスクリュ(68)ですでに現像装置(61)内にある現像剤とともに攪拌しながら搬送循環し、現像スリーブ(65)に供給してドクタブレード(73)により穂切りして後、感光体(40)に転移してその感光体(40)上の潜像を現像する。
【0147】
現像スリーブ(65)は、非磁性の回転可能なスリーブ状の形状を持ち、内部には複数のマグネット(72)を配設している。マグネット(72)は、固定されているために現像剤が所定の場所を通過するときに磁力を作用させられるようになっている。図示例では、現像スリーブ(65)の直径をφ18mmとし、表面はサンドブラストまたは1〜数mmの深さを有する複数の溝を形成する処理を行ないRzが10〜30μmの範囲に入るように形成されている。
【0148】
マグネット(72)は、例えば、ドクタブレード(73)の箇所から現像スリーブ(65)の回転方向にN1、S1、N2、S2、S3の5磁極を有する。現像剤は、マグネット(72)により磁気ブラシを形成され、現像スリーブ(65)上に担持される。現像スリーブ(65)は、現像剤の磁気ブラシを形成した、マグネット(72)のS1側の領域に、感光体(40)に対向して配設されている。
【0149】
ところで、図13に示すように、クリーニング装置(17)に、クリーニング部材として2つのファーブラシ(90)、(91)を設ける。ファーブラシ(90)、(91)は、φ20mm、アクリルカーボン、6.25D/F、10万本/inch、E+7Ωのものを使用し、中間転写体(10)に対して接触してカウンタ方向に回転するように設ける。そして、それぞれのファーブラシ(90)、(91)には、不図示の電源から各々異なる極性のバイアスを印加する。
【0150】
そのようなファーブラシ(90)、(91)には、それぞれ金属ローラ(92)、(93)を接触して順または逆方向に回転するように設ける。そして、この例では、中間転写体(10)の回転方向上流側の金属ローラ(92)に電源(94)から(−)電圧を印加し、下流側の金属ローラ(93)に電源(95)から(+)電圧を印加する。それらの金属ローラ(92)、(93)には、それぞれブレード(96)、(97)の先端を押し当てる。
【0151】
そして、中間転写体(10)の矢示方向への回転とともに、はじめ上流側のファーブラシ(90)を用いて例えば(−)のバイアスを印加して中間転写体(10)表面のクリーニングを行なう。仮に、金属ローラ(92)に−700V印加すると、ファーブラシ(90)は−400Vとなり、中間転写体(10)上の(+)トナーをファーブラシ(90)側に転移する。除去したトナーをさらに電位差によりファーブラシ(90)から金属ローラ(92)に転移し、ブレード(96)により掻き落とす。
【0152】
さて、ファーブラシ(90)で中間転写体(10)上のトナーを除去するが、中間転写体(10)上にはまだ多くのトナーが残っている。それらのトナーは、ファーブラシ(90)に印加される(−)のバイアスにより、(−)に帯電される。これは、電荷注入または放電により帯電されるものと考えられる。
【0153】
しかし、次いで下流側のファーブラシ(91)を用いて今度は(+)のバイアスを印加してクリーニングを行なうことにより、それらのトナーを除去することができる。除去したトナーは、電位差によりファーブラシ(91)から金属ローラ(93)に転移し、ブレード(97)により掻き落とす。
【0154】
ブレード(96)、(97)で掻き落としたトナーは、不図示のタンクに回収する。
さて、ファーブラシ(91)でクリーニングされた後は、ほとんどのトナーが除去されるが、中間転写体(10)上にはまだ少しのトナーが残っている。それらの中間転写体(10)上に残ったトナーは、上述したようにファーブラシ(91)に印加される(+)のバイアスにより、(+)に帯電される。(+)に帯電されたトナーは、1次転写位置で印加される転写電界により感光体(40)側に転写され、感光体クリーニング装置(63)で回収することができる。最初の1次転写部で最も感光体側へトナーは転写される。
なお、画像を形成する色の順番は限定されるものではなく、画像形成装置の持つ狙いや特性によって異なってくる。
【0155】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、下記実施例の態様に限定されるものではない。なお、下記の実施例及び比較例において使用する単位である「部」はいずれも重量基準である。
【0156】
参考例1)
アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業社製)15部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業社製)10部をメチルエチルケトン150部に溶解し、これに酸化チタン粉末(タイペールCR−EL、石原産業社製)90部を加えて、ボールミルで12時間分散し、下引き層用塗工液を作製した。
得られた下引き層用塗工液をφ30mm、長さ340mmのAlドラムに塗工し、130℃で20分間乾燥して厚み3.5μmの下引き層を形成した。
【0157】
次に、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBL−S、積水化学工業社製)4部をシクロヘキサノン150部に溶解し、これに下記構造式(1)のトリスアゾ顔料10部を加え、ボールミルで48時間分散後、更にシクロヘキサノン210部を加えて3時間分散を行った。これを容器に取り出して、固形分が1.5重量%となるようにシクロヘキサノンで稀釈した。こうして得られた電荷発生層用塗工液を前記下引き層上に塗工して、130℃で20分間乾燥して厚み0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0158】
【化1】
Figure 0003963440
【0159】
別に、テトラヒドロフラン83部に、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂10部、シリコーンオイル(KF−50、信越化学工業社製)0.002部を溶解し、これに下記構造式(2)の電荷輸送性物質8部を加えて、電荷輸送層用塗工液を作製した。こうして得られた電荷輸送層用塗工液を前記電荷発生層上に塗工、乾燥し、厚み20μmの電荷輸送層を形成した。
【0160】
【化2】
Figure 0003963440
【0161】
更に、シクロヘキサノン200部、テトラヒドロフラン700部の混合溶液に、アクリル樹脂(ヒタロイド3001:不揮発成分50%、日立化成社製)15部、メラミン樹脂(サイメル303、三井サイテック社製)5部、芳香族スルホン酸(キャタリスト4040:不揮発分40%、三井サイテック社製)0.05部を溶解し、シリカ(KMPX−100、信越化学社製)9部を加え、ボールミルで48時間分散し、保護層形成用塗工液を作成した。
得られた保護層形成用塗工液を前記電荷輸送層上にスプレー塗工により塗布し、130℃で20分間加熱して、乾燥、硬化し、膜厚2μmの保護層を形成した。
以上のようにして、参考例1の電子写真感光体を作製した。
【0162】
参考例2)
シクロヘキサノン200部、テトラヒドロフラン700部の混合溶液に、前記構造式(2)の電荷輸送性物質8.6部、メラミン樹脂(サイメル303、三井サイテック社製)20部、芳香族スルホン酸(キャタリスト4040:不揮発分40%、三井サイテック社製)0.05部を溶解し、シリカ(KMPX−100、信越化学社製)9部を加え、ボールミルで48時間分散し、保護層形成用塗工液を作成した以外は参考例1と同様にして、実施例2の電子写真感光体を作製した。
【0163】
(実施例
シクロヘキサノン200部、テトラヒドロフラン700部の混合溶液に、前記構造式(2)の電荷輸送性物質8.6部、アクリル樹脂(ヒタロイド3001:不揮発成分50%、日立化成社製)15部、メラミン樹脂(サイメル303、三井サイテック社製)5部、芳香族スルホン酸(キャタリスト4040:不揮発分40%、三井サイテック社製)0.05部を溶解し、シリカ(KMPX−100:信越化学社製)9部を加え、ボールミルで48時間分散し、保護層形成用塗工液を作成した以外は参考例1と同様にして、実施例の電子写真感光体を作製した。
【0164】
(実施例
メラミン樹脂5部をグアナミン樹脂(マイコート106:不揮発分77%、三井サイテック社製)6.5部にした以外は、実施例と同様にして、実施例の電子写真感光体を作製した。
【0165】
(実施例
アクリル樹脂15部を異なるアクリル樹脂(ヒタロイド2468:不揮発分60%、日立化成社製)12.5部にした以外は、実施例と同様にして、実施例の電子写真感光体を作製した。
【0166】
(実施例
アクリル樹脂15部を異なるアクリル樹脂(ヒタロイド3509:不揮発分55%、日立化成社製)13.6部にした以外は、実施例と同様にして、実施例の電子写真感光体を作製した。
【0167】
(実施例
グアナミン樹脂(マイコート106:不揮発分77%、三井サイテック社製)6.5部をメラミン樹脂(スーパーベッカミンG821−60:不揮発分60%、大日本インキ社製)8.3部にした以外は、実施例と同様にして、実施例の電子写真感光体を作製した。
【0168】
(実施例
グアナミン樹脂(マイコート106:不揮発分77%、三井サイテック社製)6.5部を異なるグアナミン樹脂(サイメル1123、三井サイテック社製)5部にした以外は、実施例と同様にして、実施例の電子写真感光体を作製した。
【0169】
(実施例
グアナミン樹脂(マイコート106:不揮発分77%、三井サイテック社製)6.5部を異なるグアナミン樹脂(マイコート1128、不揮発分70%:三井サイテック社製)7.1部にした以外は、実施例と同様にして、実施例の電子写真感光体を作製した。
【0170】
(実施例
アクリル樹脂とグアナミン樹脂の量をそれぞれ9.9部、9.7部とした以外は、実施例と同様にして実施例の電子写真感光体を作製した。
【0171】
(実施例
アクリル樹脂とグアナミン樹脂の量をそれぞれ22.3部、1.6部とした以外は、実施例と同様にして実施例の電子写真感光体を作製した。
【0172】
(実施例10
電荷輸送性物質(2)の量を4.1部にした以外は、実施例と同様にして実施例10の電子写真感光体を作製した。
【0173】
(実施例11
電荷輸送性物質(2)の量を36.86部にした以外は、実施例と同様にして実施例11の電子写真感光体を作製した。
【0174】
(実施例12
芳香族スルホン酸の量を1部とした以外は、実施例と同様にして実施例12の電子写真感光体を作製した。
【0175】
(実施例13
シリカの量を1.2部とした以外は、実施例と同様にして実施例13の電子写真感光体を作製した。
【0176】
(実施例14
シリカの量を24部とした以外は、実施例と同様にして施例14の電子写真感光体を作製した。
【0177】
(実施例15
シリカをアルミナ(AA03、住友化学工業社製)にした以外は、実施例と同様にして実施例15の電子写真感光体を作製した。
【0178】
(実施例16
シリカをアルミナ(AA03、住友化学工業社製)にした以外は、実施例と同様にして、実施例16の電子写真感光体を作製した。
【0179】
(実施例17
シリカを酸化チタン(タイペークCR−97、石原産業社製)とした以外は、実施例と同様にして実施例17の電子写真感光体を作製した。
【0180】
(実施例18
シリカを酸化チタン(タイペークCR−97、石原産業社製)とした以外は、実施例と同様にして実施例18の電子写真感光体を作製した。
【0181】
(実施例19
芳香族スルホン酸を酒石酸0.2部とした以外は、実施例と同様にして実施例19の電子写真感光体を作製した。
【0182】
(実施例20
芳香族スルホン酸をアミンブロック芳香族スルホン酸(キャタリスト4050:不揮発分55%、三井サイテック社製)0.036部にした以外は、実施例と同様にして実施例20の電子写真感光体を作製した。
【0183】
参考例3
アクリル樹脂をアルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50:不揮発分50%、大日本インキ製)15部にした以外は、実施例と同様にして参考例3の電子写真感光体を作製した。これら感光体の概要は表1に示される。
【0184】
(比較例1)
保護層の結着樹脂として、アクリル樹脂、メラミン樹脂のかわりにビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂12.5部を用い、芳香族スルホン酸を加えなかった以外は、参考例1と同様にして比較例1の電子写真感光体を作製した。
【0185】
(比較例2)
保護層の結着樹脂として、アクリル樹脂、メラミン樹脂のかわりにビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂12.5部を用い、芳香族スルホン酸を加えなかった以外は、実施例と同様にして比較例2の電子写真感光体を作製した。
【0186】
(比較例3)
保護層の結着樹脂として、アクリル樹脂、メラミン樹脂のかわりにビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂12.5部を用い、芳香族スルホン酸を加えなかった以外は、実施例15と同様にして比較例3の電子写真感光体を作製した。
【0187】
(比較例4)
保護層の結着樹脂として、アクリル樹脂、メラミン樹脂のかわりにビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂12.5部を用い、芳香族スルホン酸を加えなかった以外は、実施例17と同様にして比較例3の電子写真感光体を作製した。
【0188】
(比較例5)
シリカを加えなかった以外は、実施例と同様にして、比較例5の電子写真感光体を作製した。
【0189】
(比較例6)
シリカを加えなかった以外は、実施例と同様にして、比較例6の電子写真感光体を作製した。
【0190】
(比較例7)
芳香族スルホン酸を加えなかった以外は、実施例と同様にして、比較例7の電子写真感光体を作製した。
【0191】
(比較例8)
芳香族スルホン酸を加えなかった以外は、実施例と同様にして、比較例8の電子写真感光体を作製した。
(比較例9)
芳香族スルホン酸の量を0.01部とした以外は実施例と同様にして比較例9の電子写真感光体を作製した。
(比較例10)
芳香族スルホン酸の量を2部とした以外は実施例と同様にして比較例10の電子写真感光体を作製した。
(比較例11)
芳香族スルホン酸のかわりにホウ酸0.5部を用いた以外は実施例と同様にして比較例11を作成した。これら感光体の概要は表1に示される。
【0192】
こうして得られた電子写真感光体を、電子写真複写機imagioMF2200(リコー製、ドラムヒーターレス)の改造機(クリーニングブレードの当接圧、現像部のギャップなどを調製して、電子写真感光体の摩耗に対して、より負荷がかかるようにした)に搭載して、初期の暗部電位(VD)、明部電位(VL)を測定した。imagioMF2200は、各々の感光体を搭載したときに初期VDが−900Vとなるようにチャージ電圧を設定した。その後、連続5万枚の通紙試験を行い、直後のVD、VLを測定し、あわせて画像品質を評価した。また、感光層を含めた膜厚を渦電流式膜厚測定器(型番560C、フィッシャー社製)を用いて測定し、通紙試験前と通紙試験後の膜厚差から、5万枚あたりの摩耗量を算出した。結果を表1に示す。
【0193】
【表1−1】
Figure 0003963440
【0194】
【表1−2】
Figure 0003963440
【0195】
【表1−3】
Figure 0003963440
【0196】
また、実施例1〜2、10〜14、19〜20と、参考例1〜3と、比較例1〜4、7,9〜11の電子写真感光体を搭載した前述の電子写真複写機imagioMF2200(リコー製、ドラムヒーターレス)の改造機(クリーニングブレードの当接圧、現像部のギャップなどを調製して、電子写真感光体の摩耗に対して、より負荷がかかるようにした)を、30℃90%RHの高温高湿環境下、及び10℃15%RHの低温低湿環境下において、連続5000枚の通紙試験を行い、その直後のVD、VLを測定し、画像品質を評価した。
【0197】
参考例4
アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、大日本インキ化学工業社製)15重量部、メラミン樹脂(スーパーベッカミンG−821−60、大日本インキ化学工業社製)10重量部をメチルエチルケトン150重量部に溶解し、これにアルミナ、酸化ジルコニウムで表面処理された酸化チタン粉末(タイペークCR−97、石原産業社製)80重量部、アルミナで表面処理された酸化チタン(タイペークCR−67、石原産業社製)10部を加えボールミルで24時間分散し、下引層用塗工液を作製した。これをφ50mm、長さ340mm、厚み1mmのアルミニウム管に浸漬塗工法によって塗工し130℃20分間乾燥して、厚み4μmの下引き層を形成した。
【0198】
次にポリビニールブチラール樹脂(エスレックHL−S、積水化学工業社製)4重量部をシクロヘキサノン150重量部に溶解し、これを下記構造式(3)に示すビスアゾ顔料10重量部に加え、ボールミルで48時間分散後、さらにシクロヘキサノン210重量部を加えて3時間分散を行った。これを容器に取り出し固形分が1.5重量%となるようにシクロヘキサノンで稀釈した。こうして得られた電荷発生層用塗工液を前記下引き層上に浸漬塗工法によって塗工し130℃20分間乾燥し厚み0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0199】
【化3】
Figure 0003963440
【0200】
次に、テトラヒドロフラン100重量部に、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂10重量部、シリコンオイル(KF−50(信越化学工業社製))0.002重量部を溶解し、これに前記構造式(2)の電荷輸送物質8重量部を加えて電荷輸送層用塗工液を作製した。こうして得られた電荷輸送層用塗工液を電荷発生層上に浸漬塗工法によって塗工し、その後110℃20分間乾燥し、厚み20μmの電荷輸送層を形成した。
【0201】
次に、シクロヘキサノン200部、テトラヒドロフラン700部の混合溶液に、アクリル樹脂(ヒタロイド3001:不揮発成分50%:日立化成社製)15部、メラミン樹脂(サイメル303:不揮発成分100%:三井サイテック社製)5部、芳香族スルホン酸(キャタリスト4040:不揮発分40%:三井サイテック社製)0.05部を溶解し、シリカ(KMPX−100:信越化学社製)9部を加え、ボールミルで48時間分散し、保護層形成用塗工液を作成した。得られた保護層形成用塗工液を前記電荷輸送層上スプレー塗工により塗布し、130℃、20分加熱して、乾燥、硬化し、膜厚2μmの保護層を形成し参考例4用の電子写真感光体を作製した。
【0202】
この電子写真感光体を4本作製し、図8の画像形成装置に搭載して、連続5万枚のフルカラー画像を出力する通紙試験を行い、初期と通紙試験後の画像評価と感光体塗膜の膜厚測定を行なった。膜厚測定は渦電流式膜厚測定器(フィッシャースコープMMS:フィッシャー社製)を用いて測定し、通紙試験前と通紙試験後の膜厚差から、5万枚あたりの感光体塗膜の摩耗量を算出した。
【0203】
参考例5
シクロヘキサノン200部、テトラヒドロフラン700部の混合溶液に、前記構造式(2)の電荷輸送性物質8.6部、メラミン樹脂(サイメル303:三井サイテック社製)20部を溶解し、シリカ(KMPX−100:信越化学社製)9部を加え、ボールミルで48時間分散し、保護層形成用塗工液を作成した以外は参考例4と同様にして、参考例5に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0204】
(実施例21
シクロヘキサノン200部、テトラヒドロフラン700部の混合溶液に、前記構造式(2)の電荷輸送性物質8.6部、アクリル樹脂(ヒタロイド3001:不揮発成分50%:日立化成社製)15部、メラミン樹脂(サイメル303:三井サイテック社製)5部を溶解し、シリカ(KMPX−100:信越化学社製)9部を加え、ボールミルで48時間分散し、保護層形成用塗工液を作成した以外は参考例4と同様にして、実施例21用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0205】
(実施例22
メラミン樹脂5部をグアナミン樹脂(マイコート106:不揮発分77%:三井サイテック社製)6.5%にした以外は実施例21と同様にして、実施例22に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0206】
(実施例23
アクリル樹脂15部を異なるアクリル樹脂(ヒタロイド2468:不揮発分60%:日立化成社製)12.5部にした以外は実施例22と同様にして、実施例23に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0207】
(実施例24
アクリル樹脂とグアナミン樹脂の量をそれぞれ9.9部、9.7部とした以外は実施例22と同様にして実施例24に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0208】
(実施例25
アクリル樹脂とグアナミン樹脂の量をそれぞれ22.3部、1.6部とした以外は実施例22と同様にして実施例25に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0209】
(実施例26
電荷輸送性物質(2)の量を4.1部にした以外は実施例22と同様にして実施例26に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0210】
(実施例27
電荷輸送性物質(2)の量を36.86部にした以外は実施例22と同様にして実施例27に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0211】
(実施例28
芳香族スルホン酸の量を1部とした以外は実施例22と同様にして実施例28に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0212】
(実施例29
芳香族スルホン酸の量を0.005部とした以外は実施例22と同様にして実施例29に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0213】
(実施例30
シリカの量を1.2部とした以外は実施例22と同様にして実施例30に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0214】
(実施例31
シリカの量を24部とした以外は実施例22と同様にして実施例31に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0215】
(実施例32
シリカをアルミナ(AA03:住友化学工業社製)にした以外は実施例21と同様にして実施例32に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0216】
(実施例33
シリカをアルミナ(AA03:住友化学工業社製)にした以外は実施例22と同様にして、実施例33に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0217】
(実施例34
シリカを酸化チタン(タイペークCR−97:石原産業社製)とした以外は実施例21と同様にして実施例34に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0218】
(実施例35
シリカを酸化チタン(タイペークCR−97:石原産業社製)とした以外は実施例22と同様にして実施例35に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0219】
(実施例36
芳香族スルホン酸を酒石酸0.2部とした以外は実施例22と同様にして実施例36に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0220】
(実施例37
芳香族スルホン酸をアミンブロック芳香族スルホン酸(キャタリスト4050:不揮発分55%:三井サイテック社製)0.036部にした以外は実施例22と同様にして実施例37に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0221】
(比較例12)
結着樹脂として、アクリル樹脂、メラミン樹脂のかわりにビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂12.5部を用い、芳香族スルホン酸を加えなかった以外は参考例4と同様にして比較例12に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0222】
(比較例13)
結着樹脂として、アクリル樹脂、メラミン樹脂のかわりにビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂12.5部を用い、芳香族スルホン酸を加えなかった以外は実施例21と同様にして比較例13に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0223】
(比較例14)
結着樹脂として、アクリル樹脂、メラミン樹脂のかわりにビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂12.5部を用い、芳香族スルホン酸を加えなかった以外は実施例36と同様にして比較例14に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0224】
(比較例15)
シリカを加えなかった以外は実施例21と同様にして、比較例15に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0225】
(比較例16)
シリカを加えなかった以外は実施例22と同様にして、比較例16に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0226】
(比較例17)
芳香族スルホン酸を加えなかった以外は実施例21と同様にして、比較例17に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0227】
(比較例18)
芳香族スルホン酸を加えなかった以外は実施例22と同様にして、比較例18に用いる電子写真感光体を作製し、参考例4と同様の評価を行なった。
【0228】
これらの結果を表2に示す。
なお、感光体の摩耗量の値としては、4本の感光体それぞれについて感光体塗膜の摩耗量を算出したが、感光体間の差はほとんどなかったため、表2には図8の画像形成装置において、転写ベルトの回転方向から見て、もっとも下流に位置する感光体(図の一番右に位置する感光体)の値とした。
【0229】
【表2】
Figure 0003963440
【0230】
表2から明らかなように、実施例の画像形成装置は、5万枚の通紙試験によってもほとんど塗膜が摩耗せず、かつ画像ボケも発生しなかった。また、わずかに画像濃度の低下、地汚れ、虫食い画像等が見られる場合もあったが、いずれも実使用上はほとんど問題にならないレベルであった。
【0231】
(実施例38
実施例21の画像形成装置において、中間転写ベルトを以下の製造例によって作製したものを用いた以外は実施例21と同様にして、通紙試験後、画像評価を行なったところ、実施例21で見られた虫食い画像が大幅に減少し、良好な画像が得られた。
【0232】
(弾性中間転写ベルトの製造例)
PVDF100重量部に対して、カーボンブラック18重量部、分散剤3重量部、トルエン400重量部を均一に分散させた分散液に円筒形の型を浸け10mm/sで静かに引き上げ室温にて乾燥をさせ75μmのPVDFの均一な膜を形成した。75μmの膜が形成されている型を繰り返し上記条件で溶液に円筒形の型を浸け10mm/sで静かに引き上げ室温乾燥させ150μmのPVDFベルトを形成した。これに、ポリウレタンプレポリマー100重量部、硬化剤(イソシアネート)3重量部、カーボンブラック20重量部、分散剤3重量部、MEK500重量部を均一分散させた分散液に上記150μmPVDFが形成されている円筒形型を浸け30mm/sで引き上げを行い自然乾燥を行なった。乾燥後繰り返しを行ない狙いの150μmのウレタンポリマー層を形成させた。
さらに表層用にポリウレタンプレポリマー100重量部、硬化剤(イソシアネート)3重量部、PTFE微粉末粉体50重量部、分散剤4重量部、MEK500重量部を均一分散させた。
【0233】
上記150μmのウレタンプレポリマーが形成されている円筒形型を浸け30mm/sで引き上げを行い自然乾燥を行なった。乾燥後繰り返しを行ない5μmのPTFEが均一に分散されたウレタンポリマーの表層を形成させた。室温で乾燥後130℃、2時間の架橋を行ない樹脂層;150μm、弾性層;150μm、表層;5μmの3層構成転写ベルトを得た。
【0234】
(実施例39
実施例22の画像形成装置において、実施例38用いた中間転写ベルトを搭載して実施例22と同様にして、通紙試験後、画像評価を行なったところ、実施例22で見られた虫食い画像が大幅に減少し、良好な画像が得られた。
【0235】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明より明らかなように、本発明の電子写真感光体は、従来の電子写真感光体と比較して、著しい耐摩耗性を有し、また高温高湿、低温低湿といった劣悪な環境下においても、繰り返し使用による残留電位の上昇、帯電特性の劣化といった電気特性の劣化も小さく、さらには、ドラムヒーターがなくとも画像ボケのような不良画像を抑えることができ、高画質なハードコピーを長期間にわたって安定して提供できることがわかった。また、この感光体を搭載した画像形成装置は、一万枚の通紙試験によっても塗膜がほとんど摩耗せず、かつ表面が清浄に保たれた結果、初期暗電位緒及び露光電位の劣化もなく、したがって良好な画像を形成することができると言う極めて優れたものであることが分かった。
そして、本発明によれば、電子写真感光体の耐摩耗性を向上させて、摩耗を従来に比べ著しく抑えることができる。また、耐摩耗性の高い電子写真感光体でしばしば問題となる画像流れや画像ボケの発生を防止することができる。これらのことのよって、長期間にわたって良好なカラー画像を形成することができるという優れた効果がある。また、画像流れを防止するためのヒータ等を具備する必要がないため、該ヒータ等の具備に伴う配線や機構等を省略して装置構成を簡素化でき、小型で低コストしかも省エネルギな装置にできるという優れた効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の層構成を例示する断面図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の別の層構成を例示する断面図である。
【図3】本発明の電子写真感光体の更に別の層構成を例示する断面図である。
【図4】本発明の画像形成装置の1例を示す概略図である。
【図5】本発明の画像形成装置の別の1例を示る概略図である。
【図6】本発明の画像形成装置内に組み込まれるプロセスカートリッジの1例を示す概略図である。
【図7】本発明の画像形成装置で用いられる非接触帯電機構の1例を示す概略図である。
【図8】本発明の画像形成装置の別の1例としてのタンデム型画像形成装置を示す概略図である。
【図9】図8のタンデム型画像形成装置の感光体周辺の拡大図である。
【図10】図8のタンデム型画像形成装置の中間転写部(間接転写)を示す要部拡大図である。
【図11】図8のタンデム型画像形成装置の別の中間転写部(直接転写)を示す要部拡大図である。
【図12】図8のタンデム型画像形成装置の現像装置の1例を示す要部斜視図である。
【図13】図8のタンデム型画像形成装置の要部拡大図である。
【図14】図8のタンデム型画像形成装置のトナーリサイクル装置の1例を示す要部斜視図である。
【図15】本発明の感光体の保護層における金属酸化物微粒子の働きを説明する概要図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 転写装置
3 シート搬送ベルト
4 中間転写体
5 2次転写装置
6 給紙装置
7 定着装置
10 中間転写体
13a 駆動ローラ
13b 駆動ローラ
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 クリーニング装置
18 画像形成手段
20 タンデム画像形成装置
21 画像露光装置
22 2次転写装置
23 ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 感光体
40a ケース
40b 画像形成領域
40c 非画像形成領域
42 給紙ローラ
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45 分離ローラ
46 給紙路
47 搬送ローラ
48 給紙路
49 レジストローラ
50 給紙ローラ
51 手差しトレイ
51a 転写紙
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
60 帯電装置
60a 転写前チャージャ
60b 転写チャージャ
60c 分離チャージャ
60d クリーニング前チャージャ
60e 分離爪
60f イレーサ
60g 帯電ローラ
60h フランジ
60j ギャップ形成部材
60k 金属シャフト
61 現像装置
62 1次転写装置
63 クリーニング装置
63a クリーニング前光源
64 除電光源
65 現像スリーブ
66 攪拌部
67 現像部
68 スクリュ
69 仕切り板
70 現像ケース
71 トナー濃度センサ
72 マグネット
73 ドクタブレード
74 導電性ローラ
75 クリーニングブレード
76 クリーニングブラシ
77 金属製電界ローラ
78 スクレーパ
79 回収スクリュ
80 トナーリサイクル装置
81 ピン
82 ローラ部
83 回収トナー搬送部材
84 長孔
85 羽根
86 回転軸
87 ローラ部
88 搬送路ケース
89 カートリッジケース
90 ファーブラシ
91 ファーブラシ
92 金属ローラ
93 金属ローラ
94 電源
95 電源
96 ブレード
97 ブレード
100 複写装置本体
150 導電性支持体
160 感光層
170 保護層
180 電荷発生層
185 電荷輸送層
190 下引き層
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
GP 現像ギャップ
s シート
T タンデム型画像形成部

Claims (20)

  1. 導電性支持体上に感光層及び保護層を有する電子写真感光体において、前記保護層が少なくとも電荷輸送性物質と金属酸化物微粒子と有機酸と結着樹脂とからなり、該結着樹脂が熱硬化性アクリル樹脂と、メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂とを加熱硬化させたものであり、かつ該有機酸の含有量が硬化性樹脂に対して0.05〜5重量%の範囲であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記保護層の結着樹脂と電荷輸送性物質の重量比が3/1〜1/3であることを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。
  3. 前記熱硬化性アクリル樹脂と、メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂との重量比が9/1〜4/6であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記保護層の金属酸化物微粒子がシリカ、アルミナ、酸化チタンのいずれかを主成分とする微粒子1種類以上を含有することを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 前記保護層において、金属酸化物微粒子が結着樹脂に対して10〜200重量%であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 前記有機酸が芳香族スルホン酸またはその誘導体であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 前記感光層は、荷発生層と電荷輸送層とを順次積層して構成した積層型の有機感光層であることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 前記導電性基体と前記感光層との間に下引き層が設けられたことを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の電子写真感光体。
  9. 導電性支持体上に感光層及び保護層を有する電子写真感光体の保護層形成用塗工液において、該保護層形成用塗工液の固形分重量%が0.5〜30であり、該固形分が少なくとも電荷輸送性物質と金属酸化物微粒子と有機酸と結着樹脂とからなり、該結着樹脂が熱硬化性アクリル樹脂と、メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂とを加熱硬化させたものであり、かつ該有機酸の含有量が硬化性樹脂に対して0.05〜5重量%の範囲であることを特徴とする電子写真感光体の保護層形成用塗工液。
  10. 導電性支持体上に感光層及び保護層を有する電子写真感光体の製造方法において、保護層形成用塗工液をスプレー塗工法により塗工し、加熱硬化して保護層を形成する段階を含み、前記該保護層形成用塗工液の固形分重量%が0.5〜30であり、該固形分が少なくとも電荷輸送性物質と金属酸化物微粒子と有機酸と結着樹脂とからなり、該結着樹脂が熱硬化性アクリル樹脂と、メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂とを加熱硬化させたものであり、かつ該有機酸の含有量が硬化性樹脂に対して0.05〜5重量%の範囲であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  11. 導電性支持体上に感光層及び保護層を有し静電潜像を担持するための電子写真感光体に、少なくとも静電潜像を形成する段階、該静電潜像を現像してトナー像化するための現像段階、該電子写真感光体上のトナー像を被転写体上に転写するための転写段階を繰り返し行なう画像形成方法において、前記電子写真感光体の前記保護層が、少なくとも電荷輸送性物質と金属酸化物微粒子と有機酸と結着樹脂とからなり、該結着樹脂が熱硬化性アクリル樹脂と、メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂とを加熱硬化させたものであり、かつ該有機酸の含有量が硬化性樹脂に対して0.05〜5重量%の範囲であることを特徴とする画像形成方法。
  12. 前記静電潜像を形成する段階が、該電子写真感光体を帯電する段階および像様の露光又は像様の光ビーム照射する段階の2つの段階からなることを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
  13. 導電性支持体上に感光層及び保護層を有し静電潜像を担持するための電子写真感光体と、該電子写真感光体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、該静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段を有する画像形成手段を備えた画像形成装置において、前記電子写真感光体の前記保護層が、少なくとも電荷輸送性物質と金属酸化物微粒子と有機酸と結着樹脂とからなり、該結着樹脂が熱硬化性アクリル樹脂と、メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂とを加熱硬化させたものであり、かつ該有機酸の含有量が硬化性樹脂に対して0.05〜5重量%の範囲であることを特徴とする画像形成装置。
  14. 導電性支持体上に感光層及び保護層を有し静電潜像を担持するための電子写真感光体と、該電子写真感光体上に静電潜像を形成するための潜像形成手段と、該静電潜像を現像してトナー像化するための現像手段と、該電子写真感光体上のトナー像を被転写体上に転写するための転写手段とを有する画像形成手段を複数個備え、且つ、該複数個の画像形成手段の各電子写真感光体の表面に順次対向するように該被転写体表面を移動させる被転写体表面移動手段を備えた画像形成装置において、前記電子写真感光体の前記保護層が、少なくとも電荷輸送性物質と金属酸化物微粒子と有機酸と結着樹脂とからなり、該結着樹脂が熱硬化性アクリル樹脂と、メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂とを加熱硬化させたものであり、かつ該有機酸の含有量が硬化性樹脂に対して0.05〜5重量%の範囲であることを特徴とする画像形成装置。
  15. 前記潜像形成手段が、前記電子写真感光体の表面を帯電させるための帯電部材を備え、該帯電部材を該電子写真感光体に接触もしくは近接配置したことを特徴とする請求項13又は14に記載の画像形成装置。
  16. 前記被転写体が中間転写体であり、前記複数の電子写真感光体上に現像されたトナー像を該中間転写体上に順次重ね合わせて一次転写したのち、該中間転写体上に一次転写された重ね合わせトナー像を記録材上に一括して二次転写する中間転写手段を有することを特徴とする請求項14又は15に記載の画像形成装置。
  17. 前記被転写体が中間転写体であり、該中間転写体が、シームレスベルト状で、かつ、該ベルトの全層もしくは少なくとも1層を弾性部材で構成した弾性ベルトであることを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載に画像形成装置。
  18. 前記被転写体が中間転写体であり、該中間転写体の硬度HS(JIS−A)が、10°以上、65°以下であることを特徴とする請求項14乃至17のいずれかに記載の画像形成装置。
  19. 前記被転写体が中間転写体であり、該中間転写体は芯体層を有することを特徴とする請求項14乃至18のいずれかに記載の画像形成装置。
  20. 潜像形成手段、現像手段及び転写手段のうちの少なくとも1つと、導電性支持体上に感光層及び保護層を有し静電潜像を担持するための電子写真感光体とを備えた画像形成装置用のプロセスカートリッジにおいて、前記電子写真感光体の前記保護層が、少なくとも電荷輸送性物質と金属酸化物微粒子と有機酸と結着樹脂とからなり、該結着樹脂が熱硬化性アクリル樹脂と、メラミン樹脂または/及びグアナミン樹脂とを加熱硬化させたものであり、かつ該有機酸の含有量が硬化性樹脂に対して0.05〜5重量%の範囲であることを特徴とする感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、請求項14乃至19のいずれかに記載の画像形成装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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