JP2004093794A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の電子写真感光体表面層(電荷輸送層)が有していた問題点を解決し、高感度を維持しつつ、耐摩耗性の向上を図り、かつ、耐久安定性、メモリー特性、ソルベントクラック性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、該電荷輸送層が、支持体側から第一電荷輸送層と第二電荷輸送層をこの順に有し、該第一電荷輸送層が、重量平均分子量(Mw)が1500以上20000以下の高分子量電荷輸送物質を含有する。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、該電荷輸送層が、支持体側から第一電荷輸送層と第二電荷輸送層をこの順に有し、該第一電荷輸送層が、重量平均分子量(Mw)が1500以上20000以下の高分子量電荷輸送物質を含有する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関し、詳しくは、支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
当然のことながら、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、さらには光学的特性を備えていることが要求される。
【0003】
また、電子写真感光体は、繰り返し使用される際には、コロナ帯電または接触帯電、画像露光、トナー現像、転写工程、表面クリーニングなどの電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性(耐摩耗性、耐傷性)も要求される。
【0004】
有機光導電性化合物を用いた有機電子写真感光体は、電気的、機械的双方の特性を満足させるために、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光層を有する積層型電子写真感光体として利用される場合が多い。
【0005】
有機電子写真感光体の耐摩耗性を向上させる手段の1つとして、機械的強度に優れたいろいろな結着樹脂の電子写真感光体表面層(電荷輸送層)への使用が提案されている。
【0006】
しかしながら、結着樹脂そのものが機械的強度に優れていても、感度を十分に得るために必要な量の低分子量電荷輸送物質を混合して用いるため、結着樹脂本来の膜強度を十分に活かせず、耐摩耗性、耐傷性において、必ずしも十分な耐久性を得るには至っていない。
【0007】
そこで、結着樹脂の耐摩耗性に対する優位性を活かすために、表面層にそれより支持体側の層よりも結着樹脂を多く存在させるという技術が特開平05−066577号公報、特開平07−219250号公報でなされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、表面層には電荷輸送物質がまだ多く存在し、耐摩耗性についてさらなる改良の余地が残されていた。
【0009】
本発明の目的は、従来の電子写真感光体表面層(電荷輸送層)が有していた問題点を解決し、高感度を維持しつつ、耐摩耗性の向上を図り、かつ、耐久安定性、メモリー特性、ソルベントクラック性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、電子写真感光体表面層にあたる電荷輸送層を2層に分け、そのうち、支持体側の層の電荷輸送物質として高分子量のものを使用することで上記目的を達成することができることを見いだした。
【0011】
すなわち、本発明は、支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、
該電荷輸送層が、支持体側から第一電荷輸送層と第二電荷輸送層をこの順に有し、
該第一電荷輸送層が、重量平均分子量(Mw)が1500以上20000以下の高分子量電荷輸送物質を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体である。
【0012】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0014】
本発明の電子写真感光体においては、2層構成の電荷輸送層を形成する際に、支持体側の層(第一電荷輸送層)に、重量平均分子量(Mw)が1500以上2万以下の電荷輸送物質を含有する。
【0015】
従来のように、第一電荷輸送層の電荷輸送物質として、低分子量電荷輸送物質を使用した場合、第一電荷輸送層の上に第二電荷輸送層を塗布したときに、第一電荷輸送層に使用した低分子量電荷輸送物質が第二電荷輸送層へマイグレートしてしまい、第二電荷輸送層における電荷輸送物質の結着樹脂に対する比率が、第二電荷輸送層を形成する際に使用する塗工液の仕込み比率を超えてしまう。
【0016】
その点、本発明のように、第一電荷輸送層に高分子量電荷輸送物質を使用すれば、電荷輸送物質の第二電荷輸送層へのマイグレートが抑えられ、より結着樹脂の比率が高い表面層を電子写真感光体に与えることができる。
【0017】
これは、電荷輸送物質が高分子量化することにより、第二電荷輸送層の結着樹脂への進入が難しくなるためだと考えられる。また、例えマイグレートがある程度は起こったとしても、電荷輸送物質自体の分子量がある一定以上あるため、低分子量電荷輸送物質と比較して、電子写真感光体表面層(第二電荷輸送層)の膜強度の低下への影響が少ない。
【0018】
本発明で使用する高分子量電荷輸送物質の分子量が1500未満であると、第二電荷輸送層へのマイグレートが大きくなり、膜強度の低下を招いてしまう。
【0019】
また、一方で分子量が20000を超えてしまうと、結着樹脂との相溶性が悪化してしまい、電子写真感光体としての特性を悪化させてしまう。
【0020】
さらなる耐摩耗性向上を図るには、第二電荷輸送層中の電荷輸送物質の濃度を、第一電荷輸送層中の電荷輸送物質の濃度よりも低くすることが好ましく、第二電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量が、第二電荷輸送層中の結着樹脂に対して30質量%以下であることが好ましい。一方、感度を高く維持するためには、第二電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量が、第二電荷輸送層中の結着樹脂に対して5質量%以上が好ましい。
【0021】
また、第二電荷輸送層の結着樹脂としては、耐摩耗性の向上を図りつつ、耐久安定性、メモリー特性に優れ、かつ、生産性を考慮した場合、熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0022】
また、第一電荷輸送層中の電荷輸送物質の第二電荷輸送層へのマイグレートが抑えられているため、膜のソルベントクラック性も良好である。
【0023】
本発明の電子写真感光体の第一電荷輸送層に使用する高分子量電荷輸送物質は、下記式(1)で示される繰り返し構造単位を3つ以上有する重合体であることが、より一層効果的に良好な電子写真特性を維持したまま耐摩耗性を図ることができるため好ましい。
【0024】
【外5】
【0025】
上記式(1)中、Ar11、Ar12は、それぞれ独立に、下記式(21)または下記式(22)で示される構造を有する2価の基を示す。ただし、Ar11とAr12とは互いに異なる2価の基である。Ar13、Ar14は、それぞれ独立に、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。
【0026】
【外6】
【0027】
【外7】
【0028】
上記式(21)、(22)中、Ar21、Ar22は、それぞれ独立に、置換または無置換の3価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の3価の芳香族複素環基を示す。Ar23、Ar24は、それぞれ独立に、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。X21、X22は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のシロキサン基、置換または無置換のシリレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子、硫黄原子、または、単結合を示す。Y21は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアゾ基、置換または無置換のスルホニル基、酸素原子、または、硫黄原子を示す。
【0029】
また、その中でも、高分子量電荷輸送物質は、下記式(3)で示される繰り返し構造単位を3つ以上有する重合体であることがより好ましい。
【0030】
【外8】
【0031】
上記式(3)中、R301〜R316は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、または、置換または無置換のアミノ基を示す。また、R302とR305、R310とR313は、結合して環を形成してもよく、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアミノ基、アゾ基、スルホニル基、酸素原子および硫黄原子を介して環を形成してもよい。X31、X32は、それぞれ独立に、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のシロキサン基、置換または無置換のシリレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子、硫黄原子、または、単結合を示す。Ar33、Ar34は、それぞれ独立に、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。
【0032】
上記芳香族炭化水素環基としては、フェニル、ナフチル、アンスリル、ピレニル、フルオレニルおよびフェナンスリルなどが挙げられ、上記芳香族複素環基としては、キノリル、ジベンゾチェニル、ジベンゾフリル、n−メチルカルバゾル、n−エチルカルバゾルおよびn−トリルカルバゾルなどが挙げられる。
【0033】
上記2価の芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ペリレン、フルオレン、ビフェニル、ターフェニルなどの芳香族炭化水素環から2個の水素原子を取り除いた2価の基が挙げられ、上記2価の芳香族複素環基としては、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、キノリンおよびフェナジンなどの芳香族複素環から2個の水素原子を取り除いた2価の基が挙げられる。
【0034】
上記3価の芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ペリレン、フルオレン、ビフェニル、ターフェニルなどの芳香族炭化水素環から3個の水素原子を取り除いた2価の基が挙げられ、上記3価の芳香族複素環基としては、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、キノリンおよびフェナジンなどの芳香族複素環から3個の水素原子を取り除いた3価の基が挙げられる。
【0035】
また、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基およびプロピル基などが挙げられ、上記アルコキシ基としては、メトキシ基およびエトキシ基などが挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子などが挙げられる。
【0036】
上記アルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン基などが挙げられ、シロキサン基としては、−SiO−の数が1〜10の基が挙げられ、シリレン基としては、Siの数が1〜4の基が挙げられる。
【0037】
また、上記各基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基や、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などのアルコキシ基や、フェノキシ基およびナフトキシ基などのアリールオキシ基や、フッ素原子、塩素原子および臭素原子などのハロゲン原子や、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基およびジフェニルアミノ基などのジ置換アミノ基などが挙げられる。
【0038】
以下に、本発明で用いる高分子量電荷輸送物質が有する繰り返し構造単位の具体例を示す。
【0039】
【外9】
【0040】
【外10】
【0041】
これらの中でも、(CT−1)、(CT−5)がより好ましい。
【0042】
本発明で用いる高分子量電荷輸送物質の中でも、上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質は、いわば、上記式(1)中の窒素原子、Ar11およびAr13からなる小ユニットと、上記式(1)中の窒素原子、Ar12およびAr14からなる小ユニットとが交互に共重合した交互共重合体といえる。
【0043】
このような構造にすることで、この規模の小ユニット(窒素原子と3つの方向族炭化水素環基または芳香族複素環基からなるユニット)を1種類だけ用いて重合させて得られる重合体(いわば単独重合体)と比較して、放電などによる酸化に対して強いため、繰り返し使用による劣化がほとんどないという特長も併せ持たせることができる。
【0044】
本発明の電子写真感光体においては、高分子量電荷輸送物質が1種類だけ用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。
【0045】
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、既知の電荷輸送物質と混合して使用してもよい。ただし、この場合は、重量平均分子量(Mw)が1500以上20000以下の高分子量電荷輸送物質は、第一電荷輸送層中の全電荷輸送物質全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。
【0046】
次に、本発明の電子写真感光体の層構成について説明する。
【0047】
本発明の電子写真感光体は、例えば、図5に示すように、支持体34上に電荷発生層33と電荷輸送層をこの順に積層した層構成であり、さらに、その電荷輸送層は、支持体側から第一電荷輸送層32、第二電荷輸送層31を積層した2層構成である。
【0048】
本発明の電子写真感光体に用いられる支持体としては、導電性を有していればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金または白金などを用いることができる。
【0049】
その他には、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム、酸化スズまたは酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着法によって被膜形成された層を有するプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂およびポリフッ化エチレンなど)、導電性粒子(例えば、アルミニウム粉末、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラックおよび銀粒子など)を適当な結着樹脂と共にプラスチックまたは上記支持体の上に被覆した支持体、導電性粒子をプラスチックや紙に含浸させた支持体や導電性ポリマーを有するプラスチックなどを用いることができる。
【0050】
支持体と電荷発生層との間には、バリヤー機能と接着機能を持つ中間層を設けることもできる。
【0051】
中間層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロンおよびN−アルコキシメチル化ナイロンなど)、ポリウレタン、にかわ、酸化アルミニウムまたはゼラチンなどが用いられる。
【0052】
中間層の膜厚は0.1〜10μmが好ましく、さらには0.5〜5μmがより好ましい。
【0053】
電荷発生層は、電荷発生物質を適当な結着樹脂溶液にて分散し、この分散液を塗布乾燥して形成する。電荷発生物質を溶剤中で分散してから結着樹脂溶液を加えてもよいし、あらかじめ結着樹脂溶液中で分散してもよい。
【0054】
また、2種以上の電荷発生物質を用いてもよく、混合する場合は、各材料を適当な比率で結着樹脂と溶剤に分散するか、あるいは、個々に分散した液を所定の比率になるように混合する。個々に分散する場合、結着樹脂や溶剤はそれぞれ別の物でも差し支えない。
【0055】
複数の電荷発生層を積層する場合は、個々に分散した液を、含まれる電荷発生物質の量が所定の比率になるような膜厚で各々塗布する。
【0056】
結着樹脂としては例えばポリエステル、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリサルホン、ポリアリレート、塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体、ポリビニルベンザールなどの樹脂を用いることができる。
【0057】
電荷発生層の膜厚は0.05〜1μmが好ましく、さらには0.1〜0.5μmがより好ましい。
【0058】
電荷発生層上には、第一電荷輸送層が設けられる。
【0059】
電荷輸送層は、主として電荷輸送物質と結着樹脂とを溶剤中に溶解させた塗料を塗工乾燥して形成する。
【0060】
電荷輸送物質としては、上記高分子量電荷輸送物質の他に、各種のトリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベンゼン系化合化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物およびトリアリルメタン系化合物などが挙げられる。
【0061】
結着樹脂としては、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリサルホン、ポリアリレート、塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体またはポリビニルベンザールなどの樹脂を用いることができる。
【0062】
第一電荷輸送層の膜厚は5〜30μmが好ましく、さらには8〜20μmがより好ましい。
【0063】
第一電荷輸送層の上には、第二電荷輸送層が設けられる。
【0064】
第二電荷輸送層は、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート(ポリカーボネートZおよび変性ポリカーボネートなど)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマーまたはスチレン−アクリロニトリルコポリマーなどの樹脂のみ、あるいは、上記樹脂と電荷輸送物質を適当な有機溶剤によって溶解し、感光層の上に塗布、乾燥して形成できる。電荷輸送物質としては、上に挙げたものが挙げられる。
【0065】
本発明においては、作製後の電子写真感光体の(第一)電荷輸送層の上層に電荷輸送物質が含有されていれば、該層を第二電荷輸送層と呼ぶこととする。すなわち、電荷輸送物質をあらかじめ含有させた溶液で該層を形成した場合でもよいし、電荷輸送物質を含有しない溶液で該層を塗工した後に、下層(第一電荷輸送層)からその塗布層に電荷輸送物質がマイグレートした場合でもよい。
【0066】
また、有機微粒子、無機微粒子、導電性粒子や紫外線吸収剤などを含有させてもよい。
【0067】
第二電荷輸送層の膜厚は0.05〜20μmが好ましく、さらには1〜10μmがより好ましい。
【0068】
これら各層の塗布方法としては、ディッピング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、リング塗布法またはビームコーティング法などを用いることができる。
【0069】
次に、本発明の電子写真感光体を用いた電子写真装置について説明する。
【0070】
図1において、1は本発明のドラム型の電子写真感光体であり、軸1aを中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動する。
【0071】
電子写真感光体1は、その回転過程で、(一次)帯電手段2により、その周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで露光部3にて、不図示の露光手段により露光光L(スリット露光あるいはレーザービーム走査露光など)を受ける。これにより、電子写真感光体周面に露光像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0072】
その静電潜像は、次いで現像手段4でトナー現像され、そのトナー現像像がコロナ転写手段5により不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段5との間に電子写真感光体1の回転と同期して取りされて給送された転写材9の面に順次転写されていく。
【0073】
像転写を受けた転写材9は、電子写真感光体面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けて印刷物(コピー、プリント)として機外ヘプリントアウトされる。
【0074】
像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段6にて転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、前露光手段7により除電処理がされて繰り返して像形成に使用される。
【0075】
また、図2に示す装置では、少なくとも電子写真感光体1、帯電手段2および現像手段4を容器20に納めてプロセスカートリッジとし、このプロセスカートリッジを装置本件のレールなどの案内手段12を用いて着脱自在に構成している。クリーニング手段6は、容器20内に配置しても配置しなくてもよい。
【0076】
また、図3および図4に示すように、帯電手段として接触帯電手段10を用い、電圧印加された接触帯電手段10を電子写真感光体1に接触させることにより電子写真感光体1の帯電を行ってもよい(この帯電方法を、接触帯電という)。
【0077】
図3および図4に示す装置では、電子写真感光体1上のトナー像も接触帯電転写手段23で転写材9に転写される。すなわち、電圧印加された接触帯電転写手段23を転写材9に接触させることにより電子写真感光体1上のトナー像を転写材9に転写させる。
【0078】
さらに、図4に示す装置では、少なくとも電子写真感光体1および接触帯電手段10を第1の容器21に納めて第1のプロセスカートリッジとし、少なくとも現像手段4を第2の容器22に納めて第2のプロセスカートリッジとし、これら第1のプロセスカートリッジと、第2のプロセスカートリッジとを着脱自在に構成している。クリーニング手段6は、容器21内に配置しても配置しなくてもよい。
【0079】
露光光Lは、電子写真装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を用いる、あるいは、原稿を読み取り信号化にしたがって、この信号によりレーザービームの走査、発光ダイオードアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動などを行うことにより行われる。
【0080】
【実施例】
以下、実施例にしたがって本発明をより一層詳細に説明する。
【0081】
なお、「部」は「質量部」を意味する。
【0082】
(実施例1)
10%酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粉体50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部およびシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して導電層用塗料を調製した。
【0083】
アルミニウムシリンダー上に、上記導電層用塗料を浸漬塗布し、140℃で30分間乾燥させ、膜厚が20μmの導電層を形成した。
【0084】
この導電層上に、6−66−610−12四元系ポリアミド共重合体樹脂5部をメタノール70部/ブタノール25部の混合溶媒に溶解した溶液をディッピング法で塗布乾燥し、膜厚が1μmの中間層を設けた。
【0085】
次に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学社製)6部をシクロヘキサノン114部に溶解し、結着樹脂溶液を得た。これに特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2の7.5°および28.3°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶12部を加え、バッチ式縦型サンドミル装置に投入し、直径1mmのガラスビーズを用いて4時間分散した。これに酢酸エチルを加え、固形分が2.9質量%、シクロヘキサノン/酢酸エチルの比が3/1となるように調整し、分散液を得た。
【0086】
この分散液を上記中間層上に塗布した後、100℃で10分間乾燥し、膜厚が0.22μmの電荷発生層を形成した。
【0087】
次に、上記式(CT−1)で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質4部とポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱ガス化学社製)10部をモノクロロベンゼン60部に溶解した溶液を作製し、上記電荷発生層上にディッピング法により塗布した。これを110℃の温度で1時間乾燥し、膜厚が15μmの第一電荷輸送層を形成した。
【0088】
次に、下記式(PA−1)で示される繰り返し構造単位と下記式(PA−2)で示される繰り返し構造単位を7:3で有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量(Mw):110000)20部を
【0089】
【外11】
【0090】
モノクロロベンゼン270部とジメトキシメタン110部に溶解した液を作製し、電荷輸送層上にブレードコーティング法により塗布し、110℃の温度で1時間乾燥して、膜厚が2μmの2層目の電荷輸送層を形成した。こうして電子写真感光体を作製した。
【0091】
作製した電子写真感光体の第二電荷輸送層の電荷輸送物質含有量は結着樹脂に対して16質量%であった。
【0092】
(実施例2〜7)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、それぞれ、上記式(CT−2)〜(CT−7)で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質(Mwは表1に記載)に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0093】
(実施例8)
実施例1において、第二電荷輸送層を次のように形成した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0094】
上記式(PA−1)で示される繰り返し構造単位と上記式(PA−2)で示される繰り返し構造単位を7:3で有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量(Mw):110000)10部と上記式(CT−1)で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質4部をモノクロロベンゼン154部とジメトキシメタン66部に溶解した液を作製し、電荷輸送層上にブレードコーティング法により塗布し、110℃の温度で1時間乾燥して、膜厚が2μmの2層目の電荷輸送層を形成した。
【0095】
(実施例9)
実施例1において、第二電荷輸送層のポリアリレート樹脂をポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱ガス化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0096】
(実施例10)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、下記式で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質(重量平均分子量(Mw):4000)に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0097】
【外12】
【0098】
(実施例11)
実施例8において、第二電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質の量を、6部に変更した以外は、実施例8と同様に電子写真感光体を作製した。
【0099】
(比較例1)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0100】
【外13】
【0101】
(比較例2)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0102】
【外14】
【0103】
(比較例3)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0104】
【外15】
【0105】
(比較例4)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、上記式(CT−1)で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質(重量平均分子量(Mw):1300)に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0106】
(比較例5)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、上記式(CT−1)で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質(重量平均分子量(Mw):22000)に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0107】
(評価)
実施例1〜11および比較例1〜5で得られた電子写真感光体を以下の方法で評価した。
【0108】
レーザービームプリンター(商品名:LBP−4000、キヤノン(株)製)を光量可変にした改造機にて、現像位置に電位測定装置がくるようにカートリッジの改造を行い、明部電位(VL)測定を可能にした。
【0109】
さらに、一次帯電手段を、外部電源から帯電部材への電圧印加が可能になるように改造を行い定電圧制御とした。
【0110】
作製した電子写真感光体を、この装置で32℃/86%RH(高温高湿:HH)の環境で通紙耐久試験を行った。
【0111】
耐久は、一枚通紙ごとにドラムが一度停止するモードとし、初期と10000枚時点での電位および耐久でのカブリが起こる限界値を確認した。
【0112】
さらに、電子写真感光体の一部に、3000lx/25分間の白色蛍光灯の光を照射し、5分間放置後の明部電位(VL)を測定し、光を照射する前から明部電位がどれだけ下がったかを測定して、その測定値をフォトメモリー値とした。
【0113】
さらに、ソルベントクラック性として、表面に指脂を付着させて84時間放置し、顕微鏡観察によりソルベントクラックの有無を観察した。
【0114】
評価結果を表1に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の電子写真感光体表面層(電荷輸送層)が有していた問題点を解決し、高感度を維持しつつ、耐摩耗性の向上を図り、かつ、耐久安定性、メモリー特性、ソルベントクラック性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有する電子写真装置の概略図である。
【図2】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備える電子写真装置の概略図である。
【図3】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備える別の電子写真装置の概略図である。
【図4】本発明の電子写真感光体などを有するプロセスカートリッジと、現像手段などを有するプロセスカートリッジとを備える電子写真装置の概略図である。
【図5】本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
1a 軸
2 (一次)帯電手段(コロナ帯電手段)
3 露光部
4 現像手段
5 転写手段(コロナ帯電転写手段)
6 クリーニング手段
7 前露光手段
8 定着手段
9 転写材
10 接触帯電手段
12 案内手段
20,21,22 容器
23 接触帯電転写手段
L 露光光
31 第二電荷輸送層
32 第一電荷輸送層
33 電荷発生層
34 支持体
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関し、詳しくは、支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
当然のことながら、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、さらには光学的特性を備えていることが要求される。
【0003】
また、電子写真感光体は、繰り返し使用される際には、コロナ帯電または接触帯電、画像露光、トナー現像、転写工程、表面クリーニングなどの電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性(耐摩耗性、耐傷性)も要求される。
【0004】
有機光導電性化合物を用いた有機電子写真感光体は、電気的、機械的双方の特性を満足させるために、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光層を有する積層型電子写真感光体として利用される場合が多い。
【0005】
有機電子写真感光体の耐摩耗性を向上させる手段の1つとして、機械的強度に優れたいろいろな結着樹脂の電子写真感光体表面層(電荷輸送層)への使用が提案されている。
【0006】
しかしながら、結着樹脂そのものが機械的強度に優れていても、感度を十分に得るために必要な量の低分子量電荷輸送物質を混合して用いるため、結着樹脂本来の膜強度を十分に活かせず、耐摩耗性、耐傷性において、必ずしも十分な耐久性を得るには至っていない。
【0007】
そこで、結着樹脂の耐摩耗性に対する優位性を活かすために、表面層にそれより支持体側の層よりも結着樹脂を多く存在させるという技術が特開平05−066577号公報、特開平07−219250号公報でなされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、表面層には電荷輸送物質がまだ多く存在し、耐摩耗性についてさらなる改良の余地が残されていた。
【0009】
本発明の目的は、従来の電子写真感光体表面層(電荷輸送層)が有していた問題点を解決し、高感度を維持しつつ、耐摩耗性の向上を図り、かつ、耐久安定性、メモリー特性、ソルベントクラック性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、電子写真感光体表面層にあたる電荷輸送層を2層に分け、そのうち、支持体側の層の電荷輸送物質として高分子量のものを使用することで上記目的を達成することができることを見いだした。
【0011】
すなわち、本発明は、支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、
該電荷輸送層が、支持体側から第一電荷輸送層と第二電荷輸送層をこの順に有し、
該第一電荷輸送層が、重量平均分子量(Mw)が1500以上20000以下の高分子量電荷輸送物質を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体である。
【0012】
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0014】
本発明の電子写真感光体においては、2層構成の電荷輸送層を形成する際に、支持体側の層(第一電荷輸送層)に、重量平均分子量(Mw)が1500以上2万以下の電荷輸送物質を含有する。
【0015】
従来のように、第一電荷輸送層の電荷輸送物質として、低分子量電荷輸送物質を使用した場合、第一電荷輸送層の上に第二電荷輸送層を塗布したときに、第一電荷輸送層に使用した低分子量電荷輸送物質が第二電荷輸送層へマイグレートしてしまい、第二電荷輸送層における電荷輸送物質の結着樹脂に対する比率が、第二電荷輸送層を形成する際に使用する塗工液の仕込み比率を超えてしまう。
【0016】
その点、本発明のように、第一電荷輸送層に高分子量電荷輸送物質を使用すれば、電荷輸送物質の第二電荷輸送層へのマイグレートが抑えられ、より結着樹脂の比率が高い表面層を電子写真感光体に与えることができる。
【0017】
これは、電荷輸送物質が高分子量化することにより、第二電荷輸送層の結着樹脂への進入が難しくなるためだと考えられる。また、例えマイグレートがある程度は起こったとしても、電荷輸送物質自体の分子量がある一定以上あるため、低分子量電荷輸送物質と比較して、電子写真感光体表面層(第二電荷輸送層)の膜強度の低下への影響が少ない。
【0018】
本発明で使用する高分子量電荷輸送物質の分子量が1500未満であると、第二電荷輸送層へのマイグレートが大きくなり、膜強度の低下を招いてしまう。
【0019】
また、一方で分子量が20000を超えてしまうと、結着樹脂との相溶性が悪化してしまい、電子写真感光体としての特性を悪化させてしまう。
【0020】
さらなる耐摩耗性向上を図るには、第二電荷輸送層中の電荷輸送物質の濃度を、第一電荷輸送層中の電荷輸送物質の濃度よりも低くすることが好ましく、第二電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量が、第二電荷輸送層中の結着樹脂に対して30質量%以下であることが好ましい。一方、感度を高く維持するためには、第二電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量が、第二電荷輸送層中の結着樹脂に対して5質量%以上が好ましい。
【0021】
また、第二電荷輸送層の結着樹脂としては、耐摩耗性の向上を図りつつ、耐久安定性、メモリー特性に優れ、かつ、生産性を考慮した場合、熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0022】
また、第一電荷輸送層中の電荷輸送物質の第二電荷輸送層へのマイグレートが抑えられているため、膜のソルベントクラック性も良好である。
【0023】
本発明の電子写真感光体の第一電荷輸送層に使用する高分子量電荷輸送物質は、下記式(1)で示される繰り返し構造単位を3つ以上有する重合体であることが、より一層効果的に良好な電子写真特性を維持したまま耐摩耗性を図ることができるため好ましい。
【0024】
【外5】
【0025】
上記式(1)中、Ar11、Ar12は、それぞれ独立に、下記式(21)または下記式(22)で示される構造を有する2価の基を示す。ただし、Ar11とAr12とは互いに異なる2価の基である。Ar13、Ar14は、それぞれ独立に、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。
【0026】
【外6】
【0027】
【外7】
【0028】
上記式(21)、(22)中、Ar21、Ar22は、それぞれ独立に、置換または無置換の3価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の3価の芳香族複素環基を示す。Ar23、Ar24は、それぞれ独立に、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。X21、X22は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のシロキサン基、置換または無置換のシリレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子、硫黄原子、または、単結合を示す。Y21は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアゾ基、置換または無置換のスルホニル基、酸素原子、または、硫黄原子を示す。
【0029】
また、その中でも、高分子量電荷輸送物質は、下記式(3)で示される繰り返し構造単位を3つ以上有する重合体であることがより好ましい。
【0030】
【外8】
【0031】
上記式(3)中、R301〜R316は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、または、置換または無置換のアミノ基を示す。また、R302とR305、R310とR313は、結合して環を形成してもよく、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアミノ基、アゾ基、スルホニル基、酸素原子および硫黄原子を介して環を形成してもよい。X31、X32は、それぞれ独立に、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のシロキサン基、置換または無置換のシリレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子、硫黄原子、または、単結合を示す。Ar33、Ar34は、それぞれ独立に、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。
【0032】
上記芳香族炭化水素環基としては、フェニル、ナフチル、アンスリル、ピレニル、フルオレニルおよびフェナンスリルなどが挙げられ、上記芳香族複素環基としては、キノリル、ジベンゾチェニル、ジベンゾフリル、n−メチルカルバゾル、n−エチルカルバゾルおよびn−トリルカルバゾルなどが挙げられる。
【0033】
上記2価の芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ペリレン、フルオレン、ビフェニル、ターフェニルなどの芳香族炭化水素環から2個の水素原子を取り除いた2価の基が挙げられ、上記2価の芳香族複素環基としては、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、キノリンおよびフェナジンなどの芳香族複素環から2個の水素原子を取り除いた2価の基が挙げられる。
【0034】
上記3価の芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ペリレン、フルオレン、ビフェニル、ターフェニルなどの芳香族炭化水素環から3個の水素原子を取り除いた2価の基が挙げられ、上記3価の芳香族複素環基としては、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、キノリンおよびフェナジンなどの芳香族複素環から3個の水素原子を取り除いた3価の基が挙げられる。
【0035】
また、上記アルキル基としては、メチル基、エチル基およびプロピル基などが挙げられ、上記アルコキシ基としては、メトキシ基およびエトキシ基などが挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子などが挙げられる。
【0036】
上記アルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン基などが挙げられ、シロキサン基としては、−SiO−の数が1〜10の基が挙げられ、シリレン基としては、Siの数が1〜4の基が挙げられる。
【0037】
また、上記各基が有してもよい置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基などのアルキル基や、メトキシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などのアルコキシ基や、フェノキシ基およびナフトキシ基などのアリールオキシ基や、フッ素原子、塩素原子および臭素原子などのハロゲン原子や、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基およびジフェニルアミノ基などのジ置換アミノ基などが挙げられる。
【0038】
以下に、本発明で用いる高分子量電荷輸送物質が有する繰り返し構造単位の具体例を示す。
【0039】
【外9】
【0040】
【外10】
【0041】
これらの中でも、(CT−1)、(CT−5)がより好ましい。
【0042】
本発明で用いる高分子量電荷輸送物質の中でも、上記式(1)で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質は、いわば、上記式(1)中の窒素原子、Ar11およびAr13からなる小ユニットと、上記式(1)中の窒素原子、Ar12およびAr14からなる小ユニットとが交互に共重合した交互共重合体といえる。
【0043】
このような構造にすることで、この規模の小ユニット(窒素原子と3つの方向族炭化水素環基または芳香族複素環基からなるユニット)を1種類だけ用いて重合させて得られる重合体(いわば単独重合体)と比較して、放電などによる酸化に対して強いため、繰り返し使用による劣化がほとんどないという特長も併せ持たせることができる。
【0044】
本発明の電子写真感光体においては、高分子量電荷輸送物質が1種類だけ用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。
【0045】
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、既知の電荷輸送物質と混合して使用してもよい。ただし、この場合は、重量平均分子量(Mw)が1500以上20000以下の高分子量電荷輸送物質は、第一電荷輸送層中の全電荷輸送物質全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。
【0046】
次に、本発明の電子写真感光体の層構成について説明する。
【0047】
本発明の電子写真感光体は、例えば、図5に示すように、支持体34上に電荷発生層33と電荷輸送層をこの順に積層した層構成であり、さらに、その電荷輸送層は、支持体側から第一電荷輸送層32、第二電荷輸送層31を積層した2層構成である。
【0048】
本発明の電子写真感光体に用いられる支持体としては、導電性を有していればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、亜鉛、ステンレス、バナジウム、モリブデン、クロム、チタン、ニッケル、インジウム、金または白金などを用いることができる。
【0049】
その他には、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム、酸化スズまたは酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着法によって被膜形成された層を有するプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂およびポリフッ化エチレンなど)、導電性粒子(例えば、アルミニウム粉末、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラックおよび銀粒子など)を適当な結着樹脂と共にプラスチックまたは上記支持体の上に被覆した支持体、導電性粒子をプラスチックや紙に含浸させた支持体や導電性ポリマーを有するプラスチックなどを用いることができる。
【0050】
支持体と電荷発生層との間には、バリヤー機能と接着機能を持つ中間層を設けることもできる。
【0051】
中間層の材料としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロンおよびN−アルコキシメチル化ナイロンなど)、ポリウレタン、にかわ、酸化アルミニウムまたはゼラチンなどが用いられる。
【0052】
中間層の膜厚は0.1〜10μmが好ましく、さらには0.5〜5μmがより好ましい。
【0053】
電荷発生層は、電荷発生物質を適当な結着樹脂溶液にて分散し、この分散液を塗布乾燥して形成する。電荷発生物質を溶剤中で分散してから結着樹脂溶液を加えてもよいし、あらかじめ結着樹脂溶液中で分散してもよい。
【0054】
また、2種以上の電荷発生物質を用いてもよく、混合する場合は、各材料を適当な比率で結着樹脂と溶剤に分散するか、あるいは、個々に分散した液を所定の比率になるように混合する。個々に分散する場合、結着樹脂や溶剤はそれぞれ別の物でも差し支えない。
【0055】
複数の電荷発生層を積層する場合は、個々に分散した液を、含まれる電荷発生物質の量が所定の比率になるような膜厚で各々塗布する。
【0056】
結着樹脂としては例えばポリエステル、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリサルホン、ポリアリレート、塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体、ポリビニルベンザールなどの樹脂を用いることができる。
【0057】
電荷発生層の膜厚は0.05〜1μmが好ましく、さらには0.1〜0.5μmがより好ましい。
【0058】
電荷発生層上には、第一電荷輸送層が設けられる。
【0059】
電荷輸送層は、主として電荷輸送物質と結着樹脂とを溶剤中に溶解させた塗料を塗工乾燥して形成する。
【0060】
電荷輸送物質としては、上記高分子量電荷輸送物質の他に、各種のトリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン系化合物、スチルベンゼン系化合化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物およびトリアリルメタン系化合物などが挙げられる。
【0061】
結着樹脂としては、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリサルホン、ポリアリレート、塩化ビニリデン、アクリロニトリル共重合体またはポリビニルベンザールなどの樹脂を用いることができる。
【0062】
第一電荷輸送層の膜厚は5〜30μmが好ましく、さらには8〜20μmがより好ましい。
【0063】
第一電荷輸送層の上には、第二電荷輸送層が設けられる。
【0064】
第二電荷輸送層は、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリカーボネート(ポリカーボネートZおよび変性ポリカーボネートなど)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリウレタン、スチレン−ブタジエンコポリマー、スチレン−アクリル酸コポリマーまたはスチレン−アクリロニトリルコポリマーなどの樹脂のみ、あるいは、上記樹脂と電荷輸送物質を適当な有機溶剤によって溶解し、感光層の上に塗布、乾燥して形成できる。電荷輸送物質としては、上に挙げたものが挙げられる。
【0065】
本発明においては、作製後の電子写真感光体の(第一)電荷輸送層の上層に電荷輸送物質が含有されていれば、該層を第二電荷輸送層と呼ぶこととする。すなわち、電荷輸送物質をあらかじめ含有させた溶液で該層を形成した場合でもよいし、電荷輸送物質を含有しない溶液で該層を塗工した後に、下層(第一電荷輸送層)からその塗布層に電荷輸送物質がマイグレートした場合でもよい。
【0066】
また、有機微粒子、無機微粒子、導電性粒子や紫外線吸収剤などを含有させてもよい。
【0067】
第二電荷輸送層の膜厚は0.05〜20μmが好ましく、さらには1〜10μmがより好ましい。
【0068】
これら各層の塗布方法としては、ディッピング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、リング塗布法またはビームコーティング法などを用いることができる。
【0069】
次に、本発明の電子写真感光体を用いた電子写真装置について説明する。
【0070】
図1において、1は本発明のドラム型の電子写真感光体であり、軸1aを中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動する。
【0071】
電子写真感光体1は、その回転過程で、(一次)帯電手段2により、その周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで露光部3にて、不図示の露光手段により露光光L(スリット露光あるいはレーザービーム走査露光など)を受ける。これにより、電子写真感光体周面に露光像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0072】
その静電潜像は、次いで現像手段4でトナー現像され、そのトナー現像像がコロナ転写手段5により不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段5との間に電子写真感光体1の回転と同期して取りされて給送された転写材9の面に順次転写されていく。
【0073】
像転写を受けた転写材9は、電子写真感光体面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けて印刷物(コピー、プリント)として機外ヘプリントアウトされる。
【0074】
像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段6にて転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、前露光手段7により除電処理がされて繰り返して像形成に使用される。
【0075】
また、図2に示す装置では、少なくとも電子写真感光体1、帯電手段2および現像手段4を容器20に納めてプロセスカートリッジとし、このプロセスカートリッジを装置本件のレールなどの案内手段12を用いて着脱自在に構成している。クリーニング手段6は、容器20内に配置しても配置しなくてもよい。
【0076】
また、図3および図4に示すように、帯電手段として接触帯電手段10を用い、電圧印加された接触帯電手段10を電子写真感光体1に接触させることにより電子写真感光体1の帯電を行ってもよい(この帯電方法を、接触帯電という)。
【0077】
図3および図4に示す装置では、電子写真感光体1上のトナー像も接触帯電転写手段23で転写材9に転写される。すなわち、電圧印加された接触帯電転写手段23を転写材9に接触させることにより電子写真感光体1上のトナー像を転写材9に転写させる。
【0078】
さらに、図4に示す装置では、少なくとも電子写真感光体1および接触帯電手段10を第1の容器21に納めて第1のプロセスカートリッジとし、少なくとも現像手段4を第2の容器22に納めて第2のプロセスカートリッジとし、これら第1のプロセスカートリッジと、第2のプロセスカートリッジとを着脱自在に構成している。クリーニング手段6は、容器21内に配置しても配置しなくてもよい。
【0079】
露光光Lは、電子写真装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を用いる、あるいは、原稿を読み取り信号化にしたがって、この信号によりレーザービームの走査、発光ダイオードアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動などを行うことにより行われる。
【0080】
【実施例】
以下、実施例にしたがって本発明をより一層詳細に説明する。
【0081】
なお、「部」は「質量部」を意味する。
【0082】
(実施例1)
10%酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粉体50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部およびシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して導電層用塗料を調製した。
【0083】
アルミニウムシリンダー上に、上記導電層用塗料を浸漬塗布し、140℃で30分間乾燥させ、膜厚が20μmの導電層を形成した。
【0084】
この導電層上に、6−66−610−12四元系ポリアミド共重合体樹脂5部をメタノール70部/ブタノール25部の混合溶媒に溶解した溶液をディッピング法で塗布乾燥し、膜厚が1μmの中間層を設けた。
【0085】
次に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学社製)6部をシクロヘキサノン114部に溶解し、結着樹脂溶液を得た。これに特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2の7.5°および28.3°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶12部を加え、バッチ式縦型サンドミル装置に投入し、直径1mmのガラスビーズを用いて4時間分散した。これに酢酸エチルを加え、固形分が2.9質量%、シクロヘキサノン/酢酸エチルの比が3/1となるように調整し、分散液を得た。
【0086】
この分散液を上記中間層上に塗布した後、100℃で10分間乾燥し、膜厚が0.22μmの電荷発生層を形成した。
【0087】
次に、上記式(CT−1)で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質4部とポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱ガス化学社製)10部をモノクロロベンゼン60部に溶解した溶液を作製し、上記電荷発生層上にディッピング法により塗布した。これを110℃の温度で1時間乾燥し、膜厚が15μmの第一電荷輸送層を形成した。
【0088】
次に、下記式(PA−1)で示される繰り返し構造単位と下記式(PA−2)で示される繰り返し構造単位を7:3で有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量(Mw):110000)20部を
【0089】
【外11】
【0090】
モノクロロベンゼン270部とジメトキシメタン110部に溶解した液を作製し、電荷輸送層上にブレードコーティング法により塗布し、110℃の温度で1時間乾燥して、膜厚が2μmの2層目の電荷輸送層を形成した。こうして電子写真感光体を作製した。
【0091】
作製した電子写真感光体の第二電荷輸送層の電荷輸送物質含有量は結着樹脂に対して16質量%であった。
【0092】
(実施例2〜7)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、それぞれ、上記式(CT−2)〜(CT−7)で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質(Mwは表1に記載)に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0093】
(実施例8)
実施例1において、第二電荷輸送層を次のように形成した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0094】
上記式(PA−1)で示される繰り返し構造単位と上記式(PA−2)で示される繰り返し構造単位を7:3で有するポリアリレート樹脂(重量平均分子量(Mw):110000)10部と上記式(CT−1)で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質4部をモノクロロベンゼン154部とジメトキシメタン66部に溶解した液を作製し、電荷輸送層上にブレードコーティング法により塗布し、110℃の温度で1時間乾燥して、膜厚が2μmの2層目の電荷輸送層を形成した。
【0095】
(実施例9)
実施例1において、第二電荷輸送層のポリアリレート樹脂をポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ400、三菱ガス化学社製)に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0096】
(実施例10)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、下記式で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質(重量平均分子量(Mw):4000)に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0097】
【外12】
【0098】
(実施例11)
実施例8において、第二電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質の量を、6部に変更した以外は、実施例8と同様に電子写真感光体を作製した。
【0099】
(比較例1)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0100】
【外13】
【0101】
(比較例2)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0102】
【外14】
【0103】
(比較例3)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、下記式で示される構造を有する電荷輸送物質に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0104】
【外15】
【0105】
(比較例4)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、上記式(CT−1)で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質(重量平均分子量(Mw):1300)に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0106】
(比較例5)
実施例1において、第一電荷輸送層の高分子量電荷輸送物質を、上記式(CT−1)で示される繰り返し構造単位を有する高分子量電荷輸送物質(重量平均分子量(Mw):22000)に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0107】
(評価)
実施例1〜11および比較例1〜5で得られた電子写真感光体を以下の方法で評価した。
【0108】
レーザービームプリンター(商品名:LBP−4000、キヤノン(株)製)を光量可変にした改造機にて、現像位置に電位測定装置がくるようにカートリッジの改造を行い、明部電位(VL)測定を可能にした。
【0109】
さらに、一次帯電手段を、外部電源から帯電部材への電圧印加が可能になるように改造を行い定電圧制御とした。
【0110】
作製した電子写真感光体を、この装置で32℃/86%RH(高温高湿:HH)の環境で通紙耐久試験を行った。
【0111】
耐久は、一枚通紙ごとにドラムが一度停止するモードとし、初期と10000枚時点での電位および耐久でのカブリが起こる限界値を確認した。
【0112】
さらに、電子写真感光体の一部に、3000lx/25分間の白色蛍光灯の光を照射し、5分間放置後の明部電位(VL)を測定し、光を照射する前から明部電位がどれだけ下がったかを測定して、その測定値をフォトメモリー値とした。
【0113】
さらに、ソルベントクラック性として、表面に指脂を付着させて84時間放置し、顕微鏡観察によりソルベントクラックの有無を観察した。
【0114】
評価結果を表1に示す。
【0115】
【表1】
【0116】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の電子写真感光体表面層(電荷輸送層)が有していた問題点を解決し、高感度を維持しつつ、耐摩耗性の向上を図り、かつ、耐久安定性、メモリー特性、ソルベントクラック性に優れた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体を有する電子写真装置の概略図である。
【図2】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備える電子写真装置の概略図である。
【図3】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備える別の電子写真装置の概略図である。
【図4】本発明の電子写真感光体などを有するプロセスカートリッジと、現像手段などを有するプロセスカートリッジとを備える電子写真装置の概略図である。
【図5】本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 電子写真感光体
1a 軸
2 (一次)帯電手段(コロナ帯電手段)
3 露光部
4 現像手段
5 転写手段(コロナ帯電転写手段)
6 クリーニング手段
7 前露光手段
8 定着手段
9 転写材
10 接触帯電手段
12 案内手段
20,21,22 容器
23 接触帯電転写手段
L 露光光
31 第二電荷輸送層
32 第一電荷輸送層
33 電荷発生層
34 支持体
Claims (9)
- 支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、
該電荷輸送層が、支持体側から第一電荷輸送層と第二電荷輸送層をこの順に有し、
該第一電荷輸送層が、重量平均分子量(Mw)が1500以上20000以下の高分子量電荷輸送物質を含有する
ことを特徴とする電子写真感光体。 - 前記第二電荷輸送層中の電荷輸送物質の濃度が、前記第一電荷輸送層中の電荷輸送物質の濃度よりも低く、かつ、前記第二電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量が、前記第二電荷輸送層中の結着樹脂に対して30質量%以下である請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記高分子量電荷輸送物質が、下記式(1)で示される繰り返し構造単位を3つ以上有する重合体である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
【外1】
(式(1)中、Ar11、Ar12は、それぞれ独立に、下記式(21)または下記式(22)で示される構造を有する2価の基を示す。ただし、Ar11とAr12とは互いに異なる2価の基である。Ar13、Ar14は、それぞれ独立に、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。
【外2】
【外3】
(式(21)、(22)中、Ar21、Ar22は、それぞれ独立に、置換または無置換の3価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の3価の芳香族複素環基を示す。Ar23、Ar24は、それぞれ独立に、置換または無置換の2価の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の2価の芳香族複素環基を示す。X21、X22は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のシロキサン基、置換または無置換のシリレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子、硫黄原子、または、単結合を示す。Y21は、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアミノ基、置換または無置換のアゾ基、置換または無置換のスルホニル基、酸素原子、または、硫黄原子を示す。)) - 前記高分子量電荷輸送物質が、下記式(3)で示される繰り返し構造単位を3つ以上有する重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
【外4】
(式(3)中、R301〜R316は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基、または、置換または無置換のアミノ基を示す。また、R302とR305、R310とR313は、結合して環を形成してもよく、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のアミノ基、アゾ基、スルホニル基、酸素原子および硫黄原子を介して環を形成してもよい。X31、X32は、それぞれ独立に、置換または無置換のアルキレン基、置換または無置換のシロキサン基、置換または無置換のシリレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子、硫黄原子、または、単結合を示す。Ar33、Ar34は、それぞれ独立に、置換または無置換の芳香族炭化水素環基、または、置換または無置換の芳香族複素環基を示す。 - 前記第二電荷輸送層が前記電子写真感光体の表面層である請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記第二電荷輸送層が熱可塑性樹脂を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記熱可塑性樹脂がポリアリレート樹脂である請求項6に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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2002
- 2002-08-30 JP JP2002253613A patent/JP2004093794A/ja not_active Withdrawn
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