JP2008203528A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、高感度で、繰り返し安定性に優れ、かつフォトメモリーを生じない電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、支持体上の感光層に特定構造を有するポリアリレート樹脂および高分子電荷輸送材料を含有することを特徴とする電子写真感光体、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置である。
【選択図】 なし

Description

本発明は電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置に関し、詳しくは、高分子電荷輸送材料および特定の構造を有する樹脂バインダーを感光層中に含有する電子写真感光体、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
電子写真技術に用いられる感光体において、近年その光導電性材料として、容易に成膜ができること、低コストで安定な生産が可能であること、等の利点から有機材料を用いた有機感光体が実用化され、現在もなお盛んな研究開発が行われている。有機感光体の中でも、電荷発生層、電荷輸送層を積層した機能分離型の有機感光体は、良好な電子写真特性を示すこと、さらに各層に関して幅広い有機材料の中から適した材料を選択することができることから、主流となって実用化されるに至った。しかし、電子写真用有機感光体としての高感度化、繰り返し使用時における画像の安定性、および電気的劣化、機械的劣化に対する耐久性について、更なる改善が望まれている。
電気的な劣化については、光が照射された部分にキャリアーが滞留し、光が照射されていない部分と電位差を生じ、画像再現性を悪化させる原因になるフォトメモリーについて、改善が必要である。
また、機械的劣化に対する耐久性の向上に関しては、従来、電子写真感光体の表面層用の結着樹脂として、使用してきたポリカーボネート樹脂に替えて、ポリカーボネート樹脂よりも機械的強度が高いポリアリレート樹脂を使用することで、電子写真感光体の耐久性を向上させる提案がなされている(特許文献1など)。ポリアリレート樹脂は、芳香族ジカルボン酸ポリエステル樹脂の1種である。
さらに、より高強度なポリアリレート樹脂として、ポリアリレート樹脂のジカルボン酸構造にジフェニルエーテルジカルボン酸構造を導入したポリアリレート樹脂の提案がなされており(特許文献2)、耐久性の高い電子写真感光体が得られてきている。
しかしながら、耐久性に優れた樹脂を使用したとしても、低分子量の電荷輸送材料を混合して用いる場合には、膜強度が低下してしまうため、耐摩耗、耐キズ性の観点で必ずしも十分な耐久性が得られていない。
この欠点を補う目的で、高分子電荷輸送材料の使用が提案されている(特許文献3)が、高分子電荷輸送材料を結着樹脂に混合して用いる場合は、相溶性の点で不十分な場合が多く、感度の低下やフォトメモリーの原因となる場合がある。
特許公報 特開平10−039521号公報 特許公報 特開平10−020514号公報 特許公報 WO99/32537 大有機化学、vol.16、52(1959)朝倉書店 有機化学講座3、66(1983)丸善 Tetrahedron Letters,Vol.36,No.21,3609(1995) J.AM.Chem.Soc.Vol.120,9722(1998)
本発明の目的は、上述のごとき問題点を解決し、高感度で、長期繰り返し使用時において良好で安定した電子写真特性を有し、かつ、フォトメモリーを生じることのない電子写真感光体を提供することである。
すなわち、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、感光層が支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した層を有しており、かつ電荷輸送層が下記一般式(1)で示されるポリアリレート樹脂および下記一般式(3)で示される構造単位を有する高分子電荷輸送材料を含有することを特徴とする電子写真感光体である。
Figure 2008203528
(式中、R11〜R28は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子、または、下記式(2)で示される構造を有する2価の基を示す。
Figure 2008203528
式(2)中、R31およびR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フッ化アルキル基、アルコキシ基、または、アリール基を示す、あるいは、R31とR32とが結合して形成されるシクロアルキリデン基、または、フルオレニリデン基を示す。)
Figure 2008203528
(式(3)中、Ar11はフェニレン基以外の置換または非置換の2価の芳香族基または複素環基を表す。Ar12は置換または非置換の芳香族基または複素環基を示す。)
高分子電荷輸送材料を熱可塑性樹脂である結着樹脂に混合して用いる場合には、高分子電荷輸送材料と結着樹脂との相溶性が不十分で、高分子電荷輸送材料がミクロドメインを形成して白濁膜となる場合が多く、残留電位の上昇やフォトメモリーの原因となるが、本願発明のポリアリレート樹脂および高分子電荷輸送材料を組み合わせた場合には、ミクロドメインの形成がなく、良好な相溶性が得られ、感度の低下やフォトメモリーのない電子写真特性に優れた電子写真感光体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
本発明によれば、耐久性が高く、高感度で、繰り返し使用時の電位安定性に優れ、かつ、フォトメモリーを生じない電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
本発明の電子写真感光体は、上述のとおり、導電性支持体上に、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層する電子写真感光体において、電荷輸送層が少なくとも下記式(1)で示される構造単位を含有するポリアリレート樹脂、および下記式(3)で示される構造単位を有する高分子電荷輸送材料を含有することを特徴とする。
Figure 2008203528
(式中、R11〜R28は、それぞれ独立に水素、炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、炭素数1〜3のアルコキシ基を示す。Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子、または、下記式(2)で示される構造を有する2価の基を示す。
Figure 2008203528
式(2)中、R31およびR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フッ化アルキル基、アルコキシ基、または、アリール基を示す、あるいは、R31とR32とが結合して形成されるシクロアルキリデン基、または、フルオレニリデン基を示す。)
Figure 2008203528
(式(3)中、Ar11はフェニレン基以外の置換または非置換の2価の芳香族基または複素環基を表す。Ar12は置換または非置換の芳香族基または複素環基を示す。)
上記式(1)中のR11〜R28のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられるが、これらの中でも、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、フェニル基が好ましい。
上記式(2)中のR31およびR32のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられ、フッ化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基などが挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられるが、これらの中でも、メチル基が好ましい。
また、上記式(2)中のR31とR32とが結合して形成されるシクロアルキリデン基としては、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基などが挙げられるが、これらの中でも、シクロヘキシリデン基が好ましい。
上記式(3)中のAr11の2価の芳香族基としては、ナフタレン、アントラセン、ペリレン、フルオレン、ビフェニル、ターフェニルなどの芳香環より2個の水素原子をとった2価の芳香環基が挙げられ、複素環基としては、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、キノリン、フェナジン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、カルバゾールなどの複素環より2個の水素原子をとった2価の複素環基が挙げられる。
上記式(3)中のAr12の芳香族基としては、ナフタレン、アントラセン、ペリレン、フルオレン、ビフェニル、ターフェニルなどの芳香環より1個の水素原子をとった1価の芳香環基が挙げられ、複素環基としては、カルバゾール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、キノリン、フェナジン、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、カルバゾールなどの複素環より1個の水素原子をとった1価の複素環基が挙げられる。
また、Ar11、Ar12は置換基を有していても良く、有してもよい置換基としては、メチル、エチル、プロピル及びブチルなどのアルキル基;メトキシ、エトキシ及びプロポキシなどのアルコキシ基;またはフッ素、塩素及び臭素等のハロゲン原子などが挙げられる。
また、本発明に用いられる一般式(3)の高分子電荷輸送材料は、式(3)で示される構造の異なる基本ユニットを同時に複数有していても良く、高分子構造としては、ホモ重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体のいずれの形態をとっても良い。
以下に、上記式(1)で示される繰り返し構造単位の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008203528
Figure 2008203528
Figure 2008203528
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層に用いられる上記式(1)で示される繰り返し構造式を有するポリアリレート樹脂は、上記式(1)で示される繰り返し構造式と、上記式(1)のなかで選択された繰り返し構造式と異なる上記式(1)で示される繰り返し構造単位、あるいは他の2価のカルボン酸と2価の有機残基よりなる繰り返し構造単位との共重合としても使用可能である。その際、重合形態はブロック共重合、ランダム共重合といった重合形態でもよく任意であるが、ランダム共重合形態が好ましい。
また、本発明中での、上記式(1)で示される繰り返し構造式と、上記式(1)のなかで選択された繰り返し構造式と異なる上記式(1)で示される繰り返し構造単位、あるいは他の2価のカルボン酸と2価の有機残基よりなる繰り返し構造単位を有する共重合ポリアリレート樹脂のモル比換算での共重合比がA:Bという記載は、上記式(1)に示されるジカルボン酸エステル部位を(1−C)、ビスフェノール部位を(1−B)、上記式(1)のなかで選択された繰り返し構造式と異なる上記式(1)で示される繰り返し構造単位、あるいは他の2価のカルボン酸と2価の有機残基よりなる繰り返し構造単位に示されるジカルボン酸エステル部位を(3−C)、ビスフェノール部位を(3−B)とした場合、モル比換算でのジカルボン酸エステル部位(1−C):(3−C)がモル比換算A:Bであり、モル比換算でのビスフェノール部位(1−B):(3−B)がモル比A:Bであることを示している。
上記、他の2価のカルボン酸と2価の有機残基よりなる繰り返し構造単位に用いられる2価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸といった芳香族二価カルボン酸類、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカニ酸といった直鎖脂肪族二価カルボン酸類、シクロへキシレンジカルボン酸といった環状脂肪族二価カルボン酸類などが挙げられるが、なかでもテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸が好ましい。2価の有機残基としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)や2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)といったビスフェノール類、4,4‘−ヒドロキシビフェニルといったビフェノール類などが挙げられる。他の2価のカルボン酸と2価の有機残基よりなる繰り返し構造単位の構造例を示す。
Figure 2008203528
Figure 2008203528
Figure 2008203528
Figure 2008203528
Figure 2008203528
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本発明の電子写真感光体の電荷輸送層に用いられる上記式(1)で示される繰り返し構造式を有するポリアリレート樹脂は、機械的強度の点で、重量平均分子量が100,000以上であることが好ましい。
一方、上記式(1)で示される繰り返し構造式で示される繰り返し構造式を有するポリアリレート樹脂の分子量が大きすぎると、これを含有する塗布液の塗布性が悪くなる場合があるため、上記式(1)で示される繰り返し構造式で示される繰り返し構造式を有するポリアリレート樹脂の重量平均分子量は300,000以下であることが好ましく、特には200,000以下であることがより好ましい。
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層に用いられる上記式(1)で示される繰り返し構造式を有するポリアリレート樹脂は、ジカルボン酸エステルと水酸基を有する化合物とのエステル交換法によって合成することが可能であり、また、ジカルボン酸ハライドなどの2価の酸ハロゲン化物とビスフェノールなどの水酸基を有する化合物との重合反応によっても合成することも可能であるが、重量平均分子量が上記範囲のものを製造するには、後者の合成方法によって合成することが好ましい。
(合成例1)
以下に、合成例として、ポリアリレート樹脂中の全構成単位中、モル比換算で100%が上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位であるポリアリレート樹脂の合成方法を示す。
下記式(1−2−1)
Figure 2008203528
で示される構造を有するジフェニルエーテルジカルボン酸クロライドを、ジクロロメタンに溶解させ、酸クロライド溶液を調製した。
また、上記酸クロライド溶液とは別に、下記式(1−2−2)
Figure 2008203528
で示される構造を有する2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを10%水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、これに、重合触媒としてトリブチルベンジルアンモニウムクロライドを添加して攪拌し、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン溶液を調製した。
次に、酸クロライド溶液を2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン溶液に攪拌しながら加え、重合を開始した。重合は、反応温度を25℃以下に保ち、攪拌しながら、3時間行った。
その後、酢酸の添加により重合反応を終了させ、水相が中性になるまで水での洗浄を繰り返した。
洗浄後、攪拌下のメタノールに滴下して、重合物を沈殿させ、この重合物を真空乾燥させて、上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位であるポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、重量平均分子量(Mw)と記載する)は、130000であった。また、分子量分布(Mw/Mn)は3.0であった。
(合成例2)
以下に、合成例として、ポリアリレート樹脂中の全構成単位中、モル比換算で70%が上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位であり、30%が上記式(3−9)で示される繰り返し単位であるポリアリレート樹脂の合成方法を示す。
下記式(1−2−1)
Figure 2008203528
で示される構造を有するジフェニルエーテルジカルボン酸クロライドと、下記式(3−9−1)
Figure 2008203528
で示されるテレフタル酸クロライドをモル比7:3で混合し、ジクロロメタンに溶解させ、ジフェニルエーテルジカルボン酸クロライドとテレフタル酸クロライド混合溶液を調製した。
また、上記酸クロライド溶液とは別に、下記式(1−2−2)
Figure 2008203528
で示される構造を有する2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンと、下記式(3−9−2)
Figure 2008203528
で示されるテトラメチルビフェノールをモル比7:3で混合し、10%水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、これに、重合触媒としてトリブチルベンジルアンモニウムクロライドを添加して攪拌し、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンとテトラメチルビフェノール混合溶液を調製した。
次に、酸クロライド溶液を2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンとテトラメチルビフェノール混合溶液に攪拌しながら加え、重合を開始した。重合は、反応温度を25℃以下に保ち、攪拌しながら、3時間行った。
その後、酢酸の添加により重合反応を終了させ、水相が中性になるまで水での洗浄を繰り返した。
洗浄後、攪拌下のメタノールに滴下して、重合物を沈殿させ、この重合物を真空乾燥させて、ポリアリレート樹脂中の全構成単位中、モル比換算で70%が上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位であり、30%が上記式(3−9)で示される繰り返し単位であるポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、重量平均分子量(Mw)と記載する)は、130000であった。
また、分子量分布(Mw/Mn)は、3.0であった。
(合成例3)
以下に、合成例として、ポリアリレート樹脂中の全構成単位中、モル比換算で70%が上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位であり、30%が上記式(3−13)で示される繰り返し単位であるポリアリレート樹脂の合成方法を示す。
下記式(1−2−1)
Figure 2008203528
で示される構造を有するジフェニルエーテルジカルボン酸クロライドと、下記式(3−13−1)
Figure 2008203528
で示されるイソフタル酸クロライドをモル比7:3で混合し、ジクロロメタンに溶解させ、ジフェニルエーテルジカルボン酸クロライドとイソフタル酸クロライド混合溶液を調製した。
また、上記酸クロライド溶液とは別に、下記式(1−2−2)
Figure 2008203528
で示される構造を有する2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを10%水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、これに、重合触媒としてトリブチルベンジルアンモニウムクロライドを添加して攪拌し、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン溶液を調製した。
次に、酸クロライド溶液を2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン溶液に攪拌しながら加え、重合を開始した。重合は、反応温度を25℃以下に保ち、攪拌しながら、3時間行った。
その後、酢酸の添加により重合反応を終了させ、水相が中性になるまで水での洗浄を繰り返した。
洗浄後、攪拌下のメタノールに滴下して、重合物を沈殿させ、この重合物を真空乾燥させて、ポリアリレート樹脂中の全構成単位中、モル比換算で70%が上記式(1−2)で示される繰り返し構造単位であり、30%が上記式(3−13)で示される繰り返し単位であるポリアリレート樹脂を得た。このポリアリレート樹脂のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、重量平均分子量(Mw)と記載する)は、120000であった。また、分子量分布(Mw/Mn)は、3.2であった。
次に、上記式(3)で示される繰り返し構造単位の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008203528
Figure 2008203528
Figure 2008203528
Figure 2008203528
Figure 2008203528






Figure 2008203528
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層に用いられる上記式(3)で示される繰り返し構造式を有する高分子電荷輸送材料は、上記式(3)で示される繰り返し構造式と、上記式(3)のなかで選択された繰り返し構造式と異なる上記式(3)で示される繰り返し構造単位との共重合としても使用可能である。その際、重合形態はブロック共重合、ランダム共重合、交互共重合のいずれの重合形態でもよい。
本発明の電子写真感光体の電荷輸送層に用いられる上記式(3)で示される繰り返し構造式を有する電荷輸送材料は、電荷輸送層とした時の機械的強度の点で、重量平均分子量が1500以上であることが好ましい。
一方、上記式(3)で示される繰り返し構造式で示される繰り返し構造式を有する電荷輸送材料の分子量が大きすぎると、電荷輸送層に用いるバインダー樹脂との相溶性が悪くなるため、上記式(3)で示される繰り返し構造式で示される繰り返し構造式を有する電荷輸送材料の重量平均分子量は9000以下であることが好ましい。
本発明の電荷輸送層に用いられる上記式(3)で示される高分子電荷輸送材料は、ジハロゲン化芳香族化合物(またはジハロゲン化複素環化合物)と芳香環上に置換基を有していても良いアニリン化合物またはN,N'−ジフェニルベンジジン化合物とのカップリング反応によって合成される。合成に用いられるカップリング反応の例としては、Ullmann反応(非特許文献1、2)やパラジウム化合物を触媒に用いた方法(非特許文献3)などが挙げられる。
(合成例4)
以下に、合成例として、繰り返し構成単位(CT-2)の単独重合体である高分子電荷輸送材料の合成方法を示す。
4,4’-ジブロモビフェニル3.74g(0.012mol)と3-メチルアニリン1.07g(0.01mol)をo−キシレン20mlに溶解し、酢酸パラジウム10mgと、2−(ジtert−ブチルホスフィノ)ビフェニル55mg、t−ブトキシナトリウム(NaO(t−Bu))1.34g(0.014mol)を加え、1時間加熱還流を行った。次いで、4-ブロモトルエンを加えて、さらに1時間加熱還流を行った。
放冷後、触媒を除き、アセトンに注ぎ黄色の固体を得た。
さらに、得られた固体を再びトルエンに溶解し、活性炭処理、カラムクロマト、再沈殿により精製を行い、淡黄色固体2.1gを得た。
この淡黄色固体は後述の(CTP-1)である。
この高分子電荷輸送材料の重量平均分子量をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定したところ、3400であった。
(合成例5)
以下に、合成例として、繰り返し構成単位(CT-1)と(CT-41)の交互共重合体である高分子電荷輸送材料の合成方法を示す。
2,8−ジブロモジベンゾフラン3.25g(0.01mol)とN,N’−ジ(4−メチルフェニル)ベンジジン3.64g(0.01mol)を乾燥o−キシレン20mlに溶解し、酢酸パラジウム10mgと2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル55mgおよびt−ブトキシナトリウム1.34gを加えて、1時間加熱還流を行い、さらに4−ブロモトルエン0.5gを加え、1時間加熱還流を行った。
放冷後、触媒を除き、アセトンに注ぎ、黄色の固体を得た。
さらに、得られた固体を再びトルエンに溶解し、活性炭処理、カラムクロマト、再沈殿により精製を行い、淡黄色固体2.8gを得た。
この淡黄色の固体は、後述の(CTP−3)である。
この高分子電荷輸送材料の重量平均分子量をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定したところ、4200であった。
(合成例6)
以下に、合成例として、繰り返し構成単位(CT-1)と(CT-51)のランダム共重合体である高分子電荷輸送材料の合成方法を示す。
4,4’-ジヨードビフェニル3.12g(0.01mol)、2,8−ジヨードジベンゾチオフェン4.36g(0.01mol)および4−メチルアニリン2.14g(0.02mol)をo−ジクロロベンゼン10mlに溶解し、銅粉3.1gと炭酸カリウム3.8gを加えて、12時間加熱還流を行った。
放冷後、触媒を除き、アセトンに注ぎ、黄色の固体を得た。
さらに、得られた固体を再びトルエンに溶解し、活性炭処理、カラムクロマト、再沈殿により精製を行い、淡黄色固体4.4gを得た。
この淡黄色の固体は、後述の(CTP−4)である。
この高分子電荷輸送材料の重量平均分子量をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定したところ、3800であった。
(合成例4)〜(合成例6)の方法と同様の方法で、(CTP4)〜(CTP15)を合成した。
前記一般式(3)で、Ar11に相当する構造が異なる2種類の繰り返し構造単位を有するランダム共重合体型の高分子電荷輸送材料を合成する場合は、(合成例6)のように、原料となるジハロゲン化芳香族化合物(またはジハロゲン化複素環化合物)を2種類用いて、所望の共重合比となるように原料の比を調整した。
また、前記一般式(3)で、Ar12に相当する構造が異なる2種類の繰り返し構造単位を有するランダム共重合体型の高分子電荷輸送材料を合成する場合は、(合成例6)でジハロゲン化芳香族化合物を2種類用いる替わりに、アニリン化合物を2種類用いて、所望の共重合比となるように原料の比を調整した。
さらに、3種類の繰り返し構造単位を有するランダム共重合体の場合は、原料のジハロゲン化芳香族化合物(またはジハロゲン化複素環化合物)またはアニリン化合物を3種類用いた。
(CTP1)〜(CTP15)の構成単位、組成比、重合形態および重量平均分子量を表1.に示す。
Figure 2008203528
本発明において、樹脂および高分子電荷輸送材料の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、常法に従い、以下のようにして測定されたものである。
すなわち、測定対象樹脂をテトラヒドロフラン中に入れ、数時間放置した後、振盪しながら測定対象樹脂とテトラヒドロフランとをよく混合し(測定対象樹脂の合一体がなくなるまで混合し)、さらに12時間以上静置した。
その後、東ソー(株)製のサンプル処理フィルターマイショリディスク(登録商標)H−25−5を通過させたものをGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)用試料とした。
次に、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフランを毎分1mlの流速で流し、GPC用試料を10μl注入して、測定対象樹脂の重量平均分子量および数平均分子量を測定した。カラムには、東ソー(株)製のカラムTSKgel(登録商標) SuperHM−Mを用いた。
測定対象樹脂の重量平均分子量および数平均分子量の測定にあたっては、測定対象樹脂が有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料には、アルドリッチ社製の単分散ポリスチレンの分子量が、3500、12000、40000、75000、98000、120000、240000、500000、800000、1800000のものを10点用いた。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
樹脂の分子量分布Mw/Mnは、上記の方法で測定した重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の値から、算出した。
本発明の樹脂で共重合である樹脂の共重合比の確認は、一般的な手法である樹脂の1H−NMR測定による樹脂を構成している水素原子のピーク面積比による換算法を行うことで共重合比の確認を行っている。
以下、本発明に用いる電子写真感光体の構成について説明する。
本発明の電子写真感光体の感光層は、導電性支持体上に電荷発生物質と電荷輸送物質とを含有する単層感光体、あるいは、導電性支持体上に電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層をこの順に積層してなる機能分離型の積層感光体のどちらとしても使用することができるが、機能分離型の積層感光体がより好ましい。
本発明の電子写真感光体に用いる支持体としては、導電性を有するものであればいずれのものでもよく、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレスなどの金属をドラムまたはシート状に成型したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに蒸着したものなどが挙げられる。
LBPなどのように画像入力がレーザー光の場合は、散乱による干渉縞防止、または、支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これは、カーボンブラック、金属粒子などの導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。
導電層の膜厚は、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
また、支持体または導電層の上に、接着機能を有する中間層を設けてもよい。
中間層の材料としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタンなどが挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。
中間層の膜厚は、0.05〜5μmが好ましく、0.3〜1μmがより好ましい。
電荷発生層は、電荷発生物質を0.3〜4倍量の結着樹脂および溶剤とともにホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライタ(登録商標)、ロールミルおよび液衝突型高速分散機などの方法でよく分散し、分散液を塗布、乾燥させて形成される。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、通常知られているものが使用可能であり、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アンスラキノン、ピレンキノン、ジベンズピレンキノンなどの多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、キノシアニンなどのシアニン染料や、アントアントロン顔料や、ピラントロン顔料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
電荷発生層の膜厚は、5μm以下が好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
電荷輸送層には、結着樹脂として、少なくとも、上記式(1)で示される繰り返し構造式を有するポリアリレート樹脂を用いる。本発明の効果を損なわない範囲で、以下に例示する他の樹脂を併用することもできるが、その場合は、電荷輸送層における上記式(1)で示される繰り返し構造式を有するポリアリレート樹脂の割合は、電荷輸送層に含有される結着樹脂の全質量に対して50質量%以上であることが好ましい。さらには70重量%以上であることが好ましい。併用可能な樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。特には、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送層には、電荷輸送材料として、少なくとも、上記式(3)で示される高分子電荷輸送材料を用いる。
本発明の効果を損なわない範囲で、以下に例示する電荷輸送材料を併用することもできるが、上記式(3)で示される高分子電荷輸送材料の割合が50%以上であることが好ましい。さらには、70%以上であることがより好ましい。併用可能な電荷輸送材料としては、例えば、分子量1000以下のトリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物などが挙げられる。
電荷輸送層は、電荷輸送材料および結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。電荷輸送材料と結着樹脂との割合は、2:1〜1:3(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜35μmであることがより好ましい。
電荷輸送層が電子写真感光体の表面層である場合、必要に応じて、潤滑剤や微粒子を使用してもよい。潤滑剤あるいは微粒子としては、ポリテトラフルオロエチレン微粒子、ポリスチレン微粒子といった樹脂微粒子、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化スズ微粒子といった金属酸化物微粒子、およびそれら微粒子に表面処理を施した微粒子、ステアリン酸亜鉛といった固体潤滑剤、アルキル基により置換されたシリコーン、フッ化アルキル基を有する脂肪族系オイル、ワニスなどが挙げられる。
また、電子写真感光体の表面層として、感光層を保護するための層、すなわち、保護層を感光層上に別途設けてもよい。
保護層に使用する樹脂としては、高分子量の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が好ましく、さらには、高分子量ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂がより好ましい。また、残留電位の低減あるいは膜強度の向上を目的として、導電性粒子や潤滑剤を含有させてもよい。
保護層の成膜方法は、熱、光あるいは電子線での硬化が可能であり、必要に応じて重合開始剤や添加化合物を含有してもよい。
電子写真感光体の各層の形成工程において、使用する溶剤としては、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、単独で用いても複数の溶剤を用いてもよい。
また、上記塗布の方法としては、浸漬塗布法、スプレー塗布法、バーコート法など通常知られている方法が使用できる。
次に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置について説明する。
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
図1に接触帯電方式の電子写真装置の一例を示した。本例は転写式複写機もしくはプリンターである。
1は電子写真感光体でドラム型のものである。この電子写真感光体1は矢印Aの時計方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
2は帯電手段としての接触帯電部材である帯電ローラである。この帯電ローラ2は該帯電ローラに圧設した感光体1の回転に従動して回転し、バイアス電源2AからDC電圧が印加される。この帯電ローラ2により感光体1の周面が所定の極性・電位にかつ一様に接触帯電方式で帯電処理される。
その感光体1の帯電処理面に不図示の露光手段(原稿像の結像露光手段、レーザービームスキャナなど)により目的画像情報の露光3が照射されて感光体1の面に目的画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。
その形成静電潜像は現像器4の荷電粒子(トナー)5で正規現像または反転現像により可転写粒子像(トナー像)5aとして顕画化される。
次いでそのトナー像は感光体1と該感光体に圧設している転写手段としての転写ローラ7とのニップ部(転写部)に給紙カセット9から給紙ローラ10およびレジストローラ11により所定のタイミングで一枚ずつ給送された用紙6に被転写粒子5bが付着する。転写ローラ7にはバイアス電源7Aからトナー5の保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加されている。
トナー像転写を受けた用紙6は感光体1の面から分離されて不図示の定着手段へ搬送されてトナー像の定着処理を受ける。
トナー像転写後の感光体1面はクリーナー(クリーニング装置)8により転写残りトナーなどの付着汚染物の除去を受けて洗浄面化されて繰返して作像に供される。
尚、複数の感光体、帯電ローラおよび現像装置を有する、接触帯電方式のフルカラー電子写真装置の例を図2に示す。このフルカラー電子写真装置は各色のトナー(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を収容した図1と同様のプロセスカートリッジを縦置きに並列に配列し、それぞれの転写手段によって順次転写を行い、最後に定着を行うタンデム型と呼ばれるカラー電子写真装置である。20K、20C、20M、20Yは各色プロセスカートリッジ、21K、21C、21M、21Yは電子写真感光体、22K、22C、22M、22Yは帯電ローラ、23は転写ローラ、24は紙搬送ベルト、25はレーザー光源、26はトナー、27は定着器、28は給紙ローラである。
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンターおよびレーザー製版など電子写真応用分野にも広く用いることができる。
以下に本発明の感光層の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
直径30mm、長さ260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体とした。
次に、SnOコート処理硫酸バリウム(導電性粒子)10部、酸化チタン(抵抗調節用顔料)2部、フェノール樹脂(結着樹脂)6部、シリコーンオイル(レベリング剤)0.001部およびメタノール4部/メトキシプロパノール16部の混合溶剤を用いて導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、30分間140℃で熱硬化させることによって、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶剤に溶解させることによって、中間層用塗布液を調製した。
この中間層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.7μmの中間層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン(電荷発生物質)10部をシクロヘキサノン250部にポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレック(登録商標)BX−1.積水化学工業(株)製)5部を溶解させた液に加え、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下1時間分散し、分散後、酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を中間層上に浸漬塗布し、10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.26μmの電荷発生層を形成した。
次に、上記(CTP-1)で示された電荷輸送材料8部、および結着樹脂として、上記式(1−1)で示される繰り返し構造単位を有するポリアリレート樹脂(Mw:70000)10部とを、モノクロロベンゼン100部に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。これを電荷発生層上に浸漬法で塗布し、120℃、1時間乾燥して、膜厚が16μm(中心付近)の電荷輸送層を形成した。
このようにして、各実施例の電子写真感光体を作製した。
次に評価法について説明する。
作製した電子写真感光体の評価は以下に従って実施した。
評価装置としては、キヤノン(株)製レーザービームプリンターLBP−2510(帯電(一次帯電):接触帯電方式、プロセススピード:94.2mm/s)を、電子写真感光体の帯電電位(暗部電位)を調整できるように改造して用いた。
評価は、室温20℃、湿度40%の環境下で行った。
評価装置の780nmのレーザー光源の露光量(画像露光量)については、電子写真感光体表面での光量が0.25μJ/cmとなるように設定した。
電子写真感光体の表面電位(暗部電位および明部電位)の測定は、電子写真感光体の端部から130mmの位置に電位測定用プローブが位置するように固定された冶具と現像器とを交換して、現像器位置で行った。
電子写真感光体の非露光部の暗部電位(VD)が−480Vとなるように設定し、レーザー光を照射して暗部電位(VD)から光減衰させた明部電位(VL)を評価した。
また、A4サイズの普通紙を用いて1枚画像出力を行うごとに1度停止する間欠モードにて5000枚の画像出力を行い、5000枚の画像出力後の明部電位(VL)について評価を行った。
また、電子写真感光体の一部に3000Lux、25分間の白色蛍光灯の光を当て5分間放置後、明部電位を測定し、光を当てる前から明部電位がどれだけ下がったを測定することで、フォトメモリーの評価とした。
結果を表2に示す。
(実施例2〜実施例30)
電荷輸送層において、電荷輸送材料および結着樹脂に表2で示したものを用いた以外は実施例1と同様に感光体を作製し、同様の評価を行なった。結果を表3に示す。
Figure 2008203528
(比較例1〜4)
実施例2、10、13、24において、電荷輸送層の結着樹脂を下記(B-2)のものに替えた以外は実施例2、10、13、24と同様に感光体を作製し、同様の評価を行なった。結果を表4に示す。
Figure 2008203528
Figure 2008203528
Figure 2008203528
*比較例1〜4の感光体の電荷輸送層は、白濁した膜となった。
実施例と比較例を比較すると、本発明における感光体に対して、樹脂バインダーを変更した実施例1〜4の感光体では、電荷輸送材料と樹脂バインダーの相溶性が低く、白濁した電荷輸送層となった。この比較例1〜4の感光体は、初期の感度が悪く、耐久後のVl変動が大きくなったばかりでなく、フォトメモリーの値も大幅に増加する結果となった。
すなわち、本発明に使用される高分子電荷輸送材料は、特定構造を有する本発明に使用される樹脂バインダーを使用した場合に、高い相溶性を示し、感光体とした場合に、長期使用時における電位変動を低減させる効果およびフォトメモリーを低減する効果を発現したものと思われる。
従って、本発明の感光体を使用することにより、初期使用時と繰り返し使用時での濃度変化をすることのなく、フォトメモリーによる画像劣化のない画像を長期にわたって提供することが可能になった。
接触帯電方式のプロセスカートリッジおよび電子写真装置の一例を示す図である。 フルカラー接触帯電方式の電子写真装置の一例を示す図である。図1で示したプロセスカートリッジを下からイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順に縦型にタイデム式に並列した方式である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 帯電ローラ
2A バイアス電源
3 露光
4 現像器
5 荷電粒子(トナー)
5a 可転写粒子像(トナー像)
5b 被転写粒子
6 用紙
7 転写ローラ
7A バイアス電源
8 クリーナー(クリーニング装置)
9 給紙カセット
10 給紙ローラ
11 レジストローラ
20K、20C、20M、20Y 各色プロセスカートリッジ
21K、21C、21M、21Y 電子写真感光体
22K、22C、22M、22Y 帯電ローラ
23 転写ローラ
24 紙搬送ベルト
25 レーザー光源
26 トナー
27 定着器
28 給紙ローラ

Claims (6)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が下記一般式(1)で示される構造単位を有するポリアリレート樹脂および一般式(3)で示される構造単位を有する高分子電荷輸送材料を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2008203528
    (上記式(1)中のR11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28は、それぞれ独立に水素、炭素数1から4のアルキル基、アリール基、炭素数1から3のアルコキシ基を示す。Xは、単結合、酸素原子、硫黄原子、または、下記式(2)で示される構造を有する2価の基を示す。
    Figure 2008203528
    式(2)中、R31およびR32は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フッ化アルキル基、アルコキシ基、または、アリール基を示す、あるいは、R31とR32とが結合して形成されるシクロアルキリデン基、または、フルオレニリデン基を示す。)
    Figure 2008203528
    (式(3)中、Ar11はフェニレン基以外の置換または非置換の2価の芳香族基、または複素環基を表す。Ar12は置換または非置換の芳香族基または複素環基を示す。)
  2. 前記ポリアリレート樹脂の重量平均分子量(Mw1)が、100,000≦Mw1≦300,000であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 前記ポリアリレート樹脂の重量平均分子量(Mw1)と数平均分子量(Mn1)との比(Mw1/Mn1)が、Mw1/Mn1≦3.5である請求項1または請求項2記載の電子写真感光体。
  4. 前記高分子電荷輸送材料の重量平均分子量(Mw2)が、1,500≦Mw2≦9,000である請求項1乃至請求項3記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1乃至4いずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも一つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 請求項1乃至4いずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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