JP4514759B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
また、特許文献7(特開2000−89495号公報)には、金属石鹸微粒子を有機溶剤(アルコール/ハロゲン系溶剤)で表面処理することにより、残留電荷の蓄積が抑制された電子写真感光体を得ることが記載されており、該表面処理により、金属石鹸微粒子と結着樹脂との相溶性(親和性)が改善されることで微粒子−樹脂界面のコンデンサー効果を低減する技術が記載されている。
以上のように、種々の耐久性に問題が残されている上に、高い転写効率及びクリーニング性が要求されていることに対しても、十分な特性が得られていないのが実情である。
また、特許文献9:特開平6−236062号公報、特許文献10:特開平7−271078号公報、特許文献11:特開平8−166679号公報、特許文献12:特開平9−80787号公報、特許文献13:特開平9−80788号公報、特許文献14:特開平9−80789号公報等には、中間層にシランカップリング剤、有機金属化合物を含有させることで、上記と同様な効果を持たせた電子写真感光体を得ることが開示されている。
シランカップリング剤と有機金属化合物を含有させた他の特許公報においても、このことには触れられていない。
また本発明の第2の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、比較的単純な構造の脂肪酸金属塩(金属石鹸)を適量中間層に添加することで、チタネート系カップリング剤と同様な分散性を向上させる効果をもち、しかも、長期間保存においても上記静電特性の劣化が小さい感光体、及びこれを用いた画像形成装置を提供することにある。
また、我々は、上記課題に関する検討の過程で、比較的単純な構造の脂肪酸金属塩(金属石鹸)を適量中間層に添加することにより、意外にも、チタネート系カップリング剤と同様な分散性を向上させる効果をもち、しかも、長期間保存においても上記静電特性の劣化が小さい感光体が得られることを見い出し、これに基いて鋭意検討の結果、第2の群の本発明に到達した。
すなわち、上記第1の目的は、本発明の(1)「導電性支持体上に感光層を設けた電子写真感光体において、該電子写真感光体の最外層が、脂肪酸エステル化合物で表面処理された金属石鹸微粒子を含有することを特徴とする電子写真感光体」、(2)「該金属石鹸微粒子が亜鉛含有金属石鹸微粒子であることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体」、(3)「該金属石鹸微粒子が脂肪酸エステル化合物を含有した有機溶剤で表面処理されたものであることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体用金属石鹸微粒子」、(4)「該金属石鹸微粒子が脂肪酸エステル化合物を含有した有機溶剤とともに、機械的粉砕工程により表面処理されたものであることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光体用金属石鹸微粒子」、(5)「前記表面処理用有機溶剤が脂肪酸エステル化合物を含有したアルコール系溶剤であることを特徴とする前記第(3)項または第(4)項に記載の電子写真感光体用金属石鹸微粒子」、(6)「前記表面処理用有機溶剤が脂肪酸エステル化合物を含有したハロゲン系溶剤であることを特徴とする前記第(3)項または第(4)項に記載の電子写真感光体用金属石鹸微粒子」、(7)「最外層の結着樹脂が下記一般式(1)で表わされる構造単位を主繰り返し単位として有するポリカーボネートであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項に記載の電子写真感光体、
(式中、Zは置換基を有してもよい炭素環又は複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表わし、R1〜R8は水素原子、ハロゲン原子、または各々置換基を有してもよい脂肪族基若しくは炭素環基を表わす。)」により達成される。
また上記第2の目的は、本発明の(8)「導電性支持体と感光層との間に顔料と結着樹脂とを主成分とした中間層を設けてなる電子写真感光体において、該中間層の顔料(P)と結着樹脂(R)との比率P/Rが体積比で1/1乃至3/1の範囲であり、かつ該中間層中に金属石鹸を含有することを特徴とする電子写真感光体」、
(9)「前記金属石鹸がオクチル酸塩であることを特徴とする前記第(8)項に記載の電子写真感光体」、
(10)「前記金属石鹸が該中間層中の顔料(P)に対して0.1重量%乃至5重量%であることを特徴とする前記第(8)項または第(9)項に記載の電子写真感光体」、
(11)「前記顔料(P)が酸化チタンであることを特徴とする前記第(8)項に記載の電子写真感光体」、
(12)「前記顔料(P)が酸化チタンと酸化スズであることを特徴とする前記第(8)項に記載の電子写真感光体」、
(13)「前記顔料(P)が酸化チタンと酸化スズからなり、かつ酸化チタンに対して酸化スズが1重量%乃至25重量%であることを特徴とする前記第(8)項に記載の電子写真感光体」、
(14)「前記酸化チタンの純度が99%以上であることを特徴とする前記第(8)項、第(11)項、第(12)項又は第(13)項のいずれか1に記載の電子写真感光体」により達成される。
また、第2の群の本発明においては、前記第(8)項の金属石鹸を添加することで、高温高湿下12ヶ月保存後においても、繰り返し疲労による帯電性や残留電位の劣化が少なく、安定性に優れた電子写真感光体を形成でき、前記第(9)項のように、非常に単純な構造であるオクチル酸塩(直鎖状金属塩)を添加することで、より高い効果が得られ、前記第(10)項のように、金属石鹸の添加量を顔料に対して0.1重量%乃至5重量%とすることで、より高い効果が得られ、前記第(11)項のように、顔料を酸化チタンとすることで、より高い効果が得られ、前記第(12)項のように、顔料を酸化チタンと酸化スズの混合系とすることで、低温低湿下での繰り返し疲労による帯電性や残留電位の劣化がより小さく、安定性に優れた電子写真感光体を形成でき、前記第(13)項のように、顔料が酸化チタンと酸化スズで、かつ酸化チタンに対して酸化スズが1重量%乃至25重量%とすることで、より高い効果が得られ、前記第(14)項のように、顔料の酸化チタンの純度を99%以上とすることで、高温高湿下での繰り返し疲労による帯電性や残留電位の劣化が小さく、安定性に優れた電子写真感光体を形成できる。
また、前記第(15)項のように、前記第(8)項乃至第(14)項に記載の電子写真感光体を用いた画像形成装置とすることで、さまざまな環境下においても安定した電子写真画像を提供できる。
炭素鎖数及びnが増加することで、脂肪酸エステル化合物単体の機能でもある初期的な転写効率、及びクリーニング性が向上するが、樹脂との相溶性が低下し、本発明の効果(電荷蓄積低減)は得られない。好ましくは炭素鎖数で8〜30程度のものが用いられ、一般に市販されている各種脂肪酸エステルが使用できる。本発明における脂肪酸エステル化合物添加量としては、金属石鹸微粒子に対して0.1〜100%(重量比が好ましく、少ないと電荷蓄積低減効果が不足し、多いと成膜性が悪くなり、ブリードアウト等の弊害が生じ易くなる)が好ましい。
電荷発生層(17)は、電荷発生材料を主成分とする層である。
電荷発生材料には、無機及び有機材料が用いられ、その代表としてモノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、フタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素合金、アモルファス・シリコン等が挙げられ用いられる。電荷発生材料は、単独で或いは2種類以上混合して用いられる。
(式中、R1はメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、又は2−クロルエチル基を表わし、R2はメチル基、エチル基、ベンジル基、又はフェニル基を表わし、R3は水素原子、臭素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はニトロ基を表わす。)
一般式(2)で表わされる化合物には、例えば、9−エチルカルバゾール−3−アルデヒド−1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−アルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−アルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等がある。
(式中、Arはナフタレン環、アントラセン環、スチリル環、及びそれらの置換体或いはピリジン環、フラン環、チオフェン環を表わし、Rはアルキル基又はベンジル基を表わす。)
一般式(3)で表わされる化合物には、例えば、4−ジエチルアミノアチリル−β−アルデヒド−1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、4−メトキシナフタレン−1−アルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン等がある。
(式中、R1はアルキル基、ベンジル基、フェニル基、又はナフチル基を表わし、R2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアラルキルアミノ基、又はジアリールアミノ基を表わし、nは1〜4の整数を表わし、nが2以上のときはR2は同じであっても異なっていてもよい。R3は水素原子、又はメトキシ基を表わす。)
一般式(4)で表わされる化合物には、例えば、4−メトキシベンズアルデヒド−1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−メトキシベンズアルデヒド−1−ベンジル−1−(4−メトキシ)フェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジベンジルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等がある。
(式中、R1は炭素数1〜11のアルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、又は複素環基を表わし、R2、R3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、クロルアルキル基、又は置換若しくは無置換のアラルキル基を表わし、また、R2、R3は互いに結合し窒素原子を含む複素環を形成してもよい。R4は同一であってもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を表わす。)
一般式(5)で表わされる化合物には、例えば、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−トリフェニルメタン等がある。
(式中、R1は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基及びフェニル基を表わし、R2は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表わす。)
一般式(6)で表わされる化合物には、例えば、N−エチル−3,6−テトラベンジルアミノカルバゾール等がある。
(式中、Rは水素原子、又はハロゲン原子を表わし、Arは置換若しくは無置換のフェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はカルバゾリル基を表わす。)
一般式(7)で表わされる化合物には、例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、9−ブロム−10−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等がある。
(式中、Rはカルバゾリル基、ピリジル基、チエニル基、インドリル基、フリル基、或いはそれぞれ置換若しくは非置換のフェニル基、スチリル基、ナフチル基、又はアントリル基であって、これらの置換基がジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基、又はそのエステル、ハロゲン原子シアノ基、アラルキルアミノ基、N−アルキル−N−アラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基、及びアセチルアミノ基からなる群から選ばれた基を表わす。)
一般式(9)で表わされる化合物には、例えば、1,2−ビス(4−ジエチルアミノスチリル)ベンゼン、1,2−ビス(2,4−ジメトキシスチリル)ベンゼン等がある。
(式中、R1は低級アルキル基、置換若しくは無置換のフェニル基、又はベンジル基を表わし、R2は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、或いは低級アルキル基又はベンジル基で置換されたアミノ基を表わし、nは1又は2の整数を表わす。)
一般式(10)で表わされる化合物には、例えば、3−スチリル−9−エチルカルバゾール、3−(4−メトキシスチリル)−9−エチルカルバゾール等がある。
(式中、R1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表わし、R2及びR3はアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、或いは置換若しくは無置換のアリール基を表わし、R4は水素原子、低級アルキル基又は置換若しくは無置換のフェニル基を表わし、また、Arは置換若しくは無置換のフェニル基又はナフチル基を表わす。)
一般式(11)で表わされる化合物には、例えば、4−ジフェニルアミノスチルベン、4−ジベンジルアミノスチルベン、4−ジトリルアミノスチルベン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレン、1−(4−ジエチルアミノスチリル)ナフタレン等がある。
(式中、nは0又は1の整数、R1は水素原子、アルキル基又は置換若しくは無置換のフェニル基を表わし、Ar1は置換若しくは無置換のアリール基を表わし、R5は置換アルキル基を含むアルキル基、或いは置換若しくは無置換のアリール基を表わし、Aは、
<但し、R3及びR4はアルキル基、置換若しくは無置換のアラルキル基又は置換若しくは無置換のアリール基を表わし、R3及びR4は同じであっても、異なっていてもよく、R4は環を形成してもよい。>を表わし、mは0、1、2又は3の整数であって、mが2以上のときはR2は同一でも異なっていてもよい。また、nが0のとき、AとR1は共同で環を形成してもよい。)
一般式(12)で表わされる化合物には、例えば、4’−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−α−フェニルスチルベン等がある。
(式中、R1、R2及びR3は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ジアルキルミノ基、又はハロゲン原子を表わし、nは0又は1を表わす。)
一般式(13)で表わされる化合物には、例えば、1−フェニル−3−(4−ジエチルアミノスチリル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−フェニル−3−(4−ジメチルアミノスチリル)−5−(4−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等がある。
(式中、R1及びR2は置換アルキル基を含むアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表わし、Aは置換アミノ基、置換若しくは無置換のアリール基又はアリル基を表わす。)
一般式(14)で表わされる化合物には、例えば、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等がある。
(式中、Xは水素原子、低級アルキル基、又はハロゲン原子を表わし、Rは置換アルキル基を含むアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表わし、Aは置換アミノ基又は置換若しくは無置換のアリール基を表わす。)
一般式(15)で表わされる化合物には、例えば、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジエチルアミノフェニル)−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール等がある。
(式中、R1は低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を表わし、nは0〜4の整数を表わし、R2、R3は同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を表わす。)
一般式(16)で表わされるベンジジン化合物には、例えば、N,N’−ジフェニルN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチル−N,N,N’N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等がある。
(式中、R1、R3及びR4は水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換若しくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子又は置換若しくは無置換のアリール基を、R2は水素原子、アルコキシ基、置換若しくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子を表わす。但し、R1、R2、R3及びR4はすべて水素原子である場合を除く。また、k、l、m及びnは1、2、3又は4の整数であり、各々が2、3又は4の整数のときは前記R1、R2、R3及びR4は同じでも異なっていてもよい。)
一般式(17)で表わされるビフェニルアミン化合物には、例えば、4’−メトキシN,N−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メチル−N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メトキシ−N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン等がある。
(式中、Arは炭素数18個以下の縮合多環式炭化水素基を表わし、また、R1及びR2は水素原子、ハロゲン原子、置換若しくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換若しくは無置換のフェニル基を表わし、それぞれ同じでも異なっていてもよい。)
一般式(18)で表わされるトリアリールアミン化合物には、例えば、1−フェニルアミノピレン、1−ジ(p−トリルアミノ)ピレン等がある。
(式中、Arは芳香族炭化水素基を、Rは水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基又はアリール基を、それぞれ表わす。nは0又は1、mは1又は2であって、n=0、m=1の場合、ArとRは共同で環を形成してもよい。)
一般式(20)で表わされるスチリルピレン化合物には、例えば、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ピレン、1−[4−ジ(p−トリル)アミノスチリル]ピレン等がある。
電荷輸送層(19)の厚さは5〜100μmが適当である。本発明において、電荷輸送層(19)中に可塑剤を添加してもよい。可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、バインダー樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。
更に、第1の群の本発明の下引き層として、後述する第2の群の本発明における中間層を好適に適用することができる。また第1の群の本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。
この他に、第1の群の本発明の下引き層にはAl2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
図5に示される例の画像形成装置においては、感光体(22)の周囲に、接触部材としての弾性ローラ(21)、除電ランプ(23)、帯電チャージャ(24)、イレーサ(25)、画像露光部(26)、現像ユニット(27)、転写前チャージャ(28)、レジストローラ(29)、転写紙(30)、転写チャージャ(31)、分離チャージャ(32)、分離爪(33)、クリーニング前チャージャ(34)、ファーブラシ(35)、クリーニングブレード(36)等を備えたものである。図中、温度センサは感光体(22)に接して配置する必要がないので図示を省略しているが、感光体(22)の表面電位測定手段を用いる場合には画像露光部(26)の前またはイレーサ(25)の前に配置することができる。 そして、無論、第1の群の本発明は、この例示のような画像形成装置のみに限られる訳でなく、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段を有するものであればよい。
図4に示されるように、第2の群の本発明においては、導電性支持体(11)上に、金属石鹸を含有する中間層(13)を介して感光層が設けられる。
第2の群の本発明に用いる金属石鹸としては、例えば、オクチル酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ナフテン酸等の脂肪酸のZn、Co、Mn、Ni、Fe、Pb、Cu、Sn、Al、Mg、Ca、Ba、Liの塩などが挙げられるが、顔料の分散性がより良好な、鎖状の脂肪酸が好ましい。また、第2の群の本発明に用いる金属石鹸は、顔料に対して0.1重量%乃至5重量%の範囲が好ましく、それ以下だと顔料の分散性がやや低下し、また、それ以上だと、静電疲労後の残留電位がやや上昇する。
実施例1
ミリスチン酸ブチル20部を分散溶解した180部のメタノール溶液にステアリン酸亜鉛微粒子(関東化学製)10部を投入し、室温で60分間撹拌した後、濾過処理を行なった。得られた微粒子を真空乾燥機(50℃)にて減圧乾燥を行ない、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Aを得た。
実施例1において、処理用有機溶剤であるメタノールを塩化メチレンに変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Bを得た。
実施例1において、処理用有機溶剤であるメタノールをn−ブタノールに変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Cを得た。
実施例1において、処理用有機溶剤であるメタノールをクロロホルムに変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Dを得た。
実施例1において、処理用有機溶剤であるメタノールをメチルエチルケトンに変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Eを得た。
実施例1において、処理用有機溶剤であるメタノールをシクロヘキサンに変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Fを得た。
実施例1において、処理用有機溶剤であるメタノールをトルエンに変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Gを得た。
実施例1において、ステアリン酸亜鉛微粒子をオレイン酸亜鉛(関東化学製)に変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Hを得た。
実施例1において、ステアリン酸亜鉛微粒子をステアリン酸カルシウム(関東化学製)に変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Iを得た。
実施例1において、ステアリン酸亜鉛微粒子をステアリン酸マグネシウム(関東化学製)に変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Jを得た。
実施例1において、ステアリン酸亜鉛微粒子をステアリン酸ニッケル(関東化学製)に変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Kを得た。
実施例1において、ミリスチン酸ブチルをミリスチン酸ミリスチルに変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Lを得た。
実施例1において、ミリスチン酸ブチルをステアリン酸n−ドデシルに変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Mを得た。
実施例1において、ミリスチン酸ブチルをセバシン酸ジエチルに変えた以外は同様にして、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Nを得た。
ミリスチン酸ブチル20部を分散溶解した180部のメタノール溶液にステアリン酸亜鉛微粒子(関東化学製)10部を投入し、直径2mmのジルコニアボールをメディアとして振動分散を60分行ない、濾過処理を行なった。得られた微粒子を真空乾燥機(50℃)にて減圧乾燥を行ない、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Oを得た。
ミリスチン酸ブチル20部を分散溶解した180部の塩化メチレン溶液にステアリン酸亜鉛微粒子(関東化学製)10部を投入し、直径2mmのジルコニアボールをメディアとして振動分散を60分行ない、濾過処理を行なった。得られた微粒子を真空乾燥機(50℃)にて減圧乾燥を行ない、目的の電子写真用金属石鹸微粒子Pを得た。
実施例1において、ミリスチン酸ブチルを投入しなかった以外は同様にして、目的の金属石鹸微粒子Qを得た。
実施例15において、ミリスチン酸ブチルを投入しなかった以外は同様にして、目的の金属石鹸微粒子Rを得た。
外径100mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を順次、塗布・乾燥して各々3μmの下引層、0.2μmの電荷発生層、28μmの電荷輸送層を形成し、実施例17〜32の電子写真感光体を作製した。
オイルフリーアルキッド樹脂 15部
(大日本インキ化学製:ベッコライトM6401)
メラミン樹脂 10部
(大日本インキ化学製:スーパーベッカミンG−821)
二酸化チタン(石原産業(株)製:タイペーク R−670) 50部
2−ブタノン 40部
Y型チタニルフタロシアニン 5部
ポリビニルブチラール樹脂 5部
(積水化学製、エスレックBM−S)
シクロヘキサノン 350部
電子写真用金属石鹸微粒子A〜P各1部を75部の塩化メチレン溶液に投入し、直径2mmのジルコニアボールをメディアとして振動分散を3時間行ない、金属石鹸微粒子が均一に分散された塗工液用溶媒を得た。
4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1−ベンジル−
1−フェニルヒドラゾン 7部
ポリカーボネート(三菱瓦斯化学社製ユーピロンZ−200) 10部
塗工液用溶媒 76部
実施例17において、下記組成の電荷輸送層塗工液を用いた以外は同様にして、電子写真感光体を作製した。
4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1−ベンジル−
1−フェニルヒドラゾン 7部
ポリカーボネート(三菱瓦斯化学社製ユーピロンZ−200) 10部
塩化メチレン 76部
実施例17において、下記組成の電荷輸送層塗工液を用いた以外は同様にして、電子写真感光体を作製した。
ステアリン酸亜鉛微粒子(関東化学製)1部を75部の塩化メチレン溶液に投入し、直径2mmのジルコニアボールをメディアとして振動分散を3時間行ない、金属石鹸微粒子が均一に分散された塗工液用溶媒を得た。
4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1−ベンジル−
1−フェニルヒドラゾン 7部
ポリカーボネート(三菱瓦斯化学社製ユーピロンZ−200) 10部
塗工液用溶媒 76部
比較例4において、ステアリン酸亜鉛微粒子をオレイン酸亜鉛微粒子(関東化学製)に変更した以外は同様にして、電子写真感光体を作製した。
比較例4において、ステアリン酸亜鉛微粒子をステアリン酸カルシウム微粒子(関東化学製)に変更した以外は同様にして、電子写真感光体を作製した。
比較例4において、ステアリン酸亜鉛微粒子をステアリン酸マグネシウム微粒子(関東化学製)に変更した以外は同様にして、電子写真感光体を作製した。
比較例4において、ステアリン酸亜鉛微粒子をステアリン酸ニッケル微粒子(関東化学製)に変更した以外は同様にして、電子写真感光体を作製した。
実施例17において、下記組成の電荷輸送層塗工液を用いた以外は同様にして、電子写真感光体を作製した。
ステアリン酸亜鉛微粒子(関東化学製)1部を75部の塩化メチレン溶液に投入し、直径2mmのジルコニアボールをメディアとして振動分散を3時間行ない、金属石鹸微粒子が均一に分散された塗工液用溶媒を得た。
ミリスチン酸ブチル 0.1部
4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1−ベンジル−
1−フェニルヒドラゾン 7部
ポリカーボネート(三菱瓦斯化学社製ユーピロンZ−200) 10部
塗工液用溶媒 76部
実施例17において、下記組成の電荷輸送層塗工液を用いた以外は同様にして、電子写真感光体を作製した。
金属石鹸微粒子Q、R各1部を75部の塩化メチレン溶液に投入し、直径2mmのジルコニアボールをメディアとして振動分散を3時間行ない、金属石鹸微粒子が均一に分散された塗工液用溶媒を得た。
ミリスチン酸ブチル 0.1部
4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1−ベンジル−
1−フェニルヒドラゾン 7部
ポリカーボネート(三菱瓦斯化学社製ユーピロンZ−200) 10部
塗工液用溶媒 76部
電位保持率を次のように定義する。
電位保持率=Vo/Vm
実施例及び比較例の各感光体を(株)リコー製複写機DA−355改造機(正規現像)に搭載して連続5万枚の複写を行ない、異常画像の有無を目視により判定した。また、複写試験終了後の各感光体は、上記と同じ方法で感光体特性を測定した。試験結果を表1に示す。
次に、第2の群の本発明を実施例によって具体的に説明する。
実施例33
アルキド樹脂〔ベッコゾール TD−50−30(大日本インキ化学工業社製)〕18重量%とメラミン樹脂〔ベッカミン P−138(大日本インキ化学工業社製)〕4重量%と金属石鹸(ナフテン酸亜鉛)〔ナフテックスZn(日本化学産業社製)〕0.6重量%をメチルエチルケトン(MEK)30重量%に溶解し、これに純度99.7%の酸化チタン微粉末〔TM−1(富士チタン工業製)〕60重量%を加え、ボールミルで24時間分散し、中間層用塗工液を作成した。これを直径30mm、長さ340mmのアルミニウムドラムに浸漬塗布し、150℃で20分乾燥し、厚さ10μmの中間層を形成した。
実施例33において、ナフテン酸亜鉛の代わりにオクチル酸亜鉛〔オクチックスZn(日本化学産業社製)〕を用いた以外は、実施例33と同様にして実施例34の電子写真感光体を作成した。
実施例33において、中間層中への金属石鹸の添加量を0.12重量%にした以外は、実施例33と同様にして実施例35の電子写真感光体を作成した。
実施例33において、中間層中への金属石鹸の添加量を3重量%にした以外は、実施例33と同様にして実施例36の電子写真感光体を作成した。
実施例33において、中間層中への金属石鹸の添加量を0.03重量%にした以外は、実施例33と同様にして実施例37の電子写真感光体を作成した。
実施例33において、中間層中への金属石鹸の添加量を4.8重量%にした以外は、実施例33と同様にして実施例38の電子写真感光体を作成した。
支持体表面からの影響を見るために、ポリアミド樹脂〔CM8000(東レ製)〕5重量%をメタノール45重量%に溶解し、これに導電性カーボンブラック2重量%を加え、ボールミルで72時間分散し、更にブタノール50重量%で希釈した塗工液を、直径30mm、長さ340mmのアルミニウムドラム上にスプレー塗工して、厚さ2μmの黒色の導電層を形成した。このようにして作成した支持体上に実施例33と同様の中間層および感光層を形成して実施例39の電子写真感光体を作成した。
実施例33において、酸化チタン微粉末を酸化亜鉛微粉末〔SX−9(堺化学製)〕81重量%、ナフテン酸亜鉛0.81重量%に変更した以外は、実施例33と同様にして実施例40の電子写真感光体を作成した。
実施例40において、支持体を実施例39で用いた黒色の支持体に変更した以外は、実施例40と同様にして実施例41の電子写真感光体を作成した。
実施例33において、中間層中への金属石鹸の添加をしなかった以外は実施例33と同様にして比較例12の電子写真感光体を作成したところ、電荷輸送層塗布時に気泡が発生したため評価を中止した。
実施例33において、中間層中へ金属石鹸の代わりにチタネート系カップリング剤〔PR−581(日本曹達製)〕を添加した以外は、実施例33と同様にして比較例13の電子写真感光体を作成した。
実施例33において、中間層中の酸化チタン微粉末を120重量%、金属石鹸を1.2重量%にした以外は、実施例33と同様にして比較例14の電子写真感光体を作成した。
実施例33において、中間層中の酸化チタン微粉末を20重量%、金属石鹸を0.2重量%にした以外は、実施例33と同様にして比較例15の電子写真感光体を作成した。
実施例33において、中間層中の酸化チタン微粉末を純度97.0%の酸化チタン微粉末〔JR(帝国化工製)〕に変えた以外は実施例33と同様にして実施例42の電子写真感光体を作成した。
実施例34において、中間層中の酸化チタン微粉末を純度97.0%の酸化チタン微粉末〔JR(帝国化工製)〕に変えた以外は実施例34と同様にして実施例43の電子写真感光体を作成した。
実施例33において、中間層の顔料として酸化チタン微粉末〔KA−20(チタン工業製)〕60重量%と酸化スズ(三菱金属製)3.3重量%を用いた以外は、実施例33と同様にして実施例44の電子写真感光体を作成した。
実施例44において、酸化スズ(三菱金属製)6.6重量%に変更した以外は、実施例44と同様にして実施例45の電子写真感光体を作成した。
実施例44において、酸化スズ(三菱金属製)13重量%に変更した以外は、実施例44と同様にして実施例46の電子写真感光体を作成した。
実施例44において、酸化スズ(三菱金属製)20重量%に変更した以外は、実施例44と同様にして実施例47の電子写真感光体を作成した。
13 中間層
15 単層感光層
17 電荷発生層
19 電荷輸送層
21 弾性ローラ
22 感光体
23 除電ランプ
24 帯電チャージャ
25 イレーサ
26 画像露光部
27 現像ユニット
28 転写前チャージャ
29 レジストローラ
30 転写紙
31 転写チャージャ
32 分離チャージャ
33 分離爪
34 クリーニング前チャージャ
35 ファーブラシ
36 クリーニングブレード
Claims (6)
- 導電性支持体上に感光層を設けた電子写真感光体において、該電子写真感光体の最外層が、総炭素数8〜30の脂肪酸エステル化合物で表面処理された金属石鹸微粒子を含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 該金属石鹸微粒子が亜鉛含有金属石鹸微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 該金属石鹸微粒子が総炭素数8〜30の脂肪酸エステル化合物を含有した有機溶剤で表面処理されたものであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記表面処理用有機溶剤が総炭素数8〜30の脂肪酸エステル化合物を含有したアルコール系溶剤であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記表面処理用有機溶剤が総炭素数8〜30の脂肪酸エステル化合物を含有したハロゲン系溶剤であることを特徴とする請求項3に記載の電子写真感光体。
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