JP3903552B2 - 電子写真用感光体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真用感光体に関し,更に詳しくは,帯電性,感度が良好で,かつ繰り返し使用時の安定性に優れた電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に,電子写真用感光体は,導電性の基体の上に,光導電性の材料からなる感光層を形成することにより構成されているが,感光層としては,電荷発生層と電荷輸送層からなる機能分離型の光導電層を有する積層型電子写真用感光体が用いられることが多い。
【0003】
しかしながら,一般の積層型電子写真用感光体は,通常1μm以下の薄層の電荷発生層の上に,比較的厚い層からなる電荷輸送層を積層したものであり,電荷発生層の薄膜形成の難しさが収率を落とす要因となっている。また,電荷輸送層に用いる電荷輸送物質は,化合物群の豊富さ,電気的な安定性,材料としての安全性等の理由から,正孔輸送性の材料を用いることが一般的であるので,このような積層型電子写真用感光体は,必然的に負帯電でしか感度を発現できないものである。
【0004】
近年,コスト低減要求に応えるため,生産工程の単純化が大きな課題となっている。また,マイナスのコロナ放電時に多量に発生するオゾンの影響が環境上問題とされ,オゾン発生量の少ないプラスコロナ放電で使用可能な正帯電型の電子写真用感光体の実現も望まれている。
【0005】
このような電子写真用感光体に対する要求に対して,旧来の単層型電子写真用感光体が,その単純な層構成や正帯電での使用可能性等の利点から再評価されるようになってきている。そこで,再度実用的な単層型電子写真用感光体を実現しようとする試みが活発に行われるようになっている。
【0006】
例えば特開昭54−1633号公報には,フタロシアニンの如き電荷発生物質を,オキサジアゾールの如き正孔輸送物質とジニトロフルオレノンの如き電子輸送物質と一緒に結着樹脂中に分散してなる感光層を導電性支持体の上に設けた単層型の電子写真用感光体が開示されている。この種の電子写真用感光体は,従来のフタロシアニン/樹脂分散系の単層型電子写真用感光体のように電荷発生と電荷輸送を同一の材料が行なう構成とは異なり,電荷輸送と電荷発生をそれぞれ異なる材料に受け負わせるものであるから,電荷発生物質の濃度を従来に比べ,大幅に低減することが可能で,かつ正負両帯電性の感光体が実現できる利点があった。
【0007】
しかしながら,電荷発生物質,正孔輸送物質及び電子輸送物質を同一の感光層内に含むような感光体では,電荷発生物質と電荷輸送物質の接合状態が,通常の積層感光体における層の界面から,顔料表面となり,その接触面積が桁違いに大きくなるため,電荷発生物質から電荷輸送物質への電荷の注入に関する,エネルギー的な適合性はより特性に影響することになり,例えば,従来のこのような感光体では,帯電性や感度が充分に得られなかったり,繰り返し使用時の特性の安定性が悪いという欠点があった。
【0008】
また,例えば,特開平9−15879号公報には,このような感光体に用いる電子輸送物質の,分子軌道法で計算される最低空軌道(LUMO)エネルギーと開殻軌道(SOMO)エネルギーの差を特定の範囲内とすることで,高い電荷移動度が得られ,静電特性の安定した感光体が得られることが開示されている。
【0009】
しかしながら,単層型電子写真用感光体では感光体の特性は単純に電子輸送性で決定される訳ではなく,このような電子輸送物質に対する分子軌道法エネルギーによる議論は,ごく限定された部分でしか有効とは言えないし,また分子軌道法自身,そのアルゴリズム等により得られるデータが全く違ってしまうため,その計算値を実際の材料設計の指標として用いても,必ずしも予想された効果が得られるとは言えない欠点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は,従来提案されてきた単層型電子写真用感光体において問題となった諸点を改善し,帯電性,感度,繰り返し安定性等の電気的特性に優れた好ましい電子写真用感光体を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは,上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果,従来,電子写真用感光体においては着目されていなかった電荷輸送材料の光学的スペクトル特性に着目し,電子写真用感光体の電気的特性が,電荷輸送材料の吸収端波長と密接に関係していることを見い出し,特定の吸収端波長の範囲の電子輸送物質と正孔輸送物質を組み合わせることにより,帯電性,感度,繰り返し安定性等の電気的特性に優れた単層型電子写真用感光体が得られることを見出し,本発明の完成に至った。
【0012】
即ち本発明は,同一の感光層内に電荷発生物質,電子輸送物質及び正孔輸送物質を含有する電子写真用感光体において,光吸収スペクトルにおける吸収端波長が460〜550nmの範囲内にある電子輸送物質と,360〜450nmの範囲内にある正孔輸送物質を同一の感光層内に含有することを特徴とする電子写真用感光体を提供する。ここで電荷発生物質は,チタニウムフタロシアニン系化合物であることが特性上好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の電子写真用感光体の感光層の構造の例を図1に示した。ここで,導電性支持体1には任意の形状のものが用いられ,その上に,電荷発生物質2を電子輸送物質及び正孔輸送物質を含有させた結着樹脂3に分散させてなる単一の感光層4が設けられる。ここで感光層の膜厚は,5〜50μmの範囲が好ましい。感光層の膜厚は,浸漬塗工により形成する場合,塗工速度,塗料の粘度,せん断力等の諸物性を調節することにより容易に所望の膜厚とすることができる。
【0014】
なお,これらの感光層に付加して,中間層或いは表面保護層或いは独立した電荷輸送層等の機能層を適宜合わせて用いることも可能である。
【0015】
本発明の電子写真用感光体には,特定の吸収端波長を有する電子輸送物質と正孔輸送物質の組み合わせが混合して用いられる。
【0016】
電子輸送物質としては,例えば,ベンゾキノン系,テトラシアノエチレン系,テトラシアノキノジメタン系,フルオレノン系,キサントン系,フェナントラキノン系,無水フタール酸系,ジフェノキノン系等の有機化合物や,アモルファスシリコン,アモルファスセレン,テルル,セレンーテルル合金,硫化カドミウム,硫化アンチモン,酸化亜鉛,硫化亜鉛等の無機材料が挙げられる。
【0017】
また,正孔輸送物質としては,低分子化合物では,例えば,ピレン系,カルバゾール系,ヒドラゾン系,オキサゾール系,オキサジアゾール系,ピラゾリン系,アリールアミン系,アリールメタン系,ベンジジン系,チアゾール系,スチルベン系,ブタジエン系等の化合物が挙げられる。
【0018】
また,高分子化合物としては,例えば,ポリ−N−ビニルカルバゾール,ハロゲン化ポリ−N−ビニルカルバゾール,ポリビニルピレン,ポリビニルアンスラセン,ポリビニルアクリジン,ピレン−ホルムアルデヒド樹脂,エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂,エチルカルバゾール−ホルムアルデヒド樹脂,トリフェニルメタンポリマー,ポリシラン等が挙げられる。
【0019】
本発明で使用する電荷輸送物質は,ここに挙げたものに限定されるものではなく,その吸収端波長が本発明で規定する特定の範囲にあるものの中から適宜選択されて用いられる。
【0020】
電荷輸送物質の感光層中に占める含有量は,電荷輸送物質が低分子化合物の場合は,20重量%〜60重量%が好ましい。
【0021】
また,電荷輸送物質がポリ−N−ビニルカルバゾールのような高分子化合物の場合は,電荷発生物質を除く全量を電荷輸送物質とすることも可能である。
【0022】
電子輸送物質と正孔輸送物質の配合比率は,重量比で5:95〜95:5の範囲が好ましく,中でも10:90〜90:10の範囲が好ましい。
【0023】
具体的には,実際に用いる電子輸送物質,正孔輸送物質各々の電荷輸送効率の大小によって,最適な配合比率が決定されるが,例えば,正帯電特性を重視する場合は正孔輸送物質の相対量を多めに設定し,負帯電特性を重視する場合は電子輸送物質の相対量を多めに設定すれば良い。
【0024】
本発明で規定する電子輸送物質及び正孔輸送物質の吸収端波長とは,それぞれの材料に固有なHOMO−LUMO遷移エネルギーの波長換算値に相当する。
【0025】
本発明の感光体のように,主として有機化合物からなる電荷輸送物質が樹脂に分散されたような系においてバンド理論が適用できるかどうかは議論の対象となるところであるが,例えば,「表面科学,第15巻,第9号,第565〜572項」(1994年)等の論文に見られるように,一般に多く有機化合物においてそのエネルギー状態をバンド構造で説明することは慣用となっており,またほとんどの場合で妥当な結果が得られることが知られている。
【0026】
本発明においても,半導体におけるバンドギャップエネルギーに相当する有機化合物のHOMO−LUMO遷移エネルギーに上記関係式を適用した結果,満足すべき結果が得られたので,これを用いることにした。
【0027】
即ち,一般に半導体材料の長波長側の光学吸収端近傍の比較的吸収の大きい領域において,吸収係数αと光エネルギーhν(但し,hはプランク定数,νは波数),及びバンドギャップエネルギーE0 の間には次式,
αhν=B(hν−E02 (1)
(ここでBは定数を表す。)が成り立つと考えられている。従って,光吸収スペクトルを測定し,そこから(αhν)1/2 対hνのプロット(所謂Taucプロット)をとり,直線区間を外挿したα=0におけるhνの値が遷移エネルギーE0 となり,その波長換算値,
λ0=hc/E0 (2)
が本発明で用いる吸収端波長となる。(但し,cは光速度を表す。)
【0028】
なお,このようにして得る値は,例えば化学同人社発行「量子化学入門<上>」の第4章「分子構造論の諸問題」等の文献にも明記されているように,一般的に,分子構造から既知の分子軌道法による計算で導かれるHOMO−LUMOエネルギーとは一致しない場合の多いことが知られており,あくまで光学的測定特有のものであるので,他の方法に基づく結果をもってこれに代えることはできない。
【0029】
本発明の電子写真用感光体においては,電子輸送物質及び正孔輸送物質の吸収端波長がそれぞれ,460〜550nm及び360〜450nmの範囲内であることを必須要件とし,この範囲内において両者の電荷注入及び輸送に関するエネルギー的なバランスが最適化されるものと考えられる。
【0030】
また,複数の電子輸送物質或いは正孔輸送物質を同時に含有させる場合は,その全てが本発明の規定する範囲に入ることが望ましいが,本発明の効果を失わない範囲内であれば,必要に応じて一部にその範囲外のものを含有させることは可能である。
【0031】
本発明で使用する電荷発生物質としては,例えば,アゾ系顔料,キノン系顔料,ペリレン系顔料,インジゴ系顔料,チオインジゴ系顔料,ビスベンゾイミダゾール系顔料,フタロシアニン系顔料,キナクリドン系顔料,キノリン系顔料,レーキ系顔料,アゾレーキ系顔料,アントラキノン系顔料,オキサジン系顔料,ジオキサジン系顔料,トリフェニルメタン系顔料,アズレニウム系染料,スクウェアリウム系染料,ピリリウム系染料,トリアリルメタン系染料,キサンテン系染料,チアジン系染料,シアニン系染料等の種々の有機顔料,染料や,更にアモルファスシリコン,アモルファスセレン,テルル,セレン−テルル合金,硫化カドミウム,硫化アンチモン,酸化亜鉛,硫化亜鉛等の無機材料を挙げることができるが,特にチタニウムフタロシアニン系化合物が本発明の電子輸送物質と正孔輸送物質との組み合わせにおいて高感度が得られ好ましい。
【0032】
電荷発生物質は,その使用に際しては,ここに挙げたものを単独で用いることもできるが,2種類以上の電荷発生物質を混合して用いることもできる。
【0033】
塗料中の固形分に占める電荷発生物質の割合は,得られた電子写真用感光体の感度に対しては0.2重量%以上が好ましく,電荷保持能や電荷輸送性に対しては5重量%以下の範囲が好ましい。
【0034】
結着樹脂は,電気絶縁性のフィルム形成可能な高分子重合体が好ましい。そのような高分子重合体としては,例えば,ポリカーボネート,ポリエステル,メタクリル樹脂,アクリル樹脂,ポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリスチレン,ポリビニルアセテート,スチレン−ブタジエン共重合体,塩化ビニリデン−アクリロニトリル重合体,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体,塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体,シリコン樹脂,シリコン−アルキッド樹脂,フェノール−ホルムアルデヒド樹脂,スチレン−アルキッド樹脂,ポリ−N−ビニルカルバゾール,ポリビニルブチラール,ポリビニルフォルマール,ポリスルホン,カゼイン,ゼラチン,ポリビニルアルコール,エチルセルロース,フェノール樹脂,ポリアミド,カルボキシ−メチルセルロース,塩化ビニリデン系ポリマーラテックス,ポリウレタン等が挙げられるが,これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は,単独又は2種類以上混合して用いられる。
【0035】
また,これらの結着樹脂と共に,分散安定剤,可塑剤,表面改質剤,酸化防止剤,光劣化防止剤等の添加剤を使用することもできる。
【0036】
可塑剤としては,例えば,ビフェニル,塩化ビフェニル,ターフェニル,ジブチルフタレート,ジエチレングリコールフタレート,ジオクチルフタレート,トリフェニル燐酸,メチルナフタレン,ベンゾフェノン,塩素化パラフィン,ポリプロピレン,ポリスチレン,各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
【0037】
表面改質剤としては,例えば,シリコンオイル,フッ素樹脂等が挙げられる。
【0038】
酸化防止剤としては,例えば,フェノール系,硫黄系,リン系,アミン系化合物等の酸化防止剤が挙げられる。
【0039】
光劣化防止剤としては,例えば,ベンゾトリアゾール系化合物,ベンゾフェノン系化合物,ヒンダードアミン系化合物等が挙げられる。
【0040】
本発明の感光体を塗布法で形成する場合の塗料に用いる溶剤としては,例えば,メタノール,エタノール,n−プロパノール等のアルコール類;アセトン,メチルエチルケトン,シクロヘキサノン等のケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン,ジオキサン,メチルセロソルブ等のエーテル類;酢酸メチル,酢酸エチル等のエステル類;ジメチルスルホキシド,スルホラン等のスルホキシド及びスルホン類;塩化メチレン,クロロホルム,四塩化炭素,トリクロロエタン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン,トルエン,キシレン,モノクロルベンゼン,ジクロルベンゼン等の芳香族類などが挙げられる。
【0041】
【実施例】
以下,実施例及び比較例を用いて本発明を更に詳細に説明するが,これにより本発明が実施例に限定されるものではない。なお,以下の実施例及び比較例中における「部」は「重量部」を示す。
【0042】
(吸収端波長の測定)
各実施例及び比較例に用いた電荷発生物質及び電子輸送物質,それぞれのアセトン溶液の紫外可視光吸収スペクトルを分光光度計(日立製作所社製のU−3410)を用いて測定した。次にその結果を基に,(αhν)1/2 とhνの関係をプロットして,α=0におけるhνの値を直線区間を外挿することによって求め,(2)式により波長換算して吸収端波長λ0 を求めた。
【0043】
(実施例1)
α型チタニルフタロシアニン(以下α-TiOPcと略す。)0.3部,式(1)
【0044】
【化1】
Figure 0003903552
【0045】
で表される電子輸送物質(λ0=520nm)3部,式(2)
【0046】
【化2】
Figure 0003903552
【0047】
で表される正孔輸送物質(λ0=395nm)10部,及びポリカーボネート樹脂(帝人化成社製の「パンライトC−1400」)14部をクロロホルム100部に溶解し,振動ミルを用いて分散させて,感光体用の塗料を作成した。
【0048】
この塗料を用いて,直径30mmのアルミニウム素管表面に,乾燥後の膜厚が20μmと成るように浸積塗布した後,乾燥させて感光層を形成し,ドラム状の電子写真用感光体を得た。
【0049】
(実施例2〜8,比較例1〜8)
実施例1において,電子輸送物質として,式(3)〜(9)
【0050】
【化3】
Figure 0003903552
【0051】
で表される化合物,正孔輸送物質として,式(10)〜(16)
【0052】
【化4】
Figure 0003903552
【0053】
で表される化合物,電荷発生物質として,式(17)
【0054】
【化5】
Figure 0003903552
【0055】
で表されるチタニウムフタロシアニン化合物からなる顔料の中から,表1及び表2に示した組み合わせを選択し,実施例1と同様にして電子写真用感光体を作成した。
【0056】
【表1】
Figure 0003903552
【0057】
【表2】
Figure 0003903552
【0058】
(電気特性)
各実施例及び各比較例で得た電子写真用感光体の電気特性を評価するために,各ドラム感光体をドラム感光体試験装置(ジェンテック社製の「シンシア−30」)を用いて電子写真特性を測定した。
【0059】
測定方法は,ドラム感光体を暗所で60rpmで回転させながら,印加電圧+6kVのコロナ放電により帯電させ,この直後の表面電位を初期電位V0 として,帯電能の評価に用いた。次に,暗所に10秒間放置した後の電位V10を測定し,V10/V0 によって電位保持能を評価した。次いで,780nmの単色光で,その表面における露光強度が1μW/cm2 になるように設定し,感光層に光照射を行い,表面電位の減衰曲線を記録した。
【0060】
ここで,光照射により表面電位がV10の1/2に減少するまでの露光量を求め,半減露光量E1/2 として感度を評価した。また,帯電後波長700nmの発光ダイオードにより150mJ/m2 のエネルギーを与えて除電する工程を500回繰り返した直後に同様な測定を行い,繰り返し安定性を評価した。その結果を表3及び表4にまとめて示した。
【0061】
【表3】
Figure 0003903552
【0062】
【表4】
Figure 0003903552
【0063】
表3及び表4に示した結果から明らかなように,実施例1〜4と比較例1〜4,及び実施例5〜8と比較例5〜8との比較から,本発明の電子写真用感光体は,同一の電荷発生物質を用いた感光体同士の比較において,何れも優れた感度,繰り返し安定性を示した。
【0064】
一方,電子輸送物質と電荷輸送物質の吸収端波長の組み合わせが本発明で規定する条件の範囲外である比較例1〜8の電子写真用感光体は,何れも帯電能,感度,繰り返し安定性の何れかの特性が劣っていた。特に,繰り返し安定性においては何れの比較例においても大きく劣っており,実用性が極めて乏しいことが分かった。
【0065】
(画像評価)
本発明で得た電子写真感光体の実用性を検証するために,正帯電型の電子写真用感光体を使用する市販のレーザープリンター(ブラザー工業社製HL−730)を用いて画像評価を行った。
【0066】
評価は,本発明の電子写真用感光体を代表して実施例1で得たドラム状感光体をレーザープリンターに装着し,初期と連続1000枚プリント後のテストプリント画像を評価することで行った。また,比較例の感光体の中では最も静電特性が良好であった比較例5の感光体についても同様の評価を実施した。
【0067】
その結果,実施例1で得た電子写真用感光体は画像濃度,解像度,地汚れ等の何れの評価においても良好な画像が得られ,これは1000枚後の画像においても全く変化が見られなかった。
【0068】
一方,比較例5で得た電子写真感光体は初期画像ではほぼ同等の画像が得られたが,1000枚後の画像では明瞭な画像濃度の低下が認められて実用特性の劣ることが確認された。
【0069】
【発明の効果】
本発明の電子写真用感光体は,優れた感度と帯電性を示し,繰り返し安定性が良好な静電特性を実現し,良好な画像特性を安定して供給し得る実用上好ましい電子写真用感光体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真用感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 電荷発生物質
3 電子輸送物質+正孔輸送物質+結着樹脂
4 感光層

Claims (2)

  1. 同一の感光層内に電荷発生物質,電子輸送物質及び正孔輸送物質を含有する電子写真用感光体において,
    半導体材料の長波長吸収端近傍で成立する式
    αhν=B(hν−E(1)
    (αは光吸収係数、hはプランク定数、νは波数、Eはバンドギャップエネルギーをそれぞれ表す。)から、(αhν)1/2対hνのプロットを行って直線区間をα=0に外挿して得られるhνの値を用いて、これをEとし、
    そのEから
    λ=hc/E(2)
    (λは吸収端波長)を算出することによって得られる吸収端波長λが、
    前記感光層内に含有される少なくともひとつの電子輸送物質について460〜550nmの範囲内にあり、
    かつ前記感光層内に含有される少なくともひとつの正孔輸送物質について360〜450nmの範囲内にあることを特徴とする電子写真用感光体。
  2. 電荷発生物質がチタニウムフタロシアニン系化合物である請求項1に記載の電子写真用感光体。
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