JP6558334B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6558334B2
JP6558334B2 JP2016188467A JP2016188467A JP6558334B2 JP 6558334 B2 JP6558334 B2 JP 6558334B2 JP 2016188467 A JP2016188467 A JP 2016188467A JP 2016188467 A JP2016188467 A JP 2016188467A JP 6558334 B2 JP6558334 B2 JP 6558334B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
general formula
carbon atoms
group
compound represented
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2016188467A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018054744A (ja
Inventor
和隆 杉本
和隆 杉本
浜崎 一也
一也 浜崎
敬司 丸尾
敬司 丸尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Document Solutions Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Document Solutions Inc filed Critical Kyocera Document Solutions Inc
Priority to JP2016188467A priority Critical patent/JP6558334B2/ja
Publication of JP2018054744A publication Critical patent/JP2018054744A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6558334B2 publication Critical patent/JP6558334B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
近年、高速で画像を形成するために、除電レス方式を採用する画像形成装置が検討されている。特許文献1に記載の画像形成装置は、除電レス方式を採用する。この画像形成装置は、電子写真感光体を備える。電子写真感光体は、導電性基体上に、特定構造のトリスチリルトリフェニルアミン化合物を含有する感光層を備える。
特開2011−64963号公報
しかし、除電レス方式を採用する画像形成装置は除電部を備えないために、電子写真感光体の表面電位が不均一になり易く、感光体の電位安定性が低下すること、及び露光メモリーが発生することがある。特許文献1に記載の画像形成装置では、感光体の電位安定性の向上及び露光メモリーの発生の抑制が不十分であった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電位安定性及び耐クラック性に優れ、露光メモリーを抑制可能な電子写真感光体を提供することである。また、本発明の目的は、このような電子写真感光体を備えることで、電位安定性及び耐クラック性に優れ、露光メモリーを抑制可能なプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備える。前記感光層は、単層である。前記感光層は、電荷発生剤と正孔輸送剤と電子輸送剤とバインダー樹脂と添加剤とを含有する。前記電子輸送剤の含有量は、前記正孔輸送剤の含有量よりも多い。前記添加剤の含有量は、100質量部の前記バインダー樹脂に対して、10質量部以上40質量部以下である。前記添加剤は、下記一般式(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)又は(ADD6)で表される化合物である。
Figure 0006558334
前記一般式(ADD1)中、R111及びR112は、各々独立して、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又はニトロ基を表す。m1及びm2は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。
Figure 0006558334
前記一般式(ADD2)中、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128及びR129は、各々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。
Figure 0006558334
前記一般式(ADD3)中、R131、R132及びR133は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。n1、n2及びn3は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。
Figure 0006558334
前記一般式(ADD4)中、R141は、水素原子又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。R142、R143、R145及びR146は、各々独立して、水素原子又は炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表す。R142、R143、R145及びR146の少なくとも1つは、炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表す。R144は、−R147−CO−O−R148−を表し、R147及びR148は各々独立して炭素原子数1以上8以下のアルキレン基を表す。
Figure 0006558334
前記一般式(ADD5)中、R151は、水素原子又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。R152、R153、R155及びR156は、各々独立して、水素原子又は炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表す。R152、R153、R155及びR156の少なくとも1つは、炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表す。R154は、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上20以下のアルコキシカルボニル基を有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。
Figure 0006558334
前記一般式(ADD6)中、R161及びR162は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。p1及びp2は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。
本発明のプロセスカートリッジは、上述の電子写真感光体を備える。
本発明の画像形成装置は、上述の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を正極性に帯電する。前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する。
本発明の電子写真感光体によれば、電位安定性及び耐クラック性を向上させ、露光メモリーを抑制することができる。また、本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、このような電子写真感光体を備えることで、電位安定性及び耐クラック性を向上させ、露光メモリーを抑制することができる。
(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る電子写真感光体において用いられるチタニルフタロシアニンのCuKα特性X線回折スペクトルチャートの一例である。 本発明の実施形態に係る電子写真感光体において用いられるチタニルフタロシアニンの示差走査熱量分析スペクトルチャートの一例である。 画像形成装置の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置は本発明の実施形態に係る電子写真感光体を備える。 画像形成装置の構成の別の例を示す図であり、この画像形成装置は本発明の実施形態に係る電子写真感光体を備える。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数4以上8以下のアルキル基、炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、炭素原子数7以上9以下のアラルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカン、炭素原子数1以上8以下のアルキレン基及び炭素原子数1以上6以下のアルキレン基は、何ら規定していなければ、各々、次の意味である。
ハロゲン原子(ハロゲン基)は、例えば、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)又はヨウ素原子(ヨード基)である。
炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基及び炭素原子数4以上8以下のアルキル基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基又はオクチル基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例のうち、炭素原子数1以上6以下の例である。炭素原子数1以上5以下のアルキル基は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例のうち、炭素原子数1以上5以下の例である。炭素原子数1以上4以下のアルキル基は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例のうち、炭素原子数1以上4以下の例である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例のうち、炭素原子数1以上3以下の例である。炭素原子数4以上8以下のアルキル基は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基の例のうち、炭素原子数4以上8以下の例である。
炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は、例えば、1個以上3個以下の二重結合を有する。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基の例としては、ビニル基(エテニル基)、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ペンタジエニル基、ヘキセニル基又はヘキサジエニル基が挙げられる。
炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基及び炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基又はオクチルオキシ基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基の例のうち、炭素原子数1以上6以下の例である。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又はフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数7以上20以下のアラルキル基及び炭素原子数7以上9以下のアラルキル基は、非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基と、炭素原子数1以上6以下のアルキル基とが結合した基である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基における炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、例えば、フェニルメチル基(ベンジル基)、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基又は4−フェニルブチル基が挙げられる。炭素原子数7以上9以下のアラルキル基の例は、フェニルメチル基(ベンジル基)、2−フェニルエチル基(フェネチル基)、1−フェニルエチル基又は3−フェニルプロピル基である。
炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基は、非置換である。炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基又はシクロデシル基が挙げられる。
炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンの例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン又はシクロヘプタンが挙げられる。
炭素原子数1以上8以下のアルキレン基及び炭素原子数1以上6以下のアルキレン基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上8以下のアルキレン基の例は、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、n−ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルエチレン基、エチルメチルメチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基又はオクチレン基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキレン基の例は、炭素原子数1以上8以下のアルキレン基の例のうち、炭素原子数1以上6以下の例である。
<1.感光体>
本実施形態は電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)に関する。感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。本実施形態の感光体によれば、電位安定性及び耐クラック性を向上させ、露光メモリーを抑制することができる。
高速で画像を形成する場合には、感光体の感度を高める必要がある。そのためには、感光体の感光層に電荷発生剤及び正孔輸送剤をなるべく多く含有させること好ましい。しかし、感光層に多量の電荷発生剤及び多量の正孔輸送剤を含有させた感光体は、画像形成において感光体の帯電を繰り返すと、感光体の帯電電位が徐々に低下する傾向がある。つまり、感光体の電位安定性が低下する傾向がある。また、感光層に多量の電荷発生剤及び多量の正孔輸送剤を含有させた感光体には、露光メモリーが発生することがある。露光メモリーは、露光によって電位が低下した感光体の露光領域(画像領域)が、次の周の帯電工程において所望の正極性の電位まで帯電されない現象である。感光体に露光メモリーが発生すると、形成画像にポジゴーストが発生する。ポジゴーストは、形成画像において、感光体の前の周の露光領域に対応する領域が黒ずむ画像不良である。
ここで、本実施形態の感光体の感光層においては、電子輸送剤の含有量が正孔輸送剤の含有量よりも多い。通常、感光体が電荷発生剤、電子輸送剤及び正孔輸送剤を含有する単層の感光層を備える場合、正孔輸送剤の含有量が、電子輸送剤の含有量よりも多い。理解を容易にするために、その理由を説明する。画像形成において感光体を露光すると、感光層中の電荷発生剤から電子及び正孔が発生する。発生した電子は、電子輸送剤によって感光層の表面へ輸送される。発生した正孔は、正孔輸送剤によって導電性基体へ輸送される。露光した光の透過率は、感光層の表面付近では高く、感光層の深部(導電性基体側)では低くなる。そのため、露光した光の透過率が高い感光層の表面付近に存在する電荷発生剤から、多くの電子及び正孔が発生する傾向がある。感光層の表面付近に存在する電荷発生剤から電子及び正孔が発生した場合、導電性基体までの正孔の移動距離は、感光層の表面までの電子の移動距離よりも長い。そのため、正孔輸送剤を、電子輸送剤よりも多く含有させることが一般的である。しかし、本発明者らは鋭意検討し、電子輸送剤の含有量を正孔輸送剤の含有量よりも多くすることで、感光体の電位安定性を向上できること及び露光メモリーの発生を抑制できることを見出した。
しかし、感光層に含有される電子輸送剤、正孔輸送剤及び電荷発生剤が多くなると、感光層にクラックが発生することがある。バインダー樹脂中に電子輸送剤、正孔輸送剤及び電荷発生剤が存在することにより、バインダー樹脂にクラックが発生し易くなるからである。ここで、本実施形態の感光層は、添加剤として、一般式(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)又は(ADD6)で表される化合物(以下、化合物(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)又は(ADD6)と記載することがある)を含有する。更に、化合物(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)又は(ADD6)の含有量が、100質量部のバインダー樹脂に対して、10質量部以上40質量部以下である。これらにより、感光層内に生じた微細な空隙が、化合物(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)又は(ADD6)によって埋められると考えられる。その結果、感光体の耐クラック性を向上させることができる。
以下、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体30の構造について説明する。図1は、本実施形態に係る感光体30の一例を示す断面図である。
図1(a)に示すように、感光体30は、例えば、導電性基体32と感光層34とを備える。感光層34は単層である。感光体30は、単層の感光層34を備えるいわゆる単層型感光体である。
図1(b)に示すように、感光体30は、導電性基体32と、感光層34と、中間層36(下引き層)とを備えてもよい。中間層36は、導電性基体32と感光層34との間に設けられる。図1(a)に示すように、感光層34は導電性基体32上に直接設けられてもよいし、図1(b)に示すように、感光層34は導電性基体32上に中間層36を介して間接的に設けられてもよい。
図1(c)に示すように、感光体30は、導電性基体32と、感光層34と、保護層38とを備えてもよい。保護層38は、感光層34上に設けられる。
感光層34の厚さは、感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。感光層34の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層34は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、添加剤とを含有する。添加剤は、一般式(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)又は(ADD6)で表される化合物である。以下、一般式(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)及び(ADD6)で表される化合物を、各々、化合物(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)及び(ADD6)と記載することがある。電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、添加剤とは、一層(単層)の感光層34に含有される。
以上、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体30の構造について説明した。次に、感光体の要素について説明する。
<1−1.導電性基体>
導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で構成される被覆層を備える導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼又は真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<1−2.感光層>
感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、添加剤である化合物(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)又は(ADD6)とを含有する。感光層において、電子輸送剤の含有量は、正孔輸送剤の含有量よりも多い。感光層に含有される正孔輸送剤の質量(MHTM)に対する電子輸送剤の質量(METM)の比率(METM/MHTM)は、1.00より大きい。電子輸送剤の含有量が正孔輸送剤の含有量よりも多いことで、感光体の電位安定性を向上させることができる。また、電子輸送剤の含有量が正孔輸送剤の含有量よりも多いことで、形成画像における露光メモリーの発生を抑制することができる。比率(METM/MHTM)は、1.00より大きく1.50以下であることが好ましい。なお、感光層が2種以上の電子輸送剤を含有する場合には、比率(METM/MHTM)は、感光層に含有される正孔輸送剤の質量(MHTM)に対する2種以上の電子輸送剤の合計質量(METM)の比率に相当する。
(添加剤)
添加剤は、化合物(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)又は(ADD6)である。化合物(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)及び(ADD6)は、各々、クラック抑制剤である。
化合物(ADD1)は、一般式(ADD1)で表される。
Figure 0006558334
一般式(ADD1)中、R111及びR112は、各々独立して、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又はニトロ基を表す。m1及びm2は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。
m1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR111は、同一であっても異なっていてもよい。m2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR112は、同一であっても異なっていてもよい。
一般式(ADD1)中のR111及びR112が表わす炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。
一般式(ADD1)中のR111及びR112が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、メチル基が好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい。このような炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。
m1及びm2は、各々独立して、0又は1を表すことが好ましい。m1は0を表すことが好ましい。m2は1を表すことが好ましい。
111及びR112の結合位置は特に限定されない。R111は、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに位置してもよい。R112は、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに位置してもよく、メタ位に位置することが好ましい。
一般式(ADD1)中のR111及びR112は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、フェノール基を表すことがより好ましい。
化合物(ADD1)の好適な例は、化学式(ADD1−1)で表される化合物(以下、化合物(ADD1−1)と記載することがある)である。
Figure 0006558334
化合物(ADD2)は、一般式(ADD2)で表される。
Figure 0006558334
一般式(ADD2)中、R121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128及びR129は、各々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。
一般式(ADD2)中のR121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128及びR129が表わすハロゲン原子としては、クロロ基が好ましい。
一般式(ADD2)中のR121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128及びR129が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はtert−ブチル基がより好ましい。
化合物(ADD2)の好適な例は、化学式(ADD2−1)で表される化合物(以下、化合物(ADD2−1)と記載することがある)である。
Figure 0006558334
化合物(ADD3)は、一般式(ADD3)で表される。
Figure 0006558334
一般式(ADD3)中、R131、R132及びR133は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。n1、n2及びn3は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。
n1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR131は同一であっても異なっていてもよい。n2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR132は同一であっても異なっていてもよい。n3が2以上5以下の整数を表す場合、複数のR133は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(ADD3)中のR131、R132及びR133が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、メチル基が好ましい。
一般式(ADD3)中のR131、R132及びR133が表わす炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
一般式(ADD3)中のR131、R132及びR133は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。一般式(ADD3)中のn1、n2及びn3は、各々、1を表すことが好ましい。
131、R132及びR133の結合位置は特に限定されない。R131は、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに位置してもよく、パラ位に位置することが好ましい。R132は、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに位置してもよく、パラ位に位置することが好ましい。R133は、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに位置してもよく、パラ位に位置することが好ましい。
化合物(ADD3)の好適な例は、化学式(ADD3−1)で表される化合物(以下、化合物(ADD3−1)と記載することがある)である。
Figure 0006558334
化合物(ADD4)は、一般式(ADD4)で表される。化合物(ADD4)は、いわゆるヒンダードフェノール化合物である。
Figure 0006558334
一般式(ADD4)中、R141は、水素原子又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。R142、R143、R145及びR146は、各々独立して、水素原子又は炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表す。但し、R142、R143、R145及びR146の少なくとも1つは、炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表す。R144は、−R147−CO−O−R148−を表し、R147及びR148は各々独立して炭素原子数1以上8以下のアルキレン基を表す。
一般式(ADD4)中のR141が表わす炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、オクチル基が好ましい。
一般式(ADD4)中のR142、R143、R145及びR146が表わす炭素原子数4以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数4又は5のアルキル基が好ましく、tert−ブチル基又は1,1−ジメチルプロピル基がより好ましい。
一般式(ADD4)中のR144は、−R147−CO−O−R148−を表す。R147及びR148は各々炭素原子数1以上8以下のアルキレン基を表す。R147及びR148が表わす炭素原子数1以上8以下のアルキレン基としては、メチレン基(−CH2−)又はエチレン基(−CH2−CH2−)が好ましい。
一般式(ADD4)中、R141は、水素原子を表すことが好ましい。R142、R143、R145及びR146は、各々独立して、水素原子又は炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表す。R142、R143、R145及びR146の1つ又は2つが炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、R142、R143、R145及びR146の1つが炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表すことがより好ましい。R144は、−R147−CO−O−R148−を表す。R147及びR148は各々独立してメチレン基(−CH2−)又はエチレン基(−CH2−CH2−)を表すことが好ましい。
化合物(ADD4)の好適な例は、化学式(ADD4−1)で表される化合物(以下、化合物(ADD4−1)と記載することがある)である。
Figure 0006558334
化合物(ADD5)は、一般式(ADD5)で表される。化合物(ADD5)は、いわゆるヒンダードフェノール化合物である。
Figure 0006558334
一般式(ADD5)中、R151は、水素原子又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。R152、R153、R155及びR156は、各々独立して、水素原子又は炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表す。但し、R152、R153、R155及びR156の少なくとも1つは、炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表す。R154は、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上20以下のアルコキシカルボニル基を有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。
一般式(ADD5)中のR151が表わす炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、オクチル基が好ましい。
一般式(ADD5)中のR152、R153、R155及びR156が表わす炭素原子数4以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数4又は5のアルキル基が好ましく、tert−ブチル基又は1,1−ジメチルプロピル基がより好ましい。
一般式(ADD5)中のR154が表わす炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基としては、メトキシ基又はオクチルオキシ基が好ましい。
一般式(ADD5)中のR154が表わす炭素原子数1以上8以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基が好ましい。炭素原子数1以上8以下のアルキル基は、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上20以下のアルコキシカルボニル基を有していてもよい。炭素原子数1以上8以下のアルキル基が有する炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。炭素原子数1以上8以下のアルキル基が有する炭素原子数1以上20以下のアルコキシカルボニル基としては、オクタデカノキシカルボニル基が好ましい。
一般式(ADD5)中のR151は、水素原子を表すことが好ましい。R152、R153、R155及びR156は、各々独立して、水素原子又は素原子数4以上8以下のアルキル基を表す。R152、R153、R155及びR156の1つ又は2つが炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、R152、R153、R155及びR156の2つが炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表すことがより好ましい。R154は、炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが特に好ましい。
化合物(ADD5)の好適な例は、化学式(ADD5−1)で表される化合物(以下、化合物(ADD5−1)と記載することがある)である。
Figure 0006558334
化合物(ADD6)は、一般式(ADD6)で表される。
Figure 0006558334
一般式(ADD6)中、R161及びR162は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。p1及びp2は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。
p1が2以上5以下の整数を表す場合には、複数のR161は同一であっても異なっていてもよい。p2が2以上5以下の整数を表す場合には、複数のR162は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(ADD6)中のR161及びR162としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(ADD6)中のp1及びp2は、各々、1を表すことが好ましい。
161及びR162の結合位置は特に限定されない。R161は、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに位置してもよく、オルト位に位置することが好ましい。R162は、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに位置してもよく、オルト位に位置することが好ましい。
化合物(ADD6)の好適な例は、化学式(ADD6−1)で表される化合物(以下、化合物(ADD6−1)と記載することがある)である。
Figure 0006558334
添加剤である化合物(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)又は(ADD6)の含有量は、100質量部のバインダー樹脂に対して、10質量部以上40質量部以下であることが好ましい。添加剤の含有量が100質量部のバインダー樹脂に対して10質量部未満であると、感光体の電位安定性及び耐クラック性が低下する。添加剤の含有量が100質量部のバインダー樹脂に対して40質量部超であると、感光体の耐クラック性が低下する。
感光層は、化合物(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)又は(ADD6)に加えて、化合物(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)及び(ADD6)以外の添加剤(以下、その他の添加剤と記載することがある)を含有してもよい。その他の添加剤は、公知の添加剤から適宜選択される。化合物(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)又は(ADD6)の含有量は、感光層に含有される添加剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
(電子輸送剤)
電子輸送剤の例としては、キノン化合物、ジイミド化合物、ヒドラゾン化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。
電子輸送剤の好適な例は、下記一般式(ET1)、(ET2)、(ET3)、(ET4)又は(ET5)で表される化合物である。以下、一般式(ET1)、(ET2)、(ET3)、(ET4)又は(ET5)で表される化合物を、各々、化合物(ET1)、(ET2)、(ET3)、(ET4)又は(ET5)と記載することがある。
Figure 0006558334
Figure 0006558334
Figure 0006558334
Figure 0006558334
Figure 0006558334
一般式(ET1)、(ET2)、(ET4)及び(ET5)中、R1、R2、R3、R4、R5、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。一般式(ET2)中、Wは、−CO−O−又は−CO−を表す。
一般式(ET3)中、R6及びR7は、各々独立して、炭素原子数6以上14以下のアリール基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;フェニルカルボニル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;炭素原子数7以上20以下のアラルキル基;炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有してもよい炭素原子数1以上8以下のアルキル基;及び炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される基を表す。選択される基は、1つ以上のハロゲン原子で置換されてもよい。
一般式(ET1)、(ET2)、(ET4)及び(ET5)中のR1、R2、R3、R4、R5、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14で表されるハロゲン原子(ハロゲン基)は、塩素原子(クロロ基)であることが好ましい。
一般式(ET1)、(ET2)、(ET4)及び(ET5)中のR1、R2、R3、R4、R5、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14で表される炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基が好ましく、メチル基、tert−ブチル基又は1,1−ジメチルプロピル基がより好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基は置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を更に有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又はシアノ基が挙げられる。炭素原子数1以上6以下のアルキル基が有する置換基としては、炭素原子数6以上14以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。置換基の数は、特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。置換基としての炭素原子数6以上14以下のアリール基が更に有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数2以上7以下のアルカノイル基(炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するカルボニル基)、ベンゾイル基、フェノキシ基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基(炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有するカルボニル基)又はフェノキシカルボニル基が挙げられる。
一般式(ET1)、(ET2)、(ET4)及び(ET5)中のR1、R2、R3、R4、R5、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14で表される炭素原子数2以上6以下のアルケニル基は置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又はシアノ基が挙げられる。置換基の数は、特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
一般式(ET1)、(ET2)、(ET4)及び(ET5)中のR1、R2、R3、R4、R5、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14で表される炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又はシアノ基が挙げられる。置換基の数は、特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
一般式(ET1)、(ET2)、(ET4)及び(ET5)中のR1、R2、R3、R4、R5、R8、R9、R10、R11、R12、R13及びR14で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は置換基を有してもよい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、炭素原子数2以上7以下のアルカノイル基(炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するカルボニル基)、ベンゾイル基、フェノキシ基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基(炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を有するカルボニル基)、フェノキシカルボニル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基又はビフェニル基が挙げられる。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又はニトロ基が好ましく、メチル基、エチル基又はニトロ基がより好ましい。置換基の数は、特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
一般式(ET1)中のR1及びR2は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましい。R1及びR2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基のうちの同一の基を表してもよく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基のうちの異なる基を表してもよい。R1及びR2の各々は、tert−ブチル基又は1,1−ジメチルプロピル基を表すことが好ましく、1,1−ジメチルプロピル基を表すことがより好ましい。
一般式(ET2)中のR3、R4及びR5は、各々独立して、水素原子、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又はニトロ基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましい。R3、R4及びR5は、各々独立して、水素原子、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことがより好ましい。R3は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、フェニル基を有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことがより好ましく、フェニルメチル基を表すことが特に好ましい。R4は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、フェニル基を表すことがより好ましい。R5は、水素原子を表すことが好ましい。一般式(ET2)中のWは、−CO−O−を表すことが好ましい。
化合物(ET3)は、条件(3−A)又は(3−B)を満たすことが好ましく、条件(3−B)を満たすことがより好ましい。
以下、条件(3−A)について説明する。条件(3−A)を満たす場合において、一般式(ET3)中のR6及びR7は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。
化合物(ET3)が条件(3−A)を満たす場合、R6及びR7が表わす炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。R6及びR7が表わす炭素原子数6以上14以下のアリール基は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ(好ましくは1つ又は2つ)有してもよい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。R6及びR7が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基の例は、2−エチル−6−メチルフェニル基である。
以下、条件(3−B)について説明する。条件(3−B)を満たす場合において、一般式(ET3)中のR6及びR7は、各々独立して、炭素原子数6以上14以下のアリール基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;フェニルカルボニル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;炭素原子数7以上20以下のアラルキル基;炭素原子数1以上8以下のアルキル基;及び炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基からなる群より選択される基を表す。このような群から選択される基は1つ以上のハロゲン原子で置換されてもよい。R6及びR7のうち少なくとも一方が1つ以上のハロゲン原子を有する。つまり、条件(3−B)を満たす化合物(ET3)はハロゲン原子を必須で有する。
化合物(ET3)が条件(3−B)を満たす場合、一般式(ET3)中、R6及びR7が表す炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基(好ましくは炭素原子数1以上3以下のアルキル基)又はフェニルカルボニル基が挙げられる。このような置換基としては、塩素原子、メチル基、エチル基又はフェニルカルボニル基が好ましい。置換基の数は、1以上3以下の整数であることが好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基がフェニル基である場合、フェニル基における置換基の位置は、例えば、フェニル基が窒素原子と結合する位置に対して、オルト位(o位)、メタ位(m位)、パラ位(p位)又はこれらの少なくとも2つが挙げられる。置換基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基の一例は、1つ以上(好ましくは1つ以上3つ以下)のハロゲン原子で置換されてもよく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基である。1つ以上のハロゲン原子で置換されてもよく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基の好適な例は、2,6−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基又は2−エチル−6−メチルフェニル基である。置換基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基の別の例は、1つ以上(好ましくは1つ以上3つ以下)のハロゲン原子で置換されてもよく、フェニルカルボニル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基である。1つ以上のハロゲン原子で置換されてもよく、フェニルカルボニル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基の好適な例は、4−クロロ−2−フェニルカルボニルフェニル基である。
化合物(ET3)が条件(3−B)を満たす場合、一般式(ET3)中、R6及びR7が表す炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、炭素原子数7以上9以下のアラルキル基が好ましく、1−フェニルエチル基がより好ましい。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、フェニルカルボニル基を有してもよい。炭素原子数7以上20以下のアラルキル基は、1つ以上のハロゲン原子で置換されてもよい。ハロゲン原子を有する炭素原子数7以上20以下のアラルキル基としては、例えば、1−(2,4−ジクロロフェニル)エチル基が挙げられる。
条件(3−B)を満たす化合物(ET3)としては、一般式(ET3)中のR6及びR7が以下のとおりである化合物が好ましい。R6及びR7は、各々独立して、炭素原子数6以上14以下のアリール基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;フェニルカルボニル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基;及び炭素原子数7以上20以下のアラルキル基からなる群より選択される基を表す。選択される基は1つ以上のハロゲン原子で置換されてもよい。R6及びR7のうち少なくとも一方が1つ以上のハロゲン原子を有する。つまり、条件(3−B)を満たす化合物(ET3)の好適な例はハロゲン原子を必須で有する。
なお、条件(3−B)を満たす化合物(ET3)は、実施例に記載の方法又はその代替法によって製造することができる。
一般式(ET4)中のR8、R9、R10及びR11は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基、tert−ブチル基を表すことがより好ましい。
一般式(ET5)中のR12及びR13は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、イソプロピル基又はtert−ブチル基を表すことがより好ましく、tert−ブチル基を表すことが特に好ましい。一般式(ET5)中のR14は、ハロゲン原子を表すことが好ましく、塩素原子(クロロ基)を表すことがより好ましい。
化合物(ET1)の好適な例は、化学式(ET1−1)で表される化合物である。化合物(ET2)の好適な例は、化学式(ET2−1)で表される化合物である。条件(3−A)を満たす化合物(ET3)の好適な例は、化学式(ET3−A1)で表される化合物である。条件(3−B)を満たす化合物(ET3)の好適な例は、化学式(ET3−B1)、(ET3−B2)又は(ET3−B3)で表される化合物である。化合物(ET4)の好適な例は、化学式(ET4−1)で表される化合物である。化合物(ET5)の好適な例は、化学式(ET5−1)で表される化合物である。以下、化学式(ET1−1)、(ET2−1)、(ET3−A1)、(ET3−B1)、(ET3−B2)、(ET3−B3)、(ET4−1)及び(ET5−1)で表される化合物を、各々、化合物(ET1−1)、(ET2−1)、(ET3−A1)、(ET3−B1)、(ET3−B2)、(ET3−B3)、(ET4−1)及び(ET5−1)と記載することがある。
Figure 0006558334
Figure 0006558334
Figure 0006558334
Figure 0006558334
Figure 0006558334
Figure 0006558334
Figure 0006558334
Figure 0006558334
電子輸送剤は、化合物(ET1)、(ET2)、(ET3)、(ET4)及び(ET5)のうちの2種以上であることが好ましく、2種であることがより好ましい。感光層が電子輸送剤としての化合物(ET1)、(ET2)、(ET3)、(ET4)及び(ET5)のうちの2種以上を含むことで、感光層を形成するための溶剤に対する電子輸送剤の溶解性を向上させることができる。これにより、感光層を形成するための溶剤に多くの電子輸送剤を溶解させることができ、感光層中の電子輸送剤の含有量を多くすることができる。その結果、感光体の電位安定性を向上させることができ、露光メモリーの発生を抑制することができる。なお、化合物(ET1)、(ET2)、(ET3)、(ET4)及び(ET5)から2種を選択する場合、一の一般式(例えば、一般式(ET1)〜(ET5)の何れか)で表される異なる種類の化合物を2種選択してもよい。化合物(ET1)、(ET2)、(ET3)、(ET4)及び(ET5)から2種を選択する場合、一の一般式(例えば、一般式(ET1)〜(ET5)の何れか)で表される化合物を1種選択し、他の一般式で表される化合物を1種選択してもよい。
感光体の電位安定性及び耐クラック性を向上させ、露光メモリーの発生を抑制するためには、感光層は、電子輸送剤として、次に示す組み合わせの2種の化合物を含むことが好ましい。
化合物(ET1)及び化合物(ET2);
化合物(ET1)及び条件(3−A)を満たす化合物(ET3);
化合物(ET1)及び化合物(ET4);
化合物(ET1)及び化合物(ET5);
化合物(ET4)及び化合物(ET5);
化合物(ET2)及び化合物(ET5);
条件(3−A)を満たす化合物(ET3)及び化合物(ET5);又は
条件(3−B)を満たす化合物(ET3)及び化合物(ET1)。
感光体の電位安定性及び耐クラック性を向上させ、露光メモリーの発生を抑制するためには、感光層は、電子輸送剤として、次に示す組み合わせの2種の化合物を含むことがより好ましい。
化合物(ET1)及び化合物(ET4);
化合物(ET1)及び化合物(ET5);
化合物(ET4)及び化合物(ET5);又は
条件(3−B)を満たす化合物(ET3)及び化合物(ET1)。
感光体の電位安定性及び耐クラック性を向上させ、露光メモリーの発生を抑制するためには、感光層は、電子輸送剤として、次に示す組み合わせの2種の化合物を含むことが更に好ましい。
条件(3−B)を満たす化合物(ET3)及び化合物(ET1)。
感光体の電位安定性を向上させ且つ露光メモリーの発生を抑制しつつ、感光体の耐クラック性を特に向上させるためには、感光層は、次に示す組み合わせの1種の添加剤と2種の電子輸送剤とを含むことが好ましい。
添加剤が化合物(ADD2)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET1)及び(ET4)である;
添加剤が化合物(ADD5)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET1)及び(ET4)である;
添加剤が化合物(ADD2)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET1)及び(ET5)である;
添加剤が化合物(ADD2)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET4)及び(ET5)である;
添加剤が化合物(ADD3)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET4)及び(ET5)である;
添加剤が化合物(ADD5)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET4)及び(ET5)である;
添加剤が化合物(ADD6)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET4)及び(ET5)である;或いは
添加剤が化合物(ADD2)であり、2種の電子輸送剤が条件(3−B)を満たす化合物(ET3)及び化合物(ET1)である。
感光体の耐クラック性及び電位安定性を特に向上させるためには、感光層は、次に示す組み合わせの1種の添加剤と2種の電子輸送剤とを含むことが好ましい。
添加剤が化合物(ADD2)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET1)及び(ET4)である;
添加剤が化合物(ADD2)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET1)及び(ET5)である;
添加剤が化合物(ADD2)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET4)及び(ET5)である;或いは
添加剤が化合物(ADD2)であり、2種の電子輸送剤が条件(3−B)を満たす化合物(ET3)及び化合物(ET1)である。
感光体の電位安定性及び耐クラック性の向上、並びに形成画像における露光メモリーの発生の抑制をバランス良く達成するためには、感光層は、次に示す組み合わせの1種の添加剤と2種の電子輸送剤とを含むことが好ましい。
添加剤が化合物(ADD2)であり、2種の電子輸送剤が条件(3−B)を満たす化合物(ET3)及び化合物(ET1)である。
感光体の電位安定性及び耐クラック性の向上、並びに形成画像における露光メモリーの発生の抑制をバランス良く達成するためには、感光層は、次に示す組み合わせの1種の添加剤と2種の電子輸送剤とを含むことが好ましい。
添加剤が化合物(ADD2−1)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET3−B1)及び化合物(ET1)である;
添加剤が化合物(ADD2−1)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET3−B2)及び化合物(ET1)である;或いは
添加剤が化合物(ADD2−1)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET3−B3)及び化合物(ET1)である。
感光体の電位安定性及び耐クラック性を向上させ、露光メモリーの発生を抑制するための別の好適な例においては、感光層は、次に示す組み合わせの1種の添加剤と2種の電子輸送剤とを含む。
添加剤が化合物(ADD1)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET1)及び(ET2)である;
添加剤が化合物(ADD1)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET1)及び条件(3−A)を満たす(ET3)である;
添加剤が化合物(ADD1)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET1)及び(ET4)である;
添加剤が化合物(ADD1)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET1)及び(ET5)である;
添加剤が化合物(ADD1)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET2)及び(ET5)である;
添加剤が化合物(ADD1)であり、2種の電子輸送剤が化合物(ET4)及び(ET5)である;或いは
添加剤が化合物(ADD1)であり、2種の電子輸送剤が条件(3−A)を満たす化合物(ET3)及び(ET5)である。
1種の電子輸送剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。電子輸送剤が2種以上含有される場合、2種以上の電子輸送剤の合計含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、55質量部以上75質量部以下であることが好ましく、60質量部以上70質量部以下であることがより好ましい。
感光層の質量(ML)に対する電子輸送剤の質量(METM)の比率(METM/ML)は、0.24以上0.30以下であることが好ましい。比率(METM/ML)が0.24以上0.30以下であると、感光体の電位安定性を一層向上させることができる。
(正孔輸送剤)
感光層は、例えば正孔輸送剤を含有する。正孔輸送剤としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体又はジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物又はトリアゾール系化合物が挙げられる。正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正孔輸送剤の好適な例は、下記一般式(HT1)、(HT2)、(HT3)、(HT4)、(HT5)又は(HT6)で表される化合物である。以下、一般式(HT1)、(HT2)、(HT3)、(HT4)、(HT5)及び(HT6)で表される化合物を、各々、化合物(HT1)、(HT2)、(HT3)、(HT4)、(HT5)及び(HT6)と記載することがある。感光層は、正孔輸送剤として、化合物(HT5)を含むことが好ましい。
以下、化合物(HT1)について説明する。
Figure 0006558334
一般式(HT1)中、R20〜R25は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R20〜R25は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基又はエチル基を表すことが特に好ましい。
一般式(HT1)中、a1、a2、a3及びa4は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。a1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR20は、互いに同一でも異なっていてもよい。a2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR21は、互いに同一でも異なっていてもよい。a3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR22は、互いに同一でも異なっていてもよい。a4が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR23は、互いに同一でも異なっていてもよい。a1及びa2は、各々、0を表すことが好ましい。a3及びa4は、各々独立して、1以上5以下の整数を表すことが好ましく、2を表すことがより好ましい。
20〜R23の結合位置は特に限定されない。R20〜R23は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R22及びR23は、各々、フェニル基のオルト位に結合することが好ましい。
一般式(HT1)中、a5及びa6は、各々独立して、0以上4以下の整数を表す。a5が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR24は、互いに同一でも異なっていてもよい。a6が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR25は、互いに同一でも異なっていてもよい。a5及びa6は、各々、0を表すことが好ましい。
24及びR25の結合位置は特に限定されない。R24及びR25は、各々、フェニレン基が結合する窒素原子に対して、オルト位及びメタ位の何れに結合(位置)してもよい。
化合物(HT1)の好適な例は、下記化学式(HT1−1)で表される化合物(以下、化合物(HT1−1)と記載することがある)である。
Figure 0006558334
以下、化合物(HT2)について説明する。
Figure 0006558334
一般式(HT2)中、R26〜R31は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、又は置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基を表す。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基が置換基を有する場合、置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。炭素原子数2以上6以下のアルケニル基が有する置換基の数は、特に限定されないが、3以下であることが好ましく、2であることがより好ましい。
一般式(HT2)中、b1、b2、b3及びb4は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。b1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR26は、互いに同一でも異なっていてもよい。b2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR27は、互いに同一でも異なっていてもよい。b3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR28は、互いに同一でも異なっていてもよい。b4が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR29は、互いに同一でも異なっていてもよい。b1及びb2の一方は2を表し、他方は0又は1を表すことが好ましい。b3及びb4の一方は2を表し、他方は0又は1を表すことが好ましい。
26〜R29の結合位置は特に限定されない。R26〜R29は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R26〜R29は、各々、フェニル基のオルト位又はパラ位に結合することが好ましい。
一般式(HT2)中、b5及びb6は、各々独立して、0以上4以下の整数を表す。b5が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR30は、互いに同一でも異なっていてもよい。b6が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR31は、互いに同一でも異なっていてもよい。b5及びb6は、各々、0を表すことが好ましい。
30及びR31の結合位置は特に限定されない。R30及びR31は、各々、フェニレン基が結合する窒素原子に対して、オルト位及びメタ位の何れに結合(位置)してもよい。
b1が2を表しb2が0又は1を表す場合、2個のR26は、各々独立して炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基及びエチル基、又は2個のメチル基を表すことがより好ましい。b1が2を表しb2が0又は1を表す場合、R27は、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、2個の炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上6以下のアルケニル基又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、2,2−ジフェニルエテニル基又はメチル基を表すことが更に好ましく、メチル基を表すことが特に好ましい。b1が2を表しb2が0又は1を表す場合、2個のR26はフェニル基の2個のオルト位に結合すること又はフェニル基のオルト位又はパラ位に結合することが好ましく、フェニル基のオルト位又はパラ位に結合することがより好ましい。この場合、R27はフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
b2が2を表しb1が0又は1を表す場合、2個のR27は、各々独立して炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基及びエチル基、又は2個のメチル基を表すことがより好ましい。b2が2を表しb1が0又は1を表す場合、R26は、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、2個の炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上6以下のアルケニル基又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、2,2−ジフェニルエテニル基又はメチル基を表すことが特に好ましい。b2が2を表しb1が0又は1を表す場合、2個のR27はフェニル基の2個のオルト位に結合すること又はフェニル基のオルト位及びパラ位に結合することが好ましく、フェニル基のオルト位及びパラ位に結合することがより好ましい。この場合、R26はフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
b3が2を表しb4が0又は1を表す場合、2個のR28は、各々独立して炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基及びエチル基を表すことがより好ましい。b3が2を表しb4が0又は1を表す場合、R29は、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、2個の炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上6以下のアルケニル基又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、2,2−ジフェニルエテニル基又はメチル基を表すことが更に好ましく、メチル基を表すことが特に好ましい。b3が2を表しb4が0又は1を表す場合、2個のR28はフェニル基の2個のオルト位に結合すること又はフェニル基のオルト位及びパラ位に結合することが好ましく、フェニル基のオルト位及びパラ位に結合することがより好ましい。この場合、R29はフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
b4が2を表しb3が0又は1を表す場合、2個のR29は、各々独立して炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基及びエチル基を表すことがより好ましい。b3が2を表しb4が0又は1を表す場合、R28は、置換基を有してもよい炭素原子数2以上6以下のアルケニル基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、2個の炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数2以上6以下のアルケニル基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことがより好ましく、2,2−ジフェニルエテニル基又はメチル基を表すことが更に好ましく、メチル基を表すことが特に好ましい。b4が2を表しb3が0又は1を表す場合、2個のR29はフェニル基の2個のオルト位に結合すること又はフェニル基のオルト位及びパラ位に結合することが好ましく、フェニル基のオルト位及びパラ位に結合することがより好ましい。この場合、R28はフェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
化合物(HT2)の好適な例は、化学式(HT2−1)又は(HT2−2)で表される化合物である。以下、化学式(HT2−1)及び(HT2−2)で表される化合物を、化合物(HT2−1)及び(HT2−2)と記載することがある。
Figure 0006558334
Figure 0006558334
以下、化合物(HT3)について説明する。
Figure 0006558334
一般式(HT3)中、R32〜R35は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R32〜R34は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが特に好ましい。R35は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、フェニル基を表すことがより好ましい。
一般式(HT3)中、f1、f2及びf3は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。f1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR32は、互いに同一でも異なっていてもよい。f2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR33は、互いに同一でも異なっていてもよい。f3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR34は、互いに同一でも異なっていてもよい。f1は、0又は1を表すことが好ましく、1を表すことがより好ましい。f2は1又は2を表すことが好ましく、1を表すことがより好ましい。f3は、0又は1を表すことが好ましく、0を表すことがより好ましい。
一般式(HT3)中、f4は、0又は1を表す。
32〜R34の結合位置は特に限定されない。R32〜R34は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R32は、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。R33は、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。R34は、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
f2が2を表し、2個のR33がフェニル基の隣接した結合位置(例えば、オルト位とメタ位、又はメタ位とパラ位)に結合する場合、2個のR33が互いに結合して、環を形成してもよい。隣接した2個のR33が互いに結合して形成される環としては、例えば、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンが挙げられる。隣接した2個のR33が互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成する場合、この炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、2個のR33が結合するフェニル基と縮合して二環縮合環基を形成する。この場合、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンとフェニル基との縮合部位は、二重結合を含んでいてもよい。隣接した2個のR33が互いに結合して、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを形成することが好ましく、シクロヘキサンを形成することがより好ましい。
化合物(HT3)の好適な例は、下記化学式(HT3−1)又は(HT3−2)で表される化合物である。以下、化学式(HT3−1)及び(HT3−2)で表される化合物を、各々、化合物(HT3−1)及び(HT3−2)と記載することがある。
Figure 0006558334
Figure 0006558334
以下、化合物(HT4)について説明する。
Figure 0006558334
一般式(HT4)中、R36〜R38は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R36〜R38としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、n−ブチル基を表すことがより好ましい。
一般式(HT4)中、d1、d2及びd3は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。d1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR36は、互いに同一でも異なっていてもよい。d2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR37は、互いに同一でも異なっていてもよい。d3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR38は、互いに同一でも異なっていてもよい。d1は1を表すことが好ましい。d2及びd3は0を表すことが好ましい。
36〜R38の結合位置は特に限定されない。R36〜R38は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R36は、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
化合物(HT4)の好適な例は、下記化学式(HT4−1)で表される化合物(以下、化合物(HT4−1)と記載することがある)である。
Figure 0006558334
以下、化合物(HT5)について説明する。
Figure 0006558334
一般式(HT5)中、R39〜R43は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R39〜R41は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが特に好ましい。R42〜R43は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよいフェニル基を表すことがより好ましく、メチルフェニル基を表すことが更に好ましく、p−メチルフェニル基を表すことが特に好ましい。
一般式(HT5)中、e1、e2及びe3は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。e1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR39は、互いに同一でも異なっていてもよい。e2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR40は、互いに同一でも異なっていてもよい。e3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR41は、互いに同一でも異なっていてもよい。e1、e2及びe3は、各々、1を表すことが好ましい。
39〜R41の結合位置は特に限定されない。R39〜R41は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R39〜R41は、各々、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
化合物(HT5)の好適な例は、下記化学式(HT5−1)で表される化合物(以下、化合物(HT5−1)と記載することがある)である。
Figure 0006558334
以下、化合物(HT6)について説明する。
Figure 0006558334
一般式(HT6)中、R44〜R49は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。R44〜R49は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことがより好ましく、メチル基を表すことが特に好ましい。
一般式(HT6)中、g1、g2、g3及びg4は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。g1が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR44は、互いに同一でも異なっていてもよい。g2が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR45は、互いに同一でも異なっていてもよい。g3が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR46は、互いに同一でも異なっていてもよい。g4が2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のR47は、互いに同一でも異なっていてもよい。g1及びg4は、各々、1を表すことが好ましい。g2及びg3は、各々、0を表すことがより好ましい。
44〜R47の結合位置は特に限定されない。R44〜R47は、各々、フェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合(位置)してもよい。R44及びR47は、各々、フェニル基のパラ位に結合することが好ましい。
一般式(HT6)中、g5及びg6は、各々独立して、0以上4以下の整数を表す。g5が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR48は、互いに同一でも異なっていてもよい。g6が2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のR49は、互いに同一でも異なっていてもよい。g5及びg6は、各々、0を表すことが好ましい。
48及びR49の結合位置は特に限定されない。R48及びR49は、各々、フェニレン基が結合する窒素原子に対して、オルト位及びメタ位の何れに結合(位置)してもよい。
化合物(HT6)の好適な例は、下記化学式(HT6−1)で表される化合物(以下、化合物(HT6−1)と記載することがある)である。
Figure 0006558334
感光層に含有される正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、40質量部以上55質量部以下であることがより好ましい。
(電荷発生剤)
感光層は、電荷発生剤を含有する。電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料又はキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(CG1)で表されるチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
Figure 0006558334
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型又はY型結晶(以下、α型、β型又はY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのV型結晶が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが特に好ましい。また、Y型チタニルフタロシアニンには、電荷発生効率が高く、感光層内に電荷が残留し難いという利点がある。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、26.2°にピークを有しない。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
図2は、本実施形態に係る感光体において用いられるチタニルフタロシアニンのCuKα特性X線回折スペクトルチャートの一例である。図2において、横軸はブラッグ角2θ(°)を示し、縦軸は強度(cps)を示す。図2のCuKα特性X線回折スペクトルチャートから、測定されたチタニルフタロシアニンの結晶型がY型であることを推定できる。
Y型チタニルフタロシアニンは、示差走査熱量分析(DSC)スペクトルにおける熱特性(詳しくは、次に示す熱特性(a)〜(c))の違いによって3種類に分類される。
(a)DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃以下の範囲にピーク(例えば、1つのピーク)を有する。
(b)DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上400℃以下の範囲にピークを有しない。
(c)DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲にピーク(例えば、1つのピーク)を有する。
示差走査熱量分析スペクトルの測定方法の一例について説明する。サンプルパンにチタニルフタロシアニン結晶粉末の評価用試料を載せて、示差走査熱量計(例えば、株式会社リガク製「TAS−200型 DSC8230D」)を用いて示差走査熱量分析スペクトルを測定する。測定範囲は、例えば40℃以上400℃以下であり、昇温速度は、例えば20℃/分である。
図3は、本実施形態に係る感光体において用いられるチタニルフタロシアニンの示差走査熱量分析スペクトルチャートの一例である。具体的には、図2のCuKα特性X線回折スペクトルチャートで示されるチタニルフタロシアニンの示差走査熱量分析スペクトルチャートである。図3において、横軸は温度(℃)を示し、縦軸は熱流束(mcal/秒)を示す。図3の示差走査熱量分析スペクトルチャートでは、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークが観察されず、296℃(270℃以上400℃以下の範囲)に1つのピークが観察される。従って、測定されたチタニルフタロシアニン結晶が、主に熱特性(c)を有するY型チタニルフタロシアニンであることを推定できる。
熱特性(b)及び(c)を有するY型チタニルフタロシアニンは、結晶安定性に優れており、有機溶媒中で結晶転移を起こしにくく、感光層中に分散し易い。電位安定性及び耐クラック性を向上させ、露光メモリーを抑制するためには、熱特性(c)を有するY型チタニルフタロシアニンが好ましい。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。
電荷発生剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。
(バインダー樹脂)
感光層は、バインダー樹脂を含有してもよい。バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ化合物のアクリル酸付加物又はウレタン化合物のアクリル酸付加物が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的特性、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂の例としては、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂又はビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。ポリカーボネート樹脂としては、下記一般式(PC)で表される樹脂(以下、樹脂(PC)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006558334
一般式(PC)中、R50〜R55は、各々独立して、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。但し、R52及びR53は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を形成してもよい。x+y=1.00である。0.00<x≦1.00である。つまり、xは0.00より大きく1.00以下の数である。
一般式(PC)中のR50〜R55が表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(PC)中のR50〜R55が表す炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、フェニル基が好ましい。
一般式(PC)中、R50、R51、R54及びR55は、各々、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は水素原子を表すことが好ましく、水素原子又はメチル基を表すことがより好ましい。R52及びR53は、互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表すことが好ましく、互いに結合してシクロヘキシリデン基を表すことがより好ましい。
樹脂(PC)は、一般式(PC−a)で表される繰返し構造単位(以下、繰返し単位(PC−a)と記載することがある)と、一般式(PC−b)で表される繰返し構造単位(以下、繰返し単位(PC−b)と記載することがある)とを含む。なお、一般式(PC−a)中のR50〜R53は、各々一般式(PC)中のR50〜R53と同義である。一般式(PC−b)中のR54及びR55は、各々一般式(PC)中のR54及びR55と同義である。
Figure 0006558334
Figure 0006558334
一般式(PC)中、xは、樹脂(PC)における全繰返し単位の物質量(モル数)に対する、繰返し単位(PC−a)の物質量(モル数)の比率(モル分率)を表す。yは、樹脂(PC)における全繰返し単位の物質量(モル数)に対する、繰返し単位(PC−b)の物質量(モル数)の比率(モル分率)を表す。
樹脂(PC)は、繰返し単位(PC−a)と繰返し単位(PC−b)とがランダムに共重合したランダム共重合体であってもよい。或いは、樹脂(PC)は、繰返し単位(PC−a)と繰返し単位(PC−b)とが交互に共重合した交互共重合体であってもよい。或いは、樹脂(PC)は、1以上の繰返し単位(PC−a)と、1以上の繰返し単位(PC−b)とが周期的に共重合した周期的共重合体であってもよい。或いは、樹脂(PC)は、複数の繰返し単位(PC−a)からなるブロックと、複数の繰返し単位(PC−b)からなるブロックとが共重合したブロック共重合体であってもよい。
樹脂(PC)は、末端基として下記一般式(PC−e)又は(PC−f)で表される基を有していてもよい。
Figure 0006558334
一般式(PC−e)中、R56は、−CO−O−又は−O−を表す。但し、繰返し単位(PC−a)又は繰返し単位(PC−b)のエーテル部位(−O−)と結合するとき、R56は−CO−O−を表す。繰返し単位(PC−a)又は繰返し単位(PC−b)のエステル部位(−CO−O−)と結合するとき、R56は−O−を表す。R57及びR58は、各々独立して、ハロゲン原子を少なくとも1個(好ましくは、1個以上12個以下)有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキレン基を表す。R57及びR58としては、ハロゲン原子を2個以上4個以下有する炭素原子数メチレン基又はエチレン(−CH2−CH2−)基が好ましい。R59は、ハロゲン原子を少なくとも1個(好ましくは、1個以上13個以下)有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。R59としては、ハロゲン原子を1個以上9個以下有する炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、ハロゲン原子を9個有する2−メチルプロピル基がより好ましい。
Figure 0006558334
一般式(PC−f)中、R56は、−CO−O−又は−O−を表す。但し、繰返し単位(PC−a)又は繰返し単位(PC−b)のエーテル部位(−O−)と結合するとき、R56は−CO−O−を表す。繰返し単位(PC−a)又は繰返し単位(PC−b)のエステル部位(−CO−O−)と結合するとき、R56は−O−を表す。R60は、ハロゲン原子を少なくとも1個(好ましくは、1個以上13個以下)有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。R60としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基がより好ましく、tert−ブチル基が特に好ましい。
樹脂(PC)の具体例としては、下記一般式(PC−1)、一般式(PC−2)又は化学式(PC−3)で表されるポリカーボネート樹脂が挙げられる。以下、下記化学式(PC−1)、一般式(PC−2)及び化学式(PC−3)で表されるポリカーボネート樹脂を、各々、ポリカーボネート樹脂(PC−1)、(PC−2)及び(PC−3)と記載することがある。
Figure 0006558334
Figure 0006558334
一般式(PC−2)中、x2+y2=1.00である。x2は0.56以上0.62以下の数を表す。y2は0.38以上0.44以下の数を表す。一般式(PC−2)中、x2は、一般式(PC−2)で表されるポリカーボネート樹脂における繰返し単位の合計物質量(モル数)に対する、x2が付された繰返し単位の物質量(モル数)の比率(モル分率)を表す。y2は、一般式(PC−2)で表されるポリカーボネート樹脂における繰返し単位の合計物質量(モル数)に対する、y2が付された繰返し単位の物質量(モル数)の比率(モル分率)を表す。
Figure 0006558334
化学式(PC−3)で表されるポリカーボネート樹脂は、一般式(PC)中のyが0.00であり、xが1.00である樹脂である。化学式(PC−3)で表されるポリカーボネート樹脂は、繰り返し単位(PC−a)のみによって構成される。
バインダー樹脂の製造方法は、樹脂(PC)を製造できれば、特に限定されない。樹脂(PC)の製造方法の一例として、ポリカーボネート樹脂の繰返し単位を構成するためのジオール化合物とホスゲンとを縮重合させる方法(いわゆる、ホスゲン法)が挙げられる。より具体的には、例えば、一般式(PC−c)で表されるジオール化合物と、一般式(PC−d)で表されるジオール化合物と、ホスゲンとを、縮重合させる方法が挙げられる。なお、一般式(PC−c)中のR50〜R53は、各々一般式(PC)中のR50〜R53と同義である。一般式(PC−d)中のR54及びR55は、各々一般式(PC)中のR54及びR55と同義である。樹脂(PC)の製造方法の別の例として、ジオール化合物とジフェニルカーボネートとをエステル交換反応させる方法も挙げられる。
Figure 0006558334
Figure 0006558334
樹脂(PC)を製造するための反応において、所望の末端停止剤を添加することにより、樹脂(PC)に所望の末端基を導入することができる。末端基が下記一般式(PC−e)である場合、末端停止剤として下記一般式(PC−g)で表される化合物を添加する。一般式(PC−g)中のR56〜R59は、各々一般式(PC−e)中のR56〜R59と同義である。末端基が下記一般式(PC−f)である場合、末端停止剤として下記一般式(PC−h)で表される化合物を添加する。一般式(PC−h)中のR56及びR60は、各々一般式(PC−f)中のR56及びR60と同義である。
Figure 0006558334
Figure 0006558334
感光層は、樹脂(PC)に加えて、樹脂(PC)以外のバインダー樹脂を更に含有してもよい。感光層に含有されるバインダー樹脂の質量に対する樹脂(PC)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
感光層の質量(ML)に対する、バインダー樹脂の質量(MRESIN)の比率(MRESIN/ML)は、0.50未満であってもよい。比率(MRESIN/ML)が0.50未満であると、感光層の質量に対するバインダー樹脂以外の材料の質量の比率が大きくなる。具体的には、感光層の質量に対する電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び化合物(ADD1)〜(ADD6)の質量の比率が大きくなる。感光層の質量に対するバインダー樹脂以外の材料の質量の比率が大きくなると、バインダー樹脂にクラックが発生し易く、感光体の耐クラック性が低下する傾向がある。しかし、本実施形態の感光体においては、化合物(ADD1)〜(ADD6)の何れかが所定の含有量で感光層に含有されている。そのため、比率(MRESIN/ML)が0.50未満であっても、感光体の耐クラック性を向上させることができる。比率(MRESIN/ML)は、0.47以下であることがより好ましく、0.40以上0.47以下であることが更に好ましく、0.40以上0.45以下であることが一層好ましい。
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、25,000以上であることが好ましく、25,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が25,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
<1−3.中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子又は非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、各種の添加剤を含有してもよい。
<1−4.感光体の製造方法>
感光体は、例えば、以下のように製造される。感光体は、感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。感光層用塗布液は、電荷発生剤、電子輸送剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂、添加剤である化合物(ADD−1)、(ADD−2)、(ADD−3)、(ADD−4)、(ADD−5)又は(ADD−6)、及び必要に応じて添加される成分(例えば、その他の添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
感光層用塗布液に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
感光層用塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
感光層用塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法又はバーコート法が挙げられる。
感光層用塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
<2.画像形成装置>
次に、図4を参照して、本実施形態に係る感光体30を備える画像形成装置100について説明する。図4は画像形成装置100の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置100は本実施形態に係る感光体30を備える。図4に示す画像形成装置100は、直接転写方式を採用する。なお、中間転写方式を採用する画像形成装置100については、図5を参照して後述する。
画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置100は例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置100がカラー画像形成装置である場合、画像形成装置100は、例えばタンデム方式を採用する。以下、タンデム方式の画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部52とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。なお、画像形成装置100がモノクロ画像形成装置である場合には、画像形成装置100は、画像形成ユニット40aを備え、画像形成ユニット40b〜40dは省略される。
画像形成ユニット40は、感光体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。画像形成ユニット40の中央位置に、感光体30が設けられる。感光体30は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。感光体30の周囲には、帯電部42を基準として感光体30の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48が設けられる。なお、画像形成ユニット40には、クリーニング部(不図示、例えばクリーニングブレード)及び除電部(不図示、例えば除電器)の一方又は両方が更に備えられてもよい。
帯電部42は、感光体30の表面(例えば、周面)を正極性に帯電する。帯電部42は、非接触方式又は接触方式である。非接触方式の帯電部42の例は、コロトロン帯電器又はスコロトロン帯電器である。接触方式の帯電部42の例は、帯電ローラー又は帯電ブラシである。
露光部44は、帯電された感光体30の表面を露光する。これにより、感光体30の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。
露光部44の光源の例は、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)又はエレクトロルミネッセンス(EL)である。所望の波長域の光のみを照射するために、露光部44は、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター又は色温度変換フィルターを更に備えてもよい。画像形成装置100を小型化できることから、露光部44の光源としては、発光ダイオードが好ましい。
現像部46は、感光体30に形成された静電潜像にトナーを供給する。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。感光体30は、トナー像を担持する像担持体に相当する。トナーは、一成分現像剤として用いられてもよい。或いは、トナーと所望のキャリアとを混合して、トナーを二成分現像剤において用いてもよい。トナーが一成分現像剤として用いられる場合、現像部46は、感光体30に形成された静電潜像に、一成分現像剤であるトナーを供給する。トナーが二成分現像剤において用いられる場合、現像部46は、感光体30に形成された静電潜像に、二成分現像剤に含まれるトナーとキャリアとのうちのトナーを供給する。
転写ベルト50は、感光体30と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、感光体30から被転写体へ転写する。画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合、被転写体は記録媒体Pに相当する。画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合、感光体30から記録媒体Pにトナー像が転写されるときに、感光体30は記録媒体Pと接触している。転写部48は、例えば転写ローラーである。
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。
画像形成装置100は、除電部を備えない設計とすることができる。つまり、画像形成装置100は、除電部を備えない除電レス方式を採用することができる。画像形成装置100が直接転写方式及び除電レス方式を採用する場合、感光体30の表面(周面)において、転写部48によって感光体30から被転写体(記録媒体Pに相当)にトナー像が転写された領域は、除電されることなく帯電部42によって再び帯電される。除電部を備えない除電レス方式の画像形成装置100では、露光による感光体の表面電位の低下の影響が残り易く、電位安定性の低下及び露光メモリーの発生が引き起こされ易い。しかし、本実施形態の感光体30によれば、既に述べたように電位安定性を向上させ、露光メモリーの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100が本実施形態の感光体30を備えることにより、画像形成装置100が除電部を備えない場合であっても、露光メモリーの発生を抑制することができる。
定着部52は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部52は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
なお、画像形成装置100は、中間転写方式を採用することもできる。以下、図5を参照して、中間転写方式を採用する画像形成装置100について説明する。図5は、画像形成装置100の構成の別の例を示す図であり、この画像形成装置100は本実施形態に係る感光体30を備える。冗長を避けるために、図4に示す画像形成装置100が備える構成と同じ構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
画像形成装置100が中間転写方式を採用する場合、直接転写方式で説明した転写部48は、一次転写部54及び二次転写部58に相当する。画像形成装置100が中間転写方式を採用する場合、被転写体は、中間転写ベルト56及び記録媒体Pに相当する。一次転写部54は、一次転写バイアス(具体的には、トナーの帯電極性と逆極性を有するバイアス)を中間転写ベルト56に印加する。中間転写ベルト56は、無端状のベルトである。中間転写ベルト56は、矢符(反時計回り)方向に回転する。一次転写バイアスが印加されると、感光体30と一次転写部54との間で、感光体30から中間転写ベルト56へ感光体30の表面に形成されたトナー像が転写(一次転写)される。
二次転写部58は、二次転写バイアス(具体的には、トナー像と逆極性を有するバイアス)を記録媒体Pに印加する。その結果、中間転写ベルト56上に一次転写されたトナー像は、二次転写部58と中間転写ベルト56との間で、中間転写ベルト56から記録媒体Pに転写(二次転写)される。これにより、未定着のトナー像が記録媒体Pに転写される。
画像形成装置100が中間転写方式及び除電レス方式を採用する場合、感光体30の表面(周面)において、一次転写部54によって感光体30から被転写体(中間転写ベルト56に相当)にトナー像が転写された領域は、除電されることなく帯電部42によって再び帯電される。
以上、図4及び図5を参照して、本実施形態の感光体30を備える画像形成装置100について説明した。
<3.プロセスカートリッジ>
次に、図4及び図5を引き続き参照して、本実施形態の感光体30を備えるプロセスカートリッジについて説明する。プロセスカートリッジは、画像形成用のカートリッジである。プロセスカートリッジは、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジは、感光体30を備える。プロセスカートリッジは、感光体30に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48(又は一次転写部54)からなる群より選択される少なくとも1つを備える。プロセスカートリッジには、クリーニング部(不図示)及び除電部(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジには、除電レス方式が採用されていてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、感光体30の感度特性等が劣化した場合に、感光体30を含めて容易かつ迅速に交換することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<感光体の材料>
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、チタニルフタロシアニンを準備した。チタニルフタロシアニンは、実施形態で述べた化学式(CG1)で表される化合物であった。また、このチタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有し、26.2°にピークを有していなかった。このチタニルフタロシアニンは、DSCによる熱特性において、吸着水の気化に伴うピーク以外に50℃以上270℃未満の範囲にピークを有さず、270℃以上400℃以下の範囲に1つのピークを有していた。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、実施形態で述べた化合物(HT5−1)を準備した。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリカーボネート樹脂(PC−3)を準備した。ポリカーボネート樹脂(PC−3)の粘度平均分子量は、30000であった。
(添加剤)
添加剤として、実施形態で述べた化合物(ADD1−1)、(ADD2−1)、(ADD3−1)、(ADD4−1)、(ADD5−1)及び(ADD6−1)を準備した。
(電子輸送剤)
電子輸送剤として、実施形態で述べた化合物(ET1−1)、(ET2−1)、(ET3−A1)、(ET3−B1)、(ET3−B2)、(ET3−B3)、(ET4−1)及び(ET5−1)を準備した。電子輸送剤として、化合物(ET1−1)、(ET2−1)、(ET3−A1)、(ET3−B1)、(ET3−B2)、(ET3−B3)、(ET4−1)及び(ET5−1)のうちの2種を選択して使用した。電子輸送剤を2種使用する場合は、2種の電子輸送剤の各々を、第一電子輸送剤及び第二電子輸送剤と記載する。
なお、化合物(ET3−B1)、(ET3−B2)及び(ET3−B3)は、以下の方法で合成した。
(化合物(ET3−B1)の製造)
反応式(r−4)で表される反応(以下、反応(r−4)と記載することがある)に従って化合物(ET3−B1)を製造した。
Figure 0006558334
反応(r−4)では、化合物(F)(ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物)2.68g(10ミリモル)と、化学式(1G)で表される化合物4.64g(20ミリモル)と、ピコリン50mLとをフラスコに投入し、ピコリン溶液を調製した。フラスコ内容物の温度を100℃に昇温し、100℃に維持して4時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、イオン交換水をフラスコに投入し、クロロホルムで抽出した。有機層の溶媒(ピコリン)を除去し、残渣を得た。得られた残渣を展開溶媒としてクロロホルムを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。これにより、化合物(ET3−B1)を得た。化合物(ET3−B1)の収量は4.16gであり、反応(r−4)における化合物(F)からの化合物(ET3−B1)の収率は60モル%であった。
(化合物(ET3−B3)の製造)
以下の点を変更した以外は、化合物(ET3−B1)の製造と同じ方法で、化合物(ET3−B3)を製造した。化合物(ET3−B3)の製造では、反応(r−4)で使用した化合物(1G)(4.64g、20ミリモル)を化合物(5G)(3.80g、20ミリモル)に変更した。なお、化合物(5G)は、下記化学式(5G)で表される。その結果、化合物(ET3−B1)の代わりに、化合物(ET3−B3)を得た。化合物(ET3−B3)の収量は3.98gであり、反応(r−4)における化合物(F)からの化合物(ET3−B3)の収率は65モル%であった。
Figure 0006558334
(化合物(ET3−B2)の製造)
反応式(r’−1)、(r’−2)及び(r’−3)で表される反応(以下、それぞれ反応(r’−1)、反応(r’−2)及び反応(r’−3)と記載することがある)に従って化合物(ET3−B2)を製造した。
Figure 0006558334
反応(r’−1)では、化合物(1A)3.42g(10ミリモル)と、化合物(2E)1.35g(10ミリモル)と、N,N−ジイソプロピルエチルアミン1.3g(10ミリモル)と、ジオキサン50mLとをフラスコに投入し、ジオキサン溶液を調製した。フラスコ内容物の温度を100℃に昇温し、100℃に維持して2時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、ジオキサンを除去し、残渣を得た。展開溶媒として酢酸エチル/ヘキサン(体積比V/V=1/2)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより得られた残渣を精製した。これにより、化学式(2C’)で表される中間生成物(以下、化合物(2C’)と記載することがある)を得た。
Figure 0006558334
反応(r’−2)では、化合物(2C’)と、トリフルオロ酢酸15mLとをフラスコに投入し、トリフルオロ酢酸溶液を調製した。化合物(2C’)は、反応(r’−1)で得られた全量を反応(r’−2)で使用した。フラスコ内容物の温度を80℃に昇温し、80℃に維持して24時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、トリフルオロ酢酸を除去し、残渣を得た。展開溶媒として酢酸エチル/ヘキサン(体積比V/V=1/4)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより得られた残渣を精製した。これにより、化学式(2D’)で表される中間生成物(以下、化合物(2D’)と記載することがある)を得た。
Figure 0006558334
反応(r’−3)では、化合物(2D’)と、化学式(2B)で表される化合物2.32g(10ミリモル)と、ジイソプロピルエチルアミン1.3g(10ミリモル)と、ジオキサン50mLとをフラスコに投入し、ジオキサン溶液を調製した。フラスコ内容物の温度を100℃に昇温し、100℃に維持して2時間フラスコ内容物を攪拌した。反応後、ジオキサンを除去し、残渣を得た。展開溶媒として酢酸エチルを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより得られた残渣を精製した。これにより、化合物(ET3−B2)を得た。化合物(ET3−B2)の収量は2.69gであり、反応(r’−1)〜(r’−3)における化合物(1A)からの化合物(ET3−B2)の収率は45モル%であった。
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、製造した化合物(ET3−B1)〜(ET3−B3)の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。これらのうち代表例として、(ET3−B1)の化学シフト値を示す。1H−NMRスペクトルの化学シフト値により、(ET3−B1)が得られていることを確認した。化合物(ET3−B2)及び(ET3−B3)についても、1H−NMRスペクトルの化学シフト値から、化合物(ET3−B2)及び(ET3−B3)が得られていることを確認した。
化合物(ET3−B1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=8.70(d, 4H), 7.62−7.75(m, 8H), 7.36−7.55(m, 8H).
<感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(A−1)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)を製造した。
(感光体(A−1)の製造)
容器内に、電荷発生剤3質量部、正孔輸送剤50質量部、第一電子輸送剤としての化合物(ET1−1)30質量部、第二電子輸送剤としての化合物(ET4−1)30質量部、添加剤としての化合物(ADD1−1)10質量部、バインダー樹脂100質量部及びテトラヒドロフラン800質量部を投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。次に導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体)の上に、ディップコート法を用いて、調製した感光層用塗布液を塗布した。これにより、導電性基体上に塗布膜を形成した。塗布膜が形成された導電性基体を100℃で60分間乾燥させて、塗布膜からテトラヒドロフランを除去した。これにより、導電性基体上に、単層の感光層(膜厚25μm)が形成された。その結果、感光体(A−1)が得られた。
(感光体(A−2)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)の製造)
下記(1)〜(7)の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同じ方法で、感光体(A−2)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)の各々を製造した。
(1)感光体(A−1)の製造では50質量部の正孔輸送剤を添加したが、感光体(A−2)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)の各々の製造では表1〜表5に示す量の正孔輸送剤を添加した。
(2)感光体(A−1)の製造では第一電子輸送剤として化合物(ET1−1)を使用したが、感光体(A−2)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)の各々の製造では表1〜表5に示す種類の第一電子輸送剤を使用した。
(3)感光体(A−1)の製造では30質量部の第一電子輸送剤を添加したが、感光体(A−2)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)の各々の製造では表1〜表5に示す量の第一電子輸送剤を添加した。
(4)感光体(A−1)の製造では第二電子輸送剤として化合物(ET4−1)を使用したが、感光体(A−2)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)の各々の製造では表1〜表5に示す種類の第二電子輸送剤を使用した。なお、感光体(B−1)〜(B−9)の製造においては第二電子輸送剤を添加しなかった。
(5)感光体(A−1)の製造では30質量部の第二電子輸送剤を添加したが、感光体(A−2)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)の各々の製造では表1〜表5に示す量の第二電子輸送剤を添加した。
(6)感光体(A−1)の製造では添加剤として化合物(ADD1−1)を使用したが、感光体(A−2)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)の各々の製造では表1〜表5に示す種類の添加剤を使用した。なお、感光体(B−1)、(B−10)及び(B−11)の製造においては、添加剤を添加しなかった。
(7)感光体(A−1)の製造では10質量部の添加剤を添加したが、感光体(A−2)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)の各々の製造では表1〜表5に示す量の添加剤を添加した。
<電位安定性の評価>
感光体(A−1)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)の各々に対して、電位安定性を評価した。電位安定性の評価は、温度10℃且つ相対湿度15%RHの環境下で行った。感光体を、ドラム感度試験機(ジェンテック社製)を用いて、周速125rpmの条件にて、感光体の表面電位V0A(単位:+V)が+750Vになるように帯電させた。次いで、ハロゲンランプの光から単色光(光強度:0.3μJ/cm2)を、バンドパスフィルターを用いて取り出し、取り出された単色光を感光体の表面に80ミリ秒照射(露光)した。この帯電及び露光を1時間繰り返した。1時間繰り返した後、感光体の表面を再び帯電させ、感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、帯電及び露光を1時間繰り返した後の帯電電位V0B(単位:+V)とした。計算式「ΔV0=V0A−V0B」から、ΔV0(単位:V)を算出した。得られたΔV0を表1〜表5に示す。ΔV0が小さい程、感光体の電位安定性が優れていることを示す。
<露光メモリー抑制の評価>
感光体(A−1)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)の各々に対して、露光メモリーの発生が抑制されているか否かを評価した。露光メモリーの発生が抑制されているか否かの評価は、温度25℃且つ相対湿度45%RHの環境下で行った。
まず、感光体を評価機に搭載した。評価機として、モノクロプリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−1300D」)の改造機を用いた。改造機において改造した点は、除電器及びクリーニングブレードを取り外したことであった。つまり、この評価機は、除電レス方式及びクリーナーレス方式を採用していた。また、改造機において更に改造した点は、露光部の光源をLEDに変更したことであった。帯電電位を+750Vに設定した。露光時間を80ミリ秒に設定した。用紙として、富士ゼロックス株式会社製「上質PPC用紙」(A4サイズ)を使用した。評価機に搭載した感光体の動作を安定させるために、印字率4%の画像を5000枚の用紙に連続して印刷した。
続いて、画像A及び画像Bを含む評価用画像を1枚印刷した。画像Aは、白色(画像濃度0%)の背景に、1個の黒色(画像濃度100%)の円型パターンが現された画像であった。画像Aは、感光体の1周目で形成される画像に相当していた。画像Bは、全面ハーフトーン(画像濃度12.5%)の画像であった。画像Bは、感光体の2周目で形成される画像に相当していた。
得られた画像Bを肉眼で観察し、画像Aに由来する画像ゴーストの有無を確認した。なお、感光体に露光メモリーが発生すると、形成画像に画像ゴースト(特にポジゴースト)が発生する。画像ゴーストは、感光体の1周目で印刷された画像Aの黒色の円型パターンに対応する領域が、感光体の2周目で印刷された全面ハーフトーンの画像Bにおいて黒く現れる画像不良である。画像ゴーストの確認結果に基づいて、下記の基準に従って、露光メモリーの発生が抑制されているか否かを評価した。評価結果を、表1〜表5に示す。
(露光メモリー抑制の評価基準)
良好(○):画像ゴーストが、確認されなかった。
不良(×):画像ゴーストが、確認された。
<耐クラック性の評価:クラック発生個数の評価>
感光体(A−1)〜(A−33)及び(B−1)〜(B−16)の各々に対して、耐クラック性を評価した。まず、感光体の表面の10個の測定箇所に、疑似フケを付着させた。疑似フケは、人のフケを疑似的に再現した試作品であった。疑似フケを付着させた感光体を、温度20℃及び相対湿度60%RHの遮光した環境下で、10日間放置した。10日間放置後、感光体の表面に付着させた疑似フケを拭き取った。次いで、光学顕微鏡を用いて、感光体の表面の10個の測定箇所を倍率50倍で観察した。感光体の表面の10個の測定箇所に観察されるクラックの個数を数えた。観察されたクラックの個数を、表1〜表5に示す。なお、クラックの個数が少ない程、耐クラック性が良好であることを示す。
<耐クラック性の評価:画像評価>
クラック発生個数の評価において感光体の表面に付着させた疑似フケを拭き取った感光体を使用して、画像評価を行った。画像評価は、温度25℃且つ相対湿度45%RHの環境下で行った。画像評価で使用した評価機及び用紙は、露光メモリー抑制の評価に使用した評価機及び用紙と同じであった。クラック発生個数の評価において感光体の表面に付着させた疑似フケを拭き取った感光体を、評価機に搭載した。評価機を用いて、画像濃度100%のソリッド画像を1枚の用紙に印刷した。印刷された画像を肉眼で観察し、画像不良の有無を確認した。なお、感光体の表面にクラックが発生すると、形成画像に白筋が発生する画像不良が発生する。画像不良の確認結果から、下記の基準に従って、画像評価を行った。評価結果を、表1〜表5に示す。
(画像評価の評価基準)
○(良好):画像不良が観察されなかった。
×(不良):画像不良が観察された。
表1〜表5中、部、HTM、第一ETM及び第二ETMは、各々、質量部、正孔輸送剤、第一電子輸送剤及び第二電子輸送剤を示す。
表1〜表5中、「METM/MHTM」は、正孔輸送剤の質量(量、単位:質量部)に対する、電子輸送剤の合計質量(合計量、単位:質量部)の比率を示す。METM/MHTMは、下記計算式から算出した。METM/MHTMが1.00よりも大きい場合、電子輸送剤の含有量が正孔輸送剤の含有量よりも多いことを示す。
ETM/MHTM=(第一電子輸送剤の量+第二電子輸送剤の量)/(正孔輸送剤の量)
表1〜表5中、「METM/ML」は、感光層の質量(量、単位:質量部)に対する、電子輸送剤の合計質量(合計量、単位:質量部)の比率を示す。METM/MLは、下記計算式から算出した。
ETM/ML=(第一電子輸送剤の量+第二電子輸送剤の量)/(電荷発生剤の量+バインダー樹脂の量+正孔輸送剤の量+第一電子輸送剤の量+第二電子輸送剤の量+添加剤の量)
表1〜表5中、「MRESIN/ML」は、感光層の質量(量、単位:質量部)に対する、バインダー樹脂の質量(量、単位:質量部)の比率を示す。MRESIN/MLは、下記計算式から算出した。
RESIN/ML=(バインダー樹脂の量)/(電荷発生剤の量+バインダー樹脂の量+正孔輸送剤の量+第一電子輸送剤の量+第二電子輸送剤の量+添加剤の量)
Figure 0006558334
Figure 0006558334
Figure 0006558334
Figure 0006558334
Figure 0006558334
感光体(A−1)〜(A−33)の各々は、導電性基体と感光層とを備えていた。感光層は、単層であり、電荷発生剤と正孔輸送剤と電子輸送剤とバインダー樹脂と添加剤とを含有していた。電子輸送剤の含有量は、正孔輸送剤の含有量よりも多かった。添加剤の含有量は、100質量部のバインダー樹脂に対して、10質量部以上40質量部以下であった。添加剤は、一般式(ADD1)、(ADD2)、(ADD3)、(ADD4)、(ADD5)又は(ADD6)で表される化合物であった。具体的には、添加剤は、化合物(ADD1−1)、(ADD2−1)、(ADD3−1)、(ADD4−1)、(ADD5−1)又は(ADD6−1)であった。そのため、表1〜表3から明らかなように、感光体(A−1)〜(A−33)では、ΔV0が37以下の小さい値であり、感光体の電位安定性が優れていた。また、感光体(A−1)〜(A−33)では、露光メモリー抑制の評価が良好(○)であり、露光メモリーの発生が抑制されていた。更に、感光体(A−1)〜(A−33)では、発生したクラックが2個以下であり、画像評価も良好(○)であり、感光体の耐クラック性が優れていた。
一方、感光体(B−1)の感光層は、添加剤を含有していなかった。感光体(B−1)では、電子輸送剤の含有量が正孔輸送剤の含有量よりも多くなかった。そのため、表4から明らかなように、感光体(B−1)では、感光体の電位安定性及び耐クラック性が劣り、露光メモリーが発生していた。
感光体(B−2)〜(B−9)及び(B−12)〜(B−14)の各々では、電子輸送剤の含有量が正孔輸送剤の含有量よりも多くなかった。そのため、表4及び表5から明らかなように、感光体(B−2)〜(B−9)及び(B−12)〜(B−14)では、感光体の電位安定性が劣り、露光メモリーが発生していた。
感光体(B−10)及び(B−11)の感光層は、添加剤を含有していなかった。そのため、表4及び表5から明らかなように、感光体(B−10)及び(B−11)では、感光体の電位安定性及び耐クラック性が劣っていた。
感光体(B−15)において、添加剤の含有量が100質量部のバインダー樹脂に対して、10質量部未満であった。そのため、表5から明らかなように、感光体(B−15)では、感光体の電位安定性及び耐クラック性が劣っていた。
感光体(B−16)において、添加剤の含有量が100質量部のバインダー樹脂に対して40質量部超であった。そのため、表5から明らかなように、感光体(B−16)では、クラック発生個数の評価において、クラックは発生していなかったが、感光層に凹みが確認された。また、感光層の凹みに起因して、耐クラック性の画像評価において、形成画像に明確な白抜けが確認された。これらのことから、感光体(B−16)は耐クラック性、特に人のフケのような油脂の付着に対する耐油性に劣っていた。
以上のことから、本発明に係る感光体は、電位安定性及び耐クラック性に優れ、露光メモリーを抑制できることが示された。また、本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、電位安定性及び耐クラック性に優れ、露光メモリーを抑制できることが示された。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、記録媒体に画像を形成するために利用することができる。
30 電子写真感光体
32 導電性基体
34 感光層
42 帯電部
44 露光部
46 現像部
48 転写部
100 画像形成装置
P 記録媒体

Claims (14)

  1. 導電性基体と感光層とを備える電子写真感光体であって、
    前記感光層は、単層であり、
    前記感光層は、電荷発生剤と正孔輸送剤と電子輸送剤とバインダー樹脂と添加剤とを含有し、
    前記電子輸送剤の含有量は、前記正孔輸送剤の含有量よりも多く、
    前記添加剤の含有量は、100質量部の前記バインダー樹脂に対して、10質量部以上40質量部以下であり、
    前記電子輸送剤が、2種の前記電子輸送剤であり、
    前記添加剤が一般式(ADD2)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が一般式(ET1)及び一般式(ET4)で表される化合物であるか、
    前記添加剤が一般式(ADD5)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が前記一般式(ET1)及び前記一般式(ET4)で表される化合物であるか、
    前記添加剤が前記一般式(ADD2)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が前記一般式(ET1)及び一般式(ET5)で表される化合物であるか、
    前記添加剤が前記一般式(ADD2)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が前記一般式(ET4)及び前記一般式(ET5)で表される化合物であるか、
    前記添加剤が一般式(ADD3)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が前記一般式(ET4)及び前記一般式(ET5)で表される化合物であるか、
    前記添加剤が前記一般式(ADD5)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が前記一般式(ET4)及び前記一般式(ET5)で表される化合物であるか、
    前記添加剤が一般式(ADD6)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が前記一般式(ET4)及び前記一般式(ET5)で表される化合物であるか、或いは
    前記添加剤が前記一般式(ADD2)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が条件(3−B)を満たす一般式(ET3)で表される化合物及び前記一般式(ET1)で表される化合物である、電子写真感光体。
    Figure 0006558334
    前記一般式(ADD2)中、
    121、R122、R123、R124、R125、R126、R127、R128及びR129は、各々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、ハロゲン原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。
    Figure 0006558334
    前記一般式(ADD3)中、
    131、R132及びR133は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
    n1、n2及びn3は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。
    Figure 0006558334
    前記一般式(ADD5)中、
    151は、水素原子又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表し、
    152、R153、R155及びR156は、各々独立して、水素原子又は炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表し、R152、R153、R155及びR156の少なくとも1つは、炭素原子数4以上8以下のアルキル基を表し、
    154は、ヒドロキシル基、炭素原子数1以上8以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上8以下のアルキル基、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上20以下のアルコキシカルボニル基を有する炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。
    Figure 0006558334
    前記一般式(ADD6)中、
    161及びR162は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
    p1及びp2は、各々独立して、0以上5以下の整数を表す。
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
    前記一般式(ET1)中、R 1 及びR 2 は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(ET3)で表される化合物は、前記条件(3−B)を満たし、
    前記条件(3−B)において、R 6 及びR 7 は、各々独立して、
    炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    炭素原子数1以上6以下のアルキル基を少なくとも1つ有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    フェニルカルボニル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基、
    炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、
    炭素原子数1以上8以下のアルキル基、及び
    炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基
    からなる群より選択される基を表し、選択される前記基は1つ以上のハロゲン原子で置換されてもよく、R 6 及びR 7 のうち少なくとも一方が1つ以上のハロゲン原子を有しており、
    前記一般式(ET4)中、R 8 、R 9 、R 10 及びR 11 は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(ET5)中、R 12 及びR 13 は、各々独立して、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R 14 は、ハロゲン原子を表す。
  2. 記一般式(ADD2)で表される化合物は、下記化学式(ADD2−1)で表される化合物であり、
    前記一般式(ADD3)で表される化合物は、下記化学式(ADD3−1)で表される化合物であり
    前記一般式(ADD5)で表される化合物は、下記化学式(ADD5−1)で表される化合物であり、
    前記一般式(ADD6)で表される化合物は、下記化学式(ADD6−1)で表される化合物である、請求項1に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
  3. 前記一般式(ADD2)、(ADD3)、(ADD5)及び(ADD6)で表される化合物は、クラック抑制剤である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 記正孔輸送剤の質量に対する2種の前記電子輸送剤の合計質量の比率は、1.00より大きく1.50以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記一般式(ET1)で表される化合物は、下記化学式(ET1−1)で表される化合物であり
    前記条件(3−B)を満たす前記一般式(ET3)で表される化合物は、下記化学式(ET3−B1)、(ET3−B2)又は(ET3−B3)で表される化合物であり、
    前記一般式(ET4)で表される化合物は、下記化学式(ET4−1)で表される化合物であり、
    前記一般式(ET5)で表される化合物は、下記化学式(ET5−1)で表される化合物である、請求項1〜4の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
  6. 記添加剤が前記一般式(ADD2)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が前記一般式(ET1)及び前記一般式(ET4)で表される化合物であるか、
    前記添加剤が前記一般式(ADD2)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が前記一般式(ET1)及び前記一般式(ET5)で表される化合物であるか、
    前記添加剤が前記一般式(ADD2)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が前記一般式(ET4)及び前記一般式(ET5)で表される化合物であるか、或いは
    前記添加剤が前記一般式(ADD2)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が前記条件(3−B)を満たす前記一般式(ET3)で表される化合物及び前記一般式(ET1)で表される化合物である、請求項に記載の電子写真感光体。
  7. 記添加剤が前記一般式(ADD2)で表される化合物であり、2種の前記電子輸送剤が前記条件(3−B)を満たす前記一般式(ET3)で表される化合物及び前記一般式(ET1)で表される化合物である、請求項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記条件(3−B)を満たす前記一般式(ET3)で表される化合物は、下記化学式(ET3−B1)、(ET3−B2)又は(ET3−B3)で表される化合物である、請求項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
    Figure 0006558334
  9. 前記感光層の質量に対する前記電子輸送剤の質量の比率は、0.24以上0.30以下である、請求項1〜の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  10. 前記感光層の質量に対する前記バインダー樹脂の質量の比率は、0.50未満である、請求項1〜の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  11. 請求項1〜10の何れか一項に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
  12. 請求項1〜10の何れか一項に記載の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える画像形成装置であって、
    前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を正極性に帯電し、
    前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成し、
    前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像し、
    前記転写部は、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する、画像形成装置。
  13. 前記露光部の光源は、発光ダイオードである、請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記転写部によって前記電子写真感光体から前記被転写体に前記トナー像が転写された前記電子写真感光体の前記表面の領域は、除電されることなく前記帯電部によって再び帯電される、請求項12又は13に記載の画像形成装置。
JP2016188467A 2016-09-27 2016-09-27 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Expired - Fee Related JP6558334B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016188467A JP6558334B2 (ja) 2016-09-27 2016-09-27 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016188467A JP6558334B2 (ja) 2016-09-27 2016-09-27 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018054744A JP2018054744A (ja) 2018-04-05
JP6558334B2 true JP6558334B2 (ja) 2019-08-14

Family

ID=61835682

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016188467A Expired - Fee Related JP6558334B2 (ja) 2016-09-27 2016-09-27 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6558334B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6825584B2 (ja) * 2018-01-31 2021-02-03 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP7067212B2 (ja) * 2018-04-04 2022-05-16 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP7230522B2 (ja) * 2019-01-18 2023-03-01 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP7287108B2 (ja) * 2019-05-17 2023-06-06 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JPWO2020241658A1 (ja) * 2019-05-28 2020-12-03
JP7346974B2 (ja) * 2019-07-24 2023-09-20 富士電機株式会社 電子写真用感光体、その製造方法およびそれを搭載した電子写真装置
JP2021071696A (ja) * 2019-11-01 2021-05-06 キヤノン株式会社 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置

Family Cites Families (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0962014A (ja) * 1995-08-21 1997-03-07 Shindengen Electric Mfg Co Ltd 電子写真感光体
JPH1138661A (ja) * 1997-07-24 1999-02-12 Konica Corp 電子写真感光体とそれを用いた画像形成装置及び画像形成方法
JP2001034003A (ja) * 1999-07-19 2001-02-09 Minolta Co Ltd 電子写真感光体
JP2003107759A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Kyocera Mita Corp 画像形成装置
JP4898184B2 (ja) * 2005-01-18 2012-03-14 京セラミタ株式会社 単層型電子写真感光体及び画像形成装置
JP2007248733A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Kyocera Mita Corp 電子写真感光体及び画像形成装置
JP4798494B2 (ja) * 2006-04-07 2011-10-19 富士電機株式会社 電子写真用感光体およびその製造方法
JP4354969B2 (ja) * 2006-05-30 2009-10-28 京セラミタ株式会社 電子写真感光体及び画像形成装置
KR20080006169A (ko) * 2006-07-11 2008-01-16 삼성전자주식회사 단파장용 유기감광체 및 이를 채용한 전자사진화상형성장치
JP5069483B2 (ja) * 2007-03-08 2012-11-07 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体及び画像形成装置
JP4621227B2 (ja) * 2007-05-10 2011-01-26 京セラミタ株式会社 画像形成装置
JP2010175784A (ja) * 2009-01-29 2010-08-12 Kyocera Mita Corp 単層型電子写真感光体、画像形成装置、及び画像形成方法
JP5871061B2 (ja) * 2012-04-20 2016-03-01 富士電機株式会社 電子写真用感光体、その製造方法および電子写真装置
JP2014092582A (ja) * 2012-10-31 2014-05-19 Kyocera Document Solutions Inc 正帯電単層型電子写真感光体および画像形成装置
JP6078085B2 (ja) * 2015-02-02 2017-02-08 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018054744A (ja) 2018-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6558334B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6569609B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6747514B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6515880B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6642728B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP7293851B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2019200274A (ja) 電子写真感光体の製造方法、感光層形成用塗布液、電子写真感光体及び画像形成装置
JP2018036374A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
JP6520854B2 (ja) 正帯電積層型電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6481650B2 (ja) 電子写真感光体
JP2019061205A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
US8846279B2 (en) Electrophotographic photoreceptor, electrophotographic photoreceptor cartridge and image forming apparatus
JP6635021B2 (ja) 正帯電積層型電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6597658B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP6515878B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP2020184040A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2020118767A (ja) 電子写真感光体
WO2017208700A1 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP6569808B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
CN107942626B (zh) 电子照相感光体、处理盒及图像形成装置
CN109074010B (zh) 电子照相感光体、处理盒及图像形成装置
CN109074008B (zh) 电子照相感光体、处理盒及图像形成装置
JP6665801B2 (ja) 電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ
JP6421780B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2013011820A (ja) 電子写真感光体及び画像形成装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180627

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190507

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190607

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190618

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190701

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6558334

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees