JP4621227B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような有機感光体に用いられる画像形成装置には、感光体表面を帯電させるための帯電手段と、この帯電した表面に対して光照射し潜像形成するための露光手段と、この潜像をトナー現像してトナー像を形成するための現像手段と、このトナー像を印刷紙に転写するための転写手段と、を順次配置した画像形成プロセスが採用されている。
この画像形成プロセスにおいて、転写後の感光層中に残留した残留電荷を消去するために、光照射して除電する除電手段が設けられている。これにより、前周回までに残留した電位をリセットして、いわゆる露光メモリの発生を抑制することができる。
しかしながら、かかる除電手段を用いた場合においても、露光時と同様に電位の減衰がおこるため、感光体内部に空間電荷が発生してしまうという問題が見られた。その結果、繰り返し画像形成を行った場合には、かかる空間電荷の蓄積によって、帯電電位や明電位が不安定になるという問題が見られた。
かかる問題は、特に帯電工程において帯電手段から発生するオゾン等によって感光層が酸化劣化し、感光層中における電荷の輸送効率が低下することに起因していると考えられる。
すなわち、本発明の目的は、長期間使用した場合であっても、電子写真感光体における露光メモリの発生を効果的に抑制することができる除電レスタイプの画像形成装置を提供することにある。
また、かかる特定の構造を有する正孔輸送剤は、優れた正孔輸送能を有することから、電荷発生剤から発生した電荷を効率よく輸送して、感光層中における残留電荷の発生を、より効果的に抑制することができる。
また、かかる特定の構造を有する正孔輸送剤を所定量、添加することにより、特定の構造を有する正孔輸送剤の抗酸化性及び正孔輸送能を、さらに効果的に発揮させることができる。
したがって、本発明の画像形成装置は、かかる特定の構造を有する正孔輸送剤を用いた電子写真感光体を搭載しているため、除電レスタイプとして構成しているにもかかわらず、長期間使用した場合であっても、露光の際の残留電荷によって生じる露光メモリの発生を効果的に抑制することができる。
また、除電レスタイプとして構成していることから、コンパクト化や低コスト化に資することができる。
このように構成することにより、感光層中における特定の構造を有する正孔輸送剤の分散性を向上させることができる。したがって、特定の構造を有する正孔輸送剤の抗酸化性及び正孔輸送能を、より効果的に発揮させることができる。
このように構成することにより、特定の構造を有する正孔輸送剤の抗酸化性及び正孔輸送能を、より向上させることができる。
また、これらの電子輸送剤であれば、電子輸送能にも優れることから、感光層中における残留電荷の発生を抑制して、露光メモリの発生をより効果的に抑制することができる。
このように構成することにより、帯電工程におけるオゾン等の発生量を抑制できるばかりか、電子写真感光体表面に対する電荷付与の均一性及び安定性を向上させることができる。
第1の実施形態は、基体上に、少なくとも電荷発生剤と、正孔輸送剤と、1種類の結着樹脂と、を含む感光層を有する電子写真感光体を備えるとともに、除電手段を省略した除電レスタイプの画像形成装置であって、正孔輸送剤が、一般式(1)で表されるアミン化合物を所定量含むことを特徴とする除電レスタイプの画像形成装置である。
以下、第1の実施形態としての除電レスタイプの画像形成装置について、主に電子写真感光体及び帯電手段を中心に、具体的に説明する。
図1に、本発明における除電レスタイプの画像形成装置の基本的構成を示す。かかる画像形成装置10は、ドラム型の電子写真感光体(以下、感光体と称する場合がある。)11を備えており、この感光体11の周囲には、矢印Aで示す回転方向に沿って、帯電手段12(図中においては、一例として帯電ローラを記載している。)と、感光体表面に潜像を形成するための露光手段13と、この感光体表面に対してトナーを付着させて潜像現像する現像手段14と、このトナーを記録紙20上に転写するための転写手段15と、感光体表面上の残留トナーを除去するクリーニング装置17と、が順次配置されている。
また、帯電手段12には、帯電印加電圧を印加するための電源19が接続されている。この電源19は、直流成分(DC)のみを印加することもでき、更には、この直流成分に交流成分(AC)を重畳させた重畳電圧を印加することもできる。このとき、電源19の極性を帯電手段12側が正極になるように接続すれば、かかる画像形成装置を正帯電型とすることができ、帯電手段12側が負極になるように接続すれば、かかる画像形成装置を負帯電型とすることができる。
また、転写手段15には、電源22が接続されている。この電源22は、直流成分(DC)のみを印加することもでき、更には、この直流成分に交流成分(AC)を重畳させた重畳電圧を印加することもできる。また、その電源22の極性は、感光体11における帯電型の正・負及び現像方式の正・反転等により決定する。
また、除電手段を用いた場合には、露光時と同様に電位の減衰がおこるため、感光体内部に空間電荷が発生してしまうという問題が生じるが、かかる問題についても、根本的に解決することができる。
一方、除電手段を省略することによって、転写後の感光層中に残留した残留電荷を積極的に除去(除電)することができなくなることから、露光メモリの発生が問題となる。
この点、本発明にかかる除電レスタイプの画像形成装置であれば、後述するように、電子写真感光体の感光層において、抗酸化性及び正孔輸送能に優れた特定の構造を有する正孔輸送剤が含有されていることから、かかる問題についても、効果的に解決することができる。
(1)基本的構成
本発明に使用される電子写真感光体としては、単層型または積層型のいずれの電子写真感光体であってもよい。
したがって、ここでは、主に単層型電子写真感光体を例に挙げて、本発明において使用される電子写真感光体を説明する。
なお、単層型電子写真感光体であれば、積層型電子写真感光体と比較して、層構造が単純であるため容易に製造することができ、また、層界面が少ないことから光学特性を向上させやすい等の利点がある。
また、かかる感光層は、結着樹脂と、特定の構造を有する正孔輸送剤と、電荷発生剤と、を含むとともに、さらに必要に応じて電子輸送剤、レベリング剤またはシリル基含有化合物等の添加剤を含むことができる。
また、図2(b)に示すように、基体32と感光層34との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層36が形成されている単層型感光体30´でもよい。
なお、電荷輸送剤として、さらに電子輸送剤を含有させることによって、電荷発生剤と正孔輸送剤との間における電荷輸送効率を、より向上させることができる。
また、基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。
(2)−1 種類
本発明においては、正孔輸送剤として、上述した一般式(1)で表されるアミン化合物を用いることを特徴とする。
この理由は、正孔輸送剤として一般式(1)で表されるアミン化合物を用いることにより、その抗酸化性によって、電子写真感光体表面がオゾン等によって酸化劣化することを防ぎ、感光層中における残留電荷の発生を効果的に抑制することができるためである。
また、かかる特定の構造を有する正孔輸送剤は、優れた正孔輸送能を有することから、電荷発生剤から発生した電荷を効率よく輸送して、感光層中における残留電荷の発生を、より効果的に抑制することができるためである。
したがって、かかる特定の構造を有する正孔輸送剤を用いた電子写真感光体を搭載した本発明の画像形成装置は、除電レスタイプとして構成しているにもかかわらず、長期間使用した場合であっても、露光の際の残留電荷によって生じる露光メモリの発生を効果的に抑制することができる。
すなわち、従来においても使用初期であれば、感光層の構成材料や膜厚等を調節することによって、効果的に露光メモリの発生を抑制することができた。
しかしながら、長期間使用した場合には、特に帯電工程において帯電手段から発生するオゾン等によって感光層が酸化劣化し、感光層中における電荷の輸送効率が低下してしまうため、露光メモリが発生しやすくなるという問題が見られた。
一方、本発明においては、電子写真感光体の感光層において、抗酸化性及び正孔輸送能に優れた特定の構造を有する正孔輸送剤が含有されていることから、長期間使用した場合であっても感光層中における電荷の輸送効率を安定的に維持して、露光メモリの発生を効果的に抑制することができる。
この理由は、一般式(1)における所定箇所の構造を、このように特定することによって、感光層中における特定の構造を有する正孔輸送剤の分散性を向上させることができるためである。したがって、特定の構造を有する正孔輸送剤の抗酸化性及び正孔輸送能を、より効果的に発揮させることができる。
すなわち、一般式(1)における所定箇所において、シクロヘキシル基を導入することにより、一般式(1)で表されるアミン化合物における平面性や対称性を調節して、かかるアミン化合物の結晶性を低下させて、感光層用塗布液に対する相溶性を向上させることができるためである。
この理由は、一般式(1)における所定箇所の構造を、このように特定することによって、特定の構造を有する正孔輸送剤の抗酸化性及び正孔輸送能を、より向上させることができるためである。
かかる効果は、一般式(1)の所定箇所において、ブタジエン構造を導入することにより、π電子が豊富になって、分子内の電荷輸送をさらに効率的にすることができることに起因するものと考えられる。
また、一般式(1)で表されるアミン化合物の具体例としては、下記式(5)〜(14)で表されるアミン化合物(HTM−1〜10)を挙げることができる。
また、一般式(1)で表されるアミン化合物の添加量を、結着樹脂100重量部に対して30〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量をかかる範囲とすることによって、特定の構造を有する正孔輸送剤の抗酸化性及び正孔輸送能を、さらに効果的に発揮させることができるためである。
すなわち、特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量が30重量部未満の値となると、その絶対量が不足して、抗酸化性を十分に発揮することが困難となるばかりか、十分な感度を得ることも困難となる場合があるためである。一方、特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量が100重量部を超えた値となると、結晶化しやすくなるため、感光層中に均一に分散させることが困難となる場合があるためである。
したがって、特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して35〜90重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜80重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
図3においては、横軸に、感光層の結着樹脂100重量部に対する正孔輸送剤の添加量(重量部)を採り、縦軸に、メモリ電位(V)を採った特性曲線が示してある。
なお、メモリ電位(V)は、その値が0Vに近い程、感光層中における残留電荷の発生が抑制されていることを示している。また、その測定条件等については、後の実施例において記載する。
ここで、特性曲線Aは、正孔輸送剤として一般式(1)で表されるアミン化合物である式(7)で表される化合物(HTM−3)を含有した製造直後の電子写真感光体を用いた場合の特性曲線であり、特性曲線Bは、特性曲線Aと同様の電子写真感光体であって、所定の画像パターンを3時間耐久印刷した後の電子写真感光体を用いた場合の特性曲線である。
また、特性曲線Cは、正孔輸送剤として一般式(1)で表されるアミン化合物以外の化合物である下記式(15)で表される化合物(HTM−11)を含有した製造直後の電子写真感光体を用いた場合の特性曲線であり、特性曲線Dは、特性曲線Cと同様の電子写真感光体であって、所定の画像パターンを3時間耐久印刷した後の電子写真感光体を用いた場合の特性曲線である。
なお、これらの電子写真感光体を搭載した画像形成装置としては、除電手段を省略した除電レスタイプのものを使用した。
より具体的には、正孔輸送剤の添加量が30〜100重量部の範囲内の値であれば、その添加量の変化にかかわらず、メモリ電位の値を30V前後の値に抑制できることがわかる。
また、特性曲線Bから理解されるように、耐久印刷後であっても、特定の構造を有する正孔輸送剤を用いることによって、メモリ電位の値の増加を所定の値以下に抑制することができる。
より具体的には、正孔輸送剤の添加量が30〜100重量部の範囲内の値であれば、その添加量の変化にかかわらず、メモリ電位の値を60V以下の値に抑制できることがわかる。
一方、特性曲線Cから理解されるように、製造直後であるにもかかわらず、特定の構造を有する正孔輸送剤以外の正孔輸送剤を用いた場合には、メモリ電位を効果的に抑制することが困難となっている。
より具体的には、正孔輸送剤の添加量が30〜100重量部の範囲内の値であっても、メモリ電位の値が90V前後の値にまで増加してしまうことがわかる。
また、特性曲線Dから理解されるように、耐久印刷後では、さらにメモリ電位の値が増加してしまい、メモリ画像の発生が避けられない状態となってしまう。
したがって、一般式(1)で表されるアミン化合物を正孔輸送剤として用いることによって、露光メモリの発生を効果的に抑制することができ、特に、その添加量が結着樹脂100重量部に対して30〜100重量部の範囲内の値であれば、その他の正孔輸送剤を用いた場合と比較して、著しく露光メモリを抑制できることがわかる。
(3)−1 種類
本発明に用いられる電子輸送剤としては、従来公知の電子輸送剤を用いることができる。
例えば、ジフェノキノン誘導体、ピレン誘導体、ベンゾキノン誘導体のほか、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
この理由は、かかる特定の構造を有する電子輸送剤であれば、感光層の表面特性を向上させる効果を有していることから、クリーニング装置を簡略化した現像同時クリーニング方式を採用した場合であっても、フィルミングの発生を効果的に抑制することができるためである。
また、これらの電子輸送剤であれば、電子輸送能にも優れることから、感光層中における残留電荷の発生を抑制して、露光メモリの発生をより効果的に抑制することができるためである。
また、一般式(3)で表されるジナフトキノン化合物の具体例としては、下記式(16)〜(17)で表される化合物(ETM−1〜2)を挙げることができる。
また、電子輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電子輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、電子輸送剤の添加量が100重量部を超えた値になると、電子輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、電子輸送剤の添加量を20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
この理由は、かかる全ETM/全HTMの比率がかかる範囲外の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。
したがって、かかる全ETM/全HTMの比率を0.5〜1.25の範囲内の値とすることがより好ましい。
(4)−1 種類
また、本発明に用いられる電荷発生剤としては、従来公知の電荷発生剤を用いることができる。
例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電剤等の一種単独又は二種以上の混合物が挙げられる。
また、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の添加量が0.2重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、電荷発生剤の添加量が40重量部を超えた値になると、可視光における赤色領域、近赤外領域、あるいは赤外領域に波長を有する光に対する吸光係数を大きくする効果が不十分となり、感光体の感度特性、電気特性、及び安定性等を向上させることができない場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の添加量を0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、本発明で用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、及びポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、及びその他の架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシ−アクリレート、及びウレタン−アクリレートなどの光硬化性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で使用する。
また、本発明における感光層の厚さは、5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、感光層の厚さが5μm未満の値となると、感光層を均一に形成することが困難となったり、機械的強度が低下する場合があるためである。一方、感光層の厚さが100μmを超えた値となると、感光層が基体から剥離しやすくなる場合があるためである。
したがって感光層の厚さを10〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜45μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本発明における電子写真感光体を構成するにあたり、感光層が、図4に示すように、電荷発生剤を含む電荷発生層44と、電荷輸送剤及び結着樹脂を含む電荷輸送層42と、からなる積層型の感光層40であることも好ましい。
この積層型電子写真感光体40は、基体32上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層44を形成し、次いでこの電荷発生層44上に、電荷輸送剤と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層42を形成することによって作製することができる。
また、上述した構造とは逆に、図4(b)に示すように、基体32上に電荷輸送層42を形成し、その上に電荷発生層44を形成してもよい。ただし、電荷発生層44は、電荷輸送層42に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図4(a)に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層42を形成することがより好ましい。
また、単層型電子写真感光体の場合と同様に、基体上に中間層45を形成することも好ましい。
なお、かかる積層型の感光層を採用した場合、電荷発生剤や、電荷輸送剤等の感光性材料の選択肢が広がり、構造設計上の自由度を向上させることができるという利点がある。
なお、本発明においては、特定の構造を有する正孔輸送剤の抗酸化性を発揮させることによって、露光メモリの発生を抑制することを目的としていることから、これらの化合物を、一般に感光層の表面層となる電荷輸送層に対して含有させることが好ましい。
また、電子輸送剤の添加量を、電荷輸送層における結着樹脂100重量部に対して5〜70重量部の範囲内の値とすることが好ましく、10〜50重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、電荷発生剤の添加量を、電荷発生層における結着樹脂100重量部に対して5〜1000重量部の範囲内の値とすることが好ましく、30〜500重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、この積層型感光層20において、感光層(電荷発生層及び電荷輸送層)の厚さは、特に限定されないが、電荷発生層については、0.01〜5μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜3μmの範囲内の値とすることがより好ましい。一方、電荷輸送層については、2〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
(1)種類
本発明における帯電手段は、スコロトロン等に代表される非接触帯電方式の帯電手段を用いることもできるが、接触帯電方式の帯電手段とすることが好ましい。
この理由は、帯電手段として、スコロトロンのような非接触帯電方式を採用した場合に比べて、小型であるとともに、帯電工程において発生するオゾン等の発生量を、著しく抑制することができるためである。
したがって、特定の構造を有する正孔輸送剤の抗酸化性と相俟って、感光層が酸化劣化することを、より効果的に抑制することができる。
また、かかる接触帯電方式の帯電手段として、帯電ローラを用いることが好ましい。
この理由は、帯電ローラであれば、帯電工程におけるオゾン等の発生量を抑制することができるばかりか、電子写真感光体表面に対する電荷付与の均一性及び安定性を向上させることができるためである。
すなわち、帯電ローラであれば、帯電ブラシ等と比較して、導電性部材が隙間無く均一に感光体表面に接触することになるため、帯電手段と電子写真感光体間における放電の発生を効果的に抑制して、感光層が酸化劣化することをさらに効果的に抑制することができるためである。
また、上述した帯電ローラに印加される直流電圧を800〜3000Vの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、印加される直流電圧を800〜3000Vの範囲内の値とすることによって、感光層がオゾン等によって酸化劣化することをさらに効果的に抑制することができる一方で、十分な帯電電位を確保することができるためである。
すなわち、印加される直流電圧が800V未満の値となると、放電によるオゾン等の発生は抑制することができるものの、電子写真感光体表面に対して鮮明な静電潜像を形成するのに十分な帯電電位を得ることが困難となる場合があるためである。一方、印加される直流電圧が3000Vを超えた値となると、放電によるオゾン等の発生が過度に増加して、感光層が過度に劣化し、帯電特性が不安定になったり、電子写真感光体の絶縁破壊を誘発する恐れがある。
したがって、帯電手段において、印加される直流電圧を900〜2000Vの範囲内の値とすることがより好ましく、1000〜1800Vの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、周波数を100〜1500kHzの範囲内の値とすることが好ましく、400〜1200kHzの範囲内の値とすることがより好ましい。
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態において説明した除電レスタイプの画像形成装置を用いた画像形成方法である。
以下、第1の実施形態において既に説明した内容は省略し、第2の実施形態として、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ここで、図1は、画像形成装置の全体構成を示す概略図であり、以下、その動作について、順を追って説明する。
まず、画像形成装置10の感光体11を、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させた後、その表面を帯電手段12によって所定電位に帯電させる。
次いで、露光手段13により、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、感光体11の表面を露光する。この露光により、感光体11の表面に静電潜像が形成される。
次いで、この静電潜像に基づいて、現像手段14により潜像現像が行われる。この現像手段14の内部にはトナーが収納されており、このトナーが感光体11表面の静電潜像に対応して付着することで、トナー像が形成される。
また、記録紙20は、所定の転写搬送経路に沿って、感光体下部まで搬送される。このとき、感光体11と転写手段15との間に、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材20上にトナー像を転写することができる。
一方、トナー像転写後の感光体11はそのまま回転を続け、転写時に記録紙20に転写されなかった残留トナー(付着物)が感光体11の表面から、クリーニング装置17によって除去される。
したがって、かかる画像形成方法であれば、除電レスタイプの画像形成装置を使用しているにもかかわらず、長期間使用した場合であっても、電子写真感光体における露光メモリの発生を効果的に抑制することができる。
したがって、高品質な画像を容易かつ安定的に形成することができる。
1.電子写真感光体の製造
撹拌容器内に、電荷発生物質として下記式(19)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−1)4重量部と、正孔輸送剤として式(5)で表されるアミン化合物(HTM−1)50重量部と、電子輸送剤として式(17)で表されるナフトキノン系化合物(ETM−2)30重量部と、結着樹脂として平均分子量30000のポリカーボネート樹脂100重量部と、テトラヒドロフラン800重量部と、を収容した後、ボールミルで50時間混合分散し、塗布液を作成した。次いで、得られた塗布液をアルミニウム素管からなる導電性支持体上にディップコート法にて塗布した後、100℃、40分間の条件で熱風乾燥し、膜厚25μm、直径30mmの単層型電子写真感光体を得た。
(1)メモリ電位の評価
得られた電子写真感光体を搭載した画像形成装置を用いて、メモリ電位の評価を行った。
すなわち、得られた電子写真感光体を除電手段を取り除いたプリンタ(京セラミタ(株)製、マルチファンクションプリンタAntico40)に装着した後、所定の画像パターン(5%濃度画像)を印刷した。次いで、電子写真感光体における未露光部の表面電位及び露光部の次帯電工程後の表面電位をそれぞれ測定し、その差をメモリ電位とした。得られた結果を表1に示す。
また、得られた電子写真感光体を搭載した画像形成装置を用いて、メモリ画像の評価を行った。
すなわち、得られた電子写真感光体を除電手段を取り除いたプリンタ(京セラミタ(株)製、マルチファンクションプリンタAntico40)に装着した後、図5に示す画像パターンを印刷した。次いで、目視により、強い露光部分(画像パターンの黒ベタ部に対応)の露光メモリによって、画像パターンのグレー部にメモリ画像が発生しているか否かを確認し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:メモリ画像が確認されなかった。
×:メモリ画像が確認された。
実施例2においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(6)で表されるアミン化合物(HTM−2)にかえたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例3においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(7)で表されるアミン化合物(HTM−3)にかえたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例4においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(8)で表されるアミン化合物(HTM−4)にかえたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例5においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(9)で表されるアミン化合物(HTM−5)にかえたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例6においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(10)で表されるアミン化合物(HTM−6)にかえたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例7においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(11)で表されるアミン化合物(HTM−7)にかえたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例8においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(12)で表されるアミン化合物(HTM−8)にかえたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例9においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(13)で表されるアミン化合物(HTM−9)にかえたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例10においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(14)で表されるアミン化合物(HTM−10)にかえたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例11においては、電子写真感光体を製造する際に用いた電子輸送剤を、式(18)で表されるキノン系化合物(ETM−3)にかえたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造摺るとともに評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例12においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(6)で表されるアミン化合物(HTM−2)にかえたほかは、実施例11と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例13においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(7)で表されるアミン化合物(HTM−3)にかえたほかは、実施例11と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
比較例1においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、下記式(20)で表されるアミン化合物(HTM−12)にかえたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
比較例2においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(15)で表されるアミン化合物(HTM−11)にかえたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例15においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(7)で表されるアミン化合物(HTM−3)に変えるとともに、その添加量を結着樹脂100重量部に対して30重量部としたほかは、実施例1と同様に電子写真感光体を製造した。
また、評価として、実施例1と同様に、製造直後の電子写真感光体を用いてメモリ電位の評価を実施したほか、所定の画像パターンを3時間連続印刷した後においても、同様にメモリ電位を測定した。得られた結果を表2に示す。
実施例16においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して50重量部としたほかは、実施例15と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例17においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して80重量部としたほかは、実施例15と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例3においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(15)で表されるアミン化合物(HTM−11)に変えたほかは、実施例15と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例4においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して50重量部としたほかは、比較例3と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例5においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して80重量部としたほかは、比較例3と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
そして、かかる電子写真感光体を搭載した画像形成装置であれば、除電レスタイプとして構成し、さらに、長期間使用した場合であっても、電子写真感光体における露光メモリの発生を効果的に抑制することができるようになった。
したがって、本発明にかかる除電レスタイプの画像形成装置は、画像形成装置の高画質化、小型化等に寄与することが期待される。
Claims (5)
- 基体上に、少なくとも電荷発生剤と、正孔輸送剤と、1種類の結着樹脂と、を含む感光層を有する電子写真感光体を備えるとともに、除電手段を省略した除電レスタイプの画像形成装置であって、
前記正孔輸送剤が、下記一般式(1)で表されるアミン化合物を含み、かつ
前記一般式(1)で表されるアミン化合物の添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して30〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする除電レスタイプの画像形成装置。
(一般式(1)中、Ra〜Rgは、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、またはRa〜Reのうち、隣接する二つの置換基同士が炭化水素環構造を形成しても良く、X1及びX2はそれぞれ独立しており、下記一般式(2)で表される置換基であり、X1及びX2、あるいはいずれか一方が複数である場合は、それぞれ同一でも異なってもよく、置換基数l及びmは、(l+m≧2)を満足する0または正の整数である。)
(一般式(2)中、Rh〜Riは、それぞれ独立しており、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であり、繰り返し数nは1〜2の整数であり、Rjはハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、あるいは置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であり、Rjが複数である場合は、同一でも異なってもよく、置換基数oは0〜5の整数である。) - 前記一般式(1)において、Ra〜Reのいずれか2つが結合してシクロヘキシル基を形成していることを特徴とする請求項1に記載の除電レスタイプの画像形成装置。
- 前記一般式(1)において、X1及びX2、あるいはいずれか一方が、一般式(2)における繰り返し数nを2としたブタジエン構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の除電レスタイプの画像形成装置。
- 前記感光層が、下記一般式(3)及び(4)、あるいはいずれか一方で表される電子輸送剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の除電レスタイプの画像形成装置。
(一般式(3)中、R1〜R4は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基である。)
(一般式(4)中、R5〜R6は、それぞれ独立しており、水素原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数6〜30のシクロアルキル基、置換または非置換の炭素数7〜20のアラルキル基であり、R7〜R11は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数7〜20のアラルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のフェノキシ基、シアノ基、ニトロ基、あるいは2つ以上の基が結合して形成される複素環基である。) - 帯電手段として帯電ローラを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の除電レスタイプの画像形成装置。
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