JP4891124B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
ここで、かかる帯電手段は、電子写真感光体表面に対して帯電ローラ等の帯電部材を直接接触させる接触帯電方式の帯電手段と、コロナ帯電器を用いて感光体表面をコロナ帯電させる非接触帯電方式の帯電手段と、に大別することができる。
一方、有機感光体には、電荷発生剤(CGM)及び電荷輸送剤(CTM)を単一感光層中に含有させた感光体や、電荷発生層(CGL)及び電荷輸送層(CTL)を積層した感光体等が使用されている。
また、感光体の帯電特性に関しても、負帯電性のものと、正帯電性のものとがあるが、負帯電性感光体では負極性コロナによりオゾンが多量に発生し、環境汚染の問題や、オゾンによる感光体劣化の問題があり、またこれを防止するために格別の排気手段やオゾン分解手段を設ける必要があるので、正帯電性感光体が小型の複写機、ファックス、プリンター等には優れているといえる。
かかる正帯電性感光体を用いた画像形成方法としては、正帯電型の有機感光体をコロトロンやスコロトロンを用いて正帯電し、一連のカールソンプロセスを行うことにより画像形成を行う方法が広く知られている。
しかしながら、正帯電型有機感光体は帯電時にオゾンの発生量が少ないという利点を与えるものではあるが、繰返し使用或いは長期使用に伴ない、感光体の表面電位が徐々に低下し、画像濃度も変化するという傾向がある。
特に、電子写真感光体の回転速度が100mm/sec以上と速い場合に、接触帯電方式であっても、非接触帯電方式であっても、帯電電位の変化幅が大きくなりやすいという問題が見られた。その結果、電子写真感光体において、部分的な帯電不良が生じるため、形成画像においてかぶりが発生しやすいという問題が見られた。
したがって、接触帯電方式であっても、非接触帯電方式であっても、さらには、かつ、電子写真感光体の回転速度が比較的速い場合であっても、効果的に帯電電位の変化幅を減少させることができる画像形成装置が求められていた。
すなわち、本発明の目的は、電子写真感光体として、所定の単層型電子写真感光体を用い、かつ、電子写真感光体を帯電させる際の単位面積当たりの感光層に対する流れ込み電流値を所定範囲に制限することにより、例えば、電子写真感光体の回転速度が比較的速い場合であっても、帯電電位の変化幅を減少させて、かぶりの発生を効果的に抑制することができる画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
また、正孔輸送剤をこのように構成することにより、感光層中における特定の正孔輸送剤の分散性を向上させることができ、電子写真感光体の感度特性についても向上させることができる。
したがって、このような電子写真感光体として単層型電子写真感光体を用い、かつ、電子写真感光体を帯電させる際の単位面積当たりの感光層表面に対する流れ込み電流値を所定範囲に制御することにより、電子写真感光体の回転速度が比較的速い場合であっても、帯電電位の変化幅を減少させて、かぶりの発生を効果的に抑制することができる。
このような幅広い範囲の回転速度で画像形成を実施した場合であっても、帯電電位の変化幅を減少させて、かぶりの発生を効果的に抑制することができる。
このように構成することにより、特定の構造を有する正孔輸送剤が有する抗酸化性をより向上させることができるとともに、電荷輸送速度を向上させて、感度特性についてもさらに向上させることができる。
このように構成することにより、特定の構造を有する正孔輸送剤の抗酸化性をより効率的に発揮させることができる。
また、感光層中における分散性についても、さらに向上させることができる。
このように非接触帯電方式の帯電手段であるスコロトロン帯電装置を用いた場合であっても、特定の電子写真感光体を備えていることから、耐オゾン性に優れているとともに、優れた耐久性を得ることができる。
すなわち、画像形成方法を実施する際に、電子写真感光体の感光層において、正孔輸送剤として一般式(1)で表されるアミン化合物が含まれていることから、その抗酸化性によって、電子写真感光体表面がオゾン等によって酸化劣化することを効果的に抑制することができる。
したがって、画像形成方法を実施する際に、このような電子写真感光体として単層型電子写真感光体を用い、かつ、電子写真感光体を帯電させる際の単位面積当たりの感光層に対する流れ込み電流値を所定範囲に制御することによって、帯電電位の変化幅を減少させて、かぶりの発生を効果的に抑制することができる。
第1の実施形態は、電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置であって、電子写真感光体を帯電させる際の単位面積当たりの感光層に対する流れ込み電流値を5〜25μA/cm2の範囲内の値とするとともに、電子写真感光体が、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む単層型電子写真感光体であり、かつ、正孔輸送剤として下記一般式(1)で表されるアミン化合物を含むことを特徴とする画像形成装置である。
以下、第1の実施形態としての画像形成装置について、各構成要件に分けて、具体的に説明する。
図1に、本発明における画像形成装置の基本的構成を示す。かかる画像形成装置10は、ドラム型の電子写真感光体(以下、感光体と称する場合がある。)11を備えており、この感光体11の周囲には、矢印Aで示す回転方向に沿って、非接触帯電方式の帯電手段12(図中においては、一例として、スコロトロン帯電装置を記載している。)と、感光体表面に潜像を形成するための露光手段13と、この感光体表面に対してトナーを付着させて潜像現像する現像手段14と、このトナーを記録紙20上に転写するための転写手段15と、感光体表面上の残留トナーを除去するクリーニング装置17と、感光体表面の残留電位を除去するための除電手段18と、が順次配置されている。
また、非接触帯電方式の帯電手段12は、コロナワイヤー等の放電部材12a、放電部材を包囲するシールド12b、及びシールドの感光体側開口部に設けられたグリッド部材12cから成っている。また、放電部材12aには帯電印加電圧を印加するための電源19が接続されている。このとき、電源19の極性を帯電手段12側が正極になるように接続すれば、かかる画像形成装置を正帯電型とすることができ、帯電手段12側が負極になるように接続すれば、かかる画像形成装置を負帯電型とすることができる。また、シールド12b、グリッド部材12cにも図示しない電源より電圧が印加される。
また、転写手段15には、電源22が接続されている。この電源22の極性は、感光体11における帯電型の正・負及び現像方式の正・反転等により決定する。
なお、感光体11は、後述するように、単層型電子写真感光体であるとともに、その感光層において特定の構造を有する正孔輸送剤を含むことを特徴としている。
(1)種類
本発明における帯電手段は特に制限されるものではなく、非接触帯電方式の帯電手段であっても、接触帯電方式の帯電手段であってもともに好適に用いることができる。
例えば、非接触帯電方式の帯電手段として、スコロトロン帯電装置やコロトロン帯電装置を用いた場合、通常、オゾン等が発生するという問題が見られるものの、本発明の電子写真感光体を備えた画像形成装置であれば、電子写真感光体が耐オゾン性に優れているとともに、電子写真感光体を帯電させる際の単位面積当たりの感光層に対する流れ込み電流値を所定範囲に制限していることから、優れた耐久性を得ることができる。
したがって、非接触帯電方式の帯電手段であっても、接触帯電方式の帯電手段であっても、電子写真感光体における帯電電位の変化幅が低下して、かぶりの発生を効果的に抑制することができる。
電子写真感光体を帯電させる際の単位面積当たりの感光層表面に対する流れ込み電流値(Icc)を5〜25μA/cm2の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる流れ込み電流値(Icc)が、5μA/cm2未満の値になると、電子写真感光体を十分に帯電させることが困難となる場合があるためである。一方、かかる流れ込み電流値(Icc)が、25μA/cm2を超えると、帯電電位の変化幅が著しく大きくなる場合があるためである。
さらに、このような流れ込み電流値(Icc)の範囲であれば、帯電させる際の帯電電位が変化したような場合や、電子写真感光体が劣化し、最適帯電電位を変化させるような場合であっても、容易に対応することができる。
したがって、電子写真感光体を帯電させる際の単位面積当たりの感光層表面に対する流れ込み電流値(Icc)を7〜23μA/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜22μA/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましく、15〜20μA/cm2の範囲内の値とすることが最も好ましい。
なお、本発明において、単位面積当たりの感光層表面に対する流れ込み電流値(Icc)とは、回転している電子写真感光体の表面であって、単位時間当たりに帯電手段によって帯電される面積(S)に流れ込む電流値(I)を、当該面積(S)で割った値(I/S)を意味する。
例えば、帯電手段への印加電流を3000μA、帯電手段の幅を250mm、電子写真感光体の回転速度を120mm/secとした場合、単位面積当たりの感光層表面に対する流れ込み電流値(Icc)は、以下のように計算され、10μA/cm2となる。
Icc=I/S=3000/(25×12)=10(μA/cm2)
(1)基本的構成
本発明においては、電子写真感光体として、単層型電子写真感光体を用いることを特徴とする。
この理由は、単層型電子写真感光体であれば、積層型電子写真感光体と比較して、層構造が単純であるため容易に製造することができ、また、層界面が少ないことから光学特性を向上させやすい等の利点があるためである。
一方、単層型電子写真感光体は、感光層に電荷発生剤を含む構成をとるため、感光層の電気抵抗が小さくなりやすく、連続して画像形成を行った際には、帯電電位の変化幅が増加しやすいという問題が見られる。そして、かかる帯電電位の変化幅に起因して、形成画像においてかぶりが発生しやすいという問題が見られる。特に、電子写真感光体表面が、帯電手段への印加電圧に起因して発生するオゾン等によって不均一に酸化劣化した場合には、かかる問題が顕著となる。
しかしながら、本発明においては、後述するように抗酸化性に優れた特定の構造を有する正孔輸送剤を用いていることから、電子写真感光体の帯電特性を安定させて、かかる問題を解決することができる。
また、かかる感光層は、結着樹脂と、特定の構造を有する正孔輸送剤と、電荷発生剤と、を含むとともに、さらに必要に応じて電子輸送剤、レベリング剤またはシリル基含有化合物等の添加剤を含むことができる。
また、図2(b)に示すように、基体32と感光層34との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層36が形成されている単層型感光体30´でもよい。
なお、電荷輸送剤として、さらに電子輸送剤を含有させることによって、電荷発生剤と正孔輸送剤との間における電荷輸送効率を、さらに向上させることができる。
また、基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。
(2)−1 種類
本発明においては、正孔輸送剤として、上述した一般式(1)で表されるアミン化合物を用いることを特徴とする。
この理由は、正孔輸送剤として一般式(1)で表されるアミン化合物を用いることにより、その抗酸化性によって、電子写真感光体表面がオゾン等によって酸化劣化することを効果的に抑制することができるためである。
したがって、電子写真感光体として単層型電子写真感光体を用い、かつ、帯電手段として非接触帯電方式、あるいは接触帯電方式の帯電手段を用いた場合であっても、帯電電位の変化幅を減少させて、かぶりの発生を効果的に抑制することができるためである。
すなわち、帯電手段の項において記載したように、非接触帯電方式、あるいは接触帯電方式の帯電手段を、単層型電子写真感光体と組み合わせて用いた場合には、発生するオゾン等による感光層の酸化劣化及び単層型感光層の電気抵抗が比較的小さいことに起因して、連続して画像形成を行った際に帯電電位の変化幅が増加しやすいという問題が見られる。その結果、部分的な帯電不良が生じるため、形成画像においてかぶりが発生しやすくなるという問題が見られる。
一方、本発明においては、電子写真感光体の感光層が、抗酸化性に優れた特定の構造を有する正孔輸送剤を含んでいることから、僅かな放電によって発生するオゾン等の影響であれば、長期にわたって安定的に抑制することができる。
したがって、電子写真感光体として、帯電電位の安定性に劣る単層型電子写真感光体を用いた場合であっても、その表面における不均一な劣化を抑制することによって帯電電位の変化幅を減少させて、かぶりの発生を効果的に抑制することができる。
この理由は、一般式(1)における所定箇所の構造を、このように特定することによって、感光層中における特定の構造を有する正孔輸送剤の分散性を向上させることができるためである。したがって、特定の構造を有する正孔輸送剤が有する抗酸化性をより効率的に発揮することができるとともに、電子写真感光体の感度特性についても向上させることができる。
すなわち、一般式(1)における所定箇所において、シクロヘキシル基を導入することにより、一般式(1)で表されるアミン化合物における平面性や対称性を調節して、かかるアミン化合物の結晶性を低下させて、感光層用塗布液に対する相溶性を向上させることができるためである。
この理由は、一般式(1)における所定箇所の構造を、このように特定することによって、特定の構造を有する正孔輸送剤が有する抗酸化性をより向上させることができるとともに、電荷輸送速度を向上させて、感度特性についてもさらに向上させることができるためである。
かかる効果は、一般式(1)における所定箇所において、ブタジエン構造を導入することにより、π電子が豊富になって、分子内の電荷輸送をさらに効率的にすることができることに起因するものと考えられる。
また、一般式(1)で表されるアミン化合物の具体例としては、下記式(5)および(11)で表されるアミン化合物(HTM−3および9)を挙げることができる。
また、一般式(1)で表されるアミン化合物の添加量を、結着樹脂100重量部に対して30〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量をかかる範囲とすることによって、特定の構造を有する正孔輸送剤の抗酸化性をより効率的に発揮させることができるためである。また、感光層中における分散性についても、さらに向上させることができるためである。
すなわち、特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量が30重量部未満の値となると、その絶対量が不足して、抗酸化性を十分に発揮することが困難となるばかりか、十分な感度を得ることも困難となる場合があるためである。一方、特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量が80重量部を超えた値となると、結晶化しやすくなるため、感光層中に均一に分散させることが困難となる場合があるためである。
したがって、特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して35〜75重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜70重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
図3においては、横軸に、感光層の結着樹脂100重量部に対する特定の構造を有する正孔輸送剤の添加量(重量部)を採り、縦軸に、連続画像形成を実施する前後での帯電電位の変化幅(V)((経過帯電電位)−(初期帯電電位))を採った特性曲線が示してある。
なお、帯電電位の変化幅は、その値が0Vに近い程、帯電特性が安定しており、優れた帯電特性であることを示している。また、その測定条件等については、後の実施例において記載する。
かかる特性曲線から理解されるように、特定の正孔輸送剤の添加量が0重量部から30重量部へと増加するのにともなって、帯電電位の変化幅がー15V以下の値から−10V前後の値へと緩やかに増加している。
そして、特定の正孔輸送剤の添加量が30〜80重量部の範囲では、その増加にともなって、帯電電位の変化幅も緩やかに減少してはいるものの、安定的に−15V前後の範囲内の値を維持している。
また、特定の正孔輸送剤の添加量が80重量部を超えた範囲においても、帯電電位の変化幅は引き続き緩やかに減少し続けるが、90重量部程度までであれば、帯電電位の変化幅を−20V前後の値に維持することができることがわかる。
したがって、特定の正孔輸送剤の添加量が極端に少なすぎたり、あるいは多すぎたりしない限り、広い範囲の添加量で帯電電位の変化幅を抑制することができることがわかる。
一方、最低限の電荷輸送能の確保や、感光層における正孔輸送剤の分散性等をも考慮すると、特定の正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して30〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましいと言える。
図4においては、横軸に、帯電させる際に、スコロトロン帯電装置を用いた場合であって、連続画像形成を実施する前後での帯電電位の変化幅(V)((経過帯電電位)−(初期帯電電位))を採り、縦軸に、かぶり濃度(FD値)(−)を採った特性が示してある。
なお、FD値が高いほど、かぶりが強く発生していることを示す。また、FD値の測定条件等については、後の実施例において記載する。
かかる特性曲線から理解されるように、帯電電位の変化幅が増加するにしたがって、FD値が急激に減少している。
より具体的には、帯電電位の変化幅が約−40Vでは、FD値は約0.016と高い値であるが、帯電電位の変化幅が約−30Vであれば、FD値は0.010前後の値となり、帯電電位の変化幅が約−20Vであれば、FD値は0.006前後の低い値となっており、さらに、帯電電位の変化幅が約−10Vであれば、FD値は0.002前後の非常に低い値となっている。
したがって、かかる特性曲線から、スコロトロン帯電装置を用いて帯電させた場合、帯電電位の変化幅と、かぶりの発生との間には明確な相関があり、帯電電位の変化幅を抑制することによって、かぶりの発生を抑制することができることがわかる。ひいては、特定の構造を有する正孔輸送剤を用いることによって、かぶりの発生を効果的に抑制できることがわかる。
(3)−1 種類
本発明に用いられる電子輸送剤としては、従来公知の電子輸送剤を用いることができる。
例えば、ジフェノキノン誘導体、ピレン誘導体、ベンゾキノン誘導体のほか、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、電子輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電子輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、電子輸送剤の添加量が100重量部を超えた値になると、電子輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、電子輸送剤の添加量を20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
この理由は、かかる全ETM/全HTMの比率がかかる範囲外の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。
したがって、かかる全ETM/全HTMの比率を0.5〜1.25の範囲内の値とすることがより好ましい。
(4)−1 種類
また、本発明に用いられる電荷発生剤としては、従来公知の電荷発生剤を用いることができる。
例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電剤等の一種単独又は二種以上の混合物が挙げられる。
また、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の添加量が0.2重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、電荷発生剤の添加量が40重量部を超えた値になると、可視光における赤色領域、近赤外領域、あるいは赤外領域に波長を有する光に対する吸光係数を大きくする効果が不十分となり、感光体の感度特性、電気特性、及び安定性等を向上させることができない場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の添加量を0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、本発明で用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル系重合体、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、及びポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂や、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、及びその他の架橋性の熱硬化性樹脂、さらにエポキシ−アクリレート、及びウレタン−アクリレートなどの光硬化性樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で使用できるほか、2種以上を併用することもできる。
また、本発明における感光層の厚さは、5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、感光層の厚さが5μm未満の値となると、感光層を均一に形成することが困難となったり、機械的強度が低下したりする場合があるためである。一方、感光層の厚さが100μmを超えた値となると、感光層が基体から剥離しやすくなる場合があるためである。
したがって感光層の厚さを10〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、15〜45μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、電子写真感光体の回転速度を70〜280mm/secの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、本発明の画像形成装置であれば、かかる幅広い回転速度で画像形成を実施した場合であっても、帯電電位の変化幅を減少させて、かぶりの発生を効果的に抑制することができるためである。
一方、電子写真感光体の回転速度が70mm/sec未満の値になると、効率的な高速印刷が制限される場合があるためである。逆に、電子写真感光体の回転速度が280mm/secを越えた値になると、それに対応して、電子写真感光体を帯電させる際の帯電手段への印加電流が過度に大きくなる場合があるためである。その結果、帯電電位の変化幅が著しく大きくなって、かぶりが発生しやすくなる場合がある。
したがって、電子写真感光体の回転速度を100〜250mm/secの範囲内の値とすることがより好ましく、150〜230mm/secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
それに対して、本発明の電子写真感光体(実施例1相当)であれば、図5のラインAに示すように、電子写真感光体の回転速度が70〜280mm/secの範囲であっても、電位低下幅は−10V〜−15V程度であることが確認されている。よって、図6のラインAに示すように、本発明の電子写真感光体(実施例1相当)においては、回転速度(mm/sec)の影響をほとんど受けず、すぐれたかぶり特性が得られて、FD値は低い傾向が見られている。
したがって、このような単層型電子写真感光体を用い、かつ、電子写真感光体を帯電させる際の単位面積当たりの感光層表面に対する流れ込み電流値を所定範囲(5〜25μA/cm2)に制御して、例えば、帯電電位の変化幅を−20〜0Vの範囲内の値とすることにより、FD値を0.006以下に抑制することができる。
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態において説明した画像形成装置を用いた画像形成方法である。
すなわち、電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置を用いた画像形成方法であって、電子写真感光体を帯電させる際の単位面積当たりの感光層表面に対する流れ込み電流値を5〜25μA/cm2の範囲内の値とするとともに、電子写真感光体が、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む単層型電子写真感光体であり、かつ、正孔輸送剤として一般式(1)で表されるアミン化合物を含む画像形成装置を用いた画像形成方法である。
以下、第1の実施形態において既に説明した内容は省略し、第2の実施形態として、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ここで、図1は、画像形成装置の全体構成を示す概略図であり、以下、その動作について、順を追って説明する。
まず、画像形成装置10の感光体11を、矢印Aで示す方向に所定のプロセススピード(周速度)で回転させた後、その表面を帯電手段12によって所定電位に帯電させる。
次いで、露光手段13により、画像情報に応じて光変調されながら反射ミラー等を介して、感光体11の表面を露光する。この露光により、感光体11の表面に静電潜像が形成される。
次いで、この静電潜像に基づいて、現像手段14により潜像現像が行われる。この現像手段14の内部にはトナーが収納されており、このトナーが感光体11表面の静電潜像に対応して付着することで、トナー像が形成される。
また、記録紙20は、所定の転写搬送経路に沿って、感光体下部まで搬送される。このとき、感光体11と転写手段15との間に、所定の転写バイアスを印加することにより、記録材20上にトナー像を転写することができる。
一方、トナー像転写後の感光体11はそのまま回転を続け、転写時に記録紙20に転写されなかった残留トナー(付着物)が感光体11の表面から、クリーニング装置17によって除去される。
また、感光体11の表面に残留した電荷は、除電器18からの除電光の照射によって完全に消去され、次の画像形成に供されることになる。
したがって、本発明の画像形成装置を用いることで、構成が容易である単層型電子写真感光体を用いているにも関わらず、接触帯電方式または非接触帯電方式のいずれを採用した場合であっても、帯電電位の変化幅を減少させて、かぶりの発生を効果的に抑制することができる。
よって、高品質な画像を容易かつ安価に形成することができる。
1.電子写真感光体の製造
撹拌容器内に、電荷発生物質として下記式(13)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−1)2.7重量部と、正孔輸送剤として式(3)で表されるアミン化合物(HTM−1)50重量部と、電子輸送剤として下記式(14)で表されるキノン系化合物(ETM−1)35重量部と、結着樹脂として平均分子量30000のビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂100重量部と、テトラヒドロフラン700重量部と、を収容した後、ボールミルで50時間混合分散し、塗布液を作成した。
次いで、得られた塗布液をアルマイト素管からなる導電性支持体上にディップコート法にて塗布した後、130℃、45分間の条件で熱風乾燥し、膜厚30μm、直径30mmの単層型電子写真感光体を得た。
(1)帯電電位の変化幅の評価
得られた電子写真感光体を搭載した画像形成装置を用いるとともに、帯電時の流れ込み電流値(Icc)及び電子写真感光体の回転速度を、下記(i)〜(iii)に示すように変えて、帯電電位の変化幅の評価を行った。
(i)
流れ込み電流値:7μA/cm2
回転速度:84mm/sec
(ii)
流れ込み電流値:10μA/cm2
回転速度:120mm/sec
(iii)
流れ込み電流値:20μA/cm2
回転速度:240mm/sec
このとき、帯電手段としては、以下に示すような直流電圧のみを印加したスコロトロン帯電装置を用い、初期表面電位を420Vになるように設定して帯電を行った。
ワイヤ種 :金メッキタングステン
ワイヤ径 :60μm
グリッド開口幅 :10mm
また、得られた電子写真感光体を搭載した画像形成装置を用いるとともに、帯電時の流れ込み電流値(Icc)及び電子写真感光体の回転速度を、上述した帯電電位の変化幅の評価のときと同様に変えて、かぶりの評価を行った。
すなわち、得られた電子写真感光体をプリンタ(京セラミタ製、FS−1020改造機)に装着した後、それぞれの流れ込み電流値及び回転速度にて、3時間連続通紙試験を行った後、白紙画像を印刷し、白紙印字画像における濃度、及び白紙(未印刷)における濃度を、反射濃度計(東京電色社製TC−6D)を用いて測定した。次いで、白紙印刷画像における濃度から、白紙における濃度を引いて、かぶり濃度(FD値)とした。得られた結果を表1に示す。
また、得られた電子写真感光体をプリンタ(京セラミタ製、FS−1020改造機)に装着した後、電子写真感光体の回転速度を120mm/sec、帯電時の流れ込み電流値(Icc)を7μA/cm2として、3時間連続通紙を行い、1時間ごとに、帯電電位の変化幅(V)((経過帯電電位)−(初期帯電電位))を測定した。その結果を、図7(ラインA)に示す。
参考例2においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(4)で表されるアミン化合物(HTM−2)にかえたほかは、参考例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例3においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(5)で表されるアミン化合物(HTM−3)にかえたほかは、参考例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例4においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(6)で表されるアミン化合物(HTM−4)にかえたほかは、参考例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例5においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(7)で表されるアミン化合物(HTM−5)にかえたほかは、参考例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例6においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(8)で表されるアミン化合物(HTM−6)にかえたほかは、参考例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。
また、参考例6においては、参考例1と同様に、耐久試験を行い、1時間ごとに、帯電電位の変化幅(V)を測定した。得られた結果を表1および図7(ラインB)に示す。
参考例7においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(9)で表されるアミン化合物(HTM−7)にかえたほかは、参考例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例8においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(10)で表されるアミン化合物(HTM−8)にかえたほかは、参考例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例9においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(11)で表されるアミン化合物(HTM−9)にかえたほかは、参考例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
参考例10においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、式(12)で表されるアミン化合物(HTM−10)にかえたほかは、参考例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表1に示す。
比較例1においては、電子写真感光体を製造する際に用いた正孔輸送剤を、下記式(15)で表されるアミン化合物(HTM−11)にかえたほかは、参考例1と同様に電子写真感光体を製造するとともに、評価した。
また、比較例1においては、参考例1と同様に、耐久試験を行い、1時間ごとに、帯電電位の変化幅(V)を測定した。得られた結果を表1および図7(ラインC)に示す。
参考例11〜17においては、電子写真感光体を製造する際に正孔輸送剤の添加量を、それぞれ20、30、40、60、70、80、90重量部に変えたほかは参考例1と同様に電子写真感光体を製造し、電子写真感光体を評価する際の帯電時の流れ込み電流値(Icc)を10μA/cm2及び電子写真感光体の回転速度を120mm/secとして、3時間連続通紙を行い、実施例1と同様に電子写真感光体を評価した。得られた結果を表2に示す。
その結果、電子写真感光体として単層型電子写真感光体を用い、かつ、電子写真感光体の回転速度が速い場合であっても、帯電電位の変化幅を減少させて、かぶりの発生を効果的に抑制することができるようになった。
したがって、本発明の画像形成装置及びそれを用いた画像形成方法は、画像形成装置の高画質化、小型化等に寄与することが期待される。
Claims (6)
- 電子写真感光体の周囲に、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、除電手段と、が順次配置された画像形成装置であって、
前記電子写真感光体を帯電させる際の単位面積当たりの感光層表面に対する流れ込み電流値を5〜25μA/cm2の範囲内の値とするとともに、
前記電子写真感光体が、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及び結着樹脂を同一層に含む単層型電子写真感光体であり、かつ、前記正孔輸送剤として下記一般式(1)で表されるアミン化合物を含むことを特徴とする画像形成装置。
(一般式(1)中、Ra〜Rgは、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であって、かつ、Ra〜Reのいずれか2つが結合してシクロヘキシル基を形成し、X1及びX2はそれぞれ独立しており、下記一般式(2)で表される置換基であり、X1及びX2、あるいはいずれか一方が複数である場合は、それぞれ同一でも異なってもよく、置換基数l及びmは、(l+m≧2)を満足する0または正の整数である。)
(一般式(2)中、Rh〜Riは、それぞれ独立しており、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であり、繰り返し数nは1〜2の整数であり、Rjはハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、あるいは置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であり、Rjが複数である場合は、同一でも異なってもよく、置換基数oは0〜5の整数である。) - 前記電子写真感光体の回転速度を70〜280mm/secの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記一般式(1)において、X1及びX2、あるいはいずれか一方が、一般式(2)における繰り返し数nを2としたブタジエン構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記一般式(1)で表されるアミン化合物の添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して30〜80重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記帯電手段をスコロトロン帯電装置とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置を用いた画像形成方法。
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