JP6583546B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
第一実施形態は、電子写真感光体(以下、感光体と記載する場合がある)に関する。以下、図1A〜図1Cを参照して、第一実施形態の感光体について説明する。図1A〜図1Cは、第一実施形態に係る感光体の構造を示す概略断面図である。
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(より具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン等)の粉末、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料又はキナクリドン系顔料が挙げられる。
正孔輸送剤は、トリフェニルアミン誘導体(1)を含む。トリフェニルアミン誘導体は、一般式(1)で表される。
電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
バインダー樹脂は、電荷発生剤等を感光層中に分散させ固定させる。バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂(より具体的には、ビスフェノールZ型、ビスフェノールZC型、ビスフェノールC型又はビスフェノールA型等)、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸系樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂又はその他架橋性の熱硬化性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂又はウレタン−アクリル酸系樹脂が挙げられる。これらのバインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂が好ましく、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂がより好ましい。ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂は化学式(Resin−1)で表される繰返し単位を有する。以下、化学式(Resin−1)で表される繰返し単位を有するバインダー樹脂を、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(Resin−1)と記載することがある。なお、バインダー樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
感光体の電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、感光層は各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物又は有機燐化合物が挙げられる。
中間層は、例えば、無機粒子及び樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層の存在により、電流リークの発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にする。その結果、中間層を備える感光体は、所望の電気抵抗に調整し易い。
次に、図1A〜図1Cを参照して、感光体1の製造方法の一例について説明する。感光体1の製造方法は、例えば、感光層形成工程を有する。感光層形成工程では、感光層用塗布液を、導電性基体2上に塗布し、塗布膜を形成する。塗布膜に含まれる溶剤を除去して感光層3を形成する。感光層用塗布液は、電荷発生剤と、正孔輸送剤としてのトリフェニルアミン誘導体(1)と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、溶剤とを少なくとも含む。感光層用塗布液は、電荷発生剤、正孔輸送剤としてのトリフェニルアミン誘導体(1)と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを、溶剤に溶解又は分散させることにより調製される。感光層用塗布液には、必要に応じて、電子輸送剤及び各種添加剤を加えてもよい。
第二実施形態は画像形成装置に関する。第二実施形態に係る画像形成装置は、像担持体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。帯電部は、像担持体の表面を帯電する。露光部は、帯電された像担持体の表面を露光して、像担持体の表面に静電潜像を形成する。現像部は、静電潜像をトナー像として現像する。転写部は、トナー像を前記像担持体から記録媒体へ転写する。像担持体は、第一実施形態に係る電子写真感光体である。帯電部の帯電極性は、正極性である。転写部は、像担持体と接触しながらトナー像を記録媒体に転写する。第二実施形態に係る画像形成装置は、いわゆる直接転写方式を採用する。
条件(a):接触現像方式を採用し、像担持体1と現像部46との間に周速(回転速度)差が設けられる。
条件(b):像担持体1の表面電位と、現像バイアスの電位とが以下の数式(b−1)及び数式(b−2)を満たす。
0(V)<現像バイアスの電位(V)<像担持体1の未露光領域の表面電位(V)・・・(b−1)
現像バイアスの電位(V)>像担持体1の露光領域の表面電位(V)>0(V)・・・(b−2)
第三実施形態はプロセスカートリッジに関する。第三実施形態に係るプロセスカートリッジは、第一実施形態に係る感光体を備える。引き続き、図2を参照して、第三実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。プロセスカートリッジは、ユニット化された像担持体1を備える。プロセスカートリッジは、像担持体1に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48からなる群より選択される少なくとも1つをユニット化した構成が採用される。プロセスカートリッジは、例えば、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジには、クリーニング装置(不図示)及び除電器(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、像担持体1の感度特性等が劣化した場合に、像担持体1を含めて容易かつ迅速に交換することができる。
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。
電荷発生剤として、電荷発生剤(CG−1)を準備した。電荷発生剤(CG−1)は、第一実施形態で説明した化学式(CG−1)で表される無金属フタロシアニンであった。また、電荷発生剤(CG−1)の結晶構造はX型であった。
トリフェニルアミン誘導体(H−1)〜(H−5)及び正孔輸送剤(J−1)〜(J−3)を準備した。トリフェニルアミン誘導体(H−1)〜(H−5)は、第一実施形態で説明した。また、正孔輸送剤(J−1)〜(J−3)は、それぞれ化学式(J−1)〜(J−3)で表される。
第一実施形態で説明したキノン誘導体(E−1)、ジイミド誘導体(E−2)及びマロノニトリル誘導体(E−3)〜(E−6)を準備した。
バインダー樹脂として、第一実施形態に説明したビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(Resin−1)を準備した。
準備した感光体の感光層を形成するための材料を用いて、感光体(A−1)〜(A−18)及び(B−1)〜(B−3)を製造した。
容器内に、電荷発生剤(CG−1)5質量部と、正孔輸送剤としてのトリフェニルアミン誘導体(H−1)50質量部と、電子輸送剤としてのキノン誘導体(E−1)35質量部と、バインダー樹脂(Resin−1)100質量部と、溶剤としてのテトラヒドロフラン750質量部とを投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて50時間混合して分散し、感光層用塗布液を調製した。
以下の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様の方法で、感光体(A−2)〜(A−18)及び(B−1)〜(B−3)を製造した。感光体(A−1)の製造に用いた正孔輸送剤としてのトリフェニルアミン誘導体(H−1)及び電子輸送剤としてのキノン誘導体(E−1)に代えて、それぞれ表1に示す種類の正孔輸送剤(HTM)及び電子輸送剤(ETM)を用いた。欄「感光体No」のA−1〜A−18及びB−1〜B−3は、それぞれ感光体(A−1)〜(A−18)及び(B−1)〜(B−3)を示す。欄「HTM」のH−1〜H−5及びJ−1〜J−3は、それぞれトリフェニルアミン誘導体(H−1)〜(H−5)及び正孔輸送剤(J−1)〜(J−3)を示す。欄「ETM」のE−1〜E−6は、それぞれキノン誘導体(E−1)、ジイミド誘導体(E−2)及びマロノニトリル誘導体(E−3)〜(E−6)を示す。
(3−1.感光体のリーク開始電圧の測定)
得られた感光体(A−1)〜(A−18)及び感光体(B−1)〜(B−3)の各々に対して、リーク開始電圧を測定した。感光体のリーク開始電圧は、以下の条件により耐圧性試験機(KDC作製検査治具)を用いて測定した。具体的には、感光体に電圧を印加し、感光層が絶縁破壊するまで徐々に電圧を増加させた。絶縁破壊した電圧、すなわち感光層が絶縁破壊する最小の電圧をリーク開始電圧とした。得られたリーク開始温度を表1に示す。
温度 :30℃
相対湿度:80%RH
得られた感光体(A−1)〜(A−18)及び感光体(B−1)〜(B−3)の各々に対して、感光層(単層型感光層)のビッカース硬度を測定した。感光層のビッカース硬度は、日本工業規格(JIS)Z2244に準拠する方法で測定した。ビッカース硬度の測定には、硬度計(株式会社マツザワ(旧 松沢精機株式会社)製「マイクロビッカース硬度計 DMH−1型」)を用いた。ビッカース硬度の測定は、温度23℃、ダイヤモンド圧子の荷重(試験力)10gf、試験力に到達するまでの所要時間5秒、ダイヤモンド圧子の接近速度2mm/秒及び試験力の保持時間1秒の条件で行った。測定されたビッカース硬度を表1に示す。
トリフェニルアミン誘導体(H−1)〜(H−5)及び正孔輸送剤(J−1)〜(J−3)の各々に対して、以下の方法で、イオン化ポテンシャルを得た。まず、サイクリックボルタメトリー測定を行い、正孔輸送剤の酸化電位を測定した。得られた酸化電位を変換しイオン化ポテンシャルを得た。
以下に、サイクリックボルタメトリー測定条件を示す。
作用電極 :グラッシーカーボン
対極 :白金
参照電極 :銀/硝酸銀(0.1moL/L、AgNO3−アセトニトリル溶液)
試料溶液電解質:過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.1moL)
測定対象(物質量):正孔輸送剤(0.001moL)
溶剤 :ジクロロメタン(1L)
(4−1.画像評価(黒点))
感光体(A−1)〜(A−18)及び(B−1)〜(B−3)の各々に対し、画像評価を行った。評価機として、プリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−1300D」、半導体レーザーによる乾式電子写真方式のプリンター)を使用した。評価機は、帯電ローラーを帯電部として備えていた。帯電部の帯電極性は、正極性であった。評価機は、直接転写方式の転写部(転写ローラー)を備えていた。評価機の現像部は、感光体のクリーニング機能を有していた。評価には、用紙として、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「京セラドキュメントソリューションズブランド紙VM−A4(A4サイズ)」を使用した。各評価には、トナーとして、京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「非磁性1成分用トナー」を使用した。各評価の測定環境は、高温高湿環境(温度:32.5℃ 相対湿度:80%RH)であった。感光体を評価機に搭載した。画像形成条件を、線速168mm/秒に設定した。評価機の感光体の動作を安定化させるために、アルファベットの画像を1000枚印刷した。続いて、画像Dを1枚印刷し、黒点の評価用サンプルとした。画像Dは、全面白紙画像であった。得られた評価用サンプルを目視で観察し、黒点の有無を観察した。観察結果に基づき、下記の評価基準に従って、黒点に関する画像評価を行った。黒点の個数及び判定結果を表1に示す。
(黒点に関する画像評価の評価基準)
評価A(良い):黒点の個数は、5個以下であった。
評価B(悪い):黒点の個数は、5個を超えていた。
感光体(A−1)〜(A−18)及び(B−1)〜(B−3)の各々に対し、露光後電位を測定し、電気特性(感度特性)の評価を行った。感光体の露光後電位は、温度10℃及び相対湿度20%RHの環境下で、ドラム感度試験機(GENTEC社製)を用いて測定した。感光体の表面電位が+600Vとなるように、感光体の表面を帯電した。その後、単色光(露光波長:780nm)を露光量0.26μJ/cm2で感光体表面に照射し露光した。露光後50ミリ秒経過後の感光体の露光領域の表面電位を測定した。測定した表面電位を露光後電位VLとした。なお、露光後電位VLの値が0V以上であって小さいほど、感光体の感度特性が優れていることを示す。以下の基準に従って、感光体の感度を判定した。露光後電位VL(単位:V)及び判定結果を表1に示す。
評価A(良い):露光後電位VLが+130V以下であった。
評価B(悪い):露光後電位VLが+130Vを超えた。
Claims (6)
- 導電性基体と、感光層とを備える電子写真感光体であって、
前記感光層は、単層型感光層であり、
前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを少なくとも含有し、
前記正孔輸送剤は、化学式(H−1)、化学式(H−2)又は化学式(H−5)で表される化合物であり、
前記電子輸送剤は、化学式(E−3)、化学式(E−4)又は化学式(E−6)で表される化合物であり、
前記正孔輸送剤が前記化学式(H−1)で表される化合物である場合、前記電子輸送剤は、前記化学式(E−3)、前記化学式(E−4)又は前記化学式(E−6)で表される化合物であり、
前記正孔輸送剤が前記化学式(H−2)又は前記化学式(H−5)で表される化合物である場合、前記電子輸送剤は、前記化学式(E−3)で表される化合物である、電子写真感光体。
- 前記電荷発生剤は、X型無金属フタロシアニンである、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 請求項1に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
- 像担持体と、
前記像担持体の表面を帯電する帯電部と、
帯電された前記像担持体の前記表面を露光して、前記像担持体の前記表面に静電潜像を形成する露光部と、
前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
前記トナー像を前記像担持体から記録媒体へ転写する転写部と
を備える画像形成装置であって、
前記像担持体は、請求項1に記載の電子写真感光体であり、
前記帯電部の帯電極性は、正極性であり、
前記転写部は、前記像担持体と接触しながら前記トナー像を前記記録媒体に転写する、画像形成装置。 - 前記現像部は、前記像担持体の前記表面を清掃する、請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部は、帯電ローラーである、請求項4に記載の画像形成装置。
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