JP3785762B2 - 正帯電用電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感光層表面に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して画像形成を行うための正帯電用電子写真感光体に関する。詳しくは、電子輸送物質及び正孔輸送物質を含有する感光層を有する正帯電用電子写真感光体に関し、特にプリンタや複写機等に有用な正帯電用電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真感光体(以後単に感光体ともいう)としては、セレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム、シリコン等の無機光導電性化合物を主成分とする感光層を有する無機感光体が広く用いられてきた。しかしながら、これらは感度、熱安定性、耐湿性、耐久性等において必ずしも満足し得るものでなく、また一部の無機感光体では感光体中に人体に有害な物質を含むため、廃棄に際して環境汚染の問題がある。
【0003】
これらの無機感光体の持つ欠点を克服する目的で様々な有機光導電性物質を主成分とする感光層を有する有機感光体の研究、開発が近年盛んに行われている。特に電荷発生機能を電荷発生物質に、電荷輸送機能を電荷輸送物質にそれぞれ分担させた機能分離型の感光体は、それぞれの材料を広い範囲から選択することができ、任意の性能を有する感光体を比較的容易に作製し得ることから多くの研究開発がなされており、既に実用化の段階にある。
【0004】
上記有機感光体においては、該感光体に像露光を行ったとき、感光層中の電荷発生物質から電子及び正孔が発生し、これらの一方は感光体表面側に輸送されて表面電荷を消去すると共に、他方は支持体側へ輸送される。従って正帯電で長期に亘り繰り返して画像形成を行ったとき、又は低温低湿で画像形成を行ったとき、電位安定性に優れていて、良質の画像を安定して確保するためには、感光層中に電荷発生物質と共に電子輸送物質及び正孔輸送物質を含有していることが望まれる。
【0005】
しかしながら、上記電荷発生物質と正孔輸送物質との組み合わせが主として研究開発され、輸送効率の高い電子輸送物質の研究開発が遅れている。
【0006】
従って、上記有機感光体としては、導電性支持体上に電荷発生物質を含有する電荷発生層、その上に正孔輸送物質を含有する電荷輸送層を設けた負帯電性感光体が主流となっている。このため、従来無機感光体に広く用いられてきた負帯電性の現像剤の利用ができないとか、有機感光体をコロナ放電により帯電させるときに生じるオゾンの発生量が無機感光体で行われる正帯電に比べて著しく多いなどの欠点があり、特にオゾンの発生量が多いことはそれに起因する感光体の劣化に加え、人体、環境に与える影響の点でも問題である。
【0007】
そこで、正帯電方式の有機感光体の研究開発が進められており、該正帯電方式の感光体としては電荷発生物質を含有する電荷発生層を上層とし、従来の正孔輸送物質を用いた電荷輸送層を下層とした積層構成の感光体又は電荷発生物質と従来の正孔輸送物質とを同一層に含有する単層構成の感光体などが研究されている。
【0008】
上記正帯電方式の感光体では表面層に電荷発生物質を高濃度に含有する電荷発生層(単層構成の場合は感光層)がくるため感光体の機械的及び化学的耐久性が劣り、環境依存性が大きく、繰り返しての画像形成の過程で疲労劣化して残留電位が増大して地カブリが発生し、鮮明な画像が得られなくなるという問題が生ずる。
【0009】
そこで上記正帯電方式の感光体の特性改良を図るため電子輸送機能に優れた電子輸送物質の研究開発が行なわれている。上記電子輸送物質としては、現在までに2,4,7−トリニトロフルオレノンが知られており、その他、近年電子受容性構造に溶解性基を導入したいくつかの電子輸送物質が提案されている。例えば特開平1−206349号、同2−135362号、同2−214866号、同3−290666号、同8−15878号、同8−278647号等の各号公報及び“Japan Hard Copy ’92”論文集,173頁(1992)等に記載される電子輸送物質を挙げることができる。
【0010】
そこで、上記正帯電方式の感光体として、電荷発生物質を含有した電荷発生層を上層とし、従来の正孔輸送物質を含有する電荷輸送層を下層とした積層構成の感光層を有する感光体の場合は、該電荷発生層中に電子輸送物質及び正孔輸送物質を含有させ、また電荷発生物質と従来の正孔輸送物質とを同一層中に含有する単層構成の感光層を有する感光体の場合は、該感光層中にさらに電子輸送物質を含有させることにより、上記電荷発生層(又は感光層)中の電荷発生物質の含有量を低く押さえることができ、機械的強度の向上が期待され、又、電子の移動性向上により繰り返しての画像形成の際の疲労劣化を防止し、かつ残留電位の上昇を防止でき、正帯電性感光体としての電子写真性能の改良が期待される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら感光層中に電荷発生物質と共に電子輸送物質及び正孔輸送物質を含有させて正帯電用感光体を作製した場合、該電子輸送物質及び正孔輸送物質の組み合わせの如何によっては、繰り返し使用時の電位安定性が悪く、特に低温低湿時の残留電位の上昇によりカブリが発生し、鮮明な画像が得られない場合も認められる。
【0012】
本発明は上記実情に鑑みて提案されたものであり、その目的とするところは、正帯電方式により繰り返して画像形成を行うとき、電位安定性に優れており、特に低温低湿環境下における繰り返しての画像形成時においても電位安定性に優れていて残留電位の増大による地カブリを生ずることがなく、常に鮮明な画像が安定して得られる感光体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記構成により達成される。
【0014】
1.導電性支持体上に、順次、正孔輸送物質を含有する層並びに電荷発生物質、正孔輸送物質及び電子輸送物質を含有する層を有する感光層を設けた正帯電用電子写真感光体において、該電子輸送物質が、一般式(1)、(2)の構造から選択される少なくとも1種の電子輸送物質であり、該正孔輸送物質が、一般式(3)、(6)の構造から選択される少なくとも1種の正孔輸送物質であることを特徴とする正帯電用電子写真感光体。
なお、以下に、本発明に用いてもよい正孔輸送物質として、一般式(4)、(5)及び(7)も記載する。
【0015】
【化8】
【0016】
(式中、Ar、Ar′は各々置換、無置換のアリール基又は芳香族複素環基を表し、Zは=C(CN)2、=C(CO2R)CO2R′、=C(CN)CO2R、=C(CN)COR、=N(CN)の各基を表し、R、R′は各々置換、無置換のアルキル基又はアリール基を表す。)
【0017】
【化9】
【0018】
(式中、Ar″は置換、無置換のアリール基を表す。Xは水素原子、置換、無置換のアルキル基、置換、無置換のアリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子を表し、nは0、1、2、3又は4を表す。)
【0019】
【化10】
【0020】
(式中、Yは1〜3価の、置換基としてアルキル基又はアリール基を有する芳香族炭化水素基、無置換の芳香族炭化水素基又はアルキル基を表し、Ar1、Ar2は各々置換、無置換の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、lは1〜3の整数を表す。)
【0021】
【化11】
【0022】
(式中、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6は各々置換、無置換の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、R1は水素原子、置換、無置換のアルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、Ar6とR1は他の原子と共に環を形成してもよい。nは1又は2の整数を表す。)
【0023】
【化12】
【0024】
(式中、R2、R3は置換、無置換のアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を表し、R2とR3は窒素原子と共に環を形成してもよい。R4は水素原子、置換、無置換のアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を表し、Ar7は置換、無置換のアリール基又は芳香族複素環基を表す。)
【0025】
【化13】
【0026】
(式中、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11は各々置換、無置換のアリール基又は芳香族複素環基を表す。)
【0027】
【化14】
【0028】
(式中、R5、R6、R7、R8は置換、無置換のアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を表し、R9は水素原子、置換、無置換のアルキル基、アリール基又は芳香族複素環基を表す。)
以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
〈一般式(1)の説明〉
上記一般式(1)中、Ar、Ar′は各々置換、無置換の例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基又は例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表し、Zは=C(CN)2、=C(CO2R)CO2R′、=C(CN)CO2R、=C(CN)COR、=N(CN)の各基を表し、R、R′は各々置換、無置換の例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基又は例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。
【0030】
上記一般式(1)で表される電子輸送物質の具体的化合物例としては以下のものを挙げることができる。
【0031】
【化15】
【0032】
【化16】
【0033】
【化17】
【0034】
【化18】
【0035】
【化19】
【0036】
【化20】
【0037】
【化21】
【0038】
【化22】
【0039】
【化23】
【0040】
〈一般式(2)の説明〉
上記一般式(2)中、Ar″は置換、無置換の例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。Xは水素原子、置換、無置換の例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、置換、無置換の例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子を表し、nは0、1、2、3又は4を表す。
【0041】
上記一般式(2)で表される電子輸送物質の具体的化合物例としては以下のものを挙げることができる。
【0042】
【化24】
【0043】
【化25】
【0044】
〈一般式(3)の説明〉
上記一般式(3)中、Yは1〜3価の、置換基としてアルキル基又はアリール基を有する芳香族炭化水素基、無置換の芳香族炭化水素基又は例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基を表し、Ar1、Ar2は各々置換、無置換の例えばフェニル基等の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、lは1〜3の整数を表す。
【0045】
上記一般式(3)で表される正孔輸送物質の具体的化合物例としては以下のものを挙げることができる。
【0046】
【化26】
【0047】
【化27】
【0048】
【化28】
【0049】
〈一般式(4)の説明〉
上記一般式(4)中、Ar3、Ar4、Ar5、Ar6は各々置換、無置換の例えばフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、R1は水素原子、置換、無置換の例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、Ar6とR1は他の原子と共に環を形成してもよい。nは1又は2の整数を表す。
【0050】
上記一般式(4)で表される正孔輸送物質の具体的化合物例としては以下のものを挙げることができる。
【0051】
【化29】
【0052】
【化30】
【0053】
【化31】
【0054】
【化32】
【0055】
【化33】
【0056】
〈一般式(5)の説明〉
上記一般式(5)中、R2、R3は置換、無置換の例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基又は例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表し、R2とR3は窒素原子と共に環を形成してもよい。R4は水素原子、置換、無置換の例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基又は例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表し、Ar7は置換、無置換の例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基又は例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基を表す。
【0057】
上記一般式(5)で表される正孔輸送物質の具体的化合物例としては以下のものを挙げることができる。
【0058】
【化34】
【0059】
【化35】
【0060】
〈一般式(6)の説明〉
上記一般式(6)中、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11は各々置換、無置換の例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基又は芳香族複素環基を表し、該アリール基又は芳香族複素環基の置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基等が挙げられる。
【0061】
上記一般式(6)で表される正孔輸送物質の具体的化合物例としては以下のものを挙げることができる。
【0062】
【化36】
【0063】
〈一般式(7)の説明〉
上記一般式(7)中、R5、R6、R7、R8は置換、無置換の例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基又は芳香族複素環基を表し、R9は水素原子、置換、無置換の例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、例えばフェニル基、ナフチル基等のアリール基又は芳香族複素環基を表す。
【0064】
上記一般式(7)で表される正孔輸送物質の具体的化合物例としては以下のものを挙げることができる。
【0065】
【化37】
【0066】
本発明の正帯電用感光体の感光層には上記各一般式で表される特定の電子輸送物質及び正孔輸送物質が組み合わせて含有されるが、さらに必要により上記以外の電荷輸送物質、例えばオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、イミダゾール、等に代表される含窒素複素環核及びその縮合環核を有する化合物、ポリアリールアルカン系の化合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリアリールアミン系化合物、スチリル系化合物、スチリルトリフェニルアミン系化合物、β−フェニルスチリルトリフェニルアミン系化合物、ブタジエン系化合物、ヘキサトリエン系化合物、カルバゾール系化合物、縮合多環系化合物等を含有してもよい。
【0067】
また、本発明の正帯電用感光体の感光層に含有される電荷発生物質としては、例えばフタロシアニン顔料、アゾ顔料、アントラキノン顔料、スクエアリウム顔料等が挙げられる。
【0068】
本発明の正帯電用感光体は従来公知の種々の形態をとることができるが、積層型もしくは単層型の機能分離型感光体とするのが望ましい。図1は感光体の層構成を表す断面図であり、通常は図1(a)〜(d)のような構成となる。図1(a)に示す層構成は、導電性支持体1上に正孔輸送物質を含有する電荷輸送層3を形成し、この上に電荷発生物質6、電子輸送物質及び正孔輸送物質を含有する電荷発生層2を積層して感光層4を形成したものであり、図1(b)は図1(a)の層構成の感光層4と導電性支持体1との間に中間層5を設けたものである。図1(c)は導電性支持体1上に電荷発生物質6、電子輸送物質及び正孔輸送物質を含有する単層構成の感光層4′を設けたものであり、図1(d)は図1(c)の層構成の感光層4′と導電性支持体1との間に中間層5を設けたものである。なお、図1(a)〜(d)の構成において、最表層にさらに保護層を設けることができる。
【0069】
上記感光層4又は感光層4′の形成においては、電荷発生物質、電子輸送物質及び正孔輸送物質を、必要によりバインダ樹脂や添加剤とともに溶剤に溶解させた溶液を塗布する方法が有効である。しかしながら、該感光層4又は感光層4′は、一般に電荷発生物質の溶解度が低いため、該電荷発生物質を超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサ等の分散装置を用いて適当な分散媒中に微粒子分散させた分散液に上記電子輸送物質、正孔輸送物質、バインダ樹脂その他添加剤を溶解したものを塗布液として用い、例えばバーコート塗布、スピンコート塗布、アプリケーター塗布、スプレー塗布、ディップ塗布等によって塗布加工して得られる。
【0070】
上記感光層の形成に使用される溶剤或は分散媒としては広く任意のものを用いることができる。例えば、ブチルアミン、エチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、キシレン、アセトフエノン、クロロホルム、ジクロルメタン、ジクロルエタン、トリクロルエチン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。
【0071】
電荷発生層2、電荷輸送層3又は感光層4′等の形成にバインダ樹脂を用いる場合に、該バインダ樹脂として任意のものを選ぶことができるが、特に疎水性でかつフィルム形成能を有する高分子重合体樹脂が望ましい。このような重合体樹脂としては例えば次のものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。ポリカーボネート(特にポリカーボネートZ樹脂が好ましい)、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルカルバゾール、スチレン−アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリエステル、フェノール樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂。
【0072】
図1(a)及び(b)の感光層4における電荷発生層2中のバインダ樹脂、電荷発生物質6、電子輸送物質及び正孔輸送物質の含有割合は、バインダ樹脂100重量部当たり、電荷発生物質6を5〜100重量部、電子輸送物質を10〜100重量部及び正孔輸送物質を10〜100重量部とするのが好ましく、また、電荷輸送層3中のバインダ樹脂及び正孔輸送物質の含有割合は、バインダ樹脂100重量部当たり、正孔輸送物質を20〜200重量部とするのが好ましい。
【0073】
また、図1(c)及び(d)の感光層4′中のバインダ樹脂、電荷発生物質6、電子輸送物質及び正孔輸送物質の含有割合は、バインダ樹脂100重量部当たり電荷発生物質6を5〜100重量部、電子輸送物質を10〜100重量部及び正孔輸送物質を10〜100重量部とするのが好ましい。
【0074】
また、図1(a)及び(b)の感光層4における電荷発生層2の膜厚は2〜20μmが好ましく、電荷輸送層3の膜厚は5〜30μmが好ましい。また、図1(c)及び(d)の感光層4′の膜厚は10〜40μmが好ましい。なお、中間層5の膜厚は好ましくは0.1〜5μmである。
【0075】
又、上記感光層4又は感光層4′中には保存性、耐久性、耐環境依存性を向上させる目的で酸化防止剤や光安定剤等の劣化防止剤を含有させることができる。そのような目的に用いられる化合物としては例えば、トコフェロール等のクロマール誘導体及びそのエーテル化化合物もしくはエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、ハイドロキノン誘導体及びそのモノ及びジエーテル化化合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チオエーテル化合物、ホスホン酸エステル、亜燐酸エステル、フェニレンジアミン誘導体、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、直鎖アミン化合物、環状アミン化合物、ヒンダードアミン化合物、などが有効である。特に有効な化合物の具体例としては、「IRGANOX 1010」、[IRGANOX 565」(チバ・ガイギー(株)社製)、「スミライザー BHT」、「スミライザー MDP」(住友化学工業(株)社製)等のヒンダードフェノール化合物、「サノール LS−2626」、「サノール LS−622LD」(三共(株)社製)等のヒンダードアミン化合物が挙げられる。
【0076】
中間層5及び必要により設けられる保護層等に用いられるバインダ樹脂としては、上記の電荷発生層、電荷輸送層、感光層用に挙げたものを用いることができるが、その他にポリアミド樹脂、ナイロン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸共重合体樹脂等のエチレン系樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等が有効である。又、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂等の熱硬化型或は化学的硬化型のバインダ樹脂を用いることができる。
【0077】
導電性支持体としては、金属板、金属ドラムが用いられる他、導電性ポリマーや酸化インジウム等の導電性化合物、もしくはアルミニウム、パラジウム等の金属の薄層を塗布、蒸着、ラミネート等の手段により紙やプラスチックフィルムなどの基体の上に設けてなるものを用いることができる。
【0078】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の実施態様はこれにより限定されるものではない。尚、実施例、比較例において「部」とは「重量部」を表す。
【0079】
参考例1〜10
アルミニウムを蒸着したPETフィルム上に、ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ(株)社製)からなる厚さ0.5μmの中間層を設けた。その上にX型無金属フタロシアニン10部、ポリカーボネート樹脂「ユーピロンZ−200」(三菱瓦斯化学(株)社製)100部、分散溶媒テトラハイドロフラン1000部、正孔輸送物質75部、電子輸送物質50部を超音波分散した塗布液をドクターブレードを用いて塗布して膜厚約20μmの感光層を形成して単層構成の感光体を製造する製造方法を用い、該正孔輸送物質及び電子輸送物質をそれぞれ表1の如く10種類に変化して参考例1〜10の10種類の正帯電用感光体を得た。
【0080】
比較例1〜10
電子輸送物質を除いた他は参考例1〜10と同様にして比較例1〜10の10種類の正帯電用感光体を得た。
【0081】
比較例11
電子輸送物質を比較化合物1とし、正孔輸送物質を比較化合物2とした他は参考例1と同様にして比較例11の正帯電用感光体を得た。
【0082】
実施例11〜20
アルミニウムを蒸着したPETフィルム上に、ポリアミド樹脂「CM8000」(東レ(株)社製)からなる厚さ0.5μmの中間層を設けた。その上に正孔輸送物質75部、ポリカーボネート樹脂「ユーピロンZ−200」(三菱瓦斯化学(株)社製)100部をジクロロエタン1000部に溶解した塗布液をドクターブレードを用いて塗布して膜厚約15μmの電荷輸送層を形成し、さらにこの上にX型無金属フタロシアニン10部、ポリカーボネート樹脂「ユーピロンZ−200」(三菱瓦斯化学(株)社製)100部、分散溶媒テトラハイドロフラン1000部、正孔輸送物質50部、電子輸送物質50部を超音波分散した塗布液をドクターブレードを用いて5μm厚に塗布し、合計膜厚約20μmの感光層を形成して積層構成の感光体を製造する製造方法を用い、該正孔輸送物質及び電子輸送物質をそれぞれ表2の如く10種類に変化して実施例11〜20の10種類の正帯電用感光体を得た。
【0083】
比較例12〜21
電子輸送物質を除いた他は実施例11〜20と同様にして比較例12〜21の10種類の正帯電用感光体を得た。
【0084】
比較例22
電子輸送物質を比較化合物1とし、正孔輸送物質を比較化合物2とした他は実施例11と同様にして比較例22の正帯電用感光体を得た。
【0085】
【化38】
【0086】
評価方法
参考例1〜10及び実施例11〜20、比較例1〜22の42種類の感光体を円筒形アルミニウム上にアースを取って貼り付けた感光体ドラムを、コニカ(株)社製複写機「Konica−U1015」を正帯電用に改造した改造機に順次装着し、帯電−像露光の1000回の繰り返し後の残留電位Vr(V)及び初期から1000回目迄に上昇した残留電位の上昇分ΔVr(V)を測定し、その結果を以下の表1、2に示した。なお、上記測定は10℃、RH30%の低温、低湿環境下で行われた。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
表2から本発明の感光体は繰り返して画像形成を行う過程で残留電位の上昇が少なく、カブリのない鮮明な画像が安定して得られるが、比較例の感光体は繰り返して画像形成を行う過程で残留電位の上昇が大であり、カブリが多く鮮明な画像が得られず、実用性に乏しいことが解る。
【0090】
【発明の効果】
本発明の正帯電用感光体によれば、繰り返して画像形成を行ったとき、電位安定性に優れており、特に低温低湿環境下における繰り返しての画像形成時においても電位安定性に優れていて残留電位の増大による地カブリを生ずることがなく、常に鮮明な画像が得られる等、優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】感光体の層構成を表す断面図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 電荷発生層
3 電荷輸送層
4,4′ 感光層
5 中間層
6 電荷発生物質
Claims (1)
- 導電性支持体上に、順次、正孔輸送物質を含有する層並びに電荷発生物質、正孔輸送物質及び電子輸送物質を含有する層を有する感光層を設けた正帯電用電子写真感光体において、該電子輸送物質が、一般式(1)、(2)の構造から選択される少なくとも1種の電子輸送物質であり、該正孔輸送物質が、一般式(3)、(6)の構造から選択される少なくとも1種の正孔輸送物質であることを特徴とする正帯電用電子写真感光体。
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-
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