JP5504702B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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本発明は、複写機、レーザープリンター等に使用される電子写真感光体に関し、特に、有機薄膜を使用した電子写真感光体に関する。
従来は、複写機やレーザープリンター等に用いられる電子写真感光体には、セレン、セレン−テルル、セレン−砒素、アモルファスシリコン等の材料で構成された薄膜が感光層として用いられていた。
しかしながら近年では、低価格で環境汚染の少ない有機感光体を用いたものが主流になりつつある。そのような有機感光体を感光層の構造で分類すると、単層分散型の感光層と機能分離型の感光層とに分けられる。
機能分離型感光体は、電荷を発生させる電荷発生層(CGL)と、発生した電荷を移動させる電荷移動層(CTL)とを別々に成膜したものであり、単層分散型感光体は、電荷移動剤の媒体中に電荷発生剤を分散させ、単層膜で両方(CGLおよびCTL)の機能を持たせたものである。現在では、いずれの型の電子写真感光体とも実用に供されている。特に単層型感光体では、感度を向上させるために高い移動度の電子移動剤の開発が望まれている。
有機感光体を帯電型で分類すると、正帯電型と負帯電型の2種類に分けられるが、現在知られている電荷移動剤のうち、移動度が高いものは正孔移動性のものがほとんどであり、材料の選択の余地が多く、感光体の特性の制御が容易なことから、実用化されている有機感光体は積層型の負帯感光体が主流となっている。
一方、単層型感光体は、塗布工程が少なくコスト的に有利であるだけでなく、レーザー光のような単色光における干渉縞が発生し難い等の利点がある。更に、感光層の表面近傍で入射光がほとんど吸収され電荷が発生するので、照射光の感光層中での拡散はほとんどなく、帯電後の表面電荷中和にいたるまでの電荷の移動距離が積層型の感光体に比べて少ない点が挙げられる。このため、光および電荷キャリアの拡散による画像ボケが起こり難く、高解像度が期待できる。
感光層中に電子移動剤と正孔移動剤とを含む単層型電子写真感光体では、正帯電および負帯電の両方の極性で用いることが可能であり、感光体の応用範囲を広げるとともに感光体の品種削減によるコストの低減、高速化対応などにおいても有利となる。また、正帯電で使用した場合はオゾンの影響が軽減できる。
しかしながら、このような利点を持つ単層型感光体であるが、正帯電型でのみ実用化されているものの、負帯電型の単層感光体は実用化に至っていない。また、正帯電型の単層感光体においても負帯電積層感光体と匹敵するほどの帯電性および感光体感度を両立するものは得られていない。
これは単層感光体が電子、正孔を同一膜中で移動させる機能が必要となり、さらに同一膜中に電荷発生機能を有する為、各機能を果たす材料開発、材料の組み合わせが難しい為である。電子移動は電子移動剤が担うが、未だ正孔移動剤のように高キャリア移動を果たす材料開発にいたっていない。さらに単層感光体に用いる正孔移動剤は電子移動剤との相性が重要であり、電子移動剤、正孔移動剤を選定する目安が明確ではなかったのが現状である。
また、現在のところ、単層感光体に用いることのできる電子移動剤としては、トリニトロフルオレノン(TNF)、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、キノン、ジフェノキノン、ナフトキノン、アントラキノン及びこれらの誘導体等、特性上不十分な物質しか見出されていない。具体的には、これらの電子移動剤には、下記(i)〜(iii)のような欠点がある。
(i)これらの電子移動剤のほとんどはバインダー樹脂との相溶性が悪く、感光層中に、高濃度で均一に分散させることができないため、含有量の不足から電気特性を満足させることができない。
(ii)TNF、TCNQは電荷移動錯体を形成し導電性は高くなるが、感光層を形成する場合、溶解性、着色性により電荷発生剤に届くべき光を吸収してしまい、感度を低下させてしまう。
(iii)ジフェノキノン骨格において、相溶性を向上させるために、非対称置換型化合物が提唱されているが、感度の高い正帯電型の電子写真感光体を作るために十分な性能の化合物は得られていない。
これらの欠点を改善すべく電子移動剤の開発が進められており、特に特許文献1に開示されている様なジフェノキノン化合物は相溶性、電子移動性に優れており、単層感光体においても感光体特性を向上させることができる。
また高感度電荷発生剤としてCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、27.2°に最大回折ピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンと組み合わせることで、非常に高感度な単層感光体とすることができる。
しかし、帯電性の面で十分ではなく、単層感光体として感度特性と帯電特性の両方を満足するものは得られていない。
本発明は、上記従来技術の欠点を解決することを目的とし、正負両極性で使用できる高感度な単層型の電子写真感光体を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る電子写真感光体は、具体的には下記(I)〜(III)に記載の技術的特徴を有する。
(I):導電性支持体と、該導電性支持体上に設けられた感光層と、を備えた単層型の電子写真感光体であって、前記感光層は、電荷発生剤と、下記化学式(1a)または(1b)で表される電子移動剤と、下記化学式(4a)、(4b)、(4c)、(5a)、(5c)、(5d)、(6a)または(6c)で表される正孔移動剤と、を含有し、前記電荷発生剤は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンと、他のフタロシアニン化合物と、を含むことを特徴とする電子写真感光体である。
Figure 0005504702
(上記式(1a)中、t−Buは、tert−ブチル基を表す。)
Figure 0005504702
(上記式(1b)中、Meはメチル基を表す。)
Figure 0005504702
Figure 0005504702
Figure 0005504702
Figure 0005504702
Figure 0005504702
Figure 0005504702
Figure 0005504702
Figure 0005504702
(II):前記電荷発生剤は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンと、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、26.3°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンと、を含むことを特徴とする上記(I)に記載の電子写真感光体である。
(III):前記電荷発生剤は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンと、クロロインジュウムフタロシアニンと、を含むことを特徴とする上記(I)に記載の電子写真感光体である。
本発明によれば、正負両極性で使用できる高感度な単層型の電子写真感光体が得られる。
実施例で用いたCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、26.3°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンのX線回折図である。 本発明に係る電子写真感光体の層構成の例を示す断面図である。 実施例で用いたCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンのX線回折図である。 実施例1〜6で用いたチタニルフタロシアニンのX線回折図である。 実施例7〜11で用いたフタロシアニン組成物のX線回折図である。
本発明に係る電子写真感光体は、導電性支持体2と、該導電性支持体2上に設けられた感光層3と、を備えた単層型であって、前記感光層3は、電荷発生剤と、下記一般式(1)で表される電子移動剤と、下記一般式(2)で表される正孔移動剤と、を含有し、前記電荷発生剤は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンと、他のフタロシアニン化合物と、を含むことを特徴とする。
Figure 0005504702
(上記式(1)中、R、R及びRは飽和炭化水素であって、相互に同じであってもよく異なっていてもよい。)
Figure 0005504702
(上記式(2)中、R〜Rは、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基、あるいは下記一般式(3)で表される基を表し、R〜Rは、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
Figure 0005504702
(上記式(3)中、R〜Rは、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。)
次に、本発明に係る電子写真感光体(以下、単に感光体と称することもある。)についてさらに詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
単層感光体においては同一層中で電子、正孔両方を輸送する必要があるため、用いる電子移動剤、正孔移動剤共に優れた特性を有していることが必要である。
従来は電子移動剤の電子輸送機能が十分ではなかったが、本発明に用いられる前記一般式(1)で表される電子移動剤は優れた電子輸送機能を有し、また相溶性に優れるため感光層中に高濃度に分散させることができ、感光層として十分な電子輸送能を得ることができる。
しかし一般に電子移動剤と正孔移動剤は電荷移動錯体を形成するため、単層感光体とした場合に電子移動剤及び正孔移動剤それぞれの単体での性能が、感光体の機能として反映されるとは限らない。つまり優れた電子輸送機能を有する前記一般式(1)で表される電子移動剤と、十分な正孔輸送機能を有する正孔移動剤を用いた場合でも、感光体として十分な電荷輸送機能が発揮されず、感度が低下したり、安定性に問題が生じたりしてしまう。
電子移動剤と正孔移動剤の組合せによる効果について詳細なメカニズムは明らかとなっていないが、特性の良い感光体とするには、電子移動剤及び正孔移動剤単体での特性が優れることは当然であるが、加えて電子移動剤と正孔移動剤の組合せも非常に重要となる。
本発明の電子写真感光体のように、前記一般式(1)で表される電子移動剤(ジフェノキノン化合物)と前記一般式(2)で表される正孔移動剤を組み合わせた場合には、電子輸送機能、正孔輸送機能が十分に発揮され電子、正孔それぞれの移動性に優れ、正負両極性において高感度な感光体となる。また繰り返し使用しても感度、帯電性等の静電特性の変化が少ない安定した感光体となる。
また、電荷発生剤においても特定の材料を用いることにより特性が向上する。ある特定の電荷発生剤に対して有効な電荷移動剤(電子移動剤、正孔移動剤)が、他の電荷発生剤に対しても有効であるとは限らず、逆にある特定の電荷移動剤に対して有効な電荷発生剤が、他の電荷移動剤に対しても有効であるとは限らず、相性が存在する、ということが知られている。
前記一般式(1)で表されるジフェノキノン化合物(電子移動剤)と前記一般式(2)で表される正孔移動剤を組み合わせた場合には、特にチタニルフタロシアニンを電荷発生剤とした場合に相性が良く、特にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンを用いることで非常に高感度な感光体となる。しかしこの場合、感度は良くなるものの帯電性が十分でなく、帯電低下による不具合を生じやすい。
このため本発明においては、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、27.2°に最大回折ピークを有するチタニウムフタロシアニンに、更に他のフタロシアニン化合物を組み合わせることで、高感度であり、且つ帯電性も良好な感光体となる。
CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、27.2°に最大回折ピークを有するチタニウムフタロシアニンに組み合わせるほかのフタロシアニン化合物としては、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、26.3°に最大回折ピークを有するチタニウムフタロシアニン(図1参照。)、またはクロロインジュウムフタロシアニンが好ましい。
尚、ピークは結晶状態や測定条件などによりブロード(幅広)になったり、スプリット(分裂)したり、シフト(角度の変化)したりすることもあり得る。
以下、図面に沿って本発明の電子写真感光体を詳しく説明する。
図2は、本発明に係る電子写真感光体の層構成の一例を模式的に示す断面図であり、導電性支持体2の上に感光層3が設けられている。
〔導電性支持体2〕
本発明に用いることができる導電性支持体2には、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、チタン、金、銀、銅、錫、白金、モリブデン、インジュウム等の金属単体やその合金の加工体や、上記金属や炭素等の導電性物質を蒸着、メッキ等の方法で処理し、導電性を持たせたプラスチック板およびフィルム、さらに酸化錫、酸化インジュウム、ヨウ化アルミニウムで被覆した導電性ガラス等、導電性基体の種類や形状に制限されることなく、導電性を有する種々の材料を使用することができる。一般には、円筒状のアルミニウム管単体やその表面をアルマイト処理した物、または導電性樹脂を塗工した物がよく用いられている。
〔感光層3〕
本発明における感光層は少なくとも電荷発生剤と前記一般式(1)で表されるジフェノキノン化合物(電子移動剤)と前記一般式(2)で表される正孔移動剤を含む。
(電荷発生剤)
まず本発明における電荷発生剤について説明する。
本発明の電子写真感光体においては電荷発生剤としてCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、27.2°に最大回折ピークを有するチタニウムフタロシアニンと他のフタロシアニン化合物を含む。
他のフタロシアニン化合物としては、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、26.3°に最大回折ピークを有するチタニウムフタロシアニン(図1参照。)、又はクロロインジュウムフタロシアニンが好ましい。
本発明においては更にその他の電荷発生剤を混合して用いてもよく、例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−砒素、アモルファスシリコン、上記した以外のフタロシアニン顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ポリアゾ顔料、インジゴ顔料、スレン顔料、トルイジン顔料、ピラゾリン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム塩等を用いることができる。
感光層3中の電荷発生剤の濃度は0.005重量%以上10重量%以下が一般的に用いられ、好ましくは0.5重量%以上5重量%以下である。電荷発生剤の濃度が低いと感光体感度が低下する傾向にあり、濃度が高くなると帯電性や膜強度が低下する傾向にある。
(電荷移動剤)
《ジフェノキノン化合物(電子移動剤)》
次に、電荷移動剤について説明する。
本発明に用いる一般式(1)で表されるジフェノキノン化合物(電子移動剤)は、下記に示す構造骨格を有する。
Figure 0005504702
上記式(1)中、R、R、Rは飽和炭化水素であって、相互に同じであっても異なっていてもよい。
電子受容性を高め、電子移動性を向上させるために、電子移動剤の置換基を電子吸引基とすることは従来より行われていたが、電子吸引基を含む化合物は電子移動剤自身の凝集力が高まるために、既知の電子移動剤ではバインダー樹脂との相溶性が悪くなり、そのため感光層3中に高濃度に分散させることができず、実用に到っていなかった。
この相溶性を向上させるためには、一般に、電子移動剤を非対称構造にするとよいと言われており、従来技術でも、例えば下記化学式(7)のような非対称構造の電子移動剤が提案されている。
Figure 0005504702
前記化学式(7)において、Meはメチル基、t−Buは、tert-ブチル基を表す。
しかしながら、上記化学式(7)の電子移動剤は、同じ置換基が2個存在しており、完全な非対称構造とはなっておらず、電子移動度も低い。
このような不完全非対称構造の電子移動剤に電子吸引基を導入して電子移動度を向上させようとすると、非対称構造で得られた相溶性が導入された電子吸引基の凝集力によって打ち消されてしまう。例えば、既知の下記化学式(8)で示される電子移動剤は、バインダー樹脂に数%しか溶解せず、実用に至らない。
Figure 0005504702
前記一般式(1)のジフェノキノン化合物(電子移動剤)は、いかなる対称軸も有さない完全非対称構造であり、電子吸引基を導入した場合でもバインダー樹脂との相溶性が良好である。
具体的には、R、R、Rを飽和炭化水素であって、相互に同じであるか異なるものとすると、前記一般式(1)で表されるジフェノキノン化合物(電子移動剤)は、電子移動度が高く、バインダー樹脂との相溶性もよいため、電子移動剤として用いた場合、感光層3中に高濃度に均一に分散させることによって高感度の電子写真感光体を得ることができるようになるのである。
このような置換基R、R、Rで表される飽和炭化水素基には、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖飽和炭化水素基や、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基等の分岐飽和炭化水素基や、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環式飽和炭化水素基や、これら直鎖、分岐、環式飽和炭化水素基同士の複合置換基等、炭素数やその構造に制限を受けずに用いることができる。これらの置換基の中でも、直鎖飽和炭化水素基や分岐飽和炭化水素基が好ましい。特に、R〜Rのいずれもtert-ブチル基、エチル基、またはメチル基であり、相互に同じであることが好ましい。
更に、前記置換基すべてをtert-ブチル基とすれば、下記化学式(9)で表される化合物を均一に溶解させた液体に、HClガスを接触させることにより容易に下記化学式(1a)で表される完全非対称のジフェノキノン化合物の合成ができる。
Figure 0005504702
Figure 0005504702
また、前記一般式(1)中のR〜Rは、tert-ブチル基に限定されるものではなく、例えば、メチル基であれば、下記式(1b)で示される化合物が電子移動剤として得られる。
Figure 0005504702
また、上記化学式(1)で示されるジフェノキノン化合物(電子移動剤)は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。更に、前記一般式(1)で示されるジフェノキノン化合物(電子移動剤)は、感光層3中に0.1重量%から80重量%の濃度で含まれていることが好ましい。
《正孔輸送材料》
本発明に用いる一般式(2)で表される正孔移動剤は、下記に示す構造骨格を有する。
Figure 0005504702
上記式(2)中、R〜Rは、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基、あるいは下記一般式(3)で表される基を表し、R〜Rは、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
Figure 0005504702
上記式(3)中、R〜Rは、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
また、下記一般式(4)〜(6)で表される正孔移動剤が特性上好ましい。
Figure 0005504702
上記式(4)中、R10〜R13は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
Figure 0005504702
上記式(5)中、R20〜R24は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
Figure 0005504702
上記式(6)中、R30〜R35は、各々独立に水素、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。これらの置換基の中でも、メチル基、メトキシ基が好ましい。
以下、本発明の感光体に用いられる正孔移動剤として、前記一般式(4)〜(6)で表される化合物の具体例として下記化学式(4a)〜(4c)、(5a)〜(5d)及び(6a)〜(6d)で表される化合物を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 0005504702
Figure 0005504702
Figure 0005504702
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Figure 0005504702
Figure 0005504702
Figure 0005504702
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Figure 0005504702
Figure 0005504702
Figure 0005504702
上記化学式(4a)〜(6d)で表される化合物は、感光層3中に1種類含有されてもよいし、2種類以上でもよい。
感光層3中の正孔移動剤の濃度は要求される感光体性能や帯電極性により異なるため特に限定されないが、0.1重量%以上70重量%以下が好ましい。濃度が低いと正孔移動が不十分になり感光体特性に影響を与えることがあり、濃度が高いと樹脂との相溶性が悪くなり不均一な膜になったり樹脂濃度が低くなったりするため膜強度が低下する可能性もある。
更に、これら前記一般式(1)で示される電子移動剤(ジフェノキノン化合物)と前記一般式(2)で示される正孔移動剤に、他の電荷移動剤を添加することもでき、その場合には、感度を高めたり、残留電位を低下させたりすることができ、本発明の電子写真感光体の特性を改良することができる。
特性改良のために添加できる電子移動剤、正孔移動剤には、高分子化合物として、ポリビニルカルバゾール、ハロゲン化ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルインドロキノキサリン、ポリビニルベンゾチオフェン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリビニルピラゾリン、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリジアセチレン、ポリヘプタジイエン、ポリピリジンジイル、ポリキノリン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェロセニレン、ポリペリナフチレン、ポリフタロシアニン等の導電性高分子化合物を用いることができる。
また、低分子化合物として、アントラセン、ピレン、フェナントレン等の多環芳香族化合物、インドール、カルバゾール、イミダゾール、等の含窒素複素環化合物、フルオレノン、フルオレン、オキサジアゾール、オキサゾール、ピラゾリン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、トリフェニルアミン、エナミン、スチルベン化合物などを使用することができる。
さらに、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸等の高分子化合物にLiイオン等の金属イオンをドープした高分子固体電解質等も用いることができる。
またさらに、テトラチアフルバレン−テトラシアノキノジメタンで代表される電子供与化合物と電子受容化合物で形成された有機電荷移動錯体等も用いることができ、これらを1種だけ添加しても、2種以上の化合物を混合して添加しても所望の感光体特性を得ることができる。
(バインダー樹脂)
感光層3を形成するために用いることができるバインダー樹脂には、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエーテル、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、フラン樹脂、ニトリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、EVA樹脂、ACS樹脂、ABS樹脂及びエポキシアリレート等の光硬化樹脂等がある。これらは単体で用いても、共重合体を用いてもよく、また、それらを2種以上混合して使用することも可能である。また、分子量の異なった樹脂を混合して用いれば、硬度や耐摩耗性を改善できて好ましい。
(溶剤)
塗工液に使用する溶剤には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール等のアルコール類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素系炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メトキシエタノール等のエーテル系類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等がある。これらは単独で用いても、2種類以上の溶剤を混合して用いてもよい。
(その他の添加物)
本発明の電子写真感光体を製造するための塗工液には、電子写真感光体特性を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、軟化剤、硬化剤、架橋剤等を添加することができ、感光体の特性、耐久性、機械特性を向上させられる。
さらに、分散安定剤、沈降防止剤、色分かれ防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、艶消し剤等を添加すれば、感光体の仕上がり外観や、塗工液の寿命を改善できて好ましい。
(下引き層)
本発明の電子写真感光体では、導電性支持体2と感光層3との間に、接着機能、バリヤー機能、導電性支持体2表面の欠陥被覆機能などを持つ下引き層を設けてもよい。この下引き層としては、酸化アルミニウム、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン樹脂などを用いることができる。それらの下引き層は、単独の樹脂で構成しても、あるいは2種類以上の樹脂を混合して構成してもよい。また、樹脂中に金属酸化物やカーボンを分散させた下引き層を用いることができる。
(表面保護層)
また感光層3の上に、ポリビニルホルマール樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等の有機薄膜や、シランカップリング剤の加水分解物で形成されるシロキサン構造体から成る薄膜を成膜して表面保護層を設けてもよく、その場合には、電子写真感光体の耐久性が向上するので好ましい。この表面保護層は、耐久性向上以外の他の機能を向上させるために設けてもよい。
以下、本発明について実施例を挙げてより具体的に説明する。
<ジフェノキノンの製造例>
本発明に用いた前記一般式(1)で表されるジフェノキノン化合物(電子移動剤)の製造方法の一例を説明する。
先ず、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール30.0gをクロロホルム300mlに溶かした溶液に、過マンガン酸カリウム91.8gを加え、温度を55〜60℃に保って25時間かき混ぜた。次いで、無機物をろ別し、濃縮した後ろ過し、得られた残渣をクロロホルム100mlに溶解し、少量のメタノールを加えて再結晶させたところ、赤褐色結晶として融点242〜243℃のジフェノキノンを得た。その重量を測定したところ21.5gであり、収率に換算すると72%であった。
次に、酢酸300mlとクロロホルム120mlの混合液を用意し、それを反応溶媒として前記赤褐色結晶のジフェノキノン3.0gを溶解させ、窒素雰囲気下で室温に保ってHClガスを吹き込み、かき混ぜながら反応させた。
前記HClガスの吹き込みを7時間行った後、室温で一晩かき混ぜ、沈殿をろ別した。ろ液を減圧下で濃縮した後、水300mlを加えてろ過したところ3.8gの黄色固体の析出物が得られた。この3.8gの黄色個体析出物を25mlのメタノールに溶かし、少量の水を加えて再結晶させたところ、淡黄色結晶として融点150〜151℃のジフェノールを2.4g得た。収率に換算すると84%であった。
前記2.4gのジフェノールをクロロホルム180mlに溶解し、二酸化鉛28.0gを加え、室温で3時間かき混ぜた後、残留物をろ別した。ろ液を濃縮した後メタノール20mlを加えた。析出した結晶をろ過し、メタノールで洗浄したところ、赤紫色結晶として、融点155〜156℃の、前記式(1a)で示されるジフェノキノンを1.9g得た。収率に換算すると81%であった。
以上の反応過程を以下に示す。
Figure 0005504702
以下の実施例で使用する前記式(1a)で示されたジフェノキノン化合物(電子移動剤)は、前記製造例の製造方法によって合成されたものである。
チタニルフタロシアニンおよびクロロインジュウムフタロシアニンの製造例>
フタロジニトリル64.4gとα−クロロナフタレン150mlの混合物中に窒素気流下で6.5mlの四塩化チタンを5分間滴下した。滴下後、マントルヒーターにより200℃で2時間加熱して反応を完結させた。その後析出物をろ過し、ろ過残渣をαクロロナフタレンで洗浄した後、クロロホルムで洗浄し、さらにメタノールで洗浄した。その後、濃アンモニア水60mlとイオン交換水60mlの混合液により沸点下で10時間の加水分解反応を行ったのち、室温で吸引ろ過し、イオン交換水で洗浄が中性になるまで洗浄した。その後、メタノールで洗浄したのち、90℃の熱風で10時間乾燥したところ、青紫色の結晶型チタニルフタロシアニン粉末64.6gを得た。得られたチタニルフタロシアニンは図1の様にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、26.3°に最大回折ピークを有する物であった。
次に、約10倍量の濃硫酸に溶解し、水にあけて析出させ、ろ過した粗ウエットケーキ30gを純水で中性になるまで水洗し、濾別しチタニルフタロシアニンウエットケーキ29gを得た。
前記ウエットケーキ10gを−5℃に冷やしたテトラヒドロフラン500ml中に投入し30分攪拌した後にろ別、乾燥しチタニルフタロシアニン9.5gを得た。得られたチタニルフタロシアニンは図3の様にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、27.2°に最大回折ピークを有する物であった。
また、図1のX線回折スペクトルを有するチタニルフタロシアニン粉末を1gと、図3X線回折スペクトルを有するチタニルフタロシアニンと20gを混合した。得られたフタロシアニンは図4のようにCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、26.3°、27.3°にピークを有するものであった。
また、図3のX線回折スペクトルを有するチタニルフタロシアニン9.5gとクロロインジュウムフタロシアニン0.5gを、濃硫酸100mlに溶解し、室温で30分撹拌した後、これを氷水で冷却したイオン交換水にあけて析出させ、ろ過により粗ウエットケーキを分離した。続いて沈殿物を1000mlのイオン交換水で洗浄して、ウエットケーキを得た。ウエットケーキに0.2mol/lの塩酸400mlを加え、室温で3時間攪拌した。再び沈殿物を濾過により分離し、イオン交換水4000mlで洗浄しろ別を行いウエットケーキを得た。次いで、−5℃に冷却したテトラヒドロフランに500mlにウエットケーキを投入し結晶変換させた。その後冷却下でフタロシアニンを攪拌させ、室温に戻したのちに、ろ過、乾燥させフタロシアニン混合物を得た。得られたフタロシアニン組成物の結晶のX線回折スペクトルを測定した結果を図5に示した。
<実施例1>
先ず、前記チタニルフタロシアニンの製造例により得られた図4のX線回折スペクトルを有するチタニルフタロシアニン0.5g、ガラスビーズ30ml、テトラヒドロフラン320mlと共にペイントシェイカーで5時間分散しガラスビーズをろ別しCGL液308ml得る。得られたCGL液に前記化学式(4a)で表される正孔移動剤25.2gと前記ジフェノキノンの製造例で得られた前記化学式(1a)のジフェノキノン25.2g、バインダー樹脂としてZ型ポリカーボネート42g、を加えて溶解し、単層感光体用塗工液を作製した。
得られた塗工液をアルミニウムドラムに塗布し、100℃、1時間の乾燥を行い、膜厚20μmの感光層を形成し、電子写真感光体を作製した。
<実施例2>
実施例1において、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を前記化学式(4b)で表される正孔移動剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例3>
実施例1において、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を前記化学式(5a)で表される正孔移動剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例4>
実施例1において、前記化学式(1a)で表される電子移動剤を前記化学式(1b)で表される電子移動剤に、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を前記化学式(5c)で表される正孔移動剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例5>
実施例1において、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を前記化学式(6a)で表される正孔移動剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例6>
実施例1において、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を前記化学式(6c)で表される正孔移動剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例7>
実施例1において、前記化学式(1a)で表される電子移動剤を前記化学式(1b)で表される電子移動剤に、図4のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤を図5のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例8>
実施例1において、前記化学式(1a)で表される電子移動剤を前記化学式(1b)で表される電子移動剤に、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を前記化学式(4c)で表される正孔移動剤に、図4のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤を図5のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例9>
実施例1において、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を前記化学式(5a)で表される正孔移動剤に、図4のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤を図5のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例10>
実施例1において、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を前記化学式(5d)で表される正孔移動剤に、図4のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤を図5のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<実施例11>
実施例1において、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を前記化学式(6a)で表される正孔移動剤に、図4のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤を図5のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例1>
実施例1において、前記化学式(1a)で表される電子移動剤に代えて、下記化学式(10)で表されるジフェノキノンを用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
Figure 0005504702
<比較例2>
実施例1において、前記化学式(1a)で表される電子移動剤を前記化学式(10)で表されるジフェノキノンに代えて、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を前記化学式(4b)で表される正孔移動剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例3>
実施例1において、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を下記化学式(11)で表される正孔移動剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
Figure 0005504702
<比較例4>
実施例1において、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を下記化学式(12)で表される正孔移動剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
Figure 0005504702
<比較例5>
実施例1において、前記化学式(4a)で表される正孔移動剤を下記化学式(13)で表される正孔移動剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
Figure 0005504702
<比較例6>
実施例1において、図4のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤を図1のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例7>
実施例1において、図4のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤を図3のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
<比較例8>
実施例1において、図4のX線回折スペクトルを有する電荷発生剤を下記化学式(14)で表されるジスアゾ顔料に代えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
Figure 0005504702
<電気特性測定条件>
・正帯電特性評価方法
コロナ放電電流が20μAとなるようにコロナ放電器を設定し、前記実施例1〜11、比較例1〜8において製造した単層分散型感光体を暗所にてコロナ放電により正帯電させて帯電電位を測定した。この時の表面電位を初期帯電位(V0)とする。この初期帯電電位は、感光体の帯電性を示す値であり、600〜800の範囲が良好な特性範囲である。
その後、感光体の表面電位が700Vになるように放電電流を調節し、780nmの光で露光し、各感光体の表面電位を700Vから350に半減させる露光量を測定した。この時の露光量を半減露光量(μJ/cm)とする。この半減露光量は、感光体の感度を示す値であり、半減露光量の数値は小さいほど高感度な感光体を示し、高感度感光体は0.2μJ/cm以下、実用的な範囲としては0.45μJ/cm以下である。また、各感光体の表面電位700Vで780nmの光(露光エネルギー2μJ/cm)を照射した時の表面電位を測定した。この時の表面電位を残留電位(VL)とする。この残留電位は、帯電後減衰せずに感光体表面に除電しきれずに残った電荷であり、この電位の絶対値が小さいほど実用上好ましく、一般的には100V以下が好ましい。
・負極性感光体評価
正極性と同様に帯電極性を負極性として半減露光量、VLを計測した。
<測定結果>
実施例1〜11及び比較例1〜8の測定結果は、下記表1の通りである。尚、下記表1において「−」と表記してある半減露光量は、半減露光量が測定不可であることを意味する。半減露光量とは、700Vの半減値である350Vに達するまでに必要な露光量であり、「−」とは350Vまで光減衰していない、すなわちVLが350より大きいものであります。
Figure 0005504702
<正帯電型感光体の実施例、比較例の結果>
上記表1によれば、実施例1〜11の電子写真感光体は正負両極性において帯電性が良く、感度は0.12〜0.19μJ/cmと高感度かつ残留電位も100V以下と低いことがわかる。
これに対し、比較例1及び2の電子移動剤は対称性が不十分であるため、帯電性は高いが、正極性、負極性ともに電荷移動性が悪く、十分な感度、残留電位を得ることができない。また、比較例3〜5は、他の正孔移動剤と組み合わせたものであるがこちらは電荷発生剤と正孔移動剤との相性が悪く、十分な絶縁性が得られず帯電性が劣りまた、感度が十分ではなく残留電位が劣る。比較例6〜8は他の電荷発生剤を用いた場合であり、比較例7は感光体感度、残留電位は十分であるが、帯電性が十分ではなく劣り、比較例6、8は帯電性は高いものの、十分な感度、残留電位が得られていない事が分かる。
以上述べてきたように、本発明に用いた電子移動剤と正孔移動剤と電荷発生剤を組み合わせること高い帯電性、高感度な両極性単層型感光体を得る事が出来る。
即ち、電子移動剤、正孔移動剤、電荷発生剤の組合せによって、正孔、電子の移動が効率よく行われ、高感度かつ帯電安定性が得られる為に、本発明の感光体は安定した画像品質、高スピードな画像形成装置に適用できる。
1 電子写真感光体
2 導電性支持体
3 感光層
特許第3778595号公報

Claims (3)

  1. 導電性支持体と、
    該導電性支持体上に設けられた感光層と、を備えた単層型の電子写真感光体であって、
    前記感光層は、電荷発生剤と、下記化学式(1a)または(1b)で表される電子移動剤と、下記化学式(4a)、(4b)、(4c)、(5a)、(5c)、(5d)、(6a)または(6c)で表される正孔移動剤と、を含有し、
    前記電荷発生剤は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンと、他のフタロシアニン化合物と、を含むことを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0005504702
    (上記式(1a)中、t−Buは、tert−ブチル基を表す。)
    Figure 0005504702
    (上記式(1b)中、Meはメチル基を表す。)
    Figure 0005504702
    Figure 0005504702
    Figure 0005504702
    Figure 0005504702
    Figure 0005504702
    Figure 0005504702
    Figure 0005504702
    Figure 0005504702
  2. 前記電荷発生剤は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンと、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、26.3°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンと、を含むことを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。
  3. 前記電荷発生剤は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンと、クロロインジュウムフタロシアニンと、を含むことを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。

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