JP3897429B2 - 電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真装置に関し、詳しくは表面層に特定の樹脂を含有し、感光層中に特定の電荷発生物質を含有する電子写真感光体を有する電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方法は米国特許第2297691号公報に示されるように画像露光の間に受けた照射量に応じて電気抵抗が変化しかつ暗所では絶縁性の物質をコーティングした支持体よりなる光導電性材料を用いる。この光導電性材料を用いた電子写真感光体に要求される基本的な特性としては(1)暗所で適当な電位に帯電できること、(2)暗所において電位の散逸が少ないこと及び(3)光照射によって速やかに電荷を散逸せしめること等が挙げられる。
【0003】
従来より電子写真感光体としてはセレン、酸化亜鉛及び硫化カドミウム等の無機光導電性化合物を主成分とする感光層を有する無機感光体が広く使用されてきた。しかし、これらは前記(1)〜(3)の条件は満足するが熱安定性、耐湿性、耐久性及び生産性において必ずしも満足できるものではなかった。
【0004】
無機感光体の欠点を克服する目的で様々な有機光導電性化合物を主成分とする電子写真感光体の開発が近年盛んに行われている。例えば米国特許3837851号明細書にはトリアリルピラゾリンを含有する電荷輸送層を有する感光体、米国特許3871880号明細書にはペリレン顔料の誘導体からなる電荷発生層と3−プロピレンとホルムアルデヒドの縮合体からなる電荷輸送層とからなる感光体等が公知である。
【0005】
また、近年は半導体レーザーを光源とするレーザービームプリンターの普及に伴い、750〜800nmの長波長光に対して高感度で製造が容易な各種フタロシアニン顔料、その中でも中心に金属酸化物が位置するオキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)の結晶型の異なる各種が商品化されている。
【0006】
これら有機光導電性化合物を用いた電子写真感光体は電気的、機械的双方の特性を満足させるために電荷輸送層と電荷発生層を積層させた機能分離型の感光体として利用される場合が多い。一方、当然のことながら、電子写真感光体には適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気的特性、更には光学的特性を備えていることが要求される。
【0007】
特に繰り返し使用される電子写真感光体においてはその電子写真感光体表面にはコロナまたは直接帯電、画像露光、トナー現像、転写工程及び表面クリーニング等の電気的、機械的外力が直接加えられるため、それらに対する耐久性も要求される。
【0008】
具体的には帯電時のオゾン及び窒素酸化物による電気的劣化や、帯電時の放電、クリーニング部材の摺擦によって表面が摩耗したり傷が発生したりする機械的劣化、電気的劣化に対する耐久性が求められている。
【0009】
電気的劣化は、光が照射した部分にキャリアーが滞留し光が照射していない部分と電位差が生じる現象が特に問題であり、これはフォトメモリーとして生じる。
【0010】
また、帯電及び露光により感光体中に光電流のオン−オフが繰り返し行われる。それに伴い感光体内を移動している電荷が感光体中のトラップサイトに滞留したりすることで、残留電位になってしまう。これが繰り返し使用されることによって、感光体電位の変動を起こしてしまう。無機感光体と異なり物質的に柔らかいものが多い有機感光体には、機械的劣化に対する耐久性が劣るため耐久性の向上が特に切望されている。
【0011】
上記のような感光体に要求される耐久特性を満足させるためにいろいろ試みがなされてきた。
【0012】
表面層によく使用され摩耗性及び電気特性に良好な樹脂としてはビスフェノールAを骨格とするポリカーボネート樹脂が注目されているが、前述したような問題点全てを解決できるわけでもなく次のような問題点を有している。
【0013】
(1)溶解性に乏しくジクロロメタンや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類の一部にしか良好な溶解性を示さないうえ、これらの溶剤は低沸点のため、これらの溶剤で調製した塗工液を用いて感光体を製造すると塗工面が白化し易い。塗工液の固形分管理等にも手間がかかる。
【0014】
(2)ハロゲン化脂肪族炭化水素類以外の溶剤に対しては、テトラヒドラフラン、ジオキサン、シクロヘキサノンあるいはそれらの混合溶剤に一部可溶であるが、その溶液は数日でゲル化する等経時性が劣り、感光体製造には不向きである。
【0015】
(3)更に、上記式(1)及び(2)が改善されたとしても、ビスフェノールAを骨格とするポリカーボネート樹脂にはソルベントクラックが発生し易い。
【0016】
(4)加えて、従来のポリカーボネート樹脂では該樹脂で形成された被膜に潤滑性がないため感光体に傷がつき易く、電子写真感光体の摩耗量を低くするようなクリーニング設定ではトナー融着等の画像欠陥になったり、クリーニングブレードの早期の劣化によるクリーニング不良やトナー融着等が生じてしまうことがあった。
【0017】
前記(1)及び(2)に挙げた溶液安定性についてはポリマーの構造単位として嵩高いシクロヘキシレン基を有するポリカーボネートZ樹脂を使用するか、ビスフェノールZやビスフェノールC等と共重合させることによって解決されてきた。
【0018】
また、ソルベントクラックについても特開平6−51544号公報及び特開平6−75415号公報に開示されているように、シリコン変成ポリカーボネートやエーテル変成ポリカーボネートを用いることにより解決することが可能である。ところがこれら変成ポリカーボネートは従来のポリカーボネート樹脂に比べソルベントクラックを対策とするためにポリマー内の内部応力に対して柔軟性をもたしている構造をとっているため、結果、重合体本体の機械的強度が低下するという欠点があった。
【0019】
更に、近年、特開昭57−17826号公報及び特開昭58−40566号公報に開示されているような帯電部材に直接電圧をかけ電子写真感光体に電荷を印加する直接帯電方式が主流となりつつある。
【0020】
これは、導電ゴム等で構成されたローラー状の帯電部材を直接電子写真感光体に当接させ電荷を印加する方法であり、スコロトロン等に比べ、オゾン発生量が格段に少ない、スコロトロンは帯電器に流す電流の80%前後はシールドに流れるため浪費されるのに対して、直接帯電はこの浪費分がなく非常に経済的である等のメリットを持つ。
【0021】
しかし、直接帯電はパッシェン則による放電による帯電のため帯電安定性が非常に悪いという欠点を持つ。この対策として直流電圧に交流電圧を重畳させた、いわゆるAC/DC帯電方式が考案されている(特開昭63−149668号公報)。
【0022】
この帯電方式により帯電時の安定性は向上したが、ACを重畳するために電子写真感光体表面の放電量は大幅に増大するため電子写真感光体の削れ量が増加してしまうという欠点を新たに生じてしまい、機械的強度のみならず電気的強度も要求されるようになってきた。更に、交流電圧を印加するために電荷輸送層と電荷発生層の界面に電荷滞留が起こり易く明部電位の変動を生じ易いという欠点も現れてきた。
【0023】
また、転写帯電を印加されることによって明部電位が変動する現象も電子写真装置の高速化と共に顕著になりつつある。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来のポリカーボネート樹脂を表面層として有する場合の問題点を解決し、優れた耐ソルベントクラック性を持ちつつ機械的強度が強く、かつ直接帯電による耐電気特性が良好で、高感度で耐久による繰り返し特性に優れ、メモリーが小さく、転写帯電による明部電位の変動が少なく、交流電圧を重畳した帯電方式においても明部電位の変動が少なく、製造が容易な電子写真感光体を有する電子写真装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、支持体上に感光層を有する電子写真感光体、交流電圧を印加した直接帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置であって、該感光層が電荷発生層および電荷輸送層を有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真装置において、該表面層が、下記式(1)
【0026】
【化4】
で示される構成単位を有する重合体を含有し、該電荷発生層が下記式(2)
【0027】
【化5】
で示されるビスアゾ顔料及び下記式(3)
【0028】
【化6】
で示されるペリレン顔料を含有することを特徴とする電子写真装置である。
【0030】
本発明による電子写真感光体を有する電子写真装置は、感光体表面層である電荷輸送層に含有される重合体により、特に優れた耐ソルベントクラック性、機械的強度及びAC帯電における耐電気特性を合わせ持つことができ、また電荷発生層に含有される電荷発生物質により、高感度でありかつ耐久による繰り返し特性に優れ、メモリーが小さく良好な電子写真特性を兼ね備えることができるものである。更に、上記重合体と電荷発生物質の組み合わせにより、繰り返し使用時の明部電位の変動及び転写帯電印加時の明部電位の変動を抑えることができるものである。
【0031】
その確かな理由は不明であるが、本発明の電荷輸送層に用いる重合体は結晶性が高く、電荷輸送物質をある程度配向させるものと推測され、その配向性と電荷発生層の特定の電荷発生物質を組み合わせることによって、注入界面の障壁が低くなるものと推測される。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下の表1で示す構成単位例1〜9のうち、構成単位例1が式(1)で示される構成単位である。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
式(1)で示される構成単位(構成単位例1)及び構成単位例2〜9を有する重合体は、下記式(7)で示されるビスフェノールをテレフタル酸塩化物及びイソフタル酸塩化物の混合物とアルカリの存在下で溶媒/水系中で混合して界面重合させることによって合成できる。
【0036】
テレフタル酸塩化物及びイソフタル酸塩化物の比率はその重合体の溶解性を考慮して決定されるもので定説はない。ただし、いずれかの塩化物の比率が30mol%以下になると合成した重合体の溶解性が極端に低下するので注意が必要である。通常は1/1の比率で合成するのが好ましい。
【0037】
【化7】
[式(7)中、Xは−CR 9 R 10 −(R 9 及びR 10 は同一または異なって、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基である)、置換されてもよい炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基、炭素数5〜11の1,1−シクロアルキレン基、単結合、−O−、−S−、−SO−または−SO 2 −である。R1乃至R8は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基、アルケニル基またはアリール基である。]
【0038】
本発明の電子写真感光体においては式(1)で示される構成単位(構成単位例1)で構成される重合体でも、構成単位例1と構成単位例2〜9からなる共重合体でもよい。
【0039】
共重合体の場合には構成単位例1と構成単位例2からなる共重合体が特に好ましい。
【0040】
以下、発明に用いる電子写真感光体の構成について説明する。
【0041】
本発明における電子写真感光体は、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と電荷発生物質を含有する電荷発生層に分離した積層型であり、電荷発生層の上に電荷輸送層を積層したものである。
【0042】
使用する支持体は導電性を有するものであればよく、アルミニウム及びステンレス等の金属、あるいは導電層を設けた金属、紙及びプラスチック等が挙げられ、形状はシート状及び円筒状等が挙げられる。
【0043】
支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これは、カーボンブラック及び金属粒子等の導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0044】
その上に接着機能を有する中間層を設ける。中間層の材料としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン及びポリエーテルウレタン等が挙げられる。これらは適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μmであることが好ましく、特には0.3〜1μmであることが好ましい。
【0045】
中間層の上には、電荷発生層が形成される。本発明に用いられる電荷発生層としてはバインダー樹脂と主として本発明に用いられる電荷発生物質を溶剤中に分散させた塗料を塗工、乾燥して形成する。電荷発生層は電荷発生物質をバインダー剤樹脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル及び液衝突型高速分散機等の方法でよく分散する。ここで用いるバインダー樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリビニルカルバゾール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルベンザール樹脂及びポリブチラール樹脂等が主として用いられる。電荷発生物質とバインダー樹脂の比率は1/10〜10/1が好ましく、より好ましくは1.5/1〜3/1である。分散液を塗布、乾燥して電荷発生層を形成する。電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.01〜2μmであることが好ましい。
【0046】
表面層である電荷輸送層は、電荷輸送物質及び主として本発明に用いる重合体からなるバインダー樹脂を溶剤中に溶解させた塗料を塗布、乾燥して形成する。用いられる電荷輸送物質としてはトリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物及びチアゾール系化合物等が挙げられる。電荷輸送物質は好ましくは0.5〜2倍量のバインダー樹脂と組み合わされ塗工、乾燥して電荷輸送層が形成される。電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には15〜30μmであることが好ましい。
【0047】
図1に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
【0048】
図において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の像露光手段(不図示)からの画像露光光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
【0049】
形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取り出されて給紙された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。
【0050】
像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0051】
像転写後の感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し像形成に使用される。なお、一次帯電手段3が帯電ローラー等を用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0052】
本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱可能に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくともひとつを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール12等の案内手段を用いて装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ11とすることができる。
【0053】
また、画像露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0054】
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0055】
以下、実施例に従って説明する。実施例中、「部」は重量部を表わす。
【0056】
〔実施例1〕
80φ、360mmのアルミニウムシリンダーを支持体とし、それに、以下の材料より構成される塗料を支持体上に浸漬コーティング法で塗布し、140℃で30分熱硬化して、膜厚が15μmの導電層を形成した。
【0057】
導電性顔料:SnO2コート処理硫酸バリウム 10部
抵抗調節用顔料:酸化チタン 2部
バインダー樹脂:フェノール樹脂 6部
レベリング材:シリコーンオイル 0.001部
溶剤:メタノール、メトキシプロパノール0.2/0.8 20部
次に、この上にN−メトキシメチル化ナイロン3部及び共重合ナイロン3部をメタノール65部及びn−ブタノール30部の混合溶媒に溶解した溶液を浸漬コーティング法で塗布して、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
【0058】
次に、前記式(2)で示されるビスアゾ顔料1.5部、前記式(3)で示されるペリレン顔料2.5部及びポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM2、積水化学製)2部及びテトラヒドロフラン60部をφ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で4時間分散した後、テトラヒドロフランとシクロヘキサノン各々50部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。これを浸漬コーティング法で塗布して、膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0059】
次に、下記構造式の電荷輸送物質10部
【0060】
【化8】
及び表2の条件1記載の重合体10部をモノクロロベンゼン30部及びジクロロメタン70部の混合溶媒に溶解した。
【0061】
この重合体は、所定ビフェノール(0.01mol)を水酸化ナトリウム(0.8g)及び塩化テトラメチルアンモニウム(1g)を水100mlに溶かして1リットルのミキサー中に投入し、これに1,2−ジクロロエタン(30ml)にテレフタル酸塩化物(0.005mol)及びイソフタル酸塩化物(0.005mol)を溶かしたものを攪拌しながら投入し10分高速攪拌し2時間放置後、1,2−ジクロロエタン液を回収しこれに大量のヘキサンを投入しポリマーとして回収したものである。なお、回収後水洗浄、クロロホルム溶解及びメタノール滴下による精製工程を行ったものを用いた。
【0062】
この塗料を浸漬コーティング法で塗布し、120℃で2時間乾燥して、膜厚が18μmの電荷輸送層を形成した。
【0063】
次に、評価について説明する。直接帯電における測定を行った。
【0064】
装置はキヤノン社製NP3825の帯電部分を改造し導電ゴムを用いたローラーによる直接帯電方式に改造した。ローラーには交流電圧として2KVのピーク間電圧を1000Hzの周波数で通電した。作成した電子写真感光体をこの装置で28℃、90%RH下で通紙耐久(HH耐久)試験を行った。シーケンスはプリント1枚毎に1回停止する間欠モードとした。
【0065】
耐久初期と10000枚において電子写真感光体に対してその表面電位(明部電位)を測定した。
【0066】
更に、測定時に転写帯電器により+150μAの電流を流し転写をかけた場合の明部電位を測定し、明部電位(転写なし)−明部電位(転写あり)の値を転写メモリーとして示した。
【0067】
トナーがなくなったならば補給し画像で問題が出るまで耐久試験を行った。
【0068】
また、研磨テープを用いたテーバー摩耗試験機を用い15分摩耗させ、そのときの重量減少分を測定した。
【0070】
更に、ソルベントクラック性は表面に皮脂を付着させ48時間放置し顕微鏡観察によりソルベントクラックの有無を観察し、クラックの認められたものを×、認められないものを○とした。
【0071】
その結果を表4に示す。
【0076】
【表3】
テレフタル酸塩化物とイソフタル酸塩化物の混合比はモル比で1:1とした。
【0077】
〔実施例2〜8〕
電荷輸送層のバインダー樹脂に表2の条件2〜8のものを用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作成し評価した。その結果を表4に示す。
【0079】
【表5】
【0080】
〔比較例1〜5〕
電荷発生層の電荷発生物質、電荷輸送層のバインダー樹脂に表5の条件1〜5のものを用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作成し評価した。その結果を表7に示す。
【0081】
【表6】
【0082】
【表7】
【0083】
【化9】
【0085】
【表9】
【0086】
【発明の効果】
本発明によれば、機械的強度を損なうことなく優れた耐ソルベントクラック性を有し、高感度でありかつ耐久による繰り返し特性に優れ、フォトメモリー及び転写メモリーが小さく、更に交流電圧を印加した直接帯電でも繰り返し特性に優れた製造が容易な電子写真感光体を有する電子写真装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
Claims (1)
- 支持体上に感光層を有する電子写真感光体、交流電圧を印加した直接帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置であって、該感光層が電荷発生層および電荷輸送層を有し、該電荷輸送層が表面層である電子写真装置において、該表面層が、下記式(1)
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