JP2018036374A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐フィルミング性及び電位安定性に優れる電子写真感光体を提供する。【解決手段】電子写真感光体30は、導電性基体31と感光層32とを備える。感光層32は、単層である。感光層32は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含む。フィラー粒子は、シリカ粒子及び樹脂粒子の少なくとも1種である。電子輸送剤は、一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含む。【選択図】図1
Description
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。電子写真感光体の一例において、電子写真感光体は、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層の感光層を備える。特許文献1には、感光層に含有させる電子輸送剤として、化学式(ETM−D)で表される化合物が記載されている。
しかし、化学式(E−D)で表される化合物を感光層に含有させた電子写真感光体では、耐フィルミング性及び電位安定性の向上について、まだ改善の余地がある。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐フィルミング性及び電位安定性に優れる電子写真感光体を提供することである。また、本発明の目的は、このような電子写真感光体を備えることで、耐フィルミング性及び電位安定性に優れるプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。更に、本発明の目的は、耐フィルミング性及び電位安定性に優れる電子写真感光体を使用することで、良好な画像を形成できる画像形成方法を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と感光層とを備える。前記感光層は、単層である。前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含む。前記フィラー粒子は、シリカ粒子及び樹脂粒子の少なくとも1種である。前記電子輸送剤は、一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含む。
前記一般式(1)中、R1は、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される基である。R2及びR3は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上7以下のアシル基を表す。R2及びR3は、互いに同一であっても異なってもよい。
前記一般式(2)中、R4は炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数1以上7以下のアシル基又はハロゲン原子を表す。mは0以上4以下の整数を表す。
本発明のプロセスカートリッジは、上述の電子写真感光体を備える。
本発明の画像形成装置は、上述の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を正極性に帯電する。前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する。
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程とを含む。前記帯電工程では、上述の電子写真感光体の表面を正極性に帯電する。前記露光工程では、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像工程では、前記静電潜像に重合トナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写工程では、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する。
本発明の電子写真感光体によれば、耐フィルミング性及び電位安定性を向上させることができる。また、本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、このような電子写真感光体を備えることで、耐フィルミング性及び電位安定性を向上させることができる。更に、本発明の画像形成方法によれば、耐フィルミング性及び電位安定性に優れる電子写真感光体を使用することで、電位安定性を向上させフィルミングの発生を抑制して良好な画像を形成することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルカン、シクロアルキリデン基、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基及び炭素原子数1以上7以下のアシル基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
ハロゲン原子(ハロゲン基)は、例えば、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)又はヨウ素原子(ヨード基)である。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基又はヘキシル基が挙げられる。炭素原子数1以上4以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上4以下である基である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基又はヘキシル基が挙げられる。炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基の例は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上4以下である基である。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基又はフェナントリル基が挙げられる。
炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンは、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンの例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン又はシクロヘプタンが挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルキレン基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、n−ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルエチレン基、エチルメチルメチレン基、ペンチレン基又はヘキシレン基が挙げられる。
シクロアルキリデン基は、非置換である。シクロアルキリデン基の例は、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基は、非置換である。炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基の例は、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基又はシクロへプチリデン基が挙げられる。
炭素原子数1以上7以下のアシル基は、直鎖状又は分枝状で非置換である。炭素原子数1以上7以下のアシル基の例は、ホルミル基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するカルボニル基である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するカルボニル基の例は、メチルカルボニル基(アセチル基)、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、ペンチルカルボニル基、イソペンチルカルボニル基、ネオペンチルカルボニル基又はn−ヘキシルカルボニル基が挙げられる。
<1.電子写真感光体>
本実施形態は電子写真感光体(以下、感光体と記載する)に関する。本実施形態の感光体は、耐フィルミング性及び電位安定性を向上させることができる。その理由は以下のように推測される。
本実施形態は電子写真感光体(以下、感光体と記載する)に関する。本実施形態の感光体は、耐フィルミング性及び電位安定性を向上させることができる。その理由は以下のように推測される。
理解を助けるために、まずフィルミングについて説明する。フィルミングは、感光体の表面に微小成分が付着して固着する現象である。微小成分の一例は、トナー成分であり、より具体的には、トナー又は遊離した外添剤である。微小成分の別の例は、非トナー成分であり、より具体的には記録媒体(例えば、紙)の微小成分(例えば、紙粉)である。画像形成において記録媒体と感光体の表面とが接触するときに、記録媒体の微小成分が感光体の表面に付着することがある。特に、記録媒体の微小成分が感光体によって摩擦されて微小成分が負極性又は所望の値より低い正極性に帯電する場合に、フィルミングが発生し易い。
ここで、本実施形態の感光体では、電子輸送剤が一般式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記載することがある)を含む。化合物(1)は、ニトロ基(−NO2)及びカルボニル基(C=O)を必須に有し、所定の骨格を有する。このような化合物(1)が含有されると、記録媒体の微小成分と感光体とが接触して感光体によって微小成分が摩擦されたときに、微小成分が負極性又は所望の値より低い正極性に帯電されることを抑制できると考えられる。画像形成の帯電工程で正極性に帯電された感光体の表面と、所望の値以上の正極性を帯びる微小成分とは、電気的に反発する。これにより、感光体の表面に微小成分が付着し難くなる。その結果、フィルミングの発生を抑制することができる。
更に、本実施形態の感光体では、感光層がフィラー粒子を含む。これにより、感光層の表面に適度な凹凸形状が形成される傾向がある。これにより、感光層の表面と、感光体の表面に付着した微小成分との接触面積が小さくなる傾向がある。接触面積が小さいと、クリーニング部は感光体の表面に付着した微小な成分を感光層の表面から除去し易い。その結果、感光体の耐フィルミング性を向上させることができる。
次に、電位安定性について説明する。繰り返して画像を形成した場合に、感光体の帯電電位が徐々に低下することがある。この帯電電位が徐々に低下する現象は、高速で画像を形成する画像形成装置において特に発生する傾向がある。高速で画像を形成する場合には、帯電時間、及び感光層内で電荷を移動させる時間が不十分になり、感光層内に電荷が蓄積され易いからである。ここで、本実施形態の感光体では、感光層が、電子輸送剤である化合物(1)と、フィラー粒子である樹脂粒子又はシリカ粒子とを含む。これにより、感光層内に電荷が蓄積され難くなると考えられる。その結果、繰り返して画像を形成した場合であっても、感光体の帯電電位を所望の値に安定的に維持することができる。つまり、感光体の電位安定性を向上させることができる。
以下、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体30の構造について説明する。図1は、本実施形態に係る感光体30の一例を示す断面図である。
図1(a)に示すように、感光体30は、例えば、導電性基体31と感光層32とを備える。感光層32は単層である。感光体30は、単層の感光層32を備えるいわゆる単層型感光体である。
図1(b)に示すように、感光体30は、導電性基体31と、感光層32と、下引き層33(中間層)とを備えてもよい。下引き層33は、導電性基体31と感光層32との間に設けられる。図1(a)に示すように、感光層32は導電性基体31の上に直接配置されてもよい。また、導電性基体31の表面31aが酸化皮膜を有する場合には、感光層32は導電性基体31の上に酸化被膜を介して間接的に配置されてもよい。或いは、図1(b)に示すように、感光層32は導電性基体31の上に下引き層33を介して間接的に配置されてもよい。
図1(c)に示すように、感光体30は、導電性基体31と、感光層32と、保護層34とを備えてもよい。保護層34は、感光層32上に設けられる。しかし、感光体の電位安定性を更に向上させ、フィルミングの発生を更に抑制するためには、感光体30は保護層34を備えないことが好ましい。感光体30は保護層34を備えない場合、感光層32が感光体30の最表面層として備えられる。
感光層32の厚さは、感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。感光層32の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
感光層32は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含有する。感光層32は、必要に応じて、各種添加剤を含有してもよい。電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子と、と必要に応じて添加される成分(例えば、添加剤)とは、一層(同じ層)に含有される。
以上、図1(a)〜図1(c)を参照して、感光体30の構造について説明した。次に、感光体の要素について説明する。
<1−1.導電性基体>
導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で構成される被覆層を備える導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼又は真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。また、導電性基体は、その表面にこれら導電性を有する材料の酸化皮膜を有してもよい。
導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で構成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で構成される被覆層を備える導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼又は真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。また、導電性基体は、その表面にこれら導電性を有する材料の酸化皮膜を有してもよい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<1−2.感光層>
感光層は、電子輸送剤と、フィラー粒子と、バインダー樹脂と、正孔輸送剤と、電荷発生剤とを含有する。
感光層は、電子輸送剤と、フィラー粒子と、バインダー樹脂と、正孔輸送剤と、電荷発生剤とを含有する。
(電子輸送剤)
感光層は、電子輸送剤として、化合物(1)の少なくとも1種を含む。化合物(1)は、一般式(1)で表される。化合物(1)は、ベンゾキノンメチド誘導体である。感光層は、例えば、化合物(1)の1種又は2種を含むことができる。
感光層は、電子輸送剤として、化合物(1)の少なくとも1種を含む。化合物(1)は、一般式(1)で表される。化合物(1)は、ベンゾキノンメチド誘導体である。感光層は、例えば、化合物(1)の1種又は2種を含むことができる。
一般式(1)中、R1は、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される基である。R2及びR3は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上7以下のアシル基を表す。R2及びR3は、互いに同一であっても異なってもよい。
一般式(2)中、R4は炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数1以上7以下のアシル基又はハロゲン原子を表す。mは0以上4以下の整数を表す。
一般式(2)中、mが0を表すことが好ましい。
一般式(2)で表される基は、化学式(2−1)で表される基であることが好ましい。
一般式(3)で表される基は、化学式(3−1)で表される基であることが好ましい。
一般式(4)で表される基は、化学式(4−1)で表される基であることが好ましい。
一般式(5)で表される基は、化学式(5−1)で表される基であることが好ましい。
一般式(1)中、R2及びR3で表される炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はtert−ブチル基がより好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、置換基として炭素原子数6以上14以下のアリール基を有することができる。
一般式(1)中、R2及びR3で表される炭素原子数6以上14以下のアリール基は、フェニル基が好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基又はシアノ基が挙げられる。
一般式(1)中、R2及びR3は、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基、tert−ブチル基又はフェニル基を表すことがより好ましい。
耐フィルミング性及び電位安定性を更に向上させる観点から、一般式(1)中、R1は一般式(2)で表される基であり、R2及びR3は炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、一般式(2)中、mは0を表すことが好ましい。
一般式(1)中のR1の別の好適な例は、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される基である。
化合物(1)の好適な例としては、化学式(1−1)〜(1−6)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(1−1)〜(1−6)と記載することがある)が挙げられる。
耐フィルミング性及び電位安定性を更に向上させる観点から、化合物(1−1)、(1−2)又は(1−3)が好ましい。化合物(1−1)、(1−2)及び(1−3)は、一般式(1)中のR1が一般式(2)で表される基であり、R2及びR3が炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、一般式(2)中のmが0を表す化合物である。
感光体が単層型感光体である場合、化合物(1)の含有量は、単層型感光層に含まれるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上75質量部以下であることが特に好ましい。
感光層は化合物(1)に加えて、化合物(1)以外の電子輸送剤を更に含んでもよい。化合物(1)以外の電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
化合物(1)の含有量は、感光層に含有される電子輸送剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
(化合物(1)の製造方法)
化合物(1)は、例えば、反応式(R−1)で表される反応(以下、反応(R−1)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。化合物(1)の製造方法は、例えば、反応(R−1)を含む。
化合物(1)は、例えば、反応式(R−1)で表される反応(以下、反応(R−1)と記載することがある)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。化合物(1)の製造方法は、例えば、反応(R−1)を含む。
反応(R−1)において、一般式(A)中のR2及びR3は、それぞれ一般式(1)中のR2及びR3と同義である。一般式(B)中のR1は、一般式(1)中のR1と同義である。
反応(R−1)では、1モル当量の一般式(A)で表されるフェノール誘導体(以下、フェノール誘導体(A)と記載することがある)と、1モル当量の一般式(B)で表されるアルデヒド誘導体(以下、アルデヒド誘導体(B)と記載することがある)とを反応させて、1当量の化合物(1)を得る。反応(R−1)では、脱水剤を使用してもよい。脱水剤としては、例えば、ピリジン又はピペリジンが挙げられる。反応(R−1)では、1モルのフェノール誘導体(A)に対して、1モル以上5モル以下の脱水剤を添加することが好ましい。フェノール誘導体(A)の物質量1モルに対して1モル以上5モル以下の脱水剤を添加すると、化合物(1)の収率を向上させ易く、化合物(1)の精製が容易となる。反応(R−1)では、溶媒を使用してもよい。溶媒としては、例えば、トルエン又はキシレンが挙げられる。反応(R−1)の反応時間は3時間以上8時間以下であることが好ましい。反応(R−1)の反応温度は、80℃以上120℃以下であることが好ましい。
反応(R−1)では、化合物(1)を得た後に、更に酸を添加して未反応の脱水剤を中和することができる。酸としては、例えば、有機酸(より具体的には、無水酢酸等)又は無機酸(より具体的には、塩酸等)が挙げられる。
化合物(1)の製造では、必要に応じて他の工程(例えば、精製工程)を含んでもよい。このような工程としては、例えば、精製工程が挙げられる。精製方法としては、例えば、公知の方法(より具体的には、ろ過、クロマトグラフィー又は晶折等)が挙げられる。
(フィラー粒子)
感光層は、フィラー粒子として、シリカ粒子及び樹脂粒子の少なくとも1種を含む。感光層は、例えば、シリカ粒子及び樹脂粒子のうちの1種又は2種を含むことができる。感光層がシリカ粒子及び樹脂粒子の2種以上を含む場合には、フィラー粒子は、2種以上のシリカ粒子であってもよく、2種以上の樹脂粒子であってもよく、1種以上のシリカ粒子と1種以上の樹脂粒子であってもよい。
感光層は、フィラー粒子として、シリカ粒子及び樹脂粒子の少なくとも1種を含む。感光層は、例えば、シリカ粒子及び樹脂粒子のうちの1種又は2種を含むことができる。感光層がシリカ粒子及び樹脂粒子の2種以上を含む場合には、フィラー粒子は、2種以上のシリカ粒子であってもよく、2種以上の樹脂粒子であってもよく、1種以上のシリカ粒子と1種以上の樹脂粒子であってもよい。
樹脂粒子の例は、シリコーン樹脂粒子、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と記載することがある)粒子又はポリテトラフロオロエチレン樹脂(以下、PTFE樹脂と記載することがある)粒子である。感光体の耐フィルミング性を向上させる観点から、フィラー粒子としては、樹脂粒子が好ましく、シリコーン樹脂粒子又はPTFE樹脂粒子がより好ましく、PTFE樹脂粒子が特に好ましい。感光体の耐フィルミング性を向上させる観点から、樹脂粒子は、ハロゲン原子を含むことが好ましく、フッ素原子を含むことがより好ましい。フッ素原子を含む樹脂粒子の例は、PTFE樹脂粒子である。フィラー粒子は導電性を有しないことが好ましい。フィラー粒子が導電性を有しないことで、感光層の表面を均質に帯電し易くなる。
フィラー粒子の体積中位径D50は、感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、5nm(即ち0.005μm)以上10μm以下であることが好ましく、0.010μm以上10.000μm以下であることがより好ましく、0.400μm以上10.000μm以下であることが更に好ましく、1.000μm以上10.000μm以下であることが一層好ましく、1.000μm以上5.000μm以下であることが特に好ましい。フィラー粒子の体積中位径D50は、精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチタイザー3」)を用いて測定される。なお、体積中位径D50はコールターカウンター法を用いて体積基準で算出されたメディアン径を意味する。
フィラー粒子の含有量は、感光体の耐フィルミング性及び電位安定性を更に向上させる観点から、感光層中のバインダー樹脂100質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。フィラー粒子の含有量は、感光体の耐フィルミング性を特に向上させる観点から、感光層中のバインダー樹脂100質量部に対して3質量部以上20質量部以下であることが好ましく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
フィラー粒子としては、市販品を使用することもできる。市販品のフィラー粒子の例は、表1に示すフィラー粒子(F1)〜(F10)である。表1はフィラー粒子の種類、材質、体積中位径、商品名及び製造元を示す。フィラー粒子(F7)〜(F10)の樹脂は、フッ素原子を含有する。なお、「AEROSIL」、「トレパール」及び「ルブロン」は登録商標である。
感光層がシリカ粒子及び樹脂粒子の2種を含む場合には、感光層が樹脂粒子の2種を含むことが好ましく、シリコーン樹脂粒子及びPTFE樹脂粒子を含むことがより好ましく、フィラー粒子(F3)及び(F7)を含むことが特に好ましい。
感光層は、樹脂粒子及びシリカ粒子の少なくとも1種に加えて、樹脂粒子及びシリカ粒子以外のフィラー粒子(その他のフィラー粒子)を更に含んでもよい。樹脂粒子及びシリカ粒子の少なくとも1種の含有量は、感光層に含有されるフィラー粒子の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的特性、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好ましい。更に、化合物(1)との相溶性が良好であり、化合物(1)の感光層中での分散性が向上する観点から、感光層は、一般式(6)で表される繰り返し単位及び一般式(7)で表される繰返し単位の少なくとも1種を有する樹脂を少なくとも1種含有することがより好ましい。感光層は、例えば、一般式(6)で表される繰り返し単位及び一般式(7)で表される繰返し単位の少なくとも1種を有する樹脂を1種又は2種含有することができる。また、感光層は、例えば、一般式(6)で表される繰り返し単位及び一般式(7)で表される繰返し単位の1種を有する樹脂を1種又は2種含有することができる。
一般式(6)中、R11及びR12は、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R11及びR12は、互いに結合してシクロアルキリデン基を表してもよい。R11及びR12は、互いに同一であっても異なってもよい。R13及びR14は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R13及びR14は、互いに同一であっても異なってもよい。
一般式(7)中、R15及びR16は、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表す。R15及びR16は、互いに結合してシクロアルキリデン基を表してもよい。R15及びR16は、互いに同一であっても異なってもよい。R17及びR18は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表す。R17及びR18は、互いに同一であっても異なってもよい。一般式(7)中の2つのカルボニル基の置換位置に関し、一のカルボニル基は、ベンゼン環に結合する他のカルボニル基に対して、オルト位(o位)、メタ(m位)又はパラ位(p位)に位置する。
バインダー樹脂が一般式(6)で表される繰り返し単位及び一般式(7)で表される繰返し単位の2種以上を有する場合には、バインダー樹脂は、2種以上の一般式(6)で表される繰り返し単位を有していてもよく、2種以上の一般式(7)で表される繰り返し単位を有していてもよく、1種以上の一般式(6)で表される繰り返し単位及び1種以上の一般式(7)で表される繰り返し単位を有していてもよい。
2種以上の一般式(6)で表される繰り返し単位を有する樹脂は、例えば、一般式(6)で表される繰り返し単位を形成するための2種以上のアルコールモノマーとホスゲンとを共重合させることにより、製造することができる。2種以上の一般式(7)で表される繰り返し単位を有する樹脂は、例えば、一般式(7)で表される繰り返し単位を形成するための2種以上のアルコールモノマーと2種以上のカルボン酸モノマーとを共重合させることにより、製造することができる。1種以上の一般式(6)で表される繰り返し単位及び1種以上の一般式(7)で表される繰り返し単位を有する樹脂は、例えば、一般式(6)で表される繰り返し単位を形成するための1種以上のアルコールモノマー及びホスゲンと、一般式(7)で表される繰返し単位を形成するための1種以上のアルコールモノマー及び1種以上のカルボン酸モノマーとを共重合させることにより、製造することができる。
一般式(6)で表される繰り返し単位及び一般式(7)で表される繰返し単位の少なくとも1種を有する樹脂の例は、一般式(6)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂又は一般式(7)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂である。以下、一般式(6)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂を、ポリカーボネート樹脂(6)と記載することがある。また、一般式(7)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂を、ポリアリレート樹脂(7)と記載することがある。
感光層は、ポリカーボネート樹脂(6)及びポリアリレート樹脂(7)の少なくとも1種を含有することが好ましい。感光層は、例えば、ポリカーボネート樹脂(6)及びポリアリレート樹脂(7)の1種又は2種を含有することができる。感光層がポリカーボネート樹脂(6)及びポリアリレート樹脂(7)の2種以上を含む場合には、バインダー樹脂は、2種以上のポリカーボネート樹脂(6)であってもよく、2種以上のポリアリレート樹脂(7)であってもよく、1種以上のポリカーボネート樹脂(6)及び1種以上のポリアリレート樹脂(7)であってもよい。
以下、ポリカーボネート樹脂(6)について説明する。
一般式(6)中、R11及びR12の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(6)中のR11及びR12が互いに結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、このようなシクロアルキリデン基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基が好ましく、シクロヘキシリデン基がより好ましい。一般式(6)中のR11及びR12が互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表す場合、一般式(6)は一般式(6’)に相当する。一般式(6’)中のR13及びR14は、一般式(6)中のR13及び14と同義であり、環Aは炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを表す。
一般式(6)中、R11及びR12が水素原子若しくは炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すこと又はR11及びR12が互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表すことが好ましい。R11及びR12が水素原子若しくはメチル基を表すこと又はR11及びR12が互いに結合してシクロヘキシリデン基を表すことがより好ましい。
一般式(6)中、R13及びR14の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、ハロゲン原子を有してもよいメチル基が好ましく、メチル基又はフッ化メチル基がより好ましく、メチル基又はトリフルオロメチル基が更に好ましい。
一般式(6)中、R13及びR14は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよいメチル基を表すことが好ましく、水素原子、メチル基又はフッ化メチル基を表すことがより好ましく、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表すことが更に好ましい。R13及びR14は互いに同一であることが好ましい。一般式(6)中、R11、R12、R13及びR14のうち少なくとも1つが、1又は複数のハロゲン原子を有することが好ましい。
ポリカーボネート樹脂(6)の好適な例は、化学式(PC−1)、(PC−2)、(PC−3)、(PC−4)又は(PC−5)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(以下、それぞれポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)と記載することがある)である。
ポリカーボネート樹脂(6)は、一般式(6)で表される繰り返し単位の1種を有していてもよく、一般式(6)で表される繰り返し単位の2種以上を有していてもよい。
ポリカーボネート樹脂(6)の全繰り返し単位のモル数に対する、一般式(6)で表される繰り返し単位のモル数の比率(モル分率)は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
感光層に含まれるバインダー樹脂の質量に対するポリカーボネート樹脂(6)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
以下、ポリアリレート樹脂(7)について説明する。
一般式(7)中、R15及びR16の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
一般式(7)中、R15及びR16の表すフェニル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はシアノ基が挙げられる。
一般式(7)中のR15及びR16が互いに結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、このようなシクロアルキリデン基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基が好ましく、シクロヘキシリデン基がより好ましい。一般式(7)中のR15及びR16が互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表す場合、一般式(7)は一般式(7’)に相当する。一般式(7’)中のR17及びR18は、一般式(7)中のR17及び18と同義であり、環Bは炭素原子数5以上7以下のシクロアルカンを表す。
一般式(7)中、R17及びR18の表すハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(7)中、R15及びR16は、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子又はメチル基を表すことがより好ましい。R15及びR16は、互いに異なることが好ましい。R17及びR18は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。R17及びR18は互いに同一であることが好ましい。R19及びR20は水素原子を表すことが好ましい。感光体の耐フィルミング性を更に向上させる観点から、一般式(7)中、R15、R16、R17及びR18のうち少なくとも1つが、1又は複数のハロゲン原子を有することが好ましい。
ポリアリレート樹脂(7)の好適な例は、化学式(PAR−1)で表される繰返し単位を有するポリアリレート樹脂(以下、ポリアリレート樹脂(PAR−1)と記載することがある)である。
ポリアリレート樹脂(7)は、一般式(7)で表される繰り返し単位の1種を有していてもよく、一般式(7)で表される繰り返し単位の2種以上を有していてもよい。
ポリアリレート樹脂(7)の全繰り返し単位のモル数に対する、一般式(7)で表される繰り返し単位のモル数の比率(モル分率)は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
感光層に含まれるバインダー樹脂の質量に対するポリアリレート樹脂(7)の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
バインダー樹脂の粘度平均分子量は、20000以上であることが好ましく、30000以上70000以下であることがより好ましく、48500以上50000以下であることが更に好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が20000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が70000以下であると、感光層形成用の溶剤にバインダー樹脂が溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
感光体のフィルミング性を更に向上させる観点から、フィラー粒子、電子輸送剤及びバインダー樹脂の好適な組み合わせは、次のとおりである。フィラー粒子は、フッ素原子を含む樹脂粒子(好ましくは、PTFE)である。電子輸送剤は、化合物(1)(好ましくは、化合物(1−1)、(1−2)又は(1−3))である。化合物(1)において、一般式(1)中、R1は、一般式(2)で表される基であり、R2及びR3は、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、一般式(2)中、mは0を表す。バインダー樹脂は、ポリカーボネート樹脂(PC−1)である。この組み合わせにおいて、フィラー粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して3質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正孔輸送剤としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正孔輸送剤の好適な例は、一般式(HTM1)、一般式(HTM2)、一般式(HTM3)、一般式(HTM4)、一般式(HTM5)、一般式(HTM6)又は一般式(HTM7)で表される化合物(以下、化合物(HTM1)〜(HTM7)と記載することがある)である。
以下、化合物(HTM1)について説明する。
一般式(HTM1)中、Q8、Q10、Q11、Q12、Q13及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表す。Q9及びQ15は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表す。bは、0以上5以下の整数を表す。cは、0以上4以下の整数を表す。kは、0又は1を表す。
bが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ9は、互いに同一でも異なっていてもよい。cが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のQ15は、互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(HTM1)中、Q8、Q10、Q11、Q12、Q13及びQ14は、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基を表すことがより好ましい。b及びcは0を表すことが好ましい。kは0を表すことが好ましい。化合物(HTM1)としては、例えば、化学式(HTM1−1)で表される化合物(以下、化合物(HTM1−1)と記載することがある)が挙げられる。
以下、化合物(HTM2)について説明する。
一般式(HTM2)中、Q1は、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよいもよいフェニル基を表す。2つのQ1は、互いに同一であっても異なってもよい。Q2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表す。Q3、Q4、Q5、Q6及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表す。Q3、Q4、Q5、Q6及びQ7のうちの隣接した二つが互いに結合して環を表してもよい。aは、0以上5以下の整数を表す。t及びuは、各々独立に、0以上2以下の整数を表す。
aが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ2は、互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(HTM2)中、Q1は水素原子を表すことが好ましい。Q3、Q4、Q5、Q6及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表すことが好ましく、水素原子、n−ブチル基又はエトキシ基を表すことがより好ましい。aは0を表すことが好ましい。t及びuは1を表すことが好ましい。化合物(HTM2)としては、例えば、化学式(HTM2−1)又は(HTM2−2)で表される化合物(以下、化合物(HTM2−1)又は(HTM2−2)と記載することがある)が挙げられる。
以下、化合物(HTM3)について説明する。
一般式(HTM3)中、Q16、Q17、Q18及びQ19は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。Q16、Q17、Q18及びQ19は、各々独立に、メチル基又はn−ブチル基を表すことが好ましい。化合物(HTM3)としては、例えば、化学式(HTM3−1)で表される化合物(以下、化合物(HTM3−1)と記載することがある)が挙げられる。
以下、化合物(HTM4)について説明する。
一般式(HTM4)中、Q20、Q21、Q22及びQ23は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。v1、v2、v3及びv4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
v1が2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ20は互いに同一でも異なっていてもよい。v2が2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ21は互いに同一でも異なっていてもよい。v3が2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ22は互いに同一でも異なっていてもよい。v4が2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ23は互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(HTM4)中、Q20、Q21、Q22及びQ23は、メチル基を表すことが好ましい。v1及びv2は、1を表すことが好ましい。v3及びv4は、0を表すことが好ましい。化合物(HTM4)としては、例えば、化学式(HTM4−1)で表される化合物(以下、化合物(HTM4−1)と記載することがある)が挙げられる。
以下、化合物(HTM5)について説明する。
一般式(HTM5)中、Rd、Re及びRfは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。o、p及びrは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
oが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のReは、互いに同一であっても異なってもよい。pが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRfは、互いに同一であっても異なってもよい。rが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRdは、互いに同一であっても異なってもよい。
一般式(HTM5)中、Reは、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基又はエチル基を表すことがより好ましい。oは2を表すことが好ましい。p及びrは、0を表すことが好ましい。化合物(HTM5)としては、例えば、化学式(HTM5−1)で表される化合物(以下、化合物(HTM5−1)と記載することがある)が挙げられる。
化合物(HTM6)について説明する。
一般式(HTM6)中、Ra、Rb及びRcは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。qは、0以上4以下の整数を表す。s及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
qが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニレン基に結合する複数のRcは、互いに同一でも異なっていてもよい。sが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRbは、互いに同一でも異なっていてもよい。nが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRaは、互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(HTM6)中、Ra及びRbは、各々独立に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基を表すことがより好ましい。s及びnは、各々独立に、0、1又は2を表すことが好ましい。s及びnの一方が0又は1を表し、s及びnの他方が2を表すことがより好ましい。qは0を表すことが好ましい。化合物(HTM6)としては、例えば、化学式(HTM6−1)又は(HTM6−2)で表される化合物(以下、化合物(HTM6−1)又は(HTM6−2)と記載することがある)が挙げられる。
以下、化合物(HTM7)について説明する。
前記一般式(HTM7)中、Q31、Q33及びQ35は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表す。Q32、Q34及びQ36は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表す。d、e及びfは、各々独立に、0又は1を表す。g、h及びiは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
gが2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ31は互いに同一でも異なっていてもよい。hが2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ33は互いに同一でも異なっていてもよい。iが2以上5以下の整数を表す場合、複数のQ35は互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(HTM7)中、Q31、Q33及びQ35は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。d、e及びfは0を表すことが好ましい。Q32、Q34及びQ36は、水素原子を表すことが好ましい。g、h及びiは、1を表すことが好ましい。化合物(HTM7)としては、例えば、化学式(HTM7−1)で表される化合物(以下、化合物(HTM7−1)と記載することがある)が挙げられる。
感光体の耐フィルミング性及び電位安定性を更に向上させる観点から、正孔輸送剤としては、化合物(HTM1)〜(HTM7)が好ましく、化合物(HTM1)、(HTM2)、(HTM4)又は(HTM6)がより好ましい。感光体の耐フィルミング性を特に向上させる観点から、化合物(HTM1)、(HTM2)、(HTM4)及び(HTM6)のうち、化合物(HTM2)又は(HTM4)が更に好ましい。感光体の耐フィルミング性を特に向上させつつ、電位安定性を特に向上させる観点から、化合物(HTM2)及び(HTM4)のうち、化合物(HTM2)が特に好ましい。
正孔輸送剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上300質量部以下であることが好ましく、10質量部以上200質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上100質量部以下であることが特に好ましい。
(電荷発生剤)
感光層は、電荷発生剤を含有する。電荷発生剤は、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンを含むことが好ましい。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
感光層は、電荷発生剤を含有する。電荷発生剤は、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンを含むことが好ましい。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(CGM−A)で表されるチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。無金属フタロシアニンは、例えば、化学式(CGM−B)で表される。金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンは、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンの結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有する金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニンが使用される。
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。金属フタロシアニンの結晶としては、チタニルフタロシアニンの結晶が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型又はY型結晶(以下、α型、β型又はY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン、α型チタニルフタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましく、Y型チタニルフタロシアニンが特に好ましい。また、Y型チタニルフタロシアニンには、電荷発生効率が高く、感光層内に電荷が残留し難いという利点がある。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、26.2℃にピークを有しない。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。得られたX線回折スペクトルから主ピークを決定し、主ピークのブラッグ角を読み取る。
図2は、本実施形態に係る感光体において用いられるチタニルフタロシアニンのCuKα特性X線回折スペクトルチャートの一例である。図2において、横軸はブラッグ角2θ(°)を示し、縦軸は強度(cps)を示す。図2のCuKα特性X線回折スペクトルチャートから、測定されたチタニルフタロシアニンの結晶型がY型であることを推定できる。
(Y型チタニルフタロシアニン結晶の調製方法)
Y型チタニルフタロシアニン結晶の調製方法は、例えば、合成工程と、顔料化前処理工程と、顔料化工程とを含む。
Y型チタニルフタロシアニン結晶の調製方法は、例えば、合成工程と、顔料化前処理工程と、顔料化工程とを含む。
(合成工程)
合成工程では、チタニルフタロシアニンを合成する。チタニルフタロシアニンの合成方法としては、例えば、反応式(R−A)で表される反応又は反応式(R−B)で表される反応(以下、反応(R−A)及び(R−B)と記載することがある)が挙げられる。
合成工程では、チタニルフタロシアニンを合成する。チタニルフタロシアニンの合成方法としては、例えば、反応式(R−A)で表される反応又は反応式(R−B)で表される反応(以下、反応(R−A)及び(R−B)と記載することがある)が挙げられる。
一例である反応(R−A)では、フタロニトリル(21a)と、チタンアルコキシド(21b)とを反応させ、チタニルフタロシアニン(CGM−A)を合成する。
別の例である反応(R−B)では、1,3−ジイミノイソインドリン(21c)と、チタンアルコキシド(21b)とを反応させ、チタニルフタロシアニン(CGM−A)を合成する。
(顔料化前処理工程)
顔料化前処理工程では、攪拌処理及び静置処理を実行してチタニルフタロシアニン(CGM−A)を安定化させる。攪拌処理では、チタニルフタロシアニン(CGM−A)を水溶性有機溶媒中に加え、溶液を調製する。溶液を加熱した状態で一定時間、溶液を攪拌する。加熱温度は、70℃以上200℃以下であることが好ましい。攪拌時間は、1時間以上3時間以下であることが好ましい。静置処理では、低温で一定時間、溶液を静置して安定化させる。低温とは、攪拌処理での温度よりも低い温度を示す。低温は、10℃以上50℃以下であることが好ましく、室温(例えば、23℃)がより好ましい。静置時間は、5時間以上10時間以下であることが好ましい。水溶性有機溶媒を除去することで、チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶を得る。
顔料化前処理工程では、攪拌処理及び静置処理を実行してチタニルフタロシアニン(CGM−A)を安定化させる。攪拌処理では、チタニルフタロシアニン(CGM−A)を水溶性有機溶媒中に加え、溶液を調製する。溶液を加熱した状態で一定時間、溶液を攪拌する。加熱温度は、70℃以上200℃以下であることが好ましい。攪拌時間は、1時間以上3時間以下であることが好ましい。静置処理では、低温で一定時間、溶液を静置して安定化させる。低温とは、攪拌処理での温度よりも低い温度を示す。低温は、10℃以上50℃以下であることが好ましく、室温(例えば、23℃)がより好ましい。静置時間は、5時間以上10時間以下であることが好ましい。水溶性有機溶媒を除去することで、チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶を得る。
水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオン酸、酢酸、N−メチルピロリドン又はエチレングリコールが挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(顔料化工程)
顔料化工程では、チタニルフタロシアニンを顔料化する。顔料化工程の一例を説明する。チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶を溶媒に溶解させ、チタニルフタロシアニン溶液を調製する。この溶液を貧溶媒中に滴下して再結晶させる。次いで、ろ過、水洗、ミリング処理及び乾燥のような処理を経て顔料化する。その結果、Y型チタニルフタロシアニン結晶が得られる。
顔料化工程では、チタニルフタロシアニンを顔料化する。顔料化工程の一例を説明する。チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶を溶媒に溶解させ、チタニルフタロシアニン溶液を調製する。この溶液を貧溶媒中に滴下して再結晶させる。次いで、ろ過、水洗、ミリング処理及び乾燥のような処理を経て顔料化する。その結果、Y型チタニルフタロシアニン結晶が得られる。
粗結晶を溶解する溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、臭化エチル、臭化ブチル、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸又は硫酸が挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
再結晶のための貧溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン又はジオキサンが挙げられる。これらの貧溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせで使用することができる。
ミリング処理は、水洗後の固体を乾燥させずに水が存在した状態で、非水系溶媒中に分散して攪拌する処理である。ミリング処理のための非水系溶媒としては、例えば、ハロゲン系溶媒(より具体的には、クロロベンゼン又はジクロロメタン等)が挙げられる。
顔料化工程の別の例を説明する。チタニルフタロシアニン(CGM−A)の粗結晶を、アシッドペースト法によって処理する。具体的には、粗結晶を酸に溶解して酸溶液を調製する。酸溶液を氷冷下の水中に滴下させ、一定時間攪拌する。次いで、室温(例えば、23℃)で静置して再結晶させる。その結果、低結晶性チタニルフタロシアニンが得られる。アシッドペースト法に使用する酸としては、例えば、濃硫酸又はスルホン酸が挙げられる。
低結晶性チタニルフタロシアニンをろ過し水洗する。次いで、乾燥させずに水が存在した状態で、非水系溶媒中に低結晶性チタニルフタロシアニンを分散させミリング処理を実行する。ミリング処理後にろ別しろ過物(固体)を得る。ろ過物を乾燥させると、Y型チタニルフタロシアニン結晶が得られる。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。
感光層は、電荷発生剤として、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンに加えて、金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニン以外の別の電荷発生剤(以下、別の電荷発生剤と記載することがある)を更に含有してもよい。電荷発生剤は、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンに加えて、フタロシアニン顔料以外の別の電荷発生剤を更に含んでもよい。別の電荷発生剤としては、例えば、ペリレン顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(より具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン等)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン顔料、スレン顔料、トルイジン顔料、ピラゾリン顔料又はキナクリドン顔料が挙げられる。別の電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニンの含有量は、電荷発生剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
電荷発生剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上5質量部以下であることが特に好ましい。
<1−3.下引き層>
下引き層は、例えば、無機粒子及び下引き層に用いられる樹脂(下引き層用樹脂)を含有する。下引き層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
下引き層は、例えば、無機粒子及び下引き層に用いられる樹脂(下引き層用樹脂)を含有する。下引き層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子又は非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
下引き層用樹脂としては、下引き層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。下引き層は、各種の添加剤を含有してもよい。
<1−4.感光体の製造方法>
感光体は、例えば、以下のように製造される。感光体は、感光層用塗布液を導電性基体の上に塗布し、乾燥することによって製造される。感光層用塗布液は、電荷発生剤、電子輸送剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂、フィラー粒子及び必要に応じて添加される成分(例えば、添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
感光体は、例えば、以下のように製造される。感光体は、感光層用塗布液を導電性基体の上に塗布し、乾燥することによって製造される。感光層用塗布液は、電荷発生剤、電子輸送剤、正孔輸送剤、バインダー樹脂、フィラー粒子及び必要に応じて添加される成分(例えば、添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
感光層用塗布液に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
感光層用塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
感光層用塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体の上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法又はバーコート法が挙げられる。
感光層用塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、下引き層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。下引き層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
<2.画像形成装置及び画像形成方法>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る感光体30を備える画像形成装置100について説明する。また、本実施形態に係る感光体30を使用した画像形成方法について説明する。図3は画像形成装置100の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置100は本実施形態に係る感光体30を備える。
次に、図3を参照して、本実施形態に係る感光体30を備える画像形成装置100について説明する。また、本実施形態に係る感光体30を使用した画像形成方法について説明する。図3は画像形成装置100の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置100は本実施形態に係る感光体30を備える。
画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置100は例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置100がカラー画像形成装置である場合、画像形成装置100は、例えばタンデム方式を採用する。以下、タンデム方式の画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、直接転写方式を採用してもよいし、中間転写方式を採用してもよい。以下、直接転写方式を採用する画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部54とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。なお、画像形成装置100がモノクロ画像形成装置である場合には、画像形成装置100は、画像形成ユニット40aを備え、画像形成ユニット40b〜40dは省略される。
画像形成ユニット40は、感光体30と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。画像形成ユニット40の中央位置に、感光体30が設けられる。感光体30は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。感光体30の周囲には、帯電部42を基準として感光体30の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48が設けられる。画像形成ユニット40には、クリーニング部52が更に備えられてもよい。クリーニング部52が備えられる場合、感光体30の周囲には、帯電部42を基準として感光体30の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46、転写部48及びクリーニング部52が設けられる。また、画像形成ユニット40には、除電部(不図示、例えば除電器)が更に備えられてもよい。
画像形成方法は、帯電工程と露光工程と現像工程と転写工程とを含む。画像形成方法は、クリーニング工程を更に含んでいてもよい。
帯電工程において、帯電部42は、感光体30の表面(具体的には、周面)を正極性に帯電する。感光層32(図1参照)は、電子輸送剤である化合物(1)及びフィラー粒子であるシリカ粒子又は樹脂粒子を含有する。そのため、感光体30と記録媒体Pとが摩擦されて、記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)が正極性に帯電される傾向が強い。帯電部42によって感光体30の表面が正極性に帯電されると、感光体30の表面と、正極性に摩擦帯電される記録媒体Pの微小成分とが、電気的に反発する。その結果、記録媒体Pの微小成分が感光体30の表面に付着し難く、フィルミングの発生を好適に抑制することができる。更に、感光層32が電子輸送剤である化合物(1)及びフィラー粒子であるシリカ粒子又は樹脂粒子を含有することで、繰り返し画像を形成した場合であっても、帯電部42が感光体30の表面を所望の電位に安定的に帯電することができる。
帯電部42は、非接触方式又は接触方式である。非接触方式の帯電部42の例は、コロトロン帯電器又はスコロトロン帯電器である。接触方式の帯電部42の例は、帯電ローラー又は帯電ブラシである。
帯電部42が感光体30の表面と接触しながら、帯電部42は感光体30の表面を正極性に帯電することができる。つまり、帯電部42は、接触方式であり得る。
通常、接触方式の帯電部42(例えば帯電ローラー)を用いて感光体30の表面を帯電させる場合、非接触方式の帯電部42と比較して、帯電時間が短い。接触方式の帯電部42は感光体30の表面との接触時間が短く、接触方式の帯電部42は短い接触時間の中で感光体30を帯電させる。そのため、接触方式の帯電部42は感光体30を帯電させる能力が、非接触方式の帯電部42と比較して、低い傾向がある。そのため、繰り返して画像を形成した場合に、感光体30の帯電電位が徐々に低下する傾向がある。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたように電位安定性を向上させることができる。そのため、画像形成装置100が接触方式の帯電部42を備える場合であっても、帯電部42が感光体30の表面を所望の電位に安定的に帯電することができる。
また、接触方式の帯電部42を備える画像形成装置100においては、感光体30の表面に付着した微小成分(例えば、紙粉、トナー又は外添剤)が固着するため、フィルミングが発生しやすい。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたようにフィルミングの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100が接触方式の帯電部42を備える場合であっても、好適にフィルミングの発生を抑制することができる。
接触方式の帯電部42としては、帯電ローラーを好適に使用することができる。帯電ローラーは、例えば、感光体30の表面と接触しながら、感光体30の回転に従動して回転する。帯電ローラーは、例えば、少なくとも表面部が樹脂で形成される。帯電ローラーは、例えば、回転可能に軸支された芯金と、芯金上に形成された樹脂層と、芯金に電圧を印加する電圧印加部とを備える。このような帯電ローラーである帯電部42は、電圧印加部が芯金に電圧を印加することによって、樹脂層を介して接触する感光体30の表面を帯電させる。
帯電ローラーの樹脂層を形成する樹脂は、感光体30の表面を良好に帯電できる限り特に限定されない。樹脂層に含有される樹脂の具体例は、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂又はシリコーン変性樹脂である。樹脂層には、無機充填材を含有させてもよい。
露光工程において、露光部44は、帯電された感光体30の表面を露光する。これにより、感光体30の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。
現像工程において、現像部46は、感光体30に形成された静電潜像にトナーを供給する。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。感光体30は、トナー像を担持する像担持体に相当する。トナーは、一成分現像剤として用いられてもよい。或いは、トナーと所望のキャリアとを混合して、トナーを二成分現像剤において用いてもよい。トナーが一成分現像剤として用いられる場合、現像部46は、感光体30に形成された静電潜像に一成分現像剤であるトナーを供給する。トナーが二成分現像剤において用いられる場合、現像部46は、感光体30に形成された静電潜像に二成分現像剤に含まれるトナーとキャリアとのうちトナーを供給する。
現像部46が供給するトナーの例は、重合トナー又は粉砕トナーである。画像形成装置100においては、重合トナーを使用することができる。重合トナーは、高い円形度を有し、粒径が揃っている傾向がある。画像形成装置100がクリーニング部52を備える場合、感光体30の表面とクリーニング部52との間を重合トナーがすり抜け易い。そのため、感光体30の表面にクリーニング部52によってクリーニングされなかった重合トナーが残り、フィルミングが発生する傾向がある。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたようにフィルミングの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100において重合トナーが使用される場合であっても、好適にフィルミングの発生を抑制することができる。
重合トナーは、例えば、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法又はエステル伸長重合法によって得られる。重合トナーは、球形を有する。重合トナーは、高い円形度を有する。例えば、重合トナーの数平均円形度は、0.94以上0.99以下であることが好ましい。重合トナーの数平均円形度の測定方法の一例を説明する。試料(重合トナー)0.1gと分散液(シース液)20mLとを混合し、重合トナーの懸濁液を得る。得られた懸濁液中に含有される重合トナー粒子の個数及び各重合トナー粒子の円形度を、フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて測定する。測定された重合トナー粒子の円形度の和を、測定された重合トナー粒子の個数で除算する。これにより、重合トナー粒子の数平均円形度を算出する。
転写ベルト50は、感光体30と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写工程において、転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、感光体30から被転写体へ転写する。画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合、被転写体は記録媒体Pに相当する。画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合、感光体30から記録媒体Pにトナー像が転写されるときに、感光体30は記録媒体Pと接触している。転写部48は、例えば転写ローラーである。
通常、直接転写方式を採用する画像形成装置では、感光体が記録媒体Pに接触するため、感光体の表面に記録媒体Pの微小成分が付着し易く、フィルミングに起因する画像不良が発生し易い。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたように、耐フィルミング性に優れる。よって、画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合であっても、感光体30を備える画像形成装置100は、フィルミングに起因する画像不良の発生を抑制することができる。
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。
転写工程の後、クリーニング工程が行われてもよい。クリーニング工程において、クリーニング部52は、被転写体(記録媒体Pに相当)へトナー像が転写された後の感光体30の表面をクリーニングする。クリーニング部52は、感光体30の表面に残留する成分(以下、「残留成分」と記載することがある)をクリーニングする。残留成分の一例は、トナー成分であり、より具体的には、トナー又は遊離した外添剤である。残留成分の別の例は、非トナー成分であり、より具体的には記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)である。
画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々は、クリーニング部52を少なくとも1つ備えることができる。クリーニング部52の例は、クリーニングブレード、クリーニングローラー、ファーブラシ、超音波クリーニング装置、エアジェットクリーニング装置、磁気ブラシクリーニング装置又は静電ブラシクリーニング装置である。
クリーニング部52は、クリーニングブレードであってもよい。クリーニングブレードは感光体30の表面に付着した微小成分(例えば、紙粉、トナー又は外添剤)を押圧するため、感光体30の表面にフィルミングが発生しやすい。しかし、本実施形態の感光体30は、既に述べたようにフィルミングの発生を抑制することができる。そのため、画像形成装置100がクリーニング部52としてクリーニングブレードを備える場合であっても、好適にフィルミングの発生を抑制することができる。なお、画像形成装置100にクリーニング部52が複数備えられる場合には、複数のクリーニング部52のうちの1つは、クリーニングブレードであり得る。
定着部54は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部54は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
以上、図3を参照して、本実施形態の感光体30を備える画像形成装置100について説明した。
<3.プロセスカートリッジ>
図3を引き続き参照して、本実施形態の感光体30を備えるプロセスカートリッジについて説明する。プロセスカートリッジは、画像形成用のカートリッジである。プロセスカートリッジは、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジは、感光体30を備える。プロセスカートリッジは、感光体30に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48からなる群より選択される少なくとも1つを備える。プロセスカートリッジには、クリーニング部52が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジには、除電部(不図示)が更に備えられてもよい。しかし、プロセスカートリッジには、除電レス方式が採用されていてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、感光体30の感度特性等が劣化した場合に、感光体30を含めて容易かつ迅速に交換することができる。以上、図3を参照して、本実施形態の感光体30を備えるプロセスカートリッジについて説明した。
図3を引き続き参照して、本実施形態の感光体30を備えるプロセスカートリッジについて説明する。プロセスカートリッジは、画像形成用のカートリッジである。プロセスカートリッジは、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジは、感光体30を備える。プロセスカートリッジは、感光体30に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48からなる群より選択される少なくとも1つを備える。プロセスカートリッジには、クリーニング部52が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジには、除電部(不図示)が更に備えられてもよい。しかし、プロセスカートリッジには、除電レス方式が採用されていてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、感光体30の感度特性等が劣化した場合に、感光体30を含めて容易かつ迅速に交換することができる。以上、図3を参照して、本実施形態の感光体30を備えるプロセスカートリッジについて説明した。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<電子輸送剤の調製>
以下の方法で、感光層に含有させるための電子輸送剤である化合物(1−1)〜(1−6)の各々を調製した。
以下の方法で、感光層に含有させるための電子輸送剤である化合物(1−1)〜(1−6)の各々を調製した。
(化合物(1−1)の製造)
反応(r−1)に従って、化合物(1−1)を製造した。
反応(r−1)に従って、化合物(1−1)を製造した。
反応(r−1)では、化学式(A−1)で表されるフェノール誘導体(以下、フェノール誘導体(A−1)と記載することがある)と、化学式(B−1)で表されるアルデヒド誘導体(以下、アルデヒド誘導体(B−1)と記載することがある)とを反応させて、化合物(1−1)を得た。詳しくは、Dean−Stark反応容器に、フェノール誘導体(A−1)2.06g(10ミリモル)と、アルデヒド誘導体(B−1)1.51g(10ミリモル)と、トルエンとを投入し、トルエン溶液を調製した。ピペリジン1.7g(20ミリモル)を反応容器に滴下させつつ、攪拌及び温度90℃の条件でトルエン溶液を5時間還流させた。次いで、反応容器の温度を室温(25℃)に降下させた。更に、反応容器に無水酢酸10mLを投入した。そして、反応容器の内容物を15分間攪拌した。続けて、反応容器の内容物をクロロホルムで抽出し、抽出液を得た。抽出液から、溶媒(より具体的には、クロロホルム等)を留去し、残渣を得た。得られた残渣を、展開溶媒としてクロロホルムを用いてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。その結果、化合物(1−1)が得られた。化合物(1−1)の収量は2.03gであった。フェノール誘導体(A−1)からの化合物(1−1)の収率は60モル%であった。
(化合物(1−2)〜(1−6)の製造)
以下の点を変更した以外は、化合物(1−1)の製造と同じ方法で、化合物(1−2)〜(1−6)をそれぞれ製造した。なお、化合物(1−2)〜(1−6)の製造において使用される各原料のモル数は、化合物(1−1)の製造における対応する原料のモル数と同じであった。
以下の点を変更した以外は、化合物(1−1)の製造と同じ方法で、化合物(1−2)〜(1−6)をそれぞれ製造した。なお、化合物(1−2)〜(1−6)の製造において使用される各原料のモル数は、化合物(1−1)の製造における対応する原料のモル数と同じであった。
表2中、フェノール誘導体(A)は、化合物(1−1)の製造で使用されたフェノール誘導体(A−1)に対応する原料(Reactant)を示す。表2中、アルデヒド誘導体(B)は、化合物(1−1)の製造で使用されたアルデヒド誘導体(B−1)に対応する原料(Reactant)を示す。反応(r−1)で使用されたフェノール誘導体(A−1)及びアルデヒド誘導体(B−1)をそれぞれ表2に記載のフェノール誘導体(A)及びアルデヒド誘導体(B)に変更した。その結果、化合物(1−2)〜(1−6)が得られた。表2に化合物(1)の収量及び収率を示す。
表2中、化合物(1)の欄の「種類」の1−1、1−2、1−3、1−4、1−5及び1−6は、それぞれ化合物(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)、(1−5)及び(1−6)を示す。フェノール誘導体(A)の欄「種類」のA−1、A−2及びA−3は、それぞれフェノール誘導体(A−1)、(A−2)及び(A−3)を示す。アルデヒド誘導体(B)の欄の「種類」のB−1、B−2、B−3及びB−4は、それぞれフェノール誘導体(B−1)、(B−2)、(B−3)及び(B−4)を示す。フェノール誘導体(A−2)〜(A−3)は、それぞれ、下記化学式(A−2)〜(A−3)で表される。アルデヒド誘導体(B−2)〜(B−4)は、それぞれ、下記化学式(B−2)〜(B−4)で表される。
次に、プロトン核磁気共鳴分光計(日本分光株式会社製、300MHz)を用いて、製造した化合物(1−1)〜(1−6)の1H−NMRスペクトルを測定した。溶媒としてCDCl3を用いた。内部標準試料としてテトラメチルシラン(TMS)を用いた。これらのうち化合物(1−1)を代表例として挙げる。
図4は、化合物(1−1)の1H−NMRスペクトルを示す。図4中、縦軸は信号強度(単位:任意単位)を示し、横軸は化学シフト(単位:ppm)を示す。以下に、化合物(1−1)の化学シフト値を示す。
化合物(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=8.31(d, 2H), 7.58(d, 2H), 7.37(d, 1H), 7.15(s, 1H), 7.01(d, 1H), 1.33(s, 9H), 1.29(s, 9H).
化合物(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3) δ=8.31(d, 2H), 7.58(d, 2H), 7.37(d, 1H), 7.15(s, 1H), 7.01(d, 1H), 1.33(s, 9H), 1.29(s, 9H).
1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、化合物(1−1)が得られていることを確認した。化合物(1−2)〜(1−6)についても、1H−NMRスペクトル及び化学シフト値により、それぞれ化合物(1−2)〜(1−6)が得られていることを確認した。
<感光体の材料>
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダー樹脂及びフィラー粒子を準備した。
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダー樹脂及びフィラー粒子を準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、Y型チタニルフタロシアニンである電荷発生剤(CGM1)を使用した。電荷発生剤(CGM1、Y型チタニルフタロシアニン)は、CuKα特性X線回折スペクトルチャートにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=9.2°、14.5°、18.1°、24.1°、27.2°にピークを有しており、主ピークは27.2°であった。なお、CuKα特性X線回折スペクトルは、実施形態で説明した測定装置及び測定条件で測定された。
電荷発生剤として、Y型チタニルフタロシアニンである電荷発生剤(CGM1)を使用した。電荷発生剤(CGM1、Y型チタニルフタロシアニン)は、CuKα特性X線回折スペクトルチャートにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=9.2°、14.5°、18.1°、24.1°、27.2°にピークを有しており、主ピークは27.2°であった。なお、CuKα特性X線回折スペクトルは、実施形態で説明した測定装置及び測定条件で測定された。
電荷発生剤として、X型無金属フタロシアニンである電荷発生剤(CGM2)を使用した。
電荷発生剤として、α型チタニルフタロシアニンである電荷発生剤(CGM3)を使用した。電荷発生剤(CGM3、α型チタニルフタロシアニン)は、CuKα特性X線回折スペクトルチャートにおいてブラッグ角2θ±0.2°=7.5°、10.2°、12.6°、13.2°、15.1°、16.3°、17.3°、18.3°、22.5°、24.2°、25.3°、28.6°にピークを有しており、主ピークは28.6°であった。なお、CuKα特性X線回折スペクトルは、実施形態で説明した測定装置及び測定条件で測定された。
(正孔輸送剤)
実施形態で説明した化合物(HTM1−1)、(HTM2−1)、(HTM2−2)、(HTM4−1)及び(HTM6−1)を準備した。
実施形態で説明した化合物(HTM1−1)、(HTM2−1)、(HTM2−2)、(HTM4−1)及び(HTM6−1)を準備した。
(電子輸送剤)
電子輸送剤として、電子輸送剤の調製で得られた化合物(1−1)〜(1−6)を準備した。
電子輸送剤として、電子輸送剤の調製で得られた化合物(1−1)〜(1−6)を準備した。
電子輸送剤として、化学式(ETM−A)及び(ETM−B)で表される化合物(以下、それぞれ化合物(ETM−A)及び(ETM−B)と記載することがある)も準備した。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)(粘度平均分子量:それぞれ50000、48500、49800、50000、50000)及びポリアリレート樹脂(PAR−1)(粘度平均分子量50000)を準備した。
バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリカーボネート樹脂(PC−1)〜(PC−5)(粘度平均分子量:それぞれ50000、48500、49800、50000、50000)及びポリアリレート樹脂(PAR−1)(粘度平均分子量50000)を準備した。
(フィラー粒子)
フィラー粒子として、実施形態で述べたフィラー粒子(F1)、(F3)、(F4)、(F6)、(F7)、(F9)及び(F10)を準備した。
フィラー粒子として、実施形態で述べたフィラー粒子(F1)、(F3)、(F4)、(F6)、(F7)、(F9)及び(F10)を準備した。
フィラー粒子として、フィラー粒子(F11)(シーアイ化成株式会社製「NanoTek Al2O3」、金属粒子、フィラーの材質:アルミナ、体積中位径:0.030μm)も準備した。
<感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(P−A1)〜(P−A29)及び感光体(P−B1)〜(P−B4)を製造した。感光体(P−A1)〜(P−A29)は実施例であり、感光体(P−B1)〜(P−B4)は比較例であった。
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(P−A1)〜(P−A29)及び感光体(P−B1)〜(P−B4)を製造した。感光体(P−A1)〜(P−A29)は実施例であり、感光体(P−B1)〜(P−B4)は比較例であった。
(感光体(P−A1)の製造)
電荷発生剤(CGM1)3質量部、正孔輸送剤としての化合物(HTM1−1)60質量部、電子輸送剤としての化合物(1−1)40質量部、フィラー粒子(F7)5質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(PC−1)100質量部及び溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部を容器内に添加した。棒状音波発振子を用いて、容器内の材料と溶剤とを2分間混合させ、材料を溶剤に分散させた。更にボールミルを用いて、容器内の材料と溶剤とを50時間混合して、材料を溶剤に分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した感光層用塗布液を、100℃で40分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体の上に、感光層(膜厚25μm)を形成した。その結果、感光体(P−A1)が得られた。感光体(P−A1)において、導電性基体は酸化被覆を有しており、感光層は導電性基体の上に酸化被覆を介して間接的に配置されていた。
電荷発生剤(CGM1)3質量部、正孔輸送剤としての化合物(HTM1−1)60質量部、電子輸送剤としての化合物(1−1)40質量部、フィラー粒子(F7)5質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(PC−1)100質量部及び溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部を容器内に添加した。棒状音波発振子を用いて、容器内の材料と溶剤とを2分間混合させ、材料を溶剤に分散させた。更にボールミルを用いて、容器内の材料と溶剤とを50時間混合して、材料を溶剤に分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した感光層用塗布液を、100℃で40分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体の上に、感光層(膜厚25μm)を形成した。その結果、感光体(P−A1)が得られた。感光体(P−A1)において、導電性基体は酸化被覆を有しており、感光層は導電性基体の上に酸化被覆を介して間接的に配置されていた。
(感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の製造)
下記(1)〜(7)の点を変更した以外は、感光体(P−A1)の製造と同じ方法で、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々を製造した。
(1)感光体(P−A1)の製造では電荷発生剤(CGM1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す種類の電荷発生剤を使用した。
(2)感光体(P−A1)の製造では正孔輸送剤として化合物(HTM1−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す種類の正孔輸送剤を使用した。
(3)感光体(P−A1)の製造では電子輸送剤として化合物(1−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す種類の電子輸送剤を使用した。
(4)感光体(P−A1)の製造では電子輸送剤を40質量部添加したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す量の電子輸送剤を添加した。
(5)感光体(P−A1)の製造ではフィラー粒子としてフィラー粒子(F7)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す種類のフィラー粒子を使用した。
(6)感光体(P−A1)の製造ではフィラー粒子を5質量部添加したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す量のフィラー粒子を添加した。
(7)感光体(P−A1)の製造ではバインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(PC−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す種類のバインダー樹脂を使用した。
下記(1)〜(7)の点を変更した以外は、感光体(P−A1)の製造と同じ方法で、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々を製造した。
(1)感光体(P−A1)の製造では電荷発生剤(CGM1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す種類の電荷発生剤を使用した。
(2)感光体(P−A1)の製造では正孔輸送剤として化合物(HTM1−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す種類の正孔輸送剤を使用した。
(3)感光体(P−A1)の製造では電子輸送剤として化合物(1−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す種類の電子輸送剤を使用した。
(4)感光体(P−A1)の製造では電子輸送剤を40質量部添加したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す量の電子輸送剤を添加した。
(5)感光体(P−A1)の製造ではフィラー粒子としてフィラー粒子(F7)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す種類のフィラー粒子を使用した。
(6)感光体(P−A1)の製造ではフィラー粒子を5質量部添加したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す量のフィラー粒子を添加した。
(7)感光体(P−A1)の製造ではバインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(PC−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表3及び表4に示す種類のバインダー樹脂を使用した。
<電位安定性の評価>
製造した感光体(P−A1)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々に対して、電位安定性を評価した。電位安定性の評価は、温度10℃且つ相対湿度15%RHの環境下で行った。
製造した感光体(P−A1)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々に対して、電位安定性を評価した。電位安定性の評価は、温度10℃且つ相対湿度15%RHの環境下で行った。
まず、感光体を評価機に搭載した。評価機として、カラープリンター(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」)を用いた。この評価機は、帯電部として接触帯電方式の帯電ローラーを備えていた。また、帯電ローラーが感光体の表面を帯電する電位を正極性(+600V)に設定した。この評価機は、直接転写方式の転写部を備えていた。この評価機は、クリーニング部としてクリーニングブレードを備えていた。評価機のトナーコンテナにトナー(重合トナー、試作品、円形度0.95)を投入した。
評価機を用いて、画像I(白紙画像)を10枚の用紙に印刷した。10枚の用紙に印刷する間、感光体の帯電電位を継続して測定した。測定された感光体の帯電電位の平均値を3000枚印刷前の帯電電位(V1、単位:+V)とした。次いで、評価機を用いて、15秒間隔で、3000枚の用紙(A4サイズ紙)に画像II(画像濃度4%の印字パターン画像)を印刷した。3000枚の用紙に画像IIを印刷した後、再び画像Iを10枚の用紙に印刷した。10枚の用紙に印刷する間、感光体の帯電電位を継続して測定した。測定された感光体の帯電電位の平均値を、3000枚印刷後の帯電電位(V2、単位:+V)とした。そして、計算式「電位低下量=3000枚印刷前の帯電電位V1−3000枚印刷後の帯電電位V2」から、電位低下量(V1−V2)を算出した。得られた電位低下量(V1−V2)を、表3及び表4に示す。なお、電位低下量(V1−V2)が小さいほど、感光体の電位安定性が優れていることを示す。
<耐フィルミング性の評価>
製造した感光体(P−A1)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々に対して、フィルミングの発生が抑制されているか否かを評価した。フィルミングの発生が抑制されているか否かの評価は、温度10℃且つ相対湿度15%RHの環境下で行った。耐フィルミング性の評価で使用した評価機及びトナーは、電位安定性の評価で使用した評価機及びトナーと同じであった。
製造した感光体(P−A1)〜(P−A29)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々に対して、フィルミングの発生が抑制されているか否かを評価した。フィルミングの発生が抑制されているか否かの評価は、温度10℃且つ相対湿度15%RHの環境下で行った。耐フィルミング性の評価で使用した評価機及びトナーは、電位安定性の評価で使用した評価機及びトナーと同じであった。
まず、感光体を評価機に搭載した。評価機を用いて、15秒間隔で、5000枚の用紙(A4サイズ紙)に画像III(画像濃度1%の印字パターン画像)を印刷した。5000枚の用紙に画像IIIを印刷した後、画像IVを1枚の用紙に印刷した。画像IVは、全面グレー色の画像(画像濃度50%)であった。
得られた画像IVを肉眼で観察し、筋及びダッシュマークの有無を確認した。なお、感光体にフィルミングが発生すると、形成画像に筋及びダッシュマークが発生する。筋は、画像が印刷される方向に対して平行な黒線が現れる画像不良である。ダッシュマークは、画像が印刷される方向に対して平行に配列した黒点が現れる画像不良である。筋及びダッシュマークの確認結果に基づいて、下記の基準に従って、フィルミングの発生が抑制されているか否かを評価した。評価結果を、表3及び表4に示す。なお、評価がA〜Cである感光体を、フィルミングの発生が抑制されていると評価した。
(耐フィルミング性の評価基準)
評価A:筋及びダッシュマークが、全く確認されなかった。
評価B:軽微な筋及びダッシュマークが、わずかに確認された。
評価C:軽微な筋及びダッシュマークが、確認された。しかし、目立たない程度の筋及びダッシュマークであった。
評価D:筋及びダッシュマークが、明確に確認された。
評価A:筋及びダッシュマークが、全く確認されなかった。
評価B:軽微な筋及びダッシュマークが、わずかに確認された。
評価C:軽微な筋及びダッシュマークが、確認された。しかし、目立たない程度の筋及びダッシュマークであった。
評価D:筋及びダッシュマークが、明確に確認された。
表3及び表4中、CGM、HTM、ETM、樹脂、部及びV1−V2は、各々、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダー樹脂、質量部及び電位低下量を示す。表4の実施例27における「F7/F3」及び「2.5/2.5」は、2.5質量部のフィラー粒子(F7)及び2.5質量部のフィラー粒子(F3)を使用したことを示す。表4の実施例28における「1−1/1−2」及び「20/20」は、20質量部の化合物(1−1)及び20質量部の化合物(1−2)を使用したことを示す。表4の実施例29における「PC−1/PC−5」及び「50/50」は、50質量部のポリカーボネート樹脂(PC−1)及び50質量部のポリカーボネート樹脂(PC−5)を使用したことを示す。
感光体(P−A1)〜(P−A29)では、感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含んでいた。フィラー粒子は、シリカ粒子及び樹脂粒子の少なくとも1種であった。具体的には、感光層はフィラー粒子(F1)、(F3)、(F4)、(F6)、(F7)、(F9)及び(F10)の少なくとも1種を含んでいた。電子輸送剤は、化合物(1)の少なくとも1種であった。具体的には、感光層は、電子輸送剤として化合物(1−1)〜(1−6)の少なくとも1種を含んでいた。そのため、表3及び表4から明らかなように、感光体(P−A1)〜(P−A29)では、電位低下量(V1−V2)が小さく、感光体の電位安定性が優れていた。また、感光体(P−A1)〜(P−A29)では、耐フィルミング性の評価がA〜Cであり、フィルミングの発生が抑制されていた。
一方、感光体(P−B1)では、感光層がフィラー粒子を含んでいなかった。感光体(P−B2)及び(P−B3)の各々では、感光層が電子輸送剤としての化合物(1)を含んでいなかった。詳しくは、感光体(P−B2)の感光層は、電子輸送剤としての化合物(ETM−A)を含有していたが、化合物(ETM−A)は一般式(1)で表される化合物ではなかった。感光体(P−B3)の感光層は、電子輸送剤としての化合物(ETM−B)を含有していたが、化合物(ETM−B)は一般式(1)で表される化合物ではなかった。感光体(P−B4)では、感光層に含まれるフィラー粒子がシリカ粒子及び樹脂粒子ではなく、金属粒子であった。そのため、表4から明らかなように、感光体(P−B1)〜(P−B4)では、電位低下量(V1−V2)が大きく、感光体の電位安定性が劣っていた。また、感光体(P−B1)〜(P−B4)では、耐フィルミング性の評価がDであり、フィルミングが明らかに発生していた。
以上のことから、本発明に係る感光体は、耐フィルミング性及び電位安定性に優れることが示された。また、本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、耐フィルミング性及び電位安定性に優れることが示された。更に、本発明に係る画像形成方法によれば、耐フィルミング性及び電位安定性の向上により、良好な画像を形成できることが示された。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することができる。
30 電子写真感光体
31 導電性基体
32 感光層
33 下引き層
42 帯電部
44 露光部
46 現像部
48 転写部
52 クリーニング部
100 画像形成装置
P 記録媒体
31 導電性基体
32 感光層
33 下引き層
42 帯電部
44 露光部
46 現像部
48 転写部
52 クリーニング部
100 画像形成装置
P 記録媒体
Claims (24)
- 導電性基体と感光層とを備える、電子写真感光体であって、
前記感光層は、単層であり、
前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、フィラー粒子とを含み、
前記フィラー粒子は、シリカ粒子及び樹脂粒子の少なくとも1種であり、
前記電子輸送剤は、一般式(1)で表される化合物の少なくとも1種を含む、電子写真感光体。
R1は、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表される基であり、
R2及びR3は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上7以下のアシル基を表し、
R2及びR3は、互いに同一であっても異なってもよい。
R4は炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基、炭素原子数1以上7以下のアシル基又はハロゲン原子を表し、
mは0以上4以下の整数を表す。
- 前記一般式(1)中、R2及びR3は、炭素原子数6以上14以下のアリール基又は炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、
前記一般式(2)中、mは、0を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。 - 前記フィラー粒子の体積中位径は、5nm以上10μm以下である、請求項1〜3の何れか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記フィラー粒子の含有量は、100質量部の前記バインダー樹脂に対して0.5質量部以上30質量部以下である、請求項1〜4の何れか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記フィラー粒子は、前記樹脂粒子であり、
前記樹脂粒子は、シリコーン樹脂粒子、ポリフェニレンスルフィド樹脂粒子又はポリテトラフロオロエチレン樹脂粒子である、請求項1〜5の何れか一項に記載の電子写真感光体。 - 前記フィラー粒子は、前記樹脂粒子であり、
前記樹脂粒子は、フッ素原子を含む、請求項1〜6の何れか一項に記載の電子写真感光体。 - 前記電荷発生剤は、無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニンである、請求項1〜7の何れか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生剤は、金属フタロシアニンであり、
前記金属フタロシアニンは、チタニルフタロシアニン結晶であり、
前記チタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する、請求項1〜8の何れか一項に記載の電子写真感光体。 - 前記バインダー樹脂は、一般式(6)で表される繰り返し単位及び一般式(7)で表される繰返し単位の少なくとも1種を有する樹脂を少なくとも1種含む、請求項1〜9の何れか一項に記載の電子写真感光体。
R11及びR12は、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表し、
R11及びR12は、互いに結合してシクロアルキリデン基を表してもよく、
R11及びR12は、互いに同一であっても異なってもよく、
R13及びR14は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
R13及びR14は、互いに同一であっても異なってもよく、
前記一般式(7)中、
R15及びR16は、水素原子、ハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は置換基を有してもよいフェニル基を表し、
R15及びR16は、互いに結合してシクロアルキリデン基を表してもよく、
R15及びR16は、互いに同一であっても異なってもよく、
R17及びR18は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
R17及びR18は、互いに同一であっても異なってもよい。 - 前記一般式(6)で表される繰り返し単位及び前記一般式(7)で表される繰返し単位の少なくとも1種を有する樹脂は、前記一般式(6)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂、又は前記一般式(7)で表される繰り返し単位を有するポリアリレート樹脂である、請求項10に記載の電子写真感光体。
- 前記一般式(6)中、
R11及びR12は水素原子若しくは炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表すか、又はR11及びR12は互いに結合して炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表し、
R13及びR14は、水素原子又はハロゲン原子を有してもよいメチル基を表し、
R13及びR14は、互いに同一であり、
前記一般式(7)中、
R15及びR16は、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
R15及びR16は、互いに異なり、
R17及びR18は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
R17及びR18は、互いに同一である、請求項10又は11に記載の電子写真感光体。 - 前記正孔輸送剤は、一般式(HTM1)、(HTM2)、(HTM3)、(HTM4)、(HTM5)、(HTM6)又は(HTM7)で表される化合物を含む、請求項1〜14の何れか一項に記載の電子写真感光体。
Q8、Q10、Q11、Q12、Q13及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表し、
Q9及びQ15は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表し、
bは、0以上5以下の整数を表し、
cは、0以上4以下の整数を表し、
kは、0又は1を表す。
Q1は、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有してもよいフェニル基を表し、
2つのQ1は、互いに同一であっても異なってもよく、
Q2は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表し、
Q3、Q4、Q5、Q6及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表し、Q3、Q4、Q5、Q6及びQ7のうちの隣接した二つが互いに結合して環を表してもよく、
aは、0以上5以下の整数を表し、
t及びuは、各々独立に、0以上2以下の整数を表す。
Q16、Q17、Q18及びQ19は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表す。
Q20、Q21、Q22及びQ23は、各々独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基を表し、
v1、v2、v3及びv4は、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
Rd、Re及びRfは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
o、p及びrは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
Ra、Rb及びRcは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、フェニル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
qは、0以上4以下の整数を表し、
s及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。
Q31、Q33及びQ35は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又はフェニル基を表し、
Q32、Q34及びQ36は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基で置換されてもよいフェニル基を表し、
d、e及びfは、各々独立に、0又は1を表し、
g、h及びiは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。 - 前記正孔輸送剤は、前記一般式(HTM1)、(HTM2)、(HTM4)又は(HTM6)で表される化合物を含む、請求項15に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層は、前記導電性基体の上に直接配置されるか、又は下引き層若しくは酸化皮膜を介して配置される、請求項1〜16の何れか一項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜17の何れか一項に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
- 請求項1〜17の何れか一項に記載の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える画像形成装置であって、
前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を正極性に帯電し、
前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成し、
前記現像部は、前記静電潜像にトナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像し、
前記転写部は、前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する、画像形成装置。 - 前記被転写体は、記録媒体であり、
前記転写部が前記電子写真感光体から前記記録媒体へ前記トナー像を転写するときに、前記電子写真感光体は前記記録媒体と接触している、請求項19に記載の画像形成装置。 - 前記帯電部が前記電子写真感光体の前記表面と接触しながら、前記帯電部は前記電子写真感光体の前記表面を正極性に帯電する、請求項19又は20に記載の画像形成装置。
- クリーニング部を更に備え、
前記クリーニング部は、前記被転写体へ前記トナー像が転写された前記電子写真感光体の前記表面をクリーニングし、
前記クリーニング部は、クリーニングブレードである請求項19〜21の何れか一項に記載の画像形成装置。 - 前記トナーは、重合トナーである、請求項19〜22の何れか一項に記載の画像形成装置。
- 請求項1〜17の何れか一項に記載の電子写真感光体の表面を正極性に帯電する帯電工程と、
帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する露光工程と、
前記静電潜像に重合トナーを供給して、前記静電潜像をトナー像として現像する現像工程と、
前記電子写真感光体から被転写体へ前記トナー像を転写する転写工程と
を含む、画像形成方法。
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JP2016168039A JP2018036374A (ja) | 2016-08-30 | 2016-08-30 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 |
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JP2017074436A (ja) * | 2016-12-20 | 2017-04-20 | 日本製紙クレシア株式会社 | 衛生薄葉紙ロール |
CN115490711A (zh) * | 2021-06-18 | 2022-12-20 | 唐山师范学院 | 4-(3-苯硼酸)亚甲基-2,6-二叔丁基-2,5-环己二烯-1-酮化合物的合成和应用 |
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JP7452356B2 (ja) | 2020-09-28 | 2024-03-19 | 京セラドキュメントソリューションズ株式会社 | 画像形成装置 |
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2016
- 2016-08-30 JP JP2016168039A patent/JP2018036374A/ja active Pending
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