JP6551359B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体としては、例えば、積層型電子写真感光体又は単層型電子写真感光体が用いられる。積層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能を有する電荷発生層と、電荷輸送の機能を有する電荷輸送層とを備える。単層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層の感光層を備える。
特許文献1に記載の電子写真感光体は、単層の感光層を備える。感光層は、例えば、アゾキノン化合物を含有する。アゾキノン化合物は、例えば、化学式(E−2)で表される。
Figure 0006551359
特開2005−62221号公報
しかし、特許文献1に記載の化学式(E−2)で表される化合物を含む感光層を備える感光体には、形成画像における白点の発生を抑制することについて、いまだ改善の余地が残されている。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、形成画像における白点の発生を抑制可能な電子写真感光体を提供することである。また、本発明の目的は、このような電子写真感光体を備えることで、形成画像における白点の発生を抑制可能なプロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と単層の感光層とを備える。前記感光層は、電荷発生剤と電子輸送剤とバインダー樹脂とを含有する。前記電子輸送剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含む。前記感光層と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの前記炭酸カルシウムの帯電量は、+7.0μC/g以上である。
Figure 0006551359
前記一般式(1)中、pは、2以上5以下の整数を表す。複数のR1は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数2以上11以下のアシル基を表す。複数のR1のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子を表す。
本発明のプロセスカートリッジは、上述の電子写真感光体を備える。
本発明の画像形成装置は、上述の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を正極性に帯電する。前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写体へ転写する。
本発明の電子写真感光体によれば、形成画像における白点の発生を抑制することができる。また、本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置によれば、このような電子写真感光体を備えることで、形成画像における白点の発生を抑制することができる。
(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す断面図である。 感光層と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量を測定する方法を説明するための図である。 画像形成装置の構成の一例を示す図であり、この画像形成装置は本発明の実施形態に係る電子写真感光体を備える。 化学式(1−1)で表される化合物の1H−NMRスペクトルであり、この化合物は本発明の実施形態に係る電子写真感光体に含有される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。更に、反応式(R−1)及び(r−1)で表される反応の各々を、反応(R−1)及び(r−1)と記載することがある。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、炭素原子数6以上14以下のアリール基及び炭素原子数6以上10以下のアリール基は、何ら規定していなければ、各々次の意味である。
ハロゲン原子(ハロゲン基)は、例えば、フッ素原子(フルオロ基)、塩素原子(クロロ基)、臭素原子(ブロモ基)又はヨウ素原子(ヨード基)である。
炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基及び炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基又はデシル基である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上6以下である基である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基の例は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及び炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、各々、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基又はヘキシル基である。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基の例は、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基の例として述べた基のうち、炭素原子数が1以上3以下である基である。
炭素原子数6以上14以下のアリール基及び炭素原子数6以上10以下のアリール基の各々は、非置換である。炭素原子数6以上14以下のアリール基の例は、フェニル基、ナフチル基、インダセニル基、ビフェニレニル基、アセナフチレニル基、アントリル基又はフェナントリル基である。炭素原子数6以上10以下のアリール基の例は、フェニル基又はナフチル基である。
<電子写真感光体>
本実施形態は電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)に関する。以下、図1を参照して、感光体100の構造について説明する。図1は、本実施形態に係る感光体100の一例を示す断面図である。
図1(a)に示すように、感光体100は、例えば、導電性基体101と感光層102とを備える。感光層102は単層(一層)である。感光体100は、単層の感光層102を備える単層型感光体である。
図1(b)に示すように、感光体100は、導電性基体101と、感光層102と、中間層103(下引き層)とを備えてもよい。中間層103は、導電性基体101と感光層102との間に設けられる。図1(a)に示すように、感光層102は導電性基体101上に直接設けられてもよい。或いは、図1(b)に示すように、感光層102は導電性基体101上に中間層103を介して設けられてもよい。
図1(c)に示すように、感光体100は、導電性基体101と、感光層102と、保護層104とを備えてもよい。保護層104は、感光層102上に設けられる。
感光層102の厚さは、感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。感光層102の厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
形成画像における白点の発生を抑制するためには、感光層102が、感光体100の最表面層として配置されることが好ましい。
以上、図1を参照して、感光体100の構造について説明した。以下、感光体について更に詳細に説明する。
<感光層>
感光層は、電荷発生剤と電子輸送剤とバインダー樹脂とを含有する。感光層は、正孔輸送剤を更に含有してもよい。感光層は、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。電荷発生剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂と、必要に応じて添加される成分(例えば、正孔輸送剤又は添加剤)とは、単層の感光層に含有される。
感光層は、電子輸送剤として、化学式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記載することがある)を含有する。感光層と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量(以下、炭酸カルシウムの帯電量と記載することがある)は、+7.0μC/g以上である。これらにより、本実施形態の感光体には、形成画像における白点の発生を抑制することができる。その理由は、以下のように推測される。
理解を容易にするために、まず、形成画像に白点が発生する一因について説明する。画像形成において記録媒体(例えば、紙)と感光体とが接触する場合に、記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)が感光体の表面に付着することがある。感光体の表面に記録媒体の微小成分が付着すると、画像形成の露光工程において感光体に露光された光を、その微小成分が遮ることがある。露光された光が微小成分によって遮られた部分は、感光体の表面電位が低下し難い。表面電位の低下が不十分な部分にはトナーが付着し難いため、形成画像に白点が発生する。
ここで、画像形成において記録媒体と感光体とが接触するとき、記録媒体の微小成分が感光体によって摩擦されて、微小成分が負極性又は所望の値より低い正極性に帯電することがある。しかし、本実施形態の感光体の感光層は、化合物(1)を含有する。化合物(1)は所定の骨格を有し、化合物(1)中のフェニル基に結合する置換基(R1に相当)の数が2つ以上5つ以下であり、これらの置換基(R1に相当)のうちの少なくとも1つがハロゲン原子である。そのため、化合物(1)の電気陰性度は高い。微小成分と本実施形態の感光体とが接触し、電気陰性度が高い化合物(1)を含有する感光体によって微小成分が摩擦されたときに、微小成分は所望の値以上の正極性に帯電する。画像形成の帯電工程で感光体の表面が正極性に帯電される場合、正極性に帯電された感光体の表面と、所望の値以上の正極性を帯びた微小成分とは、電気的に反発する。微小成分の帯電量が大きな正の値になるほど、微小成分と感光体の表面との電気的な反発は大きくなる。これにより、感光体の表面に微小成分が付着し難くなる。その結果、形成画像における白点の発生を抑制することができる。
(炭酸カルシウムの帯電量)
炭酸カルシウムの帯電量は、+7.0μC/g以上である。炭酸カルシウムは、記録媒体の微小成分の一例である紙粉の主成分である。炭酸カルシウムの帯電量が+7.0μC/g未満であると、感光体と記録媒体の微小成分とが摩擦したときの微小成分の正帯電性が不十分であり、形成画像に白点が発生する。炭酸カルシウムの帯電量は、+7.0μC/g以上+15.0μC/g以下であることが好ましく、+8.0μC/g以上+9.5μC/g以下であることがより好ましく、+9.0μC/g以上+9.5μC/g以下であることが一層好ましい。
以下、図2を参照して、感光層102と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量を測定する方法を説明する。炭酸カルシウムの帯電量は、第一ステップ、第二ステップ、第三ステップ及び第四ステップを行うことにより測定される。第一ステップでは、感光層102を2個準備する。2個の感光層102の一方が第一感光層102aである。感光層102の他方が第二感光層102bである。第一感光層102a及び第二感光層102bは、直径3cmの円形状である。第二ステップでは、0.007gの炭酸カルシウムを、第一感光層102aの上に載せる。これにより、炭酸カルシウムで構成される炭酸カルシウム層24を形成する。続いて、炭酸カルシウム層24上に第二感光層102bを載せる。第三ステップでは、温度23℃且つ相対湿度50%RHの環境下で、第二感光層102bを固定したまま、回転速度60rpmで60秒間第一感光層102aを回転させる。これにより、第一感光層102aと第二感光層102bとの間で、炭酸カルシウム層24に含まれる炭酸カルシウムを摩擦して炭酸カルシウムを帯電させる。第四ステップでは、帯電させた炭酸カルシウムを、帯電量測定装置を用いて吸引する。吸引された炭酸カルシウムの総電気量Qと質量Mとを帯電量測定装置を用いて測定し、式Q/Mから炭酸カルシウムの帯電量を算出する。なお、炭酸カルシウムの帯電量は、具体的には、実施例に記載の方法で測定される。以上、図2を参照して、感光層102と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量を測定する方法を説明した。
(電子輸送剤)
電子輸送剤は、化合物(1)を含む。感光層が電子輸送剤として化合物(1)を含有することで、記録媒体と感光体とが接触する場合に、電気陰性度が高い化合物(1)を含有する感光体によって記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)が摩擦され、微小成分を所望の正の値に帯電させることができる。
化合物(1)は、下記一般式(1)で表される。化合物(1)は、ナフトキノン誘導体である。
Figure 0006551359
一般式(1)中、pは、2以上5以下の整数を表す。複数のR1は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数2以上11以下のアシル基を表す。複数のR1のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子を表す。
一般式(1)中のR1が表すハロゲン原子(ハロゲン基)としては、塩素原子(クロロ基)又はフッ素原子(フルオロ基)が好ましく、塩素原子(クロロ基)がより好ましい。
一般式(1)中のR1が表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。
一般式(1)中のR1が表す炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましい。
一般式(1)中のR1が表す炭素原子数2以上11以下のアシル基としては、例えば、下記一般式(1a)又は(1b)で表される基が挙げられる。R1が表す炭素原子数2以上11以下のアシル基としては、一般式(1a)で表される基が好ましく、ベンゾイル基がより好ましい。
Figure 0006551359
一般式(1a)中、Ar1は、炭素原子数6以上10以下のアリール基を表す。
Figure 0006551359
一般式(1b)中、R2は、炭素原子数1以上10以下のアルキル基を表す。
一般式(1)中、pは、2以上5以下の整数を表す。つまり、2つ以上5つ以下の置換基R1がフェニル基に結合している。フェニル基に2つ以上の置換基R1が結合することで、形成画像における白点の発生を抑制することができる。pは2又は3を表すことが好ましく、3を表すことがより好ましい。
一般式(1)中、複数のR1のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子を表す。このため、化合物(1)はハロゲン原子を必須に有する。複数のR1のうちの少なくとも1つがハロゲン原子であることで、形成画像における白点の発生を抑制することができる。複数のR1のうちの1つ以上3つ以下がハロゲン原子を表すことが好ましく、複数のR1のうちの2つ又は3つがハロゲン原子を表すことがより好ましく、複数のR1のうちの3つがハロゲン原子を表すことが更に好ましい。
一般式(1)中、R1の結合位置(置換位置)は特に限定されない。R1はフェニル基のオルト位、メタ位及びパラ位の何れに結合してもよい。R1はフェニル基のオルト位又はパラ位に結合していることが好ましい。pが2を表す場合、2つのR1はフェニル基の2つのオルト位に結合すること、又はフェニル基のパラ位とオルト位に結合することが好ましい。pが3を表す場合、3つのR1はフェニル基の2つのオルト位及びパラ位に結合することが好ましい。
形成画像における白点の発生を抑制するためには、一般式(1)中のp及びR1が次のとおりである化合物(1)が好ましい。pは、2又は3を表す。複数のR1は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数2以上11以下のアシル基(好ましくは、一般式(1a)で表される基)を表す。複数のR1のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子を表す。
形成画像における白点の発生を抑制するためには、一般式(1)中のp及びR1が次のとおりである化合物(1)がより好ましい。pは、2又は3を表す。複数のR1は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素原子数1以上3以下のアルキル基又はベンゾイル基を表す。複数のR1のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子を表す。
更に好適な例においては、pが2又は3を表し、2つ又は3つのR1の全てが、ハロゲン原子を表す。
更に好適な別の例においては、pが2を表し、2つのR1のうちの一方がハロゲン原子を表し、他方が炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数2以上11以下のアシル基を表す。pが2を表し、2つのR1のうちの一方がハロゲン原子を表し、他方が炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数2以上11以下のアシル基を表すことがより好ましい。pが2を表し、2つのR1のうちの一方がハロゲン原子を表し、他方が炭素原子数2以上11以下のアシル基を表すことが更に好ましい。pが2を表し、2つのR1のうちの一方がハロゲン原子を表し、他方が一般式(1a)で表される基を表すことが一層好ましい。pが2を表し、2つのR1のうちの一方がハロゲン原子を表し、他方がベンゾイル基を表すことが特に好ましい。
更に好適な別の例においては、pが3を表し、3つのR1のうちの1つがハロゲン原子を表し、3つのR1のうちの2つが炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数2以上11以下のアシル基を表す。pが3を表し、3つのR1のうちの1つがハロゲン原子を表し、3つのR1のうちの2つが炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は一般式(1a)で表される基を表すことがより好ましい。pが3を表し、3つのR1のうちの1つがハロゲン原子を表し、3つのR1のうちの2つが炭素原子数1以上3以下のアルキル基又はベンゾイル基を表すことが更に好ましい。pが3を表し、3つのR1のうちの1つがハロゲン原子を表し、3つのR1のうちの2つが炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表すことが一層好ましい。pが3を表し、3つのR1のうちの1つがハロゲン原子を表し、3つのR1のうちの2つが各々独立にメチル基又はエチル基を表すことが特に好ましい。
形成画像における白点の発生を抑制する観点から、化合物(1)の好適な例としては、化学式(1−1)〜(1〜4)で表される化合物が挙げられる。以下、化学式(1−1)〜(1〜4)で表される化合物の各々を、化合物(1−1)〜(1〜4)と記載することがある。形成画像における白点の発生を抑制するために、化合物(1−4)を使用することができる。
Figure 0006551359
Figure 0006551359
Figure 0006551359
Figure 0006551359
化合物(1)は、例えば、下記の反応(R−1)に従って又はこれに準ずる方法によって製造される。この反応以外に、必要に応じて適宜な工程が更に含まれてもよい。反応(R−1)で示す反応式においてR1及びpは、一般式(1)中のR1及びpと同義である。
Figure 0006551359
反応(R−1)では、1モル当量の化合物(A)と、1モル当量の化合物(B)とを反応させて、1モル当量の化合物(1)を得る。1モルの化合物(A)に対して、1モル以上5モル以下の化合物(B)を添加することが好ましい。反応(R−1)の反応温度は50℃以上150℃以下であることが好ましい。反応(R−1)の反応時間は1時間以上10時間以下であることが好ましい。反応(R−1)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒の例は、極性溶媒である。極性溶媒の例は、酢酸又はジメチルホルムアミドである。反応(R−1)を行った後、得られた化合物(1)を精製してもよい。精製方法としては、例えば、公知の方法(例えば、ろ過、クロマトグラフィー又は晶析)が挙げられる。
感光層は、化合物(1)に加えて、化合物(1)以外の電子輸送剤(以下、その他の電子輸送剤と記載することがある)を更に含有してもよい。その他の電子輸送剤の例としては、化合物(1)以外のキノン化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。化合物(1)以外のキノン化合物としては、例えば、ジフェノキノン化合物、アゾキノン化合物、アントラキノン化合物、ナフトキノン化合物、ニトロアントラキノン化合物又はジニトロアントラキノン化合物が挙げられる。電子輸送剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。化合物(1)の含有量は、電子輸送剤の合計質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
電子輸送剤としての化合物(1)の含有量は、100質量部のバインダー樹脂に対して、20質量部以上40質量部以下であることが好ましい。化合物(1)の含有量が100質量部のバインダー樹脂に対して20質量部以上であると、感光体の電気特性を向上させ易い。化合物(1)の含有量が100質量部のバインダー樹脂に対して40質量部以下であると、感光層を形成するための溶剤に化合物(1)が溶解し易く、均一な感光層を形成し易くなる。
(電荷発生剤)
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(例えば、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム又はアモルファスシリコン)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料又はキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、化学式(CGM2)で表される無金属フタロシアニン又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(CGM1)で表されるチタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、α型、β型、Y型、V型又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
Figure 0006551359
Figure 0006551359
無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型又はY型結晶(以下、α型、β型又はY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのV型結晶が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置(例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリ)には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましく、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましい。感光層に正孔輸送剤として化合物(1)が含有される場合に電気特性を特に向上させるためには、電荷発生剤としてはY型チタニルフタロシアニンがより好ましい。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
短波長レーザー光源(例えば、350nm以上550nm以下の波長を有するレーザー光源)を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。
電荷発生剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上4.5質量部以下であることが特に好ましい。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤としては、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ジアミン誘導体(例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体又はジ(アミノフェニルエテニル)ベンゼン誘導体)、オキサジアゾール系化合物(例えば、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、スチリル系化合物(例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン)、カルバゾール系化合物(例えば、ポリビニルカルバゾール)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(例えば、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物又はトリアゾール系化合物が挙げられる。正孔輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
正孔輸送剤の一例としては、一般式(2)で表される化合物(以下、化合物(2)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006551359
一般式(2)中、R21〜R26は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。r、s、v及びwは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。t及びuは、各々独立に、0以上4以下の整数を表す。
一般式(2)中、R21〜R26は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。r、s、v及びwは、各々独立に、0又は1を表すことが好ましい。t及びuは、各々独立に、0又は1を表すことが好ましく、0を表すことがより好ましい。
化合物(2)の具体例としては、下記化学式(2−1)で表される化合物(以下、化合物(2−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006551359
化合物(2)の含有量は、正孔輸送剤の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
感光層に含有される正孔輸送剤の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましい。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシアクリレート(エポキシ化合物のアクリル酸付加物)又はウレタン−アクリレート(ウレタン化合物のアクリル酸付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的特性、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂の例としては、ビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂又はハロゲン原子を有するポリカーボネート樹脂が挙げられる。形成画像における白点の発生を抑制するためには、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂又はハロゲン原子を有するポリカーボネート樹脂が好ましい。
ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂は、下記一般式(3)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(3)と記載することがある)である。
Figure 0006551359
ハロゲン原子を有するポリカーボネート樹脂の例は、下記一般式(4)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(4)と記載することがある)である。
Figure 0006551359
一般式(4)中、R41、R42、R45及びR46は、各々独立に、第一基、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。第一基は、ハロゲン原子、ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基、ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数6以上14以下のアリール基からなる群から選択される基である。R41、R42、R45及びR46のうちの少なくとも1つは、第一基を表す。なお、第一基がハロゲン原子を有する基であることから、ポリカーボネート樹脂(4)はハロゲン原子を必須に有する。R43及びR44は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。Yは、炭素原子数5以上15以下のシクロアルキリデン基を表す。m及びnは、各々独立に、下記計算式(i)及び(ii)を満たす数を表す。
m+n=1.00 ・・・(i)
0.00<m≦1.00 ・・・(ii)
41、R42、R45及びR46が表わすハロゲン原子(ハロゲン基)としては、塩素原子(クロロ基)又はフッ素原子(フルオロ基)が好ましい。
41、R42、R45又はR46がハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す場合、炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基であることがより好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基が有するハロゲン原子は、クロロ基又はフルオロ基であることが好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基が有するハロゲン原子の数は、1つ以上3つ以下であることが好ましい。R41、R42、R45及びR46が表わすハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、ハロゲン原子を1つ以上3つ以下有する炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基がより好ましい。
41、R42、R45又はR46がハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す場合、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基が有するハロゲン原子は、クロロ基又はフルオロ基であることが好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基が有するハロゲン原子の数は、1つ以上3つ以下であることが好ましい。R41、R42、R45及びR46が表わすハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、ハロゲン原子を1つ以上3つ以下有する炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましい。
41、R42、R45又はR46がハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す場合、炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上14以下の芳香族単環炭化水素基が好ましく、フェニル基であることがより好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有するハロゲン原子は、クロロ基又はフルオロ基であることが好ましく、フルオロ基であることがより好ましい。炭素原子数6以上14以下のアリール基が有するハロゲン原子の数は、1つ以上3つ以下であることが好ましく、1つであることがより好ましい。R41、R42、R45及びR46が表わすハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、ハロゲン原子を1つ以上3つ以下有する炭素原子数6以上14以下のアリール基が好ましく、ハロゲン原子を1つ以上3つ以下有する炭素原子数6以上14以下の芳香族単環炭化水素基がより好ましく、フルオロフェニル基が更に好ましく、p(パラ)−フルオロフェニル基が特に好ましい。
41、R42、R45及びR46が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
41、R42、R45及びR46が表わす炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましい。
41、R42、R45及びR46が表わす炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上14以下の芳香族単環炭化水素基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
41及びR42の結合位置は、特に限定されない。R41は、フェニル基が結合する酸素原子に対して、フェニル基のオルト位又はパラ位に結合する。R42も、フェニル基が結合する酸素原子に対して、フェニル基のオルト位又はパラ位に結合する。R41及びR42の各々は、フェニル基が結合する酸素原子に対して、フェニル基のオルトに結合することが好ましい。
形成画像における白点の発生を抑制するためには、R41、R42、R45及びR46は、各々独立に、第一基、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、第一基は、ハロゲン原子、ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基及びハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数6以上14以下のアリール基からなる群から選択される基であり、R41、R42、R45及びR46のうちの少なくとも1つは、第一基を表すことが好ましい。
形成画像における白点の発生を抑制するための好適な例では、R41及びR42が各々水素原子を表し、R45及びR46の一方又は両方がハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基又はハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。
形成画像における白点の発生を抑制するための好適な別の例では、R41及びR42が各々ハロゲン原子を表し、R45及びR46が各々炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。
形成画像における白点の発生を抑制するためには、ポリカーボネート樹脂(4)が有するハロゲン原子の数が多いことが好ましい。ポリカーボネート樹脂(4)が有するハロゲン原子の数は、1つ以上6つ以下であることが好ましく、2つ以上6つ以下であることがより好ましく、6つであることが特に好ましい。
次に、一般式(4)中のR43及びR44について説明する。一般式(4)中、R43及びR44は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。
43及びR44が表わす炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、炭素原子数1以上3以下のアルキル基が好ましい。R43及びR44が表わす炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基が好ましい。R43及びR44が表わす炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、炭素原子数6以上10以下のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
43及びR44の結合位置は、特に限定されない。R43は、フェニル基が結合する酸素原子に対して、フェニル基のオルト位又はパラ位に結合する。R44も、フェニル基が結合する酸素原子に対して、フェニル基のオルト位又はパラ位に結合する。R43及びR44の各々は、フェニル基が結合する酸素原子に対して、フェニル基のオルトに結合することが好ましい。
形成画像における白点の発生を抑制するためには、R43及びR44は、各々、水素原子を表すことが好ましい。
次に、一般式(4)中のYについて説明する。一般式(4)中、Yは、炭素原子数5以上15以下のシクロアルキリデン基を表す。Yが表す炭素原子数5以上15以下のシクロアルキリデン基は、シクロアルカンを形成する炭素原子のうちの1つの炭素原子に2個の結合手が結合した二価の基である。炭素原子数5以上15以下のシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロオクチリデン基、シクロノニリデン基、シクロデシリデン基、シクロウンデシリデン基、シクロドデシリデン基、シクロトリデシリデン基、シクロテトラデシリデン基又はシクロペンタデシリデン基が挙げられる。炭素原子数5以上15以下のシクロアルキリデン基としては、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基が好ましく、シクロヘキシリデン基がより好ましい。
次に、一般式(4)中のm及びnについて説明する。ポリカーボネート樹脂(4)は、下記一般式(4a)で表される繰返し構造単位(以下、繰返し単位(4a)と記載することがある)と、一般式(4b)で表される繰返し構造単位(以下、繰返し単位(4b)と記載することがある)とから構成される。ポリカーボネート樹脂(4)は、繰り返し単位(4a)と繰り返し単位(4b)との共重合体である。なお、一般式(4a)中のR41、R42、R45及びR46は、各々一般式(4)中のR41、R42、R45及びR46と同義である。一般式(4b)中のR43、R44及びYは、各々一般式(4)中のR43、R44及びYと同義である。
Figure 0006551359
Figure 0006551359
一般式(4)中のmは、ポリカーボネート樹脂(4)における繰返し単位(4a)と繰返し単位(4b)との合計物質量(モル数)に対する、繰返し単位(4a)の物質量(モル数)の比率(モル分率)を表す。一般式(4)中のnは、樹脂(1)における繰返し単位(4a)と繰返し単位(4b)との合計物質量(モル数)に対する、繰返し単位(4b)の物質量(モル数)の比率(モル分率)を表す。ポリカーボネート樹脂(4)に含まれる全繰り返し単位の物質量(モル数)に対する、繰返し単位(4a)と繰返し単位(4b)との合計物質量(モル数)の比率は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
一般式(4)中、m及びnは、各々独立に、下記計算式(i)及び(ii)を満たす数を表す。mは0.00より大きい数を表す。mは0.00ではないため、ポリカーボネート樹脂(4)は、繰り返し単位(4a)を必須に有する。一方、ポリカーボネート樹脂(4)は、繰り返し単位(4b)を有していてもよいし、有していなくてもよい。例えば、mが1.00であるとき、nは0.00である。mが1.00であるとき、ポリカーボネート樹脂(4)は、繰り返し単位(4a)のみを有し、繰り返し単位(4b)を有していない。
m+n=1.00 ・・・(i)
0.0<m≦1.00 ・・・(ii)
計算式(ii)は、0.20≦m≦0.80であることが好ましく、0.30≦m≦0.70であることがより好ましく、0.40≦m≦0.60であることが特に好ましい。mが0.20以上であると、形成画像における白点の発生を抑制し易くなる。mが0.80以下であると、感光層用塗布液に含まれる溶剤に対するポリカーボネート樹脂(4)の溶解性を向上できると考えられる。
ポリカーボネート樹脂(4)は、繰返し単位(4a)と繰返し単位(4b)とがランダムに共重合したランダム共重合体であってもよい。或いは、ポリカーボネート樹脂(4)は、繰返し単位(4a)と繰返し単位(4b)とが交互に共重合した交互共重合体であってもよい。或いは、ポリカーボネート樹脂(4)は、1以上の繰返し単位(4a)と、1以上の繰返し単位(4b)とが周期的に共重合した周期的共重合体であってもよい。或いは、ポリカーボネート樹脂(4)は、複数の繰返し単位(4a)からなるブロックと、複数の繰返し単位(4b)からなるブロックとが共重合したブロック共重合体であってもよい。
ポリカーボネート樹脂(4)の好適な例は、下記一般式(4−1)、(4−3)又は(4−4)で表されるポリカーボネート樹脂、或いは下記化学式(4−2)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂である。以下、一般式式(4−1)、(4−3)及び(4−4)で表されるポリカーボネート樹脂の各々を、ポリカーボネート樹脂(4−1)、(4−3)及び(4−4)と記載することがある。化学式(4−2)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂を、ポリカーボネート樹脂(4−2)と記載することがある。
Figure 0006551359
一般式(4−1)中、m1+n1=1.00であり、0.20≦m1≦0.80である。0.30≦m1≦0.70であることが好ましく、0.40≦m1≦0.60であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂(4−1)の好適な例は、化学式(4−1−1)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(4−1−1)と記載することがある)である。
Figure 0006551359
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ポリカーボネート樹脂(4−2)においては、一般式(4)中のmが1.00であり、nが0.00である。
Figure 0006551359
一般式(4−3)中、m3+n3=1.00であり、0.20≦m3≦0.80である。0.30≦m3≦0.70であることが好ましく、0.40≦m3≦0.60であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂(4−3)の好適な例は、化学式(4−3−1)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(4−3−1)と記載することがある)である。
Figure 0006551359
Figure 0006551359
一般式(4−4)中、m4+n4=1.00であり、0.20≦m4≦0.80である。0.30≦m4≦0.70であることが好ましく、0.40≦m4≦0.60であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂(4−4)の好適な例は、化学式(4−4−1)で表されるポリカーボネート樹脂(以下、ポリカーボネート樹脂(4−4−1)と記載することがある)である。
Figure 0006551359
ポリカーボネート樹脂(4)の粘度平均分子量は、25,000以上であることが好ましく、25,000以上52,500以下であることがより好ましい。ポリカーボネート樹脂(4)の粘度平均分子量が25,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。ポリカーボネート樹脂(4)の粘度平均分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にポリカーボネート樹脂(4)が溶剤に溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
ポリカーボネート樹脂(4)の製造方法は、ポリカーボネート樹脂(4)を製造できれば、特に限定されない。ポリカーボネート樹脂(4)の製造方法の一例として、ポリカーボネート樹脂(4)の繰返し単位を構成するためのジオール化合物とホスゲンとを縮重合させる方法(いわゆる、ホスゲン法)が挙げられる。より具体的には、例えば、下記一般式(4c)で表されるジオール化合物と、下記一般式(4d)で表されるジオール化合物と、ホスゲンとを、縮重合させる方法が挙げられる。なお、一般式(4c)中のR41、R42、R45及びR46は、各々一般式(4)中のR41、R42、R45及びR46と同義である。一般式(4d)中のR43、R44及びYは、各々一般式(4)中のR43、R44及びYと同義である。ポリカーボネート樹脂(4)の製造方法の別の例として、ジオール化合物とジフェニルカーボネートとをエステル交換反応させる方法も挙げられる。
Figure 0006551359
Figure 0006551359
ポリカーボネート樹脂(3)又は(4)の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂の質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
(添加剤)
添加剤としては、例えば、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、1重項消光剤又は紫外線吸収剤)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤又はレベリング剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール(例えば、ジ(tert−ブチル)p−クレゾール)、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン若しくはこれらの誘導体、有機硫黄化合物又は有機燐化合物が挙げられる。
<導電性基体>
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体の一例としては、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼又は真鍮が挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて(例えば、合金として)用いてもよい。これらの導電性を有する材料のなかでも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
<中間層>
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び中間層に用いられる樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(例えば、アルミニウム、鉄又は銅)、金属酸化物(例えば、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ又は酸化亜鉛)の粒子又は非金属酸化物(例えば、シリカ)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、添加剤を含有してもよい。中間層に含有される添加剤の例は、感光層に含有される添加剤の例と同じである。
<感光体の製造方法>
感光体は、例えば、以下のように製造される。感光体は、感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。感光層用塗布液は、電荷発生剤、電子輸送剤、バインダー樹脂及び必要に応じて添加される成分(例えば、正孔輸送剤及び添加剤)を、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
感光層用塗布液に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤の例としては、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール)、脂肪族炭化水素(例えば、n−ヘキサン、オクタン又はシクロヘキサン)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン又はキシレン)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素又はクロロベンゼン)、エーテル類(例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン又はシクロヘキサノン)、エステル類(例えば、酢酸エチル又は酢酸メチル)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー又は超音波分散機を用いることができる。
感光層用塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
感光層用塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法又はバーコート法が挙げられる。
感光層用塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
<画像形成装置>
次に、図3を参照して、本実施形態に係る感光体100を備える画像形成装置110について説明する。図3に画像形成装置110の構成の一例を示す。
画像形成装置110は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置110は例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置110がカラー画像形成装置である場合、画像形成装置110は、例えばタンデム方式を採用する。以下、タンデム方式の画像形成装置110を例に挙げて説明する。
画像形成装置110は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部52とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。なお、画像形成装置110がモノクロ画像形成装置である場合には、画像形成装置110は、画像形成ユニット40aを備え、画像形成ユニット40b〜40dは省略される。
画像形成ユニット40は、感光体100と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。画像形成ユニット40の中央位置に、感光体100が設けられる。感光体100は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。感光体100の周囲には、帯電部42を基準として感光体100の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48が設けられる。なお、画像形成ユニット40には、クリーニング部(不図示)及び除電部(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。
帯電部42は感光体100の表面(例えば、周面)を正極性に帯電する。本実施形態の感光体100と記録媒体Pとが接触して摩擦される場合に、記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)は所望の値以上の正極性に帯電する傾向がある。帯電部42によって感光体100の表面が正極性に帯電されると、感光体100の表面と、正極性に摩擦帯電される記録媒体Pの微小成分とが、電気的に反発する。その結果、記録媒体Pの微小成分が感光体100の表面に付着し難く、形成画像における白点の発生を好適に抑制することができる。
帯電部42は、非接触方式又は接触方式である。非接触方式の帯電部42の例は、コロトロン帯電器又はスコロトロン帯電器である。接触方式の帯電部42の例は、帯電ローラー又は帯電ブラシである。
露光部44は、帯電された感光体100の表面を露光する。これにより、感光体100の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置110に入力された画像データに基づいて形成される。
現像部46は、感光体100に形成された静電潜像にトナーを供給する。これにより、静電潜像がトナー像として現像される。感光体100は、トナー像を担持する像担持体に相当する。トナーは、一成分現像剤として用いられてもよい。或いは、トナーと所望のキャリアとを混合して、トナーを二成分現像剤において用いてもよい。トナーが一成分現像剤として用いられる場合、現像部46は、感光体100に形成された静電潜像に一成分現像剤であるトナーを供給する。トナーが二成分現像剤において用いられる場合、現像部46は、感光体100に形成された静電潜像に、二成分現像剤に含まれるトナーとキャリアとのうちトナーを供給する。
転写ベルト50は、感光体100と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、感光体100から被転写体へ転写する。転写部48は、例えば転写ローラーである。
画像形成装置110が直接転写方式を採用する場合、被転写体は、記録媒体Pに相当する。画像形成装置110が直接転写方式を採用する場合、転写部48が感光体100から記録媒体Pにトナー像を転写するときに、感光体100は記録媒体Pと接触している。直接転写方式を採用する画像形成装置110においては、感光体100と記録媒体Pとが接触するために、感光体100の表面に記録媒体Pの微小成分(例えば、紙粉)が付着し易い。しかし、既に述べたように、本実施形態の感光体100によれば、記録媒体Pの微小成分が感光体100の表面に付着することを抑制することができる。その結果、形成画像における白点の発生を好適に抑制することができる。
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。
定着部52は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部52は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。以上、図3を参照して、本実施形態に係る感光体100を備える画像形成装置110について説明した。
<プロセスカートリッジ>
次に、図3を引き続き参照して、本実施形態の感光体100を備えるプロセスカートリッジについて説明する。プロセスカートリッジは、画像形成用のカートリッジである。プロセスカートリッジは、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジは、感光体100を備える。プロセスカートリッジは、感光体100に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46及び転写部48からなる群より選択される少なくとも1つを更に備えていてもよい。プロセスカートリッジには、クリーニング装置(不図示)及び除電器(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置110に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、感光体100の感度特性等が劣化した場合に、感光体100を含めて容易かつ迅速に交換することができる。以上、図3を参照して、本実施形態に係る感光体100を備えるプロセスカートリッジについて説明した。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<感光体を形成するための材料>
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤及びバインダー樹脂を準備した。
(電荷発生剤)
電荷発生剤として、Y型チタニルフタロシアニン及びX型無金属フタロシアニンを準備した。Y型チタニルフタロシアニンは、実施形態で述べた化学式(CGM1)で表され、Y型の結晶構造を有するチタニルフタロシアニンであった。X型無金属フタロシアニンは、実施形態で述べた化学式(CGM2)で表され、X型の結晶構造を有する無金属フタロシアニンであった。
(正孔輸送剤)
正孔輸送剤として、実施形態で述べた化合物(2−1)を準備した。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂として、実施形態で述べたポリカーボネート樹脂(3)、(4−1−1)、(4−2)、(4−3−1)及び(4−4−1)を準備した。ポリカーボネート樹脂(3)の粘度平均分子量は、30000であった。ポリカーボネート樹脂(4−1−1)、(4−2)、(4−3−1)及び(4−4−1)の粘度平均分子量は、各々、50000であった。
(電子輸送剤)
電子輸送剤として、実施形態で述べた化合物(1−1)〜(1−4)を準備した。化合物(1−1)〜(1−4)の各々は、以下の方法で合成した。
(化合物(1−1)の合成)
反応(r−1)において、化学式(A−1)で表される化合物(以下、化合物(A−1)と記載する)と化学式(B−1)で表される化合物(以下、化合物(B−1)と記載する)とを反応させて、化合物(1−1)を得た。詳しくは、化合物(A−1)(3.14g、10mmol)及び化合物(B−1)(1.70g、10mmol)を酢酸(50mL)に溶解させて、酢酸溶液を得た。酢酸溶液を120℃で4時間攪拌した。4時間攪拌した後、酢酸溶液に水を加えて混合物を得た。クロロホルムを用いて混合物を抽出し、有機層を得た。有機層を減圧してクロロホルムを留去し、残渣を得た。展開溶媒としてのクロロホルムを用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、残渣を精製した。その結果、化合物(1−1)が得られた。化合物(1−1)の収量は、2.79gであった。化合物(A−1)からの化合物(1−1)の収率は、60mol%であった。
Figure 0006551359
(化合物(1−2)〜(1−4)の合成)
化合物(B−1)(1.70g、10mmol)を化合物(B−2)(1.62g、10mmol)に変更した以外は、化合物(1−1)の合成と同じ方法で、化合物(1−2)を合成した。化合物(B−1)(1.70g、10mmol)を化合物(B−3)(1.96g、10mmol)に変更した以外は、化合物(1−1)の合成と同じ方法で、化合物(1−3)を合成した。化合物(B−1)(1.70g、10mmol)を化合物(B−4)(2.31g、10mmol)に変更した以外は、化合物(1−1)の合成と同じ方法で、化合物(1−4)を合成した。なお、化合物(B−2)〜(B−4)の各々は、下記化学式(B−2)〜(B−4)で表される。
Figure 0006551359
表1の第一化合物の欄に、反応(r−1)で添加した化合物(A−1)の質量及び物質量を示す。表1の第二化合物の欄に、反応(r−1)で添加した化合物(B−1)〜(B−4)の各々の質量及び物質量を示す。表1の反応生成物の欄に、反応(r−1)で得られた化合物(1−1)〜(1−4)の各々の収量及び収率を示す。
Figure 0006551359
次に、1H−NMR(プロトン核磁気共鳴分光計)を用いて、化合物(1−1)〜(1−4)の1H−NMRスペクトルを測定した。磁場強度は300MHzに設定した。溶媒として、重水素化クロロホルム(CDCl3)を使用した。内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を使用した。
化合物(1−1)〜(1−4)のうちの代表例として、化合物(1−1)の1H−NMRスペクトルを、図4に示す。化合物(1−1)の1H−NMRスペクトルの化学シフト値を以下に示す。測定された1H−NMRスペクトル及び化学シフト値から、化合物(1−1)が得られていることを確認した。化合物(1−2)〜(1−4)についても、測定された1H−NMRスペクトル及び化学シフト値から、化合物(1−2)〜(1−4)の各々が得られていることを確認した。
化合物(1−1):1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ=8.43−8.52(m, 2H), 8.36(d, 1H), 7.88−7.96(m, 2H), 7.64(t, 1H), 7.34(t, 1H), 7.11−7.24(m, 2H), 6.72(d, 1H), 2.32−2.56(m, 2H), 2.04(s, 3H), 1.06(t, 3H).
電子輸送剤として、下記化学式(E−1)〜(E−2)で表される化合物も準備した。以下、化学式(E−1)〜(E−2)で表される化合物の各々を、化合物(E−1)〜(E−2)と記載する。
Figure 0006551359
Figure 0006551359
<感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(P−A1)〜(P−A16)及び(P−B1)〜(P−B4)を製造した。
(感光体(P−A1)の製造)
容器内に、電荷発生剤としてのX型無金属フタロシアニン2質量部、正孔輸送剤としての化合物(2−1)50質量部、電子輸送剤としての化合物(1−1)30質量部、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(3)100質量部及び溶剤としてのテトラヒドロフラン600質量部を投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて12時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。感光層用塗布液を、導電性基体(アルミニウム製のドラム状支持体、直径30mm、全長238.5mm)上に、ブレードコート法を用いて塗布した。塗布した感光層用塗布液を、120℃で80分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、感光層(膜厚30μm)を形成した。その結果、感光体(P−A1)が得られた。
(感光体(P−A2)〜(P−A16)及び(P−B1)〜(P−B4)の製造)
下記(1)〜(3)の点を変更した以外は、感光体(P−A1)の製造と同じ方法で、感光体(P−A2)〜(P−A16)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々を製造した。
(1)感光体(P−A1)の製造では電荷発生剤としてX型無金属フタロシアニンを使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A16)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表2に示す種類の電荷発生剤を使用した。
(2)感光体(P−A1)の製造では電子輸送剤として化合物(1−1)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A16)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表2に示す種類の電子輸送剤を使用した。
(3)感光体(P−A1)の製造ではバインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(3)を使用したが、感光体(P−A2)〜(P−A16)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造では表2に示す種類のバインダー樹脂を使用した。
<炭酸カルシウム帯電量の測定>
感光体(P−A1)〜(P−A16)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々に対して、炭酸カルシウム帯電量を測定した。
以下、図2を再び参照して、感光層102と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量を測定する方法を説明する。炭酸カルシウムの帯電量は、下記の第一ステップ、第二ステップ、第三ステップ及び第四ステップを行うことにより測定した。炭酸カルシウムの帯電量の測定には、治具10を使用した。
治具10は、第一台12と、回転シャフト14と、回転駆動部16(例えば、モーター)と、第二台18とを備えている。回転駆動部16は、回転シャフト14を回転させる。回転シャフト14は、回転シャフト14の回転軸Sを中心に回転する。第一台12は、回転シャフト14と一体になって、回転軸Sを中心に回転する。第二台18は、回転することなく固定されている。
(第一ステップ)
第一ステップでは、感光層102を2個準備した。以下、感光層102の一方を第一感光層102aと、感光層102の他方を第二感光層102bと記載する。まず、膜厚L1が30μmである第一感光層102aを備える第一フィルム20を準備した。また、膜厚L2が30μmである第二感光層102bを備える第二フィルム22を準備した。詳しくは、第一フィルム20及び第二フィルム22として、オーバーヘッドプロジェクタ(OHP)フィルムを使用した。第一フィルム20及び第二フィルム22の大きさは、各々、直径3cmの円形状であった。第一フィルム20及び第二フィルム22の各々の上に、感光体(P−1)の製造に使用した感光層用塗布液を塗布した。塗布した感光層用塗布液を、120℃で80分間熱風乾燥させた。その結果、第一感光層102aを備える第一フィルム20、及び第二感光層102bを備える第二フィルム22が得られた。
(第二ステップ)
第二ステップでは、0.007gの炭酸カルシウムを、第一感光層102a上に載せた。これにより、炭酸カルシウムから構成される炭酸カルシウム層24を、第一感光層102a上に形成した。そして、炭酸カルシウム層24上に第二感光層102bを載せた。第二ステップの具体的な手順は以下の通りであった。
まず、第一フィルム20を、両面テープを用いて第一台12に固定した。第一フィルム20が備える第一感光層102a上に、0.007gの炭酸カルシウムを載せた。これにより、炭酸カルシウムから構成される炭酸カルシウム層24を第一感光層102a上に形成した。炭酸カルシウム層24が第二感光層102bと接触するように、両面テープを用いて第二フィルム22を第二台18に固定した。これにより、下から順に、第一台12、第一フィルム20、第一感光層102a、炭酸カルシウム層24、第二感光層102b、第二フィルム22及び第二台18が配置された。第一台12、第一フィルム20、第一感光層102a、第二感光層102b、第二フィルム22及び第二台18の各中心が、回転軸Sを通るように配置された。
(第三ステップ)
第三ステップでは、温度23℃且つ相対湿度50%RHの環境下で、第二感光層102bを固定したまま、回転速度60rpmで60秒間第一感光層102aを回転させた。具体的には、回転駆動部16を駆動させて、回転シャフト14、第一台12、第一フィルム20及び第一感光層102aを、回転速度60rpmで60秒間、回転軸Sを中心に回転させた。これにより、炭酸カルシウム層24に含まれる炭酸カルシウムが第一感光層102aと第二感光層102bとの間で摩擦され、炭酸カルシウムが帯電した。
(第四ステップ)
第四ステップでは、第三ステップで帯電させた炭酸カルシウムを治具10から取出し、帯電量測定装置(吸引式小型帯電量測定装置、トレック社製「MODEL 212HS」)を用いて吸引した。吸引された炭酸カルシウムの総電気量Q(単位:+μC)と質量M(単位:g)とを、帯電量測定装置を用いて測定した。計算式「帯電量=Q/M」から、炭酸カルシウムの帯電量(摩擦帯電量、単位:+μC/g)を算出した。
以上、図2を参照して、感光層102と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量を測定する方法を説明した。感光体(P−A2)〜(P−A16)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の炭酸カルシウムの帯電量は、次の点を変更した以外は、感光体(P−A1)の炭酸カルシウムの帯電量の測定と同じ方法で測定した。第一ステップにおいて、感光体(P−A1)の製造に使用した感光層用塗布液の代わりに、感光体(P−A2)〜(P−A16)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々の製造に使用した感光層用塗布液を使用した。
感光体(P−A1)〜(P−A16)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々について、算出された炭酸カルシウムの帯電量を表2に示す。なお、炭酸カルシウムの帯電量が大きい正の値であるほど、第一感光層及び第二感光層に対して炭酸カルシウムが正帯電し易いことを示す。
<電気特性の評価>
感光体(P−A1)〜(P−A16)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々に対して、電気特性を評価した。電気特性の評価は、温度23℃及び相対湿度50%RHの環境下で行った。まず、ドラム感度試験機(ジェンテック株式会社製)を用いて、感光体の表面を+600Vに帯電させた。次いで、バンドパスフィルターを用いて、ハロゲンランプの白色光から単色光(波長780nm、半値幅20nm、光エネルギー1.5μJ/cm2)を取り出した。取り出された単色光を、感光体の表面に照射した。照射が終了してから0.5秒経過した時の感光体の表面電位を測定した。測定された表面電位を、感度電位(VL、単位:+V)とした。測定された感光体の感度電位(VL)を、表2に示す。なお、感度電位(VL)が小さい正の値であるほど、感光体の電気特性が優れていることを示す。
<画像特性の評価>
感光体(P−A1)〜(P−A16)及び(P−B1)〜(P−B4)の各々に対して、画像特性を評価した。画像特性の評価は、温度32.5℃、相対湿度80%RHの環境下で行った。評価機として、画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「モノクロプリンターFS−1300D」)を用いた。この画像形成装置は、非接触現像方式、直接転写方式及びブレードクリーニング方式を採用する。この画像形成装置では、帯電部としてスコロトロン帯電器が備えられている。記録媒体として、京セラドキュメントソリューションズ株式会社販売「京セラドキュメントソリューションズブランド紙VM−A4」(A4サイズ)を使用した。評価機による評価には、一成分現像剤(試作品)を使用した。
評価機を用いて、感光体の回転速度168mm/秒の条件で、20000枚の記録媒体に画像I(印字率1%の画像)を連続して印刷した。続いて、1枚の記録媒体に画像II(A4サイズの黒色ソリッド画像)を印刷した。画像IIが形成された記録媒体を肉眼で観察し、画像II内に現れる白点の個数を数えた。感光体に記録媒体の微小成分(例えば、紙粉)が付着するほど、画像II内の白点の個数が増加する傾向がある。画像II内に現れる白点の個数を、表2に示す。
表2中、CGM、HTM、ETM、樹脂及びVLは、各々、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダー樹脂及び感度電位を示す。表2中、X−H2Pc及びY−TiOPcは、各々、X型無金属フタロシアニン及びY型チタニルフタロシアニンを表す。
Figure 0006551359
感光体(P−A1)〜(P−A16)は、導電性基体と単層の感光層とを備えていた。感光層は、電荷発生剤と電子輸送剤とバインダー樹脂とを含有していた。電子輸送剤は、化合物(1)を含んでいた。具体的には、感光層は電子輸送剤として化合物(1−1)〜(1−4)の何れかを含有していた。感光層と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量は、+7.0μC/g以上であった。そのため、表2から明らかなように、感光体(P−A1)〜(P−A16)では、形成画像における白点の個数が少なく、白点の発生が抑制されていた。また、これらの感光体では、感光体の電気特性を損なうことなく、形成画像における白点の発生を抑制することができた。
一方、感光体(P−B1)〜(P−B4)の感光層は、化合物(1)を含有していなかった。感光体の(P−B1)及び(P−B2)の感光層は、化合物(E−1)を含有していたが、化合物(E−1)は一般式(1)で表される化合物ではなかった。詳しくは、化合物(E−1)については、一般式(1)中の複数のR1のうちの少なくとも1つがハロゲン原子を表していなかった。感光体の(P−B3)及び(P−B4)の感光層は、化合物(E−2)を含有していたが、化合物(E−2)は一般式(1)で表される化合物ではなかった。
更に、感光体(P−B1)〜(P−B4)においては、感光層と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの炭酸カルシウムの帯電量が+7.0μC/g未満であった。これらのことから、表2から明らかなように、感光体(P−B1)〜(P−B4)では、形成画像における白点の個数が多く、形成画像における白点の発生を抑制することができなかった。
以上のことから、本発明に係る感光体は、形成画像における白点の発生を抑制することが示された。また、本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、形成画像における白点の発生を抑制することが示された。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することがきる。本発明に係るプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、記録媒体に画像を形成するために利用することができる。
42 帯電部
44 露光部
46 現像部
48 転写部
100 電子写真感光体
101 導電性基体
102 感光層
110 画像形成装置
P 記録媒体

Claims (10)

  1. 導電性基体と単層の感光層とを備える電子写真感光体であって、
    前記感光層は、電荷発生剤と電子輸送剤とバインダー樹脂とを含有し、
    前記電子輸送剤は、下記一般式(1)で表される化合物を含み、
    前記感光層と炭酸カルシウムとを摩擦させたときの前記炭酸カルシウムの帯電量は、+7.0μC/g以上である、電子写真感光体。
    Figure 0006551359
    前記一般式(1)中、
    pは、2以上5以下の整数を表し、
    複数のR1は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数2以上11以下のアシル基を表し、
    複数のR1のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子を表す。
  2. 前記一般式(1)中、
    pは、2又は3を表し、
    複数のR1は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基又は炭素原子数2以上11以下のアシル基を表し、
    複数のR1のうちの少なくとも1つは、ハロゲン原子を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記一般式(1)中、
    pは、2を表し、
    2つのR1のうちの一方はハロゲン原子を表し、他方は炭素原子数2以上11以下のアシル基を表す、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記一般式(1)で表される化合物は、下記化学式(1−1)、(1−2)、(1−3)又は(1−4)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006551359
    Figure 0006551359
    Figure 0006551359
    Figure 0006551359
  5. 前記一般式(1)で表される化合物は、下記化学式(1−4)で表される化合物である、請求項1〜4の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006551359
  6. 前記バインダー樹脂は、下記一般式(4)で表されるポリカーボネート樹脂を含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006551359
    前記一般式(4)中、
    41、R42、R45及びR46は、各々独立に、第一基、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    前記第一基は、ハロゲン原子、ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基、ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基及びハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数6以上14以下のアリール基からなる群から選択される基であり、
    41、R42、R45及びR46のうちの少なくとも1つは、前記第一基を表し、
    43及びR44は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    Yは、炭素原子数5以上15以下のシクロアルキリデン基を表し、
    m及びnは、各々独立に、下記計算式(i)及び(ii)を満たす数を表す。
    m+n=1.00 ・・・(i)
    0.00<m≦1.00 ・・・(ii)
  7. 前記一般式(4)中、
    41、R42、R45及びR46は、各々独立に、前記第一基、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    前記第一基は、ハロゲン原子、ハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数1以上6以下のアルキル基及びハロゲン原子を1つ以上有する炭素原子数6以上14以下のアリール基からなる群から選択される基であり、
    41、R42、R45及びR46のうちの少なくとも1つは、前記第一基を表し、
    43及びR44は、各々、水素原子を表し、
    Yは、炭素原子数5以上7以下のシクロアルキリデン基を表す、請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1〜7の何れか一項に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
  9. 請求項1〜7の何れか一項に記載の電子写真感光体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える画像形成装置であって、
    前記帯電部は、前記電子写真感光体の表面を正極性に帯電し、
    前記露光部は、帯電された前記電子写真感光体の前記表面を露光して、前記電子写真感光体の前記表面に静電潜像を形成し、
    前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像し、
    前記転写部は、前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写体へ転写する、画像形成装置。
  10. 前記被転写体は、記録媒体であり、
    前記転写部が前記トナー像を前記電子写真感光体から前記記録媒体へ転写するときに、前記電子写真感光体は前記記録媒体と接触している、請求項9に記載の画像形成装置。
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