JP6528735B2 - 電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、画像形成装置、及びプロセスカートリッジに関する。
電子写真感光体は、電子写真方式の画像形成装置に用いられる。電子写真感光体としては、例えば、単層型電子写真感光体が用いられる。電子写真感光体は、感光層を備える。単層型電子写真感光体は、感光層として、電荷発生の機能と電荷輸送の機能とを有する単層型感光層を備える。
特許文献1に記載の電子写真感光体が備える感光層は、例えば、下記化学式(HTM−2)で表される化合物を含有する。
Figure 0006528735
特開2006−008670号公報
しかし、特許文献1に記載の電子写真感光体では、転写メモリーの発生を十分に抑制することができなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、転写メモリーの発生を抑制する電子写真感光体を提供することである。また、本発明の別の目的は、転写メモリーの発生に起因する画像不良の発生を抑制する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体と、感光層とを備える。前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを含有する。前記感光層は、単層型感光層である。前記正孔輸送剤は、2種類以上の化合物を含む。2種類以上の前記化合物の一方は、一般式(1)で表されるジアミン誘導体である。前記正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルの差の絶対値の最大値が0.20eV以上である。
Figure 0006528735
前記一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。mは1以上3以下の整数を表す。nは0以上2以下の整数を表す。
本発明の画像形成装置は、像担持体と、帯電部と、露光部と、現像部と、転写部とを備える。前記帯電部は、前記像担持体の表面を帯電する。前記露光部は、帯電した前記像担持体の前記表面を露光して静電潜像を形成する。前記現像部は、前記静電潜像をトナー像として現像する。前記転写部は、前記像担持体の前記表面から転写体に前記トナー像を転写する。前記像担持体は、上述の電子写真感光体である。前記帯電部の帯電極性が正極性である。前記帯電部は、前記像担持体の前記表面を接触しながら直流電圧を印加して前記像担持体の前記表面を帯電する。
本発明のプロセスカートリッジは、上述の電子写真感光体を備える。
本発明の電子写真感光体によれば、転写メモリーの発生を抑制することができる。また、本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジによれば、転写メモリーの発生に起因する画像不良を抑制することができる。
(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、本発明の第一実施形態に係る電子写真感光体の一例を示す概略断面図である。 本発明の第二実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。 画像ゴーストが発生した画像を示す図である。 評価用画像を示す図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明は、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。また、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、及び炭素原子数6以上14以下のアリール基は、何ら規定していなければ、それぞれ次の意味である。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、又はヘキシル基が挙げられる。
炭素原子数1以上3以下のアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上3以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、又はイソプロピル基が挙げられる。
炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基としては、例えば、が挙げられる。メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、又はヘキシルオキシ基が挙げられる。
炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基は、直鎖状又は分岐状で非置換である。炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、又はイソプロポキシ基が挙げられる。
炭素原子数6以上14以下のアリール基は、例えば、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族単環炭化水素基、炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合二環炭化水素基又は炭素原子数6以上14以下の非置換の芳香族縮合三環炭化水素基である。炭素原子数6以上14以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、又はフェナントリル基が挙げられる。
<第一実施形態:電子写真感光体>
第一実施形態は、電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)に関する。以下、図1を参照して、感光体の構造について説明する。図1は、本実施形態に係る感光体1の一例を示す概略断面図である。
図1(a)に示すように、感光体1は、導電性基体2と、感光層3として単層型感光層3cを備える。単層型感光層3cは、一層である。図1(b)に示すように、感光体1は、導電性基体2と、単層型感光層3cと、中間層(下引き層)4とを備えてもよい。中間層4は、導電性基体2と単層型感光層3cとの間に設けられる。また、図1(c)に示すように、単層型感光層3c上に保護層5が設けられてもよい。
単層型感光層3cの厚さは、単層型感光層としての機能を十分に発現できる限り、特に限定されない。単層型感光層3cの厚さは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
第一実施形態に係る感光体1は、正孔輸送剤として2種以上の化合物を含む。2種以上の化合物のうちの一方は、一般式(1)で表されるジアミン誘導体(以下、ジアミン誘導体(1)と記載することがある)である。正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルの差の絶対値の最大値は、0.20eV以上である。第一実施形態に係る感光体1は、このような構成を有するため、転写メモリーの発生を抑制する。その理由は、以下のように推測される。
便宜上、はじめに転写メモリーについて説明する。電子写真方式の画像形成では、例えば、以下の1)〜5)の工程を含む画像形成プロセスが実施される。ここで、反転現像方式及び正極性の帯電極性である画像形成装置を例に挙げて説明する。
1)感光体の表面を帯電する帯電工程、
2)感光体の表面に静電潜像を形成する露光工程、
3)静電潜像をトナー像として現像する現像工程、
4)形成されたトナー像を、感光体から記録媒体へ転写する転写工程、及び
5)記録媒体に転写されたトナー像を定着する工程。
しかし、このような画像形成プロセスでは、感光体を回転させて使用するため、転写工程に起因する転写メモリーが発生する場合がある。具体的には、以下の通りである。帯電工程において、感光体の表面は、一様に一定の正極性の電位まで帯電される。続いて、露光工程及び現像工程を経て、転写工程において、帯電とは逆極性(負極性)の転写バイアスが、記録媒体を介して、感光体に印加される。印加された転写バイアスの影響により、感光体表面の非露光領域(非画像領域)の電位が大きく低下し、低下した状態が保持されることがある。この電位低下の影響を受け、非露光領域は、次の周の帯電工程において、所望の正極性の電位まで帯電されにくい。一方、露光領域(画像領域)の電位は、転写バイアスが印加された状態であっても、露光領域にトナーが付着しているため、感光体表面に直接印加されにくく、低下しにくい。このため、露光領域は、次の周の帯電工程において、所望の正極性の電位まで帯電され易い。その結果、露光領域と非露光領域とで帯電電位が異なり、像担持体の表面を一様に一定の正極性の電位まで帯電させることが困難となる場合がある。このように感光体の前周の画像形成プロセスにおける転写の影響を引きずって非露光領域の帯電能が低下し電位差を生じる現象を、転写メモリーという。
既に述べたように、第一実施形態に係る感光体1は、正孔輸送剤として2種以上の化合物を含む。2種以上の化合物のうちの一方は、ジアミン誘導体(1)である。正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルの差の絶対値の最大値は、0.20eV以上である。第一実施形態に係る感光体1はこのような構成を有するため、感光層中での非露光領域の残留電荷と露光領域の残留電荷とを均一化する傾向にある。よって、第一実施形態に係る感光体1は転写メモリーの発生を抑制すると考えられる。なお、上記説明では、直接転写方式を採用する画像形成装置を例に挙げている。中間転写方式を採用する画像形成装置においても同様に、第一実施形態に係る感光体1は、転写メモリーの発生を抑制できる。
以上、図1を参照して、感光体1の構造について説明した。
感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、バインダー樹脂と、電子輸送剤とを含有する。感光層は、添加剤を更に含有してもよい。以下、感光体の要素として導電性基体、電子輸送剤、正孔輸送剤、電荷発生剤、バインダー樹脂、添加剤、及び中間層を説明する。また、感光体の製造方法も説明する。
[1.導電性基体]
導電性基体は、感光体の導電性基体として用いることができる限り、特に限定されない。導電性基体は、少なくとも表面部が導電性を有する材料で形成されていればよい。導電性基体としては、例えば、導電性を有する材料で形成される導電性基体が挙げられる。導電性基体の別の例としては、導電性を有する材料で被覆される導電性基体が挙げられる。導電性を有する材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、又はインジウムが挙げられる。これらの導電性を有する材料を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の組合せとしては、例えば、合金(より具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又は真鍮等)が挙げられる。これらの導電性を有する材料の中でも、感光層から導電性基体への電荷の移動が良好であることから、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
導電性基体の形状は、画像形成装置の構造に合わせて適宜選択される。導電性基体の形状としては、例えば、シート状又はドラム状が挙げられる。また、導電性基体の厚さは、導電性基体の形状に応じて適宜選択される。
[2.電子輸送剤]
電子輸送剤としては、例えば、キノン系化合物、ジイミド系化合物、ヒドラゾン系化合物、マロノニトリル系化合物、チオピラン系化合物、トリニトロチオキサントン系化合物、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン系化合物、ジニトロアントラセン系化合物、ジニトロアクリジン系化合物、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアクリジン、無水コハク酸、無水マレイン酸、又はジブロモ無水マレイン酸が挙げられる。キノン系化合物としては、例えば、ジフェノキノン系化合物、アゾキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、ニトロアントラキノン系化合物、又はジニトロアントラキノン系化合物が挙げられる。これらの電子輸送剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの電子輸送剤のうち、一般式(HTM1)、一般式(HTM2)、又は一般式(HTM5)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006528735
一般式(ETM1)中、R1及びR2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、2−メチル−2−ブチル基を表すことが好ましい。
Figure 0006528735
一般式(ETM2)中、R3は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有してもよい炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基を表し、フェニルメトキシ基を表すことが好ましい。
Figure 0006528735
一般式(ETM5)中、R4及びR5は、各々独立に、1又は複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、エチルメチルフェニル基を表すことが好ましい。
一般式(ETM1)で表される化合物としては、例えば、化学式(ETM−1)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM−1)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006528735
一般式(ETM2)で表される化合物としては、例えば、化学式(ETM−2)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM−2)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006528735
一般式(ETM5)で表される化合物としては、例えば、化学式(ETM−5)で表される化合物(以下、電子輸送剤(ETM−5)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006528735
電子輸送剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上75質量部以下であることが特に好ましい。
[3.正孔輸送剤]
正孔輸送剤は、2種以上の化合物を含む。2種以上の化合物の一方は、ジアミン誘導体(1)である。ジアミン誘導体(1)は、一般式(1)で表される。
Figure 0006528735
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。mは1以上3以下の整数を表す。nは0以上2以下の整数を表す。
一般式(1)中、R1〜R10が表す炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基の置換位置は、窒素原子との結合に対してベンゼン環のオルト位(o位)、メタ位(m位)、又はパラ位(p位)が挙げられ、オルト位又はパラ位が好ましい。炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。置換基の数は、特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
一般式(1)中、R1〜R10が表す炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。置換基の数は、特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
一般式(1)中、R1〜R10が表す炭素原子数6以上14以下のアリール基は、置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基が挙げられる。置換基の数は、特に限定されないが、3個以下であることが好ましい。
ジアミン誘導体の具体例としては、化学式(HTM1−1)、化学式(HTM1−2)、又は化学式(HTM1−3)で表される化合物(以下、それぞれ正孔輸送剤(HTM1−1)、正孔輸送剤(HTM1−2)、及び正孔輸送剤(HTM1−3)と記載することがある)が挙げられる。
Figure 0006528735
Figure 0006528735
Figure 0006528735
<ジアミン誘導体(1)の製造方法>
ジアミン誘導体(1)は、例えば、下記の反応式(R−1)〜(R−10)で表される反応又はこれに準ずる方法によって製造される。これらの反応以外に、必要に応じて適宜な工程が含まれてもよい。以下、反応式(R−1)〜(R−10)で表される反応を、各々、反応(R−1)〜(R−10)と記載することがある。
<化合物7の合成>
まず、ジアミン誘導体(1)の合成に使用される原料として、化合物7を合成する。化合物7は、反応(R−1)〜(R−4)にしたがって合成される。
Figure 0006528735
Figure 0006528735
反応式(R−1)〜(R−4)中、R1、R2、R3、R4、R5、及びnは、一般式(1)中のR1、R2、R3、R4、R5、及びnと同義である。Xは、ハロゲン原子を表す。
[反応(R−1)]
反応(R−1)では、化合物2−1(1当量)と亜リン酸トリエチル(1当量)とを反応させて、化合物3−1(1当量)を得る。
反応(R−1)では、1モルの化合物2−1に対して亜リン酸トリエチルを1モル以上2.5モル以下添加することが好ましい。1モルの化合物2−1に対して亜リン酸トリエチルのモル数が1モル以上2.5モル以下であると、化合物3−1の収率が低下しにくく、化合物3−1を精製し易い。
反応(R−1)の反応温度は160℃以上200℃以下であることが好ましく、反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
[反応(R−2)]
化合物3−1(1当量)と化合物4(1当量)とを反応させて、化合物5(1当量)を得る。反応(R−2)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。
反応(R−2)では、1モルの化合物3−1に対して、化合物4を1モル以上10モル以下添加することが好ましい。1モルの化合物3−1に対して1モル以上10モル以下であると、化合物5の収率が低下しにくく化合物5を精製し易い。
反応(R−2)は、塩基の存在下で行われてもよい。塩基としては、例えば、ナトリウムアルコキシド(より具体的には、ナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシド等)、金属水素化物(より具体的には、水素化ナトリウム又は水素化カリウム等)、又は金属塩(より具体的には、n−ブチルリチウム等)が挙げられる。これらの塩基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩基の添加量は、1モルの化合物3−1に対して、1モル以上2モル以下であることが好ましい。塩基の添加量が1モルの化合物3−1に対して1モル以上2モル以下であると、反応性が低下しにくく反応を制御し易い。
反応(R−2)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、エーテル類(より具体的には、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、又はジオキサン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、塩化メチレン、クロロホルム、又はジクロロエタン等)、又は芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン又はトルエン等)が挙げられる。
反応(R−2)の反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましく、反応時間は2時間以上24時間以下であることが好ましい。
[反応(R−3)]
反応(R−3)では、化合物2−2(1当量)と亜リン酸トリエチル(1当量)とを反応させて、化合物3−2(1当量)を得る。
反応(R−3)では、1モルの化合物2−2に対して、亜リン酸トリエチルを1モル以上2.5モル以下添加することが好ましい。1モルの化合物2−2に対して亜リン酸トリエチルのモル数が1モル以上2.5モル以下であると、化合物3−2の収率が低下しにくく、化合物2−2のモル数に対して亜リン酸トリエチルのモル数が多過ぎると、化合物3−2を精製し易い。
反応(R−3)の反応温度は160℃以上200℃以下であることが好ましく、反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
[反応(R−4)]
反応(R−4)では、化合物3−2(1当量)と化合物5(1当量)とを反応させて、化合物7(1当量)を得る。反応(R−4)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。
反応(R−4)では、1モルの化合物3−2に対して、化合物5を1モル以上2.5モル以下添加することが好ましい。1モルの化合物3−2に対して化合物5のモル数が1モル以上2.5モル以下であると、化合物7の収率が低下しにくく化合物7を精製し易い。
反応(R−4)は、塩基の存在下で行われてもよい。塩基は、例えば、反応(R−2)で使用される塩基と同様である。これらの塩基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩基の添加量は、1モルの化合物3−2に対して1モル以上2モル以下であることが好ましい。塩基の添加量が1モルの化合物3−2に対して1モル以上2モル以下であると、反応性が低下しにくく反応を制御し易い。
反応(R−4)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒は、例えば、反応(R−2)で使用される溶媒と同様である。反応(R−4)の反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましく、反応時間は2時間以上24時間以下であることが好ましい。
<化合物6の合成>
次に、ジアミン誘導体(1)の合成に使用される原料として、化合物6を合成する。化合物6は、下記一般式(6)で表される。化合物6は、反応(R−5)、反応(R−6)、又は反応(R−7)及び反応(R−8)の何れかにしたがって合成される。
Figure 0006528735
一般式(6)中、mは、一般式(1)中のmと同義である。Xはハロゲン原子を表す。一般式(6)中のmが1である化合物6−1は、反応(R−5)にしたがって合成される。一般式(6)中のmが2である化合物6−2は、反応(R−6)にしたがって合成される。一般式(6)中のmが3である化合物6−3は、反応(R−7)及び(R−8)にしたがって合成される。
Figure 0006528735
Figure 0006528735
Figure 0006528735
反応式(R−5)〜(R−8)中、Xはハロゲン原子を表す。
[反応(R−5)]
反応(R−5)では、化合物3−1(1当量)と化合物8(1当量)とを反応させて、化合物6−1(1当量)を得る。反応(R−5)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。
反応(R−5)では、1モルの化合物3−1に対して、化合物8を1モル以上2.5モル以下添加することが好ましい。1モルの化合物3−1に対して化合物8のモル数が1モル以上2.5モル以下であると、化合物6−1の収率が低下しにくく化合物6−1を精製し易い。
反応(R−5)は、塩基の存在下で行われてもよい。塩基は、例えば、反応(R−2)で使用される塩基と同様である。これらの塩基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩基の添加量は、1モルの化合物3−1に対して、1モル以上2モル以下であることが好ましい。塩基の添加量が1モルの化合物3−1に対して1モル以上2モル以下であると、反応性が低下しにくく反応を制御し易い。
反応(R−5)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒は、例えば、反応(R−2)で使用される溶媒と同様である。反応(R−5)の反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましく、反応時間は2時間以上24時間以下であることが好ましい。
[反応(R−6)]
反応(R−6)では、化合物3−1(1当量)と化合物9(1当量)とを反応させて、化合物6−2(1当量)を得る。反応(R−6)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。反応(R−6)は、例えば、反応(R−5)における化合物8を化合物9に変更する以外は、反応(R−5)と同様の方法で行われる。
[反応(R−7)]
反応(R−7)では、化合物2−3(1当量)と亜リン酸トリエチル(2当量)とを反応させて、化合物3−3(1当量)を得る。
反応(R−7)では、1モルの化合物2−3に対して、亜リン酸トリエチルを2モル以上5モル以下添加することが好ましい。1モルの化合物2−3に対して亜リン酸トリエチルのモル数が2モル以上5モル以下であると、化合物3−3の収率が低下しにくく化合物3−3を精製し易い。
反応(R−7)の反応温度は160℃以上200℃以下であることが好ましく、反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
[反応(R−8)]
反応(R−8)では、化合物3−3(1当量)と化合物8(2当量)とを反応させて、化合物6−3(1当量)を得る。反応(R−8)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。
反応(R−8)では、1モルの化合物3−3に対して、化合物8を2モル以上5モル以下添加することが好ましい。1モルの化合物3−3に対して化合物8のモル数が2モル以上5モル以下であると、化合物6−3の収率が低下しにくく化合物6−3を精製し易い。
反応(R−8)は、塩基の存在下で行われてもよい。塩基は、例えば、反応(R−2)で使用される塩基と同様である。これらの塩基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。塩基の添加量は、1モルの化合物8に対して、1モル以上2モル以下であることが好ましい。塩基の添加量が1モルの化合物8に対して、1モル以上2モル以下であると、反応性が低下しにくく反応を制御し易い。
反応(R−8)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒は、例えば、反応(R−2)で使用される溶媒と同様である。反応(R−8)の反応温度は0℃以上50℃以下であることが好ましく、反応時間は2時間以上24時間以下であることが好ましい。
<ジアミン誘導体(1)の合成>
次に、合成した化合物7と化合物6とを用いて、ジアミン誘導体(1)を合成する。ジアミン誘導体(1)は、反応(R−9)及び(R−10)にしたがって合成される。
Figure 0006528735
[反応(R−9)]
反応(R−9)では、化合物10(1当量)と化合物7(1当量)とを反応させて、化合物11(1当量)を得る。反応(R−9)は、カップリング反応である。
反応(R−9)では、1モルの化合物10に対して、化合物7を1モル以上5モル以下添加することが好ましい。化合物10のモル数に対して化合物7のモル数が少な過ぎると、化合物11の収率が低下することがある。一方、化合物10のモル数に対して化合物7のモル数が多過ぎると、反応後に未反応の化合物7が残留し、化合物11の精製が困難となることがある。
反応(R−9)の反応温度は80℃以上140℃以下であることが好ましく、反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応(R−9)では、触媒としてパラジウム化合物を用いることが好ましい。パラジウム化合物を用いることにより、反応(R−9)における活性化エネルギーが低下する傾向がある。その結果、化合物11の収率を向上できると考えられる。パラジウム化合物としては、例えば、四価パラジウム化合物、二価パラジウム化合物、又はその他のパラジウム化合物が挙げられる。四価パラジウム化合物としては、例えば、ヘキサクロルパラジウム(IV)酸ナトリウム四水和物、又はヘキサクロルパラジウム(IV)酸カリウム四水和物が挙げられる。二価パラジウム化合物としては、例えば、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウムアセチルアセテート(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロルビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラミンパラジウム(II)、又はジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)が挙げられる。その他のパラジウム化合物としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(0)、又はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が挙げられる。パラジウム化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。パラジウム化合物の添加量は、1モルの化合物10に対して、0.0005モル以上20モル以下であることが好ましく、0.001モル以上1モル以下であることがより好ましい。
パラジウム化合物は、配位子を含む構造であってもよい。これにより、反応(R−5)の反応性を向上させ易い。配位子としては、例えば、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフリルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、又は2,2’−ビス[(ジフェニルホスフィノ)ジフェニル]エーテルが挙げられる。配位子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。配位子の添加量は、1モルの化合物10に対して、0.0005モル以上20モル以下であることが好ましく、0.001モル以上1モル以下であることがより好ましい。
反応(R−9)は、塩基の存在下で行われることが好ましい。これにより、反応系中で発生するハロゲン化水素(例えば、塩化水素)をすみやかに中和し、触媒活性を向上できると考えられる。その結果、化合物11の収率を向上できると考えられる。塩基は、無機塩基であってもよいし、有機塩基であってもよい。有機塩基としては、例えば、アルカリ金属アルコシド(より具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、リチウムtert−ブトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、又はカリウムtert−ブトキシド等)が好ましく、ナトリウムtert−ブトキシドがより好ましい。無機塩基としては、例えば、リン酸三カリウム又はフッ化セシウムが挙げられる。1モルの化合物10に対して、パラジウム化合物を0.0005モル以上20モル以下添加する場合、塩基の添加量は、1モル以上50モル以下であることが好ましく、1モル以上30モル以下であることがより好ましい。
反応(R−9)は、溶媒中で行われてもよい。溶媒としては、例えば、キシレン(より具体的には、o−キシレン等)、トルエン、テトラヒドロフラン、又はジメチルホルムアミドが挙げられる。
[反応(R−10)]
反応(R−10)では、化合物11(2当量)と化合物6(1当量)とを反応させて、ジアミン誘導体(1)(1当量)を得る。反応(R−10)は、カップリング反応である。
反応(R−10)では、1モルの化合物11に対して、化合物6を0.5モル以上2.5モル以下添加することが好ましい。1モルの化合物11に対して化合物6のモル数が0.5モル以上2.5モル以下であると、ジアミン誘導体(1)の収率が低下しにくくジアミン誘導体(1)を精製し易い。
反応(R−10)の反応温度は80℃以上140℃以下であることが好ましく、反応時間は2時間以上10時間以下であることが好ましい。
反応(R−10)には、触媒としてパラジウム化合物を用いることが好ましい。パラジウム化合物を用いることにより、反応(R−10)における活性化エネルギーが低下する傾向がある。その結果、ジアミン誘導体(1)の収率を向上できると考えられる。パラジウム化合物は、例えば、反応(R−9)で使用されるパラジウム化合物と同様である。パラジウム化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。パラジウム化合物の添加量は、1モルの化合物11に対して、0.0005モル以上20モル以下であることが好ましく、0.001モル以上1モル以下であることがより好ましい。
パラジウム化合物は、配位子を含む構造であってもよい。これにより、反応(R−10)の反応性を向上できると考えられる。配位子は、例えば、反応(R−9)で使用される配位子と同様である。配位子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。配位子の添加量は、1モルの化合物11に対して、0.0005モル以上20モル以下であることが好ましく、0.001モル以上1モル以下であることがより好ましい。
反応(R−10)は、塩基の存在下で行われることが好ましい。これにより、反応系中で発生するハロゲン化水素(例えば、塩化水素)をすみやかに中和し、触媒活性を向上できると考えられる。その結果、ジアミン誘導体(1)の収率を向上できると考えられる。塩基は、例えば、反応(R−9)で使用される塩基と同様である。1モルの化合物11に対して、パラジウム化合物を0.0005モル以上20モル以下添加する場合、塩基の添加量は、1モル以上10モル以下であることが好ましく、1モル以上5モル以下であることがより好ましい。
反応(R−10)は、溶媒中で行うことができる。溶媒は、例えば、反応(R−9)で使用される溶媒と同様である。
正孔輸送剤は、2種以上の化合物を含む。2種以上の化合物の他方は、ジアミン誘導体(1)以外の別の正孔輸送剤である。別の化合物としては、例えば、含窒素環式化合物又は縮合多環式化合物を使用することができる。含窒素環式化合物及び縮合多環式化合物としては、例えば、ジアミン誘導体(より具体的には、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、又はN,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体等)、オキサジアゾール系化合物(より具体的には、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等)、スチリル化合物(より具体的には、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等)、カルバゾール化合物(より具体的には、ポリビニルカルバゾール等)、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物(より具体的には、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等)、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、又はトリアゾール系化合物が挙げられる。これらの正孔輸送剤は、2種以上の化合物として1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの正孔輸送剤のうち、一般式(HTM2)、一般式(HTM3)、一般式(HTM5)、又は一般式(HTM−6)で表される正孔輸送剤(以下、それぞれ正孔輸送剤(HTM2)、正孔輸送剤(HTM3)、正孔輸送剤(HTM5)、及び一般式(HTM6)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006528735
Figure 0006528735
Figure 0006528735
Figure 0006528735
一般式(HTM2)中、Q8、Q10、Q11、Q12、Q13、及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。Q9及びQ15は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。bは、0以上5以下の整数を表す。bが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ9は、互いに同一でも異なっていてもよい。cは、0以上4以下の整数を表す。cが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ15は、互いに同一でも異なっていてもよい。kは、0又は1を表す。
一般式(HTM2)中、Q8、Q10、Q11、Q12、Q13、及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上3以下のアルキル基(より好ましくは、メチル基又はエチル基)を表し、b及びcは0を表し、kは0を表すことが好ましい。
正孔輸送剤(HTM2)は、化学式(HTM−2)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM−2)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006528735
一般式(HTM3)中、Ra、Rb及びRcは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表す。qは、0以上4以下の整数を表す。qが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRcは、互いに同一でも異なっていてもよく、m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表す。mが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRbは、互いに同一でも異なっていてもよい。nが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRaは、互いに同一でも異なっていてもよい。
一般式(HTM3)中、Ra及びRbは、各々独立に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、qは0を表す。m及びnは、各々独立に、0又は2を表すことが好ましい。
正孔輸送剤(HTM3)は、化学式(HTM−3)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM−3)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006528735
一般式(HTM5)中、Q2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表す。Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基で表す。Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7のうちの隣接した二つが互いに結合して環を形成してもよい。aは、0以上5以下の整数を表す。aが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ2は、互いに同一でも異なっていてもよい。sは、1以上3以下の整数を表す。
一般式(HTM5)中、Q3、Q4、Q5、Q6、及びQ7は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、aは0を表し、sは、1又は3を表すことが好ましい。
正孔輸送剤(HTM5)は、化学式(HTM−5−1)又は化学式(HTM−5−2)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM−5−1)及び正孔輸送剤(HTM−5−2)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006528735
Figure 0006528735
一般式(HTM6)中、Q16、Q17、Q18、及びQ19は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。
一般式(HTM6)中、Q16、Q17、Q18、及びQ19は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、又はフェニル基を表すことが好ましい。
正孔輸送剤(HTM6)は、化学式(HTM−6)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM−6)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006528735
正孔輸送剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、10質量部以上100質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上75質量部以下であることが特に好ましい。
正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルは、例えば、大気雰囲気型紫外線光電子分析装置(理研計器株式会社製「AC−1」)を用いて測定することができる。正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルの測定方法は、実施例にて詳細に説明する。
正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルは、例えば、π共役系の空間的広がりの大きさ、又はπ共役系電荷の密度により制御することができると考えられる。より具体的には、正孔輸送剤のπ電子系の空間的広がりを大きくすること、又は、アルキル基若しくはアルコシキ基のような電子供与性置換基の有無によって、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルを低下させることができると考えられる。
正孔輸送剤が3種以上の化合物を含む場合におけるイオン化ポテンシャルの差の絶対値の最大値を説明する。ここで、正孔輸送剤が3種の化合物を含む場合を例に挙げる。3種の化合物を正孔輸送剤A、正孔輸送剤B、及び正孔輸送剤Cとする。まず、測定により、正孔輸送剤A、正孔輸送剤B、及び正孔輸送剤Cのイオン化ポテンシャルを得る。得られた3つのイオン化ポテンシャルから複数のイオン化ポテンシャルの差を得る。イオン化ポテンシャルの差は、具体的には、イオン化ポテンシャルの差(正孔輸送剤A及び正孔輸送剤B)、イオン化ポテンシャルの差(正孔輸送剤B及び正孔輸送剤C)、及びイオン化ポテンシャルの差(正孔輸送剤C及び正孔輸送剤A)である。その後、得られたイオン化ポテンシャルの差のうち最大値を選択し、イオン化ポテンシャルの差の絶対値の最大値とする。
正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルの差の絶対値の最大値は、0.20eVより大きい。この最大値は、0.20eVより大きく0.50eV以下であることが好ましく、0.26eV以上0.50eV以下であることがより好ましい。0.20eV以上0.50eV以下であると、感光層の露光領域の残留電位と、非露光領域の残留電位とが更に均一に成り易く電子輸送能が低下しにくい。
[4.電荷発生剤]
電荷発生剤は、感光体用の電荷発生剤である限り、特に限定されない。電荷発生剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、無機光導電材料(より具体的には、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、又はアモルファスシリコン等)の粉末、ピリリウム顔料、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、又はキナクリドン系顔料が挙げられる。電荷発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フタロシアニン系顔料としては、例えば、化学式(CGM−1)で表される無金属フタロシアニン(以下、電荷発生剤(CGM−1)と記載することがある)又は金属フタロシアニンが挙げられる。金属フタロシアニンとしては、例えば、化学式(CGM−2)で表されるチタニルフタロシアニン(以下、電荷発生剤(CGM−2)と記載することがある)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン又はクロロガリウムフタロシアニンが挙げられる。フタロシアニン系顔料は、結晶であってもよく、非結晶であってもよい。フタロシアニン系顔料の結晶形状(例えば、X型、α型、β型、Y型、V型、又はII型)については特に限定されず、種々の結晶形状を有するフタロシアニン系顔料が使用される。
Figure 0006528735
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無金属フタロシアニンの結晶としては、例えば、無金属フタロシアニンのX型結晶(以下、X型無金属フタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。チタニルフタロシアニンの結晶としては、例えば、チタニルフタロシアニンのα型、β型、又はY型結晶(以下、それぞれα型チタニルフタロシアニン、β型チタニルフタロシアニン、及びY型チタニルフタロシアニンと記載することがある)が挙げられる。ヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶としては、ヒドロキシガリウムフタロシアニンのV型結晶が挙げられる。クロロガリウムフタロシアニンの結晶としては、クロロガリウムフタロシアニンのII型結晶が挙げられる。
例えば、デジタル光学式の画像形成装置には、700nm以上の波長領域に感度を有する感光体を用いることが好ましい。デジタル光学式の画像形成装置としては、例えば、半導体レーザーのような光源を使用した、レーザービームプリンター又はファクシミリが挙げられる。700nm以上の波長領域で高い量子収率を有することから、電荷発生剤としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、無金属フタロシアニン又はチタニルフタロシアニンがより好ましい。感光層がジアミン誘導体(1)を含有する場合に転写メモリーの発生を更に抑制するためには、電荷発生剤としては、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンが更に好ましい。
Y型チタニルフタロシアニンは、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、例えば、ブラッグ角(2θ±0.2°)の27.2°に主ピークを有する。CuKα特性X線回折スペクトルにおける主ピークとは、ブラッグ角(2θ±0.2°)が3°以上40°以下である範囲において、1番目又は2番目に大きな強度を有するピークである。
(CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法)
CuKα特性X線回折スペクトルの測定方法の一例について説明する。試料(チタニルフタロシアニン)をX線回折装置(例えば、株式会社リガク製「RINT(登録商標)1100」)のサンプルホルダーに充填して、X線管球Cu、管電圧40kV、管電流30mA、かつCuKα特性X線の波長1.542Åの条件で、X線回折スペクトルを測定する。測定範囲(2θ)は、例えば3°以上40°以下(スタート角3°、ストップ角40°)であり、走査速度は、例えば10°/分である。
短波長レーザー光源を用いた画像形成装置に適用される感光体には、電荷発生剤として、アンサンスロン系顔料が好適に用いられる。短波長レーザー光の波長は、例えば、350nm以上550nm以下である。
電荷発生剤の含有量は、感光層に含有されるバインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上50質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上30質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以上4.5質量部以下であることが特に好ましい。
[5.バインダー樹脂]
バインダー樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は光硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリロニトリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、アクリル酸系樹脂、スチレン−アクリル酸樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂又はポリエーテル樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂又はメラミン樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ−アクリル酸系樹脂(より具体的には、エポキシ化合物のアクリル酸誘導体付加物等)又はウレタン−アクリル酸系樹脂(ウレタン化合物のアクリル酸誘導体付加物)が挙げられる。これらのバインダー樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの樹脂の中では、加工性、機械的特性、光学的特性及び耐摩耗性のバランスに優れた感光層が得られることから、ポリカーボネート樹脂が好ましい。ポリカーボネート樹脂の例としては、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールZC型ポリカーボネート樹脂、ビスフェノールC型ポリカーボネート樹脂、又はビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂が挙げられる。ジアミン誘導体(1)との相溶性が良好であり、ジアミン誘導体(1)の感光層中での分散性が向上する観点から、化学式(Resin−1)、化学式(Resin−2)、又は化学式(Resin−3)で表される繰返し単位を有するポリカーボネート樹脂(以下、それぞれポリカーボネート樹脂(Resin−1)、ポリカーボネート樹脂(Resin−2)、及びポリカーボネート樹脂(Resin−3)と記載することがある)が好ましい。
Figure 0006528735
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バインダー樹脂の粘度平均分子量は、40,000以上であることが好ましく、40,000以上52,500以下であることがより好ましい。バインダー樹脂の粘度平均分子量が40,000以上であると、感光体の耐摩耗性を向上させ易い。バインダー樹脂の粘度平均分子量が52,500以下であると、感光層の形成時にバインダー樹脂が溶剤に溶解し易くなり、感光層用塗布液の粘度が高くなり過ぎない。その結果、感光層を形成し易くなる。
[6.添加剤]
感光体の感光層は、必要に応じて、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、劣化防止剤(より具体的には、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、消光剤、又は紫外線吸収剤等)、軟化剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、ドナー、界面活性剤、可塑剤、増感剤、又はレベリング剤が挙げられる。
[7.中間層]
中間層(下引き層)は、例えば、無機粒子及び樹脂(中間層用樹脂)を含有する。中間層が存在することにより、リーク発生を抑制し得る程度の絶縁状態を維持しつつ、感光体を露光した時に発生する電流の流れを円滑にして、抵抗の上昇が抑えられると考えられる。
無機粒子としては、例えば、金属(より具体的には、アルミニウム、鉄、又は銅等)の粒子、金属酸化物(より具体的には、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、又は酸化亜鉛等)の粒子又は非金属酸化物(より具体的には、シリカ等)の粒子が挙げられる。これらの無機粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
中間層用樹脂としては、中間層を形成する樹脂として用いることができる限り、特に限定されない。中間層は、各種の添加剤を含有してもよい。添加剤は、感光層の添加剤と同様である。
[8.感光体の製造方法]
感光体は、例えば、以下のように製造される。感光体は、感光層用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥することによって製造される。感光層用塗布液は、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、電荷発生剤と、バインダー樹脂と、必要に応じて添加される各種添加剤とを、溶剤に溶解又は分散させることにより製造される。
感光層用塗布液(以下、塗布液と記載することがある)に含有される溶剤は、塗布液に含まれる各成分を溶解又は分散できる限り、特に限定されない。溶剤としては、例えば、アルコール類(より具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、又はブタノール等)、脂肪族炭化水素(より具体的には、n−ヘキサン、オクタン、又はシクロヘキサン等)、芳香族炭化水素(より具体的には、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等)、ハロゲン化炭化水素(より具体的には、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、又はクロロベンゼン等)、エーテル類(より具体的には、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、又はプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、ケトン類(より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、又はシクロヘキサノン等)、エステル類(より具体的には、酢酸エチル又は酢酸メチル等)、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。感光体の製造時の作業性を向上させるためには、溶剤として非ハロゲン溶剤(ハロゲン化炭化水素以外の溶剤)を用いることが好ましい。
塗布液は、各成分を混合し、溶剤に分散することにより調製される。混合又は分散には、例えば、ビーズミル、ロールミル、ボールミル、アトライター、ペイントシェーカー、又は超音波分散機を用いることができる。
塗布液は、各成分の分散性を向上させるために、例えば、界面活性剤を含有してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、塗布液を導電性基体上に均一に塗布できる方法である限り、特に限定されない。塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法、又はバーコート法が挙げられる。
塗布液を乾燥する方法としては、塗布液中の溶剤を蒸発させ得る限り、特に限定されない。例えば、高温乾燥機又は減圧乾燥機を用いて、熱処理(熱風乾燥)する方法が挙げられる。熱処理条件は、例えば、40℃以上150℃以下の温度、かつ3分間以上120分間以下の時間である。
なお、感光体の製造方法は、必要に応じて、中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程の一方又は両方を更に含んでもよい。中間層を形成する工程及び保護層を形成する工程では、公知の方法が適宜選択される。
また、第一実施形態に係る感光体は、接触帯電方式の直流印加型の画像形成装置に像担持体として備えることができる。接触帯電方式の直接印加型の画像形成装置は、帯電部を備える。帯電部は、像担持体の表面と接触しながら直流電圧を印加して像担持体の表面を帯電する。
以上、第一実施形態に係る感光体について説明した。第一実施形態の感光体によれば、転写メモリーの発生を抑制することができる。
<第二実施形態:画像形成装置>
第二実施形態は画像形成装置に関する。以下、図2を参照して第二実施形態に係る画像形成装置の一態様について説明する。図2は、第二実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。像担持体は、第一実施形態に係る感光体1である。帯電部42は、像担持体の表面と接触しながら直流電圧を印加して像担持体の表面を帯電する。帯電部42の帯電極性は、正極性である。露光部44は、帯電された像担持体の表面を露光して、像担持体の表面に静電潜像を形成する。現像部46は、静電潜像をトナー像として現像する。転写部48は、トナー像を像担持体から転写体へ転写する。以上、第二実施形態に係る画像形成装置の概要を記載した。
第二実施形態に係る画像形成装置100は、転写メモリーの発生に起因する画像不良を抑制することができる。その理由は、以下のように推測される。第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体として第一実施形態に係る感光体1を備える。第一実施形態に係る感光体1は、転写メモリーの発生を抑制することができる。よって、第二実施形態に係る画像形成装置100は、転写メモリーの発生に起因する画像不良を抑制することができる。
まず、便宜上、転写メモリーに起因する画像不良について説明する。上述のように画像形成プロセスで転写メモリーが発生すると、画像形成における感光体の周を基準としたときに(以下、基準周と記載することがある)、像担持体の表面において次の周の帯電工程で所望の電位が得られない領域は、次の周の帯電工程で所望の電位が得られる領域に比べ、電位が低下する傾向にある。具体的には、像担持体の表面における前周回の非露光領域は、前周回の露光領域に比べ、次周回の帯電時に電位が低下する傾向にある。このため、前周回の非露光領域は、前周回の露光領域に比べ、帯電時の電位が低下し易いため、現像時に正帯電トナーを引き付け易くなる。その結果、基準周の非画像部(非露光領域)を反映した画像が形成され易い。このような基準周の画像部を反映した画像が形成される画像不良が、転写メモリーに起因して発生する画像不良(以下、画像ゴーストと記載することがある)である。
図3を参照して、画像不良が発生した画像を説明する。図3は、画像ゴーストが発生した画像51を示す図である。画像51は、領域53及び領域54を含む。領域53は像担持体1周分に相当する領域であり、領域54も像担持体1周分に相当する領域である。領域53は画像56を含む。画像56は、ドーナツ型のソリッド画像から構成される。領域54は画像60及び画像58を含む。画像60は、ドーナツ型のハーフトーン画像である。画像58は、領域54におけるドーナツ型の白抜きのハーフトーン画像である。画像58は、画像60に比べ画像濃度が濃い。画像58は、領域53の非露光領域を反映し、設計画像濃度より濃くなった画像不良(画像ゴースト)である。なお、領域54の画像は、設計画像上全面ハーフトーン画像から構成される。
第一実施形態に係る感光体1は、上述のように転写メモリーに起因する画像不良の発生を抑制する傾向にある。したがって、第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体として第一実施形態に係る感光体1を備えるため、転写メモリーに起因する画像不良の発生を抑制することができると考えられる。
以下、各部について詳細に説明する。図2を参照して第二実施形態に係る画像形成装置100を説明する。画像形成装置100は、電子写真方式の画像形成装置である限り、特に限定されない。画像形成装置100は、例えば、モノクロ画像形成装置であってもよいし、カラー画像形成装置であってもよい。画像形成装置100がカラー画像形成装置である場合、画像形成装置100は、例えば、タンデム方式を採用する。以下、タンデム方式の画像形成装置100を例に挙げて説明する。
画像形成装置100は、直接転写方式を採用する。通常、直接転写方式を採用する画像形成装置では、像担持体が転写バイアスの影響を受けやすいため、通常、転写メモリーが発生し易い。しかし、第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体として第一実施形態に係る感光体1を備える。第一実施形態に係る感光体は、転写メモリーの発生を抑制することができる。よって、像担持体として第一実施形態に係る感光体1を備えると、画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合であっても、転写メモリーに起因する画像不良の発生を抑制できると考えられる。
画像形成装置100は、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dと、転写ベルト50と、定着部52とを備える。以下、区別する必要がない場合には、画像形成ユニット40a、40b、40c及び40dの各々を、画像形成ユニット40と記載する。
画像形成ユニット40は、像担持体と、帯電部42と、露光部44と、現像部46と、転写部48とを備える。画像形成ユニット40の中央位置に、像担持体が設けられる。像担持体は、矢符方向(反時計回り)に回転可能に設けられる。像担持体の周囲には、帯電部42を基準として像担持体の回転方向の上流側から順に、帯電部42、露光部44、現像部46、及び転写部48が設けられる。なお、画像形成ユニット40には、クリーニング部(不図示)及び除電部(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。
画像形成ユニット40a〜40dの各々によって、転写ベルト50上の記録媒体Pに、複数色(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色)のトナー像が順に重ねられる。なお、画像形成装置100がモノクロ画像形成装置である場合には、画像形成装置100は、画像形成ユニット40aを備え、画像形成ユニット40b〜40dは省略される。
帯電部42は、像担持体の表面を帯電する。帯電部の帯電極性は正極性である。帯電部42は、像担持体の表面と接触しながら直流電圧を印加して像担持体の表面を帯電する。帯電部42は、接触方式の帯電部である。接触方式の帯電部42としては、例えば、帯電ローラー又は帯電ブラシが挙げられる。
帯電部42として帯電ローラーは画像形成装置100に備えられる。像担持体の表面を帯電するときに、帯電ローラーは像担持体の表面と接触する。通常、帯電ローラーを備える画像形成装置では、転写メモリーが発生し易い。しかし、第一実施形態に係る感光体1は、像担持体として画像形成装置100に備えられる。第一実施形態に係る感光体1は、転写メモリーの発生を抑制することができる。よって、帯電部42として帯電ローラーは画像形成装置100に備えられる場合であっても、転写メモリーの発生に起因する画像不良の発生が抑制される。
帯電部42が印加する電圧は、直流電圧のみである。帯電部42は、帯電部が交流電圧を印加する場合又は帯電部が直流電圧に交流電圧を重畳した重畳電圧を印加する場合に比べ、以下に示す優位性がある。帯電部42が直流電圧のみを印加すると、像担持体に印加される電圧値が一定であるため、像担持体の表面を一様に一定電位まで帯電させ易い。また、帯電部42が直流電圧のみを印加すると、感光層3の磨耗量が減少する傾向がある。その結果、好適な画像を形成することができる。
通常、直流電圧は、交流電圧に比べ、転写メモリーが発生し易い傾向にある。しかし、第二実施形態に係る画像形成装置100は、像担持体として第一実施形態に係る感光体1を備える。第一実施形態に係る感光体1は、転写メモリーの発生を抑制することができる。よって、第二実施形態に係る画像形成装置100は、像保持体と接触して直流電圧を印加する帯電部を備えても、転写メモリーに起因する画像不良の発生を抑制することができる。
露光部44は、帯電された像担持体の表面を露光する。これにより、像担持体の表面に静電潜像が形成される。静電潜像は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて形成される。
現像部46は、像担持体の表面にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。
転写ベルト50は、像担持体と転写部48との間に記録媒体Pを搬送する。転写ベルト50は、無端状のベルトである。転写ベルト50は、矢符方向(時計回り)に回転可能に設けられる。
転写部48は、現像部46によって現像されたトナー像を、像担持体の表面から記録媒体Pへ転写する。像担持体から記録媒体Pにトナー像が転写されるときに、像担持体は記録媒体Pと接触している。すなわち、画像形成装置100は、いわゆる直接転写方式を採用する。転写部48としては、例えば、転写ローラーが挙げられる。図2に示すように画像形成装置100が直接転写方式を採用する場合、転写体は、記録媒体Pに相当する。
定着部52は、転写部48によって記録媒体Pに転写された未定着のトナー像を、加熱及び/又は加圧する。定着部52は、例えば、加熱ローラー及び/又は加圧ローラーである。トナー像を加熱及び/又は加圧することにより、記録媒体Pにトナー像が定着する。その結果、記録媒体Pに画像が形成される。
以上、第二実施形態に係る画像形成装置を説明した。第二実施形態に係る画像形成装置は、像担持体として第一実施形態に係る感光体を備えることで、画像不良の発生を抑制することができる。
<第三実施形態:プロセスカートリッジ>
第三実施形態はプロセスカートリッジに関する。第三実施形態に係るプロセスカートリッジは、第一実施形態に係る感光体1を備える。引き続き、図2を参照して、第三実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
プロセスカートリッジは、ユニット化された像担持体を備える。プロセスカートリッジは、像担持体に加えて、帯電部42、露光部44、現像部46、及び転写部48からなる群より選択される少なくとも1つをユニット化した構成が採用される。プロセスカートリッジは、例えば、画像形成ユニット40a〜40dの各々に相当する。プロセスカートリッジには、クリーニング装置(不図示)及び除電器(不図示)の一方又は両方が更に備えられてもよい。プロセスカートリッジは、画像形成装置100に対して着脱自在に設計される。そのため、プロセスカートリッジは取り扱いが容易であり、像担持体の感度特性等が劣化した場合に、像担持体を含めて容易かつ迅速に交換することができる。
以上、第三実施形態に係るプロセスカートリッジを説明した。第三実施形態に係るプロセスカートリッジは、像担持体として第一実施形態に係る感光体1を備えることで、転写メモリーの発生に起因する画像不良の発生を抑制することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。しかし、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<1.感光体の材料>
感光体の感光層を形成するための材料として、以下の電子輸送剤、正孔輸送剤、電荷発生剤、及びバインダー樹脂を準備した。
[1−1.電子輸送剤]
第一実施形態で説明した電子輸送剤(ETM−2)、電子輸送剤(ETM−3)、及び電子輸送剤(ETM−5)を準備した。
[1−2.正孔輸送剤]
第一実施形態で説明した正孔輸送剤(HTM1−1)〜(HTM1−3)を準備した。正孔輸送剤(HTM1−1)〜(HTM1−3)は、各々以下の方法で合成した。
<1−2−1.化合物3a、3b、3c、及び3dの合成>
まず、後述する化合物6b、6c、7a、及び7bの合成で使用する原料として、化合物3a、3b、3c、及び3dを合成した。化合物3a、3b、3c、及び3dは、各々、下記の反応式(R−11)、(R−12)、(R−13)、及び(R−14)で表される反応にしたがって合成した。以下、反応式(R−11)〜(R−14)で表される反応を、各々、反応(R−11)〜(R−14)と記載することがある。
Figure 0006528735
Figure 0006528735
Figure 0006528735
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反応(R−11)では、化合物2aと亜リン酸トリエチルとを反応させて、化合物3aを得た。詳しくは、容量200mLのフラスコに、化合物2a(16.1g、0.10モル)と、亜リン酸トリエチル(25.0g、0.15モル)とを投入した。フラスコ内容物を、180℃で8時間攪拌した後、室温まで冷却した。続いて、フラスコ内容物に含まれる未反応の亜リン酸トリエチルを減圧留去した。これにより、白色液体である化合物3aを得た(収量24.1g、収率92mol%)。
反応(R−12)では、化合物2bと亜リン酸トリエチルとを反応させて、化合物3bを得た。反応(R−12)は、以下の点を変更した以外は、反応(R−11)と同様の方法で行った。反応(R−11)における化合物2a(16.1g、0.10モル)を、化合物2b(15.2g、0.10モル)に変更した。その結果、化合物3bが得られた(収量23.5g、収率92mol%)。
反応(R−13)では、化合物2cと亜リン酸トリエチルとを反応させて、化合物3cを得た。反応(R−13)は、以下の点を変更した以外は、反応(R−11)と同様の方法で行った。反応(R−11)における化合物2a(16.1g、0.10モル)を、化合物2c(12.7g、0.10モル)に変更した。その結果、化合物3cが得られた(収量21.3g、収率93mol%)。
反応(R−14)では、化合物2dと亜リン酸トリエチルとを反応させて、化合物3dを得た。反応(R−14)は、以下の点を変更した以外は、反応(R−11)と同様の方法で行った。反応(R−11)における化合物2a(16.1g、0.10モル)を、化合物2d(10.7g、0.05モル)に変更した。その結果、化合物3dが得られた(収量14.5g、収率88mol%)。
<1−2−2.化合物6b及び6cの合成>
次に、後述する正孔輸送剤(HTM1−1)、(HTM1−2)、及び(HTM1−3)の合成で使用する原料として、化合物6b及び6cを合成した。化合物6b及び6cは、各々、下記の反応式(R−16)及び(R−17)で表される反応にしたがって合成した。以下、反応式(R−16)〜(R−17)で表される反応を、各々、反応(R−16)〜(R−17)と記載することがある。
Figure 0006528735
Figure 0006528735
反応(R−16)では、化合物3dと化合物8aとを反応させて、化合物6bを得た。反応(R−16)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。詳しくは、化合物3d(8.2g、0.025モル)を、容量500mLの二口フラスコに0℃で加えた。フラスコ内の空気を、アルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内に、乾燥テトラヒドロフラン(100mL)、及び28%ナトリウムメトキシド(9.3g、0.05モル)を添加した。フラスコ内容物を30分間攪拌した。続いて、フラスコ内に、化合物8a(7.03g、0.05モル)の乾燥テトラヒドロフラン(300mL)溶液を添加した。フラスコ内容物を、室温で12時間攪拌した。フラスコ内容物を、イオン交換水に注ぎ、トルエンで抽出した。得られた有機層を、イオン交換水で5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。続いて、有機層に含有される溶媒を留去し、残渣を得た。得られた残渣を、トルエン/メタノール(20mL/100mL)を用いて精製した。これにより、白色結晶である化合物6bを得た(収量3.8g、収率25mol%)。
反応(R−17)では、化合物3aと化合物8aとを反応させて、化合物6cを得た。反応(R−17)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。反応(R−17)は、以下の点を変更した以外は、反応(R−16)と同様の方法で行った。反応(R−16)における化合物3d(8.2g、0.025モル)を、化合物3a(13.1g、0.025モル)に変更した。その結果、化合物6cが得られた(収量9.4g、収率75mol%)。
<1−2−3.化合物7a及び7bの合成>
次に、後述する正孔輸送剤(HTM1−1)〜(HTM1−3)の合成で使用する原料として、化合物7a及び7bを合成した。化合物7aは、下記の反応式(R−18)及び(R−19)で表される反応にしたがって合成した。化合物7bは、下記の反応式(R−18)及び(R−20)で表される反応にしたがって合成した。以下、反応式(R−18)〜(R−20)で表される反応を、各々、反応(R−18)〜(R−20)と記載することがある。
Figure 0006528735
Figure 0006528735
Figure 0006528735
反応(R−18)では、化合物3aと化合物4とを反応させて、化合物5aを得た。反応(R−18)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。詳しくは、反応(R−11)で得られた化合物3a(13.0g、0.05モル)を、容量500mLの二口フラスコに0℃で加えた。フラスコ内の空気を、アルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内に、乾燥テトラヒドロフラン(100mL)、及び化合物4(35.0g、0.26モル)の乾燥テトラヒドロフラン(300mL)溶液を添加した。フラスコ内容物を30分間攪拌した。続いて、フラスコ内に、28%ナトリウムメトキシド(9.3g、0.05モル)を添加した。フラスコ内容物を、室温で12時間攪拌した。フラスコ内容物を、イオン交換水に注ぎ、トルエンで抽出した。得られた有機層を、イオン交換水で5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。続いて、有機層に含有される溶媒を留去し、残渣を得た。得られた残渣を、トルエン/メタノール(20mL/100mL)を用いて精製した。これにより、白色結晶である化合物5aを得た(収量3.6g、収率30mol%)。
反応(R−19)では、化合物3cと化合物5aとを反応させて、化合物7aを得た。反応(R−19)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。詳しくは、反応(R−13)で得られた化合物3c(11.4g、0.05モル)を、容量500mLの二口フラスコに0℃で加えた。フラスコ内の空気を、アルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内に、乾燥テトラヒドロフラン(100mL)、及び28%ナトリウムメトキシド(9.3g、0.05モル)を添加した。フラスコ内容物を30分間攪拌した。続いて、フラスコ内に、反応(R−18)で得られた化合物5a(12.2g、0.05モル)の乾燥テトラヒドロフラン(300mL)溶液を添加した。フラスコ内容物を、室温で12時間攪拌した。フラスコ内容物を、イオン交換水に注ぎ、トルエンで抽出した。得られた有機層を、イオン交換水で5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させた。続いて、有機層に含有される溶媒を留去し、残渣を得た。得られた残渣を、トルエン/メタノール(20mL/100mL)を用いて精製した。これにより、白色結晶である化合物7aを得た(収量14.0g、収率88mol%)。
反応(R−20)では、化合物3bと化合物5aとを反応させて、化合物7bを得た。反応(R−20)は、ウィッティヒ(Wittig)反応である。反応(R−20)は、以下の点を変更した以外は、反応(R−19)と同様の方法で行った。反応(R−19)における化合物3c(11.4g、0.050モル)を、化合物3b(12.8g、0.050モル)に変更した。その結果、化合物7bが得られた(収量15.3g、収率89mol%)。
<1−2−4.正孔輸送剤(HTM1−1)の合成>
次に、下記の反応式(R−21)及び(R−22)で表される反応にしたがって、正孔輸送剤(HTM1−1)を合成した。以下、反応式(R−21)及び(R−22)で表される反応を、各々、反応(R−21)及び(R−22)と記載することがある。
Figure 0006528735
反応(R−21)では、化合物10aと化合物7aとを反応させて、化合物11aを得た。反応(R−21)は、カップリング反応である。詳しくは、三口フラスコに、化合物7a(6.2g、0.020モル、表1中の第二原料)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.068g、0.000196モル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.045g、4.89×10-5モル)、ナトリウムtert−ブトキシド(2.0g、0.021モル)、化合物10a(2.7g、0.020モル、表1中の第一原料)、及び蒸留したо−キシレン(100mL)を投入した。フラスコ内の空気を、アルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内容物を、120℃で5時間攪拌した後、室温まで冷却した。フラスコ内容物を、イオン交換水で3回洗浄し、有機層を得た。有機層に、無水硫酸ナトリウムと活性白土とを加え、乾燥処理及び吸着処理を行った。続いて、乾燥処理及び吸着処理後の有機層を減圧留去し、о−キシレンを除去した。これにより、残渣を得た。得られた残渣を、クロロホルム/ヘキサン(体積比1:1)を用いて晶析した。これにより、化合物11aを得た(収量5.7g、収率70mol%)。
次に、反応(R−22)では、化合物11aと化合物6bとを反応させて、正孔輸送剤(HTM1−1)を得た。反応(R−22)は、カップリング反応である。詳しくは、三口フラスコに、反応(R−16)で得られた化合物6b(1.5g、0.005モル、表2中の第二原料)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.035g、9.97×10-5モル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.046g、4.98×10-5モル)、ナトリウムtert−ブトキシド(1.0g、0.010モル)、反応(R−21)で得られた化合物11a(4.0g、0.010モル、表2中の第一原料)、及び蒸留したо−キシレン(200mL)を投入した。フラスコ内の空気を、アルゴンガスで置換した。続いて、フラスコ内容物を、120℃で5時間攪拌した後、室温まで冷却した。フラスコ内容物を、イオン交換水で3回洗浄し、有機層を得た。有機層に、無水硫酸ナトリウムと活性白土とを加え、乾燥処理及び吸着処理を行った。続いて、乾燥処理及び吸着処理後の有機層を減圧留去し、о−キシレンを除去した。これにより、残渣を得た。得られた残渣を、展開溶媒としてクロロホルム/ヘキサン(体積比1:1)を用いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。これにより、正孔輸送剤(HTM1−1)を得た(収量2.8g、収率53mol%)。
<1−2−5.正孔輸送剤(HTM1−2)及び(HTM1−3)の合成>
以下の点を変更した以外は、正孔輸送剤(HTM1−1)の合成と同様の方法で、正孔輸送剤(HTM1−2)及び(HTM1−3)を各々合成した。なお、正孔輸送剤(HTM1−2)〜(HTM1−3)の合成において使用される各原料は、正孔輸送剤(HTM1−1)の合成において対応する原料のモル数と同じモル数で添加した。
表1は、反応(R−21)における第一原料、第二原料、及び反応生成物を示す。反応(R−21)において第一原料を、化合物10aから化合物10b又は10f(表1に示す第一原料)に変更した。反応(R−21)において第二原料を、化合物7aから化合物7a又は7b(表1に示す第二原料)に変更した。その結果、反応(R−21)では、化合物11aの代わりに、表1に示す反応生成物(化合物11b、又は11f)が得られた。反応(R−21)で得られた各反応生成物の収量及び収率を、表1に示す。
表2は、反応(R−22)における第一原料、第二原料、及び反応生成物を示す。反応(R−22)において第一原料を、化合物11aから化合物11b又は11f(表2に示す第一原料)に変更した。また、反応(R−22)における第二原料を、化合物6bから化合物6b又は6c(表2に示す第二原料)に変更した。その結果、反応(R−22)では、正孔輸送剤(HTM1−1)の代わりに、正孔輸送剤(HTM1−2)及び(HTM1−3)が得られた。反応(R−22)で得られた正孔輸送剤(HTM1−2)及び(HTM1−3)の収量及び収率を、表2に示す。
表1及び表2中、化合物10a、10b、及び10f、並びに11a、11b、及び11fは、各々、下記化学式(10a)〜(10b)及び化学式(10f)、並びに化学式(11a)〜(11b)及び化学式(11f)で表される。表1及び表2中、化合物7a〜7b及び6b〜6cは、上述の反応で得られた化合物である。
Figure 0006528735
Figure 0006528735
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次に、1H−NMR(プロトン核磁気共鳴分光計)を用いて合成した正孔輸送剤(HTM1−3)を分析した。磁場強度は300MHzに設定した。溶媒として、重水素化クロロホルム(CDCl3)を使用した。内部標準物質としてテトラメチルシラン(TMS)を使用した。測定された正孔輸送剤(HTM1−3)の化学シフト値を以下に示す。1H−NMRスペクトルと化学シフト値とから、正孔輸送剤(HTM1−3)が化学式(HTM1−3)で表される構造を有することが確認された。
正孔輸送剤(HTM1−3):1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ 2.0(s,6H),6.6−6.7(m,6H),6.8−7.1(m,16H),7.2−7.5(m,30H)
正孔輸送剤(HTM1−3)のイオン化ポテンシャルは5.18eVであった。正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルは、大気雰囲気型紫外線光電子分析装置(理研計器株式会社製「AC−1」)を用いて測定した。測定条件は、以下に示すとおりであった。正孔輸送剤(HTM1−3)以外のジアミン誘導体(1)のイオン化ポテンシャルを同様の方法で測定した。
(イオン化ポテンシャルの測定条件)
測定開始エネルギー:4.50eV
測定終了エネルギー:6.20eV
エネルギー間隔(ステップ):0.10eV
<1−2−6.正孔輸送剤(HTM−11)及び(HTM−12)>
正孔輸送剤として化学式(HTM−11)又は(HTM−12)で表される化合物(以下、正孔輸送剤(HTM−11)及び(HTM−12)と記載することがある)を準備した。
Figure 0006528735
Figure 0006528735
[1−3.電荷発生剤]
第一実施形態で説明した電荷発生剤(CGM−1)及び電荷発生剤(CGM−2)を準備した。電荷発生剤(CGM−1)は、化学式(CGM−1)で表される無金属フタロシアニン(X型無金属フタロシアニン)であった。また、電荷発生剤(CGM−1)の結晶構造はX型であった。
電荷発生剤(CGM−2)は、化学式(CGM−2)で表されるチタニルフタロシアニン(Y型チタニルフタロシアニン)であった。また、電荷発生剤(CGM−2)の結晶構造はY型であった。
[1−4.バインダー樹脂]
バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(Resin−1)(帝人株式会社製「パンライト(登録商標)TS−2050」、粘度平均分子量50,000)、ポリカーボネート樹脂(Resin−2)(粘度平均分子量50,000)及びポリカーボネート樹脂(Resin−3)(粘度平均分子量50,000)を準備した。
<2.感光体の製造>
感光層を形成するための材料を用いて、感光体(A−1)〜(A−13)及び感光体(B−1)〜(B−5)を製造した。
[2−1.感光体(A−1)の製造]
容器内に、電荷発生剤としての化合物(CGM−1)5質量部と、正孔輸送剤(HTM1−1)30質量部及び正孔輸送剤(HTM−2)30質量部と、電子輸送剤(ETM−1)30質量部と、バインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(Resin−1)100質量部と、溶剤としてのテトラヒドロフラン800質量部とを投入した。容器の内容物を、ボールミルを用いて24時間混合して、溶剤に材料を分散させた。これにより、感光層用塗布液を得た。感光層用塗布液を、導電性基体としてのアルミニウム製のドラム状支持体上に、ディップコート法を用いて塗布した。塗布した感光層用塗布液を、120℃で40分間熱風乾燥させた。これにより、導電性基体上に、感光層(膜厚30μm)を形成した。その結果、感光体(A−1)が得られた。
[2−2.感光体(A−2)〜(A−13)及び感光体(B−1)〜(B−5)の製造]
以下の点を変更した以外は、感光体(A−1)の製造と同様の方法で、感光体(A−2)〜(A−13)及び感光体(B−1)〜(B−5)をそれぞれ製造した。感光体(A−1)の製造に用いた電荷発生剤としての化合物(CGM−1)を、表3に示す種類の電荷発生剤に変更した。感光体(A−1)の製造に用いた正孔輸送剤(HTM1−1)30質量部及び正孔輸送剤(HTM−2)30質量部を、表3に示す種類及び含有量の正孔輸送剤に変更した。感光体(A−1)の製造に用いた電子輸送剤(ETM−1)を、表3に示す種類の電子輸送剤に変更した。感光体(A−1)の製造に用いたバインダー樹脂としてのポリカーボネート樹脂(Resin−1)を、表3に示す種類のバインダー樹脂に変更した。
なお、表3に感光体(A−1)〜(A−13)及び感光体(B−1)〜(B−5)の構成を示す。表3中、CGM、HTM、及びETMは、それぞれ電荷発生剤、正孔輸送剤、及び電子輸送剤を示す。表3中、CGM欄のCGM−1及びCGM−2は、それぞれ電荷発生剤(CGM−1)及び(CGM−2)を示す。HTM欄のHTM1−1、HTM1−2、HTM1−3、HTM−2、HTM−3、HTM−5−1、HTM−5−2、及びHTM−6は、それぞれ正孔輸送剤(HTM1−1)、正孔輸送剤(HTM1−2)、正孔輸送剤(HTM1−3)、正孔輸送剤(HTM−2)、正孔輸送剤(HTM−3)、正孔輸送剤(HTM−5−1)、正孔輸送剤(HTM−5−2)、及び正孔輸送剤(HTM−6)を示す。ETM欄のETM−1、ETM−2、及びETM−5は、それぞれ電子輸送剤(ETM−1)、電子輸送剤(ETM−2)、及び電子輸送剤(ETM−5)を示す。バインダー樹脂欄のResin−1、Resin−2、及びResin−3は、ポリカーボネート樹脂(Resin−1)、ポリカーボネート樹脂(Resin−2)、及びポリカーボネート樹脂(Resin−3)を示す。
<3.感光体の評価>
(画像不良の評価)
実施例1〜13の感光体(A−1)〜(A−13)、及び比較例1〜5の感光体(B−1)〜(B−5)の何れかを画像形成装置(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「FS−C5250DN」)に装着した。この画像形成装置は、直流電圧を印加する接触方式の帯電ローラーを帯電部として備える。帯電ローラーは、帯電性スリーブを感光体に接触させて、感光体表面を帯電する。帯電性スリーブは、エピクロルヒドリン樹脂に導電性カーボンを分散させた帯電性ゴムから構成される。また、この画像形成装置は、中間転写方式を採用する。画像形成装置の感光体の動作を安定化させるために、アルファベットの画像を1時間印刷した。続いて、下記操作により評価用画像を作成した。
図4を参照して、評価用画像を説明する。図4は、評価用画像70を示す図である。評価用画像70は、領域72及び領域74を含む。領域72は、像担持体1周分に相当する領域である。領域72は、画像76を含む。画像76は、ドーナツ型のソリッド画像(画像濃度100%)から構成される。このソリッド画像は、2つの同心円1組から構成される。領域74は、像担持体1周分に相当する領域である。領域74は画像78を含む。画像78は、全面ハーフトーン画像(画像濃度12.5%)から構成される。はじめに領域72の画像76を形成し、その後、領域74の画像78を形成した。画像76は感光体1周分に相当する画像であり、画像78は画像76を形成する周を基準として次周回1周分に相当する画像である。この画像形成を10回繰り返した。
次いで、最後に得られた画像(10枚目の画像)を評価用画像とした。評価用画像を目視で観察し、領域74における画像76に対応した画像の有無を確認した。ここで、目視による観察とは、肉眼での観察(肉眼観察)又はルーペ(倍率10倍、TRUSCO社製、TL−SL10K)を介した観察(ルーペ観察)である。転写メモリーに起因する画像不良(画像ゴースト)の発生の有無を確認した。画像ゴーストの発生の有無は、下記の基準に基づいて評価した。なお、評価A及び評価Bを合格とした。
評価A:画像76に対応する画像ゴーストが観察されなかった。
評価B:画像76に対応する画像ゴーストがわずかに観察された。
評価C:画像76に対応する画像ゴーストが観察された。評価用サンプルにおいて観測された画像ゴーストと、画像ゴーストが観測されなかった非画像部とのコントラストが低かった。
Figure 0006528735
Figure 0006528735
Figure 0006528735
Figure 0006528735
表3に示すように、感光体(A−1)〜(A−13)では、感光層は電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを含有していた。正孔輸送剤は、2種以上の化合物を含んでいた。2種以上の化合物のうちの一方は、化学式(HTM1−1)〜(HTM1−3)で表されるジアミン誘導体(1)の何れか1種であった。正孔輸送剤(HTM1−1)〜(HTM1−3)は、一般式(1)で表されるジアミン誘導体であった。2種以上の化合物の他方は、正孔輸送剤(HTM−2)、(HTM−3)、(HTM−5−1)、(HTM−5−2)、及び(HTM−6)の何れか1種以上であった。正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルの差の絶対値の最大値は、0.20eV以上であった。表5に示すように、感光体(A−1)〜(A−13)では、画像ゴーストの評価がA(非常に良い)又はB(良い)であった。
表4に示すように、感光体(B−1)〜(B−5)では、感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを含有していた。具体的には、感光体(B−1)〜(B−2)では、正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルの差の絶対値の最大値は、0.20eV未満であった。感光体(B−3)では、感光層は、正孔輸送剤(HTM1−1)のみを含有していた。感光体(B−4)〜(B−5)では、2種の正孔輸送剤を含有していたが、ジアミン誘導体(1)を有していなかった。表6に示すように感光体(B−1)〜(B−5)では、画像ゴーストの評価がC(悪い)であった。
感光体(A−1)〜(A−13)は、感光体(B−1)〜(B−5)に比べ、転写メモリーの発生を抑制することは明らかである。感光体(A−1)〜(A−13)を備える画像形成装置は、感光体(B−1)〜(B−5)を備える画像形成装置に比べ、転写メモリーの発生に起因する画像不良の発生を抑制することは明らかである。
本発明に係る感光体は、画像形成装置に利用することができる。
1 電子写真感光体
2 導電性基体
3 感光層
3c 単層型感光層

Claims (10)

  1. 導電性基体と、感光層とを備える電子写真感光体であって、
    前記感光層は、電荷発生剤と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、バインダー樹脂とを含有し、
    前記感光層は、単層型感光層であり、
    前記正孔輸送剤は、2種類以上の化合物を含み、
    前記2種類以上の化合物の一方は、一般式(1)で表されるジアミン誘導体であり、
    前記正孔輸送剤のイオン化ポテンシャルの差の絶対値の最大値が0.20eV以上である、電子写真感光体。
    Figure 0006528735
    前記一般式(1)中、
    1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又は置換基を有してもよい炭素原子数6以上14以下のアリール基を表し、
    mは1以上3以下の整数を表し、
    nは0以上2以下の整数を表す。
  2. 前記一般式(1)中、
    1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、及びR10は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    mは1又は3を表し、
    nは0又は1を表す、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記2種類以上の化合物の他方が、一般式(HTM2)、一般式(HTM3)、一般式(HTM5)、及び一般式(HTM6)で表される化合物よりなる群から選択される1種以上の前記化合物である、請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006528735
    Figure 0006528735
    Figure 0006528735
    Figure 0006528735
    前記一般式(HTM2)中、
    8、Q10、Q11、Q12、Q13、及びQ14は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
    9及びQ15は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
    bは、0以上5以下の整数を表し、
    bが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ9は、互いに同一でも異なっていてもよく、
    cは、0以上4以下の整数を表し、
    cが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ15は、互いに同一でも異なっていてもよく、
    kは、0又は1を表し、
    前記一般式(HTM3)中、
    a、Rb及びRcは、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基を表し、
    qは、0以上4以下の整数を表し、
    qが2以上4以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRcは、互いに同一でも異なっていてもよく、
    m及びnは、各々独立に、0以上5以下の整数を表し、
    mが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRbは、互いに同一でも異なっていてもよく、
    nが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のRaは、互いに同一でも異なっていてもよく、
    前記一般式(HTM5)中、
    2は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基を表し、
    3、Q4、Q5、Q6、及びQ7は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、又はフェニル基表し、
    3、Q4、Q5、Q6、及びQ7のうちの隣接した二つが互いに結合して環を形成してもよく、
    aは、0以上5以下の整数を表し、
    aが2以上5以下の整数を表す場合、同一のフェニル基に結合する複数のQ2は、互いに同一でも異なっていてもよく、
    sは、1以上3以下の整数を表し、
    前記一般式(HTM6)中、
    16、Q17、Q18、及びQ19は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基、又は炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。
  4. 前記一般式(HTM2)中、
    8、Q10、Q11、Q12、Q13、及びQ14は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    bは、0を表し、
    cは、0を表し、
    kは、0を表し、
    前記一般式(HTM3)中、
    a及びRbは、各々独立に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    qは、0を表し、
    m及びnは、各々独立に、0又は2を表し、
    前記一般式(HTM5)中、
    3、Q4、Q5、Q6、及びQ7は、各々独立に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基を表し、
    aは、0を表し、
    sは、1又は3を表し、
    前記一般式(HTM6)中、
    16、Q17、Q18、及びQ19は、各々独立に、水素原子、炭素原子数1以上3以下のアルキル基、又はフェニル基を表す、請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 前記電子輸送剤は、一般式(ETM1)、一般式(ETM2)、又は一般式(ETM5)で表される化合物を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006528735
    Figure 0006528735
    Figure 0006528735
    前記一般式(ETM1)中、
    21及びR22は、各々独立に、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、
    前記一般式(ETM2)中、
    23は、炭素原子数6以上14以下のアリール基を有する炭素原子数1以上3以下のアルコキシ基を表し、
    前記一般式(ETM5)中、
    24及びR25は、各々独立に、1又は複数の炭素原子数1以上3以下のアルキル基を有する炭素原子数6以上14以下のアリール基を表す。
  6. 前記電荷発生剤は、X型無金属フタロシアニン又はY型チタニルフタロシアニンを含む、請求項1〜5の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  7. 画像形成装置に像担持体として備えられ、
    前記画像形成装置は帯電部を備え、
    前記帯電部は、前記像担持体の表面と接触しながら直流電圧を印加して前記像担持体の前記表面を帯電する、請求項1〜6の何れか一項に記載の電子写真感光体。
  8. 像担持体と、
    前記像担持体の表面を帯電する帯電部と、
    帯電した前記像担持体の前記表面を露光して静電潜像を形成する露光部と、
    前記静電潜像をトナー像として現像する現像部と、
    前記像担持体の前記表面から転写体に前記トナー像を転写する転写部と
    を備え、
    前記像担持体は、請求項1〜7の何れか一項に記載の電子写真感光体であり、
    前記帯電部の帯電極性が正極性であり、
    前記帯電部は、前記像担持体の前記表面と接触しながら直流電圧を印加して前記像担持体の前記表面を帯電する、画像形成装置。
  9. 前記転写体は、記録媒体である、請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 請求項1〜7の何れか一項に記載の電子写真感光体を備える、プロセスカートリッジ。
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