以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
図1は本発明の画像形成装置に係る第1実施形態を示す概略構成図である。図1に示した画像形成装置100は中間転写ベルト24を介して電子写真感光体12から被転写媒体Pへの転写を行う中間転写方式の画像形成装置である。この画像形成装置100は帯電装置14、露光装置18、現像装置11、一次転写装置32、二次転写装置42、クリーニング装置22、及び定着装置44を備えるもので、除電装置は設けられていない。また、帯電装置14、一次転写装置32及び二次転写装置42のそれぞれは電源15a、15b、15cと電気的に接続されている。ここで、電源15b、15cは直流電源であり、一次転写装置32及び二次転写装置42における転写の際には、各転写装置の転写部材に、定電圧制御方式により直流電源15b、15cからの転写電界が印加される。なお、クリーニング装置13は必要に応じて備えられるものであり、省かれても良い。
図1中、電子写真感光体7は駆動装置(図示せず)により所定の回転速度で矢印Aの向きに回転可能となっている。この電子写真感光体12は、ドラム状の導電性基体の外周面上に感光層が設けられたもので、当該感光層においては電荷発生層と電荷輸送層とが別個に設けられている。このうち、電荷輸送層は2種以上の電荷輸送物質を含んで構成されており、該電荷輸送層において、イオン化ポテンシャルが最大である電荷輸送物質の含有量はイオン化ポテンシャルが最小である電荷輸送物質の含有量よりも大きく、且つ両者のイオン化ポテンシャルの差は0.2eV以下となっている。電子写真感光体7の詳細については、後述する。
但し、本発明においては、電荷輸送層は、2種の電荷輸送物質を含んで構成で構成され、電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質全量を基準として、イオン化ポテンシャルが最小である電荷輸送物質の含有量が1〜10質量%であるものが適用される。
また、図1中、電子写真感光体12の略上方には、電子写真感光体12の外周面を帯電させる帯電装置14が設けられている。この帯電装置14は、電子写真感光体7の外周面に接触配置された帯電部材に電源15aからの電界を印加する接触帯電方式の帯電装置である。
また、帯電器14の略上方には露光装置(光ビーム走査装置)16が配置されている。詳細は後述するが、露光装置16は、面発光レーザレイを用いた光源から射出される3本以上の光ビーム(レーザビーム)を、形成すべき画像に応じて変調すると共に、主走査方向に偏向し、帯電器14により帯電した電子写真感光体12の外周面上を電子写真感光体12の軸線と平行に走査させる。
電子写真感光体12の側方には現像装置18が配置されている。現像装置18は回転可能に配置されたローラ状の収容体を備えている。この収容体の内部には4個の収容部が形成されており、各収容部には現像器18Y、18M、18C、18Kが設けられている。現像器18Y、18M、18C、18Kは各々現像ローラ20を備え、内部に各々イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナーを貯留している。
このトナーは、形状係数SF1の平均値が115〜140であることが好ましい。この形状係数SF1は、以下の式により求めることが出来る。
SF1=(π/4)×(ML2/A)×100
(但し、MLはトナー粒子径の最大長、Aは投影面積を表す。)
この形状係数はトナーをスライドガラス上に散布し、光学顕微鏡で観察する画像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個以上のトナー粒子の最大長と投影面積を測定し上記式に代入し、その平均値を形状係数の平均値とした。このような形状のトナーを用いると、現像性、転写性、及び画像品質を高めることができる。
また、電子写真感光体12の略下方には無端の中間転写ベルト24が配設されている。中間転写ベルト24はローラ26、28、30に巻掛けられており、外周面が電子写真感光体12の外周面に接触するように配置されている。ローラ26、28、30はモータ(図示せず)の駆動力が伝達されて回転し、中間転写ベルト24を矢印Bの向きに回転させる。
中間転写ベルト24を挟んで電子写真感光体12の反対側には一次転写装置32が配置されている。電子写真感光体12の外周面上に形成されたトナー像は一次転写装置32によって中間転写ベルト24の画像形成面に転写される。このとき、一次転写装置32の転写部材には、定電圧制御方式により電源15bからの転写電界が印加される。
中間転写ベルト24よりも下方側にはトレイ34が配置されており、トレイ34内には記録材料としての用紙Pが多数枚積層された状態で収容されている。図1におけるトレイ34の左斜め上方には取り出しローラ36が配置されており、取り出しローラ36による用紙Pの取り出し方向下流側にはローラ対38、ローラ40が順に配置されている。積層状態で最も上方に位置している記録紙は、取り出しローラ36が回転されることによりトレイ34から取り出され、ローラ対38、ローラ40によって搬送される。
また、中間転写ベルト24を挟んでローラ30の反対側には二次転写装置42が配置されている。ローラ対38、ローラ40によって搬送された用紙Pは、中間転写ベルト24と二次転写装置42の間に送り込まれ、中間転写ベルト24の画像形成面に形成されたトナー像が二次転写装置42によって転写される。このとき、二次転写装置42の転写部材には、定電圧制御方式により電源15cからの転写電界が印加される。
二次転写装置42よりも用紙Pの搬送方向下流側には、定着ローラ対を備えた定着器44が配置されており、トナー像が転写された用紙Pは、転写されたトナー像が定着器44によって溶融定着された後に画像形成装置100の機体外へ排出され、図示しない排紙トレイ上に載置される。定着器44は請求項1に記載の定着手段に対応している。
また電子写真感光体12を挟んで現像装置18の反対側には、電子写真感光体12の外周面を除電する機能及び外周面上に残留している不要トナーを除去する機能を備えたクリーニング装置22が配置されている。電子写真感光体12の外周面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト24に転写されると、電子写真感光体12の外周面のうち転写されたトナー像を担持していた領域は、クリーニング装置22によって清浄化され、次工程に繰り返し使用される。
上記構成を有する画像形成装置100においては、電子写真感光体12が1回転する毎に、電子写真感光体12の外周面上には、Y、M、C、Kのトナー像が互いに重なるように順次形成されることになり、電子写真感光体12が4回転した時点で電子写真感光体12の外周面上にフルカラーのトナー像が形成されることになる。
このように、定電圧制御方式により転写電流を印加する転写装置を備え、且つ除電装置を備えていない画像形成装置100に、電荷輸送層における電荷輸送物質の含有量及びイオン化ポテンシャルが上記特定の条件を満たす電子写真感光体12を適用することによって、ゴーストの発生を十分に抑制して良好な画質を得ることが可能となる。
また、上述のようにゴーストの発生を抑制できることから、本実施形態にかかる画像形成装置においては、画質の向上と画像形成の高速化との両立が可能となる。例えば、プロセススピードを150mm/s以上、更には200mm/sとした場合であっても、ゴーストの発生を十分に抑制して良好な画質を得ることができる。
次に、電子写真感光体12の好ましい例について詳述する。図2〜5はそれぞれ電子写真感光体12の好適な一例を示す模式断面図であり、図2〜5に示す電子写真感光体は、電荷発生物質を含有する層(電荷発生層5)と電荷輸送物質を含有する層(電荷輸送層6)とに機能が分離された感光層3を備えるものである
。
図2に示す電子写真感光体12は、導電性基体2上に電荷発生層5、電荷輸送層6が順次積層された構造を有するものである。また、図3に示す電子写真感光体12は、導電性基体2上に下引き層4、電荷発生層5、電荷輸送層6が順次積層された構造を有するものである。また、図4に示す電子写真感光体12は、導電性基体2上に電荷発生層5、電荷輸送層6、保護層7が順次積層された構造を有するものである。また、図5に示す電子写真感光体12は、導電性基体2上に下引き層4、電荷発生層5、電荷輸送層6、保護層7が順次積層された構造を有するものである。
これらの電子写真感光体12において、電荷輸送層6は2種以上の電荷輸送物質を含んで構成されており、さらに、電荷輸送層6において、イオン化ポテンシャルが最大である電荷輸送物質の含有量はイオン化ポテンシャルが最小である電荷輸送物質の含有量よりも大きく、且つ両者のイオン化ポテンシャルの差は0.2eV以下となっている。
以下、電子写真感光体12の各要素について詳述する。
導電性基体2の材質としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケルなどの金属;シート、紙、プラスチック又はガラス上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅、インジウム等の金属又は酸化インジウム・酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着した基体;シート、紙、プラスチック又はガラス上に金属箔をラミネートした基体;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散し、塗布することによって導電処理した基体などが用いられる。
また、導電性基体の形状は、ドラム状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。なお、導電性基体を金属パイプとした場合、表面は素管のままであってもよいし、事前に鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
下引き層4はアクセプター性化合物と金属酸化物微粒子を含有させて形成される。アクセプター性化合物としては所望の特性が得られるものならばいかなるものでも使用可能であるが、特にキノン基を有する化合物が好ましく用いられる。さらにアントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が好ましく用いられる。アントラキノン構造を有する化合物としては、アントラキノン以外に、ヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物などがあげられ、いずれも好ましく用いることができる。さらに具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリンなどが特に好ましく用いられる。
これらのアクセプター性化合物の付与量は所望の特性が得られる範囲であれば任意に設定できるが、好ましくは金属酸化物に対して0.01〜20質量%付与される。さらに好ましくは金属酸化物に対して0.05〜10質量%付与される。0.01質量%未満では下引き層4内の電荷蓄積改善に寄与するだけの十分なアクセプター性を付与できないため、繰り返し使用時に残留電位の上昇など維持性の悪化を招きやすい。また20質量%を超えると金属酸化物同士の凝集を引き起こしやすく、そのため下引き層4の形成時に下引き層4内で金属酸化物が良好な導電路を形成することが出来ず、繰り返し使用時に残留電位の上昇など維持性の悪化を招きやすくなるだけでなく、黒点などの画質欠陥も引き起こしやすくなる。
金属酸化物微粒子としては、下引き層4にリーク耐性獲得のために適切な抵抗を付与する観点から、102〜1011Ω・cm程度の粉体抵抗が好ましい。中でも上記抵抗値を有する酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物微粒子を用いるのが好ましい。特に酸化亜鉛は好ましく用いられる。なお、上記範囲の下限よりも金属酸化物微粒子の抵抗値が低いと十分なリーク耐性が得られず、この範囲の上限よりも高いと残留電位上昇を引き起こしてしまう懸念がある。また、金属酸化物微粒子は表面処理の異なるものあるいは粒子径の異なるものなど2種以上混合して用いることもできる。また、金属酸化物微粒子としては、比表面積が10m2/g以上のものが好ましく用いられる。比表面積値が10m2/g以下のものは帯電性低下を招きやすく、良好な電子写真特性を得にくい欠点がある。
また、金属酸化物微粒子は表面処理を施すことができる。表面処理剤としてはシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性材など所望の特性が得られるものであれば公知の材料から選択することができる。特にシランカップリング剤は良好な電子視写真特性を与えるため好ましく用いられる。さらにアミノ基を有するシランカップリング剤は下引き層に良好なブロッキング性を与える為好ましく用いられる。
本発明で好ましく用いられるアミノ基を有するシランカップリング剤としては所望の感光体特性を得られるものであればいかなる物でも用いることができるが、具体的例としてはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、シランカップリング剤は2種以上混合して使用することもできる。前記アミノ基を有するシランカップリング剤と併用して用いることができるシランカップリング剤の例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理方法は公知の方法であればいかなる方法でも使用可能であるが、乾式法あるいは湿式法を用いることができる。乾式法にて表面処理を施す場合には金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接あるいは有機溶媒まに溶解させたシランカップリング剤を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって均一に処理される。添加あるいは噴霧する際には溶剤の沸点以下の温度で行われることが好ましい。溶剤の沸点以上の温度で噴霧すると、均一に攪拌される前に溶剤が蒸発し、シランカップリング剤が局部的にかたまってしまい均一な処理ができにくい欠点があり、好ましくない。添加あるいは噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。湿式法としては、金属酸化物微粒子を溶剤中で攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、シランカップリング剤溶液を添加し攪拌あるいは分散したのち、溶剤除去することで均一に処理される。溶剤除去方法はろ過あるいは蒸留により留去される。溶剤除去後にはさらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。湿式法においては表面処理剤を添加する前に金属酸化物微粒子含有水分を除去することもでき、その例として表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法を用いることもできる。
下引き層4中の金属酸化物微粒子に対するシランカップリング剤の量は所望の電子写真特性が得られる量であれば任意に設定できる。
下引き層形成用塗布液のバインダー樹脂としては、良好な膜を形成できるもので、かつ所望の特性が得られるものであれば公知のいかなるものでも使用可能であるが、たとえばポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などを用いることができる。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。
下引き層形成用塗布液中のアクセプター性化合物と金属酸化物微粒子とバインダー樹脂との比率は所望する電子写真感光体特性を得られる範囲で任意に設定できる。
下引き層形成用塗布液には電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を用いることができる。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。シランカップリング剤は酸化亜鉛の表面処理に用いられるが、添加剤としてさらに塗布液に添加して用いることもできる。ここで用いられるシランカップリング剤の具体例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどである。ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としてはテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としてはアルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。
下引き層形成用塗布液を調製するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択することができる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いることができる。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かす事ができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
金属酸化物微粒子およびアクセプター性化合物を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの公知の方法を用いることができる。さらにこの下引き層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
このようにして得られた下引き層形成用塗布液を用い、導電性基体上に下引き層が成膜される。
また、下引き層4は、ビッカース強度が35以上とされていることが好ましい。さらに、下引き層は、厚さが15μm以上が好ましく、さらに好ましくは20μm以上50μm以下とされていることが好ましく、より好ましくは20μm以上30μm以下にすることが良い。下引き層の厚さが15μm未満であるときには、十分な耐リーク性能を得ることができず画質欠陥(色点、かぶり)が発生しやすく、また50μm以上であるときには長期使用時に残留電位が残りやすくなるため画像欠陥(ゴースト)を招きやすい欠点がある。
また、下引き層の表面粗さはモアレ像防止のために、使用される露光用レーザ波長λの1/4n(nは上層の屈折率)〜1/2λに調整される。表面粗さ調整のために下引き層中に樹脂などの粒子を添加することもできる。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等を用いることができる。
また、表面粗さ調整のために下引き層を研磨することもできる。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等を用いることもできる。
さらに、この下引き層と感光層との間に、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために中間層を設けてもよい。中間層はポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などがある。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。中でも、ジルコニウムもしくはもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
シリコン化合物の例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどである。これらのなかでも特に好ましく用いられるシリコン化合物はビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
有機チタン化合物の例としてはテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物の例としてはアルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
下引き層4は上層の塗布性改善の他に、電気的なブロキング層の役割も果たすが、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こす。したがって、下引き層4を形成する場合には、0.1〜5μmの膜厚範囲に設定される。
電荷発生層5は、電荷発生物質を真空蒸着により形成するか、有機溶剤及び結着樹脂とともに分散し塗布することにより形成される。分散液を塗布により電荷発生層5を形成する場合、電荷発生物質を有機溶剤及び結着樹脂、添加剤等とともに分散し、得られた分散液を塗布することにより電荷発生層5は形成される。
電荷発生層5に含まれる電荷発生物質としては、公知の電荷発生物質なら何でも使用できる。赤外光用ではフタロシアニン顔料、スクアリリウム、ビスアゾ、トリスアゾ、ペリレン、ジチオケトピロロピロール、可視光用としては縮合多環顔料、ビスアゾ、ペリレン、トリゴナルセレン、色素増感した酸化亜鉛微粒子等を用いる。これらの中で、特に優れた性能が得られ、好ましく使用される電荷発生物質として、フタロシアニン系顔料が用いられる。これを用いることにより、特に高感度で、繰り返し安定性の優れる電子写真感光体が得られることができる。また、フタロシアニン顔料は一般に数種の結晶型を有しており、目的にあった感度が得られる結晶型であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることができる。特に好ましく用いられる電荷発生物質としては、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロススフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、オキシチタニルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が挙げられる。
本発明で好ましく用いられるフタロシアニン顔料結晶は公知の方法で製造されるフタロシアニン顔料を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等で機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後、溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。上記の処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、さらには数種の混合系、水とこれら有機溶剤の混合系があげられる。使用される溶剤は、顔料結晶1質量部に対して、1〜200質量部、好ましくは10〜100質量部の範囲で用いる。処理温度は、−20℃〜溶剤の沸点以下、好ましくは−10〜60℃の範囲で行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤は顔料に対し0.5〜20倍、好ましくは1〜10倍用いればよい。また、公知の方法で製造されるフタロシアニン顔料結晶を、アシッドペースティングあるいはアシッドペースティングと前述したような乾式粉砕あるいは湿式粉砕を組み合わせることにより、結晶制御することもできる。アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が好ましく、濃度70〜100%、好ましくは95〜100%のものが使用され、溶解温度は、−20〜100 ℃好ましくは−10〜60 ℃の範囲に設定される。濃硫酸の量は、フタロシアニン顔料結晶の重量に対して、1〜100倍、好ましくは3〜50倍の範囲に設定される。析出させる溶剤としては、水あるいは、水と有機溶剤の混合溶剤が任意の量で用いられる。析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好ましい。
電荷発生層5に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる、また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。これらの中で特にポリビニルアセタール樹脂が好ましく用いられる
また、電荷発生物質と結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。塗布液を調整するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択することができる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いることができる。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かす事ができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
電荷発生層形成用塗布液を調製する際の分散方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。さらにこの電荷発生層5を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。かかる分散処理の際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることは高感度・高安定性に対して有効である。
さらに、電荷発生物質は電気特性の安定性向上、画質欠陥防止などのために表面処理を施すことができる。表面処理剤としてはカップリング剤などを用いることができるがこれに限定されるものではない。表面処理に用いるカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。これらのなかでも特に好ましく用いられるシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が上げられる。
また、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどの有機ジルコニウム化合物も用いることができる。また、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどの有機チタン化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などの有機アルミニウム化合物も用いることができる。
さらに、電荷発生層用塗布液には電気特性向上、画質向上などのために種々の添加剤を添加することもできる。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。シランカップリング剤の例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどである。ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としてはテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としてはアルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷輸送層6は、前述の通り、2種以上の電荷輸送物質を含んで構成されており、さらに、電荷輸送層6において、イオン化ポテンシャルが最大である電荷輸送物質の含有量はイオン化ポテンシャルが最小である電荷輸送物質の含有量よりも大きく、且つ両者のイオン化ポテンシャルの差は0.2eV以下となっている。
電荷輸送層6に含有される電荷輸送物質としては、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質。クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質、あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられ、これらの2種以上を、イオン化ポテンシャルに関する上記条件を満たすように組み合せて使用できる。
複数の電荷輸送性物質を組み合わせて電荷輸送層6に含有させる際には、イオン化ポテンシャルが最大である電荷輸送物質の含有量はイオン化ポテンシャルが最小である電荷輸送物質の含有量よりも大きいことが必要であり、更に、電荷輸送層6に含まれる電荷輸送物質全量を基準として、イオン化ポテンシャルが最大である電荷輸送物質の含有量が90質量%以上であり、イオン化ポテンシャルが最小である電荷輸送物質の含有量が0.1〜10質量%であることが好ましい。イオン化ポテンシャルが最小である電荷輸送物質の含有量が0.1質量%未満の場合、残留電荷が少なく、画像の形成部と非形成部との間の残留電荷の差を十分に小さくすることが困難となり、また、10質量%を超えると残留電荷が過剰となり、画質全体の帯電不良、光減衰不良等の問題が生じやすくなる。
また、イオン化ポテンシャルが最大である電荷輸送物質とイオン化ポテンシャルが最小である電荷輸送物質とのイオン化ポテンシャルの差は、前述の通り0.2eV以下であることが必要であり、好ましくは0.18eV以下、より好ましくは0.1eV以下である。両者のイオン化ポテンシャルの差が0.2eVを超えると、電子写真感光体の繰り返し使用に伴い蓄積される残留電荷が蓄積され、画質全体の帯電不良、光減衰不良等の問題が生じ、画質の品質を著しく低下させることになる。
電荷輸送層6の結着樹脂は公知のものであればいかなるものでも使用することが出来るが、電機絶縁性のフィルム形成可能な樹脂が好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレンーブタジエン共重合体、塩化ビニリデンーアクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂。シリコン−アルキッド樹脂、フェノールーホルムアルデヒド樹脂、スチレンーアルキッド樹脂、ポリーN―カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシーメチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等があげられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、単独又は2種類以上混合して用いられるが、特にポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が電荷輸送材との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れ好ましく用いられる。結着樹脂と電荷輸送物質との配合比(重量比)はいずれの場合も任意に設定することができるが、電気特性低下、膜強度低下に注意しなくてはならない。電荷輸送層6の厚みは5〜50μm、好ましくは10〜40μmが適当である。また直流電圧で帯電される帯電システムでは10〜20μmの膜厚がより好ましい。
電荷輸送層6は、上記の構成材料を含む塗布液を用いて塗布法により形成することができる。塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
また、電荷輸送層6には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤・光安定剤などの添加剤を添加することができる。たとえば、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤では2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル 4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。ヒンダードアミン系化合物ではビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。有機イオウ系酸化防止剤としてジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。有機燐系酸化防止剤としてトリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われ、フェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤として2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系系光安定剤として2−(−2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。その他の化合物として2,4,ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケル ジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
また感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。本発明の感光体に使用可能な電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などをあげる事ができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。また、電荷輸送層6にはシリカやPTFEのような微粒子を含有させることもできる。
また、電荷輸送層6を形成する際に、その塗布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
また、電荷輸送層6はフッ素系樹脂を含有してもよい。電荷輸送層6がフッ素系樹脂を含有する場合、フッ素系樹脂の電荷輸送層6中の含有量は、電荷輸送層全量を基準として、0.1〜40質量%が適当であり、特に1〜30質量%が好ましい。フッ素系樹脂の含有量が1質量%未満ではフッ素系樹脂粒子の分散による改質効果が十分でなく、一方、40wt%を越えると光通過性が低下し、かつ、繰返し使用による残留電位の上昇が生じてくる。
本発明で用いるフッ素系樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが望ましいが、特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
前記フッ素系樹脂の一次粒径は0.05−1μmが良く、更に好ましくは0.1−0.5μmが好ましい。一次粒径が0.05μmを下回ると分散時の凝集が進みやすくなる。又、1μmを上回ると画質欠陥が発生し易くなる。
フッ素系樹脂を含む電荷輸送層6を形成する場合、フッ素系樹脂塗布液を分散処理することが好ましい。フッ素系樹脂を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、高圧ホモジナイザー、超音波分散機、コロイドミル、衝突式メディアレス分散機、貫通式メディアレス分散機等の方法を用いることができる。
保護層7は、積層構造からなる電子写真感光体7における帯電時の電荷輸送層6の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する為に用いられる。
保護層7は、硬化性樹脂、電荷輸送性化合物を含む樹脂硬化膜、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成された膜などから成る。硬化性樹脂としては公地の樹脂であれば何でも使用できるが、例えばフェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シロキサン樹脂等が挙げられる。
前記電荷輸送性を有する化合物を含んで形成される保護層7としては、下記一般式(I)で表される化合物を含んで形成される硬化膜が好ましい。
F−[D−Si(R1)3−a(OR2)a]b (I)
一般式(I)中、Fは光機能性化合物から誘導される有機基を示し、Dは2価の基を示し、R1は水素原子、アルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、R2は水素原子、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、aは1〜3の整数を示し、bは1〜4の整数を表す。
一般式(I)中、−Si(R1)3−a(OR2)aで示される基は加水分解性基を有する置換ケイ素基である。この置換ケイ素基は、Si基により、互いに架橋反応を起こして、3次元的なSi−O−Si結合、即ち無機ガラス質ネットワークを形成する役割を担っている。
一般式(I)中、Fで示される有機基は、光電特性、具体的には特に光キャリア輸送特性を有するユニットであり、従来、電荷輸送物質として知られている構造をそのまま用いることができる。Fとして具体的には、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物、などの正孔輸送性を有する化合物骨格、およびキノン系化合物、フルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物、などの電子輸送性を有する化合物骨格を用いることができる。
一般式(I)中、Dで示される2価の基は、光電特性を付与するためのF部位と、3次元的な無機ガラス質ネットワークに直接結合で結びつくA部位とを結びつける役割を担い、かつ、堅さの反面もろさも有する無機ガラス質ネットワークに適度な可とう性を付与し、膜としての強靱さを向上させるという働きを担う構造を表す。Dとして具体的には、−CnH2n−、CnH2n−2−、−CnH2n−4−で表わされる2価の炭化水素基(ここで、nは1〜15の整数を表す。)、−COO−、−S−、−O−、−CH2−C6H4−、−N=CH−、−(C6H4)−(C6H4)−、およびこれらの組み合わせたものや置換基を導入したものなどが挙げられる。
一般式(I)中、bは1〜4の整数であり、好ましくは2以上の整数である。bが2以上であると、一般式(I)で表される光機能性有機ケイ素化合物がSi原子を2つ以上含むことになり、無機ガラス質ネットワークを形成し易くなり、機械的強度が向上する。
一般式(I)中のFとしては、下記一般式(II)で表される構造を有するものが好ましい。下記一般式(II)で表わされる構造は正孔輸送能を有する化合物から誘導されるものであり、特に優れた光電特性及び機械特性の点で好ましい。
一般式(II)中、Ar1〜Ar4はそれぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基を示す。また、kは0又は1を示し、kが0のときAr5は置換若しくは未置換のアリール基を示し、kが1のときAr5はアリーレン基を示す。そして、Ar1〜Ar5のうち1〜4個は、一般式(I)中の−D−Si(R1)3−a(OR2)aとの結合手を有する。
一般式(II)中のAr1〜Ar5で示されるアリール基としては、具体的には、下記表1に示すものが好ましい。
上記式(II−7)で示されるアリール基におけるArとしては、下記式(II−8)又は(II−9)で示されるアリール基が好ましい。
また、上記式(II−7)で示されるアリール基におけるZとしては、下記式(VI−10)又は(II−17)で示される2価の基が好ましい。
ここで、上記式(II−1)〜(II−17)中、R16は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数7〜10のアラルキル基を、R17〜R23はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基又はハロゲン原子を、m及びsはそれぞれ独立に0又は1を、q及びrはそれぞれ独立に1〜10の整数を、tはそれぞれ独立に1〜3の整数を示す。
また、上記式(II−1)〜(II−7)中、Xは一般式(I)中の−D−Si(R1)3−a(OR2)aを示し、mはアリール基に置換した−D−Si(R1)3−a(OR2)aの数を意味する。
また、上記式(II−16)〜(II−17)中、Wは下記式(II−18)〜(II−26)で示される2価の基を示す。なお、式(II−25)中、uは0〜3の整数を示す。
一般式(I)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、一般式(I)で表される化合物と共に、硬化膜の機械的強度をさらに向上させる目的で、下記一般式(III)で表される化合物を併用してもよい。
B−[Si(R1)3−a(OR2)a]n (III)
一般式(III)中、Bは枝分かれを含んでもよい2価以上の炭化水素基、2価以上のフェニル基、−NH−、から選ばれる基の少なくとも1つ、或いはこれらの組み合わせから構成される基を示す。aは1〜3の整数、nは2以上の整数をそれぞれ示す。
一般式(III)で表される化合物は、−Si(R1)3−a(OR2)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を有している。この一般式(III)で表される化合物において、−Si(R1)3−a(OR2)aで表される置換ケイ素基のSi基の部分は、一般式(I)で表される化合物との反応又は一般式(III)で表される化合物同士と反応により、Si−O−Si結合となって3次元的な架橋硬化膜を形成する。一般式(I)で表される化合物も同様のSi基を有しているので、それのみで硬化膜を形成することも可能であるが、一般式(III)で表される化合物は2個以上の−Si(R1)3−a(OR2)aの両端にアルコキシシリル基を有しているので硬化膜の架橋構造が3次元的になり易く、より強い機械強度を有するようになると考えられる。また、一般式(I)で表される化合物におけるD部分と同様、硬化膜に適度な可とう性を与える役割もある。
一般式(III)で表される化合物としては、下記表5に示されるものが好ましい。
表5中、T1、T2はそれぞれ独立に枝分かれしていてもよい2価あるいは3価の炭化水素基を表す。Aは−Si(R1)3−a(OR2)aで表される加水分解性基を有する置換ケイ素基を表す。h、i、jはそれぞれ独立に1〜3の整数を表し、かつ、分子内のAの数が2以上となるように選ばれる。
一般式(III)で表される化合物の具体例を表6に示す。なお、表中、Meはメチル基、Etはエチル基、i−Prはイソプロピル基をそれぞれ示す。
一般式(I)で表される化合物と共に、さらに架橋反応可能な他の化合物を併用しても良い。このような化合物として、各種シランカップリング剤、および市販のシリコン系ハードコート剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、等が挙げられる。
市販のハードコート剤としては、KP−85、CR−39、X−12−2208、X−40−9740、X−41−1007、KNS−5300、X−40−2239 (以上、信越シリコーン社製)、およびAY42−440、AY42−441、AY49−208 (以上、東レダウコーニング社製)、などが挙げられる。
また、保護層7には、表面潤滑性を付与する目的でフッ素原子含有化合物を添加できる。表面潤滑性を向上させることによりクリーニング部材との摩擦係数が低下し、耐摩耗性を向上させることができる。また、感光体表面に対する放電生成物、現像剤および紙粉などの付着を防止する効果も有し、感光体の寿命向上に役立つ。
前記フッ素含有化合物としては、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素原子含有ポリマーをそのまま添加するか、あるいはそれらポリマーの微粒子を添加することができる。また、一般式(I)で表される化合物により形成される硬化膜の場合、フッ素含有化合物としては、アルコキシシランと反応できるものを添加し、架橋膜の一部として構成するのが望ましい。そのようなフッ素原子含有化合物の例として、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
前記フッ素含有化合物の添加量としては、20質量%以下とすることが好ましい。これを越えると、架橋硬化膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
保護層7は、上記構成により十分な耐酸化性を有しているが、さらに強い耐酸化性を付与する目的で、酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の添加量としては15質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、などが挙げられる。
保護層7には公知の塗膜形成に用いられるその他の添加剤を添加することも可能であり、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、界面活性剤、など公知のものを用いることができる。
保護層7を形成するためには、前述の各種材料、および各種添加剤の混合物を感光層の上に塗布し、加熱処理する。これにより、3次元的に架橋硬化反応を起こし、強固な硬化膜を形成する。加熱処理の温度は、下層である感光層に影響しなければ特に制限はないが、室温〜200℃、特に100〜160℃に設定するのが好ましい。
保護層7の形成において、架橋硬化反応を行う際には無触媒で行なってもよいが、適切な触媒を用いてもよい。触媒としては、塩酸、硫酸、燐酸、蟻酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、等の酸触媒、アンモニア、トリエチルアミン等の塩基、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、オクエ酸第一錫等の有機錫化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等の有機チタン化合物、有機カルボン酸の鉄塩、マンガン塩、コバルト塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。
保護層7には、塗布を容易にするため、必要に応じて溶剤を添加して用いることができる。具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル、等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
保護層7の形成において、塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。保護層7の膜厚は0.5〜20μm、特に2〜10μmであることが望ましい。
電子写真感光体12において、より高解像度を得る観点から、電荷発生層5よりも上層の機能層の膜厚は50μm以下とすることが好ましく、40μm以下とすることがより好ましい。なお、当該機能層が薄膜の場合は導電性粒子を分散した下引き層4と高強度な保護層7との双方を設けることが好ましい。
次に本発明の第2実施形態について説明する。
図6は本発明の画像形成装置の第2実施形態を示す概略構成図である。図6に示す画像形成装置200は、中間転写方式の画像形成装置である点、転写装置が定電圧制御方式により転写部材に直流電流を印加するものである点、及び転写工程が行われた後の電子写真感光体を除電する除電装置を備えていない点が図1に示した画像形成装置と共通するが、図6に示した画像形成装置においてはタンデム方式が採用されている点で図1に示した画像形成装置と相違する。
また、画像形成装置200に搭載されている電子写真感光体401a〜401dは、それぞれドラム状の導電性基体の外周面に感光層を備えるものであり、第1実施形態にかかる電子写真感光体12と同様の構成を有している。すなわち、電子写真感光体401a〜401dそれぞれの感光層は電荷発生層と電荷輸送層とが別個に設けられたものであり、電荷輸送層は2種以上の電荷輸送物質を含んで構成されている。そして、該電荷輸送層において、イオン化ポテンシャルが最大である電荷輸送物質の含有量はイオン化ポテンシャルが最小である電荷輸送物質の含有量よりも大きく、且つ両者のイオン化ポテンシャルの差は0.2eV以下となっている。
図6に示した画像形成装置において、ハウジング400内において4つの電子写真感光体401a〜401d(例えば、電子写真感光体401aがイエロー、電子写真感光体401bがマゼンタ、電子写真感光体401cがシアン、電子写真感光体401dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成可能である)が中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。
電子写真感光体401a〜401dのそれぞれは所定の方向(紙面上は反時計回り)に回転可能であり、その回転方向に沿って帯電ロール402a〜402d、現像装置404a〜404d、1次転写ロール410a〜410d、クリーニングブレード415a〜415dが配置されている。現像装置404a〜404dのそれぞれにはトナーカートリッジ405a〜405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーが供給可能であり、また、1次転写ロール410a〜410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体401a〜401dに当接している。
さらに、ハウジング400内の所定の位置には面発光レーザレイを光源に用いた露光装置403が配置されており、露光装置403から出射されたレーザ光を帯電後の電子写真感光体401a〜401dの表面に照射することが可能となっている。これにより、電子写真感光体401a〜401dの回転工程において帯電、露光、現像、1次転写、クリーニングの各工程が順次行われ、各色のトナー像が中間転写ベルト409上に重ねて転写される。
中間転写ベルト409は駆動ロール406、バックアップロール408及びテンションロール407により所定の張力をもって支持されており、これらのロールの回転によりたわみを生じることなく回転可能となっている。また、2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介してバックアップロール408と当接するように配置されている。バックアップロール408と2次転写ロール413との間を通った中間転写ベルト409は、例えば駆動ロール406の近傍に配置されたクリーニングブレード416により清浄面化された後、次の画像形成プロセスに繰り返し供される。
また、ハウジング400内の所定の位置にはトレイ(被転写体トレイ)411が設けられており、トレイ411内の紙等の被転写体500が移送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との間、さらには相互に当接する2個の定着ロール414の間に順次移送された後、ハウジング400の外部に排紙される。
このように、定電圧制御方式により転写電流を印加する転写装置410a〜410dを備え、且つ除電装置を備えていない画像形成装置200に、電荷輸送層における電荷輸送物質の含有量及びイオン化ポテンシャルが上記特定の条件を満たす電子写真感光体401a〜401dを適用することによって、ゴーストの発生を十分に抑制して良好な画質を得ることが可能となる。
また、上述のようにゴーストの発生を抑制できることから、本実施形態にかかる画像形成装置においては、画質の向上と画像形成の高速化との両立が可能となる。例えば、プロセススピードを150mm/s以上、更には200mm/sとした場合であっても、ゴーストの発生を十分に抑制して良好な画質を得ることができる。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図7は本発明の画像形成装置の第3実施形態を示す概略構成図である。図7に示す画像形成装置は、複数の中間転写ドラムを用いた画像形成装置である点が図6に示した画像形成装置と相違する。
画像形成装置に搭載されている電子写真感光体614Y、614M、614C、614Kは、それぞれドラム状の導電性基体の外周面に感光層を備えるものであり、第2実施形態にかかる電子写真感光体と同様の構成を有している。
図7に示すように、画像形成装置600は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色の画像を形成する画像形成ユニット612Y、612M、612C、612Kが、所定の間隔をおいて並列状に配置されている。なお、ここでは、画像形成ユニット612Y、612M、612C、612Kはほぼ同構成とされているので、イエロー色に対応する画像形成ユニット612Yを例にとって説明する。
画像形成ユニット612Yは、感光体ドラム614Yを備えており、感光体ドラム614Yは矢印Aの方向に図示しない駆動手段によって所定のスピードで回転駆動されるようになっている。
感光体ドラム614Yには、後述する帯電装置の帯電ロール616Yが接触するように配置されており、感光体ドラム614Yの表面を帯電させる。
感光体ドラム614Yの図中左側には、図示しない光走査装置が配置されており、感光体ドラム614Yにレーザ光618Yを照射する。これによって、感光体ドラム614Yの表面に静電潜像が形成される。
また、レーザ光の照射位置よりも感光体ドラム614Yの回転方向下流側には、現像器620Yが配置されている。この現像器620Yは、感光体ドラム614Yの表面に形成された静電潜像を、イエロー色のトナーによって顕像化して、表面にトナー像を形成する。
感光体ドラム614Yのトナー像は、第1の一次中間転写ドラム622へ一次転写され、イエロー色とマゼンダ色のカラー像となり、二次中間転写ドラム626へ二次転写されることで、第2の二次中間転写ドラム624から転写されたシアン色、ブラック色のトナー像と重なり、イエロー色、マゼンダ色、シアン色、ブラック色のフルカラートナー像となる。
ここで、図示しない用紙カセットから、記録紙500が用紙搬送ロール630を経て、二次中間転写ドラム626と転写ロール628のニップ部に送り込まれ、記録紙500の表面に、フルカラートナー像が静電転写される。このフルカラートナー像が転写した記録紙Pは、定着器632で加熱加圧されることによりトナー像が定着する。
このように、定電圧制御方式により転写電流を印加する中間転写ドラムを備え、且つ除電装置を備えていない画像形成装置に、電荷輸送層における電荷輸送物質の含有量及びイオン化ポテンシャルが上記特定の条件を満たす電子写真感光体を適用することによって、ゴーストの発生を十分に抑制して良好な画質を得ることが可能となる。
なお、本発明の画像形成装置は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記では、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態としてカラー画像形成装置の例を示したが、本発明の画像形成装置は、電子写真感光体、帯電装置、現像装置及び転写装置を含む画像形成ユニットを1つ備える白黒画像形成装置であってもよい。
また、上記第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態にかかる画像形成装置においては中間転写方式が採用されているが、本発明の画像形成装置は、中間転写体を有さず、電子写真感光体上に形成されたトナー像を紙などの被転写媒体に直接転写する方式のものであってもよい。
100、200、600…画像形成装置、12、401a〜401d…電子写真感光体、2…導電性基体、3…感光層、4…下引層、5…電荷発生層、6…電荷輸送層、14…帯電器、15a〜15c…電源、16…露光装置、18…現像装置、24…中間転写ベルト、32,42…転写装置、44…定着装置、400…ハウジング、402a〜402d…帯電ロール、403…レーザ光源(露光装置)、404a〜404d…現像装置、405a〜405d…トナーカートリッジ、406…駆動ロール、407…テンションロール、408…バックアップロール、409…中間転写ベルト、410a〜410d…1次転写ロール、411…トレイ(被転写媒体トレイ)、412…移送ロール、413…2次転写ロール、414…定着ロール、415a〜415d…クリーニングブレード、416…クリーニングブレード、417、500…被転写媒体、612Y、612M、612C、612K…画像形成ユニット、614Y、614M、614C、614K…電子写真感光体、616Y、616M、616C、616K…帯電ロール、618Y、618M、618C、618K…レーザ光、620Y、620M、620C、620K…現像器、622…一時中間転写ドラム、626…二次中間転写ドラム、628…転写ロール、630…用紙搬送ロール、632…定着器。