JP5982769B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
導電性基材と、
前記導電性基材上に設けられ、少なくとも1種のカップリング剤で表面処理されている酸化亜鉛粒子、下記一般式(1)で表される構造を有する反応性アクセプター物質、及び結着樹脂を含有する下引き層であって、該下引き層100mgにつき、前記反応性アクセプター物質を溶解する有機溶剤10mlに溶解したときに抽出される前記反応性アクセプター物質の量が1×10−5mol/L以上1×10−4mol/L以下の範囲にある下引き層と、
前記下引き層上に設けられた感光層と、
を有する電子写真感光体。
(一般式(1)中、nは1以上3以下の整数を表し、Rは炭素数1以上10以下のアルコキシ基を表す。)
請求項2に係る発明は、
前記反応性アクセプター物質の量が2×10 −5 mol/L以上8×10 −5 mol/L以下の範囲にある請求項1に記載の電子写真感光体。
請求項3に係る発明は、
前記カップリング剤が、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、及びアルミネート系カップリング剤から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
請求項4に係る発明は、
前記酸化亜鉛粒子の平均1次粒径が、100nm以下である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
請求項5に係る発明は、
前記下引き層の厚みが15μm以上である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
請求項6に係る発明は、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の電子写真感光体を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
請求項7に係る発明は、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、前記酸化亜鉛粒子がカップリング剤で表面処理されていない場合に比べ、連続して画像を形成したときに、非画像部における黒点の発生が抑制される電子写真感光体が提供される。
請求項3に係る発明によれば、前記カップリング剤が、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、又はアルミネート系カップリング剤でない場合に比べ、連続して画像を形成したときに、非画像部における黒点の発生が抑制される電子写真感光体が提供される。
請求項4に係る発明によれば、前記酸化亜鉛粒子の平均1次粒径が、100nmを超える場合に比べ、連続して画像を形成したときに、濃度ムラの発生が抑制される電子写真感光体が提供される。
請求項5に係る発明によれば、前記下引き層の厚みが、15μm未満である場合に比べ、連続して画像を形成したときに、非画像部における黒点の発生が抑制される電子写真感光体が提供される。
請求項6、7に係る発明によれば、電子写真感光体の下引き層から抽出される反応性アクセプター物質の量が前記範囲外である場合に比べ、連続して画像を形成したときに、非画像部における黒点の発生が抑制されるプロセスカートリッジ、画像形成装置が提供される。
例えば、印刷市場向け電子写真感光体(適宜、感光体と記す)に対しては、画質安定性に関して特に要求が厳しく、1枚目と1000枚目の濃度に変化がないこと、前サイクルの履歴による濃度変化(いわゆるゴースト)、あるいは同じ画像を数千枚の単位で書き続けた場合に次サイクルの濃度変化(いわゆる焼きつき)をできるだけ小さくすることが要求される。そのためには、感光体として電位のサイクル変動や前サイクルの履歴をできるだけ小さくする必要がある。また、オフィス用途の画像形成装置でも、感光体の小径化と高速化が進められ、ゴーストや焼き付きによる濃度変化の抑制が要求される。
一方、連続して画像を形成したときに非画像部における黒点(いわゆるかぶり)の発生の抑制が望まれる。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基材と、前記導電性基材上に設けられ、金属酸化物粒子、反応性アクセプター物質、及び結着樹脂を含有する下引き層であって、該下引き層100mgにつき、前記反応性アクセプター物質を溶解する有機溶剤10mlに溶解したときに抽出される前記反応性アクセプター物質の量が1×10−5mol/L以上1×10−4mol/L以下の範囲にある下引き層と、前記下引き層上に設けられた感光層と、を有する。
また、図2に示すように、感光層3は電荷発生層31と電荷輸送層32との2層構造でもよい。さらに、図3及び図4に示すように、感光層3上又は電荷輸送層32上に保護層5を設けてもよい。また、図5及び図6に示すように、下引き層2と感光層3との間又は下引き層2と電荷発生層31との間に中間層4を設けてもよい。
導電性基材1としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケルなどの金属ドラムとしてもよいし、シート、紙、プラスチック又はガラス上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケルークロム、ステンレス鋼、銅、インジウム等の金属を蒸着したり酸化インジウム、酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着したものとしてもよいし、金属箔をラミネートしたり、或いは、カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等を結着樹脂に分散し、塗布することによって導電処理したもの等が用いられる。
また、導電性基材1の形状はドラム状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。尚、導電性基材を金属パイプとした場合、表面は素管のままであってもよいし、事前に鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
下引き層2は、前記導電性基材上に設けられ、金属酸化物粒子、反応性アクセプター物質、及び結着樹脂を含有し、下引き層100mgにつき、前記反応性アクセプター物質を溶解する有機溶剤10mlに溶解したときに抽出される前記反応性アクセプター物質の量が1×10−5mol/L以上1×10−4mol/L以下の範囲にある。
非画像部における黒点の発生をより効果的に抑制する観点から、反応性アクセプター物質の上記抽出量は、好ましくは、2x10−5mol/L以上8x10−5mol/L以下である。
金属酸化物粒子としては、望ましくは粒径が100nm以下、特に10nm以上100nm以下の導電粉が望ましく用いられる。ここでいう粒径とは、平均1次粒径を意味する。金属酸化物粒子の平均1次粒径は、SEM(走査型電子顕微鏡)により観察し、測定される値である。
金属酸化物粒子の粒径が10nm以下の場合、金属酸化物粒子の表面積が大きくなり、分散液の均一性が低下する可能性がある。一方、金属酸化物粒子の粒径が100nmを越える場合、2次粒子、あるいはそれ以上の高次粒子は1μm程度の粒径になると予想され、下引き層内で金属酸化物粒子の存在する部分と存在しない部分、いわゆる海島構造となりやすく、ハーフトーン濃度の不均一など画質欠陥が発生する可能性がある。
具体的なカップリング剤の例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミネート系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、ビス(ジオクチルピロホフェート)、イソプロピルトリ(N―アミノエチルーアミノエチル)チタネート等のチタネート系カップリング剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらのカップリング剤は2種以上を混合して使用してもよい。
反応性アクセプター物質とは、下引き層2に含有される金属酸化物粒子の表面と化学反応する材料、あるいは金属酸化物粒子の表面に吸着する材料を意味し、金属酸化物粒子の表面に選択的に存在し得る材料を指す。本実施形態に係る電子写真感光体では、金属酸化物粒子、反応性アクセプター物質、及び結着樹脂を含有する下引き層100mgにつき、前記反応性アクセプター物質を溶解する有機溶剤10ml溶解したときに抽出される前記反応性アクセプター物質の量が1×10−5mol/L以上1×10−4mol/L以下の範囲にある。
下引き層から反応性アクセプター物質を抽出する条件としては、導電性基材から下引き層の一部を削り取り、下引き層100mgあたり10mlの有機溶剤に浸漬させ、有機溶剤中の反応性アクセプター濃度が一定となった量を抽出量とする。通常は、下引き層を有機溶剤に浸漬後、48時間放置すればよい。なお、超音波を照射して反応性アクセプター物質の溶解を促進してもよい。
導電性基材から削り取った下引き層の破片を有機溶剤に浸漬させると、金属酸化物粒子に吸着している反応性アクセプター物質や結着樹脂は有機溶剤に溶解しないが、金属酸化物粒子に吸着していない反応性アクセプター物質は溶解して有機溶剤が着色する。可視・紫外分光法(UV−Vis)吸収スペクトルによりあらかじめ検量線を作成しておくことで、下引き層100mgあたりの反応性アクセプター物質の抽出量が求められる。
結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物などが用いられる。
下引き層形成用塗布液を得るために用いる溶剤としては前述した結着樹脂を溶解する公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系の溶剤が用いられる。これらの溶剤は単独あるいは2種類以上混合して用いてもよい。
下引き層と感光層との間に、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために中間層4を設けてもよい。
中間層4を構成する材料としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などがある。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いてもよい。中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は、残留電位が低く、環境による電位変化が少なく、繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
感光層の電荷発生層31は、電荷発生物質を真空蒸着して形成するか、電荷発生物質を、有機溶剤、結着樹脂、添加剤等とともに分散して塗布することにより形成される。
本実施形態において、電荷発生材料としては、公知の電荷発生物質を使用してよいが、特に優れた性能が得られ、望ましく使用される電荷発生物質として、フタロシアニン系顔料が用いられる。それにより、特に高感度で、繰り返し安定性の優れる電子写真感光体が得られる。また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、目的にあった感度が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いてもよい。特に望ましく用いられる電荷発生材料の具体例を以下に示す。
これらの中でも、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.6゜、18.3゜、23.2゜、24.2゜、27.3゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶がよい。
溶剤は、顔料結晶に対して、1部以上200部以下、望ましくは10部以上100部以下の範囲(質量比)で用いる。
処理温度は、0℃以上溶剤の沸点以下、望ましくは10℃以上60℃以下の範囲で行う。
また、公知の方法で製造される顔料結晶を、アシッドペースティングあるいはアシッドペースティングと前述したような乾式粉砕あるいは湿式粉砕を組み合わせることにより、結晶制御される。アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が望ましく、濃度70%以上100%以下、望ましくは95%以上100%以下のものが使用され、溶解温度は、−20℃以上100℃以下、望ましくは0℃以上60℃以下の範囲に設定される。濃硫酸の量は、顔料結晶の質量に対して、1倍以上100倍以下、望ましくは3倍以上50倍以下の範囲に設定される。析出させる溶剤としては、水あるいは、水と有機溶剤の混合溶剤が任意の量で用いられる。析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが望ましい。
望ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。これらの中で特にポリビニルアセタール樹脂が望ましく用いられる。
分散に用いる溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かす溶剤であれば、いかなるものでも使用してもよい。
分散の際、粒子を0.5μm以下、望ましくは0.3μm以下、さらに望ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いられる。
電荷発生層の厚みは、望ましくは0.01μm以上5μm以下、より望ましくは0.05μm以上2.0μm以下の範囲に設定される。
電荷輸送層に含有される電荷輸送物質としては、公知のものならいかなるものでも使用してよいが、下記に示すものが例示される。2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質、あるいは以上に示した化合物に由来する基を主鎖又は側鎖に有する重合体などがあげられる。これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合せて使用される。
結着樹脂と電荷輸送物質との配合比(質量比)は、いずれの場合も電気特性低下、膜強度低下に注意して設定すればよい。
電荷輸送層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。塗布に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いられる。
たとえば、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われ、フェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果が得られる。
ベンゾフェノン系光安定剤として2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系系光安定剤として2−(−2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(−2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル−)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。その他の化合物として2,4,ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
本実施形態の電子写真感光体は、必要に応じて感光層上に保護層5を設けてもよい。この保護層は、積層構造からなる感光体では帯電時の電荷輸送層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する為に用いられる。この保護層は、公知の保護層が用いられる。
保護層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
塗布に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いてよいが、下層を溶解しにくい溶剤を用いることが望ましい。
次に、本実施形態の画像形成装置について説明する。
図7は本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図7に示す画像形成装置100は、回転可能に設けられた本実施形態のドラム状(円筒状)の電子写真感光体7を備えている。電子写真感光体7の周囲には、電子写真感光体7の外周面の移動方向に沿って、帯電装置8、露光装置10、現像装置11、転写装置12、クリーニング装置13及び除電器(イレーズ装置)14がこの順で配置されている。
帯電装置8は、コロナ帯電方式の帯電装置であり、電子写真感光体7を帯電させる。帯電装置8は、電源9に接続されている。帯電装置8としては、例えば、導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が挙げられる。また、例えば、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も挙げられる。
露光装置10は、帯電した電子写真感光体7を露光して電子写真感光体7上に静電潜像を形成する。露光装置10としては、例えば、電子写真感光体7の表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体7の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザーの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよいが、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、露光装置10としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
現像装置11は、静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する。現像剤は、重合法により得られる体積平均粒子径3μm以上9μm以下のトナー粒子を含有することが望ましい。現像装置11は、例えば、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を収容する容器内に、現像領域で電子写真感光体7に対向して配置された現像ロールが備えられた構成が挙げられる。
転写装置12は、電子写真感光体7上に現像されたトナー像を被転写媒体に転写する。転写装置12としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
クリーニング装置13は、転写後の電子写真感光体7上に残存するトナーを除去する。クリーニング装置13は、電子写真感光体7に対して線圧10g/cm以上150g/cm以下で接するブレード部材を有することが望ましい。クリーニング装置13は、例えば、筐体と、クリーニングブレードと、クリーニングブレードの電子写真感光体7回転方向下流側に配置されるクリーニングブラシと、を含んで構成される。また、クリーニングブラシには、例えば、固形状の潤滑剤が接触して配置される。
除電装置(イレーズ装置)14は、トナー像を転写した後の電子写真感光体7の表面に除電光を照射して、電子写真感光体の表面に残留する電位を除電する。除電装置14は、例えば、電子写真感光体7の軸方向幅方向全域にわたって除電光を照射して、電子写真感光体7の表面に生じた露光装置10による露光部と非露光部との電位差を除去する。なお、除電装置14が設けられていないものもある。
画像形成装置100は、転写工程後の被転写媒体にトナー像を定着させる定着装置15を備えている。定着手段としては、特に制限はなく、それ自体公知の定着器、例えば熱ローラ定着器、オーブン定着器等が挙げられる。
上記接触帯電用部材は、感光体表面に接触するように配置され、電圧を感光体に直接印加し、感光体表面を予め定めた電位に帯電させるものである。この接触帯電用部材にはアルミニウム、鉄、銅などの金属、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子材料、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、フッソゴム、スチレンーブタジエンゴム、ブタジエンゴム等のエラストマー材料にカーボンブラック、沃化銅、沃化銀、硫化亜鉛、炭化けい素、金属酸化物などの金属酸化物粒子を分散したものなどが用いられる。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、前記した本実施形態に係る電子写真感光体7を備えたプロセスカートリッジを画像形成装置に着脱させる形態であってもよい。
本実施形態に係るプロセスカートリッジの構成は、少なくとも、前記本実施形態に係る電子写真感光体7を備えてえればよく、電子写真感光体7のほかに、例えば、帯電装置8、露光装置10、現像装置11、転写装置12、及びクリーニング装置13、及び除電装置14から選択される少なくとも1つの構成部材を備えていてもよい。
酸化亜鉛(商品名:MZ−300 テイカ株式会社製):100質量部、シランカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシランの10質量%のトルエン溶液:5質量部、トルエン:200質量部を混合し、攪拌を行い、2時間還流を行った。その後10mmHgにてトルエンを減圧留去し、135℃で2時間焼き付け処理を行った。
下記表1に示した条件以外は表面処理例1と同様にして表面処理を行った。
前記表面処理例1で表面処理した酸化亜鉛:33質量部とブロック化イソシアネート スミジュール3175(住友バイエルンウレタン社製):6質量部、前記アクセプター「1−6」:0.7質量部、メチルエチルケトン:25質量部を30分間混合し、その後ブチラール樹脂 エスレックBM−1(積水化学社製):5質量部とシリコーンボール トスパール120(東芝シリコーン社製):3質量部を添加し、サンドミルにて2時間の分散を行い、分散液(下引き層形成用塗布液)を得た。さらに、この塗布液を浸漬塗布法にて直径84mm、長さ347、肉厚1mmのアルミニウム基材上に塗布し、185℃、35分の乾燥硬化を行い、厚さ20μmの下引き層を得た。
さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1、1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン:4質量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量4万):6質量部とを、テトラヒドロフラン:25質量部、クロルベンゼン:5質量部を加えて溶解した塗布液を電荷発生層上に形成し、130℃、40分の乾燥を行うことにより膜厚35μmの電荷輸送層を形成した。
30万枚の画像をプリントし、プリントしながら帯電電位、露光後電位、残留電位をDocColor 8000AP Digital Pressに内蔵の電位計で測定した。
○: 黒点なし
△: 若干発生するが、実使用上問題なし
×: 黒点発生、使用に耐えられない
○: 濃度ムラなし
△: 濃度ムラ発生するが、実使用上問題なし
×: 濃度ムラ発生、使用に耐えられない
下引き層の形成において、前記表面処理例2乃至7で表面処理した酸化亜鉛、酸化チタン、又は酸化スズを用いた以外は参考例1と同様にして感光体を作製し、参考例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。
下引き層の形成において、酸化亜鉛としてMZ−300(テイカ社製:表面処理なし)を用いた以外は参考例1と同様にして感光体を作製し、参考例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。
下引き層の形成において、アクセプターとして前記「1−6」を0.2質量部用いた以外は参考例1と同様にして感光体を作製し、参考例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。
下引き層の形成において、アクセプターとして前記「1−8」を1質量部用いた以外は参考例1と同様にして感光体を作製し、参考例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。
下引き層の形成において、アクセプターとして前記「1−9」を1.5質量部用いた以外は参考例1と同様にして感光体を作製し、参考例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。
下引き層の形成において、アクセプターとして前記「1−13」を1質量部用いた以外は参考例1と同様にして感光体を作製し、参考例1と同様の評価を行った。結果を表2に示した。
Claims (7)
- 導電性基材と、
前記導電性基材上に設けられ、少なくとも1種のカップリング剤で表面処理されている酸化亜鉛粒子、下記一般式(1)で表される構造を有する反応性アクセプター物質、及び結着樹脂を含有する下引き層であって、該下引き層100mgにつき、前記反応性アクセプター物質を溶解する有機溶剤10mlに溶解したときに抽出される前記反応性アクセプター物質の量が1×10−5mol/L以上1×10−4mol/L以下の範囲にある下引き層と、
前記下引き層上に設けられた感光層と、
を有する電子写真感光体。
(一般式(1)中、nは1以上3以下の整数を表し、Rは炭素数1以上10以下のアルコキシ基を表す。) - 前記反応性アクセプター物質の量が2×10 −5 mol/L以上8×10 −5 mol/L以下の範囲にある請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記カップリング剤が、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、及びアルミネート系カップリング剤から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記酸化亜鉛粒子の平均1次粒径が、100nm以下である請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記下引き層の厚みが15μm以上である請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の電子写真感光体を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置。
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