JP7035747B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置。 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置。 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置としては、電子写真感光体を用いて帯電、静電潜像形成、現像、転写、クリーニングなどの工程を順次行う装置が広く知られている。
電子写真感光体としては、アルミニウムなどの導電性を有する基体上に、電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型の感光体、又は、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を同一の層が果たす単層感光体が知られている。
ここで、特許文献1には、「ポリナフチルジイミド重合体の粒子を含有する中間層用塗料を用いて導電性支持体上に中間層を形成する工程(i)と、該中間層上に感光層を形成する工程(ii)とを有する電子写真感光体の製造方法」が開示されている。
特許文献2には、「正孔輸送物質を含有する正孔輸送層と、該電荷発生物質に対して21~50質量%の電子輸送物質を含有する該電荷発生層と、を有する電子写真感光体と、該電子写真感光体を用いた電子写真装置」が開示されている。また、含フッ素ビスイミド化合物等の電子輸送物質を添加することで、ゴーストを改善することも、開示されている。
特許文献3には、「支持体と、電子輸送層と、感光層とをこの順に有する電子写真感光体であって、該電子輸送層は、重合性官能基を有する電子輸送物質、重合性官能基を有する熱可塑性樹脂及び架橋剤を含む組成物の硬化物であり、かつ、X線光電子分光法で分析したときに所定の範囲の標準偏差を有する炭素原子、窒素原子及び酸素原子を含有する電子写真感光体」が開示されている。
特許文献4には、「2つのイミド基の窒素原子に対し、置換基を有するフェニル基又はヒドロキシアルキル基が結合した構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物」が開示されている。また、該ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を、中間層に含んでよいことも、開示されている。
特許文献5には、「2つのイミド基の窒素原子に対し、置換基を有するフェニル基が結合した構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物」が開示されている。
また、特許文献6には、「電荷発生物質を含有する電荷発生層と、該電荷発生層上に設けられた正孔輸送物質を含有する正孔輸送層と、を有し、該電荷発生層が電子輸送物質を含有することを特徴とする電子写真感光体」が開示されている。また、電子輸送物質として、チオフェン基を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を用いてもよいことも、開示されている。
特許文献7には、「導電性支持体上に、感光層を有し、且つ、感光層中にチアゾール基又はベンゾチアゾール基を有するペリレンテトラカルボン酸ジイミドを含む、電子写真感光体」が開示されている。
特許第4411232号 特許第4498123号 特許第5975942号 特許第5147274号 特許第5064815号 特開2005-208618号公報 特開平07-253682号公報
しかしながら、下引層を備える電子写真感光体では、繰り返し画像を形成したときに残留電位の上昇が生じる傾向にある。
そこで、本発明では、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、イミド化合物として化合物(A)、化合物(B)又は化合物(C)を含む下引層と、を備える電子写真感光体である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときの残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体を提供することを課題とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1> 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた感光層と、
前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を少なくとも1種含む電荷輸送材料を有する下引層と、
を備える電子写真感光体。
Figure 0007035747000001
(一般式(1)及び一般式(2)中、R10、R11、R20又はR21は、それぞれ独立に、一般式(3)又は一般式(4)で表される基である。
一般式(3)及び一般式(4)中、Xは、アルキル基、アルキレン基、エーテル基、エステル基及びケト基の少なくとも1つを有する1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基、アラルキル基、又はアリール基を表す。Yは、硫黄原子又は酸素原子を表す。nは、0以上2以下の整数を表す。ただし、nが2を表すとき、2つのXは、同じ基を表しても、異なる基を表してもよい。)
<2> 前記イミド化合物における、一般式(3)又は一般式(4)のXが、アルキル基、アルキレン基、エーテル基、エステル基及びケト基の少なくとも1つを有する1価の有機基である、<1>に記載の電子写真感光体。
<3> 前記下引層に対し、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物の含有量が、10質量%以上80質量%以下である、
<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
<4> 前記下引層が、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化スズからなる群より選択される少なくとも1種以上の金属酸化物粒子を含む、<1>~<3>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<5> 前記下引層に対し、前記金属酸化物粒子の含有量が、10質量%以上80質量%以下である、<4>に記載の電子写真感光体。
<6> 前記下引層が、硬化樹脂を更に含み、且つ、前記硬化樹脂は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂及びウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、<1>~<5>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<7> 前記硬化樹脂が、ウレタン樹脂を含む、<6>に記載の電子写真感光体。
<8> <1>~<7>のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
<9> <1>~<7>のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
<1>又は<2>に記載の発明によれば、
導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、イミド化合物として化合物(A)、化合物(B)又は化合物(C)を含む下引層と、を備える電子写真感光体である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときの残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
<3>に記載の発明によれば、
下引層に対し、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物の含有量が、10質量%未満又は80質量%超えである場合に比べ、繰り返し画像を形成したときの残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
<4>又は<5>に記載の発明によれば、
下引層が、金属酸化物粒子を含まない下引層である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときの残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
<6>又は<7>に記載の発明によれば、
下引層において、硬化樹脂の代わりに、結着樹脂としてナイロンを用いた電子写真感光体である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
<8>又は<9>に記載の発明によれば、
導電性基体と感光層との間に設けられ、イミド化合物として化合物(A)、化合物(B)又は化合物(C)を含む下引層と、下引層上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ又は画像形成装置である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制するプロセスカートリッジ、又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略斜視図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の他の例の概略斜視図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
-電子写真感光体-
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を少なくとも1種含む電荷輸送材料を有する下引層と、を備える。このとき、一般式(1)及び(2)中、R10、R11、R20及びR21の部位は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいチアゾール基、ベンゾチアゾール基、オキサゾール基又はベンゾオキサゾール基で表される基である。
従来の電子写真感光体は、下引層の電子輸送性が低いため、電荷発生層とのエネルギーのマッチング等の課題により、繰り返し画像を形成したときに残留電位が上昇しやすい傾向にある。下引層において残留電位が上昇し易いと、画像の濃度ムラなどが生じやすくなる。
一方、本実施形態に係る電子写真感光体では、上記構成をとることにより、繰り返し画像を形成したときに生じる残留電位の上昇を抑制する。上記効果を奏する詳細な理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えることができる。
例えば、電荷発生材料としてフタロシアニン顔料を用いた場合、チアゾール基、ベンゾチアゾール基、オキサゾール基及びベンゾオキサゾール基を有する一般式(1)又は(2)で表されるイミド化合物は、電子を受け取りやすく、且つ、十分な電子輸送性を有することが予想される。これにより、繰り返し画像を出力したときに生じる残留電位の上昇が抑制されると考えられる。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成について説明する。
図1に示す電子写真感光体7Aは、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2、及び電荷輸送層3が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Aにおいては、電荷発生層2及び電荷輸送層3により感光層5が構成される。本実施形態に係る電子写真感光体は、その他の層、例えば、保護層を含んで構成してもよい。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体の各層について、詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
[下引層]
以下、下引層について説明する。
本実施形態に係る下引層は、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を少なくとも1種含む電荷輸送材料を有する。本実施形態に係る下引層は、金属酸化物粒子、硬化樹脂及びその他の添加物を含んでもよい。
(電荷輸送材料)
以下、電荷輸送材料について説明する。
本実施形態に係る電荷輸送材料は、般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を少なくとも1種含む。電荷輸送材料は、その他の電荷輸送材料を含んでもよい。
Figure 0007035747000002
一般式(1)及び一般式(2)中、R10、R11、R20又はR21は、それぞれ独立に、一般式(3)又は一般式(4)で表される基である。
一般式(3)及び一般式(4)中、Xは、アルキル基、アルキレン基、エーテル基、エステル基及びケト基の少なくとも1つを有する1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基、アラルキル基、又はアリール基を表す。
一般式(3)及び一般式(4)中、Yは、硫黄原子又は酸素原子を表す。nは、0以上2以下の整数を表す。ただし、nが2を表すとき、2つのXは、同じ基を表しても、異なる基を表してもよい。
1価の有機基とは、アルキル基、アルキレン基、エーテル基、エステル基及びケト基の少なくとも1種を組み合わせてなる1価の有機基であり、炭素数1以上12以下のアルキル基及びアルキレン基が好ましく、炭素数1以上8以下のアルキル基及びアルキレン基がより好ましい。
1価の有機基としては、以下の基が挙げられる。下記の連結基中、「*」は一般式(1)又は一般式(2)におけるR10、R11、R20又はR21と連結する部位を表す。Rはアルキル基、Rはアルキレン基を表す。nは1以上の整数を表す。nが2以上の整数を表すとき、複数のRは、同じ基であっても異なる基であってもよい。
*-R
*-R-C(=O)-R
*-R-O-R
*-O-R
*-C(=O)-R
*-C(=O)-O-R
*-R-C(=O)-O-R
*-R-C(=O)-O-(R-O)n-R
一般式(3)及び一般式(4)中、Xで表されるアルキル基は、Rが該当する。
一般式(3)及び一般式(4)中、Xで表されるアルキレン基は、Rが該当する。
で表されるアルキル基としては、置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられる。
で表される無置換のアルキル基としては、炭素数1以上12以下(好ましくは炭素数1以上8以下)の直鎖状のアルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数5以上8以下)の分岐状のアルキル基が挙げられる。
炭素数1以上12以下の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル基等が挙げられる。
炭素数3以上10以下の分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基等が挙げられる。
上記の中でも、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が好ましい。
で表されるアルキレン基としては、上述したRで表されるアルキル基から、もう一つ水素を除いた構造であることが好ましい。
で表されるアルキル基における置換基としては、例えば、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、無置換のアリール基、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されたフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基、及びハロゲン原子(塩素、ヨウ素、臭素)等が挙げられる。
アルコキシ置換アルキル基のアルコキシ基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状、又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。また、アリール置換アルキル基のアリール基としては、後述する一般式(3)及び一般式(4)中のXが示す無置換のアリール基と同様の基が挙げられる。
一般式(3)及び一般式(4)中、Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
一般式(3)及び一般式(4)中、Xで表される置換若しくは無置換のアラルキル基としては、炭素数7以上15以下(望ましくは7以上14以下)のアラルキル基が挙げられる。
具体的な置換若しくは無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、ビニルベンジル基、ヒドロキシフェニルメチル基等が挙げられる。
一般式(3)及び一般式(4)中、Xで表されるアリール基としては、置換若しくは無置換のアリール基が挙げられる。
一般式(3)及び一般式(4)中、Xで表される無置換のアリール基としては、例えば、炭素数6以上30以下のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、9-アンスリル基、9-フェナントリル基、1-ピレニル基、5-ナフタセニル基、1-インデニル基、2-アズレニル基、9-フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o-、m-、及びp-トリル基、キシリル基、o-、m-、及びp-クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基及びオバレニル基等が挙げられる。上記の中でも、フェニル基が好ましい。
一般式(3)及び一般式(4)中、Xで表されるアリール基における置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、及びハロゲン原子(塩素、ヨウ素、臭素)等が挙げられる。アルキル置換アリール基のアルキル基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状、又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。また、アルコキシ置換アリール基のアルコキシ基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状、又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。
一般式(3)又は一般式(4)で表されるXとしては、繰り返し画像を出力したときに生じる残存電位の上昇を抑制する観点から、アルキル基、アルキレン基、エーテル基、エステル基及びケト基の少なくとも1つを有する1価の有機基であることが好ましい。
以下、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物の例示化合物を示すが、これに限定されるわけではない。
Figure 0007035747000003
Figure 0007035747000004
Figure 0007035747000005
Figure 0007035747000006
Figure 0007035747000007
Figure 0007035747000008
Figure 0007035747000009
その他の電荷輸送材料としては、特に限定されないが、例えば、p-ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物;9-ジシアノメチレンフルオレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。
また、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。
これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
下引層中に含有するその他の電荷輸送材料の含有量は、特に限定しないが、一般式(1)及び(2)で表されるイミド化合物に対して、0質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
下引層に対する、一般式(1)及び(2)で表されるイミド化合物の含有量は、繰り返し画像を出力したときに生じる残存電位の上昇を抑制する観点から、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、塗布時の膜の均一性から20質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
(無機粒子)
以下、無機粒子について説明する。
本実施形態に係る下引層は、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を含む電荷輸送材料の他に、無機粒子を更に含んでもよい。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1011(Ω・cm)以下である無機粒子が挙げられる。
上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、及び酸化モリブデン等の金属酸化物粒子が挙げられる。これらは1種単独で用いる以外に2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、繰り返し画像を出力したときに生じる残存電位の上昇を抑制する観点から、金属酸化物粒子としては、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化スズからなる群より選択される少なくとも1種以上であることが好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上であることが好ましい。BET比表面積の測定は、窒素置換法によって行う。具体的にはSA3100比表面積測定装置(ベックマンコールター株式会社製)を用いて、3点法により測定する。
無機粒子の体積平均粒子径は、例えば、50nm以上2000nm以下(好ましくは60nm以上1000nm以下)であることが好ましい。
体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA-700:堀場製作所製)を用いて測定する。測定法としては、界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液50ml中に測定試料を2g加え、超音波分散機(1,000Hz)にて2分間分散して、試料を作製し、測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒子径を、体積平均粒子径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒子径とする。
無機粒子、具体的には金属酸化物粒子の含有量は、繰り返し画像を出力したときに生じる残存電位の上昇を抑制する観点から、下引層に対し、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがより好ましい。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、分散性向上の観点から、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン、2,4,5,7-テトラニトロ-9-フルオレノン等のフルオレノン化合物;2-(4-ビフェニル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(4-ナフチル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(4-ジエチルアミノフェニル)-1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’テトラ-t-ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
(硬化樹脂)
以下、硬化樹脂について説明する。
本実施形態に係る下引層は、硬化樹脂を更に含んで構成されていてもよい。
下引層は、硬化樹脂が硬化した硬化膜(架橋膜を含む)で構成された層であることが好ましい。
下引層に含有される硬化樹脂としては、イミド化合物の電子輸送性及び帯電性が低下しないものであれば、特に限定されず、公知のものを使用できる。例えば、ポリイミド、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、ポリアミノビスマレイミド、フラン樹脂、尿素樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性の高分子化合物が挙げられる。また、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂等の高分子化合物も挙げられる。また、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂及び導電性樹脂(ポリアニリン等)を、硬化樹脂として用いてもよい。
上記の中でも、硬化樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂及びウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、ウレタン樹脂であることがより好ましい。これら硬化樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
例えば、フェノール樹脂及びメラミン樹脂を混合で用いる場合には、酸触媒を用いて硬化することが好ましい。また、ウレタン樹脂を用いる場合には、アミン触媒あるいは金属触媒を用いて硬化することが好ましい。硬化に用いる触媒の含有量は、下引層の固形分100質量%に対し、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。硬化温度は、室温以上200℃以下であることが好ましく、100℃以上150℃以下であることがより好ましい。
フェノール樹脂としては、レゾルシン、ビスフェノール、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等の水酸基を1個含む置換フェノール類;カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の水酸基を2個含む置換フェノール類;ビスフェノールA、ビスフェノールZなどのビスフェノール類;フェノール構造を有する化合物とホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒド等を酸又はアルカリの触媒下で反応させて得るモノメチロールフェノール類;ジメチロールフェノール類;トリメチロールフェノール類の単量体及びそれらの混合物;トリメチロールフェノール類の多量体;トリメチロールフェノール類の単量体及び多量体の混合物などが使用される。なお、分子の構造単位の繰り返しが2以上20以下の分子を多量体、それ以下のものを単量体とする。
メラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂としては、未変性のメチロール基、アルキルエーテル変性メチロール基、イミノ変性メチロール基、未変性部位とイミノ変性部位とを有するメチロール基等を有するメラミン樹脂及びベンゾグアナミン樹脂が挙げられる。上記の中でも、塗布液の安定性の観点から、アルキルエーテル変性メチロール基を有するものであることが好ましい。
ウレタン樹脂を得る原料としては、多官能イソシアネート、イソシアヌレートが挙げられる。また、前述の多官能イソシアネート及びイソシアヌレートを、ブロック剤(アルコール、ケトン等)でマスクした構造を有するブロックイソシアネートを用いてもよい。上記の中でも、塗布液の安定性の観点から、ウレタン樹脂を得る原料は、ブロックイソシアネート又はイソシアヌレートであることが好ましい。
硬化に用いる酸触媒としては、酢酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、乳酸等の脂肪族カルボン酸類;安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸などの芳香族カルボン酸類;メタンスルホン酸、ドデシルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類などのプロトン酸が挙げられる。また、上記のプロトン酸を塩基でブロックした熱潜在性プロトン酸触媒を用いてもよい。上記の中でも、保存安定性の点から、硬化に用いる酸触媒としては、熱潜在性プロトン酸触媒であることが好ましい。
酸触媒の具体的な市販品としては、キングインダストリーズ社製の「NACURE2501」(トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.2以下、解離温度80℃)、「NACURE2107」(p-トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH8.0以上pH9.0以下、解離温度90℃)、「NACURE2500」(p-トルエンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.0以下、解離温度65℃)、「NACURE2530」(p-トルエンスルホン酸解離、メタノール/イソプロパノール溶媒、pH5.7以上pH6.5以下、解離温度65℃)、「NACURE2547」(p-トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH8.0以上pH9.0以下、解離温度107℃)、「NACURE2558」(p-トルエンスルホン酸解離、エチレン/グリコール溶媒、pH3.5以上pH4.5以下、解離温度80℃)、「NACUREXP-357」(p-トルエンスルホン酸解離、メタノール溶媒、pH2.0以上pH4.0以下、解離温度65℃)、「NACUREXP-386」(p-トルエンスルホン酸解離、水溶液、pH6.1以上pH6.4以下、解離温度80℃)、「NACUREXC―2211」(p-トルエンスルホン酸解離、pH7.2以上pH8.5以下、解離温度80℃)、「NACURE5225」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH6.0以上pH7.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5414」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE5528」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、イソプロパノール溶媒、pH7.0以上pH8.0以下、解離温度120℃)、「NACURE5925」(ドデシルベンゼンスルホン酸解離、pH7.0以上pH7.5以下、解離温度130℃)、「NACURE1323」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン溶媒、pH6.8以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE1419」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、キシレン/メチルイソブチルケトン溶媒、解離温度150℃)、「NACURE1557」(ジノニルナフタレンスルホン酸解離、ブタノール/2-ブトキシエタノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACUREX49-110」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度90℃)、「NACURE3525」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH7.0以上pH8.5以下、解離温度120℃)、「NACUREXP-383」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、キシレン溶媒、解離温度120℃)、「NACURE3327」(ジノニルナフタレンジスルホン酸解離、イソブタノール/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度150℃)、「NACURE4167」(リン酸解離、イソプロパノール/イソブタノール溶媒、pH6.8以上pH7.3以下、解離温度80℃)、「NACUREXP-297」(リン酸解離、水/イソプロパノール溶媒、pH6.5以上pH7.5以下、解離温度90℃)及び「NACURE4575」(リン酸解離、pH7.0以上pH8.0以下、解離温度110℃)等が挙げられる。
ウレタン樹脂が硬化した硬化膜を用いる場合、触媒としては、アミン触媒及び金属触媒が挙げられる。アミン触媒としては、特に限定されず、例えば、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルジシクロヘキルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルエタノールアミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5,4,0]ウンデセン-7(DBU)及びその塩が挙げられる。金属触媒としては、特に限定されず、例えば、ジブチル錫ラウレート、スタナスオクトエート等が挙げられる。
塗布液の調整における溶剤の有無は、特に限定されず、無溶媒であっても、溶剤を用いてもよい。塗布液の調製に溶剤を用いる場合、溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、2-メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類などの溶剤を用いてもよい。上記の中でも、溶剤としては、沸点が150℃以下の溶剤であることが好ましく、特に、少なくとも1種以上の水酸基を持つ溶剤(例えば、アルコール類等)又はエーテル溶剤(例えば、テトラヒドロフラン)であることがより好ましい。上記溶剤は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、硬化樹脂は、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物等の硬化剤を用いてもよい。
多官能エポキシ化合物としては、ジグリシジルエーテル化合物、トリグリシジルエーテル化合物、テトラグリシジルエーテル化合物などの多官能エポキシ誘導体やハロエポキシ化合物などが使用できる。具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリルジグリシジルエーテル、グリセリルトリグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどの芳香族系多価フェノールのグリシジルエーテル化合物、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、β-メチルエピクロロヒドリンなどのハロエポキシ化合物が挙げられる。
多官能イソシアネート化合物としては、3個以上のイソシアネート基を有するものが好ましく、具体的には、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-イソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等のポリイソシアネート単量体等が用いられる。また、3個以上のイソシアネート基を含有する化合物の中で、最終的に得られる架橋膜の成膜性耐クラック発生性及び取扱いの容易性等の面から、ポリイソシアネート単量体から得られる誘導体やプレポリマー等の変性体を用いることがより望ましい。
これらの例としては、ポリオールを過剰の前記3官能イソシアネート化合物で変性したウレタン変性体、尿素結合を有する化合物をイソシアネート化合物で変性したビュレット変性体、ウレタン基にイソシアネートが付加したアロファネート変性体等が特に好ましく、その他にもイソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等が用いられる。
本実施形態に係る硬化樹脂は、下引層に対する総含有量が、20質量%以上50質量%以下であることが好ましく、30質量%以上45質量%以上であることがより好ましい。
下引層には、種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、樹脂粒子を添加してもよい。樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂粒子等の公知の材料が挙げられる。
以下、下引層におけるその他の特性について説明する。
下引層の膜厚は、3μm以上50μm以下であることが好ましく、5μm以上40μm以下であることがより好ましい。
下引層の膜厚が、3μm以上であると、漏れ電流の発生が抑制される傾向にある。一方、下引層の膜厚が、50μm以下であると、繰り返し画像を形成した時に生じる、残留電位の上昇が抑制される傾向にある。
下引層の膜厚は、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR-1500Eを用いて測定する。
下引層の体積抵抗率は、繰り返し画像を形成したときに生じる、帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する観点から、1.0×10(Ω/m)以上10×1010(Ω/m)以下であることが好ましく、1.0×10(Ω/m)以上10×10(Ω/m)以下であることがより好ましく、1.0×10(Ω/m)以上10×10(Ω/m)以下であることがさらに好ましい。
電子写真感光体から、体積抵抗率測定用の下引層試料を作製する方法は、以下の通りである。例えば、下引層を被覆している電荷発生層、電荷輸送層等の塗膜をアセトン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等の溶媒を用いて除去し、露出された下引層上に真空蒸着法やスパッタ法等により金電極を装着することで、体積抵抗率測定用の下引層試料とする。
交流インピーダンス法による体積抵抗率の測定には、電源としてSI1287 electrochemical interface(東陽テクニカ製)、電流計としてSI1260 inpedance/gain phase analyzer(東陽テクニカ製)、電流アンプとして1296 dielectric interface(東陽テクニカ製)を用いる。
交流インピーダンス測定試料におけるアルミニウム基材を陰極、金電極を陽極として、1Vp-pの交流電圧を周波数1MHzから1mHzまでの範囲で高周波側から印加し、各試料の交流インピーダンスを測定し、この測定より得られたCole-ColeプロットのグラフをRC並列の等価回路にフィッティングすることで体積抵抗率を算出する。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を少なくとも1種含む電荷輸送材料を、下引層中に分散させる方法としては、下引層の成膜性を向上させる観点から、懸濁液をロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの公知の方法を用いてもよい。なお、下引層中に無機粒子を更に含む場合も、同様の方法で分散液を調整してよい。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
[導電性基体]
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013(Ω/cm)未満であることをいう。
導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて導電性基体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
[感光層]
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5-263007号公報、特開平5-279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5-98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5-140472号公報、特開平5-140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4-189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004-78147号公報、特開2005-181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp-型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn-型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n-型の電荷発生材料としては、例えば、特開2012-155282号公報の段落[0288]~[0291]に記載された化合物(CG-1)~(CG-27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
なお、n-型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn-型とする。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液-液衝突や液-壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
電荷輸送材料としては、p-ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体が好ましい。
Figure 0007035747000010
構造式(a-1)中、ArT1、ArT2、及びArT3は、各々独立に置換若しくは無置換のアリール基、-C-C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7、及びRT8は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
Figure 0007035747000011
構造式(a-2)中、RT91及びRT92は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。RT101、RT102、RT111及びRT112は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、-C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)を示し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2は各々独立に0以上2以下の整数を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
ここで、構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び前記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点で好ましい。
高分子電荷輸送材料としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8-176293号公報、特開平8-208820号公報等に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材は特に好ましい。なお、高分子電荷輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、スチレン-アルキッド樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
(保護層)
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
1)反応性基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に有する反応性基含有電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり当該反応性基含有電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む層)
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
反応性基含有電荷輸送材料の反応性基としては、連鎖重合性基、エポキシ基、-OH、-OR[但し、Rはアルキル基を示す]、-NH、-SH、-COOH、-SiRQ1 3-Qn(ORQ2Qn[但し、RQ1は水素原子、アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、RQ2は水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。Qnは1~3の整数を表す]等の周知の反応性基が挙げられる。
連鎖重合性基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基(ビニルフェニル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性基としては、ビニル基、スチリル基(ビニルフェニル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基であることが好ましい。
反応性基含有電荷輸送材料の電荷輸送性骨格としては、電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が好ましい。
これら反応性基及び電荷輸送性骨格を有する反応性基含有電荷輸送材料、非反応性の電荷輸送材料、反応性基含有非電荷輸送材料は、周知の材料から選択すればよい。
保護層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
保護層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた保護層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱等の硬化処理することで行う。
保護層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
保護層形成用塗布液を感光層(例えば電荷輸送層)上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
保護層の膜厚は、例えば、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上10μm以下の範囲内に設定される。
(単層型感光層)
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して10質量%以上85質量%以下がよく、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
―画像形成装置、及びプロセスカートリッジ―
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
図2におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
なお、図2には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
-帯電装置-
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
-露光装置-
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
-現像装置-
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
-クリーニング装置-
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
-転写装置-
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
-中間転写体-
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。なお、特に断りがない限り「部」は「質量部」を意味する。
―電子写真感光体の作製―
[実施例1]
(下引層の作製)
硬化樹脂の原料(ブロック化イソシアネート、スミジュールBL3175、住友バイエルンウレタン社製、固形分75%)20質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBL-1、積水化学社製)7.5質量部を、メチルエチルケトン143質量部に溶解した溶液に、一般式(1)で表されるイミド化合物(1-9)34質量部を混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて120分の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)10質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にてアルミニウム基材上に浸漬塗布し、160℃、60分の乾燥硬化を行い、厚さ4μmの下引層1を得た。
(電荷発生層の作製)
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、及びn-酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間攪拌して分散させた。得られた分散液にn-酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用の塗布液を得た。この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布した。その後、140℃、10分で乾燥を行い、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の作製)
電荷輸送剤(HT-1)40質量部、電荷輸送剤(HT-2)8質量部、及びポリカーボネート樹脂(A)(粘度平均分子量:5万)52質量部を、テトラヒドロフラン800質量部に加えて溶解し、4フッ化エチレン樹脂(ダイキン工業製:ルブロンL5 平均粒子径300nm)8質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックス)を用いて5500rpmで2時間分散して、電荷輸送層形成用塗布液を得た。この塗布液を、前述の電荷発生層上に塗布した。その後、140℃、40分の乾燥を行い、膜厚27μmの電荷輸送層を形成した。これを電子写真感光体1とする。
Figure 0007035747000012
Figure 0007035747000013
[実施例2~実施例9]
実施例1の下引層形成工程において、イミド化合物の種類を、一般式(1)で表されるイミド化合物(1-9)から、表1に示す仕様に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、各電子写真感光体を得た。
[実施例10]
実施例1の下引層形成工程において、硬化樹脂の種類及び量を、フェノール樹脂30質量部へと変更した。また、実施例1における下引層形成工程を、下記の工程に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
レゾール型フェノール樹脂(PL-4852、群栄化学工業製、不揮発成分75%)30質量部に、メチルエチルケトン90質量部、イソプロパノール50質量部を加えた。これに対し、一般式(1)で表されるイミド化合物(1-9)34質量部を混合し、1mmφのガラスビーズを用いて、サンドミルにて90分の分散を行うことで、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にてアルミニウム基材上に浸漬塗布し、160℃、60分の乾燥硬化を行い、厚さ4μmの下引層を得た。
[実施例11]
実施例1において、電荷輸送材料及び硬化樹脂を含む下引層に対し、金属酸化物粒子を更に含む仕様とした。また、実施例1における下引層形成工程を、下記の工程に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
酸化亜鉛(テイカ社製、平均粒子径:70nm、比表面積値:15m/g)100質量部を、トルエン600質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBE602:信越化学工業社製)1.2質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、125℃で2時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
表面処理後の酸化亜鉛50質量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュールBL3175、住友バイエルンウレタン社製)15質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBL-1、積水化学社製)15質量部とを、メチルエチルケトン90質量部に溶解した。得られた溶液35質量部と、メチルエチルケトン50質量部、電子輸送性イミド化合物(1-9)10質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて60分間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部とシリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)30質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて中間層上に塗布し、160℃、60分の乾燥硬化を行い、厚さ10μmの下引層を得た。
[実施例12]
実施例11の下引層形成工程において、表面処理後の酸化亜鉛50質量部を、表面処理後の酸化亜鉛8質量部に変更した以外は、実施例11と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
[実施例13]
実施例1の下引層形成工程において、硬化樹脂の原料(ブロック化イソシアネート、スミジュールBL3175、住友バイエルンウレタン社製、固形分75%)20質量部、及びブチラール樹脂(エスレックBL-1、積水化学社製)7.5質量部の代わりに、変性ナイロン樹脂(ラックアミド5003、大日本インキ社製)27.5質量部に変更し、溶剤をメタノールに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
[比較例1~比較例3]
実施例1の下引層形成工程において、イミド化合物の種類を、一般式(1)で表されるイミド化合物(1-9)から、下記の化合物(A)、化合物(B)又は化合物(C)へと変更する仕様にした以外は、実施例1と同様の操作を行い、各電子写真感光体を得た。
Figure 0007035747000014
[比較例4]
実施例1の下引層形成工程において、イミド化合物を含まない構成とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、各電子写真感光体を得た。
[評価]
上記で作製した電子写真感光体について、以下の評価を実行した。各評価の結果を、表1に示す。
―黒点画質評価―
画質評価は、室温30℃、湿度85%の環境下で、富士ゼロックス社製複写機DocuCentreC5570に搭載し、20%ハーフトーン画像2万枚印刷した。さらに、10時間後に再度印刷し、10枚目の画像について目視で黒点の有無を、以下の基準で評価した。
A:発生なし。
B:10個以下で、画質上許容できる。
C:10個以上発生し実使用上問題となる。
―残留電位の評価―
前述の黒点画質評価の条件において、初期の表面電位と、2万枚印刷した後の表面電位の差ΔVを求め、評価した。
A:50V以下であり、問題なし。
B:50V超え80V未満であり、許容範囲である。
C:80V以下であり、画質上問題となる。
Figure 0007035747000015
表1に示す結果から、本実施例の電子写真感光体は、比較例の電子写真感光体に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる残留電位の上昇を抑制していることがわかった。また、本実施例の電子写真感光体は、比較例の電子写真感光体に比べ、黒点画質の発生も抑制されることがわかった。
1 下引層、2 電荷発生層、3 電荷輸送層、4 導電性基体、7A,7 電子写真感光体、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑剤、40 転写装置、50 中間転写体、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、133 繊維状部材、300 プロセスカートリッジ

Claims (9)

  1. 導電性基体と、
    前記導電性基体上に設けられた感光層と、
    前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を少なくとも1種含む電荷輸送材料を有する下引層と、
    を備える電子写真感光体。
    Figure 0007035747000016

    (一般式(1)及び一般式(2)中、R10、R11、R20又はR21は、それぞれ独立に、一般式(3)又は一般式(4)で表される基である。
    一般式(3)及び一般式(4)中、Xは、アルキル基、アルキレン基、エーテル基、エステル基及びケト基の少なくとも1つを有する1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基、アラルキル基、又はアリール基を表す。Yは、硫黄原子又は酸素原子を表す。nは、0以上2以下の整数を表す。ただし、nが2を表すとき、2つのXは、同じ基を表しても、異なる基を表してもよい。)
  2. 前記イミド化合物における、一般式(3)又は一般式(4)のXが、アルキル基、アルキレン基、エーテル基、エステル基及びケト基の少なくとも1つを有する1価の有機基である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記下引層に対し、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物の含有量が、10質量%以上80質量%以下である、
    請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記下引層が、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化スズからなる群より選択される少なくとも1種以上の金属酸化物粒子を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記下引層に対し、前記金属酸化物粒子の含有量が、10質量%以上80質量%以下である、請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記下引層が、硬化樹脂を更に含み、且つ、前記硬化樹脂は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂及びウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記硬化樹脂が、ウレタン樹脂を含む、請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
    画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
  9. 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    を備える画像形成装置。
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