JP7035747B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置。 - Google Patents
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Description
電子写真感光体としては、アルミニウムなどの導電性を有する基体上に、電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型の感光体、又は、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を同一の層が果たす単層感光体が知られている。
そこで、本発明では、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、イミド化合物として化合物(A)、化合物(B)又は化合物(C)を含む下引層と、を備える電子写真感光体である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときの残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体を提供することを課題とする。
<1> 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた感光層と、
前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を少なくとも1種含む電荷輸送材料を有する下引層と、
を備える電子写真感光体。
一般式(3)及び一般式(4)中、Xは、アルキル基、アルキレン基、エーテル基、エステル基及びケト基の少なくとも1つを有する1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基、アラルキル基、又はアリール基を表す。Yは、硫黄原子又は酸素原子を表す。nは、0以上2以下の整数を表す。ただし、nが2を表すとき、2つのXは、同じ基を表しても、異なる基を表してもよい。)
<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、イミド化合物として化合物(A)、化合物(B)又は化合物(C)を含む下引層と、を備える電子写真感光体である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときの残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
下引層に対し、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物の含有量が、10質量%未満又は80質量%超えである場合に比べ、繰り返し画像を形成したときの残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
下引層が、金属酸化物粒子を含まない下引層である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときの残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
下引層において、硬化樹脂の代わりに、結着樹脂としてナイロンを用いた電子写真感光体である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
導電性基体と感光層との間に設けられ、イミド化合物として化合物(A)、化合物(B)又は化合物(C)を含む下引層と、下引層上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ又は画像形成装置である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制するプロセスカートリッジ、又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を少なくとも1種含む電荷輸送材料を有する下引層と、を備える。このとき、一般式(1)及び(2)中、R10、R11、R20及びR21の部位は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいチアゾール基、ベンゾチアゾール基、オキサゾール基又はベンゾオキサゾール基で表される基である。
図1に示す電子写真感光体7Aは、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2、及び電荷輸送層3が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Aにおいては、電荷発生層2及び電荷輸送層3により感光層5が構成される。本実施形態に係る電子写真感光体は、その他の層、例えば、保護層を含んで構成してもよい。
以下、下引層について説明する。
本実施形態に係る下引層は、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を少なくとも1種含む電荷輸送材料を有する。本実施形態に係る下引層は、金属酸化物粒子、硬化樹脂及びその他の添加物を含んでもよい。
以下、電荷輸送材料について説明する。
本実施形態に係る電荷輸送材料は、般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を少なくとも1種含む。電荷輸送材料は、その他の電荷輸送材料を含んでもよい。
*-RB-C(=O)-RA
*-RB-O-RA
*-O-RA
*-C(=O)-RA
*-C(=O)-O-RA
*-RB-C(=O)-O-RA
*-RB-C(=O)-O-(RB-O)n1-RA
一般式(3)及び一般式(4)中、Xで表されるアルキレン基は、RBが該当する。
RAで表される無置換のアルキル基としては、炭素数1以上12以下(好ましくは炭素数1以上8以下)の直鎖状のアルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数5以上8以下)の分岐状のアルキル基が挙げられる。
炭素数1以上12以下の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル基等が挙げられる。
炭素数3以上10以下の分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基等が挙げられる。
上記の中でも、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が好ましい。
アルコキシ置換アルキル基のアルコキシ基としては、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状、又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。また、アリール置換アルキル基のアリール基としては、後述する一般式(3)及び一般式(4)中のXが示す無置換のアリール基と同様の基が挙げられる。
具体的な置換若しくは無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、ビニルベンジル基、ヒドロキシフェニルメチル基等が挙げられる。
一般式(3)及び一般式(4)中、Xで表される無置換のアリール基としては、例えば、炭素数6以上30以下のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、9-アンスリル基、9-フェナントリル基、1-ピレニル基、5-ナフタセニル基、1-インデニル基、2-アズレニル基、9-フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o-、m-、及びp-トリル基、キシリル基、o-、m-、及びp-クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基及びオバレニル基等が挙げられる。上記の中でも、フェニル基が好ましい。
また、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。
これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
以下、無機粒子について説明する。
本実施形態に係る下引層は、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を含む電荷輸送材料の他に、無機粒子を更に含んでもよい。
体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA-700:堀場製作所製)を用いて測定する。測定法としては、界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液50ml中に測定試料を2g加え、超音波分散機(1,000Hz)にて2分間分散して、試料を作製し、測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒子径を、体積平均粒子径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒子径とする。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
以下、硬化樹脂について説明する。
本実施形態に係る下引層は、硬化樹脂を更に含んで構成されていてもよい。
下引層は、硬化樹脂が硬化した硬化膜(架橋膜を含む)で構成された層であることが好ましい。
ウレタン樹脂を得る原料としては、多官能イソシアネート、イソシアヌレートが挙げられる。また、前述の多官能イソシアネート及びイソシアヌレートを、ブロック剤(アルコール、ケトン等)でマスクした構造を有するブロックイソシアネートを用いてもよい。上記の中でも、塗布液の安定性の観点から、ウレタン樹脂を得る原料は、ブロックイソシアネート又はイソシアヌレートであることが好ましい。
これらの例としては、ポリオールを過剰の前記3官能イソシアネート化合物で変性したウレタン変性体、尿素結合を有する化合物をイソシアネート化合物で変性したビュレット変性体、ウレタン基にイソシアネートが付加したアロファネート変性体等が特に好ましく、その他にもイソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等が用いられる。
添加剤としては、例えば、樹脂粒子を添加してもよい。樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂粒子等の公知の材料が挙げられる。
下引層の膜厚が、3μm以上であると、漏れ電流の発生が抑制される傾向にある。一方、下引層の膜厚が、50μm以下であると、繰り返し画像を形成した時に生じる、残留電位の上昇が抑制される傾向にある。
交流インピーダンス法による体積抵抗率の測定には、電源としてSI1287 electrochemical interface(東陽テクニカ製)、電流計としてSI1260 inpedance/gain phase analyzer(東陽テクニカ製)、電流アンプとして1296 dielectric interface(東陽テクニカ製)を用いる。
交流インピーダンス測定試料におけるアルミニウム基材を陰極、金電極を陽極として、1Vp-pの交流電圧を周波数1MHzから1mHzまでの範囲で高周波側から印加し、各試料の交流インピーダンスを測定し、この測定より得られたCole-ColeプロットのグラフをRC並列の等価回路にフィッティングすることで体積抵抗率を算出する。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013(Ω/cm)未満であることをいう。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
なお、n-型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn-型とする。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂、及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して10質量%以上85質量%以下がよく、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
[実施例1]
(下引層の作製)
硬化樹脂の原料(ブロック化イソシアネート、スミジュールBL3175、住友バイエルンウレタン社製、固形分75%)20質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBL-1、積水化学社製)7.5質量部を、メチルエチルケトン143質量部に溶解した溶液に、一般式(1)で表されるイミド化合物(1-9)34質量部を混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて120分の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)10質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にてアルミニウム基材上に浸漬塗布し、160℃、60分の乾燥硬化を行い、厚さ4μmの下引層1を得た。
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、及びn-酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間攪拌して分散させた。得られた分散液にn-酢酸ブチル175質量部、メチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用の塗布液を得た。この電荷発生層形成用塗布液を下引層上に浸漬塗布した。その後、140℃、10分で乾燥を行い、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
電荷輸送剤(HT-1)40質量部、電荷輸送剤(HT-2)8質量部、及びポリカーボネート樹脂(A)(粘度平均分子量:5万)52質量部を、テトラヒドロフラン800質量部に加えて溶解し、4フッ化エチレン樹脂(ダイキン工業製:ルブロンL5 平均粒子径300nm)8質量部を加え、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックス)を用いて5500rpmで2時間分散して、電荷輸送層形成用塗布液を得た。この塗布液を、前述の電荷発生層上に塗布した。その後、140℃、40分の乾燥を行い、膜厚27μmの電荷輸送層を形成した。これを電子写真感光体1とする。
実施例1の下引層形成工程において、イミド化合物の種類を、一般式(1)で表されるイミド化合物(1-9)から、表1に示す仕様に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、各電子写真感光体を得た。
実施例1の下引層形成工程において、硬化樹脂の種類及び量を、フェノール樹脂30質量部へと変更した。また、実施例1における下引層形成工程を、下記の工程に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
レゾール型フェノール樹脂(PL-4852、群栄化学工業製、不揮発成分75%)30質量部に、メチルエチルケトン90質量部、イソプロパノール50質量部を加えた。これに対し、一般式(1)で表されるイミド化合物(1-9)34質量部を混合し、1mmφのガラスビーズを用いて、サンドミルにて90分の分散を行うことで、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にてアルミニウム基材上に浸漬塗布し、160℃、60分の乾燥硬化を行い、厚さ4μmの下引層を得た。
実施例1において、電荷輸送材料及び硬化樹脂を含む下引層に対し、金属酸化物粒子を更に含む仕様とした。また、実施例1における下引層形成工程を、下記の工程に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
酸化亜鉛(テイカ社製、平均粒子径:70nm、比表面積値:15m2/g)100質量部を、トルエン600質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBE602:信越化学工業社製)1.2質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、125℃で2時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
表面処理後の酸化亜鉛50質量部と、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュールBL3175、住友バイエルンウレタン社製)15質量部と、ブチラール樹脂(エスレックBL-1、積水化学社製)15質量部とを、メチルエチルケトン90質量部に溶解した。得られた溶液35質量部と、メチルエチルケトン50質量部、電子輸送性イミド化合物(1-9)10質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて60分間の分散を行い、分散液を得た。
得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部とシリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)30質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて中間層上に塗布し、160℃、60分の乾燥硬化を行い、厚さ10μmの下引層を得た。
実施例11の下引層形成工程において、表面処理後の酸化亜鉛50質量部を、表面処理後の酸化亜鉛8質量部に変更した以外は、実施例11と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
実施例1の下引層形成工程において、硬化樹脂の原料(ブロック化イソシアネート、スミジュールBL3175、住友バイエルンウレタン社製、固形分75%)20質量部、及びブチラール樹脂(エスレックBL-1、積水化学社製)7.5質量部の代わりに、変性ナイロン樹脂(ラックアミド5003、大日本インキ社製)27.5質量部に変更し、溶剤をメタノールに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
実施例1の下引層形成工程において、イミド化合物の種類を、一般式(1)で表されるイミド化合物(1-9)から、下記の化合物(A)、化合物(B)又は化合物(C)へと変更する仕様にした以外は、実施例1と同様の操作を行い、各電子写真感光体を得た。
実施例1の下引層形成工程において、イミド化合物を含まない構成とした以外は、実施例1と同様の操作を行い、各電子写真感光体を得た。
上記で作製した電子写真感光体について、以下の評価を実行した。各評価の結果を、表1に示す。
―黒点画質評価―
画質評価は、室温30℃、湿度85%の環境下で、富士ゼロックス社製複写機DocuCentreC5570に搭載し、20%ハーフトーン画像2万枚印刷した。さらに、10時間後に再度印刷し、10枚目の画像について目視で黒点の有無を、以下の基準で評価した。
A:発生なし。
B:10個以下で、画質上許容できる。
C:10個以上発生し実使用上問題となる。
前述の黒点画質評価の条件において、初期の表面電位と、2万枚印刷した後の表面電位の差ΔVを求め、評価した。
A:50V以下であり、問題なし。
B:50V超え80V未満であり、許容範囲である。
C:80V以下であり、画質上問題となる。
Claims (9)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた感光層と、
前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物を少なくとも1種含む電荷輸送材料を有する下引層と、
を備える電子写真感光体。
(一般式(1)及び一般式(2)中、R10、R11、R20又はR21は、それぞれ独立に、一般式(3)又は一般式(4)で表される基である。
一般式(3)及び一般式(4)中、Xは、アルキル基、アルキレン基、エーテル基、エステル基及びケト基の少なくとも1つを有する1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基、アラルキル基、又はアリール基を表す。Yは、硫黄原子又は酸素原子を表す。nは、0以上2以下の整数を表す。ただし、nが2を表すとき、2つのXは、同じ基を表しても、異なる基を表してもよい。) - 前記イミド化合物における、一般式(3)又は一般式(4)のXが、アルキル基、アルキレン基、エーテル基、エステル基及びケト基の少なくとも1つを有する1価の有機基である、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記下引層に対し、一般式(1)及び一般式(2)で表されるイミド化合物の含有量が、10質量%以上80質量%以下である、
請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。 - 前記下引層が、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化スズからなる群より選択される少なくとも1種以上の金属酸化物粒子を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記下引層に対し、前記金属酸化物粒子の含有量が、10質量%以上80質量%以下である、請求項4に記載の電子写真感光体。
- 前記下引層が、硬化樹脂を更に含み、且つ、前記硬化樹脂は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂及びウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記硬化樹脂が、ウレタン樹脂を含む、請求項6に記載の電子写真感光体。
- 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。 - 請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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