JP7135347B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置としては、電子写真感光体を用いて帯電、静電潜像形成、現像、転写、クリーニングなどの工程を順次行う装置が広く知られている。
電子写真感光体としては、アルミニウムなどの導電性を有する基体上に、電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型の感光体、又は、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を同一の層が果たす単層感光体が知られている。
ここで、特許文献1には、「導電性支持体上に少なくとも、炭化珪素微粉末をバインダー樹脂中に分散させてなる下引層と、光導電層とが形成されてなることを特徴とする感光体」が開示されている。
特許第2636276号
しかしながら、炭化珪素と、結着樹脂と、のみを含む下引層を用いた電子写真感光体を使用すると、繰り返し画像を形成したときに帯電性の低下及び残留電位の上昇が生じる傾向にある。
そこで、本発明では、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1010(Ω・cm)以下である粒子と、硬化樹脂と、のみを含み、電荷輸送材料を含まない下引層と、を備える電子写真感光体である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体を提供することを課題とする。
上記課題は、以下の手段により解決される。
<1> 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた感光層と、
前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1010(Ω・cm)以下である粒子と、電荷輸送材料と、硬化樹脂と、を含む下引層と、
を備える電子写真感光体。
<2> 前記粒子が、炭化珪素を含む、<1>に記載の電子写真感光体。
<3> 前記電荷輸送材料が、一般式(ET)で表される電子輸送性化合物を含む、
<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
Figure 0007135347000001

(一般式(ET)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基を示す。R18は、アルキル基、-L19-O-R20、アリール基、又はアラルキル基を示す。ただし、L19はアルキレン基を示し、R20はアルキル基を示す。)
<4> 一般式(ET)で表される前記電子輸送性化合物において、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17が、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を示し、R18がアルキル基を示す、<3>に記載の電子写真感光体。
<5> 前記下引層に対する前記粒子の含有量が、40質量%以上60質量%以下である、<1>~<3>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<6> 前記粒子と前記電荷輸送材料の質量比が、65/35以上95/5以下である、<5>に記載の電子写真感光体。
<7> 前記下引層の膜厚が10μm以上30μm以下である、
<1>~<6>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<8> 前記粒子の平均一次粒子径が0.03μm以上1.2μm以下である、
<1>~<7>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<9> 前記粒子の平均一次粒子径が0.4μm以上0.8μm以下である、
<8>に記載の電子写真感光体。
<10> 前記下引層の体積抵抗率が1.0×10(Ω・m)以上10×1010(Ω・m)以下である<1>~<9>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<11> 前記硬化樹脂は、ポリイミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂及びメラミン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である、
<1>~<10>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<12> <1>~<11>のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
<13> <1>~<11>のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
<1>、<2>、<3>又は<4>に記載の発明によれば、
導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1010(Ω・cm)以下である粒子と、硬化樹脂と、のみを含み、電荷輸送材料を含まない下引層を備える電子写真感光体である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
<5>に記載の発明によれば、
下引層に対する前記粒子の含有量が40質量%未満又は60質量%超えである場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
<6>に記載の発明によれば、
前記粒子と前記電荷輸送材料の質量比が、65/35未満又は95/5超えである場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
<7>に記載の発明によれば、
前記下引層の膜厚が10μm未満又は30μm超えである場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
<8>又は<9>に記載の発明によれば、
前記粒子の平均一次粒子径が0.03μm未満又は1.2μm超えである場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
<10>に記載の発明によれば、
体積抵抗率が1.0×10(Ω・m)未満又は10×1010(Ω・m)超えである場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
<11>に記載の発明によれば、
下引層において、硬化樹脂の代わりに、結着樹脂としてポリエチレンを用いた電子写真感光体である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が提供される。
<12>又は<13>に記載の発明によれば、
導電性基体と感光層との間に設けられ、体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1010(Ω・cm)以下である粒子と、硬化樹脂と、のみを含み、電子輸送材料を含まない下引層と、下引層上に設けられた感光層と、を有する電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ又は画像形成装置である場合に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制するプロセスカートリッジ、又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略斜視図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の他の例の概略斜視図である。
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
-電子写真感光体-
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた感光層と、前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1010(Ω・cm)以下である粒子と、電荷輸送材料と、硬化樹脂と、を含む下引層と、を備える。
従来、電子写真感光体において、炭化珪素等の体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1010(Ω・cm)以下である粒子(以下、「特定粒子」とも称す)を、下引層に添加することで、繰り返し画像を出力しても帯電性を維持する下引層を得る技術が知られている。
しかしながら、この電子写真感光体では、特定粒子の体積抵抗率が高いため、繰り返し画像を形成したときに生じる残留電位が上昇する傾向にある。残留電位が上昇すると、形成した画像の濃度にムラなどが生じ易くなる。
それに対して、本実施形態に係る電子写真感光体では、下引層が、特定粒子と、硬化樹脂と、電荷輸送材料と、を含んだ構成をとる。
本実施形態に係る電子写真感光体は、特定粒子及び硬化樹脂を含む下引層に対し、電荷輸送材料を更に含むことで、繰り返し画像を形成したときに生じる、帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する。上記効果を奏する詳細な理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えることができる。
特定粒子及び硬化樹脂を含む下引層に対し、電荷輸送材料を添加すると、下引層の電荷輸送性が高まる傾向にある。下引層の電荷輸送性が高くなると、電荷が下引層に蓄積し難くなる。その結果、繰り返し画像を形成したときに生じる、帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制した電子写真感光体が得られると考えられる。
また、本実施形態に係る電子写真感光体は、上記構成をとることにより、漏れ電流の発生も抑制する。上記効果を奏する詳細な理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えることができる。
トナー中に、炭素繊維等の針状の異物が含まれることがある。この針状の異物が、電子写真感光体に移行すると、電子写真感光体に針状の異物が突き刺さり、下引層に傷が生じることがある。このとき、例えば、金属酸化物のように体積抵抗率が低いものを含む下引層であると、傷が生じた場所から電流が漏れる傾向にある。一方で、本願の電子写真感光体では、体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1010(Ω・cm)以下である粒子を用いている。つまり、金属酸化物よりも体積抵抗率の高い粒子を用いている。そのため、針状の異物が混入し電子写真感光体に傷が生じたとしても、傷が生じた場所からの漏れ電流は抑制されると考えられる。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成について説明する。
図1に示す電子写真感光体7Aは、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性基体4上に下引層1が設けられ、その上に電荷発生層2及び電荷輸送層3が順次形成された構造を有するものである。電子写真感光体7Aにおいては、電荷発生層2及び電荷輸送層3により感光層5が構成される。本実施形態に係る電子写真感光体は、その他の層、例えば、保護層を含んで構成してもよい。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体の各層について、詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
[下引層]
以下、下引層について説明する。
本実施形態に係る下引層は、体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1010(Ω・cm)以下である粒子と、電荷輸送材料と、硬化樹脂と、を含む。本実施形態に係る下引層は、その他の添加物を含んでもよい。
(特定粒子)
以下、本実施形態に係る下引層に含まれる特定粒子について説明する。
特定粒子は、体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1010(Ω・cm)以下である。好ましくは1.0×10(Ω・cm)以上1.0×10(Ω・cm)であり、より好ましくは1.0×10(Ω・cm)以上1.0×10(Ω・cm)である。
特定粒子の体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1010(Ω・cm)以下であると、繰り返し画像を形成したときに生じる、帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制した電子写真感光体が得られる。また、漏れ電流の発生も抑制される傾向にある。
特定粒子の体積抵抗率を測定する方法は、以下の通りである。
なお、測定環境は、温度20℃、湿度50%RHとする。
まず、下引層中から特定粒子を分離する。そして、20cmの電極板を配した円形の治具の表面に、測定対象となる分離した特定粒子を1mm以上3mm以下程度の厚さになるように載せ、特定粒子層を形成する。この上に前記同様の20cmの電極板を載せ特定粒子層を挟み込む。特定粒子間の空隙をなくすため、特定粒子層上に載せた電極板の上に4kgの荷重をかけてから特定粒子層の厚み(cm)を測定する。特定粒子層上下の両電極には、エレクトロメーター及び高圧電源発生装置に接続されている。両電極に電界が予め定められた値となるように高電圧を印加し、このとき流れた電流値(A)を読み取ることにより、特定粒子の体積抵抗率(Ω・cm)を計算する。特定粒子の体積抵抗率(Ω・cm)の計算式は、下式に示す通りである。
なお、式中、ρは特定粒子の体積抵抗率(Ω・cm)、Eは印加電圧(V)、Iは電流値(A)、I0は印加電圧0Vにおける電流値(A)、Lは特定粒子層の厚み(cm)をそれぞれ表す。本評価では印加電圧が1000Vの時の体積抵抗率を用いた。
・式:ρ=E×20/(I-I0)/L
体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1010(Ω・cm)以下である粒子としては、例えば、炭化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、ジルコニア等が上げられる。
上記の中でも、繰り返し画像を形成したときに生じる、帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する観点から、特定粒子としては、炭化珪素を含むことが好ましい。
特定粒子の平均一次粒子径は、特に限定されるものではないが、例えば、0.03μm以上1.2μm以下であることが好ましく、0.2μm以上1.0μm以下であることがより好ましく、0.4μm以上0.8μm以下であることがさらに好ましく、0.4μm以上0.6μm以下であることがもっとも好ましい。
特定粒子の平均一次粒子径が0.03μm以上1.2μm以下であると、粒子径が適度に小さいため、特定粒子の下引層への分散性が高まる傾向にある。そのため、繰り返し画像を形成したときに生じる、帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制した電子写真感光体が得られ易くなる。
なお、平均一次粒径とは、次の方法により測定された値を意味する。
特定粒子の平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡により粒子を観察し、一次粒子の最大径を一次粒子径とし、粒子100個について、一次粒子径を測定し、平均した数平均一次粒子径である。下引層の特定粒子の分散形態は、走査型電子顕微鏡により観察することで求められる。
特定粒子の含有量は、下引層に対し40質量%以上60質量%以下であることが好ましく、50質量%以上58質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上55質量%以下であることがさらに好ましい。
特定粒子の含有量が、下引層に対し40質量%以上であると、体積抵抗率が低下し難くなるため、異物混入により電子写真感光体に傷が生じても、漏れ電流が抑制される傾向にある。
一方、特定粒子の含有量が、下引層に対し60質量%以下であると、体積抵抗率が上昇し難くなるため、残留電位の上昇が抑制される傾向にある。
(電荷輸送材料)
以下、本実施形態に係る下引層に含まれる電荷輸送材料について説明する。
電荷輸送材料としては、電子輸送材料及び正孔輸送材料が挙げられる。
電子輸送材料としては、例えば、p-ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物;9-ジシアノメチレンフルオレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。
これらの電子輸送材料は、1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
正孔輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。
これらの正孔輸送材料は、1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
これらの中でも、電荷輸送材料が、一般式(ET)で表される電子輸送性化合物を含むことが好ましい。
Figure 0007135347000002
一般式(ET)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基を示す。R18は、アルキル基、-L19-O-R20、アリール基、又はアラルキル基を示す。ただし、L19はアルキレン基を示し、R20はアルキル基を示す。
下引層における電荷輸送材料が、一般式(ET)で表される電子輸送性化合物を含むと、下引層の電子輸送性が高くなるため、繰り返し画像を形成したときに生じる残留電位の上昇が抑制され易くなる。
一般式(ET)中、R11~R17が示すハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
一般式(ET)中、R11~R17が示すアルキル基としては、置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられる。
一般式(ET)中、R11~R17が示す無置換のアルキル基としては、炭素数1以上12以下(好ましくは炭素数5以上10以下)の直鎖状のアルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数5以上10以下)の分岐状のアルキル基が挙げられる。
炭素数1以上12以下の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル基等が挙げられる。
炭素数3以上10以下の分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基等が挙げられる。
上記の中でも、無置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基が好ましい。
一般式(ET)中、R11~R17が示すアルキル基における置換基としては、例えば、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、無置換のアリール基、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されたフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、水酸基、カルボキシル基、ニトロ基及びハロゲン原子(塩素、ヨウ素、臭素)等が挙げられる。
アルコキシ置換アルキル基のアルコキシ基としては、一般式(ET)中のR11~R17が示すアルコキシ基と同様の基が挙げられる。また、アリール置換アルキル基のアリール基としては、一般式(ET)中のR11~R17が示す無置換のアリール基と同様の基が挙げられる。
一般式(ET)中、R11~R17が示すアルコキシ基としては、例えば、炭素数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上4以下)の直鎖状、又は分岐状のアルコキシ基が挙げられる。
直鎖状のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基等が挙げられる。
分岐状のアルコキシ基として具体的には、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec-ヘキシルオキシ基、tert-ヘキシルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec-ヘプチルオキシ基、tert-ヘプチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec-ノニルオキシ基、tert-ノニルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec-デシルオキシ基、tert-デシルオキシ基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基としては、メトキシ基が好ましい。
一般式(ET)中、R11~R17が示すアリール基としては、置換若しくは無置換のアリール基が挙げられる。
一般式(ET)中、R11~R17が示す無置換のアリール基としては、例えば、炭素数6以上30以下のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、9-アンスリル基、9-フェナントリル基、1-ピレニル基、5-ナフタセニル基、1-インデニル基、2-アズレニル基、9-フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o-、m-及びp-トリル基、キシリル基、o-、m-及びp-クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、オバレニル基等が挙げられる。上記の中でも、フェニル基が好ましい。
一般式(ET)中、R11~R17が示すアリール基における置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子(塩素、ヨウ素、臭素)等が挙げられる。アルキル置換アリール基のアルキル基としては、一般式(ET)中のR11~R17が示す無置換のアルキル基と同様の基が挙げられる。また、アルコキシ置換アリール基のアルコキシ基としては、一般式(ET)中のR11~R17が示すアルコキシ基と同様の基が挙げられる。
一般式(ET)中、R11~R17が示すアラルキル基としては、炭素数7以上15以下(望ましくは7以上14以下)の置換若しくは無置換のアラルキル基が挙げられる。
具体的な置換若しくは無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、ビニルベンジル基、ヒドロキシフェニルメチル基等が挙げられる。
一般式(ET)中、R18が示すアルキル基としては、例えば、炭素数1以上12以下(好ましくは炭素数5以上10以下)の直鎖状のアルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数5以上10以下)の分岐状のアルキル基が挙げられる。
炭素数1以上12以下の直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル基等が挙げられる。
一般式(ET)中、R18が示す炭素数3以上10以下の分岐状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基等が挙げられる。
一般式(ET)中、R18が示す-L19-O-R20で示される基は、L19がアルキレン基を示し、R20は、アルキル基を示す。
19が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert-ペンチレン基等が挙げられる。
20が示すアルキル基としては、上記R11~R17が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。
一般式(ET)中、R18が示すアリール基としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等が挙げられる。
なお、R18が示すアリール基は、アルキル基で置換されたアルキル置換アリール基であることが、溶解性の観点で好ましい。アルキル置換アリール基のアルキル基としては、R11~R17が示すアルキル基と同様の基が挙げられる。
一般式(ET)中、R18が示すアラルキル基としては、-L21-Arで示される基が挙げられる。但し、L21は、アルキレン基を示す、Arは、アリール基を示す。
21が示すアルキレン基としては、直鎖状又は分岐状の炭素数1以上12以下のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、sec-ブチレン基、tert-ブチレン基、n-ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、tert-ペンチレン基等が挙げられる。
Arが示すアリール基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、エチルフェニル基等が挙げられる。
一般式(ET)中、R18が示すアラルキル基として具体的には、ベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、フェニルエチル基、メチルフェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等が挙げられる。
上記の中でも、R18は炭素数5以上10以下のアルキル基、又はアラルキル基を示すことが好ましい。また、R11~R17が各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を示し、かつ、R18が炭素数5以上10以下のアルキル基又はアラルキル基を示すことが、さらに好ましい。
一般式(ET)で表される電子輸送材料としては、繰り返し画像を形成したときに生じる、帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する観点から、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17が、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を示し、R18がアルキル基を示すことが好ましい。
以下、一般式(ET)で表される電子輸送性化合物の例示化合物を示すが、これに限定されるわけではない。なお、以下の例示化合物番号は、例示化合物(ET-番号)と以下表記する。具体的には、例えば、例示化合物15は、「例示化合物(ET-15)」と以下表記する。
Figure 0007135347000003
なお、上記例示化合物中の略記号は、以下の意味を示す。
・-Ph:フェニル基
本実施形態に係る電荷輸送材料は、これら電子輸送性化合物を1種含有していてもよく、2種以上含有していてもよい。
電荷輸送材料が、硬化樹脂に対する質量割合は、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下が更に好ましい。
電荷輸送材料に対する一般式(ET)で表される電子輸送性化合物の割合は、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、98質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
特定粒子と電荷輸送材料の質量比(特定粒子/電荷輸送材料)は、65/35以上95/5以下であることが好ましく、70/30以上93/7以下であることがより好ましく、75/25以上90/10以下であることがさらに好ましい。
特定粒子と電荷輸送材料の質量比が、65/35以上であると、下引層の電子輸送性が高くなり、電荷が下引層に蓄積し難くなる。その結果、繰り返し画像を形成したときに生じる残留電位の上昇を抑制する電子写真感光体が得られる傾向にある。
一方、特定粒子と電荷輸送材料の質量比が、95/5以下であると、体積抵抗率の高い特定粒子が適度に含まれていることにより、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下を抑制する電子写真感光体が得られる傾向にある。また、体積抵抗率が低下し過ぎないため、異物混入により電子写真感光体に傷が生じても、漏れ電流が抑制される傾向にある。
(硬化樹脂)
以下、本実施形態に係る下引層に含まれる硬化樹脂について説明する。
下引層は、硬化樹脂が硬化した硬化膜(架橋膜を含む)で構成された層であることが好ましい。
下引層に用いる硬化樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂、ポリアミノビスマレイミド、フラン樹脂、尿素樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂等の、熱硬化性の高分子化合物が挙げられる。
上記の中でも、繰り返し画像を形成したときに生じる、帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する観点から、ポリイミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂及びメラミン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ポリイミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。これら硬化樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
なお、硬化樹脂は、多官能エポキシ化合物及び多官能イソシアネート化合物等の硬化剤を用いてもよい。
多官能エポキシ化合物としては、ジグリシジルエーテル化合物、トリグリシジルエーテル化合物、テトラグリシジルエーテル化合物などの多官能エポキシ誘導体やハロエポキシ化合物などが使用可能である。具体的には、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリルジグリシジルエーテル、グリセリルトリグリシジルエーテルなどの多価アルコールのグリシジルエーテル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどの芳香族系多価フェノールのグリシジルエーテル化合物、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、β-メチルエピクロロヒドリンなどのハロエポキシ化合物が挙げられる。
多官能イソシアネート化合物としては、3個以上のイソシアネート基を有するものが好ましく、具体的には、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-イソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート等のポリイソシアネート単量体等が用いられる。また、3個以上のイソシアネート基を含有する化合物の中で、最終的に得られる架橋膜の成膜性耐クラック発生性及び取扱いの容易性等の面から、ポリイソシアネート単量体から得られる誘導体やプレポリマー等の変性体を用いることがより望ましい。
これらの例としては、ポリオールを過剰の前記3官能イソシアネート化合物で変性したウレタン変性体、尿素結合を有する化合物をイソシアネート化合物で変性したビュレット変性体、ウレタン基にイソシアネートが付加したアロファネート変性体等が特に好ましく、その他にもイソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等が用いられる。
本実施形態に係る硬化樹脂は、下引層に対する総含有量が、30質量%以上50質量%以下であることが好ましく、35質量%以上45質量%以上であることがより好ましい。
下引層には、種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、例えば、樹脂粒子を添加してもよい。樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂粒子等の公知の材料が挙げられる。
以下、下引層におけるその他の特性について説明する。
下引層の膜厚は、繰り返し画像を形成したときに生じる、帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する観点から、10μm以上30μm以下であることが好ましく、15μm以上28μm以下であることがより好ましく、18μm以上25μm以下であることが更に好ましい。
下引層の膜厚は、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR-1500Eを用いて測定する。
下引層の体積抵抗率は、繰り返し画像を形成したときに生じる、帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制する観点から、1.0×10(Ω・m)以上10×1010(Ω・m)以下であることが好ましく、1.0×10(Ω・m)以上10×10(Ω・m)以下であることがより好ましく、1.0×10(Ω・m)以上10×10(Ω・m)以下であることがさらに好ましい。
電子写真感光体から、体積抵抗率測定用の下引層試料を作製する方法は、以下の通りである。例えば、下引層を被覆している電荷発生層、電荷輸送層等の塗膜をアセトン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール等の溶媒を用いて除去し、露出された下引層上に真空蒸着法やスパッタ法等により金電極を装着することで、体積抵抗率測定用の下引層試料とする。
交流インピーダンス法による体積抵抗率の測定には、電源としてSI1287 electrochemical interface(東陽テクニカ製)、電流計としてSI1260 inpedance/gain phase analyzer(東陽テクニカ製)、電流アンプとして1296 dielectric interface(東陽テクニカ製)を用いる。
交流インピーダンス測定試料におけるアルミニウム基材を陰極、金電極を陽極として、1Vp-pの交流電圧を周波数1MHzから1mHzまでの範囲で高周波側から印加し、各試料の交流インピーダンスを測定し、この測定より得られたCole-ColeプロットのグラフをRC並列の等価回路にフィッティングすることで体積抵抗率を算出する。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
[導電性基体]
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フィルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013(Ω/cm)未満であることをいう。
導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて導電性基体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
[感光層]
(電荷発生層)
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、特開平5-263007号公報、特開平5-279591号公報等に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン;特開平5-98181号公報等に開示されたクロロガリウムフタロシアニン;特開平5-140472号公報、特開平5-140473号公報等に開示されたジクロロスズフタロシアニン;特開平4-189873号公報等に開示されたチタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;特開2004-78147号公報、特開2005-181992号公報に開示されたビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp-型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn-型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。n-型の電荷発生材料としては、例えば、特開2012-155282号公報の段落[0288]~[0291]に記載された化合物(CG-1)~(CG-27)が挙げられるがこれに限られるものではない。
なお、n-型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn-型とする。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液-液衝突や液-壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
(電荷輸送層)
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
電荷輸送材料としては、p-ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体及び下記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体が好ましい。
Figure 0007135347000004
構造式(a-1)中、ArT1、ArT2及びArT3は、各々独立に置換若しくは無置換のアリール基、-C-C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7及びRT8は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
Figure 0007135347000005
構造式(a-2)中、RT91及びRT92は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。RT101、RT102、RT111及びRT112は各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、-C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)を示し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2は各々独立に0以上2以下の整数を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
ここで、構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体及び前記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体及び「-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点で好ましい。
高分子電荷輸送材料としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、特開平8-176293号公報、特開平8-208820号公報等に開示されているポリエステル系の高分子電荷輸送材は特に好ましい。なお、高分子電荷輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、スチレン-アルキッド樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
(保護層)
保護層は、必要に応じて感光層上に設けられる。保護層は、例えば、帯電時の感光層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する目的で設けられる。
そのため、保護層は、硬化膜(架橋膜)で構成された層を適用することがよい。これら層としては、例えば、下記1)又は2)に示す層が挙げられる。
1)反応性基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に有する反応性基含有電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり当該反応性基含有電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む層)
2)非反応性の電荷輸送材料と、電荷輸送性骨格を有さず、反応性基を有する反応性基含有非電荷輸送材料と、を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり、非反応性の電荷輸送材料と、当該反応性基含有非電荷輸送材料の重合体又は架橋体と、を含む層)
反応性基含有電荷輸送材料の反応性基としては、連鎖重合性基、エポキシ基、-OH、-OR[但し、Rはアルキル基を示す]、-NH、-SH、-COOH、-SiRQ1 3-Qn(ORQ2Qn[但し、RQ1は水素原子、アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、RQ2は水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。Qnは1~3の整数を表す]等の周知の反応性基が挙げられる。
連鎖重合性基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基(ビニルフェニル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性基としては、ビニル基、スチリル基(ビニルフェニル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基であることが好ましい。
反応性基含有電荷輸送材料の電荷輸送性骨格としては、電子写真感光体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン骨格が好ましい。
これら反応性基及び電荷輸送性骨格を有する反応性基含有電荷輸送材料、非反応性の電荷輸送材料、反応性基含有非電荷輸送材料は、周知の材料から選択すればよい。
保護層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
保護層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた保護層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱等の硬化処理することで行う。
保護層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
なお、保護層形成用塗布液は、無溶剤の塗布液であってもよい。
保護層形成用塗布液を感光層(例えば電荷輸送層)上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
保護層の膜厚は、例えば、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上10μm以下の範囲内に設定される。
(単層型感光層)
単層型感光層(電荷発生/電荷輸送層)は、例えば、電荷発生材料と電荷輸送材料と、必要に応じて、結着樹脂及びその他周知の添加剤と、を含む層である。なお、これら材料は、電荷発生層及び電荷輸送層で説明した材料と同様である。
そして、単層型感光層中、電荷発生材料の含有量は、全固形分に対して10質量%以上85質量%以下がよく、好ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、単層型感光層中、電荷輸送材料の含有量は、全固形分に対して5質量%以上50質量%以下がよい。
単層型感光層の形成方法は、電荷発生層や電荷輸送層の形成方法と同様である。
単層型感光層の膜厚は、例えば、5μm以上50μm以下がよく、好ましくは10μm以上40μm以下である。
―画像形成装置及びプロセスカートリッジ―
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、電子写真感光体として、上記本実施形態に係る電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
図2におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
なお、図2には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
-帯電装置-
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フィルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。また、非接触方式のローラ帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器等のそれ自体公知の帯電器等も使用される。
-露光装置-
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
-現像装置-
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
-クリーニング装置-
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
-転写装置-
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
-中間転写体-
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例により限定されるものではない。なお、特に断りがない限り「部」は「質量部」を意味する。
[実施例1]
―電子写真感光体の作製―
(硬化樹脂としてポリウレタンを形成するための材料の準備)
・ブチラート樹脂 :エスレックBM-1、積水化学社製
・ブロック化イソシアネート:スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製
(下引層の作製)
表2に示す種類と組成の、炭化珪素(SER-06、信濃電気製錬社製、体積抵抗率=5.5×10Ω・cm)、電荷輸送材料(ET-1)、及びポリウレタンを形成するための材料に加えて、触媒ジオクチルスズジラウレート0.005質量部を、溶媒メチルエチルケトン80mLに溶解、室温で混合し、実施例1における下引層形成用の塗布液とした。
次に、導電性基体として直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmの円筒状アルミニウム基体を準備し、得られた下引層形成用の塗布液を、浸漬塗布法にて、円筒状アルミニウム基体上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い、厚さ20μmの下引層を得た。
(電荷発生層の作製)
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10質量部及びn-酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn-酢酸ブチル175質量部及びメチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用塗布液を得た。
得られた電荷発生層形成用塗布液を先に円筒状アルミニウム基体に形成した下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
(電荷輸送層の作製)
まず、次のようにして、ポリカーボネート共重合体(1)を得た。
ホスゲン吹込管、温度計及び攪拌機を備えたフラスコに窒素雰囲気下にて1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下Zと称する)106.9g(0.398モル)、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(以下BPと称する)24.7g(0.133モル)、ハイドロサルファイト0.41g、9.1%水酸化ナトリウム水溶液825ml(水酸化ナトリウム2.018モル)、塩化メチレン500mlを仕込んで溶解し、攪拌下18~21℃に保持し、ホスゲン76.2g(0.770モル)を75分要して吹込みホスゲン化反応させた。ホスゲン化反応終了後p-tert-ブチルフェノール1.11g(0.0075モル)および25%水酸化ナトリウム水溶液54ml(水酸化ナトリウム0.266モル)を加え撹拌し、途中トリエチルアミン0.18mL(0.0013モル)を添加し、30~35℃の温度で2.5時間反応させた。分離した塩化メチレン相を無機塩類及びアミン類がなくなるまで酸洗浄及び水洗した後、塩化メチレンを除去してポリカーボネート共重合体(1)を得た。このポリカーボネートは、ZとBPとの構成単位の比がモル比で75:25であった。
次に、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1’]ビフェニル-4,4’-ジアミン25質量部、下記構造式(A)で示す化合物20質量部及び結着樹脂としてポリカーボネート共重合体(1)(粘度平均分子量:5万)55質量部をテトラヒドロフラン560質量部、トルエン240質量部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、135℃、45分の乾燥を行って膜厚が22μmの電荷輸送層を形成した。以上のようにして、電子写真感光体を作製した。
Figure 0007135347000006
[実施例2~実施例14、比較例1~比較例2]
実施例1の下引層の作製工程において、下引層における特定粒子の部数、電荷輸送材料の種類及び部数、又は硬化樹脂の種類及び部数を、表2に示す仕様に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。なお、表2に示すように、比較例1では、下引層形成用の塗布液中に特定粒子を含まない組成とした。また、比較例2では、下引層形成用の塗布液中に電荷輸送材料を含まない組成とした。
[実施例15~16]
実施例1の下引層の作製工程において、炭化珪素の種類を、信濃電気製錬社製のSER-06から、信濃電気製錬社製のSER-A06(体積抵抗率=4.5×10Ω・cm)、又は信濃電気製錬社製のSSC-A01(体積抵抗率=6.3×10Ω・cm)へと変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
[実施例17]
実施例1の下引層の作製工程において、硬化樹脂及び溶媒の種類を下記の仕様とし、表2に記載の部数へと変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
―下引層形成用の塗布液の組成―
・硬化樹脂 :ポリイミド(ユピア-ST、宇部興産株式会社製)
・溶媒 :NMP(和光純薬工業株式会社製)
[実施例18]
実施例1の下引層の作製工程において、硬化樹脂及び溶媒の種類を下記の仕様とし、表2に記載の部数へと変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
・硬化樹脂 :エポキシ樹脂(1001B80、三菱ケミカル株式会社製)
・溶媒 :メチルエチルケトン(和光純薬工業株式会社製)
[実施例19]
実施例1の下引層の作製工程において、硬化樹脂及び溶媒の種類を下記の仕様とし、表2に記載の部数へと変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
・硬化樹脂 :フェノール樹脂(WR-103、DIC社製)
・溶媒 :シクロヘキサノン(和光純薬工業株式会社製)
[実施例20]
実施例1の下引層の作製工程において、硬化樹脂及び溶媒の種類を下記の仕様とし、表2に記載の部数へと変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
・硬化樹脂 :ユリア樹脂(リードライト、株式会社台和製)
・溶媒 :酢酸ブチル(和光純薬工業株式会社製)
[実施例21]
実施例1の下引層の作製工程において、硬化樹脂及び溶媒の種類を下記の仕様とし、表2に記載の部数へと変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
・硬化樹脂 :メラミン樹脂(MX-730、株式会社三和ケミカル製)
・溶媒 :2-プロパノール(和光純薬工業株式会社製)
[実施例22~24]
実施例1の下引層の作製工程において、炭化珪素(SER-06、信濃電気製錬社製、体積抵抗率=5.5×10Ω・cm)を、酸化アルミ(A445、京セラ社製、体積抵抗率=6.5×10Ω・cm)、酸化スズ(6010、三井金属鉱業社製、体積抵抗率=8.0×10Ω・cm)、又はジルコニア(Z21H04、京セラ社製、体積抵抗率=5.5×10Ω・cm)へと変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
[実施例25~26]
実施例1の下引層の作製工程において、電荷輸送材料(ET-1)を、(ET-19)、又は(ET-20)へと変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
Figure 0007135347000007
[実施例27~28]
実施例1の下引層の作製工程において、炭化珪素の平均一次粒子径を、0.21μm、又は、1.51μmへと変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
[実施例29]
実施例1の下引層の作製工程において、炭化珪素、電荷輸送材料(ET-1)、及びポリウレタンを表2に記載の部数へと変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
[比較例3]
実施例1の下引層の作製工程において、硬化樹脂及び溶媒の種類を、下記の結着樹脂の仕様とし、表2に記載の部数へと変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を得た。
・結着樹脂 :ポリエチレン(ネオゼックス、日本ゼオン株式会社製)
・溶媒 :トルエン(和光純薬工業株式会社製)
[評価]
上記で作製した電子写真感光体を、富士ゼロックス社製 DocuCentre-V C7775に装着し、次の評価を実行した。各評価の結果を、表2に示す。
―膜厚ムラの評価―
アルミ基板(3×3cm)の上に、各実施例及び比較例と同じ条件で下引層を形成した。形成した下引層において、アルミ基板の中心と、縦横方向に、それぞれ±1cm動かした合計5箇所について、渦電流膜厚計を用いて膜厚測定を行った。その後、5箇所の膜厚のうち、最大と最小の膜厚差について、以下の基準で評価した。
A+:0.0μm以上2.0μm未満
A :2.0μm以上3.0μm未満
B :3.0μm以上5.0μm未満
C :5.0μm以上
―体積抵抗率の評価―
下引層の体積抵抗率は、発明を実施するための形態に記述の方法にしたがって、測定した。
各体積抵抗率について、以下の評価基準で評価した。
A+: 1.0×10(Ω・m)以上1.0×1010(Ω・m)以下
A : 1.0×1010(Ω・m)超え1.0×1011(Ω・m)以下
B : 1.0×1011(Ω・m)超え1.0×1013(Ω・m)以下
C : 1.0×1013(Ω・m)超え
―帯電維持性の評価―
電子写真感光体の電気特性は、表面電位計(トレック社製、トレック334)を用いて、電子写真感光体の表面から1mm離れた位置に測定対象の領域に表面電位プローブを設け、帯電後の表面電位を-700Vに設定した後、各環境70,000枚出力後の表面電位(長期安定性)を測定した。
各表面電位について、以下の評価基準で評価した。
A+: 表面電位が-700V以上-690V未満
A : 表面電位が-690V以上-680V未満
B : 表面電位が-680V以上-650V未満
C : 表面電位が-650V以上
―残留電位の評価―
電子写真感光体の電気特性は、表面電位計(トレック社製、トレック334)を用いて、電子写真感光体の表面から1mm離れた位置に測定対象の領域に表面電位プローブを設け、除電した後の残留電位を測定し、初期の残留電位(初期残留)及び各環境70,000枚出力後の残留電位(長期残留)を測定した。
各残留電位について、以下の評価基準で評価した。
A+: 20V未満
A : 20V以上40V未満
B : 40V以上80V未満
C : 80V以上
―漏れ電流の評価―
直径0.1mmのピンホールを基材まで貫通させた感光体を、ドラムカートリッジに装着し、低温低湿(10℃、15%RH)環境下および高温高湿(28℃、85%RH)環境下で50%ハーフトーン画像を印刷し、感光体ピンホール部分の帯状の画像欠陥について、以下の基準で判定した。
A+:直径1.0mm以下の色点
A :10mm以下の帯状の画像欠陥の発生
B :10mmより長く30mm以下の帯状の画像欠陥の発生
C :30mmより長い帯状の画像欠陥の発生
Figure 0007135347000008

表2に示す結果から、本実施例の電子写真感光体は、比較例の電子写真感光体に比べ、繰り返し画像を形成したときに生じる帯電性の低下及び残留電位の上昇を抑制していることがわかった。また、本実施形態に係る電子写真感光体は、比較例の電子写真感光体に比べ、漏れ電流の発生も抑制されることがわかった。また、本実施例の電子写真感光体は、比較例の電子写真感光体に比べ、膜厚ムラも改善されることがわかった。
1 下引層、2 電荷発生層、3 電荷輸送層、4 導電性基体、7A,7 電子写真感光体、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑剤、40 転写装置、50 中間転写体、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、133 繊維状部材、300 プロセスカートリッジ

Claims (12)

  1. 導電性基体と、
    前記導電性基体上に設けられた感光層と、
    前記導電性基体と前記感光層との間に設けられ、体積抵抗率が1.0×10(Ω・cm)以上1.0×1010(Ω・cm)以下である粒子と、電荷輸送材料と、硬化樹脂と、を含む下引層と、
    を備え、
    前記下引層に含まれる全ての無機粒子が、前記粒子として炭化珪素のみからなり、
    前記電荷輸送材料が電子輸送性化合物を含む電子写真感光体。
  2. 前記電荷輸送材料が、一般式(ET)で表される電子輸送性化合物を含む、
    請求項1に記載の電子写真感光体。
    Figure 0007135347000009


    (一般式(ET)中、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はアラルキル基を示す。R18は、アルキル基、-L19-O-R20、アリール基、又はアラルキル基を示す。ただし、L19はアルキレン基を示し、R20はアルキル基を示す。)
  3. 一般式(ET)で表される前記電子輸送性化合物において、R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17が、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基を示し、R18がアルキル基を示す、請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記下引層に対する前記粒子の含有量が、40質量%以上60質量%以下である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記粒子と前記電荷輸送材料の質量比が、65/35以上95/5以下である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記下引層の膜厚が10μm以上30μm以下である、
    請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記粒子の平均一次粒子径が0.03μm以上1.2μm以下である、
    請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 前記粒子の平均一次粒子径が0.4μm以上0.8μm以下である、
    請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記下引層の体積抵抗率が1.0×10(Ω・m)以上10×1010(Ω・m)以下である請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  10. 前記硬化樹脂は、ポリイミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂及びメラミン樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種である、
    請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  11. 請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の電子写真感光体を備え、
    画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジ。
  12. 請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    を備える画像形成装置。
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