JP5206026B2 - 画像形成装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
電子写真感光体は、コスト、生産性、材料選択の自由度及び地球環境への影響等の理由から、主として有機材料を用いた有機感光体が広く使用されている。有機感光体は、主として感光材料を含有させた感光層からなっており、電荷発生機能と電荷輸送機能を一つの層に備えた単層型と、電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層とに機能分離した積層型に大別される。
電子写真感光体のみならず、現像剤あるいは画像形成装置本体の改良も進み、有機感光体を用いた画像形成装置の画像品質は非常に高まっており、それに伴って印刷用途も多様化している。近年では特に、フルカラー化や高速化の要求度が非常に高くなっており、特に高速印刷分野への対応も求められている。また、同時に装置の小型化や操作後画像が出力されるまでの時間の短縮化などにも対応していく必要がある。
しかしながら、これらの課題を同時に解決することは難しく、改善可能な技術は現在も確立されていない。感光体の線速を高速化させると、帯電能や転写能が落ちることがその一因であり、感光体の小径化によっても同じ問題が生じる。さらに、感光体の小径化は、感光体周りのレイアウト上の制限が大きくなるため、予備の帯電あるいは転写機構を設けることは難しく、また帯電あるいは露光−現像間に十分な時間を割り当てられなくなるため、帯電時や露光時の応答性を高める必要がある。
さらに、上記問題をより深刻にしている原因は、感光体の繰り返し使用による静電特性の劣化である。感光体を繰り返し使用することによって発生する残留電位上昇や感度劣化、帯電低下等は、上記の帯電時や露光時の応答性を大幅に低減させることになる。また、帯電器より発生するオゾンやNOxガスも、感光体の静電特性を劣化させる要因であり、解像度の低下など画質を劣化させる要因でもある。さらに、これらの静電特性劣化要因の中でも、近年特に重要視されている問題は、画像形成装置内で繰り返し使用し静電疲労した感光体を帯電させると、感光体の一周目において帯電低下が見られ、二周目以降には回復する現象(以降、一周目帯電低下と称する)である。
感光体一周目の帯電電位が低下すると、出力1枚目には非現像領域に地汚れが発生し画像品質を低下させる不具合が生じる。また、中間転写体がトナーによって汚染され、それが紙の汚染を助長させることになる。そのため、画像出力時に感光体をその都度空回しする必要が生じ、あるいは帯電能を増加させるために予備帯電手段を別途設ける必要が生じることになる。したがって、一周目帯電低下は、画質安定性を低下させるだけでなく、画像形成装置の高速化、小型化、フルカラー化、さらに操作後画像出力されるまでの時間の短縮化を妨げる重要かつ深刻な問題であるが、従来技術においてはそれらの要因や有効な対策について十分に明らかにされていないのが実情である。
例えば、特許文献1には、一周目帯電低下は電荷発生層内部に帯電プロセス前の周辺の微弱光や熱励起により発生したキャリアが、電荷輸送層内でトラップされるモデルが示されており、具体的手段としては、電荷発生層と電荷輸送層のイオン化ポテンシャル差を小さくし、ホール移動度を高める一方、下引き層の高抵抗化によって電荷の再結合確率を高めることを狙いとしている。しかし、下引き層の高抵抗化は自身で記載しているように残留電位上昇の副作用を有しており、その場合電荷はトラップされやすくなると考えられるため、根本的な解決にはなっていない。また、電荷輸送物質の移動度は測定方法しか記載されておらず、電荷移動におけるどの段階での移動度なのかが不明瞭である。その上、移動度の向上によりホールトラップ確率が低減されるとの記載があるが、それらの関係についても明確ではない。
また、特許文献3には、電荷発生層の脱分極に要する活性化エネルギーが0.32eV以下とした技術が開示され、一周目帯電低下は一周目において感光層中の分子がまだ無秩序状態であるために電界による分子配向に時間を要するために発生するモデルが提案されている。電荷輸送物質としてはジスチリルベンゼン誘導体が含まれているが、感光体の評価において帯電時間に関する記載が一切なく、あくまで電荷発生層の脱分極の活性化エネルギーで規定されており、本発明とはまったく異なる技術である。
また、特許文献5には、残留電位上昇や感度低下の抑制方法として、下引き層の電子移動度を規定し、詳しくは下引き層に電子輸送物質を含有する技術が開示されている。ジスチリルベンゼン誘導体が例示化合物として記載されているが、ホール移動度や帯電時間との関係については一切触れられておらず、本発明とは目的や構成、原理ともにまったく異なる技術である。
また、特許文献7には、感光体の帯電時間を50〜1000msecに規定した方法が開示されている。本文中に、「帯電時間が50msec以下では帯電電位が不安定であり、帯電時間として50msec以上が必要」との記述があるが、トランジット時間に関しては一切言及されておらず、本発明とは目的や構成が大きく異なっている。
また、特許文献9には、中間層がN型半導性微粒子を、電荷発生層がフタロシアニン顔料を含有しており、感光体上への画像形成起動時の像露光に先立ち、予備帯電工程、光除電工程、帯電工程を経るようにした技術が開示されている。予備帯電工程を備えることは帯電能を増強することになるため有効な方法ではあるが、感光体周りの部材が増えることになるため、感光体の小径化が制限される。また、酸化性ガスの発生量が増加し、感光体の静電特性の劣化を促進させる恐れがある。
上記モデルによると、電荷発生層にホールがトラップされ、放置によってリリースされやすくなったホールが存在していても、それらのホールのほとんどを最初に行う帯電の初期段階で像担持体表面に到達させることができれば、その後像担持体を十分に帯電させることが可能となり、一周目帯電低下は抑制できると考えられる。したがって、帯電時に電荷発生層から電荷輸送層に注入されたほとんどすべてのホールが電荷輸送層の表面まで到達する時間よりも帯電時間を長くすれば一周目帯電低下を抑制できることを見いだした。
特に、像担持体の回転速度が80(rpm)以上になると顕著に発生し、その影響は非常に大きなものになる。しかし、像担持体の線速を遅くすることは、画像出力速度の高速化に対して大きな障害となる。したがって、像担持体の線速を遅くする手段は好ましくなく、少なくとも像担持体の回転速度が80(rpm)である画像形成装置において、一周目帯電低下を抑制できる技術が必要になる。なお、本発明においては、像担持体の線速として表記した場合、像担持体の外径によって大きく異なるため、線速(mm/min)を像担持体の外径(mm)で除した像担持体の回転速度(rpm)として表記する。
像担持体の回転速度が少なくとも80(rpm)である画像形成装置において、帯電時間を長くするための方法としては、帯電器の大型化あるいは帯電器を複数設置する方法がある。具体的には、帯電器の幅が大きいものを用いたり、予備帯電器等を追加したりすれば、帯電時間をそれだけ稼ぐことが可能となり、一周目帯電低下を抑制することが可能である。しかし、これらの方法では、一周目帯電低下は抑制できても、画像形成装置の大型化は避けられない。特に、像担持体を小径化すると大型の帯電器や複数の帯電器を設置するスペースを確保できないために、小径の像担持体は採用できず、画像形成装置の大幅な大型化につながる。このことは、タンデム型のフルカラー画像形成装置においては、特に重要な問題となる。したがって、単に帯電時間を長くする従来の方法では、画像形成装置の高速化や小型化が犠牲となり、それらを両立することは困難である。画像形成装置の出力速度やサイズを維持しつつ、如何に一周目帯電低下を抑制するかが本当の課題である。
(1)導電性支持体上に、少なくとも下記一般式(3)及び/又は(4)で表される電荷輸送物質を含む感光層を有する像担持体を用い、少なくとも該像担持体を帯電させる帯電手段と、該像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像手段を有する画像形成装置において、実機トランジット時間T1(msec)と帯電時間T2(msec)とが式(1)の関係を満たすことを特徴とする。
T1 ≦ T2………(1)
〔但し、実機トランジット時間T1とは、像担持体に露光してから表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間を短縮化させ、露光部電位に対してプロットしたときに、露光部電位が最初に立ち上がる屈曲点と定義する。また、帯電時間T2は、式(2)で定義される。
帯電時間T2(msec)=帯電手段の帯電幅(mm)/像担持体の線速(mm/msec) ………(2)〕
IpCGM −IpCTM ≧−0.1(eV)………(5)
(3)前記感光層もしくは電荷輸送層が、バインダー樹脂として高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする。
(10)前記スコロトロンチャージャーが、複数のワイヤーを有することを特徴とする。
(11)像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段より選択される少なくとも一つの手段からなる画像形成要素を複数配列したタンデム方式であることを特徴とする。
(12)像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段より選択される少なくとも一つの手段とが一体となり、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを搭載することを特徴とする。
(13)上記に記載の画像形成装置に着脱可能であり、像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段より選択される少なくとも一つの手段とが一体となっているプロセスカートリッジであることを特徴とする。
T1 ≦ T2………(1)
〔但し、実機トランジット時間T1とは、像担持体に露光してから表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間を短縮化させ、露光部電位に対してプロットしたときに、露光部電位が最初に立ち上がる屈曲点と定義する。また、帯電時間T2は、式(2)で定義される。
帯電時間T2(msec)=帯電手段の帯電幅(mm)/像担持体の線速(mm/msec)………(2)〕
本発明の画像形成装置によれば、電荷発生層と電荷輸送層の積層構成とすることで、一周目帯電低下の抑制に対し有効であり、本発明の効果を発揮させる上でも適している。また、静電特性やその安定性も向上させることができ、長寿命化に対し有効である。
本発明の画像形成装置によれば、上記式(5)の関係を満たすことによって電荷発生層と電荷輸送層の界面におけるホールトラップが抑制され、残留電位上昇の抑制に著効である。電荷発生層と電荷輸送層の界面にホールがトラップされやすくなると、表面に到達するホールの絶対量は減少するため、一周目帯電低下はやや低減される傾向が見られるが、残留電位上昇の影響が増大し、画像濃度や階調性の低下等の画質劣化が促進されるため、根本的な解決には至らない。本発明においては、残留電位上昇と一周目帯電低下を同時に抑制することができ、これにより高画質化を達成し、かつ画像形成装置の高速化、小型化にも対応可能としたものであり、その効果は非常に大きく、有用である。
本発明の画像形成装置によれば、感光層もしくは電荷輸送層のバインダー樹脂として高分子電荷輸送物質を用いることによって、バインダー樹脂にも電荷輸送機能を持たせることができる。これにより、実機トランジット時間の更なる短縮化が可能となり、一周目帯電低下の抑制効果が向上し、画像形成装置の高速化や小型化に対しより高い効果を得ることができる。
本発明の画像形成装置によれば、感光層もしくは電荷輸送層において電荷輸送物質と高分子電荷輸送物質を混合させ、電荷輸送物質と高分子電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル差を0.1eV以下とすることにより、実機トランジット時間を更に高めることが可能となり、一周目帯電低下の抑制や画像形成装置の高速化や小型化に対し、顕著な効果を得ることができる。さらに、残留電位に及ぼす影響も顕著に低減でき、静電特性や画質の安定化が実現でき、高画質化と高速化、小型化を両立した画像形成装置が提供できる。
本発明の画像形成装置によれば、感光層もしくは電荷輸送層に上記式(8)〜(11)で示される酸化防止剤の少なくとも二種を含有させることによって、残留電位に対し大きな影響を与えずに、酸化性ガスに対する画質劣化が抑制され、また静電疲労による帯電低下の抑制に高い効果を得ることができ、一周目帯電低下の抑制にも有効である。これらの酸化防止剤を一種添加することでも効果は得られるが十分とは言えない。本発明においては、これらを二種以上混合して用いることにより、高い効果を得ることが可能となる。
有させることにより、高感度化が実現でき、高速化に対し有効であるため、本発明においては特に有効に用いられる。また、特開平8−36301号公報、特開平10−186703号公報、特開2005−134674号公報等には、一周目帯電低下はアゾ顔料では観測されず、フタロシアニン特有の問題であるとの記載もあるが、アゾ顔料においても一周目帯電低下は確認されており、必ずしもチタニルフタロシアニンが一周目帯電低下を引き起こす原因ではない。
本発明の画像形成装置によれば、上記(7)に記載の結晶型を有するチタニルフタロシアニン顔料を用いることにより、高感度を有し、かつ帯電性に優れ、地汚れの発生が少ない特性を有することから、画像形成装置の高速化と高画質化の両立が可能となる。また、帯電性に優れることから、一周目帯電低下も低減される効果が得られる。本発明の目的は、画像形成装置の高速化や像担持体の小径化に対しても高画質を安定に出力できることにあり、そのためには高感度を有する上記電荷発生物質は必要不可欠である。
本発明の画像形成装置によれば、上記式(12)に記載の非対称ビスアゾ顔料を用いることにより、高感度化が実現でき、画像形成装置の高速化に有効となることから、本発明において特に有効に用いられる。また、この材料はイオン化ポテンシャルが大きいことから残留電位上昇の影響が非常に少なく、さらに残留電位の電界強度依存性が小さいことから、フルカラー画像形成装置に有利となる。
本発明の画像形成装置によれば、導電性支持体と感光層もしくは電荷発生層との間に下引き層及び/又は樹脂層を設けることによって、地汚れの抑制やモアレ防止などに大きな効果を得ることができる。下引き層は、一次平均粒子径の異なる酸化チタン顔料を混合して含有することにより、酸化チタン顔料が緻密に充填されることから、一周目帯電低下の抑制、残留電位上昇の抑制に大きな効果が得られ、同時にモアレ防止効果も維持される。一方、樹脂層は地汚れの抑制に顕著な効果を有する。本発明において、電荷輸送物質として後述する式(16)あるいは(3)及び(4)に示される化合物を含有する電荷輸送層を電荷発生層の上に塗工した場合、電荷輸送物質が下引き層に染み込む場合がある。この場合、上記電荷輸送物質は電荷注入性並びに輸送性が高いために、支持体からのホール注入性も高められ、その結果地汚れが悪化する場合がある。樹脂層を設けることによってこれらの電荷のリークを防止することができるため、本発明においては非常に有効な手段である。
本発明の画像形成装置によれば、複数のワイヤーを有するスコロトロンチャージャーは、帯電時間をさらに稼ぐことができ、それだけ帯電能を高くすることが可能であるため、更なる高速化に対応できる。画像出力の高速化によって一周目帯電低下は明らかに増加するため、高速化に対しては特に有効な方法である。
本発明の画像形成装置によれば、タンデム方式の画像形成装置は少なくとも4色の現像部に対応した4本の像担持体を装置内に内包させる必要があるため、像担持体の小径化が必要不可欠であり、そのため予備帯電手段を付加することも制限される。また、タンデム方式の最大のメリットは、フルカラー画像の高速化にあり、今後更なる高速化が求められることが予想される。そのため、本発明の画像形成装置はタンデム方式で用いることにより、高画質化とともに像担持体の小径化や高速化が実現されるため、特に有効である。
本発明の画像形成方法によれば、感光層に存在する一周目帯電低下の発生原因となるホールのほとんどが所定の帯電時間内に像担持体の表面に到達させることが可能となり、画像出力速度を維持しつつ、一周目帯電低下に対し非常に高い抑制効果を得ることができる画像形成方法が提供される。
前述の通り、画像形成装置は高画質化と平行して、フルカラー化、高速化、小型化、操作後画像出力されるまでの時間の短縮化等、様々な印刷用途に対応し、かつ省スペース化やユーザーの使い勝手を向上させることが必要となる。それらを実現する上で、一周目帯電低下の現象は高速化、像担持体の小径化、操作後画像出力されるまでの時間の短縮化のすべてを妨げる大きな問題となっている。
像担持体の線速(プロセススピード)の高速化あるいは像担持体の小径化は帯電能が低下し、一周目帯電低下の大きな原因となる。一周目帯電低下の影響を回避するために、像担持体の一周目を空回しして使用する従来の方法では、操作後画像出力されるまでに多くの時間が必要となり、画像出力毎に必要となるこれらの時間は膨大なものになる。それを改善させるために予備帯電手段等を設ける方法では、像担持体周りの部材が増加し、像担持体の小径化が制限されてしまうなど、装置の小型化に対し大きな障害となる。また、フルカラーの画像出力を行うためには、少なくとも4色のトナー像を重ね合わせる必要があるため、高速化及び装置の小型化の要求はさらに大きなものとなる。特に、高速フルカラープリントを可能としたタンデム方式の画像形成装置は、4色の現像部に対応した4本の像担持体が装置に内包されるため、像担持体の小径化が必要不可欠である。したがって、一周目帯電低下を抑制することは、これらの課題を同時に解決できる重要な技術となり、その技術の確立が熱望されている所以である。
従来の公報においても一周目帯電低下を抑制させるための構成要件の一つとして、電荷輸送層の高移動度化を挙げている公知技術は認められる。それらのほとんどはタイムオブフライト(TOF)法で見積もられたトランジット時間より算出された結果であり、これは像担持体の設計上非常に有用でかつ一般的に用いられている方法である。トランジット時間とは、像担持体中に生成した光キャリアの多くが外部電界に沿って像担持体中を移動するのに要した時間として定義される。図1に示した光電流の時間依存性の関係から、屈曲点を導き出し、それをトランジット時間として見積もられている。但し、トランジット時間は、像担持体における感光層の膜厚の影響を受けるため、下記式より求められるドリフト移動度で比較するのが一般的である。
μ=d2/(Tr
V) ………(14)
〔μ:ドリフト移動度〔cm2/V・sec〕、d:感光層の膜厚〔cm〕、Tr:トランジット時間〔sec〕、V:電圧〔V〕〕
一方、上記トランジット時間で示される光電流の1/2あるいは1/10のトランジット時間で見積もる方法や図3よりトランジット時間を見積もる方法(特開2003−195536号公報)も開示されている。この方法であれば、電荷移動がほぼ完了した時点でのトランジット時間を得ることができるため、その点においては有効な方法であると言える。しかし、この領域はノイズが非常に大きくなるため、実際のところ正確なトランジット時間を見積もることが非常に困難である。
以上のことから、一周目帯電低下は感光層に存在する一周目帯電低下を引き起こすホールのほとんどすべてを、短い帯電初期段階で表面に到達させることが必要であるため、基本的に高移動度を有する電荷輸送層が有効になるが、従来公報におけるトランジット時間の測定のほとんどは、TOF法によるものであって、その方法では実際に画像形成装置内で使用される像担持体の電荷の挙動を表したものとは言えず、一周目帯電低下との関係についても明確にはできない。
この装置は、さらに露光手段と現像手段に位置する第2の表面電位計との角度を自由に調整できるため、露光してから第2の表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間を任意に設定することが可能である。したがって、所定の光量で露光してから露光部電位を測定するまでの時間を任意に変更しながら測定を繰り返すと、図6に示される露光してから露光部電位を測定するまでの時間と露光部電位との関係図が得られる。なお、所定の光量とは、図5の光減衰曲線から図に示す屈曲点領域で決定される。図6に示されるように、露光してから露光部電位を測定するまでの時間を短くしていくに従い、露光部電位は直線的に変化するが、やがて露光部電位が立ち上がり屈曲点(図中、第1の屈曲点)を見いだすことができる。さらに、露光してから露光部電位を測定するまでの時間を短くしていくと、さらに露光部電位は上昇し、再び屈曲点(図中、第2の屈曲点)が見いだされる。
以上のことから、上記の実機トランジット時間をより短縮することができれば、更なる高速化や装置の小型化に対し余裕度が得られ有効である。しかし、十分にトランジット時間が短くても、帯電時間がそれよりも短かったり、帯電が不均一であったりした場合は、一周目帯電低下を抑制することはできない。そのため、像担持体の実機トランジット時間以上の帯電時間を与え、かつ均一に帯電させる帯電手段が必要となる。
これらの中でも、本発明に最も適している帯電方式は上記コロナ帯電方式が挙げられる。この帯電方式は、直径が50〜100μmのワイヤーに高電圧を印加し、その周辺の空気をイオン化させ、それを像担持体に移動させることによって帯電させるものである。コロナ放電方式は、主にコロトロン及びスコロトロンに大別される。スコロトロンは、コロトロンにスクリーン電極(グリッド)を配置した構成となっており、スクリーン電極は1〜3mmピッチで、像担持体からは1〜2mm離れた位置に張られる。これにより、帯電時間が長くなってもグリッド電極に印加された電圧によって帯電電位が規制され、表面電位が飽和する。そのため、帯電電位はグリッド電圧により制御でき、均一帯電が可能となる。本発明においては、帯電ムラが少なく、均一帯電が可能なスコロトロンの方が、一周目帯電低下の抑制効果が高く、高速化や装置の小型化に対する余裕度も向上し、また高画質化の点からも最も適した帯電手段である。
コロトロンの帯電幅は、ケーシングの開口部の幅と同等である。但し、コロトロンはワイヤー704(図7参照)の近くとそうでない領域で帯電電流分布が生じる場合がある。一方、スコロトロンはグリッドを設けていることにより均一帯電が可能であるため、コロトロンより一周目帯電低下の抑制効果が高くなる。スコロトロンの像担持体702への帯電幅701は、図7に示したようにグリッド703の幅で決まる。なお、ケーシングの形状は箱形や円筒型等があり、如何なる形状のものでも使用可能であるが、帯電幅はあくまでケーシングの開口幅もしくはグリッド幅で決まる。
帯電時間(msec)=帯電手段の帯電幅(mm)/像担持体の線速(mm/msec)………(2)
したがって、コロトロンあるいはスコロトロン帯電方式を用いた場合の帯電時間は、画像形成装置に用いられるコロトロン帯電器のケーシングにおける開口部の幅もしくはスコロトロン帯電器のグリッド幅を像担持体の線速で除した値で決まる。
この帯電方式は、像担持体と帯電ローラーとの接触面積はわずかであるが、実際には微小空隙での放電による電荷移動によって帯電されるため、ローラー帯電方式における帯電幅は、図8に示したように像担持体802と帯電ローラー805の接触している部分の前後における空隙幅806が300μm以内の領域と見ることができる。また、DCにACを重畳させることによって、帯電の均一性を大幅に高めることが可能となるため、本発明においては一周目帯電低下の抑制、あるいは高速化や小型化に対応する上で特に有効な方法である。なお、801は帯電幅を表す。
また、これらすべての帯電手段を複数備えることも可能であり、帯電時間を大幅に増加させることが可能であることから、特に高速化に対しては有効である。複数の帯電手段を備えた場合には、それぞれの帯電手段における帯電時間の和が総帯電時間となる。しかし、帯電手段を複数備えることは高速化に対しては有効であるが、装置の小型化や像担持体の小径化に対しては好ましくない。装置によって使い分けることが必要である。
なお、前記実機トランジット時間は電界強度依存性が認められ、電界強度が高い方が早くなる。すなわち、実機トランジット時間は、像担持体の感光層膜厚が薄い方が早く、また未露光部の現像位置における表面電位が高い方が早くなる。一方、所定の帯電時間、像担持体に帯電を施す際の電界強度も一周目帯電低下に対し影響が認められる。したがって、実機トランジット時間を測定するときの電界強度は、実際に像担持体が画像形成装置内で使用される電界強度と同じにして計測する必要がある。
<画像形成方法及び画像形成装置について>
図10に本発明の画像形成方法及び画像形成装置を説明するための概略図を示す。これは一つの代表例であって、これに限定されるものではなく、例えば後述する変形例も本発明にすべて含まれる。図10に示される像担持体21は、本発明の像担持体であり、詳細は後述する。像担持体21は、ドラム形状を示しているが、これに限られるものではなく、例えばシート状やエンドレスベルト状のものであってもよい。
本発明の画像形成方法及び画像形成装置は、少なくとも前述の帯電手段、露光手段、現像手段を備えたものであり、さらに転写手段、定着手段、クリーニング手段、除電手段等を必要に応じて備えることができる。あるいは、これ以外の手段を追加することも可能である。
転写工程は、像担持体上に形成されたトナー像を転写材(紙などの転写媒体)に転写する工程である。転写手段としては、帯電器を使用することが可能であり、例えば図10に示されるように転写チャージャーを使用したり、分離チャージャーを併用したものが効果的である。転写方式としては、上記転写手段を用いて像担持体からトナー像を紙などの転写媒体に直接転写する方式と、像担持体上のトナー像を一度中間転写体に転写し、その後中間転写体から紙などの転写媒体に転写する中間転写方式があり、どちらの方式でも良好に使用することができる。後者の中間転写方式は、高画質化に対しては有効であり、フルカラー画像形成装置に対しては有効であるが、反面高速化や装置の小型化に対しては不利であり、使用目的によって使い分けることが必要である。
クリーニング工程は、現像手段によって像担持体上に現像されたトナーが、転写手段によって転写媒体に転写され、なお像担持体上に残存したトナーを除去する工程である。これらの残存トナーを像担持体上から除去することが可能であれば如何なる方法を用いてもよい。具体的な手段としては、ファーブラシやブレード、あるいはそれらを組み合わせて用いることが多い。その他、磁気ブラシ、静電ブラシ、磁気ローラー等も有効に用いられる。
除電工程では、クリーニング工程で残存トナーが除去されても、像担持体上に静電潜像コントラストが残存していた場合、次サイクルでそのコントラストが残像やゴースト画像として可視化される恐れがあるため、それらを除去する工程である。除電手段としては、そこから照射される光を電荷発生物質が吸収できれば、如何なる手段であってもよい。例えば、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、水銀灯、蛍光灯、ナトリウム灯等が挙げられ、さらに露光手段で挙げられた光学フィルターと組み合わせて用いてもよい。また、光照射方式以外に、逆バイアスを印加して除電する方法もあり、静電疲労を抑制する上では好ましい。
但し、前記の通り像担持体への除電光の照射は、静電疲労を助長することになり、また装置の小型化の面から除去されるケースもあるが、次サイクルの帯電前に静電潜像コントラストが残っていたり、転写によって一部がプラスに帯電したりした場合は、残像やゴースト画像の発生や一周目帯電低下を助長させることになるため、除電手段を有していた方がより好ましい。
本発明は、一周目帯電低下の抑制効果が顕著に高く、画像形成装置の高速化、小型化、画像出力時間の短縮化等に非常に有効である。したがって、特にフルカラー画像形成装置において、高速化、小型化が強く求められているタンデム方式の画像形成装置に非常に有効に用いられる。タンデム方式の画像形成装置とは、複数色のトナーを各々独立して保持する現像部に対応してそれと同じ本数の像担持体を具備し、それによって各色の現像を各々独立に平行して処理し、その後各色のトナー像を重ね合わせてフルカラー画像を形成する装置である。具体的には、フルカラー印刷に必要とされるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の少なくとも4色の現像部及び像担持体が具備されており、4回のプロセスを繰り返して出力される従来のシングルドラム方式に比べて、極めて高速なフルカラー印刷を実現している。
図11は、本発明のタンデム方式によるフルカラー画像形成装置を説明するための代表的な概略図である。図11において、符号(1C,1M,1Y,1K)はドラム状の像担持体であり、本発明の像担持体が用いられる。この像担持体(1C,1M,1Y,1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電手段(2C,2M,2Y,2K)、現像手段(4C,4M,4Y,4K)、クリーニング手段(5C,5M,5Y,5K)が配置されている。
この帯電手段(2C,2M,2Y,2K)と現像手段(4C,4M,4Y,4K)の間の像担持体裏面側より、図示しない露光手段からのレーザー光(3C,3M,3Y,3K)が照射され、像担持体(1C,1M,1Y,1K)に静電潜像が形成される。そして、このような像担持体(1C,1M,1Y,1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C,6M,6Y,6K)の現像手段(4C,4M,4Y,4K)とクリーニング手段(5C,5M,5Y,5K)の間で像担持体(1C,1M,1Y,1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の像担持体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C,11M,11Y,11K)が配置されている。各画像形成要素(6C,6M,6Y,6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
なお、図11の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C,6M,6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図11において帯電手段は像担持体と当接しているが、図9に示したような帯電機構で、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けてやることにより、帯電手段へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
以上に示すような画像形成手段は、複写機、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよく、また、各々の画像形成要素はプロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、像担持体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等から選択される手段の少なくとも1つを含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は限定されるものではないが、一般的な例として、図12に示すものが挙げられる。像担持体101は、本発明の像担持体である。
<像担持体の層構成について>
本発明における像担持体の層構成は、単層であってもあるいは複数積層された構成であってもよく、層構成に限定されない。例えば、以下に示す層構成が挙げられる。図13は、導電性支持体1001上に感光層1002が形成された像担持体である。また、図15のように感光層1052と導電性支持体1051との間に下引き層1053を設けてもよい。また、図17のように感光層1072と導電性支持体1071との間に樹脂層1074と下引き層1073の少なくとも二層を積層して設けてもよい。あるいは、図示しないが、感光層と導電性支持体との間に樹脂層のみを設けることも可能である。図14は、導電性支持体上1041に電荷発生層1045と電荷輸送層1046を順次積層した像担持体である。また、図16のように電荷発生層1065と導電性支持体1061との間に下引き層1063を設けてもよい。なお、1066は電荷輸送層である。また、図18のように電荷発生層1085と導電性支持体1081との間に樹脂層1084と下引き層1083の少なくとも二層を積層して設けてもよい。なお、1086は電荷輸送層である。あるいは、図示しないが、電荷発生層と導電性支持体との間に樹脂層のみを設けることも可能である。
本発明においては、一周目帯電低下を抑制させる目的から、これらの層構成の中でも下引き層を形成させた方がより好ましい。さらに、高画質化の面から樹脂層と下引き層を二層積層した構成がより好ましい。また、感光層が単層の場合よりも複数積層させた方が耐久性の点からより好ましい。なお、これらの層構成は代表的なものを示したものであって、本発明はこれらの層構成に限定されるものではない。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものが挙げられ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状又は円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの;アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを、押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
さらに、上記の導電性支持体上に導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて導電性層を形成(塗工などを用いて形成)したものも、導電性支持体として用いることができる。このような導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等が挙げられる。また、同時に用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられる。導電性層は、導電性粉体とバインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等の溶剤に分散させて塗布することにより設けることができる。さらに、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフルオロエチレン系フッ素樹脂等の素材に導電性粉体を含有させた熱収縮チューブを用いて、円筒基体上に導電性層を設けたものも、導電性支持体として用いることができる。
陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行われる。このうち、硫酸浴による処理が最も適している。一例を挙げると、硫酸濃度:10〜20%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm2、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60min程度の範囲で処理が行われるが、これに限定するものではない。このように作製される陽極酸化皮膜は多孔質であり、また絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況である。このため、作製後の経時変化が存在し、陽極酸化皮膜の物性値が変化しやすい。これを回避するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが好ましい。封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。これは、封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去することが主な目的である。これが支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまうため、逆に地汚れの発生原因にもなってしまう。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、通常は多段階の洗浄を行う。この際、最終の洗浄液が可能な限りきれいな(脱イオンされた)ものであることが好ましい。また、多段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的なこすり洗浄を施すことが好ましい。以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5〜15μm程度が好ましい。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が十分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下する場合がある。
次に、感光層について説明する。
感光層は、単層もしくは複数の積層でもよいが、はじめに積層型から説明する。積層型感光層は、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層が積層されることによって構成されている。
<電荷発生層について>
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層には、公知の電荷発生物質を用いることが可能である。例えば、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、非対称ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、カルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報に記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)等のアゾ系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、また下記式(15)で表される金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料等が挙げられる。
本発明の像担持体に含有される上記電荷発生物質においては、粒子サイズをより細かくすることにより、その効果がより高くなる場合があり有効である。特に、フタロシアニン系顔料においては、平均粒子サイズは0.25μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。以下にその作製方法を示す。感光層に含有される電荷発生物質の粒子サイズをコントロールするための方法は、電荷発生物質を分散した後、0.25μmより大きい粗大粒子を取り除く方法である。ここでいう平均粒子サイズとは、体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median径)として算出されたものである。しかしながら、この方法では微量の粗大粒子を検出できない場合があるため、より詳細に求めるには、電荷発生物質粉末、あるいは分散液を直接、電子顕微鏡にて観察し、その大きさを求めることが重要である。
この方法では、目視では観察できない(あるいは粒径測定では検出できない)、残存する微量な粗大粒子をも取り除くことができ、また粒度分布を揃えるという点からも非常に有効な手段である。具体的には、上述のように作製した分散液を有効孔径が5μm以下のフィルター、より好ましくは3μm以下のフィルターにて濾過する操作を行い、分散液を完成させるというものである。この方法によっても、粒子サイズの小さな(0.25μm以下、好ましくは0.2μm以下)電荷発生物質のみを含む分散液を作製することができ、これを用いることにより、感度や帯電性等の静電特性が改善され、その効果が持続し、本発明の効果を高めることができる。
この際、濾過される分散液の粒子サイズが大きすぎたり、粒度分布が広すぎたりする場合には、濾過によるロスが大きくなったり、濾過の目詰まりを生じて濾過が不可能になったりする場合がある。このため、濾過前の分散液においては、平均粒子サイズが0.3μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下に到達するまで分散を行った方が望ましい。平均粒子サイズが0.3μm以上である場合には濾過によるロスが大きくなり、標準偏差が0.2μm以上である場合には濾過時間が非常に長くなったりする不具合点を生じる場合がある。
また、前記アゾ顔料の中では、下記一般式(12)で表されるアゾ顔料は有効に使用される。特に、アゾ顔料のCp1とCp2が互いに異なるものである非対称アゾ顔料は、キャリア発生効率が大きく、高速化に対して有効であり、本発明の電荷発生物質として好ましく用いられる。
なお、これらの電荷発生物質は、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
また、用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等の一般に用いられる有機溶剤が挙げられるが、中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒を使用することが好ましい。これらは、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
電荷発生層は上記塗工液を用いて導電性支持体上あるいは下引き層等の上に塗工し、乾燥することにより形成される。塗工方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の公知の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、通常、0.01〜5μm程度であり、0.1〜2μmが好ましい。また塗工後の乾燥はオーブン等を用いて加熱乾燥される。電荷発生層の乾燥温度は、50〜160℃であることが好ましく、80〜140℃がさらに好ましい。
電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする。電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電荷輸送物質は、像担持体表面まで電荷を輸送する機能を担うため、実機トランジット時間を短縮し、画像形成装置の高速化を実現する上で、本発明にとって重要な構成要件となる。
具体的な電荷輸送物質としては、電子輸送物質では、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
一方、正孔輸送物質としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)及びその誘導体、ポリ(γ−カルバゾリルエチルグルタメート)及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、アミノビフェニル誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ジスチリルベンゼン誘導体、エナミン誘導体等の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は、単独又は2種以上混合して用いられる。
これらの化合物の中でも、下記一般式(3)で示される電荷輸送物質は、本発明において特に効果が高く、有効かつ有用である。
また、下記一般式(4)で示される電荷輸送物質も、本発明において有効である。
電荷発生物質のイオン化ポテンシャルIpCGM及び電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルIpCTMは、それぞれの物質からイオン化ポテンシャルを直接測定することも可能であるが、電荷発生物質を含む電荷発生層、もしくは電荷輸送物質を含む電荷輸送層を膜のまま直接測定することによっても、それぞれのイオン化ポテンシャルIpCGM及びIpCTMを測定することができる。イオン化ポテンシャルの測定は、理研計器社製のAC−1、AC−2、AC−3等で測定することが可能である。
本発明においては、前記実機トランジット時間を短縮させる手段として、電荷輸送物質の選択だけでなく、電荷輸送層のバインダー樹脂の選択も重要である。高移動度を有する電荷輸送物質を用いても、バインダー樹脂によっては効果が半減してしまう可能性もある。本発明においては、低誘電率のバインダー樹脂を用いることが好ましく、中でもポリカーボネート、ポリアリレートが好ましく用いられる。
(式(I−b)中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換又は無置換のアルキル基又はアリール基を表す)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。)
式(II)中、R7、R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1、Ar2、Ar3は同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、式(I)の場合と同じである。なお、式(II)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
式(IV)中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7、Ar8、Ar9は同一又は異なるアリーレン基、pは1〜5の整数を表す。X、k、j及びnは、式(I)の場合と同じである。なお、式(IV)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
式(V)中、R13、R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリーレン基、X1、X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、j及びnは、式(I)の場合と同じである。なお、式(V)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
式(X)中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は、同一又は異なるアリーレン基を表す。X、k、j及びnは、式(I)の場合と同じである。なお、式(X)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
電荷輸送物質の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対して、通常、20〜300重量部であり、40〜150重量部が好ましい。また、電荷輸送物質を2種以上混合したり、バインダー樹脂を2種以上混合して用いることも可能であり、材料の組み合わせによっては一周目帯電低下の抑制に一層大きな効果が得られる場合もある。
電荷輸送層の塗布液として用いられる溶剤は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、キシレン、アセトン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン等が用いられる。ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン等のハロゲン系溶剤は像担持体の特性上問題はないものの、地球環境への負荷を低減させる目的で使用しないことが望ましい。これらの中でも有効に用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素が好ましく用いられる。これらは、単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
また、上記式(6)及び(7)で示される化合物もクラックの防止に有効である。さらに、上記式(6)及び(7)で示される化合物は、酸化性ガスが高濃度の雰囲気下で発生する画像流れを抑制する相乗効果を得ることができる。上記式(16)、(3)及び(4)で示される電荷輸送物質は、ジスチリル構造を有していることから酸化性ガスに対し安定性が低い。これらの電荷輸送物質と上記式(6)及び(7)で示される化合物とを混合することにより、酸化性ガス雰囲気下においても画像流れや解像度の低下を抑制することができる。また、これらの化合物は、静電疲労に対する帯電低下を抑制する効果が得られ、画質の安定化を実現する上で非常に有効な方法である。さらに、これらの化合物は、自ら電荷輸送構造を有しているため、残留電位に及ぼす影響が少なく、比較的多量の添加も可能である。
本発明において特に有効な、上記式(6)及び(7)で示される化合物の具体例としては、下記構造式の材料が挙げられる。但し、これらの化合物に限定されるものではない。
また、本発明においては、酸化防止剤も有効に使用することができる。例えば、フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類、ヒンダードアミン類等の従来公知の材料が使用でき、繰り返し使用に対する静電特性の安定化に有効である。これらの中でも上記式(8)、(9)、(10)及び(11)で示される酸化防止剤が特に効果が高い。上記の通り、上記式(16)、(3)及び(4)で示される電荷輸送物質は、酸化性ガス雰囲気下において安定性が低い傾向があるが、これらの酸化防止剤を添加することによって酸化性ガス雰囲気下においても帯電低下を抑制することが可能となり、また画像流れを抑制する効果も得られ、高画質化に対し有効である。本発明においては、これらの酸化防止剤を少なくとも二種以上混合して用いることによって、より高い効果が得られ、さらにこれらの酸化防止剤と上記式(6)及び(7)で示される化合物とを混合して用いることにより、より一層高い効果が得られるため、本発明においては特に有効な方法である。それは、これらの材料は構造が異なることにより発現する効果も異なるためである。帯電器より発生するオゾンに対する酸化防止効果が高いものやNOxガスに対して有効なもの、静電疲労によって感光層内に蓄積した電荷のリリースによって起こる帯電低下の抑制に有効なもの、さらに画像流れや解像度低下、さらにゴーストの抑制に有効なものなど、材料の種類によって効果は様々である。そのため、これらを混合して用いることにより、多くの効果を得ることができ、その結果如何なる環境でも高画質画像を安定に提供することが可能となる。
酸化防止剤の添加量としては、電荷輸送物質に対して0〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。添加量が多すぎると急激な残留電位上昇が見られる場合がある。また、添加量が少なすぎると、高濃度の酸化性ガス雰囲気下において解像度が低下したり、静電疲労による帯電低下が見られる場合がある。
滑剤は表面の滑り性を高め、像担持体表面の異物付着防止効果を得る目的で添加されることが多い。具体的には、シリコーンオイル類、シリコーン微粒子、フッ素樹脂微粒子、ワックス類等、従来公知の材料をそのまま使用することが可能である。添加量としては、バインダー樹脂に対して0〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。
本発明においては、感光層が単層構成であっても使用可能である。感光層は、前述の電荷発生物質、電荷輸送物質、バインダー樹脂等を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを導電性支持体上あるいは下引き層上に塗工及び乾燥することによって形成される。電荷発生物質及び電荷輸送物質(電子輸送物質及び正孔輸送物質)は、前述の電荷発生層及び電荷輸送層で挙げた材料を使用することが可能である。また、バインダー樹脂としては、前述の電荷輸送層で挙げた樹脂の他に、電荷発生層で挙げた樹脂を混合して用いてもよい。また、バインダー樹脂として前述の高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。バインダー樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜30重量部であり、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。
感光層は、電荷発生物質、バインダー樹脂を電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン等の溶剤に溶解ないし分散し、これを浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコートなどで塗工して形成できる。また、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤、滑剤等の各種添加剤を添加することもできる。感光層の膜厚は5〜25μm程度が適当である。単層構成の感光層は、積層構成に比べて像担持体表面までの電荷輸送距離が短くなるが、電荷発生物質が分散された構成であるが故に、電荷移動におけるバラツキは大きくなるため、一周目帯電低下に対する効果としては必ずしも高くなるわけではない。単層構成でも有効ではあるが、本発明においては積層構成の方がより効果を発揮するに適している。
本発明の像担持体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。これら下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であるものを使用することが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ポリアミド(共重合ナイロン)、メトキシメチル化ポリアミド(ナイロン)等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、イソシアネート、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために金属酸化物を含有させることも可能であり有効である。モアレとは、レーザー光のようなコヒーレント光による書き込みを行う際に感光層内部での光干渉によってモアレと呼ばれる干渉縞が画像に形成される画像欠陥の一種である。基本的に、入射されたレーザー光をこの下引き層によって光散乱させることによりモアレ発生を防止するため、屈折率の大きな材料を含有させる必要がある。モアレを防止する上では、バインダー樹脂に無機顔料を分散させた構成が最も有効である。使用される無機顔料としては、白色の顔料が有効に使用され、金属酸化物、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、フッ化カルシウム、酸化カルシウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化インジウム等挙げられる。
本発明における下引き層の金属酸化物の平均一次粒径としては、0.01μm〜0.8μmが好ましく、0.05μm〜0.5μmがより好ましい。但し、個数平均の平均一次粒径が0.1μm以下の金属酸化物のみを用いた場合には、地汚れの低減に対し有効であるが、モアレ防止効果が低下する傾向があり、一方、個数平均の平均一次粒径が0.4μmよりも大きな金属酸化物のみを用いた場合には、モアレ防止効果に優れるものの、地汚れの抑制効果がやや低減する傾向が見られる。異なる平均一次粒径を有する金属酸化物を混合して用いることによって、地汚れの低減とモアレの低減を両立できる場合があり、また残留電位の低減や一周目帯電低下の抑制にも効果が見られ有効である。平均一次粒子径の異なる酸化チタンを混合したことによる効果は、酸化チタンが緻密に充填され、酸化チタン同士の接触面積が増加し、それにより下引き層内のトラップ電荷が減少するためであると考えられる。特に、一周目帯電低下の抑制に効果が見られることから、本発明においては非常に有効な方法である。
樹脂層の厚さは、0.05〜2μmが適当であり、好ましくは0.5〜1.0μmがより好ましい。これより厚くなると一周目帯電低下量や残留電位が増加する場合がある。また、これより薄くなると電荷注入の抑制効果が低減し、地汚れや疲労による帯電低下が増加する場合がある。樹脂層の塗工方法としては、従来公知の方法、例えば浸漬塗工法、スプレーコート、リングコート、ビートコート、ノズルコート法などを用いることができる。
また、樹脂層と前記の下引き層の二層構成とすることも可能であり、これにより地汚れの抑制、モアレの抑制、残留電位の低減などの多くの効果が得られ、高画質化に対し有効である。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類など。
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなど。
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
(チタニルフタロシアニン結晶の合成)
はじめに、本発明に用いたチタニルフタロシアニン結晶の合成方法について述べる。合成は、特開2004−83859号公報に準じた。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/min
走査範囲:3°〜40°
時定数:2sec
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液及び上記顔料を投入し、ローター回転数1200rpmにて30分間分散を行い、分散液を作製した。
特許第3026645号公報に記載の方法に準じて作製した。
ボールミル分散機に直径10mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解したシクロヘキサノン溶液及び上記アゾ顔料を投入し、回転数85rpmにて7日間分散を行い、分散液を作製した。
外径30mmのアルミニウムシリンダー上に下記組成の樹脂層用塗工液、下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、及び電荷輸送層用塗工液を、浸漬塗工法により順次塗布し、オーブンで乾燥を行い、約0.7μmの樹脂層と、約3.5μmの下引き層と、約0.2μmの電荷発生層と、約27μmの電荷輸送層とを形成した。なお、各層の乾燥条件は、樹脂層は130℃で10分、下引き層は130℃、電荷発生層は90℃、電荷輸送層は135℃とし、各20分間乾燥を行った。これにより像担持体を作製した。
(樹脂層形成用塗工液)
・N−メトキシメチル化ナイロン(FR101:鉛市社製):5部
・メタノール:70部
・n−ブタノール:30部
(下引き層用塗工液)
・酸化チタン(CR−EL、平均一次粒径:約0.25μm、石原産業社製):50部
・酸化チタン(PT−401M、平均一次粒径:約0.07μm、石原産業社製):20部
・アルキッド樹脂(ベッコライトM6401−50、固形分:50%、大日本インキ化
学工業社製):14部
・メラミン樹脂(L−145−60、固形分:60%、大日本インキ化学工業社製):8部
・2−ブタノン 70部
(電荷発生層用塗工液)
・図17のX線回折スペクトルを示すチタニルフタロシアニン(イオン化ポテンシャル 5.27eV):8部
・ポリビニルブチラール(BX−1、積水化学工業社製):5部
・2−ブタノン 400部
(電荷輸送層用塗工液)
・ポリカーボネート(商品名Zポリカ、帝人化成社製):10部
・上記化合物No.14で示される電荷輸送物質(イオン化ポテンシャル 5.24eV):7部
・シリコーンオイル(1cm2/s(100cSt)、信越化学社製):0.002部
・テトラヒドロフラン:100部
・下記構造式で示されるアルキルアミノ基を有する化合物:1部
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.12で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.28eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.7で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.20eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.4で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.31eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.13で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.24eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.17で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.39eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.41で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.27eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.51で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.36eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、下記構造式で示されるα−フェニルスチルベン誘導体(イオン化ポテンシャル 5.39eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、下記構造式で示されるα−フェニルスチルベン誘導体(イオン化ポテンシャル 5.26eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、下記構造式で示されるα−フェニルスチルベン誘導体(イオン化ポテンシャル 5.50eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、下記構造式で示されるアミノビフェニル誘導体(イオン化ポテンシャル 5.38eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、下記構造式で示されるスチルベン誘導体(イオン化ポテンシャル 5.37eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層に含有される電荷輸送物質を、下記構造式で示されるベンジジン誘導体(イオン化ポテンシャル 5.37eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、電荷輸送層のバインダー樹脂にポリアリレートを使用した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
・ポリアリレート(商品名Uポリマー100、ユニチカ社製):10部
像担持体製造例1において、電荷輸送層を下記の電荷輸送層塗工液を用いて形成した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
(電荷輸送層用塗工液)
・下記構造式の高分子電荷輸送物質(重量平均分子量175000、イオン化ポテンシャル 5.41eV):17部
・シリコーンオイル(1cm2/s(100cSt)、信越化学社製):0.002部
・テトラヒドロフラン:100部
像担持体製造例1において、電荷輸送層を下記の電荷輸送層塗工液を用いて形成した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
(電荷輸送層用塗工液)
・下記構造式の高分子電荷輸送物質(重量平均分子量175000、イオン化ポテンシャル 5.41eV):12部
・テトラヒドロフラン:100部
像担持体製造例17において、α−フェニルスチルベン誘導体を下記構造に示されるα−フェニルスチルベン誘導体(イオン化ポテンシャル 5.26eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例17と同様にして、像担持体を作製した。
像担持体製造例17において、α−フェニルスチルベン誘導体を化合物No.17のジスチリルベンゼン誘導体(イオン化ポテンシャル 5.39eV)に変更した以外は、すべて像担持体製造例17と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体製造例20)
像担持体製造例4において、電荷輸送物質の含有量を7部から4部に変更した以外は、すべて像担持体製造例4と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体製造例21)
像担持体製造例4において、電荷輸送物質の含有量を7部から2部に変更した以外は、すべて像担持体製造例4と同様にして、像担持体を作製した。
像担持体製造例9において、電荷発生層を下記組成の電荷発生層形成用塗工液を用いて塗工し、また電荷輸送層を下記組成の電荷輸送層用塗工液を用いて塗工した以外は、すべて像担持体製造例9と同様にして、像担持体を作製した。
(電荷発生層形成用塗工液)
・下記構造式で示されるアゾ顔料(イオン化ポテンシャル 5.82eV):5部
・ポリビニルブチラール(商品名 BM−S、積水化学社製):1.5部
・2−ブタノン:100部
(電荷輸送層形成用塗工液)
・ポリカーボネート(商品名Zポリカ、帝人化成社製):10部
・下記構造式で示されるα−フェニルスチルベン誘導体(イオン化ポテンシャル 5.39eV):7部
・テトラヒドロフラン:100部
・下記構造式で示される酸化防止剤:0.03部
像担持体製造例22において、電荷輸送層形成用塗工液に含有される電荷輸送物質を、上記化合物No.17で示される化合物(イオン化ポテンシャル 5.39eV)に変更し、さらに下記酸化防止剤を0.07部追加した以外は、すべて像担持体製造例22と同様にして、像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、アルキルアミノ基を有する化合物の代わりに、下記化合物に変更した以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、下記酸化防止剤を0.3部加えた以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、下記酸化防止剤を0.3部加えた以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、下記酸化防止剤を0.3部加えた以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、アルキルアミノ基を有する化合物を無添加とした以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
像担持体製造例28において、下記構造式で示されるアルキルアミノ基を有する化合物を1部添加した以外は、すべて像担持体製造例28と同様にして、像担持体を作製した。
像担持体製造例1において、樹脂層を設けなかった以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
(像担持体製造例31)
像担持体製造例1において、下引き層を設けなかった以外は、すべて像担持体製造例1と同様にして、像担持体を作製した。
以上のようにして作製された像担持体を、図4(特開2000−275872号公報)に記載された装置にセットし、以下の手順により実機トランジット時間の測定を行った。
像担持体の線速を262(msec)、露光装置2と第2の表面電位計6との角度を155°(露光してから露光部電位が測定されるまでの時間:155(msec))に固定し、第1の表面電位計5によって未露光部電位が800(−V)になるように帯電装置2により像担持体を帯電し、その後露光装置3により所定の露光照射エネルギーで像担持体に露光し、第2の表面電位計6によって露光後の電位を計測し、その後除電装置4にて除電を行った。露光時の画素密度は400(dpi)、露光波長は655nmとした。なお、実機トランジット時間は、露光波長の影響は受けず、少なくとも780nmで露光した場合と違いがほとんどないことを確認済みである。
続けて、露光照射エネルギー強度を徐々に高くしながら、上記と同様にして帯電、露光及び除電を繰り返し、図5に示されるような光減衰曲線を得た。この光減衰曲線より図5に示されるようにして屈曲店を求め、これを露光部電位とした。
次に、露光装置2と第2の表面電位計6との角度を下記の条件に設定して帯電、露光及び除電を繰り返し、それぞれの条件で図5に示される光減衰曲線を作成し、露光手段によって露光してから第2の表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間が20〜155msecの間で15点の露光部電位測定値を得た。
さらに、露光してから第2の表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間、20〜155msecに対し、得られた露光部電位値をプロットして、図6の如く屈曲点を求め、本発明における実機トランジット時間を得た。なお、図6には屈曲点がいくつか見られる場合があるが、本発明においては、露光してから露光部電位を測定するまでの時間が短くなるに従って、最初に電位が立ち上がる点(図6中、第1の屈曲点)を実機トランジット時間とした。
像担持体製造例1〜21で得られた各像担持体について、上記の如く実機トランジット時間(実機Tr時間)を測定した。それらの結果を表2に示す。
以上のようにして作製された像担持体を、プロセスカートリッジに装着し、グリッドの幅が10mmのスコロトロンチャージャーを用いた帯電手段、780nmの半導体レーザを用いた露光手段を搭載し、現像部には現像手段の代わりに、表面電位計に接続されたプローブを取り付けた現像ユニットを装着し、転写手段及びクリーニング手段を除去し、除電手段として660nmのLEDを取り付けた、リコー製デジタル複写機の改造機を用いて評価を行った。像担持体の線速は127mm/sec(像担持体の回転速度:80.9(rpm)、帯電時間:78.7(msec))である。また、像担持体の未露光部電位は、−800Vになるように印加電圧を設定した。
その後、すべての像担持体について、3万枚に至る通紙ラン試験を行った。通紙ラン試験終了後、像担持体は暗所で10分間放置し、その間に再び現像部には表面電位計に接続されたプローブを取り付けた現像ユニットを装着し、転写手段及びクリーニング手段を除去して、上記と同様に白ベタ画像を5枚出力し、1枚目と3枚目の未露光部電位差(ΔVD)を測定し、続いて黒ベタ画像を5枚出力し、露光部電位(VL)を測定した。さらに、像担持体を暗所で更に10分間放置し、その間に再び現像剤が充填された現像ユニット及び転写手段やクリーニング手段をセットして、その後像担持体の一回転目において白ベタ画像を出力し、続けて黒ベタ画像及びハーフトーン画像を出力し、それらの白ベタ画像及びハーフトーン画像について評価を行った。これらの結果を表1に示す。なお評価項目に関する説明は下記表のとおりである。
上記像担持体3、17及び20について、上記リコー製デジタル複写機の改造機の代わりに、像担持体の線速が150mm/sec(像担持体の回転速度:95.5(rpm)、帯電時間:66.7(msec))のリコー製デジタル複写機の改造機で評価した以外は、すべて同様にして評価を行った。これらの結果を表3に示す。
また、電荷輸送物質のイオン化ポテンシャルは、電荷発生物質のイオン化ポテンシャルとの間に式(5)で示される関係が満たされた場合に、通紙ラン試験後の露光部電位が大幅に低減され、高画質化並びに画質安定化に対し有効であることが確認できた。
また、高分子電荷輸送物質を単独で用いた場合には効果は得られなかったが、バインダー樹脂として高分子電荷輸送物質を用い、さらに電荷輸送物質を添加した場合は、実機トランジット時間が短縮化され、一周目帯電低下の抑制に対し効果が高まることがわかった。さらに、この場合も式(16)に示される化合物を電荷輸送物質として用いた場合に、非常に高い効果が得られることが明らかとなった。しかし、高分子電荷輸送物質と電荷輸送物質を混合させた場合でも、それらのイオン化ポテンシャル差が0.1eV以上有する場合には、露光部電位上昇が顕著に認められた。
また、本発明の酸化防止剤を電荷輸送層に含有させることによって、良好な画像が得られることが確認されたが、本発明以外の酸化防止剤を含有させると、露光部電位の顕著な上昇が見られており、本発明の画像形成装置の効果が半減することが確認された。
さらに、電荷発生物質にアゾ顔料を用いた場合でも、一周目帯電低下が発生することは確認されたが、電荷発生物質にチタニルフタロシアニンを用いた場合と同様の効果が得られた。特に、本発明においては、電荷発生物質としてチタニルフタロシアニンもしくは非対称アゾ顔料を用いることによって、高感度化が達成でき、かつ残留電位の低減、そして一周目帯電低下の抑制を両立でき、非常に有効であることが確認された。
以上の結果から、本発明の画像形成方法並びに装置が、一周目帯電低下の抑制に非常に有効であり、帯電時間の短縮に余裕度が得られ、画像形成装置の高速化、小型化、フルカラー化、さらに操作後画像出力までの時間の短縮化が実現可能な画像形成方法並びに画像形成装置が提供された。
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像部材
5C、5M、5Y、5K クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
21 像担持体
22 除電ランプ
23 帯電チャージャー
24 画像露光部
25 現像ユニット
26 転写前チャージャー
27 レジストローラ
28 転写紙
29 転写チャージャー
30 分離チャージャー
31 分離爪
32 クリーニング前チャージャー
33 ファーブラシ
34 ブレード
101 ドラム
102 接触帯電装置
103 像露光
104 現像装置
105 転写体
106 接触転写装置
107 クリーニングユニット
Claims (14)
- 導電性支持体上に、少なくとも下記一般式(3)及び/又は(4)で表される電荷輸送物質を含む感光層を有する像担持体を用い、少なくとも該像担持体を帯電させる帯電手段と、該像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像手段を有する画像形成装置において、
実機トランジット時間T1(msec)と帯電時間T2(msec)とが式(1)の関係を満たす
T1 ≦ T2………(1)
ことを特徴とする画像形成装置。
〔但し、実機トランジット時間T1とは、像担持体に露光してから表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間を短縮化させ、露光部電位に対してプロットしたときに、露光部電位が最初に立ち上がる屈曲点と定義する。また、帯電時間T2は、式(2)で定義される。
帯電時間T2(msec)=帯電手段の帯電幅(mm)/像担持体の線速(mm/msec)………(2)〕
(上式中、R 8 〜R 33 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
(上式中、R 34 〜R 57 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。) - 前記感光層もしくは電荷発生層に含有される電荷発生物質のイオン化ポテンシャル(Ip CGM )と前記感光層もしくは電荷輸送層に含有される電荷輸送物質のイオン化ポテンシャル(Ip CTM )が、式(5)の関係を満たす
Ip CGM −Ip CTM ≧−0.1(eV)………(5)
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記感光層もしくは電荷輸送層が、バインダー樹脂として高分子電荷輸送物質を含有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。 - 前記感光層もしくは電荷輸送層に、下記一般式(6)及び(7)で示されるアルキルアミノ基を有する化合物の少なくとも一種を含有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
(上式中、Ar 4 は置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。Ar 5 及びAr 6 は置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、各々同一でも異なっていてもよい。R 58 及びR 59 は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、各々同一でも異なっていてもよい。また、Ar 5 及びR 58 、Ar 6 及びR 59 は互いに結合し、窒素原子を含む置換もしくは無置換の複素環基を形成してもよい。)
(上式中、Ar 7 は置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。R 60 〜R 63 は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、各々同一でも異なっていてもよい。nは1又は2の整数を表す。) - 前記感光層もしくは電荷発生層が、電荷発生物質としてチタニルフタロシアニン顔料を含有する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記チタニルフタロシアニン顔料が、CuKα特性X線(1.542Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラック角度(2θ±0.2°)のうちの少なくとも27.2°に最大強度の回折ピークを有し、9.4°、9.6°、24.0°に主要ピークを有し、7.3°に最小角度の回折ピークを有し、前記7.3°と9.4°との間に回折ピークを有さず、26.3°に回折ピークを有さない
ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。 - 前記感光層もしくは電荷発生層が、電荷発生物質として下記一般式(12)で示される非対称ビスアゾ顔料を含有する
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置。
〔上式中、R 201 及びR 202 はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていてもよい。Cp 1 及びCp 2 はカップラー残基を表し、下記(13)式で表され、Cp 1 及びCp 2 は互いに異なる。
(上式中、R 203 は、水素原子、アルキル基、アリール基を表す。R 204 、R 205 、R 206 、R 207 、R 208 はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表し、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環又は置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。)〕 - 前記帯電手段が、スコロトロンチャージャーである
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。 - 前記スコロトロンチャージャーが、複数のワイヤーを有する
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。 - 像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段より選択される少なくとも一つの手段からなる画像形成要素を複数配列したタンデム方式である
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の画像形成装置。 - 像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段より選択される少なくとも一つの手段とが一体となり、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジを搭載する
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の画像形成装置。 - 請求項12に記載の画像形成装置に着脱可能であり、像担持体と、帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段より選択される少なくとも一つの手段とが一体となっている
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 導電性支持体上に、少なくとも下記一般式(3)及び/又は(4)で表される電荷輸送物質を含む感光層を有する像担持体を用い、少なくとも該像担持体を帯電させる帯電手段と、該像担持体上に静電潜像を形成する露光手段と、該像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像手段を有し、該像担持体の回転速度が80(rpm)以上である画像形成方法において、
実機トランジット時間T1(msec)と帯電時間T2(msec)とが式(1)の関係を満たす
T1 ≦ T2………(1)
ことを特徴とする画像形成方法。
〔但し、実機トランジット時間T1とは、像担持体に露光してから表面電位計で露光部電位を測定するまでの時間を短縮化させ、露光部電位に対してプロットしたときに、露光部電位が最初に立ち上がる屈曲点と定義する。また、帯電時間T2は、式(2)で定義される。
帯電時間T2(msec)=帯電手段の帯電幅(mm)/像担持体の線速(mm/msec) ………(2)〕
(上式中、R 8 〜R 33 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
(上式中、R 34 〜R 57 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
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