JP5157097B2 - 画像形成装置の帯電工程評価方法 - Google Patents
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Description
帯電ローラを用いた帯電工程では、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する、所謂AC帯電方式が用いられてきている(例えば、特許文献1、2 参照。)。AC帯電方式は、感光体を帯電する能力が非常に高く、感光体の帯電電位は均一になりやすい。しかしながら、AC帯電方式は1秒間に交流電圧の周波数の回数、正帯電と負帯電が起こる。一回の帯電で発生するエネルギーは大きく、有機物を酸化分解するエネルギーを有するため、感光体と帯電ローラが早期に酸化、劣化してしまう。また、AC帯電により酸化された感光体表面および帯電ローラ表面は、トナー成分(トナー樹脂、ワックス、外添物質(シリカ、酸化チタン等))や、紙の成分等が吸着しやすくなるため、これらの物質が感光体や帯電ローラに付着して、除去できなくなってしまうことがある。このような現象が感光体で起こると、高湿環境で、感光体の表面抵抗が低下してしまい、潜像が平準化して、画像が流れてしまう現象が生じる。また、帯電ローラでは、低湿環境で、帯電ローラの抵抗が部分的に上昇し、その箇所で帯電不良を引き起こしてしまっていた。
一方、帯電ローラに直流電圧と交流電圧を重畳した場合には、正放電と逆放電が1秒間に周波数の数だけ生じ、放電が起こるのは感光体と帯電ローラが接する箇所よりも上流側だけでなく、下流側でも生じるため、放電が生じにくい場所も、放電が生じ、帯電電位は均一になる。
そのため、本発明者らは、放電が生じることができる箇所および、放電が生じない箇所を計測できないか検討を重ねたところ、感光体と帯電ローラを接触して配置し、双方を回転させない状態で、感光体に光を当てながら、帯電ローラに直流電圧を断続的に印加すると、放電が生じた場所には、感光体表面に二本のスジ(放電痕)が生じることを見出した。
この感光体の放電痕の中央の間隔(隙間の幅)と、感光体の線速とが、特定の範囲内であれば、感光体の帯電電位は均一となり、高解像度でありながら、高画質の画像形成が可能であることを見出し、本発明に到った。
感光体と帯電ローラが接触した状態で、光の当たる環境で、感光体と、帯電ローラの双方を回転させずに、直流電圧を断続的に一定時間印加したとき、感光体に生じる画像形成域の放電痕の中央部の隙間の幅w(mm)と感光体の線速v(mm/秒)との比(w/v)は0.005〜0.035秒、好ましくは0.006〜0.032秒、さらに好ましくは0.007〜0.030秒である。
w/v(秒)というパラメータは、感光体上の任意の一点が、幅wの隙間部分を通過する時間である。
w/vが0.005秒以下では、感光体と帯電ローラが接触した上流側で帯電した感光体上の電荷が再配置するためには時間が短く、感光体と帯電ローラとの接触位置より下流側で帯電電位が低い箇所があっても放電が起こらないため、帯電電位ムラが生じ、画像品質が低下するので、好ましくない。w/vが0.35秒以上では、画像形成のスピードが遅くなり、実用的でない。
同図において符号Mは放電痕、wは2本の放電痕の間隔をそれぞれ示す。
放電痕Mは連続した二本のスジ(M1、M2)であり、それらのスジの間には、放電が生じていない箇所を観察することができる。この放電が生じていない箇所の幅wを測定する。wの値としては、0.8〜4.0mm、好ましくは、1.0〜3.7mm、さらに好ましくは1.2〜3.5mmである。wが0.8mm以下であると、感光体と帯電ローラが接触した上流側で帯電した感光体上の電荷が再配置するまでの時間が短く、感光体と帯電ローラが接触した下流側で帯電電位が低い箇所に放電が起こらないため、帯電電位ムラが生じ、画像品質が低下する。wが4.0mm以上では、帯電ローラの径を大きくしなければならず、画像形成装置が大きくなってしまい好ましくない。
この観察は破壊検査になるので、観察に使用した感光体は、画像形成装置として実使用することはできない。帯電ローラも放電痕が残ることがあり、同様である。ただし、感光体と帯電ローラは静止状態で電圧印加をしているので、同じ感光体、および帯電ローラを用い、両者の対向する位置を変えることで繰り返し別の放電痕を形成して観察することができる。
このような観察は、原則として設計段階で実験装置を作って行うことによって、最良の画像を形成するための各種パラメータを設定することができるが、完成した画像形成装置を用いて行って、同一ロットの感光体の線速や、感光体と帯電ローラの接触圧、印加する直流の電圧値等を修正することもできる。また、使用中の画像形成装置に問題が生じたときなどに同様の観察を行って問題点の洗い出しを行うこともできる。
また、弾性体の帯電ローラを用い、感光体に押し当て、感光体と接している部分の帯電ローラを変形させることも有効な方法である。しかし、感光体と接する帯電ローラの変形量が大きすぎると、帯電ローラの寿命が短くなり、感光体の負担が大きくなりやすいため、帯電ローラと感光体が接している幅は、3mm以下、好ましくは2.5mmを上限とすることが好ましい。
[モノフェノール系化合物]
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−t−ブチル−4−ヒドロキシニソールなど。
[ビスフェノール系化合物]
2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
[高分子フェノール系化合物]
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3'−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−tーブチル−p−フェニレンジアミンなど。
[ハイドロキノン類]
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネートなど。
[有機燐化合物類]
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
電荷輸送層中にレベリング剤を添加してもかまわない。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、バインダー樹脂100重量部に対して、0〜1重量部が適当である。
電荷輸送層能力を有する高分子としては、高分子中に電荷輸送能力を有する基を付加したものが用いられる。電荷輸送能力を有する基として化学式(1)を例示することができる。
Ar2
|
−Ar1−N 化学式(1)
|
Ar3
Ar1は置換もしくは未置換のアリーレン基を表わす。Ar2、Ar3は置換もしくは未置換のアリール基を表わし、同一であっても異なっていてもよい。
この電荷輸送能力を有する基は、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の機械的強度の高い高分子の側鎖に付加することが好ましく、モノマーの製造が容易で、塗工性、硬化性にも優れるアクリル樹脂を用いることが好ましい。
化学式(1)の基を有する単官能不飽和カルボン酸をしては、化学式(2)、化学式(3)を例示することができる。
保護層にアクリル樹脂を用いる場合には、上記不飽和カルボン酸を感光体に塗工後、電子線照射あるいは、紫外線等の活性光線を照射してラジカル重合を生じさせ、保護層を形成することができる。活性光線によるラジカル重合を行う場合には、不飽和カルボン酸に光重合開始剤を溶解したものを用いる。光重合開始剤は通常、光硬化性塗料に用いられる材料を用いることができる。
保護層中には保護層の機械的強度を高めるために金属、または金属酸化物の微粒子を分散させることができる。金属酸化物としては酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、TiO、TiN、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。その他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、およびこれらの樹脂に無機材料を分散したもの等を添加することができる。
同図において符号1は感光体、2は導電性支持体、3は感光層、4は除電ランプ、5は帯電装置、6は露光装置としてのレーザ書き込みユニット、7は現像装置、8は転写装置、9は定着装置、10は定着ローラ、11は加圧ローラ、12はクリーニング装置、13は帯電ローラ、14は電源をそれぞれ示す。
本発明の帯電工程の評価方法について、図面をもってさらに詳細に説明する。
ここに示した画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、或いはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される。図示していない本体筐体内には、被帯電体の一例である感光体1が配置され、この感光体1は、ドラム上の導電性ベース2の外周面に感光層3が積層された感光体より成る。複数のローラに巻きかけられて走行駆動されるベルト状の感光体より成る感光体や、誘電体より成るドラム状またはベルト状の感光体を用いることもできる。
帯電装置5によって帯電された感光体表面には、露光装置の一例であるレーザ書き込みユニット6から出射する光変調されたレーザ光Lが照射され、これによって感光体表面に静電潜像が形成される。次いで、この静電潜像は、現像装置7を通るとき、所定の極性に帯電されたトナーによって、トナー像として可視像化される。
帯電装置5は、移動する被帯電体面、図示した例では感光体1の表面に対向配置された帯電ローラ13と、その帯電ローラ13に電圧を印加する電源14とを有している。この電源14により、帯電ローラ13に電圧が印加され、帯電ローラ13と感光層3との間に放電を生じさせて該感光体表面を所定の極性に帯電する。
帯電ローラ13の層構成は、導電性支持体上に、高分子層と、表面層から構成されることが好ましい。
導電性支持体2は、帯電ローラの電極および支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金、クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄、導電剤の樹脂などの導電性の材質で構成される。
これらの中では、トナーとの離型性等の観点から、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミドが好ましく用いられる。上記高分子材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、当該高分子材料の数平均分子量は、1,000〜100,000の範囲であることが好ましく、10,000〜50,000の範囲であることがより好ましい。
表面層は、上記高分子材料に前記導電性弾性層に用いた導電剤や各種微粒子を混合して組成物として形成される。上記微粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物および複合金属酸化物、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等の高分子微粉体を単独または混合して用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
imagio Neo C385改造機(タンデム型カラー画像形成装置。帯電ローラに2200Vの直流電圧を印加し、感光体の線速:120mm/秒に改造、書き込み光の解像度1200dpi、リコー製)のブラック用感光体ユニットの帯電ローラとして、帯電ローラメーカーより納入された4種類の帯電ローラ試作品(A,B,C,D)を評価した。帯電ローラは、ステンレスの円柱にエピクロロヒドリンゴムと導電性カーボンを主成分とする導電性ゴムを貼り付けて作製されたものである。
画像濃度5%のカラーテストチャートのコピーを5000枚行った後、新品のブラック用感光体ユニットの帯電ローラと取替え、白黒のハーフトーン画像を出力したところ、帯電ローラ試作品Aのもののみ、斑点状の異常画像が生じてしまった。
実施例3において、帯電ローラに、−900Vの直流電圧と、周波数1850Hzで振幅が1350Vの交流を印加する以外は実施例3と同様の画像形成装置を作製し、カラーテストチャートで30000枚の画像形成を行った。その後、女性の顔をアップで撮ったデジタルスチルカメラの画像を、出力したところ、画像には、帯状の異常画像が発生してしまっていた。帯電ローラおよび、感光体を観察したところ、全てのステーションの帯電ローラ、感光体に、異物が膜状に付着していた。
5 帯電装置
13 帯電ローラ
14 電源
M 放電痕
w 2本の放電痕の間隔
Claims (3)
- 画像作成時に線速vとして80〜500(mm/秒)で回転し、直径が20〜150mmの導電性支持体の上に少なくとも感光層が設けられている感光体と、該感光体に接触して回転する直径が12〜25mmの帯電ローラと、該帯電ローラと前記感光体の感光層との間に直流電圧を印加して放電を生じさせ該感光層を所定の極性に帯電させる電源と、該電源から−1400〜−3500Vの直流電圧を印加する帯電工程とを備えた画像形成装置の帯電工程評価方法において、前記感光体と前記帯電ローラを接触加圧させた状態で、光を照射し、前記感光体と前記帯電ローラの双方を回転させずに前記直流電圧を断続的に一定時間印加して前記感光体の感光層表面に、放電が生じていない箇所の幅が0.8〜4.0mmの2本の放電痕を生じさせるステップと、前記感光体の感光層表面に生ずる前記2本の放電痕の間隔w(mm)を測定するステップと、該間隔wと前記線速vの比w/v(秒)が、0.005〜0.035の場合に前記感光体の感光層表面の帯電電位が均一となることを評価するステップを有することを特徴とする画像形成装置の帯電工程評価方法。
- 請求項1に記載の画像形成装置の帯電工程評価方法において、前記直流電圧は、0.5m秒印加、0.5m秒休止の繰り返しを20分間行うことを特徴とする画像形成装置の帯電工程評価方法。
- 請求項1または2に記載の画像形成装置の帯電工程評価方法において、前記帯電ローラは少なくとも表面近傍が弾性を有しており、該帯電ローラの前記感光体と接触する箇所が変形することを特徴とする画像形成装置の帯電工程評価方法。
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