JP4719551B2 - 帯電装置のための帯電条件調整方法、および当該帯電条件調整方法を用いた画像形成装置と画像形成プロセスカートリッジ - Google Patents

帯電装置のための帯電条件調整方法、および当該帯電条件調整方法を用いた画像形成装置と画像形成プロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファックス、あるいはこれらの機能を備えた複合機等の画像形成装置およびプロセスカートリッジに関し、とりわけ効率的帯電を行うために感光体(像担持体と帯電ローラの間の最適ギャップを決めるための調整方法に係わるものである。プロセスカートリッジとは、少なくとも感光体と帯電手段を一体的にカートリッジ化して画像形成装置本体に対して着脱可能とするものをいう。
特開2004−264792号公報 特開2002−108059号公報 特開2005−4000号公報
電子写真プロセスを用いた画像形成装置において、感光体に対して帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程を施すことにより画像形成が行われる。帯電工程については、従来、スコロトロン帯電器が用いられてきたが、環境問題からオゾン、NOx等の有害ガスの発生が少なく、装置を小型にすることができる帯電ローラが帯電器として近年用いられるようになってきている。帯電ローラと感光体が接触した状態で画像形成を行うと、転写後の残トナーが完全にクリーニングできない場合、帯電ローラに残トナーが付着して帯電ローラの抵抗にバラツキが生じ、感光体の帯電電位のバラツキとなり、画像濃度ムラを引き起こす原因になっていた。そのため、感光体と帯電ローラの間にギャップを設けて感光体を帯電させる方法が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)。この帯電工程においては、交流電圧を重畳印加することにより、感光体を目標の電圧とすることができる。このときの帯電のパラメータとしては、印加する交流の電圧と周波数、帯電ローラの抵抗(抵抗ムラ)、感光体の抵抗(抵抗ムラ)、感光体と帯電ローラのギャップとそのギャップバラツキ等がある。印加する交流の電圧は、放電を起こすことができる感光体と帯電ローラの距離を決めるものであり、印加する交流の電圧が大きいほど、感光体と帯電ローラの距離が大きくなっても放電を起こすことができる。そのため、印加する交流の電圧が大きいほど、帯電ローラの広い場所で放電が起きるため、感光体の帯電ムラを小さくすることができる。しかしながら、放電はイオンや電子等の荷電粒子を感光体や帯電ローラに浴びせることなので、感光体や帯電ローラの酸化劣化が生じる。印加する交流の電圧が大きいと、荷電粒子の発生量とそのエネルギーは、特に感光体と帯電ローラの間隔が小さいところで特に多くなるため、感光体や帯電ローラの酸化劣化が激しくなり、感光体や帯電ローラを早期に交換しなければならなくなる。印加する交流の周波数は、単位時間当たりに放電を起こすことができる回数を決めるため、印加する交流の周波数が大きいほど感光体の帯電ムラを小さくすることができるが、前述と同じように、交流の周波数が大きいと感光体や帯電ローラの酸化劣化が激しくなり、感光体や帯電ローラを早期に交換しなければならなくなる。
また、感光体と帯電ローラの間隔が近すぎると放電は生じなくなり、パッシェン則によれば、約7μm以下では放電は起こらない。現実には感光体の電気容量や帯電ローラの抵抗のため、放電が起こり始める感光体と帯電ローラの距離は大凡20μm以上といわれている。このため、感光体と帯電ローラとの間隔のμm単位での制御は非常に重要となるが、現実には帯電ローラはμm単位の表面粗さを持っているため、感光体の帯電ムラがなくなるように、印加する交流の電圧と周波数の値は高めに設定されることが多い。感光体と帯電ローラの間の放電は、放電が起こり始め得る感光体と帯電ローラの距離(大凡20μm付近)で電界強度が高いため、荷電粒子のエネルギーが高く、感光体や帯電ローラの酸化劣化を激しくしてしまう。そのため、感光体と帯電ローラの距離を十分大きくしておけば、感光体や帯電ローラの酸化劣化を抑えられるが、あまり大きくすると放電にバラツキが生じてしまい、印加する交流の電圧と周波数が低いと、感光体の帯電電位が均一にならなくなるため、異常画像となってしまう。通常は、画像品質を優先することが多いため、どうしても印加する交流の電圧と周波数を高めに設定してしまう傾向にある。
これらの帯電条件は新規に画像形成装置を開発する際の初期に決められることが多く、そのため、画像形成装置の振動や組み付け精度が万全ではない状態で決められることが多く、したがって、感光体の帯電電位を均一にするため、帯電ローラに印加する交流電圧と周波数は大き目の値を設定することが多く、感光体や帯電ローラの酸化劣化を早めてしまっていた。
感光体や帯電ローラの寿命を低めに設定し、短い周期で感光体や帯電ローラを交換していくのであれば良いが、メンテナンス費用や交換費用の低減から、できるだけ穏やかな帯電条件を設定する必要がある。
しかしながら、前述のように、帯電(放電)がどのように生じているか、正確に見ることは難しいため、感光体の帯電電位を測定することしか、帯電工程の良否を推定することはできず、感光体の帯電電位も、数箇所の限られた場所でしか測定ができず、そのため、帯電条件は高めに設定することが多く、感光体や帯電ローラの寿命は短くなっていた。
また、感光体や帯電ローラ表面が酸化劣化すると、トナー成分が感光体や帯電ローラに付着し易くなり、その付着したものは放電により酸化され、イオン性となるため、高湿度環境で異常画像を生じ易くなり、感光体ではボケが、帯電ローラではスジ状の異常画像が生じ易くなる。そのため、帯電条件を緩やかにすることはこれらの異常画像を抑制するためにも重要なことである。
本発明は、効率的な帯電を行うことにより、均一な帯電電位を得ると共に、感光体や帯電ローラの酸化劣化の速度を低減させ、感光体や帯電ローラの寿命を伸ばすことを課題とする。
本発明者らは、帯電工程が良好に作動しているかどうかを、簡易的に且つ正確に判定する方法はないか、鋭意検討を重ねた。その結果、感光体と感光体に電気的に非接触で配置された帯電ローラに、直流電圧を重畳した交流電圧を印加することにより感光体を帯電する帯電工程では、放電による一部のエネルギーは帯電ローラや感光体の有機物のC-C結合を切断するほど高いことに着目し、感光体と帯電ローラを回転させずに、直流電圧を重畳した交流電圧を長時間印加すれば、放電が生じた帯電ローラや感光体には、スジ状の欠陥部が発生することを見出し、そのスジ状の欠陥部は、感光体と帯電ローラとの距離のバラツキや、それぞれの電気的特性のバラツキにより生じる放電のムラを可視化できることを見出した。
そこで、放電がどのような形態で生じているときに、穏やかな帯電で感光体と帯電ローラの酸化劣化の速度を抑えながら、均一な帯電電位を感光体に付与できるか鋭意検討した。その結果、一回の放電が起こる幅をできるだけ広くすれば、放電が局所に集中しなくなるため、帯電ローラや感光体の酸化劣化のスピードを落とすことができる。また、放電が生じる部分が分断されることなく、放電の幅が帯電ローラおよび帯電ローラの長手方向の各箇所で、できるだけ均一であれば、帯電時に交流電圧を印加する周波数を低めに設定しても感光体の帯電電位を均一にすることができ、感光体と帯電ローラの酸化劣化のスピードを低くすることができることを見出し、本発明に到った。
即ち、本発明は、感光体に対し非接触に配置された帯電ローラに、直流電圧を重畳した交流電圧を印加して帯電を行う帯電装置のための帯電条件調整方法であって、感光体と帯電ローラの双方を回転させずに、一定時間、前記直流電圧を重畳した交流電圧を印加する工程と、前記感光体に生じる放電痕を観測する工程と、を有し、前記放電痕が1本のスジであり、当該放電痕の幅の平均(L)が0.9mm以上、放電痕幅の最大と最小の差が平均放電痕幅の20%以下となるように帯電条件を調整することを特徴とするものである。
本願請求項に記載の条件を満たせば、高画質な画像形成が可能で、感光体や帯電ローラの交換頻度も抑えることができる。
感光体、帯電ローラの双方を回転させずに、一定時間、前記直流電圧を重畳した交流電圧を印加し、感光体あるいは帯電ローラに生じる画像形成域の放電痕の求め方としては、実際の画像形成装置および、感光体と帯電ローラのみのユニットを用いてもどちらでも良いが、帯電ローラと感光体に印加する電圧は、実際の画像形成装置のものを用いなければならない。通常、実際の画像形成装置においては、環境変動による帯電ローラや感光体の電気特性を考慮し、帯電工程で流れる電流を一定にする制御が行われ、帯電ローラに印加する交流電圧を変化させていることが多い。この場合には、画像形成装置が主に用いられる環境(例えば、温度23℃、湿度55%)での印加条件にしていることが好ましい。
通常帯電ローラに印加する電圧は、直流電圧で300〜900(−V)、好ましくは400〜800(−V)、さらに好ましくは450〜700(−V)である。帯電ローラに印加する電圧が300(−V)未満では、感光体の帯電電位が低く、十分な感光体の光減衰曲線が得られないため、高品質の画像形成を行うことが難しく好ましくない。帯電ローラに印加する電圧が900(−V)より大きくなると、感光体の膜厚が薄くなったときに、現像剤中のキャリアが感光体に付着してポチの異常画像を発生させたり、地汚れの異常画像を発生し易く、好ましくない。帯電ローラに印加する交流の電圧としては、peak to peakとして1500V〜3000V、好ましくは1600V〜2700V、さらに好ましくは1700V〜2500Vである。帯電ローラに印加する交流の電圧が1600V未満では、感光体の帯電電位ムラが生じ易く、3000Vより大きくなると、感光体と帯電ローラが最も近い場所で、放電による感光体や帯電ローラの酸化劣化のスピードが極めて速くなり、感光体や帯電ローラの寿命が短くなり、好ましくない。帯電ローラに印加する交流電圧の周波数としては、感光体の線速、画像形成する画像の解像度により適宜決定されるものであるが、300Hz〜4000Hz、好ましくは500Hz〜3000Hz、さらに好ましくは600Hz〜2500Hzである。帯電ローラに印加する交流電圧の周波数が300Hz未満では感光体の帯電ムラが生じ易く、横スジの異常画像が発生し易く、好ましくない。帯電ローラに印加する交流電圧の周波数が4000Hzより大きくなると、感光体や帯電ローラの酸化劣化のスピードが極めて速くなり、感光体や帯電ローラの寿命が短くなり、好ましくない。
感光体に生じる放電痕を観測するために、帯電ローラに印加する時間は、放電痕を観察できるのであれば良いが、放電痕は帯電に印加する交流の周波数f(Hz)が大きくなるほど早期に出現するため、f/1000〜f/10分、好ましくはf/500〜f/20分、さらに好ましくはf/250〜f/25分とするのが好ましい。印加する時間がf/1000分未満では、放電痕が不明瞭であるため、放電痕の幅を正確に求めることが難しく、f/10分より長いと感光体や帯電ローラの破損を生じる場合があり、特に表面層を有する感光体や帯電ローラでは帯電により表面層が消失した場合には、表面層より下の酸化劣化の速度が速くなることが多く、危険なため、好ましくない。
本発明において感光体に生じる放電痕の模式図を図1に示した。放電痕は5倍〜50倍程度の倍率で、光学顕微鏡、電子顕微鏡等により観察することができる。
本発明において感光体上に生じる放電痕は実質的に1本である。感光体と帯電ローラの間隔が近すぎると、放電痕の中央には放電が生じていない場所が生じるため、放電痕は2本となる。即ち、放電痕が1本の場合は、感光体と帯電ローラは完全に離れており、帯電ローラに印加する交流電圧の1周期で放電の生じる幅を大きくすることができる。そのため、帯電ローラに印加する交流電圧の周波数f(Hz)を低く設定しても感光体の帯電電位を均一にすることが可能である。本発明においては、放電痕の幅は広ければ広いほど好ましく、当該放電痕の幅の平均(L)は0.9mm以上、好ましくは1.0mm以上、さらに好ましくは1.1mm〜2mmである。放電痕の幅の平均が0.9mmより小さいと、感光体の帯電電位を均一にするためには帯電ローラに印加する交流電圧の周波数を高めに設定する必要があり、感光体や帯電ローラの酸化劣化のスピードが早くなり、早期に感光体や帯電ローラを交換しないといけなくなり、好ましくない。放電痕の幅を広くする方法としては、感光体および/または帯電ローラの径を大きくすることが考えられる。帯電ローラに印加する電圧が決まれば、感光体と帯電ローラの距離が一定範囲で放電は生じる。感光体および/または帯電ローラの径が大きくなれば、感光体と帯電ローラの距離が一定範囲となる領域は広くなるため、放電痕の幅を広くすることができる。しかし、帯電ローラおよび/または感光体の径を大きくしすぎると、装置が大きくなり、組み付けの精度を高くしなければ、放電が生じる幅が場所により変わり易く、放電痕の幅のバラツキが大きくなってしまう。そのため、帯電ローラの外径としては9mm〜25mm、好ましくは10mm〜20mmが好適に用いられる。
放電痕の幅のバラツキも極めて重要であり、放電痕の幅の上限と下限の差は放電痕の幅の平均の20%以下、好ましくは18%以下、より好ましくは12%以下である。放電痕の幅の上限と下限の差が20%より大きいと、感光体の帯電電位を均一にするためには帯電ローラに印加する交流電圧の周波数を高めに設定する必要があり、感光体や帯電ローラの酸化劣化のスピードが高くなり、早期に感光体や帯電ローラを交換しないといけなくなり、好ましくない。放電痕の幅のバラツキは感光体や帯電ローラの振動、感光体および/または帯電ローラの組み付け精度の不足、感光体および/または帯電ローラの電気特性あるいは形状のバラツキにより生じる放電幅のバラツキによるものである。従来の方法では、放電の幅がどの幅で生じているのか分からなかったため、帯電電位に印加する交流の周波数を高めに設定しており、感光体や帯電ローラの酸化劣化のスピードを早め、早期に感光体や帯電ローラを交換しないといけなかった。本発明においては、放電痕により放電の起こっている場所を特定することができるため、帯電電位に印加する交流の周波数を適切な値に設定することが可能となり、感光体や帯電ローラの交換間隔を大幅に伸ばすことが可能となる。
本発明において、感光体の線速をv(mm/秒)のとき、感光体上に生じる放電痕の幅の平均をL(mm)とすると、理想的には
f≧v/L
であれば、感光体の帯電電位は一定となる。実際には帯電ローラに印加する交流電圧の1周期の放電では、放電痕の幅の帯電電位にバラツキがあるため、周波数は17.0×v/L≧f≧4.0×v/L、好ましくは15.0×v/L≧f≧4.5×v/L、さらに好ましくは13.0×v/L≧f≧5.0×v/Lを満たすことが好ましい。周波数が4.0×v/Lより小さいと、感光体の帯電電位の均一性が得られず、特に1000dpi、好ましくは1200dpi以上の解像度の画像形成装置において、高品質の画像を得ることができず、好ましくない。周波数が15.0×v/Lより大きいと、感光体や帯電ローラの酸化劣化のスピードが速く、早期に感光体や帯電ローラを交換しないといけなくなり、好ましくない。
本発明において、感光体の線速はどのような線速であっても高画質で信頼性の高い画像形成装置を提供することができるが、特に線速が150mm/秒以上、好ましくは220mm/秒以上、より好ましくは280mm/秒〜800mm/秒のときに、感光体や帯電ローラの酸化劣化のスピードを遅くすることができ、感光体や帯電ローラの寿命を長くすることができるため、好ましい。これは、本発明が効率的な帯電を行っているためである。従来の帯電工程では、放電が強く起こっている場所と弱く起こっている場所が混在していたため、感光体の帯電電位を均一にするためには、放電が弱く起こっている場所を基準に、帯電条件を決めていた。従来の帯電工程においても、感光体の線速が遅いときには、影響は小さかったが、感光体の線速が早くなると、感光体の帯電電位のバラツキが大きくなるため、帯電条件を強めてしまい、感光体や帯電ローラの酸化劣化のスピードが速くなり、早期に感光体や帯電ローラを交換しなければならなかった。
本発明の画像形成装置に用いられる感光体は、導電性支持体の上に感光層が設けられている。感光層の構成には、電荷発生材と電荷輸送材を混在させた単層型、あるいは電荷発生層の上に電荷輸送層を設けた順層型、あるいは電荷輸送層の上に電荷発生層を設けた逆層型がある。また、感光層の上に保護層を設けることもできる。感光層と導電性支持体の間には下引き層が設けられていてもよい。各層には必要により可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。
感光体の導電性支持体としては、体積抵抗1010Ωcm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板およびそれらを、押し出し、引き抜き等の工法でドラム状に素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。ドラム状の支持体としては、直径が20mm〜150mm、好ましくは24mm〜100mm、さらに好ましくは28mm〜70mmのものを用いることができる。ドラム状の支持体の直径が20mm未満では、ドラム周辺に帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程をなす手段を配することが物理的に難しく、ドラム状の支持体の直径が150mmより大きくなると画像形成装置が大きくなってしまい、好ましくない。特に、画像形成装置がタンデム型の場合には、複数の感光体を搭載する必要があるため、直径は70mm以下、好ましくは60mm以下であることが好ましい。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
本発明の画像形成装置に用いられる感光体の下引き層としては、樹脂、あるいは白色顔料と樹脂を主成分としたもの、および導電性基体表面を化学的あるいは電気化学的に酸化させた酸化金属膜等を例示できるが、白色顔料と樹脂を主成分とするものが好ましい。白色顔料としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物を挙げることができ、中でも導電性基体からの電荷の注入防止性が優れる酸化チタンを含有させることが最も好ましい。下引き層に用いられる樹脂としては、ポリアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロース等の熱可塑性樹脂、アクリル、フェノール、メラミン、アルキッド、不飽和ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂、これらの中の一種あるいは多種の混合物を例示することができる。
本発明の画像形成装置に用いられる感光体の電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキスアゾ顔料等のアゾ顔料、トリアリールメタン系染料、チアジン系染料、オキサジン系染料、キサンテン系染料、シアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系染料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、インダスロン系顔料、スクアリリウム系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機系顔料および染料や、セレン、セレン−ヒ素、セレン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アモルファスシリコン等の無機材料を使用することができ、電荷発生物質は一種あるいは多種混合して使用することができる。
本発明の画像形成装置に用いられる感光体の電荷輸送物質としては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、テトラゾール誘導体、メタロセン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチリルヒドラゾン化合物、エナミン化合物、ブタジエン化合物、ジスチリル化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物、イミダゾール化合物、トリフェニルアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリフェニルメタン誘導体等の一種あるいは多種を混合して使用することができる。
上記電荷発生層、電荷輸送層の感光層を形成するのに用いられる結着樹脂としては、電気絶縁性であり、それ自体公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂および光導電性樹脂等を使用することができ、適当な結着樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネ−ト、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の光導電性樹脂等一種の結着樹脂あるいは多種と結着樹脂の混合物を挙げることができるが、特にこれらのものに限定されるものではない。
酸化防止剤としては、例えば以下のものが使用される。
〔モノフェノール系化合物〕
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−t−ブチル−4−ヒドロキシニソール等
〔ビスフェノール系化合物〕
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等
〔高分子フェノール系化合物〕
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類等
〔パラフェニレンジアミン類〕
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−tーブチル−p−フェニレンジアミン等
〔ハイドロキノン類〕
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等
〔有機硫黄化合物類〕
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート等
〔有機燐化合物類〕
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等。
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものをそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層中にレベリング剤を添加してもかまわない。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、測鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量はバインダー樹脂100重量部に対して0〜1重量部が適当である。
保護層は結着樹脂中に金属または金属酸化物の微粒子を分散した層である。結着樹脂としては、可視、赤外光に対して透明で電気絶縁性、機械的強度、接着性に優れたものが望ましい。保護層の結着樹脂としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、TiO、TiN、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、およびこれらの樹脂に他の無機材料を分散したもの等を添加することができる。保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1μm〜10μm程度が適当である。
感光体を作製する際に用いられる溶媒としては、ジクロロメタン等の塩素系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。
ドラム状の導電性支持体上に感光層を設けた感光体の両端には通常、感光体を支持し、本体駆動装置からの回転を伝達するためのフランジが設けられている。フランジには機械的強度に優れるポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等のエンジニアリングプラスチックが用いられ、機械的強度、剛性、導電性等を制御するために、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維、カーボン、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ等の充填剤や、各種添加剤を混合して用いる。これらのフランジは、ドラム状の導電性支持体に圧入し、接着剤等で固定される。
本発明においては、モノクロ画像形成、カラー画像形成どちらにおいても高品質の画像形成が可能であるが、特に高品質の画像形成を要求されるカラー画像形成において効果が高く、高品質の画像形成を行いながら、感光体や帯電ローラの寿命を大幅に伸ばすことができる。本発明がカラー画像形成可能の場合、1本の感光体を用い、その感光体上に各色のトナーを現像後、中間転写体あるいは像担持体へ順次、各色の感光体上トナー像を転写して画像形成を行う方法、感光体をトナーの色の数用い、各色のトナーを別個の感光体上に現像し、中間転写体あるいは像担持体へ転写して画像形成を行う方法(タンデム型等)のどちらにおいても、優れた性能を有する。タンデム型においては、帯電に伴うオゾン等の酸化性ガスの発生を抑えるために、帯電ローラによる帯電工程を取る必要があるが、本発明に用いられる帯電工程は、帯電条件が緩やかであるため、酸化性ガスの発生量は特に少ない。そのため本発明は、高画質で高信頼性の画像形成が可能なだけでなく、環境にも優しい。
本発明に関わる帯電条件の調整方法について、図面をもってさらに詳細に説明する。
図2は本発明に係る画像形成装置の概略を示すものである。ここに示した画像形成装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機等として構成される。図示していない本体筐体内に、被帯電体の一例である感光体1が配置され、この感光体1は、ドラム上の導電性ベース2の外周面に感光層3が積層されて構成されている。複数のローラに巻き掛けられて走行駆動されるベルト状の感光体や、誘電体より成るドラム状またはベルト状の感光体を用いることも可能である。なお本実施形態では、少なくとも感光体1と帯電装置5とでプロセスカートリッジユニットが構成され、更に現像装置、クリーニングユニット、除電装置を加えてプロセスカートリッジを構成可能である。プロセスカートリッジと称する場合、上記カートリッジユニットだけでもプロセスカートリッジとなり得るし、帯電装置と感光体と現像装置、帯電装置と感光体と現像装置とクリーニング装置等、様々なバリエーションが存在し得る。
画像形成動作時に、感光体1は図2における時計方向に回転駆動され、その表面が矢印A方向に移動する。このとき感光体表面に除電ランプ4からの光が照射され、その表面が初期化され、次いで帯電装置5によって感光体表面が所定の極性に帯電される(帯電装置5については後に詳しく説明する)。帯電装置5によって帯電された感光体表面には、露光装置の一例であるレーザ書き込みユニット6から出射される光変調されたレーザ光が照射され、これによって感光体表面に静電潜像が形成される。次いで、この静電潜像は、現像装置7を通るとき、所定の極性に帯電されたトナーによって、トナー像として可視像化される。
一方、感光体1とこれに対置された転写装置8の間に、所定のタイミングで、転写材P(用紙)が給送され、このとき感光体上に形成されたトナー像が転写材P上に静電的に転写される。トナー像を転写された転写材Pは、引き続いて定着装置9の定着ローラ10と加圧ロ―ラ11の間を通り、その際に熱と圧力の作用によってトナー像が転写材上に定着される。転写材に転写されずに感光体表面に残された転写残トナーは、クリーニング装置12によって除去される。
帯電装置5は、移動する被帯電体面、図示の例では感光体1の表面に対向配置された帯電ローラ13と、その帯電ローラ13に電圧を印加する電源14とを有している。この電源14により、帯電ローラ13に電圧が印加し、帯電ローラ13と感光体表面との間に放電を生じさせて当該感光体表面を所定の極性に帯電する。
帯電ローラ13は、層構成として、導電性支持体上に、高分子層と表面層を有して構成されることが好ましい。導電性支持体は、帯電ローラの電極および支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金、クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄、導電剤の樹脂等の導電性の材質で構成される。
高分子層としては、10Ωcm〜10Ωcmの抵抗を有する導電性層であることが好ましく、高分子材料に導電材を混合して抵抗を調整したものが用いられる。帯電ローラの高分子層の高分子としては、ポリエステル系、オレフィン系の熱可塑性エラストマー、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系熱可塑性樹脂、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム等、およびこれらをブレンドしたゴム材料が挙げられる。ゴム材料は中でも、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムおよびこれらのブレンドゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;等の微粉末を挙げることができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げることができる。これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、高分子100質量部に対して、1〜30質量部の範囲であることが好ましく、15〜25質量部の範囲であることがより好ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、高分子100質量部に対して、0.1〜5.0質量部の範囲であることが好ましく、0.5〜3.0質量部の範囲であることがより好ましい。
前記表面層を構成する高分子材料としては、帯電ローラ表面のダイナミック超微小硬度が0.04以上0.5以下であれば特に制限されないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。これらの中では、トナーとの離型性等の観点から、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミドが好ましく用いられる。上記高分子材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、当該高分子材料の数平均分子量は、1000〜100000の範囲であることが好ましく、10000〜50000の範囲であることがより好ましい。
表面層は、上記高分子材料に前記導電性弾性層に用いた導電剤や各種微粒子を混合して組成物として形成される。上記微粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物および複合金属酸化物、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等の高分子微粉体を単独または混合して用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
図2に示した帯電ローラ13は、感光体表面に対して、例えば25μm〜150μm、好ましくは30μm〜120μm、さらに好ましくは40μm〜100μmの微小ギャップGを開けて対置されている。微小ギャップGが25μm未満では、帯電ローラ13および感光体の寸法精度や組み付け精度が低いときに、帯電ローラと感光体と近接している部分で、放電が起こらない場所が存在する可能性があるため、好ましくない。また、微小ギャップGが150μmを超えると、放電を生じさせるためには、帯電ローラに印加する交流の電圧を大きくする必要があり、あまり大きくし過ぎるとオゾンの発生量が多くなってしまうため、好ましくない。
図3は、帯電ローラ13を感光体表面から微小ギャップGをあけて対置させるための一構成例を示す。ここに示した帯電ローラ13には、その長手方向各端部領域にテープ20より成るスペーサが貼り付けられ、これらのテープ20が感光体表面に当接することによって、帯電ローラ13が感光体表面に対して微小ギャップGを保っている。また、フランジ等を用いて、微小ギャップを確保することもできる。
本発明においては、感光体と帯電ローラ、現像、クリーニングを一体にし、交換部品として扱う、所謂プロセスカートリッジの形態にしておくと、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。
〔実施例1と比較例1,2〕
直径30mmのアルミニウムドラム(導電性支持体)上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および保護層を、その順に塗布した後、乾燥し、3.9μmの下引き層、0.15μmの電荷発生層、22μmの電荷輸送層、約4.5μmの保護層から成る感光体を作製した。このとき、保護層の塗工はスプレー法により、それ以外は浸漬塗工法により行った。保護層には、平均粒径0.21μmのアルミナを22.5質量%添加した。
imagio Neo C385(タンデム型カラー画像形成装置、感光体の線速:185mm/秒、書き込み光の解像度600dpi、リコー製)のブラック用感光体ユニットの帯電ローラとして、帯電ローラメーカーより納入された3種類の帯電ローラ試作品を評価した。帯電ローラは、ステンレスの円柱にエピクロロヒドリンゴムと導電性カーボンを主成分とする導電性ゴムを貼り付けて作製されたもので、ゴム硬度(タイプA)が64、76、87であった。帯電ローラの直径はいずれも、11.5mmであった。各帯電ローラの端部より13mmの位置に、幅10mm、厚さ52μmのギャップテープを貼り付けた。感光体の真上に帯電ローラを配置し、スプリングで帯電ローラを感光体に押し付け、感光体と帯電ローラを回転させない条件で、感光体と帯電ローラの間に、−600Vの直流電圧に周波数890Hz、振幅1050Vの交流電圧を10分間印加した。帯電ローラおよび感光体上には白スジの放電痕が生じていた。感光体の中央付近の放電痕を観察したところ、ゴム硬度が64の帯電ローラを用いて帯電したものでは2本の放電痕が観察され、一本の放電痕の幅は0.49mmであった。ゴム硬度が76、87の帯電ローラを用いて帯電したものは1本の放電痕であり、放電痕の幅は、ゴム硬度が76の帯電ローラのものでは平均1.32mm、放電痕の幅の最大と最少の差は0.07mmであり、ゴム硬度が87の帯電ローラのものでは平均1.17mm、放電痕の幅の最大と最少の差は0.23mmであった。
ゴム硬度(タイプA)が64、76、87の帯電ローラ、感光体を新品に交換し、ゴム硬度64の帯電ローラをブラック用感光体ユニットに、ゴム硬度76の帯電ローラをシアン用感光体ユニットに、ゴム硬度87の帯電ローラをマゼンタ用感光体ユニットに組み込み、各感光体ユニットの帯電ローラと感光体の間に、−600Vの直流電圧に周波数890Hz、振幅1050Vの交流電圧を印加する帯電条件でブラック、シアン、マゼンタのハーフトーン画像を、図4のようなA4サイズ紙の画像として2枚ずつ、計50000枚出力し、その後、ブラック、シアン、マゼンタの全面ハーフトーン画像を出力したところ、ブラック、シアンの画像は高品質の画像が得られるものの、マゼンタの画像は、明らかな濃度ムラが認められた(硬度76が実施例1で、硬度64と硬度87が比較例1,2)。
〔実施例2と比較例3〕
マゼンタの感光体ユニットにゴム硬度が76の帯電ローラを組み込み、上記の例の評価手順をベースとし、感光体と帯電ローラを回転させない条件で感光体と帯電ローラの間に印加する重畳電圧については、ブラック用感光体ユニット、シアン用感光体ユニットの帯電ローラに印加する交流の周波数を1.3kHzとし、マゼンタ用感光体ユニットの帯電ローラに印加する交流の周波数を890Hzとした。
図4のチャートを50000枚画像形成後、ブラック、シアン、マゼンタの全面ハーフトーン画像の状態を観察した。シアン、マゼンタの画像は高品質の画像が得られるものの、ブラックの画像にはスジ状の異常画像が見られた(硬度76シアンが実施例2で、硬度64が比較例3)。
〔実施例3,4〕
ステンレスの円柱にABS樹脂、カーボンおよびイオン導電性物質を主成分とする物質を積層し、直径13mm、22.6mmの帯電ローラを用い、帯電ローラの両端から15mmの位置に60μmのギャップテープを貼り付け、上記の実施例2の評価手順をベースに、感光体を新品に交換し、用いたブラック用感光体ユニット、イエロー用感光体ユニットに搭載した。直径13mm、22.6mmの帯電ローラをそれぞれブラック用感光体ユニット、イエロー用感光体ユニットに組み込んだ。帯電ローラを回転させない条件で、感光体と帯電ローラの間に、ブラック用感光体ユニットについては、−600Vの直流電圧に周波数890Hz、振幅1200Vの交流電圧を印加する帯電条件で、イエロー用感光体ユニットについては、−600Vの直流電圧に周波数850Hz、振幅1200Vの交流電圧を印加する帯電条件とし、その他の感光体ユニット(シアン、マゼンタ)は上記〔実施例2、比較例3〕で用いた帯電ローラ・帯電条件と同じとした。
感光体の中央付近に生じた1本の白スジ放電痕を観察したところ、放電痕の幅は、ブラック用感光体ユニットで平均1.21mm、放電痕の幅の最大と最少の差は0.06mmであり、イエロー用感光体ユニットで平均1.83mm、放電痕の幅の最大と最少の差は0.08mmであった。各色混成チャートを50000枚画像形成後、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全面ハーフトーン画像の状態を観察した。何れの画像も高品質の画像が得られた(ブラックが実施例3で、イエローが実施例4)。
〔実施例5〜8〕
上記の〔実施例3,4〕の評価手順をベースに、各感光体ユニットの感光体線速が222mm/秒、書き込み光の解像度が1200dpiになるように改造した。〔実施例3,4〕で用いた感光体ユニットをそのまま用い、感光体と帯電ローラを回転させない条件で感光体と帯電ローラの間に印加する重畳電圧については、ブラック用感光体ユニットは、−600Vの直流電圧に周波数1100Hz、振幅1200Vの交流電圧を印加する帯電条件で、イエロー用感光体ユニットは、−600Vの直流電圧に周波数1000Hz、振幅1200Vの交流電圧を印加する帯電条件とし、シアン用感光体ユニットは、−600Vの直流電圧に周波数1700Hz、振幅1050Vの交流電圧を印加する帯電条件とし、マゼンタ用感光体ユニットは、−600Vの直流電圧に周波数2000Hz、振幅1050Vの交流電圧を印加する帯電条件とした。各色混成チャートを合計70000枚画像形成した後、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの全面ハーフトーン画像を出力したところ、高画質の画像が得られた。
感光体上に生じる放電痕の模式図である。 本発明に係る画像形成装置の概略構成図である。 帯電ローラと感光体の微小ギャップを説明する図である。 画像評価を行う際の混成画像の説明図である。
符号の説明
1 感光体
4 除電ランプ
5 帯電装置
6 レーザ書き込みユニット
7 現像装置
8 転写装置
9 定着装置
12 クリーニング装置

Claims (8)

  1. 感光体に対し非接触に配置された帯電ローラに、直流電圧を重畳した交流電圧を印加して帯電を行う帯電装置のための帯電条件調整方法であって、
    感光体と帯電ローラの双方を回転させずに、一定時間、前記直流電圧を重畳した交流電圧を印加する工程と、
    前記感光体に生じる放電痕を観測する工程と、を有し、
    前記放電痕が1本のスジであり、当該放電痕の幅の平均(L)が0.9mm以上、放電痕幅の最大と最小の差が平均放電痕幅の20%以下となるように帯電条件を調整することを特徴とする、帯電条件調整方法
  2. 請求項1に記載の帯電条件調整方法において、前記帯電条件に関するパラメータが前記帯電ローラの硬度であることを特徴とする帯電条件調整方法。
  3. 請求項1または2に記載の帯電条件調整方法において、前記帯電条件に関するパラメータが前記交流電圧の周波数であることを特徴とする帯電条件調整方法。
  4. 請求項3に記載の帯電条件調整方法において、前記帯電ローラに印加する重畳電圧の交流電圧分の周波数(fHz)前記放電痕の幅平均(Lmm)、画像形成する際の感光体の線速(vmm/秒)に対し
    17×v/L≧f≧4×v/L
    となるように調整することを特徴とする帯電条件調整方法
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の帯電条件調整方法において、前記帯電条件に関するパラメータが前記帯電ローラと前記感光体の間に形成される空隙の大きさであることを特徴とする帯電条件調整方法。
  6. 潜像を形成される感光体と、前記感光体を帯電する帯電装置と、を備える画像形成装置であって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の帯電条件調整方法を用いて、前記帯電装置の帯電条件を調整したことを特徴とする画像形成装置
  7. 請求項6に記載の画像形成装置において、画像形成可能な最高解像度が1000dpi以上であることを特徴とする画像形成装置。
  8. 潜像を形成される感光体と、前記感光体を帯電する帯電装置と、を備えるプロセスカートリッジであって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の帯電条件調整方法を用いて、前記帯電装置の帯電条件を調整したことを特徴とするプロセスカートリッジ
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