JP3960581B2 - 電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジに関し、詳しくは、400〜450nm波長領域の書込光源を使用した場合において、高解像度であり、その優れた画質を維持し、繰り返し使用しても電位変動のない、また優れた機械的、化学的耐久性を有する電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式において使用される電子写真感光体(以下、単に感光体ということがある)の光導電体としては、大きく分けて種々の無機及び有機光導電体が知られている。ここにいう「電子写真方式」とは一般に、光導電性の感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によって帯電させ、次いで像露光し、露光部のみの電荷を選択的に逸散させて静電潜像を得て、この潜像部を染料、顔料などの着色剤と高分子材料などで構成されるトナーで現像し、可視化して画像を形成するようにした、いわゆるカールソンプロセスとよばれる画像形成プロセスである。有機の光導電体を用いた感光体は無機光導電体のものに比べ、感光波長域の自由度、成膜性、可撓性、膜の透明性、量産性、毒性やコスト面等において利点を持つため、現在ではほとんどの感光体には有機光導電体が用いられている。また、この電子写真方式および類似プロセスにおいてくり返し使用される感光体には、感度、受容電位、電位保持性、電位安定性、残留電位、分光感度特性に代表される静電特性が優れていることが要求される。
【0003】
近年では、この電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行なうデジタル記録方式を用いたプリンターは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。また、このデジタル記録方式は、プリンターのみならず通常の複写機にも応用され、所謂デジタル複写機が開発されている。さらに、このデジタル複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため、今後その需要性が益々高まっていくと予想される。
【0004】
現在、これらの方式に用いられる電子写真感光体は、一般的には導電性支持体上に直接または中間層を介して電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を設けたいわゆる機能分離型積層感光体が主流である。さらには、機械的、もしくは化学的耐久性向上のため感光体最表面に表面保護層を形成するものもある。この機能分離型積層感光体において、表面が帯電された感光体が露光されたとき、光は電荷輸送層を透過し、電荷発生層中の電荷発生材料に吸収される。電荷発生材料は、この光を吸収して電荷担体を発生する。発生した電荷担体は、電荷輸送層に注入され、帯電によって生じている電界に沿って電荷輸送層を移動して感光体の表面電荷を中和する。その結果、感光体の表面に静電潜像が形成される。よって、機能分離型積層感光体には、主として近赤外部から可視部に吸収を持つ電荷発生材料と、電荷発生材料の吸収光の透過を妨げない、すなわち可視部(黄色光域)から紫外部に吸収を持つ電荷輸送材料との組みあわせが多く用いられている。このようなデジタル記録方式に対応させる光源としては、例えば、小型で安価な信頼性の高い半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が多く使われている。現在、最もよく使用されているLDの発振波長域は、780〜800nm付近の近赤外光領域にある。また、代表的なLEDの発光波長は740nmにある。そして、そのビームスポット径は、約150〜60μm程度である。このため、現行の電子写真装置は300〜600dpi程の解像度であり、写真調の高解像度としては十分でなかった。これを1200dpi相当のドット径約30μm又は2400dpi相当のドット径約15μmに絞り込むためには、超高精度な光学部品や大きな光学部材が必要になりコスト的にも、スペース的にも実用化できるものではなかった。この解決には、光源波長を短くすることが有効と考えられており、特開平5−19598号公報には、短波長レーザを使用した電子写真装置が提案されている。
【0005】
最近では、このデジタル記録方式に対応させる書込光源として、GaN系半導体に代表される400〜450nmに発振波長を有する紫色から、青色の短波長LD、LEDが開発、上場されるに及んでいる。例えば、発振波長が従来からの近赤外域LDに比べ約半分近くとなる短波長LDを書込光源として用いた場合、下記式(1)で示されるように、感光体上におけるレーザービームのスポット径を理論上かなり小さくすることが可能である。従って、これらは潜像の書込密度すなわち解像度を上げることに非常に有利なものである。
【0006】
【数1】
d∝(π/4)(λf/D) …(1)
(式中、dは感光体上のスポット径、λはレーザー光の波長、fはfθレンズの焦点距離、Dはレンズ径)
【0007】
また、この短波長LD、LEDの上場により光学系を含む電子写真装置のコンパクト化や、熱的クロストークが小さいためマルチビーム書込による電子写真方式の高速化などの利点があるため、これら約400〜450nmのLDもしくはLED発振光源に対応した高感度、高解像度かつ高安定な電子写真感光体が要求されている。
【0008】
先に述べたように、電子写真感光体の主流は、機能分離型積層感光体である。この層構成の場合、電荷輸送層が電荷発生層の上部にあるので、高感度を発現させるには、書き込み光である短波長LD、LED照射光を効率よく電荷輸送層を通して電荷発生層に送り込む必要がある。すなわち、電荷輸送層がこれらの光を吸収しないことが重要になってくる。一般的な電荷輸送層は、低分子電荷輸送材料をバインダー樹脂中に分子を分散させた約10〜30μm程度の固溶体膜である。
【0009】
従来から商品化されている電荷輸送材料としては、1,1−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−4,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン(特開昭62−30255号公報)、5−〔4−(N,N−ジ−p−トリルアミノ)ベンジリデン〕−5H−ジベンゾ〔a,d〕シクロヘプテン(特開昭63−225660号公報)、ピレン−1−アルデヒド 1,1−ジフェニルヒドラゾン(特開昭58−159536号公報)などがあるが、これら電荷輸送材料は390〜460nmの波長域に吸収を有しており、上記短波長LD、LED書込み光は電荷輸送層の表面近傍において吸収されてしまい、電荷発生層には到達できず、原理上感度を示さなくなってしまう。
さらに、特開昭55−67778号公報、特開平9−190054号公報には、電荷輸送層に吸収される波長域の光を使用すると、繰返し使用の場合、帯電性の低下や残留電位の上昇が記載されており、電荷輸送材料の光吸収は、感度低下のみならず繰り返し疲労に対しても悪影響を与える。
【0010】
一方、電子写真装置に使用される電子写真感光体として、導電性支持体上に電荷発生材料と電荷輸送性材料とバインダーを主成分とする感光層を設けた単層型のものが知られている。この感光体は、光照射による電荷発生が感光体表面部位で生じるため、上記静電潜像の広がりは少なくなり、超高解像度電子写真用として有利である。しかしながら、機能分離型積層感光体に比べ、感度や残留電位特性が劣り、高速化が要求される電子写真装置への課題を残している。また、導電性支持体上に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層された逆層型の電子写真感光体も知られている。この場合も、電荷発生が感光体表面部位で生じるため、上記静電潜像の広がりは少なくなり、超高解像度電子写真用として有利である。例えば、特開平9−240051号公報に発振波長400〜500nmのLDを光源として用いた電子写真装置が開示されている。
【0011】
しかしながらこの感光体層構成の場合、脆弱かつ薄膜の電荷発生層が最表面に形成されるため、これが帯電、現像、転写、クリーニング手段により機械的、化学的なハザードを受けやすくなり、繰り返し使用による感光体の劣化が著しいので実用的ではない。寿命を上げるために表面保護層を形成した逆層感光体の提案も行なわれている(特開平1−170951号公報記載)。この場合、オゾン発生量を低下させた環境負荷の小さい電子写真装置の提供が狙いとなっており、超高解像電子写真装置用の感光体としての設計は行なわれていない。
【0012】
先にも述べたように、現在電子写真方式を用いた電子写真プリンター、電子写真複写機等の高速化、小型化、高画質化が進んでいるが、それに伴い感光体が小径化され、電子写真プロセスでの使用条件はますます厳しくなりつつある。特に、感光体周りでの帯電ローラの設置やゴムブレード等によるクリーニング等により感光体の摩耗が促進され、電位変動、感度変動が生じ、それによる異常画像、カラー画像の色バランスがくずれ、色再現性に問題が発生するなどの不具合が生じる。また、長時間使用することで、帯電時に発生するオゾンによるバインダー樹脂及び電荷輸送材料の酸化劣化や、帯電時に生成するイオン性化合物、例えば、硝酸イオン、硫酸イオン、アンモニウムイオン、有機酸化合物等が感光体表面に蓄積することによる画質低下が発生し、問題となる。このため、感光体のさらなる機械的及び化学的耐久性の向上、その表面層の性質の改良がより重要となってきている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の欠点や問題点を解消し、電子写真操作上支障のない酸化防止剤と390〜460nm波長領域の単色照射光を効率よく透過するバインダー樹脂を用いることにより、400〜450nmの範囲に発振波長を有するLD,LED書込光源を使用した場合において、高解像度であり、優れた画質を維持し、繰り返し使用しても電位変動のない、また機械的、化学的耐久性に優れた電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジを提供することをその課題とすることである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、酸化防止剤とバインダー樹脂に着目して鋭意検討を重ねた。その結果、導電性支持体上に感光体の光学的性質を損なわない酸化防止剤及び390〜460nm波長領域の単色照射光を効率よく透過するバインダー樹脂を含有した感光層を形成することによって、400〜450nmの範囲に発振波長を有するLD,LED書込光源に対して、高解像度であり、優れた画質を維持し、繰り返し使用しても電位変動のない、また機械的、化学的耐久性に優れた電子写真感光体が提供される。さらに上記電子写真感光体を用い、帯電、像露光、現像及び転写を行なうことを特徴とする電子写真方法、上記電子写真感光体を有すると共に、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を備えたことを特徴とする電子写真装置及び上記電子写真感光体と、帯電手段、像露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段から選ばれた少なくとも一つの手段とを一体的に形成し、電子写真装置本体に着脱自在としたことを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジが提供されるということを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0015】
即ち、前記課題は、本発明の(1)「導電性支持体上に直接または中間層を介して電荷発生層、電荷輸送層を設けた電子写真感光体であって、該電荷輸送層が、少なくとも電荷輸送材料からなる層の上に、酸化防止剤、フィラー及び390〜460nm波長領域の単色光を透過するバインダー樹脂からなる層を順次設けた積層で構成され、該電荷輸送材料が下記式(d)で表されるものであり、
【0016】
【化35】
Figure 0003960581
該酸化防止剤がジステアリル−3,3’−チオジプロミオネート、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、2,6―ジ−t−ブチル−p−クレゾールまたは2,6―ジ−t−オクチル−p−クレゾールであり、フィラーが酸化チタンである電子写真感光体を用いて、帯電、像露光、現像及び転写を行なう電子写真方法において、像露光手段における書込光源の波長が、400〜450nmの範囲に発振波長を有する半導体レーザー、もしくは発光ダイオードであることを特徴とする、電子写真方法」、(2)「導電性支持体上に直接または中間層を介して電荷発生層、電荷輸送層を設けた電子写真感光体であって、該電荷輸送層が、少なくとも電荷輸送材料からなる層の上に、酸化防止剤、フィラー及び390〜460nm波長領域の単色光を透過するバインダー樹脂からなる層を順次設けた積層で構成され、該電荷輸送材料が下記式(d)で表されるものであり、
【0017】
【化36】
Figure 0003960581
該酸化防止剤がジステアリル−3,3’−チオジプロミオネート、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、2,6―ジ−t−ブチル−p−クレゾールまたは2,6―ジ−t−オクチル−p−クレゾールであり、フィラーが酸化チタンである電子写真感光体を有するとともに、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を備え、該像露光手段における書込光源の波長が、400〜450nmの範囲に発振波長を有する半導体レーザー、もしくは発光ダイオードであることを特徴とする、電子写真装置」、(3)「導電性支持体上に直接または中間層を介して電荷発生層、電荷輸送層を設けた電子写真感光体であって、該電荷輸送層が、少なくとも電荷輸送材料からなる層の上に、酸化防止剤、フィラー及び390〜460nm波長領域の単色光を透過するバインダー樹脂からなる層を順次設けた積層で構成され、該電荷輸送材料が下記式(d)で表されるものであり、
【0018】
【化37】
Figure 0003960581
該酸化防止剤がジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、2,6―ジ−t−ブチル−p−クレゾールまたは2,6―ジ−t−オクチル−p−クレゾールであり、フィラーが酸化チタンである電子写真感光体と、像露光手段とともに、帯電手段、現像手段及び転写手段から選ばれた少なくとも一つの手段とを一体的に形成し、電子写真装置本体に着脱自在としたことを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジであって、像露光手段における書込光源の波長が400〜450nmの範囲に発振波長を有する半導体レーザーもしくは発光ダイオードをソナタであることを特徴とする、電子写真装置用プロセスカートリッジ」によって達成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1〜図3に本発明の電子写真感光体の断面を概略的に示す。
図1においては、(1)の導電性支持体上に電荷発生材料と電荷輸送性材料とバインダー樹脂を主成分とする感光層(2)(以下、電荷輸送層と電荷発生層を併せて、またはどちらか一方を指して感光層ということがある)を設けた単層構成をとっている。この感光層には、本発明の酸化防止剤が必ず含有され、かつ前記バインダー樹脂としては、390〜460nm波長領域の単色照射光を効率よく透過するバインダー樹脂(以下、本件樹脂ということがある)が用いられる。
【0020】
図2においては、(1)の導電性支持体上に電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(3)と、電荷輸送材料、酸化防止剤及び本件樹脂を必須成分とする電荷輸送層(4)が積層された構成をとっている。また、導電性支持体(1)上に電荷輸送層(4)、電荷発生層(3)の順に積層すれば、逆層型の電子写真感光体を作成できる。
【0021】
また、図3においては、(1)の導電性支持体上に電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(3)、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(5)上に、酸化防止剤及び本件樹脂を必須成分とする電荷輸送層(6)が積層された構成をとっている。また、電荷輸送層(6)にはフィラーが含有されてもよい。
さらに、導電性支持体(1)と感光層(2)または電荷発生層(3)との間に帯電性向上、接着性向上もしくはレーザー書込光の干渉光によるモアレ画像防止などを目的として中間層(7)(図示せず)が形成されていてもよい。
【0022】
以下、本発明の感光体を構成する各要素の詳細な説明は、図2の積層型感光体の構成を例に挙げ説明する。それ以外の場合においても基本的にこれと同様である。
本発明での電子写真感光体、電子写真感光体を用いた電子写真方法、電子写真感光体を有する電子写真装置及び電子写真装置に用いるプロセスカートリッジにおける書込光源としては、400〜450nmの範囲に発振波長を有する半導体レーザー(LD)もしくは発光ダイオード(LED)が用いられる。これらの光源は、光強度波長分布が極めて狭いものではあるが、温度環境、製造ロット等によって発振ピーク波長が数nm波長ほど長波長もしくは短波長側に波長変動するため、電子写真感光体の電荷輸送層は390〜460nmの範囲の光を充分透過させるものであることが好ましい。また、これらLDは光強度波長分布が極めて狭いので、電荷輸送層は390〜460nm波長全域の光を透過する必要はなく、この領域において少なくとも一つの所望の単色光を透過できればよい。この場合、照射光の透過率が50%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。
【0023】
電荷輸送層は、実際のところドラム、シート状などの感光体形状、または製造上の問題から、全くの平面性、平滑性を有するものではないため、書き込み光の散乱あるいは反射による光量減少は少なくない。本発明でいう透過率とは、単純にこのような電荷輸送層内部での散乱や反射光を差し引いた光、すなわち電荷輸送層表面に入射した光とその反対面から出てくる光との比を意味する。例えば、図4に電荷輸送層膜の透過スペクトルの模式図を示した。図4から390〜460nm波長領域内での波長λ2(nm)光における透過率は、以下の式(2)から求められる。
【0024】
【数2】
透過率(%)=T2/T1×100 …(2)
【0025】
次に、本発明の必須構成要素である酸化防止剤について説明する。酸化防止剤は、感光層ならばいずれの層に添加してもよいが、電荷輸送層に添加すると良好な結果を得ることができる。
感光体における酸化防止剤の使用は、一般には帯電性の低下防止に対して効果を持つ。帯電時に発生するNOxやオゾン等の酸性ガスの影響により、帯電低下は電荷発生層と相関があることが知られている。耐酸化性の発現のため、酸化防止剤の使用が効果的であるが、電荷発生層に含有させるためには電荷輸送層に添加し、電荷発生層にしみ込ませる方法が効果的である。これは、電荷発生層に直接添加するよりもしみこみの関係上効率的であることと、電荷輸送層のガス透過度を減少させ、酸性ガスの電荷発生層への透過をできるだけ少なくする目的からである。酸化防止剤の耐酸化機構は、いわゆる一電子移動のように理論的予測が不可能である。これはこの反応機構が、化学反応を伴う場合が多いからと考えられる。従って、酸化防止剤の選択には経験による場合が多く、2種類以上の酸化防止剤を組み合わせて使うこともしばし見られる。ただし、使用量が多くなると残留電位の上昇が懸念される。
【0026】
また、電荷輸送層に耐クラック性の改善等を目的として、酸化防止剤を可塑剤として用いることもある。電荷輸送層は、湿式塗工して有機溶媒を乾燥させる際に塗工した層が収縮する。この工程で、電荷輸送層には内部応力が蓄積する。この内部応力が、外部からストレスが与えられたときに電荷輸送層にクラックとして現れる。酸化防止剤の使用は、このような電荷輸送層の機械的特性の改善にも効果がある。
それ以外にも、酸化防止剤にはその機能、作用から以下のように分類される。連鎖反応開始阻害剤、ラジカル連鎖反応禁止剤及び過酸化物分解剤である。
【0027】
連鎖開始反応は、この場合特に光、または熱等の諸要因によって引き起こされ、その阻害剤としては紫外線吸収剤及び光安定剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤が挙げられる。紫外線吸収剤および光安定剤は、像露光手段における書込光としての400〜450nmの波長を有する半導体レーザー光によって生じるラジカルと結合して連鎖反応を阻止する作用や、書込光の短波長化にともなう過剰の光エネルギーを吸収して低エネルギーに変換し、ラジカルの発生を抑える効果が期待できる。金属不活性化剤は、金属イオンと反応して錯体をつくり、金属を不活性化し金属の持つ劣化促進作用を抑制する。具体的には、フィラーが含有した感光体においては、そのフィラー、例えばアルミナや酸化チタンに含まれる金属や感光体外部から供給される微量の金属、例えばトナー中に含まれる金属が400〜450nmの波長を有する半導体レーザー光によって活性化されるのを失活させる効果がある。オゾン劣化防止剤は、オゾンやオゾンによって生じるオゾニドや先駆物質と選択的に反応することで、帯電時に発生するオゾンによる感光体の劣化を抑制する効果がある。
【0028】
ラジカル連鎖反応禁止剤は、発生したラジカルを捕捉してラジカルの連鎖反応をとめる。代表的なものに、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤が挙げられる。フェノール系酸化防止剤のなかでも、ハイドロキノン類等は急速短期の酸化防止能に優れ、一方、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソ−ル(BHA)等に代表されるヒンダートフェノール系化合物は、長期にわたって酸化防止作用が期待できる。また、ヒンダートフェノール系化合物はその酸化生成物がほとんど着色しないので、400〜450nmの波長を有する半導体レーザー光を書込光として用いる電子写真感光体の酸化防止剤として、極めて有用であることが明らかになった。一方、アミン系酸化防止剤は、酸化防止能ではヒンダートフェノール系化合物に比べ優れているが、酸化生成物が着色するものが多いことから、その使用量については注意を払う必要がある。これらラジカル連鎖反応禁止剤は、特に、電荷輸送材料に対して強い耐酸化性を示す。
【0029】
過酸化物分解剤は、帯電時に生成するオゾンに起因する過酸化物(パーオキサイド)を不活性な化合物に分解して連鎖反応への寄与を切断する作用をもつ。過酸化物分解剤としては、硫黄系酸化防止剤及びりん酸系酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤は酸化増大の抑制に効果があり、また、酸化されたフェノール系酸化防止剤を再生する能力も持っている。また、ラジカル連鎖反応禁止剤とを併用することがより好ましい。
【0030】
以上のように本発明により、書込光の短波長(400〜450nm)化に対応する電子写真感光体の作成において、これらの酸化防止剤が極めて有用であることが初めて見いだされた。
これら酸化防止剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
連鎖反応開始阻害剤のなかで、紫外線吸収剤及び光安定剤としては、フェニルサリチレート、モノグリコールサリチレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、レゾルシノールモノベンゾエートなどが挙げられる。
金属不活性化剤としては、N−サリシロイル−N’−アルデヒドヒドラジン、N,N’−ジフェニルオキサミドなどが挙げられる。
オゾン劣化防止剤としては、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0031】
また、ラジカル連鎖反応禁止剤のなかでフェノール系酸化防止剤のうち、モノフェノール系化合物としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど、ビスフェノール系化合物として、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など、高分子フェノール系化合物として、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコ−ルエステル、トコフェロール類などが挙げられる。
【0032】
また、それ以外にもハイドロキノン類として、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなどが挙げられる。
【0033】
アミン系酸化防止剤としては、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、フェノチアジン、N,N'−ジフェニル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0034】
過酸化物分解剤のなかで、硫黄系酸化防止剤として、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
【0035】
また、りん系酸化防止剤しては、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン、トリデシルホスフィン、トリオクタデシルホスフィンなどが挙げられる。
これらの化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、酸化防止剤ハンドブック(大成社)にその詳細が記載されている。また市販品を容易に入手できる。本発明における酸化防止剤の添加量は、電荷輸送材料100重量部に対して0.05〜100重量部、好ましくは0.1〜30重量部である。
【0036】
本件樹脂は、390〜460nm波長領域の単色光を透過するバインダー樹脂である。これは書込光として、400〜450nmの波長を有する半導体レーザーが用いられるためである。本件樹脂には、390〜460nmの波長領域の単色光を透過する樹脂であれば、従来公知のものを用いることができる。その選別方法としては、先の電荷輸送層膜の光透過度と同様の方法にて、バインダー樹脂単独膜の光透過スペクトルから光透過率を測定すればよい。電子写真感光体としては、請求項1に記載の感光層またはそれ以降の電荷輸送層が、390〜460nmの範囲の光を充分透過させるものであることが好ましい。また、これらLDは光強度波長分布が極めて狭いので、390〜460nm波長全域の光を透過する必要はなく、この領域において少なくとも一つの所望の単色光を透過できればよい。この場合、照射光の透過率が50%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。よってこの特性を満足するバインダー樹脂が選ばれる。
また、バインダー樹脂の機械的な強度は感光体の耐摩耗性、すなわち感光体の高耐久化を決定する要因として極めて重要である。従ってこのことも加味して幅広い公知の材料の中からバインダー樹脂を選択する必要がある。
【0037】
バインダー樹脂としては、例えば具体的にポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
なかでも、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂及びポリスチレン樹脂から選ばれた少なくとも1種を主成分とする樹脂が好ましい。
【0038】
その理由として、バインダー樹脂に要求される特性として、前記の390〜460nm波長領域の単色光を透過すること、機械的な耐久性以外にも、他の特性があるためである。その一つとしてバインダー樹脂の誘電率が挙げられる。電荷輸送層の電荷輸送能は同じ電荷輸送材料を用いた場合、一般に低誘電率媒体ほど高移動度を与えることが知られている。すなわちバインダー樹脂の誘電率が電荷輸送能の支配因子の一つであり、このことからポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂及びポリスチレン樹脂から選ばれた少なくとも1種を主成分とする樹脂が好ましいのである。
【0039】
像露光手段における書込光源として従来までとは異なり、高解像度化の目的で400〜450nmの波長を有する半導体レーザーが用いられる。これにより、感光体の長時間の使用において、従来の書込光源を用いた場合では全く予想できなかった、感光層、とりわけ電荷輸送層の電気的特性の劣化が引き起こされることがわかった。その理由はまだ定かではないが、おそらく高エネルギーな光化学反応によるバインダー樹脂の劣化によって、その特性の変化が生じたものと考えられる。この解決手段として、本発明者らは、書込光としての400〜450nmの波長を有する半導体レーザー光を長時間照射されても、光化学的にも安定なバインダー樹脂を用いることを見いだした。従来公知の樹脂を幅広く検討した結果、390〜460nm波長領域の単色光を透過することは前提だが、それ以外にも光化学的に特に安定な樹脂として、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂及びポリスチレン樹脂から選ばれた少なくとも1種を主成分とする樹脂が特に好ましいことがわかった。
【0040】
これらバインダー樹脂のかわりに、高分子型電荷輸送材料を用いることもできる。電荷輸送能を有する高分子材料としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂及びポリスチレン樹脂から選ばれた少なくとも1種を主成分とする樹脂が好ましい。その具体例としては、後述の高分子型正孔輸送材料が挙げられる。
【0041】
さらに、前記酸化防止剤と本件樹脂、特にポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂及びポリスチレン樹脂から選ばれた少なくとも1種を主成分とする樹脂とを絶妙に組み合わせて必須構成単位とする感光層または電荷輸送層は、その相乗効果が期待できる。すなわち、総合的に優れた特性を示す感光体が作成可能となり、さらに長時間にわたって使用できることから、短波長書込光源に対応した感光体の飛躍的な高耐久化が達成される。これにより高解像度であり、優れた画質を維持し、繰り返し使用しても電位変動のない、また機械的、化学的耐久性に優れた電子写真感光体を提供することができる。
【0042】
本発明の電子写真感光体は、前記酸化防止剤と390〜460nm波長領域の単色光を透過するバインダー樹脂を感光層または電荷輸送層に含有させることによって、高解像度の維持等所望の特性を得ることができるものであるが、機械的耐久性を調節するためにフィラーを含有させることができる。
【0043】
フィラーとしては、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、窒化ケイ素、酸化カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、カーボンブラック、フッ素系樹脂微粉末、ポリシロキサン系樹脂微粉末、ポリエチレン系樹脂微粉末、コア−シェル構造を有するグラフト共重合体等が挙げられる。
これらフィラーは、分散性向上等のために無機物、有機物で表面処理されていてもよい。一般に撥水性処理として、シランカップリング剤で処理したものまたはフッ素系シランカップリング剤処理したもの、高級脂肪酸処理したものがあり、無機物処理としては、フィラー表面をアルミナ、ジルコニア、酸化スズ、シリカ処理したものが挙げられる。
【0044】
フィラー含有量は、フィラーを含有させる層に対し、重量基準で通常は5〜50%、好ましくは10〜40%である。5%未満では摩耗性の向上が十分に図れないことがあり、50%を越えると電荷輸送層全体の透明性が損なわれることがあるので望ましくない。フィラーの平均粒径は、通常は0.05〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.8μmである。0.05μm未満では、耐摩耗性の向上が望めず、1.0μmを越えるとフィラーを含有する表面の凹凸が大きくなり、フィラーがクリーニングブレードを傷つけ、クリーニング不良が発生することがあるので望ましくない。
【0045】
分散溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセルソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロルメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が使用される。粉砕工程を加える場合は、ボールミル、サンドミル、振動ミルなどを用いる。塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
【0046】
電荷輸送層に用いられる電荷輸送材料には、従来公知の電荷輸送物質を用いることができ、これらの電荷輸送材料は、単独または2種類以上混合して用いられる。但し本発明の電荷輸送層は、390〜460nm波長域範囲の単色光を透過するものである。そのため、併用できる電荷輸送材料としては、この波長域の光を透過するものである必要がある。
電荷輸送材料のうち、低分子型正孔輸送材料としては、一般式(化1)〜(化23)で示される化合物がある。
【0047】
【化1】
Figure 0003960581
(式中、R1はメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基または2−クロルエチル基を表わし、R2はメチル基、エチル基、ベンジル基またはフェニル基を表わし、R3は水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基またはニトロ基を表わす。)
【0048】
【化2】
Figure 0003960581
(式中、Arはナフタレン環、アントラセン環、ピレン環及びそれらの置換体あるいはピリジン環、フラン環、チオフェン環を表わし、Rはアルキル基、フェニル基またはベンジル基を表わす。)
【0049】
【化3】
Figure 0003960581
(式中、R1はアルキル基、ベンジル基、フェニル基またはナフチル基を表わし、R2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアラルキルアミノ基またはジアリールアミノ基を表わし、nは1〜4の整数を表わし、nが2以上のときはR2は同じでも異なっていてもよい。R3は水素原子またはメトキシ基を表わす。)
【0050】
【化4】
Figure 0003960581
(式中、R1は炭素数1〜11のアルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基または複素環基を表わし、R2、R3はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、クロルアルキル基または置換もしくは無置換のアラルキル基を表わし、また、R2とR3は互いに結合し、窒素を含む複素環を形成していてもよい。 R4は同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表わす。)
【0051】
【化5】
Figure 0003960581
(式中、Rは水素原子またはハロゲン原子を表わし、Arは置換もしくは無置換のフェニル基、ナフチル基、アントリル基またはカルバゾリル基を表わす。)
【0052】
【化6】
Figure 0003960581
(式中、R1は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基または炭素数1〜4のアルキル基を表わし、Arは
【0053】
【化7】
Figure 0003960581
【0054】
【化8】
Figure 0003960581
を表わし、R2は炭素数1〜4のアルキル基を表わし、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはジアルキルアミノ基を表わし、nは1または2であって、nが2のときはR3は同一でも異なっていてもよく、R4、R5は水素原子、炭素数1〜4の置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のベンジル基を表わす。)
【0055】
【化9】
Figure 0003960581
(式中、Rはカルバゾリル基、ピリジル基、チエニル基、インドリル基、フリル基あるいはそれぞれ置換もしくは非置換のフェニル基、スチリル基、ナフチル基、またはアントリル基であって、これらの置換基がジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基またはそのエステル、ハロゲン原子、シアノ基、アラルキルアミノ基、N−アルキル−N−アラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基及びアセチルアミノ基からなる群から選ばれた基を表わす。)
【0056】
【化10】
Figure 0003960581
(式中、R1は低級アルキル基、置換もしくは無置換のフェニル基、またはベンジル基を表わし、R2は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基あるいは低級アルキル基またはベンジル基で置換されたアミノ基を表わし、nは1または2の整数を表わす。)
【0057】
【化11】
Figure 0003960581
(式中、R1は水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表わし、R2およびR3はアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R4は水素原子、低級アルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、また、Arは置換もしくは無置換のフェニル基またはナフチル基を表わす。)
【0058】
【化12】
Figure 0003960581
(式中、nは0または1の整数、R1は水素原子、アルキル基または置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、Ar1は置換もしくは未置換のアリール基を表わし、R5は置換アルキル基を含むアルキル基、あるいは置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Aは
【0059】
【化13】
Figure 0003960581
9−アントリル基または置換もしくは無置換のカルバゾリル基を表わし、ここでR2は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子または
【0060】
【化14】
Figure 0003960581
(ただし、R3およびR4はアルキル基、置換もしくは無置換のアラルキル基または置換もしくは無置換のアリール基を示し、R3およびR4は同じでも異なっていてもよく、R4は環を形成してもよい)を表わし、mが2以上のときはR2は同一でも異なってもよい。また、nが0のとき、AとR1は共同で環を形成してもよい。)
【0061】
【化15】
Figure 0003960581
(式中、R1、R2およびR3は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子またはジアルキルアミノ基を表わし、nは0または1を表わす。)
【0062】
【化16】
Figure 0003960581
(式中、R1およびR2は置換アルキル基を含むアルキル基、または置換もしくは未置換のアリール基を表わし、Aは置換アミノ基、置換もしくは未置換のアリール基またはアリル基を表わす。)
【0063】
【化17】
Figure 0003960581
(式中、Xは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子を表わし、Rは置換アルキル基を含むアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Aは置換アミノ基または置換もしくは無置換のアリール基を表わす。)
【0064】
【化18】
Figure 0003960581
(式中、R1は低級アルキル基、低級アルコキシ基またはハロゲン原子を表わし、R2、R3は同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはハロゲン原子を表わし、l、m、nは0〜4の整数を表わす。)
【0065】
【化19】
Figure 0003960581
(式中、R1、R3およびR4は水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子または置換もしくは無置換のアリール基を、R2は水素原子、アルコキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基またはハロゲン原子を表わす。ただし、R1、R2、R3およびR4がすべて水素原子である場合は除く。また、k,l,mおよびnは1、2、3または4の整数であり、それぞれが2、3または4の整数のときは、前記R1、R2、R3およびR4は同じでも異なっていてもよい。)
【0066】
【化20】
Figure 0003960581
(式中、Arは置換基を有してもよい炭素数18個以下の縮合多環式炭化水素基を表わし、また、R1およびR2は水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは無置換のフェニル基を表わし、それぞれ同じでも異なっていてもよい。nは1もしくは2の整数を表わす。)
【0067】
【化21】
Figure 0003960581
(式中、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表わし、Aは
【0068】
【化22】
Figure 0003960581
(ただし、Ar’は置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を表わし、R1およびR2は置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基である。)を表わす。)
【0069】
【化23】
Figure 0003960581
(式中、Arは置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基を、Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基を表わす。nは0または1、mは1または2であって、n=0、m=1の場合、ArとRは共同で環を形成してもよい。)
【0070】
一般式(化1)で表わされる化合物には、例えば、9−エチルカルバゾール−3−アルデヒド−1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−アルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−アルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾンなどがある。
また、一般式(化2)で表わされる化合物には、例えば、4−ジエチルアミノスチリル−β−アルデヒド−1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、4−メトキシナフタレン−1−アルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾンなどがある。
一般式(化3)で表わされる化合物には、例えば、4−メトキシベンズアルデヒド−1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−メトキシベンズアルデヒド−1−(4−メトキシ)フェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジベンジルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾンなどがある。
また、一般式(化4)で表わされる化合物には、例えば、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−トリフェニルメタンなどがある。
一般式(化5)で表わされる化合物には、例えば、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、9−ブロム−10−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどがある。
また、一般式(化6)で表わされる化合物には、例えば、9−(4−ジメチルアミノベンジリデン)フルオレン、3−(9−フルオレニリデン)−9−エチルカルバゾールなどがある。
また、一般式(化9)で表わされる化合物には、例えば、1,2−ビス(4−ジエチルアミノスチリル)ベンゼン、1,2−ビス(2、4−ジメトキシスチリル)ベンゼンなどがある。
【0071】
一般式(化10)で表わされる化合物には、例えば、3−スチリル−9−エチルカルバゾール、3−(4−メトキシスチリル)−9−エチルカルバゾールなどがある。
一般式(化11)で表わされる化合物には、例えば、4−ジフェニルアミノスチルベン、4−ジベンジルアミノスチルベン、4−ジトリルアミノスチルベン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレン、1−(4−ジエチルアミノスチリル)ナフタレンなどがある。
一般式(化12)で表わされる化合物には、例えば、4’−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−α−フェニルスチルベンなどがある。
一般式(化15)で表わされる化合物には、例えば、1−フェニル−3−(4−ジエチルアミノスチリル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリンなどがある。
【0072】
一般式(化16)で表わされる化合物には、例えば、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどがある。
一般式(化17)で表わされる化合物には、例えば、2−N,N−ジフェニルアミノ−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジエチルアミノフェニル)−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾールなどがある。
一般式(化18)で表わされるベンジジン化合物には、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどがある。
また、一般式(化19)で表わされるビフェニリルアミン化合物には、例えば、4’−メトキシ−N,N−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メチル−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メトキシ−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミンなどがある。
【0073】
また、一般式(化20)で表わされるトリアリールアミン化合物には、例えば、1−ジフェニルアミノピレン、1−ジ(p−トリルアミノ)ピレン、N,N−ジ(p−トリル)−1−ナフチルアミン、N,N−ジ(p−トリル)−1−フェナントリルアミン、9,9−ジメチル−2−(ジ−p−トリルアミノ)フルオレン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(3−メチルフェニル)−m−フェニレンジアミンなどがある。
また、一般式(化21)で表わされるジオレフィン芳香族化合物には、例えば、1,4−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ベンゼン、1,4−ビス[4−ジ(p−トリル)アミノスチリル]ベンゼンなどがある。
また、一般式(化23)で表わされるスチリルピレン化合物には、例えば、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ピレン、1−[4−ジ(p−トリル)アミノスチリル]ピレンなどがある。
【0074】
また、高分子型正孔輸送材料としては例えば、ポリ−N−カルバゾール誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、アセトフェノン誘導体(特開平7−325409号公報に記載)、ジスチリルベンゼン誘導体、ジフェネチルベンゼン誘導体(特開平9−127713号公報に記載)、α−フェニルスチルベン誘導体(特開平9−297419号公報に記載)、ブタジエン誘導体(特開平9−80783号公報に記載)、水素化ブタジエン(特開平9−80784号公報に記載)、ジフェニルシクロヘキサン誘導体(特開平9−80772号公報に記載)、ジスチリルトリフェニルアミン誘導体(特開平9−222740号公報に記載)、ジフェニルジスチリルベンゼン誘導体(特開平9−265197号公報、特開平9−265201号公報に記載)、スチルベン誘導体(特開平9−211877号公報に記載)、m−フェニレンジアミン誘導体(特開平9−304956号公報、特開平9−304957号公報に記載)、レゾルシン誘導体(特開平9−329907号公報に記載)、トリアリールアミン誘導体(特開昭64−9964号公報、特開平7−199503号公報、特開平8−176293号公報、特開平8−208820号公報、特開平8−253568号公報、特開平8−269446号公報、特開平3−221522号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−183719号公報、特開平4−124163号公報、特開平4−320420号公報、特開平4−316543号公報、特開平5−310904号公報、特開平7−56374号公報、特開平8−62864号公報、米国特許第5,428,090号明細書、米国特許5,486,439号明細書)などが挙げられる。
【0075】
電荷輸送物質のうち、電子輸送物質としては従来公知の電子輸送材料が使用される。例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−インデノ4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどを挙げることができ、さらに下記式(化31)、(化32)、(化33)に挙げる電子輸送材料を好適に使用することができる。これらの電荷輸送材料は単独または2種類以上混合して用いられる。
【0076】
【化24】
Figure 0003960581
【0077】
【化25】
Figure 0003960581
【0078】
【化26】
Figure 0003960581
電荷輸送材料の量は本件樹脂1重量部に対し、0〜3重量部、好ましくは0〜1.5重量部が適当である。
電荷輸送層の塗工方法としては、浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。電荷輸送層4及び5の膜厚は5〜30μm程度とすることが好ましい。また、電荷輸送層6の膜厚は0.5〜10μmで好ましくは0.5〜5μmである。
【0079】
本発明において、電荷輸送層は可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、本件樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は本件樹脂に対して、0〜2重量%が適当である。
【0080】
電荷発生材料としては、例えばセレン、セレン−テルル、硫化カドミウム、硫化カドミウム−セレン、α−シリコンなどの無機材料、有機材料としては例えばシーアイピグメントブルー25(カラーインデックスCI21180)、シーアイピグメントレッド41(CI21200)、シーアイアシッドレッド52(CI45100)、シーアイベーシックレッド3(CI45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報に記載)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報に記載)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報に記載)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報に記載)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報に記載)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報に記載)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報に記載)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報に記載)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報に記載)などのアゾ顔料、例えばシーアイピグメントブルー16(CI74100)などのフタロシアニン系顔料、例えばシーアイバットブラウン5(CI73410)、シーアイバットダイ(CI73030)などのインジゴ系顔料、アルゴスカーレットB(バイエル社製)、インダンスレンスカーレットR(バイエル社製)などのペリレン系顔料などが挙げられる。なお、これらの電荷発生材料は単独で用いられても2種以上が併用されてもよい。
【0081】
電荷発生層は、電荷発生材料と適当な溶媒に、必要に応じてバインダー樹脂を加え溶解もしくは分散し、塗布して乾燥させることにより設けることができる。バインダー樹脂としては、本件樹脂以外にも絶縁性がよい、従来から知られているバインダー樹脂であれば何でも使用でき特に限定はない。従来公知のバインダー樹脂としては例えば、ポリエチレン、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、フェノキシ樹脂、ポリプロピレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド樹脂、シリコン樹脂、メラミン樹脂等の付加重合型樹脂、重付加型樹脂、重縮合型樹脂、ならびにこれらの樹脂の繰り返し単位のうち2つ以上を含む共重合体樹脂、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂等の絶縁性樹脂のほか、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらのバインダーは単独または2種類以上の混合物として用いることができる。バインダー樹脂の量は、電荷発生材料1重量部に対し0〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部が適当である。
【0082】
電荷発生層の分散液或いは溶液を調整する際に使用する溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、モノクロルベンゼン、1,2−ジクロルエタン、1,1,1−トリクロルエタン、ジクロルメタン、1,1,2−トリクロルエタン、トリクロルエチレン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジオキサン等を挙げることができる。
【0083】
電荷発生層用分散液の分散方法としては、例えば、ボールミル、超音波、ホモミキサー等が挙げられ、また塗布手段としては、ディッピング塗工法、ブレード塗工法、スプレー塗工法等が挙げられる。
【0084】
電荷発生材料を分散し、感光層を形成する場合、層中への分散性をよくするために、その電荷発生材料は2μm以下、好ましくは1μm以下の平均粒径のものが好ましい。ただし、上記の粒径があまりに小さいとかえって凝集しやすく、層の抵抗が上昇したり、結晶欠陥が増えて感度及び繰り返し特性が低下したり、或いは微細化する上で限界があるから、平均粒径の下限を0.01μmとするのが好ましい。電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
さらに、上記感光層中には、帯電性の向上等を目的に、フェノール化合物、ハイドロキノン化合物、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、ヒンダードアミンとヒンダードフェノールが、同一分子中に存在する化合物などを添加することができる。
【0085】
本発明の感光体製造において導電性支持体には、以下のものが使用することができる。すなわち体積抵抗1010Ω以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、また酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を蒸着またはスパッタリングによりフィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙等に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研磨などで表面処理した管などが挙げられる。
【0086】
導電性支持体上に中間層を設けることができる。中間層は導電性支持体と感光層との接着性を向上する、モワレなどを防止する、上層の塗工性を改良する、残留電位を低減するなどの目的で設けられる。
【0087】
中間層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤でもって塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、モアレ防止、抵抗値の最適化等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの中間層は、適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。
【0088】
この他に、本発明の中間層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物や、SiO,SnO2,TiO2,ITO,CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。中間層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0089】
本発明は次に、上記の電子写真感光体を用い、帯電、像露光及び転写を行なうことを特徴とする電子写真方法を提供する。そしてまた、上記の電子写真感光体を有すると共に、帯電手段、像露光手段及び転写手段を備えたことを特徴とする電子写真装置を提供する。さらに、上記の電子写真感光体と帯電手段、像露光手段、現像手段、転写手段及びクリーニング手段から選ばれた少なくとも一つの手段とを一体的に形成し、電子写真装置本体に着脱自在としたことを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジを提供する。
図面に基づいて、この電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジについて説明する。
【0090】
図5は、本発明の電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジの概略図である。感光体(11)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電チャージャ(13)、転写前チャージャ(17)、転写チャージャ(20)、分離チャージャ(21)、クリーニング前チャージャ(23)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
【0091】
画像露光部(15)には400〜450nmの範囲に発振波長を有するLDもしくはLEDが用いられる。また、除電ランプ(12)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、LED、LD、エレクトロルミネッセンス素子(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。このとき像露光部、書込光源のビーム系は1200〜2400dpi相当の高解像度を達成するために10〜30μmであることが好ましい。かかる光源等は、図5に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
【0092】
現像ユニット(16)により感光体(11)上に現像されたトナーは、転写紙(19)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(11)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(24)およびブレード(25)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
【0093】
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0094】
図6は、本発明の他の電子写真装置の概略図である。感光体(31)は本発明の感光体であり、駆動ローラ(32a),(32b)により駆動され、帯電器(33)による帯電、光源(34)による像露光、現像(図示せず)、帯電器(35)を用いる転写、光源(36)によるクリーニング前露光、ブラシ(37)によるクリーニング、光源(38)による除電が繰返し行なわれる。図6においては、感光体(21)(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0095】
上記に図示した電子写真方法及び電子写真装置は、本発明における実施様態を例示したものであって、他の実施様態も可能である。例えば、図6においては、支持体側よりクリーニング前露光を行なっているが、これは感光層側から行なってもよく、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。
また、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0096】
このようにして行なう画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態によりそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置であり、また部品である。プロセスカートリッジの形状等については数多く挙げられるが、ここでは、図7にその1例を示す。このプロセスカートリッジは、本発明の電子写真感光体(26)、帯電チャージャ(27)、クリーニングブラシ(28)、画像露光部(29)、現像ローラ(30)からなるものである。
【0097】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。なお、下記実施例において部とあるのはすべて重量部である。
参考例1)
オイルフリーアルキッド樹脂(大日本インキ化学製:ベッコライトM6401)1.5部、メラミン樹脂(大日本インキ化学製:スーパーベッカミンG−821)1部、二酸化チタン〔石原産業(株)製:タイペークCR−EL〕〕5部、2−ブタノン 22.5部の混合物をボールミルポットに取り、φ10mmのアルミナボールを使用し、48時間ボールミリングして中間層塗工液を調製した。この塗工液をアルミニウム・シリンダー上に塗工し、厚さ約4μmの中間層を形成した。
【0098】
次に、Y型オキソチタニウムフタロシアニン顔料粉末0.5部、ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製:PCX−5)0.9部及びテトラヒドロフラン8.1部の混合物をボールミリングした後、顔料組成として2重量%、ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製:PCX−5)が50重量%、電荷輸送材料としての下記構造式(a)で示されるアミノビフェニル化合物が28重量%、酸化防止剤としての2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ルが電荷輸送材料に対して1重量%となるように電荷輸送材料、酸化防止剤及び10重量%のポリカーボネート樹脂溶液を加え、十分に撹拌し感光層塗工液を調整した。この塗工液を塗工後、乾燥後の膜厚が15μmになるよう感光層を形成し、単層型電子写真感光体ドラムを作成した。
【0099】
【化27】
Figure 0003960581
【0100】
参考例2)
参考例1と同様にアルミニウム・シリンダー上に中間層を形成した。次に、下記構造式(b)で示されるビスアゾ化合物7.5部およびポリエステル樹脂[(株)東洋紡績製バイロン200]2.5部の0.5%テトラヒドロフラン溶液500部をボールミル中で粉砕混合し、得られた分散液を前記中間層上に塗工し、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送材料として前記構造式(a)で示されるアミノビフェニル化合物7部、酸化防止剤としてレゾルシノールモノベンゾエート0.07部とポリアリレート樹脂(ユニチカ社製:U−6000)10部をテトラヒドロフランに溶解し、この電荷輸送層塗工液を前記電荷発生層上に塗工し、膜厚24μmの電荷輸送層を形成し感光体ドラムを作成した。
【0101】
【化28】
Figure 0003960581
【0102】
参考例3)
参考例2と同様にアルミニウム・シリンダー上に中間層、電荷発生層を順次形成した。次に、電荷輸送材料として下記構造式(c)で示される電荷輸送材料7部とポリカーボネート樹脂[(株)帝人製パンライトC−1400]10部をテトラヒドロフランに溶解し、この第一電荷輸送層塗工液を前記電荷発生層上に塗工し、膜厚約20μmの第一電荷輸送層を形成した。
次に、下記構造式(c)で示される電荷輸送材料3部、酸化防止剤としての2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン0.03部、ポリカーボネート樹脂[(株)帝人製パンライトC−1400]5部、THF40部及びシクロヘキサノン140部の第二電荷輸送層塗工液を第一電荷輸送層上に塗工し、厚さ約5μmの第二電荷輸送層を形成し感光体ドラムを作成した。
【0103】
【化29】
Figure 0003960581
【0104】
(実施例
参考例3と同様にアルミニウム・シリンダー上に中間層、電荷発生層、第一電荷輸送層を順次形成した。次に、下記構造式(d)で示される電荷輸送材料3部、酸化防止剤としてのジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト0.03部、ポリスチレン樹脂(三洋化成工業製:SBM−700)5部、フィラーとして酸化チタン微粒子(石原産業社製CR97)2部、THF40部及びシクロヘキサノン140部の第二電荷輸送層塗工液を第一電荷輸送層上に塗工し、厚さ約5μmの第二電荷輸送層を形成し感光体ドラムを作成した。
【0105】
【化30】
Figure 0003960581
【0106】
(実施例
参考例1と同様にアルミニウム・シリンダー上に中間層を形成した。次に、Y型オキソチタニウムフタロシアニン1.5部およびポリエステル樹脂[(株)東洋紡績製バイロン200]1部の0.5%ジクロロメタン溶液500部をボールミル中で粉砕混合し、得られた分散液を前記中間層上に塗工し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送材料として前記構造式(d)で示されるアミノビフェニル化合物7部とポリカーボネート樹脂(帝人化成社製:PCX−5)10部をテトラヒドロフランに溶解し、この第一電荷輸送層塗工液を前記電荷発生層上に塗工し、厚さ約20μmの第一電荷輸送層を形成した。
次に前記構造式(d)で示される電荷輸送材料3部、酸化防止剤としてのN−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン0.03部、ポリカーボネート樹脂5部(帝人化成社製:PCX−5)、フィラーとして酸化チタン微粒子(石原産業社製CR97)2部、THF40部及びシクロヘキサノン140部の第二電荷輸送層塗工液を第一電荷輸送層上に塗工し、厚さ約5μmの第二電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを作成した。
【0107】
(参考例4)
参考例1と同様にアルミニウム・シリンダー上に中間層を形成した。次に、電荷輸送材料として前記構造式(d)で示されるアミノビフェニル化合物10部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル0.01部、ポリカーボネート樹脂[(株)帝人製パンライトC−1400]10部をテトラヒドロフランに溶解し、この電荷輸送層塗工液を前記中間層上に塗工し、厚さ20μmの電荷輸送層を形成した。
次に、前記構造式(b)で示されるビスアゾ化合物7.5部およびフェノキシ樹脂[ユニオンカーバイト社製PKHH]5.0部の1.5%メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(4/1)溶液833部をボールミル中で粉砕混合し、得られた分散液を前記電荷輸送層上に塗工し、厚さ0.3μmの電荷発生層を形成した。
次いで、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル0.01部、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂((株)帝人製パンライトTS−2050)6部とシリカ微粒子[(株)信越化学社製KMPX100]2部をテトラヒドロフランに溶解させ、電荷発生層上に塗工し、厚さ3μmの層を形成した。
【0108】
(参考例5)
参考例2で使用した酸化防止剤を、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル0.03部とジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト0.04部、ポリアリレート樹脂をポリカーボネート樹脂(帝人化成社製:PCX−5)に代えた以外は、全て参考例2と同様にして電子写真感光体ドラムを作製した。
【0109】
(参考例6)
電荷輸送層用塗工液を酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル0.03部とN−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン0.04部、下記構造式(e)で示される高分子型電荷輸送材料17部をテトラヒドロフラン100部に溶解したものに代えた以外は、全て参考例2と同様にして電子写真感光体ドラムを作製した。
【0110】
【化31】
Figure 0003960581
【0111】
(実施例
実施例で使用した酸化防止剤を、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル0.01部とジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト0.02部、ポリカーボネート樹脂を(株)帝人製パンライトC−1400に代えた以外は、全て実施例と同様にして電子写真感光体ドラムを作製した。
【0112】
(実施例
実施例で使用した酸化防止剤を、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン0.01部とジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト0.02部、ポリカーボネート樹脂をポリアリレート樹脂(ユニチカ社製:U−6000)に代えた以外は、全て実施例と同様にして電子写真感光体ドラムを作製した。
【0113】
(比較例1〜10)
参考例1〜6、実施例1〜4中の酸化防止剤を、全く添加しない塗工液を作製し、各々参考例1〜6、実施例1〜4と対応する比較例1〜10の感光体ドラムを作製した。
【0114】
上記参考例1〜6、実施例1〜4、および比較例1〜10で作製した電子写真感光体ドラムを図5に示した電子写真プロセスに装着し(ただし、画像露光光源を405nmに発光を持つLDとしたポリゴン・ミラーによる画像書き込み)、また、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して五千枚の印刷を行ない、そのときの画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と五千枚後に測定した。結果を表1に示す。
【0115】
【表1】
Figure 0003960581
表1から明らかなように、本発明の参考例1〜6、実施例1〜4の感光体は、どのような層構成であっても、酸化防止剤の含有しない対応する比較例1〜10の感光体に比べ、繰り返し使用においても電位変動のない電子写真感光体であることがわかる
【0116】
参考例1〜6、実施例1〜4の電子写真感光体、帯電手段として帯電ローラ、像露光手段として光源に発振波長405nmの半導体レーザを搭載し、ビーム系をアパーチャーで調節できる光学系、現像手段として2成分の現像ユニット及びパターンジェネレーターを取り付けた作像実験機により、30μmのビーム系で得られる孤立ドットを感光体上に形成させ、それを接着テープに転写させ、CCDカメラにより読み取り、画像解析した。感光体の初期帯電電位は600Vで行ない、トナーは平均粒径6μm磁性トナーを使用した。孤立ドットの形状、再現性を目視により評価したところ、参考例1〜6、実施例1〜4いずれの感光体においてもドットがコントラストよく形成、再現された。
また、参考例2の電荷輸送層塗工液を用いてポリエステルフィルム上に、同様に操作して電荷輸送層膜のみを形成した。ポリエステルフィルム上から電荷輸送層膜を剥離し、得られた電荷輸送層膜の透過スペクトルを分光光度計にて測定し、波長435nmでの透過率(%)を前記式(2)より求めたところ83%であった。
【0117】
参考例7、8、9及び比較例11)
導電性支持体をアルミニウムシリンダーから電鋳ニッケル・ベルトに変えて、この上に参考例2で用いた中間層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、参考例2と同様の積層感光体を作製した(参考例7の感光体)。また感光層塗工液を実施例もしくは、比較例2のものに代えた以外は、実施例と同様に操作して、それぞれ実施例8、9および比較例11の感光体を作製した。
このようにして作製した電子写真感光体ベルトを、図6に示す電子写真プロセス(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、画像露光光源を450nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して八千枚の印刷を行ない、そのときの画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と八千枚後に測定した。結果を表2に示す。
【0118】
【表2】
Figure 0003960581
【0119】
(実施例5、6、7及び比較例12、13、14)
アルミニウムシリンダー表面を陽極酸化処理した後封孔処理を行なった。この上に実施例で用いた中間層塗工液、電荷発生層塗工液、第一電荷輸送層塗工液、及び第二電荷輸送層塗工液を、順次塗布、乾燥し、実施例と同様の積層感光体ドラムを作製した(実施例の感光体)。また、感光層塗工液を実施例もしくは、比較例12のものに代えた以外は、実施例と同様に操作して、それぞれ実施例6、7および比較例12の感光体を作製した。
【0120】
このようにしてなる電子写真感光体を、図7に示す電子写真用プロセスカートリッジに装着した後、画像形成装置に搭載した。ただし、画像露光光源を発振波長435nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して一万枚の印刷を行ない、そのときの画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と一万枚後に測定した。結果を表3に示す。
【0121】
また、上記装置の画像露光光源部を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)に交換して、実施例及び比較例12の感光体を用い、同様に連続して一万枚の印刷を行ない、そのときの画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と一万枚後に測定した(比較例13及び14)。結果を併せて表3に示す。
【0122】
【表3】
Figure 0003960581
【0123】
表2及び表3から本発明の感光体は、酸化防止剤の含有しない比較例の感光体に比べ、繰り返し使用においても電位変動のない電子写真感光体であることがわかる。さらに、表3から本発明の電子写真感光体は、400〜450nmの範囲に発振波長を有するLD,LED書込光源を用いた場合と、780nmの半導体レ−ザ−を書込光源に用いた場合とを比較したときに、前者の方がより酸化防止剤の効果が大きいことがわかる。そして、本発明の電子写真感光体を用いた電子写真方法、電子写真感光体を有する電子写真装置及びこの電子写真装置に用いるプロセスカートリッジが提供される。
【0124】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、青色半導体レーザーもしくは発光ダイオードの発振波長領域においても高解像度であり、優れた画質を維持し、繰り返し使用しても電位変動のない、また機械的、化学的耐久性に優れた電子写真感光体、この電子写真感光体を用いた電子写真方法、この電子写真感光体を有する電子写真装置およびこの電子写真装置に用いられるプロセスカートリッジが提供される。そして本発明は電子写真プリンター、電子写真複写機等の電子写真プロセスに使用される機械、機器等の設計、製作分野において多大の寄与をなすという極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の断面を概略的に示した図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の断面を概略的に示した別の図である。
【図3】本発明の電子写真感光体の断面を概略的に示した更に別の図である。
【図4】電荷輸送層膜の透過スペクトルの模式図を示した図である。
【図5】本発明の電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジの概略図である。
【図6】本発明の他の電子写真装置の概略図である。
【図7】本発明のプロセスカートリッジを示す別の図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体
2 感光層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 電荷輸送層
6 電荷輸送層
11 感光体
12 除電ランプ
13 帯電チャージャ
14 イレーサ
15 画像露光部
16 現像ユニット
17 転写前チャージャ
18 レジストローラ
19 転写紙
20 転写チャージャ
21 分離チャージャ
22 分離爪
23 クリーニングチャージャ
24 ファーブラシ
26 感光体
27 帯電チャージャ
28 クリーニングブラシ
29 画像露光部
30 現像ローラ
31 感光体
32a 駆動ローラ
32b 駆動ローラ
33 帯電チャージャ
34 像露光源
35 転写チャージャ
36 クリーニング前露光
37 クリーニングブラシ
38 除電光源

Claims (3)

  1. 導電性支持体上に直接または中間層を介して電荷発生層、電荷輸送層を設けた電子写真感光体であって、該電荷輸送層が、少なくとも電荷輸送材料からなる層の上に、酸化防止剤、フィラー及び390〜460nm波長領域の単色光を透過するバインダー樹脂からなる層を順次設けた積層で構成され、該電荷輸送材料が下記式(d)で表されるものであり、
    Figure 0003960581
    該酸化防止剤がジステアリル−3,3’−チオジプロミオネート、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、2,6―ジ−t−ブチル−p−クレゾールまたは2,6―ジ−t−オクチル−p−クレゾールであり、フィラーが酸化チタンである電子写真感光体を用いて、帯電、像露光、現像及び転写を行なう電子写真方法において、像露光手段における書込光源の波長が、400〜450nmの範囲に発振波長を有する半導体レーザー、もしくは発光ダイオードであることを特徴とする、電子写真方法。
  2. 導電性支持体上に直接または中間層を介して電荷発生層、電荷輸送層を設けた電子写真感光体であって、該電荷輸送層が、少なくとも電荷輸送材料からなる層の上に、酸化防止剤、フィラー及び390〜460nm波長領域の単色光を透過するバインダー樹脂からなる層を順次設けた積層で構成され、該電荷輸送材料が下記式(d)で表されるものであり、
    Figure 0003960581
    該酸化防止剤がジステアリル−3,3’−チオジプロミオネート、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、2,6―ジ−t−ブチル−p−クレゾールまたは2,6―ジ−t−オクチル−p−クレゾールであり、フィラーが酸化チタンである電子写真感光体を有するとともに、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を備え、該像露光手段における書込光源の波長が、400〜450nmの範囲に発振波長を有する半導体レーザー、もしくは発光ダイオードであることを特徴とする、電子写真装置。
  3. 導電性支持体上に直接または中間層を介して電荷発生層、電荷輸送層を設けた電子写真感光体であって、該電荷輸送層が、少なくとも電荷輸送材料からなる層の上に、酸化防止剤、フィラー及び390〜460nm波長領域の単色光を透過するバインダー樹脂からなる層を順次設けた積層で構成され、該電荷輸送材料が下記式(d)で表されるものであり、
    Figure 0003960581
    該酸化防止剤がジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、2,6―ジ−t−ブチル−p−クレゾールまたは2,6―ジ−t−オクチル−p−クレゾールであり、フィラーが酸化チタンである電子写真感光体と、像露光手段とともに、帯電手段、現像手段及び転写手段から選ばれた少なくとも一つの手段とを一体的に形成し、電子写真装置本体に着脱自在としたことを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジであって、像露光手段における書込光源の波長が400〜450nmの範囲に発振波長を有する半導体レーザーもしくは発光ダイオードをソナタであることを特徴とする、電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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