JP2015078350A - ポリアリレート樹脂、及びそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents
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- 0 Cc(cc(*c(cc1)ccc1O)cc1)c1O Chemical compound Cc(cc(*c(cc1)ccc1O)cc1)c1O 0.000 description 1
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Abstract
Description
真感光体を得られることが記載されているが、繰り返し使用における電気特性の劣化する場合がある。
本発明は、電気特性及び溶解性に優れたポリアリレートを提供することが目的であり、さらに、該ポリアリレート樹脂を電子写真感光体のバインダー樹脂として用いた場合の繰り返し使用時の性能を安定化し、転写メモリーを改善することを目的とする。
ガスクロマトグラフで検出される式(4)で表されるビスフェノール残基量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール残基合計量に対して、強度比で10ppm以下であることを特徴とするポリアリレート樹脂である。
請求項2に係る発明は、水素炎イオン化型検出器(FID)を用いたガスクロマトグラフ
で検出される前記式(3)で表されるビスフェノール残基量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール残基合計量に対して、強度比で0.2%以上、1%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレート樹脂である。
請求項4に係る発明は、前記原料モノマーのビスフェノール純度が99%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアリレート樹脂である。
フで検出される式(4)で表されるビスフェノールの含有量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール合計量に対して、強度比で10ppm以下であることを特徴とするポリアリレート樹脂である。
請求項6に係る発明は、前記原料モノマー中における水素炎イオン化型検出器(FID)
を用いたガスクロマトグラフで検出される式(3)で表されるビスフェノールの含有量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール合計量に対して、強度比で0.3%以上、1%以下であることを特徴とする、請求項5に記載のポリアリレート樹脂である。
請求項8に係る発明は、前記感光層が電荷輸送層と電荷発生層とを積層してなることを特徴とする、請求項7に記載の電子写真感光体である。
請求項11に係る発明は、電子写真プロセスにおいて、前記感光体上に現像されたトナーが、中間転写体を介さずに印刷媒体に直接転写されることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置である。
請求項13に係る発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の前記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂の製造方法であって、前記式(2)で表されるビスフェノールを含むビスフェノール成分と、2価カルボン酸成分とを重合することを特徴とする、ポリアリレート樹脂の製造方法である。
≪1.ポリアリレート樹脂≫
本発明のポリアリレート樹脂は、式(1)で表される繰り返し構造を有しており、式(2)で表されるビスフェノールを含む原料モノマーを重合させて得られることを特徴とする。
本発明のポリアリレート樹脂は、上記式(1)で表される繰り返し構造をその分子構造中に含んでいればよく、例えば上記式(1)で表される繰り返し構造のみを有するものであってもよいし、また例えば上記式(1)で表される繰り返し構造と、式(1)で表される繰り返し構造以外の繰り返し構造とを有する共重合体であってもよい。
、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4´−ビフェノール、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェノール
、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ビフェノール、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルが好ましい。
また、本発明のポリアリレート樹脂中は、ポリアリレート樹脂を加水分解後、下記式(4)で表されるビスフェノールのガスクロマトグラフを用いて測定したとき水素炎イオン化型検出器(FID)で検出される強度比における含有量が、式(2)、式(3)、式(4)で表されるビスフェノール合計量に対して、10ppm以下が好ましく、より好ましくは8ppm以下、更に好ましくは5ppm以下であり、検出されないことが特に好ましい。式(4)で表されるビスフェノールの量は、遊離のビスフェノール及び繰り返し構造中に結合しているビスフェノールの和である。ポリアリレート樹脂中に、式(4)のビスフェノールが少ないことにより、カルボン酸クロライド末端などの末端基を制御することが可能となる上、単純にフェノール成分が減少することにより電荷の蓄積を抑制することで、繰り返し転写メモリーが良好であると考えられる。
トリウムエトキシドなどの塩基を用い、酸性条件では、塩酸、硫酸などの酸を用いる。加水分解の反応温度は、20℃〜100℃で行うことが好ましく、より好ましくは30℃〜70℃である。反応温度が低いと加水分解の速度が遅く、十分にモノマーへと分解することができず、一方、反応温度が高すぎる場合はビスフェノールの分解が起きてしまう可能性がある。加水分解反応の終了は、GPC又はNMRで確認できる。
また、本発明のポリアリレート樹脂は、ポリアリレート樹脂を加水分解後、ガスクロマトグラフを用いて測定したとき水素炎イオン化型検出器(FID)で検出される下記式(3)で表される強度比におけるビスフェノール残基量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール残基合計量に対して1%以下であり、繰り返し使用時の電気特性の観点から、好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下である。また、通常0.2%以上であり、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.4%以上である。尚、この場合のビスフェノール残基量は、遊離のビスフェノール及び繰り返し構造中に結合しているビスフェノールの和である。
≪2.ポリアリレート樹脂の製造方法≫
本発明のポリアリレート樹脂を製造する方法としては、後述する式(2)で表されるビスフェノールを含有する原料モノマーを重合させることが可能な方法であれば、特に制限はなく、公知のポリアリレートの重合方法を適用し製造することができる。ポリアリレート樹脂の重合方法としては、例えば、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法等を用いることができる。ここでポリアリレート樹脂の製造法の一例を説明する。
解した溶液と、芳香族ジカルボン酸クロライド化合物を溶解したハロゲン化炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。重合温度は0℃〜40℃の範囲、重合時間は2時間〜20時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相とを分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂が得られる。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
た後、静置分離、遠心分離等により分液する方法が挙げられる。
また他の精製方法としては、例えば、生成したポリアリレート樹脂の溶液を、ポリアリレート樹脂が不溶の溶媒中に析出させる方法、ポリアリレート樹脂の溶液を温水中に分散させ溶媒を留去する方法、又はポリアリレート樹脂溶液を吸着カラム等に流通させる方法等により精製してもよい。
乾燥時間は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うことが好ましく、具体的には、残存溶媒が通常1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になる時間以上乾燥する。
本発明のポリアリレート樹脂の製造には、式(2)で表される構造のビスフェノールを含有する原料モノマーが用いられる。
式(2)で表されるビスフェノールの具体的構造を以下に例示する。
また特に電気特性の観点から、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが好ましい。
ここで、本発明において、原料モノマー中における、下記式(4)で表されるビスフェノールの含有量は、10ppm以下であり、好ましくは5ppm以下、より好ましくは1ppm以下である。下記式(4)で表されるビスフェノールの含有量が10ppmを超えて存在する場合には、原料モノマーを重合させて製造したポリアリレートの電気特性や重合制御性が悪化する。式(4)で表されるビスフェノールは式(2)で表されるビスフェノールよりもオルト位のメチル基が多いことから、重合時における反応性が低いため、重合反応性を制御することが難しくなり重合再現性が困難になるものと考えられる。また、製造されるポリアリレートにおいて末端基を制御することが困難であるため、電気特性が悪化するものと考えられる。原料モノマー中における、下記式(4)で表されるビスフェノールの含有量は、ガスクロマトグラフにより測定できる。
式(4)で表されるビスフェノールの具体的構造を以下に例示する。
前記式(3)で表されるビスフェノールは、特に式(3a)で表されるビスフェノールで表される。
式(3)で表されるビスフェノールの具体的構造を以下に例示する。
)プロパン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが挙げられる。 また特に、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが好ましい。
本発明においては、原料モノマー中のこれらの不純物の中でも、フェノールに由来する副生成物の量を制御することで、ポリアリレート樹脂としたときの特性が優れたものとなる。なお、フェノールに由来する副生成物(上記式(3)、上記式(4)で表されるビスフェノール)の量は、上記式(2)で表されるビスフェノールの製造に用いられるオルト−クレゾールの製造(精製)法の制御や精製したオルト−クレゾールに適量のフェノールを添加する方法などで制御できる。
本発明のポリアリレート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、通常5,000以上であり、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上である。また、通常200,000以下であり、好ましくは150,000以下であり、更に好ましくは100,000以下である。粘度平均分子量(Mv)が5,000未満であると機械的強度が不十分で実用的でない場合があり、200,000を超えると塗布液とした場合、適当な膜厚に塗布することが困難となる場合がある。
本発明におけるポリアリレート樹脂の末端に存在するOH基量は、通常50.0μ当量/g以下、好ましくは25.0μ当量/g以下、更に好ましくは5.0μ当量/gである。末端OH基量が上記範囲を超えると、ポリアリレート樹脂を電子写真感光体とした際の電気特性が悪化する傾向がある。
光体とした際の電気特性が悪化する傾向がある。
本発明のポリアリレート樹脂は、電子写真感光体用塗布液に好適に用いられる。この電子写真感光体用塗布液は、通常、電子写真感光体における感光層の形成に用いられ、特に感光層が積層型感光層である場合における電荷輸送層の形成に用いられることが好ましい。
本実施の形態が適用される電子写真感光体は、導電性支持体上に設けた感光層を有し、感光層が、上述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂を含有するものである。感光層の具体的な構成としては、例えば、導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層とを積層した積層型感光体;導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させた感光層を有する分散型(単層型)感光体等が挙げられる。上述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂は、通常、電荷輸送物質を含有する層に用いられ、好ましくは積層型感光体の電荷輸送層に用いられる。
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、又は樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもかまわない。下引き層が複数層からなる場合、導電性支持体上に、導電層(干渉縞防止層)及び中間層からなる構成とすることもできる。
れらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、レゾール型フェノール樹脂、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いても良い。
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
[電荷発生層]
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
ロキシガリウムフタロシアニン、D型(Y型)チタニルフタロシアニンが良好な感度を示すため特に好ましい。
晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下するおそれがある一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招くおそれがある。
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
上記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂は、電荷輸送層のバインダー樹脂として用いられることが好ましい。前記バインダー樹脂は、本発明に用いられるポリアリレート樹脂とその他の構造を有する樹脂を混合してもよく、他の樹脂としては、前記感光層において混合される他の構造を有する樹脂に記載したものが挙げられる。
尚、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、レベリング剤等の添加剤を含有させても良い。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、
各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられる。
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させても良い。
保護層に用いるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。
さらに必要に応じて、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層など、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよいことはいうまでもない。
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なっても良い。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
レス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
実施例等に用いた、ビスフェノールを含む原料モノマーの純度、副生成物量は、以下の方法で測定をした。
原料モノマーの純度測定は各試料を1%アセトン溶液にしてガスクロマトグラフ測定により求めた。原料モノマー由来のピークの総面積における、各ピークの面積の占める割合を含有量とした。
カラム:DB−5(30mx0.25mmφ 0.25μm)
検出器:FID
また、副生成物を同定するためにGC/MSを測定した。
装置:Agilent 6890/5975
カラム:DB−1HT(15mx0.25mmφ 0.1μm)
検出器:MSD SCAN法(EI)
分析・解析結果を表−1に示す。
[実施例1](ポリアリレート樹脂(1)の製造法)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(6.20g)とH2O(235ml)を秤取
り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.36g)、原料モノマーBis−C(1){2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン}(16.18g)及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.168g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロート
よりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(196mL)を加え、撹拌を4時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(240mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(240mL)にて洗浄を2回行った。
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(5.01g)とH2O(235ml)を秤取
り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.346g)、原料モノマーBis−C(1)(13.02g)及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.136g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(196mL)を加え、撹拌を7時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(240mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(240mL)にて洗浄を2回行った。
実施例1の原料モノマーBis−C(1)(16.18g)を原料モノマーBis−C(1)(11.33g)および原料モノマーBis−C(2)(4.85g)の混合物に変更した以外は、同様の操作で合成を行い、ポリアリレート樹脂(3)を得た。得られたポリアリレート樹脂(3)の分析値を表2に示す。
実施例1の原料モノマーBis−C(1)を原料モノマーBis−C(2)に変更した以外は、同様の操作で合成を行い、ポリアリレート樹脂(4)を得た。得られたポリアリレート樹脂(4)の分析値を表−2に示す。
[比較例2](ポリアリレート樹脂(5)の製造法)
実施例2の原料モノマーBis−C(1)を原料モノマーBis−C(2)に変更した以外は、同様の操作で合成を行い、ポリアリレート樹脂(5)を得た。得られたポリアリレート樹脂(5)の分析値を表−2に示す。
実施例1の原料モノマーBis−C(1)を(16.18g)を原料モノマーBis−C(1)(4.85g)および原料モノマーBis−C(2)(11.33g)の混合物に変更した以外は、同様の操作で合成を行い、ポリアリレート樹脂(6)を得た。得られたポリアリレート樹脂(6)の分析値を表2−1、表2−2に示す。
得られた各ポリアリレート樹脂の粘度平均分子量、カルボン酸クロライド末端基量、OH末端基量及びカルボン酸末端基量は、下記の方法で測定した。
[粘度平均分子量(Mv)の測定]
ポリアリレート樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度
計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量(Mv)を算出した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
ポリアリレート約1.5gを精秤し、塩化メチレン20mLを加えて溶解した。これに4−(p−ニトロベンジル)ピリジンの1%塩化メチレン溶液2mLを加え、全量を25mLに調整した。30分間かけて発色させたのち、分光光度計((株)島津製作所製、UV−1200)を用い450nmの波長での吸光度を測定した。別に、ベンゾイルクロライドの塩化メチレン溶液を用い、吸光係数を求め、樹脂中のCF基量を定量した。
ポリアリレート約0.2gを精秤し、塩化メチレン10mLに溶解した。これに5%酢酸/塩化メチレン溶液を5mL加え、更に四塩化チタン溶液(*1)10mLを添加して発色させたのち、全液量を25mLに調整した。この溶液を分光光度計((株)島津製作所製、UV−1200)を用い480nmの波長の吸光度を測定した。(*1:塩化メチレン200mL、5%酢酸/塩化メチレン溶液22mL、塩化チタン5.5mLの混合溶液)。
別途、測定するポリアリレート樹脂と同組成のビスフェノール化合物(組成物)の塩化メチレン溶液を用いて吸光係数を求め、樹脂中のOH基量を定量した。
トールビーカーに約0.4gのポリアリレート樹脂を精秤し、ベンジルアルコール25mL加え、195℃のオイルバスにて加熱溶解させた。完全溶解を確認の上、オイルバスから取り出し溶液を冷却した。冷却後エチルアルコール2mLをトールビーカーの壁を伝わせ静かに入れた。この溶液を、自動滴定装置(GT100、三菱化学製)を用い、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で滴定した。別途、溶媒のベンジルアルコールのみを0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で滴定しブランク値を求めた。また、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液のファクターは、下記の方法で求めた。
(2)それぞれにベンジルアルコール25mL、エチルアルコール2mLを加える。
(3)自動滴定装置(GT100、三菱化学製)を用い、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で滴定した。
(4)計算:(1)の塩酸調整液量(X軸)に対するNaOHベンジルアルコール滴定液量(Y軸)をプロットし、その傾きをSとする。
0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液のファクターF=FHCL/S
・COOH基={(A−B)×F×10}/W(μ当量/g)
A:測定滴定量(mL)
B:ブランク滴定量(mL)
F:0.01N NaOHベンジルアルコール液のファクター
W:ポリアリレート樹脂量(g)
[ポリアリレートの加水分解およびビスフェノールの純度分析]
ポリアリレート約0.1gを秤量し、メタノール4.9gを添加した。これに28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液(和光純薬製)を0.1g加えた後、50℃で7時間撹拌し、加水分解反応を行った。続いて、室温に冷却した後に、酢酸を0.05〜0.1g添加し中和した。
装置:島津GC17A
カラム:DB−5(30mx0.25mmφ 0.25μm)
検出器:水素炎イオン化型検出器(FID)
[実施例4]
下引き層用分散液は以下のように作製した。平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールのボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層分散液とした。
さらに、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液βを、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.4μmになるように塗布し、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
続いて、上記の電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートを作製した。初期電気特性評価および繰り返し電気特性評価結果を表−3に示す。
上記式(7)で表される電荷輸送物質50質量部を下記式(8)で表される電荷輸送物質10質量部及び下記式(9)で表される電荷輸送物質80質量部に変えた以外は実施例4と同様にして、感光体シートを作製した。初期電気特性評価および繰り返し電気特性評価結果を表−3に示す。
ポリアリレート樹脂(1)をポリアリレート樹脂(4)に変えた以外は実施例4と同様にして、感光体シートを作製した。初期電気特性評価および繰り返し電気特性評価結果を表−3に示す。
[比較例5]
ポリアリレート樹脂(1)をポリアリレート樹脂(4)に変えた以外は実施例5と同様にして、感光体シートを作製した。初期電気特性評価および繰り返し電気特性評価結果を表−3に示す。
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体シートをアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm、除電は660nmの単色光を用い、露光光を0.92μJ/cm2照射した時点の表面電位(VL)を測定した。VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を139msとした。また、表面電位が初期表面電位の半分(−350V)となる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー:μJ/cm2)を感度(E1/2
)として測定した。VLの値の絶対値が小さいほど電気特性が良好であることを示し、E1/2の値が小さいほど高感度であることを示す。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%下(N/N)で行った。
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体シートを直径80mmのアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体シートのアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数60rpmで回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルを30000回繰り返し、前後の特性を評価した。その際、試験当初に感光体の初期表面電位が約−700Vになるように帯電(スコロトロン帯電器)条件を固定し、観測される表面電位(V0)の差(ΔV0)を測定した。ΔV0の絶対値が小さいほど繰り返し使用時の帯電性が良好であることを示す。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行なった。
上記の初期電気特性試験実施後、除電部を取り外し、代わりに+6.5kVを印加したコロトロンを、転写負荷をシミュレートするために設置した。この状態で帯電−露光−転写負荷のサイクルを4000回繰返した後、再度前記のVLを測定し、初期との差異ΔVLを求めた。測定環境は25℃,50%RHで行なった。ΔVLの絶対値が小さいほど、転写メモリーが良好であることを示す。
実施例4で作製した感光体シートを用いて、上記評価方法に従い転写メモリー評価を行った。結果を表−4に示す。
[比較例6]
比較例4で作製した感光体シートを用いて、上記評価方法に従い転写メモリー評価を行った。結果を表−4に示す。
ポリアリレート(1)をポリアリレート(2)に変えた以外は実施例6と同様にして、感光体シートを作製し、転写メモリー評価を行った。結果を表−5に示す。
[比較例7]
ポリアリレート(1)をポリアリレート(5)に変えた以外は実施例6と同様にして、感光体シートを作製し、転写メモリー評価を行った。結果を表−5に示す。
製造例1
1,3−ジイミノイソインドリン34.6gおよび三塩化ガリウム10gをジメチルスルホキシド200ml中に入れ、160℃において4時間反応させた。この反応液を室温まで冷却した後、5.0重量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液4.6gを加えた。この反応液をろ別し、得られた結晶をメタノール300ml、イオン交換水100mlで洗浄し、その後乾燥することによりクロロガリウムフタロシアニン21.2gを得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン2.0gを、ジメチルホルムアミド30ml、ガラスビーズ55gと共に、サンドグランドミルにて、30時間ミリング処理を実施した。ろ別後、メタノール100mlで二回洗浄し、乾燥してV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(A)1.9gを得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン(A)の粉末X線回折パターンを図2に示す。
窒素雰囲気下、o−フタロジニトリル32g、三塩化ガリウム10gをα−クロロナフタレン164g中に入れ、205℃において5時間反応させた。この反応液を150℃まで冷却し、ろ別し、得られた結晶をN−メチルピロリドン150ml、さらにメタノール150mlで洗浄し、その後乾燥することによりクロロガリウムフタロシアニン11.5gを得た。
得られたクロロガリウムフタロシアニンを製造例1と同様に濃硫酸処理およびミリング処理して、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(B)1.9gを得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン(B)の粉末X線回折パターンを図3に示す。
電荷発生層形成用塗布液は、電荷発生物質として前記製造例1により製造したヒドロキシガリウムフタロシアニン(A)20質量部と1,2−ジメトキシエタン280質量部とを混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10質量部を、1,2−ジメトキシエタンの255質量部と4−
メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85質量部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230質量部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液を調製した。
さらに、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるように塗布し、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
続いて、上記の電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートを作製した。
実施例8において、電荷発生物質を、製造例2で製造したヒドロキシガリウムフタロシアニン(B)に変更した以外は、実施例8と同様に感光体シートを作製した。
[比較例8]
実施例8において、ポリアリレート(1)を比較例1で製造したポリアリレート(4)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[比較例9]
実施例9において、ポリアリレート(1)を比較例1で製造したポリアリレート(4)に変えた以外は実施例2と同様にして、感光体シートを作製した。
実施例8において、ポリアリレート(1)を比較例3で製造したポリアリレート(6)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例10]
実施例8において、ポリアリレート(1)を実施例3で製造したポリアリレート(3)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
実施例8において、式(9)で表される電荷輸送物質40質量部、及び式(10)で表される電荷輸送物質40質量部に代えて、式(9)で表される電荷輸送物質70質量部、及び下記の式(8)で表される電荷輸送物質10質量部に変えた以外は実施例8と同様にして、感光体シートを作製した。
実施例8において、式(9)で表される電荷輸送物質40質量部、及び式(10)で表される電荷輸送物質40質量部に代えて、下記の式(7)で表される電荷輸送物質50質量部を使用した以外は実施例8と同様にして、感光体シートを作製した。
<感光体ドラムの製造>
表面が粗切削仕上げされ、清浄に洗浄された外径30mm、長さ376mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、実施例8の感光体製造に使用した下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.3μm、0.4μm、25μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを製造した。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で20分間行なった。
上記感光体ドラムをアセトン中に浸漬し、電荷輸送層中のアセトン可溶成分を溶解し、不溶分および膨潤したバインダー樹脂を剥離除去する。続いて、電荷発生層100cm2相当分を1,2−ジメトキシエタン中に浸漬して超音波処理して、電荷発生層の分散液とし、溶解したポリビニルブチラール樹脂をろ別して、不溶分であるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を単離した。単離した顔料試料をGC/MS(SIM)法で成分の同定と定量を行った。定量は、まず既知濃度のα−クロロナフタレン標品にて検量線(ピーク
面積vs.検出強度)を作成し、その検量線と、測定サンプルのピーク面積から、α−クロロナフタレンを算出した。なお、測定サンプルを単離する前に標準品を添加し、どの程度の回収率があるか確認し、その回収率から、溶媒検出量を補正した。
<画像試験>
画像試験は、乾式現像系電子写真方式で、印刷速度243mm/s、非磁性一成分現像、帯電ローラ、搬送ベルトによる感光体から紙への直接転写方式の、沖データ社製タンデムフルカラープリンターMICROLINE9800を用いて行った。
<感光体ドラムの製造>
塗布液を実施例9の感光体製造に使用した塗布液に変更した以外は、実施例13と同様に感光体ドラムを製造した。電荷発生層のヒドロキシガリウムフタロシアニンからは、0.2ng/cm2の残留α−クロロナフタレンが検出された。
上記の感光体ドラム(同等品4本)を、実施例13同様に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色用の電子写真感光体カートリッジに装着し、25℃,50%RHの環境下で、A4用紙を縦送りで1000枚印刷した。その後、A4用紙を横送りし、全面ハーフトーン画像を印刷したが、端部の濃度段差等の画像欠陥は問題にならない程度のごく僅かしか観測されなかった。また、試験環境を25℃,10%RHに変更して全面ハーフトーン印刷を行ったが、濃度低下は観測されなかった。
<感光体ドラムの製造>
塗布液を比較例8の感光体製造に使用した塗布液に変更した以外は、実施例13と同様に感光体ドラムを製造した。電荷発生層のヒドロキシガリウムフタロシアニンからは、残留α−クロロナフタレンは検出されなかった。
上記の感光体ドラム(同等品4本)を、実施例13同様に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色用の電子写真感光体カートリッジに装着し、25℃,50%RHの環境下で、A4用紙を縦送りで1000枚印刷した。その後、A4用紙を横送りし、全面ハーフトーン画像を印刷したところ、端部の転写負荷を繰返し強く受けた部分に濃度低下が観測され、濃度段差の画像欠陥が観測された。また、試験環境を25℃,10%RHに変更して全面ハーフトーン印刷を行ったが、それによる濃度低下は観測されなかった。
<感光体ドラムの製造>
塗布液を比較例9の感光体製造に使用した塗布液に変更した以外は、実施例13と同様に感光体ドラムを製造した。電荷発生層のヒドロキシガリウムフタロシアニンからは、0
.3ng/cm2の残留α−クロロナフタレンが検出された。
上記の感光体ドラム(同等品4本)を、実施例13同様に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色用の電子写真感光体カートリッジに装着し、25℃,50%RHの環境下で、A4用紙を縦送りで1000枚印刷した。その後、A4用紙を横送りし、全面ハーフトーン画像を印刷したところ、端部の転写負荷を繰返し強く受けた部分に濃度低下が観測され、濃度段差の画像欠陥が観測された。また、試験環境を25℃,10%RHに変更して全面ハーフトーン印刷を行ったが、それによる濃度低下は観測されなかった。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙
Claims (13)
- 式(2)で表されるビスフェノールを含む原料モノマーを重合させて得られる、式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂であって、該ポリアリレート樹脂を加水分解後、水素炎イオン化型検出器(FID)を用いたガスクロマトグラフで検出され
る式(4)で表されるビスフェノール残基量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール残基合計量に対して、強度比で10ppm以下であることを特徴とするポリアリレート樹脂。
- 水素炎イオン化型検出器(FID)を用いたガスクロマトグラフで検出される前記式(3
)で表されるビスフェノール残基量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール残基合計量に対して、強度比で0.2%以上、1%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレート樹脂。 - 前記原料モノマーのビスフェノール純度が99%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアリレート樹脂。
- 式(2)で表されるビスフェノールを含む原料モノマーを重合させて得られる、式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂であって、該原料モノマー中における水素炎イオン化型検出器(FID)を用いたガスクロマトグラフで検出される式(4)
で表されるビスフェノールの含有量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール合計量に対して、強度比で10ppm以下であることを特徴とするポリアリレート樹脂。
- 前記原料モノマー中における水素炎イオン化型検出器(FID)を用いたガスクロマトグ
ラフで検出される式(3)で表されるビスフェノールの含有量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール合計量に対して、強度比で0.3%以上、1%以下であることを特徴とする、請求項5に記載のポリアリレート樹脂。 - 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が請求項1〜6の何れか1項に記載のポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
- 前記感光層が電荷輸送層と電荷発生層とを積層してなることを特徴とする、請求項7に記載の電子写真感光体。
- 請求項7〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置。
- 電子写真プロセスにおいて、前記感光体上に現像されたトナーが、中間転写体を介さずに印刷媒体に直接転写されることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
- 請求7〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置用のカートリッジ
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の前記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂の製造方法であって、前記式(2)で表されるビスフェノールを含むビスフェノール成分と、2価カルボン酸成分とを重合することを特徴とする、ポリアリレート樹脂の製造方法。
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