JP2015078350A - ポリアリレート樹脂、及びそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気特性及び溶解性に優れたポリアリレートを提供することが目的であり、さらに、該ポリアリレート樹脂を電子写真感光体のバインダー樹脂として用いた場合の繰り返し使用時の性能を安定化し、転写メモリーを改善することを目的とする。【解決手段】特定のビスフェノールを含む原料モノマーを重合させて得られる、特定の繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂であって、ポリアリレート中の特定のビスフェノール残基の含有量が10ppm以下であることを特徴とするポリアリレート樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、所定の原料モノマーを重合して得られる特定構造を有するポリアリレート樹脂、詳しくは特定構造のビスフェノールの純度を制御した原料モノマーを重合して得られるポリアリレート樹脂、更にはそれを用いた電子写真感光体に関するものである。
機械的強度に優れ、非晶性であるエンジニアリングプラスチックの一つとして、ポリアリレート樹脂が知られている。このポリアリレート樹脂の構造に関しては、これまで求められる特性に対して様々な構造が提案されている。近年、電気、電子分野などで透明性、耐摩耗性に優れた塗布膜用樹脂の要求が高まっており、その中でも電子写真分野においては、有機感光体のバインダー樹脂として、様々な構造のポリアリレート樹脂の利用が検討されている。
電子写真感光体へのポリアリレート樹脂の展開として、市販されているポリアリレート樹脂である「U−ポリマー」を感光層のバインダー樹脂として用いることにより、多くの電子写真感光体に使用されているポリカーボネート樹脂を用いる場合と比較して感度が向上することが報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、このポリアリレート樹脂を溶解して調製した塗布液の安定性が低く、塗布製造が困難な場合があった。この問題に対し、特定構造の2価フェノール成分を用いたポリアリレート樹脂をバインダー樹脂とすることで、電子写真感光体を製造する際に用いる塗布溶液の安定性の向上、及び電子写真感光体の機械的強度、耐摩耗性の改良が報告されている(特許文献2〜特許文献5参照)。
一方で、電子写真感光体は、電子写真プロセス、即ち、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用され、その間様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては、例えば、帯電器として普通用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に与える化学的なダメージ、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れること、トナーを紙へ転写するための帯電による電気的なダメージ、除電光又は外部からの光による感光層組成物の分解等の化学的、電気的劣化がある。そのため、これらの劣化が電子写真感光体寿命の原因となっていた。前記繰り返し使用における画像特性の変動が小さい電子写真感光体が要求されている。この繰り返し使用時の電気特性に関して、ポリアリレート樹脂における2価フェノール成分中の副生成物との関係についての報告はされていないが、一旦重合されて高分子中に取り込まれてしまうと除去できないため、その影響は十分考慮すべきである。
特開昭56−135844号公報 特開平3−6567号公報 特開平9−22126号公報 特開平9−319129号公報 特開2006−290959号公報
特許文献2〜5に記載の技術では、特定のビスフェノールを用いたポリアリレート樹脂を使用することにより、溶解性、ソルベントクラック性及び機械物性等が向上した電子写
真感光体を得られることが記載されているが、繰り返し使用における電気特性の劣化する場合がある。
本発明は、電気特性及び溶解性に優れたポリアリレートを提供することが目的であり、さらに、該ポリアリレート樹脂を電子写真感光体のバインダー樹脂として用いた場合の繰り返し使用時の性能を安定化し、転写メモリーを改善することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決しうる電子写真感光体について鋭意検討を行なった結果、特定構造を有するポリアリレート樹脂中の特定構造のビスフェノール成分割合、副生成物の含有量、及びの重合に用いられる原料モノマーの純度を制御することにより、ポリアリレート樹脂の電気特性及び溶解性、特に繰り返し使用における電気特性を改良できることを見出し、本発明に至った。
即ち、請求項1に係る発明は、式(2)で表されるビスフェノールを含む原料モノマーを重合させて得られる、式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂であって、該ポリアリレート樹脂を加水分解後、水素炎イオン化型検出器(FID)を用いた
ガスクロマトグラフで検出される式(4)で表されるビスフェノール残基量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール残基合計量に対して、強度比で10ppm以下であることを特徴とするポリアリレート樹脂である。
Figure 2015078350
(式(1)〜(4)中、Yはm−フェニレン基、p−フェニレン基、又は2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基から選ばれる少なくとも1つの2価の基を示す。nは1以上の整数を表す。Xは各々、単結合、―CR−、O、CO、またはSを示す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。)
請求項2に係る発明は、水素炎イオン化型検出器(FID)を用いたガスクロマトグラフ
で検出される前記式(3)で表されるビスフェノール残基量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール残基合計量に対して、強度比で0.2%以上、1%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレート樹脂である。
請求項3に係る発明は、前記式(3)で表されるビスフェノールが、式(3a)で表されるビスフェノールであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂である。
Figure 2015078350
(式(3a)中、Xは、単結合、―CR−、O、CO、またはSを示す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。)
請求項4に係る発明は、前記原料モノマーのビスフェノール純度が99%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアリレート樹脂である。
請求項5に係る発明は、式(2)で表されるビスフェノールを含む原料モノマーを重合させて得られる、式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂であって、該原料モノマー中における水素炎イオン化型検出器(FID)を用いたガスクロマトグラ
フで検出される式(4)で表されるビスフェノールの含有量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール合計量に対して、強度比で10ppm以下であることを特徴とするポリアリレート樹脂である。
Figure 2015078350
(式(1)〜(4)中、Yはm−フェニレン基、p−フェニレン基、又は2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基から選ばれる少なくとも1つの2価の基を示す。nは1以上の整数を表す。Xは各々、単結合、―CR−、O、CO、またはSを示す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。)
請求項6に係る発明は、前記原料モノマー中における水素炎イオン化型検出器(FID)
を用いたガスクロマトグラフで検出される式(3)で表されるビスフェノールの含有量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール合計量に対して、強度比で0.3%以上、1%以下であることを特徴とする、請求項5に記載のポリアリレート樹脂である。
請求項7に係る発明は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が請求項1〜6の何れか1項に記載のポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする、電子写真感光体である。
請求項8に係る発明は、前記感光層が電荷輸送層と電荷発生層とを積層してなることを特徴とする、請求項7に記載の電子写真感光体である。
請求項9に係る発明は、前記電荷輸送層が、下記式(7)〜(10)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1つの電荷輸送物質を含有することを特徴とする、請求項7または8に記載の電子写真感光体である。
Figure 2015078350
請求項10に係る発明は、請求項7〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置である。
請求項11に係る発明は、電子写真プロセスにおいて、前記感光体上に現像されたトナーが、中間転写体を介さずに印刷媒体に直接転写されることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置である。
請求項12に係る発明は、請求7〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置用のカートリッジである。
請求項13に係る発明は、請求項1〜6の何れか1項に記載の前記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂の製造方法であって、前記式(2)で表されるビスフェノールを含むビスフェノール成分と、2価カルボン酸成分とを重合することを特徴とする、ポリアリレート樹脂の製造方法である。
本発明によれば、高い溶解性及び保存安定性を有し、且つ、電気特性に優れたポリアリレート樹脂及び、繰り返し使用時の転写メモリーに優れた電子写真感光体が得られる。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の一実施例を示す概念図である。 図2は本発明の製造例1に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン(A)のX線回折図である。 図3は本発明の製造例2に記載のヒドロキシガリウムフタロシアニン(B)のX線回折図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
≪1.ポリアリレート樹脂≫
本発明のポリアリレート樹脂は、式(1)で表される繰り返し構造を有しており、式(2)で表されるビスフェノールを含む原料モノマーを重合させて得られることを特徴とする。
Figure 2015078350
式(1)中、Yはm−フェニレン基、p−フェニレン基、又は2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基から選ばれる少なくとも1つの2価の基を示す。すなわち、式(1)で表されるポリアリレート樹脂のジカルボン酸残基としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸があげられる。必要に応じてこれらのジカルボン酸残基を組み合わせて用いることも可能であり、中でも、機械特性の観点からテレフタル酸とイソフタル酸を組み合わせることが好ましい。テレフタル酸とイソフタル酸を組み合わせる場合、溶解性や機械物性の観点から両者の含有比率は10/90〜90/10(モル比)とすることが好ましく、25/75〜75/25(モル比)とすることがより好ましく、35/65〜65/35(モル比)とすることがさらに好ましい。
式(1)及び(2)中、Xは各々、単結合、―CR−、O、CO、Sを表す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、R及びRは、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。nは1以上の整数を表す。
本発明のポリアリレート樹脂は、上記式(1)で表される繰り返し構造をその分子構造中に含んでいればよく、例えば上記式(1)で表される繰り返し構造のみを有するものであってもよいし、また例えば上記式(1)で表される繰り返し構造と、式(1)で表される繰り返し構造以外の繰り返し構造とを有する共重合体であってもよい。
共重合体の上記式(1)で表される繰り返し構造以外の繰り返し単位として、下記式(6)で表される繰り返し構造とを含む共重合体等が挙げられる。
Figure 2015078350
(式(6)中、Zはm−フェニレン基、p−フェニレン基、又は2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基から選ばれる少なくとも1つの2価の基を示す。R〜Rは、各々独立に、水素原子、またはメチル基を表す。Wは、単結合、―CR−、O、CO、Sを表す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。mは1以上の整数を表す。)
式(6)で表されるポリアリレート樹脂のジカルボン酸残基としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が挙げられる。必要に応じてこれらのジカルボン酸残基を組み合わせて用いることも可能であり、中でも、機械特性の観点からテレフタル酸とイソフタル酸を組み合わせることが好ましい。テレフタル酸とイソフタル酸を組み合わせる場合、溶解性や機械物性の観点から両者の含有比率は10/90〜90/10(モル比)とすることが好ましく、25/75〜75/25(モル比)とすることがより好ましく、35/65〜65/35(モル比)とすることがさらに好ましい。
式(6)で表されるポリアリレート樹脂のビスフェノール残基として具体的に例示すると、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4´−ビフェノール、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェノール、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ビフェノール、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3´−ジメチル−4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
この中でも、二価フェノール成分の製造の簡便性および溶解性、電気特性を考慮すれば
、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4´−ビフェノール、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェノール
、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ビフェノール、4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルが好ましい。
さらに機械物性を考慮すれば、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、4,4´−ビフェノール、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェノール、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ビフェノールがより好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂を構成する式(1)で表される繰り返し構造は、以下の繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2015078350
本発明のポリアリレート樹脂が共重合体である場合、式(1)の含有量は特に規定しないが、30モル%以上であることが好ましく、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上である。含有量が少なすぎると電気特性や溶解性が不十分の可能性がある。
また、本発明のポリアリレート樹脂中は、ポリアリレート樹脂を加水分解後、下記式(4)で表されるビスフェノールのガスクロマトグラフを用いて測定したとき水素炎イオン化型検出器(FID)で検出される強度比における含有量が、式(2)、式(3)、式(4)で表されるビスフェノール合計量に対して、10ppm以下が好ましく、より好ましくは8ppm以下、更に好ましくは5ppm以下であり、検出されないことが特に好ましい。式(4)で表されるビスフェノールの量は、遊離のビスフェノール及び繰り返し構造中に結合しているビスフェノールの和である。ポリアリレート樹脂中に、式(4)のビスフェノールが少ないことにより、カルボン酸クロライド末端などの末端基を制御することが可能となる上、単純にフェノール成分が減少することにより電荷の蓄積を抑制することで、繰り返し転写メモリーが良好であると考えられる。
ポリアリレート樹脂中における、下記式(4)で表されるビスフェノール残基の含有量は、例えば、前記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂を塩基性あるいは酸性条件下で加水分解を行いモノマー成分へと分解し、中和した後、ガスクロマトグラフにより測定できる。原料モノマー由来のピークの総面積における、各ピークの面積の占める割合を含有量とする。加水分解の方法は、溶媒としてメタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、ベンジルアルコールなどのアルコールまたは水を使用し、塩基性条件では、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシド、ナ
トリウムエトキシドなどの塩基を用い、酸性条件では、塩酸、硫酸などの酸を用いる。加水分解の反応温度は、20℃〜100℃で行うことが好ましく、より好ましくは30℃〜70℃である。反応温度が低いと加水分解の速度が遅く、十分にモノマーへと分解することができず、一方、反応温度が高すぎる場合はビスフェノールの分解が起きてしまう可能性がある。加水分解反応の終了は、GPC又はNMRで確認できる。
Figure 2015078350
(式(4)中、Xは、単結合、―CR−、O、CO、またはSを示す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。)
また、本発明のポリアリレート樹脂は、ポリアリレート樹脂を加水分解後、ガスクロマトグラフを用いて測定したとき水素炎イオン化型検出器(FID)で検出される下記式(3)で表される強度比におけるビスフェノール残基量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール残基合計量に対して1%以下であり、繰り返し使用時の電気特性の観点から、好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下である。また、通常0.2%以上であり、好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.4%以上である。尚、この場合のビスフェノール残基量は、遊離のビスフェノール及び繰り返し構造中に結合しているビスフェノールの和である。
ポリアリレート樹脂中に、式(3)のビスフェノール残基が上記範囲で存在することにより、ポリアリレート樹脂と電荷輸送物質の相溶性が高まり、かつ電荷発生物質との相互作用も高まるため繰り返し使用時の電気特性が良好になると考えられる。ポリアリレート樹脂中における、下記式(3)で表されるビスフェノール残基量は、例えば、前記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂を上述のように塩基性あるいは酸性条件下、加水分解を行いモノマー成分へと分解し、中和した後、ガスクロマトグラフにより測定できる。
Figure 2015078350
(式(3)中、Xは、単結合、―CR−、O、CO、Sを示す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。)
≪2.ポリアリレート樹脂の製造方法≫
本発明のポリアリレート樹脂を製造する方法としては、後述する式(2)で表されるビスフェノールを含有する原料モノマーを重合させることが可能な方法であれば、特に制限はなく、公知のポリアリレートの重合方法を適用し製造することができる。ポリアリレート樹脂の重合方法としては、例えば、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法等を用いることができる。ここでポリアリレート樹脂の製造法の一例を説明する。
界面重合法による製造の場合は、例えば、2価フェノール化合物をアルカリ水溶液に溶
解した溶液と、芳香族ジカルボン酸クロライド化合物を溶解したハロゲン化炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。重合温度は0℃〜40℃の範囲、重合時間は2時間〜20時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相とを分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂が得られる。
界面重合法で用いられるアルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができる。アルカリ成分の使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01倍当量〜3倍当量の範囲が好ましい。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
触媒として用いられる4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩としては、例えば、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の3級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライド等が挙げられる。
また、界面重合法では、分子量調節剤を使用することができる。分子量調節剤としては、例えば、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体等のアルキルフェノール類;o,m,p−フェニルフェノール等の1官能性のフェノール;酢酸クロライド、酪酸クロライド、オクチル酸クロライド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルホニルクロライド、ベンゼンスルフィニルクロライド、スルフィニルクロライド、ベンゼンホスホニルクロライドやそれらの置換体等の1官能性酸ハロゲン化物等が挙げられる。これら分子量調節剤の中でも、分子量調節能が高く、かつ溶液安定性の点で好ましいのは、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体である。特に好ましくは、p−(tert−ブチル)フェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノールである。
また、2価フェノールをアルカリ溶液中で酸化させないために、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト(次亜硫酸ナトリウム)、二酸化硫黄、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、酸化防止の効果及び環境負荷の低減からもハイドロサルファイトが特に好ましい。酸化防止剤の使用量としては、全2価フェノールに対して、0.01質量%以上、10.0質量%以下が好ましい。さらに好ましくは0.1質量%以上、5質量%以下である。含有量が少なすぎると酸化防止効果が不十分の可能性があり、多すぎるとポリアリレート中に残存してしまい電気特性に悪影響する場合がある。
ポリアリレート樹脂の重合後の精製方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の方法を用いることができるが、例えば、ポリアリレート樹脂の溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液;塩酸、硝酸、リン酸等の酸水溶液;水等で洗浄し
た後、静置分離、遠心分離等により分液する方法が挙げられる。
また他の精製方法としては、例えば、生成したポリアリレート樹脂の溶液を、ポリアリレート樹脂が不溶の溶媒中に析出させる方法、ポリアリレート樹脂の溶液を温水中に分散させ溶媒を留去する方法、又はポリアリレート樹脂溶液を吸着カラム等に流通させる方法等により精製してもよい。
精製後のポリアリレート樹脂は、ポリアリレート樹脂が不溶の水、アルコールその他有機溶媒中に析出させるか、ポリアリレート樹脂の溶液を温水又はポリアリレート樹脂が不溶の分散媒中で溶媒を留去するか、加熱、減圧等により溶媒を留去することにより取り出してもよいし、スラリー状で取り出した場合は遠心分離器、濾過器とうにより固体を取り出すこともできる。
得られたポリアリレート樹脂は、通常ポリアリレート樹脂の分解温度以下の温度で乾燥するが、好ましくは20℃以上、樹脂の溶融温度以下で乾燥することができる。このとき減圧下で乾燥することが好ましい。
乾燥時間は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うことが好ましく、具体的には、残存溶媒が通常1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になる時間以上乾燥する。
≪3.原料モノマー≫
本発明のポリアリレート樹脂の製造には、式(2)で表される構造のビスフェノールを含有する原料モノマーが用いられる。
Figure 2015078350
式(2)中、Xは各々、単結合、―CR−、O、CO、Sを表す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示し、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。
式(2)で表されるビスフェノールの具体的構造を以下に例示する。
Figure 2015078350
これらの中でも、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ブタン、が挙げられる。
また特に電気特性の観点から、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが好ましい。
原料モノマー中における、上記式(2)で表されるビスフェノールの純度は、好ましくは99%以上であり、より好ましくは99.2%以上、特に好ましくは99.4%以上である。純度が上記下限値以上の場合、ポリマー(ポリアリレート樹脂)としたときの分子量制御を効果的に行うことできる。また、通常99.8%以下であり、好ましくは99.7%以下、より好ましくは99.6%以下である。純度が上記上限値以上である場合、不純物の影響により重合再現性が出なかったり、電気特性が悪くなったりする可能性がある。前期純度は、ガスクロマトグラフにより測定できる。原料モノマー由来のピークの総面積における、各ピークの面積の占める割合を含有量とした。
なお、原料モノマー中には、上記式(2)で表される構造のビスフェノールが、1種のみ含まれていてもよく、また異なる構造の上記式(2)で表されるビスフェノールが2種以上、任意の比率及び組合せで含有されていてもよい。
ここで、本発明において、原料モノマー中における、下記式(4)で表されるビスフェノールの含有量は、10ppm以下であり、好ましくは5ppm以下、より好ましくは1ppm以下である。下記式(4)で表されるビスフェノールの含有量が10ppmを超えて存在する場合には、原料モノマーを重合させて製造したポリアリレートの電気特性や重合制御性が悪化する。式(4)で表されるビスフェノールは式(2)で表されるビスフェノールよりもオルト位のメチル基が多いことから、重合時における反応性が低いため、重合反応性を制御することが難しくなり重合再現性が困難になるものと考えられる。また、製造されるポリアリレートにおいて末端基を制御することが困難であるため、電気特性が悪化するものと考えられる。原料モノマー中における、下記式(4)で表されるビスフェノールの含有量は、ガスクロマトグラフにより測定できる。
Figure 2015078350
(式(4)中、Xは各々、単結合、―CR−、O、CO、Sを示す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。)
式(4)で表されるビスフェノールの具体的構造を以下に例示する。
Figure 2015078350
これらの中でも、(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパンが挙げられる。
本発明において、原料モノマー中における、下記式(3)で表されるビスフェノールのガスクロマトグラフを用いて測定したとき水素炎イオン化型検出器(FID)で検出される強度比における含有量は1%以下であり、好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.6%以下である。また、通常0.3%以上であり、好ましくは0.35%以上、より好ましくは0.4%以上である。下記式(3)で表されるビスフェノールの含有量が1%を超えて存在する場合には、原料モノマーを重合させて製造したポリアリレートの機械特性や溶解性が悪化する。一方、含有量が0.2%より少ない場合には、製造したポリアリレート樹脂の電気特性、特に繰り返し使用時の電気特性が悪化する。式(3)で表されるビスフェノールは式(2)で表されるビスフェノールよりもオルト位のメチル基が少ないことから、重合時における反応性が高く、製造されるポリアリレート末端基を制御することができるため、溶解性・電気特性が良好になると考えられる。原料モノマー中における、下記式(3)で表されるビスフェノールの含有量は、ガスクロマトグラフにより測定できる。原料モノマー由来のピークの総面積における、各ピークの面積の占める割合を含有量とする。
Figure 2015078350
式(3)中、Xは、単結合、―CR−、O、CO、またはSを示す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。
前記式(3)で表されるビスフェノールは、特に式(3a)で表されるビスフェノールで表される。
Figure 2015078350
(式(3a)中、Xは、単結合、―CR−、O、CO、またはSを示す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。)
式(3)で表されるビスフェノールの具体的構造を以下に例示する。
Figure 2015078350
これらの中でも、(4−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル
)プロパン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが挙げられる。 また特に、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが好ましい。
ここで、本発明に用いられる原料モノマー中には、通常、その出発原料であるオルト−クレゾールに含まれる不純物(例えば、フェノール、2,6−キシレノール、トルエン、キシレン等)、またこれらに由来する副生成物、オルトークレゾールの二量化反応に由来する位置異性体などが含まれる。
本発明においては、原料モノマー中のこれらの不純物の中でも、フェノールに由来する副生成物の量を制御することで、ポリアリレート樹脂としたときの特性が優れたものとなる。なお、フェノールに由来する副生成物(上記式(3)、上記式(4)で表されるビスフェノール)の量は、上記式(2)で表されるビスフェノールの製造に用いられるオルト−クレゾールの製造(精製)法の制御や精製したオルト−クレゾールに適量のフェノールを添加する方法などで制御できる。
例えば、オルト−クレゾールの製造(精製)法による不純物量の制御方法として、分留クレゾールの精留による方法、シメンを酸化し合成された混合クレゾールから精留する方法、クロロベンゼンを加水分解し合成された混合クレゾールから精留する方法、フェノールとメタノールによる気相反応アルキル化法で合成したのち精留する方法、精製されたオルト−クロロトルエンを加水分解によりオルト−クレゾールを製造する方法などが挙げられる。
これらの中でも、2,6−キシレノールの含有量を制御する観点から、クロロベンゼンを加水分解し合成された混合クレゾールから精留する方法、精製されたオルト−クロロトルエンを加水分解によりオルト−クレゾールを製造する方法が好ましい。分留クレゾールを使用する場合に比較して、クロロベンゼンを使用する場合は、クロロベンゼン原料自体にキシレノール不純物を含まないため抑制に効果的である。
≪4.本発明のポリアリレート樹脂の物性≫
本発明のポリアリレート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、通常5,000以上であり、好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上である。また、通常200,000以下であり、好ましくは150,000以下であり、更に好ましくは100,000以下である。粘度平均分子量(Mv)が5,000未満であると機械的強度が不十分で実用的でない場合があり、200,000を超えると塗布液とした場合、適当な膜厚に塗布することが困難となる場合がある。
また、本発明におけるポリアリレート樹脂の末端に存在するカルボン酸クロライド基量は、通常0.1μ当量/g以下、好ましくは0.05μ当量/g以下である。末端カルボン酸クロライド基量が上記範囲を超えると、ポリアリレート樹脂を電子写真感光体用塗布液とした際の保存安定性が低下する傾向がある。
本発明におけるポリアリレート樹脂の末端に存在するOH基量は、通常50.0μ当量/g以下、好ましくは25.0μ当量/g以下、更に好ましくは5.0μ当量/gである。末端OH基量が上記範囲を超えると、ポリアリレート樹脂を電子写真感光体とした際の電気特性が悪化する傾向がある。
本発明におけるポリアリレート樹脂の末端に存在するカルボン酸基量は、通常50.0μ当量/g以下、好ましくは25.0μ当量/g以下、更に好ましくは15.0μ当量/gである。末端カルボン酸基量が上記範囲を超えると、ポリアリレート樹脂を電子写真感
光体とした際の電気特性が悪化する傾向がある。
≪5.電子写真感光体用塗布液≫
本発明のポリアリレート樹脂は、電子写真感光体用塗布液に好適に用いられる。この電子写真感光体用塗布液は、通常、電子写真感光体における感光層の形成に用いられ、特に感光層が積層型感光層である場合における電荷輸送層の形成に用いられることが好ましい。
上記電子写真感光体用塗布液において、上記ポリアリレート樹脂は、通常、バインダー樹脂として用いられ、電子写真感光体用塗布液中には、上記ポリアリレート樹脂以外に、例えば電荷発生物質や電荷輸送物質等、電子写真感光体用塗布液の用途等に応じて、適宜必要な材料が含有される。このような電荷発生物質や電荷輸送物質等については、後述する電子写真感光体の項で説明する材料と同様とすることができる。
また、電子写真感光体用塗布液中には、前述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂と他の樹脂とを混合して用いることも可能である。ここで混合される他の構造を有する樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体又はその共重合体;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステルポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂又は種々の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂とポリアリレート樹脂が好ましい。
前記他の構造を有する樹脂の好適な構造の具体例を以下に示す。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知のバインダー樹脂を混合して用いてもよい。
Figure 2015078350
なお、本発明のポリアリレート樹脂と他のバインダー樹脂とを併用する場合、使用比率に制限は無く、本発明の効果が得られる限り任意である。
≪6.電子写真感光体≫
本実施の形態が適用される電子写真感光体は、導電性支持体上に設けた感光層を有し、感光層が、上述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂を含有するものである。感光層の具体的な構成としては、例えば、導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層とを積層した積層型感光体;導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させた感光層を有する分散型(単層型)感光体等が挙げられる。上述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂は、通常、電荷輸送物質を含有する層に用いられ、好ましくは積層型感光体の電荷輸送層に用いられる。
本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用される感光層の具体的な構成としては、例えば、積層型感光体の場合は電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有し、静電荷を保持して露光により発生した電荷を輸送する電荷輸送層と、電荷発生物質を含有し、露光により電荷対を発生する電荷発生層と、を有する。また、その他にも必要に応じて、例えば、導電性支持体からの電荷注入を阻止する電荷阻止層、レーザ光等の光を拡散させて干渉縞の発生を防止する光拡散層等を有する場合がある。分散型(単層型)感光体の場合は、感光層は、電荷移動物質及び電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散されている。
<6−1.導電性支持体>
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いても良い。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<6−2.下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、又は樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもかまわない。下引き層が複数層からなる場合、導電性支持体上に、導電層(干渉縞防止層)及び中間層からなる構成とすることもできる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウム等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。こ
れらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の点から、その平均一次粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、特に10nm以上50nm以下が好ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、レゾール型フェノール樹脂、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、バインダー樹脂に対して、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いても良い。
<6−3.感光層>
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
<6−3−1.積層型感光層>
[電荷発生層]
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質として無金属フタロシアニン化合物、金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られ、またモノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光、例えば450nm、400nm近辺の波長を有するレーザーに対して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。フタロシアニン顔料は、比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、また、アゾ顔料は、白色光及び比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点で、それぞれ優れている。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜にもっとも強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等がより好ましい。これらの中でも、V型ヒド
ロキシガリウムフタロシアニン、D型(Y型)チタニルフタロシアニンが良好な感度を示すため特に好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結
晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合には、各種ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲であり、その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好
ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下するおそれがある一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招くおそれがある。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
[電荷輸送層]
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。以下具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
Figure 2015078350
Figure 2015078350
本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層を構成する電荷輸送層に含有される電荷輸送物質の具体例としては、例えば、特開平9−244278号公報に記載されるアリールアミン系化合物、特開2002−275133号公報に記載されるアリールアミン系化合物、特開2009−20504号公報に記載されるエナミン系化合物等が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独で用いても良いし、いくつかを混合しても良い。この中でも、電荷輸送物質が下記式(7)〜(10)で示される化合物群から選ばれる少なくとも1つ以上の電荷輸送物質を含有することが好ましい。
Figure 2015078350
これらの電荷輸送物質がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、単一の層から成っても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。
上記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂は、電荷輸送層のバインダー樹脂として用いられることが好ましい。前記バインダー樹脂は、本発明に用いられるポリアリレート樹脂とその他の構造を有する樹脂を混合してもよく、他の樹脂としては、前記感光層において混合される他の構造を有する樹脂に記載したものが挙げられる。
式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して、電荷輸送物質を通常10質量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から20質量部以上が好ましく、更には、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から30質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常120質量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送物質料とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましく、耐刷性の観点から70質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から50質量部以下が特に好ましい。
また、電荷輸送層の膜厚は、通常、5μm〜50μm、好ましくは10μm〜45μmである。
尚、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、レベリング剤等の添加剤を含有させても良い。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、
各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられる。
<6−3−2.単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、さらに電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
単層型感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると充分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があることから、単層型感光層全体に対して通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常50質量%以下、好ましくは20質量%以下の範囲で使用される。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。またこの場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていても良い。
<6−4.その他の機能層、及び添加剤>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させても良い。
また、積層型感光体、単層型感光体ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。保護層は、導電性材料を適当なバインダー樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号各公報に記載のトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
保護層に用いる導電性材料としては、TPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
保護層に用いるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹
脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。
保護層の電気抵抗は、通常10Ω・cm以上、1014Ω・cm以下の範囲とすることが好ましい。電気抵抗が前記範囲より高くなると、残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまう可能性がある。一方、前記範囲より低くなると、画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう可能性がある。また、保護層は像露光の際に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されることが好ましい。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を、表面層に含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
さらに必要に応じて、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層など、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよいことはいうまでもない。
<6−5.各層の形成方法>
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なっても良い。
≪7.画像形成装置≫
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1,帯電装置2,露光装置3及び現像装置4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置5,クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。直接帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。なお、図1では、帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。これらの中で380〜500nmの短波長光を用いると解像度が高くなり好ましい。中でも405nmの単色光が好適である。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄,ステン
レス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス,アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。
即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下に、本発明の具体的態様を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
実施例等に用いた、ビスフェノールを含む原料モノマーの純度、副生成物量は、以下の方法で測定をした。
[原料モノマーの分析方法]
原料モノマーの純度測定は各試料を1%アセトン溶液にしてガスクロマトグラフ測定により求めた。原料モノマー由来のピークの総面積における、各ピークの面積の占める割合を含有量とした。
装置:島津GC17A
カラム:DB−5(30mx0.25mmφ 0.25μm)
検出器:FID
また、副生成物を同定するためにGC/MSを測定した。
装置:Agilent 6890/5975
カラム:DB−1HT(15mx0.25mmφ 0.1μm)
検出器:MSD SCAN法(EI)
分析・解析結果を表−1に示す。
Figure 2015078350
表中における、原料ビスフェノール構造、モノメチル構造、トリメチル構造を以下に示す。
Figure 2015078350
[ポリアリレート樹脂の製造]
[実施例1](ポリアリレート樹脂(1)の製造法)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(6.20g)とH2O(235ml)を秤取
り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.36g)、原料モノマーBis−C(1){2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン}(16.18g)及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.168g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、テレフタル酸クロライド(6.55g)及びイソフタル酸クロライド(6.55g)とジクロロメタン(117mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロート
よりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(196mL)を加え、撹拌を4時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(240mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(240mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層に塩化メチレン230mlを加えて希釈し、メタノール(2100ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリアリレート樹脂(1)を得た。得られたポリアリレート樹脂(1)の分析値を表2に示す。ポリアリレート樹脂(1)の構造式を以下に示す。
Figure 2015078350
[実施例2](ポリアリレート樹脂(2)の製造法)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(5.01g)とH2O(235ml)を秤取
り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.346g)、原料モノマーBis−C(1)(13.02g)及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.136g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸クロライド(15.38g)とジクロロメタン(117mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(196mL)を加え、撹拌を7時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(240mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(240mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層に塩化メチレン230mlを加えて希釈し、メタノール(2100ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリアリレート樹脂(2)を得た。得られたポリアリレート樹脂(2)の分析値を表2に示す。ポリアリレート樹脂(2)の構造式を以下に示す。
Figure 2015078350
[実施例3](ポリアリレート樹脂(3)の製造法)
実施例1の原料モノマーBis−C(1)(16.18g)を原料モノマーBis−C(1)(11.33g)および原料モノマーBis−C(2)(4.85g)の混合物に変更した以外は、同様の操作で合成を行い、ポリアリレート樹脂(3)を得た。得られたポリアリレート樹脂(3)の分析値を表2に示す。
[比較例1](ポリアリレート樹脂(4)の製造法)
実施例1の原料モノマーBis−C(1)を原料モノマーBis−C(2)に変更した以外は、同様の操作で合成を行い、ポリアリレート樹脂(4)を得た。得られたポリアリレート樹脂(4)の分析値を表−2に示す。
[比較例2](ポリアリレート樹脂(5)の製造法)
実施例2の原料モノマーBis−C(1)を原料モノマーBis−C(2)に変更した以外は、同様の操作で合成を行い、ポリアリレート樹脂(5)を得た。得られたポリアリレート樹脂(5)の分析値を表−2に示す。
[比較例3](ポリアリレート樹脂(6)の製造法)
実施例1の原料モノマーBis−C(1)を(16.18g)を原料モノマーBis−C(1)(4.85g)および原料モノマーBis−C(2)(11.33g)の混合物に変更した以外は、同様の操作で合成を行い、ポリアリレート樹脂(6)を得た。得られたポリアリレート樹脂(6)の分析値を表2−1、表2−2に示す。
[分析]
得られた各ポリアリレート樹脂の粘度平均分子量、カルボン酸クロライド末端基量、OH末端基量及びカルボン酸末端基量は、下記の方法で測定した。
[粘度平均分子量(Mv)の測定]
ポリアリレート樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度
計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量(Mv)を算出した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
[カルボン酸クロライド末端基量〔CF(μ当量/g)〕の測定]
ポリアリレート約1.5gを精秤し、塩化メチレン20mLを加えて溶解した。これに4−(p−ニトロベンジル)ピリジンの1%塩化メチレン溶液2mLを加え、全量を25mLに調整した。30分間かけて発色させたのち、分光光度計((株)島津製作所製、UV−1200)を用い450nmの波長での吸光度を測定した。別に、ベンゾイルクロライドの塩化メチレン溶液を用い、吸光係数を求め、樹脂中のCF基量を定量した。
[OH末端基量〔OH(μ当量/g)〕の測定]
ポリアリレート約0.2gを精秤し、塩化メチレン10mLに溶解した。これに5%酢酸/塩化メチレン溶液を5mL加え、更に四塩化チタン溶液(*1)10mLを添加して発色させたのち、全液量を25mLに調整した。この溶液を分光光度計((株)島津製作所製、UV−1200)を用い480nmの波長の吸光度を測定した。(*1:塩化メチレン200mL、5%酢酸/塩化メチレン溶液22mL、塩化チタン5.5mLの混合溶液)。
別途、測定するポリアリレート樹脂と同組成のビスフェノール化合物(組成物)の塩化メチレン溶液を用いて吸光係数を求め、樹脂中のOH基量を定量した。
[カルボン酸末端基量〔COOH(μ当量/g)〕の測定]
トールビーカーに約0.4gのポリアリレート樹脂を精秤し、ベンジルアルコール25mL加え、195℃のオイルバスにて加熱溶解させた。完全溶解を確認の上、オイルバスから取り出し溶液を冷却した。冷却後エチルアルコール2mLをトールビーカーの壁を伝わせ静かに入れた。この溶液を、自動滴定装置(GT100、三菱化学製)を用い、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で滴定した。別途、溶媒のベンジルアルコールのみを0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で滴定しブランク値を求めた。また、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液のファクターは、下記の方法で求めた。
(1)0.01N 塩酸(HCL)(容量分析用試薬 既知規定液(FHCL=1))1、2、4mLをホールピペットで正確に滴定用トールビーカーに秤取る。
(2)それぞれにベンジルアルコール25mL、エチルアルコール2mLを加える。
(3)自動滴定装置(GT100、三菱化学製)を用い、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で滴定した。
(4)計算:(1)の塩酸調整液量(X軸)に対するNaOHベンジルアルコール滴定液量(Y軸)をプロットし、その傾きをSとする。
0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液のファクターF=FHCL/S
・COOH基={(A−B)×F×10}/W(μ当量/g)
A:測定滴定量(mL)
B:ブランク滴定量(mL)
F:0.01N NaOHベンジルアルコール液のファクター
W:ポリアリレート樹脂量(g)
[ポリアリレートの加水分解およびビスフェノールの純度分析]
ポリアリレート約0.1gを秤量し、メタノール4.9gを添加した。これに28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液(和光純薬製)を0.1g加えた後、50℃で7時間撹拌し、加水分解反応を行った。続いて、室温に冷却した後に、酢酸を0.05〜0.1g添加し中和した。
上記の加水分解後の溶液をガスクロマトグラフ測定によりビスフェノール純度を求めた。ビスフェノールモノマー由来のピークの総面積における、各ピークの面積の占める割合を含有量とした。ビスフェノールモノマー由来のピークは、原料ビスフェノールの分析結果より同定を行った。
装置:島津GC17A
カラム:DB−5(30mx0.25mmφ 0.25μm)
検出器:水素炎イオン化型検出器(FID)
Figure 2015078350
Figure 2015078350
<感光体シートの作製>
[実施例4]
下引き層用分散液は以下のように作製した。平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールのボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの質量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを質量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層分散液とした。
Figure 2015078350
電荷発生層形成用塗布液は以下のように作製した。電荷発生物質として、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示す、Y型(別称D型)オキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部とを混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液βを調製した。
電荷輸送層用塗布液は以下のように作製した。電荷輸送物質として、下記に示す構造を主成分とする、幾何異性体の化合物群からなる、特開2002−080432号公報の実施例1に記載の方法で製造した下記式(7)で表される混合物を50質量部と、実施例1で製造したポリアリレート樹脂(1)を100質量部、酸化防止剤(イルガノックス1076)8質量部、シリコーンオイル(信越化学株式会社製、商品名KF96)0.05質量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層用塗布液を調液した。
Figure 2015078350
続いて、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、前記のように得られた下引き層形成用塗布液を、乾燥後の膜厚が約1.5μmになるように塗布し、室温で乾燥して下引き層を設けた。
さらに、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液βを、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.4μmになるように塗布し、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
続いて、上記の電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートを作製した。初期電気特性評価および繰り返し電気特性評価結果を表−3に示す。
[実施例5]
上記式(7)で表される電荷輸送物質50質量部を下記式(8)で表される電荷輸送物質10質量部及び下記式(9)で表される電荷輸送物質80質量部に変えた以外は実施例4と同様にして、感光体シートを作製した。初期電気特性評価および繰り返し電気特性評価結果を表−3に示す。
Figure 2015078350
[比較例4]
ポリアリレート樹脂(1)をポリアリレート樹脂(4)に変えた以外は実施例4と同様にして、感光体シートを作製した。初期電気特性評価および繰り返し電気特性評価結果を表−3に示す。
[比較例5]
ポリアリレート樹脂(1)をポリアリレート樹脂(4)に変えた以外は実施例5と同様にして、感光体シートを作製した。初期電気特性評価および繰り返し電気特性評価結果を表−3に示す。
[初期電気特性評価;電気特性評価1]
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体シートをアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm、除電は660nmの単色光を用い、露光光を0.92μJ/cm2照射した時点の表面電位(VL)を測定した。VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を139msとした。また、表面電位が初期表面電位の半分(−350V)となる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー:μJ/cm2)を感度(E1/2
)として測定した。VLの値の絶対値が小さいほど電気特性が良好であることを示し、E1/2の値が小さいほど高感度であることを示す。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%下(N/N)で行った。
[繰り返し電気特性評価;電気特性評価2]
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体シートを直径80mmのアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体シートのアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数60rpmで回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルを30000回繰り返し、前後の特性を評価した。その際、試験当初に感光体の初期表面電位が約−700Vになるように帯電(スコロトロン帯電器)条件を固定し、観測される表面電位(V0)の差(ΔV0)を測定した。ΔV0の絶対値が小さいほど繰り返し使用時の帯電性が良好であることを示す。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行なった。
Figure 2015078350
実施例4、5及び比較例4、5を見比べると、原料ビスフェノールBis−C(1)を用いたポリアリレート(1)で作製した感光体は、初期電気特性が良好であり、繰り返し電気特性における帯電性が良好であることがわかる。一方、Bis−C(2)を用いたポリアリレート(4)で作製した感光体は、初期電特は良好であるが、繰り返し電気特性の帯電性が悪化しやすい。
[転写メモリー評価]
上記の初期電気特性試験実施後、除電部を取り外し、代わりに+6.5kVを印加したコロトロンを、転写負荷をシミュレートするために設置した。この状態で帯電−露光−転写負荷のサイクルを4000回繰返した後、再度前記のVLを測定し、初期との差異ΔVLを求めた。測定環境は25℃,50%RHで行なった。ΔVLの絶対値が小さいほど、転写メモリーが良好であることを示す。
[実施例6]
実施例4で作製した感光体シートを用いて、上記評価方法に従い転写メモリー評価を行った。結果を表−4に示す。
[比較例6]
比較例4で作製した感光体シートを用いて、上記評価方法に従い転写メモリー評価を行った。結果を表−4に示す。
Figure 2015078350
表−4に示すように、Bis−C(1)を用いたポリアリレート(1)で作製した実施例6の感光体は、ΔVLの絶対値が小さく繰り返し使用しても良好な画像が得られる。一方、Bis−C(2)を用いたポリアリレート(4)で作製した比較例6の感光体ではΔVLの絶対値が大きいことから繰り返し使用することでメモリーの発生による画像欠陥が出易くなる。
[実施例7]
ポリアリレート(1)をポリアリレート(2)に変えた以外は実施例6と同様にして、感光体シートを作製し、転写メモリー評価を行った。結果を表−5に示す。
[比較例7]
ポリアリレート(1)をポリアリレート(5)に変えた以外は実施例6と同様にして、感光体シートを作製し、転写メモリー評価を行った。結果を表−5に示す。
Figure 2015078350
表−5に示すように、Bis−C(1)を用いたポリアリレート(2)で作製した感光体に比べ、Bis−C(2)を用いたポリアリレート(5)で作製した感光体ではΔVLの絶対値が大きく画像欠陥が発生しやすい。Bis−C(1)を用いることにより、繰り返し使用によるメモリーの発生による画像欠陥を改良することができる。
[ヒドロキシガリウムフタロシアニンの製造]
製造例1
1,3−ジイミノイソインドリン34.6gおよび三塩化ガリウム10gをジメチルスルホキシド200ml中に入れ、160℃において4時間反応させた。この反応液を室温まで冷却した後、5.0重量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液4.6gを加えた。この反応液をろ別し、得られた結晶をメタノール300ml、イオン交換水100mlで洗浄し、その後乾燥することによりクロロガリウムフタロシアニン21.2gを得た。
得られたクロロガリウムフタロシアニン4.0gを濃硫酸160gに−10℃にて溶解後、この溶液を5℃の蒸留水1200g中に滴下して結晶を析出させた。蒸留水、希アンモニア水等で洗浄後、乾燥してヒドロキシガリウムフタロシアニン3.6gを得た。
得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン2.0gを、ジメチルホルムアミド30ml、ガラスビーズ55gと共に、サンドグランドミルにて、30時間ミリング処理を実施した。ろ別後、メタノール100mlで二回洗浄し、乾燥してV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(A)1.9gを得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン(A)の粉末X線回折パターンを図2に示す。
製造例2
窒素雰囲気下、o−フタロジニトリル32g、三塩化ガリウム10gをα−クロロナフタレン164g中に入れ、205℃において5時間反応させた。この反応液を150℃まで冷却し、ろ別し、得られた結晶をN−メチルピロリドン150ml、さらにメタノール150mlで洗浄し、その後乾燥することによりクロロガリウムフタロシアニン11.5gを得た。
得られたクロロガリウムフタロシアニンを製造例1と同様に濃硫酸処理およびミリング処理して、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(B)1.9gを得た。得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン(B)の粉末X線回折パターンを図3に示す。
[実施例8]
電荷発生層形成用塗布液は、電荷発生物質として前記製造例1により製造したヒドロキシガリウムフタロシアニン(A)20質量部と1,2−ジメトキシエタン280質量部とを混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10質量部を、1,2−ジメトキシエタンの255質量部と4−
メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85質量部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230質量部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液を調製した。
電荷輸送層用塗布液は、電荷輸送物質として下記式(9)で表される化合物40質量部、及び下記式(10)で表される化合物40質量部と、実施例1で製造したポリアリレート(1)を100質量部、酸化防止剤(チバスペシャルティーケミカルズ社製、商品名イルガノックス1076)8質量部、シリコーンオイル(信越化学株式会社製、商品名KF96)0.05質量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層用塗布液を調液した。
Figure 2015078350
続いて、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、前述のように得られた下引き層形成用塗布液を、乾燥後の膜厚が約1.5μmになるように塗布し、室温で乾燥して、実施例4で使用したのと同様の下引き層を設けた。
さらに、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるように塗布し、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
続いて、上記の電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートを作製した。
[実施例9]
実施例8において、電荷発生物質を、製造例2で製造したヒドロキシガリウムフタロシアニン(B)に変更した以外は、実施例8と同様に感光体シートを作製した。
[比較例8]
実施例8において、ポリアリレート(1)を比較例1で製造したポリアリレート(4)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[比較例9]
実施例9において、ポリアリレート(1)を比較例1で製造したポリアリレート(4)に変えた以外は実施例2と同様にして、感光体シートを作製した。
[比較例10]
実施例8において、ポリアリレート(1)を比較例3で製造したポリアリレート(6)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例10]
実施例8において、ポリアリレート(1)を実施例3で製造したポリアリレート(3)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例11]
実施例8において、式(9)で表される電荷輸送物質40質量部、及び式(10)で表される電荷輸送物質40質量部に代えて、式(9)で表される電荷輸送物質70質量部、及び下記の式(8)で表される電荷輸送物質10質量部に変えた以外は実施例8と同様にして、感光体シートを作製した。
Figure 2015078350
[実施例12]
実施例8において、式(9)で表される電荷輸送物質40質量部、及び式(10)で表される電荷輸送物質40質量部に代えて、下記の式(7)で表される電荷輸送物質50質量部を使用した以外は実施例8と同様にして、感光体シートを作製した。
Figure 2015078350
初期電気特性評価、繰り返し電気特性評価、及び転写メモリー評価を、実施例4、6と同様に測定した。結果を表-6に示す。
Figure 2015078350
実施例8、9及び比較例8〜10を比べると、ポリアリレート樹脂(1)(3)で作製した感光体は、明電位(VL)が良好であり、繰り返し電気特性における帯電性、および転写メモリーが良好であることがわかる。一方、ポリアリレート樹脂(4)(6)で作製した感光体は、初期電気特性は大きく劣らないが、繰り返し電気特性の帯電性、転写メモリーが悪化しやすい。
[実施例13]
<感光体ドラムの製造>
表面が粗切削仕上げされ、清浄に洗浄された外径30mm、長さ376mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、実施例8の感光体製造に使用した下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布、乾燥し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.3μm、0.4μm、25μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを製造した。なお、電荷輸送層の乾燥は、125℃で20分間行なった。
[α−クロロナフタレン残留量の測定]
上記感光体ドラムをアセトン中に浸漬し、電荷輸送層中のアセトン可溶成分を溶解し、不溶分および膨潤したバインダー樹脂を剥離除去する。続いて、電荷発生層100cm相当分を1,2−ジメトキシエタン中に浸漬して超音波処理して、電荷発生層の分散液とし、溶解したポリビニルブチラール樹脂をろ別して、不溶分であるヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を単離した。単離した顔料試料をGC/MS(SIM)法で成分の同定と定量を行った。定量は、まず既知濃度のα−クロロナフタレン標品にて検量線(ピーク
面積vs.検出強度)を作成し、その検量線と、測定サンプルのピーク面積から、α−クロロナフタレンを算出した。なお、測定サンプルを単離する前に標準品を添加し、どの程度の回収率があるか確認し、その回収率から、溶媒検出量を補正した。
上記の電荷発生層のヒドロキシガリウムフタロシアニンからは、残留α−クロロナフタレンは検出されなかった。
<画像試験>
画像試験は、乾式現像系電子写真方式で、印刷速度243mm/s、非磁性一成分現像、帯電ローラ、搬送ベルトによる感光体から紙への直接転写方式の、沖データ社製タンデムフルカラープリンターMICROLINE9800を用いて行った。
作製した感光体ドラム(同等品4本)をシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色用の電子写真感光体カートリッジに装着し、25℃,50%RHの環境下で、A4用紙を縦送りで1000枚印刷した。その後、A4用紙を横送りし、全面ハーフトーン画像を印刷したが、感光体両端部相当部分の濃度低下等の画像欠陥は観測されなかった。また、試験環境を25℃,10%RHに変更して全面ハーフトーン印刷を行ったが、濃度低下は観測されなかった。
[実施例14]
<感光体ドラムの製造>
塗布液を実施例9の感光体製造に使用した塗布液に変更した以外は、実施例13と同様に感光体ドラムを製造した。電荷発生層のヒドロキシガリウムフタロシアニンからは、0.2ng/cmの残留α−クロロナフタレンが検出された。
<画像試験>
上記の感光体ドラム(同等品4本)を、実施例13同様に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色用の電子写真感光体カートリッジに装着し、25℃,50%RHの環境下で、A4用紙を縦送りで1000枚印刷した。その後、A4用紙を横送りし、全面ハーフトーン画像を印刷したが、端部の濃度段差等の画像欠陥は問題にならない程度のごく僅かしか観測されなかった。また、試験環境を25℃,10%RHに変更して全面ハーフトーン印刷を行ったが、濃度低下は観測されなかった。
[比較例11]
<感光体ドラムの製造>
塗布液を比較例8の感光体製造に使用した塗布液に変更した以外は、実施例13と同様に感光体ドラムを製造した。電荷発生層のヒドロキシガリウムフタロシアニンからは、残留α−クロロナフタレンは検出されなかった。
<画像試験>
上記の感光体ドラム(同等品4本)を、実施例13同様に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色用の電子写真感光体カートリッジに装着し、25℃,50%RHの環境下で、A4用紙を縦送りで1000枚印刷した。その後、A4用紙を横送りし、全面ハーフトーン画像を印刷したところ、端部の転写負荷を繰返し強く受けた部分に濃度低下が観測され、濃度段差の画像欠陥が観測された。また、試験環境を25℃,10%RHに変更して全面ハーフトーン印刷を行ったが、それによる濃度低下は観測されなかった。
[比較例12]
<感光体ドラムの製造>
塗布液を比較例9の感光体製造に使用した塗布液に変更した以外は、実施例13と同様に感光体ドラムを製造した。電荷発生層のヒドロキシガリウムフタロシアニンからは、0
.3ng/cmの残留α−クロロナフタレンが検出された。
<画像試験>
上記の感光体ドラム(同等品4本)を、実施例13同様に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック各色用の電子写真感光体カートリッジに装着し、25℃,50%RHの環境下で、A4用紙を縦送りで1000枚印刷した。その後、A4用紙を横送りし、全面ハーフトーン画像を印刷したところ、端部の転写負荷を繰返し強く受けた部分に濃度低下が観測され、濃度段差の画像欠陥が観測された。また、試験環境を25℃,10%RHに変更して全面ハーフトーン印刷を行ったが、それによる濃度低下は観測されなかった。
本発明で示したように特定構造を有するポリアリレート樹脂が、電気特性に優れていることを明らかとした。このようなポリアリレート樹脂は電気写真感光体で使用することが可能であり、特に、繰り返し使用時の電気特性に優れていることを明らかとした。
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (13)

  1. 式(2)で表されるビスフェノールを含む原料モノマーを重合させて得られる、式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂であって、該ポリアリレート樹脂を加水分解後、水素炎イオン化型検出器(FID)を用いたガスクロマトグラフで検出され
    る式(4)で表されるビスフェノール残基量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール残基合計量に対して、強度比で10ppm以下であることを特徴とするポリアリレート樹脂。
    Figure 2015078350
    (式(1)〜(4)中、Yはm−フェニレン基、p−フェニレン基、又は2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基から選ばれる少なくとも1つの2価の基を示す。nは1以上の整数を表す。Xは各々、単結合、―CR−、O、CO、またはSを示す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。)
  2. 水素炎イオン化型検出器(FID)を用いたガスクロマトグラフで検出される前記式(3
    )で表されるビスフェノール残基量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール残基合計量に対して、強度比で0.2%以上、1%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のポリアリレート樹脂。
  3. 前記式(3)で表されるビスフェノールが、式(3a)で表されるビスフェノールであることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアリレート樹脂。
    Figure 2015078350
    (式(3a)中、Xは、単結合、―CR−、O、CO、またはSを示す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。)
  4. 前記原料モノマーのビスフェノール純度が99%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアリレート樹脂。
  5. 式(2)で表されるビスフェノールを含む原料モノマーを重合させて得られる、式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂であって、該原料モノマー中における水素炎イオン化型検出器(FID)を用いたガスクロマトグラフで検出される式(4)
    で表されるビスフェノールの含有量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール合計量に対して、強度比で10ppm以下であることを特徴とするポリアリレート樹脂。
    Figure 2015078350
    (式(1)〜(4)中、Yはm−フェニレン基、p−フェニレン基、又は2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基から選ばれる少なくとも1つの2価の基を示す。nは1以上の整数を表す。Xは各々、単結合、―CR−、O、CO、またはSを示す。またR、Rは各々独立に、水素原子、メチル基、もしくはエチル基を示すか、又は、RとRとが結合して形成されるシクロヘキシリデン基を示す。)
  6. 前記原料モノマー中における水素炎イオン化型検出器(FID)を用いたガスクロマトグ
    ラフで検出される式(3)で表されるビスフェノールの含有量が、式(2)、式(3)及び式(4)で表されるビスフェノール合計量に対して、強度比で0.3%以上、1%以下であることを特徴とする、請求項5に記載のポリアリレート樹脂。
  7. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が請求項1〜6の何れか1項に記載のポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
  8. 前記感光層が電荷輸送層と電荷発生層とを積層してなることを特徴とする、請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 前記電荷輸送層が、下記式(7)〜(10)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1つの電荷輸送物質を含有することを特徴とする、請求項7または8に記載の電子写真感光体。
    Figure 2015078350
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置。
  11. 電子写真プロセスにおいて、前記感光体上に現像されたトナーが、中間転写体を介さずに印刷媒体に直接転写されることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
  12. 請求7〜9のいずれか1項に記載の電子写真感光体を用いた、画像形成装置用のカートリッジ
  13. 請求項1〜6の何れか1項に記載の前記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂の製造方法であって、前記式(2)で表されるビスフェノールを含むビスフェノール成分と、2価カルボン酸成分とを重合することを特徴とする、ポリアリレート樹脂の製造方法。
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