JP4872612B2 - 電子写真感光体、電子写真用カートリッジ、および画像形成装置 - Google Patents
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有機系感光体としてはいくつかの層構成が考案されているが、電荷発生と電荷輸送の機能を分離し電荷発生層、電荷輸送層を積層したいわゆる積層型感光体が、生産性が高い、安全性が高い、設計の自由度が高く、より高性能な光導電特性を持った感光体が得られることなどから精力的に研究・開発されており、現在では感光体の主流となっている。
び画像形成装置を提供することにある。
至った。すなわち本発明の第1の要旨は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が電荷輸送物質及び下記一般式(2)で表される繰り返し構造を有するポリエーテル樹脂を含有し、且つ下記一般式(2)において、Ar 1 が下記一般式(3)で表される構造であることを特徴とする電子写真感光体に存する。
また、本発明の第2の要旨は、本発明に係る電子写真感光体を有することを特徴とする、電子写真用カートリッジに存し、本発明の第3の要旨は、本発明に係る電子写真感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段と、この静電潜像をトナーで現像する現像手段と、トナーを被転写体に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置に存する。
Ar1およびAr2は、置換基を有していてもよい芳香族基を示すが、芳香族基としては、芳香族性を有する環、例えば最多数の非集積二重結合を含む環、を有するものであればどのような基でもよく、芳香族炭化水素基であっても芳香族複素環基であっても構わない。芳香族炭化水素基としては、フェニレン、ナフチレン、アントリレン等の芳香族環からなる基であっても、インデニレンのようなインデンの二価基、フルオレンの二価基、テトラリンの二価基等の芳香族環と他の炭化水素環との縮合環からなる基であっても構わない。また、芳香族複素環基としては、フランの二価基、チオフェンの二価基、ピロールの二価基等の単環式芳香族複素環基であっても、キノリンの二価基、クロメンの二価基、カルバゾールの二価基等の複合芳香族複素環基であっても構わない。
数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは6以下、より好ましくは4以下であるが、1であることが特に好ましい。置換基を含めたAr1またはAr2
全体の炭素数としては、10以上が好ましく、30以下が好ましい。特には20以下で
あることが好ましい。Ar1に結合する酸素、およびAr2に結合するR1,R2の結合位置に特に制限はないが、芳香環に結合していることが好ましい。
Ar3およびAr4は、置換基を有していてもよい芳香族基を示すが、芳香族基としては、芳香族性を有する環、例えば最多数の非集積二重結合を含む環、を有するものであればどのような基でもよく、芳香族炭化水素基であっても芳香族複素環基であっても構わない。芳香族炭化水素基としては、フェニレン、ナフチレン、アントリレン等の芳香族環からなる基であっても、インデニレンのようなインデンの二価基、フルオレンの二価基、テトラリンの二価基等の芳香族環と他の炭化水素環との縮合環からなる基であっても構わない。また、芳香族複素環基としては、フランの二価基、チオフェンの二価基、ピロールの二価基等の単環式芳香族複素環基であっても、キノリンの二価基、クロメンの二価基、カルバゾールの二価基等の複合芳香族複素環基であっても構わない。
Xが、炭化水素基部分の炭素数は、好ましくは20以下であり、さらに好ましくは10以下である。
芳香族ジオール成分としては、ビフェノール、3,5,3’,5’−テトラメチルビフェノール、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノールフタレイン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビス[2−メチルフェノール]などが挙げられる。この中でも好ましいのは、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンが挙げられ、特に好ましいのは2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタンである。
きる。例えば、相間移動重合法による製造の場合は、1種類以上の二官能性フェノール成分もしくはビスフェノール成分と、1種類以上のジハロゲン化合物成分をハロゲン系溶媒に溶解し、これに濃アルカリ水溶液を加えて加熱攪拌することで重合を行う。この際、触媒として、四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩を存在させることが好ましい。重合温度は通常40〜120℃の範囲、重合時間は2〜20時間の範囲が、生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相を分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で洗浄,回収することにより、目的とする樹脂を得ることができる。
着カラム等に流通させる方法等により、樹脂を精製しても良い。
得られた樹脂は、通常樹脂の分解温度以下の温度で乾燥するが、好ましくは20℃以上樹脂の溶融温度以下で減圧下で乾燥する。乾燥時間は残存溶媒等の不純物が一定量以下になるまでの時間以上行なうが、通常は残存溶媒が1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になるのに要する乾燥時間以上、乾燥する。
本発明に係るポリエーテル樹脂を含む感光層を有する電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を設けたものであれば、従前公知の如何なる構成の形式のものも使用することができるが、感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる積層型とが挙げられる。本発明に係るポリエーテル樹脂は、感光層を形成するどの層に用いても構わないが、単層型感光層、および積層型感光層の電荷輸送層において特に好適に用いられる。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化
珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子などが挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤などの公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、20μm以下の範囲が好ましい。
<積層型感光層>
・電荷発生層
積層型感光層を有する電子写真感光体の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
・電荷輸送層
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹
脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、
具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送層のバインダー樹脂としては、特定の構造のポリエーテル樹脂に、以下に述べる樹脂を任意の組み合わせで併用してもよい。その他の樹脂は、その目的に応じて、バインダー樹脂全体の最大50重量%まで併用することができる。本発明のポリエーテル樹脂の特長が阻害される可能性があるので、併用する他の樹脂の量は、通常30重量%以下、
好ましくは10重量%以下であり、特には本発明に係る特定の構造のポリエーテル樹脂のみであって、他のバインダー樹脂併用しないことが好ましい。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、感光層の強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。本発明に係る特定の構造を有するポリエーテル樹脂を含有する電子写真感光体として、この単層型感光層のバインダー樹脂にポリエーテル樹脂を用いることもできる。このときバインダー樹脂として、本発明に係る特定の構造のポリエーテル樹脂を単独で用いてもよいし、先に電荷輸送層のバインダー樹脂について例示した他の樹脂を、その目的に応じて、バインダー樹脂全体の最大50重量%まで併用することができる。本発明のポリエーテル樹脂の特長が阻害される可能性があるので、併用する他の樹脂の量は、通常30重量%以下、好ましくは 10重量%以下であり、特には本発明に係る特定の構造のポリエーテル樹脂のみであって
、他のバインダー樹脂併用しないことが好ましい。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と、バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。電荷輸送物質の種類並びに、電荷輸送物質とバインダー樹脂の使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、さらに電荷発生物質が分散される。
単層型感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると充分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があることから、単層型感光層全体に対して通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下の範囲で使用される。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。
<その他の機能層>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させても良い。
例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。
保護層は、導電性材料を適当なバインダー樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号、特開平10−252377号各公報に記載のトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
ム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
保護層に用いるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。
<各層の形成方法>
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5重量%以上、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なっても良い。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
レス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
[製造例1]
(実施例に係るポリエーテル樹脂の製造方法)
2000mL4口フラスコにビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(60g)、1,1’−ジクロロ−p−キシレン(41g)、2,3,6−トリメチルフェノール(0.32g)、ベンジルトリエチルアンモニウムブロミド(13.4g)、ジメチルスルホキシド(200ml)、1,2−ジクロロベンゼン(600ml)を仕込み、攪拌しながら50%水酸化ナトリウム水溶液(1200g)を30分かけて滴下した。その後これを80℃に加熱して10時間攪拌した。放冷後、分離した水相を除去しながら塩酸を加えて中和し、塩化メチレン600mlを加えて希釈した。これを遠心分離機にかけて水相と有機相とを分離した。この有機相を、撹拌中の0.1N水酸化ナトリウム水溶液(1600ml)中に徐々に投入し30分撹拌を続けて洗浄した。撹拌停止後、液を遠心分離にかけて有機相と水槽を分離した。この操作を3回行い、次に0.1N塩酸(1600ml)にて同様に洗浄を2回行い、さらに脱塩水(1600ml)にて洗浄を2回行った。
製造例1において、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(60g)の代わりに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(53g)を用いた以外は同じように実施し、目的の樹脂(ポリエーテル2)(粘度平均分子量41000)を得た。
[製造例3]
製造例1において、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(60g)の代わりに2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(60g)を用いた以外は同じように実施し、目的の樹脂(ポリエーテル3)(粘度平均分子量35000)を得た。
[製造例4]
製造例1において、1,1’−ジクロロ−p−キシレン(41g)の代わりに、1,1’−ジクロロ−p−キシレン(28g)と1,1’−ジクロロ−o−キシレン(13g)とを混合して用いた以外は同じように実施し、目的の樹脂(ポリエーテル4)(粘度平均分子量31000)を得た。
[製造例5]
製造例1において、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(60g)の代わりに、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(42g)とビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタンの混合物(18g)とを混合して用いた以外は同じように実施し、目的の樹脂(ポリエーテル5)(粘度平均分子量30000)を得た。
樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調整した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出した。
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
[感光体の作製] 二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(厚み75μm)の表面にアルミニウム蒸着層(厚み700Å)を形成した導電性支持体を用い、その支持体の蒸着層上に、以下の下引き層用分散液をバーコーターにより、乾燥後の膜厚が1.25μmとなるように塗布し、乾燥させ下引き層を形成した。
電荷輸送層のバインダー樹脂を製造例2で製造した(ポリエーテル2)とした以外は、実施例1と同様にして、感光体Bを製造した。
<実施例3>
電荷輸送層のバインダー樹脂を製造例3で製造した(ポリエーテル3)とした以外は、実施例1と同様にして、感光体Cを製造した。
<実施例4>
電荷輸送層のバインダー樹脂を製造例4で製造した(ポリエーテル4)とし、電荷輸送層の塗布溶媒をテトラヒドロフラン/トルエン(重量比8/2)混合溶媒とした以外は、実施例1と同様にして、感光体Dを製造した。
<実施例5>
電荷輸送層のバインダー樹脂を製造例5で製造した(ポリエーテル5)とした以外は、実施例4と同様にして、感光体Eを製造した。
電荷輸送層のバインダー樹脂を、下記に示す繰り返し構造のポリエステル樹脂A100重量部とした以外は、実施例4と同様にして、感光体Fを製造した。
得られた感光体A,B,C,D,E,Fを電子写真学会標準に従って作製された電子写真特性評価装置〔「続電子写真技術の基礎と応用」、(電子写真学会編、コロナ社発行、第404〜405頁記載)〕に装着し、感光体の初期表面電位が、−700Vとなるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光とした光を照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(μJ/cm2)を感度(半減露光量)とした。また、除電光に660nmのLED光を用いて照射後の残留電位(Vr)
を測定した。結果を表1に示した。
実施例1と同様の方法で電荷発生層塗布液および電荷輸送層塗布液を作成した。この塗布液を、直径30mm、長さ285mmの、表面をアルマイト処理したアルミニウム製チューブに、順次浸せき塗布することにより、乾燥後の膜厚が0.4μmの電荷発生層、膜厚20μmの電荷輸送層を積層して形成し、感光体を作製した。
実施例1と同様のアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムに、実施例1と同様の方法で下引き層を形成した。
別に、電荷発生物質として図2に示されるCuKα線による粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン(D型)を20重量部と1,2−ジメトキシエタン280重量部を混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行った。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)社製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10重量部を1,2−ジメトキシエタン253重量部と、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを85重量部の混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230重量部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を、前記導電性支持体上の下引き層上に、バーコーターにより、乾燥後の膜厚が0.3μmとなるように塗布し、乾燥させて電
荷発生層を形成した。
この上に実施例1で使用したのと同じ電荷輸送層を形成することにより、積層型感光層を有する電子写真感光体Gを製造した。
電子電荷輸送層のバインダー樹脂を製造例5で製造した(ポリエーテル5)とした以外は実施例7と同様にして、電子写真感光体Hを製造した。
[電気特性の測定]
得られた感光体G、Hについて先と同様の方法で、半減露光量と残留電位を測定した。結果を表2に示した。
実施例8と同様の方法で電荷発生層塗布液および電荷輸送層塗布液を作成した。この塗布液を、直径30mm、長さ346mmの表面をアルマイト処理したアルミニウム製チューブに、順次浸せき塗布により、乾燥後の膜厚が0.4μmの電荷発生層、膜厚25μmの電荷輸送層を積層して形成し、感光体を作製した。
この感光体を、松下電器社製デジタル複写機DP3200に搭載し、プリントしたところ良好な画像を得ることができた。また1枚目、1000枚目の画像を目視で比較したが、変化は見られなかった。
以上の結果より、本発明のポリエーテル樹脂を電荷輸送層のバインダー樹脂として用いることによって、電気特性に優れた感光体が得られ、またこの感光体を用いることにより品質の高い画像形成装置が得られることがわかる。
2 帯電装置(帯電ローラ;帯電部)
3 露光装置(露光部)
4 現像装置(現像部)
5 転写装置
6 クリーニング装置(クリーニング部)
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(定着ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙(用紙,媒体)
Claims (3)
- 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が電荷輸送物質及び下記一般式(2)で表される繰り返し構造を有するポリエーテル樹脂を含有し、且つ下記一般式(2)において、Ar 1 が下記一般式(3)で表される構造であることを特徴とする電子写真感光体。
(一般式(2)中、Ar2は置換基を有していてもよい芳香族基を示し、Ar 2 に結合するメチレン基は芳香環に結合しており、また、一般式(3)中、Xは置換基を有していてもよいメチレン基を示し、Ar 3 およびAr 4 は、置換基を有していてもよい芳香族基を示し、前記一般式(2)中の酸素はAr 3 およびAr 4 の芳香環に結合している。) - 請求項1に記載の電子写真感光体を有することを特徴とする、電子写真用カートリッジ。
- 請求項1に記載の電子写真感光体と、該感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段と、この静電潜像をトナーで現像する現像手段と、トナーを被転写体に転写する転写手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
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