JP5365164B2 - 電子写真感光体、ポリエステル樹脂、樹脂組成物、及びポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents
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Description
また、高速印刷化により、高速の電子写真プロセス対応の材料が求められている。この場合、感光体には高感度、高寿命であることの他に、露光されてから現像されるまでの時間が短くなるために応答性がよいことも求められる。感光体の応答性は電荷移動層、なかでも電荷移動物質により支配されるがバインダ樹脂によっても大きく変わることが知られている。
また、市販のポリアリレート樹脂「U−ポリマー」では耐摩耗性、感度では若干の向上が見られるものの、その塗布液の安定性が低く、塗布製造が困難であったり、滑り性が満足なものではなかった。
<I−1.ポリエステル樹脂の構造>
本発明のポリエステル樹脂は、末端の少なくとも一部にポリシロキサン構造を有するものである。ポリシロキサン構造としては、具体的には下記式(1)で表わされる構造である。
nが小さすぎると滑り性改良効果が低下する傾向がある。またnが大きすぎると樹脂や溶液としたときの透明性が失われる傾向があり、電子写真感光体のバインダ樹脂として用いた場合は、電気特性に影響を及ぼす場合がある。
Ra〜Reの炭素数は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、具体的には通常30以下、好ましくは6以下、さらに好ましくは3以下であり、特に好ましくは炭素数が1(メチル基)である。この範囲を上回ると、滑り性効果が低下するという可能性がある。
粘度平均分子量が小さすぎると感光層の耐摩耗性が低下し、また大きすぎると感光層形成用の塗布液の粘度が高くなりすぎて生産性が低下する傾向がある。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法としては、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、例えば、ジカルボン酸成分とジオール成分とを公知の重合方法で重合させる方法を挙げることができる。以下、この方法につき説明する。
ジオール成分としては、例えば、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ−(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラ−(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル等のビフェノール成分;ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノールフタルレイン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビス[2−メチルフェノール]等が挙げられる。これらのジオール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
ジカルボン酸成分としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸等が挙げられ、これらの中でも、製造上の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が好ましい。これらの成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
また、イソフタル酸、テレフタル酸成分を併用することも可能である。
本発明のポリエステル樹脂は、上述したように他の樹脂との共重合体でもよい。本発明のポリエステル樹脂と共重合体を形成させる場合、その共重合成分は本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法においては、公知の重合方法を用いることができるが、例えば、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法などが挙げられる。
重合温度は通常0℃以上40℃以下の範囲、重合時間は2時間以上12時間以下の範囲であるのが生産性の点で好ましい。
重合終了後、水相と有機相を分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂を得られる。
アルカリの使用量としては、反応系中に含まれる水酸基の1.0倍当量以上3倍当量以下の範囲が好ましい。
乾燥時間は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うことが好ましく、具体的には、残存溶媒が通常1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になる時間以上乾燥する。
本発明の樹脂組成物は、本発明のポリエステル樹脂を含有するものであり、他の樹脂を含有していてもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体及びその共重合体;ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂;等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
これら樹脂の中でもポリカーボネート樹脂が好ましい。
本発明の電子写真感光体は、導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体であって、該感光層が、本発明のポリエステル樹脂、又は本発明の樹脂組成物を含有するものである。
上述した本発明のポリエステル樹脂、及び本発明の樹脂組成物は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層中のバインダ樹脂に用いた場合に、優れた電子写真特性を発現する。以下、本発明の電子写真感光体について具体的に説明する。
導電性支持体に制限はなく、従来用いられてきた導電性支持体を用いることができる。例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料;金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料;アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等;等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性、ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、例えば、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いることができる。
これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。
本発明の電子写真感光体の感光層は、本発明のポリエステル樹脂、又は本発明の樹脂組成物を含有する。その実施形態の一例として、本発明のポリエステル樹脂、又は本発明の樹脂組成物をバインダ樹脂として用いることが挙げられる。以下、本発明のポリエステル樹脂、又は本発明の樹脂組成物を、本発明の電子写真感光体の感光層のバインダ樹脂として用いる場合を例に説明する。なお、以下、該バインダ樹脂を本発明のバインダ樹脂ということがある。
・電荷発生層
積層型感光層(機能分離型感光層)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダ樹脂で結着することにより形成される。このような電荷発生層は、具体的には、例えば本発明のバインダ樹脂を溶媒(溶質が溶解しないときは分散媒を指す。以下同様。)に溶解又は分散した溶液に、後述する電荷発生物質を溶解又は分散させて電荷発生層用塗布液を調製し、これを順積層型感光層の場合は導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層の上に)、また、逆積層型感光層の場合は後述する電荷輸送層の上に塗布することにより形成される。
電荷発生物質としては、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はなく、任意の物質を用いることが可能である。例えば、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料;有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられる。中でも、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。
これらの中でも、特にフタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダ樹脂で結着した分散層の形で使用する。
また電荷発生物質として、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光、例えば450nm、400nm近辺の波長を有するレーザーに対して十分な感度を有する電子写真感光体を得ることができる。
混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生層に用いることができるバインダ樹脂としては、本発明のバインダ樹脂やその他の樹脂が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いることができる。その他の樹脂の具体例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂;ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼイン;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂;ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマー;などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は、これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で混合して用いてもよい。
電荷発生層において、バインダ樹脂と電荷発生物質との使用比率(重量)は、バインダ樹脂100重量部に対して、電荷発生物質が通常10重量部以上、好ましくは30重量部以上、また、通常1000重量部以下、好ましくは500重量部以下である。
電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により電荷発生層用塗布液の安定性が低下する可能性がある。一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、電子写真感光体としての感度の低下を招く可能性がある。
電荷発生層用塗布液の作製に用いられる溶媒としては、バインダ樹脂を溶解させるものであれば特に制限されない。例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒;トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒;ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒;グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類;アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒;ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒;アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒;n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物;リグロイン等の鉱油;水;などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
具体的には、電荷発生層用塗布液の固形分濃度は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常15重量%以下、好ましくは10重量%以下の範囲とする。
電荷発生層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。
電荷発生層用塗布液の調製時に電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが好ましい。
積層型感光層(機能分離型感光層)の場合、電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダ樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダ樹脂とを溶媒(溶質が溶解しないときは分散媒を指す。以下同様。)に溶解又は分散して電荷輸送層用塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層の上に)塗布することにより形成される。
電荷輸送物質としては、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はなく、任意の物質を用いることが可能である。例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。
これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
電荷輸送層に用いることができるバインダ樹脂としては、本発明のバインダ樹脂や、その他の樹脂が挙げられ、これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いることができる。その他の樹脂の具体例としては、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。
中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂が好ましい。これらのバインダ樹脂は、適当な硬化剤を用いて熱、光等により架橋させて用いることもできる。これらのバインダ樹脂は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
電荷輸送層において、バインダ樹脂と電荷輸送物質との使用比率(重量)は、バインダ樹脂100重量部に対して、電荷輸送物質を通常20重量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から30重量部以上が好ましく、更には、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から40重量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常150重量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送材料とバインダ樹脂との相溶性の観点から110重量部以下が好ましく、耐刷性の観点から80重量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から70重量部以下が特に好ましい。
電荷輸送層の作製に用いる溶媒は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はない。電荷輸送層の機能の発揮を阻害しなければ、溶媒の使用量に制限はないが、選択した溶媒の性質を考慮して、電荷輸送層用塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
具体的には、電荷輸送層用塗布液の固形分濃度は、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下の範囲とする。
電荷輸送層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、長寿命、画像安定性の観点、更には高解像度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更には30μm以下の範囲とする。この範囲を下回ると摩耗により電子写真感光体の寿命が短くなる可能性がある。また、この範囲を上回ると露光光や電荷の拡散により画像の解像度が低下する傾向がある。
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダ樹脂を使用して形成する。このような単層型感光層は、具体的には、例えば電荷発生物質と電荷輸送物質とバインダ樹脂とを溶媒(溶質が溶解しないときは分散媒を指す。以下同様。)に溶解又は分散して単層型感光層用塗布液を調製し、これを導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。単層型感光層用塗布液を調製する際に、電荷輸送物質、電荷発生物質、バインダ樹脂、その他の成分の混合の順序に制限はないが、溶媒に電荷輸送物質、及びバインダ樹脂を溶解又は分散させ、さらに電荷発生物を溶解又は分散し、その他の成分を溶解又は分散させることが好ましい。
電荷輸送物質としては、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様のものが使用できる。また、好ましい範囲も同様である。これらの電荷輸送物質は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。電荷輸送物質のバインダ樹脂に対する使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。
バインダ樹脂としては、本発明のバインダ樹脂(則ち、本発明のポリエステル樹脂、若しくは本発明の樹脂組成物)を用いる。また、本発明のバインダ樹脂から1種類を単独で用いてもよく、または本発明のバインダ樹脂から2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。さらにはこれらの本発明のバインダ樹脂に加えて、1種又は2種以上のその他の樹脂を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。電荷発生層に用いることができる、バインダ樹脂の具体例としては、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。また、好ましい範囲も同様である。これらの電荷輸送物質は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくすることが好ましい。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下である。
単層型感光層の作製に用いる溶媒は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はない。単層型感光層の機能の発揮を阻害しなければ、溶媒の使用量に制限はないが、選択した溶媒の性質を考慮して、単層型感光層用塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
単層型感光層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。この範囲を下回ると摩耗により電子写真感光体の寿命が短くなる可能性がある。また、この範囲を上回ると露光光や電荷の拡散により画像の解像度が低下する傾向がある。
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させてもよい。
さらに必要に応じて、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層など、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよい。
電子写真感光体を構成する各層の形成方法について説明する。なお、各層の説明において、形成方法を説明している場合には、該説明が本説明に優先する。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(以下、適宜「本発明の画像形成装置」ということがある。)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
[製造例1(ポリエステル樹脂(A)の製造法)]
500mLビーカーに、水酸化ナトリウム(8.59g)とH2O(400ml)とを秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.59g)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,メチルフェニル)エタン(23.02g)、下記式(4−5)に示すポリシロキサン誘導体(ポリシロキサンの平均重合度n=32)(1.29g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.25g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
ポリエステル樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出した。
500mLビーカーに、水酸化ナトリウム(6.74g)とH2O(400ml)とを秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,メチルフェニル)エタン(22.16g)、前記式(4−5)に示すポリシロキサン誘導体(ポリシロキサンの平均重合度n=32)(10.17g)、およびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.20g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
1Lビーカーに、水酸化ナトリウム(18.29g)とH2O(850ml)とを秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこにビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(43.83g)、前記式(4−5)に示すポリシロキサン誘導体(ポリシロキサンの平均重合度n=32)(23.29g)、およびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.46g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
[実施例1]
下引き層用塗布液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。
この分散液を、上述の下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
<摩擦試験>
トナーを上記で作成した電子写真感光体の上に0.1mg/cm2となるよう均一に乗せ接触させる面にクリーニングブレードと同じ材質のウレタンゴムを1cm幅に切断したものを用い45度の角度で用い、荷重200g、速度5mm/sec、ストローク20mmでウレタンゴムを100回移動させたときの100回目の動摩擦係数を協和界面化学(株)社製全自動摩擦摩耗試験機DFPM−SSで測定した。結果を表1に示す。
<摩耗試験>
感光体フィルムを直径10cmの円状に切断しテーバー摩耗試験機(東洋精機社製)により、摩耗評価を行った。試験条件は、23℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転後の摩耗量を試験前後の重量を比較することにより測定した。結果を表1に示す。
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記電子写真感光体をアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと電子写真感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いたポリエステル樹脂(A)を下記繰り返し構造からなるポリエステル樹脂(D)(粘度平均分子量41,000)に変えた以外は、実施例1と同様にして感光体シートを作製した。得られた電子写真感光体の摩擦試験、摩耗試験及び電気特性の評価を実施例1と同様の方法により同条件で行った。結果を表1に示す。
実施例1中のポリエステル樹脂(A)に替えて、製造例2で製造したポリエステル樹脂(B)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を製造した。このときポリエステル樹脂の溶解性は良好であった。得られた電子写真感光体の摩擦試験、摩耗試験及び電気特性の評価を実施例1と同様の方法により同条件で行った。結果を表1に示す。
実施例1中のポリエステル樹脂(A)に替えて、製造例2で製造したポリエステル樹脂(B)を5部と前述のポリエステル樹脂(D)を95部用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を製造した。このときポリエステル樹脂の溶解性は良好であった。得られた電子写真感光体の摩擦試験、摩耗試験及び電気特性の評価を実施例1と同様の方法により同条件で行った。結果を表1に示す。
実施例1中のポリエステル樹脂(A)に替えて、製造例3で製造したポリエステル樹脂(C)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を製造した。このときポリエステル樹脂の溶解性は良好であった。得られた電子写真感光体の摩擦試験、摩耗試験及び電気特性の評価を実施例1と同様の方法により同条件で行った。結果を表1に示す。
実施例1中のポリエステル樹脂(A)に替えて、製造例3で製造したポリエステル樹脂(C)を5部と前述のポリエステル樹脂(D)を95部用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、電子写真感光体を製造した。このときポリエステル樹脂の溶解性は良好であった。得られた電子写真感光体の摩擦試験、摩耗試験及び電気特性の評価を実施例1と同様の方法により同条件で行った。結果を表1に示す。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙
Claims (9)
- 導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体であって、
該感光層が、末端の少なくとも一部に式(1)で表わされるポリシロキサン構造を有し、かつ、式(2)で表わされる繰り返し単位を含むポリエステル樹脂を含有する
ことを特徴とする、電子写真感光体。
- 前記式(1)で表わされるポリシロキサン構造を、ポリエステル樹脂全量中0.01重量%以上25重量%以下含む
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体。 - 該感光層が、該ポリエステル樹脂を含有する樹脂組成物を含有し、
該樹脂組成物中に、前記式(1)で表わされるポリシロキサン構造を0.01重量%以上5重量%以下含む
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の電子写真感光体。 - 末端の少なくとも一部に式(1)で表わされるポリシロキサン構造を有するポリエステル樹脂であって、
該ポリエステル樹脂が式(2)で表わされる繰り返し単位を含む
ことを特徴とする、ポリエステル樹脂。
- 前記式(1)で表わされるポリシロキサン構造を、ポリエステル樹脂全量中0.01重量%以上25重量%以下含む
ことを特徴とする、請求項5または請求項6に記載のポリエステル樹脂。 - 請求項5〜7の何れか一項に記載のポリエステル樹脂を含有する樹脂組成物であって、
該樹脂組成物中に、前記式(1)で表わされるポリシロキサン構造を0.01重量%以上25重量%以下含む
ことを特徴とする、樹脂組成物。 - 請求項5〜7の何れか一項に記載のポリエステル樹脂の製造方法であって、
ジカルボン酸成分とジオール成分との重合時に、一官能性フェノール構造を有するポリシロキサン、又はそのアルカリ塩を共存させる
ことを特徴とする、ポリエステル樹脂の製造方法。
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