JP5741180B2 - 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5741180B2 JP5741180B2 JP2011096325A JP2011096325A JP5741180B2 JP 5741180 B2 JP5741180 B2 JP 5741180B2 JP 2011096325 A JP2011096325 A JP 2011096325A JP 2011096325 A JP2011096325 A JP 2011096325A JP 5741180 B2 JP5741180 B2 JP 5741180B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- formula
- resin
- layer
- substituent
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Description
有機系の光導電材料を用いた感光体としては、電荷発生物質をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる単層型感光体、電荷発生層及び電荷移動層を積層した積層型感光体とが知られている。なかでも、積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、及び電荷移動物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また感光層を塗布により容易に形成可能で生産性が高く、コスト面でも有利なことから感光体の主流であり、鋭意開発され実用化されている。
一方で、近年、省スペース化の観点から、さらなる画像形成装置の小型化が求められている。この場合、画像形成装置の小型化の実現のため、感光体は30mmφ等の小径型が用いられる。感光体の小径化にともない感光層中の内部応力が増大し、その結果、支持体と感光層との接着性が悪くなり剥離やクラック等の欠陥が発生しやすくなる。加えて、感光体長寿命化のため感光層を厚膜化すると、より内部応力が増し接着性が悪化する。したがって、今日の電子写真感光体には、耐磨耗性だけではなく、十分な接着性が求められる。感光層の耐磨耗性に重大な影響を与えるバインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂が用いられている。数あるバインダー樹脂のなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている(特許文献1〜特許文献3参照)。
価フェノール成分を用いたポリアリレート樹脂をバインダー樹脂とすることで、電子写真感光体を製造する際に用いる塗布溶液の安定性の向上、および電子写真感光体の機械的強度、耐摩耗性の改良が報告されている(特許文献5、特許文献6参照)。また、ポリアリレート樹脂のジカルボン酸成分にジフェニルエーテルジカルボン酸成分を用いることで、感光体の機械的強度が改良することも報告されている(特許文献7〜特許文献9参照)。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、実用上の負荷に対する耐摩耗性に優れ、高い機械的強度を保ちつつ電気特性に優れ、感光層形成用塗布液の安定性が高く、さらに基板との接着性に優れたバインダー樹脂を含有する電子写真感光体を提供することにある。
メチルフェニル)エタンを表し、Cは下記式(5)に示す構造、Xは下記式(6)に示す
構造を表し、YおよびZは2価カルボン酸残基を表す。但し、b=0の場合を除く。)
立に水素原子またはメチル基を表す。)
ゲン基、またはアルコキシ基のいずれかを表し、n1,m1は、各々独立に0〜4の整数を表す。)
請求項2に係る発明は、前記式(2)が下記式(7)で表される構造であり、且つ前記式(3)が下記式(8)で表される構造であることを特徴とする前記の電子写真感光体である。
たは置換基を有してもよい2価の複素環基を表す。m1,m2は、各々独立して0または1を表す。Qは、直接結合または2価の残基を表す。R24〜R31は各々独立して水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。n1〜n4は各々独立して0〜4の整数を表す。また、Ar5〜Ar10は互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
請求項4に係る発明は、前記の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、並びに前記トナーを被転写体に転写する転写手段のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする、電子写真カートリッジである。請求項5に係る発明は、前記の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手
段と、帯電した該電子写真感光体に対する露光により静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記トナーを被転写体に転写する転写手段、前記被転写体に転写された前記トナーを定着させる定着手段とを備えることを特徴とする、画像形成装置である。
本発明の電子写真感光体は、感光層中にバインダー樹脂として、下記≪1.ポリエステル樹脂≫にて詳述する特定の二価フェノールを特定の共重合比率で含有するポリエステル樹脂を用いることにより、感光層形成用塗布時に用いる溶媒に対して高い溶解性を有し、また優れた耐磨耗性や電気特性等の諸特性を示すだけでなく、さらに基板と感光層が十分に接着性に優れたものとなる。この接着性の向上は、下記≪1.ポリエステル樹脂≫にて詳述する特定のポリエステル樹脂を含有させることで、感光層内の残留応力を低下させたためであると考えられる。この理由については明らかではないが、下記に詳述する式(2)や式(3)のような直線型ではない特定構造の二価フェノールを樹脂構造中に特定量含むことで、樹脂全体がほどよく柔軟になり残留応力を緩和するためと考えられる。
本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層は、下記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂を含有する。
に水素原子またはメチル基を表す。
式(2)中のR1及びR2としては、例えば、水素原子、炭素数1〜炭素数6のアルキル
基が挙げられるが、式(2)で示される二価フェノール残基を誘導する二価フェノール化合物の製造上の簡便性を考慮すれば、R1及びR2として、水素原子、炭素数4以下のアル
キル基が好ましく、水素原子、炭素数1のアルキル基(メチル基)が特に好ましい。
式(3)中のR5及びR6としては、例えば、水素原子、炭素数1〜炭素数6のアルキル基が挙げられるが、式(3)で示される二価フェノール残基を誘導する二価フェノール化合物の製造上の簡便性を考慮すれば、R5及びR6として、水素原子、炭素数4以下のアルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1のアルキル基(メチル基)が特に好ましい。
式(1)中、Bは下記式(4)の構造の二価フェノールを表す。
原子またはメチル基を表す。
式(4)の具体例としては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ブタン等が挙げられる。これらの中でも、溶解性および耐磨耗性を考慮すれば1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタンが好ましい。これらの二価フェノール成分は、複数組み合わせて用いることも可能である。
式(1)中、Cは下記式(5)に示す構造の二価フェノールを表す。
結合、アルキレン基、−CR20R21−、酸素原子、硫黄原子のいずれかを示す。R20,R21は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族基、またはR20とR21が互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成する基のいずれかを表す。
この置換基を有してもよい炭素数1以上20以下のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、クロロメチル基、フッ化アルキル基、ベンジル基等が挙げられる。
R12〜R19における、置換基を有してもよい芳香族基の具体例としては、フェニル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。
R12〜R19における好ましい組み合わせとしては、R13、R15、R16、R18が水素原子であり、R12、R14、R17、R19が水素原子もしくは炭素数1以上3以下のアルキル基である。機械物性の観点から、特に好ましくは、R13、R14、R15、R16、R18、R19が水素原子であり、R12、R17が水素原子またはメチル基である。
が挙げられる。
R20及びR21における、置換基を有してもよいアルキル基は、通常、炭素数20以下のアルキル基であり、好ましくは炭素数6以下であり、さらに好ましくは炭素数3以下であり、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロヘキシル基、等が挙げられる。
R20及びR21における、R20とR21が互いに結合して置換基を有してもよい環を形成する基は、通常、炭素数10以下のシクロアルキリデン基であり、好ましくは炭素数8以下であり、更に好ましくは炭素数6以下であり、具体例としては、シクロヘキシリデン基、等が挙げられる。
−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。
式(6)中のR22及びR23としては、例えば、水素原子、炭素数1〜炭素数6のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。式(6)で示される二価カルボン酸残基を誘導する二価カルボン酸化合物の製造上の簡便性を考慮すれば、R22及びR23は、水素原子、炭素数1のアルキル基(メチル基)が特に好ましい。
式(6)で示される二価カルボン酸残基を誘導する二価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、製造上の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が特に好ましい。これらの式(6)として例示した化合物は、必要に応じて複数の化合物を組み合わせて用いることも可能である。
、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が挙げられる。ジカルボン酸成分の製造の簡便性を考慮すれば、イソフタル酸、テレフタル酸、式(6)で表されるジカルボン酸が好ましく、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が特に好ましい。これらの式(1)中のYおよびZとして例示した化合物は、同一でも良く、また、必要に応じて複数の化合物を組み合わせて用いることも可能である。
尚、本実施の形態が適用される電子写真感光体における感光層には、前述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂と他の樹脂とを混合して用いることも可能である。ここで混合される他の樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体またはその共重合体;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂または種々の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂とポリエステル樹脂が好ましい。また、併用する樹脂の混合割合は、特に限定されないが、通常、式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂の割合を超えない範囲で併用することが好ましい。
次に、本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用する式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂の製造方法について説明する。ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法等の公知の重合方法を用いることができる。ここでポリエステル樹脂の製造法の一例を説明する。
しい。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。
また他の精製方法としては、例えば、生成したポリエステル樹脂の溶液を、ポリエステル樹脂が不溶の溶媒中に析出させる方法、ポリエステル樹脂の溶液を温水中に分散させ溶媒を留去する方法、又はポリエステル樹脂溶液を吸着カラム等に流通させる方法等により精製してもよい。
乾燥時間は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うことが好ましく、具体的には、残存溶媒が通常1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になる時間以上乾燥する。
本実施の形態が適用される電子写真感光体は、導電性支持体上に設けた感光層を有し、感光層が、上述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂を含有するものである。感光層の具体的な構成としては、例えば、導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層とを積層した積層型感光体;導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させた感光層を有する分散型(単層型)感光体等が挙げられる。上述した式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂は、通常、電荷輸送物質を含有する層に用いられ、好ましくは積層型感光体の電荷輸送層に用いられる。
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、または樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもかまわない。
機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いても良い。
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。
<3−3−1.積層型感光層>
・電荷発生層
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。
料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
が好適に用いられる。
電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下するおそれがある一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招くおそれがある。
・電荷輸送層
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
式(9)中、Ar1〜Ar4としては、6〜20の炭素原子を有するアリール基が好ましく、それぞれ同一でも異なっていても良い。例えば、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニルが挙げられる。製造コストの面で、フェニル、ナフチルのような6〜10の炭素原子を有するアリール基が特に好ましい。
さらに、前記電荷輸送物質は、下記式(11)で表される化合物であることが好ましい。
示し、mは0〜4の整数を表す。
式(11)中、Ar19〜Ar24としては、6〜20の炭素原子を有するアリール基が好ましく、それぞれ同一でも異なっていても良い。例えば、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アントリル、フェナントリル、ピレニルが挙げられる。製造コストの面で、フェニル、ナフチルのような6〜10の炭素原子を有するアリール基が特に好ましい。
そうした置換基あるいは一価の有機残基Zとしては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルアミノ基、炭素数6〜10のアリール基などが挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、フェニル、4−トリル、4−エチルフェニル、4−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。中でも、電気特性の面から、炭素数1〜4の炭化水素基が特に好ましい。
24〜R31は、各々独立して水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。n1〜n4は、各々独立して0〜4の整数を表す。また、Ar5〜Ar10は互いに結合して環状構造を形成してもよい。
一般式(10)中、R24〜R31がアルキル基の場合、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの内炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。アルキル基がアリール置換基を有する場合は、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましい。
R24〜R31において、最も好ましいものは、メチル基及びフェニル基である。
基、ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基または上述したアミノ基の置換基を組み合わせたジ置換アミノ基等の置換アミノ基;さらに、シアノ基、ニトロ基、水酸基等が挙げられる。これらの置換基は互いに結合して、単結合、メチレン基、エチレン基、カルボニル基、ビニリデン基、エチレニレン基等を介した環状炭化水素基や複素環基を形成してもよい。
一般式(10)中、Qは、直接結合又は2価の残基を表し、2価の残基として好ましいものは、16族原子、置換基を有しても良いアルキレン、置換基を有しても良いアリーレン基、置換基を有しても良いシクロアルキリデン基、またはこれらが互いに結合した、例えば[−O−Z−O−]、[−Z−O−Z−]、[−S−Z−S−]、[−Z−Z−]等が挙げられる(但し、Oは酸素原子、Sは硫黄原子、Zは置換基を有しても良いアリーレン基または置換基を有しても良いアルキレン基を表す)。
本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層を構成する電荷輸送層に含有される電荷輸送物質の具体例としては、例えば、特開平9−244278号公報に記載されるアリールアミン系化合物、特開2002−275133号公報に記載されるアリールアミン系化合物、特開2009−20504号公報に記載されるエナミン系化合物等が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独で用いても良いし、いくつかを混合しても良い。これらの電荷輸送物質がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、単一の層から成っても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。
り架橋させて用いることもできる。
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させても良い。
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られ
た塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
<4.画像形成装置>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装
置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写など
の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー,転写ローラ,転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除
電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
[ポリエステル樹脂の製造]
製造例1(ポリエステル樹脂(1)の製造法)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.98g)とH2O(470ml)を秤
取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.43g)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン(以下、BP−a)、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン(以下、BP−b)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(以下、BP−c)の混合物(混合比率、BP−a:BP−b:BP−c=17:45:38(以下、BP−d))(15.80g)と、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,メチルフェニル)エタン(8.20g)(以下、BP−e)およびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.30g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(392mL)を加え、撹拌を10時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を、0.1規定塩酸(471mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(471mL)にて洗浄を2回行った。
ポリエステル樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計
を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量(Mv)を算出した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
製造例2(ポリエステル樹脂(2)の製造法)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.98g)とH2O(470ml)を秤
取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.39g)、BP−a、BP−bの混合物(混合比率、BP−a:BP−b=60:40(以下、BP−f))(15.82g)と、BP−e(8.20g)およびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.30g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(392mL)を加え、撹拌を10時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(471mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(471mL)にて洗浄を2回行った。
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.99g)とH2O(470ml)を秤
取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.21g)、BP−a、BP−bの混合物(混合比率、BP−a:BP−b=60:40(以下、BP−f))(15.91g)と、BP−e(8.25g)およびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.29g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(700mL)を加え、撹拌を10時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(700mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(700mL)にて洗浄を2回行った。
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(10.60g)とH2O(470ml)を秤
取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.588g)、BP−d(6.49g)と、BP−e(18.33g)およびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.29g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶
液を2L反応槽に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(391mL)を加え、撹拌を10時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(471mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(471mL)にて洗浄を2回行った。
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(11.30g)とH2O(470ml)を秤
取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.32g)、BP−d(23.3g)およびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.30g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(391mL)を加え、撹拌を10時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(471mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(471mL)にて洗浄を2回行った。
[実施例1]
<下引き層用分散液の作製>
下引き層用分散液は以下のように作製した。平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールのボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、75%/9.5%/3%/9.5%/3%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層分散液とした。
電荷発生層形成用塗布液は以下のように作製した。電荷発生物質として、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示す、Y型(別称D型)オキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン
280部とを混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いてこの微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部との混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液を調製した。
電荷輸送層用塗布液は以下のように作成した。電荷輸送物質として、下記に示す構造を主成分とする、幾何異性体の化合物群からなる、特開2002−080432号公報の実施例1に記載の方法で製造した混合物(CTM−1)を75質量部と、製造例1で製造したポリエステル樹脂(1)を100質量部、酸化防止剤(イルガノックス1076)4質量部、シリコーンオイル(信越化学株式会社製、商品名KF96)0.05質量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)640質量部に混合し、電荷輸送層用塗布液を調液した。
続いて、前記のようにして得られた電荷発生層形成用塗布液を、上記下引層上に、乾燥後の膜厚が約0.3μmになるように浸漬塗布し、室温で乾燥して電荷発生層を設けた。
[実施例2]
電荷輸送材(CTM−1)75質量部を、下記式で表わされる、特開2009−20504号公報の実施例4に記載の方法で製造した電荷輸送材(CTM−2)50質量部に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体ドラムを作成した。
ポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂2に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体ドラムを作成した。
[実施例4]
ポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂3に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体ドラムを作成した。
ポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂4に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体ドラムを作成した。
[比較例2]
ポリエステル樹脂1を、特開2006−53549号公報の実施例6に記載の方法で製造した下記に示す構造を有するポリエステル樹脂6(粘度平均分子量40,000)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体ドラムを作成した。
ポリエステル樹脂1をポリエステル樹脂5に変えた以外は実施例1と同様にして、電荷輸送層形成用塗布液の作成を行ったが、ポリエステル樹脂5の溶解性が悪く塗布液が白濁したため、塗布を行わなかった。
[電気特性]
電子写真学会測定標準に従って製造された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)を使用し、上記感光体を一定回転数120rpmで回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、感光体の初期表面電位が−(マイナス。以下同じ。)700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを1.0μJ/cm2で露光後に測定した表面電位(以下、VLと呼ぶことがある。)を残留電位とした。測定結果を表1に示す。残留電位が低いほど、電気特性は良好である。
これらの感光体を市販のカラープリンターCOREFIDO C711dn((株沖データ社製)に装着して常温常湿下において40,000枚のプリントを行った。プリント前後の膜厚の差から、10,000枚あたりの膜減り量を計算した。結果を表1に示す。膜減り量が少ないほど、耐磨耗性が良好である。
これらの感光体をJIS規格(JIS K5400)に準拠して、5mm角9目の碁盤目試験を実施し、テープを接着、剥離した後に残存した碁盤目の個数を測定した。
○:残存した碁盤目の数が7〜9(良好)
△:残存した碁盤目の数が2〜6(実用性あり)
×:残存した碁盤目の数が0〜1(不適)
結果を表1に示す。
分な結果が得られないことが分かる。また、比較例3より、式(1)中のa/(a+b+c)が0.6より大きい場合、電荷輸送層形成用塗布液として十分な溶解性が得られないことが分かる。
供できることを明らかとした。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙
Claims (5)
- 導電性支持体と少なくとも前記導電性支持体上に形成された感光層とを有する電子写真感光体であって、前記感光層は前記導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層であり、前記電荷輸送層に下記式(1)で表される繰り返し構造を有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
メチルフェニル)エタンを表し、Cは下記式(5)に示す構造、Xは下記式(6)に示す
構造を表し、YおよびZは2価カルボン酸残基を表す。但し、b=0の場合を除く。)
各々独立に水素原子またはメチル基を表す。)
- 前記感光層が下記式(9)または下記式(10)で表される電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
ていてもよいアリール基を表す。)
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、並びに前記トナーを被転写体に転写する転写手段のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする、電子写真カートリッジ。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該電子写真感光体に対する露光により静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記トナーを被転写体に転写する転写手段、前記被転写体に転写された前記トナーを定着させる定着手段とを備えることを特徴とする、画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011096325A JP5741180B2 (ja) | 2011-04-22 | 2011-04-22 | 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011096325A JP5741180B2 (ja) | 2011-04-22 | 2011-04-22 | 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012226275A JP2012226275A (ja) | 2012-11-15 |
JP5741180B2 true JP5741180B2 (ja) | 2015-07-01 |
Family
ID=47276473
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011096325A Active JP5741180B2 (ja) | 2011-04-22 | 2011-04-22 | 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5741180B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014123114A (ja) * | 2012-11-20 | 2014-07-03 | Mitsubishi Chemicals Corp | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 |
JP6337553B2 (ja) * | 2013-03-25 | 2018-06-06 | 三菱ケミカル株式会社 | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置 |
JP6592943B2 (ja) * | 2015-04-10 | 2019-10-23 | 三菱ケミカル株式会社 | 電子写真感光体、及び画像形成装置 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4517964B2 (ja) * | 2004-07-16 | 2010-08-04 | 三菱化学株式会社 | 電子写真感光体 |
JP2008293006A (ja) * | 2007-04-27 | 2008-12-04 | Mitsubishi Chemicals Corp | 電子写真感光体 |
JP5614011B2 (ja) * | 2008-08-27 | 2014-10-29 | 三菱化学株式会社 | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジおよび画像形成装置 |
-
2011
- 2011-04-22 JP JP2011096325A patent/JP5741180B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012226275A (ja) | 2012-11-15 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4517964B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP5527467B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP5481829B2 (ja) | 電子写真感光体、並びにそれを備えたカートリッジ及び画像形成装置 | |
JP5365164B2 (ja) | 電子写真感光体、ポリエステル樹脂、樹脂組成物、及びポリエステル樹脂の製造方法 | |
WO2014021341A1 (ja) | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、画像形成装置、及びトリアリールアミン化合物 | |
JP2007320925A (ja) | トリアリールアミン系化合物並びにそれを用いた電子写真感光体及び画像形成装置 | |
JP4246621B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP6380124B2 (ja) | 電子写真感光体、画像形成装置、及びポリエステル樹脂 | |
JP6160370B2 (ja) | 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、画像形成装置、及びトリアリールアミン化合物 | |
JP4862661B2 (ja) | 感光層形成用塗布液、電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ及び画像形成装置 | |
JP5741180B2 (ja) | 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置 | |
JP6123338B2 (ja) | 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置 | |
JP5593818B2 (ja) | 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置 | |
JP6592943B2 (ja) | 電子写真感光体、及び画像形成装置 | |
JP6070261B2 (ja) | 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置 | |
JP4214866B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP5593817B2 (ja) | 電子写真感光体、電子写真カートリッジ、及び画像形成装置 | |
JP5040319B2 (ja) | 正帯電型電子写真感光体、画像形成装置、画像形成方法及び電子写真感光体カートリッジ | |
JP4872612B2 (ja) | 電子写真感光体、電子写真用カートリッジ、および画像形成装置 | |
JP4475065B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP4835683B2 (ja) | 電子写真感光体 | |
JP5353083B2 (ja) | 電子写真感光体および該感光体を用いた画像形成装置 | |
JP4793218B2 (ja) | 電子写真感光体、および該感光体を用いた画像形成装置 | |
JP4400288B2 (ja) | 電子写真感光体、該電子感光体を用いたドラムカートリッジおよび画像形成装置 | |
JP2015017224A (ja) | ポリアリレート樹脂、及びそれを用いた電子写真感光体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140116 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20141022 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20141028 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20141208 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20150106 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20150304 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20150311 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150331 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150413 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5741180 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |