JP6569394B2 - 電子写真感光体、及びポリアリレート樹脂の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体、及びポリアリレート樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は特定のポリアリレート樹脂を含有する電子写真感光体、及び該ポリアリレート樹脂の製造方法に関する。
ポリアリレート樹脂は、機械的強度に優れ、非晶性であるエンジニアリングプラスチックの一つとして知られている。このポリアリレート樹脂の構造に関しては、これまで求められる特性に対して様々な提案がされている。近年、電気、電子分野などで透明性、耐摩耗性に優れた塗布膜用樹脂の要求が高まっており、その中でも電子写真分野においては、有機感光体のバインダー樹脂として、様々な構造のポリアリレート樹脂の利用が検討されている。
電子写真感光体分野へのポリアリレート樹脂の応用としては、市販されている「U−ポリマー」を感光層のバインダー樹脂として用いることにより、感度が向上することが報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、このポリアリレート樹脂を溶剤に溶解して調製した際の塗布液の安定性が低く、塗布製造が困難な場合があった。この問題に対し、特定構造の2価フェノール成分及び2価カルボン酸成分を用いたポリアリレート樹脂をバインダー樹脂とすることで、電子写真感光体を製造する際に用いる塗布溶液の安定性の向上、及び電子写真感光体の機械的強度、耐摩耗性の改良が報告されている(特許文献2〜特許文献4参照)。また、耐摩耗性、溶剤溶解性に優れた、特定構造の二価カルボン酸残基を有するポリアリレート樹脂も報告されている(特許文献5参照)。
一方、ポリアリレート樹脂中の窒素化合物の量を100ppm以内とすることで電気特性と表面性能が両立できるとの報告があるが(特許文献6参照)、原料となる酸塩化物の窒素含有量を制御することにより、電子写真感光体の電気特性に影響があることについては検討されていない。
特開昭56−135844号公報 特開平3−6567号公報 特開平9−22126号公報 特開平9−319129号公報 特開2006−290959号公報 特許第4198160号公報
本発明は、特定の窒素含量の酸塩化物を原料としたポリアリレートの製造方法、及び該ポリアリレート樹脂をバインダー樹脂として使用することで電気的特性と耐久性に優れた電子写真感光体を提供すること目的とする
本発明者らは、上記の課題を解決しうる電子写真感光体について鋭意検討を行なった結果、感光層に特定のポリアリレート樹脂を含有させることにより、優れた電気的特性と耐久性を備えた電子写真感光体を得ることができることを見出し、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。即ち、本発明の要旨は以下<1>〜<6>に存する。
<1> 導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体であって、前記感光層が、窒素原子の質量比が0.1ppm以上10ppm以下である酸塩化物と、ビスフェノールとを反応させて得られる、窒素原子の質量比が15ppm以上100ppm以下であるポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする、電子写真感光体。
<2> 前記酸塩化物の構造が下記構造式(1)で表されることを特徴とする、<1>に記載の電子写真感光体。
Figure 0006569394
(式(1)中、Xは酸素原子、又は単結合、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基、n及びmは0〜2の整数を表す。)
<3> 前記ビスフェノールが、下記構造式(2)で表されるビスフェノール残基を含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
Figure 0006569394
(式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ベンジル基、又はアリール基を示し、X1は単結合、アルキレン基、−CR10−、酸素原子、又は硫黄原子を示
す。R、R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又はRとR10が互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成する基を示す。)
<4> 前記ポリアリレート樹脂の粘度平均分子量が、20,000〜100,000であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
<5> 酸塩化物と、ビスフェノールとを用いて反応を行うポリアリレート樹脂の製造方法であって、前記酸塩化物中の窒素原子の質量比が10ppm以下であることを特徴とする、ポリアリレート樹脂の製造方法。
<6> 前記酸塩化物の構造が下記構造式(1)で表されることを特徴とする、<5>に記載のポリアリレート樹脂の製造方法。
Figure 0006569394
(式(1)中、Xは酸素原子、又は単結合、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基、n及びmは0〜2の整数を表す。)
本発明によれば、優れた電気特性と耐久性を備えた電子写真感光体を提供することができる。
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置の、一実施態様の要部構成を示す概念図である。 実施例で、電荷発生層形成用塗布液に用いたオキシチタニウムフタロシアニンの、CuKα特性X線によるX線回折スペクトルを示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<ポリアリレート樹脂>
本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層は、窒素原子の質量比が0.1ppm以上10ppm以下である酸塩化物と、ビスフェノールとを反応させて得られる、窒素原子の質量比が15ppm以上100ppm以下であるポリアリレート樹脂を含有する。
本発明で用いられる酸塩化物は、窒素原子の質量比が0.1ppm以上、好ましくは0.5ppm以上、より好ましくは2ppm以上である。0.1ppmよりも少なくすることは、原料等の精製にかかる負荷が大きくなり、工業的には非現実的である。また、上限は10ppm以下、好ましくは9ppm以下、より好ましくは8ppm以下である。10ppmよりも多い酸塩化物を原料として用いた樹脂を電子写真感光体の感光層に使用すると、電気特性の点で好ましくない。
酸塩化物の製法としては一般的には、ヴィルスマイヤー試薬を用いる方法がよく知られているが(実験化学講座第5版16巻 102ページ参照)、この方法では生成する酸塩化物の窒素含量は高くなりやすい。この場合は、これを再結晶等の精製操作を繰り返すことにより、窒素含量を低くすることができる。また、塩素ガスを原料に用いて窒素含有化合物を用いることなく酸塩化物を製造する方法(特開2014-201548号公報参照)は、窒素含量の
少ない酸塩化物を製造する方法として工業的に有用な方法である。
酸塩化物の製造に窒素含有化合物を用いた後に精製により窒素含量を減らした酸塩化物と、窒素含有化合物を用いることなく製造した酸塩化物では、生成したポリアリレート樹脂の窒素含有量、および該ポリアリレート樹脂を含有する電子写真感光体の特性に違いが生じる。従って、原料の酸塩化物の窒素含有量とポリアリレート樹脂の窒素含有量を特定
の範囲内にすることで、電子写真感光体の特性と関連づけることができる。
前記酸塩化物は任意の芳香族ジカルボン酸塩化物を用いることができるが、下記構造式(1)あるいは(3)であることが好ましく、式(1)で表されるものが特に好ましい
Figure 0006569394
式(1)中、Xは酸素原子、又は単結合、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基、n及びmは0〜2の整数を表す。
Figure 0006569394
式(3)中、Rはアルキル基を表し、pは0〜2の整数を表す。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。耐摩耗性の観点から、R、R及びRは炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。 n、m及びpは、製造上の簡便性の観点から、0であること
が好ましい。
式(1)で表される酸塩化物を誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸、4,4´-ジフェニルジカ
ルボン酸、2,2´−ジフェニルジカルボン酸、2,4´−ジフェニルジカルボン酸等が挙げられる。
また式(3)で表される酸塩化物を誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、
テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。
これらの中でも、製造上の簡便性及び耐摩耗性の観点から、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸が特に好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂においては、式(1)で表される酸塩化物の合計含有量は全酸塩化物成分に対し70モル%以上であることが好ましく、耐摩耗性の観点から、90モル%以上であることがより好ましい。
また、本発明のポリアリレート樹脂は、下記式(2)で表されるビスフェノール残基を含有することが好ましい。
Figure 0006569394
式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ベンジル基、又はアリール基を示し、X1は単結合、アルキレン基、−CR10−、酸素原子、又は硫黄原子を示
す。R、R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、又はRとR10が互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成する基を示す。
〜Rのアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキソキシ基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、フッ化アルキル基等が挙げられる。R〜Rにおける、アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、トリル基、クロロフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。
〜Rは機械物性の観点から、好ましくは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、特に好ましくは、水素原子及びメチル基である。
におけるアルキレン基の具体例としては、−(CH−、−(CH−等が挙げられる。R及びR10におけるアルキル基、アリール基はR〜Rで挙げたものが適用できる。R及びR10における、RとR10が互いに結合して置換基を有してもよい環を形成する基の具体例としては、シクロヘキシリデン基等が挙げられる。式(2)中、Xは機械物性および製造上の簡便性の観点から、−CR10−であることが好ましく、RとR10が水素原子及びメチル基から選ばれる場合が特に好ましい。
ビスフェノールとして具体的には、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキー3−メチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。これらのビスフェノール成分を複数組み合わせて用いることも可能である。
この中でも、ビスフェノール成分の製造の簡便性及び機械物性を考慮すれば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル
)プロパンが好ましい。さらに溶解性及び密着性を考慮すると、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタンが特に好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂は、窒素原子の質量比が15ppm以上、好ましくは17ppm以上、より好ましくは20ppm以上である。15ppmよりも少ないと、電子写真特性が悪くなり、好ましくない。また、上限は100ppm以下、好ましくは80ppm以下、より好ましくは50ppm以下である。100ppmよりも多いと電子写真感光体とした場合の電気特性が劣り、好ましくない。
本発明のポリアリレート樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、通常、20,000以上、機械的強度の観点から、好ましくは30,000以上である。また、通常、100,000以下、塗布性の観点から、好ましくは80,000以下である。
本実施の形態が適用される電子写真感光体における感光層には、本発明のポリアリレート樹脂と他の樹脂とを混合して用いることも可能である。ここで混合される他の構造を有する樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体及びその共重合体;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂及び種々の熱硬化性樹脂等及びこれらの共重合体が挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂とシリコーン樹脂の共重合体及びポリエステル樹脂とシリコーン樹脂の共重合体が好ましい。また、混合される他の構造を有する樹脂の混合割合は特に限定されないが、通常、本発明のポリアリレート樹脂の割合を超えない範囲で併用することが好ましい。
<ポリアリレート樹脂の製造方法>
次に、本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用するポリアリレート樹脂の製造方法について説明する。ポリアリレート樹脂の製造方法としては、例えば、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法等の公知の重合方法を用いることができる。ここでポリアリレート樹脂の製造法の一例を説明する。
界面重合法による製造の場合は、例えば、ビスフェノール化合物をアルカリ水溶液に溶解した溶液と、芳香族ジカルボン酸塩化物を溶解したハロゲン化炭化水素及び芳香族炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。重合温度は0℃〜40℃の範囲、重合時間は2時間〜20時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相とを分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂が得られる。
界面重合法で用いられるアルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができる。アルカリ成分の使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01倍当量〜3倍当量の範囲が好ましい。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
触媒として用いられる4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩としては、例えば、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の3級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロ
マイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライド等が挙げられる。
窒素を含む触媒を使用した際には、得られたポリアリレート樹脂の窒素原子の質量比が100ppmを超えないように留意する必要がある。
また、界面重合法では、分子量調節剤を使用することができる。分子量調節剤としては、例えば、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体等のアルキルフェノール類;o,m,p−フェニルフェノール等の1官能性のフェノール;酢酸クロライド、酪酸クロライド、オクチル酸クロライド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルホニルクロライド、ベンゼンスルフィニルクロライド、スルフィニルクロライド、ベンゼンホスホニルクロライドやそれらの置換体等の1官能性酸ハロゲン化物等が挙げられる。これら分子量調節剤の中でも、分子量調節能が高く、かつ溶液安定性の点で好ましいのは、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体である。特に好ましくは、p−(tert−ブチル)フェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノールである。
2価フェノールをアルカリ溶液中で酸化させないために、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト(次亜硫酸ナトリウム)、二酸化硫黄、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、酸化防止の効果及び環境負荷の低減からもハイドロサルファイトが特に好ましい。酸化防止剤の使用量としては、全2価フェノールに対して、0.01質量%以上、10.0質量%以下が好ましい。さらに好ましくは0.1質量%以上、5質量%以下である。含有量が少なすぎると酸化防止効果が不十分の可能性があり、多すぎるとポリエステル中に残存してしまい電気特性に悪影響する場合がある。
ポリアリレート樹脂の重合後の精製方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の方法を用いることができるが、例えば、ポリアリレート樹脂の溶液を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液;塩酸、硝酸、リン酸等の酸水溶液;水等で洗浄した後、静置分離、遠心分離等により分液する方法が挙げられる。
また他の精製方法としては、例えば、生成したポリアリレート樹脂の溶液を、ポリアリレート樹脂が不溶の溶媒中に析出させる方法、ポリアリレート樹脂の溶液を温水中に分散させ溶媒を留去する方法、又はポリアリレート樹脂溶液を吸着カラム等に流通させる方法等により精製してもよい。
精製後のポリアリレート樹脂は、ポリアリレート樹脂が不溶の水、アルコールその他有機溶媒中に析出させるか、ポリアリレート樹脂の溶液を温水及びポリアリレート樹脂が不溶の分散媒中で溶媒を留去するか、加熱、減圧等により溶媒を留去することにより取り出してもよいし、スラリー状で取り出した場合は遠心分離器、濾過器とうにより固体を取り出すこともできる。得られたポリアリレート樹脂は、通常ポリアリレート樹脂の分解温度以下の温度で乾燥するが、好ましくは20℃以上、樹脂の溶融温度以下で乾燥することができる。このとき減圧下で乾燥することが好ましい。
乾燥時間は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うことが好ましく、具体的には、残存溶媒が通常1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になる時間以上乾燥する。
《電子写真感光体》
本発明の形態が適用される電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を有し、該感光層が本発明のポリアリレート樹脂を含有する。
<導電性支持体>
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いても良い。
また、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いても良い。陽極酸化被膜を施した場合には、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、又は樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもかまわない。下引き層が複数層からなる場合、導電性支持体上に、導電層(干渉縞防止層)及び中間層からなる構成とすることもできる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウム等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。また、複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の点から、その平均一次粒径は、10nm以上100nm以下が好ましく、特に10nm以上50nm以下が好ましい。この平均一次粒径は、TEM写真等から得ることができる。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、レゾール型フェノール樹脂、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示すことから好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、バインダー樹脂に対して、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
下引き層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。下引き層には、公知の酸化防止剤等を混合しても良い。画像欠陥防止等を目的として、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いても良い。
<感光層>
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。
また、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
本発明のポリアリレート樹脂は、通常、電荷輸送物質を含有する層に用いられ、好ましくは積層型感光体の電荷輸送層に用いられる。
[電荷発生層]
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質として無金属フタロシアニン化合物、金属含有フタロシアニン化合物を用いた場合は比較的長波長のレーザー光、例えば780nm近辺の波長を有するレーザー光に対して高感度の感光体が得られる。またモノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料を用いた場合には、白色光、又は660nm近辺の波長を有するレーザー光、もしくは比較的短波長のレーザー光、例えば450nm、400nm近辺の波長を有するレーザーに対
して十分な感度を有する感光体を得ることができる。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムなどの金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシドなどの配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類などが使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
また、これらフタロシアニンの中でも、A型(別称β型)、B型(別称α型)、及び粉末X線回折の回折角2θ(±0.2゜)が27.1゜、もしくは27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とするD型(Y型)チタニルフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型及び28.1゜にもっとも強いピークを有すること、また26.2゜にピークを持たず28.1゜に明瞭なピークを有し、かつ25.9゜の半値幅Wが0.1゜≦W≦0.4゜であることを特徴とするヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等がより好ましい。これらの中でも、A型(別称β型)は結晶安定性に優れており、またV型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、D型(Y型)チタニルフタロシアニンは良好な感度を示すため特に好ましい。
フタロシアニン化合物は単一の化合物のものを用いてもよいし、幾つかの混合又は混晶状態のものを用いてもよい。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合したものを用いてもよいし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じさせたものでもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。混晶状態を生じさせるためには、特開平10−48859号公報記載のように、2種類の結晶を混合後に機械的に磨砕、不定形化した後に、溶剤処理によって特定の結晶状態に変換する方法が挙げられる。
電荷発生物質としてアゾ顔料を使用する場合には、各種ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。
電荷発生物質として有機顔料を用いる場合には、1種を単独で用いてもよいが、2種類以上の顔料を混合して用いてもよい。この場合、可視域と近赤域の異なるスペクトル領域で分光感度特性を有する2種類以上の電荷発生物質を組み合わせて用いることが好ましく、中でもジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料とフタロシアニン顔料とを組み合わせて用いることがより好ましい。
電荷発生層に用いるバインダー樹脂は特に制限されないが、例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキ
シ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーなどが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、何れか1種を単独で用いても良く、2種類以上を任意の組み合わせで混合して用いても良い。
塗布液の作製に用いられる溶剤としては、バインダー樹脂を溶解させるものであれば特に制限されないが、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等の鎖状又は環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状又は環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水などが挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。なお、上述の下引き層を設ける場合には、この下引き層を溶解しないものが好ましい。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲であり、その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。電荷発生物質の比率が高過ぎると、電荷発生物質の凝集等により塗布液の安定性が低下するおそれがある一方、電荷発生物質の比率が低過ぎると、感光体としての感度の低下を招くおそれがある。
電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の公知の分散法を用いることができる。この際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の範囲の粒子サイズに微細化することが有効である。
[電荷輸送層]
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テ
トラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。
電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。以下具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りはいかなる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
Figure 0006569394
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本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層を構成する電荷輸送層に含有される電荷輸送物質の具体例としては、例えば、特開平9−244278号公報に記載されるアリールアミン系化合物、特開2002−275133号公報に記載されるアリールアミン系化合物、特開2009−20504号公報に記載されるエナミン系化合物等が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独で用いても良いし、いくつかを混合しても良い。これらの電荷輸送物質がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、単一の層から成っても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。
本発明のポリアリレート樹脂は、電荷輸送層のバインダー樹脂として用いられることが好ましい。前記バインダー樹脂は、ポリアリレート樹脂とその他の構造を有する樹脂を混合してもよい。
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対して、電荷輸送物質を通常10質量部以上の比率で使用する。中でも、残留電位低減の観点から20質量部以上が好ましく、更には、繰り返し使用した際の安定性や電荷移動度の観点から30質量部以上がより好ましい。一方、感光層の熱安定性の観点から、電荷輸送物質を通常120質量部以下の比率で使用する。中でも、電荷輸送物質料とバインダー樹脂との相溶性の観点から100質量部以下が好ましく、耐刷性の観点から70質量部以下がより好ましく、耐傷性の観点から50質量部以下が特に好ましい。また、電荷輸送層の膜厚は、通常、5μm〜50μm、好ましくは10μm〜45μmである。
尚、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、レベリング剤等の添加剤を含有させても良い。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられる。
<単層型感光層>
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。本発明のポリアリレート樹脂は、このバインダー樹脂に使用される。
電荷輸送物質及びバインダー樹脂の種類並びにこれらの使用比率は、積層型感光体の電荷輸送層について説明したものと同様である。これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂からなる電荷輸送媒体中に、さらに電荷発生物質が分散される。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
単層型感光層内に分散される電荷発生物質の量は、少な過ぎると充分な感度が得られない一方で、多過ぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があることから、単層型感光層全体に対して通常0.5質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常50質量%以下、好ましくは20質量%以下の範囲で使用される。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下の範囲とする。
単層型感光層の膜厚は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常100μm以下、好ましくは50μm以下の範囲である。またこの場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていても良い。
<その他の機能層、及び添加剤>
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤などの添加物を含有させても良い。
また、積層型感光体、単層型感光体ともに、上記手順により形成された感光層を最上層、即ち表面層としてもよいが、その上に更に別の層を設け、これを表面層としてもよい。例えば、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で、保護層を設けても良い。保護層は、導電性材料を適当なバインダー樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号各公報に記載のトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。
保護層に用いる導電性材料としては、TPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物などを用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
保護層に用いるバインダー樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報、特開平10−252377号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と上記樹脂の共重合体を用いることもできる。保護層の電気抵抗は、通常10Ω・cm以上、1014Ω・cm以下の範囲とすることが好ましい。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子やシリカ、アルミナなどの無機化合物の粒子を、表面層に含有させても良い。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成しても良い。
さらに必要に応じて、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層な
ど、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよい。
<各層の形成方法>
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
塗布液の作製に用いられる溶媒又は分散媒に特に制限は無いが、具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、2−メトキシエタノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、テトラクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の含窒素化合物類、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。また、これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ及び種類で併用してもよい。
溶媒又は分散媒の使用量は特に制限されないが、各層の目的や選択した溶媒・分散媒の性質を考慮して、塗布液の固形分濃度や粘度等の物性が所望の範囲となるように適宜調整するのが好ましい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
また、積層型感光体の電荷発生層の場合には、塗布液の固形分濃度は、通常0.1質量%以上、好ましくは1質量%以上、また、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度は、通常0.01cps以上、好ましくは0.1cps以上、また、通常20cps以下、好ましくは10cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なっても良い。
≪画像形成装置≫
本発明の電子写真感光体を使用する複写機、プリンター等の画像形成装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写、除電の各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いてもよい。図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4を備えて構成され、更に必要に応じて転写装置5、クリーニング装置6及び定着装置7が設けられる。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真感光体カートリッジ」という)として構成し、この電子写真 感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。
以下に、本発明の具体的態様を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
[製造例1]ポリアリレート樹脂(1)の製造法
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(9.64g)とイオン交換水(423ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに、2,3,5−トリメチルフェノール(0.68g)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン(22.72g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.25g)の順に添加、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。別途、窒素含有量が7ppmであるジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボニルクロリド(28.74g)のジクロロメタン(211mL)溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(352mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(500mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(500mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層に塩化メチレン500mlを加えて希釈し、メタノール(5000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過により取り出し乾燥して、下記の構造式で表される目的のポリアリレート樹脂(1)を得た。得られたポリアリレート樹脂(1)の粘度平均分子量は41,300であった。また、このポリアリレート樹脂の窒素含有量は20ppmであった。
尚、酸塩化物と樹脂の窒素含有量は、微量全窒素分析装置(三菱化学アナリテック社製TN−10)を用いて分析した。
Figure 0006569394
[製造例2] ポリアリレート樹脂(2)の製造法
窒素含有量21ppmの酸塩化物を用いた以外、製造例1と同様の方法でポリアリレート樹脂(2)を製造した。このポリアリレート樹脂の粘度平均分子量は40,100、窒素含有量は25ppmであった。
[製造例3](ポリアリレート樹脂(3)の製造法)
窒素含有量3ppmの酸塩化物を用いた以外、製造例1と同様の方法で、ポリアリレー
ト樹脂(3)を製造した。このポリアリレート樹脂の粘度平均分子量は42,100、窒素含有量は11ppmであった。
<感光体シートの作製>
[実施例1]
平均一次粒子径13nmの酸化アルミニウム粒子(日本アエロジル社製 Aluminum Oxide C)を、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中で超音波により分散させることにより、酸化アルミニウムの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール(重量比7/3)の混合溶媒、及び、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行うことにより、酸化アルミニウム/共重合ポリアミドを重量比1/1で含有する固形分濃度8.0%の分散液とした。
Figure 0006569394
このようにして得られた下引き層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート(厚さ75μm)上に、乾燥後の膜厚が1.2μmになるようにワイアバーで塗布、乾燥して下引き層を設けた。
次に、電荷発生物質として図2に示される、CuKα線による粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン20重量部に、1,2−ジメトキシエタン280重量部加え、サンドグラインドミルで4時間粉砕し、微粒化処理を行った。これに、ポリビニルブチラール(電気化学工業社製「デカンブチラール #6000C」)10重量部、およびフェノキシ樹脂(ユニオンカーバイト社製「PKHH」)10重量部を1,2−ジメトキシエタン溶液580重量部と、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを100重量部の混合液に溶解させて得られたバインダー液を混合して、電荷発生層用塗布液を調整した。この塗布液を、前記導電性支持体上の下引き層上にバーコーターにより、乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように塗布し、乾燥させて電荷発生層を形成した。
また、電荷輸送物質として、下記に示す構造を主成分とする、幾何異性体の化合物群からなる、特開2002−080432号公報の実施例1に記載の方法で製造した混合物(CTM−1)を50質量部、上記製造例1で製造したポリアリレート樹脂(1)を100質量部、酸化防止剤(イルガノックス1076)8質量部、レベリング剤としてシリコー
ンオイル0.05質量部を、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640質量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 0006569394
この電荷輸送層形成用塗布液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートを作製した。
[比較例1]
ポリアリレート樹脂(1)をポリアリレート樹脂(2)に変えた以外は、実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[比較例2]
ポリアリレート樹脂(1)をポリアリレート樹脂(3)に変えた以外は、実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[電気特性評価]
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体をアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm、除電は660nmの単色光を用い、露光光を4.6μJ/cm2照射した時点の表面電位(VL)を測定した。VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を139msとした。また、表面電位が初期表面電位の半分(−350V)となる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー:μJ/cm2)を感度(E1/2)として
測定した。VLの値の絶対値が小さいほど電気特性が良好であることを示し、E1/2の値が小さいほど高感度であることを示す。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%下で行った。結果を表−1に示す。
次に、高温高湿下での繰り返し特性を測定した。
温度35℃、相対湿度85%環境下、上記の電気特性試験と同様にして、初期表面電位VLを測定した後、露光をすることなしに感光体の初期表面電位が約−700Vになるように帯電器と除電ランプ条件を固定したまま500回転させた後、そのままの帯電、除電条件で、同様にVLを測定した。このようにして500回ごとのVL変化を、合計の回転数が5000回になるまで繰り返し測定した。初期のVLと5000回目のVLとの差をΔVL(V)として結果を表−1に示す。
Figure 0006569394
上記表からわかるように、原料の酸塩化物、及びそれを重合して得られた樹脂の窒素含量が本発明で規定する範囲内であるポリアリレート樹脂を使用した電子写真感光体は、酸塩化物、樹脂のどちらか一方でも範囲外の感光体に比べると、E1/2、VL、ΔVLの値がいずれも小さく、電気特性と耐久性が優れていることがわかる。
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (6)

  1. 導電性基体上に感光層を有する電子写真感光体であって、前記感光層が、窒素含有量
    15ppm以上100ppm以下であるポリアリレート樹脂を含有し、該ポリアリレート
    樹脂が、窒素含有量が0.1ppm以上10ppm以下である酸塩化物と、ビスフェノー
    ルとの反応物であることを特徴とする、電子写真感光体。
  2. 前記酸塩化物の構造が下記構造式(1)で表されることを特徴とする、請求項1に記載
    の電子写真感光体。
    Figure 0006569394
    (式(1)中、Xは酸素原子、又は単結合、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基
    、n及びmは0〜2の整数を表す。)
  3. 前記ビスフェノールが、下記構造式(2)で表されるビスフェノール残基を含有するこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006569394
    (式(2)中、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、
    炭素数1〜20のアルコキシル基、ハロゲン化アルキル基、ベンジル基、又はアリール基
    を示し、X1は単結合、アルキレン基、−CR10−、酸素原子、又は硫黄原子を示
    す。R、R10はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール
    基、又はRとR10が互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成する基を示す
    。)
  4. 前記ポリアリレート樹脂の粘度平均分子量が、20,000〜100,000であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 酸塩化物と、ビスフェノールとを用いて反応を行うポリアリレート樹脂の製造方法であ
    って、前記酸塩化物中の窒素含有量0.1ppm以上10ppm以下であり、前記ポリ
    アリレート樹脂中の窒素含有量が15ppm以上100ppm以下であることを特徴とす
    る、ポリアリレート樹脂の製造方法。
  6. 前記酸塩化物の構造が下記構造式(1)で表されることを特徴とする、請求項5に記載
    のポリアリレート樹脂の製造方法。
    Figure 0006569394
    (式(1)中、Xは酸素原子、又は単結合、R及びRはそれぞれ独立してアルキル基
    、n及びmは0〜2の整数を表す。)
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