JP6657860B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
記載の技術により、酸化しやすいモノマーを使用しポリエステル樹脂の製造が可能になるが、酸化防止剤を多量に使用するため重合された樹脂中に不純物として残存し、電気特性が悪化することがある。また、重合中に厳密に水溶液中の酸素を除く必要があり、実際に製造する上では困難が伴う。
、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基、又はハロゲン基を表し、n1は0〜4の整数を表す。)
<3>前記ポリエステル樹脂の2価カルボン酸残基が、下記式(4)で表される2価カルボン酸残基である、<1>又は<2>に記載の電子写真感光体。
せ製造されたものである、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の電子写真感光体。
前記ポリエステル樹脂は、感光層形成用塗布液に用いる溶媒に対して高い溶解性及び優れた塗布液安定性を有し、それを用いた本発明の感光体は耐摩耗性や電気特性等の諸特性に優れたものとなる。この耐摩耗性の向上の理由については明らかではないが、上記式(1)、上記式(2)で表される2価フェノール残基をポリエステル樹脂中に導入することにより、分子鎖が剛直となり、機械物性が向上するためと考えられる。また、上記式(3)で表される2価フェノールと組み合わせることにより、耐摩耗性を維持しながら塗布液に対する溶解性を有することが可能となる。前記ポリエステル樹脂は、界面重合法ではなく、溶液重合法や溶液重合法と界面重合法を組み合わせた方法により、特定2価フェノールの酸化を防いでポリエステル樹脂を製造することが可能となる。
本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層は、下記式(1)、及び/又は下記式(2)で表される2価フェノール残基を含むポリエステル樹脂を含有する。
、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基、又はハロゲン基を表し、n1は0〜4の整数である。炭素数は、置換基を含めた基全体の炭素数である。R1の置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられ、置換基を有さないことが好ましい。炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、クロロメチル基、フッ化アルキル基、トリフルオロメチル基、パーフルオロアルキル基等が挙げられる。炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、シクロヘキソキシ基等が挙げられる。炭素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ハロゲン化フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。ハロゲン基としては、フッ素基、クロロ基、ブロモ基が挙げられる。耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基、無置換の芳香族基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。n1は各々独立に、0〜4の整
数であり、製造上の簡便性の観点から、好ましくは、n1=0、1である。
〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。n2は各々独立に、0〜4の整数であり、製造上の簡便性の観点から、好ましくは、n2=0である。
さらに、本発明におけるポリエステル樹脂には下記式(3)で表される2価フェノール残基を含有する。
、耐摩耗性の観点から、好ましくは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基であり、特に好ましくはメチル基である。
R7、R8の炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。溶解性、耐摩耗性、製造上の簡便性から、メチル基、エチル基が好ましい。また、R7とR8とが結合して形成される炭素数5〜10のシクロアルキリデン基としては、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロへプチリデン基等が挙げられる。
しい。さらに、溶解性の観点から、より好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下である。また、耐摩耗性の観点から、より好ましくは5モル%以上であり、さらに好ましくは10モル%以上である。
前記ポリエステル樹脂の2価カルボン酸残基は、下記式(4)で表される2価カルボン酸残基であることが好ましい。
フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基が挙げられる。中でも、製造コストの面から、フェニレン基、ナフチレン基、又はビフェニレン基がより好ましい。前記アリーレン基がそれぞれ独立に有していてもよい置換基としては、例えば、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、縮合多環基、ハロゲン基が挙げられる。感光層用バインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性を勘案すれば、アリール基としてフェニル基、ナフチル基が好ましく、ハロゲン基としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基が好ましく、アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜2のアルキル基が特に好ましく、具体的にはメチル基が特に好ましい。Ar1、Ar2それぞれの置換基の数に特に制限は無いが、3個以下であることが好ましく、2個以下であることがより好ましく、1個以下であることが特に好ましい。電気特性、溶解性の観点から、Ar1とAr2は同じ置換基を有する同じアリーレン基であることが好ましく、無置換のフェニレン基であることがより好ましい。
観点から1であることが特に好ましい。kが0の場合、2価カルボン酸残基を誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸が挙げられる。kが1である場合、式(4)は、下記一般式(9)であることが特に好ましい。
る。式(9)中、R14、R15としては、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。式(9)で表される2価カルボン酸残基を誘導する2価カルボン酸化合物の製造上の簡便性を考慮すれば、R14、R15は、水素原子、メチル基が特に好ましい。n3,n4は、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、特に好ましくは、n3=n4=0である。式(9)で表される2価カルボン酸残基を誘導する2価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4´−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、製造上の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−4,4´−ジカルボン酸が特に好ましい。
前記ポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は、通常、10,000以上、機械的強度の観点から、好ましくは25,000以上、さらに好ましくは35,000以上である。また、通常、200,000以下、塗布性の観点から、好ましくは、150,000以下である。
前記ポリエステル樹脂のカルボキシル酸価は、300μ当量/g以下とすることが好ましく、より好ましくは150μ当量/g以下である。カルボキシル酸価が150μ当量/gを超えると、感光体の電気的特性が悪化する傾向があり、さらに、樹脂を溶媒に溶解して塗工液としたときの保存安定性が低下する傾向がある。
前記ポリエステル樹脂に含まれる全窒素量(T−N量)は、1000ppm以下が好ましく、500pp以下であることがさらに好ましく、300ppm以下であることが特に好ましい。全窒素量が1000ppmを超えると電気特性が悪化する場合がある。
次に、本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用するポリエステル樹脂の製造方法について説明する。電子写真感光体用ポリエステルを製造する場合一般的には界面重合法で製造される。しかしながら、本発明中のポリエステル樹脂を製造する場合、ハイドロキノンのように容易にアルカリ水溶液中で酸化されてしまうモノマーであるため、界面重合法では、前記モノマーが水溶液中でアルカリ塩となった際に、キノンに速やかに酸化する。そこで酸化を防ぐ観点から本発明中のポリエステル樹脂の製造方法は、溶液重合法又は溶液重合法と界面重合法を組み合わせた重合方法であることが好ましい。ポリエステル樹脂の製造法の一例を説明する。
溶液重合法による製造の場合は、例えば、2価フェノール化合物及び2価カルボン酸クロライド化合物を溶媒に溶解させ、トリエチルアミン等の塩基を添加することで重合することができる。重合温度は−10℃〜40℃の範囲、重合時間は0.5時間〜10時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、有機相中に溶解しているポリエステル樹脂を、洗浄、回収することにより、目的とするポリエステル樹脂が得られる。
ロ[2,2,2]オクタン等の3級アミンや、ピリジン、4-メチルピリジン等のピリジン
類及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]‐7‐ウンデセン等の有機塩基が挙げられる
。また、フォスファゼン塩基、無機塩基等エステル化反応に使用されるような塩基ならば特に制限されない。これらの塩基の中で、エステル化反応の反応性及び入手の簡便性の観点からトリエチルアミン、N,N−ジプロピルエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、ピリジンが好ましく、酸クロリドの分解抑制や洗浄における除去の容易さの観点からトリエチルアミンが特に好ましい。塩基の使用量としては、反応系中に含まれるカルボン酸クロライド基の1.01倍当量〜2倍当量の範囲が好ましい。
、メチルシクロヘキサン等の炭化水素化合物、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン等のエーテル化合物、酢酸エチル、安息香酸メチル、酢酸ベンジル等のエステル化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド化合物、等が挙げられる。また、ピリジンを塩基かつ溶媒として使用してもよい。これらの中で、モノマーや生成するオリゴマーの溶解性及びエステル化反応の反応性の観点から、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタ
ン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジンが好ましい。さらに洗浄効率及び電気特性の観点からジクロロメタンが特に好ましい。
クリレート、4―ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシメタクリレート等のア
クリル類を有する1官能アルコール、1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−1−n−オクタノール、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デカノール等のパーフルオロアルキルを有する1官能アルコール、シロキサンを有する1官能アルコール等が挙げられる。これらの分子量調節剤の中でも、分子量調節能が高く、かつ溶液安定性の点で好ましいのは、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体である。特に好ましくは、p−(tert−ブチル)フェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノールである。
本発明中のポリエステル樹脂は、1段階目に芳香族エステル結合を有する2価フェノールを使用し溶液重合法によりエステルオリゴマーを製造し、2段階目にエステルオリゴマーを使用した界面重合法により製造することができる。1段階目で製造されるオリゴマー中に芳香族エステル結合を有する2価フェノール残基を導入することにより、2段階目の界面重合の際には、オリゴマーは水層に溶解することがないため、芳香族エステル結合が加水分解せずポリエステル樹脂を得ることができる。
エステルオリゴマーを製造する方法は、芳香族エステル結合の分解防止及びビスフェノールの酸化防止の観点から、溶液重合が好ましい。
溶液重合法によるエステルオリゴマーの製造では、例えば、2価フェノール化合物及び又は2価アルコール化合物、ジカルボン酸クロライド化合物を溶媒に溶解させ、トリエチルアミン等の塩基を添加することで重合することができる。重合温度は−10℃〜40℃の範囲、重合時間は0.5時間〜10時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、有機相中に溶解しているオリゴマーを、洗浄、回収することにより、目的とするオリゴマーが得られる。また、回収せずに洗浄したオリゴマー溶液を次のポリエステル重合にそのまま使用してもよい。エステルオリゴマー製造の際、溶液重合法で用いられる塩基、溶媒、停止剤、酸化防止剤は上記溶液重合によるポリエステル樹脂と同等の条件が好ましい。
オリゴマー化の阻害となる場合がある。そのため、溶解性の悪い2価フェノールをエステルオリゴマーに導入する場合は、溶解性の良い2価フェノール及び、又は2価アルコールとの共重合体が好ましい。さらに溶解性を向上させるため、あらかじめ溶解性の良い2価フェノール及び/又は2価アルコールと2価ジカルボン酸クロライドを反応させた後に、溶解性の悪い2価フェノールを添加、反応させることがより好ましい。具体的には、前記式(3)に対応する溶解性の良い2価フェノール残基と2価ジカルボン酸クロライドを反応させた後に、前記式(1)、及び/又は前記式(2)に対応する溶解性の悪い2価フェノールを添加反応させる。
洗浄後のエステルオリゴマーは、エステルオリゴマーが不溶の水、アルコールその他有機溶媒中に析出させるか、エステルオリゴマーの溶液を温水又はポリエステル樹脂が不溶の分散媒中で溶媒を留去するか、加熱、減圧等により溶媒を留去することにより取り出してもよいし、スラリー状で取り出した場合は遠心分離器、濾過器とうにより固体を取り出すこともできる。また、エステルオリゴマーは洗浄後に取り出さず、溶液として下記のポリエステル樹脂製造にそのまま使用してもよい。
乾燥時間は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うことが好ましく、具体的には、残存溶媒が通常1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になる時間以上乾燥する。
上記エステルオリゴマーを使用しポリエステル樹脂の製造する際、分子量調整の簡便さ及び電気特性の観点から、界面重合法が好ましい。
界面重合法による製造の場合は、例えば、アルカリ水溶液と、前記エステルオリゴマーと芳香族ジカルボン酸クロライド化合物を溶解したハロゲン化炭化水素又は芳香族炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。重合温度は0℃〜40℃の範囲、重合時間は2時間〜20時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相とを分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂が得られる。
界面重合法で用いられるアルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができる。アルカリ成分の使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01倍当量〜3倍当量の範囲が好ましい。
触媒として用いられる4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩としては、例えば、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の3級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライド等が挙げられる。
他の精製方法としては、例えば、生成したポリエステル樹脂の溶液を、ポリエステル樹脂が不溶の溶媒中に析出させる方法、ポリエステル樹脂の溶液を温水中に分散させ溶媒を留去する方法、又はポリエステル樹脂溶液を吸着カラム等に流通させる方法等により精製してもよい。
乾燥時間は残存溶媒等の不純物の純度が一定以下になるまでの時間以上行うことが好ましく、具体的には、残存溶媒が通常1000ppm以下、好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下になる時間以上乾燥する。
本実施の形態が適用される電子写真感光体は、導電性支持体上に設けた感光層を有し、感光層が、前記ポリエステル樹脂を含有するものである。感光層の具体的な構成としては、例えば、導電性支持体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層とを積層した積層型感光体;導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させた感光層を有する分散型(単層型)感光体等が挙げられる。前記ポリエステル樹脂は、通常、電荷輸送物質を含有する層に用いられ、好ましくは積層型感光体の電荷輸送層に用いられる。
導電性支持体について特に制限は無いが、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。導電性支持体の形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。更には、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性等の制御や欠陥被覆のために、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものを用いてもよい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでもよい。また、安価化のためには、切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、及び樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層からなるものであっても、複数層からなるものであってもよい。下引き層には、公知の酸化防止剤等、顔料粒子、樹脂粒子等を含有させて用いてもよい。その膜厚は、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、繰り返し特性、及び製造時の塗布性を向上させる観点から、通常は0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタンアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等の公知のバインダー樹脂が挙げられる。これらは単独で用いても良く、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を表すことから好ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の使用比率は任意に選ぶことが可能であるが、分散液の安定性、塗布性の観点から、バインダー樹脂に対して、通常は10質量%以上、500質量%以下の範囲で使用することが好ましい。
感光層の形式としては、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層型と、電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散された電荷発生層及び電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層の二層からなる機能分離型(積層型)とが挙げられるが、何れの形式であってもよい。積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能であるが、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
積層型感光体(機能分離型感光体)の場合、電荷発生層は、電荷発生物質をバインダー樹脂で結着することにより形成される。その膜厚は通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは0.6μm以下の範囲である。
電荷発生物質としては、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム等の無機系光導電材料と、有機顔料等の有機系光導電材料とが挙げられるが、有機系光導電材料の方が好ましく、特に有機顔料が好ましい。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等が挙げられる。これらの中でも、特にフタロシアニン顔料又はアゾ顔料が好ましい。電荷発生物質として有機顔料を使用する場合、通常はこれらの有機顔料の微粒子を、各種のバインダー樹脂で結着した分散層の形で使用する。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使用する場合、具体的には無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、スズ、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウム等の金属又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各結晶型を持ったもの、酸素原子等を架橋原子として用いたフタロシアニンダイマー類等が使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、II型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。
電荷発生層において、バインダー樹脂と電荷発生物質との配合比(質量)は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常10質量部以上、好ましくは30質量部以上、また、通常1000質量部以下、好ましくは500質量部以下の範囲である。
積層型感光体の電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有するとともに、通常はバインダー樹脂と、必要に応じて使用されるその他の成分とを含有する。電荷輸送層は、単一の層から成ってもよいし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでもよい。その膜厚は、通常、5μm〜50μm、好ましくは10μm〜45μmである。
単層型感光層は、電荷発生物質と電荷輸送物質に加えて、積層型感光体の電荷輸送層と同様に、膜強度確保のためにバインダー樹脂を使用して形成する。具体的には、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、
導電性支持体上(下引き層を設ける場合は下引き層上)に塗布、乾燥して得ることができる。
電荷発生物質は、積層型感光体の電荷発生層について説明したものと同様のものが使用できる。但し、単層型感光体の感光層の場合、電荷発生物質の粒子径を充分に小さくする必要がある。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下の範囲とする。
また、単層型感光層におけるバインダー樹脂と電荷発生物質との使用比率は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質が通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、また、通常30質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
積層型感光体、単層型感光体ともに、感光層又はそれを構成する各層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させる目的で、周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加物を含有させてもよい。また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコン樹脂、ポリエチレン樹脂等、又はこれらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を、表面層に含有させてもよい。或いは、これらの樹脂や粒子を含む層を新たに表面層として形成してもよい。さらに必要に応じて、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層等、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよい。
これらの感光体を構成する各層は、含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を、支持体上に浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等の公知の方法により、各層ごとに順次塗布・乾燥工程を繰り返すことにより形成される。
トリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶剤類等が挙げられる。これらの溶剤の中で、環境配慮の観点から非ハロゲン系溶剤が好ましく、溶解性の観点から、トルエン、キシレン、アニソール、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンが特に好ましい。これらは何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。
例えば、単層型感光体、及び機能分離型感光体の電荷輸送層層の場合には、塗布液の固形分濃度を通常5質量%以上、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、また、通常40質量%以下、好ましくは35質量%以下の範囲とする。また、塗布液の粘度を通常10cps以上、好ましくは50cps以上、また、通常500cps以下、好ましくは400cps以下の範囲とする。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は、室温における指触乾燥後、通常30℃以上、200℃以下の温度範囲で、1分から2時間の間、静止又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であってもよく、乾燥時に温度を変更させながら加熱を行なってもよい。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を表す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2,露光装置3,現像装置4,転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
オリゴマー製造例1(エステルオリゴマー(1)の製造)
窒素置換した300mL4つ口反応容器にレゾルシノール(3.00g)(以下、BP−1)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,メチルフェニル)エタン(13.20g)(以下、BP−2)とジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(以下、AC−1)(16.08g)を秤取り、ジクロロメタン(90mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(11.58g)とジクロロメタン(45mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ30分かけて滴下した。1時間撹拌を続けた後、脱塩水(100mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(100mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(100mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(1)を得た。
窒素置換した300mL4つ口反応容器にメチルヒドロキノン(3.00g)(以下、BP−3)、BP−2(11.71g)とAC−1(14.26g)を秤取り、ジクロロメタン(90mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(10.28g)とジクロロメタン(30mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ30分かけて滴下した。1時間撹拌を続けた後、脱塩水(100mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(100mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(100mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(2)を得た。
窒素置換した300mL4つ口反応容器に1,6−ジヒドロキシナフタレン(4.00g)(以下、BP−4)、BP−2(12.10g)とAC−1(14.74g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(10.62g)とジクロロメタン(45mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ30分かけて滴下した。1時間撹拌を続けた後、脱塩水(100mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(100mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(100mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(3)を得た。
窒素置換した300mL4つ口反応容器に1,5−ジヒドロキシナフタレン(1.50g)(以下、BP−5)、BP−2(12.86g)とAC−1(12.28g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(8.84g)とジクロロメタン(40mL)との混合溶液を0〜5℃へ冷却した反応容器内へ30分かけて滴下した。1時間撹拌を続けた後、脱塩水(100mL)を添加し、10分撹拌した。撹拌後、有機層を分離し、この有機層を0.1規定塩酸(100mL)にて洗浄を2回行い、さらに、脱塩水(100mL)にて洗浄を2回行った。その後、濃縮、乾燥して分子末端にフェノール基を有するエステルオリゴマー(4)を得た。
ポリエステル製造例1(ポリエステル樹脂(1)の製造)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.57g)とH2O(188ml)を秤取
り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.21g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.11g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(166mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(205mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(205mL)にて洗浄を2回行った。洗浄後の有機層にジクロロメタン(100ml)を加えて希釈し、メタノール(1800ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステル樹脂(1)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は44,200であった。ポリエステル樹脂(1)の構造式を以下に示す。
ポリエステル樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計
を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量(Mv)を算出した。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.55g)とH2O(188ml)を秤取
り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.21g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.11g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(166mL)を加え、撹拌を9時間続けた。その後、撹拌を停止し30分間静置した後に有機層を分離した。この有機層を0.1規定塩酸(205mL)にて洗浄を3回行い、さらに、脱塩水(205mL)にて洗浄を2回行った。
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.52g)とH2O(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.24g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.11g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、オリゴマー製造例3で合成したエステルオリゴマー(3)(16.22g)及びAC−1(4.70g)とジクロロメタン(107mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.47g)とH2O(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.25g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.11g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
別途、オリゴマー製造例4で合成したエステルオリゴマー(4)(16.32g)及びAC−1(4.56g)とジクロロメタン(107mL)との混合溶液を滴下ロート内に移した。
窒素置換した1000mL4つ口反応容器にBP−2(13.89g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.067g)及びAC−1(24.33g)を秤取り、ジクロロメタン(120mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(11.60g)とジクロロメタン(30mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることによりエステルオリゴマーを生成させた。
窒素置換した500mL4つ口反応容器にBP−2(7.63g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.092g)及びAC−1(13.42g)を秤取り、ジクロロメタン(80mL)に溶解させた。続いて、トリエチルアミン(6.42g)とジクロロメタン(20mL)との混合溶液を5〜15℃へ冷却した反応容器内へ20分かけて滴下し、その後10分撹拌を続けることによりエステルオリゴマーを生成させた。
ポリエステル製造例6における2,6−ジヒドロキシナフタレン(BP−7)を2,7-ジヒドロキシナフタレン(以下、BP−8)に代えた以外はポリエステル製造例7と同
様に実施し、ポリエステル樹脂(7)を得た。得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量(Mv)は35,500であった。ポリエステル樹脂(7)の構造式を以下に表す。
500mLビーカーに水酸化ナトリウム(4.23g)とH2O(188ml)を秤取り、攪拌しながら溶解させた。そこに2,3,5−トリメチルフェノール(0.26g)、BP−2(10.15g)、BP−6(0.47g)、及びベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.12g)を添加し、攪拌溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。
反応槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を撹拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに1時間撹拌を続けた後、ジクロロメタン(156mL)を加え、撹拌を9時間続けた。しかしながら、重合中にヒドロキノンが酸化され水層が茶色に変色し、2価のフェノールが足りなくなったため、十分に伸長した重合体が得られなかった。
[実施例1]
10質量部のオキシチタニウムフタロシアニンと、150質量部の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンとを混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い顔料分散液を製造した。尚、オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを表す。
[実施例2]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(2)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(3)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例4]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(4)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(5)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[実施例6]
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(6)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
ポリエステル樹脂(1)をポリエステル樹脂(7)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
[比較例1]
ポリエステル樹脂(1)を特開2006−53549号公報の実施例6に記載の方法により製造した以下に表す構造を有するポリエステル樹脂(9)(粘度平均分子量36,200)に変えた以外は実施例1と同様にして、感光体シートを作製した。
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基
礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体をアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm、除電は660nmの単色光を用い、露光光を2.4μJ/cm2照射した時点の表面電位(VL)を測定した。VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を139msとした。また、表面電位が初期表面電位の半分(−350V)となる時の照射エネルギー(半減露光エネルギー:μJ/cm2)を感度(E1/2)として
測定した。VLの値の絶対値が小さいほど電気特性が良好であることを示し、E1/2の値が小さいほど高感度であることを示す。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%下(N/N)で行った。結果を表−1に示す。
感光体フィルムを直径10cmの円状に切断しテーバー摩耗試験機(東洋精機社製)により、摩耗評価を行った。試験条件は、25℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重500gで1000回転後の摩耗量を試験前後の質量を比較することにより測定した。値が小さい方が耐摩耗性に優れる。結果を表−2に表す。
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙
Claims (2)
- 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、前記感光層は、2価フェノ
ール残基及び2価カルボン酸残基を含むポリエステル樹脂を含有し、前記2価フェノール
残基が、下記式(1)、及び/又は下記式(2)で表される2価フェノール残基、並びに
下記式(3)で表される2価フェノール残基を含み、前記式(1)又は前記式(2)で表
される2価フェノール残基の含有量が、前記ポリエステル樹脂中の全2価フェノール残基
の合計量に対し、10モル%以上60モル%以下であり、前記ポリエステル樹脂の2価カ
ルボン酸残基が、下記式(4)で表される2価カルボン酸残基である、電子写真感光体。
、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、炭素数1〜20の置換基
を有していてもよい芳香族基、又はハロゲン基を表し、n1は0〜4の整数を表す。)
、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシル基、炭素数1〜20の置換基
を有していてもよい芳香族基、又はハロゲン基を表し、n2は0〜6の整数である。)
ていてもよいアルキル基、炭素数1〜20の置換基を有していてもよいアルコキシ基、炭
素数1〜20の置換基を有していてもよい芳香族基、又はハロゲン基を表す。Xは、単結
合、―CR7R8−、O、CO、又はSを表す。またR7、R8はそれぞれ独立に、水素
原子、炭素数1〜10のアルキル基、又は、R7及びR8は、R7とR8とが結合して形
成される炭素数5〜10のシクロアルキリデン基を表す。)
基を表す。Yは酸素原子を表す。kは1を表す。) - 溶液重合法によって、又は、1段階目を溶液重合法、2段階目を界面重合法によって、
前記ポリエステル樹脂を製造し、前記ポリエステル樹脂を用いて感光層を形成する、請求
項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
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