JP4107135B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真プロセスを用いた複写機やプリンター、ファックス等に用いられる、従来のものに比べ繰り返し耐久性に優れた電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されている。
電子写真技術の中核となる感光体については、その光導電性材料として従来からセレン、ヒ素−セレン合金、硫化カドミウム、酸化亜鉛といった無機系の光導電体から、最近では、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が開発、使用されている。
【0003】
しかしながら、従来実用化されている電子写真感光体は、繰り返し使用した場合には、帯電電位の低下、残留電位の蓄積、感度の変動等があり、必ずしも寿命に関しては十分であるとは言えない。感光層の膜厚を厚くすることは、ブレードクリーニング等の摩耗による膜減りの電気特性に及ぼす影響を少なくしたり、感度を向上させる等、いくつかの点において寿命を延ばすのに有利になるが、反面、残留電位の蓄積を引き起こすことがある。
【0004】
残留電位の蓄積はよく問題となり、有機感光体の高寿命化を妨げる大きな要因の一つとなっている。残留電位が蓄積する要因はいくつか考えられるが、最も影響を及ぼすと考えられるのは感光層中に存在する不純物によるものである。それら不純物がトラップとなりキャリアを補足し、動けない空間電荷を形成することにより残留電位になると考えられる。
【0005】
一般に電子供与性化合物に対し電気吸引性化合物を添加すると、電荷移動錯体が形成され、その新たな吸収が長波長側に出現する。そこで電荷移動錯体の吸収帯に相当する光を照射すると電荷輸送層中にわずかではあるが移動可能なキャリア(正孔−電子)が生成し、このキャリアが結果的に動けない空間電荷を中和し、残留電位を抑制すると考えられている。そこで、残留電位を抑制する手段の一つとして、電子吸引性化合物を電荷輸送層に添加することが試みられている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0006】
しかしながらこれまで知られている電気吸引性物質は、残留電位の抑制が十分でなかったり、暗減衰の増加、繰り返し使用による表面電位の低下、感度の低下といった弊害を伴うものが多かった。
特に、最近の高解像度プリンター、ファックスにおいては、わずかな電位の変化が、画像欠陥を示すことが多くなってきており、電子吸引性物質の添加により、帯電電位、感度電位等の低下が起こり画像の欠陥となったり、通常の露光光より強い光を照射した後に、繰り返しの印刷等を行った場合、濃度低下、白筋、白抜け等の画像欠陥を起こす問題があり、充分な性能となっていないのが現状である。
【0007】
【特許文献1】
特開平3−48852号公報
【特許文献2】
特開平3−48853号公報
【特許文献3】
特開平3−71141号公報
【特許文献4】
特開平3−71142号公報
【特開文献5】
特開平3−72365号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電子写真プロセスを用いた複写機やプリンター、ファックス等に用いられる、従来のものに比べ繰り返し耐久性に優れた電子写真感光体を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、残留電位の抑制効果が十分にあり、他の電気特性に対してほとんど影響を及ぼさない電気吸引性化合物について鋭意検討した結果、感光層に特定量のポリエステル樹脂を含有させた場合に、非常に優れた性能を示すことを見出し本発明に到達した。すなわち本発明の要旨は、導電体支持体上に、少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を含む感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記一般式(1)で表される構造単位を有する芳香族ポリエステル樹脂を、該感光層に含まれる全バインダー樹脂に対し0.3重量%以上10重量%以下の量で含有していることを特徴とする電子写真感光体に存する。
−O−A−O−CO−W−CO− (1)
〔式(1)中、A及びWはそれぞれ独立して、Aは下記一般式(2)で表される基、Wは置換されていてもよい二価の芳香族基を表す。
【化1】
〔式(2)中、Yは置換されていてもよいメチレン基を表し、R 1 〜R 8 はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、(シクロ)アルキル基、置換されていてもよいアリール基、アリル基又はアルコキシ基を表す。〕
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子写真感光体について詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体の感光層は、該感光層に含まれる全バインダー樹脂に対し、0.3重量%以上10重量%以下のポリエステル樹脂を含有している。
含有するポリエステル樹脂の量が少なすぎると、繰り返し使用時の電気特性を安定化する効果が発現しないため、0.3重量%以上、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは2重量%以上で用いる。一方、ポリエステル樹脂の量が多すぎる場合は、強い光を照射した場合に過度に表面電位が低下して光メモリー等の問題が起こす可能性があり、10重量%以下、好ましくは8重量%以下で用いる。
【0011】
該ポリエステル樹脂としては、エステル結合を複数有するものであれば、脂肪族ポリエステル樹脂、半芳香族ポリエステル樹脂および全芳香族ポリエステル樹脂のいずれも用いることができ、それらは下記一般式(1)で表すことができる。
【0012】
−O−A−O−CO−W−CO− (1)
【0013】
一般式(1)中、A及びWは、それぞれ独立して二価の有機基を表し、 この構造単位を有するポリエステル樹脂は、一般式HO−A−OHで表されるジヒドロキシ化合物と、一般式HO−CO−W−CO−OHで表されるジカルボン酸、又はその誘導体とを重合させることにより製造することができる。
【0014】
このうち、A部分が二価の脂肪族により構成される、脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の鎖状ジオール;1,2−シクロヘキサンジオール等の環状ジオールなどが挙げられる。これらの中では鎖状ジオール、特にエチレングリコール、プロピレングリコール、又は1,4−ブタンジオールが好ましい。
【0015】
A部分が、二価の芳香族により構成される、芳香族ジヒドロキシ化合物としては通常は下記一般式(2)〜(7)で表される基が挙げられる。
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】
(式中、Yは単結合、(シクロ)アルキレン基、−S−、−O−又はスルホニルを表し、R1〜R30はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、(シクロ)アルキル基、置換されてもよいアリール基、アリル基又はアルコキシ基を表す。なお、Yがアルキレン基を表す場合には、そのアルキレン基にはハロゲン原子、(シクロ)アルキル基、置換されていてもよいアリール基、アラルキル基、アリル基及びアルコキシ基よりなる群から選ばれた置換基が結合していてもよい。)
(シクロ)アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等のアルキレン基;シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基が挙げられる。
【0019】
ハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素等が挙げられる。
(シクロ)アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
【0020】
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等のアリール基が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
R1〜R30としては、水素原子又はアルキル基、特に水素原子又はメチル基が好ましい。
【0021】
一般式(6)のa及び一般式(7)のbは、それぞれ1以上の整数を表し、1〜6が好ましい。
ジヒドロキシ化合物骨格を示す一般式(2)〜(7)の基のうち、一般式(2)の基が好ましい。なかでも、Yが置換されていてもよいメチレン基、特にメチレン基であるものを構造単位とする芳香族ポリエステルが、機械的強度、塗布溶媒に対する溶解性及び電気特性がよいので、更に好ましい。
【0022】
芳香族ポリエステルの製造に用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物としては、ハイドロキノン、レゾルシノール等のジヒドロキシベンゼン化合物;1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン化合物;1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「BPA」ということがある。)、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン(以下「p,p’−BPF」ということがある。)、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン(以下「o,o’−BPF」ということがある。)、2−ヒドロキシフェニル−4−ヒドロキシフェニルメタン(以下「o,p’−BPF」ということがある。)、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(以下「TmBPF」ということがある。)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下「BPZ」ということがある。)、ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「BPQ」ということがある。)、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン(以下「Cof」ということがある。)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン(以下「Ca」ということがある。)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下「BPC」ということがある。)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン(以下「Xe」ということがある。)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン(以下「Tma」ということがある。)、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン(以下「Xf」ということがある。)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(以下「BPP」ということがある。)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル(以下「BPO」ということがある。)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノールフタルレイン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビスフェノール、及び4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビス[2−メチルフェノール]等のビスフェノール化合物などが挙げられる。これらの中で、BPE、p,p’−BPF、o,o’−BPF、o,p’−BPF、TmBPF、BPQ、Cof、BPZ、Ce、BPC、Tmf、Xe、Tma、Xf、又はBPPが好ましい。特に好ましいのは、TmBPF、p,p’−BPF、o,o’−BPF、o,p’−BPF、BPZ、又はBPCである。
【0023】
上記ジヒドロキシ化合物のうち、塗布溶媒に対する溶解性、得られる感光体の機械的強度、電気特性の点から、Aに二価の芳香族を用いたポリエステル樹脂が特に好ましい。
これらのジヒドロキシ化合物は、単独で用いてもよいが、複数を併用するのが好ましい。
【0024】
一般式HO−CO−W−CO−OHで表されるジカルボン酸、又はその誘導体のWとしては、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ビフェニレン基等のアリーレン基;メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等のアルキレン基;及びビニレン基などが挙げられ、これらの中でアリーレン基、特にフェニレン基が好ましい。
【0025】
具体的に、芳香族ポリエステルの製造に用いるジカルボン酸としては、テレフタル酸(以下「TPA」ということがある。)、イソフタル酸(以下「IPA」ということがある。)、フタル酸、2−メチル−1,4−ベンゼンジカルボン酸、5−メチル−1,4−ベンゼンジカルボン酸、2,5−ジメチル−1,4−ベンゼンジカルボン酸、2,6−ジメチル−1,4−ベンゼンジカルボン酸、2−メチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸、4−メチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸、2,4−ジメチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸、4,5−ジメチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸等のベンゼンジカルボン酸;3,6−ジメチル−2,7−ナフタレンジカルボン酸、3,7−ジメチル−2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸;アントラセンジカルボン酸;ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸:並びにマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸;及びフマル酸、マレイン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0026】
これらの中で、TPA、IPA、2−メチル−1,4−ベンゼンジカルボン酸、又は2,5−ジメチル−1,4−ベンゼンジカルボン酸が好ましい。最も好ましいのは、TPA又はIPAである。
これらのジカルボン酸は、単独で用いてもよいが、複数を併用するのが好ましい。なかでも、IPAは単独で用いずに、TPAと併用するのが好ましい。なお、TPAとIPAとを併用する場合には、通常TPAに由来する基が75モル%以上となるようにする。この基が75モル%未満では電気特性が悪化することがある。この基が90モル%以上、特に95モル%以上となるようにするのが好ましい。
【0027】
ジカルボン酸誘導体としては、ジカルボン酸の酸ハロゲン化物が挙げられる。酸ハロゲン化物としては、酸塩化物が好ましい。
ポリエステル樹脂は、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法等の公知の重合方法により製造すればよい。
以下に、界面重合法によるポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
【0028】
ジヒドロキシ化合物のアルカリ水溶液とジカルボン酸塩化物のハロゲン化炭化水素溶液とを、触媒の四級アンモニウム塩又は四級ホスホニウム塩の存在下に混合して重合反応を行う。
アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液が挙げられる。アルカリ金属水酸化物は、反応系中に含まれる水酸基の1〜3倍当量の範囲が好ましい。
【0029】
ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロルベンゼン等が挙げられる。
四級アンモニウム塩としては、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライド等の四級アンモニウム塩及びトリブチルアミン、トリオクチルアミン等の三級アルキルアミンと塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等のハロゲン化水素酸との塩が挙げられる。
【0030】
四級ホスホニウム塩としては、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド等が挙げられる。
ポリエステル樹脂の粘度平均分子量は、1万以上10万以下、特に1.5万以上5万以下となるように重合させるのが好ましい。粘度平均分子量が小さくなりすぎると、電子写真感光体の耐摩耗性が低下してしまい好ましくない。また、粘度平均分子量が高すぎると、感光層を形成する際の塗布用液の粘度が高くなり、感光層の塗布形成が困難となる。
【0031】
本発明の電子写真感光体の感光層は、該感光層に含まれる全パインダー樹脂に対して特定量のポリエステル樹脂を含有するが、積層型感光層の場合の電荷輸送層あるいは分散型感光層の場合のマトリックスとして使用されるバインダー樹脂としては、感光層に用いられる電荷輸送物質との相溶性が良く、感光層形成後に含有する各種材料が結晶化したり、相分離することのないポリマーが好ましく、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ブタジエン等のビニル化合物の重合体および共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹脂、けい素樹脂、エポキシ樹脂等の各種ポリマーが挙げられ、これらの部分的架橋硬化物も使用できる。また、異なるバインダー樹脂の繰り返し構造が共重合したものでも構わないし、異なるバインダー樹脂の混合物でも構わない。
【0032】
バインダー樹脂の使用量が多くなれば、層の機械的強度が高くなり好ましいが、相対的に電荷輸送物質の含有量が減少することとなり、電気特性が悪化するため、全バインダー樹脂の使用量は、電荷輸送物質対し、通常0.5重量倍以上、好ましくは0.7重量倍以上で、特に好ましくは0.9重量倍以上であり、通常30重量倍以下、好ましくは10重量倍以下、特に好ましくは、8重量倍以下の範囲である。
分散型感光層または積層型感光層の電荷輸送層には、必要に応じて酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤並びに他の正孔輸送材料を含んでいてもよい。
【0033】
<導電性支持体>
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に感光層を形成して構成される。感光層が形成される導電性支持帯としては周知の電子写真感光体に採用されているものがいずれも使用できる。具体的には、例えばアルミニウム、ステンレス鋼、銅、ニッケル、亜鉛、インジウム、金、銀等の材料の金属材料からなるアルミニウム、銅、パラジウム、酸化スズ、酸化インジウム、導電性高分子等の導電性層を設けたポリエステルフィルム、紙、ガラス等の絶縁性支持帯が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、紙、紙管等は挙げられる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラムが挙げられる。又、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属酸化物で導電性処理したプラスチックフィルムやベルトが挙げられる。このような導電性支持体の表面は、画質に影響のない範囲で各種の処理、例えば、表面の酸化処理や薬品処理を行うことができる。形状はドラム、シート、ベルト、シームレスベルト等任意の形状を取ることができる。この中でも、金属のエンドレスパイプを適当な長さに切断したものが好ましく、アルミニウムが最も好適に用いられる。
【0034】
<ブロッキング層>
導電性支持体と感光層との間には通常使用されるような公知のブロッキング層が設けられていてもよい。ブロッキング層としては、例えばアルミニウムの陽極酸化被膜、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等の無機層、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等の有機層が使用される。有機層をブロッキング層として用いる場合には単独あるいはチタニア、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム等の金属酸化物あるいは銅、銀、アルミニウム等の金属微粉末を分散させてもよい。
【0035】
また、ブロッキング層には、特にレーザー露光における干渉縞を防ぐ目的で、アルミナ、チタニア、シリカ等の金属酸化物微粒子や、使用するレーザー光波長を吸収することのできる有機または無機の色素、顔料粒子等を含有させてもよい。
これらのブロッキング層の膜厚は便宜設定できるが、通常0.05〜20μm、好ましくは0.1〜10μmの範囲である。
バインダー樹脂に対する、金属酸化物粒子または、色素、顔料粒子の含有割合は特に制限はないが、バインダー100重量部に対して、40〜400重量部の範囲で使用することが、下引き層を塗布する際の分散安定性、保存安定性、塗布性等の面で好ましい。
【0036】
<感光層の構成>
本発明における電子写真感光体の感光層の形態としては、電荷輸送物質を含んだ電荷輸送媒体中に電荷発生材料の粒子を分散した、いわゆる分散型または単層型の感光層のほか、電荷発生材料を含んだ電荷発生層と電荷輸送物質を含んだ電荷輸送層を積層した、いわゆる積層型の感光層を適用することができる。積層型の感光層では、基体上に電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層したもの(以下、順積層型感光層と呼ぶことがある)、あるいは逆の順に積層したもの(以下、逆積層型感光層と呼ぶことがある)などが知られている。
本発明の電子写真感光体の感光層としては上記いずれの構成も用いることができるが、感光体の機械的物性、電気特性、製造安定性など総合的に勘案して積層型の感光層が好ましく、特に順積層型の感光体が好ましい。
【0037】
<電荷発生物質>
感光層に用いられる電荷発生物質としては、公知のものをいずれも用いることができ、セレンおよびその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、酸化チタン等の酸化物系半導体、アモルファスシリコン等のシリコン系材料、その他の無機光導電性物質、フタロシアニン、アゾ色素、キナクドリン、多環キノン、ピリリウム塩、ペリレン、インジゴ、チオインジゴ、アントアントロン、ピラントロン、シアニン等の各種有機顔料、色素が使用できる。中でも、ペリレン、無金属フタロシアニン、銅、塩化インジウム、塩化ガリウム、シリコン、錫、オキシチタニウム、亜鉛、バナジウム等の金属、又は酸化物、塩化物、水酸化物の配位したフタロシアニン類、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料が好ましい。
【0038】
そして、これらの電荷発生材量の中でも、500〜850nmの範囲の比較的長波長のレーザー光に対して高感度の感光体が得られる点で、無金属および金属含有フタロシアニンが、また、白色光および350〜500nmの比較的短波長のレーザー光に対し十分な感度を持つ点でモノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料が、優れている。
【0039】
このうち500〜850nmの範囲のレーザー光による露光装置を備えた画像形成装置に使用する場合には、感度の点から、オキシチタニウムフタロシアニンが更に好ましく、中でもCuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2°)=27.3°に特徴的なピークを有するY型オキシチタニウムフタロシアニンが最も好ましい。尚、1回転目の帯電性の改良、光疲労の低減、感度の調整といった目的で2種類以上の上記電荷発生物質を混合してもよい。
【0040】
積層型感光層における電荷発生層は、上記の電荷発生物質とバインダー樹脂を溶剤あるいは分散して得られる塗布液を塗布乾燥して得ることができる。バインダー樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール、エチルビニルアルコール等のビニル化合物の重合体および共重合体、ポリビニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロースエステル、フェノキシ樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0041】
電荷発生物質とバインダー樹脂の割合は、特に制限はないが、一般的には電荷発生物質100重量部に対し、5〜500重量部、好ましくは20〜300重量部のバインダーポリマーを使用する。
また、電荷発生層は上記電荷発生物質の蒸着膜であってもよい。電荷発生層の膜厚は0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μmになるようにする。
【0042】
分散型感光層の場合、電荷発生材料の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生材料の量は、例えば感光層に対して0.5〜50重量%の範囲であるが少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があり、より好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。分散型感光層の膜厚は通常5〜50μm、より好ましくは10〜45μmで使用される。
【0043】
<電荷輸送物質>
感光層に用いられる電荷輸送物質としては、ジフェノキノン誘導体、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チオジアゾール誘導体などの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物、これらの化合物が複数結合されたもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などが挙げられる。なお、上記電荷輸送材料は、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0044】
分散型または単層型感光層の感光層乃至は積層型感光層における電荷輸送層は、これらの物質を感光層に用いるバインダー樹脂として優れた性能を有する前記のバインダー樹脂と共に適当な溶媒中に溶解または、分散し、必要に応じて電子受容性化合物、或いは可塑剤、無機粒子、有機顔料その他の添加剤を添加した塗布液を塗布、乾燥することにより得ることができる。
電荷輸送層の膜厚は、薄すぎると帯電性や画像欠陥が起こりやすいことから、通常10μm以上、好ましくは15μm以上で用いる。また、厚すぎると、解像度が下がる等の問題があるため、通常50μm以下、好ましくは40μm以下、更に好ましくは35μm以下で用いる。
【0045】
<層形成用塗布液>
本発明の電子写真感光体の有する各層の成形方法としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解又は分散させて得られた塗布液を順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。
上記各層を塗布する際に使用される溶媒、分散媒としては、ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N−N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロルエタン、トリクロロエチレン、テトラクロルエタン、ジクロルメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ、等が挙げられる。
これらの溶媒は、1種類単独で使用してもよく、或いは2種類以上を混合して用いてもよい。
【0046】
<層形成方法>
各層の塗布形成方法としては、スプレー塗布法、スパイラル塗布法、リング塗布法、浸漬塗布法等がある。
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
【0047】
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機またはカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
【0048】
浸漬塗布法は、一例としては以下のような電荷輸送層の塗布形成手段が挙げられる。
電荷輸送物質、バインダー樹脂、溶剤等を用いて、全固形分濃度が15%以上あってより好ましくは40%以下の、且つ粘度が通常50センチポアーズ〜700センチポアーズ以下、さらに好ましくは100センチポアーズ〜500センチポアーズ以下の電荷輸送層形成用の塗布液を調整する。
【0049】
ここで実質的に塗布液の粘度はバインダーは樹脂の種類およびその分子量によりきまるが、あまり分子量が低い場合には感光層の機械的強度が低下するためこれを損なわない程度の分子量を持つバインダー樹脂を使用することが好ましい。この様にして調整された塗布液を用いて浸漬塗布法いより電荷輸送層または感光層が形成される。
【0050】
そのご塗布膜を乾燥するが、必要且つ充分な乾燥が行われる様に乾燥温度、時間を調整する。
乾燥温度は通常100〜250℃、好ましくは110℃〜170℃、さらに好ましくは115℃〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機および遠赤外線乾燥機を用いることができる。
このようにして得られた本発明の電子写真感光体は長期間にわたって優れた耐刷性と滑り性を維持し、複写機、プリンター、ファックス、製版機等の電子写真分野に好適である。
【0051】
<画像形成方法>
本発明の電子写真感光体を使用する複写機、プリンター等の電子写真装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写、除電の各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いても良い。
帯電方法(帯電機)としては、例えばコロナ放電を利用したコロトロン、スコロトロン帯電の他に、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電手段を用いてもよい。直接帯電手段としては、導電性ローラーあるいはブラシ、フィルムなどによる接触帯電などいずれを用いてもよく、気中放電を伴うもの、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。このうち、コロナ放電を使用した帯電方法では暗部電位を一定に保つため、スコロトロン帯電が好ましい。導電性ローラー等を用いた接触帯電装置の場合の帯電方式としては、直流帯電または交流重畳直流帯電を用いることが出来る。
【0052】
露光はハロゲンランプ、蛍光灯、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式等が用いられるが、デジタル式電子写真方式として、レーザー、LED、光シャッターアレイ等を用いることが好ましい。波長としては780nmの単色光の他、600〜700nm領域のやや短波長寄りの単色光、および380〜500nm領域の短波長単色光を用いることができる。
【0053】
現像行程はカスケード現像、1成分絶縁トナー現像、1成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や湿式現像方式などが用いられる。トナーとしては、粉砕トナーの他に、懸濁重合、乳化重合凝集法等の重合トナーを用いることができる。特に、重合トナーの場合には、4〜8μ程度の小粒径のものが用いられ、形状も球形に近いものから、ポテト状の球形から外れたものも使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化には好適に用いられる。
【0054】
転写行程はコロナ転写、ローラー転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法が用いられる。定着は熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着などが用いられる。
クリーニングにはブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラークリーナー、ブレードクリーナー、などが用いられる。
【0055】
除電工程は、省略される場合も多いが、使用される場合には、蛍光灯、LED等が使用され、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーが使用される場合が多い。
これらのプロセスのほかに、前露光工程、補助帯電工程のプロセスを有しても良い。
【0056】
【実施例】
以下本発明を実施例、比較例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに限定されるものではない。なお、実施例中で用いる「部」は特に断りがない限り「重量部」を示す。
【0057】
<ポリエステル樹脂の製造>
合成例(実施例1〜3に用いるポリエステル樹脂の製造法)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(14.01g)と水(1120ml)を秤り取り、窒素バブリングしながら攪拌し溶解させた。そこにベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.1744g)、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(23.79g)およびビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシメチルフェニル)メタンの混合物[本州化学(株)製 混合比率、約35:48:17] (7.96g)を添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。その後2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−フェノール(0.712g)を添加した。
【0058】
別途、テレフタル酸クロライド(27.35g)をジクロロメタン(560ml)に溶解し滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、酢酸(4.62ml)を加え30分攪拌した。その後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(560ml)にて洗浄を1回行い、次に0.1N塩酸(420ml)にて洗浄を2回行い、さらに水(420ml)にて洗浄を2回行った。
【0059】
洗浄後の有機層をメタノール(3000ml)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して構造式(8)で表される目的のポリエステル樹脂を得た。
【0060】
【化4】
【0061】
[粘度平均分子量の測定]
ポリエステル樹脂をジクロロメタンに溶解し、濃度Cが6.00g/Lの溶液を調整した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出したところ、得られたポリエステル樹脂の粘度平均分子量は36,700であった。
【0062】
a=0.438×ηsp+1 ηsp=t/t0−1
b=100×ηsp/C C=6.00(g/L)
η=b/a
Mv=3207×η1.205
【0063】
実施例1
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)27.3°に最大回折ピークを示すオキソチタニウムフタロシアニン10部を、1,2−ジメトキシエタン150部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。
また、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商名デンカブチラール#6000C)5部を1,2−ジメトキシエタン95部に溶解し、固形分濃度5%のバインダー溶液を作製した。
先に作製した顔料分散液160部に、バインダー溶液100部、適量の1,2−ジメトキシエタンと、適量の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2を加え固形分濃度4.0%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2=9:1の電荷発生層用分散液を調整した。
【0064】
表面が鏡面加工された外径30mm、長さ285mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化膜処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔処理を行うことより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。このシリンダーを実施例1で作製した電荷発生層用塗布液に浸漬塗布し、乾燥重量が0.3g/m2(約0.3μm)となるように電荷発生層を形成した。
【0065】
次に、この電荷発生層の上に、下記構造式(9)に示す電荷輸送性化合物を47部、下記構造式(10)に示す酸化防止剤8部、合成例で製造したポリエステル樹脂2部および下記構造式(11)のポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量約30000)100部を、テトラヒドロフラン:トルエン=80:20の混合溶媒に溶解させた、合成例で製造したポリエステル樹脂を全バインダー樹脂に対して2重量%含有する液に浸漬し塗布形成することにより、乾燥後の膜厚18μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体ドラムを感光体A1とする。
【0066】
【化5】
【0067】
実施例2
合成例で製造したポリエステル樹脂の量を5部とし、合成例で製造したポリエステル樹脂を全バインダー樹脂に対して5重量%含有する液を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムを作製した。これを感光体A2とする。
実施例3
合成例で製造したポリエステル樹脂の量を10部とし、合成例で製造したポリエステル樹脂を全バインダー樹脂に対して10重量%含有する液を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムを作製した。これを感光体A3とする。
比較例1
合成例で製造したポリエステル樹脂の代わりに、式(12)で表される電子吸引性化合物を0.2部使用する以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムを作製した。これを比較感光体B1とする。
【0068】
【化6】
【0069】
比較例2
合成例で製造したポリエステル樹脂を用いないこと以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムを作製した。これを比較感光体B2とする。
<感光体の評価>
[電気特性評価]
次に、感光体ドラムを感光体特性試験器に装着し、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。
【0070】
初期表面電位(以下、V0と言うことがある)は−700Vとし、露光光にはハロゲンランプの光を干渉フィルターで780nmの単色光としたものを用いた。表面電位が−700Vから−350Vになるのに要した露光量(以下、半減露光量またはE1/2と言うことがある)、1.4μJ/cm2の光を照射した時の表面電位(以下、VLと言うことがある)を測定した。露光から電位測定までの時間は100msとした。また、除電光には660nmのLED光を用いて、除電光照射後の残留電位(以下、Vrと言うことがある)を測定した。
【0071】
測定は温度5℃、湿度10%RH(以下、この環境をL/L環境と呼ぶことがある)、温度25℃、湿度50%RH(以下、この環境をN/N環境と呼ぶことがある)、温度35℃、湿度85%RH(以下、この環境をH/H環境と呼ぶことがある)の3環境下で行った。電気特性評価の結果を表1に示す。
また、N/N環境において、上記プロセスを30K回転(Kは1000を表す)繰り返した後の、V0、VL、Vrの測定を行った(以下、これを繰り返し試験と言うことがある)。この結果を表2に示す。
[強露光照射試験]
感光体の強露光照射試験は以下のように行った。
【0072】
最初に強露光照射前の電気特性(V0,VL,Vr)の測定を行った。測定条件は上記電気特性試験の条件と同様に行った。
次に、感光体ドラムを電気特性評価機に装着したまま、一般に使用されている卓上蛍光灯を使用し、感光体ドラム表面に、光量2000Lux照射するように調整した。この際、感光体ドラムは60回転/分で回転させた。この状態で10分間光照射を行った。
【0073】
光照射を行った後、再び前記同条件で電気特性の測定を行い、光照射前後での電気特性の差を、V0、VL、Vrそれぞれで比較した。
また、同じ感光体ドラムを使用して前述した繰り返し試験を行い(30K回転)、30K回転後のV0、VL、Vrの比較を行った。この結果を表3に示す。[強露光照射による画像への影響]
強露光照射による画像への影響は次に示す方法で行った。
【0074】
強露光照射前の感光体ドラムを市販のレーザープリンター(沖データ製 ML3050C)に装着してN/N環境で画像形成を行った。画像は、濃度変化が確認しやすいハーフトーン画像で行い、2種類の濃度の違うハーフトーン画像を出して確認した。
次に、感光体ドラムを固定し、一般的に使用されている卓上蛍光灯を感光体ドラム表面位置で、光量が1000luxとなるように調整して照射した。照射時間は60分、30分、20分、10分、5分とし、それぞれの時間光照射した後の感光体ドラムを再び上記レーザープリンターに装着して、2種類のハーフトーン画像を形成した。
【0075】
光照射による濃度変化を確認するため、感光体ドラムの一部を光の透過しない黒紙でマスクし光が感光体上に照射しない部分を作り、光照射の画像への影響を比較することにより確認した(以下、これを強露光試験と言うことがある)。
次に、この感光体ドラムを1日暗所で放置した後、同様にハーフトーン画像を形成した。これらの結果を表4に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
表1、2から実施例、比較例共にほとんど電気特性に違いは見られなかった。しかし、表3で示す結果から、比較例B1は強露光試験後にVL、Vrが大きく低下していることがわかる。一方、感光体A1〜3および比較感光体B2に関しては、ほとんど電位の変化はみられなかった。 次に、表3の結果から、比較例B2は、強露光後の繰り返し試験で、VL、Vrの上昇がみられた。感光体A1〜A3は、強露光試験後の繰り返し試験でも、ほとんど電位の変化は見られなかった。
【0081】
表4は画像濃度の変化示したもので。強露光試験直後の電位の低下が見られる試験感光体B1は、黒帯が発生し、繰り返し試験後の電位の上昇が見られ、試験感光体B2では白帯の発生が見られた。
これらの結果から、本発明による感光体A1〜A3は強露光および繰り返しによる変動が少ない優れた感光体であることが分かった。特に、実施例A1、A2の感光体は全ての条件で良好な結果が得られた。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、感光層に特定の量のポリエステル樹脂を含有させることにより、強露光に強く、長期の繰り返し使用においても良好な画像の得られる優れた感光体を得ることができる。
Claims (3)
- 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生物質、電荷輸送物質およびバインダー樹脂を含む感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記一般式(1)で表される構造単位を有する芳香族ポリエステル樹脂を、該感光層に含まれる全バインダー樹脂に対し0.3重量%以上10重量%以下の量で含有していることを特徴とする電子写真感光体。
−O−A−O−CO−W−CO− (1)
〔式(1)中、A及びWはそれぞれ独立して、Aは下記一般式(2)で表される基、Wは置換されていてもよい二価の芳香族基を表す。但し、AがビスフェノールA由来の基である場合を除く。〕
- 一般式(1)において、Aを構成する芳香族ジヒドロキシ化合物が複数併用されることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 請求項1または請求項2に記載の電子写真感光体を用いることを特徴とする、電子写真装置。
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