JP4862662B2 - 電子写真感光体並びにそれを用いた画像形成装置及び電子写真カートリッジ - Google Patents
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Description
電子写真技術の中核となる電子写真感光体(以下適宜「感光体」という)については、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電物質を使用した感光体が使用されている。
また、特定構造の二価フェノール成分を用いたポリアリレート樹脂をバインダ樹脂として用いた電子写真用感光体の技術が開示され、感光体製造時の溶液安定性が向上すること、機械的強度、特に耐摩耗性が優れていることが知られている(例えば、特許文献6および7参照)。
本発明の電子写真感光体(感光体)は、導電性支持体上に感光層を有して構成されたものである。また、この感光層は、特定の繰り返し構造を有するポリエステル樹脂(以下適宜、「第1の樹脂」という)と、該ポリエステル樹脂(即ち、第1の樹脂)とは異なる構造からなる、ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の群から選ばれる少なくとも一つの樹脂(以下適宜、「第2の樹脂」という)とを含有する。これらの第1の樹脂及び第2の樹脂は、前記の感光層において、通常はバインダ樹脂として機能するものである。
本発明の感光体は、その感光層に、第1の樹脂及び第2の樹脂を含有する。詳しくは、感光層が単独の層で構成される場合は当該感光層が第1の樹脂及び第2の樹脂を含有し、感光層が2以上の層で構成される場合は当該層のうちの1以上の層が第1の樹脂及び第2の樹脂を含有する。また、第1の樹脂及び第2の樹脂を含有する層には、第1の樹脂及び第2の樹脂以外の樹脂を含有していてもよい。ただし、第1の樹脂及び第2の樹脂が、所定の繰り返し構造を特定の成分比率だけ含むようにする。
本発明の感光体の感光層に含有される第1の樹脂は、下記式(1)で表される繰り返し構造を含むポリエステル樹脂である。
Ar1〜Ar4の炭素数は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、Ar1、Ar2の炭素数は通常6以上、また、通常20以下、好ましくは12以下であり、特に好ましくは7である。また、Ar3、Ar4の炭素数は通常6以上、また、通常20以下、好ましくは12以下であり、特に好ましくは6である。
まず、二価ヒドロキシ残基は、前記式(3)で表される。式(3)において、Ar1、Ar2及びX1は、それぞれ前記式(1)で説明したものと同様である。
また、前記式(5)においてR1は水素原子またはメチル基を表わす。
即ち、R1が水素原子の場合、前記式(5)で表される二価フェノール残基に対応する二価フェノール化合物の例としては、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(3−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキシフェニル)メタン、(3−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)メタン、(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)メタン、等が挙げられる。
即ち、例えば、前記式(4)で表されるジカルボン酸残基に対応するジカルボン酸化合物の例としては、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸化合物の製造の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が好ましく、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が特に好ましい。
なお、上述したジカルボン酸化合物及びジカルボン酸残基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、前記式(6)において、Ar7及びAr8は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表わす。この際、Ar7、Ar8の置換基は、Ar1〜Ar4の置換基として上述したものと同様である。
第2の樹脂は、第1の樹脂とは異なる構造からなる、ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の群から選ばれる少なくとも一つの樹脂であれば特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の樹脂を用いることができる。したがって、第2の樹脂としては、公知のポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂を用いることができる。なお、本発明においては、第2の樹脂としてはポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の少なくとも一方を用いればよく、したがって、ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の両方を用いることも可能である。
また、機械的耐久性の面から見ると2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンとの共重合体を用いた時に特に大きな効果が得られる。
芳香族ジオールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン(BPE)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノールフタルレイン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビス[2−メチルフェノール]などが挙げられる。
また、機械的耐久性の面から見ると、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを単独で用いた時に特に大きな効果が得られる。
第1の樹脂と第2の樹脂との使用比率に制限は無く、本発明の効果が得られる限り任意である。ただし、感光体の耐久性の観点からは、感光層に含有される量として、第1の樹脂と第2の樹脂との合計重量に対する第2の樹脂の重量が、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。また、下限に特に制限は無いが、通常は1重量%以上、好ましくは5重量%以上である。この範囲の下限を下回ると耐摩耗性が悪くなる可能性があり、上限を上回ると耐摩耗性が悪くなる可能性がある。
さらに、第1の樹脂及び第2の樹脂のいずれかは、下記式(2)で表わされる繰り返し構造、即ち、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン由来の繰り返し構造(以下適宜「構造ユニット(2)」という)を含む。即ち、第1の樹脂及び第2の樹脂のうち少なくとも1種、好ましくは第2の樹脂のうちの少なくとも1種が、構造ユニット(2)を含むことが好ましい。これにより、本発明の効果をより効果的に得ることができる。
なお、第1の樹脂及び/又は第2の樹脂として、それぞれ、構造ユニット(2)を含む樹脂と、構造ユニット(2)を含まない樹脂とを併用しても良い。また、構造ユニット(2)は、前記の式(3)で表わされるヒドロキシ残基の一種である。
さらに、本発明の感光体の感光層には、バインダ樹脂として、前記の第1の樹脂及び第2の樹脂以外の樹脂(併用樹脂)を併用するようにしてもよい。ここで併用される他の樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルポリカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。また、これらの併用される他の樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
導電性支持体に特に制限は無いが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料;金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を混合して導電性を付与した樹脂材料;アルミニウム、ニッケル、ITO(インジウム−スズ酸化物)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。また、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、導電性支持体の形態としては、例えば、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。また、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子(通常は無機粒子)を分散したものなどが用いられる。
さらに、下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性および塗布性から、通常、0.1μmから25μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を含有させても良い。
電子写真感光体の感光層は、導電性支持体上に設けられ、下引き層を有する場合は下引き層上に(即ち、下引き層を介して導電性支持体上に)設けられる。
感光層の型式としては、通常は、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダ樹脂中に分散又は溶解された型(単層型、又は、分散型)の感光層;電荷発生物質がバインダ樹脂中に分散又は溶解された電荷発生層、及び、電荷輸送物質がバインダ樹脂中に分散又は溶解された電荷輸送層の二つに機能分離された複層構造を有する型(積層型、又は、機能分離型)の感光層が挙げられる。単層型の感光層を有する感光体は、いわゆる単層型感光体であり、積層型の感光層を有する感光体は、いわゆる積層型感光体(又は、機能分離型感光体)であるが、感光層としては、何れの構成のものを用いてもよい。また、感光層上に、帯電性の改善や、耐摩耗性改善を目的としてオーバーコート層(保護層)を設けてもよい。
ただし、本発明の感光体においては、感光層には、第1の樹脂及び第2の樹脂を、前記の構造ユニット(2)を前記特定の成分比率だけ含むように含有させる。これらの第1の樹脂及び第2の樹脂は、感光層内において通常はバインダ樹脂として機能する。
本発明の感光体が積層型感光層である場合、その電荷発生層に使用される電荷発生物質としては、例えば、セレン及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料;フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料;などの各種光導電材料が使用できる。中でも、特に有機顔料が好ましく、更に、フタロシアニン顔料、アゾ顔料がより好ましい。
また、バインダ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、電荷発生層の膜厚にも制限は無いが、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常1μm以下、好ましくは0.6μm以下が好適である。
積層型感光層の電荷輸送層は、電荷輸送物質、バインダ樹脂、及び、必要に応じて使用されるその他の成分を含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダ樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
さらに、電荷輸送層は、単一の層から成っていても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。感光層が2以上の層から構成される場合、当該層のうち1以上、好ましくは全てが、第1の樹脂及び第2の樹脂を含有し、且つ、構造ユニット(2)が前記特定の成分比率だけ含まれるようにする。
なお、電荷輸送層には、電荷発生層と同様に、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために添加剤を含有させても良い。
分散型感光層は、上記のような配合比の電荷輸送層中に、前出の電荷発生物質が分散されて構成される。したがって、分散型の感光層においては、電荷輸送物質及びバインダ樹脂の種類並びにこれらの使用割合は、第1の樹脂及び第2の樹脂を含有する場合の積層型の感光層の電荷輸送層について説明したものと同様である。よって、分散型感光層は、バインダ樹脂として前記の第1の樹脂及び第2の樹脂を含有し、さらに、構造ユニット(2)を特定の成分比率だけ含むことになる。
さらに、分散型感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害がある。よって、分散型感光層内の電荷発生物質の量は、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
さらに、分散型感光層にも、電荷発生層と同様に添加剤を含有させても良い。
感光体には、上記の下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、単層型感光層のほかにも、その他の層をさらに設けても良い。
例えば、感光層の上に、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けても良い。また、最表面層には、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、例えばフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含有させても良く、さらに、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含有させても良い。
感光体を構成する各層の形成方法に制限は無く任意である。通常、これらの感光体を構成する各層は、感光体の感光層形成方法として公知な、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ノズル塗布法、バーコート法、ロールコート法、ブレード塗布法等により支持体上に塗布して形成される。これらの中でも生産性の高さから浸漬塗布方法が好ましい。
具体的な手順としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を、順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。
上記のように、感光層に前記第1の樹脂及び第2の樹脂を含有させるとともに、構造ユニット(2)が前記特定の成分比率だけ含まれるようにすることにより、感光体への負荷に対する耐摩耗性を向上させることができる。また、感光層の耐摩耗性以外の機械的強度(例えば、耐傷性など)を向上させることも可能である。
上述したように第1の樹脂と第2の樹脂とを感光層にともに含有し、構造ユニット(2)を特定の成分比率だけ含むことにより、上記の利点を得られる理由は定かではないが、次のように推察される。即ち、第1の樹脂と第2の樹脂とを混合すると、両者は完全には均一とならず、非常に微細にではあるが各樹脂毎に偏って感光層内に存在することになる。そして、この偏りに起因して、感光層の表面に微細な凹凸が形成され、この凹凸が感光層外部の物質と感光層との接触面積を減少させるように機能し、感光層の耐摩耗性を向上させることができるようになっているものと推察される。
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
これらの中でも、[I−5.効果]で説明したように、波長380nm〜500nmの単色光で露光を行なうことが好ましい。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
まず、樹脂の粘度平均分子量の測定について説明する。
測定対象である樹脂をジクロロメタンに溶解し、濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製する。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定する。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出する。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=(t/t0)−1
b=100×ηsp/C C=6.00
η=b/a
Mv=3207×η1.205
以下、ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
[製造例1(樹脂Xの製造)]
1000mLビーカーに水酸化ナトリウム22.34gとH2O940mLを量り取り、攪拌しながら溶解させた。そこに1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン51.04gを添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.5579gおよび2,3,5−トリメチルフェノール1.0613gを順次反応槽に添加した。
[実施例1]
下引き層用分散液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
次に、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示し、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行ない顔料分散液を作製した。こうして得られた160重量部の顔料分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5重量%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部に加え、適量の1,2−ジメトキシエタンを加えて、最終的に固形分濃度4.0重量%の分散液を作製した。
この分散液を、上述の下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Yを、下記構造式を有するポリカーボネート樹脂Z(第2の樹脂、粘度平均分子量50,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートBを作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを50重量部とし、さらに、樹脂Yの代わりに樹脂Z50重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートCを作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを25重量部とし、さらに、樹脂Yの代わりに樹脂Z75重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートDを作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Yを、下記構造式を有するポリエステル樹脂W(第2の樹脂、粘度平均分子量22,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートEを作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを50重量部とし、樹脂Yを50重量部とした以外は、実施例1と同様にして感光体シートFを作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Yを、下記構造式を有するポリカーボネート樹脂P(第2の樹脂、粘度平均分子量30,300)に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体シートNを作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを50重量部とし、さらに、樹脂Yの代わりに樹脂P50重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートOを作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを100重量部とし、樹脂Yを用いなかった以外は、実施例1と同様にして感光体シートGを作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを用いず、樹脂Yを100重量部とした以外は、実施例1と同様にして感光体シートHを作製した。
実施例2の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを含有せず、樹脂Zを100重量部とした以外は、実施例2と同様にして感光体シートIを作製した。
実施例5の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを含有せず、樹脂Wを100重量部をした以外は、実施例5と同様にして感光体シートJを作製した
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを25重量部とし、樹脂Yを75重量部とした以外は、実施例1と同様にして感光体シートKを作製した。
実施例5の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを25重量部とし、樹脂Wを75重量部とした以外は、実施例5と同様にして感光体シートLを作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを用いず、樹脂Pを100重量部とした以外は、実施例1と同様にして感光体シートPを作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Yを、下記繰り返し構造を有するポリカーボネート樹脂Q(第2の樹脂、粘度平均分子量40,100)に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体シートQを作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを50重量部とし、さらに、樹脂Yの代わりに樹脂Q50重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートRを作製した。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを用いず、樹脂Qを100重量部とした以外は、実施例1と同様にして感光体シートSを作製した。
上記の実施例及び比較例で作製した感光体シートA〜Sを、それぞれ直径10cmの円状に切断し、テーバー摩耗試験機(Taber社製)により摩耗評価を行なった。試験条件は、23℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10F(type−III)を用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転後の摩耗量を試験前後の重量を比較することにより測定した。
結果を表1に示す。
[実施例9]
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ375.8mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行ない、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行なうことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。
実施例9の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xをポリエステル樹脂Vにした以外は、実施例9と同様にして、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この塗布液を用いて、実施例9と同様の方法で、感光体ドラムUを得た。
以上で得られた感光体T、Uについて、それぞれ、以下の電気特性試験と実機評価とを行なった。これらの結果を表2にまとめた。
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
同様に、干渉フィルターを用いて760nmの単色光としたものを用い、まったく同様の手順で感度E2と露光後表面電位VL2を測定した。
実施例8の感光体は405nmの光を十分透過するのに対し、比較例12の感光体は感光層が405nmの光を吸収するために感度が著しく低下している。
作製した感光体ドラムT、Uを、A3印刷対応である市販のタンデム型カラープリンター(沖データ社製 Microline Pro 9800PS−E)のブラックドラムカートリッジに装着し、上記プリンタに装着した。
・4連タンデム
・カラー36ppm、モノクロ40ppm
・1200dpi
・DC接触ローラ帯電
・LEDによる書き込み
・除電光あり
・重合トナー
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙
Claims (5)
- 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、
該感光層が、下記式(1)で表わされる繰り返し構造を含むポリエステル樹脂(以下「第1の樹脂」という)と、
第1の樹脂とは異なる構造からなる(但し、下記式(1’)で表される繰り返し構造を含む場合を除く)、ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の群から選ばれる少なくとも一つの樹脂(以下「第2の樹脂」という)とを含有し、
少なくとも該第2の樹脂が、下記式(2)で表わされる繰り返し構造を含み、
該第1の樹脂及び該第2の樹脂の合計重量に対する、下記式(2)で表わされる繰り返し構造の重量が、1重量%以上45重量%以下である
ことを特徴とする、電子写真感光体。
- 波長380〜500nmの単色光で像露光される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。 - 請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段と、
前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、
前記トナーを被転写体に転写する転写手段とを備える
ことを特徴とする、画像形成装置。 - 該像露光手段の露光光が、波長380〜500nmの単色光である
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、並びに前記トナーを被転写体に転写する転写手段のうち、少なくとも一つとを備える
ことを特徴とする、電子写真カートリッジ。
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