JP4862662B2 - 電子写真感光体並びにそれを用いた画像形成装置及び電子写真カートリッジ - Google Patents

電子写真感光体並びにそれを用いた画像形成装置及び電子写真カートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、複写機やプリンタ等に用いられる電子写真感光体に関し、詳しくは、優れた耐久性を有する電子写真感光体、並びにそれを用いた画像形成装置及び電子写真カートリッジに関する。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、複写機、各種プリンタなどの分野で広く使われている。
電子写真技術の中核となる電子写真感光体(以下適宜「感光体」という)については、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電物質を使用した感光体が使用されている。
有機系の光導電材料を用いた感光体としては、光導電性微粉末をバインダ樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体、並びに、電荷発生層および電荷輸送層を積層した積層型感光体が知られている。積層型感光層は、それぞれ効率の高い電荷発生物質および電荷輸送物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、並びに、感光層を塗布により容易に形成可能で生産性が高く、コスト面でも有利なことから、感光体の主流であり、鋭意開発され実用化されている。
電子写真感光体は、電子写真プロセス、即ち、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用されるため、その間様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては、例えば、帯電器として用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメージを与えたり、像露光や除電光で生成したキャリアが感光層内を流れることや外部からの光によって、感光層組成物が分解したりすることなどの、化学的、電気的劣化が挙げられる。
また、これとは別の劣化として、クリーニングブレード、磁気ブラシなどの摺擦や現像剤、転写部材や紙との接触等による感光層表面の摩耗や傷の発生、膜の剥がれといった機械的劣化がある。特に、このような感光層表面に生じる損傷は画像上に現れやすく、直接画像品質を損うため、感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。即ち、高寿命の感光体を開発するためには、電気的、化学的耐久性を高めると同時に、機械的強度を高めることも望まれる。
表面保護層などの機能層を持たない一般的な感光体の場合、このような負荷を受けるのは感光層である。感光層は、通常バインダ樹脂と光導電性物質とからなっており、実質的に強度を決めるのはバインダ樹脂である。しかし、光導電性物質のドープ量が相当多いため、従来の技術では感光層に十分な機械強度を持たせるには至っていない。
感光層のバインダ樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂が用いられている。数あるバインダ樹脂のなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
一方、商品名「U−ポリマー」として市販されているポリアリレート樹脂をバインダ樹脂として用いた電子写真用感光体の技術が開示され、その中でポリカーボネートに比して特に感度が優れていることが示されている(例えば、特許文献5参照)。
また、特定構造の二価フェノール成分を用いたポリアリレート樹脂をバインダ樹脂として用いた電子写真用感光体の技術が開示され、感光体製造時の溶液安定性が向上すること、機械的強度、特に耐摩耗性が優れていることが知られている(例えば、特許文献6および7参照)。
特開昭50−98332号公報 特開昭59−71057号公報 特開昭59−184251号公報 特開平5−21478号公報 特開昭56−135844号公報 特開平3−6567号公報 特開平10−288845号公報
しかしながら、従来の技術による感光体は、トナーによる現像材、転写部材、紙、クリーニング部材(ブレード)等による摩擦などの実用上の負荷によって、表面が摩耗してしまったり、表面に傷が生じてしまうなどの課題を有している。このため、実用上は限られた印刷性能にとどまっているのが現状である。
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものである。即ち、本発明の目的は、耐摩耗性に優れた電子写真感光体、並びに、該電子写真感光体を用いた画像形成装置および電子写真カートリッジを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果、感光層に特定の繰り返し構造を有するポリエステル樹脂と、該ポリエステル樹脂とは異なる繰り返し構造のポリエステル樹脂及び/又はポリカーボネート樹脂とを併用することで、優れた機械的耐久性が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明の要旨は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、該感光層が、下記式(1)で表わされる繰り返し構造を含むポリエステル樹脂(第1の樹脂)と、第1の樹脂とは異なる構造からなる(但し、下記式(1’)で表される繰り返し構造を含む場合を除く)、ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の群から選ばれる少なくとも一つの樹脂(第2の樹脂)とを含有し、少なくとも該第2の樹脂が、下記式(2)で表わされる繰り返し構造を含み、該第1の樹脂及び該第2の樹脂の合計重量に対する、下記式(2)で表わされる繰り返し構造の重量が、1重量%以上45重量%以下であることを特徴とする、電子写真感光体に存する(請求項1)。
Figure 0004862662
(前記式(1)中、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表わし、X1は単結合または二価基を表わす。)
Figure 0004862662
Figure 0004862662
このとき、前記の電子写真感光体は、波長380〜500nmの単色光で露光されるようになっていることが好ましい(請求項2)。
本発明の別の要旨は、前記の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段と、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、前記トナーを被転写体に転写する転写手段とを備えることを特徴とする、画像形成装置に存する(請求項3)。
このとき、該像露光手段の露光光は、波長380〜500nmの単色光であることが好ましい(請求項4)。
本発明の更に別の要旨は、前記の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、並びに前記トナーを被転写体に転写する転写手段のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする、電子写真カートリッジに存する(請求項5)。
本発明によれば、耐摩耗性に優れた電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成装置及び電子写真カートリッジを得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で任意に変形して実施することができる。
[I.電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体(感光体)は、導電性支持体上に感光層を有して構成されたものである。また、この感光層は、特定の繰り返し構造を有するポリエステル樹脂(以下適宜、「第1の樹脂」という)と、該ポリエステル樹脂(即ち、第1の樹脂)とは異なる構造からなる、ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の群から選ばれる少なくとも一つの樹脂(以下適宜、「第2の樹脂」という)とを含有する。これらの第1の樹脂及び第2の樹脂は、前記の感光層において、通常はバインダ樹脂として機能するものである。
[I−1.バインダ樹脂]
本発明の感光体は、その感光層に、第1の樹脂及び第2の樹脂を含有する。詳しくは、感光層が単独の層で構成される場合は当該感光層が第1の樹脂及び第2の樹脂を含有し、感光層が2以上の層で構成される場合は当該層のうちの1以上の層が第1の樹脂及び第2の樹脂を含有する。また、第1の樹脂及び第2の樹脂を含有する層には、第1の樹脂及び第2の樹脂以外の樹脂を含有していてもよい。ただし、第1の樹脂及び第2の樹脂が、所定の繰り返し構造を特定の成分比率だけ含むようにする。
[I−1−1.第1の樹脂]
本発明の感光体の感光層に含有される第1の樹脂は、下記式(1)で表される繰り返し構造を含むポリエステル樹脂である。
Figure 0004862662
(前記式(1)中、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表わし、X1は単結合または二価基を表わす。)
前記式(1)において、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に、アリーレン基を表わす。
Ar1〜Ar4の炭素数は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、Ar1、Ar2の炭素数は通常6以上、また、通常20以下、好ましくは12以下であり、特に好ましくは7である。また、Ar3、Ar4の炭素数は通常6以上、また、通常20以下、好ましくは12以下であり、特に好ましくは6である。
また、Ar1〜Ar4の環の数も本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常1以上、また、通常3以下、好ましくは2以下であり、特に好ましくは1である。
これらのAr1〜Ar4の具体例を挙げると、フェニレン基、ナフチレン基、3−メチルフェニレン基、3−フェニルフェニレン基などが挙げられる。また、例えば、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基等も挙げられる。これらの中でも、製造コストの面から、フェニレン基とナフチレン基が特に好ましい。また、フェニレン基とナフチレン基を比較した場合、製造コストの面に加えて合成のし易さの面で、フェニレン基がより好ましい。
また、Ar1〜Ar4を構成するアリーレン基は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい。置換基の具体例を挙げると、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、アルコキシ基、縮合多環基などが挙げられる。このうち、感光層用のバインダ樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性とを勘案すれば、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が好ましく、ハロゲン基としてフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が好ましく、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が好ましく例示される。なお、置換基がアルキル基である場合、そのアルキル基の炭素数は通常1以上、また、通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは2以下であり、具体的にはメチル基が特に好ましい。また、Ar1〜Ar4それぞれの置換基の数に特に制限は無く、中でも3個以下であることが好ましく、2個以下であることがより好ましく、1個以下であることが特に好ましい。
さらに、式(1)中、Ar1とAr2が置換基を有する場合には、Ar1とAr2は同じ置換基を有する同じアリーレン基であることが好ましく、メチル基を置換基として有するフェニレン基であることがより好ましい。また、Ar3とAr4も同じアリーレン基であることが好ましく、中でも、置換基を有さないフェニレン基であることが特に好ましい。
また、前記式(1)において、X1は単結合または二価基を表わす。好適なX1の例を挙げると、硫黄原子、酸素原子、スルホニル基、シクロアルキレン基、−CR23−などが挙げられる。ここで、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシ基を表わす。また、R2及びR3のうち、感光層用のバインダ樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性とを勘案すれば、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが好ましく、ハロゲン基としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が好ましく例示される。なお、R2又はR3がアルキル基である場合、そのアルキル基の炭素数は、通常1以上、また、通常10以下、好ましくは8以下、より好ましくは2以下である。
さらに、第1の樹脂を製造する際に用いる二価ヒドロキシ化合物の製造の簡便性を勘案すれば、X1として好ましい基の例としては、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH32−、シクロヘキシリデンが挙げられる。中でも好ましくは、−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH32−、シクロヘキシリデンであり、特に好ましくは−CH2−、−CH(CH3)−、シクロヘキシリデンである。
ところで、前記の式(1)で表される繰り返し構造は、二価ヒドロキシ残基(下記式(3)で表される部分構造)と、ジカルボン酸残基(下記式(4)で表される部分構造)とで構成されることになる。これらの二価ヒドロキシ残基及びジカルボン酸残基の構造は、第1の樹脂に様々な影響を与える。したがって、二価ヒドロキシ残基及びジカルボン酸残基の構造は、適宜好ましい構造とすることが望ましい。
Figure 0004862662
Figure 0004862662
(式(3),(4)において、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表わし、X1は単結合または二価基を表わす。)
以下、上記の二価ヒドロキシ残基及びジカルボン酸残基の好ましい構造について説明する。
まず、二価ヒドロキシ残基は、前記式(3)で表される。式(3)において、Ar1、Ar2及びX1は、それぞれ前記式(1)で説明したものと同様である。
前記の式(3)で表される二価ヒドロキシ残基の中でも、特に、下記式(5)で表される二価フェノール残基が好ましい。
Figure 0004862662
(式(5)中、Ar5、Ar6は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表わし、R1は水素原子またはメチル基を表わす。)
前記式(5)において、Ar5、Ar6は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表わす。この際、Ar5、Ar6の置換基は、Ar1〜Ar4の置換基として上述したものと同様である。
また、前記式(5)においてR1は水素原子またはメチル基を表わす。
式(5)の具体例としては、以下に例示する二価フェノール化合物のヒドロキシル基から水素原子を取り除いた構造の二価フェノール残基が挙げられる。
即ち、R1が水素原子の場合、前記式(5)で表される二価フェノール残基に対応する二価フェノール化合物の例としては、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(3−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキシフェニル)メタン、(3−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)メタン、(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)メタン、ビス(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)メタン、等が挙げられる。
また、R1がメチル基の場合は、前記式(5)で表される二価フェノール残基に対応する二価フェノール化合物の例としては、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ヒドロキシフェニル)エタン、1−(3−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)エタン、1−(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1−(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)エタン、等が挙げられる。
この中でも、二価フェノール化合物の製造の簡便性を考慮すれば、R1が水素原子の場合、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタンが特に好ましい。また、R1がメチル基の場合には、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、等が好ましい。
また、式(3)中、式(5)には含まれない二価ヒドロキシ残基の例を挙げると、以下に例示する二価ヒドロキシ化合物のヒドロキシル基から水素原子を取り除いた構造の二価ヒドロキシ残基が挙げられる。
即ち、前記式(3)で表される二価ヒドロキシ残基に対応する二価ヒドロキシ化合物の例としては、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,4,3’,5’−テトラメチル−3,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’,4,4’−テトラメチル−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)プロパン、
ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−1−(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、
ビス(2−ヒドロキシフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシフェニル)(3−ヒドロキシフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−ヒドロキシフェニル)エーテル、(3−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エーテル、ビス(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エーテル、ビス(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)エーテル、(3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、(3−ヒドロキシ−4−エチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)エーテル、ビス(3−ヒドロキシ−2,4−ジメチルフェニル)エーテル、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、等が挙げられる。
これらの中でも、二価ヒドロキシ化合物の製造の簡便性を考慮すれば、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、あるいは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エーテル、等が好ましい。
なお、上述した二価ヒドロキシ化合物及び二価ヒドロキシ残基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
一方、ジカルボン酸残基は、前記式(4)で表される。式(4)において、Ar3及びAr4は、それぞれ前記式(1)で説明したものと同様である。上記式(4)で表される構造を有するジカルボン酸残基の具体例としては、以下に例示するジカルボン酸化合物のカルボキシル基からヒドロキシル基を取り除いた構造のジカルボン酸残基が挙げられる。
即ち、例えば、前記式(4)で表されるジカルボン酸残基に対応するジカルボン酸化合物の例としては、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸などが挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸化合物の製造の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が好ましく、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が特に好ましい。
なお、上述したジカルボン酸化合物及びジカルボン酸残基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
したがって、二価ヒロドキシ残基及びジカルボン酸残基の構造を当該好ましい構造とするべく、前記のAr1〜Ar4及びX1も適切に選択することが好ましい。
上記の点から、上述した本発明のポリエステル樹脂の中でも、特に、下記式(6)で表される繰り返し構造を含むものが好ましい。
Figure 0004862662
(式(6)中、Ar5〜Ar8は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表わし、R1は水素原子またはメチル基を表わす。)
前記式(6)において、Ar5、Ar6及びR1は、それぞれ式(5)において説明したものと同様である。
また、前記式(6)において、Ar7及びAr8は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表わす。この際、Ar7、Ar8の置換基は、Ar1〜Ar4の置換基として上述したものと同様である。
また、前記式(1)で表される繰り返し構造は、第1の樹脂において1種でもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。したがって、前記の二価ヒドロキシ残基及びジカルボン酸残基は1種を単独で用いてもよく2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、Ar1〜Ar4及びX1も、それぞれ、1種を単独で用いてもよく2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、第1の樹脂は、前記の式(3)で表わされる二価ヒドロキシ残基又は式(4)で表わされるジカルボン酸残基以外の成分を、その部分構造として含んでいてもよい。例えば、式(4)で表わされるジカルボン酸残基の他のジカルボン酸残基を含み、構造の一部に式(1)の繰り返し構造を内包する樹脂でもよい。その他のジカルボン酸残基の具体例としては、アジピン酸残基、スベリン酸残基、セバシン酸残基、フタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、トルエン−2,5−ジカルボン酸残基、p−キシレン−2,5−ジカルボン酸残基、ピリジン−2,3−ジカルボン酸残基、ピリジン−2,4−ジカルボン酸残基、ピリジン−2,5−ジカルボン酸残基、ピリジン−2,6−ジカルボン酸残基、ピリジン−3,4−ジカルボン酸残基、ピリジン−3,5−ジカルボン酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸残基、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸残基などが挙げられる。中でも、好ましくは、アジピン酸残基、セバシン酸残基、フタル酸残基、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸残基、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸残基、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸残基、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸残基が挙げられ、特に好ましくは、イソフタル酸残基、テレフタル酸残基が挙げられる。なお、前記の式(3)で表わされる二価ヒドロキシ残基又は式(4)で表わされるジカルボン酸残基以外の繰り返し単位(残基)も、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ただし、第1の樹脂において、前記の式(3)で表わされる二価ヒドロキシ残基又は式(4)で表わされるジカルボン酸残基以外の繰り返し単位は少ないほうが好ましい。よって、式(3)で表わされる以外の二価ヒドロキシ残基、式(4)で表わされる以外のジカルボン酸残基の量も、少ないことが好ましい。具体的な比率に制限は無いが、例えばジカルボン酸残基については、繰り返し単位の数の比率で、ジカルボン酸残基全量に占める式(4)で表わされるジカルボン酸残基の比率が、通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上であり、特に好ましくは100%である。
次に、第1の樹脂の製造方法について説明する。第1の樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができる。例えば、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法などが挙げられる。
例えば、界面重合法による製造の場合は、二価ヒドロキシ化合物をアルカリ水溶液に溶解した溶液と、芳香族ジカルボン酸クロライドを溶解したハロゲン化炭化水素の溶液とを混合する。この際、触媒として、四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。重合温度は0〜40℃の範囲、重合時間は2〜20時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相を分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂を得られる。
界面重合法で用いられるアルカリ成分としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができる。アルカリの使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01〜3倍当量の範囲が好ましい。
また、ハロゲン化炭化水素としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロルベンゼンなどを挙げることができる。なお、ハロゲン化炭化水素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、触媒として用いられる四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩としては、例えば、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等の三級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩;ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライドなどが挙げられる。なお、触媒も、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、界面重合法では、分子量調節剤を使用することができる。分子量調節剤としては、例えば、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体および2−メチルフェノール誘導体等のアルキルフェノール類、o,m,p−フェニルフェノール等の一官能性のフェノール、酢酸クロリド、酪酸クロリド、オクチル酸クロリド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルフォニルクロリド、ベンゼンスルフィニルクロリド、スルフィニルクロリド、ベンゼンホスホニルクロリドやそれらの置換体等の一官能性酸ハロゲン化物等が挙げられる。
これら分子量調節剤の中でも分子量調節能が高く、かつ溶液安定性の点で好ましいものとしては、o,m,p−(tert−ブチル)フェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体、2−メチルフェノール誘導体であり、特に好ましくは、p−(tert−ブチル)フェノール、2,3,6−テトラメチルフェノール、2,3,5−テトラメチルフェノールが挙げられる。なお、分子量調節剤も、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、第1の樹脂において、それぞれ、粘度平均分子量は、感光層を塗布形成するのに適するよう、通常10,000以上、好ましくは15,000以上、さらに好ましくは20,000以上であり、通常300,000以下、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下である。粘度平均分子量が10,000未満であると樹脂の機械的強度が低下し実用的でなくなる可能性があり、300,000より大きいと、感光層を適当な膜厚に塗布形成する事が困難となる可能性がある。
[I−1−2.第2の樹脂]
第2の樹脂は、第1の樹脂とは異なる構造からなる、ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の群から選ばれる少なくとも一つの樹脂であれば特に制限は無く、本発明の効果を著しく損なわない限り任意の樹脂を用いることができる。したがって、第2の樹脂としては、公知のポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂を用いることができる。なお、本発明においては、第2の樹脂としてはポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の少なくとも一方を用いればよく、したがって、ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の両方を用いることも可能である。
第2の樹脂として用いることができるポリカーボネート樹脂としては、例えば、以下の二官能性フェノール化合物から由来する構成単位を有するものが挙げられる。即ち、例えば、二官能性フェノール化合物としては、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2、2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノールフタレイン、5、5’−(1−メチルエチリデン)ビス[1,1’−(ビフェニル)−2−オール]、[1、1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、[1、1’−ビフェニル]−3,3’−ジオール、4,4’−オキシビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等を挙げることができる。
この中で、製造の容易さからは、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましく、機械的物性の面からは、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンが好ましい。さらに、これらの中でも、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが特に好ましい。
なお、これらの構成単位は、1種を単独で用いても良いが、所望の物性により2種以上を任意の比率で組み合わせて用いることもできる。
また、機械的耐久性の面から見ると2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンとの共重合体を用いた時に特に大きな効果が得られる。
一方、第2の樹脂として用いることができるポリエステル樹脂は、多塩基酸成分と多価アルコール成分とに由来する構成単位を有するものが挙げられる。このポリエステル樹脂の多塩基酸成分としては、例えば、無水マレイン酸等の不飽和酸;無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族飽和酸;ヘキサヒドロ無水フタル酸、コハク酸、アゼライン酸等の脂肪族飽和酸などに由来するものが挙げられる。
また、多価アルコール成分としては、多価アルコール又は多価フェノールが挙げられる。これらの多価アルコール又は多価フェノールの例を挙げると、芳香族ジオール、脂肪族ジヒドロキシ化合物などが挙げられる。
芳香族ジオールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン(BPE)、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノールフタルレイン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビス[2−メチルフェノール]などが挙げられる。
これらの芳香族ジオールの中で好ましい例としては、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンが挙げられる。
中でも、特に好ましいのは、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンであり、特に好ましいのは2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンである。
また、脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、ペンタメチレンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、ヘキサメチレングリコール、1,5−ヘプタンジオール、ヘプタメチレンジオール、オクタメチレンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカメチレングリコール、1,6−シクロヘキサンジオール等が挙げられるが、好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどが挙げられる。
なお、これらの構成単位は、1種を単独で用いても良いが、所望の物性により2種以上を任意の比率で組み合わせて用いることもできる。
また、機械的耐久性の面から見ると、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンを単独で用いた時に特に大きな効果が得られる。
[I−1−3.使用比率]
第1の樹脂と第2の樹脂との使用比率に制限は無く、本発明の効果が得られる限り任意である。ただし、感光体の耐久性の観点からは、感光層に含有される量として、第1の樹脂と第2の樹脂との合計重量に対する第2の樹脂の重量が、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。また、下限に特に制限は無いが、通常は1重量%以上、好ましくは5重量%以上である。この範囲の下限を下回ると耐摩耗性が悪くなる可能性があり、上限を上回ると耐摩耗性が悪くなる可能性がある。
なお、上記の第1の樹脂及び第2の樹脂の使用比率の範囲規定は、第1の樹脂と第2の樹脂とを双方とも含有する層における重量範囲である。したがって、感光層が2以上の層により構成され、それらの層のなかに第1の樹脂及び第2の樹脂のいずれか一方のみを含有する層があった場合には、当該一方の樹脂のみを含有する層内に含まれる第1の樹脂及び第2の樹脂の重量は、上記範囲規定の計算には含めないものとする。
[I−1−4.所定の繰り返し構造]
さらに、第1の樹脂及び第2の樹脂のいずれかは、下記式(2)で表わされる繰り返し構造、即ち、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン由来の繰り返し構造(以下適宜「構造ユニット(2)」という)を含む。即ち、第1の樹脂及び第2の樹脂のうち少なくとも1種、好ましくは第2の樹脂のうちの少なくとも1種が、構造ユニット(2)を含むことが好ましい。これにより、本発明の効果をより効果的に得ることができる。
なお、第1の樹脂及び/又は第2の樹脂として、それぞれ、構造ユニット(2)を含む樹脂と、構造ユニット(2)を含まない樹脂とを併用しても良い。また、構造ユニット(2)は、前記の式(3)で表わされるヒドロキシ残基の一種である。
Figure 0004862662
また、第1の樹脂と第2の樹脂との合計重量に対する、当該第1の樹脂及び第2の樹脂に含有される構造ユニット(2)の重量の比率(成分比率)は、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、また、通常45重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
構造ユニット(2)の重量は、バインダ樹脂を加水分解し、繰り返しユニット量を高速液体クロマトグラフィー等により測定することができる。なお、上記の構造ユニット(2)の成分比率は、第1の樹脂と第2の樹脂とを双方とも含有する層における成分比率である。したがって、感光層が2以上の層により構成され、それらの層のなかに第1の樹脂及び第2の樹脂のいずれか一方のみを含有する層があった場合には、当該一方の樹脂のみを含有する層内に含まれる第1の樹脂及び第2の樹脂並びに構造ユニット(2)の重量は、上記成分比率の計算には含めないものとする。
[I−1−5.その他]
さらに、本発明の感光体の感光層には、バインダ樹脂として、前記の第1の樹脂及び第2の樹脂以外の樹脂(併用樹脂)を併用するようにしてもよい。ここで併用される他の樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、およびその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルポリカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。また、これらの併用される他の樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、併用樹脂を用いる場合、第1の樹脂及び第2の樹脂と併用樹脂とを混合して用いてもよく、感光層を構成する層毎に別々に用いてもよい。例えば、後述する電荷発生層及び電荷輸送層の一方のバインダ樹脂として第1の樹脂及び第2の樹脂を用い、電荷発生層及び電荷輸送層の他方のバインダ樹脂として併用樹脂を用いるようにしてもよい。
また、併用樹脂を使用する場合、併用樹脂の使用割合は、特に限定されず任意である。例えば、第1の樹脂及び第2の樹脂を用いる層とは別の層において併用樹脂を用いる場合には、併用樹脂の使用量に制限は無い。ただし、第1の樹脂及び第2の樹脂と併用樹脂とを同一の層(感光層、電荷発生層、電荷輸送層)に用いる場合には、本発明の効果を十分に得るためには、第1の樹脂の割合を超えない範囲で併用することが好ましく、特には、これらの他の樹脂は併用しないことが好ましい。
[I−2.導電性支持体]
導電性支持体に特に制限は無いが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料;金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を混合して導電性を付与した樹脂材料;アルミニウム、ニッケル、ITO(インジウム−スズ酸化物)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。また、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、導電性支持体の形態としては、例えば、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。また、金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
さらに、導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化処理、化成被膜処理等を施してから用いても良い。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、導電性支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。
[I−3.下引き層]
導電性支持体と後述する感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子(通常は無機粒子)を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子などが挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いても良いし、複数の種類の粒子を任意の組み合わせ及び比率で混合して用いても良い。
これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又は、ステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。なお、酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが任意の組み合わせ及び比率で含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性および液の安定性の面から、平均一次粒径として、通常1nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下が望ましい。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダ樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダ樹脂としては、例えば、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が挙げられる。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性、塗布性を示し好ましい。なお、下引き層のバインダ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。さらに、バインダ樹脂は、バインダ樹脂のみで用いるほか、硬化剤とともに硬化した形で使用することもできる。
また、バインダ樹脂に対する粒子の使用比率は任意に選べるが、通常10重量%から500重量%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。
さらに、下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性および塗布性から、通常、0.1μmから25μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を含有させても良い。
[I−4.感光層]
電子写真感光体の感光層は、導電性支持体上に設けられ、下引き層を有する場合は下引き層上に(即ち、下引き層を介して導電性支持体上に)設けられる。
感光層の型式としては、通常は、電荷発生物質と電荷輸送物質とが同一層に存在し、バインダ樹脂中に分散又は溶解された型(単層型、又は、分散型)の感光層;電荷発生物質がバインダ樹脂中に分散又は溶解された電荷発生層、及び、電荷輸送物質がバインダ樹脂中に分散又は溶解された電荷輸送層の二つに機能分離された複層構造を有する型(積層型、又は、機能分離型)の感光層が挙げられる。単層型の感光層を有する感光体は、いわゆる単層型感光体であり、積層型の感光層を有する感光体は、いわゆる積層型感光体(又は、機能分離型感光体)であるが、感光層としては、何れの構成のものを用いてもよい。また、感光層上に、帯電性の改善や、耐摩耗性改善を目的としてオーバーコート層(保護層)を設けてもよい。
さらに、積層型感光層としては、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層して設ける順積層型感光層と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層して設ける逆積層型感光層とがあり、いずれを採用することも可能である。中でも、最もバランスの取れた光導電性を発揮できる順積層型感光層が好ましい。
ただし、本発明の感光体においては、感光層には、第1の樹脂及び第2の樹脂を、前記の構造ユニット(2)を前記特定の成分比率だけ含むように含有させる。これらの第1の樹脂及び第2の樹脂は、感光層内において通常はバインダ樹脂として機能する。
具体的には、感光層が1層で構成されている場合、当該感光層自体に第1の樹脂及び第2の樹脂を含有するようにする。また、感光層を積層型のように2以上の層で構成する場合、感光層を構成する少なくともいずれか1層に第1の樹脂及び第2の樹脂が含有されていれば良い。即ち、感光層が、第1の樹脂及び第2の樹脂を含有する層を少なくも一層有していればよいのである。ただし、構造ユニット(2)が、前記特定の成分比率だけ含まれるようにする。
<電荷発生層>
本発明の感光体が積層型感光層である場合、その電荷発生層に使用される電荷発生物質としては、例えば、セレン及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料;フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料;などの各種光導電材料が使用できる。中でも、特に有機顔料が好ましく、更に、フタロシアニン顔料、アゾ顔料がより好ましい。
特に、電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、またはその酸化物、ハロゲン化物等の配位したフタロシアニン類などが使用される。3価以上の金属原子への配位子の例としては、上に示した酸素原子、塩素原子の他、水酸基、アルコキシ基などが挙げられる。中でも、特に感度の高いX型、τ型無金属フタロシアニン、A型、B型、D型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適である。
なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、A型、B型についてはW.HellerらによってそれぞれI相、II相として示されており(Zeit. Kristallogr.159(1982)173)、A型は安定型として知られているものである。D型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。
また、電荷発生物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。さらに、電荷発生物質を2種以上併用する場合、併用する電荷発生物質、及び、その結晶状態における混合状態としては、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等の電荷発生物質の製造・処理工程において混合状態を生じせしめて用いてもよい。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
また、これらの電荷発生物質は、バインダ樹脂で結着した状態で電荷発生層を形成する。この際、電荷発生層のバインダ樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダ樹脂を用いることができる。また、電荷発生層のバインダ樹脂として、前記の第1の樹脂及び第2の樹脂を用いてもよい。この際、構造ユニット(2)が、前記特定の成分比率だけ含まれるようにすることが望ましい。
また、バインダ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、電荷発生層における電荷発生物質とバインダ樹脂との比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、電荷発生層における電荷発生物質の量は、バインダ樹脂100重量部に対して、通常30重量部以上、好ましくは50重量部以上、より好ましくは100重量部以上、また、通常500重量部以下、好ましくは400重量部以下、より好ましくは300重量部以下とすることが望ましい。電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られない可能性があり、多すぎると感光体が帯電性の低下、感度の低下などを生じる可能性がある。
また、電荷発生層の膜厚にも制限は無いが、通常0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、また、通常1μm以下、好ましくは0.6μm以下が好適である。
なお、電荷発生層には、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性、機械的強度等を向上させるために、周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料などの添加物を含有させても良い。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物などが挙げられる。また、残留電位を抑制するための残留電位抑制剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤(例えば、シリコ−ンオイル、フッ素系オイル等)、界面活性剤などを添加剤として用いることもできる。なお、添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
<電荷輸送層>
積層型感光層の電荷輸送層は、電荷輸送物質、バインダ樹脂、及び、必要に応じて使用されるその他の成分を含有する。このような電荷輸送層は、具体的には、例えば電荷輸送物質等とバインダ樹脂とを溶剤に溶解又は分散して塗布液を作製し、これを順積層型感光層の場合には電荷発生層上に、また、逆積層型感光層の場合には導電性支持体上に(下引き層を設ける場合は下引き層上に)塗布、乾燥して得ることができる。
電荷輸送物質としては特に限定されず、任意の物質を用いることが可能である。電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、電荷輸送層に用いるバインダ樹脂としては、前記の第1の樹脂及び第2の樹脂を用いる。このように、感光層が積層型である場合は、通常は電荷輸送層に第1の樹脂及び第2の樹脂を含有させるようにすることが好ましい。なお、上述したように、第1の樹脂及び第2の樹脂とともに、その他の樹脂(併用樹脂)を併用しても良い。
さらに、電荷輸送層は、単一の層から成っていても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。感光層が2以上の層から構成される場合、当該層のうち1以上、好ましくは全てが、第1の樹脂及び第2の樹脂を含有し、且つ、構造ユニット(2)が前記特定の成分比率だけ含まれるようにする。
また、電荷発生層が第1の樹脂及び第2の樹脂を含有し、また、構造ユニット(2)が前記特定の成分比率だけ含まれる場合、電荷輸送層のバインダ樹脂としては、第1の樹脂及び第2の樹脂以外の樹脂を用いても構わない。
さらに、電荷輸送層において、電荷輸送物質とバインダ樹脂との比率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、電荷輸送層における電荷輸送物質の量は、バインダ樹脂100重量部に対して、通常30重量部以上、好ましくは40重量部以上、より好ましくは50重量部以上、また、通常200重量部以下、好ましくは150重量部以下、より好ましくは100重量部以下とすることが望ましい。電荷輸送物質の量は少なすぎると電気特性が悪化する可能性があり、多すぎると塗布膜が脆くなり耐摩耗性が悪化する可能性がある。
また、電荷輸送層の膜厚は特に制限されないが、長寿命、画像安定性の観点、更には高解像度の観点から、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下、更に好ましくは30μm以下である。
なお、電荷輸送層には、電荷発生層と同様に、成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために添加剤を含有させても良い。
<分散型(単層型)感光層>
分散型感光層は、上記のような配合比の電荷輸送層中に、前出の電荷発生物質が分散されて構成される。したがって、分散型の感光層においては、電荷輸送物質及びバインダ樹脂の種類並びにこれらの使用割合は、第1の樹脂及び第2の樹脂を含有する場合の積層型の感光層の電荷輸送層について説明したものと同様である。よって、分散型感光層は、バインダ樹脂として前記の第1の樹脂及び第2の樹脂を含有し、さらに、構造ユニット(2)を特定の成分比率だけ含むことになる。
また、分散型感光層における電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが望ましい。具体的には、通常1μm以下、好ましくは0.5μm以下で使用される。
さらに、分散型感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害がある。よって、分散型感光層内の電荷発生物質の量は、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
また、分散型感光層の膜厚は任意であるが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは45μm以下である。
さらに、分散型感光層にも、電荷発生層と同様に添加剤を含有させても良い。
<その他の層>
感光体には、上記の下引き層、電荷発生層、電荷輸送層、単層型感光層のほかにも、その他の層をさらに設けても良い。
例えば、感光層の上に、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けても良い。また、最表面層には、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、例えばフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含有させても良く、さらに、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含有させても良い。
<各層の形成方法>
感光体を構成する各層の形成方法に制限は無く任意である。通常、これらの感光体を構成する各層は、感光体の感光層形成方法として公知な、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ノズル塗布法、バーコート法、ロールコート法、ブレード塗布法等により支持体上に塗布して形成される。これらの中でも生産性の高さから浸漬塗布方法が好ましい。
具体的な手順としては、層に含有させる物質を溶剤に溶解または分散させて得られた塗布液を、順次塗布するなどの公知の方法が適用できる。
[I−5.効果]
上記のように、感光層に前記第1の樹脂及び第2の樹脂を含有させるとともに、構造ユニット(2)が前記特定の成分比率だけ含まれるようにすることにより、感光体への負荷に対する耐摩耗性を向上させることができる。また、感光層の耐摩耗性以外の機械的強度(例えば、耐傷性など)を向上させることも可能である。
上述したように第1の樹脂と第2の樹脂とを感光層にともに含有し、構造ユニット(2)を特定の成分比率だけ含むことにより、上記の利点を得られる理由は定かではないが、次のように推察される。即ち、第1の樹脂と第2の樹脂とを混合すると、両者は完全には均一とならず、非常に微細にではあるが各樹脂毎に偏って感光層内に存在することになる。そして、この偏りに起因して、感光層の表面に微細な凹凸が形成され、この凹凸が感光層外部の物質と感光層との接触面積を減少させるように機能し、感光層の耐摩耗性を向上させることができるようになっているものと推察される。
したがって、上記の効果を良好に発揮させるには、感光層を2層以上の層により構成する場合には、より外部の層に第1の樹脂及び第2の樹脂を含有させることが好ましい。したがって、積層型の感光層においては、順層型の場合は電荷輸送層のバインダ樹脂として第1の樹脂及び第2の樹脂を用い、逆層型の場合は電荷発生層のバインダ樹脂として第1の樹脂及び第2の樹脂を用いることが望ましい。
ところで、本発明の感光体は、画像形成の際には、露光部から書き込み光によって露光を行なわれて静電潜像を形成されることになる。この際に用いられる書き込み光は静電潜像の形成が可能である限り任意であるが、中でも、露光波長が通常380nm以上、中でも400nm以上、また、通常500nm以下、中でも480nm以下の単色光を用いることが好ましい。これにより、耐摩耗性に優れた感光体を、より小さなスポットサイズの光で露光することができ、高解像度で高階調性を有する高品質の画像を形成することができる。
[II.画像形成装置]
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図1を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図1に示すように、画像形成装置は、電子写真感光体1、帯電装置(帯電手段)2、露光装置(露光手段;像露光手段)3及び現像装置(現像手段)4を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置(転写手段)5、クリーニング装置(クリーニング手段)6及び定着装置(定着手段)7が設けられる。
電子写真感光体1は、上述した電子写真感光体であれば特に制限はないが、図1ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5及びクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。図1では帯電装置2の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示しているが、他にもコロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。
なお、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(本発明の電子写真感光体カートリッジ。以下適宜、「感光体カートリッジ」という)として、画像形成装置の本体から取り外し可能に設計されている。ただし、帯電装置2は、カートリッジとは別体に、例えば、画像形成装置の本体に設けられていてもよい。そして、例えば電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている。また、後述するトナーについても、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナーが無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1、帯電装置2、トナーが全て備えられたカートリッジを用いることもある。
露光装置3は、電子写真感光体1に対し露光(像露光)を行なって電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED(発光ダイオード)などが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の露光光は任意であるが一般に単色光が好ましく、例えば、波長が700nm〜850nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長300nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。
特に、電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を使用する電子写真感光体の場合には、波長700nm〜850nmの単色光を用いることが好ましく、アゾ化合物を用いる電子写真感光体の場合には、白色光又は波長700nm以下の単色光を用いることが好ましい。
これらの中でも、[I−5.効果]で説明したように、波長380nm〜500nmの単色光で露光を行なうことが好ましい。
現像装置4は、露光した電子写真感光体1上の静電潜像を目に見える像に現像することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図1では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、及び、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接している。ただし、現像ローラ44と電子写真感光体1とは当接せず、近接していてもよい。供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、通常、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は0.05〜5N/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は必要に応じて設けられ、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
トナーTの種類は任意であり、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法などを用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナーの粒子の形状も球形に近いものからポテト上の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体,被転写体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
定着装置7は、上部定着部材(加圧ローラ)71及び下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71又は72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図1では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部及び下部の各定着部材71,72は、ステンレス、アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更にテフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置では、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置は、上述した構成に加え、例えば除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、感光体1は、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、及び定着装置7のうち1つ又は2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(電子写真感光体カートリッジ)として構成し、この電子写真感光体カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。例えば、帯電装置2、露光装置3、現像装置4及び転写装置5の内、少なくとも1つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジとすることが出来る。この場合も、上記実施形態で説明したカートリッジと同様に、例えば電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下、実施例を用いて本発明について更に具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本発明を詳細に説明するために示すものであり、本発明はその趣旨に反しない限り、以下に示した実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例、比較例および参考例中の「部」の記載は、特に指定しない限り「重量部」を示す。
<粘度平均分子量の測定方法>
まず、樹脂の粘度平均分子量の測定について説明する。
測定対象である樹脂をジクロロメタンに溶解し、濃度Cが6.00g/Lの溶液を調製する。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定する。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出する。
a=0.438×ηsp+1 ηsp=(t/t0)−1
b=100×ηsp/C C=6.00
η=b/a
Mv=3207×η1.205
<樹脂の製造>
以下、ポリエステル樹脂の製造方法について説明する。
[製造例1(樹脂Xの製造)]
1000mLビーカーに水酸化ナトリウム22.34gとH2O940mLを量り取り、攪拌しながら溶解させた。そこに1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン51.04gを添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.5579gおよび2,3,5−トリメチルフェノール1.0613gを順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド63.37gとジクロロメタン470mLとの混合溶液を滴下ロート内に移した。重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートより前記の混合溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン783mLを加え、撹拌を7時間続けた。
その後、酢酸8.10mLを加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液942mLにて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸942mLにて洗浄を2回行い、さらにH2O942mLにて洗浄を2回行なった。洗浄後の有機層をメタノール6266mLに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂X(第1の樹脂)を得た。得られた樹脂Xの粘度平均分子量を上記の測定方法で測定したところ、51,700であった。樹脂Xの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004862662
<感光体シートの製造>
[実施例1]
下引き層用分散液は、次のようにして製造した。即ち、平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、高速流動式混合混練機((株)カワタ社製「SMG300」)に投入し、回転周速34.5m/秒で高速混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、疎水化処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、疎水性処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層用分散液とした。
Figure 0004862662
このようにして得られた下引き層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、乾燥後の膜厚が1.2μmになるようにワイヤーバーで塗布、乾燥して下引き層を設けた。
次に、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)が27.3゜に強い回折ピークを示し、図2に示す粉末X線回折スペクトルを有するオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行ない顔料分散液を作製した。こうして得られた160重量部の顔料分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000C)の5重量%1,2−ジメトキシエタン溶液100重量部に加え、適量の1,2−ジメトキシエタンを加えて、最終的に固形分濃度4.0重量%の分散液を作製した。
この分散液を、上述の下引き層上に乾燥後の膜厚が0.4μmとなるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式を有する電荷輸送物質50重量部、製造例1で製造した樹脂X75重量部、及び、下記繰り返し構造を有するポリカーボネート樹脂Y(第2の樹脂、粘度平均分子量50,000)25重量部、レベリング剤としてシリコーンオイル0.05重量部を、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)640重量部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 0004862662
Figure 0004862662
この電荷輸送層形成用塗布液を上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が20μmとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体シートAを作製した。
[実施例2]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Yを、下記構造式を有するポリカーボネート樹脂Z(第2の樹脂、粘度平均分子量50,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートBを作製した。
Figure 0004862662
[実施例3]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを50重量部とし、さらに、樹脂Yの代わりに樹脂Z50重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートCを作製した。
[実施例4]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを25重量部とし、さらに、樹脂Yの代わりに樹脂Z75重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートDを作製した。
[実施例5]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Yを、下記構造式を有するポリエステル樹脂W(第2の樹脂、粘度平均分子量22,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートEを作製した。
Figure 0004862662
[実施例6]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを50重量部とし、樹脂Yを50重量部とした以外は、実施例1と同様にして感光体シートFを作製した。
[実施例7]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Yを、下記構造式を有するポリカーボネート樹脂P(第2の樹脂、粘度平均分子量30,300)に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体シートNを作製した。
Figure 0004862662
[実施例8]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを50重量部とし、さらに、樹脂Yの代わりに樹脂P50重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートOを作製した。
[比較例1]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを100重量部とし、樹脂Yを用いなかった以外は、実施例1と同様にして感光体シートGを作製した。
[比較例2]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを用いず、樹脂Yを100重量部とした以外は、実施例1と同様にして感光体シートHを作製した。
[比較例3]
実施例2の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを含有せず、樹脂Zを100重量部とした以外は、実施例2と同様にして感光体シートIを作製した。
[比較例4]
実施例5の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを含有せず、樹脂Wを100重量部をした以外は、実施例5と同様にして感光体シートJを作製した
[比較例5]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを25重量部とし、樹脂Yを75重量部とした以外は、実施例1と同様にして感光体シートKを作製した。
[比較例6]
実施例5の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを25重量部とし、樹脂Wを75重量部とした以外は、実施例5と同様にして感光体シートLを作製した。
[比較例7]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを下記構造式を有するポリエステル樹脂V(粘度平均分子量31,000)にした以外は、実施例1と同様にして感光体シートMを作製した。
Figure 0004862662
[比較例8]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを用いず、樹脂Pを100重量部とした以外は、実施例1と同様にして感光体シートPを作製した。
[比較例9]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Yを、下記繰り返し構造を有するポリカーボネート樹脂Q(第2の樹脂、粘度平均分子量40,100)に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体シートQを作製した。
Figure 0004862662
[比較例10]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを50重量部とし、さらに、樹脂Yの代わりに樹脂Q50重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして感光体シートRを作製した。
[比較例11]
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xを用いず、樹脂Qを100重量部とした以外は、実施例1と同様にして感光体シートSを作製した。
<摩耗試験>
上記の実施例及び比較例で作製した感光体シートA〜Sを、それぞれ直径10cmの円状に切断し、テーバー摩耗試験機(Taber社製)により摩耗評価を行なった。試験条件は、23℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10F(type−III)を用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転後の摩耗量を試験前後の重量を比較することにより測定した。
結果を表1に示す。
Figure 0004862662
以上の結果から、第1の樹脂(樹脂X)と第2の樹脂(樹脂Y,Z,W,P)とを併用し、さらに、構造ユニット(2)を特定の成分比率だけ含む感光層を備える感光体は、表1のテーバー試験の結果に示されるように、耐摩耗性に優れていることがわかる。
第1の樹脂と第2の樹脂とを併用した場合、いずれかを単独使用した場合(比較例1、2、3、4、8、11)よりも優れた耐摩耗性を有していることから、混合による特異的な現象であることが分かる。また、式(1)に示すジフェニルエーテル−ジカルボン酸残基を含まないポリエステル樹脂Vを用いた場合の感光体N(比較例7)に対しても、感光体A〜F(実施例1〜8)は優れた耐摩耗性を示しており、このことから、式(1)で表わされるジフェニルエーテル−ジカルボン酸残基を含むポリエステル樹脂が必須であることが分かる。
中でも、構造ユニット(2)(繰り返し構造)を有する樹脂を併用した場合が効果的であり、さらには、その構造ユニット(2)の成分比率が30重量%以下であるときに効果的であり、特には15重量%以下で大きな効果を示すことがわかる。
以上の結果より、第1の樹脂と第2の樹脂とを併用し、且つ、構造ユニット(2)を特定の成分比率だけ含む感光層を備えた感光体は耐摩耗性に極めて優れていることがわかる。
次に、ドラム状の感光体(感光体ドラム)での評価を行なった。
[実施例9]
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ375.8mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行ない、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行なうことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。
また、電荷発生物質として下記構造を有する電荷発生物質15部に1,2−ジメトキシエタン300部加え、サンドグラインドミルで8時間粉砕し、微粒化分散処理を行なった。続いて、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)7.5部、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製品、PKHH)7.5部を1,2−ジメトキシエタン285部に溶解したバインダ溶液と混合し、最後に1,2−ジメトキシエタン63重量部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン72重量部との混合液を加えて、固形分(顔料+樹脂)濃度4.0重量%のアゾ顔料分散液を調製した。
Figure 0004862662
このアゾ顔料分散液と、実施例1で調製した電荷発生層形成用分散液を1対1の重量比で混合し、アゾ顔料とチタニルフタロシアニンの両方を含む電荷発生層形成用塗布液を調製した。
この電荷発生層形成用塗布液に、陽極酸化処理したアルミニウムシリンダーを浸漬塗布し、乾燥後の膜厚が0.6μmとなるように電荷発生層を作製した。
次に、電荷輸送物質として下記構造を有する化合物(R)と(S)をそれぞれ35部、合計70部と、バインダ樹脂として製造例1で製造したポリエステル樹脂Xを75部、ポリカーボネート樹脂Yを25部、およびレベリング剤としてシリコーンオイル(商品名 KF96 信越化学工業(株))0.05部を、テトラヒドロフラン/トルエン(8/2)混合溶媒640部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 0004862662
この電荷輸送層形成用塗布液を、上述の電荷発生層上に、乾燥後の膜厚が18μmとなるように浸漬塗布することで電荷輸送層を形成し、積層型感光層を有する感光体ドラムTを得た。
[比較例12]
実施例9の電荷輸送層形成用塗布液に用いた樹脂Xをポリエステル樹脂Vにした以外は、実施例9と同様にして、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。この塗布液を用いて、実施例9と同様の方法で、感光体ドラムUを得た。
[評価]
以上で得られた感光体T、Uについて、それぞれ、以下の電気特性試験と実機評価とを行なった。これらの結果を表2にまとめた。
<電気特性試験>
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404〜405頁記載)に装着し、以下の手順に従って、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性の評価を行なった。
感光体の初期表面電位が−700Vになるように帯電させ、ハロゲンランプの光を干渉フィルターで405nmの単色光としたものを照射して、表面電位が−350Vとなる時の照射エネルギー(μJ/cm)を感度E1とした。また、2.0μJ/cmで露光したときの露光後表面電位(−V)をVL1とした。
同様に、干渉フィルターを用いて760nmの単色光としたものを用い、まったく同様の手順で感度E2と露光後表面電位VL2を測定した。
上記のE1、VL1、E2及びVL2の測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を200msとした。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%で行なった。
実施例8の感光体は405nmの光を十分透過するのに対し、比較例12の感光体は感光層が405nmの光を吸収するために感度が著しく低下している。
Figure 0004862662
この結果から、実施例9の本発明の感光体は、比較例12の感光体に比べて、405nm、及び760nmのどちらの単色光を用いて露光しても、良好な電気特性を示すことがいえる。
<実機評価>
作製した感光体ドラムT、Uを、A3印刷対応である市販のタンデム型カラープリンター(沖データ社製 Microline Pro 9800PS−E)のブラックドラムカートリッジに装着し、上記プリンタに装着した。
MICROLINE Pro 9800PS−Eの仕様
・4連タンデム
・カラー36ppm、モノクロ40ppm
・1200dpi
・DC接触ローラ帯電
・LEDによる書き込み
・除電光あり
・重合トナー
次に本プリンタにパソコンを繋ぎ、グレイスケール(ハーフトーン)の画像を入力し、出力されるプリントアウトの濃度を確認したところ、実施例9、比較例12いずれの感光体も良好な濃度の画像が得られた。
更に、このプリンタの露光部を改造し、日進電子製、小型スポット照射型青色LED(B3MP−8:470nm)の光が感光体に照射できるように改造した。この改造したプリンタに、実施例9で使用した感光体Tを装着し、線を描かせたところ、良好な画像が得られた。また、上記小型スポット照射型青色LEDに、ストロボ照明電源LPS−203KSを接続し、点を書かせたところ、半径8mmの点画像を得ることができた。
上記実機評価、及び電気特性試験の結果から、実施例9の感光体Tは、紫〜青色の露光(405nm)でも十分な電気特性を示すため、波長400nm付近の青色LEDで露光したとしても、多少の露光量調整を行うことにより同等の画像を得ることができるが、比較例12の感光体Uは大きな露光調整を必要とするものと高い確度で推測される。
次に、温度25℃、湿度50%の条件下、約5%の印字面積を有するテキスト文書30,000枚の画像形成を行った。このときの平均膜減り量の相対値(実施例9の感光体の減少膜厚/比較例12の感光体の減少膜厚)は0.62であり、実施例9の感光体は優れた耐磨耗性を示した。
本発明は電子写真感光体を使用する任意の分野で使用することが可能であり、特に、プリンタや複写機等の画像形成装置に用いて好適である。
本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 本発明の実施例及び比較例で用いたオキシチタニウムフタロシアニンの粉末X線回折スペクトルを示すX線回折図である。
符号の説明
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
T トナー
P 記録紙

Claims (5)

  1. 導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体において、
    該感光層が、下記式(1)で表わされる繰り返し構造を含むポリエステル樹脂(以下「第1の樹脂」という)と、
    第1の樹脂とは異なる構造からなる(但し、下記式(1’)で表される繰り返し構造を含む場合を除く)、ポリエステル樹脂及びポリカーボネート樹脂の群から選ばれる少なくとも一つの樹脂(以下「第2の樹脂」という)とを含有し、
    少なくとも該第2の樹脂が、下記式(2)で表わされる繰り返し構造を含み、
    該第1の樹脂及び該第2の樹脂の合計重量に対する、下記式(2)で表わされる繰り返し構造の重量が、1重量%以上45重量%以下である
    ことを特徴とする、電子写真感光体。
    Figure 0004862662
    (前記式(1)中、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表わし、X1は単結合または二価基を表わす。)
    Figure 0004862662
    Figure 0004862662
  2. 波長380〜500nmの単色光で像露光される
    ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体と、
    該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、
    帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段と、
    前記静電潜像をトナーで現像する現像手段と、
    前記トナーを被転写体に転写する転写手段とを備える
    ことを特徴とする、画像形成装置。
  4. 該像露光手段の露光光が、波長380〜500nmの単色光である
    ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体と、
    該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行ない静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、並びに前記トナーを被転写体に転写する転写手段のうち、少なくとも一つとを備える
    ことを特徴とする、電子写真カートリッジ。
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