JP4534905B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真感光体に関し、より詳しくは、耐摩耗性等が良好な電子写真感光体に関する。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られること等から、複写機、各種プリンター等の分野で広く使われている。電子写真技術の中核となる感光体については、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電物質を使用した感光体が使用されている。
有機系の光導電材料を用いた感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体と、電荷発生層及び電荷移動層を積層した積層型感光体とが知られている。なかでも、積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、及び電荷移動物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また感光層を塗布により容易に形成可能で生産性が高く、コスト面でも有利なことから感光体の主流であり、鋭意開発され実用化されている。
電子写真感光体は、電子写真プロセス、即ち、帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用されるため、その間様々なストレスを受け劣化する。このような劣化としては、例えば、帯電器として普通用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に与える化学的なダメージ、像露光で生成したキャリアー(電流)が感光層内を流れること、除電光または外部からの光による感光層組成物の分解等の化学的、電気的劣化がある。さらに、クリーニングブレード、磁気ブラシ等の摺擦、現像剤、紙との接触等による感光層表面の摩耗、傷の発生、膜の剥がれ等の機械的劣化がある。特に、このような感光層表面に生じる損傷は画像上に現れやすく、直接画像品質を損うため感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。
表面保護層等の機能層を設けない一般的な感光体の場合、感光層がこのような負荷を受ける。感光層は、通常、バインダー樹脂と光導電性物質とからなり、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂であるが、光導電性物質のドープ量が相当多いため十分な機械強度を持たせるには至っていない。また、高速印刷の要求の高まりから、より高速の電子写真プロセス対応の材料が求められている。この場合、感光体には高感度、高寿命であることの他に、露光されてから現像されるまでの時間が短くなるために応答性が良いことも必要となる。
また、これらの電子写真感光体を構成する各層は、通常、支持体上に光導電性物質、バインダー樹脂等を含有する塗布液を、浸漬塗布、スプレー塗布、ノズル塗布、バーコート、ロールコート、ブレード塗布等により塗布して形成される。これらの層形成方法では、層に含有させる物質を溶剤に溶解させて得られる塗布溶液として、塗布する等の公知の方法が適用されている。そして多くの工程では、予め塗布溶液を調製し、それを保存することが行われている。
感光層のバインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂が用いられている。数あるバインダー樹脂のなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている(特許文献1〜特許文献4参照)。
一方、商品名「U−ポリマー」として市販されているポリアリレート樹脂をバインダーとして用いた電子写真用感光体は、ポリカーボネートを用いる場合と比較して感度が向上することが報告されている(特許文献5参照)。また、特定構造の2価フェノール成分を用いたポリアリレート樹脂をバインダー樹脂として用いる場合は、電子写真用感光体を製造する際に用いる塗布溶液の安定性が向上し、さらに、電子写真用感光体の機械的強度、耐磨耗性が改良されることが報告されている(特許文献6及び特許文献7参照)。
さらに、特定構造のポリアリレート共重合体を含有する電子写真感光体(特許文献8参照)、ポリエステルポリカーボネート樹脂をバインダーとして用いた電子写真感光体(特許文献9参照)、バインダーとして用いた樹脂の溶解性の向上(特許文献10、特許文献17参照)、バインダーとして用いた樹脂と特定溶媒との組み合わせ技術(特許文献20参照)、機械特性の向上(特許文献11〜特許文献13、特許文献16、特許文献18参照)、電気的特性の向上(特許文献14、特許文献15参照)、耐油性の向上(特許文献19参照)等の記述が知られている。
特開昭50−098332号公報 特開昭59−071057号公報 特開昭59−184251号公報 特開平05−021478号公報 特開昭56−135844号公報 特開平10−288845号公報 特開平10―288846号公報 特開平03−006567号公報 特開昭59−071057号公報 特開昭60−052855号公報 特開昭62−135840号公報 特開昭62−247374号公報 特開昭62−267747号公報 特開平03−033860号公報 特開平03−119360号公報 特開平03−171055号公報 特開平05−006010号公報 特開平08−123049号公報 特開平09−101621号公報 特開平11−109661号公報
ところで、前述したような従来の電子写真用感光体は、トナーによる現像、紙との摩擦、クリーニング部材(ブレード)による摩擦等の実用上の負荷により、電子写真用感光体表面が摩耗、表面に傷が生じる等の課題を有し、実用上は限られた印刷性能にとどまっているのが現状である。
例えば、市販のポリアリレート樹脂「U−ポリマー」は、耐磨耗性、感度の点で向上が見られるものの、この樹脂を溶解して調製した塗布液の安定性が低く、塗布製造が困難な場合がある。また、特定構造のポリアリレート樹脂を用いることにより、溶解性や溶液安定性、機械的強度等を向上させることができるものの、電気的特性、特に、応答性に関して不十分なものがある。ビスフェノール成分として、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを用いるポリアリレート共重合体を使用する場合も、機械物性にやや向上は見られるが、電気特性、感度、応答性の面では十分な性能が得られず、基板との接着性が不十分な場合が多い。
さらに、ポリエステルポリカーボネートにおいても、溶解性や溶液安定性は向上するものの、電気的特性または機械的強度が不十分なものがあり、実用上、十分な性能は得られていない。このため、電子写真用感光体に用いられる樹脂として、機械的強度が高く、溶媒に対する溶解性が高く、溶液安定性に優れ、且つ、接着性、応答性に優れたバインダー樹脂が望まれているのが現状である。
本発明は、このような課題を解決すべくなされたものである。
即ち、本発明の目的は、実用上の負荷に対する耐摩耗性に優れ、高い機械的強度を保ちつつ電気的特性に優れ、さらに、感光層形成用塗布液の安定性が高いバインダー樹脂を含有する電子写真感光体を提供することにある。
そこで本発明者等は鋭意検討の結果、感光層に特定の化学構造を有するポリエステルポリカーボネート樹脂を含有させることにより、十分な機械的特性を有し、感光層形成用塗布液に用いる溶媒に対して高い溶解性及び優れた塗布液安定性を有し、且つ、電気特性に優れる電子写真感光体を得ることができることを見いだし、かかる知見に基づき本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明によれば、導電性基体と、導電性基体上に設けた感光層と、を有し、感光層が、分子中に下記一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有するブロック共重合体樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
Figure 0004534905
一般式(1)中、R、R10は、各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシ基を表す。n、mは各々独立に、0〜4の整数である。
本発明が適用される電子写真感光体において、感光層に含有されるポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂は、樹脂中のポリエステル部の重量割合が10%〜90%であることが好ましい。また、ポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂の粘度平均分子量が15,000〜300,000であり、ポリエステルポリカーボネート構造のポリカーボネート部の粘度平均分子量が3,000〜50,000であることが好ましい。
さらに、本発明が適用される電子写真感光体において、感光層が、下記一般式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。
Figure 0004534905
(一般式(2)中、Ar〜Arは各々独立して、置換基を有してもよいアリーレン基または置換基を有してもよい2価の複素環基を表す。m,mは、各々独立して0または1を表す。Qは、直接結合または2価の残基を表す。R〜Rは各々独立して水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。n〜nは各々独立して0〜4の整数を表す。また、Ar〜Arは互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
本発明によれば、耐摩耗性、耐剥がれ性等の機械的強度に優れ、しかも電気特性や画像特性にも優れた電子写真感光体が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。
本実施の形態が適用される電子写真感光体は、所定の導電性基体上に設けた感光層を備え、感光層が、分子中に上述した一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂を含有するものである。感光層の具体的な構成としては、例えば、導電性基体上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と電荷輸送物質及びバインダー樹脂を主成分とする電荷輸送層とを積層した積層型感光体;導電性基体上に、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質を分散させた感光層を有する分散型(単層型)感光体等が挙げられる。上述した分子中に上述した一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂は、通常、電荷輸送物質を含有する層に用いられ、好ましくは積層型感光層の電荷輸送層に用いられる。
(導電性基体)
本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用される導電性基体の材料としては、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料;金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料;アルミニウム、ニッケル、ITO(インジウム−スズ酸化物)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が挙げられる。
導電性基体の形態としては、例えば、ドラム状、シート状、ベルト状等が挙げられる。また、金属材料を用いた導電性基体の上に、導電性・表面性等の制御または欠陥被覆等を目的として、適当な抵抗値を有する導電性材料を塗布したものでも良い。
導電性基体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いる場合、予め、陽極酸化処理、化成皮膜処理等を施しても良い。尚、陽極酸化処理を施す場合は、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
導電性基体の表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法または研磨処理により、または、導電性基体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。
本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用される感光層の具体的な構成としては、例えば、積層型感光体の場合は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有し、静電荷を保持して露光により発生した電荷を輸送する電荷輸送層と、電荷発生物質を含有し、露光により電荷対を発生する電荷発生層と、を有する。また、その他にも必要に応じて、例えば、導電性基体からの電荷注入を阻止する電荷阻止層、レーザー光等の光を拡散させて干渉縞の発生を防止する光拡散層等を有する場合がある。分散型(単層型)感光体の場合は、感光層は、電荷輸送物質及び電荷発生物質がバインダー樹脂中に分散されている。
(ポリエステルポリカーボネート樹脂)
次に、感光層に含有されるバインダー樹脂について説明する。
本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層に含有される樹脂は、分子中に一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有するものである。
Figure 0004534905
一般式(1)中、R、R10は、各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシ基を表す。n、mは各々独立に、0〜4の整数である。
分子中に一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂(以下、単に、「ポリエステルポリカーボネート樹脂」と言うことがある。)は、ポリカーボネートブロックとポリエステル部分とを有するブロック共重合体であり、ポリカーボネートブロックが(ポリ)エステル構造によって結合された線状構造を有する重合体である。ここで、樹脂全体に対するポリエステル成分の組成比が極端に少ない場合、「ポリエステルブロック」と呼べるまでエステルの繰り返し単位がつながらない可能性が考えられるため、ポリエステル部分という表現を用いている。
尤も、基本的にポリカーボネートブロックとポリエステル部分の重量比が(10/90)〜(90/10)の範囲であれば、ポリエステルブロックが形成されると考えられるので、本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂は、ポリカーボネートブロックとポリエステルブロックとを含有するブロック共重合体であり、ポリカーボネートブロックの分子量を制御することにより、また、樹脂全体の分子量を制御することにより、マルチブロック共重合体の構造を有するものである。
本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート樹脂において、ポリカーボネートブロックの粘度平均分子量は、通常、3,000〜50,000、好ましくは、5,000〜30,000、特に好ましくは、8,000〜25,000の範囲である。ポリカーボネートブロックの粘度平均分子量が過度に小さい場合、得られる樹脂の構造がランダム共重合体構造を多く含み好ましくない。また、粘度平均分子量が過度に大きい場合は、得られる樹脂の性能が単なる樹脂ブレンドに近くなり好ましくない。
本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート樹脂において、樹脂全体の粘度平均分子量は、通常、15,000〜300,000、好ましくは、20,000〜200,000、特に好ましくは、25,000〜150,000の範囲である。樹脂全体の粘度平均分子量が過度に小さい場合、感光体を形成する等の膜として得たときの機械的強度が低下して好ましくない。また、粘度平均分子量が過度に大きい場合は、塗布液としての粘度が上昇し、適当な膜厚に塗布することが困難となる。
本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート樹脂において、樹脂中に含まれる、ポリカーボネートブロックとポリエステルブロックとの重量比は、通常、(10/90)〜(90/10)、好ましくは、(10/90)〜(70/30)の範囲である。ポリカーボネートブロックの重量%が過度に小さい場合は、ブロック共重合体のポリカーボネートとしての性能が現れず、感光層の結着性に劣るため好ましくない。また、ポリカーボネートブロックの重量%が過度に大きい場合は、重合の制御が困難になる等好ましくない。
本実施の形態で使用するポリエステルポリカーボネート樹脂に含まれるポリカーボネートブロックとポリエステルブロックとの重量比は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いる方法、または、エステル結合部分をのみを加水分解した後にゲルパミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定する方法により決定できる。
一般式(1)中のR、R10としては、例えば、水素原子、炭素数1〜炭素数8のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、感光層用バインダー樹脂としての感光層形成用塗布液に対する溶解性を勘案すれば、アルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜炭素数8のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1〜炭素数2のアルキル基である。n、mは各々独立に、0〜4の整数であるが、特に好ましくは、n=m=0である。
一般式(1)の具体例としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸残基が挙げられる。
これらの中でも、製造の簡便性を考慮すれば、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸残基、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸残基が特に好ましい。
これらの一般式(1)として例示した化合物は、必要に応じて複数の化合物を組み合わせて用いることも可能である。
本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート樹脂において、ポリエステル部分に含まれる一般式(1)で表されるジカルボン酸成分を誘導するジカルボン酸の具体例としては、例えば、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、ジカルボン酸成分の製造の簡便性を考慮すると、ジフェニルエーテル−2,2’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−2,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸好ましく、さらに、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸が特に好ましい。
本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート樹脂において、一般式(1)で表されるジカルボン酸成分を誘導するジカルボン酸以外に、以下のジカルボン酸も使用することができる。具体的には、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエン−2,5−ジカルボン酸、p−キシレン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,3−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、ピリジン−2,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−3,4−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸であり、特に好ましくは、イソフタル酸、テレフタル酸である。これらのジカルボン酸成分を複数組み合わせて用いることも可能である。
本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート樹脂において、ポリカーボネートブロックまたはポリエステル部分を形成するために用いられる2価フェノール性化合物として、特に限定されない。具体例としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシノール、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等の二官能性フェノール化合物;4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラ(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−2,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−2,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル等のビフェノール化合物が挙げられる。
さらに、ビスフェノール化合物としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基を有しないビスフェノール化合物。
ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族環上に置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物。
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン等。
ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)シクロヘキサン等。
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(sec−ブチル)フェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)プロパン等。
ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基としてアルキル基を有する化合物。
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(フェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(ジフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(ジベンジル)メタン等の芳香族環を連結する2価基が置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物。
4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等の芳香族環をエーテル結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等の芳香族環をスルホン結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等の芳香族環をスルフィド結合で連結したビスフェノール化合物;フェノールフタルレイン等。
(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン等。
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェノール)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェノール)メタン、2,2−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェノール)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル等が挙げられる。
これらの2価フェノール性化合物の中ではビスフェノール化合物が好ましく、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン等。
また、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテルが好ましい。
これらの中でも、特に2価フェノール性化合物の製造の簡便性を考慮すれば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン等。
(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1−(2−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテルが特に好ましい。これらの2価フェノール性化合物を複数組み合わせて用いることも可能である。
本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート樹脂において、ポリカーボネートブロックに用いられる2価フェノール性化合物と、ポリエステル部分に用いられる2価フェノール性化合物とは、異なる構造の2価フェノール性化合物であることが好ましい。一般的に、同じ2価フェノール性化合物からなるポリカーボネートとポリエステルとは相溶性が高く、それらの構造を持つ(マルチ)ブロック共重合体とした場合でも、特性は、単なるポリカーボネート及びポリエステルのブレンドと同等程度のものと考えられる。本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート樹脂は、分子構造を(マルチ)ブロック共重合化することで、樹脂ブレンドでは得られない特性の発現を目指すものであり、そのためには、特性の異なるポリカーボネートブロックとポリエステル部分との組み合わせからなるブロック共重合体が好ましい。
本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート樹脂において、ポリカーボネートブロックに用いられる2価フェノール性化合物の好ましい具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン等が挙げられる。これらの中で特に好ましくは、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンが挙げられる。これらはそれぞれ単独でも、複数種組み合わせて用いてもよく、また、一部他の構造の2価フェノール性化合物を含むことも可能である。
本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート樹脂において、ポリカーボネートブロックに用いられる、ホスゲンおよび/またはホスゲン誘導体の具体例としては、例えば、ホスゲン、トリクロロメチルクロロホーメート、オキザリルクロライド、またはジフェニルカーボネート、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−p−トリルカーボネート、ジ−p−クロロフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート類等のカーボネート前駆体を挙げることができる。
本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート樹脂の製造に際して、そのポリカーボネートオリゴマーを製造する為の公知の方法として、例えば、2価フェノール性化合物とホスゲンとの直接反応(ホスゲン法)、2価フェノール性化合物とジアリールカーボネートとのエステル交換反応(エステル交換法)等の方法を採用することができる。これらの中でもホスゲン法を用いることが、分子量制御の面から好ましく、カーボネート前駆体としてはホスゲンを用いることが好ましい。
本実施の形態において使用するポリエステルポリカーボネート樹脂において、ポリエステル部分に用いられる2価フェノール性化合物の好ましい具体例としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサンであり、特に好ましくは、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタンである。これらの2価フェノール成分を複数組み合わせて用いることも可能である。
尚、本実施の形態が適用される電子写真感光体における感光層には、前述した分子中に一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂と他の樹脂とを混合して用いることも可能である。ここで混合される他の樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体またはその共重合体;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂または種々の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂が好ましい。また、併用する樹脂の混合割合は、特に限定されないが、通常、分子中に一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂の割合を超えない範囲で併用することが好ましい。
<ポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂の製造法>
次に、本実施の形態が適用される電子写真感光体に使用するポリエステルポリカーボネート樹脂の製造方法について説明する。ポリエステルポリカーボネート樹脂の製造方法としては、例えば、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法等の公知の重合方法を用いることができる。ここでポリエステルポリカーボネート樹脂の製造法の一例を説明する。
(1)末端にフェノール性水酸基およびクロロホーメート基を有するポリカーボネートオリゴマーを得る第1工程
第1工程で得られるポリカーボネートオリゴマーとは、通常のポリカーボネート製造工程における中間体であるオリゴマーが挙げられる。従来公知の方法において、上述した2価フェノール性化合物とホスゲンが用いられる。通常、2価フェノール性化合物を含有したアルカリ水溶液、もしくは該アルカリ水溶液および非水溶性有機溶媒の撹拌条件下にホスゲンを導入する方法が用いられる。このとき、ホスゲンは気体状、液体状あるいは非水溶性有機溶媒溶液として導入される。
ここで用いられる非水溶性有機溶媒とは、水と混合した場合完全には水に溶解せず、少なくとも一部が水と分離して2層を形成し得る有機溶媒であればよく、通常のポリカーボネート樹脂の製造に用いることが可能な有機溶媒等を挙げられる。具体的な例としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。
ここで、水と非水溶性有機溶媒との混合比は体積比で、通常、(5/1)〜(1/5)の範囲で行うことができ、(3/1)〜(1/3)の範囲であることが好ましい。また、水溶性のアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができる。アルカリの使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01倍当量〜3倍当量の範囲が好ましい。ホスゲンの導入は、数分から数十分にわたり連続的に行われるが、このときの反応系の温度は0℃〜40℃、好ましくは0℃〜20℃の範囲に保たれることが好ましい。またこの工程において、必要であれば、触媒、1価フェノール性化合物、還元剤等を用いることも可能である。
触媒を添加することで反応を促進することが可能である。用いられる触媒としては、公知の3級アミン化合物、4級アンモニウム塩化合物、4級ホスホニウム塩化合物等を挙げることができる。具体的には、3級アミン化合物として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン等が挙げられる。4級アンモニウム塩もしくは4級ホスホニウム塩としては、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の3級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライド等が挙げられる。
また、分子量制御剤として1価フェノール性化合物を用いてもかまわない。このような分子量調節剤としては、例えば、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体および2−メチルフェノール誘導体等のアルキルフェノール類、o,m,p−フェニルフェノール等の一官能性のフェノール等が挙げられる。また、還元剤を添加することで、ポリマーの着色を抑制することが可能である。還元剤としてはハイドロサルファイトナトリウム等が用いられる。
第1工程で得られるポリカーボネートオリゴマーは、その末端にフェノール性水酸基とクロロホーメート基の両方が存在している。このオリゴマーにおいては、クロロホーメート基の量が、フェノール性水酸基の量よりも多く存在しているものが、第2工程での分子量制御しやすく好ましい。また、通常、この工程で得られるポリカーボネートオリゴマーは、1量体〜10量体程度のものであり、そのままでは、本実施の形態において使用するポリカーボネートポリエステル樹脂のポリカーボネートブロックを形成するのには分子量が小さすぎる。
(2)ポリカーボネートブロックを得る第2工程
第2工程で得られるポリカーボネートブロックは、第1工程で得られたポリカーボネートオリゴマーと、必要に応じて2価フェノール性化合物を用い、末端クロロホーメート基の量とフェノール性水酸基の量を調整し重合反応をして得られる粘度平均分子量が3,000〜50,000のポリカーボネート重合体である。
通常のポリカーボネート製造工程においては、第1工程で得られたポリカーボネートオリゴマーを用い、クロロホーメート基の量が、フェノール性水酸基の量よりも多くなる条件下で重合、製造されている。この場合反応系に仕込まれるクロロホーメート基の量は、フェノール性水酸基の量の少なくとも1倍以上、好ましくは少なくとも1.1倍以上必要といわれている。
ポリカーボネートの重合反応は、末端クロロホーメート基と末端フェノール性水酸基の縮合反応によりカーボネート結合が生成しながら進行していく。この反応中に、過剰のクロロホーメート基の一部はアルカリにより加水分解、脱炭酸してフェノール性水酸基に変換する。重合条件として、最終的に過剰のクロロホーメート基の半量が加水分解・脱炭酸してフェノール性水酸基となるようにアルカリ量を調整することで、縮合反応をする官能基量が1対1となり、高分子量の重合体を得ることができるものである。
しかしながら、第2工程は、フェノール性水酸基の量を過剰にすることで、高分子量化を抑制し、任意の粘度平均分子量範囲のポリカーボネートブロックを製造するものである。すなわち、ポリカーボネートオリゴマーの水不混合有機溶媒溶液および必要であれば2価のフェノール性化合物を用いて、フェノール性水酸基の量と末端クロロホーメート基の当量比が、(末端クロロホーメート基の当量)/(フェノール性水酸基の当量)<1となる条件下で、アルカリ水溶液、触媒、必要であれば更に非水溶性有機溶媒を用い、界面重合によりポリカーボネートブロックを製造するものである。この当量比が1を超えると、上述のように第2工程でのポリカーボネートブロックの分子量が制御できずに好ましくない。
更に詳しい反応仕込み条件としては、フェノール性水酸基の量と末端クロロホーメート基の当量が、下式の範囲にあることが好ましい。
0.04<{(フェノール性水酸基の当量)−(末端クロロホーメート基の当量)}/(理論上のポリカーボネートブロック生成量(kg))<1
特に好ましい条件としては、下記の範囲である。
0.06<{(フェノール性水酸基の当量)−(末端クロロホーメート基の当量)}/(理論上のポリカーボネートブロック生成量(kg))<0.4
この範囲未満であると、生成するポリカーボネートブロックの分子量が高くなりすぎ、好ましくない。またこの範囲を超えると、生成するポリカーボネートブロックの分子量が低くなりすぎ好ましくない。
また、先に説明したポリカーボネートの重合反応機構から、フェノール性水酸基が過剰な重合条件で得られるポリカーボネートブロックの分子末端は、フェノール性水酸基を持つものと考えられる。第2工程で、フェノール性水酸基の当量、末端クロロホーメート基の当量を調節する方法としては、第1工程でのオリゴマー製造時の2価フェノール性化合物とホスゲンの仕込み比を調整する方法、末端クロロホーメート基の多いポリカーボネートオリゴマーに2価フェノール性化合物を更に添加する方法、末端フェノール基の多いポリカーボネートオリゴマーに、ホスゲンもしくはクロロホーメート化フェノール化合物を添加する方法等が挙げられる。中でも、末端クロロホーメート基の多いポリカーボネートオリゴマーに2価フェノール性化合物を更に添加する方法がこのましい。この方法であれば通常のポリカーボネート樹脂製造に用いられる中間体であるオリゴマーを転用することができる。
第2工程で用いられる2価フェノール性化合物としては、上述した2価フェノール性化合物がそのまま挙げられるが、オリゴマー製造に用いられたものと同じ構造の2価フェノール性化合物を用いることが好ましい。異なる構造の2価フェノールを用いると、反応性が異なる場合があり分子量制御が難しくなる場合があり好ましくない。
第2工程で用いられる非水溶性有機溶媒としては、上述したものと同様のものが挙げられ、ジクロロメタンが特に好ましい。ここで、水と非水溶性有機溶媒との混合比は、体積比で(5/1)〜(1/5)の範囲で行うことができ、通常、(3/1)〜(1/3)の範囲であることが好ましい。また、水溶性のアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができ、水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリの使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01倍当量〜3倍当量の範囲が好ましい。このときの反応系の温度は0℃〜40℃、好ましくは5℃〜30℃の範囲に保たれることが好ましい。
第2工程で用いられる触媒としては、公知の3級アミン化合物、4級アンモニウム塩化合物、4級ホスホニウム塩化合物等を挙げることができる。具体的には、3級アミン化合物として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン等が挙げられる。4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩としては、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の3級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライド等が挙げられる。これらの中では4級アンモニウム塩が好ましく、特に、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドが好ましい。
また、第2工程においても還元剤を添加し、ポリマーの着色を抑制することが可能である。還元剤としてはハイドロサルファイトナトリウム等が用いられる。更に、分子量制御剤として1価フェノール性化合物を用いてもかまわない。この分子量調節剤としては、上述のものが挙げられる。この第2工程は、第1工程のポリカーボネートオリゴマーの製造から連続して行うことも、別途製造したポリカーボネートオリゴマーから必要量だけ分取して行うことも可能である。
(3)ポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂を得る第3工程
第3工程で得られるポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂は、第2工程で得られたポリカーボネートブロックと、ポリエステル部分に用いる2価フェノール性化合物のアルカリ水溶液と、必要に応じて、触媒、分子量制御剤を用い、撹拌条件下で芳香族ジカルボン酸クロライドの非水溶性有機溶媒溶液を導入し、界面重合法により得られる共重合体である。第3工程は、従来公知の界面重合法によるポリエステルの重合方法を用いることができる。
第3工程で用いられる2価フェノール性化合物としては、上述した2価フェノール性化合物がそのまま挙げられるが、上述したように、第1工程及び第2工程におけるポリカーボネートブロック製造のときに用いられたものと異なる構造の2価フェノール性化合物を用いることが好ましい。第3工程で用いる好ましい構造の2価フェノールの構造に関しても上述した通りである。
第3工程で用いられる非水溶性有機溶媒としては、上述したものと同様のものが挙げられ、ジクロロメタンが特に好ましい。ここで、水と非水溶性有機溶媒との混合比は、体積比で(5/1)〜(1/5)の範囲で行うことができ、通常、(3/1)〜(1/3)の範囲であることが好ましい。また、水溶性のアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができ、水酸化ナトリウムが好ましい。アルカリの使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01倍当量〜3倍当量の範囲が好ましい。このときの反応系の温度は0℃〜40℃、好ましくは5℃〜30℃の範囲に保たれることが好ましい。
第3工程で用いられる触媒としては、公知の3級アミン化合物、4級アンモニウム塩化合物、4級ホスホニウム塩化合物等を挙げることができる。具体的には、3級アミン化合物として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、トリヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン等が挙げられる。4級アンモニウム塩または4級ホスホニウム塩としては、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の3級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライド等が挙げられる。これらの中では4級アンモニウム塩が好ましく、特にベンジルトリエチルアンモニウムクロライドが好ましい。
また、第3工程においても還元剤を添加することで、ポリマーの着色を抑制することが可能である。還元剤としてはハイドロサルファイトナトリウム等が用いられる。更に、分子量制御剤を用いてもかまわない。この分子量調節剤としては、フェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール誘導体および2−メチルフェノール誘導体等のアルキルフェノール類、o,m,p−フェニルフェノール等の一官能性のフェノール、酢酸クロリド、酪酸クロリド、オクチル酸クロリド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルフォニルクロリド、ベンゼンスルフィニルクロリド、スルフィニルクロリド、ベンゼンホスホニルクロリドやそれらの置換体等の一官能性酸ハロゲン化物を存在させても良い。これら分子量調節剤の中でも、2,3,5−トリメチルフェノール、p−tert−ブチルフェノールが分子量調節能が高く好ましい。
この第3工程は、第2工程のポリカーボネートブロックの製造から連続して行うことも、別途製造したポリカーボネートブロックから必要量だけ分取して行うことも可能である。このような重合反応終了後、水相と非水溶性有機溶媒相を分離し、非水溶性有機溶媒相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とするポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂を得ることが可能となる。
以上、詳述した製造法によれば、比較的簡単な工程で、目的とするポリカーボネートブロックの分子量を制御したポリエステルポリカーボネートのブロック共重合体を得ることができる。しかも、得られる樹脂におけるポリカーボネートブロックとポリエステル部分(ブロック)の組成比が、第3工程の反応において、任意に調整できる。
次に、本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層に含有される他の成分について説明する。
(電荷発生層)
本実施の形態が適用される電子写真感光体が積層型感光体である場合、感光層を構成する電荷発生層には電荷発生物質が含有される。電荷発生物質としては、例えば、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料;フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等の有機顔料等の各種光導電材料が挙げられる。これらの中でも、特に、有機顔料、更に、フタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。これらの電荷発生物質の微粒子は、例えば、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテル等の各種バインダー樹脂で結着した形で使用される。電荷発生物質の使用量は、特に限定されないが、通常、バインダー樹脂100重量部に対して30重量部〜500重量部の範囲で使用される。尚、電荷発生層の膜厚は、通常、0.1μm〜1μm、好ましくは、0.15μm〜0.6μmが好適である。
電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属またはその酸化物、ハロゲン化物等の配位したフタロシアニン類が使用される。3価以上の金属原子への配位子の例としては、酸素原子、塩素原子の他、水酸基、アルコキシ基等が挙げられる。特に、感度の高いX型、τ型無金属フタロシアニン、A型、B型、D型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適である。なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、A型、B型についてはW.HellerらによってそれぞれI相、II相として示されており(Zeit.Kristallogr.159(1982)173)、A型は安定型として知られているものである。D型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示す結晶型である。フタロシアニン化合物は単一の化合物のみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。ここでのフタロシアニン化合物または結晶状態に置ける混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
(電荷輸送層)
本実施の形態が適用される電子写真感光体が積層型感光体である場合、感光層を構成する電荷輸送層には電荷輸送物質が含有される。電荷輸送物質としては、例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物;テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物;ジフェノキノン等のキノン類等の電子吸引性物質;カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チアジアゾール誘導体等の複素環化合物;アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物またはこれらの化合物が複数結合されたもの;あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体等の電子供与性物質が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体及びこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましく、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体の複数結合されてなるものが好ましい。
電荷輸送物質のなかでも、下記一般式(2)で表される構造を有する化合物が好ましく用いられる。
Figure 0004534905
一般式(2)中、Ar〜Arは各々独立して、置換基を有してもよいアリーレン基または置換基を有してもよい2価の複素環基を表す。m,mは、各々独立して0または1を表す。m=0の場合のAr、m=0の場合のArは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい1価の複素環基である。m=1の場合のAr、m=1の場合のArは、それぞれ置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、または置換基を有してもよい2価の複素環基を表す。Qは、直接結合または2価の残基を表す。R〜Rは、各々独立して水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。n〜nは、各々独立して0〜4の整数を表す。また、Ar〜Arは互いに結合して環状構造を形成してもよい。
さらに、一般式(2)中、R〜Rは、各々独立して水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアリール基、置換基を有していても良いアラルキル基、置換基を有していても良い複素環基を表す。
一般式(2)中、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、これらの内炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。アルキル基がアリール置換基を有する場合は、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられ、炭素数7〜12のアラルキル基が好ましい。
アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられ、炭素数6〜12のアリール基が好ましい。
複素環基は、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましい。
〜Rにおいて、最も好ましいものは、メチル基及びフェニル基である。
一般式(2)中、Ar〜Arは、各々独立して、置換基を有してもよいアリーレン基または置換基を有してもよい2価の複素環基を表す。m,mは、各々独立して0または1を表す。m=0の場合のAr、m=0の場合のArは、それぞれ置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい1価の複素環基を表し、m=1の場合のAr、m=1の場合のArは、それぞれ置換基を有してもよいアルキレン基、置換基を有してもよいアリーレン基、または置換基を有してもよい2価の複素環基を表す。具体的には、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ピレニル基等が挙げられ、炭素数6〜14のアリール基が好ましく;アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が好ましい。
一般式(2)中、1価の複素環基としては、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えばフリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましい。2価の複素環基としては、芳香族性を有する複素環が好ましく、例えばピリジレン基、チエニレン基等が挙げられ、単環の芳香族複素環が更に好ましい。これらのうち、最も好ましいものは、Ar及びArはフェニレン基であり、Arはフェニル基である。
一般式(2)中、R〜R及びAr〜Arで表される基のうち、アルキル基、アリール基、アラルキル基、複素環基は、さらに置換基を有していても良い。その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基,エトキシ基,プロピルオキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基,フェネチルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基,ナフチル基等のアリール基;スチリル基,ナフチルビニル基等のアリールビニル基;アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキルアミノ基、ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基または上述したアミノ基の置換基を組み合わせたジ置換アミノ基等の置換アミノ基;さらに、シアノ基、ニトロ基、水酸基等が挙げられる。これらの置換基は互いに結合して、単結合、メチレン基、エチレン基、カルボニル基、ビニリデン基、エチレニレン基等を介した環状炭化水素基や複素環基を形成してもよい。
これらの中、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、水酸基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数6〜12のアリールチオ基、炭素数2〜8のジアルキルアミノ基が挙げられ、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基が更に好ましく、メチル基、フェニル基が特に好ましい。
一般式(2)中、n〜nは、各々独立して0乃至4の整数を表し、0〜2が好ましく、1が特に好ましい。m、mは、0又は1を表し、0が好ましい。
一般式(2)中、Qは、直接結合又は2価の残基を表し、2価の残基として好ましいものは、16族原子、置換基を有しても良いアルキレン、置換基を有しても良いアリーレン基、置換基を有しても良いシクロアルキリデン基、またはこれらが互いに結合した、例えば[−O−Z−O−]、[−Z−O−Z−]、[−S−Z−S−]、[−Z−Z−]等が挙げられる(但し、Oは酸素原子、Sは硫黄原子、Zは置換基を有しても良いアリーレン基または置換基を有しても良いアルキレン基を表す)。
Qを構成するアルキレン基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、中でもメチレン基及びエチレン基が更に好ましい。また、シクロアルキリデン基としては、炭素数5〜8のものが好ましく、中でもシクロペンチリデン基及びシクロヘキシリデン基が更に好ましい。アリーレン基としては、炭素数6〜14のものが好ましく、中でもフェニレン基及びナフチレン基が更に好ましい。
また、これらアルキレン基、アリーレン基、シクロアルキリデン基は置換基を有しても良く、好ましい置換基としては、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
本実施の形態が適用される電子写真感光体の感光層を構成する電荷輸送層に含有される電荷輸送物質の具体的例としては、たとえば、特開平9−244278号公報に記載されるアリールアミン系化合物、特開2002−275133号公報に記載されるアリールアミン系化合物等が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独で用いても良いし、いくつかを混合して用いてもよい。これらの電荷輸送物質がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、単一の層から成っていても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。
分子中に一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂からなるバインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、通常、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質30重量部〜200重量部、好ましくは40重量部〜150重量部の範囲で使用される。また電荷輸送層の膜厚は、通常、5μm〜50μm、好ましくは10μm〜45μmである。
尚、電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、染料、顔料、レベリング剤等の添加物を含有させても良い。酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。また染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられる。
(分散型(単層型)感光層)
分散型感光層の場合には、上述したバインダー樹脂と電荷輸送物質とからなる電荷輸送媒体中に、前述した電荷発生物質が分散される。電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量が過度に少ないと、充分な感度が得られず、過度に多いと、帯電性の低下、感度の低下等の弊害がある。電荷発生物質の使用量は、好ましくは0.5重量%〜50重量%、より好ましくは1重量%〜20重量%の範囲で使用される。
分散型感光層の膜厚は、通常5μm〜50μm、より好ましくは10μm〜45μmで使用される。またこの場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていても良い。分散型感光層の上に、分散型感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による分散型感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けても良い。また、電子写真感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
(電子写真感光体の調製方法)
本実施の形態が適用される電子写真感光体の調製方法は、特に限定されないが、通常、導電性基体上に、分子中に一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂を含有する感光層形成塗布液を、例えば、浸漬塗布法、スプレー塗布法、ノズル塗布法、バーコート法、ロールコート法、ブレード塗布法等の公知の方法により塗布して形成される。これらの中でも生産性の高さから浸漬塗布方法が好ましい。
(下引き層)
本実施の形態が適用される電子写真感光体は、導電性基体と感光層との間に、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。下引き層としては、例えば、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらの金属酸化物粒子は、一種類の粒子のみを用いても良いし複数の種類の粒子を混合して用いても良い。
これらの中でも、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の面から、平均一時粒径として10nm以上100nm以下が好ましく、特に好ましいのは、10nm以上50nm以下である。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましい。バインダー樹脂に対する金属酸化物粒子の配合組成比は、特に限定されないが、通常、10重量%〜500重量%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。尚、下引き層の膜厚は、特に限定されないが、感光体特性及び塗布性から0.1μm〜20μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加しても良い。
次に、本実施の形態が適用される電子写真感光体を用いた画像形成装置の一例について説明する。
図1は、画像形成装置を説明する図である。図1に示された画像形成装置10は、所定の導電性基体上に、前述した分子中に一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂を含有する感光層を設けた電子写真感光体1と、電子写真感光体1を帯電させる帯電ローラからなる帯電装置2と、電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成する露光装置3と、電子写真感光体1表面にトナー(T)を供給する現像装置4と、トナー(T)の帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(P)に転写する転写装置5と、電子写真感光体1に付着した残留トナーを掻き落とし回収するクリーニング装置6と、記録紙(P)に転写されたトナー像を定着させる定着装置7と、を有している。
電子写真感光体1は、円筒状の導電性基体の表面に上述したポリエステル樹脂を少なくとも1種類含有する感光層を設けたドラム状の形状を有している。
帯電装置2は、ローラ型の帯電ローラを有している。尚、帯電装置2は、例えば、コロトロンまたはスコロトロン等のコロナ帯電装置、帯電ブラシ等の接触型帯電装置等がよく用いられる。尚、電子写真感光体1及び帯電装置2は、多くの場合、この両方を備えたカートリッジ(以下、感光体カートリッジと言うことがある。)として、画像形成装置10の本体から取り外し可能に設計されている。そして、例えば、電子写真感光体1や帯電装置2が劣化した場合に、この感光体カートリッジを画像形成装置10本体から取り外し、別の新しい感光体カートリッジを画像形成装置本体に装着することができるようになっている(図示せず)。
露光装置3は、電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成できるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LED等が挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうこともできる。露光を行なう際に使用する光は特に限定されないが、例えば、波長780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光等が挙げられる。
現像装置4は、内部にトナー(T)が貯留されている現像槽41を備え、さらに、現像槽41は、トナー(T)を攪拌するアジテータ42と、貯留されているトナー(T)を担持して後述する現像ローラ44に供給する供給ローラ43と、電子写真感光体1及び供給ローラ43に各々当接し、供給ローラ43によって供給されるトナー(T)を担持して電子写真感光体1の表面に接触させる現像ローラ44と、現像ローラ44に当接する規制部材45と、を有している。また、必要に応じ、ボトル、カートリッジ等の容器から現像槽41にトナー(T)を補給する補給装置(図示せず)を付帯させてもよい。現像装置4の種類に特に制限はなく、例えば、カスケード現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像等の乾式現像方式や、湿式現像方式等の任意の装置を用いることができる。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナー(T)を攪拌するとともに、トナー(T)を供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。供給ローラ43は、例えば、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケル等の金属ロールまたは金属ロールにシリコーン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂等を被覆した樹脂ロール等からなる。現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂等の樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅等の金属ブレード又は金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、規制部材45にトナー(T)との摩擦帯電によりトナー(T)に帯電を付与する機能を具備させてもよい。尚、供給ローラ43及び現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。
トナー(T)の種類は特に限定されないが、通常、粉状トナーのほか、懸濁重合法や乳化重合法等を用いた重合トナー等を用いることができる。特に、重合トナーを用いる場合には径が4〜8μm程度の小粒径のものが好ましく、また、トナー(T)の粒子の形状も球形に近いものからポテト状の球形から外れたものまで様々に使用することができる。重合トナーは、帯電均一性、転写性に優れ、高画質化に好適に用いられる。尚、トナー(T)は、多くの場合、トナーカートリッジ中に蓄えられて、画像形成装置10本体から取り外し可能に設計され、使用しているトナーカートリッジ中のトナー(T)が無くなった場合に、このトナーカートリッジを画像形成装置10本体から取り外し、別の新しいトナーカートリッジを装着することができるようになっている。更に、電子写真感光体1、帯電装置2及びトナー(T)が備えられたカートリッジを用いることもできる。
転写装置5は、図示しないが、電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されている。また、転写装置5の種類に特に制限はなく、例えば、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写等の静電転写法、圧力転写法、粘着転写法等、任意の方式を用いた装置を使用することができる。
クリーニング装置6は、特に限定されないが、例えば、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナー等、任意のクリーニング装置を用いることができる。
定着装置7は、定着ローラからなる上部定着部材71と、上部定着部材71に当接する定着ローラからなる下部定着部材72と、上部定着部材71の内部に設けられた加熱装置73と、を有している。尚、加熱装置73は下部定着部材72内部に設けてもよい。上部定着部材71または下部定着部材72は、ステンレス,アルミニウム等の金属素管にシリコーンゴムを被覆した定着ロール、テフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シート等の公知の熱定着部材を使用することができる。更に、上部定着部材71または下部定着部材72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。尚、定着装置7の種類に特に限定はなく、例えば、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着等、任意の方式による定着装置を設けることができる。
次に、画像形成装置10の作用について説明する。
電子写真感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させても良く、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。続いて、帯電された電子写真感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。次に、電子写真感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。即ち、現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナー(T)を、現像ブレード等の規制部材45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは電子写真感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナー(T)が電子写真感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が電子写真感光体1の感光面に形成される。続いて、このトナー像は、転写装置5によって記録紙(P)に転写される。この後、転写されずに電子写真感光体1の感光面に残留しているトナー(T)は、クリーニング装置6で除去される。記録紙(P)上に転写されたトナー(T)は、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナー(T)が溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙(P)上にトナー(T)が定着され、最終的な画像が得られる。
尚、画像形成装置10は、上述した構成に加え、例えば、除電工程を行なうことができる構成としても良い。除電工程は、電子写真感光体1に露光を行なうことで電子写真感光体1の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置10は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程等の工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナー(T)を用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
以下、実施例に基づき本実施の形態をさらに具体的に説明する。なお、本実施の形態は実施例に限定されない。なお、実施例及び比較例中の部及び%は、特に指定しない限り重量基準である。
(粘度平均分子量)
ウベローデ型毛細管粘度計(ジクロロメタンの流下時間t:136.16秒)を用いて、20.0℃において、樹脂のジクロロメタン溶液(濃度:6.00g/L)の流下時間(t)を測定し、以下の式に基づき、樹脂の粘度平均分子量(Mv)を算出した。結果を表1及び表2に示す。
ηsp=(t/t)−1
a=0.438×ηsp+1
b=100×(ηsp/C)
C=6.00 [g/L]
η=b/a
Mv=3207×η1.205
(感光体シートの調製)
10重量部のオキシチタニウムフタロシアニンと、150重量部の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2とを混合し、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い顔料分散液を製造した。尚、オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示す。この顔料分散液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)5重量%、1,2−ジメトキシエタン溶液50重量部、フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)5重量%、1,2−ジメトキシエタン溶液50重量部を混合し、更に、適量の1,2−ジメトキシエタンを加え、固形分濃度4.0%の電荷発生層形成用塗布液を調製した。この電荷発生層形成用塗布液を、表面にアルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートシート上に、乾燥後の膜厚が0.4μmになるように塗布、乾燥して電荷発生層を設けた。
次に、この電荷発生層上に、電荷輸送層形成用塗布液を、乾燥後の膜厚が20μmとなるように塗布し、125℃で20分間乾燥して電荷輸送層を形成して、感光体を調製した。電荷輸送層形成用塗布液は、表1及び表2にそれぞれ示す樹脂100重量部、酸化防止剤(イルガノックス1076)8重量部、レベリング剤であるシリコーンオイル0.03重量部、及び、下記に示す化学構造を有する電荷輸送物質(1)を主成分とする異性体からなる電荷輸送物質50重量部を、テトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)640重量部に混合して調製した。
Figure 0004534905
(電機特性試験)
電子写真学会測定標準に準拠した電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、第404頁〜405頁記載)を使用し、予め調製した感光体シートをアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体シートのアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。初期表面電位を−700V、露光光として780nm、除電光として660nmの単色光を用い、露光光を2.4μJ/cm照射した時点の表面電位(VL)を測定した。VL測定に際しては、露光から電位測定に要する時間を139msとした。測定環境は、温度25℃、相対湿度50%(NN環境)と、温度5℃、相対湿度10%(LL環境)とで行った。VL値の絶対値が小さいほど応答性が良い(単位:−V)。結果を表1及び表2に示す。
(磨耗試験)
予め調製した感光体シートを直径10cmの円状に切断して試験片を調製し、これを、テーバー摩耗試験機(東洋精機社製)を用いて摩耗試験を行った。試験条件は、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転後の摩耗量を試験前後の重量を比較することにより測定した。摩耗量が少ないほど耐摩耗性が良好である(単位:mg)。結果を表1及び表2に示す。
(ポリエステルポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびポリカーボネート樹脂の製造例)
以下の製造方法により、18種類の樹脂(樹脂A〜樹脂S)を調製した。
(ポリカーボネートオリゴマーの調製)
(オリゴマー1の調製)
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(以下、BP−aという。)100部(0.39mol)と、水酸化ナトリウム37.8部(0.945mol)と、脱塩水568部と、ハイドロサルファイトナトリウム0.284部と、塩化メチレン446部(340mL)と、の混合物を、撹拌機付き反応槽にて撹拌した。反応槽の温度を0℃〜10℃の間に保ち、これにホスゲン94.3部(0.953mol)を約5時間で吹き込み反応を行った。反応終了後、ポリカーボネートオリゴマーを含有する塩化メチレン溶液のみを捕集し、オリゴマー濃度16.8重量%、末端クロロホーメート基濃度0.479規定、末端フェノール性水酸基濃度0.250規定のポリカーボネートオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。尚、オリゴマー濃度は、塩化メチレン溶液を蒸発乾固させて測定した。
末端クロロホーメート基濃度は、ポリカーボネートオリゴマーとアニリンとを反応させて得られるアニリン塩酸塩を0.2規定水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定した。末端フェノール性水酸基濃度は、ポリカーボネートオリゴマーを、塩化メチレン、四塩化チタン、酢酸にそれぞれ溶解させた溶液の発色を波長546nmの光で比色定量した。
(オリゴマー2の調製)
上記オリゴマー1の製造と同様の操作を行った。
得られたオリゴマー2の塩化メチレン溶液の分析結果は下記の通りであった。
オリゴマー濃度:17.0重量%
末端クロロホーメート基濃度:0.467規定
末端フェノール性水酸基濃度:0.240規定
(オリゴマー3の調製)
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、BP−fという。)100部(0.373mol)、水酸化ナトリウム52.2部(1.305mol)、水848部、ハイドロサルファイトナトリウム0.4部、塩化メチレン485部(370ml)の混合物を撹拌機付き反応槽に仕込み、撹拌した。反応槽の温度を0〜10℃の間に保ち、これにホスゲン112部(1.131mol)を約6時間で吹き込み反応を行った。反応終了後ポリカーボネートオリゴマーを含有する塩化メチレン溶液のみを捕集した。得られたオリゴマーの塩化メチレン溶液の分析結果は下記の通りであった。
オリゴマー濃度:21.2重量%
末端クロロホーメート基濃度:0.356規定
末端フェノール性水酸基濃度:0.140規定
製造例1(樹脂A)
100mLビーカーに水酸化ナトリウム1.33gと脱塩水25.1mLを量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−a2.23gと、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.0754gを添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。次いで、攪拌機を備えた1L反応槽に、予め調製したオリゴマー1を82.34g、ジクロロメタン12.5mLを仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調製したアルカリ水溶液を1L反応槽に添加して重合反応を開始した。
重合反応を開始したときの反応系内の「全末端クロロホーメート基の当量(以下、CFeqという。)」と「全フェノール性水酸基の当量(以下、OHeqという。)」の比{(CFeq)/(OHeq)}は、0.9094であった。また、{(全フェノール性水酸基の当量)−(全末端クロロホーメート基の当量)}/(理論上のポリカーボネートブロック生成量(kg))[以下、{(OHeq)−(CFeq)}/(PCRwt)]は、0.200であった。
3時間撹拌を続けた後、脱塩水126mLを添加して撹拌を停止し、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層5mLをサンプリングした。サンプリングした重合液に脱塩水5mL、35%塩酸0.2mLを加え撹拌後、静置した。
別途、500mLビーカーに水酸化ナトリウム8.38gと脱塩水319mLを量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(以下、BP−bという。)16.68gを添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.3672g、p−tert−ブチルフェノール0.3507gを添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド23.78gとジクロロメタン160mLの混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン394mLを加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸3.04mLを加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液470mLにて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸470mLにて洗浄を2回行い、さらに脱塩水470mLにて洗浄を2回行った。洗浄後の有機層をメタノール3145mLに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂(樹脂A)を得た。また、途中でサンプリングした重合液を脱塩水20mLで一度洗い、有機層をメタノール30mLに注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックAを得た。得られた樹脂Aの粘度平均分子量は49,800であり、ポリカーボネートブロックAの粘度平均分子量は12,400であった。樹脂Aの繰り返し構造を以下に示す。樹脂Aにおいて、ポリカーボネートブロックA/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、3/7である。
Figure 0004534905
製造例2(樹脂B)
100mLビーカーに水酸化ナトリウム2.22gと脱塩水41.8mLを量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−a3.71gと、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.1257gを添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。次いで、攪拌機を備えた1L反応槽に、予め調製したオリゴマー1を137.24g、ジクロロメタン20.7mLを仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調製したアルカリ水溶液を1L反応槽に添加して重合反応を開始した。反応系内の(CFeq)/(OHeq)は、0.9094であった。また、{(OHeq)−(CFeq)}/(PCRwt)は、0.200であった。
3時間撹拌を続けた後、脱塩水209mLを添加して撹拌を停止し、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層5mLをサンプリングした。サンプリングした重合液に脱塩水5mL、35%塩酸0.2mLを加え撹拌後、静置した。
別途、300mLビーカーに水酸化ナトリウム6.05gと脱塩水219mLを量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−b11.60gを添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.2649g、p−tert−ブチルフェノール0.4310gを添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド17.15gとジクロロメタン109mLの混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン394mLを加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸2.19mLを加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液470mLにて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸470mLにて洗浄を2回行い、さらに脱塩水470mLにて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール3145mLに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂(樹脂B)を得た。また、途中でサンプリングした重合液を脱塩水20mLで一度洗い、有機層をメタノール30mLに注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックBを得た。得られたポリエステルポリカーボネート樹脂Bの粘度平均分子量は51,400であり、ポリカーボネートブロックBの粘度平均分子量は10,700であった。樹脂Bの繰り返し構造を以下に示す。樹脂Bにおいて、ポリカーボネートブロックB/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、5/5である。
Figure 0004534905
製造例3(樹脂C)
100mLビーカーに水酸化ナトリウム3.11gと脱塩水58.6mLを量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−a5.19gと、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.1760gを添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。
次いで、攪拌機を備えた1L反応槽に、予め調製したオリゴマー1を192.13g、ジクロロメタン29.0mLを仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調製したアルカリ水溶液を1L反応槽に添加して重合反応を開始した。反応系内の(CFeq)/(OHeq)は、0.9094であった。また、{(OHeq)−(CFeq)}/(PCRwt)は、0.200であった。
3時間撹拌を続けた後、脱塩水293mLを添加して撹拌を停止し、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層5mLをサンプリングした。サンプリングした重合液に脱塩水5mL、35%塩酸0.2mLを加え撹拌後、静置した。
別途、200mLビーカーに水酸化ナトリウム3.74gと脱塩水118mLを量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−b6.84gを添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.1637g、p−tert−ブチルフェノール0.1438gを添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド10.60gとジクロロメタン59.2mLの混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン394mLを加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸1.36mLを加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液470mLにて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸470mLにて洗浄を2回行い、さらに脱塩水470mLにて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール3145mLに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂(樹脂C)を得た。また、途中でサンプリングした重合液を脱塩水20mLで一度洗い、有機層をメタノール30mLに注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックCを得た。得られたポリエステルポリカーボネート樹脂Cの粘度平均分子量は51,300であり、ポリカーボネートブロックCの粘度平均分子量は11,200であった。樹脂Cの繰り返し構造を以下に示す。樹脂Cにおいて、ポリカーボネートブロックC/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、7/3である。
Figure 0004534905
製造例4(樹脂D)
1000mLビーカーに水酸化ナトリウム23.71gと脱塩水940mLを量り取り、攪拌しながら溶解させた。そこにBP−b47.91gを添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.5923gおよびp−tert−ブチルフェノール1.2425gを順次反応槽に添加した。別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド67.27gとジクロロメタン470mLの混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン783mLを加え、撹拌を7時間続けた。その後、酢酸8.60mLを加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液942mLにて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸942mLにて洗浄を2回行い、さらに脱塩水942mLにて洗浄を2回行った。洗浄後の有機層をメタノール6266mLに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂Dを得た。得られた樹脂Dの粘度平均分子量は48,000であった。樹脂Dの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004534905
製造例5(樹脂E)
100mLビーカーに水酸化ナトリウム1.33gと脱塩水25.1mLを量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−a2.23gと、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.0754gを添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。
次いで、攪拌機を備えた1L反応槽に、予め調製したオリゴマー1を82.34g、ジクロロメタン12.5mLを仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調製したアルカリ水溶液を1L反応槽に添加して重合反応を開始した。反応系内の(CFeq)/(OHeq)は、0.9094であった。また、{(OHeq)−(CFeq)}/(PCRwt)の値は0.200であった。
3時間撹拌を続けた後、脱塩水126mLを添加し、撹拌を停止した。この時、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層5mLをサンプリングした。サンプリングした重合液に脱塩水5mL、35%塩酸0.2mLを加え撹拌後、静置した。別途、500mLビーカーに水酸化ナトリウム7.90gと脱塩水319mLを量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこに、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン(以下、BP−cという。)17.76gを添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.3461g、2,3,5−トリメチルフェノール0.2994gを添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド22.41gとジクロロメタン160mLの混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン394mLを加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸2.87mLを加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液470mLにて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸470mLにて洗浄を2回行い、さらに脱塩水470mLにて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール3145mLに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂(樹脂E)を得た。また、途中でサンプリングした重合液を脱塩水20mLで一度洗い、有機層をメタノール30mLに注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックEを得た。得られたポリエステルポリカーボネート樹脂Eの粘度平均分子量は74,300であり、ポリカーボネートブロックEの粘度平均分子量は11,400であった。樹脂Eの繰り返し構造を以下に示す。樹脂Eにおいて、ポリカーボネートブロックE/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、3/7である。
Figure 0004534905
製造例6(樹脂F)
100mLビーカーに水酸化ナトリウム2.22gと脱塩水41.8mLを量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−a3.71gと、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.1257gを添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。
次いで、攪拌機を備えた1L反応槽に、予め調製したオリゴマー1を137.24g、ジクロロメタン20.7mLを仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調製したアルカリ水溶液を1L反応槽に添加して重合反応を開始した。反応系内の(CFeq)/(OHeq)は、0.9094であった。また、{(OHeq)−(CFeq)}/(PCRwt)は、0.200であった。
3時間撹拌を続けた後、脱塩水209mLを添加し、撹拌を停止した。この時、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層5mLをサンプリングした。サンプリングした重合液に脱塩水5mL、35%塩酸0.2mLを加え撹拌後、静置した。別途、300mLビーカーに水酸化ナトリウム5.72gと脱塩水219mLを量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−c12.39gを添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.2505g、2,3,5−トリメチルフェノール0.3482gを添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド16.22gとジクロロメタン109mLの混合溶液を滴下ロート内に移した。反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン394mLを加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸2.07mLを加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液470mLにて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸470mLにて洗浄を2回行い、さらに脱塩水470mLにて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール3145mLに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂(樹脂F)を得た。また、途中でサンプリングした重合液を脱塩水20mLで一度洗い、有機層をメタノール30mLに注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックFを得た。得られたポリエステルポリカーボネート樹脂Fの粘度平均分子量は59,600であり、ポリカーボネートブロックFの粘度平均分子量は11,200であった。樹脂Fの繰り返し構造を以下に示す。樹脂Fの、ポリカーボネートブロックF/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、5/5である。
Figure 0004534905
製造例7(樹脂G)
100mLビーカーに水酸化ナトリウム3.11gと脱塩水58.6mLを量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−a5.19gと、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.1760gを添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。次いで、攪拌機を備えた1L反応槽に、予め調製したオリゴマー1を192.13g、ジクロロメタン29.0mLを仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調製したアルカリ水溶液を1L反応槽に添加して重合反応を開始した。反応系内の(CFeq)/(OHeq)は、0.9094であった。また、{(OHeq)−(CFeq)}/(PCRwt)は、0.200であった。
3時間撹拌を続けた後、脱塩水293mLを添加し、撹拌を停止した。この時、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層5mLをサンプリングした。サンプリングした重合液に脱塩水5mL、35%塩酸0.2mLを加え撹拌後、静置した。別途、200mLビーカーに水酸化ナトリウム3.54gと脱塩水118mLを量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−c7.28gを添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.1551g、2,3,5−トリメチルフェノール0.1228gを添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド10.04gとジクロロメタン59mLの混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン394mLを加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸1.28mLを加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液470mLにて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸470mLにて洗浄を2回行い、さらに脱塩水470mLにて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール3145mLに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂(樹脂G)を得た。また、途中でサンプリングした重合液を脱塩水20mLで一度洗い、有機層をメタノール30mLに注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックGを得た。得られたポリエステルポリカーボネート樹脂Gの粘度平均分子量は86,700であり、ポリカーボネートブロックGの粘度平均分子量は11,800であった。樹脂Gの繰り返し構造を以下に示す。樹脂Gの、ポリカーボネートブロックG/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、7/3である。
Figure 0004534905
製造例8(樹脂J)
500mLビーカーに水酸化ナトリウム13.72gと脱塩水423mLを量り取り、攪拌しながら溶解させた。そこにBP−c6.27gおよび、ビス(4−ヒドロキシフェニルメタン)(以下、BP−dという。)と(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン(以下、BP−eという。)との混合物(混合比率、BP−d:BP−e=約40:60)20.73gを添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を1L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド0.3427gおよびp−tert−ブチルフェノール0.7190gを順次反応槽に添加した。別途、テレフタル酸クロライド26.78gとジクロロメタン211mLの混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに5時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン352mLを加え、撹拌を2時間続けた。その後、酢酸4.98mLを加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液424mLにて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸424mLにて洗浄を2回行い、さらに脱塩水424mLにて洗浄を2回行った。洗浄後の有機層をメタノール2820mLに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂Jを得た。得られた樹脂Jの粘度平均分子量は40,900であった。樹脂Jの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004534905
製造例9(樹脂K)
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(4.39g)とHO(96.24mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−a(7.29g)と、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2430g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。
次いで、攪拌機を備えた2L反応槽に、先に調製したオリゴマー2(271.20g)、ジクロロメタン(81.69mL)を仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調整したアルカリ水溶液を2L反応槽に添加して重合反応を開始した(この時の反応系内の(全末端クロロホーメート基の当量)と(全フェノール性水酸基の当量)の比[以下[CF eq]/[OH eq]比と記す]は0.9063であった。また、{(全フェノール性水酸基の当量)−(全末端クロロホーメート基の当量)}/(理論上のポリカーボネートブロック生成量(kg))[以下{[OH eq]−[CF eq]}/[PCR wt]と記す]の値は0.200であった。)。
3時間撹拌を続けた後、HO(481mL)を添加し、撹拌を停止した。この時、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層(5mL)をサンプリングした。サンプリングした重合液にHO(5mL)、35%塩酸(0.2mL)を加え撹拌後、静置した。
別途、1000mLビーカーに水酸化ナトリウム(11.76g)とHO(429mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン[以下、BP−gという。](23.86g)を添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2721g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.9252g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(33.35g)とジクロロメタン(214mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(575mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(4.26mL)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(720mL)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(720mL)にて洗浄を2回行い、さらにHO(720mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(5390mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂Kを得た。また、途中でサンプリングした重合液をHO(20mL)で一度洗い、有機層をメタノール(30mL)に注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックKを得た。得られたポリエステルポリカーボネート樹脂Kの粘度平均分子量は61,600であり、ポリカーボネートブロックKの粘度平均分子量は11,300であった。樹脂Kの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004534905
樹脂Kにおいて、ポリカーボネートブロックK/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、5/5である。
製造例10(樹脂L)
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.69g)とHO(57.62mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−f(3.68g)と、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.0941g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。
次いで、攪拌機を備えた2L反応槽に、先に調製したオリゴマー3(129.88g)、ジクロロメタン(73.70mL)を仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調整したアルカリ水溶液を2L反応槽に添加して重合反応を開始した(この時の反応系内の(全末端クロロホーメート基の当量)と(全フェノール性水酸基の当量)の比[以下[CF eq]/[OH eq]比と記す]は0.8544であった。また、{(全フェノール性水酸基の当量)−(全末端クロロホーメート基の当量)}/(理論上のポリカーボネートブロック生成量(kg))[以下{[OH eq]−[CF eq]}/[PCR wt]と記す]の値は0.200であった。)。
3時間撹拌を続けた後、HO(288mL)を添加し、撹拌を停止した。この時、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層(5mL)をサンプリングした。サンプリングした重合液にHO(5mL)、35%塩酸(0.2mL)を加え撹拌後、静置した。
別途、1000mLビーカーに水酸化ナトリウム(16.25g)とHO(493mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−g(33.84g)を添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.6178g)、2,3,5−トリメチルフェノール(1.3122g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(46.10g)とジクロロメタン(246mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(839mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(5.89mL)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(839mL)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(839mL)にて洗浄を2回行い、さらにHO(839mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(6289mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂Lを得た。また、途中でサンプリングした重合液をHO(20mL)で一度洗い、有機層をメタノール(30mL)に注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックLを得た。得られたポリエステルポリカーボネート樹脂Lの粘度平均分子量は46,800であり、ポリカーボネートブロックLの粘度平均分子量は13,800であった。樹脂Lの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004534905
樹脂Lにおいて、ポリカーボネートブロックL/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、3/7である。
製造例11(樹脂M)
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(2.82g)とHO(96.03mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−f(6.13g)と、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.1568g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。
次いで、攪拌機を備えた2L反応槽に、先に調製したオリゴマー3(216.47g)、ジクロロメタン(122.84mL)を仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調整したアルカリ水溶液を2L反応槽に添加して重合反応を開始した(この時の反応系内の(全末端クロロホーメート基の当量)と(全フェノール性水酸基の当量)の比[以下[CF eq]/[OH eq]比と記す]は0.8544であった。また、{(全フェノール性水酸基の当量)−(全末端クロロホーメート基の当量)}/(理論上のポリカーボネートブロック生成量(kg))[以下{[OH eq]−[CF eq]}/[PCR wt]と記す]の値は0.200であった。)。
3時間撹拌を続けた後、HO(480mL)を添加し、撹拌を停止した。この時、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層(5mL)をサンプリングした。サンプリングした重合液にHO(5mL)、35%塩酸(0.2mL)を加え撹拌後、静置した。
別途、1000mLビーカーに水酸化ナトリウム(11.76g)とHO(430mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−g(23.86g)を添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.3583g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.9252g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(33.35g)とジクロロメタン(215mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(575mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(4.26mL)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(719mL)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(719mL)にて洗浄を2回行い、さらにHO(719mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(5390mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂Mを得た。また、途中でサンプリングした重合液をHO(20mL)で一度洗い、有機層をメタノール(30mL)に注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックMを得た。得られたポリエステルポリカーボネート樹脂Mの粘度平均分子量は52,100であり、ポリカーボネートブロックMの粘度平均分子量は12,900であった。樹脂Mの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004534905
樹脂Mにおいて、ポリカーボネートブロックM/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、5/5である。
製造例12(樹脂N)
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(3.94g)とHO(134.44mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−f(8.58g)と、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2196g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。
次いで、攪拌機を備えた2L反応槽に、先に調製したオリゴマー3(303.05g)、ジクロロメタン(171.97mL)を仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調整したアルカリ水溶液を2L反応槽に添加して重合反応を開始した(この時の反応系内の(全末端クロロホーメート基の当量)と(全フェノール性水酸基の当量)の比[以下[CF eq]/[OH eq]比と記す]は0.8544であった。また、{(全フェノール性水酸基の当量)−(全末端クロロホーメート基の当量)}/(理論上のポリカーボネートブロック生成量(kg))[以下{[OH eq]−[CF eq]}/[PCR wt]と記す]の値は0.200であった。)。
3時間撹拌を続けた後、HO(672mL)を添加し、撹拌を停止した。この時、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層(5mL)をサンプリングした。サンプリングした重合液にHO(5mL)、35%塩酸(0.2mL)を加え撹拌後、静置した。
別途、1000mLビーカーに水酸化ナトリウム(7.26g)とHO(566mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−g(13.85g)を添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.0987g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.5782g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(20.61g)とジクロロメタン(283mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した後、撹拌を10時間続けた。その後、酢酸(2.63mL)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(457mL)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(457mL)にて洗浄を2回行い、さらにHO(457mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(3430mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂Nを得た。また、途中でサンプリングした重合液をHO(20mL)で一度洗い、有機層をメタノール(30mL)に注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックNを得た。得られたポリエステルポリカーボネート樹脂Nの粘度平均分子量は41,300であり、ポリカーボネートブロックNの粘度平均分子量は18,300であった。樹脂Nの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004534905
樹脂Nにおいて、ポリカーボネートブロックN/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、7/3である。
製造例13(樹脂O)
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(1.69g)とHO(57.62mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−f(3.68g)と、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.0941g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。
次いで、攪拌機を備えた2L反応槽に、先に調製したオリゴマー3(129.88g)、ジクロロメタン(73.70mL)を仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調整したアルカリ水溶液を2L反応槽に添加して重合反応を開始した(この時の反応系内の(全末端クロロホーメート基の当量)と(全フェノール性水酸基の当量)の比[以下[CF eq]/[OH eq]比と記す]は0.8544であった。また、{(全フェノール性水酸基の当量)−(全末端クロロホーメート基の当量)}/(理論上のポリカーボネートブロック生成量(kg))[以下{[OH eq]−[CF eq]}/[PCR wt]と記す]の値は0.200であった。)。
3時間撹拌を続けた後、HO(288mL)を添加し、撹拌を停止した。この時、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層(5mL)をサンプリングした。サンプリングした重合液にHO(5mL)、35%塩酸(0.2mL)を加え撹拌後、静置した。
別途、1000mLビーカーに水酸化ナトリウム(15.79g)とHO(493mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−c(34.87g)を添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.5974g)、2,3,5−トリメチルフェノール(1.2739g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(44.78g)とジクロロメタン(246mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(839mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(5.72mL)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(839mL)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(839mL)にて洗浄を2回行い、さらにHO(839mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(6290mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂Oを得た。また、途中でサンプリングした重合液をHO(20mL)で一度洗い、有機層をメタノール(30mL)に注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックOを得た。得られたポリエステルポリカーボネート樹脂Oの粘度平均分子量は42,300であり、ポリカーボネートブロックOの粘度平均分子量は23,800であった。樹脂Oの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004534905
樹脂Oにおいて、ポリカーボネートブロックO/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、3/7である。
製造例14(樹脂P)
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(2.82g)とHO(96.03mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−f(6.13g)と、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.1568g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。
次いで、攪拌機を備えた2L反応槽に、先に調製したオリゴマー3(216.47g)、ジクロロメタン(122.84mL)を仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調整したアルカリ水溶液を2L反応槽に添加して重合反応を開始した(この時の反応系内の(全末端クロロホーメート基の当量)と(全フェノール性水酸基の当量)の比[以下[CF eq]/[OH eq]比と記す]は0.8544であった。また、{(全フェノール性水酸基の当量)−(全末端クロロホーメート基の当量)}/(理論上のポリカーボネートブロック生成量(kg))[以下{[OH eq]−[CF eq]}/[PCR wt]と記す]の値は0.200であった。)。
3時間撹拌を続けた後、HO(480mL)を添加し、撹拌を停止した。この時、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層(5mL)をサンプリングした。サンプリングした重合液にHO(5mL)、35%塩酸(0.2mL)を加え撹拌後、静置した。
別途、1000mLビーカーに水酸化ナトリウム(11.43g)とHO(430mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−c(24.59g)を添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.3439g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.8982g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(32.42g)とジクロロメタン(215mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(575mL)を加え、撹拌を6時間続けた。その後、酢酸(4.15mL)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(719mL)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(719mL)にて洗浄を2回行い、さらにHO(719mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(5390mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂Pを得た。また、途中でサンプリングした重合液をHO(20mL)で一度洗い、有機層をメタノール(30mL)に注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックPを得た。得られたポリエステルポリカーボネート樹脂Pの粘度平均分子量は50,800であり、ポリカーボネートブロックPの粘度平均分子量は25,300であった。樹脂Pの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004534905
樹脂Pにおいて、ポリカーボネートブロックP/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、5/5である。
製造例15(樹脂Q)
200mLビーカーに水酸化ナトリウム(3.94g)とHO(134.44mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−f(8.58g)と、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.2196g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した。
次いで、攪拌機を備えた2L反応槽に、先に調製したオリゴマー3(303.05g)、ジクロロメタン(171.97mL)を仕込み、撹拌しながら、重合槽の外温を20℃に保った。次いで、先に調整したアルカリ水溶液を2L反応槽に添加して重合反応を開始した(この時の反応系内の(全末端クロロホーメート基の当量)と(全フェノール性水酸基の当量)の比[以下[CF eq]/[OH eq]比と記す]は0.8544であった。また、{(全フェノール性水酸基の当量)−(全末端クロロホーメート基の当量)}/(理論上のポリカーボネートブロック生成量(kg))[以下{[OH eq]−[CF eq]}/[PCR wt]と記す]の値は0.200であった。)。
3時間撹拌を続けた後、HO(672mL)を添加し、撹拌を停止した。この時、生成しているポリカーボネートブロックの粘度平均分子量を測定するためジクロロメタン層(5mL)をサンプリングした。サンプリングした重合液にHO(5mL)、35%塩酸(0.2mL)を加え撹拌後、静置した。
別途、1000mLビーカーに水酸化ナトリウム(7.08g)とHO(566mL)を量り取り、撹拌しながら溶解させた。そこにBP−c(14.27g)を添加、撹拌、溶解させた後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.0904g)、2,3,5−トリメチルフェノール(0.5614g)を添加、撹拌、溶解させ、アルカリ水溶液を調製した後、このアルカリ水溶液を反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(20.07g)とジクロロメタン(283mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
反応槽内の溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した後、撹拌を10時間続けた。その後、酢酸(2.57mL)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(457mL)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(457mL)にて洗浄を2回行い、さらにHO(457mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(3430mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的のポリエステルポリカーボネート樹脂Qを得た。また、途中でサンプリングした重合液をHO(20mL)で一度洗い、有機層をメタノール(30mL)に注いで得られた沈殿物を濾過、乾燥してポリカーボネートブロックQを得た。得られたポリエステルポリカーボネート樹脂Qの粘度平均分子量は50,200であり、ポリカーボネートブロックQの粘度平均分子量は14,800であった。樹脂Qの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004534905
樹脂Qにおいて、ポリカーボネートブロックQ/ポリエステル部分(ブロック)の重量比は、7/3である。
製造例16(樹脂R)
1000mLビーカーに水酸化ナトリウム(23.02g)とHO(940mL)を量り取り、攪拌しながら溶解させた。そこにBP−g(49.55g)を添加、攪拌、溶解した後、このアルカリ水溶液を2L反応槽に移した。次いで、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.5749g)および2,3,5−トリメチルフェノール(1.0935g)を順次反応槽に添加した。
別途、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸クロライド(65.29g)とジクロロメタン(470mL)の混合溶液を滴下ロート内に移した。
重合槽の外温を20℃に保ち、反応槽内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートよりジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに4時間攪拌を続けた後、ジクロロメタン(783mL)を加え、撹拌を8時間続けた。その後、酢酸(8.35mL)を加え30分攪拌した後、攪拌を停止し有機層を分離した。この有機層を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(942mL)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(942mL)にて洗浄を4回行い、さらにHO(942mL)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノール(6266mL)に注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の樹脂Rを得た。得られた樹脂Rの粘度平均分子量は58,400であった。樹脂Rの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004534905
製造例17(樹脂S)
BP−fからなるポリカーボネート樹脂を用いた。樹脂Sの粘度平均分子量は50,000であった。樹脂Sの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004534905
(実施例1〜実施例13、比較例1〜比較例3)
表1に示すとおりのポリエステルポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂およびポリカーボネート樹脂を用いて調製した感光体について、それぞれ、電気特性及び磨耗試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004534905
尚、表1中に略語で示した化合物は以下の通りである。
BP−a:2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン
BP−b:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
BP−c:1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン
BP−f:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン
BP−g:ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン
表1に示す結果から、分子中に一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂は、電荷輸送層形成用塗布液に通常用いる溶媒に対して、高い溶解性及び塗布液安定性を示し、これらの樹脂を含有する感光層を設けた感光体(実施例1〜実施例6)は、電気特性及び磨耗試験において良好な性能が得られることが分かる。
これに対して、ポリエステル樹脂(樹脂D、樹脂H)のみを含有する感光層を設けた感光体(比較例1、比較例2)は、電荷輸送膜が剥離したり(樹脂D)、電気特性及び磨耗試験において充分な性能が得られない。また、ポリカーボネート樹脂(樹脂I)のみを含有する感光層を設けた感光体(比較例3)は、電気特性及び磨耗試験において充分な性能が得られないことが分かる。
(実施例14〜実施例15、比較例4)
表2に示すとおりのポリエステル樹脂およびポリエステルポリカーボネート樹脂を用いてそれぞれ調製した感光体について、実施例1と同様に、それぞれ、電気特性及び磨耗試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 0004534905
表2に示す結果から、分子中に一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を有しないポリエステル樹脂(樹脂J)と、分子中に一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂(樹脂F)との混合物を含有する感光層を設けた感光体(実施例14〜実施例15)は、電気特性及び磨耗試験において良好な性能が得られることが分かる。
これに対して、分子中に一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を有しないポリエステル樹脂(樹脂J)を含有する感光層を設けた感光体(比較例4)は、電荷輸送膜が剥離し、充分な性能が得られないことが分かる。
[感光体ドラムの製造]
<電荷発生層用分散液の製造>
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10部を、1,2−ジメトキシエタン150部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を製造した。
ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)5部を1,2−ジメトキシエタン95部に溶解し、固形分濃度5%のバインダー溶液1を製造した。
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド社製、商品名PKHH)5部を1,2−ジメトキシエタン95部に溶解し、固形分濃度5%のバインダー溶液2を製造した。
先に製造した顔料分散液160部に、バインダー溶液1を50部、バインダー溶液2を50部、適量の1,2−ジメトキシエタンと、適量の4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2を加え固形分濃度4.0%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2=9:1の電荷発生層用分散液αを調製した。
実施例16
表面が鏡面仕上げされた外径30mm、長さ285mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行い、その後、酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行うことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。このシリンダーに、先に製造した電荷発生層用分散液αを浸漬塗布し、その乾燥後の膜厚が、約0.3μmとなるように電荷発生層を形成した。
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、電荷輸送物質(1)50部と、電荷輸送層用バインダー樹脂として樹脂A100部、シリコーンオイル(信越化学社製、商品名KF96)0.05部をテトラヒドロフランとトルエンの混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)に溶解させた電荷輸送層形成用塗布液に浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚20μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体ドラムをA2とする。
実施例17
樹脂Aを樹脂Eに変えた以外は実施例16と同様にして、感光体ドラムE2を作成した。
実施例18
樹脂Aを樹脂Fに変えた以外は実施例16と同様にして、感光体ドラムF2を作成した。
実施例19
樹脂Aを樹脂Gに変えた以外は実施例16と同様にして、感光体ドラムG2を作成した。
実施例20
樹脂Aを樹脂Mに変えた以外は実施例16と同様にして、感光体ドラムM2を作成した。
実施例21
樹脂Aを樹脂Pに変えた以外は実施例16と同様にして、感光体ドラムP2を作成した。
比較例5
樹脂Aを樹脂Sに変えた以外は実施例16と同様にして、感光体ドラムS2を作成した。
比較例6
樹脂AをBP−aからなる粘度平均分子量は50,000のポリカーボネート樹脂Tに変えた以外は実施例16と同様にして、感光体ドラムT2を作成した。
樹脂Tの繰り返し構造を以下に示す。
Figure 0004534905
[耐刷試験による膜減り測定]
上記感光体ドラム(A2、E2、F2、G2、M2、P2、S2、T2)を市販のカラーレーザープリンター(エプソン社製 LP3000C)に装着して常温常湿環境下においてモノクロ(黒)モードで24,000枚の画像形成を行った。この際、画像形成する前の感光層の膜厚、24,000枚画像形成後の膜厚を測定し、画像形成10,000枚あたりの膜減り量を計算した。結果を表3に示す。
Figure 0004534905
<下引き層用分散液の作製>
平均一次粒径40nmのルチル型白色酸化チタン(石原産業(株)製、製品名 TTO55N)と該酸化チタンに対して3重量%のメチルジメトキシラン(東芝シリコーン社製 製品名 TSL8117)を高速流動式混合混練機((株)カワタ製、製品名SMG300)に投入し、高速混合(回転周速 34.5m/秒)を行ない表面処理酸化チタンを得た。
該表面処理酸化チタンを、ボールミルによりメタノール/n−プロパノール=7/3の混合溶媒中で分散し、その酸化チタンスラリーに、下記構造式(A)の共重合ポリアミド溶解液を混合し、更に超音波分散処理を行い、溶媒組成が、メタノール/n−プロパノール=7/3で、酸化チタン/ポリアミド=3/1で、固形分濃度16重量%の分散液を調整し、下引き層用分散液を作製した。
Figure 0004534905
<電荷発生層用分散液の作製>
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)27.3゜に最大回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を、1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。
この顔料分散液160重量部に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)5重量部を1,2−ジメトキシエタン95重量部に溶解した、固形分濃度5重量%のバインダー溶液100重量部と、適量の1,2−ジメトキシエタン、適量の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを加え、固形分濃度4.0重量%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン=9:1の電荷発生層用分散液β1を作製した。
CuKα線によるX線回折においてブラッグ角(2θ±0.2)9.3゜、10.6゜、13.2゜、15.1゜、15.7゜、16.1゜、20.8゜、23.3゜、26.3゜、27.1゜に強い回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10重量部を、1,2−ジメトキシエタン150重量部に加え、サンドグラインドミルにて粉砕分散処理を行い、顔料分散液を作製した。
この顔料分散液160重量部に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名デンカブチラール#6000C)5重量部を1,2−ジメトキシエタン95重量部に溶解した、固形分濃度5重量%のバインダー溶液100重量部と、適量の1,2−ジメトキシエタン、適量の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンを加え、固形分濃度4.0%、1,2−ジメトキシエタン:4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン=9:1の電荷発生層用分散液β2を作製した。
電荷発生層用分散液β1と電荷発生層用分散液β2を8:2の割合で混合し、電荷発生層用分散液βを調製した。
<感光体ドラムの作製>
実施例22
表面が粗切削(Rmax=0.8)された外径30mm、長さ254mm、肉厚0.75mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーを、先に調製した下引き層用分散液に浸漬塗布し、膜厚約1.3μmの下引き層を形成した。このシリンダーを先に調製した電荷発生層用分散液βに浸漬塗布し、乾燥後の重量が0.3g/m2(膜厚約0.3μm)となるように電荷発生層を形成した。
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、前記電荷輸送物質(1)を主成分とする異性体混合物よりなる電荷輸送物質50重量部と、電荷輸送層用バインダー樹脂として樹脂A100重量部、シリコーンオイル(信越化学社製、商品名KF96)0.05重量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)640重量部に溶解させた液に浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚25μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体ドラムをA3とする。
実施例23
樹脂Aを樹脂Eに変えた以外は実施例22と同様にして、感光体ドラムE3を作成した。
実施例24
樹脂Aを樹脂Mに変えた以外は実施例22と同様にして、感光体ドラムM3を作成した。
実施例25
樹脂Aを樹脂Pに変えた以外は実施例22と同様にして、感光体ドラムP3を作成した。
比較例7
樹脂Aを樹脂Sに変えた以外は実施例22と同様にして、感光体ドラムS3を作成した。
これらの感光体ドラム(A3、E3、M3、P3、S3)を市販のモノクロレーザープリンター(レックスマーク社製、Optra S2450、A4縦送りで24枚/分、直流電圧印加のローラー帯電、ローラー転写)に装着して常温常湿下において30,000枚のプリントを行った。プリント前後の膜厚の差から10,000枚あたりの膜減り量を計算した。結果を表4に示す。
Figure 0004534905
実施例26
表面が粗切削(Rmax=1.0)された外径30mm、長さ346mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーの表面に、陽極酸化処理を行い、その後酢酸ニッケルを主成分とする封孔剤によって封孔処理を行うことにより、約6μmの陽極酸化被膜(アルマイト被膜)を形成した。
このシリンダーを先に調製した下引き層用分散液に浸漬塗布し、乾燥後の膜厚約1.3μmの下引き層を形成した。
さらに先に作製した電荷発生層用分散液β1に浸漬塗布し、乾燥後の重量が0.3g/m2(膜厚約0.3μm)となるように電荷発生層を形成した。
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、前記電荷輸送物質(1)を主成分とする異性体混合物よりなる電荷輸送物質30重量部と、酸化防止剤(チバガイギー社製、Irganox1076)4重量部、電荷輸送層用バインダー樹脂として樹脂A100重量部、シリコーンオイル(信越化学社製、商品名KF96)0.05重量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)640重量部に溶解させた液に浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚25μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体ドラムをA4とする。
実施例27
樹脂Aを樹脂Eに変えた以外は実施例26と同様にして、感光体ドラムE4を作成した。
実施例28
樹脂Aを樹脂Fに変えた以外は実施例26と同様にして、感光体ドラムF4を作成した。
実施例29
樹脂Aを樹脂Gに変えた以外は実施例26と同様にして、感光体ドラムG4を作成した。
実施例30
樹脂Aを樹脂Mに変えた以外は実施例26と同様にして、感光体ドラムM4を作成した。
実施例31
樹脂Aを樹脂Pに変えた以外は実施例26と同様にして、感光体ドラムP4を作成した。
比較例8
樹脂Aを樹脂Sに変えた以外は実施例26と同様にして、感光体ドラムS4を作成した。
比較例9
樹脂Aを樹脂Tに変えた以外は実施例26と同様にして、感光体ドラムT4を作成した。
これらの感光体ドラム(A4、E4、F4、G4、M4、P4、S4、T4)を市販のデジタル複合機(パナソニックコミュニケーションズ社製、WORKIO3200、A4横送りで32枚/分、交流重畳直流電圧印加のローラー帯電、磁性1成分ジャンピング現像、解像度600dpi×600dpi)に装着して常温常湿下において30,000枚のプリントを行った。プリント前後の膜厚の差から10,000枚あたりの膜減り量を計算した。結果を表5に示す。
Figure 0004534905
実施例32
表面が粗切削(Rmax=1.2)された外径30mm、長さ350mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金よりなるシリンダーを、先に調製した下引き層用分散液に浸漬塗布し、膜厚約2μmの下引き層を形成した。このシリンダーを先に作製した電荷発生層用分散液β1に浸漬塗布し、乾燥後の重量が0.3g/m2(膜厚約0.3μm)となるように電荷発生層を形成した。
次に、この電荷発生層を形成したシリンダーを、前記電荷輸送物質(1)を主成分とする異性体混合物よりなる電荷輸送物質50重量部と、電荷輸送層用バインダー樹脂として樹脂A100重量部、シリコーンオイル(信越化学社製、商品名KF96)0.05重量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶媒(テトラヒドロフラン80重量%、トルエン20重量%)640重量部に溶解させた液に浸漬塗布することにより、乾燥後の膜厚26μmの電荷輸送層を設けた。このようにして得られた感光体ドラムをA5とする。
実施例33
樹脂Aを樹脂Bに変えた以外は実施例32と同様にして、感光体ドラムB5を作成した。
実施例34
樹脂Aを樹脂Eに変えた以外は実施例32と同様にして、感光体ドラムE5を作成した。
実施例35
樹脂Aを樹脂Fに変えた以外は実施例32と同様にして、感光体ドラムF5を作成した。
実施例36
樹脂Aを樹脂Mに変えた以外は実施例32と同様にして、感光体ドラムM5を作成した。
実施例37
樹脂Aを樹脂Pに変えた以外は実施例32と同様にして、感光体ドラムP5を作成した。
比較例10
樹脂Aを樹脂Sに変えた以外は実施例32と同様にして、感光体ドラムS5を作成した。
比較例11
樹脂Aを樹脂Tに変えた以外は実施例32と同様にして、感光体ドラムT5を作成した。
これらの感光体ドラム(A5、B5、E5、F5、M5、P5、S5、T5)を市販のデジタル複合機(ミノルタ社製、DiALTA Di350、A4横送りで35枚/分、スコロトロン帯電、2成分現像、解像度600dpi×600dpi)に装着して常温常湿下において50,000枚のプリントを行った。プリント前後の膜厚の差から10,000枚あたりの膜減り量を計算した。結果を表6に示す。
Figure 0004534905
画像形成装置を説明する図である。
符号の説明
1…電子写真感光体、2…帯電装置(帯電ローラ)、3…露光装置、4…現像装置、5…転写装置、6…クリーニング装置、7…定着装置、41…現像槽、42…アジテータ、43…供給ローラ、44…現像ローラ、45…規制部材、71…上部定着部材(定着ローラ)、72…下部定着部材(定着ローラ)、73…加熱装置

Claims (4)

  1. 導電性基体と、
    前記導電性基体上に設けた感光層と、を有し、
    前記感光層が、分子中に下記一般式(1)で表されるジカルボン酸残基を備えるポリエステルポリカーボネート構造を有するブロック共重合体樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0004534905

    一般式(1)中、R、R10は、各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシ基を表す。n、mは各々独立に、0〜4の整数である。
  2. 前記ポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂中のポリエステル部の重量割合が10%〜90%であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 前記ポリエステルポリカーボネート構造を有する樹脂の粘度平均分子量が15,000〜300,000であり、当該ポリエステルポリカーボネート構造のポリカーボネート部の粘度平均分子量が3,000〜50,000であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  4. 前記感光層が、さらに下記一般式(2)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
    Figure 0004534905
    (一般式(2)中、Ar〜Arは各々独立して、置換基を有してもよいアリーレン基または置換基を有してもよい2価の複素環基を表す。m,mは、各々独立して0または1を表す。Qは、直接結合または2価の残基を表す。R〜Rは各々独立して水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよい複素環基を表す。n〜nは各々独立して0〜4の整数を表す。また、Ar〜Arは互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
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