JP4835668B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真感光体に関する。
詳しくは、耐摩耗性、表面滑り性等に優れ、且つ、電気的応答性の良好な電子写真感光体に関するものである。
電子写真技術は、即時性、高品質の画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターの分野でも広く使われ応用されてきている。
電子写真技術の中核となる感光体については、その光導電材料として従来からのセレニウム、ヒ素−セレニウム合金、硫化カドミウム、酸化亜鉛といった無機系の光導電体から、最近では、無公害で成膜が容易、製造が容易である等の利点を有する有機系の光導電材料を使用した感光体が開発されている。
有機感光体としては、光導電性微粉末をバインダー樹脂中に分散させたいわゆる分散型感光体、電荷発生層及び電荷移動層を積層した積層型感光体が知られている。積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生物質、及び電荷移動物質を組み合わせることにより高感度な感光体が得られること、材料選択範囲が広く安全性の高い感光体が得られること、また塗布の生産性が高く比較的コスト面でも有利なことから感光体の主流になる可能性も高く鋭意開発され実用化されている。
電子写真感光体は、電子写真プロセスすなわち帯電、露光、現像、転写、クリーニング、除電等のサイクルで繰り返し使用されるためその間様々なストレスを受け劣化する。この様な劣化としては例えば帯電器として普通用いられるコロナ帯電器から発生する強酸化性のオゾンやNOxが感光層に化学的なダメ−ジを与えたり、像露光で生成したキャリア−(電流)が感光層内を流れることや除電光、外部からの光によって感光層組成物が分解するなどによる化学的、電気的劣化がある。またこれとは別の劣化としてクリーニングブレード、磁気ブラシなどの摺擦や現像剤、紙との接触等による感光層表面の摩耗や傷の発生、膜の剥がれといった機械的劣化がある。特にこの様な感光層表面に生じる損傷はコピ−画像上に現れやすく、直接画像品質を損うため感光体の寿命を制限する大きな要因となっている。すなわち高寿命の感光体を開発するためには電気的、化学的耐久性を高めると同時に機械的強度を高めることも必須条件である。
一般に積層型感光体の場合このような負荷を受けるのは電荷移動層である。電荷移動層は通常バインダー樹脂と電荷移動物質からなっており、実質的に強度を決めるのはバインダー樹脂であるが、電荷移動物質のドープ量が相当多いため十分な機械強度を持たせるには至っていない。
また、高速印刷の要求の高まりから、より高速の電子写真プロセス対応の材料が求められている。この場合、感光体には高感度、高寿命であることの他に、露光されてから現像されるまでの時間が短くなるために応答性がよいことも必要となる。感光体の応答性は電荷移動層、なかでも電荷移動物質により支配されるがバインダー樹脂によっても大きく変わることが知られている。
これまでの電荷移動層のバインダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂が用いられてきている。数あるバインダー樹脂のなかではポリカーボネート樹脂が比較的優れた性能を有しており、これまで種々のポリカーボネート樹脂が開発され実用に供されている。例えば特許文献1にはビスフェノールPタイプのポリカーボネートが、特許文献2にはビスフェノールZタイプのポリカーボネートが、特許文献3にはビスフェノールPおよびビスフェノールAの共重合タイプのポリカーボネートが、特許文献4にはビス(4ーヒドロキシフェニル)ケトンタイプの構造を含むポリカーボネート共重合体がバインダー樹脂としてそれぞれ開示されている。しかし従来の有機感光体はトナーによる現像、紙との摩擦、クリーニング部材(ブレード)による摩擦など実用上の負荷によって表面が摩耗してしまったり表面に傷が生じてしまうなどの欠点を有しているため実用上は限られた印刷性能にとどまっているのが現状である。
一方、特許文献5には、商品名「U−ポリマー」として市販されている下記構造のポリアリレート樹脂をバインダーとして用いた電子写真用感光体の技術が開示され、その中でポリカーボネートに比して特に感度が優れていることが示されている。
また、特許文献6では、特定構造のビスフェノール成分を用いたポリアリレート樹脂をバインダー樹脂として用いることで、感光体製造時の溶液安定性が向上することが開示され、特許文献7には特定の動粘度範囲をもつポリアリレート樹脂を使用した電子写真感光体が機械的強度、特に耐磨耗性が優れていることが示されている。
特開昭50−98332号公報 特開昭59−71057号公報 特開昭59−184251号公報 特開平5−21478号公報 特開昭56−135844号公報 特開平10−288845号公報 特開平10―288846号公報
しかしながら、現状用いられているポリカーボネート樹脂を電子写真プロセスに使用した場合、耐磨耗性、耐擦傷性、応答性、基盤との接着性等で未だ不十分な場合が多い。
また、市販のポリアリレート樹脂「U−ポリマー」では耐磨耗性、感度では若干の向上が見られるものの、その塗布液の安定性が悪く、塗布製造が不能であった。
さらに、特定構造のポリアリレート樹脂を用いることで、溶解性/溶液安定性や機械的強度等は向上するものの、最近の高速印刷化要求の高まりから、電気的特性、特に応答性に関して不十分なものであった。従ってこれを克服するためには電荷輸送物質の使用量を増加させる必要があるが、感光層中の電荷輸送物質の含有量を増加させると機械的強度が低下し、ポリアリレート樹脂特有の機械特性を発現できなくなるという問題があった。
そのため、機械的強度および非ハロゲン系溶媒に易溶で溶液安定性に優れ、且つ応答性に優れたバインダー樹脂が望まれているのが現状である。
そこで本発明者らは、感光層に使用するバインダー樹脂について詳細に検討した結果、特定構造のポリアリレート樹脂をバインダー樹脂として用いることにより十分な機械的特性を有し、非ハロゲン系溶媒にも高い溶解性/塗布液の安定性が向上し、且つ電気特性、特に応答性に優れること、また併せて特定の電荷輸送物質を用いることにより、電荷輸送物質の使用量を増加することなく電気特性を向上させることができ、結果として機特性及び電気特性の両方を満足する感光体を得られることに知見し、本発明に至った。
即ち本発明の要旨は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層に、繰り返し単位中に窒素原子を有しない下記一般式(2)で表されるポリアリレート樹脂を含有し、かつ、前記感光層の電界強度3×10(V/cm)、温度21℃におけるホールの移動度が、3×10−6(cm/Vs)以上であることを特徴とする電子写真感光体、に存する。
Figure 0004835668
(一般式(2)中、環A及び環Bそれぞれ置換基としてメチル基を有するベンゼン環を表し、Xは−CH −又は−C(CH −を示す。環Cは無置換のベンゼン環を表す。)
<導電性支持体>
導電性支持体としては、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や金属、カーボン、酸化錫などの導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料やアルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫合金)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙などが主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状などのものが用いられる。金属材料の導電性支持体の上に、導電性・表面性などの制御のためや欠陥被覆のため、適当な抵抗値を持つ導電性材料を塗布したものでも良い。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化処理、化成皮膜処理等を施してから用いても良い。陽極酸化処理を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
支持体表面は、平滑であっても良いし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理を施したりすることにより、粗面化されていても良い。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものでも良い。
<下引き層>
導電性支持体と感光層との間には、接着性・ブロッキング性等の改善のため、下引き層を設けても良い。
下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを用いても良いし複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタンおよび酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルックカイト、アモルファスのいずれも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性および液の安定性の面から、平均一次粒径として10〜100nmが好ましく、特に好ましいのは、10〜25nmである。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が単独あるいは硬化剤とともに硬化した形で使用できるが、中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は良好な分散性、塗布性を示し好ましい。
バインダー樹脂に対する無機粒子の添加比は任意に選べるが、10〜500wt%の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、感光体特性および塗布性から0.1〜20μmが好ましい。また下引き層には、公知の酸化防止剤等を添加しても良い。
<感光層>
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも、繰り返し単位中に窒素原子を有しないポリアリレート樹脂を含有し、かつ、感光層の電界強度3×10(V/cm)、温度21℃におけるホールの移動度が、3×10−6(cm/Vs)以上、好ましくは4×10−6(cm/Vs)以上である感光層を有する。
特に、低温での特性を満たす為に、電界強度3×10(V/cm)温度5℃におけるホールの移動度が、1×10−6(cm/Vs)以上であることが好ましい。この値は、より好ましくは、1.5×10−6(cm/Vs)以上である。
また、後述するように、ポリアリレート樹脂とポリカーボネート樹脂とを併用する場合には、感光層の電界強度3×10(V/cm)、温度21℃におけるホールの移動度が、8×10−6(cm/Vs)以上であることが好ましく、2×10−5(cm/Vs)以上であることがより好ましい。また、この場合、電界強度3×10(V/cm) 温度5℃におけるホールの移動度は、2×10−6(cm/Vs)以上であることが好ましく、より好ましくは3×10−6(cm/Vs)以上であり、さらに好ましくは、5×10−6(cm/Vs)以上である。
(1)層構成
感光層の具体的な構成として、
・導電性支持体上に電荷発生物質を主成分とする電荷発生層、電荷輸送物質及びバインダ−樹脂を主成分とする電荷輸送層をこの順に積層した積層型感光体。
・導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダ−樹脂を主成分とする電荷輸送層、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層をこの順に積層した逆二層型感光体。
・導電性支持体上に、電荷輸送物質及びバインダ−樹脂を含有する層が積層され、該層中に電荷発生物質を分散させた単層型(分散型)感光体。
等が基本的な形の例として挙げられる。
(2)ポリアリレート樹脂
(イ)ポリアリレート樹脂の構造
本発明の電子写真感光体の感光層(上記積層型感光体の場合は電荷輸送層)、に用いられるポリアリレート樹脂は、繰り返し単位中に窒素原子を有しないものである。窒素原子としては、sp1性の二トリル基、sp2性のピリジン類、シフ塩基、sp3性のアミン類等があるが、何れも、ポリアリレートと混合させる電荷輸送物質とのマッチングが難しいからである。
リアリレート樹脂は、下記一般式(2)で表されるポリアリレート構造を有するものである。
Figure 0004835668
一般式(2)中、環A、環B及び環Cは、それぞれ1〜4個の置換基を有していても良いベンゼン環を表し、Xは2価の有機基を表す。
中でも一般式(2)で表されるポリアリレート樹脂が、下記一般式(5)及び(6)の構成単位を有するものが好ましい。
Figure 0004835668
Figure 0004835668
上記(5)及び(6)のモル比をそれぞれm、nとすると、ポリアリレート樹脂中の両成分のモル比は、
Figure 0004835668
を満足する値であることが好ましい。
さらに電気特性面においては、テレフタル酸単位が多い方が好ましく、
Figure 0004835668
の範囲が好適である。より好ましくは、
Figure 0004835668
の範囲であり、更に好ましくは、
Figure 0004835668
の範囲である。n/(m+n)の値が小さすぎると、感光体としたときの電気特性、特に応答性が低下する。
一般式(2)中、環A、環B及び環Cは、それぞれ1〜4個の置換基を有していても良いベンゼン環を表す。これらの置換基としては、各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20の置換基を有していても良い芳香族基のいずれかが挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。またハロゲンには塩素原子、臭素原子、フッ素原子などが挙げられ、ハロゲン化アルキル基としてはクロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。置換基を有していても良い芳香族基には、フェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらの中で、環A及び環Bの置換基としては、好ましくは水素原子、メチル基およびフェニル基であり、特に好ましくはメチル基が用いられる。さらに環A及び環Bがそれぞれ2個のメチル基を有するベンゼン環であるものが最も好ましい。また環Cは、無置換のベンゼン環であることが好ましい。
Xは通常、単結合、下記一般式(3)、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−(CH)s−で表される構造の中から選ばれる。ここでsは2以上の整数、好ましくは2〜5の整数を表す。これらの中でも、下記一般式(3)で表される構造が好ましい。
Figure 0004835668
一般式(3)中、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20の置換基を有していても良い芳香族基を表す。これらの具体例は前述されているものと同等である。またRとR、RとRは互いに結合して環を形成していてもよい。これらの中でも、水素原子、メチル基、フェニル基、あるいはRとRが結合してシクロヘキシル環を形成したもののいずれかが好ましく、特に水素原子が好ましい。
qは通常、0以上の整数であり、好ましくは0または1であり、特に好ましくはq=0である。rは通常、0〜4の整数を表す。
以下の表−1に一般式(2)の具体例を示す。本発明のポリアリレート樹脂は、以下の具体例中の、P−1〜P−61及びM−1〜M−36で表される構造の少なくとも2種を含有するものであることが好ましい。また、電気特性向上のためには、P−1〜P−61で表される構造の少なくとも2種を含有するものであることがより好ましい。
Figure 0004835668
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最も好ましい構造は、P−1とM−1とを含有する構造、P−1とP−7とを含有する構造、P−1とP−61を含有する構造である。
本発明の一般式(2)の構造で表されるポリアリレート構造を有する樹脂の粘度平均分子量は、通常10,000〜300,000であるが、好ましくは15,000〜100,000、さらに好ましくは20,000〜50,000である。粘度平均分子量が小さすぎると樹脂の機械的強度が低下し実用的でなく、また大きすぎると、適当な膜厚に塗布する事が困難である。
また、本発明のポリアリレート構造を有する樹脂は、他の樹脂と混合して、電子写真感光体に用いることも可能である。ここで混合される他の樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体、及びその共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ、エポキシ、シリコーン樹脂等の熱可塑性樹脂や種々の熱硬化性樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のなかでもポリカーボネート樹脂を本発明の対象とするポリアリレート樹脂に混合して用いた場合、電気特性が更に改善され、ポリアリレート樹脂に由来する機械特性、及びポリカーボネート樹脂に由来する電気特性を両方兼ね備えることが出来るので好ましい。
ポリカーボネート樹脂としては公知のものを使用することができ、例えば以下の二官能性フェノールに由来する構成単位を有するものが挙げられる。二官能性フェノール化合物としては、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2、2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノールフタレイン、5、5’−(1−メチルエチリデン)ビス[1,1’−(ビフェニル)−2−オール]、[1、1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、[1、1’−ビフェニル]−3,3’−ジオール、4,4’−オキシビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等を挙げることができる。この中で製造の容易さからは、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましく、機械的物性の面からは、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタンが特に好ましい。これらの構成単位は、単独で重合しても、あるいは2種以上で共重合しても良い。さらに、ポリカーボネート樹脂は、一種類たけを使用しても良いし、2種類以上を混合して使用しても良い。
これらのポリアリレート樹脂と混合して用いても良い他の樹脂の含有量は、感光層に用いられるバインダー樹脂全量中(後述する積層型感光体の場合は、電荷輸送層に用いられるバインダー樹脂全量中)通常、50重量%以下、好ましくは30重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。
(ロ)ポリアリレート樹脂の製造方法
本発明において用いられるポリアリレート樹脂の製造方法としては、公知の重合方法を用いることができ、界面重合法、溶融重合法、溶液重合法などが挙げられる。
例えば、界面重合法による製造の場合は、二官能性フェノール成分もしくはビスフェノール成分をアルカリ水溶液に溶解した溶液と、芳香族ジカルボン酸クロライド成分を溶解したハロゲン化炭化水素の溶液とを混合する。
該二官能性フェノール成分もしくはビスフェノール成分の具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノールフタルレイン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビスフェノール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビス[2−メチルフェノール]などが挙げられる。
これらの中でも、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、などのビスフェノール成分が好ましい。
この際、触媒として、四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩を存在させることも可能である。重合温度は通常0〜40℃の範囲、重合時間は2〜12時間の範囲であるのが生産性の点で好ましい。重合終了後、水相と有機相を分離し、有機相中に溶解しているポリマーを公知の方法で、洗浄、回収することにより、目的とする樹脂を得られる。
ここで用いられるアルカリ成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等を挙げることができる。アルカリの使用量としては、反応系中に含まれるフェノール性水酸基の1.01〜3倍当量の範囲が好ましい。
また、ここで用いられる、ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、ジクロルベンゼンなどを挙げることができる。
触媒として用いられる四級アンモニウム塩もしくは四級ホスホニウム塩としては、トリブチルアミンやトリオクチルアミン等の三級アルキルアミンの塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の塩、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリエチルオクタデシルホスホニウムブロマイド、N−ラウリルピリジニウムクロライド、ラウリルピコリニウムクロライドなどが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸クロライド成分としては、好ましくは、イソフタル酸クロライドとテレフタル酸クロライドが特定量比で用いられる。
二官能性フェノール成分もしくはビスフェノール成分の具体例は、上述した通りであり、前記化合物の1種もしくは2種以上を混合して用いることも可能である。
また、この重合の際に分子量調節剤としてフェノール、o,m,p−クレゾール、o,m,p−エチルフェノール、o,m,p−プロピルフェノール、o,m,p−tert−ブチルフェノール、ペンチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、等のアルキルフェノール類、2,6−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、2,6−ジメチル−4−アルキルフェノール等の2,6−ジメチルフェノール類、o,m,p−フェニルフェノール等の一官能性のフェノール、酢酸クロリド、酪酸クロリド、オクチル酸クロリド、塩化ベンゾイル、ベンゼンスルフォニルクロリド、ベンゼンスルフィニルクロリド、スルフィニルクロリド、ベンゼンホスホニルクロリドやそれらの置換体等の一官能性の酸ハロゲン化物を存在させても良い。
(3)電荷輸送物質
本発明においては、ポリアリレート樹脂中の電荷輸送物質の分子軌道の状態から、用いる電荷輸送物質の電荷分極率αが、
Figure 0004835668
を満たすことは重要であり、さらに、
Figure 0004835668
であることは好ましく、さらに低部数で使用するためには、
Figure 0004835668
であることが好ましい。
また、ポリアリレート樹脂中における場の状態を考えた場合、前記電荷輸送物質の双極子モーメントが
Figure 0004835668
であることが好ましく、さらには、
Figure 0004835668
であるのが好ましく、より低温で使用するためには、
Figure 0004835668
であることが好ましい。
また、これら、分極率、双極子モーメントの値は、実測値の代わりに分子軌道法による計算値を利用しても良い。
具体的な値としては、MOPAC93のPM3あるいは、AM1パラメータを用いた構造最適化計算による計算値を用いた場合、分極率αの計算値αcalが、次式、
Figure 0004835668
好ましくは、
Figure 0004835668
より好ましくは、
Figure 0004835668
を満たすことが好ましい。
また、同上の計算方法を用いた、双極子モーメントの計算値Pcalが
Figure 0004835668
好ましくは、
Figure 0004835668
低温で使用することを考えた場合、さらに好ましくは、
Figure 0004835668
を満たすことが好ましい。
これらの電荷輸送物質としては、2,4,7−トリニトロフルオレノンなどの芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン類などの電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、チアジアゾール誘導体などの複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン化合物、これらの化合物が複数結合されたもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する重合体などの電子供与性物質が挙げられる。これらの中でもカルバゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体およびこれらの誘導体が複数結合されたものが好ましく、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体の複数結合されたものが特に好ましい。
この様な化合物としては、例えば下記構造式(1)で表されるものが挙げられる。
Figure 0004835668
一般式(1)中、環a、環b、環c及び環dは、それぞれ1〜4個の置換基を有していても良いベンゼン環を表す。これらの置換基としては、各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20の置換基を有していても良い芳香族基のいずれかが挙げられる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、sec−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。またハロゲンには塩素原子、臭素原子、フッ素原子などが挙げられ、ハロゲン化アルキル基としてはクロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。置換基を有していても良い芳香族基には、フェニル基、4−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらの中でも、水素原子、メチル基が好ましく、特にメチル基が好ましく用いられる。
具体的には、以下の表−2に示されるものが好ましく用いられ、特にNo.1の化合物が好ましい。
Figure 0004835668
Figure 0004835668
これら電荷輸送物質は単独で用いても良いし、いくつかを混合して用いてもよい。これらの電荷輸送物質がバインダー樹脂に結着した形で電荷輸送層が形成される。電荷輸送層は、単一の層から成っていても良いし、構成成分あるいは組成比の異なる複数の層を重ねたものでも良い。
感光層又は電荷輸送層における電荷輸送物質の含有量は、耐刷性の点から、該電荷輸送層中45重量%以下、好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下、特に好ましくは30重量%以下とすることが好ましい。
(4)積層型感光層
(イ)電荷発生層
積層型感光体の場合、その電荷発生層に使用される電荷発生物質としては例えば、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料などの有機顔料等各種光導電材料が使用でき、特に有機顔料、更にフタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。
中でも無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタニウム、亜鉛、バナジウム等の金属もしくはそれらの酸化物、塩化物の配位したフタロシアニン類、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類等のアゾ顔料が好ましい。
好ましいアゾ顔料のアゾ成分としては、以下構造があげられ、
Figure 0004835668
好ましいカップラーとしては、以下構造があげられる。
Figure 0004835668
これらのアゾ成分、カップラーは置換基を有していても良い。
電荷発生物質としてフタロシアニン化合物を用いる場合、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、またはその酸化物、ハロゲン化物等の配位したフタロシアニン類が使用される。3価以上の金属原子への配位子の例としては、上に示した酸素原子、塩素原子の他、水酸基、アルコキシ基などがあげられる。特に感度の高いX型、τ型無金属フタロシアニン、α型、β型、Y型等のチタニルフタロシアニン、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が好適である。なお、ここで挙げたチタニルフタロシアニンの結晶型のうち、α型、β型についてはW.HellerらによってそれぞれII相、I相として示されており(Zeit.Kristallogr.159(1982)173)、β型は安定型として知られているものである。最も好ましく用いられるY型は、CuKα線を用いた粉末X線回折において、回折角2θ±0.2゜が27.3゜に明瞭なピークを示すことを特徴とする結晶型である。フタロシアニン化合物は単一の化合物のもののみを用いても良いし、いくつかの混合状態でも良い。ここでのフタロシアニン化合物ないしは結晶状態に置ける混合状態として、それぞれの構成要素を後から混合して用いても良いし、合成、顔料化、結晶化等のフタロシアニン化合物の製造・処理工程において混合状態を生じせしめたものでも良い。このような処理としては、酸ペースト処理・磨砕処理・溶剤処理等が知られている。
これらの電荷発生物質を例えば、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセテート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルプロピオナール、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、セルロースエステル、セルロースエーテルなどの各種バインダー樹脂で結着した形で使用される。この場合の電荷発生物質の使用比率はバインダー樹脂100重量部に対して通常20〜2000重量部、好ましくは30〜500重量部、より好ましくは33〜500重量部の範囲である。
また、必要に応じて、他の有機光導電性化合物、染料色素、電子吸引性化合物を含有しても良い。
電荷発生層の膜厚は通常0.05〜5μm、好ましくは0.1〜2μm、より好ましくは0.15〜0.8μmが好適である。
(ロ)電荷輸送層
電荷輸送物質及びバインダー樹脂として用いるポリアリレート樹脂は上述したものが用いられる。
バインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、通常、バインダー樹脂100重量部に対して、電荷輸送物質が、通常30〜200重量部用いられるが、好ましくは40〜150重量部以下、最も好ましくは上限を90重量部以下とするのが、ポリアリレートの機械特性を維持する上で有利である。また膜厚は一般に10〜60μm、好ましくは10〜45μm、更に好ましくは27〜40μmである。
電荷輸送層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性などを向上させるために周知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、増感剤などの添加物を含有させても良い。
酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
(5)単層型感光層
単層型感光層の場合には、上述したポリアリレート樹脂を主体とする電荷輸送媒体中に、積層型感光体と同様の電荷発生物質及び上述した電荷輸送物質が分散される。
その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下のものが使用される。感光層内に分散される電荷発生物質の量は少なすぎると充分な感度が得られず、多すぎると帯電性の低下、感度の低下などの弊害があり、例えば好ましくは0.5〜50重量%の範囲で、より好ましくは1〜20重量%の範囲で使用される。
感光層の膜厚は通常5〜50μm、より好ましくは10〜45μmで使用される。またこの場合にも成膜性、可とう性、機械的強度等を改良するための公知の可塑剤、残留電位を抑制するための添加剤、分散安定性向上のための分散補助剤、塗布性を改善するためのレベリング剤、界面活性剤、例えばシリコ−ンオイル、フッ素系オイルその他の添加剤が添加されていても良い。
(6)その他の添加剤
感光層に場合により添加される染料色素としては、例えばメチルバイオレット、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット等のトリフェニルメタン染料、メチレンブルーなどのチアジン染料、キニザリン等のキノン染料及びシアニン染料やビリリウム塩、チアビリリウム塩、ベンゾビリリウム塩等が挙げられる。
また、電子吸引性化合物としては、例えばクロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、3,3′、5,5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物;テトラシアノエチレン、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物;3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等の電子吸引性化合物が挙げられる。
(7)感光層の形成方法
感光層は、常法に従って、電荷輸送物質をポリアリレート樹脂を含むバインダー樹脂と共に適当な溶剤中に溶解し、必要に応じ、適当な電荷発生物質、増感染料、電子吸引性化合物、他の電荷輸送物質、あるいは、可塑剤、顔料等との周知の添加剤を添加して得られる塗布液を導電性支持体上に塗布、乾燥して感光層を形成させることにより製造することができる。電荷発生層と電荷輸送層の二層からなる感光層の場合は、電荷発生層の上に上記塗布液を塗布するか、上記塗布液を塗布して得られる電荷輸送層の上に電荷発生層を形成させることにより、製造することができる。
塗布液調製用の溶剤としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸エチル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等のエステル類;ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素などのアミン系化合物を溶解させる溶剤が挙げられる。勿論これらの中からバインダーを溶解するものを選択する必要がある。
また感光層は、製膜性、可撓性、機械的強度を向上させるために周知の可塑剤を含有していてもよい。そのために上記塗布液中に添加する可塑剤としては、フタル酸エステル、りん酸エステル、エポキシ化合物、塩素化パラフィン、塩素化脂肪酸エステル、メチルナフタレンなどの芳香族化合物などが挙げられる。アリールアミン系化合物を電荷輸送層中の電荷輸送物質として用いる場合の塗布液は、前記組成のものでもよいが、光導電性粒子、染料色素、電子吸引性化合物等は除くか、少量の添加でよい。この場合の電荷発生層としては上記光導電性粒子と必要に応じバインダーポリマーや他の有機光導電性物質、染料色素、電子吸引性化合物等の溶媒に溶解乃至分散させて得られる塗布液を塗布乾燥した薄層、あるいは前記光導電性粒子を蒸着等の手段により製膜とした層が挙げられる。
<その他の保護層>
感光層の上に、感光層の損耗を防止したり、帯電器等から発生する放電生成物等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けても良い。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を軽減する目的で、表面の層にはフッ素系樹脂、シリコーン樹脂等を含んでいても良い。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいても良い。
さらに必要に応じて、バリアー層、接着層、ブロッキング層等の中間層、透明絶縁層など、電気特性、機械特性の改良のための層を有していてもよいことはいうまでもない。
<各層の形成方法>
感光層の塗布方法としては、スプレー塗布法、スパイラル塗布法、リング塗布法、浸漬塗布法等がある。
スプレー塗布法としては、エアスプレー、エアレススプレー、静電エアスプレー、静電エアレススプレー、回転霧化式静電スプレー、ホットスプレー、ホットエアレススプレー等があるが、均一な膜厚を得るための微粒化度、付着効率等を考えると回転霧化式静電スプレーにおいて、再公表平1−805198号公報に開示されている搬送方法、すなわち円筒状ワークを回転させながらその軸方向に間隔を開けることなく連続して搬送することにより、総合的に高い付着効率で膜厚の均一性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
スパイラル塗布法としては、特開昭52−119651号公報に開示されている注液塗布機またはカーテン塗布機を用いた方法、特開平1−231966号公報に開示されている微小開口部から塗料を筋状に連続して飛翔させる方法、特開平3−193161号公報に開示されているマルチノズル体を用いた方法等がある。
以下、浸漬塗布法について説明する。
電荷輸送物質(好ましくは前述の化合物)、ポリアリレート樹脂、溶剤等を用いて、全固形分濃度が通常25〜40%、粘度が通常50〜300センチポアーズ、好ましくは100〜200センチポアーズの電荷輸送層形成用の塗布液を調整する。ここで実質的に塗布液の粘度はバインダーポリマーの種類及びその分子量により決まるが、分子量が低すぎる場合にはポリマー自身の機械的強度が低下するためこれを損わない程度の分子量を持つバインダーポリマーを使用することが好ましい。この様にして調整された塗布液を用いて浸漬塗布法により電荷輸送層が形成される。
その後塗膜を乾燥させ、必要且つ充分な乾燥が行われる様に乾燥温度時間を調整すると良い。乾燥温度は通常100〜250℃好ましくは、110〜170℃さらに好ましくは、120〜140℃の範囲である。乾燥方法としては、熱風乾燥機、蒸気乾燥機、赤外線乾燥機及び遠赤外線乾燥機等を用いることができる。
この様にして得られる電子写真用感光体は高感度で、残留電位が低く帯電性が高く、かつ、繰返しによる変動が小さく、特に、画像濃度に影響する帯電安定性が良好であることから、高耐久性感光体として用いることができる。また、750〜850nmの領域の感度が高いことから、特に半導体レーザープリンター用感光体に適している。
<電子写真装置>
本発明の電子写真感光体を使用する複写機・プリンター等の電子写真装置は、少なくとも帯電、露光、現像、転写の各プロセスを含むが、どのプロセスも通常用いられる方法のいずれを用いても良い。帯電方法(帯電器)としては、例えばコロナ放電を利用したコロトロンあるいはスコロトロン帯電、導電性ローラーあるいはブラシ、フィルムなどによる接触帯電などいずれを用いても良い。このうち、コロナ放電を利用した帯電方法では暗部電位を一定に保つためにスコロトロン帯電が用いられることが多い。現像方法としては、磁性あるいは非磁性の一成分現像剤、二成分現像剤などを接触あるいは非接触させて現像する一般的な方法が用いられる。転写方法としては、コロナ放電によるもの、転写ローラーあるいは転写ベルトを用いた方法等いずれでもよい。転写は、紙やOHP用フィルム等に対して直接行っても良いし、一旦中間転写体(ベルト状あるいはドラム状)に転写したのちに、紙やOHP用フィルム上に転写しても良い。
通常、転写の後、現像剤を紙などに定着させる定着プロセスが用いられ、定着手段としては一般的に用いられる熱定着、圧力定着などを用いることができる。
これらのプロセスのほかに、通常用いられるクリーニング、除電等のプロセスを有しても良い。
以下に本発明の具体的態様を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
<ポリアリレート樹脂の製造>
製造例において得られる樹脂の粘度平均分子量の算出方法を以下に示す。
[粘度平均分子量]
ポリアリレート樹脂をジクロロメタンに溶解し濃度Cが6.00g/Lの溶液を調整した。溶媒(ジクロロメタン)の流下時間t0が136.16秒のウベローデ型毛細管粘度計を用いて、20.0℃に設定した恒温水槽中で試料溶液の流下時間tを測定した。以下の式に従って粘度平均分子量Mvを算出した。
Figure 0004835668
製造例1(実施例1、比較例1,2及び4〜6において用いるポリアリレートAの製造)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(7.26g)と (600ml)を評取し、窒素バブリングしながら、攪拌し、溶解させた。そこに、p―tertブチルフェノール(0.3035g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.089g)及び、ビス(4−ヒドロキシー3,5−ジメチルフェニル)メタン[テトラメチルビスフェノールF](17.86g)、の順に添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応漕に移した。
別途、テレフタル酸クロライド(7.22g)、イソフタル酸クロライド(7.22g)をジクロロメタン(300ml)に溶解し、滴下ロート内に移した。
重合漕の外温を20度に保ち、反応漕内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートより、ジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに、3時間攪拌を続けた後、酢酸(5ml)ジクロロメタン(100ml)を加え、水(100ml)30分間攪拌した。その後、攪拌を停止し、有機漕を分離した。この有機漕を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(600ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(600ml)にて洗浄を2回行い、さらに (600ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノールに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の下記ポリアリレートAを得た。得られたポリアリレートAの粘度平均分子量は、37900であった。
Figure 0004835668
製造例2(実施例2において用いるポリアリレートBの製造)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(7.26g)と (600ml)を評取し、窒素バブリングしながら、攪拌し、溶解させた。そこに、p―tertブチルフェノール(0.3035g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.089g)及び、ビス(4−ヒドロキシー3,5−ジメチルフェニル)メタン[テトラメチルビスフェノールF](17.86g)、の順に添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応漕に移した。
別途、テレフタル酸クロライド(10.11g)、イソフタル酸クロライド(4.33g)をジクロロメタン(300ml)に溶解し、滴下ロート内に移した。
重合漕の外温を20度に保ち、反応漕内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートより、ジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに、3時間攪拌を続けた後、酢酸(5ml)ジクロロメタン(100ml)を加え、水(100ml)30分間攪拌した。その後、攪拌を停止し、有機漕を分離した。この有機漕を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(600ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(600ml)にて洗浄を2回行い、さらに (600ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノールに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の下記ポリアリレートBを得た。得られたポリアリレートBの粘度平均分子量は、34300であった。
Figure 0004835668
製造例3(実施例3において用いるポリアリレートCの製造)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(7.26g)と (600ml)を評取し、窒素バブリングしながら、攪拌し、溶解させた。そこに、p―tertブチルフェノール(0.3035g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.089g)及び、ビス(4−ヒドロキシー3,5−ジメチルフェニル)メタン[テトラメチルビスフェノールF](17.86g)、の順に添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応漕に移した。
別途、テレフタル酸クロライド(4.33g)、イソフタル酸クロライド(10.11g)をジクロロメタン(300ml)に溶解し、滴下ロート内に移した。
重合漕の外温を20度に保ち、反応漕内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートより、ジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに、3時間攪拌を続けた後、酢酸(5ml)ジクロロメタン(100ml)を加え、水(100ml)30分間攪拌した。その後、攪拌を停止し、有機漕を分離した。この有機漕を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(600ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(600ml)にて洗浄を2回行い、さらに (600ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノールに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の下記ポリアリレートCを得た。得られたポリアリレートCの粘度平均分子量は、34700であった。
Figure 0004835668
製造例4(実施例4において用いるポリアリレートDの製造)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(7.26g)と (600ml)を評取し、窒素バブリングしながら、攪拌し、溶解させた。そこに、p―tertブチルフェノール(0.3035g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.089g)及び、ビス(4−ヒドロキシー3,5−ジメチルフェニル)メタン[テトラメチルビスフェノールF](17.86g)、の順に添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応漕に移した。
別途、テレフタル酸クロライド(11.47g)、イソフタル酸クロライド(2.97g)をジクロロメタン(300ml)に溶解し、滴下ロート内に移した。
重合漕の外温を20度に保ち、反応漕内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートより、ジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに、3時間攪拌を続けた後、酢酸(5ml)ジクロロメタン(100ml)を加え、水(100ml)30分間攪拌した。その後、攪拌を停止し、有機漕を分離した。この有機漕を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(600ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(600ml)にて洗浄を2回行い、さらに (600ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノールに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の下記ポリアリレートDを得た。得られたポリアリレートDの粘度平均分子量は、44400であった。
Figure 0004835668
製造例5(実施例5において用いるポリアリレートEの製造)
1Lビーカーに水酸化ナトリウム(13.37g)と (470ml)を評取し、窒素バブリングしながら、攪拌し、溶解させた。そこに、2,4,6トリメチルフェノール(1.3448g)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド(0.1703g)及び、ビス(4−ヒドロキシー3,5−ジメチルフェニル)メタン[テトラメチルビスフェノールF](30.06g)、2,2−ビス(4−ヒドロキシー3,5−ジメチルフェニル)プロパン[テトラメチルビスフェノールA](1.76g)の順に添加、攪拌した後、このアルカリ水溶液を2L反応漕に移した。
別途、テレフタル酸クロライド(26.10g)、をジクロロメタン(300ml)に溶解し、滴下ロート内に移した。
重合漕の外温を20度に保ち、反応漕内のアルカリ水溶液を攪拌しながら、滴下ロートより、ジクロロメタン溶液を1時間かけて滴下した。さらに、3時間攪拌を続けた後、酢酸(10ml)ジクロロメタン(230ml)を加え、水(100ml)30分間攪拌した。その後、攪拌を停止し、有機漕を分離した。この有機漕を0.1N水酸化ナトリウム水溶液(353ml)にて洗浄を2回行い、次に0.1N塩酸(353ml)にて洗浄を2回行い、さらに (353ml)にて洗浄を2回行った。
洗浄後の有機層をメタノールに注いで得られた沈殿物を濾過にて取り出し、乾燥して目的の下記ポリアリレートEを得た。得られたポリアリレートEの粘度平均分子量は、30200であった。
Figure 0004835668
実施例1
[感光体の作製]
ブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°,13.2°,26.2°,および27.1°にCuKα線によるX線回折ピークを示すオキシチタニウムフタロシアニン10重量部にn−プロパノール200重量部を加え、サンドブラインドミルで10時間粉砕し微粒化分散処理を行った。
次にポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)5重量部の10%メタノール溶液と混合し分散液を作成した。
次にこの分散液をポリエステルフィルム上に蒸着したアルミニウム蒸着面上にバーコーターにより乾燥後の膜厚が0.4μmとなるように電荷発生層を設けた。この電荷発生の上に、前記表−2に示される電荷輸送物質(1)を60重量部、及び製造例1にて得られたポリアリレートA 100重量部をテトラヒドロフラン/トルエン混合溶液 1000重量部で溶解させた溶液をフィルムアプリケータにより塗布し、乾燥後の膜厚が20μmとなるように電荷輸送層を設けて感光体を作製した。
[摩擦試験]
トナーを上記で作成した感光体の上に0.1mg/cmとなるよう均一に乗せ接触させる面にクリーニングブレードと同じ材質のウレタンゴムを1cm幅に切断したものを用い45度の角度で用い、荷重200g、速度5mm/sec、ストローク20mmでウレタンゴムを100回移動させたときの100回目の動摩擦係数を協和界面化学(株)社製全自動摩擦摩耗試験機DFPM−SSで測定した。結果を表−3に示す。
[摩耗試験]
感光体フィルムを直径10cmの円状に切断しテーバー摩耗試験機(東洋精機社製)により、摩耗評価を行った。試験条件は、23℃、50%RHの雰囲気下、摩耗輪CS−10Fを用いて、荷重なし(摩耗輪の自重)で1000回回転後の摩耗量を試験前後の重量を比較することにより測定した。結果を表−3に示す。
[電気特性]
電子写真学会測定標準に従って作製された電子写真特性評価装置(続電子写真技術の基礎と応用、電子写真学会編、コロナ社、404−405頁記載)を使用し、上記感光体をアルミニウム製ドラムに貼り付けて円筒状にし、アルミニウム製ドラムと感光体のアルミニウム基体との導通を取った上で、ドラムを一定回転数で回転させ、帯電、露光、電位測定、除電のサイクルによる電気特性評価試験を行った。その際、初期表面電位を−700Vとし、露光は780nm(露光エネルギー10μW/cm)、除電は660nmの単色光を用いた。評価項目としては、表面電位が700Vから350Vに半減するのに要した露光量(半減露光量、E1/2)、および露光時間を9.9秒とした時の表面電位(残留電位、Vr)を測定した。測定環境は、温度5℃、相対湿度10%下で行った。結果を表−3に示す。
[移動度]
得られた感光体の電界強度3×10(V/cm)における、5℃及び21℃での移動度をTOF(Time−of−flight)法により求めた。これらの結果を表−3に示す。
[電荷輸送物質の分極率及び双極子モーメント]
電荷輸送層に用いた前記表−2に示される化合物(1)の分極率α、双極子モーメントP、をJournal of Chemical Physics誌、第75巻,3572頁、1981年、に記載の方法に従って求めた。さらに、分極率の計算値αcal及び双極子モーメントの計算値PcalをMOPAC93を利用して求めた。結果を表−3に示す。
比較例1
実施例1において、電荷輸送物質(1)60重量部を、下記構造を有する化合物60重量部に変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、評価を行った。結果を表−3に示す。
Figure 0004835668
比較例2
実施例1において、電荷輸送性物質(1)60重量部をN−メチルカルバゾール−3−カルバルデヒドジフェニルヒドラゾン60重量部に変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、評価を行った。結果を表−3に示す。
比較例3
実施例1において、電荷輸送物質(1)を40重量部とし、ポリアリレートAを下記構造を有するポリカーボネートに変更した以外は実施例1と同様に感光体を作製し、評価を行った。結果を表−3に示す。
Figure 0004835668
実施例2
実施例1においてポリアリレートAを製造例2で得られたポリアリレートBに変更した以外は実施例1と同様に感光体を作製し、評価を行った。結果を表−3に示す。
実施例3
実施例1においてポリアリレートAを製造例3で得られたポリアリレートCに変更した以外は実施例1と同様に感光体を作製し、評価を行った。結果を表−3に示す。
実施例4
実施例1においてポリアリレートAを製造例4で得られたポリアリレートDに変更した以外は実施例1と同様に感光体を作製し、評価を行った。結果を表−3に示す。
実施例5
実施例1においてポリアリレートAを製造例5で得られたポリアリレートEに変更した以外は実施例1と同様に感光体を作製し、評価を行った。結果を表−3に示す。
比較例4
実施例1において、電荷輸送性物質(1)60重量部を下記電荷輸送物質95重量部に変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、評価を行った。結果を表−3に示す。
Figure 0004835668
比較例5
比較例4において、電荷輸送性物質95重量部を60重量部に変更した以外は、比較例4と同様に感光体を作製し、評価を行った。結果を表−3に示す。
比較例6
比較例5において電荷発生物質であるオキシチタニウムフタロシアニンを下記構造式で表されるビスアゾ化合物に変更した以外は比較例5と同様に感光体を作製し、評価を行った。結果を表−3に示す。
Figure 0004835668
Figure 0004835668

Claims (7)

  1. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層に、繰り返し単位中に窒素原子を有しない下記一般式(2)で表されるポリアリレート樹脂を含有し、かつ、前記感光層の電界強度3×10(V/cm)、温度21℃におけるホールの移動度が、3×10−6(cm/Vs)以上であることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0004835668
    (一般式(2)中、環A及び環Bそれぞれ置換基としてメチル基を有するベンゼン環を表し、Xは−CH −又は−C(CH −を示す。環Cは無置換のベンゼン環を表す。)
  2. 前記感光層の電界強度3×10 (V/cm)、温度5℃におけるホールの移動度が、1×10−6(cm/Vs)以上である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記感光層が有する電荷輸送物質として、カルバゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体及びこれらの誘導体が複数結合したものからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記感光層が有する電荷輸送物質が、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体及びブタジエン誘導体が複数結合してなるものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記感光層が有する電荷輸送物質が、下記一般式(1)で表される構造を有するものを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0004835668
    (一般式(1)中、環a、環b、環c及び環dは、それぞれ1〜4個の置換基を有していても良いベンゼン環を表す。)
  6. 前記感光層が、電荷発生層及び電荷輸送層を有するものであり、且つ該電荷輸送層中に電荷輸送物質を45重量%以下の割合で含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記ポリアリレート樹脂の粘度平均分子量が15,000〜100,000である請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
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