JP5515369B2 - 画像形成装置、電子写真カートリッジ、画像形成方法 - Google Patents

画像形成装置、電子写真カートリッジ、画像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、複写機やプリンター等に用いられる画像形成装置、及び電子写真カートリッジに関する。
近年、電子写真複写機等の画像形成装置の用途は拡大しており、画像品質への市場の要望は一段と高い水準を求めるものになってきている。特に、事務用の書類等においても、入力における写像技術、潜像形成技術の発展に加え、出力時においても、文字の像形の種類はより豊富に、より微細化されている。また、プレゼンテーションソフトウェアの普及と発達により、印刷画像に欠陥や不鮮明さの少ない、極めて高画質な潜像の再現性が求められている。特に、画像形成装置を構成する潜像担持体上の静電潜像が100μm以下(凡そ300dpi以上)の線画像の場合に用いる現像剤としては、従来の粒径の大きなトナーでは、細線再現性が一般に悪く、線画像の鮮明さがいまだに充分とはいえないものとなっている。
特に、デジタルな画像信号を使用している電子写真プリンターの如き画像形成装置では、潜像は一定単位のドット単位が集まって形成されており、ベタ部、ハーフトーン部及びライト部はドット密度をかえることによって表現されている。ところが、ドット単位に忠実にトナー母粒子が配置されず、ドット単位の位置から実際に定置されたトナーの位置に不整合が生じると、デジタル潜像の黒部と白部のドット密度の比に対応するトナー画像の階調性が得られないという問題点がある。
更に、画質を向上させるために、ドットサイズを小さくして解像度を向上させる場合には、微小ドットから形成される潜像の再現性が更に困難になり、解像度の低い階調性の悪い、シャープネスに欠けた画像になる傾向が否めない。
そこで、現像剤の粒度分布を規制して、微小ドットの再現性を良くして、画質の向上を図ろうとしたものが提案されている。特許文献1では、体積平均粒径が6〜8μmであるトナーが提案され、粒径を細かくすることで微小ドットの潜像の再現性を向上させることが試みられている。また、特許文献2では、重量平均粒径4〜8μmのトナーであって、更に5μm以下の粒径を有するトナー母粒子が17〜60個数%含有されるトナー母粒子が開示されている。また、特許文献3には、5μm以下の粒径を有する磁性トナー母粒子が17〜60個数%含有される磁性トナーが開示されている。特許文献4には、トナーの粒度分布において、2.0〜4.0μmの粒径のトナー母粒子の含有率が15〜40個数%であるトナー母粒子が開示されている。更に、特許文献5には、5μm以下の粒子の含有率が約15〜65個数%であるトナーが記載されている。更に、特許文献6及び特許文献7にも同様のトナーが開示されている。更に、特許文献8には、5μm以下の粒径を有するトナー母粒子が17〜60個数%含有され、8.0〜12.7μmの粒径を有するトナー母粒子が1〜30個数%含有され、16μm以上の粒径を有するトナー母粒子が2.0体積%以下含有されたトナーであって、その体積平均粒径が4〜10μmであり、含有される5μm以下のトナー群が特定の粒度分布を有するトナーが記載されている。更に、特許文献9には、50%体積粒径が2〜8μmのトナー粒子において、粒径が「0.7×50%個数粒径」以下のトナー粒子の個数が10個数%以下であることが記載されている。
しかし、これらのトナーは何れも3.56μm以下の粒子(以後、適宜“微粉”とも称する)の個数%が、本発明の要件(3)の式における右辺の上限を越えて多量に含むものである。その意味するところは、粒径と微粉の相対的な関係において、所定の粒径を有するトナーに対して微粉の割合が比較的多量に残存するトナーであるということである。このようなトナーでは、依然微粉の割合が多いため、特に非磁性一成分現像法のように摩擦の一瞬で帯電するような、帯電立ち上がりの早いトナーが求められる現像方法では、十分に帯電しない粒子が発生する。
そのため、現像ローラーからのトナー落ちやトナー吹き出し、現像ローラー2周目以降に1周目の印字履歴を拾って選択的に画像濃度が上下する残像(ゴースト)、カブリ、ドラムクリーニング不良や、現像ローラー上でのトナーの層形成不良によるプリント画像の汚染が発生する等の課題が残っていた。特に、感光体ドラム上のフィルミングにより生じる画像劣化の克服は重要な課題とされていた。
更に、近年は、画像品質への市場の要望と供に、長寿命化・高速印刷が求められている。しかし、これら要求特性も従来のトナーでは十分満たされるものではなかった。従来のトナーのように微粉が多いと、連続印字とともに微粉が部材を汚染してトナーへの帯電付与能力等が低下し、画像が乱れるという課題があった。また、高速印刷機に導入した場合は、トナー飛散が目立つという課題もあった。
上述した微粉に関連する課題(例えば、ゴースト、フィルミング)に対して、単にトナー中の微粉の含有量を制御するのみでは、必ずしも満足いく結果は得られず、更なる改良が必要とされていた。
また、高画像印刷を提供するためには、トナーの粒径分布がシャープである必要がある。粗粒が含有されている場合にはトナーの帯電量分布がブロードとなり、「選択現像」という現象が生じる。「選択現像」とは、トナーの帯電量分布がブロードである場合において、コピー時に現像に必要な帯電量を有するトナーのみが現像され、消費されていく現象である。従って、コピー初期は良好な画像が得られるが、コピーを続けるうちに徐々に濃度が低下したり、トナーの粒径が大きくなり、がさついた画像となったりする。この様な現象を選択現像性に劣ったものであるという。更に、帯電量の低い粗粉は保証寿命枚数を著しく低下させる傾向にある。特許文献10では、個数変動係数が24.2%と粗粉が多いトナーが開示されている。このようなトナーは、高解像度の画像を安定して提供するのに適していない。また、特許文献11に記載のトナーを特定する諸規定は、粒度分布がシャープであることを示すものではない。
更に、高画質印刷を提供するためにはトナーの転写特性に注目する必要がある。転写特性が高いトナーとは、感光体上に現像されたトナー粒子の中間転写ドラム若しくは紙への転写効率、又は、中間転写ドラムから紙への転写効率が高いトナーをいう。従来、転写特性を向上する目的で種々の技術が提案されているが、実用上必ずしも満足できるものではなかった。
また、近年、電子写真プリンターやMFPがSOHOユース、家庭用ユースにも使用されるようになり、省スペース、小型化の要求が従来以上に高まり、プリンターの小型化の流れが加速している。それに伴い、電子写真感光体も小径化しており、近年では外径25mm以下のものも多く見られるようになっている。外径が小さくなると、クリーニングブレードによるクリーニングが難しく、不具合が発生しやすい。また、トナーの小粒径化はそれを更に助長させるため、トナーと感光体とのマッチングが重要な課題となっている。
さらには、上述したように電子写真プリンターが家庭やオフィスなど種々の環境で使用されるに従い、プリンターから生じる耳障りな騒音や異音の防止に関するユーザーからの要望も強まっている。
以上のように、残像(ゴースト)、フィルミング、カブリ、異音など課題についてはそれぞれ改善方法が提案されている。しかしながら、厳しい要求性能を満たす必要がある昨今においては、単にトナーの組成を制御する従来技術では、これら個別の課題に対しても必ずしも満足いく結果は得られていない。また、従来技術では、一つの課題に対して一定の効果が得られたとしても、他の課題に対しても十分な効果が得られているわけではない。
特開平2−284158号公報 特開平5−119530号公報 特開平1−221755号公報 特開平6−289648号公報 特開2001−134005号公報 特開平11−174731号公報 特開平11−362389号公報 特開平2−000877号公報 特開2004−045948号公報 特開2003−255567号公報 国際公開第2004−088431号パンフレット
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、少粒径で円形度の高いトナーを用い、外径の小さい感光体を用いた場合においても、クリーニング不良、フィルミング、汚れ、残像(ゴースト)、カブリ、濃度低下、異音などの問題がなく、高精細な画像の得られる画像形成装置、および電子写真カートリッジを提供することにある。
本発明者らは、これらの現状に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定の物性値を有するトナーを使用し、ナノインデンテーション法で測定したときの電子写真感光体の表面硬度が一定の条件を満たしたものを用いた場合に、高精細、且つその他の問題を生じない画像形成が可能であることを見出し本発明に至った。
つまり、本発明者らは、上記課題が下記の<1>〜<14>の構成により解決されることを見出した。
<1> 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段、上記静電潜像をトナーで現像する現像手段、上記トナーを該電子写真感光体から被転写体に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
上記電子写真感光体の表面層を、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、ナノインデンテーション法で測定したときの硬度が0.55GPa以上であり、
上記トナーが下記(1)〜(4)全てを満足することを特徴とする画像形成装置。
(1)体積中位径(Dv50)が4.0μm以上7.0μm以下である。
(2)平均円形度が0.93以上である。
(3)トナーの体積中位径(Dv50)と粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の関係が、Dns≦0.233EXP(17.3/Dv50)を満たす。
(4)個数変動係数が24.0%以下である。
<2> 上記電子写真感光体の表面層を、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、ナノインデンテーション法で測定した弾性率が10GPa以下である<1>に記載の画像形成装置。
<3> 上記電子写真感光体の表面層が、ポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする、<1>または<2>に記載の画像形成装置。
<4> 上記ポリアリレート樹脂が、下記式(1)で表される繰り返し構造を有することを特徴とする<3>に記載の画像形成装置。
(式(1)中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に置換基を有してもよいアリーレン基を表し、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に置換基を有してもよいアリーレン基を表し、X及びYは、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表し、kは0以上の整数を表す。)
<5> 式(1)において、Yが酸素原子で、且つk=1であることを特徴とする<4>に記載の画像形成装置。
<6> カウンター当接方式のブレードクリーニング機構を有することを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<7> 上記電子写真感光体の外径が10mm以上、25mm以下であること特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項に記載の画像形成装置。
<8> 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段、上記静電潜像をトナーで現像する現像手段、上記トナーを該電子写真感光体から被転写体に転写する転写手段、該転写後の有機感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする、電子写真カートリッジにおいて、
上記電子写真感光体の表面層を、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、ナノインデンテーション法で測定したときの硬度が0.55GPa以上であり、
上記トナーが下記(1)〜(4)全てを満足することを特徴とする電子写真カートリッジ。
(1)体積中位径(Dv50)が4.0μm以上7.0μm以下である。
(2)平均円形度が0.93以上である。
(3)トナーの体積中位径(Dv50)と粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の関係が、Dns≦0.233EXP(17.3/Dv50)を満たす。
(4)個数変動係数が24.0%以下である。
<9> 上記電子写真感光体の表面層を、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、ナノインデンテーション法で測定した弾性率が10GPa以下である<8>に記載の電子写真カートリッジ。
<10> 上記電子写真感光体の表面層が、ポリアリレート樹脂を含有することを特徴とする、<8>または<9>に記載の電子写真カートリッジ。
<11> 上記ポリアリレート樹脂が、下記式(1)で表される繰り返し構造を有することを特徴とする<10>に記載の電子写真カートリッジ。
(式(1)中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に置換基を有してもよいアリーレン基を表し、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に置換基を有してもよいアリーレン基を表し、X及びYは、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表し、kは0以上の整数を表す。)
<12> 式(1)において、Yが酸素原子で、且つk=1であることを特徴とする<11>に記載の電子写真カートリッジ。
<13> カウンター当接方式のブレードクリーニング機構を有することを特徴とする<8>〜<12>のいずれか1項に記載の電子写真カートリッジ。
<14> 上記電子写真感光体の外径が10mm以上、25mm以下であること特徴とする<8>〜<13>のいずれか1項に記載の電子写真カートリッジ。
本発明によれば、特定の物性値を有するトナーを使用し、ナノインデンテーション法で測定したときの電子写真感光体の表面硬度を一定の条件を満たすよう設定することにより、クリーニング不良、フィルミング、汚れ、残像(ゴースト)、カブリ、濃度低下、異音の発生がなく、且つ高精細な画像が得られる。
ナノインデンテーション法による測定装置の圧子圧入時の一例を示す模式図である。 ナノインデンテーション法で得られた典型的な荷重−変位曲線図である。 本発明の画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 本発明の実施例および比較例で用いたオキシチタニウムフタロシアニンの粉末X線回折スペクトルを示すX線回折図である。 本発明の実施例および比較例で用いたオキシチタニウムフタロシアニンの粉末X線回折スペクトルを示すX線回折図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は以下の実施の具体的形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変形することができる。
本発明に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段、静電潜像をトナーで現像する現像手段、トナーを該電子写真感光体から被転写体に転写する転写手段とを有する。電子写真感光体は、ナノインデンテーション法により測定される所定の硬度を有する表面層を備え、さらに、トナーとしては所定の条件を満足するトナーが使用される。
このように本発明では、使用されるトナーの粒径・組成を制御するのみならず、ナノインデンテーション法により見出される電子写真感光体の最表面部の物性にも着目し、これを制御することにより、フィルミングや異音などの抑制や、画像の高品質化などの効果が得られる。
まず、本発明で用いられるトナー、および、電子写真感光体について詳述する。
<トナー(静電荷像現像用トナー)>
本発明の画像形成装置に用いられる静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と略記する場合がある。)は、以下の(1)〜(4)の全てを満足することを特徴とする。
(1)体積中位径(Dv50)が4.0μm以上7.0μm以下である。
(2)平均円形度が0.93以上である。
(3)トナーの体積中位径(Dv50)と粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の関係が、Dns≦0.233EXP(17.3/Dv50)を満たす。
(4)個数変動係数が24.0%以下である。
以下に(1)〜(4)で示される条件について詳述する。
<(1)について>
本発明におけるトナーの体積中位径(Dv50)は、4.0μm以上7.0μm以下である。この範囲であれば、高画質の画像を十分に提供することができる。高画質の画像を与えるには、6.8μm以下であるとより顕著に効果を発揮する。また、微粉の発生量を低減させるという観点から4.5μm以上であることが好ましく、5.0μm以上であることがより好ましく、5.4μm以上であることが特に好ましい。
トナーの体積中位径(Dv50)は、実施例に記載の方法で測定され、そのように測定されたものとして定義される。本発明におけるトナーが、トナー母粒子の表面に外添剤を固着又は付着させたものである場合は、それを測定試料として測定する。
また、後述する平均円形度、粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)、及び、個数変動係数についても同様に、使用されるトナーがトナー母粒子の表面に外添剤を固着又は付着させたものである場合は、それを測定試料として測定する。
<(2)について>
本発明におけるトナーの平均円形度は、0.93以上であり、0.94以上であることが好ましい。なお、トナーの平均円形度は、実施例に記載の方法で測定され、そのように測定されたものとして定義される。
一般的に円形度が高いと、トナーの転写効率が向上する。円形度の高い球形トナーは、トナー相互又は種々の部材とのひっかかりが少ないため、帯電ローラーでの機械的シェアが小さく、表面の形状変化が軽微である。また、トナー母体自体の流動性が高いため、外添された無機粉体の量が変化しても流動性が大きく変化しにくい。
このように球形トナーはトナーの劣化が少ない形状因子を持っている。更に、感光ドラムからの離型性に優れるため、転写効率が優れており、画像濃度を十分に確保することができるとともに転写残トナーを少なくすることができる。このような理由から、高速印刷機に使用されるトナーとしては円形度の高いトナーを使用することが望ましい。
一方、平均円形度が高いトナーは、E−SPARTアナライザーで計測した弱帯電トナー率WST[%]が増加する傾向にあり、トナー飛散が悪化することがある。更に、転写残トナーをクリーニングブレードでかき取る際に当該クリーニングブレードをすり抜け易く、画像を汚す原因となる場合もある。高速印刷する場合には、当該現象はより顕著になる。従って、本発明におけるトナーの平均円形度は0.98以下が好ましく、より好ましくは0.96以下である。
更に、粒径が小さく、かつ、円形度が高いトナーにおいては、クリーニングブレードでのかき取りが困難であり、トナーがクリーニングブレードを抜け易いため、特に円形度に応じて粒子径分布を制御することが必要である。
<(3)について>
本発明におけるトナーは、トナーの体積中位径(Dv50)と粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の関係が、
Dns≦0.233EXP(17.3/Dv50)
を満たす。本発明では、「EXP」は「Exponential」を示す。すなわち自然対数の底であり、その右側は指数である。この式を「要件(3)の式」ということがある。
なお、個数%(Dns)は、実施例に記載の方法で測定され、そのように測定されたものとして定義される。
この関係式(要件(3)の式)が意図することとしては、トナーの体積中位径(Dv)が小さくなるに連れて微粉が多くなることを示しており、Dvが4.5μm以下の領域になるとDvの値が粒径2.00μm以上3.56μm以下の領域に近づくためにDnsの値が指数関数的に増加する。かかる2.00μm以上3.56μm以下の領域は、コールターカウンター社製マルチサイザーIIIの規定のチャンネルで表現される領域である。
そして、粒径2.00μm以上3.56μm以下の範囲に含まれる粒子は、本発明においてはトナー粒子の体積中位径4.0〜7.0μmの領域において特段除かれるべき粒径域であり、その根拠は実験結果に従う。
上記粒径分布の要件(3)を満たした本発明におけるトナーは、高画質が得られる上、高速印刷機を使用した場合においても、汚れが少なく、残像(ゴースト)及びカスレ(ベタ追従性)を抑制し、クリーニング性に優れている。また、粒径分布がシャープであることにより帯電量分布が非常にシャープであるので、帯電量の小さい粒子が画像白地部の汚れを引き起こしたり、飛散して装置内を汚したりしない。また、帯電量の大きい粒子が、現像されないまま層規制ブレードやローラー等の部材に付着してスジやかすれ等の画像欠陥を引き起こすこともない。
すなわち、上記要件(3)の式を境にして微粉量が画像に影響を与える。Dnsの値が右辺を超える場合には、微粉が画像に欠陥を生じさせる。例えば、微粉がクリーニングブレードに堆積して、画像欠陥として残像、カスレ、汚れ等が生じる場合がある。
画像形成装置は特有の帯電量を有する粒子を転写するように設計されているために、まず静電現像の際にはかかる特有の帯電量を有する粒子が優先してOPCに転写される。特有の帯電量を超える粒子に関しては、部材等に付着して汚染したり流動性の悪化を招いたりする場合がある。一方で、特有の帯電量に満たない粒子に関しては、カートリッジ内に堆積して部材等を汚染する場合がある。
ここでトナーの帯電量は、トナー組成が同じ場合にはトナーの粒子径と相関がある。一般に粒子径が小さいほど単位重量当たりの帯電量は高くなり、大きいほど単位重量当たりの帯電量が小さくなる。すなわち、粒子径が小さいトナーが多く存在すると帯電量が高くなりすぎるために部材等への付着、トナーの流動性の悪化を招く。本発明におけるトナーを用いると、上記した「選択現像」が抑制される。本発明は、このトナーを3.56μm以下のもので規定した。尚、この3.56μmは測定装置のチャンネルに規定されている値である。また、一方で測定装置の測定限界の理由から下限値を2.00μmとした。
また、トナーの個数%(Dns)として、粒径2.00μm以上3.56μm以下を規定した理由として、下限値については、本発明におけるトナー粒径を測定するのに用いた装置の測定限界であり、上限値は実施例に記載の結果より得られた効果の臨界値である。すなわち、粒径が3.56μmより大きいところまでのトナーの個数%を採用すると、本発明の効果を奏するトナーと奏さないトナーを式によって明確に分けることができない。
また、Dv50とDnsの関係が、Dns≦0.110EXP(19.9/Dv50)を満たすトナーが、上記効果の点から好ましい。
一方で、歩留まりよく生産するという観点から、Dv50とDnsの関係が、
0.0517EXP(22.4/Dv50)≦Dns (3’)
を満たすことが好ましい。
また、Dnsが6個数%以下であるトナーが、より高画質の画像を提供でき、画像形成装置を汚染し難いという点で好ましい。また、上記するDv50の好ましい粒径域、例えば、「Dv50が4.5μm以上」、及び、「Dnsが6個数%以下」なる条件は組み合わされて満たされていることが更に好ましい。この範囲であれば、生産上の見地から歩留まりを落とすことなく、高画質の画像を提供でき、画像形成装置を汚染し難く、「選択現像」が起こり難いトナーを提供することができる。
<(4)について>
本発明におけるトナーの個数変動係数24.0%以下であり、好ましくは22.0%以下、より好ましくは20.0%以下であり、より更に好ましくは19.0%以下である。一般的に個数変動係数の値が高いと帯電量の分布がブロードになり、帯電不良から画像欠陥を招く場合がある。更にはトナー部材等への付着による汚染、飛散による汚染を誘発する場合がある。従って、個数変動係数は低いことが好ましい。一方で、工業的見地から、個数変動係数は0%より大きいことが好ましく、5%以上がより好ましい。
なお、個数変動係数(%)は、実施例に記載の方法で測定され、そのように測定されたものとして定義される。
本発明におけるトナーは、上記(1)〜(4)全てを満足することが必須である。従来のトナーは(1)〜(4)の何れかを満足しないものであった。その理由として、以下の関係があった。すなわち、微粉を極力少なくしようとすると((3)を満たすようにすると)、粗粉の発生を招き個数変動係数が大きくなる((4)を満たさないようになる)。また、物理的衝撃によりトナーの円形化を図ろうとすると((2)を満たすようにすると)、微粉の発生を促進させる原因となる((3)を満たさないようになる)。さらに、熱的融着によりトナーの円形化を図ろうとすると((2)を満たすようにすると)、粒子同士の融着を招き粗粉の発生を招く((4)を満たさないようになる)。
本発明におけるトナーは、高画質が得られる上、高速印刷機を使用した場合においても、汚れが少なく、残像(ゴースト)及びカスレ(ベタ追従性)を抑制し、クリーニング性に優れている。また、粒径分布がシャープであることにより帯電量分布が非常にシャープであるので、帯電量の小さい粒子が画像白地部の汚れを引き起こしたり、飛散して装置内を汚したりしない。また、帯電量の大きい粒子が、現像されないまま層規制ブレードやローラー等の部材に付着してスジやかすれ等の画像欠陥を引き起こすことがない。
<帯電量分布>
本発明におけるトナーは、従来のトナーと比較して帯電量分布が非常にシャープである。上述のように、帯電量分布はトナーの粒度分布と相関があり、従来のトナーのようなブロードの粒度分布を有する場合、その帯電量分布もブロードになる。帯電量分布がブロードになると、そのトナー用装置の有する現像条件で制御できなくなる程の、帯電の低い粒子や帯電の高い粒子の割合が増加して、種々の画像欠陥の原因となる。例えば、帯電量の小さい粒子は、画像白地部の汚れを引き起こしたり、装置内に飛散したりして汚れの原因になり、また帯電量の大きい粒子は、現像されないまま現像槽中の層規制ブレードやローラー等の部材に蓄積し、融着によるスジやかすれ等の画像欠陥を引き起こす原因となる。
通常、画像形成装置における現像プロセスの設計において、トナー帯電量の平均値に適合するようにその現像プロセス条件が設定されており、かかる平均値から帯電量が大きく外れているトナーは、かかる画像形成装置では飛散やスジ・かすれ等の画像欠陥を引き起こすこととなり、トナーと装置とのマッチングがよくないという状況を生み出すことなる。一方、本発明のように帯電量分布がシャープであれば、バイアス調整等で現像性のコントロールも可能になり、画像形成装置の部材を汚染することなく、鮮明な画像を与えることができる。
本発明におけるトナーの「帯電量分布」を示す数値の1つ「帯電量の標準偏差」は、1.0ないし2.0であることが好ましく、より好ましくは1.8以下であり、特に好ましくは1.5以下である。上記上限値を超える場合は、層規制ブレードにトナーが付着して搬送され難くなり、付着したトナーが更に搬送されるトナーを塞き止めてしまい、画像形成装置内の部材を汚染してしまう場合がある。また、上記下限値を下まわる場合は、工業上見地から好ましくない場合がある。下限値については、1.3以上であることが特に好ましい。
本発明におけるトナーは、帯電量分布がシャープであるため、帯電不良のトナーが原因で起こる画像形成装置内の汚染(トナー飛散)が非常に少ない。これは特に静電潜像担持体への現像プロセススピードが100mm/秒以上である高速タイプの画像形成装置において、その効果が顕著に発現される。
また、本発明におけるトナーは、帯電量分布がシャープであるため、現像性が非常によく、現像しないで蓄積していくトナー粒子が非常に少ない。これは、特にトナーの消費スピードが速い画像形成装置において、その効果が発揮されるものである。具体的に示すと、下記式(G)を満足する画像形成装置に用いるトナーであることが、本発明の上記効果を充分に発揮させるために好ましい。
現像剤を充填する現像機の保証寿命枚数(枚)×印字率≧400(枚) (G)
式(G)において、「印字率」は、画像形成装置の性能である保証寿命枚数を決定するための印刷物において、印字部分面積の総和を印字媒体の全面積で除した値で表され、例えば、「5%」の印字%の「印字率」は「0.05」である。
更に、本発明におけるトナーは粒径の分布が非常にシャープであるため、潜像の再現性が非常によい。従って、特に、静電潜像担持体への解像度が600dpi以上である画像形成装置に用いる時に、本発明の効果が充分に発揮される。なお、「静電潜像担持体への解像度」は、「装置の解像度」と同意である。
また、本発明の画像形成装置は、上記(1)〜(4)全てを満足するトナーを用いることを特徴とする。かかるトナーを用いることで、高解像度の画像を提供することができる。
<トナーの構成>
次に、上述したトナーを構成する材料について詳述する。
本発明の画像形成装置に用いられるトナーは、結着樹脂(バインダー樹脂)、着色剤、ワックス、外添剤等を適宜選択して構成される。
該結着樹脂としては、トナーに用い得ることが知られているもののなかから適宜選択して用いればよい。例えば、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−アクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体等を挙げることができる。これらの樹脂は単独で用いることも、いくつかを併用することもできる。
<着色剤>
本発明の画像形成装置に用いられるトナーを構成する着色剤としては、トナーに用い得ることが知られているもののなかから適宜選択して用いればよい。例えば、以下に示すイエロー顔料、マゼンタ顔料及びシアン顔料が挙げられ、黒色顔料としてはカーボンブラック又は以下に示すイエロー顔料/マゼンタ顔料/シアン顔料を混合して黒色に調色されたものが利用される。
このうち、黒色顔料としてカーボンブラックは、非常に微細な一次粒子の凝集体として存在し、顔料分散体として分散させたときに、再凝集による粒子の粗大化が発生しやすい。カーボンブラック粒子の再凝集の程度は、カーボンブラック中に含まれる不純物量(未分解有機物量の残留程度)の大小と相関が見られ、不純物が多いと分散後の再凝集による粗大化が激しい傾向を示した。不純物量の定量的な評価として、以下の方法で測定されるカーボンブラックのトルエン抽出物の紫外線吸光度が0.05以下であるのが好ましく、0.03以下であるのがより好ましい。一般に、チャンネル法のカーボンブラックは不純物が多い傾向を示すので、本発明におけるカーボンブラックとしては、ファーネス法で製造されたものが好ましい。
カーボンブラックの紫外線吸光度(λc)は、次の方法で求める。まず、カーボンブラック3gをトルエン30mLに充分に分散、混合させて、続いてこの混合液をNo.5C濾紙を使用して濾過する。その後、濾液を吸光部が1cm角の石英セルに入れて市販の紫外線分光光度計を用いて波長336nmの吸光度を測定した値(λs)と、同じ方法でリファレンスとしてトルエンのみの吸光度を測定した値(λo)から、紫外線吸光度はλc=λs−λoで求める。市販の分光光度計としては、例えば、島津製作所製紫外可視分光光度計(UV−3100PC)等がある。
イエロー顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物等に代表される化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、109、110、111、128、129、147、150、155、168、180、194等が好適に用いられる。
マゼンタ顔料としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキウ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が用いられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、173、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254、C.I.ピグメントバイオレット19等が好適に用いられる。中でも、C.I.ピグメントレッド122、202、207、209、C.I.ピグメントバイオレット19で示されるキナクリドン系顔料が特に好ましい。キナクリドン系顔料の中でも、C.I.ピグメントレッド122で示される化合物であるのが、特に好ましい。
シアン顔料としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66等、及び、C.I.ピグメントグリーン7、36等が特に好適に利用できる。
<ワックス>
本発明の画像形成装置に用いられるトナーには、離型性付与のためワックスを配合することが好ましい。ワックスは後述する重合体一次粒子に含有させても、樹脂微粒子に含有させてもよい。ワックスとしては、離型性を有するものであればいかなるものも使用可能であり、特に限定はされない。具体的には、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス;パラフィンワックス;ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス;水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス;ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン;アルキル基を有するシリコーン;ステアリン酸等の高級脂肪酸;エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸により得られる多価アルコールのカルボン酸エステル、又は部分エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;低分子量ポリエステル等が例示される。
これらのワックスの中で定着性を改善するためには、ワックスの融点は30℃以上が好ましく、40℃以上が更に好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、100℃以下が好ましく、90℃以下が更に好ましく、80℃以下が特に好ましい。融点が低すぎると定着後にワックスが表面に露出しべたつきを生じやすく、融点が高すぎると低温での定着性が劣る。また更に、ワックスの化合物種としては、脂肪族カルボン酸と一価または多価アルコールとから得られるエステル系ワックスが好ましく、エステル系ワックスの中でも炭素数が20〜100のものが好ましい。
上記ワックスは単独で用いても、混合して用いてもよい。また、トナーを定着する定着温度により、ワックス化合物の融点を適宜選択することができる。ワックスの使用量はトナー100重量部に対して、好ましくは4〜20重量部、特に好ましくは6〜18重量部、更に好ましくは8〜15重量部である。通常、ワックスの使用量の増加に伴い凝集制御が悪化して、粒子径分布がブロードになる傾向にある。また、トナーの体積中位径(Dv50)が7μm以下の場合、即ち、トナーが小粒径である場合には、ワックスの使用量の増加に伴いワックスのトナー表面への露出が極端に激しくなりトナーの保存安定性が悪くなる。本発明の画像形成装置に用いられるトナーは、上記範囲のようにワックスの使用量が多い場合であっても、従来のトナーと比較して上記トナー特性の悪化を招くことがない粒度分布がシャープな小粒径のトナーである。
<外添剤>
本発明におけるトナーは、流動性や現像性を制御する為に、トナー母粒子表面に公知の外添剤が配合されてトナーとなっていてもよい。外添剤としては、アルミナ、シリカ、チタニア、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、タルク、ハイドロタルサイト等の金属酸化物や水酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸金属塩、窒化チタン、窒化珪素等の窒化物、炭化チタン、炭化珪素等の炭化物、アクリル系樹脂やメラミン樹脂等の有機粒子等が挙げられ、複数組み合わせることが可能である。中でも、シリカ、チタニア、アルミナが好ましく、また、例えば、シランカップリング剤やシリコーンオイル等で表面処理されたものがより好ましい。その平均一次粒子径は1〜500nmの範囲が好ましく、より好ましくは5〜100nmの範囲がよい。また、上記粒径範囲において小粒径のものと大粒径のものとを併用することも好ましい。
外添剤の配合量の総量は、トナー母粒子100重量部に対して0.05〜10重量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部である。
<トナーの製造方法>
本発明におけるトナーの製造方法は、特に限定されるものではない。すなわち、粉砕法や水系媒体中で粒子を形成させる方法(以下、「湿式法」と略記する場合がある)等によって製造することができる。湿式法としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法等の水系媒体中でラジカル重合を行う方法(以下、「重合法」と略記し、得られたトナーを「重合トナー」と略記する場合がある)や、溶融懸濁法に代表される化学粉砕法等が好適に使用できる。トナーを本発明の特定範囲の粒径にする方法としては特に限定はされない。例えば、懸濁重合法の場合は、重合性モノマー滴が生成される工程で高いせん断力を与えたり、分散安定剤等を増量させたりする方法等が挙げられる。
粉砕法でトナーを製造する場合は、一般に微粉が発生し易いので分級工程が必要となる。特に、本発明におけるトナーの粒径の要件を満たすためには過度の分級操作が必要になる場合があり、歩留まりが著しく低下し、工業的見地からそのような操作は好ましくないが、本発明の画像形成装置に用いられるトナーとして粉砕トナーを排除するものではない。
一方で、微粉を発生しにくい、分級工程が必須ではないという観点から、本発明におけるトナーは、水系媒体中で粒子を形成させる湿式法で得られることが好ましい。
本発明における特定範囲の粒径を有するトナーを得る方法としては、粉砕法、懸濁重合法、乳化重合凝集法等の重合法や、溶融懸濁法に代表される化学粉砕法等、何れの製造方法をも使用することができる。「粉砕法」、「懸濁重合法」や「溶融懸濁法に代表される化学粉砕法」においては、何れも、トナーの母粒子径より大きなサイズから小さなサイズへ調整させるため、平均粒子径を小さくしようとすると小粒子側の粒子径割合が増加する傾向にあり、分級工程等において過度の負担が強いられる。これに対して、乳化重合凝集法は、比較的粒子径分布がシャープで、かつ、トナー母粒子径より小さなサイズから大きなサイズへ調整させるため、分級工程等の工程を介さずとも整った粒子径分布をもつトナーが得られる。従って、以上の理由により、乳化重合凝集法により本発明におけるトナーを製造することが特に好ましい。
<トナーの製造方法(乳化重合凝集法)>
水系媒体中で粒子を形成させる方法の中でも、微粉を発生しにくいという観点から、水系媒体中で重合を行うことにより粒子を製造する方法、更には乳化重合凝集法による粒子の製造方法が好ましく、以下に詳述する。
乳化重合凝集法によりトナーを製造する場合、通常、重合工程、凝集工程、熟成工程、洗浄・乾燥工程を有する。すなわち、一般的には乳化重合により得た重合体一次粒子を含む分散液に、着色剤、帯電制御剤、ワックス等の分散液を混合し、この分散液中の一次粒子を凝集させて芯粒子とし、必要に応じて樹脂微粒子等を固着又は付着させた後に融着させて得られた粒子を洗浄、乾燥することによりトナー母粒子が得られる。
まず、乳化重合凝集法で実施される各工程で使用される材料について詳述する。
(モノマー)
乳化重合凝集法に用いられる重合体一次粒子を構成するバインダー樹脂は、乳化重合法により重合可能な1種又は2種以上の重合性モノマーを適宜用いればよい。重合性モノマーとしては、例えば、「酸性基を有する重合性モノマー」(以下、単に「酸性モノマー」と称すことがある)、「塩基性基を有する重合性モノマー」(以下、単に「塩基性モノマー」と称することがある)などの「極性基を有する重合性モノマー」(以下、単に「極性モノマー」と称すことがある)と称することがある)と、「酸性基及び塩基性基の何れをも有さない重合性モノマー」(以下、「その他のモノマー」と称することがある)とを原料重合性モノマーとして使用することが好ましい。
この際、各重合性モノマーは別々に加えても、予め複数の重合性モノマーを混合しておいて同時に添加してもよい。更に、重合性モノマー添加途中で重合性モノマー組成を変化させることも可能である。また、重合性モノマーはそのまま添加してもよいし、予め水や乳化剤等と混合、調製した乳化液として添加することもできる。
「酸性モノマー」としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有する重合性モノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー等が挙げられる。また、「塩基性モノマー」としては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有重合性モノマー等が挙げられる。
これら極性モノマーは、単独で用いても、複数を混合して用いてもよく、また、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。中でも、酸性モノマーを用いるのが好ましく、より好ましくは、(メタ)アクリル酸であるのがよい。重合体一次粒子としてのバインダー樹脂を構成する全重合性モノマー100質量%中に占める極性モノマーの合計量の割合は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、特に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。上限は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下であることが望ましい。上記範囲である場合、得られる重合体一次粒子の分散安定性が向上し、後述する凝集工程において粒子形状や粒子径の調整を行いやすくなる。
「その他のモノマー」としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、アクリル酸アミド等が挙げられる。重合性モノマーは、単独で用いてもよく、また複数を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、上述した重合性モノマー等を組み合わせて用いる中でも、好ましい実施態様として酸性モノマーとその他のモノマーを組み合わせて用いるのがよい。より好適には、酸性モノマーとして(メタ)アクリル酸を用い、その他のモノマーとしてスチレン類および(メタ)アクリル酸エステル類の中から選択される重合性モノマーを用いるのがよく、更に好適には酸性モノマーとして(メタ)アクリル酸を用い、その他のモノマーとしてスチレンと(メタ)アクリル酸エステル類との組み合わせを用いるのがよく、特に好適には酸性モノマーとして(メタ)アクリル酸を用い、その他のモノマーとしてスチレンとアクリル酸n−ブチルとの組み合わせで用いるのがよい。
更に、重合体一次粒子を構成するバインダー樹脂として架橋樹脂を用いることも好ましい。その場合、上述の重合性モノマーと共用される架橋剤としてラジカル重合性を有する多官能性モノマーが用いられる。多官能性モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、架橋剤として反応性基をペンダントグループに有する重合性モノマー、例えば、グリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。中でもラジカル重合性の2官能性モノマーが好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。
これら多官能性モノマー等の架橋剤は、単独で用いても、複数を混合して用いてもよい。重合体一次粒子を構成するバインダー樹脂として架橋樹脂を用いる場合は、樹脂を構成する全重合性モノマー中に占める多官能性モノマー等の架橋剤の配合率は、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下であることが望ましい。
(乳化剤)
乳化重合に用いる乳化剤としては公知のものが使用でき、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤およびノニオン性界面活性剤の中から選ばれる1種又は2種以上の乳化剤を併用して用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム等の脂肪酸石けん、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
乳化剤の使用量は、通常、重合性単量体100重量部に対して1〜10重量部とされる。また、これらの乳化剤に、例えば、部分又は完全ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体類などの1種又は2種以上を保護コロイドとして併用することができる。
(重合開始剤)
重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸カリウム等の過硫酸塩類;ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の有機過酸化物類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物類;レドックス系開始剤等が用いられる。重合開始剤は1種又は2種以上を併用してもよく、通常、重合性単量体100重量部に対して0.1〜3重量部程度の量で用いられる。中でも、開始剤としては少なくとも一部又は全部が過酸化水素又は有機過酸化物類であるのが好ましい。
重合開始剤は、何れも重合性モノマー添加前、添加と同時、添加後の何れの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
(連鎖移動剤)
乳化重合に際しては、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することもできるが、その様な連鎖移動剤の具体的な例としては、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン等が挙げられる。連鎖移動剤は単独又は2種類以上の併用でもよく、全重合性モノマーに対して通常5質量%以下の範囲で用いられる。
また、反応系には、更に、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜配合することができる。
(着色剤)
着色剤としては、通常用いられる着色剤であればよく、特に限定はされない。例えば、前述した顔料、ファーネスブラックやランプブラック等のカーボンブラック、磁性着色剤等が挙げられる。
着色剤の含有割合は、得られるトナーが現像により可視像を形成するのに十分な量であればよく、例えば、トナー100重量部に対して1〜25重量部の範囲が好ましく、更に好ましくは1〜15重量部、特に好ましくは3〜12重量部である。
上記着色剤は磁性を有していてもよく、磁性着色剤としては、プリンター、複写機等の使用環境温度である0〜60℃付近においてフェリ磁性、又は、フェロ磁性を示す強磁性物質(以下、適宜“磁性粉”とも称する)が挙げられる。具体的には、例えば、マグネタイト(Fe34)、マグヘマタイト(γ−Fe23)、マグネタイトとマグヘマタイトの中間物や混合物、MxFe3−xO4、式中、Mは、Mg、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Cd等のスピネルフェライト、BaO・6Fe23、SrO・6Fe23等の6方晶フェライト、Y2Fe512、Sm3Fe512等のガーネット型酸化物、CrO2等のルチル型酸化物、及び、Cr、Mn、Fe、Co、Ni等の金属又はそれらの強磁性合金等のうち0〜60℃付近において磁性を示すものが挙げられる。中でも、マグネタイト、マグヘマタイト、又はマグネタイトとマグヘマタイトの中間体が好ましい。
非磁性トナーとしての特性を持たせつつ、飛散防止や帯電制御等の観点で含有する場合は、トナー中の上記磁性粉の含有量は、好ましくは0.2〜10質量%、より好ましくは0.5〜8質量%、特に好ましくは1〜5質量%である。
また、磁性トナーとして使用する場合は、トナー中の上記磁性粉の含有量は、通常15質量%以上、好ましくは20質量%以上であり、通常70質量%以下、好ましくは60質量%以下であることが望ましい。磁性粉の含有量が上記範囲未満であると、磁性トナーとして必要な磁力が得られない場合があり、上記範囲超過では、定着性不良の原因となる場合がある。
乳化重合凝集法における着色剤の配合方法としては、通常、重合体一次粒子分散液と着色剤分散液とを混合して混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とする。
着色剤は、乳化剤の存在下で水中にサンドミル、ビーズミル等の機械的手段により乳化させた状態で用いるのが好ましい。この際、着色剤分散液は、水100重量部に対して、着色剤を10〜30重量部、乳化剤を1〜15重量部加えるのがよい。なお、分散液中の着色剤の粒径を分散途中でモニターしながら行い、最終的にその体積平均径(Mv)を0.01〜3μmとするのがよく、より好適には0.05〜0.5μmの範囲に制御するのがよい。乳化凝集時における着色剤分散液の配合は、凝集後のでき上がりのトナー母粒子中に2〜10質量%となるように計算して用いられる。
(ワックス)
定着性等の改良のため、ワックスを使用することが好ましい。ワックスは重合体一次粒子に含有させても、後述する樹脂微粒子に含有させてもよい。ただし、通常はワックスの使用量の増加に伴い、凝集制御が悪化して、得られる粒子の粒子径分布がブロードになる傾向にある。なお、乳化重合凝集法におけるワックスの配合方法としては、凝集工程で添加する、または、予め水中に体積平均径(Mv)0.01〜2.0μm、より好ましくは0.01〜0.5μmに乳化分散したワックス分散液を乳化重合時に添加することが好ましい。
トナー中に好適な分散粒径でワックスを分散させるためには、乳化重合時にワックスをシードとして添加することが好ましい。シードとして添加することにより、ワックスが内包された重合体一次粒子が得られるので、ワックスがトナー表面に多量に存在することがなく、トナーの帯電性や耐熱性の悪化を抑制することができる。重合体一次粒子に占めるワックス含有量は、好ましくは4〜30質量%、より好ましくは5〜20質量%、特に好ましくは7〜15質量%となるよう計算して用いられる。
また、後述する樹脂微粒子中にワックスを含有させてもよく、その場合も重合体一次粒子を得る場合と同様に、乳化重合時にワックスをシードとして添加することが好ましい。樹脂微粒子全体中に占めるワックスの含有割合は、重合体一次粒子全体中に占めるワックスの含有量割合よりも小さい方が好ましい。
一般に、樹脂微粒子中にワックスを含有せしめる場合は、定着性は向上するが、その反面微粉の発生量が多くなる傾向にある。その理由として、まず、定着性については、熱を受けた際にワックスのトナー表面への移動速度が速くなるため向上する。一方、ワックスを樹脂微粒子中に含有させることにより、樹脂微粒子の粒度分布が広くなるため凝集制御が難しくなり、その結果、微粉の増加を招くと考えられる。
(帯電制御剤)
本発明に用いられるトナーには、帯電量、帯電安定性付与のため、帯電制御剤を配合してもよい。帯電制御剤としては、従来公知の化合物が使用される。例えば、ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、ナフトール系化合物、ナフトール系化合物の金属化合物、ニグロシン系染料、第4級アンモニウム塩及びこれらの混合物が挙げられる。帯電制御剤の配合量はトナー樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部の範囲が好ましい。
乳化重合凝集法においてトナー中に帯電制御剤を含有させる場合は、乳化重合時に重合性モノマー等とともに帯電制御剤を配合するか、重合体一次粒子及び着色剤等とともに凝集工程で配合するか、重合体一次粒子及び着色剤等を凝集させてほぼトナーとして適当な粒径となった後に配合する等の方法を用いることができる。これらのうち、帯電制御剤を、乳化剤を用いて水中で乳化分散させ、体積平均径(Mv)0.01μm〜3μmの乳化分散液として使用することが好ましい。乳化凝集時における帯電制御剤分散液の配合は、凝集後のでき上がりのトナー母粒子中に0.1〜5質量%となるように計算して用いられる。
(樹脂微粒子)
樹脂微粒子は、後述する重合体一次粒子と同様の方法で製造してもよく、その構成は特に限定されず、上述したモノマー類を使用することができる。
樹脂微粒子としてのバインダー樹脂を構成する全重合性モノマー100質量%中に占める極性モノマーの合計量の割合は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上である。上限は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下であることが望ましい。上記範囲である場合、得られる樹脂微粒子の分散安定性が向上し、凝集工程において粒子形状や粒子径の調整を行いやすくなる。
また、樹脂微粒子としてのバインダー樹脂を構成する全重合性モノマー100質量%中に占める極性モノマーの合計量の割合が、重合体一次粒子としてのバインダー樹脂を構成する全重合性モノマー100質量%中に占める極性モノマーの合計量の割合よりも小さい方が、凝集工程において粒子形状や粒子径の調整を行いやすくなり、微粉の発生が抑制でき、帯電特性に優れたものとなる点で好ましい。
また、樹脂微粒子としてのバインダー樹脂のTgが、重合体一次粒子としてのバインダー樹脂のTgよりも高い方が、保存安定性等の点から好ましい。
上記の分散液中の、重合体一次粒子、樹脂微粒子、着色剤粒子、ワックス粒子、帯電制御剤粒子等の体積平均径(Mv)は、実施例に記載の方法でナノトラックを用いて測定し、その測定値として定義される。
<重合工程>
以下に、乳化重合凝集法で実施される各工程について詳述する。
まず、重合工程は、乳化重合により重合体一次粒子を含む分散液を製造する工程である。
重合工程で使用されるモノマー、乳化剤、その他材料などについては上述の通りである。
乳化重合は、上記の重合性モノマーを重合開始剤の存在下で重合するが、重合温度は、通常50〜120℃、好ましくは60〜100℃、更に好ましくは70〜90℃である。
(重合体一次粒子)
乳化重合により得られた重合体一次粒子の体積平均径(Mv)は、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、更に好ましくは0.1μm以上であり、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下であることが望ましい。粒径が上記範囲未満では、後述する凝集工程における凝集速度の制御が困難となる場合があり、上記範囲超過では、後述する凝集工程で凝集して得られるトナーの粒径が大きくなりやすく、目的とする粒径のトナーを得ることが困難となる場合がある。
本発明における重合体一次粒子としてのバインダー樹脂のDSC法によるTgは、好ましくは40〜80℃であり、より好ましくは55〜65℃である。この範囲内であれば、保存性がよく、加えて凝集性も損なわれない。Tgが高すぎる場合は、凝集性が悪く、凝集剤を過度に添加したり、凝集温度を過度に高くしたりしなくてはならず、その結果微粉が発生しやすくなる場合がある。ここで、バインダー樹脂のTgが他の成分に基づく熱量変化、例えば、ポリラクトンやワックスの融解ピークと重なるために明確に判断できない場合には、このような他の成分を除いた状態でトナーを作製した際のTgを意味するものとする。
本発明において、重合体一次粒子を構成するバインダー樹脂の酸価は、JISK−0070の方法によって測定した値として、好ましくは3〜50mgKOH/g、より好ましくは5〜30mgKOH/gである。
本発明において使用する「重合体一次粒子の分散液」中の重合体一次粒子の固形分濃度は、その下限値としては14質量%以上であることが好ましく、21質量%以上であることが更に好ましく、一方、その上限値としては30質量%以下が好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。上記範囲内であるとき、凝集工程において経験則的に重合体一次粒子の凝集速度を調整しやすく、結果として芯粒子の粒子径、粒子形状、粒径分布を任意の範囲に調整することが容易となる。
<凝集工程>
凝集工程では、上記の重合工程により得られた重合体一次粒子、着色剤、必要に応じて使用される帯電制御剤、ワックス、他の成分とを混合して、凝集させる工程である。凝集工程では、後述する熟成工程に先立って、ほぼトナー粒子の大きさまで凝集を行う。
使用される着色剤、帯電制御剤、ワックスなどについては、上述の通りである。
凝集工程においては、上述の重合体一次粒子、樹脂微粒子、着色剤粒子、必要に応じて使用される帯電制御剤、ワックス等の配合成分は、同時に又は逐次に混合する。また、得られるトナーの組成の均一性及び粒径の均一性の観点から、予めそれぞれの成分の分散液、即ち、重合体一次粒子分散液、樹脂微粒子分散液、着色剤粒子分散液、帯電制御剤分散液、ワックス微粒子分散液を作製しておき、これらを混合して凝集させることが好ましい。
また、これら異なる種類の分散液を混合する際、各分散液中に含まれる成分の凝集速度が異なることがある。そこで、凝集を均一に行うという観点より、各分散液を、連続的又は断続的に、ある程度時間をかけて添加して混合することが好ましい。添加に要する好適な時間は、混合する分散液の量や固形濃度等に応じて変化するため、適宜調整して行うことが好ましい。例えば、重合体一次粒子分散液に着色剤粒子分散液を混合する場合には、3分間以上かけて添加するのが好ましい。また、芯粒子に対して樹脂微粒子分散液を混合する際も、3分間以上かけて添加することが好ましい。
上記の凝集方法としては、通常攪拌槽内で、加熱する方法、電解質を加える方法、系内の乳化剤の濃度を低減する方法、これらを組み合わせる方法等がある。重合体一次粒子を攪拌下で凝集してほぼトナーの大きさに近い粒子凝集体を得ようとする場合、粒子同士の凝集力と攪拌による剪断力とのバランスから粒子凝集体の粒径が制御されるが、上記方法によって凝集力を大きくすることができる。
電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、有機塩、無機塩の何れでもよいが、具体的には、NaCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、Li2SO4、CH3COONa、C65SO3Na等の1価の金属カチオンを有する無機塩;MgCl2、CaCl2、MgSO4、CaSO4、ZnSO4等の2価の金属カチオンを有する無機塩;Al2(SO43、Fe2(SO43等の3価の金属カチオンを有する無機塩等が挙げられる。これらのうち、2価以上の多価の金属カチオンを有する無機塩を用いる場合、凝集速度が速くなり生産性の点で好ましいが、一方で芯粒子に取り込まれない重合体一次粒子等の量が増加するため、結果として所望のトナー粒径に至らない微粉が発生しやすくなる。従って、凝集作用のそれほど強くない1価の金属カチオンを有する無機塩を用いることが、上記微粉の発生量を抑えられる点で好ましい。
電解質の使用量は、電解質の種類、目的とする粒径等によって異なるが、混合分散液の固形成分100重量部に対して、通常0.05〜25重量部、好ましくは0.1〜15重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部である。使用量が上記範囲未満の場合は、凝集反応の進行が遅くなり凝集反応後も1μm以下の微粉が残ったり、得られた粒子凝集体の平均粒径が目的の粒径に達しない等の問題を生じる場合がある。また、使用量が上記範囲超過の場合は、急速な凝集となりやすく粒径の制御が困難となり、得られた芯粒子中に粗粉や不定形のものが含まれる等の問題を生じる場合がある。
また、電解質の添加方法は、一度に加えずに、断続的又は連続的にある程度の時間をかけて添加することが好ましい。この添加時間は使用量等に応じて変化するが、0.5分間以上かけて添加することがより好ましい。通常、電解質を加えると、その途端に急な凝集が始まるため、凝集に取り残される重合体一次粒子、着色剤粒子、又はその凝集物等が多く残存する傾向にある。これらが微粉の発生原因の一つと考えられる。上記操作によれば、急な凝集をせずに均一な凝集を行うことができるため、微粉の発生を防ぐことができる。
また、電解質を加えて凝集を行う場合の凝集工程の最終温度は、20〜70℃が好ましく、30〜60℃が更に好ましい。ここで、凝集工程前の温度を制御することも本発明の特定範囲の粒径に制御する方法の一つである。凝集工程に加える着色剤の中には、上記電解質のように凝集を誘発させるものがあり、電解質を加えずとも凝集することがある。そこで、着色剤分散液の混合時に予め、重合体一次粒子分散液の温度を冷やしておくことで、上記凝集を防ぐことができる。なお、この凝集が微粉を発生させる原因となる。本発明では、重合体一次粒子分散液を予め、好ましくは0〜15℃、より好ましくは0〜12℃、より更に好ましくは2〜10℃の範囲に冷やしておくのがよい。尚、この方法は電解質を加えて凝集を行う場合にのみに効果があるものではなく、pHの制御やアルコール等の極性有機溶媒を加えて凝集法行う方法等の電解質を加えずに凝集を行う方法にも用いられ、特に凝集方法に限定されるものではない。
加熱によって凝集を行う場合の凝集工程の最終温度は、通常、重合体一次粒子の(Tg−20℃)〜Tgの温度範囲であり、(Tg−10℃)〜(Tg−5℃)の範囲であることが好ましい。
また、微粉の発生を防ぐために急な凝集を防ぐ方法としては、脱塩水等を加える方法がある。脱塩水等を添加する方法は、電解質を添加する方法に比べて凝集作用がそれほど強くないため、生産効率上積極的に採用される方法ではなく、寧ろ、その後の濾過工程等で多量の濾液が得られてしまうため好ましくない場合がある。ところが、本発明のように微妙な凝集制御が求められる場合には、非常に効果的である。また、本発明においては、上記加熱する方法や電解質を加える方法等と組み合わせて採用することが好ましい。このとき、電解質を加えた後に脱塩水を添加する方法が凝集を制御しやすいという点で特に好ましい。
凝集に要する時間は装置形状や処理スケールにより最適化されるが、トナー母粒子の粒径を目的とする粒径に到達するためには、凝集工程を終了させる操作時の温度、例えば、乳化剤の添加、pH制御等により芯粒子の成長を止める操作時の温度(以下、「凝集最終温度」と略記する場合がある。)より8℃低い温度から凝集最終温度までの時間を30分以上とすることが好ましく、1時間以上とすることが更に好ましい。上記時間を長くすることで残存する重合体一次粒子、着色剤粒子、又はその凝集物等が取り残されることなく、目的とする芯粒子に取り込まれたり、それら同士が凝集したりして目的の芯粒子になる。
上記(1)〜(4)の要件を全て満たすトナーを得るには、凝集工程において通常行う操作と比較して凝集の速度が高くない操作を採用するのが好ましい。凝集の速度が高くない操作としては、例えば、使用する分散液を予め冷やしておく、時間をかけて分散液等を添加する、凝集作用の大きくない電解質等を採用する、電解質を連続的或いは断続的に加える、昇温する速度を遅くする、凝集する時間を長くする、方法等がある。
また、後述する熟成工程において、凝集した粒子が再分散し難い操作を採用するのがよい。上記凝集した粒子が再分散し難い操作としては、例えば、攪拌する回転数を下げる、分散安定剤を連続的或いは断続的に加える、分散安定剤と水を予め混ぜておく、方法等がある。また、上記式(1)を満たすトナーは、最終的に得られたトナー或いはトナー母粒子を、分級等の操作によって、それらの体積中位径(Dv50)以下の粒子の一部を除去する工程を経ずに得られることが好ましい。
<シェル被覆工程>
本発明においては、上述した凝集工程において重合体一次粒子を凝集させて芯粒子とし、樹脂微粒子等を固着又は付着させるシェル被覆工程を経た後に融着させて得られた粒子を洗浄、乾燥することによりトナー母粒子が得ることが好ましい。
このシェル被覆工程は、任意の工程であり、必要に応じて実施される。なお、使用される樹脂微粒子は上述の通りである。
固着又は付着させる樹脂微粒子の割合は、芯粒子100重量部に対して、樹脂微粒子0.5〜30重量部が好ましく、5〜20重量部が特に好ましい。
本発明においては、芯粒子の表面に、必要に応じて樹脂微粒子を被覆(付着又は固着)してトナー母粒子を形成することができる。樹脂微粒子の体積平均径(Mv)は、好ましくは0.02μm〜3μm、より好ましくは0.05μm〜1.5μmである。一般に樹脂微粒子の使用は、所定のトナー粒径に至らない微粉の発生を助長させる。従って、従来の樹脂微粒子で被覆したトナーは所定のトナー粒径に満たない微粉量が多くなる。
本発明において、ワックスの配合量を多くした場合、高温定着性は向上するもののワックスがトナー表面に露出しやすくなるため帯電性や耐熱性が悪化する場合がある。そこで、芯粒子の表面を、ワックスを含有しない樹脂微粒子で被覆することにより性能の悪化を防止できる。
しかしながら、高温定着性を向上させる目的で樹脂微粒子にもワックスを含有させる場合は、一旦芯粒子の表面に付着した樹脂微粒子が剥がれ落ちやすい。この理由は、上述した樹脂微粒子の粒径分布が広くなり、付着力の弱い大粒径の樹脂微粒子が存在するためである。そこで、その剥がれ落ちを少なくするために、樹脂微粒子が表面に付着した粒子が分散している液中に、分散安定剤と水を予め混ぜておいた水溶液を添加しながら昇温することが好ましい。
従来の方法である「乳化剤の添加後に昇温を開始する工程」を採用した場合、すなわち、凝集力を急激に下げた後に熟成工程を行った場合は、その凝集力の急激な低下のため一度付着した樹脂微粒子が離脱しやすくなる場合がある。従って、凝集力をそれほど落とすことなく、かつ、粒子の径成長を抑えつつ、樹脂微粒子を付着後、融着することが好ましい。
<熟成工程>
乳化重合凝集法においては、凝集で得られた粒子凝集体の安定性を増すために、分散安定剤として、乳化剤やpH調整剤を添加して粒子同士の凝集力を低下させトナー母粒子の成長を止めた後に、凝集した粒子間の融着を起こす熟成工程を加えることが好ましい。
粒子同士の凝集を抑制するための乳化剤を配合する場合の配合量は限定されないが、混合分散液の固形成分100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上であり、また、好ましくは20重量部以下、より好ましくは15重量部以下、更に好ましくは10重量部以下である。凝集工程以降、熟成工程の完了前の間に乳化剤を添加するか、凝集液のpH値を上げることにより、凝集工程で凝集した粒子凝集体同士の凝集等を抑制することができ、熟成工程後のトナー中に粗大粒子が生じることを抑制できる。
ここで、本発明の画像形成装置に用いられる小粒径トナーにおいて粒度分布がシャープであることを意味する特定範囲の粒径に制御する方法として、乳化剤やpH調整剤を添加する工程の前に攪拌回転数を低下させる、即ち、攪拌による剪断力を下げる方法が挙げられる。この方法は凝集作用が弱い系、例えば、乳化剤やpH調整剤を一度に添加して急激に安定(分散)な系へ移行させた場合に採用することが好ましい。上述したように、仮に分散安定剤と水を予め混ぜておいた水溶液を添加しながら昇温する方法を採用した場合に、攪拌回転数を低下させると系が凝集へ傾きすぎるため、粒子径の肥大を招く場合がある。
上記の方法により本発明の画像形成装置に用いられる特定の粒径分布のトナー、すなわち、上記(1)〜(4)の要件を全て満たすトナーを得ることができるが、更に述べると、この回転数を落とす程度によって、微粉粒子の含有量を調節することができる。例えば、攪拌回転数を250rpmから150rpmに低下させると、公知のトナーより粒度分布がシャープな小粒径のトナーを与えることができ、本発明の画像形成装置に用いられる特定の粒径分布のトナーを得ることができる。ただし、この値は当然、下記の(イ)〜(ホ)の条件によって異なってくる。
(イ)攪拌容器の直径(所謂一般的な円筒形として)と攪拌羽根の最大径(及びその相対的な比)
(ロ)攪拌容器の高さ
(ハ)攪拌羽根先端の周速
(ニ)攪拌羽根の形状
(ホ)攪拌容器内の羽根の位置
特段(ハ)については、1.0〜2.5m/秒が好ましく、1.2〜2.3m/秒がより好ましく、1.5〜2.2m/秒が特に好ましい。上記の範囲内であれば、剥がれ落ちもせず、肥大もしない好適な剪断速度を粒子に対して与えるからである。
熟成工程の温度は、好ましくは重合体一次粒子としてのバインダー樹脂のTg以上、より好ましくは上記Tgより5℃高い温度以上であり、また、好ましくは上記Tgより80℃高い温度以下、より好ましくは上記Tgより50℃高い温度以下である。
また、熟成工程に要する時間は、目的とするトナーの形状により異なるが、重合体一次粒子を構成する重合体のガラス転移温度以上に到達した後、通常0.1〜5時間、好ましくは1〜3時間保持することが望ましい。
このような加熱処理により、凝集体における重合体一次粒子同士の融着一体化がなされ、凝集体としてのトナー母粒子形状も球形に近いものとなる。熟成工程前の粒子凝集体は、重合体一次粒子の静電的又は物理的凝集による集合体であると考えられる。熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は互いに融着しており、トナー母粒子の形状も球状に近いものとすることが可能となる。この様な熟成工程によれば、熟成工程の温度及び時間等を制御することにより、重合体一次粒子が凝集した形状である葡萄型、融着が進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
なお、本発明においては、トナーの平均円形度は0.93以上であることが必須である。
<洗浄・乾燥工程>
上記の各工程を経ることにより得た粒子凝集体は、公知の方法に従って固/液分離し、粒子凝集体を回収し、次いで、これを必要に応じて洗浄した後、乾燥することにより目的とするトナー母粒子を得ることができる。
また、上記の乳化重合凝集法により得られた粒子の表面に、例えば、スプレードライ法、in−situ法、又は液中粒子被覆法等の方法によって、更に、重合体を主成分とする樹脂微粒子を外層として、好ましくは0.01〜0.5μmの厚みで形成させることによって、カプセル化されたトナー母粒子とすることもできる。
<外添工程>
本発明のトナーは、上記工程で得られるトナー母粒子のままであってもよいが、流動性や現像性を制御する為に、トナー母粒子に公知の外添剤が添加されたものでもよい。
使用される外添剤は、上記のものを使用することができる。
トナー母粒子の表面に、外添剤を添加する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)等の高速流動式混合機において、羽根形状、回転数、時間、駆動−停止の回数等を適宜設定して均一に攪拌、混合することによりなされる。また、圧縮剪断応力を加えることの出来る装置によって固着することもできる。
上記したような製造方法の工夫によって、(1)〜(4)の要件を全て満たし得るトナー母粒子を製造することができ、次いで、外添処理によって、(1)〜(4)の要件を全て満たすトナーを得ることができる。
<トナー>
上述の乳化重合凝集法により得られたトナーにおいては、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定した平均円形度は0.93以上、特に好ましくは0.94以上である。球形に近いほど粒子内での帯電量の局在化が起こりにくく、現像性が均一になる傾向にあると考えられる。一方、完全な球状トナーを作ることはクリーニング性を悪化させることがあるため、上記平均円形度は好ましくは0.98以下、より好ましくは0.97以下である。
また、トナーのテトラヒドロフラン(以下適宜、「THF」と略す場合がある)に対する可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略す場合がある)におけるピーク分子量のうち少なくとも1つが、好ましくは3万以上、より好ましくは4万以上、更に好ましくは5万以上であり、好ましくは20万以下、より好ましくは15万以下、更に好ましくは10万以下であることが望ましい。ピーク分子量が何れも上記範囲より低い場合は、非磁性一成分現像方式における機械的耐久性が悪化する場合がある。また、ピーク分子量が何れも上記範囲より高い場合は、低温定着性や定着強度が悪化する場合がある。
乳化重合凝集法トナーの帯電性は、正帯電であっても負帯電であってもよいが、負帯電性トナーとして用いることが好ましい。トナーの帯電性の制御は、帯電制御剤の選択及び含有量、外添剤の選択及び配合量等によって調整することができる。
<粉砕法トナー>
本発明の画像形成装置に用いられる、特定範囲の粒径分布を有する粉砕法トナーを製造する方法は、特に限定はされないが、例えば、過度に分級を行う方法等が挙げられる。
まず、粉砕法トナーを製造するために使用される材料について詳述する。
(樹脂)
粉砕法トナーを製造する際に用いる樹脂としては、トナーに用い得ることが知られているもののなかから適宜選択して用いればよい。例えば、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、飽和又は不飽和ポリエステル樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−アクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が用いられる。これらの樹脂は単独で用いることも、いくつかを併用することもできる。
ポリエステル樹脂は多価アルコールと多塩基酸とからなり、必要に応じてこれら多価アルコール及び多塩基酸の少なくとも一方が3価以上の多官能成分(架橋成分)を含有する重合性モノマー組成物を重合することにより得られる。ポリエステル樹脂の合成に用いられる2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノールAアルキレンオキシド付加物、その他を挙げることができる。これらのモノマーのうち、特にビスフェノールAアルキレンオキシド付加物を主成分モノマーとして用いるのが好ましく、中でも1分子当たりのアルキレンオキシド平均付加数2〜7の付加物が好ましい。
ポリエステルの架橋化に関与する3価以上の多価アルコールとしては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、その他を挙げることができる。
一方、多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル、又は、n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸等のアルケニルコハク酸類若しくはアルキルコハク酸類、その他の2価の有機酸を挙げることができる。
ポリエステルの架橋化に関与する3価以上の多塩基酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、及びこれらの無水物、その他を挙げることができる。
これらのポリエステル樹脂は、通常の方法にて合成することができる。具体的には、反応温度(170〜250℃)、反応圧力(5mmHg〜常圧)等の条件をモノマーの反応性に応じて決め、所定の物性が得られた時点で反応を終了すればよい。
本発明に関するポリエステル樹脂のSp(軟化点)は90〜135℃が好ましく、その中でも95〜133℃のものがより好適である。また、Tgの範囲は、例えば、軟化点が90℃の時50〜65℃であり、軟化点が135℃の時60〜75℃である。この場合、Spが上記範囲より低い場合は定着時のオフセット現象が発生し易く、上記範囲より高い場合は定着エネルギーが増大し、カラートナーでは光沢性や透明性が悪化する傾向にあるので好ましくない。また、Tgが上記範囲より低い場合はトナーの凝集塊や固着を生じ易く、上記範囲より高い場合は熱定着時の定着強度が低下する傾向にあるため好ましくない。
Spは主として樹脂の分子量で調節でき、樹脂のテトラヒドロフラン可溶分をGPC法により測定した場合に数平均分子量として好ましくは2000〜20000、より好ましくは3000〜12000とするのがよい。また、Tgは主として樹脂を構成するモノマー成分を選択することによって調節でき、具体的には酸成分として芳香族の多塩基酸を主成分とすることによりTgを高めることができる。すなわち、前述した多塩基酸のうち、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸等及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等を主成分として用いるのが望ましい。
本発明において、SpはJIS K7210及びK6719に記載されるフローテスターを用いて測定した値と定義される。具体的には、フローテスター(CFT−500、島津製作所製)を用いて、約1gの試料を予熱時間50℃下にて5分間、昇温速度3℃/分で加熱しながら、面積1cm2のプランジャーにより30kg/cm2の荷重を与え、孔径1mm、長さ10mmのダイから押し出す。これにより、プランジャーストローク−温度曲線を描き、そのS字曲線の高さをhとするとき、h/2に対応する温度を軟化点と定義する。また、Tgの測定は、示差走査熱量計(パーキンエルマー社製DSC7又はセイコー電子社DSC120)を用いて、常法に従って測定したものとして定義される。
一般にポリエステル樹脂の酸価が高すぎる場合、安定した高帯電量を得ることが難しく、また高温高湿時における帯電安定性も悪化する傾向にあるので、本発明においてはその酸価を50KOHmg/g以下とするのがよく、より好ましくは30KOHmg/g以下、最適には3〜15KOHmg/gとなるよう調製するのがよい。酸価を上記範囲内に調節するための方法としては、樹脂合成時に使用するアルコール系及び酸系のモノマーの配合割合を制御する方法が挙げられる。その他の方法としては、例えば、エステル交換法により酸モノマー成分をあらかじめ低級アルキルエステル化したものを用いて合成する方法や、アミノ基含有グリコール等の塩基性成分を組成中に配合することにより、残存酸基を中和する方法等が挙げられるが、これらに限らず公知のあらゆる方法を採用できることは言うまでもない。本発明においては、ポリエステル樹脂の酸価は、JIS K0070の方法に準じて測定される。ただし、樹脂が溶媒に溶解しにくい場合は、ジオキサン等の良溶媒を用いる。
上記ポリエステル樹脂としては、そのガラス転移温度(Tg)をx軸の変数とし、軟化点(Sp)をy軸の変数としてxy座標にプロットした時、下記の式(a)〜(d)で表される直線で囲まれる範囲内の物性を有するものが好ましい。TgとSpの単位は「℃」である。
式(a) Sp=4×Tg−110
式(b) Sp=4×Tg−170
式(c) Sp=90
式(d) Sp=135
上記式(a)〜(d)に表される直線で囲まれる物性を有したポリエステル樹脂を粉砕法トナーに用いた場合、粉砕法トナーは、機械的なストレスに対する耐性が極めて大きい。さらに、連続使用時等において発生する摩擦熱によって、トナーが凝集したり固化したりすることも回避でき、長期に渡って適度な帯電性を保持できる。
(着色剤)
粉砕法トナーにおいて使用される着色剤は、通常用いられる着色剤であればよく、特に限定されない。例えば、前述した重合トナーに用いる着色剤を使用することができる。
着色剤の含有割合は、得られるトナーが現像により可視像を形成するのに十分な量であればよく、例えば重合トナーと同程度の、トナー100重量部に対して1〜25質量部の範囲が好ましく、更に好ましくは1〜15質量部、特に好ましくは3〜12質量部である。
(その他材料)
粉砕法トナーにおいては、その他の構成材料を含んでもよい。
帯電制御剤としては、公知のものがすべて使用可能である。例えば、正帯電性用としてニグロシン染料、アミノ基含有ビニル系コポリマー、四級アンモニウム塩化合物、ポリアミン樹脂等があり、負帯電性用としてクロム、亜鉛、鉄、コバルト、アルミニウム等の金属を含有する含金属アゾ染料、サリチル酸若しくはアルキルサリチル酸の上記した金属との塩、金属錯体等が知られている。使用量としては、トナーを構成する樹脂100質量部に対し0.1〜25質量部がよく、より好ましくは1〜15質量部がよい。この場合、帯電制御剤は樹脂中に配合してもよく、またトナー母粒子表面に付着させた形で用いてもよい。
これらの帯電制御剤のうち、そのトナーに対する帯電賦与能力やカラートナー適応性(帯電制御剤自体が無色ないし淡色でトナーへの色調障害がないこと)を勘案すると、正帯電性用としてはアミノ基含有ビニル系コポリマー及び/又は四級アンモニウム塩化合物が好ましく、負帯電性用としては、サリチル酸若しくはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム、ボロン等との金属塩、金属錯体が好ましい。
これらのうち、アミノ基含有ビニル系コポリマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノメチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノメチルアクリレート等のアミノアクリレート類とスチレン、メチルメタクリレート等との共重合樹脂が挙げられる。また、四級アンモニウム塩化合物としては、例えば、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライドとナフトールスルホン酸との造塩化合物等が挙げられる。正帯電性トナー用としては、アミノ基含有ビニル系コポリマーと四級アンモニウム塩化合物とを単独で配合してもよく、併用してもよい。
また、サリチル酸若しくはアルキルサリチル酸の金属塩、金属錯体としては、各種公知の物質のうち、特に3,5−ジターシャリーブチルサリチル酸のクロム、亜鉛あるいはボロン錯体が好ましい。
また、以上の着色剤や帯電制御剤は、トナー中での分散性、相溶性を改良するためにあらかじめ樹脂との前混練等によって予備分散処理、いわゆるマスターバッチ処理を行ってもよい。
粉砕トナーにおいては、その他の構成成分として、低分子量のポリアルキレン、パラフィンワックス、エステルワックス等の低融点の離型剤等、公知のいかなる物質をも含有させることが可能である。
<製造方法>
本発明の特定の粒径分布を有する粉砕法トナーの製造法としては、特に制限されないが、例えば、次の例が挙げられる。
1.樹脂、帯電制御物質、着色剤及び必要に応じて加えられる添加剤をヘンシェルミキサー等で均一に分散する。
2.分散物をニーダー、エクストルーダー、ロールミル等で溶融混練する。
3.混練物をハンマーミル、カッターミル等で粗粉砕した後、ジェットミル、I式ミル等で微粉砕する。
4.微粉砕物を分散式分級機、ジグザグ分級機等で分級する。
5.分級物中にシリカ等の外添剤をヘンシェルミキサー等で分散する。
特に、上記4.を操作して、本発明の特定の粒径分布になるまで分級を行うことによって、本発明の画像形成装置に用いられる静電荷像現像用トナーを粉砕法で製造することができる。
<懸濁重合法>
本発明の特定範囲の粒径分布を有する懸濁重合法トナーを製造する方法としては、特に限定はされない。例えば、バインダーポリマーの極性基数等の化学構造や分子量分布、懸濁状態を良好にする添加剤(分散安定剤等)の種類と量、懸濁重合時の攪拌強度、重合性モノマーの添加方法、重合開始剤や連鎖移動剤の種類と量、重合温度、分級の程度等を調整することによって行う。特に好ましい方法として、重合性モノマー滴が生成される工程で高いせん断力を与えたり、分散安定剤等を増量させたりする方法等が挙げられる。
懸濁重合法トナーを製造する際に用いる樹脂等の原料としては、乳化重合凝集法の箇所で記載したものが挙げられる。
<溶融懸濁法に代表される化学粉砕法>
溶融懸濁法に代表される化学粉砕法によって、本発明の特定範囲の粒径分布を有するトナーを製造する方法としては特に限定はされない。例えば、バインダーポリマーの種類、化学構造又は分子量分布等;懸濁状態を良好にする水中添加剤の種類と量;ポリマー溶液添加時の攪拌強度、添加方法、温度等;要すれば分級の程度等を調整することによって行う。
溶融懸濁法等の化学粉砕法でトナーを製造する際に用いる樹脂としては、粉砕法の箇所で記載したもの等が挙げられる。また、その他原料としては、乳化重合凝集法の箇所で記載したものが挙げられる。
本発明の画像形成装置に用いられるトナーは、トナーを静電潜像部に搬送するためのキャリアを共存させた二成分現像剤用、又は、磁性粉をトナー中に含有させた磁性一成分現像剤用、又は、現像剤に磁性粉を用いない非磁性一成分現像剤用の何れに用いてもよい。本発明の効果を顕著に発現するためには、特に非磁性一成分現像方式用の現像剤として用いるのが好ましい。
上記二成分現像剤として用いる場合には、トナーと混合して現像剤を形成するキャリアとしては、公知の鉄粉系、フェライト系、マグネタイト系キャリア等の磁性物質、又は、それらの表面に樹脂コーティングを施したものや磁性樹脂キャリアを用いることができる。キャリアの被覆樹脂としては、一般的に知られているスチレン系樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等が利用できるが、これらに限定されるものではない。キャリアの平均粒径は、特に制限はないが10〜200μmの平均粒径を有するものが好ましい。これらのキャリアは、トナー1重量部に対して5〜100重量部使用する事が好ましい。
<電子写真感光体>
以下に、本発明で使用される電子写真感光体について説明する。
本発明において用いられる電子写真感光体は、その表面層を温度25℃、相対湿度50%の環境下で、ナノインデンテーション法で測定した測定したときの硬度が0.55GPa以上である。
まず、ナノインデンテーション法に関して詳述する。
本発明の電子写真感光体の表面層をナノインデンテーション法により測定した硬度は、0.55GPa以上、好ましくは0.60GPa以上、より好ましくは0.64GPa以上、0.70GPa以上が最も好ましい。上記の硬度を有する電子写真感光体と上述した本発明のトナーと用いると、発生する異音やフィルミングが抑制される傾向にある。また、上限としては5.0GPa以下、好ましくは2.0GPa以下、より好ましくは1.0GPa以下、0.8GPa以下であることが最も好ましい。硬度が高すぎると、感光体の表面が磨耗せず、表面に付着した異物や酸化物を除去される効果が得られない場合がある。
また、本発明の電子写真感光体の表面層をナノインデンテーション法によって測定した弾性率は、15.0GPa以下が好ましく、より好ましくは12.0GPa以下、特に好ましくは10.0GPa以下、最も好ましくは9.5GPa以下である。この値が高すぎると、塑性変形しやすいためフィルミングを発生しやすくなる。但し、弾性率は硬度にも依存する値であるため、単独で評価することはできず、硬度と組み合わせて判断する必要がある。また、弾性率の下限としては5.0GPa以上が好ましく、より好ましくは7.0GPa以上、特に好ましくは8.0GPa以上である。
ナノインデンテーション法による硬度、及び弾性率は、Hysitron社製Triboscopeを用いて測定した値である。但し、同様の装置であれば、本装置以外で測定することも可能である。以下にナノインデンテーション法によって得られる硬度、及び弾性率について説明する。
試料表面にBerkovich圧子を圧入することによって、荷重と圧入深さの変位を検出し、得られた荷重−変位曲線(除荷曲線)から、試料の圧入深さにおける硬度や弾性率を以下の理論式から算出することが出来る。
図1にナノインデンテーション法による測定装置の圧子圧入時の一例を示す模式図、図2にナノインデンテーション法で得られた典型的な荷重−変位曲線図を示す。
なお、図1および図2において示される記号は以下の通りである。
Wmax:最大荷重
hmax:最大深さ
hf:インデント後の残留深さ
hc:接触深さ
a)硬度の算出
ナノインデンテーション法による硬度は、以下の式より算出される。
硬度H=Wmax/Ac
Acは接触投影面積で以下の方法で算出される。
1)W=A(h−hf)の式を、最小自乗法によりUnloading(除荷)曲線に
フィットさせ、A、hf、mのパラメータを決定する。
2)スティフネスSを、以下の式によりUnloading曲線の初期部分における
接線の傾きから算出する。
S=dW/dh=mA(hmax−hf)m−1
3)接触深さhcを求め、投影接触面積Acを算出する。
hc=hmax−εWmax/S
εは圧子の形状に関係する定数でBerkovich圧子の場合0.75である。
Berkovich圧子の投影接触面積:
Ac=24.5hc+f(hc)
f(hc)は圧子の曲率から求められる補正項
b)弾性率の算出
ナノインデンテーション法による弾性率は、以下の式より算出される。
弾性率Er=Sπ1/2/(2Ac1/2
本発明における測定値は、以下の条件で得られるものである。
測定環境:25℃、50%RH
最大荷重:40μN
押し込み速度:負荷時間5sec、除荷時間5sec
以上の条件で3点測定し、その平均値をナノインデンテーション法により測定した硬度、及び弾性率とした。
ナノインデンテーション法で測定した場合、表面から数10nmの領域の硬度を測定可能なため、通常の硬度計よりも表面物性と画像特性の関係を高い相関で得られることが知られている。
本発明の電子写真感光体の構成は、その表面層の硬度が上記範囲内であれば特に限定されないが、導電性支持体と、必要に応じて形成される下引き層と、感光層とをこの順で備える積層構造であることが好ましい。
以下に、それぞれの材料について詳述する。
<導電性支持体>
本発明の電子写真感光体に用いる導電性支持体は、特に制限されず、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル等の金属材料や、金属、カーボン、酸化錫等の導電性粉体を添加して導電性を付与した樹脂材料や、アルミニウム、ニッケル、ITO(酸化インジウム酸化錫)等の導電性材料をその表面に蒸着又は塗布した樹脂、ガラス、紙等が主として使用される。形態としては、ドラム状、シート状、ベルト状等のものが用いられる。金属材料の導電性支持体に、導電性、表面性等の制御のためや欠陥被覆のために、適当な抵抗値をもつ導電性材料を塗布したものでもよい。
導電性支持体としてアルミニウム合金等の金属材料を用いた場合、陽極酸化被膜を施してから用いてもよい。陽極酸化被膜を施した場合、公知の方法により封孔処理を施すのが望ましい。
例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理することにより陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/L、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/L、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、該条件に限定されるものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜に対して、封孔処理を行なうことが好ましい。封孔処理は、公知の方法で行われればよいが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理が施されるのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液の濃度は、適宜選択される。なかでも、濃度が3〜6g/Lの範囲である場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては25〜40℃が好ましく、より好ましくは30〜35℃であり、また、フッ化ニッケル水溶液のpHは、4.5〜6.5が好ましく、より好ましくは5.5〜6.0の範囲で処理するのがよい。
pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることができる。処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に添加しておいてもよい。次いで、水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。
上記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることができるが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は、5〜20g/Lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は80〜100℃、好ましくは90〜98℃で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としては、アンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることができる。
処理時間は10分以上、好ましくは20分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために、酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に添加してもよい。次いで、水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、特に7μm以下で形成されることが好ましい。
支持体表面は、平滑であってもよいし、特別な切削方法を用いたり、研磨処理したりすることにより、粗面化されていてもよい。また、支持体を構成する材料に適当な粒径の粒子を混合することによって、粗面化されたものであってもよい。また、安価化のためには切削処理を施さず、引き抜き管をそのまま使用することも可能である。特に、引き抜き加工、インパクト加工、しごき加工等の非切削アルミニウム支持体を用いる場合、処理により、表面に存在した汚れや異物等の付着物、小さな傷等が無くなり、均一で清浄な支持体が得られるので好ましい。
<下引き層>
導電性支持体と後述する感光層との間には、必要に応じて、接着性やブロッキング性等の改善のために下引き層を設けてもよい。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したもの等が用いられる。また、下引き層は、単一層であっても、複数層を設けてもかまわない。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子等が挙げられる。これらは一種類の粒子を単独で用いてもよいし、複数の種類の粒子を任意に組み合わせて、所定の比率で混合して用いてもよい。
これらの金属酸化物粒子の中でも、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。
酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又は、ステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていてもよい。これらの処理は何れか1種でもよく、2種以上が施されていてもよい。
酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスの何れを用いることができる。なお、酸化チタン粒子は、その結晶型が1種類のみであってもよく、2種以上の結晶型が任意の組み合わせ及び比率で含まれていてもよい。
金属酸化物粒子の粒径としては種々のものが利用できるが、中でも下引き層の原料であるバインダー樹脂等の特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径として通常10nm以上、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下のものが望ましい。この平均一次粒径は、TEM写真から計測によって求められたもので定義される。
下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ニトロセルロース等のセルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、カゼイン、ゼラチン、ポリグルタミン酸、澱粉、スターチアセテート、アミノ澱粉、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物等の有機ジルコニウム化合物、チタニルキレート化合物、チタニルアルコキシド化合物等の有機チタニル化合物、シランカップリング剤等が挙げられる。なお、これらは単独で用いてもよく、或いは2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性及び塗布性を示し、好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する金属酸化物粒子の混合比は任意に選べるが、通常はバインダー樹脂100重量部に対して、10重量部以上500重量部以下の範囲で使用することが、塗布液の安定性、塗布性の面で好ましい。
下引き層形成用塗布液に金属酸化物粒子を含有する場合、該金属酸化物粒子は塗布液中に分散されて存在する。塗布液中に金属酸化物粒子を分散させるには、例えば、ボールミル、サンドグラインドミル、遊星ミル、ロールミルなどの公知の機械的な粉砕装置で、有機溶媒中にて湿式分散することにより製造することができるが、分散メディアを利用して分散することが好ましい。
分散メディアを利用して分散する分散装置としては、公知のどのような分散装置を用いて分散しても構わないが、ペブルミル、ボールミル、サンドミル、スクリーンミル、ギャップミル、振動ミル、ペイントシェーカー、アトライター等が挙げられる。これらの中でも塗布液を循環させて分散できるものが好ましく、分散効率、到達粒径の細かさ、連続運転の容易さ等の点から、サンドミル、スクリーンミル、ギャップミルが用いられる。サンドミルは、縦型、横型いずれのものでもよい。サンドミルのディスク形状は、平板型、垂直ピン型、水平ピン型等任意のものを使用できる。
例えば、酸化チタン粒子を下引き層用塗布液に分散させるには、各種の粒子径のものを用いることができるが、平均粒子径5μm〜200μmの分散メディアを用いることが好ましい。
分散メディアは通常、真球に近い形状をしているため、例えばJIS Z 8801:2000等に記載のふるいによりふるい分けする方法や、画像解析により測定することにより平均粒子径を求めることができ、アルキメデス法により密度を測定することができる。具体的には例えば、(株)ニレコ製のLUZEX50等に代表される画像解析装置により、平均粒子径と真球度を測定することが可能である。分散メディアの平均粒子径としては、通常5μm〜200μmのものが用いられ、特に10μm〜100μmであるのが好ましい。一般に小さな粒径の分散メディアの方が、短時間で均一な分散液を与える傾向があるが、過度に粒径が小さくなると分散メディアの質量が小さくなりすぎて効率よい分散ができなくなる。
分散メディアの密度としては、通常5.5g/cm3以上のものが用いられ、好ましくは5.9g/cm3以上、より好ましくは6.0g/cm3以上のものが用いられる。一般に、より高密度の分散メディアを使用して分散した方が短時間で均一な分散液を与える傾向がある。分散メディアの真球度としては、1.08以下のものが好ましく、より好ましくは1.07以下の真球度を持つ分散メディアを用いる。
分散メディアの材質としては、下引き層形成用塗布液に不溶、且つ、比重が下引き層形成用塗布液より大きなものであって、下引き層形成用塗布液と反応したり、下引き層形成用塗布液変質させたりしないものであれば、公知の如何なる分散メディアも使用することができる。例えば、クローム球(玉軸受用鋼球)、カーボン球(炭素鋼球)等のスチール球;ステンレス球;窒化珪素球、炭化珪素、ジルコニア、アルミナ等のセラミック球;窒化チタン、炭窒化チタン等の膜でコーティングされた球などが挙げられるが、これらの中でもセラミック球が好ましく、特にはジルコニア焼成ボールが好ましい。より具体的には、特許第3400836号公報に記載のジルコニア焼成ビーズを用いることが特に好ましい。
特開2007−334335号公報に示されたように、金属酸化物粒子は、下引き層測定用分散液中で動的光散乱法により測定された体積平均粒子径が0.1μm以下が好ましく、より好ましくは95nm以下、特に好ましくは90nm以下である。また、体積平均粒子径の下限に制限は無いが、通常20nm以上であることが好ましい。上記範囲を満たすことにより、本発明の電子写真感光体は、低温低湿下での露光−帯電繰り返し特性が安定し、得られる画像に黒点、色点などの画像欠陥が生じることを抑制することができる。
同じく、特開2007−334335号公報に示されたように、金属酸化物粒子は、下引き層測定用分散液中で動的光散乱法により測定された累積90%粒子径が好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.25μm以下、特に好ましくは0.2μm以下である。また、累積90%粒子径の下限に制限は無いが、通常10nm以上が好ましく、より好ましくは20nm以上、特に好ましくは50nm以上である。従来の電子写真感光体では、下引き層に、金属酸化物粒子が凝集することによってなる、下引き層の表裏を貫通できるほど大きい金属酸化物粒子凝集体が含有され、当該大きな金属酸化物粒子凝集体によって、画像形成時に欠陥が生じる可能性があった。さらに、帯電手段として接触式のものを用いた場合には、感光層に帯電を行なう際に当該金属酸化物粒子を通って感光層から導電性支持体に電荷が移動し、適切に帯電を行なうことができなくなる可能性もあった。しかし、本発明の電子写真感光体では、累積90%粒子径が非常に小さいため、上記のように欠陥の原因となるような大きな金属酸化物粒子が非常に少なくなる。この結果、本発明の電子写真感光体では、欠陥の発生、及び、適切に帯電できなくなることを抑制でき、高品質な画像形成が可能である。
下引き層の膜厚は、任意に選ぶことができるが、電子写真感光体の電気特性、強露光特性、画像特性、及び繰り返し特性、並びに製造時の塗布性を向上させる観点から、通常0.01μm以上が好ましく、より好ましくは0.1μm以上、また、通常30μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以下である。
<感光層>
導電性支持体上に形成された感光層としては、電荷発生物質と電荷輸送物質が同一層に存在し、バインダー樹脂中に分散された単層構造のものであっても、若しくは電荷発生物質がバインダー中に分散された電荷発生層と電荷輸送物質(以下、適宜CTMとも称する)がバインダー樹脂中に分散された電荷輸送層とに機能分離された積層構造のもの(機能分離型感光体)の何れであってもよい。なお、積層構造の場合は、電荷発生層上に電荷輸送層が形成されることが好ましい。
まず、使用される電荷発生物質と電荷輸送物質、さらには各層で使用される樹脂について詳述する。
<電荷発生物質および電荷発生層>
本発明においては、感光層の材料として必要に応じて、電荷発生物質、染顔料を使用する。この具体例としては、例えば、セレニウム及びその合金、硫化カドミウム、その他無機系光導電材料、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、スクアレン(スクアリリウム)顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料等の有機顔料等各種光導電材料が使用でき、特に有機顔料、更にはフタロシアニン顔料、アゾ顔料が好ましい。
使用されるフタロシアニンとしては、具体的には、無金属フタロシアニン、銅、インジウム、ガリウム、錫、チタン、亜鉛、バナジウム、シリコン、ゲルマニウム等の金属、又はその酸化物、ハロゲン化物、水酸化物、アルコキシド等の配位したフタロシアニン類の各種結晶型が使用される。特に、感度の高い結晶型であるX型、τ型無金属フタロシアニン、A型(別称β型)、B型(別称α型)、D型(別称Y型)等のチタニルフタロシアニン(別称:オキシチタニウムフタロシアニン)、バナジルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、II型等のクロロガリウムフタロシアニン、V型等のヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型、I型等のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体、IIS型等のμ−オキソ−アルミニウムフタロシアニン二量体が好適である。なお、これらのフタロシアニンのうち、A型(β型)、B型(α型)、D型(Y型)オキシチタニウムフタロシアニン、II型クロロガリウムフタロシアニン、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン、G型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニン二量体等が特に好ましい。特に、オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に主たる明瞭な回折ピークを有するものが好ましい。
また、該オキシチタニウムフタロシアニンは、CuKα特性X線による粉末X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.0°〜9.7°に、明瞭な回折ピークを有することが好ましい。
また、該オキシチタニウムフタロシアニンにおいては、結晶内の塩素含有量が1.5質量%以下であることが好ましい。該塩素含有量は元素分析から求められる。
また、該オキシチタニウムフタロシアニン結晶内においては、下記式(2)で表される塩素化オキシチタニウムフタロシアニンの割合が、下記式(3)で表される無置換オキシチタニウムフタロシアニンに対して、マススペクトル強度比で、0.070以下であるものが好ましい。また、より好ましくはマススペクトル強度比が0.060以下であり、特に好ましくは0.055以下である。製造の際、非晶質化に乾式摩砕法を用いる場合は、0.02以上が好ましく、非晶質化にアシッドペースト法を用いる場合は、0.03以下が好ましい。塩素置換量は、特開2001−115054号公報の手法に基づいて測定する。
これらオキシチタニルフタロシアニンの粒子径は、製法、結晶変換方法によって大きく異なる。なかでも、分散性を考慮すると、1次粒子径として、500nm以下が好ましく、塗布成膜性の面からは300nm以下であることが好ましい。
また、該オキシチタニウムフタロシアニンは、塩素化オキシチタニウムフタロシアニン以外に、例えば、フッ素原子、ニトロ基、シアノ基を含有していても構わない。または、スルホン基等の置換基で置換された、各種オキシチタニウムフタロシアニン誘導体を含有してもよい。
アゾ顔料としては、各種公知のビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料が好適に用いられる。好ましいアゾ顔料の例を下記式(4)に示す。下記式(4)において、Cp〜Cpは、それぞれ独立にカップラーを表す。
上記式(4)において、カップラーCp〜Cpとしては、以下の構造が好ましい。
フタロシアニンとアゾ顔料を併用することによって、高感度かつゴーストのない感光体を作製することが可能である。
機能分離型感光体における電荷発生層に用いられる結着樹脂(バインダー樹脂)の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールや、アセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル系ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、カゼインや、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシ変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂等の絶縁性樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルペリレン等の有機光導電性ポリマーの中から選択し、用いることができるが、これらポリマーに限定されるものではない。また、これら結着樹脂は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
結着樹脂を溶解させ、塗布液の作製に用いられる溶媒、分散媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタン、ノナン等の飽和脂肪族系溶媒、トルエン、キシレン、アニソール等の芳香族系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール系溶媒、グリセリン、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール類、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン等の鎖状、分岐及び環状ケトン系溶媒、ギ酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、1,2―ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等の鎖状及び環状エーテル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、スルフォラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、n−ブチルアミン、イソプロパノールアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の含窒素化合物、リグロイン等の鉱油、水等が挙げられ、前述した下引き層を溶解しないものが好ましく用いられる。また、これらは単独で用いることも、2種以上を併用して用いることも可能である。
機能分離型感光体の電荷発生層において、上記結着樹脂(バインダー樹脂)と電荷発生物質との配合比(重量)は、バインダー樹脂100重量部に対して、好ましくは電荷発生物質10重量部〜1000重量部、より好ましくは30重量部〜500重量部の範囲であり、その膜厚は好ましくは0.1μm〜4μm、より好ましくは0.15μm〜0.6μmである。電荷発生物質の比率が高すぎる場合は電荷発生物質の凝集等の問題により塗布液の安定性が低下する。一方、比率が低すぎる場合は、感光体としての感度の低下をまねくことから、上記範囲で使用するのが好ましい。
電荷発生物質を塗布液中に分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法、超音波分散法等の公知の分散方法を用いることができる。この際粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.15μm以下の粒子サイズに微細化することが有効である。
<電荷輸送物質および電荷輸送層>
本発明においては、感光層の材料として、公知の電荷輸送物質を使用することが可能である。公知の電荷輸送物質の例としては、2,4,7−トリニトロフルオレノン等の芳香族ニトロ化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、ジフェノキノン等のキノン化合物等の電子吸引性物質、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ベンゾフラン誘導体等の複素環化合物、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したもの、あるいはこれらの化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質等が挙げられる。これらの中でも、カルバゾール誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、ヒドラゾン誘導体、エナミン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したものが好ましい。これらの電荷輸送物質は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせで併用してもよい。
電荷輸送物質の好適な構造の具体例を以下に示す。下記の化合物において、Rは同一でも、それぞれ異なっていても構わない。具体的には、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アリールアルキル等が好ましい。特に好ましくは、メチル基、エチル基又はベンジル基である。また、nは0〜2の整数である。これら具体例は例示のために示したものであり、本発明の趣旨に反しない限りは如何なる公知の電荷輸送物質を用いてもよい。
本発明の電荷輸送物質は、分子量460以下が好ましく、より好ましくは450以下、特に好ましくは430以下、最も好ましいのは410以下である。バインダー樹脂としてポリアリレート樹脂を用いた場合、クリーニングブレードとの摺擦による異音が発生しやすいが、上記の分子量を用いることにより、これを抑制することが可能である。この理由は定かではないが、分子量が小さいCTMほど、感光体表面の滑り性を改善する効果があるためと考えられる。一方、分子量は通常250以上が好ましく、より好ましくは300以上、特に好ましくは320以上、最も好ましいのは350以上である。分子量が小さすぎると、感光層塗布後の乾燥時に電荷輸送物質が昇華し、感光層内の電荷輸送物質の含有量を制御することが難しい。
本発明の電荷輸送物質のB3LYP/6−31G(d,p)を用いた構造最適化計算によるHOMOのエネルギーレベルE_homoは、E_homo>−4.67(eV)が好ましく、E_homo>−4.65(eV)がより好ましく、E_homo>−4.63(eV)が更に好ましく、E_homo>−4.61(eV)が最も好ましい。HOMOのエネルギーレベルが高いほど、露光後電位が低く優れた電子写真感光体が得られるからである。
特に、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂を用いた場合、ポリカーボネート樹脂を用いた場合と比較して、露光後電位が高くなる傾向にあるため、本発明においてE_homoを規定の範囲に設定することが好ましい。一方、E_homoが高すぎると、耐ガス性の低下、ゴーストの発生等の不具合が出るため、E_homo<−4.30(eV)が好ましく、E_homo<−4.50(eV)がより好ましく、E_homo<−4.56(eV)が最も好ましい。
本発明においてHOMOのエネルギーレベルE_homoは、密度汎関数法の一種であるB3LYP(A.D. Becke, J.Chem.Phys., 98, 5648 (1993), C.Lee, W.Yang, and R.G. Parr, Phys.Rev., B37, 785 (1988)及び B. Miehlich, A.Savin, H.Stoll, and H.Preuss, Chem.Phys.Lett., 157, 200 (1989))参照)を用い構造最適化計算により安定構造を求めて得た。この時、基底関数系として6−31Gに分極関数を加えた6−31G(d,p)を用いた(R. Ditchfield, W. J. Hehre, and J. A. Pople, J. Chem. Phys., 54, 724 (1971), W. J. Hehre, R. Ditchfield, and J. A. Pople, J. Chem. Phys., 56, 2257 (1972), P. C. Hariharan and J. A. Pople, Mol. Phys., 27, 209 (1974), M. S. Gordon, Chem. Phys. Lett., 76, 163 (1980), P. C. Hariharan and J. A. Pople, Theo. Chim. Acta, 28, 213 (1973), J. -P. Blaudeau, M. P. McGrath, L. A. Curtiss, and L. Radom, J. Chem. Phys., 107, 5016 (1997), M. M. Francl, W. J. Pietro, W. J. Hehre, J. S. Binkley, D. J. DeFrees, J. A. Pople, and M. S. Gordon, J. Chem. Phys., 77, 3654 (1982), R. C. Binning Jr. and L. A. Curtiss, J. Comp. Chem., 11, 1206 (1990), V. A. Rassolov, J. A. Pople, M. A. Ratner, and T. L. Windus, J. Chem. Phys., 109, 1223 (1998), 及びV. A. Rassolov, M. A. Ratner, J. A. Pople, P. C. Redfern, and L. A. Curtiss, J. Comp. Chem., 22, 976 (2001)を参照)。本発明において6−31G(d,p)を用いたB3LYP計算をB3LYP/6−31G(d,p)と記述する。
本発明では、B3LYP/6−31G(d,p)計算に用いたプログラムはGaussian 03, Revision D.01( M. J. Frisch, G. W. Trucks, H. B. Schlegel, G. E. Scuseria, M. A. Robb, J. R. Cheeseman, J. A. Montgomery, Jr., T. Vreven, K. N. Kudin, J. C. Burant, J. M. Millam, S. S. Iyengar, J. Tomasi, V. Barone, B. Mennucci, M. Cossi, G. Scalmani, N. Rega, G. A. Petersson, H. Nakatsuji, M. Hada, M. Ehara, K. Toyota, R. Fukuda, J. Hasegawa, M. Ishida, T. Nakajima, Y. Honda, O. Kitao, H. Nakai, M. Klene, X. Li, J. E. Knox, H. P. Hratchian, J. B. Cross, V. Bakken, C. Adamo, J. Jaramillo, R. Gomperts, R. E. Stratmann, O. Yazyev, A. J. Austin, R. Cammi, C. Pomelli, J. W. Ochterski, P. Y. Ayala, K. Morokuma, G. A. Voth, P. Salvador, J. J. Dannenberg, V. G. Zakrzewski, S. Dapprich, A. D. Daniels, M. C. Strain, O. Farkas, D. K. Malick, A. D. Rabuck, K. Raghavachari, J. B. Foresman, J. V. Ortiz, Q. Cui, A. G. Baboul, S. Clifford, J. Cioslowski, B. B. Stefanov, G. Liu, A. Liashenko, P. Piskorz, I. Komaromi, R. L. Martin, D. J. Fox, T. Keith, M. A. Al-Laham, C. Y. Peng, A. Nanayakkara, M. Challacombe, P. M. W. Gill, B. Johnson, W. Chen, M. W. Wong, C. Gonzalez, and J. A. Pople, Gaussian, Inc., Wallingford CT, 2004.)である。
上記のパラメータを満たすものとしては、電荷輸送物質の構造に制限はなく、エナミン誘導体、カルバゾール誘導体、アニリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、芳香族アミン誘導体、スチルベン誘導体、ブタジエン誘導体、及びこれらの化合物の複数種が結合したもの等が挙げられる。
これらの中でも、以下で説明する式(5)で示される化合物を用いた場合、本発明の効果が特に発揮される。
(式(5)中、R1〜R5は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表し、Zはインドリン環の2つの炭素原子と共に、飽和の5〜8員環を形成し、且つ該2つの炭素原子上に存在する2つの水素原子がcisの立体配置にある)
1〜R5におけるアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。また、アリール基の例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フルオレニル基等が挙げられる。中でも、電子写真感光体の特性を考慮すると、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基が最も好ましい。また、該アルキル基、該アリール基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。
中でも、R1としては、置換基を有してもよいアリール基が好ましく、置換基を有するアリール基がより好ましい。アリール基としては、フェニル基が好ましい。アリール基が有する置換基としては、アルキル基、又はアルコキシ基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、メチル基が最も好ましい。また、アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられるがメトキシ基が好ましい。これらの置換基を有するフェニル基を用いることにより、E_homoを高く設定し、好ましい電機特性を得ることができる。R1としてp−トリル基であることが、電気特性のバランスが良く、最も好ましい。
2としては、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、製造の面から、水素原子が好ましい。
3及びR4としては、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基が好ましく、中でも電機特性の面から置換基を有してもよいアリール基が好ましい。アリール基としては、フェニル基が好ましい。アリール基が有する置換基としては、アルキル基、又はアルコキシ基が好ましく、アルキル基が最も好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、メチル基が最も好ましい。また、アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられるがメトキシ基が好ましい。無置換のフェニル基が好ましい。
5としては、水素原子、又は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、製造の面から、水素原子が好ましい。nは0〜3の整数であるが、0が最も好ましい。
Zはインドリン環の2つの炭素原子と共に、飽和の5〜8員環を形成する。これらの中でも製造の面から、5又は6員環が好ましく、5員環が最も好ましい。Zとインドリン環で共有される2つの炭素原子上に存在する2つの水素原子は、cis又はtransの立体配置を取る事が可能である。本発明においては、trans配置は5員環にひずみが生じ、E_homoが低くなるのに対し、cis配置ではE_homoが高く、好ましい電機特性が得られることを見出した。以下にcisとtransのE_homoの1例を示す。
以下に、本発明のパラメータを有する電荷輸送材料をパラメータとともに例示する。
本発明のパラメータを有する電荷輸送材料は、本発明のパラメータの範囲外の電荷輸送材料と併用しても構わないが、前述の本発明の効果を十分に発揮するには、全電荷輸送材料中、本発明のパラメータを有する電荷輸送材料は好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、100重量%であることが最も好ましい。
また、本発明のパラメータを有する電荷輸送材料は、前述の本発明の効果を十分に発揮するには、電荷輸送層を構成するバインダー樹脂100重量部に対して、好ましくは30重量部以上、より好ましくは40重量部以上、特に好ましくは50重量部以上である。また、本発明のパラメータを有する電荷輸送材料は、好ましくは120重量部位以下、より好ましくは100重量部以下、80重量部以下が最も好ましい。
また、本発明のパラメータを有する電荷輸送材料は、後述する式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂を用いる場合に、特に有効である。ポリアリレート樹脂を用いた場合、ポリカーボネート樹脂を用いた場合に比べて、電気特性が悪化するが、本発明のパラメータを有する電荷輸送材料を用いた場合、優れた耐磨耗性と電気特性を両立することが出来る。式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂の好ましい構造は、前述したポリアリレート樹脂の説明と同様である。
<バインダー樹脂>
電荷発生層と電荷輸送層を有する機能分離型感光体の電荷輸送層、及び、単層型感光体の感光層形成の際は、膜強度確保のため、化合物を分散させるためバインダー樹脂が使用される。機能分離型感光体の電荷輸送層の場合、電荷輸送物質と各種バインダー樹脂とを溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液、また、単層型感光体の場合、電荷発生物質と電荷輸送物質と各種バインダー樹脂を溶剤に溶解、あるいは分散して得られる塗布液を塗布、乾燥して得ることができる。
バインダー樹脂としては、例えば、ブタジエン樹脂、スチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール樹脂、エチルビニルエーテル等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、部分変性ポリビニルアセタール、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は珪素試薬等で修飾されていてもよい。上記バインダー樹脂のうち、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好ましい。
ポリカーボネート樹脂としては、下記式(6)で表される繰り返し構造を有するポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。
式(6)中、Ar21及びAr22は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表し、X1は単結合または二価の連結基を表わす。
式(6)において、Ar21及びAr22は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表わす。アリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基が挙げられるが、電気特性の面から1,4−フェニレン基が好ましい。
また、Ar21及びAr22を構成するアリーレン基は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい。置換基の具体例を挙げると、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシ基が挙げられる。このうち、感光層用のバインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性とを勘案すれば、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が好ましく、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が好ましく、ハロゲン基としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が好ましく例示される。なお、置換基がアルキル基である場合、そのアルキル基の炭素数は通常1以上、また、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、特に好ましくは2以下である。
Ar21及びAr22は、それぞれ置換基を0〜2個有することが好ましく、接着性の面から置換基を有することが好ましく、更に、滑り性の面から置換基を1個有することが好ましい。置換基としてはアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
また、式(6)において、X1は単結合または二価の連結基を表す。好適なX1の例を挙げると、硫黄原子、酸素原子、スルホニル基、カルボニル基、シクロアルキリデン基、-CRcRd-などが挙げられる。ここで、Rc及びRdは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシ基を表わす。また、Rc及びRdのうち、感光層用のバインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性とを勘案すれば、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が好ましく、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが好ましく、ハロゲン基としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が好ましく例示される。なお、Rc又はRdがアルキル基である場合、そのアルキル基の炭素数は、通常1以上、また、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、特に好ましくは2以下である。
さらに、樹脂を製造する際に用いる二価ヒドロキシ化合物の製造の簡便性を勘案すれば、X1として好ましい基の例としては、-O-、-S-、シクロヘキシリデン基、-CRcRd-が挙げられる。中でも、Xが-CRcRd-であることが好ましく、Rc及びRdが、それぞれ独立に、水素原子、又はアルキル基であることが好ましく、Rc、Rdのうち少なくとも一方が水素原子であることが耐磨耗性の点で最も好ましい。
これらの構造を形成するジオール成分としては、ビスフェノール化合物、ビフェノール化合物等があげられる。
その具体例としては、4,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラ(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−2,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−2,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ(t−ブチル)−2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル等のビフェノール化合物;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基を有しないビスフェノール化合物;
ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族環上に置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(sec−ブチル)フェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基としてアルキル基を有するビスフェノール化合物;
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(フェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(ジフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)(ジベンジル)メタン等の芳香族環を連結する2価基が置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物などが挙げられる。
中でも以下に示されるビスフェノール、ビフェノールを繰り返し構造として有するポリカーボネート樹脂が好適に使用される。
特に、本発明の効果を最大限に発揮するためには、以下構造を示すビスフェノール誘導体を含有するポリカーボネート樹脂が好ましい。
本発明に係るポリカーボネート樹脂は、部分構造として式(6)で表される繰り返し構造以外のポリカーボネート構造を含んでも構わない。更に、部分構造として、ポリカーボネート樹脂以外の構造を含んでも構わない。
本発明に係るポリカーボネート樹脂において、式(6)で表される構造部分の重量比率は多いほど、電気特性、耐磨耗性の観点から好ましい。樹脂成分の全重量に対して、式(6)で表される構造部分が50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上であって、特には樹脂成分全てが式(6)で表される構造であることが最も好ましい。
本発明においては、公知のポリアリレート樹脂を用いることが可能である。なかでも、フィルミングの抑制、異音の抑制など本発明で得られる効果がより優れている点で、式(1)で表される繰り返し構造を有するポリアリレート樹脂が好ましい。
式(1)中、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表し、X及びYは、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表し、kは0以上の整数を表す。
式(1)において、Ar1〜Ar4は、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアリーレン基を表わす。アリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基が挙げられるが、電気特性の面から1,4−フェニレン基が好ましい。
また、Ar1〜Ar4を構成するアリーレン基は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい。置換基の具体例を挙げると、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシ基が挙げられる。このうち、感光層用のバインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性とを勘案すれば、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が好ましく、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が好ましく、ハロゲン基としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が好ましく例示される。なお、置換基がアルキル基である場合、そのアルキル基の炭素数は通常1以上、また、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、特に好ましくは2以下である。
Ar1及びAr2は、それぞれ置換基を0〜2個有することが好ましく、接着性の面から置換基を有することが好ましく、更に、耐磨耗性の面から置換基を1個有することが好ましい。また、置換基としては、アルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
Ar3及びAr4は、それぞれ置換基を0〜2個有することが好ましく、耐磨耗性の面から置換基を有さないことが好ましい。
また、式(1)において、X及びYは、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。好適なX、Yの例を挙げると、硫黄原子、酸素原子、スルホニル基、シクロアルキリデン基、-CRaRb-などが挙げられる。ここで、Ra及びRbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン基、またはアルコキシ基を表わす。また、Ra及びRbのうち、感光層用のバインダー樹脂としての機械的特性と感光層形成用塗布液に対する溶解性とを勘案すれば、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が好ましく、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが好ましく、ハロゲン基としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が好ましく、アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が好ましく例示される。なお、Ra又はRbがアルキル基である場合、そのアルキル基の炭素数は、通常1以上、また、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、特に好ましくは2以下である。
さらに、樹脂を製造する際に用いる二価ヒドロキシ化合物の製造の簡便性を勘案すれば、Xとして好ましい基の例としては、-O-、-S-、シクロヘキシリデン、-CRaRb-が挙げられる。中でも、Xが-CRaRb-であることが好ましく、Ra及びRbがそれぞれ独立に水素原子、又はアルキル基であることが好ましく、Ra、Rbのうち少なくとも一方が水素原子であることが耐磨耗性の点で最も好ましい。
さらに、樹脂を製造する際に用いる二価ヒドロキシ化合物の製造の簡便性を勘案すれば、Yとして好ましい基の例としては、単結合、-O-、-S-、-CH2-が挙げられる。耐磨耗性の面から、原子数3以下の2価の連結基が好ましく、中でも-O-が最も好ましい。
kは0以上の整数であり、製造の簡便性を勘案すれば0〜1が好ましく、耐磨耗性の面からk=1であることが最も好ましい。
また、ポリアリレート樹脂を形成する酸成分の具体例としては、以下の構造を有するものを用いることが好ましい。
特に好ましい酸成分は、電気特性、耐磨耗性の観点から、以下の構造を有するものである。
ポリアリレート樹脂に用いられるジオールとしては、ビスフェノール化合物、ビフェノール化合物等があげられる。
なお、具体例としては、上述したポリカーボネート樹脂で例示したジオール化合物が挙げられる。
これらの中でも特に、下記構造のジオールを繰り返し単位構造として有するポリアリレート樹脂が好ましい例をして挙げられる。
これらのジカルボン酸成分やジオール成分は、複数種組み合わせて用いることも可能である。本発明に係るポリアリレート樹脂において、式(1)で表される繰り返し構造部分の重量比率は多いほど、電気特性、耐磨耗性の観点から好ましい。樹脂成分の全重量に対して、式(1)で表される繰り返し構造部分が50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上であって、特には樹脂成分全てが式(1)で表される構造であることが最も好ましい。
本発明に係るポリアリレート樹脂として好適に用いられる樹脂の繰り返し構造を以下に例示する。但し、本発明に係るポリアリレート樹脂はこれらに制限されるものではない。まず、kが0の場合の繰り返し構造を示す。
次に、kが1の場合の繰り返し構造を示す。
バインダー樹脂の分子量は、低すぎると機械的強度が不足し、逆に分子量が高すぎると感光層形成のための塗布液の粘度が高すぎて生産性が低下するといった不具合が生じる場合があるため、粘度平均分子量で10,000以上が好ましく、特に好ましくは20,000以上である。また、70,000以下が好ましく、特に好ましくは50,000以下である。粘度平均分子量は、実施例に記載されている測定方法で測定し、それによって定義される。
本発明に用いられるポリアリレート樹脂の末端に存在するカルボキシル基(−COOH基)量は、特に制限はないが、通常30μeq/g以下、好ましくは15μeq/g以下、より好ましくは10μeq/g以下、特に好ましくは5μeq/g以下である。末端カルボキシル基量が多くなると表面電位の上昇など電気特性が悪くなる傾向が見られ、あまり好ましくない。また、末端カルボン酸基量が低いほど、電荷輸送材料の分解を抑制することが可能である。末端カルボキシル基量は、精秤したポリアリレート樹脂をベンジルアルコールに加熱溶解し、0.01N−NaOHベンジルアルコール溶液で滴定することにより定量することができる。
本発明に用いられるポリアリレート樹脂の分子鎖中に取り込まれた窒素量は、特に制限はないが、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下であり、特に好ましくは20ppm以下である。窒素含量が上記範囲を超えると、表面電位の上昇など電気特性が悪くなる場合があり、好ましくない。樹脂中の窒素含有量は、(株)三菱化学製、全窒素分析計(TN−10)により測定できる。
また、ポリアリレート樹脂の末端に残存する酸クロライド基量は、特に制限はないが、通常1μeq/g以下、好ましくは0.3μeq/g以下、特に好ましくは0.1μeq/g以下である。末端酸クロライド基量が上記範囲を超えると、保存安定性が低下し好ましくない。末端酸クロライド基量は、精秤したポリアリレート樹脂を塩化メチレンに溶解し、4−(p−ニトロベンジル)ピリジンの1wt%塩化メチレン溶液を加え発色させ、440nmの波長の吸光度を測定する。別途塩化ベンゾイルの塩化メチレン溶液を用い吸光係数を求め、樹脂中の酸クロライド基量を定量することができる。
同様に、ポリアリレート樹脂の末端に存在するOH基量は通常制限は無いが、好ましくは50μeq/g以下、特に好ましくは20μeq/g以下である。末端OH基量が多くなると表面電位の上昇など電気特性が悪くなる傾向が見られ好ましくない。末端OH基量は、酢酸酸性化で四塩化チタンにより発色させ、480nmの波長の吸光度を測定することにより定量することができる。
本発明においては、バインダー樹脂として、ポリアリレート樹脂以外の樹脂を併用することも可能である。但し、積層型感光体の電荷輸送層及び単層型感光体の感光層に使用される全バインダー樹脂中、ポリアリレート樹脂が好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは80重量%以上、全てポリアリレート樹脂からなることが最も好ましい。
積層型感光体の電荷輸送層及び単層型感光体の感光層に使用されるバインダー樹脂と電荷輸送物質の割合は、単層型、積層型共に、バインダー樹脂100重量部に対して電荷輸送物質が好ましくは20重量部以上であって、残留電位低減の観点から30重量部以上がより好ましく、繰り返し使用時の安定性、電荷移動度の点から、40重量部以上が特に好ましい。また、一方で感光層の熱安定性の点から、好ましくは150重量部以下、電荷輸送物質とバインダー樹脂の相溶性の点から、より好ましくは120重量部以下、耐刷性の点からは100重量部以下が特に好ましく、耐傷性の点からは80重量部以下が最も好ましい。
単層型感光体の場合には、上記のような配合比の電荷輸送媒体中に、更に電荷発生物質が分散される。その場合の電荷発生物質の粒子径は充分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以下で使用される。感光層内に分散される電荷発生物質は少なすぎると、充分な感度が得られない場合があり、一方、多すぎると、帯電性の低下、感度の低下等の弊害が生じる場合がある。例えば、感光層中における電荷発生物質の含有量は、好ましくは0.1〜50質量%の範囲、特に好ましくは1〜20質量%の範囲で使用される。
単層型感光体の感光層の膜厚は、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜50μmの範囲で使用され、順積層型感光体の電荷輸送層の膜厚は、好ましくは5〜50μmの範囲で用いられるが、長寿命、画像安定性の点からは、より好ましくは10〜45μm、高解像度の点からは10〜30μmが特に好ましい。
<その他材料>
なお、感光層には成膜性、可撓性、塗布性、耐汚染性、耐ガス性、耐光性等を向上させるために周知の酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、電子吸引性化合物、レベリング剤、可視光遮光剤等の添加剤を含有させてもよい。また感光層には必要に応じて塗布性を改善するためのレベリング剤や酸化防止剤、増感剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
酸化防止剤の例としては、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
また、染料、顔料の例としては、各種の色素化合物、アゾ化合物等が挙げられ、界面活性剤の例としては、シリコ−ンオイル、フッ素系オイル等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、α−トコフェロール、β−トコフェロール、2,2,4−トリメチル−6−ヒドロキシ−7−t−ブチルクロマン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−チオエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシアニソール、1−[2−{(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−[3−(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペラジル、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、等を挙げることができる。
なかでも、分子中のフェノール環にt−ブチル基を1個以上有するものが好ましく、特にその中でも、そのt−ブチル基がフェノール性水酸基の隣接した位置に結合したものがより好適である。それらの中でも、そのt−ブチル基がフェノール性水酸基の隣接した位置に2個結合したものが最も好ましい。
その具体例を挙げると、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート等のモノフェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のポリフェノール系酸化防止剤などが好適である。これらを用いることにより、繰返し使用してもカブリのない電子写真感光体を作成することができる。
また、耐酸性ガス性を向上させるために、公知の置換基を有しても良いアルキルアミン化合物を用いることが可能である。例えば、特開平3−172852号公報や特開2007−52408号公報に示される化合物を用いると効果がある。それらの中でも、例えば、トリベンジルアミンを好適に用いることができる。
感光体の最表面層には、感光層の損耗の防止や、帯電器等から発生する放電物質等による感光層の劣化を防止・軽減する目的で保護層を設けてもよい。保護層は導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成するか、特開平9−190004号公報の記載のようなトリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する化合物を用いた共重合体を用いることができる。導電性材料としては、TPD(N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス−(m−トリル)ベンジジン)等の芳香族アミノ化合物、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン、酸化アルミ、酸化亜鉛等の金属酸化物等を用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
保護層に用いる結着樹脂としてはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、シロキサン樹脂等の公知の樹脂を用いることができ、また、特開平9−190004号公報の記載のような、トリフェニルアミン骨格等の電荷輸送能を有する骨格と、上記樹脂の共重合体を用いることもできる。上記保護層は電気抵抗が10〜1014Ω・cmとなるように構成することが好ましい。電気抵抗が1014Ω・cmより高くなると残留電位が上昇しカブリの多い画像となってしまう場合があり、一方10Ω・cmより低くなると画像のボケ、解像度の低下が生じてしまう場合がある。また、保護層は像露光に照射される光の透過を実質上妨げないように構成されなければならない。
また、感光体表面の摩擦抵抗や、摩耗を低減、トナーの感光体から転写ベルト、紙への転写効率を高める等の目的で、表面層にフッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂等を含んでいてもよい。また、これらの樹脂からなる粒子や無機化合物の粒子を含んでいてもよい。
<感光層形成方法>
感光体を構成する各層の形成方法は特に限定されないが、各層を構成する材料を含有する塗布液を、支持体上に公知の塗布方法を用い、各層ごとに塗布・乾燥工程を繰り返し、順次塗布していくことにより形成されることが好ましい。
層形成用の塗布液は、単層型感光体及び積層型感光体の電荷輸送層の場合には、固形分濃度を、通常5〜40質量%の範囲で用いられるが、10〜35質量%の範囲で使用するのが好ましい。また、該塗布液の粘度は、通常10〜500mPa・sの範囲で用いられるが、50〜400mPa・sの範囲とするのが好ましい。
積層型感光体の電荷発生層の場合には、固形分濃度を、好ましくは0.1〜15質量%の範囲で使用されるが、1〜10質量%の範囲で使用することがより好ましい。
塗布液の粘度は、好ましくは0.01〜20mPa・sの範囲で使用されるが、0.1〜10mPa・sの範囲で使用されることがより好ましい。
塗布液の塗布方法としては、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられるが、他の公知のコーティング法を用いることも可能である。
塗布液の乾燥は室温における指触乾燥後、30〜200℃の温度範囲で、1分から2時間の間、無風、又は送風下で加熱乾燥させることが好ましい。また、加熱温度は一定であっても、乾燥時に変更させながら行なってもよい。
<画像形成装置および電子写真カートリッジ>
次に、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成装置(本発明の画像形成装置)の実施の形態について、装置の要部構成を示す図3を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
図3に示すように、画像形成装置100は、電子写真感光体1、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、および転写装置5を備えて構成され、更に、必要に応じてクリーニング装置6および定着装置7が設けられる。
以下に、それぞれの各装置について説明する。
電子写真感光体1は、上述した本発明の電子写真感光体であれば特に制限はないが、図3ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体1の外周面に沿って、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5およびクリーニング装置6がそれぞれ配置されている。
帯電装置2は、電子写真感光体1を帯電させるもので、電子写真感光体1の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。直接帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。なお、図3では、帯電装置2の一例として、ローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、および直流に交流を重畳させて用いることもできる。
露光装置3は、電子写真感光体1に露光を行なって、電子写真感光体1の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば、波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。これらの中で380〜500nmの短波長光を用いると解像度が高くなり好ましい。中でも405nmの単色光が好適である。また、書き込み解像度は、現在は600dpi以上が主流であるが、高性能機種では1200dpiのものも存在する。書き込み解像度により、静電潜像、トナー像の解像度が決定され、解像度が高いほど鮮明な画像が得られるので、1200dpi以上の解像度が好ましい。例えば、600dpi、1200dpiの解像度を持つLEDで書き込んだ場合、最小ドット形成間隔は、それぞれ、42μm、21μmとなる。
現像装置4は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図3では、現像装置4は、現像槽41、アジテータ42、供給ローラ43、現像ローラ44、および、規制部材45からなり、現像槽41の内部にトナーTを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーTを補給する補給装置(図示せず)を現像装置4に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーTを補給することが可能に構成される。なお、本実施形態では、トナーTとして、上述した本発明のトナーを使用することが好ましい。
供給ローラ43は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ44は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルなどの金属ロール、またはこうした金属ロールにシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ44の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ44は、電子写真感光体1と供給ローラ43との間に配置され、電子写真感光体1および供給ローラ43に各々当接している。供給ローラ43および現像ローラ44は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ43は、貯留されているトナーTを担持して、現像ローラ44に供給する。現像ローラ44は、供給ローラ43によって供給されるトナーTを担持して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
規制部材45は、シリコーン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、またはこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材45は、現像ローラ44に当接し、ばね等によって現像ローラ44側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材45に、トナーTとの摩擦帯電によりトナーTに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ42は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーTを攪拌するとともに、トナーTを供給ローラ43側に搬送する。アジテータ42は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
転写装置5は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置5が電子写真感光体1に対向して配置された転写チャージャー、転写ローラ、転写ベルト等から構成されるものとする。この転写装置5は、トナーTの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体1に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
クリーニング装置6について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。クリーニング装置6は、電子写真感光体1に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、クリーニング装置6は無くても構わない。
中でも、構成が簡易で小型・低コストであり、クリーニング性能・信頼性に優れていることからブレードクリーニング方式が好ましい。ブレードクリーニング方式において、当接法と加圧法で分類することが可能である(第57回日本画像学会技術講習会 予稿集 P196〜211)。当接法においては、カウンター当接、順方向当接に分類され、加圧法においては、低変位方式と低荷重方式に分類される。
本発明において、トナーを効果的に除去するためにブレードクリーニング方式が好ましく、特に、円形度の高いトナーを使用する場合、ブレードと感光体間をトナーがすり抜けしやすいため、カウンター当接方式が好ましい。また、ブレードの感光体に対する線圧は20−60g/cmに設定することが好ましい。
以上のような条件にブレードを設定すると感光体とブレード間での摺擦音が発生するきらいがあるが、本発明の感光体を使用することにより、回避することが可能である。
定着装置7は、上部定着部材(定着ローラ)71および下部定着部材(定着ローラ)72から構成され、定着部材71または72の内部には加熱装置73が備えられている。なお、図3では、上部定着部材71の内部に加熱装置73が備えられた例を示す。上部および下部の各定着部材71,72は、ステンレス、アルミニウムなどの金属素管にシリコンゴムを被覆した定着ロール、更に、テフロン(登録商標)樹脂で被覆した定着ロール、定着シートなどが公知の熱定着部材を使用することができる。更に、各定着部材71,72は、離型性を向上させる為にシリコーンオイル等の離型剤を供給する構成としてもよく、バネ等により互いに強制的に圧力を加える構成としてもよい。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材71と下部定着部材72との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
以上のように構成された電子写真装置100では、例えば、次のようにして画像の記録が行なわれる。即ち、まず電子写真感光体1の表面(感光面)が、帯電装置2によって所定の電位(例えば−600V)に帯電される。この際、直流電圧により帯電させてもよく、直流電圧に交流電圧を重畳させて帯電させてもよい。
続いて、帯電された電子写真感光体1の感光面を、記録すべき画像に応じて露光装置3により露光し、感光面に静電潜像を形成する。そして、その電子写真感光体1の感光面に形成された静電潜像の現像を、現像装置4で行なう。
現像装置4は、供給ローラ43により供給されるトナーTを、規制部材(現像ブレード)45により薄層化するとともに、所定の極性(ここでは感光体1の帯電電位と同極性であり、負極性)に摩擦帯電させ、現像ローラ44に担持しながら搬送して、電子写真感光体1の表面に接触させる。
現像ローラ44に担持された帯電トナーTが電子写真感光体1の表面に接触すると、静電潜像に対応するトナー像が電子写真感光体1の感光面に形成される。そしてこのトナー像は、転写装置5によって記録紙Pに転写される。この後、転写されずに電子写真感光体1の感光面に残留しているトナーが、クリーニング装置6で除去される。
トナー像の記録紙P上への転写後、定着装置7を通過させてトナー像を記録紙P上へ熱定着することで、最終的な画像が得られる。
なお、画像形成装置100は、上述した構成に加え、例えば、除電工程を行なうことができる構成としてもよい。除電工程は、電子写真感光体に露光を行なうことで電子写真感光体の除電を行なう工程であり、除電装置としては、蛍光灯、LED等が使用される。また除電工程で用いる光は、強度としては露光光の3倍以上の露光エネルギーを有する光である場合が多い。
また、画像形成装置は更に変形して構成してもよく、例えば、前露光工程、補助帯電工程などの工程を行なうことができる構成としたり、オフセット印刷を行なう構成としたり、更には複数種のトナーを用いたフルカラータンデム方式の構成としてもよい。
なお、電子写真感光体1を、帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、および定着装置7のうち1つまたは2つ以上と組み合わせて、一体型のカートリッジ(以下適宜「電子写真カートリッジ」という)として構成し、この電子写真カートリッジを複写機やレーザービームプリンタ等の電子写真装置本体に対して着脱可能な構成にしてもよい。この場合、例えば、電子写真感光体1やその他の部材が劣化した場合に、この電子写真カートリッジを画像形成装置本体から取り外し、別の新しい電子写真カートリッジを画像形成装置本体に装着することにより、画像形成装置の保守・管理が容易となる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例で「部」とあるのは「重量部」を意味する。
各粒子径、平均円形度、電気伝導度、熱特性等は次のように測定した。
<体積平均径(Mv)の測定方法と定義>
1μm未満の体積平均径(Mv)を有する粒子の体積平均径(Mv)は、日機装株式会社製、型式:Microtrac Nanotrac 150(以下、「ナノトラック」と略記する)を用いて、ナノトラックの取り扱い説明書に従い、同社解析ソフトMicrotrac Particle Analyzer Ver10.1.2.-019EEを用い、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交換水を分散媒に用い、それぞれ、下記の条件で又は下記の条件を入力し、取り扱い説明書に記載された方法で測定した。
ワックス分散液及び重合体一次粒子分散液の測定条件については、以下の通りである。
・溶媒屈折率:1.333
・測定時間 :100秒
・測定回数 :1回
・粒子屈折率:1.59
・透過性 :透過
・形状 :真球形
・密度 :1.04
顔料プレミックス液及び着色剤分散液の測定条件については、以下の通りである。
・溶媒屈折率:1.333
・測定時間 :100秒
・測定回数 :1回
・粒子屈折率:1.59
・透過性 :吸収
・形状 :非球形
・密度 :1.00
<体積中位径(Dv50)の測定方法と定義>
外添工程を経て、最終的に得られたトナーの測定前処理を以下のように実施した。内径47mm、高さ51mmの円筒形のポリエチレン(PE)製ビーカーに、スパチュラーを用いてトナーを0.100g、スポイトを用いて20質量%DBS水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS−20A)を0.15g添加した。この際、ビーカーの縁等にトナーが飛び散らない様にビーカーの底部にのみトナー、及び、20%DBS水溶液を入れた。次に、スパチュラーを用いて、トナーと20%DBS水溶液とがペースト状になるまで3分間攪拌した。この際もビーカーの縁等にトナーが飛び散らない様にした。
続いて、分散媒アイソトンIIを30g添加し、スパチュラーを用いて2分間攪拌し、全体を目視で均一な溶液とした。次に、長さ31mm直径6mmのフッ素樹脂コート回転子をビーカーの中に入れて、スターラーを用いて400rpmで20分間分散させた。この際、3分間に1回の割合でスパチュラーを用いて気液界面とビーカーの縁に目視で観察される巨視的な粒をビーカー内部に落とし込み、均一な分散液となるようにした。続いて、これを目開き63μmのメッシュで濾過し、得られたろ液を「トナー分散液」とした。
なお、トナー母粒子の製造工程中の粒径の測定については、凝集中のスラリーを63μmのメッシュで濾過したろ液を「スラリー液」とした。
粒子の体積中位径(Dv50)はベックマンコールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm)(以下、「マルチサイザー」と略記する)を用い、分散媒には同社製アイソトンIIを用い、上述の「トナー分散液」又は「スラリー液」を、分散質濃度0.03質量%になるように希釈して、マルチサイザーIII解析ソフトで、KD値は118 .5として測定した。測定粒子径範囲は2.00から64.00μmまでとし、この範囲を対数目盛で等間隔となるように256分割に離散化し、それらの体積基準での統計値をもとに算出したものを体積中位径(Dv50)とした。
<粒径2.00μm以上、3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の測定方法と定義>
外添工程を経て、最終的に得られたトナーの測定前処理として次の様にした。内径47mm、高さ51mmの円筒形のポリエチレン(PE)製ビーカーに、スパチュラーを用いてトナーを0.100g、スポイトを用いて20質量%DBS水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS−20A)を0.15g添加した。この際、ビーカーの縁等にトナーが飛び散らない様にビーカーの底部にのみトナー、及び、20%DBS水溶液を入れた。次に、スパチュラーを用いて、トナーと20%DBS水溶液がペースト状になるまで3分間攪拌した。この際もビーカーの縁等にトナーが飛び散らない様にした。
続いて、分散媒アイソトンIIを30g添加し、スパチュラーを用いて2分間攪拌し、全体を目視で均一な溶液とした。次に、長さ31mm直径6mmのフッ素樹脂コート回転子をビーカーの中に入れて、スターラーを用いて400rpmで20分間分散させた。この際、3分間に1回の割合でスパチュラーを用いて気液界面とビーカーの縁に目視で観察される巨視的な粒をビーカー内部に落とし込み、均一な分散液となるようにした。続いて、これを目開き63μmのメッシュで濾過し、得られたろ液をトナー分散液とした。
粒径2.00μm以上、3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)は、マルチサイザー(アパーチャー径100μm)を用い、分散媒には同社製アイソトンIIを用い、上述の「トナー分散液」又は「スラリー液」を、分散質濃度0.03質量%になるように希釈して、マルチサイザーIII解析ソフトで、KD値は118.5として測定した。
下限の粒径2.00μmは本測定装置マルチサイザーの検出限界であり、上限の粒径3.56μmは本測定装置マルチサイザーにおけるチャンネルの規定値である。本発明では、この粒径2.00μm以上、3.56μm以下の領域を微粉領域と認定した。
測定粒子径範囲は、2.00から64.00μmまでとし、この範囲を対数目盛で等間隔となるように256分割に離散化し、それらの個数基準での統計値をもとに、2.00から3.56μmまでの粒径成分の割合を個数基準で算出して「Dns」とした。
<平均円形度の測定方法と定義>
本発明における「平均円形度」は、以下のように測定し、以下のように定義する。すなわち、トナー母粒子を分散媒(アイソトンII、ベックマンコールター社製)に、5720〜7140個/μLの範囲になるように分散させ、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社(旧東亜医用電子社)製、FPIA2100)を用いて、以下の装置条件にて測定を行い、その値を「平均円形度」と定義する。本発明においては、同様の測定を3回行い、3個の「平均円形度」の相加平均値を、「平均円形度」として採用する。
・モード :HPF
・HPF分析量 :0.35μL
・HPF検出個数:2000〜2500個
以下は、上記装置で測定され、上記装置内で自動的に計算されて表示されるものであるが、「円形度」は下記式で定義される。
[円形度]=[粒子投影面積と同じ面積の円の周長]/[粒子投影像の周長]
そして、HPF検出個数である2000〜2500個を測定し、この個々の粒子の円形度の算術平均(相加平均)が「平均円形度」として装置に表示される。
<個数変動係数の測定方法と定義>
本発明における「個数変動係数」は、以下のように定義される。
[個数変動係数]=100×[個数基準の粒子分布の標準偏差]/[個数平均粒径]
本発明において、個数基準の粒子分布の標準偏差、及び個数平均粒径は、体積中位径(Dv50)を測定する方法に準じて、マルチサイザーIIIを用いて測定した。測定粒子範囲は2.00から64.00μmまでとし、この範囲を対数メモリで等間隔となるように256分割に離散化し、それらの個数基準での統計値をもとに、個数基準の粒子分布の標準偏差と個数平均粒径を求め、上記式から個数変動係数を算出した。
<電気伝導度の測定方法>
電気伝導度の測定は、導電率計(横河電機社製のパーソナルSCメータモデルSC72と検出器SC72SN−11)を用いて、取扱説明書通り常法に従って行った。
<融点ピーク温度、融解ピーク半値幅、結晶化温度、結晶化ピーク半値幅の測定方法>
セイコーインスツルメンツ社製、型式:SSC5200を用い、同社の取り扱い説明書に記載された方法で、10℃から110℃まで、10℃/分の速度で昇温させた際の吸熱曲線より、融点ピーク温度、融解ピーク半値幅を測定し、続いて、110℃から10℃まで10℃/分の速度で降温させた際の発熱曲線より、結晶化温度、結晶化ピーク半値幅を測定した。
<固形分濃度の測定方法>
ケット科学研究所社製 固形分濃度測定機INFRARED MOISTURE DETERMINATION BALANCE 型式FD−100を用い、固形分を含んだ試料1.00gを天秤上に精秤し、ヒーター温度300℃、加熱時間90分の条件で固形分濃度を測定した。
<帯電量分布(帯電量の標準偏差)の測定方法>
トナー0.8g/キャリア(パウダーテック社製フェライトキャリア:F150)19.2gをガラス製のサンプル瓶に入れ、レシプロシェーカーNR−1(タイテック株式会社製)を用い250rpmで30分間撹拌した。撹拌したトナー/キャリア混合物を、E−Spart帯電量分布測定装置(ホソカワミクロン社製)を用いて帯電量分布測定を行った。得られたデータから、個々の粒子についてその帯電量を粒子直径で除した値(−16.197C/μm〜+16.197C/μmの範囲を0.2551C/μm毎に128分割に離散化)を求め、3000個の粒子測定結果の標準偏差を求めて、帯電量の標準偏差とした。
<トナー製造例1>
<ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1の調製>
パラフィンワックス(日本精鑞社製HNP−9、表面張力23.5mN/m、熱特性:融点ピーク温度82℃、融解熱量220J/g、融解ピーク半値幅8.2℃、結晶化温度66℃、結晶化ピーク半値幅13.0℃)27部(540g)、ステアリルアクリレート(東京化成社製)2.8部、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS20A)(以下、「20%DBS水溶液」と略記する)1.9部、脱塩水68.3部を90℃に加熱して、ホモミキサー(特殊機化工業社製 マークII fモデル)を用い10分間攪拌した。
次いでこの分散液を90℃に加熱し、ホモジナイザー(ゴーリン社製、15−M−8PA型)を用いて25MPaの加圧条件で循環乳化を開始し、ナノトラックで粒子径を測定し体積平均径(Mv)が250nmになるまで分散して、ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1(エマルション固形分濃度=30.2質量%)を作製した。
<重合体一次粒子分散液A1の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(内容積21L、内径250mm、高さ420mm)に、上記ワックス・長鎖重合性単量体分散液A1 35.6部(712.12g)、脱塩水259部を仕込み、窒素気流下で、攪拌しながら90℃に昇温した。
その後、上記液の攪拌を続けたまま、そこへ下記の「重合性モノマー類等」と「乳化剤水溶液」との混合物を5時間かけて添加した。この混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、下記の「開始剤水溶液」を重合開始30分後から4.5時間かけて添加し、更に重合開始5時間後から、下記の「追加開始剤水溶液」を2時間かけて添加し、更に攪拌を続けたまま内温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等]
スチレン 76.8部 (1535.0g)
アクリル酸ブチル 23.2部
アクリル酸 1.5部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7部
トリクロロブロモメタン 1.0部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.1部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 15.5部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.5部
[追加開始剤水溶液]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液A1を得た。ナノトラックを用いて測定した体積平均径(Mv)は280nmであり、固形分濃度は21.1質量%であった。
<重合体一次粒子分散液A2の調製>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器(内容積21L、内径250mm、高さ420mm)に、20質量%DBS水溶液1.0部、脱塩水312部を仕込み、窒素気流下で90℃に昇温し、攪拌しながら8質量%過酸化水素水溶液3.2部、8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液3.2部を一括添加した。これらを一括添加した時から5分後の時点を「重合開始」とする。
下記の「重合性モノマー類等」と「乳化剤水溶液」との混合物を、重合開始から5時間かけて、また、下記の「開始剤水溶液」を重合開始から6時間かけて添加し、その後、更に攪拌しながら内温90℃のまま1時間保持した。
[重合性モノマー類等]
スチレン 92.5部 (1850.0g)
アクリル酸ブチル 7.5部
アクリル酸 0.5部
トリクロロブロモメタン 0.5部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.5部
脱塩水 66.0部
[開始剤水溶液]
8質量%過酸化水素水溶液 18.9部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 18.9部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液A2を得た。ナノトラックを用いて測定した体積平均径(Mv)は290nmであり、固形分濃度は19.0質量%であった。
<着色剤分散液Aの調製>
攪拌機(プロペラ翼)を備えた内容積300Lの容器に、トルエン抽出液の紫外線吸光度が0.02であり、真密度が1.8g/cmのファーネス法で製造されたカーボンブラック(三菱化学社製、三菱カーボンブラックMA100S)20部(40kg)、20%DBS水溶液1部、非イオン界面活性剤(花王社製、エマルゲン120)4部、電気伝導度が2μS/cmのイオン交換水75部を加えて予備分散して、顔料プレミックス液を得た。ナノトラックで測定した、顔料プレミックス後の分散液中カーボンブラックの体積平均径(Mv)は90nmであった。
上記顔料プレミックス液を原料スラリーとして湿式ビーズミルに供給し、ワンパス分散を行った。なお、ステータの内径はφ75mm、セパレータの径がφ60mm、セパレータとディスク間の間隔は15mmとし、分散用のメディアとして直径が100μmのジルコニアビーズ(真密度6.0g/cm)を用いた。ステータの有効内容積は0.5Lであり、メデイアの充填容積は0.35Lとしたので、メディア充填率は70質量%であった。ロータの回転速度を一定(ロータ先端の周速が11m/秒)として、供給口より上記顔料プレミックス液を無脈動定量ポンプにより供給速度50L/hrで連続的に供給し、排出口より連続的に排出する事により黒色の着色剤分散体Aを得た。
着色剤分散体Aをナノトラックで測定した体積平均径(Mv)は150nmであり、固形分濃度は24.2質量%であった。
<トナー母粒子Aの製造>
下記の各成分を用いて、以下の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程(熟成工程)・洗浄工程・乾燥工程を実施することによりトナー母粒子Aを製造した。
重合体一次粒子分散液A1 固形分として95部 (固形分として998.2g)
重合体一次粒子分散液A2 固形分として5部
着色剤分散液A 着色剤固形分として6部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として0.2部
20%DBS水溶液 円形化工程では、固形分として6部
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液A1と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて、内温7℃で、250rpmで攪拌を続けながら、硫酸第一鉄の5質量%水溶液をFeSO・7HOとして0.52部を5分かけて添加してから、着色剤分散液Aを5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合した。更に、同一の条件のまま、0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を8分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.10部)。その後、回転数250rpmのまま内温を54.0℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し5.32μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温54.0℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液A2を3分かけて添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程(熟成工程)
続いて、回転数を150rpm(攪拌羽根先端の周速1.56m/秒、凝集工程回転数に対して40%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として6部)を10分かけて添加し、その後30分かけて81℃に昇温して、平均円形度が0.943になるまで、この条件で加熱及び攪拌を続けた。その後20分かけて30℃まで冷却し、スラリーを得た。
○洗浄工程
得られたスラリーを抜き出し、5種C(東洋濾紙株式会社製 No5C)のろ紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をした。ろ紙上に残ったケーキを、攪拌機(プロペラ翼)を備えた内容積10Lのステンレス容器に移し、電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水8kgを加え50rpmで攪拌することにより均一に分散させ、その後30分間攪拌したままとした。
その後、再度5種C(東洋濾紙株式会社製 No5C)の濾紙を用いてアスピレーターにより吸引ろ過をし、再度ろ紙上に残った固形物を、攪拌機(プロペラ翼)を備え電気伝導度が1μS/cmのイオン交換水8kgの入った内容積10Lの容器に移し、50rpmで攪拌することにより均一に分散させ、30分間攪拌したままとした。この工程を5回繰り返したところ、ろ液の電気伝導度は2μS/cmとなった。
○乾燥工程
ここで得られた固形物をステンレス製バットに高さ20mmとなる様に敷き詰め、40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥することにより、トナー母粒子Aを得た。
<トナーAの製造>
○外添工程
得られたトナー母粒子A250gに、外添剤としてクラリアント社製H2000シリカ1.55gとテイカ社製SMT150IBチタニア微粉末0.62gを混ぜて、サンプルミル(協立理工社製)で、6000rpmで1分間混合し、150メッシュで篩別してトナーAを得た。
○分析工程
ここで得られたトナーAのマルチサイザーを用いて測定した「体積中位径(Dv50)」は5.54μmであり、「粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)」は3.83%であり、平均円形度は0.943であり、個数変動係数は18.6%であった。
<トナー製造例2>
<トナー母粒子Bの製造>
「トナー母粒子Aの製造」の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程において、「コア材凝集工程」、「シェル被覆工程」及び「円形化工程」を下記の様に変更したこと以外は全てトナー製造例1の「トナー母粒子Aの製造」と同様の操作によりトナー母粒子Bを得た。
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液A1と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて内温7℃に保持し、250rpmで攪拌を続けながら、第一硫酸鉄の5質量%水溶液をFeSO・7HOとして0.52部を5分かけて添加し、その後、着色剤分散液Aを5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合した。更に、同一の条件のまま、0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を8分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.10部)。その後、回転数250rpmのまま内温を55.0℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し5.86μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温55.0℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液A2を3分かけて添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程
続いて回転数を150rpm(攪拌羽根先端の周速1.56m/秒、凝集工程回転数に対して40%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として6部)を10分かけて添加し、その後30分かけて84℃に昇温して、平均円形度が0.942になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後、20分かけて30℃まで冷却しスラリーを得た。
<トナーBの製造>
その後、外添剤としてH2000シリカの量を1.41gに変更し、SMT150IBチタニア微粉末の量を0.56gに変更した以外は、「トナーAの製造」と同じ外添工程の操作によりトナーBを得た。
○分析工程
ここで得られたトナーBのマルチサイザーを用いて測定した体積中位径(Dv50)は5.97μmであり、「粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)」は2.53%であり、平均円形度は0.943であり、個数変動係数は18.4%であった。
<トナー製造例3>
<トナー母粒子Cの製造>
「トナー母粒子Aの製造」の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程において、「コア材凝集工程」、「シェル被覆工程」及び「円形化工程」を下記の様に変更したこと以外は全てトナー製造例1の「トナー母粒子Aの製造」と同様の操作によりトナー母粒子Cを得た。
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液A1と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて内温7℃に保持し、250rpmで攪拌を続けながら、第一硫酸鉄の5質量%水溶液をFeSO4・7HOとして0.52部を5分かけて添加してから、着色剤分散液Aを5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合した。更に、同一の条件のまま、0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を8分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.10部)。その後、回転数250rpmのまま内温を57.0℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.72μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温57.0℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液A2を3分かけて添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程
続いて、回転数を150rpm(攪拌羽根先端の周速1.56m/秒、凝集工程回転数に対して40%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として6部)を10分かけて添加し、その後30分かけて87℃に昇温して平均円形度が0.941になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後、20分かけて30℃まで冷却しスラリーを得た。
<トナーCの製造>
その後、外添剤としてH2000シリカの量を1.25gに変更し、SMT150IBチタニア微粉末の量を0.50gに変更した以外は、「トナーAの製造」と同じ外添工程の操作によりトナーCを得た。
○分析工程
ここで得られたトナーCのマルチサイザーを用いて測定した体積中位径(Dv50)は6.75μmであり、「粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)」は1.83%であり、平均円形度は0.942であり、個数変動係数は18.7%であった。
<トナー製造例4>
<トナー母粒子Dの製造>
「トナー母粒子Aの製造」の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程において、「コア材凝集工程」、「シェル被覆工程」及び「円形化工程」を下記の様に変更したこと以外は全てトナー製造例1の「トナー母粒子Aの製造」と同様の操作によりトナー母粒子Dを得た。
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液A1と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて、内温21℃に保持し、250rpmで攪拌を続けながら、第一硫酸鉄の5質量%水溶液をFeSO・7HOとして0.52部を5分かけて添加してから、着色剤分散液Aを5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合した。更に、同一の条件のまま、0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を8分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.10部)。その後、回転数250rpmのまま内温を54.0℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し5.34μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温54.0℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液A2を3分かけて添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程
続いて回転数を220rpm(攪拌羽根先端の周速2.28m/秒、凝集工程回転数に対して12%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として6部)を10分かけて添加し、その後30分かけて81℃に昇温して、平均円形度が0.942になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後、20分かけて30℃まで冷却しスラリーを得た。
<トナーDの製造>
その後、トナー製造例1における「トナーAの製造」と同じ外添工程の操作によりトナーDを得た。
○分析工程
ここで得られたトナーDのマルチサイザーを用いて測定した体積中位径(Dv50)は5.48μmであり、「粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)」は4.51%であり、平均円形度は0.943であり、個数変動係数は20.4%であった。
<トナー製造例5>
<トナー母粒子Eの製造>
「トナー母粒子Aの製造」の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程において、「コア材凝集工程」、「シェル被覆工程」及び「円形化工程」を下記の様に変更したこと以外は全てトナー製造例1の「トナー母粒子Aの製造」と同様の操作によりトナー母粒子Eを得た。
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液A1と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて、内温21℃に保持し、250rpmで攪拌を続けながら、第一硫酸鉄の5質量%水溶液をFeSO・7HOとして0.52部を5分かけて添加してから、着色剤分散液Aを5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合した。更に、同一の条件のまま、0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を8分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.10部)。その後、回転数250rpmのまま内温を55.0℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し5.86μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温55.0℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液A2を3分かけて添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程
続いて、回転数を220rpm(攪拌羽根先端の周速2.28m/秒、凝集工程回転数に対して12%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として6部)を10分かけて添加し、その後30分かけて84℃に昇温して平均円形度が0.941になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後、20分かけて30℃まで冷却しスラリーを得た。
<トナーEの製造>
その後、外添剤としてH2000シリカの量を1.41gに変更し、SMT150IBチタニア微粉末の量を0.56gに変更した以外は、「トナーAの製造」と同じ外添工程の操作によりトナーEを得た。
○分析工程
ここで得られた現像用トナーEのマルチサイザーを用いて測定した体積中位径(Dv50)は5.93μmであり、「粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)」は3.62%であり、平均円形度は0.942であり、個数変動係数は20.1%であった。
<トナー製造例6>
<トナー母粒子Fの製造>
「トナー母粒子Aの製造」の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程において、「コア材凝集工程」、「シェル被覆工程」及び「円形化工程」を下記の様に変更したこと以外は全てトナー製造例1の「トナー母粒子Aの製造」と同様の操作によりトナー母粒子Fを得た。
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液A1と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて、内温21℃に保持し、250rpmで攪拌を続けながら、第一硫酸鉄の5質量%水溶液をFeSO・7HOとして0.52部を5分かけて添加してから、着色剤分散液Aを5分かけて添加し、内温7℃で均一に混合した。更に、同一の条件のまま、0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を8分かけて滴下した(樹脂固形分に対しての固形分が0.10部)。その後、回転数250rpmのまま内温を57.0℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.76μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温57.0℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液A2を3分かけて添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程
続いて、回転数を220rpm(攪拌羽根先端の周速2.28m/秒、凝集工程回転数に対して12%減の攪拌速度)に落としてから、20%DBS水溶液(固形分として6部)を10分かけて添加し、その後30分かけて87℃に昇温して平均円形度が0.941になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後、20分かけて30℃まで冷却しスラリーを得た。
<トナーFの製造>
その後、外添剤としてH2000シリカの量を1.25gに変更し、SMT150IBチタニア微粉末の量を0.50gに変更した以外は、「トナーAの製造」と同じ外添工程の操作によりトナーFを得た。
○分析工程
ここで得られたトナーFのマルチサイザーを用いて測定した体積中位径(Dv50)は6.77μmであり、「粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)」は2.48%であり、平均円形度は0.942であり、個数変動係数は21.1%であった。
<トナー比較製造例1>
<トナー母粒子Gの製造>
「トナー母粒子Aの製造」の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程・洗浄工程・乾燥工程において、「コア材凝集工程」、「シェル被覆工程」及び「円形化工程」を下記の様に変更したこと以外は全てトナー製造例1の「トナー母粒子Aの製造」と同様の操作によりトナー母粒子Gを得た。
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器(容積12L、内径208mm、高さ355mm)に重合体一次粒子分散液A1と20%DBS水溶液を仕込み、内温7℃で5分間均一に混合した。続いて、内温21℃に保持し、250rpmで攪拌を続けながら第一硫酸鉄の5質量%水溶液をFeSO・7HOとして0.52部を5分で一括添加してから、着色剤分散液Aを5分で一括添加し、内温7℃で均一に混合した。更に、同一の条件のまま、0.5質量%硫酸アルミニウム水溶液を8秒で一括添加した(樹脂固形分に対しての固形分が0.10部)。その後、回転数250rpmのまま内温を57.0℃に昇温し、マルチサイザーを用いて体積中位径(Dv50)を測定し6.85μmまで成長させた。
○シェル被覆工程
その後、内温57.0℃、回転数250rpmのまま、重合体一次粒子分散液A2を3分で一括添加してそのまま60分保持した。
○円形化工程
続いて、回転数を250rpm(攪拌羽根先端の周速2.59m/秒、凝集工程回転数と同じ攪拌速度)のまま、20%DBS水溶液(固形分として6部)を10分かけて添加し、その後30分かけて87℃に昇温して平均円形度が0.942になるまで加熱及び攪拌を続けた。その後、20分かけて30℃まで冷却し、スラリーを得た。
<トナーGの製造>
その後、外添剤としてH2000シリカの量を1.25gに変更し、SMT150IBチタニア微粉末の量を0.50gに変更した以外は、「トナーAの製造」と同じ外添工程の操作によりトナーGを得た。
○分析工程
ここで得られた現像用トナーGのマルチサイザーを用いて測定した体積中位径(Dv50)は6.79μmであり、「粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)」は4.52%であり、平均円形度は0.943であり、個数変動係数は24.5%であった。
以下の表1にトナーA〜Gの物性値、及び帯電量分布の結果を示す。
上記表1の結果から明らかなように、本発明における要件(3)の式を満たすトナーA〜Fは、トナー製造例1〜6に示した製造方法によって実際に製造できた。そして、本発明の要件(1)〜(4)を全て満たすトナーA〜Fは全て、帯電量の標準偏差が充分小さく、帯電量分布がシャープであった。
一方、要件(3)の式を満たさないトナーGは、帯電量の標準偏差が大きく、帯電量分布がシャープでなかった。
<電荷輸送層形成用塗布液の製造>
<製造例1>
下記の繰り返し構造で表されるポリカーボネート樹脂100部(樹脂1、粘度平均分子量40,000)、電荷輸送物質として下記式で表されるCTM1を70部、CTM2を20部、酸化防止剤として下記式で表される化合物(AOX1)8部、ジメチルポリシロキサン(信越化学社製KF96−30CS)0.10部をテトラヒドロフラン/トルエン(8/2(重量比))混合溶媒640部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
<製造例2>
製造例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いたポリカーボネート樹脂(樹脂1)の代わりに、下記の繰返し構造で表されるポリカーボネート樹脂(樹脂2、粘度平均分子量40,000)を用い、電荷輸送物質としてCTM1とCTM2の代わりに、下記式で表されるCTM3(2種のcis体の混合物、混合比率1:1)を80部用いた以外は、製造例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
<製造例3>
製造例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いたポリカーボネート樹脂(樹脂1)の代わりに、下記の繰り返し構造で表されるポリアリレート樹脂(樹脂3、粘度平均分子量43,000)を用い、電荷輸送物質としてCTM1とCTM2の代わりに、CTM3を80部用いた以外は、製造例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
<製造例4>
製造例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いたポリカーボネート樹脂(樹脂1)の代わりに、樹脂2を50部、樹脂3を50部、電荷輸送物質としてCTM1とCTM2の代わりに、CTM3を80部用いた以外は、製造例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
<製造例5>
製造例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いたポリカーボネート樹脂(樹脂1)の代わりに、下記の繰り返し構造で表されるポリアリレート樹脂(樹脂4、粘度平均分子量43,000)を用い、電荷輸送物質としてCTM1とCTM2の代わりに、CTM3を80部用いた以外は、製造例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
<製造例6>
製造例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いた電荷輸送物質CTM1とCTM2の代わりに、下記式で表されるCTM4を80部用いた以外は、製造例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
<製造例7>
製造例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いたポリカーボネート樹脂(樹脂1)の代わりに、樹脂3を用い、電荷輸送物質としてCTM1とCTM2の代わりに、CTM4を80部用いた以外は、製造例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
<製造例8>
製造例1の電荷輸送層形成用塗布液に用いたポリカーボネート樹脂(樹脂1)の代わりに、樹脂3を用い、電荷輸送物質としてCTM1とCTM2の代わりに、下記式で表されるCTM5を80部用いた以外は、製造例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
<実施例1>
表面が鏡面仕上げされた外径24mm、長さ257mm、肉厚0.75mmのアルミニウム製シリンダー上に、以下に示す下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1.3μm、0.4μm、15μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムを得た。
(下引き層形成用塗布液)
下引き層形成用塗布液は以下のように作製した。平均一次粒子径40nmのルチル型酸化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの重量比が7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、表面処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒、及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表わされる化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表わされる化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表わされる化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表わされる化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表わされる化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた。その後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層形成用塗布液を作製した。
(電荷発生層形成用塗布液)
電荷発生層形成用塗布液は、以下のように作製した。電荷発生物質として、図4のX線回折スペクトルで示されるオキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いて、この微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部の混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び、230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液Aを調製した。
電荷発生物質として、図5のX線回折スペクトルで示されるオキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで4時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いて、この微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部の混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び、230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液Bを調製した。
電荷発生層形成用塗布液Aと電荷発生層形成用塗布液Bを6.5:3.5の割合で混合し、本実施例で用いる電荷発生層形成用塗布液を作製した。
電荷輸送層形成用塗布液は、製造例1で作製した塗布液を用いた。
ここで作製した感光体ドラムと、トナー製造例で作製したトナーAを用いて後述する画像特性試験を行った。
初期、及び1,000枚画像形成後においても、ゴースト、カブリ、濃度低下、フィルミング、クリーニング不良等の画像劣化のない良好な画像が得られた。また、印刷時の異音の発生もなかった。結果を、表2に示す。
また、<ナノインデンテーション法>で説明した方法に従って測定した、硬度と弾性率を同様に表2に示す。
<画像特性試験>
画像特性試験は、ヒューレットパッカード社製カラープリンターHP Color LaserJet CP1518ni(タンデム方式、クリーニングブレード、カウンター当接方式)を用いて行った。
作製した感光体ドラムとトナーをシアン色用のプロセスカートリッジに装着し、このカートリッジをプリンターに装着した。その際、ブレード反転の発生を防ぐために、ブレードにトナーをまぶした。温度25℃、湿度50%環境下で、1,000枚の画像形成を行い、ゴースト、カブリ、濃度低下、フィルミング、クリーニング不良の評価を行った。また、画像形成中に異音が発生するかどうかについて評価した。
フィルミング、異音、画像品質について、以下の通りランク付けを行った。なお、カブリは目視評価により行った。
「フィルミング」項目
◎:まったくフィルミングが発生していない。
○:うっすらとフィルミングの発生が確認できるが、実用上問題のないレベル。
△:スジ状にフィルミングの発生が確認できるが、実用上問題のないレベル。
×:全面にフィルミングが発生しており、実用上問題のあるレベル。
「異音」項目
○:全く発生していない。
△:若干発生するも、実用上問題のないレベル。
×:異音が発生し、実用上問題のあるレベル。
「画像品質」項目
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:ゴースト、濃度不良、地肌部の汚れなどがわずかに観察されるが、実用上問題なく良好である。
×:ゴースト、濃度不良、地肌部の汚れなどが明らかで問題となる。
<実施例2〜10、及び、比較例1〜4>
実施例1において用いた電荷輸送層形成用塗布液として、表2に示した製造例の塗布液を用い、トナーとして表2に示したトナーを用いた以外は、実施例1と同様にして感光体ドラムを作製し、各種評価を行った。結果を表2に示す。
表2の実施例から本発明に規定される硬度を有する感光体を用いた場合、異音の発生が抑制される。また、その中でもポリアリレート樹脂を用いた場合にフィルミングの発生が少なく好ましい。本発明に規定される硬度を有する感光体の中において比較した場合、弾性率が低いものがよりフィルミングを抑えられる傾向にあり好ましい。一方、本発明の規定する硬度より低い感光体を用いた場合には、異音が発生した。
本発明に規定されるトナーを用いた場合、いずれも良好な画像特性を示した。中でも、体積中位径の小さいトナーA、B、D、Eを用いた、実施例1〜6、8、9では細線の再現性が良く、他の実施例よりも優れていた。特に、個数変動係数が小さいA、Bを用いた、実施例1〜6はハーフトーン濃度の均一性がよく優れていた。一方、本発明外のトナーGを用いた比較例4ではカブリの発生が多く実用性が低いことが分かった。
即ち、本発明の電子写真感光体とトナーを併用することにより、画像特性や装置上の問題がなく、且つ高精細な画像が得られることが分かった。
外径が25mm以下のドラムでは、クリーニングブレードによるクリーニングが難しくなり、クリーニングブレード、トナー、感光体の組合せの設計が難しくなる。本発明は、近年のプリンターの小型化に伴い、小径化している電子写真感光体にとって重要な技術である。
本発明は電子写真感光体を使用する任意の分野で使用することが可能であり、特に、プリンターや複写機等の画像形成装置に用いて好適である。
1 感光体
2 帯電装置(帯電ローラ)
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
7 定着装置
41 現像槽
42 アジテータ
43 供給ローラ
44 現像ローラ
45 規制部材
71 上部定着部材(加圧ローラ)
72 下部定着部材(定着ローラ)
73 加熱装置
100 画像形成装置
T トナー
P 記録紙

Claims (12)

  1. 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、前記トナーを該電子写真感光体から被転写体に転写する転写手段とを有する画像形成装置において、
    前記電子写真感光体の表面層を、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、ナノインデンテーション法で測定したときの硬度が0.55GPa以上0.8GPa以下であり、
    前記電子写真感光体の表面層が、ポリアリレート樹脂またはポリカーボネート樹脂を含有し、
    前記電子写真感光体の外径が10mm以上、25mm以下であり、
    前記トナーが下記(1)〜(4)全てを満足することを特徴とする画像形成装置。
    (1)体積中位径(Dv50)が4.0μm以上7.0μm以下である。
    (2)平均円形度が0.93以上である。
    (3)トナーの体積中位径(Dv50)と粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の関係が、Dns≦0.233EXP(17.3/Dv50)を満たす。
    (4)個数変動係数が24.0%以下である。
  2. 前記電子写真感光体の表面層が電荷輸送物質を含有し、前記電荷輸送物質の分子量が460以下である請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記ポリアリレート樹脂が、下記式(1)で表される繰り返し構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。

    (式(1)中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に置換基を有してもよいアリーレン基を表し、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に置換基を有してもよいアリーレン基を表し、X及びYは、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表し、kは0以上の整数を表す。)
  4. 式(1)において、Yが酸素原子で、且つk=1であることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  5. カウンター当接方式のブレードクリーニング機構を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する像露光手段、前記静電潜像をトナーで現像する現像手段、前記トナーを該電子写真感光体から被転写体に転写する転写手段、該転写後の有機感光体上に残留するトナーを除去するクリーニング手段のうち、少なくとも一つとを備えることを特徴とする、電子写真カートリッジにおいて、
    前記電子写真感光体の表面層を、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、ナノインデンテーション法で測定したときの硬度が0.55GPa以上0.8GPa以下であり、
    前記電子写真感光体の表面層が、ポリアリレート樹脂またはポリカーボネート樹脂を含有し、
    前記電子写真感光体の外径が10mm以上、25mm以下であり、
    前記トナーが下記(1)〜(4)全てを満足することを特徴とする電子写真カートリッジ。
    (1)体積中位径(Dv50)が4.0μm以上7.0μm以下である。
    (2)平均円形度が0.93以上である。
    (3)トナーの体積中位径(Dv50)と粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の関係が、Dns≦0.233EXP(17.3/Dv50)を満たす。
    (4)個数変動係数が24.0%以下である。
  7. 前記電子写真感光体の表面層が電荷輸送物質を含有し、前記電荷輸送物質の分子量が460以下である請求項6に記載の電子写真カートリッジ。
  8. 前記ポリアリレート樹脂が、下記式(1)で表される繰り返し構造を有することを特徴とする請求項6または7に記載の電子写真カートリッジ。

    (式(1)中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立に置換基を有してもよいアリーレン基を表し、Ar3及びAr4は、それぞれ独立に置換基を有してもよいアリーレン基を表し、X及びYは、それぞれ独立に単結合または二価の連結基を表し、kは0以上の整数を表す。)
  9. 式(1)において、Yが酸素原子で、且つk=1であることを特徴とする請求項に記載の電子写真カートリッジ。
  10. カウンター当接方式のブレードクリーニング機構を有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の電子写真カートリッジ。
  11. 前記表面層が電荷輸送物質を2種以上含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  12. 電子写真感光体を帯電させる工程、帯電した該電子写真感光体に対し像露光を行い静電潜像を形成する工程、前記静電潜像をトナーで現像する工程、前記トナーを該電子写真感光体から被転写体に転写する工程とを有する画像形成方法において、
    前記電子写真感光体の表面層を、温度25℃、相対湿度50%の環境下で、ナノインデンテーション法で測定したときの硬度が0.55GPa以上0.8GPa以下であり、
    前記電子写真感光体の表面層が、ポリアリレート樹脂またはポリカーボネート樹脂を含有し、
    前記電子写真感光体の外径が10mm以上、25mm以下であり、
    前記トナーが下記(1)〜(4)全てを満足することを特徴とする画像形成方法。
    (1)体積中位径(Dv50)が4.0μm以上7.0μm以下である。
    (2)平均円形度が0.93以上である。
    (3)トナーの体積中位径(Dv50)と粒径2.00μm以上3.56μm以下のトナーの個数%(Dns)の関係が、Dns≦0.233EXP(17.3/Dv50)を満たす。
    (4)個数変動係数が24.0%以下である。
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